JP5905440B2 - シクロオレフィン系樹脂フィルム、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シクロオレフィン系樹脂フィルム、該シクロオレフィン系樹脂フィルムを用いた偏光板、および液晶表示装置に関する。特に、硬度が高く、ヘイズが小さく、さらに、偏光板に組み込んだ時に、高温高湿環境下においても耐久性に優れるシクロオレフィン系樹脂フィルム、および、該フィルムを含む偏光板、および液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。テレビ等の高品位の画像が要求される市場に加えて、携帯電話やタブレット型PC等いわゆるモバイル用途の市場が拡大するにつれて、薄型化のニーズが一段と高まっている。
液晶表示装置の基本的な構成は液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。前記偏光板は一定方向の偏波面の光だけを通す役割を担っており、偏光板の性能によって液晶表示装置の性能が大きく左右される。偏光板は、一般にヨウ素や染料を吸着配向させたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子と、その偏光子の表裏両側に透明な保護フィルムを貼り合わせた構成となっている。
液晶表示装置に用いられる、視認者側の偏光板の表面については、耐擦傷、反射防止、帯電防止等の機能を付与することが求められる。耐擦傷性を向上させる方法としては、活性エネルギー線の照射により硬化させた層(以下活性エネルギー線硬化層と称す)等の硬度の高い層を偏光板の保護フィルム上に設ける方法が一般的である。また、偏光板保護フィルムそのものの表面硬度を高めることも有効であることが知られており、特許文献1には、表面硬度の高いセルロースアシレートフィルムを偏光板保護フィルムとして用いる方法が開示されている。
一方、シクロオレフィン系フィルムはセルロースアシレートと同様に透明性が高く、偏光板保護フィルムとして好ましい特性を有しているが、視認者側の偏光板の表面に用いた場合耐擦傷性が低下するという問題がある。これに対して、特許文献2には、シクロオレフィン系フィルム上に、有機−無機シラン粒子と多官能(メタ)アクリレートを用いたハードコート層を設けることにより、高硬度のフィルムを得る方法が開示されている。
特開2005−206721号公報 特開2008−184611号公報
しかしながら、特許文献1に記載の添加剤はシクロオレフィン系樹脂に適用した場合、硬度を高める効果が不足であり、また特許文献2の方法で十分な硬度を得るにはハードコート層を厚くする必要があり、生産性、費用の点で改良が必要であることがわかった。
また、本願発明者が検討したところ、硬度を向上させる添加剤をシクロオレフィン系樹脂に配合すると、硬度は向上するが、偏光板に組み込んだ時に、高湿度下での耐久性(偏光板耐久性)が悪化する場合があることが分かった。
本発明の目的は、上記課題を解決することを目的とするものであって、透明度が高い、すなわち、ヘイズが小さいシクロオレフィン系樹脂を用いた、薄くて硬度の高いシクロオレフィン系樹脂フィルムであって、偏光板に組み込んだ時に、高温高湿度下においても耐久性(偏光板耐久性)に優れたシクロオレフィン系樹脂フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決することを目的として鋭意研究したところ、少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環の比率が90以上300以下の化合物であって、一般式(2)で表される化合物を少なくとも一つの極性基を有するシクロオレフィン系樹脂フィルムに添加することにより、シクロオレフィン系樹脂フィルムの硬度を大幅に向上できることを見出した。具体的には、下記手段<1>により、好ましくは、<2>〜<9>により上記課題は解決された。
<1>少なくとも一つの極性基を有するシクロオレフィン系樹脂と、少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が90以上300以下の化合物であって、一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種類含有し、膜厚が5μm以上35μm以下である、シクロオレフィン系樹脂フィルム。
一般式(2)
Figure 0005905440
(一般式(2)中、R1、R3およびR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数6〜20の芳香族基を表す。)
<2>JIS Z 2251の方法に準じて押し込み荷重50mNで、同じ押し込み位置においてヌープ圧子を等角度回転させて測定される全方位のヌープ硬度の最小値が160N/mm2以上260N/m2以下である、<1>に記載のシクロオレフィン系樹脂フィルム。
<3>前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である、<1>または<2>に記載のシクロオレフィン系樹脂フィルム。
一般式(3)
Figure 0005905440
(一般式(3)中、L1、L2およびL3は、それぞれ独立に単結合または炭素数1以上の2価の連結基を表し、Ar1、Ar3およびAr5は、それぞれ独立に炭素数6〜20のアリール基を表す。ただし、L1、L2およびL3のうちの少なくとも一つは2価の連結基である。)
<4>前記少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が90以上300以下の化合物が芳香環を3個有する、<1>〜<3>のいずれかに記載のシクロオレフィン系樹脂フィルム。
<5>前記少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が90以上300以下の化合物の分子量が1200以下である、<1>〜<4>に記載のシクロオレフィン系樹脂フィルム。
<6>偏光板保護フィルムとして用いることを特徴とする、<1>〜<5>のいずれかに記載のシクロオレフィン系樹脂フィルム。
<7><1>〜<6>のいずれかに記載のシクロオレフィン系樹脂フィルムと偏光子とを有する偏光板。
<8><7>に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
<9>溶液製膜で製造することを含む、<1>〜<6>のいずれかに記載のシクロオレフィン系樹脂フィルムの製造方法。
本発明によれば、ヘイズが低く、硬度が高く、偏光板に組み込んだ時に、高温高湿の環境下に置かれても劣化しにくい、シクロオレフィン系樹脂フィルムを提供することができる。
本発明の偏光板と液晶表示装置の位置関係を示す一例である。 本発明の液晶表示装置の例を示す一例である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
本明細書において、アルキル基等の「基」は、特に述べない限り、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。さらに、炭素数が限定されている基の場合、該炭素数は、置換基が有する炭素数を含めた数を意味している。
[シクロオレフィン系樹脂フィルム]
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルム(以下、「本発明のフィルム」ということがある)は、少なくとも一つの極性基を有するシクロオレフィン系樹脂と、少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が90以上300以下の化合物であって、一般式(2)で表される化合物(以下、「硬度向上剤」ということがある)とを少なくとも1種類含有し、膜厚が5μm以上35μm以下であることを特徴とする。このようなシクロオレフィン系樹脂フィルムは、ヘイズが低く、表面硬度が高い。さらに、本発明のフィルムは、高温高湿度下においても耐久性に優れているので、偏光板の保護フィルムとして用いたときに、高い偏光板耐久性を達成できる。
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムをいい、樹脂が1種である場合は、当該シクロオレフィン系樹脂を主成分とし、複数種である場合は、最も高い割合で含有されるシクロオレフィン系樹脂を主成分とする。樹脂成分の90質量%以上がシクロオレフィン系樹脂であることが好ましい。
<シクロオレフィン系樹脂>
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムに使用される樹脂は、少なくとも一つの極性基を有するシクロオレフィン系樹脂であり、フィルムにした場合、一定の透湿度を示すものが好ましい。
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムの透湿度は、100〜2000g/m2・dayであることが好ましく、300〜1000g/m2・dayであることがより好ましい。
ここで本明細書中、透湿度とは、JIS Z0208の透湿度試験(カップ法)に準じて、温度60℃、相対湿度95%の雰囲気中、試料を24時間に通過する水蒸気の重量を測定し、試料面積1m2辺りの値に換算したときの数値を意味する。
本発明で使用するシクロオレフィン系樹脂に少なくとも一つの極性基を有することにより、ジクロロメタン等の有機溶剤への溶解性が向上し、溶液製膜を行うことが可能になる。溶液製膜は溶融製膜に比べて低い温度で製膜できるため、添加剤の分解や揮散が低減され好ましい。
極性基としては、例えば、水酸基、炭素原子数1〜10のアルコキシル基、炭素原子数1〜10のアシルオキシ基、炭素原子数2〜10のアルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基、アミド基、イミド環含有基、トリオルガノシロキシ基、トリオルガノシリル基、アミノ基、アシル基、炭素原子数1〜10のアルコキシシリル基、スルホニル含有基、およびカルボキシル基など挙げられる。これらの極性基についてさらに具体的に説明すると、上記アルコキシル基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられ;アシルオキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロピオニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、およびベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられ;アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられ;アリーロキシカルボニル基としては、例えばフェノキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基、フルオレニルオキシカルボニル基、ビフェニリルオキシカルボニル基等が挙げられ;トリオルガノシロキシ基としては例えばトリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基等が挙げられ;トリオルガノシリル基としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられ;アミノ基としては、第1級アミノ基が挙げられ、アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等が挙げられる。
これらの中でも、アルコキシカルボニル基が好ましく、メトキシカルボニル基がより好ましい。
本発明のシクロオレフィン系樹脂は、以下の一般式(1)で表される樹脂であることが好ましい。
一般式(1)
Figure 0005905440
(一般式(1)中、tは0または1であり、uは0または1以上の整数である。X2はビニレン基またはエチレン基を表し、R5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表し、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基は、酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を有する連結基を介して結合していてもよい。R5とR6またはR7とR8の2つが結合して2価の炭化水素基を形成してもよく、炭素環または複素環を形成してもよい。複数のX2、R5、R6、R7およびR8の各々は同一であっても異なっていてもよい。ただし、R5、R6、R7およびR8の少なくとも一つは極性基である。)
uは0または1以上の整数であり、0〜2の整数が好ましく、0または1がより好ましい。
5、R6、R7およびR8は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、または極性基を表す。ただし、R5、R6、R7およびR8の少なくとも一つは極性基である。置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基は、酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素原子を有する連結基を介して結合していてもよい。極性基としては、上記の極性基が例示され、好ましい範囲も同様である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基等の芳香族基等が挙げられる。これらの炭化水素基は置換されていてもよく、置換基としては例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、フェニルスルホニル基等が挙げられる。
また、置換または非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基は直接環構造に結合していてもよく、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば式:−(CH2m−(mは1〜10の整数)で表されるアルキレン基等の炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基、酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素を含む連結基が挙げられる。酸素原子、窒素原子、イオウ原子またはケイ素を含む連結基の具体例としては、カルボニル基[−CO−]、カルボニルオキシ基[−COO−]、オキシカルボニル基[−OCO−]、スルホニル基[−SO2−]、エーテル結合[−O−]、チオエーテル結合[−S−]、イミノ基[−NH−]、アミド結合[−NHCO−,−CONH−]、シロキサン結合[−OSi(R2)−(式中、Rはメチル、エチル等のアルキル基)]、およびこれらの基が2種以上連結されてなる基などが挙げられる。
5とR6またはR7とR8の2つが結合して2価の炭化水素基を形成してもよく、炭素環または複素環を形成してもよいが形成していない方が好ましい。炭素環または複素環は、単環構造であっても多環構造であってもよく、当該炭素環または当該複素環は芳香環であっても非芳香環であってもよいが、非芳香族環の方が好ましい。
5、R6、R7およびR8の少なくとも一つは極性基であり、R5、R6、R7およびR8の極性基以外の基は、水素原子が好ましい。
シクロオレフィン系樹脂の合成法については、特開2001−114836号公報の段落番号[0039]〜[0068]を参考に実施することができる。
シクロオレフィン系樹脂は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が、70℃以上であることが好ましく、より好ましくは90℃〜185℃であり、さらに好ましくは、100〜165℃であり、特に120〜160℃が好ましい。
シクロオレフィン系樹脂の重量平均分子量としては、5,000〜1,000,000が好ましく、より好ましくは8,000〜200,000である。
シクロオレフィン系樹脂は、飽和吸水率は1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8質量%以下である。
シクロオレフィン系樹脂は、クロロホルム中、30℃で測定される固有粘度(ηinh)が、0.1〜1.5dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.4〜1.2dl/gである。また、135℃のデカリン中で測定される極限粘度[η]が、通常0.01〜20dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.03〜10dl/g、さらに好ましくは0.05〜5dl/gであり、ASTM D1238に準じ260℃荷重2.16kgで測定した溶融流れ指数(MFR)は、0.1〜200g/10分であることが好ましく、より好ましくは1〜100g/10分、さらに好ましく5〜50g/10分である。
さらに、シクロオレフィン系樹脂の軟化点は、サーマルメカニカルアナライザー(TMA)で測定した軟化点として、30℃以上であることが好ましく、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80〜260℃である。
また、シクロオレフィン系樹脂は、水添重合体の水素添加率としては、60MHz、1H−NMRで測定した値が50%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは98%以上である。水素添加率が高いほど、得られるシクロオレフィン系樹脂フィルムは、熱や光に対する安定性が優れたものとなる。また、該水添重合体中に含まれるゲル含有量が5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下である。
シクロオレフィン系樹脂は、非晶性または低結晶性であることが好ましく、X線回折法によって測定される結晶化度が、20%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは2%以下である。
<硬度向上剤>
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムは、少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が90以上300以下であって、一般式(2)で表される化合物を含有する。このような硬度向上剤を用いることで、シクロオレフィン系樹脂フィルムの硬度を高めることができる。このような硬度向上剤は、芳香環を必ず有する。メカニズムは定かではないが、前記硬度向上剤が分子中に有する水素結合性水素供与性基は、シクロオレフィン系樹脂中に含まれる極性基と相互作用するため、フィルムを作製した際にフィルム中に存在するシクロオレフィン系樹脂の自由体積部を埋め、さらに、前記硬度向上剤の芳香環部がシクロオレフィン系樹脂の分子鎖の運動を抑制するように働き、結果として本発明の効果を達成すると推測される。
水素結合性水素供与性基の例は、例えば、Jeffrey,George A.著、Oxford UP刊のIntroduction to Hydrogen Bonding等の成書に記載されている。
本発明における硬度向上剤中の水素結合性水素供与性基としては、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、が好ましく、スルホニルアミノ基、アシルアミノ基、アミノ基、水酸基、電子吸引性基が炭素原子に置換したC−H基がより好ましく、アミノ基、水酸基、電子吸引性基が炭素原子に置換したC−H基がさらに好ましい。
一般式(2)で表わされる化合物の一分子中に含まれる水素結合性供与性基の数は、特に上限はなく、多いほど好ましいが、相溶性の観点から、3個以下であることが好ましく、2個以下がより好ましい。
本発明のフィルムに含まれる硬度向上剤の分子量は、250〜1200であることが好ましく、280〜800であることがより好ましく、300〜600であることがさらに好ましく、350〜500であることが特に好ましい。分子量が250以上であると高温低湿下における偏光子耐久性がより効果的に改善され、また、フィルムからの揮散が抑制され、分子量が1200以下であるとヘイズが高くなることをより効果的に抑制できる。
硬度向上剤は、芳香環構造を有している。硬度向上剤の分子量/芳香環数の比率は、90以上300以下が好ましく、100〜200がより好ましく、100〜150がさらに好ましい。このよう範囲とすることにより、本発明の効果はより効果的に発揮される傾向にある。
本発明で用いる硬度向上剤は、一分子中に芳香環を合計で1〜5つ有することが好ましく、2〜4個がより好ましく、3個が最も好ましい。このような範囲とすることにより、本発明の効果はより効果的に発揮される傾向にある。
硬度向上剤は、下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 0005905440
(一般式(2)中、R1、R3およびR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数6〜20の芳香族基を表す。)
炭素数1〜20のアルキル基は、炭素数が1〜10のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1〜5のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜3のアルキル基であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基が特に好ましい。
炭素数3〜20のシクロアルキル基は、炭素数が3〜10のシクロアルキル基であることが好ましく、炭素数4〜8のシクロアルキル基であることがより好ましい。シクロアルキル基の具体例として、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基が挙げられ、シクロヘキシル基が特に好ましい。
炭素数2〜20のアルケニル基は、炭素数が2〜10のアルケニル基であることが好ましく、炭素数2〜5のアルケニル基であることがより好ましい。
炭素数6〜20の芳香族基は、芳香族炭化水素基であっても芳香族複素環基であってもよいが、芳香族炭化水素基であることが好ましい。当該芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
1、R3およびR5は置換基を有してもよい。置換基としては、特に制限はなく、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10で、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、1−エチルペンチル基、ベンジル基、2−エトキシエチル基、1−カルボキシメチル基等)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、ビニル基、アリル基、オレイル基等)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エチニル基、ブタジイニル基、フェニルエチニル基等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20で、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、4−メトキシフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数0〜20のヘテロ環基で、環構成ヘテロ原子が酸素原子、窒素原子、硫黄原子が好ましく、5または6員環でベンゼン環やヘテロ環で縮環していてもよく、該環が飽和環、不飽和環、芳香環であってもよく、例えば、2−ピリジル基、4−ピリジル基、2−イミダゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基、2−チアゾリル基、2−オキサゾリル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ベンジルオキシ基等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基等)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、イソプロピルチオ基、ベンジルチオ基等)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26で、例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、3−メチルフェニルチオ基、4−メトキシフェニルチオ基等)、アシル基(アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基を含み、炭素数は20以下が好ましく、例えば、アセチル基、ピバロイル基、アクリロイル基、メタクロロイル基、ベンゾイル基、ニコチノイル基等)、アリーロイルアルキル基、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20で、例えば、エトキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20で、例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、アミノ基(アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは炭素数0〜20で、例えば、アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−エチルアミノ基、アニリノ基、1−ピロリジニル基、ピペリジノ基、モルホニル基等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数0〜20で、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド基、N−フェニルスルホンアミド基等)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20で、例えば、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−フェニルスルファモイル基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20で、例えば、アセチルアミノ基、アクリロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、ニコチンアミド基等)、シアノ基、水酸基、メルカプト基またはハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)が挙げられる。R1、R3およびR5が有しうる上記置換基は、さらに上記置換基を有していてもよい。
1、R3およびR5の各基が有してもよい上記の置換基のうち、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基が好ましい。
一般式(2)で表される化合物のうち、好ましい化合物を列挙すると以下の通りである。
・R1、R3およびR5のいずれか1つがアラルキル基である化合物
なお、アラルキル基はアルキル基にアリール基が置換した化合物であり、アラルキル基のなかでも、アルキル基に1個または2個のアリール基が置換したもの(2個のアリール基が置換した場合、同一炭素原子に置換していることが好ましい。)が好ましい。さらに、アルキル基にアリール基とアシル基(好ましくはアリーロイル基)が置換したものも好ましい。
一般式(2)で表される化合物は、製膜時の溶解安定性の観点から、R1、R3およびR5が、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、または炭素数6〜20のアリール基であることがより好ましく、5員環もしくは6員環のシクロアルキル基、および、ベンゼン環から選択されることがより好ましい。また、R1、R3およびR5が、合計3個以上の環構造を有することが好ましく、それぞれ1個以上の環構造を有することがより好ましく、それぞれ環構造を1個有するのがさらに好ましい。
一般式(2)で表される化合物のうち、水素結合性水素供与性基としては、例えば、R5が結合しているC−H部位、R1および/またはR3が水素原子の場合はN−Hである。
上記一般式(2)で表される化合物は、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005905440
(一般式(3)中、L1、L2およびL3は、それぞれ独立に単結合または炭素数1以上の2価の連結基を表し、Ar1、Ar3およびAr5は、それぞれ独立に炭素数6〜20のアリール基を表す。ただし、L1、L2およびL3のうちの少なくとも一つは2価の連結基である。)
1、L2およびL3は、単結合または炭素数1以上の2価の連結基を表す。
炭素数1以上の2価の連結基としては、炭素数1〜6のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基またはエチレン基であることがさらに好ましく、メチレン基であることが特に好ましい。中でも、L1、L2およびL3は、単結合、メチレン基であることが好ましく、溶解安定性を考慮すると、L1、L2およびL3のうちの少なくとも一つは2価の連結基(好ましは、メチレン基またはエチレン基)であることが好ましい。炭素数1以上の2価の連結基は置換基を有していてもよく、当該置換基は、前述のR1、R3およびR5が有しうる置換基と同義である。
Ar1、Ar3およびAr5は炭素数6〜20のアリール基を表し、好ましくはフェニル基、ナフチル基であり、フェニル基がさらに好ましい。Ar1、Ar3およびAr5は置換基を有してもよく、当該置換基は、前述のR1、R3およびR5が有しうる置換基と同義であり、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。Ar1、Ar3およびAr5は置換基を有さないか、または置換基を有する場合には、当該置換基は環構造を有さないことが好ましい。
以下に、一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記例示化合物中、Meはメチル基を表す。
Figure 0005905440
Figure 0005905440
Figure 0005905440
Figure 0005905440
Figure 0005905440
Figure 0005905440
上記一般式(2)で表される化合物は、尿素誘導体とマロン酸誘導体とを縮合させるバルビツール酸の合成法を用いて合成できることが知られている。N上に置換基を2つ有するバルビツール酸は、N,N’二置換型尿素とマロン酸クロリドを加熱するか、マロン酸と無水酢酸などの活性化剤とを組合わせて加熱することにより得られ、例えば、Journal of the American Chemical Society、第61巻、1015頁(1939年)、Journal of Medicinal Chemistry、第54巻、2409頁(2011年)、Tetrahedron Letters、第40巻、8029頁(1999年)、WO2007/150011号公報などに記載の方法を好ましく用いることができる。
また、縮合に用いるマロン酸は、無置換のものでも置換基を有するものでもよく、R5に相当する置換基を有するマロン酸を用いれば、バルビツール酸を構築することにより本発明の一般式(2)で表される化合物を合成することができる。また、無置換のマロン酸と尿素誘導体を縮合させると5位が無置換のバルビツール酸が得られるので、これを修飾することにより本発明の一般式(2)で表される化合物を合成してもよい。
なお、本発明に用いる一般式(2)で表される化合物の合成法は上記に限定されるものではない。
硬度向上剤の添加量としては、シクロオレフィン系樹脂100質量部に対して2〜35質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましく、10〜28質量部がより好ましい。なお、少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が90以上300以下の化合物は2種以上添加してもよく、2種以上添加する場合は、合計添加量が上記範囲内であることが好ましい。
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムは、シクロオレフィン系樹脂および前記硬度向上剤に加え、他の添加剤を含んでいても良い。これらの添加剤としては、公知の可塑剤、有機酸、色素、ポリマー、レターデーション調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、マット剤などが例示される。これらの記載は、特開2012−155287号公報の段落番号0062〜0097の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。これらの他の添加剤の合計配合量はシクロオレフィン系樹脂の50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましい。
<シクロオレフィン系樹脂フィルムの製造方法>
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムは、溶液流延、溶融流延のどちらの方法でも製膜することができるが、溶液流延により製造されることが好ましい。溶液流延を利用した樹脂フィルムの製造例については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号および同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号および同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号および同62−115035号等の公報を参考にすることができる。また、前記偏光板樹脂フィルムは、延伸処理を施されていてもよい。延伸処理の方法および条件については、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号等の各公報を参考にすることができる。
<シクロオレフィン系樹脂フィルムの物性>
(シクロオレフィン系樹脂フィルムの膜厚)
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムは平均膜厚の下限値が5μm以上であり、6μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがさらに好ましく、16μm以上であることが特に好ましい。また、上限値としては、35μmであり、34μm以下であることがより好ましく、25μm以下であることが特に好ましい。
特に、本発明では、35μm以下と薄くしても、硬度向上剤がシクロオレフィン系樹脂中の自由体積部に入り込み、芳香環部がシクロオレフィン系樹脂の分子鎖の運動を抑制することで高い硬度を達成できる。
(ヘイズ)
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムのヘイズは0.01〜0.8%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜0.5%であり、0.2〜0.4%がさらに好ましい。ヘイズを0.8%以下とすると液晶表示装置に組み込んだ時のコントラストの低下を効果的に抑制することができる。
ヘイズの測定は、本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−7136に従って測定した。
(表面硬度)
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムにおける、JIS Z 2251およびISO 4545の方法に準じて押し込み荷重50mNで、同じ押し込み位置においてヌープ圧子を等角度回転させて測定される全方位のヌープ硬度の最小値が160N/mm2以上260N/mm2以下であり、180〜260N/mm2が好ましく、190〜260N/mm2がより好ましい。表面硬度は、ナノインデンテーション法により測定される。
表面硬度は170N/mm2以上260N/mm2以下が好ましく、180N/mm2以上260N/mm2以下がより好ましい。
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムの表面硬度は、硬度向上剤により向上させることができる。シクロオレフィン系樹脂フィルム上に薄いハードコート層を設ける場合は、下地であるシクロオレフィン系樹脂の硬度を高めることにより、ハードコート層の上から評価した鉛筆硬度を向上させることができる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムを偏光板保護フィルムとして含む。好ましくは、偏光子と、該偏光子の両側に配置された2枚のシクロオレフィン系樹脂フィルムを含み、少なくとも1枚のシクロオレフィン系樹脂フィルムが、前記本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムである構成である。
図1は、本発明の偏光板と液晶表示装置の位置関係を示した概略図の一例であって、11は上側第1保護フィルムを、12は上側偏光子を、13は上側第2保護フィルムを、14は液晶セルを、15は下側第2保護フィルムを、16は下側偏光子を、17は下側第1保護フィルムをそれぞれ示している。なお、図1の上側が視認側になる。
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムは、特に、上側偏光子12の上側保護フィルム11として好ましく用いられるが、これに限定されず、上側第2保護フィルム13として用いられてもよく、下側第1保護フィルム17、下側第2保護フィルム15として用いられてもよい。
本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムが用いられない側の保護フィルムとしては、位相差フィルムが好ましく用いられるが、かかる位相差フィルムとしては、セルロースアシレートフィルムに各種添加剤を配合したり、延伸して所望の位相差を発現させた位相差フィルムや、支持体の表面に液晶組成物からなる光学異方性層を有する位相差フィルムが例示される。具体的には、特開2008−262161号公報の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<偏光子>
まず、本発明の偏光板に用いられる偏光子について説明する。
本発明の偏光板に用いることができる偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
PVAおよび二色性分子としては、特開2012−031250号公報の〔0070〕〜〔0072〕の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
本発明の偏光板は偏光子に架橋剤としてホウ酸を含有する。ホウ酸で偏光子を架橋することにより、二色性分子とPVAから形成される錯体の安定性が向上し、高温高湿条件における偏光性能劣化を抑制することができる。本発明の偏光板の偏光子中のホウ酸の含有率は偏光子100質量部に対して1質量部以上100質量部以下が好ましく、5質量部以上50質量部以下が好ましい。上記範囲にホウ酸の含有率を制御することにより色味のバランスのとれた偏光子を作製することができる。
偏光子の膜厚:
偏光子の延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、10〜200μmが特に好ましい。また、特開2002−236212号に記載されているように水中において4倍〜6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
偏光子の延伸後の厚みは、3μm以上40μm以下が好ましく、3μm以上30μm以下がさらに好ましい。偏光子を前記厚みにすることにより、環境湿度による液晶パネルのそりや歪みを小さくすることができる。
(1−5)偏光板の厚み
本発明の偏光板の厚みは、15μm以上120μm以下であることが好ましく、15μm以上100μm以下がより好ましく、15μm以上80μm以下が最も好ましい。偏光板を前記厚みにすることにより、環境湿度による液晶パネルのそりや歪みを小さくすることができる。
<偏光子の製造方法>
本発明の偏光板の製造方法における前記偏光子の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、前記PVAをフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造は、特開2007−86748号公報の〔0213〕〜〔0237〕に記載の方法、特許登録第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
具体的には、前記偏光子の製造方法を、PVA系樹脂溶液の調製工程、流延工程、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けてもよい。これらの詳細については、特開2011−248337号公報の〔0123〕〜〔0114〕の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
<偏光子とシクロオレフィン系樹脂フィルムの積層方法>
本発明の偏光板の製造方法は、上記にて得られた前記偏光子の両面に、2枚のシクロオレフィン系樹脂フィルムを積層する。
本発明の偏光板の製造方法では、シクロオレフィン系樹脂フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法により作製することが好ましい。
前記シクロオレフィン系樹脂フィルムの処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
本発明の偏光板のシクロオレフィン系樹脂フィルムの前記偏光子への貼り合せ方は、偏光子の透過軸と前記シクロオレフィン系樹脂フィルムの遅相軸が実質的に平行となるように貼り合せることが好ましい。
ここで、実質的に平行であるとは、一般式(2)で表される硬度向上剤を含むシクロオレフィン系樹脂フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが5°以内であることをいい、1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。ずれが1°以内であれば、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低下しにくく、光抜けが生じにくく好ましい。
<偏光板の性能>
(直交透過率CT)
本発明の偏光板は、直交透過率CTがCT≦2.0であることが好ましく、より好ましい範囲としてはCT≦1.3であり、最も好ましくはCT≦0.6(単位はいずれも%)である。
(直交透過率変化)
また、偏光板耐久性試験前後では直交透過率の変化量は小さいほうが好ましい。
本発明の偏光板は、80℃、相対湿度90%、168時間経静置させたときの波長410nmにおける直交単板透過率の変化量(%)が0.20%以下、且つ、105℃、Dry環境下(調湿をしていない状態であり、本発明における実施例では相対湿度0%〜20%)に216時間静置させたときの波長510nmにおける直交単板透過率の変化量(%)が0.05%以下であることが好ましい。
ここで、直交透過率の変化量とは下記式で算出されるものである。
直交透過率の変化量(%)={(耐久性試験後の直交透過率(%))−(耐久性試験前の直交透過率(%))}
上記直交透過率の変化量の範囲を満たせば、偏光板の高温高湿下および高温低湿下で長時間使用中あるいは保管中の安定性が確保でき、好ましい。
本発明において、偏光板の直交透過率CTは、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて、以下の方法により波長410nmで測定した。
本発明の偏光板を、粘着剤を介してガラスの上に貼り付けたサンプル(5cm×5cm)を2つ作製する。この際、本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムがガラス面と反対側(空気界面)になるように貼り付ける。直交透過率測定はこのサンプルのガラスの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を直交透過率とする。
(その他の特性)
本発明の偏光板のその他の好ましい光学特性等については特開2007−086748号公報の〔0238〕〜〔0255〕に記載されており、これらの特性を満たすことが好ましい。
<形状・構成>
本発明の偏光板の形状は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子およびその両面を保護するシクロオレフィン系樹脂フィルムで構成されているが、さらに該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成されることも好ましい。
前記プロテクトフィルムおよび前記セパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
<偏光板の機能化>
本発明の偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板としても好ましく使用される。機能化のための反射防止フィルム、輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア層については、特開2007−86748号公報の〔0257〕〜〔0276〕に記載され、これらの記載を基に機能化した偏光板を作製することができる。
反射防止フィルム、輝度向上フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア層の詳細については、特開2011−248337号公報の〔0126〕〜〔0146〕の記載を参酌でき、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
[液晶表示装置]
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする。
図2は、本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。図2において、液晶表示装置10は、液晶層5とこの上下に配置された液晶セル上電極基板3および液晶セル下電極基板6とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された上側偏光板1および下側偏光板8からなる。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。前記液晶表示装置10を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。
上側偏光板1および下側偏光板8は、それぞれ2枚のシクロオレフィン系樹脂フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有しており、本発明の液晶表示装置10は、少なくとも一方の偏光板が本発明の偏光板であることが好ましい。本発明の液晶表示装置10は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、前記シクロオレフィン系樹脂フィルム、偏光子、一般の透明保護フィルムの順序で積層することが好ましい。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモード、IPSモード、TNモードであることが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[実施例101]
〔シクロオレフィン系樹脂フィルムの作製〕
(シクロオレフィン系樹脂Pの合成)
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12.5,17.10]−3−ドデセン 50gと、1−ヘキセン(分子量調節剤)3.6gと、トルエン100gとを窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム(0.6モル/l)のトルエン溶液0.09mlと、メタノールで変性した六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0.025モル/l)0.29mlとを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。
次いで、水素添加触媒として、モノマーの仕込量に対して500ppmとなる量のRuHCl(CO)[P(C6 5 3 3 を添加し、水素ガス圧9.0〜10.0MPa、160−165℃、3時間の条件で水素添加反応を行った。反応が終了した後、大量のイソプロピルアルコール溶液に加えて沈殿させ、凝固物を分離回収し、これを乾燥して、ノルボルネン系開環重合体水素添加物を得た。以下、これをシクロオレフィン系重合体Pとする。
(シクロオレフィン系重合体溶液101の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、シクロオレフィン系重合体溶液を調製した。
シクロオレフィン系重合体溶液101の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・シクロオレフィン系重合体P 100.0質量部
・紫外線吸収剤(C) 2.4質量部
・硬度向上剤(A−1) 10.0質量部
・メチレンクロライド(溶媒) 325.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤C
Figure 0005905440
硬度向上剤(A−1)
Figure 0005905440
<流延>
バンド流延装置を用い、前記調製したドープ(シクロオレフィン系重合体溶液101)をステンレス製の流延支持体(支持体温度22℃)に流延した。ドープ中の残留溶媒量が略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンターで把持し、残留溶媒量が5〜10質量%の状態で、100℃の温度下で幅方向に1.05倍(5%)延伸しつつ乾燥した。その後、熱処理装置のロール間を搬送することにより、さらに乾燥し、実施例101のシクロオレフィン系フィルムを得た。得られたシクロオレフィン系フィルムの厚みは20μm、幅は1480mmであった。
[実施例102〜113、比較例201〜204]
〔シクロオレフィン系樹脂フィルムの作製〕
実施例101において、硬度向上剤の種類および添加量、フィルム厚みを下記表1に記載したとおりに変更した以外は同様にして、他の実施例および比較例の偏光板に用いるシクロオレフィン系重合体フィルムをそれぞれ製造した。
Figure 0005905440
Figure 0005905440
[比較例401]
実施例101において、シクロオレフィン系樹脂を、極性基を有しない日本ゼオン製ゼオノアZF14に変更して溶液の調製を試みたが、樹脂が溶液に十分溶解せず、フィルムを作製することができなかった。
[実施例301]
(シクロオレフィン系重合体溶液301の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、シクロオレフィン系重合体溶液301を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
シクロオレフィン系重合体溶液301の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・シクロオレフィン系重合体P 100.0質量部
・紫外線吸収剤C 2.0質量部
・硬度向上剤(A−4) 15.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 452.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
(セルロースアシレート溶液302の調製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液302を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液302の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
・アセチル置換度2.86、重合度350のセルロースアセテート
100.0質量部
・紫外線吸収剤C 2.0質量部
・硬度向上剤(A−4) 15.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 414.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 62.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<積層フィルムの作製>
3層共流延が可能な流延ダイを通して、金属支持体上に、金属支持体上に近い側から、セルロースアシレート層/シクロオレフィン系重合体層/セルロースアシレート層=30μm/5μm/30μmの層構成となるように流延した。金属支持体上にある間、ドープを40℃の乾燥風により乾燥してフィルムを形成した後に剥ぎ取り、フィルム両端をピンで固定し、その間を同一の間隔で保ちつつ105℃の乾燥風で5分間乾燥した。ピンを外した後、さらに130℃で20分間乾燥し、積層フィルムの状態で巻き取った。
このようにして製造した積層フィルムから、上層および下層のセルロースアシレートフィルムを剥離して取り除くことにより、膜厚が5μmのシクロオレフィン系重合体フィルムを得た。
[実施例302〜303]
〔シクロオレフィン系樹脂フィルムの作製〕
実施例301において、硬度向上剤の種類および添加量、フィルム厚みを下記表1に記載したとおりに変更した以外は同様にして、実施例302〜303の偏光板に用いるシクロオレフィン系重合体フィルムをそれぞれ製造した。
[比較例401]
実施例101において、シクロオレフィン系重合体Pを市販のシクロオレフィン系樹脂(日本ゼオン社製ゼオノアフィルムZF14を細かく切り刻んだもの)に変更した以外は、実施例101と同様にしてシクロオレフィン溶液の調製を試みたが、樹脂が溶解せず、本発明の硬度向上剤含有フィルムを作製できなかった。
[評価]
<フィルムのヘイズの測定>
フィルム試料40mm×80mmを、25℃,60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP、スガ試験機)でJIS K−7136に従って測定した。
<シクロオレフィン系樹脂フィルムの表面のヌープ硬度の測定>
フィッシャーインスツルメンツ(株)社製"フッシャースコープH100Vp型硬度計"を用い、JIS Z 2251およびISO 4545の方法に準じてガラス基板に固定したサンプル表面を負荷時間10sec、クリープ時間5sec、除荷時間10sec、押し込み荷重50mNの条件で測定し、押し込み深さから求められる圧子とサンプルとの接触面積と最大荷重の関係より硬度を算出した。同じ押し込み位置においてヌープ圧子を等角度回転させて測定して全方位のヌープ硬度の測定をおこない、最小値を求めた。
[活性エネルギー線硬化層の製膜]
<ハードコート層用塗布液(HC−1)の調製>
各成分を下記に示す組成で作製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過してハードコート層用塗布液HC−1を調製した。
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ハードコート層用塗布液HC−1の組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
UV−1700B(バインダー;日本合成化学(株)製)
37.8質量部
エタノール(溶剤) 61.4質量部
イルガキュア184 1.2質量部
(重合開始剤;チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
<ハードコート層の形成>
上記にて製膜したシクロオレフィンフィルムの製膜時に支持体に接していた面上に、ハードコート層用塗布液(HC−1)を、マイクログラビア塗工方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布した。60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.5%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm2、照射量150mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚み4μmのハードコート層を形成した。
得られたハードコート層つきシクロオレフィン系樹脂フィルムを、実施例101のシクロオレフィン系樹脂フィルムとした。
実施例102〜114、301〜303、比較例201〜205についても実施例101と同様にしてそれぞれハードコート層を形成し、得られた各ハードコート層つきシクロオレフィン系樹脂フィルムを各実施例または比較例におけるシクロオレフィン系樹脂フィルムとした。
<鉛筆硬度の測定>
JIS K 5400に記載の鉛筆硬度評価をおこなった。各ハードコート層つきシクロオレフィン系樹脂フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定する1Hおよび2Hの試験用鉛筆を用いて、500gの荷重にて以下のとおりの判定で評価した。
A:n=10の評価において傷なし〜傷2つ
B:n=10の評価において傷3つ〜6つ
C:n=10の評価において傷3つ〜7つ
なお、鉛筆の試験方向(引っ掻く方向)は、シクロオレフィン製膜時の搬送方向(長手方向)と平行にした。
〔偏光板の作製〕
上記実施例で得られたシクロオレフィン系樹脂フィルムを偏光板保護フィルムとして用い、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光子を作製した。
鹸化処理した市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTG40、富士フイルム(株)製)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光子の片側に貼り付けた。さらに、市販のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に、実施例101のシクロオレフィン系樹脂フィルムを、総研化学(株)製SK粘着シートを用いて貼り付け、実施例101の偏光板を作製した。
この際、作製した実施例101のシクロオレフィン系樹脂フィルムの幅方向、および市販のセルローストリアセテートフィルムの幅方向が、いずれも偏光子の透過軸と平行になるように配置した。このようにして実施例101の偏光板を作製した。
シクロオレフィン系樹脂フィルム101の替わりに、下記表に示すフィルムを用い、各実施例または比較例の偏光板も同様に作製した。
<偏光板耐久性の評価(直交透過率変化率)>
上記で作製した各実施例および比較例の偏光板について、各2枚の、波長410nmにおける偏光子の直交透過率を、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて下記の方法で測定した。
偏光板を、粘着剤を介してガラスの上に貼り付けたサンプル(5cm×5cm)を2つ作製した。この際、上記シクロオレフィン系樹脂フィルムがガラスと反対側(空気界面)になるように貼り付けた。直交透過率測定はこのサンプルのガラスの側を光源に向けてセットして測定した。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を直交透過率とした。
その後、80℃、相対湿度90%の環境下で168時間保存した後について同様の手法で直交透過率を測定した。経時前後の波長410nmにおける直交透過率の変化を求め、以下の基準により高温高湿下での偏光子耐久性として上記表にその結果を記載した。
ここで、直交透過率の変化量とは下記式で算出されるものである。
直交透過率の変化量(%)={(耐久性試験後の直交透過率(%))−(耐久性試験前の直交透過率(%))}
A:直交透過率の変化量が0.05%未満
B:直交透過率の変化量が0.05%以上、0.10%未満
C:直交透過率の変化量が0.10%以上、0.20%未満
D:直交透過率の変化量が0.20%以上
Figure 0005905440
上記表より、各実施例のシクロオレフィン系樹脂フィルムは、硬度が高いことから耐擦傷性が高いことがわかった。また、ヘイズ値が低いことから、透明性が高いことがわかった。
また、本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムを使用した偏光板は、比較例の偏光板に対して、高温高湿環境下における偏光性能の劣化が小さいことがわかった。
この結果から、本発明のシクロオレフィン系樹脂フィルムを使用した偏光板を組み込んだ液晶表示装置を作製することで、高温高湿下で長期間保存しても、表示性能の劣化が抑制されることがわかる。
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸の方向
3 液晶セル上電極基板
4 上基板の配向制御方向
5 液晶層
6 液晶セル下電極基板
7 下基板の配向制御方向
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
10 液晶表示装置
11 上側第1保護フィルム
12 上側偏光子
13 上側第2保護フィルム
14 液晶セル
15 下側第2保護フィルム
16 下側偏光子
17 下側第1保護フィルム

Claims (9)

  1. 少なくとも一つの極性基を有するシクロオレフィン系樹脂と、少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が90以上300以下の化合物であって、一般式(2)で表される化合物を少なくとも1種類含有し、膜厚が5μm以上35μm以下である、シクロオレフィン系樹脂フィルム。
    一般式(2)
    Figure 0005905440
    (一般式(2)中、R1、R3およびR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数6〜20の芳香族基を表す。)
  2. JIS Z 2251の方法に準じて押し込み荷重50mNで、同じ押し込み位置においてヌープ圧子を等角度回転させて測定される全方位のヌープ硬度の最小値が160N/mm2以上260N/m2以下である、請求項1に記載のシクロオレフィン系樹脂フィルム。
  3. 前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である、請求項1または2に記載のシクロオレフィン系樹脂フィルム。
    一般式(3)
    Figure 0005905440
    (一般式(3)中、L1、L2およびL3は、それぞれ独立に単結合または炭素数1以上の2価の連結基を表し、Ar1、Ar3およびAr5は、それぞれ独立に炭素数6〜20のアリール基を表す。ただし、L1、L2およびL3のうちの少なくとも一つは2価の連結基である。)
  4. 前記少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が90以上300以下の化合物が芳香環を3個有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシクロオレフィン系樹脂フィルム。
  5. 前記少なくとも一つの水素結合性水素供与性基を有し、分子量/芳香環数の比が90以上300以下の化合物の分子量が1200以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシクロオレフィン系樹脂フィルム。
  6. 偏光板保護フィルムとして用いることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシクロオレフィン系樹脂フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のシクロオレフィン系樹脂フィルムと偏光子とを有する偏光板。
  8. 請求項7に記載の偏光板を有する液晶表示装置。
  9. 溶液製膜で製造することを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のシクロオレフィン系樹脂フィルムの製造方法。
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