JP6728651B2 - 光学フィルム及びその製造方法、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学フィルム及びその製造方法、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルム及びその製造方法、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、テレビ、ノートパソコン、及びスマートフォン等の液晶ディスプレイとして広く用いられている。液晶表示装置は、通常、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含み;偏光板は、偏光子と、保護フィルムとを含む。
保護フィルムを構成する材料として、セルロースエステル、ポリカーボネート及びシクロオレフィン系樹脂が知られている。これらの中でも、高い耐熱性と耐湿性とを有する観点から、シクロオレフィン系樹脂が好ましく用いられている。
一方で、シクロオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムを延伸すると、フィルムの表面近傍に脆弱層が形成されやすい。脆弱層は、耐衝撃性や引き裂き強度が低いことから、当該脆弱層を有するフィルムを、水系接着剤を介して偏光子と接着させて偏光板を得ようとしても、偏光子との十分な接着性が得られにくいという不具合があった。そこで、水系接着剤を用いても偏光子との十分な接着性が得られるように、延伸後のシクロオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムの表面に、有機溶媒を塗布する溶媒処理を行うことで、表面の凝集力を高めることが提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、モバイル用途の液晶表示装置は屋外で使用されることから、その保護フィルムは、良好な耐久性(紫外線耐性や耐酸化性)を有することが望まれる。そのような保護フィルムとして、シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤とを含む光学積層体が提案されている(例えば特許文献2及び3)。
特許第5712892号公報 特開2015−031753号公報 特開2015−045845号公報
しかしながら、特許文献2及び3の光学積層体は、メルト製膜法で製造されることから、メルト製膜時の紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制するために、中間層のみに紫外線吸収剤を含んでいる。このように、特許文献2及び3の光学積層体は多層構造を有することから、薄型化が困難であるだけでなく、層間剥離を生じやすいという問題があった。
これに対して、シクロオレフィン系樹脂と紫外線吸収剤とを含むフィルムを、キャスト製膜法で製造することで、単層フィルムを得ることができる。しかしながら、当該単層フィルムの表面に特許文献1に示される溶媒処理を施し、偏光子と貼り合わせて得られる偏光板を備えた液晶表示装置はコントラストが低い場合があった。
特許文献2や3の光学積層体の表面に特許文献1に示される溶媒処理を施し、偏光子と貼り合わせて得られる偏光板を備えた液晶表示装置は、コントラストの低下が著しいという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、良好な耐久性を有し、且つ液晶表示装置のコントラストの低下を抑制し得る光学フィルムを提供することを目的とする。
[1] 粗化された表面を含む改質領域を有する光学フィルムであって、前記光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを含み、前記光学フィルムの表面に垂直な切断面において、前記粗化された表面から厚み方向に0.1tの位置までの領域Sにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMsとし、前記光学フィルムの中心から厚み方向に±0.1tの位置までの領域Cにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMcとしたとき(但し、前記光学フィルムの厚みをtとする)、Mc/Msが0.01以上1未満であり、前記光学フィルムに含まれる残留溶媒量が、100ppm以上2000ppm以下であり、且つ内部ヘイズ:外部ヘイズ=1:15〜1:1000である、光学フィルム。
[2] 前記外部ヘイズが、0.1〜5%である、[1]に記載の光学フィルム。
[3] 前記紫外線吸収剤の含有量は、前記シクロオレフィン系樹脂に対して0.5〜5質量%である、[1]又は[2]に記載の光学フィルム。
[4] 前記有機溶媒は、100〜300ppmのトルエンを含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学フィルム。
[5] 前記Mc/Msが0.7以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学フィルム。
[6] [1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルムと、その改質領域が設けられた面に配置された偏光子とを含む、偏光板。
[7] 第1の偏光板と、液晶セルと、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に含む液晶表示装置であって、前記第1の偏光板は、第1の偏光子と、前記第1の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF1と、前記第1の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF2とを含み、前記第2の偏光板は、第2の偏光子と、前記第2の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF3と、前記第2の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF4とを含み、前記保護フィルムF1及びF2の少なくとも一方が、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルムであり、且つ前記第1の偏光子が、前記光学フィルムの改質領域が設けられた面に配置されているか、及び/又は前記保護フィルムF3及びF4の少なくとも一方が、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルムであり、且つ前記第2の偏光子が、前記光学フィルムの改質領域が設けられた面に配置されている、液晶表示装置。
[8] 前記保護フィルムF1及びF2の少なくとも一方が、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学フィルムであり、且つ前記第1の偏光子が、前記光学フィルムの改質領域が設けられた面に配置されている、[7]に記載の液晶表示装置。
[9] シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを含むフィルムであって、その表面に垂直な切断面において、少なくとも一方の表面から厚み方向に0.1tの位置までの領域Sにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMs、前記フィルムの中心から厚み方向に±0.1tの位置までの領域Cにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMcとしたとき(但し、前記フィルムの厚みをtとする)、Mc/Msが0.01以上1未満であり、且つ残留溶媒量が100ppm以上2000ppm以下であるシクロオレフィン系樹脂フィルムを得る工程と、前記シクロオレフィン系樹脂フィルムの前記領域Sを構成する面に、有機溶媒と接触させて溶媒処理する工程とを含む、光学フィルムの製造方法。
本発明によれば、良好な耐久性を有し、且つ液晶表示装置のコントラストの低下を抑制し得る光学フィルムを提供することができる。
本発明の光学フィルムの構成の一例を示す模式図である。 光学フィルムの表面に垂直な切断面における、領域Sと領域Cを説明する図である。 本発明の光学フィルムの構成の他の例を示す模式図である。 ヘイズの測定方法を説明する図である。 液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。
前述の通り、特許文献2や3に示されるシクロオレフィン系樹脂と紫外線吸収剤とを含む光学積層体を溶媒処理したフィルムや、シクロオレフィン系樹脂と紫外線吸収剤とを含むキャストフィルムを溶媒処理したフィルムは、外部ヘイズが増大しやすく、偏光子との接着性も得られにくい場合がある。それにより、液晶表示装置のコントラストが低下する場合がある。
これに対して本発明者らは、「紫外線吸収剤又は酸化防止剤が表面に偏在し」且つ「残留溶媒量が一定以上」のシクロオレフィン系樹脂フィルムを溶媒処理して得られる本発明の光学フィルムは、偏光子との良好な接着性が得られ、且つ外部ヘイズが過剰に増大し難いことを見出した。
この理由は明らかではないが、以下のように推測される。即ち、上記シクロオレフィン系樹脂フィルムの表面には紫外線吸収剤又は酸化防止剤が偏在しているので、溶媒処理した際に、表面に偏在した紫外線吸収剤又は酸化防止剤が、溶媒のフィルム内部への過剰な浸透を抑制できる。同様に、上記シクロオレフィン系樹脂フィルムは残留溶媒を一定量以上含むので、溶媒処理した際に、フィルムの表面と内部の溶媒の濃度勾配を緩やかにし得るので、溶媒のフィルム内部への過剰な浸透を抑制できる。
このように、溶媒処理による溶媒のフィルム内部への過剰な浸透を抑制できるので、当該フィルム表面でのケミカルクラックを抑制でき、得られる光学フィルムと偏光子との接着性が損なわれ難い。さらに、該フィルム表面が過剰に粗化され難いので、得られる光学フィルムの外部ヘイズが過剰に増大するのを抑制できる。このように、偏光子との接着性が良く、外部ヘイズの過剰な増大も抑制できるので、液晶表示装置のコントラストの低下を抑制できる。本発明は、このような知見に基づきなされたものである。
1.光学フィルム
図1は、本発明の光学フィルムの構成の一例を示す図である。図1に示されるように、本発明の光学フィルム10は、溶媒処理によって粗化された表面を含む改質領域10Aを有する。さらに、本発明の光学フィルム10は、シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを含み、且つ紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方が、光学フィルム10の溶媒処理によって粗化された表面に偏在していることが好ましい(図1参照)。
1-1.シクロオレフィン系樹脂
シクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン単量体の重合体、又はシクロオレフィン単量体とそれ以外の共重合性単量体との共重合体である。
シクロオレフィン単量体は、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体であることが好ましく、下記一般式(A−1)又は(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体であることがより好ましい。
Figure 0006728651
一般式(A−1)のR〜Rは、独立して水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基、又は極性基を表す。但し、R〜Rの全てが水素原子となる場合を除き、RとRが同時に水素原子となるか、又はRとRが同時に水素原子となる場合はないものとする。
炭素原子数1〜30の炭化水素基は、炭素原子数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1〜5の炭化水素基であることがより好ましい。炭素原子数1〜30の炭化水素基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含む連結基をさらに有していてもよい。そのような連結基の例には、カルボニル基、イミノ基、エーテル結合、シリルエーテル結合、チオエーテル結合等の2価の極性基が含まれる。炭素原子数1〜30の炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が含まれる。
極性基の例には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基及びシアノ基が含まれる。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基が好ましい。
一般式(A−1)のpは、0〜2の整数を示す。pは、1又は2であることが好ましい。
Figure 0006728651
一般式(A−2)のRは、水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。中でも、炭素数1〜5の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基がより好ましい。
一般式(A−2)のRは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子)を表す。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基がより好ましい。
一般式(A−2)のpは、0〜2の整数を表す。pは、1又は2であることが好ましい。
一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体は、非対称な構造を有する。即ち、一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体の置換基R及びRが、分子の対称軸に対して片側の環構成炭素原子のみに置換されているので、分子の対称性が低い。そのようなシクロオレフィン単量体は、後述するシクロオレフィン系樹脂フィルムの製造工程において、流延されたドープを乾燥させる際に、紫外線吸収剤や酸化防止剤の拡散移動を促進しうるので、これらの成分の分布状態を調整しやすくしうると考えられる。
一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物1〜14に示し、一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物15〜34に示す。
Figure 0006728651
シクロオレフィン単量体と共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロオレフィン単量体と開環共重合可能な共重合性単量体、シクロオレフィン単量体と付加共重合可能な共重合性単量体が含まれる。
開環共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエン等のシクロオレフィンが含まれる。
付加共重合可能な共重合性単量体の例には、不飽和二重結合含有化合物、ビニル系環状炭化水素単量体、(メタ)アクリレートが含まれる。不飽和二重結合含有化合物の例には、炭素原子数2〜12(好ましくは2〜8)のオレフィン系化合物であり、その例には、エチレン、プロピレン、ブテンが含まれる。ビニル系環状炭化水素単量体の例には、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体が含まれる。(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜20のアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
シクロオレフィン系樹脂は、前述の通り、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体、好ましくは一般式(A−1)又は(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体を重合又は共重合して得られる重合体であり、その例には、以下のものが含まれる。
(1)シクロオレフィン単量体の開環重合体
(2)シクロオレフィン単量体とそれと開環共重合可能な共重合性単量体との開環共重合体
(3)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体の水素添加物
(4)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフツ反応により環化した後、水素添加した(共)重合体
(5)シクロオレフィン単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体
(6)シクロオレフィン系単量体のビニル系環状炭化水素単量体との付加共重合体及びその水素添加物
(7)シクロオレフィン系単量体と(メタ)アクリレートとの交互共重合体
中でも、(1)〜(3)が好ましく、(3)がより好ましい。即ち、シクロオレフィン系樹脂は、得られるシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度を高くし、且つ光透過率を高くすることができる点で、下記一般式(B−1)で表される構造単位と下記一般式(B−2)で表される構造単位の少なくとも一方を含むことが好ましい。一般式(B−1)で表される構造単位は、前述の一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体由来の構造単位であり、一般式(B−2)で表される構造単位は、前述の一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体由来の構造単位である。
Figure 0006728651
一般式(B−1)のXは、−CH=CH−又は−CHCH−である。
一般式(B−1)のR〜R及びpは、一般式(A−1)のR〜R及びpとそれぞれ同義である。
Figure 0006728651
一般式(B−2)のXは、−CH=CH−又は−CHCH−である。
一般式(B−2)のR〜R及びpは、一般式(A−2)のR〜R及びpとそれぞれ同義である。
シクロオレフィン系樹脂は、いずれも公知の方法、例えば特開2008−107534号公報、特開2005−227606号公報及び特許第4466272号公報に記載の方法で得ることができる。例えば、(3)の重合体は、モノマーを溶液重合させた後、得られた開環重合体の主鎖の二重結合を水素化する。水素化後に得られた重合体から触媒を除去(脱触媒)し、さらに減圧乾燥して溶媒を除去(脱溶媒)して、(3)の重合体を得る。得られる光学フィルム中の残留溶媒量の調整は、シクロオレフィン系樹脂を合成するときの、溶液重合に用いる溶媒の種類や、得られた開環重合体から溶媒を除去(脱溶媒)する際の乾燥条件の調整によって行うことができる。
シクロオレフィン系樹脂の固有粘度〔η〕inhは、0.2〜5cm/gであることが好ましく、0.3〜3cm/gであることがより好ましく、0.4〜1.5cm/gであることがさらに好ましい。
シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、8000〜100000であることが好ましく、10000〜80000であることがより好ましく、12000〜50000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20000〜300000であることが好ましく、30000〜250000であることがより好ましく、40000〜200000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量や重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算にて測定することができる。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあると、シクロオレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性とフィルムとしての成形加工性が良好となる。
シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常、110℃以上であり、110〜350℃であることが好ましく、120〜250℃であることがより好ましく、120〜220℃であることがさらに好ましい。Tgが110℃以上であると、高温条件下での変形を抑制しやすい。一方、Tgが350℃以下であると、成形加工が容易となり、成形加工時の熱による樹脂の劣化も抑制しやすい。
シクロオレフィン系樹脂の含有量は、光学フィルムに対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
1-2.紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、光学フィルムの耐久性を向上させる目的で添加される。そのような紫外線吸収剤は、400nm以下の紫外線を吸収する化合物であることが好ましく、具体的には、波長370nmの光の透過率が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下の化合物である。
紫外線吸収剤の例には、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体、及び高分子紫外線吸収剤が含まれる。紫外線吸収剤は、1種類であってもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
中でも、良好な紫外線吸収能を有することから、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物及びトリアジン系化合物が好ましく、ベンゾトリアゾール系化合物及びベンゾフェノン系化合物がより好ましい。
ベンゾトリアゾール系化合物の例には、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノールが含まれる。ベンゾフェノン系化合物の例には、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノンが含まれる。
市販品の例には、Tinuvin109、Tinuvin171、Tinuvin234、Tinuvin326、Tinuvin327、Tinuvin328、Tinuvin928等のTinuvinシリーズがあり、これらはいずれもBASF社製の市販品である。
紫外線吸収剤の含有量(光学フィルムにおける総含有量)は、例えばシクロオレフィン系樹脂に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.1質量%以上であれば、光学フィルムの耐久性(特に耐候性)を十分に高めうる。紫外線吸収剤の含有量が10質量%以下であれば、光学フィルムの透明性が損なわれ難い。紫外線吸収剤の含有量は、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
1-3.酸化防止剤(劣化防止剤)
酸化防止剤は、高温高湿下における光学フィルムの劣化を抑制する目的で添加され得る。酸化防止剤の例には、ヒンダードフェノール系化合物が含まれる。ヒンダードフェノール系化合物の例には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアネート等が含まれる。酸化防止剤は、1種類であってもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
中でも、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。
酸化防止剤は、例えばN,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤と併用されてもよい。
酸化防止剤の含有量(光学フィルムにおける総含有量)は、例えばシクロオレフィン系樹脂に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。酸化防止剤の含有量が0.1質量%以上であれば、光学フィルムの耐久性(特に耐候性)を十分に高めうる。酸化防止剤の含有量が10質量%以下であれば、光学フィルムの透明性が損なわれ難い。酸化防止剤の含有量は、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方は、光学フィルムの溶媒処理によって粗化された表面に偏在していることが好ましい(図1参照)。図1の例では、濃いグラデーション領域が紫外線吸収剤及び酸化防止剤が偏在している領域を示す。
(紫外線吸収剤/酸化防止剤の含有分布)
具体的には、光学フィルムの表面に垂直な切断面において、光学フィルムの領域C(中間層領域)における紫外線吸収剤及び酸化防止剤の合計含有量をMcとし、粗化された表面を含む領域Sの紫外線吸収剤及び酸化防止剤の合計含有量をMsとしたとき、Mc/Msが0.01以上1未満であることが好ましく、0.01以上0.7以下であることがより好ましい。Mc/Msが1未満、好ましくは0.7以下であると、光学フィルム中で紫外線吸収剤又は酸化防止剤が表層に偏在している。そのため、シクロオレフィン系樹脂フィルムの表面に溶媒処理を行って光学フィルムを得る際に、溶媒が該フィルムの内部に過剰に浸透するのを抑制しうる。それにより、得られる光学フィルムの表面の外部ヘイズが過剰に増大するのを抑制できるだけでなく、ケミカルクラックによる偏光子との接着性の低下も抑制できる。
図2は、光学フィルムの表面に垂直な切断面における、領域Sと領域Cを説明する図である。同図において、上側の面が、粗化された面である。図2に示されるように、領域Sは、光学フィルムの粗化された面から厚み方向に0.1t(t:光学フィルムの厚み)の位置までの表層領域を示し、領域Cは、光学フィルムの中心から厚み方向に±0.1tの位置までの中間層領域を示す。
光学フィルム10の少なくとも粗化された面を含む領域SがMc/Msが1未満を満たしていればよい(図1及び図2参照)。また、光学フィルムの粗化されていない面から厚み方向に0.1t(t:光学フィルムの厚み)の位置までの表層領域を領域S’とし、該領域S’における紫外線吸収剤及び酸化防止剤の合計含有量をMs’としたとき、Mc/Ms’が0.01以上1未満、好ましくは0.01以上0.7以下をさらに満たしてもよい(図3及び図2参照)。
光学フィルムにおける紫外線吸収剤又は酸化防止剤の分布状態やMc/Msは、以下の方法で測定することができる。即ち、
1)光学フィルム10をミクロトームで切断し、光学フィルム10の表面に垂直な切断面を得る。
2)得られた光学フィルム10の切断面のうち、領域Sと領域Cを含む測定領域における有機物の面分布像を、Thermo Fisher Scientific 社のNicolet380を用いてATR法により測定する。測定領域は、光学フィルムの厚みをtとしたとき、領域Sと領域Cを含む1.5t×1.5tの領域(領域Sと領域Cとを含む)としうる。
3)測定対象となる紫外線吸収剤又は酸化防止剤のピーク(測定対象ピーク)を抽出し、その吸光度から含有量を数値化し、可視化したIRイメージ像を得る。IRイメージ像から、光学フィルム10の切断面における紫外線吸収剤又は酸化防止剤の分布状態を把握する。
Mc/Msの値は、上記測定領域のうち、領域Sにおける測定対象ピークの吸光度の積算値と、領域Cにおける測定対象ピークの吸光度の積算値との比から求めることができる。測定対象ピークは、予め測定しておくものとする。Mc/Ms’の値も同様にして測定することができる。
Mc/Msは、例えば光学フィルムの製造工程における、ドープの溶媒組成や乾燥前(ウェット状態)の膜状物の残留溶媒量によって調整することができる。紫外線吸収剤/酸化防止剤を光学フィルムの表層に偏在させるためには、乾燥前(ウェット状態)の膜状物中の残留溶媒量が少なくなるようにすることが好ましく、例えばドープの溶媒組成を、良溶媒(低沸点溶媒)の含有割合を多くし、且つ乾燥前の膜状物の残留溶媒量を少なくすることが好ましい。乾燥前の膜状物中の残留溶媒量が少なくなるようにすると、Mc/Msを上記範囲に調整しやすい(紫外線吸収剤や酸化防止剤が表面に偏在しやすい)理由は明らかではないが、後述するシクロオレフィン系樹脂フィルムの製造工程において、乾燥前の膜状物の残留溶媒量が少ないと、当該膜状物の表面近傍にある紫外線吸収剤や酸化防止剤が揮発しにくく、膜状物の表面に密集しやすいからであると考えられる。
1-4.その他の成分
光学フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤の例には、可塑剤、熱安定剤、微粒子(マット剤)、界面活性剤、フッ素系界面活性剤及び剥離助剤等が含まれる。
(微粒子)
微粒子は、光学フィルムの表面に凹凸を付与し、滑り性を向上させうる。微粒子は、無機微粒子又は有機微粒子でありうる。無機微粒子の例には、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の無機酸化物の微粒子や;炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、燐酸カルシウム等の微粒子が含まれる。有機微粒子の例には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル系樹脂等の微粒子が含まれる。中でも、ヘイズを生じ難く、着色も少ないことから、シリカ粒子が好ましい。
微粒子の平均粒子径は、1nm〜500nmであることが好ましく、5nm〜300nmであることがより好ましい。平均粒子径を1nm以上とすることで、易接着層の滑り性を効果的に高めることができ、500nm以下とすることで、ヘイズを低く抑えることができる。微粒子の平均粒子径は、レーザー回折法によって粒径分布を測定し、測定された粒径分布において小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径(50%体積累積径D50)とする。
微粒子の含有量は、光学フィルムに対して10質量%以下としうる。
1-5.光学フィルムの構造・物性について
本発明の光学フィルムは、前述の通り、溶媒処理によって形成された改質領域10Aを有する(図1参照)。改質領域10Aの厚みは、10〜1000nmであることが好ましく、20〜800nmであることがより好ましい。
改質領域10Aがあるかどうかは、以下の手順で確認することができる。即ち、光学フィルムをミクロトームで切断して、光学フィルムの表面に垂直な切断面を有する試料を得る。得られた試料の切断面を透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、得られたTEM画像のコントラスト(明暗)の違いから改質領域10Aを特定する。
改質領域10Aは、光学フィルム10の両面に設けられていてもよいし、一方の面のみに設けられていてもよい。
改質領域10Aを含む光学フィルム10は、適度に外部ヘイズが高められている。即ち、光学フィルムの内部ヘイズと外部ヘイズの比は、内部ヘイズ:外部ヘイズ=1:15〜1:1000であることが好ましい。内部ヘイズ:外部ヘイズ=1:15以上であると、適度に溶媒が浸透して粗面化されているので、偏光子との良好な接着性が得られやすい。内部ヘイズ:外部ヘイズ=1:1000以下であると、表面が過剰に粗面化されないので、ヘイズの過剰な増大を抑制でき、且つ偏光子との接着性も損なわれ難い。内部ヘイズと外部ヘイズの比は、内部ヘイズ:外部ヘイズ=1:20〜1:500であることが好ましく、1:30〜1:200であることがより好ましい。
光学フィルムの外部ヘイズは、0.1〜10%であることが好ましい。外部ヘイズが10%以下であると、液晶表示装置のコントラストの低下を良好に抑制し得る。光学フィルムの外部ヘイズは、0.1〜5%であることがより好ましい。
光学フィルムの内部ヘイズと外部ヘイズの比や外部ヘイズの値は、光学フィルムの紫外線吸収剤や酸化防止剤の含有量、Mc/Ms、又は残留溶媒量によって調整されうる。光学フィルムの外部ヘイズが(内部ヘイズに対して)過剰に高くならないようにするためには、光学フィルムを得る際の溶媒処理において、溶媒がフィルム内部に過剰に浸透するのを抑制することが好ましい。溶媒処理による溶媒の過剰な浸透を抑制するためには、紫外線吸収剤等の含有量は一定以上とすることが好ましく、Mc/Msは一定以下とすることが好ましく、残留溶媒量は一定以上とすることが好ましい。
光学フィルムの内部ヘイズ及び外部ヘイズは、以下の手順で測定することができる。
1)全ヘイズの測定
光学フィルムを、23℃55%RHの環境にて5時間以上調湿する。その後、得られる光学フィルムの全ヘイズを、ヘイズメーター(型式NDH 2000、日本電色(株)製)により測定する。
2)内部ヘイズの測定
i)まず、光学フィルムを含まないブランクヘイズ1を測定する。即ち、洗浄したスライドガラス上にグリセリンを一滴(0.05ml)滴下し、カバーガラスを乗せて得られる積層物をヘイズメーター(型式NDH 2000、日本電色(株)製)にセットし、ブランクヘイズ1を測定する。
ii)次に、光学フィルムを含むヘイズ2を測定する。即ち、洗浄したスライドガラス上にグリセリン(0.05ml)を滴下し(図4(a)参照)、その上に上記調湿した光学フィルムを気泡が入らないように乗せる(図4(b)参照)。次いで、光学フィルム上にグリセリン(0.05ml)を滴下し(図4(c)参照)、その上にカバーガラスを載せる(図4(d)参照)。得られた積層物を前述のヘイズメーターにセットし、ヘイズ2を測定する。
iii)前記i)及びii)で測定した値を下記式に当てはめて、光学フィルムの内部ヘイズを算出する。
光学フィルムの内部ヘイズ=(ヘイズ2)−(ヘイズ1)
なお、ヘイズの測定において、ガラス及びグリセリンは、後述する実施例と同様のものを使用する。
3)外部ヘイズの測定
前記1)で得られた全ヘイズの値と、前記2)で得られた内部ヘイズの値とを下記式に当てはめて、外部ヘイズを算出する。
光学フィルムの外部ヘイズ(%)=全ヘイズ−内部ヘイズ
(残留溶媒量)
光学フィルムに含まれる残留溶媒量は、100〜2000ppmであることが好ましい。そのような光学フィルムは、残留溶媒量が100〜2000ppmのシクロオレフィン系樹脂フィルムを溶媒処理して得られる。シクロオレフィン系樹脂フィルムに含まれる残留溶媒量が100ppm以上であると、溶媒処理した際に、フィルム表面と内部とで溶媒の濃度勾配を少なくできるので、フィルム内部に溶媒が過剰に浸透するのを抑制し、光学フィルムの外部ヘイズの増大や接着性の低下を抑制し得る。シクロオレフィン系樹脂フィルムに含まれる残留溶媒量が2000ppm以下であると、光学フィルムの強度が損なわれ難い。光学フィルムに含まれる残留溶媒量は、100〜800ppmであることがより好ましい。
光学フィルムに含まれる残留溶媒量には、溶媒処理によって改質領域に残存する有機溶媒も含まれるが、その量は溶媒処理前の光学フィルム(シクロオレフィン系樹脂フィルム)に含まれる残留溶媒量と比べて極僅かである。従って、光学フィルムに含まれる残留溶媒量は、実質的には溶媒処理前の光学フィルム(シクロオレフィン系樹脂フィルム)に含まれる残留溶媒量と同じである。
光学フィルムは、残留溶媒として100〜300ppmのトルエンを含むことが好ましい。トルエンは、シクロオレフィン系樹脂との相溶性が良いことから、それを含むフィルムを溶媒処理した際に、溶媒がフィルム内部に過剰に浸透するのを抑制し、ケミカルクラックや外部ヘイズの過剰な増大を抑制し得るからである。
光学フィルムに含まれる残留溶媒の定性及び定量は、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより行うことができる。即ち、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーでは、試料を容器に封入して加熱し、容器中に揮発成分が充満した状態で速やかに容器中のガスをガスクロマトグラフに注入し、質量分析を行って化合物の同定を行いながら揮発成分の定量を行うものである。揮発成分の定量は、濃度が既知の試料を用いて検量線を予め作成しておき、測定で得られた揮発成分のピーク面積と検量線とを照合して行うことができる。具体的な測定装置や測定条件は、後述する実施例と同様である。
光学フィルムに含まれる残留溶媒量は、前述したシクロオレフィン系樹脂の合成時の脱溶媒時の乾燥条件や;光学フィルムの製造時の膜状物の乾燥条件(後述する(1-3)の工程での乾燥条件)によって調整され得る。光学フィルムに含まれる残留溶媒量を一定以上とするためには、シクロオレフィン系樹脂の合成における脱溶媒時の乾燥温度を低くしたり;光学フィルムの製造における後述の(1-3)の工程での乾燥温度を低くしたりすればよい。
光学フィルムは、面内遅相軸を有することが好ましい。面内遅相軸を有する光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂フィルムを延伸して得られる。つまり、面内遅相軸の方向は、最大延伸方向と平行であり得る。シクロオレフィン系樹脂フィルムを延伸して得られる光学フィルムの表面には、脆弱層が形成され易い。脆弱層は、衝撃に弱く、剥がれやすいので、それを有する光学フィルムは偏光子との接着性が得られ難い。そのような脆弱層を有する光学フィルムの耐衝撃性や引き裂き強度を高めるためには、溶媒処理が必要となる。そのような溶媒処理が必要な光学フィルムにおいて、Mc/Msを1未満とし、且つ残留溶媒量を一定以上とすることが特に有効である。
面内遅相軸とは、フィルムの面内において屈折率が最大となる軸をいう。光学フィルムの面内遅相軸は、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)により確認することができる。
(位相差値)
光学フィルムは、その用途に応じて種々の位相差値をとり得る。例えば、光学フィルムが、VAモードやIPSモードの液晶表示装置の光学フィルムとして用いられる場合、光学フィルムの測定波長590nm、23℃55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthは、例えば下記関係を満たし得る。
0nm≦Ro≦300nm
−200nm≦Rth≦200nm
光学フィルムの面内方向の位相差Roは、50≦Ro≦250nmを満たすことがより好ましく、50nm≦Ro≦200nmを満たすことがさらに好ましい。光学フィルムの厚み方向の位相差Rthは、−150nm≦Rth≦150nmを満たすことがより好ましく、−120nm≦Rth≦120nmを満たすことがさらに好ましい。
光学フィルムのRo及びRthは、それぞれ下記式で定義される。
式(2a):Ro=(nx−ny)×d
式(2b):Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、
nxは、光学フィルムの面内遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、光学フィルムの面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、光学フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
dは、光学フィルムの厚み(nm)を表す。)
光学フィルムのRo及びRthの測定は、以下の方法で行うことができる。
1)光学フィルムを23℃55%RHの環境下で24時間調湿する。この光学フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計で測定し、厚みdを市販のマイクロメーターを用いて測定する。
2)調湿後の光学フィルムの、測定波長590nmにおけるリターデーションRo及びRthを、それぞれ自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃55%RHの環境下で測定する。具体的には、
i)フィルム面の法線方向に平行に測定波長590nmの光を入射させたときのRを、アクソスキャンにて測定する。
ii)さらに、アクソスキャンにより、試料片の面内遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、試料片の表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときの位相差R(θ)を測定した。位相差R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で10°毎に6点行う。試料片の面内遅相軸は、アクソスキャンにより確認する。
iii)測定されたRo及びR(θ)と、前述の平均屈折率と厚みとから、アクソスキャンがnx、ny及びnzを算出し、上記式(2b)に基づいて測定波長590nmでのRthを算出する。
(厚み)
光学フィルムの厚みは、求められるRoとRthの範囲にもよるが、例えば10〜200μmであり、10〜100μmであることが好ましく、15〜60μmであることがより好ましく、15〜30μmであることがさらに好ましい。
2.光学フィルムの製造方法
本発明の光学フィルムは、1)シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤と酸化防止剤の少なくとも一方とを含み、Mc/Msが0.01以上1未満を満たし、且つ残留溶媒量が100ppm以上2000ppm以下を満たすシクロオレフィン系樹脂フィルムを得る工程と、2)シクロオレフィン系樹脂フィルムの領域Sを構成する面を有機溶媒と接触させて溶媒処理する工程とを経て製造される。
2-1.1)の工程について
シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤と酸化防止剤の少なくとも一方とを含み、Mc/Msが0.01以上1未満を満たし、且つ残留溶媒量が100ppm以上2000ppm以下を満たすシクロオレフィン系樹脂フィルムを得る。シクロオレフィン系樹脂フィルムのMc/Msは、光学フィルムにおけるMc/Msと同様に定義される。即ち、シクロオレフィン系樹脂フィルムのMcは、シクロオレフィン系樹脂フィルムの領域C(中間層領域)における紫外線吸収剤及び酸化防止剤の合計含有量を示し;シクロオレフィン系樹脂フィルムにおけるMsは、シクロオレフィン系樹脂フィルムの溶媒処理が施される面を含む領域Sにおける紫外線吸収剤及び酸化防止剤の合計含有量を示す。
そのようなシクロオレフィン系樹脂フィルムは、具体的には、(1-1)前述のシクロオレフィン系樹脂と前述の紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを溶媒に溶解させてドープを得る工程と、(1-2)ドープを支持体上に流延した後、剥離して膜状物を得る工程と、(1-3)膜状物を乾燥させる工程とを経て製造され得る。前記(1-2)と前記(1-3)の間に、(1-4)膜状物を延伸する工程をさらに行うことが好ましい。
(1-1)の工程
少なくともシクロオレフィン系樹脂と紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを溶媒に溶解させてドープを得る。シクロオレフィン系樹脂と紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを溶媒に同時に混合及び溶解させてドープを得てもよいし、シクロオレフィン系樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶液と、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを溶媒に溶解させた添加剤溶液とを混合してドープを得てもよい。
ドープに用いられる溶媒は、光学フィルム中のMc/Msが前述の範囲となるように選択される。ドープに用いられる溶媒は、シクロオレフィン系樹脂の良溶媒を1種類以上含むことが好ましい。
シクロオレフィン系樹脂の良溶媒の例には、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びエチルシクロヘキサンのような脂環式炭化水素類;トルエンやキシレンのような芳香族炭化水素類;ジクロロメタンやクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等の脂肪族エーテル類;並びにペンタン、ヘキサン及びヘプタンのような脂肪族炭化水素類が含まれる。中でも、シクロオレフィン系樹脂を溶解させ易い点から、メチレンクロライドが好ましい。
ドープの調製に用いられる溶媒は、必要に応じてシクロオレフィン系樹脂の貧溶媒をさらに含んでもよい。貧溶媒の例には、メタノール、エタノール、n−ブタノール等の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコール、及びテトラヒドロフラン等が含まれる。
良溶媒と貧溶媒とを併用する場合、Mc/Msを前述の範囲に調整するためには、良溶媒(低沸点溶媒)の含有割合を多くすることが好ましい。溶媒除去時の条件(時間や温度)にもよるが、良溶媒(低沸点溶媒)の含有割合を多くすることで、乾燥前の膜状物の残留溶媒量を一定以下に調整しやすいからである。具体的には、良溶媒の含有比率を51〜100質量%(好ましくは70〜99質量%、より好ましくは80〜99質量%)とし、貧溶媒の含有比率を0〜49質量%(好ましくは1〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%)とすることが好ましい。
ドープの樹脂濃度は、金属支持体上に流延した後の乾燥負荷を低減する観点では高いほうが好ましいが、濾過時の負荷が増えて濾過精度が悪くなる。これらを両立するドープの樹脂濃度は、10〜35質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。
樹脂の溶解は、一般的な方法で行うことができる。加熱と加圧を組み合わせると、常圧における沸点以上に加熱できる。溶媒の常圧での沸点以上で且つ加圧下で溶媒が沸騰しない温度で加熱しながら攪拌溶解すると、塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、樹脂を貧溶媒と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶媒を添加して溶解してもよい。
加圧は、窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶媒の蒸気圧を発現させる方法によって行うことができる。加熱は、外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
樹脂を溶解させるときの加熱温度は、樹脂の溶解性の観点からは高いほうが好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。加熱温度は、45〜120℃であることが好ましく、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。
異物故障を抑制する観点等から、得られたドープを濾材で濾過することが好ましい。濾過したドープを脱泡した後、送液ポンプで流延ダイに供給する。
(1-2)の工程
得られたドープを流延ダイから吐出させて金属支持体上に流延し、得られた流延膜を乾燥及び剥離して膜状物を得る。
金属支持体は、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムでありうる。金属支持体の表面は、鏡面仕上げされていることが好ましい。
金属支持体の表面温度は、−50℃〜溶媒の沸点未満の温度で、高い方が膜状物の乾燥速度を高くすることができるので好ましいが、高過ぎると膜状物が発泡したり、平面性が劣化したりする。従って、金属支持体の表面温度は、0〜40℃であることが好ましく、5〜30℃であることがより好ましい。
金属支持体から剥離する際の膜状物の残留溶媒量(乾燥前の残留溶媒量)は、得られるシクロオレフィン系樹脂フィルムのMc/Msを前述の範囲とするためには、1〜10質量%であることが好ましく、5〜9質量%であることがより好ましい。
膜状物の残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
(Mは、膜状物の質量を示し、Nは、当該膜状物を120℃で1時間の加熱した後の質量を示す)
剥離して得られた膜状物は、必要に応じてさらに乾燥させてもよい。
(1-4)の工程
剥離して得られた膜状物を延伸して、位相差を調整することが好ましい。
延伸は、少なくとも一方向に行うことができる。延伸方向は、膜状物の長手方向(MD方向)、膜状物の長手方向と直交する幅手方向(TD方向)、及び膜状物の長手方向に対して斜め方向のいずれであってもよい。延伸は、逐次延伸でもよいし、同時延伸でもよい。
例えば、光学フィルムを後述のλ/4フィルムとして機能させる場合、斜め方向に延伸することが好ましい。斜め方向の延伸は、得られる光学フィルムの面内遅相軸が、膜状物の長手方向に対して20〜70°、好ましくは30〜60°、さらに好ましくは40〜50°となるように設定され得る。光学フィルムをVA用の位相差フィルムとして機能させる場合、膜状物の幅手方向(TD方向)に延伸することが好ましい。
延伸倍率は、求められる光学性能にもよるが、例えばλ/4フィルムやVA用の位相差フィルムとして機能する光学フィルムを得るためには、1.03〜2.00倍とし得る。延伸倍率は、(延伸後の積層物の延伸方向大きさ)/(延伸前の積層物の延伸方向大きさ)として定義される。
延伸温度は、シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度をTgとすると、Tg−30℃〜Tg+60℃であることが好ましく、Tg−10℃〜Tg+50℃であることがより好ましい。
延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量は、20〜100質量%であることが好ましい。延伸終了時の膜状物中の残留溶媒量は、10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
MD方向の延伸は、例えば複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用する方法で行うことができる。TD方向の延伸は、例えば膜状物の両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げる方法で行うことができる。これらは組み合わせてもよい。斜め方向の延伸は、斜め延伸装置で行うことが好ましい。斜め延伸装置としては、レールパターンを多様に変化させることにより、得られるシクロオレフィン系樹脂フィルムの配向角(面内遅相軸の長手方向に対する角度)を自在に設定でき、且つシクロオレフィン系樹脂フィルムの配向軸を幅手方向にわたって左右均等に高精度に配向させうるものであることが好ましい。
(1-3)の工程
前記(1-2)又は(1-4)で得られた膜状物を乾燥させて、シクロオレフィン系樹脂フィルムを得る。シクロオレフィン系樹脂フィルムの残留溶媒量は、主に本工程で調整され得る。従って、乾燥温度及び乾燥時間は、得られるシクロオレフィン系樹脂フィルムにおける残留溶媒量が前述の範囲となるように調整され得る。
乾燥温度は、概ね40〜250℃であることが好ましく、40〜160℃であることがより好ましい。急激な乾燥は、得られるシクロオレフィン系樹脂フィルムの平面性を損ねやすいことから、高温による乾燥は、膜状物の残留溶媒量が8質量%以下で行うことが好ましい。乾燥時間は、ドープに用いる溶媒種に応じて調整され得る。
膜状物の乾燥は、乾燥装置内に複数配置したロールに膜状物を交互に通し、膜状物を搬送させながら乾燥させるロール乾燥法や、クリップで膜状物の両端を把持して搬送させながら乾燥させるテンター乾燥法で行うことができる。
乾燥方法は、特に制限されず、熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができ、簡便さの点から、熱風で行うことが好ましい。
2-2.2)の工程について
得られたシクロオレフィン系樹脂フィルムの前述の領域Sを構成する面を、有機溶媒と接触させて溶媒処理する。それにより、溶媒処理によって粗化された表面を含む改質領域を有する光学フィルムを得る。
溶媒処理に用いられる有機溶媒は、シクロオレフィン系樹脂の良溶媒を含むことが好ましく、シクロオレフィン系樹脂の良溶媒と貧溶媒の混合物であることがより好ましい。
溶媒処理に用いられるシクロオレフィン系樹脂の良溶媒の例には、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン及びエチルシクロヘキサンのような脂環式炭化水素類;トルエンやキシレンのような芳香族炭化水素類;ジクロロメタンやクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等の脂肪族エーテル類;並びにペンタン、ヘキサン及びヘプタンのような脂肪族炭化水素類が含まれる。中でも、適度な溶媒処理を行いやすいことから、脂環式炭化水素類や脂肪族エーテル類が好ましい。
溶媒処理に用いられるシクロオレフィン系樹脂の貧溶媒の例には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンのようなケトン類;イソプロパノールやブタノールのような脂肪族アルコール類;並びに、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル及び酢酸ブチルのような脂肪族エステル類が含まれる。中でも、適度な溶媒処理を行いやすいことから、ケトン類が好ましい。
シクロオレフィン系樹脂フィルムを有機溶媒と接触させる方法は、有機溶媒を当該フィルム表面に流延法、マイヤーバーコート法、グラビアコート法、カンマコート法、ドクターブレード法、ダイコート法、ディップコート法及び噴霧法等で付与する方法でありうる。
次いで、有機溶媒と接触させたフィルム面を乾燥させる。乾燥は、自然乾燥であってもよいし、加熱乾燥であってもよい。加熱乾燥を行う場合、光学フィルムの変形を防ぐ観点から、シクロオレフィン系樹脂フィルムのガラス転移点以下の温度で乾燥することが好ましい。乾燥は、溶媒処理と同時に行ってもよいし、溶媒処理後に行ってもよい。
1)の工程と2)の工程の間、又は2)の工程の後に、必要に応じて3)シクロオレフィン系樹脂フィルムの表面を親水化処理する工程をさらに行ってもよい。
2-3.3)の工程について
親水化処理の例には、コロナ(放電)処理、プラズマ処理、フレーム処理、イトロ処理、グロー処理、オゾン処理、及びプライマー塗布処理が含まれる。中でも、生産性の観点から、コロナ処理及びプラズマ処理が好ましい。
コロナ放電処理とは、誘電体と絶縁された電極間に高周波・高電圧をかけてコロナを発生させ、誘電体と電極との間にシクロオレフィン系樹脂フィルムを通過させることで、シクロオレフィン系樹脂フィルムの表面を処理する方法である。それにより、シクロオレフィン系樹脂フィルムの表面の接着性が高められる。
電極の材質の例には、セラミックス及びアルミが含まれる。電極と誘電体との距離は、1〜5mmであることが好ましく、1〜3mmであることがより好ましい。ライン速度(移動速度)は、3〜70m/分程度が好ましく、3〜50m/分程度がより好ましい。
コロナ出力強度は、0.2kW〜3kWであることが好ましく、0.5kW〜1.5kWであることがより好ましい。コロナ出力強度が0.2kW未満であると、コロナ放電が不安定になり、シクロオレフィン系樹脂フィルムの表面に安定した接着力を付与しにくい場合がある。コロナ出力強度が2.0kWより大きいと、シクロオレフィン系樹脂フィルムが傷付き易くなる場合がある。コロナ放電処理における電子照射量は、100〜1000W/m/minとしうる。
プラズマ処理は、減圧下又は大気圧下で発生させた不活性ガスや酸素ガス等のガス雰囲気下で、プラズマ放電をすることにより、シクロオレフィン系樹脂フィルムの表面を活性化させる処理である。ロールを用いた搬送下で効率良く生産するためには、大気圧下でのプラズマ処理が好ましい。
プラズマ処理は、ガスの種類を種々変更することにより、シクロオレフィン系樹脂フィルムの表面を種々に改質することができる。そのため、シクロオレフィン系樹脂フィルムの表面を活性化するにあたり、適宜任意にガスの種類を選択することができる。ガスの種類の例には、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、アクリル酸、ヒドロキシアルキル、CF、CHF等のフッ素系化合物が含まれる。
プラズマ出力は、0.2kW〜3kWであることが好ましい。ライン速度(移動速度)は、3〜70m/分であることが好ましく、3〜50m/分であることがより好ましい。周波数は、3〜30kHであることが好ましく、5〜20kHであることがより好ましい。
本発明では、前述の1)の工程で得られたシクロオレフィン系樹脂フィルムは、その表面に紫外線吸収剤や酸化防止剤が偏在しており(Mc/Msが1未満であり)、且つ一定量以上の残留溶媒を含む。それにより、前述の2)の工程において、溶媒処理する際に、フィルム内部に溶媒が過剰に浸透するのを抑制できる。それにより、得られる光学フィルムの外部ヘイズの過剰な増大を抑制し、且つ光学フィルムと偏光子との接着性も高めることができる。
3.偏光板
本発明の偏光板は、偏光子と、2つの保護フィルムとを含み、保護フィルムの少なくとも一方を本発明の光学フィルムとし得る。本発明の光学フィルムが偏光子の一方の面にのみ配置される場合は、偏光子の他方の面には、他の光学フィルムが配置され得る。
3-1.偏光子
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素又は二色性染料で染色したフィルム(好ましくはさらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよいし;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の吸収軸は、通常、最大延伸方向と平行である。
例えば、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが用いられる。中でも、熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。
偏光子の厚みは、5〜30μmであることが好ましく、偏光板を薄型化するため等から、5〜20μmであることがより好ましい。
3-2.本発明の光学フィルム
本発明の光学フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面に配置され得る。本発明の光学フィルムの改質領域が設けられた面と偏光子とは、直接又は接着剤層を介して積層され得る。
本発明の光学フィルムがλ/4フィルムとして用いられる場合、本発明の光学フィルムの面内遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、20〜70°であることが好ましく、30〜60°であることがより好ましく、40〜50°であることがさらに好ましい。本発明の光学フィルムが、VA用の位相差フィルムとして用いられる場合、本発明の光学フィルムの面内遅相軸と偏光子の吸収軸とは略直交し得る。
3-3.他の光学フィルム
偏光子の他方の面には、必要に応じて他の光学フィルムが配置されてもよい。他の光学フィルムの例には、市販のセルロースアシレートフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC6UA、KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UE、KC4UE、KC4HR−1、KC4KR−1、KC4UA、KC6UA以上コニカミノルタオプト(株)製)等が含まれる。
他の光学フィルムの厚みは、特に限定はないが、10〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましく、20〜60μmであることが特に好ましい。
3-4.偏光板の製造方法
本発明の偏光板は、偏光子と、本発明の光学フィルムの改質領域が設けられた面とを、接着剤又は粘着剤を介して貼り合わせて得ることができる。
接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂やウレタン樹脂を主成分として含む水系接着剤や、エポキシ系樹脂等の光硬化性樹脂を主成分として含む光硬化型接着剤でありうる。粘着剤は、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン及びポリエーテル等をベースポリマーとして含むものでありうる。中でも、本発明の光学フィルムとの親和性が良く、吸水による歪みも生じにくいことから、水系接着剤が好ましい。
偏光子と本発明の光学フィルムの貼り合わせは、通常、ロールトゥロールで行うことができる。
本発明の光学フィルムは、溶媒処理時によるケミカルクラックが抑制されている。それにより、光学フィルムの改質領域が設けられた面と偏光子とを接着させたときに、偏光子との良好な接着性を得ることができる。
4.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。
図5は、液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。図5に示されるように、本発明の液晶表示装置20は、液晶セル30と、それを挟持する第1の偏光板40及び第2の偏光板50と、バックライト60とを含む。
液晶セル30の表示モードは、例えばTN(Twisted Nematic)、VA(Vistical Alignment)、又はIPS(In Plane Switching)等のいずれの表示モードであってよい。モバイル機器向けの液晶セルは、例えばIPSモードが好ましい。中・大型用途の液晶セルは、例えばVAモードが好ましい。
第1の偏光板40は、液晶セル30の視認側の面に配置されており、第1の偏光子41と、第1の偏光子41の液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルム43(F1)と、第1の偏光子41の液晶セル側の面に配置された保護フィルム45(F2)とを含む。
第2の偏光板50は、液晶セル30のバックライト側の面に配置されており、第2の偏光子51と、第2の偏光子51の液晶セル側の面に配置された保護フィルム53(F3)と、第2の偏光子51の液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルム55(F4)とを含む。
第1の偏光子41の吸収軸と第2の偏光子51の吸収軸とは直交していることが好ましい。
保護フィルム45(F2)は、本発明の光学フィルムとし得る。光学フィルムの改質領域45Aが設けられた面と第1の偏光子41とは、直接又は接着剤層(不図示)を介して積層されている。保護フィルム45(F2)の面内遅相軸と第1の偏光子41の吸収軸とは略直交し得る。保護フィルム43(F1)、53(F3)及び55(F4)は、例えば前述した他の光学フィルムとし得る。
図5では、保護フィルム45(F2)を本発明の光学フィルムとした例を示したが、これに限定されず、保護フィルム43(F1)、45(F2)、53(F3)及び55(F4)の少なくとも一つを本発明の光学フィルムとしてもよい。例えば、保護フィルム43(F1)を本発明の光学フィルムとし、λ/4フィルムとして機能させる場合、本発明の光学フィルムの面内遅相軸と第1の偏光子41の吸収軸とのなす角度は、前述の通り、40〜50°とし得る。保護フィルム45(F2)を本発明の光学フィルムとし、VA用の位相差フィルムとして機能させる場合、本発明の光学フィルムの面内遅相軸と第1の偏光子41の吸収軸とは略直交し得る。
保護フィルム45(F2)としての本発明の光学フィルムは、紫外線吸収剤や酸化防止剤を含み、且つ偏光子との接着性が改善されている。さらに、本発明の光学フィルムは、外部ヘイズが一定以下に低減されている。従って、本発明の光学フィルムを用いた液晶表示装置は、良好な耐久性を有しつつ、良好なコントラストを有する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.シクロオレフィン系樹脂フィルムの材料
1)シクロオレフィン系樹脂
(合成例1)
シクロオレフィン単量体として一般式(A−1)の例示化合物11を100質量部と、分子量調節剤である1−ヘキセンを3.6質量部と、トルエンを200質量部とを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これに、重合触媒としてトリエチルアルミニウム((C253Al)1.5モル/lのトルエン溶液を0.17質量部と、t−ブタノ−ル及びメタノールで変性した六塩化タングステン(WCl6)を含み、t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35:0.3:1(モル比)であるWCl6溶液(濃度0.05モル/l)を1.0質量部とを加え、80℃で3時間加熱攪拌して開環重合反応させて、重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は96%であった。
得られた重合体溶液の4000質量部をオートクレーブに入れ、この重合体溶液にRuHCl(CO)[P(C6533を0.48質量部加え、水素ガス圧を10MPa、反応温度160℃の条件で3時間加熱攪拌して、水素添加反応を行った。
得られた反応溶液を冷却した後、水素ガスを放圧し、この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収した。回収した凝固物を乾燥させて、シクロオレフィン系樹脂1を得た。
(合成例2〜4)
水素化反応液を濾別洗浄した後の減圧乾燥温度を、表1に示されるように変更した以外は合成例1と同様にしてシクロオレフィン系樹脂2〜4を得た。
Figure 0006728651
2)紫外線吸収剤
紫外線吸収剤A:Tinuvin928(2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール)(下記式参照)
Figure 0006728651
紫外線吸収剤B:N,N',N''‐トリ‐m‐トルイル‐1,3,5‐トリアジン‐2,4,6‐トリアミン
紫外線吸収剤C:CHIMASSORB 81(下記式参照)
Figure 0006728651
3)酸化防止剤
酸化防止剤:IRGANOX 1010(下記式参照)
Figure 0006728651
2.シクロオレフィン系樹脂フィルムの作製
<シクロオレフィン系樹脂フィルム1の作製>
(微粒子添加液の調製)
下記成分を、ディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。さらに、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを、日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を得た。
微粒子(アエロジルR812:日本アエロジル株式会社製、一次平均粒子径:7nm、見掛け比重50g/L):4質量部
メチレンクロライド:96質量部
(ドープ液の調製)
次いで、下記成分を加熱しながら十分に溶解させて、ドープ液を得た。
合成例1で得たシクロオレフィン系樹脂1:100質量部
紫外線吸収剤A:8質量部
IRGANOX1010(酸化防止剤):0.2質量部
メチレンクロライド:210質量部
微粒子添加液:3質量部
(溶液流延製膜法によるシクロオレフィン系樹脂フィルムの作製)
得られたドープ液を40℃に保ち、40℃に保温された無端の金属支持体であるステンレスベルト上に均一に流延した。この流延膜を、残留溶媒量が80質量%となるまで乾燥させた後、ステンレスベルト上から剥離して膜状物を得た。得られた膜状物を、残留溶剤量が5質量%となるまで40℃で乾燥させた後、幅方向に延伸倍率1.5倍で延伸した。得られた膜状物を、多数のロールで搬送させながら120℃でさらに乾燥させて、厚み20μm、幅1.3mのシクロオレフィン系樹脂フィルム1を得た。
<シクロオレフィン系樹脂フィルム2〜5の作製>
シクロオレフィン系樹脂フィルム1の作製において、ドープの溶媒組成を表2に示されるように変更した以外は同様にしてシクロオレフィン系樹脂フィルム2〜5を得た。
<シクロオレフィン系樹脂フィルム6〜11の作製>
シクロオレフィン系樹脂フィルム3の作製において、ドープの溶媒組成と延伸後の乾燥温度を表2に示されるように変更した以外は同様にしてシクロオレフィン系樹脂フィルム6〜11を得た。
<シクロオレフィン系樹脂フィルム12〜16の作製>
シクロオレフィン系樹脂フィルム3の作製において、ドープに含まれる紫外線吸収剤の含有量を表2に示されるように変更した以外は同様にしてシクロオレフィン系樹脂フィルム12〜16を得た。
<シクロオレフィン系樹脂フィルム17の作製>
シクロオレフィン系樹脂フィルム6の作製において、ドープに含まれる紫外線吸収剤の含有量を表2に示されるように変更した以外は同様にしてシクロオレフィン系樹脂フィルム17を得た。
<シクロオレフィン系樹脂フィルム18〜20の作製>
シクロオレフィン系樹脂フィルム15の作製において、ドープに含まれるシクロオレフィン系樹脂の種類を表2に示されるように変更した以外は同様にしてシクロオレフィン系樹脂フィルム18〜20を得た。
<シクロオレフィン系樹脂フィルム21〜23の作製>
シクロオレフィン系樹脂フィルム2の作製において、ドープに含まれる紫外線吸収剤の種類と含有量を表2に示されるように変更した以外は同様にしてシクロオレフィン系樹脂フィルム21〜23を得た。
<シクロオレフィン系樹脂フィルム24の作製>
(ペレットの作製)
乾燥させたシクロオレフィン系樹脂1を100質量部と、紫外線吸収剤A:3質量部と、IRGANOX1010(酸化防止剤):0.2質量部とを、二軸押出機により混合した。得られた混合物を、押出機に接続されたホッパーへ投入し、単軸押出機で溶融押出してペレットを得た。
次いで、得られたペレットを、目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型50mm単軸押出機(スクリュー有効長さLとスクリュー径Dとの比L/D=32)に装填されたホッパーへ投入し、押出機出口温度280℃、押出機のギヤポンプの回転数10rpmで溶融樹脂をダイに供給した。そして、溶融樹脂を、280℃でダイから吐出させ、150℃に温度調整された冷却ロールにキャストしてシクロオレフィン系樹脂フィルム24を得た。エアギャップ量を50mmとした。
<シクロオレフィン系樹脂フィルム25の作製>
シクロオレフィン系樹脂フィルム21の作製において、延伸を行わず、且つ貧溶媒の種類を表2に示されるものに変更した以外は同様にしてシクロオレフィン系樹脂フィルム25を得た。
<シクロオレフィン系樹脂フィルム26の作製>
シクロオレフィン系樹脂フィルム2の作製において、紫外線吸収剤を添加せず、シクロオレフィン系樹脂1の添加量を108質量部とした以外は同様にしてシクロオレフィン系樹脂フィルム26を得た。
得られたシクロオレフィン系樹脂フィルムの、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の含有分布(Mc/Ms)及び残留溶媒量を、それぞれ以下の方法で測定した。
(Mc/Ms)
得られたシクロオレフィン系樹脂フィルムのMc/Msを、以下の手順で測定した。即ち、
1)シクロオレフィン系樹脂フィルムをミクロトームで切断し、シクロオレフィン系樹脂フィルムの表面に垂直な切断面を得た。
2)得られたシクロオレフィン系樹脂フィルムの切断面における測定対象物の面分布像(IRイメージ像)を、Thermo Fisher Scientific社製のNicolet 380を用いてATR法にてよって測定した。
(測定条件)
測定領域:30μm×30μm(シクロオレフィン系樹脂フィルムの表面と内部を含む領域)
3)上記測定領域について、測定対象となる紫外線吸収剤又は酸化防止剤のピーク(測定対象ピーク)を抽出し、その吸光度から含有量を数値化し、可視化したIRイメージ像を得た。
また、上記測定領域において、シクロオレフィン系樹脂フィルムの一方の面から厚み方向に2μmの位置までの領域における測定対象ピークの吸光度の積算値As1、シクロオレフィン系樹脂フィルムの他方の面から厚み方向に2μmの位置までの領域における測定対象ピークの吸光度の積算値As2、及びシクロオレフィン系樹脂フィルムの厚み方向の中心から厚み方向に±2μmの位置までの領域における測定対象ピークの吸光度の積算値Acを測定し、それらの比Ac/As1、Ac/As2をそれぞれ算出した。これらの比のうち、小さいほうの値を「Mc/Ms」とした。
(残留溶媒の定性及び定量)
得られたシクロオレフィン系樹脂フィルム中の残留溶媒の定性及び定量は、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより行った。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーでは、試料を容器に封入して加熱し、容器中に揮発成分が充満した状態で速やかに容器中のガスをガスクロマトグラフに注入し、質量分析を行って化合物の同定を行いながら揮発成分の定量を行った。揮発成分の定量は、濃度が既知の試料を用いて検量線を予め作成しておき、測定で得られた揮発成分のピーク面積と検量線とを照合して行った。
(測定条件)
ヘッドスペース装置:HP7694 Head Space Sampler(ヒューレットパッカード社製)
温度条件:トランスファーライン200℃、ループ温度200℃
サンプル量:0.8g/20mlバイアル
GC:HP5890(ヒューレットパッカード社製)
MS:HP5971(ヒューレットパッカード社製)
カラム:HP−624(30m×内径0.25mm)
オーブン温度:初期温度40℃(保持時間3分)、昇温速度10℃/分、到達温度200℃(保持時間5分)
測定モード:SIM(セレクトイオンモニター)モード
シクロオレフィン系樹脂フィルム1〜26の製造条件と評価結果を、表2に示す。表中、MCはメチレンクロライドを示し、Etはエタノールを示し、Meはメタノールを示す。
Figure 0006728651
シクロオレフィン系樹脂フィルム4、5及び24以外のシクロオレフィン系樹脂フィルムは、いずれもIRイメージ像からフィルムの両面または片面のいずれかに紫外線吸収剤又は酸化防止剤が偏在していることが確認された。そして、表2に示されるように、シクロオレフィン系樹脂フィルムの製造工程におけるドープの溶媒組成と乾燥前の膜状物の残留溶媒量を調整することで、得られるシクロオレフィン系樹脂フィルムのMc/Msを1未満に調整できることが示される(シクロオレフィン系樹脂フィルム1〜5の対比)。具体的には、沸点が低いメチレンクロライドの含有比率が多くなると、乾燥前の膜状物の残留溶媒量が少なくなりやすく、シクロオレフィン系樹脂フィルムのMc/Msを一定以下としやすいことが示される。
シクロオレフィン系樹脂フィルムの製造工程における膜状物の乾燥温度を低くすることで、得られるシクロオレフィン系樹脂フィルムの残留溶媒量を一定以上とし得ることが示される(シクロオレフィン系樹脂フィルム6〜11の対比)。
シクロオレフィン系樹脂の合成条件(減圧乾燥温度)を低くすることで、得られるシクロオレフィン系樹脂フィルムの残留トルエン量を一定以上とし得ることが示される(シクロオレフィン系樹脂フィルム15及び18〜20の対比)。
3.光学フィルムの作製
1)処理液の調製
<処理液1の調製>
シクロペンチルメチルエーテル(CPME)とアセトンとを、シクロペンチルメチルエーテル(CPME):アセトン=3:7(体積比)で混合して処理液1を得た。
<処理液2の調製>
酢酸n−ブチルと2−プロパノールとを、酢酸n−ブチル:2−プロパノール=3:7(体積比)で混合して処理液2を得た。
<処理液3の調製>
トルエンとメチルエチルケトンとを、トルエン:メチルエチルケトン=1:9(体積比)で混合して処理液3を得た。
<処理液4の調製>
トルエンとメチルエチルケトンとを、トルエン:メチルエチルケトン=3:7(体積比)で混合して処理液4を得た。
2)光学フィルムの作製
<光学フィルム1〜26の作製>
表3に示されるシクロオレフィン系樹脂フィルムの領域Sを構成する面(表2のMc/Msの値を有する面)に、電子照射量500W/m/minの条件でコロナ放電処理を施した。得られたフィルムのコロナ処理面に、上記作製した処理液1をバーコーターにて塗布した後、30℃で2分間乾燥させて溶媒処理を行った。それにより、厚み800nmの改質領域を有する光学フィルム1〜26を得た。
<光学フィルム27〜29の作製>
光学フィルム21の作製において、溶媒処理に用いる処理液を、表3に示される処理液に変更した以外は同様にして光学フィルム27〜29を得た。
<光学フィルム30の作製>
光学フィルム21の作製において、溶媒処理を行わなかった以外は同様にして光学フィルム30を得た。
得られた光学フィルムの、偏光子との接着性及びヘイズ(内部ヘイズ、外部ヘイズ)を、以下の方法で評価した。
(偏光子との接着性)
1)偏光子の作製
厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させた。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5gおよび水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、さらにヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5gおよび水100gからなる45℃の水溶液に浸漬した。得られたフィルムを、延伸温度55℃、延伸倍率5倍の条件で一軸延伸した。この一軸延伸フィルムを、水洗した後、乾燥させて、厚さ7μmの偏光子を得た。
2)評価用サンプルの作製
得られた光学フィルムの改質領域が形成された面に、水系接着剤であるポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3質量%水溶液を塗布した後、上記作製した偏光子を貼り合わせた。貼り合わせは、光学フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とが直交するように行った。得られた積層物を60℃で5分間乾燥させて、評価用サンプルを得た。
得られた評価用サンプルを、23℃で相対湿度55%の環境下で24時間放置した。その後、評価用サンプルの偏光子と光学フィルムとの接着面を手で引き剥がしたときの材料破壊の発生の有無、及び剥離の程度を目視観察して、以下の基準で接着性を評価した。△以上であれば実用上問題ないレベルと判断した。
◎:剥がれない
○:光学フィルムと偏光子との間の接着力に問題はなく、光学フィルムを剥がそうとすると、光学フィルムと偏光子の少なくとも一方の端部の一部に材料(基材)破壊が生じる
△:光学フィルムと偏光子との間の接着力に問題はなく、光学フィルムを剥がそうとすると、光学フィルムと偏光子の少なくとも一方の端部の一部に軽度の材料(基材)破壊が生じる
×:光学フィルムと偏光子との界面が剥がれる
(ヘイズ)
1)全ヘイズの測定
光学フィルムを、23℃55%RHの環境にて5時間以上調湿した後、得られた光学フィルムの全ヘイズを、ヘイズメーター(型式NDH 2000、日本電色(株)製)により測定した。
2)内部ヘイズの測定
i)まず、光学フィルムを含まないブランクヘイズ1を以下の手順で測定した。即ち、洗浄したスライドガラス上にグリセリンを一滴(0.05ml)滴下した。このとき液滴に気泡が入らないようにした。次いで、滴下したグリセリン上にカバーガラスを乗せた。カバーガラスは押さえなくてもグリセリンは広がった。得られた積層物をヘイズメーター(型式NDH 2000、日本電色(株)製)にセットし、ブランクヘイズ1を測定した。
ii)次に、光学フィルムを含めたヘイズ2を以下の手順で測定した。
スライドガラス上にグリセリン(0.05ml)を滴下した(図4(a)参照)。次いで、その上に上記調湿した光学フィルムを気泡が入らないように乗せた(図4(b)参照)。次いで、光学フィルム上にグリセリン(0.05ml)を滴下した(図4(c)参照)。次いで、その上にカバーガラスを載せた(図4(d)参照)。上記のように作製した積層体(上から、カバーガラス/グリセリン/光学フィルム/グリセリン/スライドガラス)を前述のヘイズメータ−にセットし、ヘイズ2を測定した。
iii)前記i)及びii)で測定した値を下記式に当てはめて、光学フィルムの内部ヘイズを算出した。
光学フィルムの内部ヘイズ=(ヘイズ2)−(ヘイズ1)
上記測定において、ガラス及びグリセリンは、それぞれ以下のものを使用した。
ガラス:MICRO SLIDE GLASS S9213 MATSUNAMI
グリセリン: 関東化学製 鹿特級(純度>99.0%) 屈折率1.47
3)外部ヘイズの測定
前記1)で測定した全ヘイズと前記2)で算出した内部ヘイズとを下記式に当てはめて、外部ヘイズを算出した。
光学フィルムの外部ヘイズ=(全ヘイズ)−(内部ヘイズ)
光学フィルム1〜30の評価結果を、表3に示す。
Figure 0006728651
表3に示されるように、紫外線吸収剤と酸化防止剤を表面に偏在させた(Mc/Ms=1未満とした)光学フィルムは、紫外線吸収剤と酸化防止剤を表面に偏在させなかった(Mc/Ms=1とした)光学フィルムよりも、偏光子との接着性が高いことが示される(光学フィルム1〜5の対比)。
これに対して、メルト製膜した光学フィルムは、紫外線吸収剤と酸化防止剤が表面に偏在しておらず(Mc/Ms=1)、偏光子との接着性が低いことがわかる(光学フィルム24と15との対比)。同様に、溶媒処理を施さなかった光学フィルムも偏光子との接着性が低いことが示される(光学フィルム29と15との対比)。また、残留溶媒量が多すぎるシクロオレフィン系樹脂フィルム11を用いた光学フィルム11は、溶媒処理の際に、(処理液の)溶媒がほとんど浸透しにくいため、偏光子との接着性が低下したと考えられる。
4.液晶表示装置の作製
<液晶表示装置1の作製>
(第1の偏光板の作製)
偏光子として、前述の「偏光子との接着性」の評価に用いた偏光子を準備した。保護フィルムF1として、コニカミノルタタック KC6UA(コニカミノルタ社製)を準備した。保護フィルムF2として、上記作製した光学フィルム1を準備した。
そして、KC6UAの表面を以下の条件でアルカリ鹸化処理した。具体的には、KC6UAを、1.5N水酸化ナトリウム水溶液に55℃にて2分間浸漬した後、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1N硫酸を用いて中和した。得られたKC6UAを再度、室温の水洗浴槽中で洗浄した後、100℃の温風で乾燥させた。
アルカリ鹸化処理面したKC6UA、偏光子及び上記作製した光学フィルム1を、水系接着剤であるポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3質量%水溶液を介して貼り合わせて、KC6UA/偏光子/光学フィルム1の積層物を得た。貼り合わせは、偏光子の一方の面がKC6UAの鹸化処理面と接し、他方の面が光学フィルム1の改質領域を有する面と接するように行い、且つ光学フィルム1の面内遅相軸と偏光子の吸収軸とが直交するように行った。得られた積層物を乾燥させて偏光板1(第1の偏光板)を得た。
(液晶表示装置の作製)
液晶表示装置として、VA方式の液晶表示装置であるシャープ製液晶テレビ「AQ−32AD5」を準備した。この装置から視認側の偏光板を剥がしとり、液晶セルの視認側の面に上記作製した偏光板1を、粘着剤を介して貼り付けて液晶表示装置を得た。
偏光板1の貼り付けは、光学フィルム1(保護フィルムF2)が液晶セル側となり、偏光子の吸収軸と光学フィルム1の遅相軸とが直交し、且つ液晶セルから剥がしとる前の視認側偏光板の吸収軸と一致するように行った。
<液晶表示装置2〜30の作製>
液晶表示装置1の作製において、偏光板の保護フィルムF2の種類を、表4に示されるように変更した以外は同様にして液晶表示装置2〜30を得た。
<液晶表示装置31〜32の作製>
液晶表示装置1の作製において、偏光板の保護フィルムF1とF2の種類を、表4に示されるように変更した以外は同様にして液晶表示装置31〜32を得た。
得られた液晶表示装置の正面コントラストを、以下の方法で測定した。
(正面コントラスト)
得られた液晶表示装置を、23℃55%RHの環境下で、バックライトを1週間連続点灯させた後、正面コントラストの測定を行った。正面コントラストの測定は、コニカミノルタセンシング社製の装置「CS−2000」を用い、波長550nmの光を照射して、液晶表示装置の白表示状態、黒表示状態での輝度をそれぞれ液晶表示装置の表示画面の法線方向から測定した。そして、得られた値を下記式に当てはめて、正面コントラスト(CR)を算出した。
正面コントラスト(CR)=(白表示状態での輝度)−(黒表示状態での輝度)
正面コントラストの値を、以下の基準に基づいて評価した。△以上を良好と判断した。
◎:900≦CR
○:850≦CR<900
△:800≦CR<850
×:800>CR
液晶表示装置1〜32の評価結果を表4に示す。
Figure 0006728651
表4に示されるように、Mc/Msを1未満とし、且つ残留溶媒量を一定以上とした光学フィルム1〜3、7〜10、12〜16、18〜23、25〜28、31及び32は、正面コントラストが良好であることが示される。
これに対し、Mc/Msが1以上である光学フィルム4、5及び24、残留溶媒量が少なすぎる光学フィルム6、外部ヘイズ比が大きすぎる光学フィルム29、並びに溶媒処理を行わなかった光学フィルム30は、いずれも接着不良や外部ヘイズの過剰な増大に起因するコントラストムラが発生することが示される。
<液晶表示装置33の作製>
液晶表示装置として、IPS方式の液晶表示装置であるPanasonic製液晶テレビ「VIERA TH−26LX60」を準備した。この装置から視認側の偏光板を剥がしとり、液晶セルの視認側の面に上記作製した偏光板21を粘着剤を介して貼り付けて液晶表示装置33を得た。
偏光板21の貼り付けは、光学フィルム21(保護フィルムF2)が液晶セル側となり、偏光子の吸収軸と光学フィルム21の遅相軸とが直交し、且つ液晶セルから剥がしとる前の視認側偏光板の吸収軸と一致するように行った。
<液晶表示装置34〜36の作製>
液晶表示装置32の作製において、偏光板の保護フィルムF1とF2の種類を、表5に示されるように変更した以外は同様にして液晶表示装置34〜36を得た。
得られた液晶表示装置の正面コントラストを前述の方法で評価した。液晶表示装置33〜36の評価結果を表5に示す。
Figure 0006728651
表5に示されるように、光学フィルム中のMc/Msを1未満とし、且つ残留溶媒量を一定以上とした光学フィルム21を用いた液晶表示装置33及び34は、コントラストが良好であることが示される。
これに対して、メルト製膜により得られ、Mc/Ms=1であり、且つ残留溶媒を含まない光学フィルム24を用いた液晶表示装置35及び36は、コントラストが低いことが示される。
本発明によれば、良好な耐久性を有し、且つ液晶表示装置のコントラストの低下を抑制し得る光学フィルムを提供できる。
10 光学フィルム
10A、45A 改質領域
20 液晶表示装置
30 液晶セル
40 第1の偏光板
41 第1の偏光子
43 保護フィルム(F1)
45 保護フィルム(F2)
50 第2の偏光板
51 第2の偏光子
53 保護フィルム(F3)
55 保護フィルム(F4)
60 バックライト

Claims (8)

  1. 粗化された表面を含む改質領域を有する光学フィルムであって、
    前記光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを含み、
    前記光学フィルムの表面に垂直な切断面において、前記粗化された表面から厚み方向に0.1tの位置までの領域Sにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMsとし、前記光学フィルムの中心から厚み方向に±0.1tの位置までの領域Cにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMcとしたとき(但し、前記光学フィルムの厚みをtとする)、Mc/Msが0.01以上1未満であり、
    前記光学フィルム、100ppm以上2000ppm以下の残留溶媒を含み、且つ前記残留溶媒として100〜300ppmのトルエンを含み、
    内部ヘイズ:外部ヘイズ=1:15〜1:1000である、
    光学フィルム。
  2. 前記外部ヘイズが、0.1〜5%である、
    請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記紫外線吸収剤の含有量は、前記シクロオレフィン系樹脂に対して0.5〜5質量%である、
    請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. 前記Mc/Msが0.7以下である、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムと、その改質領域が設けられた面に配置された偏光子とを含む、偏光板。
  6. 第1の偏光板と、液晶セルと、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に含む液晶表示装置であって、
    前記第1の偏光板は、第1の偏光子と、前記第1の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF1と、前記第1の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF2とを含み、
    前記第2の偏光板は、第2の偏光子と、前記第2の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF3と、前記第2の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF4とを含み、
    前記保護フィルムF1及びF2の少なくとも一方が、請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムであり、且つ前記第1の偏光子が、前記光学フィルムの改質領域が設けられた面に配置されているか、及び/又は
    前記保護フィルムF3及びF4の少なくとも一方が、請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムであり、且つ前記第2の偏光子が、前記光学フィルムの改質領域が設けられた面に配置されている、
    液晶表示装置。
  7. 前記保護フィルムF1及びF2の少なくとも一方が、請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムであり、且つ前記第1の偏光子が、前記光学フィルムの改質領域が設けられた面に配置されている、
    請求項に記載の液晶表示装置。
  8. シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを含むフィルムであって、その表面に垂直な切断面において、少なくとも一方の表面から厚み方向に0.1tの位置までの領域Sにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMs、前記フィルムの中心から厚み方向に±0.1tの位置までの領域Cにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMcとしたとき(但し、前記フィルムの厚みをtとする)、Mc/Msが0.01以上1未満であり、00ppm以上2000ppm以下の残留溶媒を含み、且つ前記残留溶媒として100〜300ppmのトルエンを含むシクロオレフィン系樹脂フィルムを得る工程と、
    前記シクロオレフィン系樹脂フィルムの前記領域Sを構成する面に、有機溶媒と接触させて溶媒処理する工程とを含む、光学フィルムの製造方法。
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