JP5948287B2 - 偏光板保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

偏光板保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、偏光板保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置に関する。特に、着色(黄変)が少なく、かつ、高温高湿の環境下においても偏光板耐久性に優れる偏光板保護フィルム、該偏光板保護フィルムを含む偏光板、及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。テレビ等の高品位の画像が要求される市場に加えて、携帯電話やタブレット型PC等いわゆるモバイル用途の市場が拡大するにつれて、薄型化のニーズが一段と高まっている。
液晶表示装置の基本的な構成は液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。前記偏光板は一定方向の偏波面の光だけを通す役割を担っており、偏光板の性能によって液晶表示装置の性能が大きく左右される。偏光板は、一般にヨウ素や染料を吸着配向させたポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光子と、その偏光子の表裏両側に透明な保護フィルムを貼り合わせた構成となっている。偏光板保護フィルムとしては、セルロースアセテートやアクリル系樹脂が用いられている。
例えば、特許文献1には、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを特定の割合で含む樹脂に、添加剤としてフェノール系化合物とを含有させた偏光板保護フィルムが記載されている。
特開2010−112987号公報
しかしながら、特許文献1に記載の偏光板保護フィルムは、高温高湿環境下長時間使用した場合に、直交透過率が著しく低下すること、すなわち偏光板耐久性に劣ることが分かった。
また、フェノール系化合物を偏光板保護フィルムの添加剤として用いた場合、フェノール系化合物の構造及び含有量によっては、次第にフィルムが黄色く着色(黄変)することが分かった。
本発明の目的は、着色(黄変)が少なく、かつ、高温高湿の環境下においても偏光板耐久性に優れる偏光板保護フィルム、該偏光板保護フィルムを含む偏光板、及び液晶表示装置を提供することである。
本発明者らが上記課題を解決することを目的として鋭意研究したところ、(メタ)アクリル系樹脂に、芳香族環が置換したアルキル基を置換基として有する特定構造のフェノール系化合物、特定構造のモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体、またはバルビツール酸誘導体等の特定の有機酸を特定の含有率で添加した偏光板保護フィルムにより、着色を抑制でき、かつ高温高湿経時における直交透過率の低下を抑制できることを見出した。
芳香族環が置換したアルキル基を置換基として有する特定構造のフェノール系化合物やバルビツール酸誘導体等の特定の有機酸を含有させたフィルムを偏光板保護フィルムとして用いることで、偏光子中のホウ酸由来のホウ素の拡散を抑制し、ポリヨウ素イオンの量を多く保つことができるため、直交透過率の減少を抑制できていると考えられる。
すなわち、上記課題は、以下の構成によって解決される。
<1>
(メタ)アクリル系樹脂と、下記一般式(1)で表される化合物とを含有する偏光板保護フィルムであって、
前記(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物を1〜20質量部含有する、偏光板保護フィルム。
一般式(1)
Figure 0005948287


(一般式(1)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又は芳香族基を表す。ただし、R及びR、又はR及びRは炭素数1〜20のアルキル基を表し、R は置換基として芳香族基を有する。およびRはそれぞれ置換基を有していてもよい。)
<2>
前記(メタ)アクリル系樹脂の質量平均分子量が1000〜2000000である<1>に記載の偏光板保護フィルム。
<3>
膜厚が20μm〜80μmである、<1>又は<2>に記載の偏光板保護フィルム。
<4>
<1>〜<3>のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含む偏光板。
<5>
<4>に記載の偏光板を少なくとも1枚含む液晶表示装置。
本発明は、上記<1>〜<5>に係る発明であるが、以下、その他の事項についても参考のため記載している。
[1]
(メタ)アクリル系樹脂と、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体、下記一般式(3)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種とを含有する偏光板保護フィルムであって、
上記(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体、下記一般式(3)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を1〜20質量部含有する、偏光板保護フィルム。
一般式(1)
Figure 0005948287
(一般式(1)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又は芳香族基を表す。R、RおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよい。)
一般式(2)
Figure 0005948287
(一般式(2)中、Rは水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。Rは置換基を表す。(A)は5または6員環を形成するのに必要な原子群を表す。nは0〜4の整数を表す。)
一般式(3)
−L−(R
(一般式(3)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、Rは水素原子、炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。mはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
一般式(III)
Figure 0005948287
(一般式(III)中、R11は置換基を表し、R12は下記一般式(III−1)で表される置換基を表し、n1は0〜4の整数を表し、n1が2以上のとき、複数のR11は互いに同一であっても異なっていてもよく、n2は1〜5の整数を表し、n2が2以上のとき、複数のR12は互いに同一であっても異なっていてもよい。但し、n1とn2の合計は1〜5の整数である。)
一般式(III−1)
Figure 0005948287
(一般式(III−1)中、A11は置換又は無置換の芳香族環を表し、R13及びR14はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は下記一般式(III−2)で表される基を表し、R15は単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、Xは置換又は無置換の1価の芳香族環を表し、n3は0〜10の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のR15及びXはそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(III−2)
Figure 0005948287
(一般式(III−2)中、R16、R17、R18及びR19はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、Xは置換又は無置換の1価の芳香族環を表し、n5は1〜11の整数を表し、n5が2以上のとき、複数のR16、R17、R18、R19及びXは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
[2]
更に、上記一般式(III)で表される化合物100質量部に対して、下記一般式(IV)で表される化合物を0.5〜1.9質量部含有する、[1]に記載の偏光板保護フィルム。
一般式(IV)
Figure 0005948287
(一般式(IV)中、R20は炭素原子数3〜20の置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表し、R21及びR22はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜6の置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表し、R21及びR22は互いに結合して環状構造を形成してもよい。Xは単結合又はカルボニル基を表す。)
[3]
上記一般式(3)で表される有機酸が、下記一般式(3’)で表されるカルボン酸誘導体である[1]又は[2]に記載の偏光板保護フィルム。
一般式(3’)
Figure 0005948287
(一般式(3’)中、sおよびtは、独立して1、2または3であり、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、または、複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。但しRは上記一般式(3)におけるRを含む。)
[4]
上記一般式(III−1)が、下記一般式(III−1−1)で表される、[1]又は[2]に記載の偏光板保護フィルム。
一般式(III−1−1)
Figure 0005948287
(一般式(III−1−1)における、R13、R15、Xの定義は、一般式(III−1)中のR13、R15、Xと同義であり、n3は0〜5の整数を表す。)
[5]
上記一般式(III)で表される化合物が、ニッケルを質量基準で0.05〜0.50ppm含有する、[1]、[2]、又は[4]に記載の偏光板保護フィルム。
[6]
上記(メタ)アクリル系樹脂の質量平均分子量が1000〜2000000である[1]〜[5]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
[7]
膜厚が20μm〜80μmである、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
[8]
[1]〜[7]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含む偏光板。
[9]
[8]に記載の偏光板を少なくとも1枚含む液晶表示装置。
本発明によれば、着色(黄変)が少なく、かつ、高温高湿の環境下においても偏光板耐久性に優れる偏光板保護フィルム、該偏光板保護フィルムを含む偏光板、及び液晶表示装置が提供される。
本発明の液晶表示装置の例を示す一例である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリル系樹脂」との記載は、「アクリル系樹脂及びメタクリル系樹脂の少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」等も同様である。
[偏光板保護フィルム]
本発明の偏光板保護フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂と、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体、下記一般式(3)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種とを含有する偏光板保護フィルムであって、前記(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体、下記一般式(3)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を1〜20質量部含有する、偏光板保護フィルムである。
一般式(1)
Figure 0005948287
一般式(1)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又は芳香族基を表す。R、RおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよい。
一般式(2)
Figure 0005948287
一般式(2)中、Rは水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。Rは置換基を表す。(A)は5または6員環を形成するのに必要な原子群を表す。nは0〜4の整数を表す。
一般式(3)
−L−(R
一般式(3)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、Rは水素原子、炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。mはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。
一般式(III)
Figure 0005948287
一般式(III)中、R11は置換基を表し、R12は下記一般式(III−1)で表される置換基を表し、n1は0〜4の整数を表し、n1が2以上のとき、複数のR11は互いに同一であっても異なっていてもよく、n2は1〜5の整数を表し、n2が2以上のとき、複数のR12は互いに同一であっても異なっていてもよい。但し、n1とn2の合計は1〜5の整数である。
一般式(III−1)
Figure 0005948287
一般式(III−1)中、A11は置換又は無置換の芳香族環を表し、R13及びR14はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は下記一般式(III−2)で表される基を表し、R15は単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、Xは置換又は無置換の1価の芳香族環を表し、n3は0〜10の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のR15及びXはそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(III−2)
Figure 0005948287
一般式(III−2)中、R16、R17、R18及びR19はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、Xは置換又は無置換の1価の芳香族環を表し、n5は1〜11の整数を表し、n5が2以上のとき、複数のR16、R17、R18、R19及びXは互いに同一であっても異なっていてもよい。
<(メタ)アクリル系樹脂>
本発明の偏光子保護フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂を含有する。
本発明の偏光子保護フィルムは(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含むことが好ましい。ここで、主成分とは、偏光子保護フィルムに含有される成分のうち、最も含有質量比が大きい成分を指す。本発明の偏光子保護フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂を10質量%以上100質量%以下含有することが好ましく、20質量%以上100質量%以下含有することがより好ましく、30質量%以上100質量%以下含有することが更に好ましい。
上記(メタ)アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル系単量体を重合して得られるが、(メタ)アクリル系単量体以外の単量体から得られる構造単位を含んでいてもよい。本発明における(メタ)アクリル系樹脂としては、紫外線吸収性単量体と(メタ)アクリル系単量体を含む単量体組成物を重合して得られるものが好ましい。
紫外線吸収性単量体の例としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体が好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体がより好ましい。
紫外線吸収性単量体は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
上記(メタ)アクリル系単量体としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系単量体を採用し得る。例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。好ましくは、環状構造を有する(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜6のアルキルエステルが挙げられ、(メタ)アクリル系単量体は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。より好ましくは、以下に示すような環状構造を有する(メタ)アクリル酸、メタクリル酸メチルおよびこれらの共重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル系樹脂として、高い耐熱性、高い透明性、高い機械的強度を有する点で、主鎖に環状構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。主鎖に環状構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、グルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、無水グルタル酸環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、無水マレイン酸環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、マレイミド環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂がより好ましく、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、グルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂がさらに好ましく、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が特に好ましい。
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報、特開2006−171464号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を製造する際の単量体組成物中に、さらに上記紫外線吸収性単量体が含まれている単量体組成物から製造される(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
グルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、国際公開第05/054311号、国際公開第05/108438号、特開2010−261025号公報、特開2010−270162号公報、特開2010−284840号公報、特開2011−88440号公報、特開2011−138119号公報、特開2011−245624号公報などに記載の、グルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
無水グルタル酸環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、無水マレイン酸環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、マレイミド環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は公知のものを使用することができる。
本発明における(メタ)アクリル系樹脂の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは1000以上2000000以下であり、より好ましくは5000以上1000000以下であり、更に好ましくは10000以上1000000以下である。
[一般式(1)で表される化合物]
一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)
Figure 0005948287
一般式(1)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又は芳香族基を表す。R、RおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよい。
、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基または炭素数6〜20の芳香族基であることが好ましい。
は、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基または炭素数6〜20の芳香族基を表すことがより好ましく、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基又は炭素数6〜18の芳香族基であることがさらに好ましく、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基又は炭素数6〜12の芳香族基であることがよりさらに好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基、ベンジル基又はフェニル基であることがより特に好ましく、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基であることが最も好ましい。
およびRは、各々独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20の芳香族基であることがより好ましく、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であることがさらに好ましく、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜6のシクロアルキル基又はフェニル基であることがよりさらに好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基又はフェニル基であることが特に好ましく、メチル基、ベンジル基又はフェニル基であることが最も好ましい。
はさらに置換基を有していてもよい。前記Rが有していてもよい置換基としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はないが、ハロゲン原子、アルキル基、又は芳香族基であることが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数6〜12の芳香族基であることがより好ましく、塩素原子、メチル基、又はフェニル基であることが特に好ましい。特にRが炭素数1〜20のアルキル基である場合は、置換基として芳香族基を有することが好ましく、炭素数6〜12の芳香族基を有することがより好ましく、フェニル基を有することが特に好ましい。また、特にRが炭素数6〜20の芳香族基である場合は、置換基としてハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基を有することが好ましく、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基を有することがより好ましく、塩素原子またはメチル基を有することが特に好ましい。
およびRはさらに置換基を有していてもよい。前記RおよびRが有していてもよい置換基としては本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はないが、炭素数6〜12の芳香族基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
以下において一般式(1)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明は以下に限定されるものではない。
Figure 0005948287
Figure 0005948287
Figure 0005948287
Figure 0005948287
Figure 0005948287
Figure 0005948287
(入手方法)
一般式(1)で表される化合物は、商業的に入手してもよく、公知の方法によって合成してもよい。
上記一般式(1)で表される化合物は、尿素誘導体とマロン酸誘導体とを縮合させるバルビツール酸の合成法を用いて合成できることが知られている。窒素原子上に置換基を2つ有するバルビツール酸は、N,N’二置換型尿素とマロン酸クロリドを加熱するか、マロン酸と無水酢酸などの活性化剤とを組合わせて加熱することにより得られ、例えば、Journal of the American Chemical Society、第61巻、1015頁(1939年)、Journal of Medicinal Chemistry、第54巻、2409頁(2011年)、Tetrahedron Letters、第40巻、8029頁(1999年)、WO2007/150011号公報などに記載の方法を好ましく用いることができる。
また、縮合に用いるマロン酸は、無置換のものでも置換基を有するものでもよく、Rに相当する置換基を有するマロン酸を用いれば、バルビツール酸を構築することにより一般式(1)で表される化合物を合成することができる。また、無置換のマロン酸と尿素誘導体を縮合させると5位が無置換のバルビツール酸が得られるので、これを修飾することにより一般式(1)で表される化合物を合成してもよい。
なお、一般式(1)で表される化合物の合成法は上記に限定されるものではない。
本発明の偏光板保護フィルムが一般式(1)で表される化合物を含有する場合、一般式(1)で表される化合物の含有量は、アクリル系樹脂100質量部に対して、1〜20質量部であり、1〜10質量部であることが好ましく、2〜7質量部であることがより好ましく、3〜6質量部であることが更に好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物を2種類以上併用する場合も、その合計が上記範囲であることが好ましい。
上記のような含有量とすることで、偏光板耐久性に優れ、透明性にも優れた偏光板保護フィルムを得ることができる。
本発明の偏光板保護フィルムが前記一般式(1)で表される化合物を含有する場合、前記一般式(1)で表される化合物の分解抑制の観点から下記一般式(A)で表されるレダクトン類を更に含有してもよい。レダクトン類を含有する場合、前記一般式(1)で表される化合物100質量部に対して、0.1〜20質量部の範囲内で含有することが好ましく、0.1〜10質量部の範囲内で含有することがより好ましい。
Figure 0005948287
一般式(A)中、RA1およびRA2は各々独立に、ヒドロキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、メルカプト基またはアルキルチオ基を表す。Xは炭素原子と酸素原子および/または窒素原子から構成され、−C(=O)−C(RA1)=C(RA2)−と共に5〜6員環を構成する非金属原子群を表す。
A1およびRA2はヒドロキシ基、アミノ基、アルキルスルホニルアミノ基またはアリールスルホニルアミノ基が好ましく、ヒドロキシ基またはアミノ基がより好ましく、ヒドロキシ基がさらに好ましい。
Xは、少なくとも1つの−O−結合を有し、−C(RA3)(RA4)−、−C(RA5)=、−C(=O)−、−N(Ra)−および−N=の1種または2種以上を組み合わせて構成されることが好ましい。ここで、RA3〜RA5およびRaは各々独立に、水素原子、炭素数1〜10の置換基を有してよいアルキル基、置換基を有してよい炭素数6〜15のアリール基、ヒドロキシ基またはカルボキシル基が好ましい。
Xを介して形成される上記の5〜6員環は、例えば、シクロペンテノン環(2−シクロペンテン−1−オン環;形成された化合物はレダクチン酸となる)、フラノン環〔2(5H)−フラノン環〕、ジヒドロピラノン環〔3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−4−オン環(2,3−ジヒドロ−4H−ピロン環)、3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オン環、3,6−ジヒドロ−2H−ピラン−6−オン環(5,6−ジヒドロ−2−ピロン環)〕、3,4−ジヒドロ−2H−ピロン環が挙げられ、シクロペンテノン環、フラノン環、ジヒドロピロン環が好ましく、フラノン環、ジヒドロピロン環がさらに好ましく、フラノン環が特に好ましい。
これらの環は縮環していてもよく、該縮環する環としては、飽和環、不飽和環のいずれでもよい。
上記一般式(A)で表されるレダクトン類のうち、下記一般式(A1)で表される化合物が好ましく、なかでも下記一般式(A2)で表される化合物が好ましい。
Figure 0005948287
一般式(A1)中、Ra1は水素原子、アルキル基、アリール基またはヘテロ環基を表し、それらは置換基を有していてもよい。
a1は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、−CH(ORa3)CHORa2がより好ましく、この場合、上記一般式(A2)で表される化合物となる。
一般式(A2)中、Ra2およびRa3は各々独立に、水素原子、アルキル基、アシル基またはアルコキシカルボニル基を表し、Ra2とRa3が互いに結合して環を形成してもよく、形成する環としては1,3−ジオキソラン環であることが好ましく、該環はさらに置換基を有していてもよい。ジオキソラン環を有する化合物は、アスコルビン酸とケトン類やアルデヒド類との反応による、アセタールもしくはケタール化で合成でき、原料のケトン類やアルデヒド類は特に制約なく用いることができる。
特に好ましい置換基の組合せのひとつは、Ra2がアシル基でRa3が水素原子である化合物であり、アシル基としては脂肪族アシル基と芳香族アシル基のどちらでもよく、脂肪族アシル基の場合には、炭素数が2〜30が好ましく、4〜24がより好ましく、8〜18がさらに好ましい。芳香族アシル基の場合には、炭素数は7〜24が好ましく、炭素数7〜22がより好ましく、炭素数7〜18がさらに好ましい。好ましいアシル基としては、ブタノイル、ヘキサノイル、2−エチルヘキサノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、パルミトレイル、ミリストレイル、オレオイル、ベンゾイル、4−メチルベンゾイルおよび2−メチルベンゾイルを挙げることができる。
[一般式(2)で表されるモノマー]
一般式(2)で表されるモノマーについて説明する。
一般式(2)
Figure 0005948287
一般式(2)中、Rは水素原子又は炭素数1〜4の脂肪族基を表す。Rは置換基を表す。(A)は5又は6員環を形成するのに必要な原子群を表す。nは0〜4の整数を表す。
・R
式中、Rは水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。Rは、特に限定されないが、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましい。
・R
は置換基を表し、置換基としては脂肪族基又は芳香族基が好ましい。
は、特に限定されないが、脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、メチル基、t−ブチル基が特に好ましい。芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
・n
nは0〜4の整数を表し、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。なお、nが0のとき置換基Rが存在しないことになるが、化学式中、ここには水素原子があればよいことを意味する。本明細書の他の化学式においても化学構造を整合的に解釈すべきことは上記と同様である。
・(A)
(A)は5または6員環を形成するのに必要な原子群を表し、5または6員の芳香環であることが好ましい。本明細書において芳香環とはヘテロ原子を含まない芳香族環とヘテロ原子を有する飽和・不飽和の複素環を含む概念である。
本発明においては、前記一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位が、下記一般式(2−1)、(2−2)、(2−3)、(2−4)、又は(2−5)で表されることが好ましい。
Figure 0005948287
式中、R10〜R15、R18〜R19はそれぞれ独立に置換基を表す。n1、n2、n5、n8、及びn10はそれぞれ独立に0〜4の整数を表す。n3及びn9はそれぞれ独立に0〜2を表す。n4はそれぞれ独立に0又は1を表す。R1Aは水素原子又は炭素数1〜4の脂肪族基を表す。
・R10〜R15、R18〜R19
式中R10〜R15、R18〜R19はそれぞれ独立に置換基を表す。置換基は特に限定されないが、下記置換基Tが挙げられ、その好ましい範囲も同義である。
・n1〜n5、n8〜n10
n1、n2、n5、n8、及びn10はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、0〜2が好ましい。n3は0〜2を表し、0〜1が好ましい。n4及びn9はそれぞれ独立に0又は1を表し、0が好ましい。
・R1A
1Aは水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。R1Aは、特に限定されないが、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましい。
本発明においては、前記一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体が、下記一般式(P−1)で表される3成分を繰り返し単位として含有するクマロン樹脂であることが好ましい。ここでクマロン樹脂とは石油残渣から合成される特定の共重合比を有するものの他、クマロン−インデン−スチレンのいずれか又はそのすべてからなる共重合体の総称を意味する。したがって、下記式(P−1)で表される共重合体は、クマロン樹脂の範疇に含まれるものである。
Figure 0005948287
式中、R21、R22、R23、及びR24はそれぞれ独立に置換基を表す。x、y、zは、重合体に含まれる全繰り返し単位に対するモル分率(%)を表し、xは1〜40、yは5〜95、zは1〜70を表す。m1、m2は各々独立に0〜4の整数を表す。m3は0〜2の整数を表す。m4は0〜5の整数を表す。R101、R102、R103は各々独立に水素原子又は炭素数1〜4の脂肪族基を表す。
・R21〜R24
21、R22、R23、R24はそれぞれ独立に置換基を表す。置換基は特に限定されないが、下記置換基Tが挙げられ、その好ましい範囲も同義である。
・R101〜R103
101〜R103は水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。R101〜R103は、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましい。
・x,y,z
x、y、zは、重合体に含まれる全繰り返し単位に対するモル分率(%)を表す。
xは1〜40を表し、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。yは5〜95を表し、10〜90が好ましく、30〜90がより好ましい。zは1〜70を表し、1〜60が好ましく、1〜50がより好ましい。x+y+zは100でなくてもよいが、100未満のときは、その他の共重合成分があることを意味する。その他の共重合成分としては、ビニルトルエン、イソプロペニルトルエン、α−メチルスチレン、アルキルインデン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。その他の共重合成分の共重合比率(%)tは0〜30が好ましく、0〜20がより好ましい。
・m1〜m4
m1、m2は0〜4の整数を表し、0〜2が好ましい。m3は0〜2の整数を表し、0が好ましい。m4は0〜5の整数を表し、0〜3が好ましく、0〜1がより好ましい。
なお、一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体の末端基はどのようなものであってもよく、典型的には、ビニル基に水素が付加されて重合停止された構造である。
以下に、一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体の具体例を示すが、本発明がこれに限定して解釈されるものではない。なお、下記の構造式は主要成分の繰り返し単位の化学構造とその構成比を示しており、その他の成分が含まれていてもよいことは上記のとおりである。また、市販されているクマロン樹脂の具体例として、日塗料化学株式会社製の「V−120S」を挙げることができる。
Figure 0005948287
(質量平均分子量)
一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体の質量平均分子量は200〜10,000であることが好ましく、300〜8,000であることがより好ましく、400〜4,000であることが特に好ましい。上記分子量が前記下限値以上であると効果的にフィルムの透湿度および含水率を抑制できるという作用が期待でき、上限値以下であると(メタ)アクリル系樹脂との相溶性向上が期待でき好ましい。
分子量及び分散度は特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の質量平均分子量とする。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒が挙げられる。測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことが最も好ましい。なお、使用するカラム及びキャリアは測定対称となる高分子化合物の物性に応じて適宜選定することができる。
本明細書中、ポリマーまたは重合体とは、モノマーが多数重合した一般的な高分子化合物であるポリマーに加えて、モノマーが例えば数個重合した分子量数百程度の化合物であるオリゴマーも含まれることを意味する。また、ポリマーまたは重合体というときには、特に断らない限り、コポリマーまたは共重合体を含む意味である。
なお、本明細書において「化合物」という語を末尾に付して呼ぶとき、あるいは特定の名称ないし化学式で示すときには、当該化合物そのものに加え、その塩、錯体、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の形態で修飾された誘導体を含む意味である。さらに、本明細書において置換基に関して「基」という語を末尾に付して特定の原子群を呼ぶときには、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換・無置換を明記していない化合物についても同義である。好ましい置換基としては、下記置換基Tが挙げられる。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、1−エチルペンチル基、ベンジル基、2−エトキシエチル基、1−カルボキシメチル基等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、オレイル基等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル基、ブタジイニル基、フェニルエチニル基等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、4−メトキシフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル基、4−ピリジル基、2−イミダゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基、2−チアゾリル基、2−オキサゾリル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ベンジルオキシ基等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−エチルアミノ基、アニリノ基等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド基、N−フェニルスルホンアミド基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、シアノ基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基が挙げられる。
本発明の偏光板保護フィルムが一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体を含有する場合、一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、1〜20質量部であり、1〜10質量部であることが好ましく、2〜7質量部であることがより好ましく、3〜6質量部であることが更に好ましい。
上記のような含有量とすることで、偏光板耐久性に優れ、透明性にも優れた偏光板保護フィルムを得ることができる。
[一般式(3)で表される化合物]
一般式(3)で表される化合物について説明する。
一般式(3)
−L−(R)m
一般式(3)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、Rは水素原子、炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。mはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。
一般式(3)中、Xは酸解離定数が5.5以下の酸を表し、カルボキシル基、スルフォン酸基、スルフィン酸基、リン酸基、スルフォンイミド基、アスコルビン酸基が好ましく、カルボキシル基、スルフォン酸基がさらに好ましく、カルボキシル基が最も好ましい。なお、Xがアスコルビン酸誘導体を表す場合は、アスコルビン酸の水素原子のうち、5位、6位の位置の水素原子が外れてLと連結していることが好ましい。
本明細書中、酸解離定数としては、化学便覧、丸善株式会社刊に記載の値を採用する。
一般式(3)中、Rは水素原子、炭素数6〜30のアルキル基(置換基を有してもよく、シクロアルキル基であってもよい)、炭素数6〜30のアルケニル基(置換基を有してもよい)、炭素数6〜30のアルキニル基(置換基を有してもよい)、炭素数6〜30のアリール基(置換基を有してもよい)、環員数6〜30の複素環基(置換基を有してもよい)を表す。置換基として、ハロゲン原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは1〜6)、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルフォンアミド基、スルホリル基、カルボキシル基等が挙げられる。
はさらに好ましくは、炭素数6〜24のアリール基、環員数6〜24の複素環基、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、最も好ましくは炭素数6〜20のアリール基、環員数6〜20の複素環基、炭素数10〜24の直鎖のアルキル基、アルケニル基である。
一般式(3)におけるLは、単結合、あるいは、下記群から得られるユニットまたはこれらのユニットを組み合わせて得られる2価以上の連結基であることが好ましい。
ユニット:−O−、−CO−、−N(R31)−(前記R31は炭素数1〜5のアルキル基)、−CH=CH−、−CH(OH)−、−CH−、−SO−。
一般式(3)におけるLは、単結合、エステル基由来の連結基(−COO−、−OCO−)、またはアミド基由来の連結基(−CON(R31)−、−N(R31)CO−)を部分構造として有することが特に好ましい。
また、前記Lは、さらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はなく前記Rが有していてもよい置換基を挙げることができるが、その中でも−OH基またはアルキル基(より好ましくはカルボキシル基で置換されたアルキル基)が好ましい。
また、前記R31はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はなく前記Rが有していてもよい置換基を挙げることができるが、その中でもカルボキシル基が好ましい。
これらの中でも、前記Lはグリセリン由来の基またはイミノジ酢酸由来の基(−N(CHCOOH)(CHCOOH))を含む連結基であることがより好ましい。
前記Lとしては、具体的に以下の構造であることが好ましい。但し、以下においてp、q、rはそれぞれ1〜40の整数を表し、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜6であることが特に好ましい。また、qは2〜4であることがより特に好ましい。
L1: −(CH−CO−O−(CH−O−;
L2: −(CH−CO−O−(CH−(CH(OH))−(CH−O−;
L3: −(CH−CO−O−(CH−(CH(OCO−R30))−(CH−O−;
L4: −(CH−CO−O−(CH−(CH(OH))−(CH−O−CO−;
−(CH−CO−O−(CH−(CH(OCO−R30))−(CH−O−CO−;
L5:−(CH−N(CHCOOH)−;
L6: −(CH−N(CHCOOH)−(CH−;
L7: −(CH−N(CHCOOH)−(CH−O−;
L8: −(CH−N(CHCOOH)−(CH−CONH−;
L9: −(CH−N(CHCOOH)−(CH−CONH−(CH−;
L10: −(CH−N(CHCOOH)−CO−;
L11: −(CH−N(CHCOOH)−CO−CH(CHCOOH)−;
L12: −(CH−N(CHCOOH)−SO−。
なお、上記のLの具体例に含まれるR30は、前記一般式(3)における前記Rと同義である。すなわち、−(CH−CO−O−(CH−(CH(OCO−R))−(CH−O−という連結基におけるRは便宜上Lの内部に記載しているだけであり、連結基LはR30を除いた部分を意味する。つまり、この場合Lは3価である。一般式(3)で表すと、X−L−(R、[但しLは−(CH−CO−O−(CH−(CH(OCO−))−(CH−O−を表す]と記載でき、すなわちこのときの連結基Lは3価の連結基となっている。
前記Lと前記Xはエステル結合またはアミド結合で結合していることが好ましく、エステル結合で結合していることがより好ましい。また、前記Xにはエステル結合やアミド結合が存在しない方が好ましい。
前記Lと前記Rはエステル結合、エーテル結合またはアミド結合で結合していることが好ましく、エステル結合またはアミド結合で結合していることがより好ましく、エステル結合で結合していることが特に好ましい。また、前記Rにはエステル結合やエーテル結合やアミド結合が存在しない方が好ましい。
以下に本発明の一般式(3)で表される有機酸の好ましい具体例を以下に挙げる。
《脂肪酸》
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸、ウンデカン酸。
《アルキル硫酸》
ミリスチル硫酸、セチル硫酸、オレイル硫酸。
《アルキルベンゼンスルフォン酸》
ドデシルベンゼンスルフォン酸、ペンタデシルベンゼンスルフォン酸。
《アルキルナフタレンスルフォン酸》
セスキブチルナフタレンスルフォン酸、ジイソブチルナフタレンスルフォン酸。
《ジアルキルスルフォコハク酸》
ジオクチルスルフォコハク酸、ジヘキシルスルフォコハク酸、ジシクロヘキシルコハク酸、ジアミルスルフォコハク酸、ジトリデシルシクロコハク酸。
≪一般式(3’)で表される多価カルボン酸≫
前記一般式(3)で表される有機酸は、下記一般式(3’)で表される多価カルボン酸であることが好ましい。
一般式(3’)
Figure 0005948287
一般式(3’)中、sおよびtは、独立して1、2または3であり、Rは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、または、複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。但しRは前記一般式(3)におけるRを含む。
sおよびtは、より好ましくは、それぞれ独立して1または2であり、さらに好ましくは1である。
は、より好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基(置換基を有してもよく、シクロアルキル基であってもよい)、炭素数6〜30のアリールスルホニル基(置換基を有してもよい)、アシル基(置換基を有してもよい)であり、炭素数1〜30のアルキル基であることがより好ましく、さらに好ましくは、炭素数1〜24のアルキル基(置換基を有してもよい)であり、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基である。
が表す基の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルフォンアミド基、カルボキシル基等が挙げられる。Rが表す基の置換基として、より好ましくは、アルキル基、アシル基、アリール基、カルバモイル基、であり、さらに好ましくは、アリール基、カルバモイル基である。
が表す基の置換基は、さらに置換基を有していてもよく、該置換基の好ましい範囲は前記Rが表す基の置換基の好ましい範囲と同様である。
また、Rとして最も好ましいのは、アリール基を置換基として有する炭素数1〜24のアルキル基、または、カルバモイル基を置換基として有する炭素数1〜24のアルキル基であり、該カルバモイル基はアリール基で置換されていることが好ましい。さらに該アリール基は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基で置換されていることが最も好ましい。
前記一般式(3’)で表されるカルボン酸誘導体の具体例としては、例えば式(31)で表されるN−(2,6−ジエチルフェニルカルバモイルメチル)イミノジ酢酸;
Figure 0005948287
式(32)で表されるN−ベンジルイミノジ酢酸;
Figure 0005948287
式(33)〜(40);
Figure 0005948287
式(41)で表されるラウラミノジ酢酸;
Figure 0005948287
式(42)〜(50);
Figure 0005948287
で表される化合物が挙げられる。
《多価有機酸の一部誘導体》
前記一般式(3)で表される化合物は、多価有機酸の一部誘導体であることが好ましい。本明細書中、多価有機酸の一部誘導体とは、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価有機酸がエステル結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換の酸性基を少なくとも1つ有する化合物のことを言う。なお、本明細書中、脂肪酸とは、脂肪族モノカルボン酸を意味する。すなわち、本明細書中における脂肪酸は、いわゆる高級脂肪酸に限定されるものではなく、酢酸やプロピオン酸などの炭素数12以下の低級脂肪酸も含まれる。
前記多価有機酸の一部誘導体は、多価カルボン酸の一部誘導体であることが好ましい。すなわち、前記一般式(3)で表される化合物は、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価カルボン酸1分子がエステル結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換のカルボキシル基を少なくとも1つ有することが好ましい。前記多価カルボン酸の一部誘導体に用いられる多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸が好ましい。
前記多価有機酸の一部誘導体に用いられる前記多価アルコールとしては、アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール、グリセリン等を挙げることができる。その中でも、グリセリンが好ましく、一般式(3)で表される化合物はいわゆる有機酸グリセリドであることが好ましい。
一般式(3)で表される化合物としては、有機酸の酸性基Xが、グリセリン由来の基を含む連結基Lを介して、疎水性部Rと結合している有機酸グリセリド(グリセリン脂肪酸有機酸エステル)が好ましい。ここで、本明細書中における有機酸グリセリドとは、グリセリンの3個のヒドロキシル基のうち1個または2個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りのヒドロキシル基のうち1個または2個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。
その中でも、有機酸モノグリセリドまたは有機酸ジグリセリドがより好ましく、有機酸モノグリセリドがより特に好ましい。本明細書中における有機酸モノグリセリドとは、グリセリンの3個のヒドロキシル基のうち1個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基のうち1個または2個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。本明細書中における有機酸ジグリセリドとは、グリセリンの3個のヒドロキシル基のうち2個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りのヒドロキシル基1個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。
前記有機酸モノグリセリドの中でも、グリセリンの3個のヒドロキシル基のうち1個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りのヒドロキシル基のうち1個が無置換のヒドロキシル基であり、残りのヒドロキシル基1個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物であることがより特に好ましい。前記有機酸モノグリセリドの脂肪酸とエステル結合しているヒドロキシル基は非対称の位置(いわゆるαモノグリセリドの位置)であることが好ましく、前記有機酸モノグリセリドの多価有機酸とエステル結合しているヒドロキシル基は同様に非対称の位置(いわゆるαモノグリセリドの位置)であることが好ましい。すなわち、前記有機酸モノグリセリドの中でも、無置換のヒドロキシル基を有し、かつ脂肪酸とエステル結合しているヒドロキシル基の直結する炭素原子と、多価有機酸とエステル結合しているヒドロキシル基の直結する炭素原子とが隣り合わない構造の化合物であることが好ましい。
前記有機酸モノグリセリドの中でも、多価カルボン酸のモノグリセリドがより特に好ましい。前記多価カルボン酸のモノグリセリドとは、多価カルボン酸のうち、少なくとも1つが無置換のカルボキシル基を有し、その他のカルボキシル基がモノグリセリドで置換されている有機酸のことを言う。すなわち、グリセリン1分子に脂肪酸1分子と多価カルボン酸1分子が結合したカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドが特に好ましい。
前記多価カルボン酸のモノグリセリドに用いられる前記多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸が好ましい。
前記多価カルボン酸のモノグリセリドに用いられる前記脂肪酸は限定されないが、炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が好ましく、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等があげられる。
以下に、本発明の製造方法に使用することができるカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドについて詳しく説明する。
本発明で使用することができるカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドは、一般的には、特開平4−218597号公報、特許第3823524号公報等に記載されている方法に従って、多価有機酸の無水物と脂肪酸モノグリセリドを反応させることにより得られる。
反応は、通常、無溶媒条件下で行われ、例えば無水コハク酸と炭素数18の脂肪酸モノグリセリドの反応では、温度120℃前後において90分程度で反応が完了する。かくして得られた有機酸モノグリセリドは、通常、有機酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、及びその他オリゴマーを含む混合物となっている。本発明においては、このような混合物のまま使用してもよい。
前記カルボキシル基含有有機酸モノグリセリドの純度を高めたい場合は、上記のような混合物中のカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドを蒸留等により精製すればよく、また、純度の高いカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドとしては、蒸留モノグリセリドとして市販されているものを使用できる。前記カルボキシル基含有有機酸モノグリセリドの市販品としては、例えば、理研ビタミン(株)社製ポエムK−37V(グリセリンクエン酸オレイン酸エステル)、花王社製ステップSS(グリセリンステアリン酸/パルミチン酸コハク酸エステル)等があげられる。
本発明の偏光板保護フィルムが一般式(3)で表される化合物を含有する場合、一般式(3)で表される化合物の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して1〜20質量部の割合であり、1〜10質量部であることが特に好ましく、1〜5質量部であることがより特に好ましい。
<一般式(III)で表される化合物>
本発明の偏光板保護フィルムは、一般式(III)で表される化合物を、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、1〜20質量部の範囲内で含有する。
一般式(III)
Figure 0005948287
一般式(III)中、R11は置換基を表し、R12は下記一般式(III−1)で表される置換基を表し、n1は0〜4の整数を表し、n1が2以上のとき、複数のR11は互いに同一であっても異なっていてもよく、n2は1〜5の整数を表し、n2が2以上のとき、複数のR12は互いに同一であっても異なっていてもよい。但し、n1とn2の合計は1〜5の整数である。
一般式(III−1)
Figure 0005948287
一般式(III−1)中、A11は置換又は無置換の芳香族環を表し、R13及びR14はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は下記一般式(III−2)で表される基を表し、R15は単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、Xは置換又は無置換の1価の芳香族環を表し、n3は0〜10の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のR15及びXはそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(III−2)
Figure 0005948287
一般式(III−2)中、R16、R17、R18及びR19はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、Xは置換又は無置換の1価の芳香族環を表し、n5は1〜11の整数を表し、n5が2以上のとき、複数のR16、R17、R18、R19及びXは互いに同一であっても異なっていてもよい。
本発明では、前記一般式(III)で表される化合物を(メタ)アクリル系樹脂に添加することで、ヘイズを悪化させることなく透湿度を低くすることができ、偏光板の保護フィルムとしての使用に適する。このような効果が得られることの詳細については定かではないが、一般式(III)で表される化合物は、フェノール性ヒドロキシル基及び芳香族環の相互作用が強いことが要因として考えられる。(メタ)アクリル系樹脂は、水と水素結合するよりも一般式(III)で表される化合物と水素結合することで安定化エネルギーがより大きくなる。
このため、一般式(III)で表される化合物を含有した(メタ)アクリル系樹脂をフィルム化したとき、一般式(III)で表される化合物は、(メタ)アクリル系樹脂の主鎖の近傍に入り込みやすくなる一方、(メタ)アクリル系樹脂の主鎖の近傍に存在する水分子の量が減少し、水と(メタ)アクリル系樹脂との相互作用が弱くなることでフィルムの疎水性が高まる。フィルムの疎水性が高まることで、(メタ)アクリル系樹脂内の水分の透過を抑ることができる。このため、一般式(III)で表される化合物を含有する(メタ)アクリル系樹脂フィルムを偏光子の保護フィルムとして使用すると、偏光子内に水分が透過することを抑えられ、高温高湿環境下での偏光板耐久性が向上すると考えられる。
また、後述する一般式(IV)で表される化合物を用いることで、着色(黄変)の原因と考えられる、フェノール類の酸化による、キノン類の生成を抑制することができると考えられる。
前記一般式(III)において、R11は置換基を表す。置換基の例としては、特に制限はなく、アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜10のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、1−エチルペンチル基、ベンジル基、2−エトキシエチル基、1−カルボキシメチル基等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、オレイル等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル基、ブタジイニル基、フェニルエチニル基等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、4−メトキシフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル基、4−ピリジル基、2−イミダゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基、2−チアゾリル基、2−オキサゾリル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ベンジルオキシ基等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−エチルアミノ基、アニリノ基等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド基、N−フェニルスルホンアミド基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、シアノ基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、ヒドロキシル基が挙げられる。
11は、(メタ)アクリル系樹脂との相溶性の観点から、炭素原子数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基、ヒドロキシル基が更に好ましく、ヒドロキシル基、メチル基が特に好ましい。
また、R11は、置換基に1つ以上の前記置換基を有していてもよい。
前記一般式(III)において、n1は、0〜4の整数を表し、(メタ)アクリル系樹脂との相溶性の観点から、2〜4が好ましい。
前記一般式(III)において、n2は、1〜5の整数を表し、(メタ)アクリル系樹脂との相溶性の観点から、1〜3が好ましい。
前記一般式(III)において、R12は一般式(III−1)で表される置換基を表す。
一般式(III−1)について説明する。
一般式(III−1)
Figure 0005948287
一般式(III−1)中、A11は置換又は無置換の芳香族環を表し、R13及びR14はそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、又は下記一般式(III−2)で表される基を表し、R15は単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表し、Xは置換又は無置換の1価の芳香族環を表し、n3は0〜10の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のR15及びXはそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(III−1)において、A11は、置換又は無置換の芳香族環を表す。芳香族環は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含む複素環であってもよい。
11の例としては、ベンゼン環、インデン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ビフェニル環、ピレン環、ピラン環、ジオキサン環、ジチアン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環、トリアジン環などが挙げられる。また、他の6員環又は5員環が縮合していてもよい。
偏光板耐久性の観点からA11は、ベンゼン環が好ましい。
11が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基、ヒドロキシル基などが挙げられ、炭素数1〜6のアルキル基又はヒドロキシル基が好ましい。
一般式(III−1)中、R13及びR14はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましい。
一般式(III−1)中、R15は単結合又は炭素原子数1〜5のアルキレン基を表す。該炭素原子数1〜5のアルキレン基は置換基を有していてもよい。(メタ)アクリル系樹脂との相溶性の観点から、R15は、炭素原子数が1〜4のアルキレン基であることが好ましく、炭素原子数が1〜3のアルキレン基であることがより好ましい。R15が有していてもよい置換基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、ヒドロキシル基などが挙げられる。
一般式(III−1)中、Xは、置換又は無置換の1価の芳香族環(芳香族環から任意の一つの水素原子を除いた1価の基)を表す。芳香族環は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含む複素環であってもよい。Xの例としては、ベンゼン環、インデン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ビフェニル環、ピレン環、ピラン環、ジオキサン環、ジチアン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環、トリアジン環などが挙げられる。また、他の6員環又は5員環が縮合していてもよい。
偏光板耐久性の観点からXは、ベンゼン環が好ましい。Xが有していてもよい置換基としては、A11の置換基として挙げた例と同様である。
一般式(III−1)中、n3は0〜10の整数を表し、(メタ)アクリル系樹脂との相溶性の観点から、0〜4が好ましく、0〜3がより好ましく、0〜2が更に好ましく、0〜1が特に好ましい。なお、n3が2以上の整数である場合、複数の−(R15−X)で表される基はそれぞれ互いに同一であっても異なっていてもよく、それぞれA11に結合する。
前記一般式(III−1)は、下記一般式(III−1−1)で表されることが好ましい。
一般式(III−1−1)
Figure 0005948287
一般式(III−1−1)における、R13、R15、Xの定義は、一般式(III−1)中のR13、R15、Xと同義であり、好ましい範囲も同様である。
n3は0〜5の整数を表し、好ましい範囲は一般式(III−1)中のn3と同様である。
前記一般式(III−1)は、下記一般式(III−1−2)で表されることが好ましい。
一般式(III−1−2)
Figure 0005948287
一般式(III−1−2)における、n3の定義は、一般式(III−1−1)中のn3と同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(III−2)について説明する。
一般式(III−2)
Figure 0005948287
一般式(III−2)中、R16、R17、R18及びR19はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、Xは置換又は無置換の1価の芳香族環を表し、n5は1〜11の整数を表し、n5が2以上のとき、複数のR16、R17、R18、R19及びXは互いに同一であっても異なっていてもよい。
一般式(III−2)において、R16、R17、R18及びR19はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基がより好ましい。
一般式(III−2)において、Xは置換又は無置換の1価の芳香族環を表し、芳香族環の具体例及び好ましい範囲は、前記Xと同様である。
一般式(III−2)において、n5は1〜11の整数を表し、1〜9が好ましく、1〜7がより好ましい。
前記一般式(III−2)は、下記一般式(III−2−1)で表されることが好ましい。
一般式(III−2−1)
Figure 0005948287
一般式(III−2−1)におけるR16、R17、R19、及びn5は一般式(III−2)におけるR16、R17、R19、及びn5とそれぞれと同義であり、好ましい範囲も同様である。
前記一般式(III−2)は、下記一般式(III−2−2)で表されることが好ましい。
一般式(III−2−2)
Figure 0005948287
一般式(III−2−2)中、n4は0〜10の整数を表す。
一般式(III−2−2)中、n4は、0〜10の整数を表し、0〜8が好ましく、0〜6がより好ましい。
一般式(III)で表される化合物は、R12が一般式(III−1−2)で表される基であり、n2が1〜3の整数を表し、n3が0〜2の整数を表す態様であることが好ましい。
以下に、一般式(III)で表される化合物の具体例を示すが、以下の具体例に限定されるものではない。
Figure 0005948287
Figure 0005948287
Figure 0005948287
一般式(III)で表される化合物の重量平均分子量は200〜1200であることが好ましく、250〜1000であることがより好ましく、300〜800であることが特に好ましい。
分子量が200以上であると、フィルムからの揮散が少なく、好ましい。分子量が1200以下であるとヘイズを低く抑えることが容易であるため好ましい。
一般式(III)で表される化合物の含有量は、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、1〜20質量部であり、1〜10質量部であることが好ましく、2〜7質量部であることがより好ましく、3〜6質量部であることが更に好ましい。
上記のような含有量とすることで、偏光板耐久性に優れ、透明性にも優れた偏光板保護フィルムを得ることができる。
なお、ヒドロキシル基数の異なる一般式(III)で表される化合物が多点で水素結合することを可能とするために、互いに異なる2種以上の一般式(III)で表される化合物を少なくとも2種含有する混合物としてもよい。一例は、フェノールに対してスチレンが1〜3モルアルキル化したスチレン化フェノールと、アルキル化したスチレンのフェニル部位にさらにスチレンがアルキル化したスチレン化フェノールと、スチレンの2〜4量体程度のオリゴマーがフェノールにアルキル化したスチレン化フェノールとの混合物が挙げられる。
2種以上の一般式(III)で表される化合物を併用した場合の含有量の上記の範囲とすることが好ましい。
一般式(III)で表される化合物は、一般に、1当量のフェノール類に酸触媒の存在下、1当量以上のスチレン類を添加することによって合成することができ、市販品を用いてもよい。また、上記合成法により得られた混合物をそのまま使用してもよい。
一般式(III)で表される化合物の市販品としては、三光株式会社製のトリスチレン化フェノールである「TSP」、日塗料化学株式会社製のスチレン化フェノールである「PH−25」及び「PH−30−90T」、精工化学株式会社製のスチレン化フェノールである「ノンフレックスWS」などが挙げられる。
前記一般式(III)で表される化合物が、ニッケルを質量基準で0.05〜0.50ppm含有することが好ましい。特開平7−113003号公報に記載されているように、フェノール系化合物は製造段階でニッケルが混入する。本発明者は、前記一般式(III)で表される化合物のニッケル含有量を質量基準で0.05〜0.50ppmとすることでフェノール類を酸化する触媒としての働きが低下するという効果が得られると推測している。特に、後述する一般式(IV)で表される化合物のフィルム黄変抑制の効果を増強する効果があるものと考えられる。
前記一般式(III)で表される化合物のニッケル含有量は、質量基準で0.14〜0.50ppmがより好ましく、0.14〜0.40ppmがより好ましく、0.14〜0.35ppmが更に好ましい。
前記一般式(III)で表される化合物におけるニッケル含有量は、イオン交換法や直接添加により調節することができる。
<一般式(IV)で表される化合物>
本発明の偏光板保護フィルムは、下記一般式(IV)で表される化合物を、前記一般式(III)で表される化合物100質量部に対して、0.5〜1.9質量部の範囲内で含有することが好ましい。
一般式(IV)
Figure 0005948287
一般式(IV)中、R20は炭素原子数3〜20の置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表し、R21及びR22はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜6の置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表し、R21及びR22は互いに結合して環状構造を形成してもよい。Xは単結合又はカルボニル基を表す。
本発明者の検討によれば、(メタ)アクリル系樹脂に、芳香族環が置換したアルキル基を置換基として有する特定構造のフェノール系化合物(一般式(III)で表される化合物)と、特定のアミン・アミド系化合物(一般式(IV)で表される化合物)を特定の含有率で添加した偏光板保護フィルムにより、高温高湿経時における直交透過率の低下を抑制でき、かつ黄変の抑制が特に優れることを見出した。
前記特定構造のフェノール系化合物と、特定のアミン・アミド系化合物を特定の含有率で添加した(メタ)アクリル系樹脂フィルムにより、黄変抑止と偏光板耐久性の低減の抑制が特に優れる理由については定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、安定化剤として添加するフェノール類が酸化されてキノンとなることにより、着色(黄変)が発生しやすくなるが、これを抑止するためにアミン・アミド系化合物を多量に添加すると、偏光板耐久性が悪化する。これは、アミン・アミド系化合物ヨウ素吸着性が高く、偏光子中のヨウ素が保護フィルム中に拡散することが原因と推定される。一方、着色(黄変)抑制に関しては、アミン・アミド類が、ラジカル連鎖開始阻止(ラジカル連鎖開始に必要な金属等をキレート効果により、トラップすると推定される)として働くと考えられ、極少量で効果がある。本発明では、フェノール類と、極少量のアミン・アミド系化合物を併用することで、偏光板耐久性をほとんど目減らさずに着色(黄変)抑制を大きく改良できたと考えられる。
一般式(IV)において、R20は炭素原子数4〜21の置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。該炭素原子数4〜21のアルキル基としては、炭素数6〜20のアルキル基が好ましく、炭素数8〜20のアルキル基がより好ましく、具体的には、ラウリル基、ステアリル基、オレイル基が好ましく、ラウリル基がより好ましい。該アルケニル基としては、炭素数6〜20のアルケニル基が好ましく、炭素数8〜20のアルケニル基がより好ましく、具体的には、ラウリル基、ステアリル基、オレイル基が好ましく、ラウリル基がより好ましい。
一般式(IV)において、R21及びR22はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜6の置換若しくは無置換のアルキル基又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。該炭素原子数1〜6のアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基がより好ましい。該アルケニル基としては、炭素数2〜5のアルケニル基が好ましく、炭素数2〜4のアルケニル基がより好ましい。
一般式(IV)において、R20、R21、及びR22におけるアルキル基又はアルケニル基が置換基を有する場合の置換基は下記置換基群(V)から選ばれる基であることが好ましい。
置換基群(V)
Figure 0005948287
置換基群(V)中、R23、R24、R25、R26及びR27はそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。*は結合部位を表す。
23、R24、R25、R26及びR27は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基がより好ましい。
前記置換基群(V)のうち、特にヒドロキシル基、カルボニル基であることが好ましく、ヒドロキシル基であることが最も好ましい。
一般式(IV)において、R21及びR22は互いに結合して環状構造を形成してもよく、形成される環としては、ピペリジンなどが挙げられる。
前記一般式(IV)で表される化合物が下記一般式(VI)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(VI)
Figure 0005948287
一般式(VI)中、R28は炭素原子数3〜20の置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表し、R29及びR30は水素原子又は炭素原子数1〜6の置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。
一般式(VI)中、R29及びR30の具体例及び好ましい範囲は、一般式(IV)中のR21及びR22と同様である。
一般式(VI)中、R28は炭素原子数3〜20の置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表し、好ましい範囲は、炭素原子数6〜20置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアルケニル基である。アルキル基としては、例えば、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられ、アルケニル基としては、例えば、アリル基、オレイル基等が挙げられる。
前記一般式(IV)で表される化合物が下記一般式(VII)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(VII)
Figure 0005948287
一般式(VII)中、R31は炭素原子数3〜20のアルキル基又はアルケニル基を表す。
31の具体例及び好ましい範囲は、R28と同様である。
一般式(IV)で表される化合物の具体例としては、ラウリルジエタノールアミド、ステアリルジエタノールアミド、オレイルジエタノールアミドなどが挙げられ、ラウリルジエタノールアミド、ステアリルジエタノールアミドが特に好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、一般式(IV)で表される化合物を、前記一般式(III)で表される化合物100質量部に対して、0.5〜1.9質量部の範囲内で含有することが好ましく、より好ましくは0.7〜1.9質量部であり、更に好ましくは1.0〜1.9質量部であり、特に好ましくは1.2〜1.9質量部である。一般式(IV)で表される化合物の含有量が、前記一般式(III)で表される化合物100質量部に対して、0.5質量部以上であるとフィルムの着色(黄変)の抑制の観点で好ましく、1.9質量部以下であると偏光板耐久性の観点で好ましい。
[偏光板]
本発明の偏光板は、前記本発明の偏光板保護フィルムを含んでなる。好ましくは、偏光子と、該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムを含み、少なくとも1枚の偏光板保護フィルムが、前記本発明の偏光板保護フィルムである構成である。
<偏光子>
まず、本発明の偏光板に用いられる偏光子について説明する。
本発明の偏光板に用いることができる偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
(1−1)PVA
前記PVAとしては、ポリ酢酸ビニルを鹸化したポリマー素材が好ましいが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分とを含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
この他、本発明の偏光板には、特許第3021494号公報に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量%混合した溶液や、特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
(1−2)二色性分子
二色性分子はI やI などの高次のヨウ素イオン若しくは二色性染料を好ましく使用することができる。
本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液及び/又はホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。このような二色性染料の具体例としては、特開2007−086748号公報に記載のものを挙げることができる。
(1−3)ホウ酸
本発明の偏光板は偏光子に架橋剤としてホウ酸を含有する。ホウ酸で偏光子を架橋することにより、二色性分子とPVAから形成される錯体の安定性が向上し、高温高湿条件における偏光性能劣化を抑制することができる。本発明の偏光板の偏光子中のホウ酸の含有率は偏光子100質量部に対して1質量部以上100質量部以下が好ましく、5質量部以上50質量部以下が好ましい。上記範囲にホウ酸の含有率を制御することにより色味のバランスのとれた偏光子を作製することができる。
(1−4)偏光子の膜厚
偏光子の延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、10〜200μmが特に好ましい。また、特開2002−236212号に記載されているように水中において4倍〜6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
偏光子の延伸後の膜厚は、3μm以上20μm以下である。3μm以上15μm以下がさらに好ましく、3μm以上10μm以下が最も好ましい。偏光子を前記膜厚にすることにより、環境湿度による液晶パネルのそりや歪みを小さくすることができる。
(1−5)偏光板の膜厚
本発明の偏光板の膜厚は、15μm以上70μm以下であることが好ましく、15μm以上60μm以下がより好ましく、15μm以上50μm以下が最も好ましい。偏光板を前記膜厚にすることにより、環境湿度による液晶パネルのそりや歪みを小さくすることができる。
<偏光板保護フィルム>
次に、本発明の偏光板に用いられる偏光板保護フィルムについて説明する。
(偏光板保護フィルムの膜厚)
前記有機酸を含む偏光板保護フィルムの膜厚は10μm〜100μmが好ましく、20μm〜80μmがより好ましく、20μm〜60μmが特に好ましい。
ここで、本発明の偏光板に用いられる2枚の偏光板保護フィルムは、ともに同じ偏光板保護フィルムであっても、異なる偏光板保護フィルムであってもよい。
以下、前記偏光板保護フィルムに用いられる樹脂、添加剤について説明する。
<樹脂>
偏光板保護フィルムは、フィルム状の樹脂であることが好ましい。前記偏光板保護フィルムで使用する樹脂について説明する。
前記偏光板保護フィルムに用いられる樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はない。前記樹脂としてはセルロースアシレート樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂を挙げることができ、その中でも(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。すなわち前記偏光板保護フィルムは(メタ)アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
本発明の偏光板は、少なくとも1枚の本発明における(メタ)アクリル系樹脂フィルムを偏光板保護フィルムとして有することが好ましい。
〔偏光子保護フィルムの成型〕
本発明の偏光子保護フィルムは、好ましくは、前述の(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分を含有する成型材料を、押出し成型(Tダイ法やインフレーション法などの溶融押出法)にて成型して得られる。具体的には、直接添加あるいはマスターバッチ法を用いた二軸混練を行うことが好ましい。混練方法としては、単軸押出機や二軸押出機などの押出機、加圧ニーダー、東芝機械社製のTEM等を用いて、混練を行うことが好ましい。また、予めオムニミキサー等でプレブレンドしたものを混練しても良い。
本発明においては、押出し成型する際の成型材料として、(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分を含有し、好ましくは、さらにフェノール系、リン系、イオウ系の酸化防止剤1種以上を該樹脂成分に対して0.1質量部以上含有する成型材料を用いることによって、成型温度を250℃以上としても、最終的に偏光子保護フィルム中への着色(黄変)および発泡の生成が十分に抑制できる。したがって、押出し成型時の成型材料の温度が250℃以上となるように温度設定を行うことが好ましい。押出し成型時の成型材料の温度は、より好ましくは250〜300℃である。温度が上がりすぎると、(メタ)アクリル系樹脂の分解が進行しやすいおそれがある。
押出し成型は、ドライラミネーション法のように、加工時に使用される接着剤中の溶媒、例えば、ドライラミネーション用の接着剤中の有機溶剤を乾燥、飛散させる必要がなく、溶媒乾燥工程が不要であり、生産性に優れる。
本発明の偏光子保護フィルムを得るための成型方法の好ましい実施態様の一例としては、成型材料を二軸混練機に添加して成型温度を250℃以上として押出して樹脂ペレットを作製し、得られた樹脂ペレットをTダイに連結した単軸押出し機に供給してダイス温度250℃以上で押出し、偏光子保護フィルムとする。
Tダイ法で押し出しフィルム成形する場合は、任意の適切な単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出したフィルムを巻取りロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出し方向に延伸を加えることで、一軸延伸工程とする事も可能である。また、押出し方向と垂直な方向にフィルムを延伸する工程を加える事で、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの工程を加えることも可能である。
(添加剤の添加)
偏光板保護フィルムの樹脂原料である(メタ)アクリル系樹脂に対し、前記一般式(III)で表される化合物、及び一般式(IV)で表される化合物を添加するタイミングは特に限定されない。例えば、(メタ)アクリル系樹脂の合成時点で添加してもよいし、成型時に混ぜてもよい。
(紫外線吸収剤の添加)
本発明においては偏光板保護フィルムに、偏光板又は液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤を加えてもよい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2−メチレンビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の含有量は、偏光板保護フィルム100質量部に対して0.1質量部〜10.0質量部が好ましい。
(その他の添加剤の添加)
偏光板保護フィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。また、前記劣化防止剤の含有量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。含有量が0.01質量%以上であれば、劣化防止剤の効果が十分に発揮されるので好ましく、含有量が1質量%以下であれば、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)などが生じにくいので好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
<偏光子の製造方法>
本発明の偏光板の製造方法における前記偏光子の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、前記PVAをフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造は、特開2007−86748号公報の〔0213〕〜〔0237〕に記載の方法、特許登録第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
具体的には、前記偏光子の製造方法を、PVA系樹脂溶液の調製工程、流延工程、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けてもよい。
(PVA系樹脂溶液の調製)
前記PVA系樹脂溶液の調製工程では、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を調製することが好ましい。原液中のPVA系樹脂の濃度は、好ましくは5〜20質量%である。例えば、PVAのウェットケーキを溶解槽に入れ、必要に応じて可塑剤、水を加え、槽底から水蒸気を吹き込みながら攪拌する方法が好ましい。内部樹脂温度は50〜150℃に加温することが好ましく、系内を加圧してもよい。
また、前記偏光子中に酸を添加しなくてもよく、添加してもよいが、添加する場合はこの工程で加えることが好ましい。なお、偏光子中に酸を添加する場合は、前記偏光板保護フィルムに含まれる前記有機酸と同じものを用いてもよい。
(流延)
前記流延工程は、上記にて調製したPVA系樹脂溶液原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。流延の方法としては、特に制限はないが、加熱した前記PVA系樹脂溶液原液を2軸押し出し機に供給し、ギアポンプにより排出手段(好ましくはダイ、より好ましくはT型スリットダイ)から支持体上に流涎して製膜することが好ましい。また、ダイからの排出される樹脂溶液の温度については特に制限はない。
前記支持体としては、キャストドラムが好ましく、ドラムの直径、幅、回転速度、表面温度については、特に制限はない。
その後、得られたロールの裏面と表面とを乾燥ロールに交互に通過させながら乾燥を行なうことが好ましい。
(膨潤)
前記膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化及び、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜60℃、5秒〜2000秒が好ましい。
なお、膨潤工程のときにわずかに延伸を行ってもよく、例えば1.3倍程度に延伸する態様が好ましい。
(染色)
前記染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、及び浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストの偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素とヨウ化カリウムの質量比については特開2007−086748号公報に記載の態様を用いることができる。
また、特許登録第3145747号明細書に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
(硬膜)
前記硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、又は溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
前記架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号明細書に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加してもよい。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
また、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行ってもよく、特開2007−086748号公報に記載の方法を用いることができる。
なお、ここで、高温環境下における耐久性を高める方法として公知の酸性溶液による浸漬処理を行っても、行なわなくてもよい。前記酸性溶液による処理としては、特開2001−83329号公報、特開平6−254958号公報、国際公開WO2006/095815号公報などに記載の方法を挙げることができる。
(延伸)
前記延伸工程は、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、若しくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍〜12倍であり、さらに好ましくは3倍〜10倍である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号公報に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号公報に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95としたりすることも好ましく行うことができる。
(乾燥)
前記乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許登録第3148513号明細書に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号公報や特開平07−325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングしたりすることも好ましく行うことができる。
このような工程により、膜厚10〜200μmの偏光子を製造することが好ましい。なお、膜厚の制御は、公知の方法で制御することができ、例えば前記流延工程におけるダイスリット幅や、延伸条件を適切な値に設定することで制御できる。
<偏光子と偏光板保護フィルムの積層方法>
本発明の偏光板の製造方法は、上記にて得られた前記偏光子の両面に、2枚の偏光板保護フィルムを積層する。
本発明の偏光板の製造方法では、偏光板保護フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法により作製することが好ましい。
前記偏光板保護フィルムの処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
本発明の偏光板の偏光板保護フィルムの前記偏光子への貼り合せ方は、偏光子の透過軸と前記偏光板保護フィルムの遅相軸が実質的に平行、あるいは垂直となるように貼り合せることが好ましい。
ここで、実質的に平行であるとは、前記有機酸を含む偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが5°以内であることをいい、1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。また、実質的に垂直であるとは、前記有機酸を含む偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが85°以上95°以内であることをいい、89°以上91°以下、好ましくは89.5°以上90.5°以下であることが好ましい。ずれが1°以内、あるいは89°以上90°以下であれば、偏光板クロスニコル下での偏光度性能の低下、光抜けが抑制され好ましい。
<偏光板の性能>
(直交透過率CT)
本発明の偏光板は、直交透過率CTがCT≦2.0であることが好ましく、より好ましい範囲としてはCT≦1.3であり、最も好ましくはCT≦0.6(単位はいずれも%)である。
(直交透過率変化)
また、偏光板耐久性試験前後では直交透過率の変化量は小さいほうが好ましい。
本発明の偏光板は、60℃、相対湿度90%、1000時間経静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)が0.05%以下、且つ、105℃、Dry環境下(調湿をしていない状態であり、本発明における実施例では相対湿度0%〜20%)に50時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)が0.05%以下であることが好ましい。
ここで、直交透過率の変化量とは下記式で算出されるものである。
直交透過率の変化量(%)={(耐久性試験後の直交透過率(%)−耐久性試験前の直交透過率(%)
上記直交透過率の変化量の範囲を満たせば、偏光板の高温高湿下及び高温低湿下で長時間使用中あるいは保管中の安定性が確保でき、好ましい。
本発明において、偏光板の直交透過率CTは、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて測定した。測定では、410nmで測定し、10回測定の平均値を用いた。
ここで、偏光板耐久性試験は、ガラスの上に偏光板を、本発明の要件を満たす偏光板保護フィルムが空気界面側になるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作製する。単板直交透過率測定ではこのサンプルの本発明の偏光板フィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板直交透過率とする。
(その他の特性)
本発明の偏光板のその他の好ましい光学特性等については特開2007−086748号公報の〔0238〕〜〔0255〕に記載されており、これらの特性を満たすことが好ましい。
<形状・構成>
本発明の偏光板の形状は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子及びその両面を保護する偏光板保護フィルムで構成されているが、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成されることも好ましい。
前記プロテクトフィルム及び前記セパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
以下、本発明の偏光板に用いることができる偏光子と2枚の偏光板保護フィルムの詳細について説明する。
<偏光板の機能化>
本発明の偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板としても好ましく使用される。機能化のための反射防止フィルム、輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア層については、特開2007−86748号公報の〔0257〕〜〔0276〕に記載され、これらの記載を基に機能化した偏光板を作製することができる。
(3−1)反射防止フィルム
本発明の偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、又は薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
反射防止フィルムに用いる透明支持体は、前述の偏光子の保護フィルムに使用する透明ポリマーフィルムを好ましく使用することができる。
低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましく、さらに好ましくは1.30〜1.50である。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、シリコーン基を含有する含シリコーン化合物や、フッ素を含有する含フッ素化合物等の素材を用い表面への滑り性を付与することも好ましく行われる。
前記含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報[0018]〜[0026]、同11−38202号公報[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
前記含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
前記低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されてもよいが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、マイクログラビア法を好ましく使用することができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
中屈折率層及び高屈折率層は、平均粒子サイズ100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子をマトリックス用材料に分散した構成とすることが好ましい。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等を好ましく使用できる。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104号公報等)、特定の分散剤を併用する(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
前記マトリックス用材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等を使用できるが、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の多官能性材料や、特開2001−293818号公報等に記載の金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜を使用することもできる。
前記高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
前記中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
前記反射防止フィルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また、膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(3−2)輝度向上フィルム
本発明の偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光若しくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトとの間に配置され、一方の円偏光若しくは直線偏光をバックライト側に後方反射若しくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルム及び偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式及び異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明における偏光板と組み合わせることができる。
異方性反射方式では、一軸延伸フィルムと未延伸フィルムとを多重に積層して、延伸方向の屈折率差を大きくすることにより反射率並びに透過率の異方性を有する輝度向上フィルムが知られており、誘電体ミラーの原理を用いた多層膜方式(国際公開第95/17691号パンフレット、国際公開第95/17692号パンフレット、国際公開第95/17699号パンフレットの各明細書記載)やコレステリック液晶方式(欧州特許606940A2号明細書、特開平8−271731号公報記載)が知られている。誘電体ミラーの原理を用いた多層方式の輝度向上フィルムとしてはDBEF―E、DBEF−D、DBEF−M(いずれも3M社製)、コレステリック液晶方式の輝度向上フィルムとしてはNIPOCS(日東電工(株)製)が本発明で好ましく使用される。NIPOCSについては、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,19頁〜21頁などを参考にすることができる。
また、本発明では国際公開第97/32223号パンフレット、国際公開第97/32224号パンフレット、国際公開第97/32225号パンフレット、国際公開第97/32226号パンフレットの各明細書及び特開平9−274108号、同11−174231号の各公報に記載された正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーとをブレンドして一軸延伸した異方性散乱方式の輝度向上フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。異方性散乱方式輝度向上フィルムとしては、DRPF−H(3M社製)が好ましい。
本発明の偏光板は、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は、前述の反射防止フィルムにおける反射防止層、あるいは光学異方性層等と同一層内で相互に複合して使用することも好ましい。これらの機能層は、偏光子側及び偏光子と反対面(より空気側の面)のどちらか片面、又は両面に設けて使用できる。
(3−3)ハードコート層
本発明の偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前記ハードコート層は、光及び/又は熱による硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又は、加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層を形成する材料は、エチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合性基を含む化合物を用いることができ、これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等のヒドロキシル基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。また、市販化合物としては、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220、TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、開環重合性基を含む化合物の好ましい例としては、グリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合できるモノマーとの共重合体をハードコート層に使用することもできる。
ハードコート層には、ハードコート層の硬化収縮の低減、基材との密着性の向上、本発明においてハードコート処理物品のカールを低減するため、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の酸化物微粒子やポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等の架橋粒子、SBR、NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子等の架橋微粒子を添加することも好ましく行われる。これらの架橋微粒子の平均粒子サイズは、1nm〜20000nmであることが好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の含有量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
上記で記載した無機微粒子を添加する場合、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属を含有し、かつアルコキシド基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用いて表面処理を行うことも好ましく行われる。
ハードコート層は、熱又は活性エネルギー線を用いて硬化することが好ましく、その中でも放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることがより好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることが特に好ましい。熱で硬化させる場合は、プラスチック自身の耐熱性を考えて、加熱温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
(3−4)前方散乱層
前方散乱層は、本発明における偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、前方散乱層は屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子との相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明における偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学(株)の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
(3−5)アンチグレア層
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
[液晶表示装置]
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする。
図1は、本発明の液晶表示装置の例を示す一例である。図1において、液晶表示装置10は、液晶層5とこの上下に配置された液晶セル上電極基板3及び液晶セル下電極基板6とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された上側偏光板1及び下側偏光板8からなる。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。前記液晶表示装置10を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。
上側偏光板1及び下側偏光板8は、それぞれ2枚の偏光板保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有しており、本発明の液晶表示装置10は、少なくとも一方の偏光板が本発明の偏光板であることが好ましい。本発明の液晶表示装置10は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、前記本発明の偏光板保護フィルム、偏光子、一般の透明保護フィルム、の順序で積層することが好ましい。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子又は2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
(VAモード)
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層5の厚さdは3.5μm程度に設定してあることが好ましい。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の膜厚を0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
液晶セルの上側偏光板1の吸収軸2と下側偏光板8の吸収軸9は略直交に積層する。液晶セル上電極基板3及び液晶セル下電極基板6のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層5中の液晶分子は、基板面に対して概略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。すなわち、液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は基板面に平行な方向に傾斜し、液晶パネルを通過する光はかかる傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させる。換言すると、液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。なお図1において、符号4及び7は、配向制御方向である。
ここでは上下基板間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用することが好ましい。また電極を一方の基板に配置し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、コントラストは正面では高いが、斜め方向では劣化する課題がある。黒表示時に液晶分子は基板面に垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。
また白表示時には液晶分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる。これを解決するためには、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にすることも好ましい。
(マルチドメイン)
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
また配向分割の領域境界では、液晶分子が応答しづらい。そのためノーマリーブラック表示では黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。そこで液晶材料にカイラル剤を添加して境界領域を小さくすることが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
また、以下実施例101〜127、134〜137は参考例と読み替えるものとする。
(アクリル樹脂ペレットの作製)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた30L反応釜に、7000gのメタクリル酸メチル(MMA)、1000gの2−[2´−ヒドロキシ−5´−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2000gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、10000gのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤として10.0gのターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、20.0gの開始剤と100gのトルエンからなる溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、10gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜110℃)で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(Φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押出すことにより、透明なラクトン環含有アクリル系樹脂ペレット(A)を得た(Mw=200000)。
ラクトン環含有アクリル系樹脂ペレット(A)のラクトン環化率は97.0%であった。
〔実施例101〕
上記アクリル系樹脂ペレット(A)100質量部に対して、TSP(三光株式会社製スチレン化フェノール)を4質量部、2軸混練機にて230℃にて混合し、樹脂ペレット(101)を作製した。
得られた樹脂ペレット(101)を、800Pa(6Torr)、100℃で12時間乾燥させ、単軸の押出機にてダイス温度を290℃でTダイから押出し、膜厚60μmの偏光板保護フィルム(101)を作製した。
<偏光子の作製>
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上のポリビニルアルコールからなる膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光フィルム(偏光子)を得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行ない、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
(偏光板の作製)
上記で得られた偏光子の片面に偏光板保護フィルム(101)を、総研化学(株)製SK粘着シートを用いて貼り合わせた。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行った。ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した偏光板保護フィルム(101)を貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に、鹸化処理後の市販のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けた。ポリビニルアルコール系接着剤は、それぞれ偏光板保護フィルム側に塗布し、70℃で10分間乾燥させて偏光板を得た。
このようにして実施例101の偏光板を作製した。
[実施例102〜133、比較例201〜206]
〔偏光板保護フィルムの作製〕
実施例101において、添加化合物(「添加剤A」であるTSP、「添加剤B」)の種類および含有量、フィルム膜厚を下記表1に記載したとおりに変更した以外は同様にして、実施例102〜133、及び比較例201〜206の偏光板に用いる偏光板保護フィルムをそれぞれ製造した。
なお、「添加剤A」として用いたTSPは下記のように調整した。
<実施例101、113〜119に用いたTSP>
実施例102のTSP(三光株式会社の製品)100質量部と塩化ニッケル(II)0.000044質量部を1000質量部のジクロロメタンに溶解させた。溶液を140℃で2時間乾燥し、TSP(Ni含有量0.35ppm)を得た。
<実施例120に用いたTSP>
実施例102のTSP(三光株式会社の製品)100質量部と塩化ニッケル(II)0.000110質量部を1000質量部のジクロロメタンに溶解させた。溶液を140℃で2時間乾燥し、実施例120のTSP(Ni含有量0.65ppm)を得た。
〔偏光板の作製〕
偏光板保護フィルム101の替わりに、実施例102〜133、及び比較例201〜206の偏光板に用いる偏光板保護フィルムを用いる以外は、それぞれ実施例101と同様にして偏光板作製を行い、各実施例および比較例の偏光板を作製した。
[比較例211]
〔偏光板の作製〕
鹸化処理した市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例101と同様にして製造した偏光子の片側に貼り付けた。さらに、市販のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に、市販のポリエチレンテレフタラートフィルム(帝人製、商品名「テイジンテトロンフィルム−K」)を、総研化学(株)製SK粘着シートを用いて貼り付け、比較例211の偏光板を作製した。
[評価]
<フィルムの着色(黄変)の評価>
上記で作製した各実施例および比較例の偏光板保護フィルムについて、105℃、Dry環境下(調湿をしていない状態であり、本発明における実施例では相対湿度0%〜20%)で72時間保存した後に、10枚重ねて、島津製作所の分光光度計UV3150を用いて、色相b*を測定した。その結果を下表1に記載した。色相b*の値がマイナス側に大きくなると透過光は青味が増し、プラス側に大きくなると黄色味が増す。
A:b*が4.0未満
B:b*が4.0以上、8.0未満
C:b*が8.0以上
<偏光板耐久性の評価>
上記で作製した各実施例および比較例の偏光板について、波長410nmにおける偏光子の直交透過率CTを、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて測定し、10回測定の平均値を用いた。
偏光板耐久性試験は偏光板をガラスに、本発明の偏光板保護フィルムが空気界面側となるように粘着剤を介して貼り付けた形態で次のように行った。ガラスの上に偏光板を貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作製した。単板直交透過率測定ではこのサンプルのガラスの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を偏光板の直交透過率とした。
その後、60℃、相対湿度90%の環境下で1000時間保存した後について同様の手法で直交透過率を測定した。経時前後の直交透過率の変化を求め、これを偏光板耐久性として下記表1にその結果を記載した。
ここで、直交透過率の変化量とは下記式で算出されるものである。
直交透過率の変化量(%)={(耐久性試験後の直交透過率(%)−耐久性試験前の直交透過率(%)
A:直交透過率の変化量が0.06%未満
B:直交透過率の変化量が0.06%以上、0.08%未満
C:直交透過率の変化量が0.08%以上
<フェノール系化合物のニッケル含有量の定量方法>
表1の「添加剤A」であるフェノール系化合物について、試料0.1gを採取し、60分間自然乾燥した。試料に70%硝酸水溶液を3ml添加し、マイクロウェーブを用いて240℃で灰化した。その後、水を加えて全量を50mlにし、ICP−OES(パーキンエルマー製 Optima7300V)を用いてニッケルの含有量を定量した。
Figure 0005948287
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Figure 0005948287
前記一般式(III)で表される化合物に該当するスチレン化フェノールとして、三光株式会社製の「TSP」、日塗料化学株式会社製の「PH−25」及び「PH−30−90T」、精工化学株式会社製の「ノンフレックスWS」を使用した。
クマロン樹脂として、日塗料化学株式会社製の「V−120S」を使用した。
前記一般式(3)に該当するグリセリンクエン酸オレイン酸エステルとして、理研ビタミン(株)社製の「ポエムK−37V」を使用した。
比較例において使用した「ステアラーLAS」は精工化学株式会社製であり、「irganox1076」はBASF社製であり、「テイジン テトロン フィルム−K」は帝人株式会社製のPETフィルムである。
上記表1より、各実施例の偏光板保護フィルムは、着色が抑制され、偏光板耐久性が良好であることがわかった。
以下に他の(メタ)アクリル系樹脂を用いた実施例を示す。
(イミド化樹脂ペレットの作製)
特開2011‐138119号公報の[0173]〜[0176]の方法で、イミド化樹脂を得た。イミド化樹脂は主鎖にグルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂である。
イミド化樹脂についてイミド化率を測定したところ、イミド化率は4モル%であった。
ここで、イミド化率とは全カルボニル基中のイミドカルボニル基の占める割合を表す。イミド化率は、H−NMRを用いて樹脂の測定を行い、3.5から3.8ppm付近のメタクリル酸メチルのO−CHプロトン由来のピークの面積Aと、3.0から3.3ppm付近のグルタルイミドのN−CHプロトン由来のピークの面積Bより、次式で求めた。
イミド化率(モル%)=B/(A+B)×100
イミド化樹脂を単軸押出機を用いてイミド化樹脂ペレット(B)を得た。
〔実施例134〕
イミド化樹脂ペレット(B)100質量部に対して、1‐ベンジル‐5−フェニルバルビツル酸を4質量部、2軸混練機にて230℃にて混合し、イミド化樹脂ペレット(134)を作製した。
上記で作製したイミド化樹脂ペレット(134)を、二軸押出機を用いて、コートハンガー型Tダイから溶融押出し、膜厚60μmの偏光板保護フィルム(134)を作製した。
〔実施例135〕
PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製デルペット80N)を90℃の真空乾燥機で乾燥して含水率を0.03%以下とした後、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂100質量部に対して、1‐ベンジル‐5−フェニルバルビツル酸を4質量部、安定剤(イルガノックス1010(チバガイギ(株)製)0.3質量部、2軸混練機にて230℃にて混合し、PMMA樹脂ペレット(135)を作製した。
上記で作製したPMMA樹脂ペレット(135)を、二軸押出機を用いて、コートハンガー型Tダイから溶融押出し、膜厚60μmの偏光板保護フィルム(135)を作製した。
〔実施例136〕
PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂の代わりに主鎖に無水マレイン酸環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製デルペット980N、全モノマー中メタクリル酸メチル67mol%、スチレン18mol%、無水マレイン酸15mol%含有、Tg=117℃)を用いた以外は実施例135と同様にしてペレット作製および製膜を行い、膜厚60μmの偏光板保護フィルム(136)を作製した。
〔実施例137〕
(ドープ137の調製)
下記に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、ドープを調製した。
(ドープ137の組成)
PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂
(商品名ダイヤナールBR88、三菱レイヨン社製(質量平均分子量1500000)
100質量部
1‐ベンジル‐5−フェニルバルビツル酸 例示化合物(3−3) 4.0質量部
ジクロロメタン 502質量部
メタノール 44質量部
バンド流延装置を用い、前記調製したドープを2000mm幅でステンレス製のエンドレスバンド(流延支持体)に流延ダイから均一に流延した。ドープ中の残留溶媒量が15質量%になった時点で流延支持体から高分子膜として剥離し、テンターにて積極的に延伸をせずに搬送し、乾燥ゾーンで120℃で乾燥を行い、膜厚60μmの偏光板保護フィルム137を作製した。
〔偏光板の作製〕
偏光板保護フィルム101の替わりに、実施例134〜137の偏光板に用いる偏光板保護フィルムを用いる以外は、それぞれ実施例101と同様にして偏光板作製を行い、各実施例の偏光板を作製した。
これらの偏光板について、上記と同様の評価を行った。さらに下記のフィルム耐折性評価、および耐熱性評価を行った。結果を表2に示す。
<フィルム耐折性の評価>
フィルム試料を縦100mm×横10mmのサイズで切り出し、中央部で折り曲げ、フィルムの破断のしやすさを確認した。尚、縦方向ないし横方向の設定の仕方により破断しやすさが異なる場合は、破断しやすいほうの評価結果を用いることとした。
A:フィルムは破断し難い。
B:フィルムを大きく折り曲げると破断することがある。
C:フィルムを中程度に折り曲げると破断することがある。
D:フィルムを小さく折り曲げただけでフィルムは破断する。
<フィルム耐熱性の評価>
フィルム試料を80℃、DRY環境下(調湿をしていない状態であり、本発明における実施例では相対湿度0%〜20%)の雰囲気下に72時間放置後、フィルム変形の程度を目視で確認した。
A:フィルム変形は確認されず。
B:フィルム変形の程度はごく小さい。
C:フィルム変形の程度は小さい。
D:フィルム変形が顕著。
Figure 0005948287
上記表2より、各実施例の偏光板保護フィルムは、着色が抑制され、偏光板耐久性が良好であることが分かった。特に主鎖に環状構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は耐折性および耐熱性がより優れること、主鎖に環状構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の中でもラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、およびグルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は耐折性および耐熱性がさらに優れること、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂が特に優れることが分かった。
上記実施例109、134〜137は、添加剤Aとして1‐ベンジル‐5−フェニルバルビツル酸を(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して4.0質量部添加した場合について(メタ)アクリル系樹脂違いのフィルム性能を比較したが、上記実施例109、134〜137と添加剤AおよびBの合計含有量がほぼ同等である実施例101〜108、110〜112、118〜127について、上記実施例109、134〜137と同様に(メタ)アクリル系樹脂違いのフィルムを作製して評価結果を比較しても、同様の傾向が得られた。
さらに添加剤Aの含有量が上記実施例109、134〜137と異なる実施例113〜117について、フィルム耐熱性試験の温度条件を60〜100℃の範囲内で(メタ)アクリル系樹脂違いによるフィルム耐熱性差異が確認できるよう適宜条件変更した以外は、上記実施例109、134〜137と同様に(メタ)メタアクリル系樹脂違いのフィルムを作製して評価結果を比較しても、同様の傾向が得られた。
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸の方向
3 液晶セル上電極基板
4 上基板の配向制御方向
5 液晶層
6 液晶セル下電極基板
7 下基板の配向制御方向
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
10 液晶表示装置

Claims (5)

  1. (メタ)アクリル系樹脂と、下記一般式(1)で表される化合物とを含有する偏光板保護フィルムであって、
    前記(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物を1〜20質量部含有する、偏光板保護フィルム。
    一般式(1)
    Figure 0005948287


    (一般式(1)中、R、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又は芳香族基を表す。ただし、R及びR、又はR及びRは炭素数1〜20のアルキル基を表し、R は置換基として芳香族基を有する。およびRはそれぞれ置換基を有していてもよい。)
  2. 前記(メタ)アクリル系樹脂の質量平均分子量が1000〜2000000である請求項1に記載の偏光板保護フィルム。
  3. 膜厚が20μm〜80μmである、請求項1又は2に記載の偏光板保護フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含む偏光板。
  5. 請求項4に記載の偏光板を少なくとも1枚含む液晶表示装置。
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