JP5948287B2 - 偏光板保護フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents
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Description
また、フェノール系化合物を偏光板保護フィルムの添加剤として用いた場合、フェノール系化合物の構造及び含有量によっては、次第にフィルムが黄色く着色(黄変)することが分かった。
芳香族環が置換したアルキル基を置換基として有する特定構造のフェノール系化合物やバルビツール酸誘導体等の特定の有機酸を含有させたフィルムを偏光板保護フィルムとして用いることで、偏光子中のホウ酸由来のホウ素の拡散を抑制し、ポリヨウ素イオンの量を多く保つことができるため、直交透過率の減少を抑制できていると考えられる。
<1>
(メタ)アクリル系樹脂と、下記一般式(1)で表される化合物とを含有する偏光板保護フィルムであって、
前記(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物を1〜20質量部含有する、偏光板保護フィルム。
一般式(1)
(一般式(1)中、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基又は芳香族基を表す。ただし、R6及びR7、又はR6及びR8は炭素数1〜20のアルキル基を表し、R 6 は置換基として芳香族基を有する。R7およびR8はそれぞれ置換基を有していてもよい。)
<2>
前記(メタ)アクリル系樹脂の質量平均分子量が1000〜2000000である<1>に記載の偏光板保護フィルム。
<3>
膜厚が20μm〜80μmである、<1>又は<2>に記載の偏光板保護フィルム。
<4>
<1>〜<3>のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含む偏光板。
<5>
<4>に記載の偏光板を少なくとも1枚含む液晶表示装置。
本発明は、上記<1>〜<5>に係る発明であるが、以下、その他の事項についても参考のため記載している。
(メタ)アクリル系樹脂と、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体、下記一般式(3)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種とを含有する偏光板保護フィルムであって、
上記(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体、下記一般式(3)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を1〜20質量部含有する、偏光板保護フィルム。
一般式(1)
一般式(2)
一般式(3)
X3−L−(R3)m
(一般式(3)中、X3は酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R3は水素原子、炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。mはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。)
一般式(III)
一般式(III−1)
一般式(III−2)
[2]
更に、上記一般式(III)で表される化合物100質量部に対して、下記一般式(IV)で表される化合物を0.5〜1.9質量部含有する、[1]に記載の偏光板保護フィルム。
一般式(IV)
[3]
上記一般式(3)で表される有機酸が、下記一般式(3’)で表されるカルボン酸誘導体である[1]又は[2]に記載の偏光板保護フィルム。
一般式(3’)
[4]
上記一般式(III−1)が、下記一般式(III−1−1)で表される、[1]又は[2]に記載の偏光板保護フィルム。
一般式(III−1−1)
[5]
上記一般式(III)で表される化合物が、ニッケルを質量基準で0.05〜0.50ppm含有する、[1]、[2]、又は[4]に記載の偏光板保護フィルム。
[6]
上記(メタ)アクリル系樹脂の質量平均分子量が1000〜2000000である[1]〜[5]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
[7]
膜厚が20μm〜80μmである、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
[8]
[1]〜[7]のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含む偏光板。
[9]
[8]に記載の偏光板を少なくとも1枚含む液晶表示装置。
本発明の偏光板保護フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂と、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体、下記一般式(3)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種とを含有する偏光板保護フィルムであって、前記(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体、下記一般式(3)で表される化合物、及び下記一般式(III)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種を1〜20質量部含有する、偏光板保護フィルムである。
一般式(1)
一般式(2)
一般式(3)
X3−L−(R3)m
一般式(3)中、X3は酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R3は水素原子、炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。mはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。
一般式(III)
一般式(III−1)
一般式(III−2)
本発明の偏光子保護フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂を含有する。
本発明の偏光子保護フィルムは(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含むことが好ましい。ここで、主成分とは、偏光子保護フィルムに含有される成分のうち、最も含有質量比が大きい成分を指す。本発明の偏光子保護フィルムは、(メタ)アクリル系樹脂を10質量%以上100質量%以下含有することが好ましく、20質量%以上100質量%以下含有することがより好ましく、30質量%以上100質量%以下含有することが更に好ましい。
紫外線吸収性単量体の例としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体が好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体がより好ましい。
紫外線吸収性単量体は、1種のみを用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)
一般式(1)で表される化合物は、商業的に入手してもよく、公知の方法によって合成してもよい。
また、縮合に用いるマロン酸は、無置換のものでも置換基を有するものでもよく、R6に相当する置換基を有するマロン酸を用いれば、バルビツール酸を構築することにより一般式(1)で表される化合物を合成することができる。また、無置換のマロン酸と尿素誘導体を縮合させると5位が無置換のバルビツール酸が得られるので、これを修飾することにより一般式(1)で表される化合物を合成してもよい。
なお、一般式(1)で表される化合物の合成法は上記に限定されるものではない。
また、一般式(1)で表される化合物を2種類以上併用する場合も、その合計が上記範囲であることが好ましい。
上記のような含有量とすることで、偏光板耐久性に優れ、透明性にも優れた偏光板保護フィルムを得ることができる。
これらの環は縮環していてもよく、該縮環する環としては、飽和環、不飽和環のいずれでもよい。
Ra1は置換基を有してもよいアルキル基が好ましく、−CH(ORa3)CH2ORa2がより好ましく、この場合、上記一般式(A2)で表される化合物となる。
一般式(2)で表されるモノマーについて説明する。
一般式(2)
式中、R1は水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。R1は、特に限定されないが、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましい。
R2は置換基を表し、置換基としては脂肪族基又は芳香族基が好ましい。
R2は、特に限定されないが、脂肪族基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、メチル基、t−ブチル基が特に好ましい。芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
nは0〜4の整数を表し、0〜2が好ましく、0〜1がより好ましい。なお、nが0のとき置換基R2が存在しないことになるが、化学式中、ここには水素原子があればよいことを意味する。本明細書の他の化学式においても化学構造を整合的に解釈すべきことは上記と同様である。
(A)は5または6員環を形成するのに必要な原子群を表し、5または6員の芳香環であることが好ましい。本明細書において芳香環とはヘテロ原子を含まない芳香族環とヘテロ原子を有する飽和・不飽和の複素環を含む概念である。
式中R10〜R15、R18〜R19はそれぞれ独立に置換基を表す。置換基は特に限定されないが、下記置換基Tが挙げられ、その好ましい範囲も同義である。
n1、n2、n5、n8、及びn10はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、0〜2が好ましい。n3は0〜2を表し、0〜1が好ましい。n4及びn9はそれぞれ独立に0又は1を表し、0が好ましい。
R1Aは水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。R1Aは、特に限定されないが、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましい。
R21、R22、R23、R24はそれぞれ独立に置換基を表す。置換基は特に限定されないが、下記置換基Tが挙げられ、その好ましい範囲も同義である。
R101〜R103は水素原子または炭素数1〜4の脂肪族基を表す。R101〜R103は、水素原子、メチル基、又はエチル基であることが好ましい。
x、y、zは、重合体に含まれる全繰り返し単位に対するモル分率(%)を表す。
xは1〜40を表し、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。yは5〜95を表し、10〜90が好ましく、30〜90がより好ましい。zは1〜70を表し、1〜60が好ましく、1〜50がより好ましい。x+y+zは100でなくてもよいが、100未満のときは、その他の共重合成分があることを意味する。その他の共重合成分としては、ビニルトルエン、イソプロペニルトルエン、α−メチルスチレン、アルキルインデン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。その他の共重合成分の共重合比率(%)tは0〜30が好ましく、0〜20がより好ましい。
m1、m2は0〜4の整数を表し、0〜2が好ましい。m3は0〜2の整数を表し、0が好ましい。m4は0〜5の整数を表し、0〜3が好ましく、0〜1がより好ましい。
一般式(2)で表されるモノマーに由来する繰り返し単位を含む重合体の質量平均分子量は200〜10,000であることが好ましく、300〜8,000であることがより好ましく、400〜4,000であることが特に好ましい。上記分子量が前記下限値以上であると効果的にフィルムの透湿度および含水率を抑制できるという作用が期待でき、上限値以下であると(メタ)アクリル系樹脂との相溶性向上が期待でき好ましい。
分子量及び分散度は特に断らない限りGPC(ゲルろ過クロマトグラフィー)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の質量平均分子量とする。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒が挙げられる。測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/minの範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/minの範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことが最も好ましい。なお、使用するカラム及びキャリアは測定対称となる高分子化合物の物性に応じて適宜選定することができる。
アルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘプチル基、1−エチルペンチル基、ベンジル基、2−エトキシエチル基、1−カルボキシメチル基等)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、オレイル基等)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルキニル基、例えば、エチニル基、ブタジイニル基、フェニルエチニル基等)、シクロアルキル基(好ましくは炭素原子数3〜20のシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基等)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリール基、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、4−メトキシフェニル基、2−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基等)、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数2〜20のヘテロ環基、例えば、2−ピリジル基、4−ピリジル基、2−イミダゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基、2−チアゾリル基、2−オキサゾリル基等)、アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基、ベンジルオキシ基等)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜26のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、3−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基等)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20のアルコキシカルボニル基、例えば、エトキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等)、アミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20のアミノ基、例えば、アミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N−エチルアミノ基、アニリノ基等)、スルホンアミド基(好ましくは炭素原子数0〜20のスルホンアミド基、例えば、N,N−ジメチルスルホンアミド基、N−フェニルスルホンアミド基等)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルオキシ基、例えば、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20のカルバモイル基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20のアシルアミノ基、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、シアノ基、又はハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)であり、より好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、シアノ基又はハロゲン原子であり、特に好ましくはアルキル基、アルケニル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基又はシアノ基が挙げられる。
上記のような含有量とすることで、偏光板耐久性に優れ、透明性にも優れた偏光板保護フィルムを得ることができる。
一般式(3)で表される化合物について説明する。
一般式(3)
X3−L−(R3)m
一般式(3)中、X3は酸解離定数が5.5以下の酸性基を表し、Lは単結合または2価以上の連結基を表し、R3は水素原子、炭素数6〜30のアルキル基、炭素数6〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基または環員数6〜30の複素環基を表し、さらに置換基を有していてもよい。mはLが単結合の場合は1であり、Lが2価以上の連結基の場合は(Lの価数−1)である。
本明細書中、酸解離定数としては、化学便覧、丸善株式会社刊に記載の値を採用する。
R3はさらに好ましくは、炭素数6〜24のアリール基、環員数6〜24の複素環基、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基であり、最も好ましくは炭素数6〜20のアリール基、環員数6〜20の複素環基、炭素数10〜24の直鎖のアルキル基、アルケニル基である。
ユニット:−O−、−CO−、−N(R31)−(前記R31は炭素数1〜5のアルキル基)、−CH=CH−、−CH(OH)−、−CH2−、−SO2−。
一般式(3)におけるLは、単結合、エステル基由来の連結基(−COO−、−OCO−)、またはアミド基由来の連結基(−CON(R31)−、−N(R31)CO−)を部分構造として有することが特に好ましい。
また、前記Lは、さらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はなく前記R3が有していてもよい置換基を挙げることができるが、その中でも−OH基またはアルキル基(より好ましくはカルボキシル基で置換されたアルキル基)が好ましい。
また、前記R31はさらに置換基を有していてもよく、該置換基としては特に制限はなく前記R3が有していてもよい置換基を挙げることができるが、その中でもカルボキシル基が好ましい。
これらの中でも、前記Lはグリセリン由来の基またはイミノジ酢酸由来の基(−N(CH2COOH)(CH2COOH))を含む連結基であることがより好ましい。
前記Lとしては、具体的に以下の構造であることが好ましい。但し、以下においてp、q、rはそれぞれ1〜40の整数を表し、1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜6であることが特に好ましい。また、qは2〜4であることがより特に好ましい。
L2: −(CH2)p−CO−O−(CH2)q−(CH(OH))−(CH2)r−O−;
L3: −(CH2)p−CO−O−(CH2)q−(CH(OCO−R30))−(CH2)r−O−;
L4: −(CH2)p−CO−O−(CH2)q−(CH(OH))−(CH2)r−O−CO−;
−(CH2)p−CO−O−(CH2)q−(CH(OCO−R30))−(CH2)r−O−CO−;
L5:−(CH2)p−N(CH2COOH)−;
L6: −(CH2)p−N(CH2COOH)−(CH2)q−;
L7: −(CH2)p−N(CH2COOH)−(CH2)q−O−;
L8: −(CH2)p−N(CH2COOH)−(CH2)q−CONH−;
L9: −(CH2)p−N(CH2COOH)−(CH2)q−CONH−(CH2)r−;
L10: −(CH2)p−N(CH2COOH)−CO−;
L11: −(CH2)p−N(CH2COOH)−CO−CH(CH2COOH)−;
L12: −(CH2)p−N(CH2COOH)−SO2−。
前記Lと前記X3はエステル結合またはアミド結合で結合していることが好ましく、エステル結合で結合していることがより好ましい。また、前記X3にはエステル結合やアミド結合が存在しない方が好ましい。
前記Lと前記R3はエステル結合、エーテル結合またはアミド結合で結合していることが好ましく、エステル結合またはアミド結合で結合していることがより好ましく、エステル結合で結合していることが特に好ましい。また、前記R3にはエステル結合やエーテル結合やアミド結合が存在しない方が好ましい。
《脂肪酸》
ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノレン酸、ウンデカン酸。
《アルキル硫酸》
ミリスチル硫酸、セチル硫酸、オレイル硫酸。
《アルキルベンゼンスルフォン酸》
ドデシルベンゼンスルフォン酸、ペンタデシルベンゼンスルフォン酸。
《アルキルナフタレンスルフォン酸》
セスキブチルナフタレンスルフォン酸、ジイソブチルナフタレンスルフォン酸。
《ジアルキルスルフォコハク酸》
ジオクチルスルフォコハク酸、ジヘキシルスルフォコハク酸、ジシクロヘキシルコハク酸、ジアミルスルフォコハク酸、ジトリデシルシクロコハク酸。
前記一般式(3)で表される有機酸は、下記一般式(3’)で表される多価カルボン酸であることが好ましい。
一般式(3’)
R4が表す基の置換基としては、アルキル基、ハロゲン原子、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アシルアミノ基、オキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基、スルファモイル基、スルフォンアミド基、カルボキシル基等が挙げられる。R4が表す基の置換基として、より好ましくは、アルキル基、アシル基、アリール基、カルバモイル基、であり、さらに好ましくは、アリール基、カルバモイル基である。
R4が表す基の置換基は、さらに置換基を有していてもよく、該置換基の好ましい範囲は前記R4が表す基の置換基の好ましい範囲と同様である。
また、R4として最も好ましいのは、アリール基を置換基として有する炭素数1〜24のアルキル基、または、カルバモイル基を置換基として有する炭素数1〜24のアルキル基であり、該カルバモイル基はアリール基で置換されていることが好ましい。さらに該アリール基は炭素数1〜10のアルキル基で置換されていることが好ましく、炭素数1〜8のアルキル基で置換されていることが最も好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物は、多価有機酸の一部誘導体であることが好ましい。本明細書中、多価有機酸の一部誘導体とは、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価有機酸がエステル結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換の酸性基を少なくとも1つ有する化合物のことを言う。なお、本明細書中、脂肪酸とは、脂肪族モノカルボン酸を意味する。すなわち、本明細書中における脂肪酸は、いわゆる高級脂肪酸に限定されるものではなく、酢酸やプロピオン酸などの炭素数12以下の低級脂肪酸も含まれる。
前記多価有機酸の一部誘導体は、多価カルボン酸の一部誘導体であることが好ましい。すなわち、前記一般式(3)で表される化合物は、多価アルコール1分子に脂肪酸1分子と多価カルボン酸1分子がエステル結合した構造を有しており、多価カルボン酸由来の無置換のカルボキシル基を少なくとも1つ有することが好ましい。前記多価カルボン酸の一部誘導体に用いられる多価カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、クエン酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸が好ましい。
その中でも、有機酸モノグリセリドまたは有機酸ジグリセリドがより好ましく、有機酸モノグリセリドがより特に好ましい。本明細書中における有機酸モノグリセリドとは、グリセリンの3個のヒドロキシル基のうち1個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りの水酸基のうち1個または2個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。本明細書中における有機酸ジグリセリドとは、グリセリンの3個のヒドロキシル基のうち2個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りのヒドロキシル基1個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物のことを言う。
前記有機酸モノグリセリドの中でも、グリセリンの3個のヒドロキシル基のうち1個が脂肪酸とエステル結合を作っており、残りのヒドロキシル基のうち1個が無置換のヒドロキシル基であり、残りのヒドロキシル基1個が多価有機酸とエステル結合を作っており、該多価有機酸由来の酸性基を有する構造の化合物であることがより特に好ましい。前記有機酸モノグリセリドの脂肪酸とエステル結合しているヒドロキシル基は非対称の位置(いわゆるαモノグリセリドの位置)であることが好ましく、前記有機酸モノグリセリドの多価有機酸とエステル結合しているヒドロキシル基は同様に非対称の位置(いわゆるαモノグリセリドの位置)であることが好ましい。すなわち、前記有機酸モノグリセリドの中でも、無置換のヒドロキシル基を有し、かつ脂肪酸とエステル結合しているヒドロキシル基の直結する炭素原子と、多価有機酸とエステル結合しているヒドロキシル基の直結する炭素原子とが隣り合わない構造の化合物であることが好ましい。
前記多価カルボン酸のモノグリセリドに用いられる前記脂肪酸は限定されないが、炭素数8〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が好ましく、具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸等があげられる。
反応は、通常、無溶媒条件下で行われ、例えば無水コハク酸と炭素数18の脂肪酸モノグリセリドの反応では、温度120℃前後において90分程度で反応が完了する。かくして得られた有機酸モノグリセリドは、通常、有機酸、未反応モノグリセリド、ジグリセリド、及びその他オリゴマーを含む混合物となっている。本発明においては、このような混合物のまま使用してもよい。
前記カルボキシル基含有有機酸モノグリセリドの純度を高めたい場合は、上記のような混合物中のカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドを蒸留等により精製すればよく、また、純度の高いカルボキシル基含有有機酸モノグリセリドとしては、蒸留モノグリセリドとして市販されているものを使用できる。前記カルボキシル基含有有機酸モノグリセリドの市販品としては、例えば、理研ビタミン(株)社製ポエムK−37V(グリセリンクエン酸オレイン酸エステル)、花王社製ステップSS(グリセリンステアリン酸/パルミチン酸コハク酸エステル)等があげられる。
本発明の偏光板保護フィルムは、一般式(III)で表される化合物を、(メタ)アクリル系樹脂100質量部に対して、1〜20質量部の範囲内で含有する。
一般式(III)
一般式(III−1)
一般式(III−2)
このため、一般式(III)で表される化合物を含有した(メタ)アクリル系樹脂をフィルム化したとき、一般式(III)で表される化合物は、(メタ)アクリル系樹脂の主鎖の近傍に入り込みやすくなる一方、(メタ)アクリル系樹脂の主鎖の近傍に存在する水分子の量が減少し、水と(メタ)アクリル系樹脂との相互作用が弱くなることでフィルムの疎水性が高まる。フィルムの疎水性が高まることで、(メタ)アクリル系樹脂内の水分の透過を抑ることができる。このため、一般式(III)で表される化合物を含有する(メタ)アクリル系樹脂フィルムを偏光子の保護フィルムとして使用すると、偏光子内に水分が透過することを抑えられ、高温高湿環境下での偏光板耐久性が向上すると考えられる。
また、後述する一般式(IV)で表される化合物を用いることで、着色(黄変)の原因と考えられる、フェノール類の酸化による、キノン類の生成を抑制することができると考えられる。
R11は、(メタ)アクリル系樹脂との相溶性の観点から、炭素原子数1〜20のアルキル基、ヒドロキシル基がより好ましく、炭素原子数1〜3のアルキル基、ヒドロキシル基が更に好ましく、ヒドロキシル基、メチル基が特に好ましい。
また、R11は、置換基に1つ以上の前記置換基を有していてもよい。
一般式(III−1)
A11の例としては、ベンゼン環、インデン環、ナフタレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ビフェニル環、ピレン環、ピラン環、ジオキサン環、ジチアン環、チイン環、ピリジン環、ピペリジン環、オキサジン環、モルホリン環、チアジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペラジン環、トリアジン環などが挙げられる。また、他の6員環又は5員環が縮合していてもよい。
偏光板耐久性の観点からA11は、ベンゼン環が好ましい。
A11が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、アルキル基、ヒドロキシル基などが挙げられ、炭素数1〜6のアルキル基又はヒドロキシル基が好ましい。
偏光板耐久性の観点からX1は、ベンゼン環が好ましい。X1が有していてもよい置換基としては、A11の置換基として挙げた例と同様である。
一般式(III−1−1)
n3は0〜5の整数を表し、好ましい範囲は一般式(III−1)中のn3と同様である。
一般式(III−1−2)
一般式(III−2)
一般式(III−2−1)
一般式(III−2−2)
分子量が200以上であると、フィルムからの揮散が少なく、好ましい。分子量が1200以下であるとヘイズを低く抑えることが容易であるため好ましい。
上記のような含有量とすることで、偏光板耐久性に優れ、透明性にも優れた偏光板保護フィルムを得ることができる。
2種以上の一般式(III)で表される化合物を併用した場合の含有量の上記の範囲とすることが好ましい。
一般式(III)で表される化合物の市販品としては、三光株式会社製のトリスチレン化フェノールである「TSP」、日塗料化学株式会社製のスチレン化フェノールである「PH−25」及び「PH−30−90T」、精工化学株式会社製のスチレン化フェノールである「ノンフレックスWS」などが挙げられる。
前記一般式(III)で表される化合物のニッケル含有量は、質量基準で0.14〜0.50ppmがより好ましく、0.14〜0.40ppmがより好ましく、0.14〜0.35ppmが更に好ましい。
前記一般式(III)で表される化合物におけるニッケル含有量は、イオン交換法や直接添加により調節することができる。
本発明の偏光板保護フィルムは、下記一般式(IV)で表される化合物を、前記一般式(III)で表される化合物100質量部に対して、0.5〜1.9質量部の範囲内で含有することが好ましい。
一般式(IV)
前記特定構造のフェノール系化合物と、特定のアミン・アミド系化合物を特定の含有率で添加した(メタ)アクリル系樹脂フィルムにより、黄変抑止と偏光板耐久性の低減の抑制が特に優れる理由については定かではないが、本発明者らは以下のように推測している。
すなわち、安定化剤として添加するフェノール類が酸化されてキノンとなることにより、着色(黄変)が発生しやすくなるが、これを抑止するためにアミン・アミド系化合物を多量に添加すると、偏光板耐久性が悪化する。これは、アミン・アミド系化合物ヨウ素吸着性が高く、偏光子中のヨウ素が保護フィルム中に拡散することが原因と推定される。一方、着色(黄変)抑制に関しては、アミン・アミド類が、ラジカル連鎖開始阻止(ラジカル連鎖開始に必要な金属等をキレート効果により、トラップすると推定される)として働くと考えられ、極少量で効果がある。本発明では、フェノール類と、極少量のアミン・アミド系化合物を併用することで、偏光板耐久性をほとんど目減らさずに着色(黄変)抑制を大きく改良できたと考えられる。
置換基群(V)
R23、R24、R25、R26及びR27は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、エチル基、プロピル基、ブチル基がより好ましい。
前記置換基群(V)のうち、特にヒドロキシル基、カルボニル基であることが好ましく、ヒドロキシル基であることが最も好ましい。
一般式(VI)
一般式(VI)中、R28は炭素原子数3〜20の置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表し、好ましい範囲は、炭素原子数6〜20置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアルケニル基である。アルキル基としては、例えば、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられ、アルケニル基としては、例えば、アリル基、オレイル基等が挙げられる。
一般式(VII)
R31の具体例及び好ましい範囲は、R28と同様である。
本発明の偏光板は、前記本発明の偏光板保護フィルムを含んでなる。好ましくは、偏光子と、該偏光子の両側に配置された2枚の偏光板保護フィルムを含み、少なくとも1枚の偏光板保護フィルムが、前記本発明の偏光板保護フィルムである構成である。
まず、本発明の偏光板に用いられる偏光子について説明する。
本発明の偏光板に用いることができる偏光子としては、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
前記PVAとしては、ポリ酢酸ビニルを鹸化したポリマー素材が好ましいが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分とを含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
二色性分子はI3 −やI5 −などの高次のヨウ素イオン若しくは二色性染料を好ましく使用することができる。
本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液及び/又はホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、ヒドロキシル基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。このような二色性染料の具体例としては、特開2007−086748号公報に記載のものを挙げることができる。
本発明の偏光板は偏光子に架橋剤としてホウ酸を含有する。ホウ酸で偏光子を架橋することにより、二色性分子とPVAから形成される錯体の安定性が向上し、高温高湿条件における偏光性能劣化を抑制することができる。本発明の偏光板の偏光子中のホウ酸の含有率は偏光子100質量部に対して1質量部以上100質量部以下が好ましく、5質量部以上50質量部以下が好ましい。上記範囲にホウ酸の含有率を制御することにより色味のバランスのとれた偏光子を作製することができる。
偏光子の延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、10〜200μmが特に好ましい。また、特開2002−236212号に記載されているように水中において4倍〜6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
偏光子の延伸後の膜厚は、3μm以上20μm以下である。3μm以上15μm以下がさらに好ましく、3μm以上10μm以下が最も好ましい。偏光子を前記膜厚にすることにより、環境湿度による液晶パネルのそりや歪みを小さくすることができる。
本発明の偏光板の膜厚は、15μm以上70μm以下であることが好ましく、15μm以上60μm以下がより好ましく、15μm以上50μm以下が最も好ましい。偏光板を前記膜厚にすることにより、環境湿度による液晶パネルのそりや歪みを小さくすることができる。
次に、本発明の偏光板に用いられる偏光板保護フィルムについて説明する。
前記有機酸を含む偏光板保護フィルムの膜厚は10μm〜100μmが好ましく、20μm〜80μmがより好ましく、20μm〜60μmが特に好ましい。
偏光板保護フィルムは、フィルム状の樹脂であることが好ましい。前記偏光板保護フィルムで使用する樹脂について説明する。
前記偏光板保護フィルムに用いられる樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、本発明の趣旨に反しない限りにおいて特に制限はない。前記樹脂としてはセルロースアシレート樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂を挙げることができ、その中でも(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。すなわち前記偏光板保護フィルムは(メタ)アクリル系樹脂を含むことが好ましい。
本発明の偏光板は、少なくとも1枚の本発明における(メタ)アクリル系樹脂フィルムを偏光板保護フィルムとして有することが好ましい。
本発明の偏光子保護フィルムは、好ましくは、前述の(メタ)アクリル系樹脂を主成分として含む樹脂成分を含有する成型材料を、押出し成型(Tダイ法やインフレーション法などの溶融押出法)にて成型して得られる。具体的には、直接添加あるいはマスターバッチ法を用いた二軸混練を行うことが好ましい。混練方法としては、単軸押出機や二軸押出機などの押出機、加圧ニーダー、東芝機械社製のTEM等を用いて、混練を行うことが好ましい。また、予めオムニミキサー等でプレブレンドしたものを混練しても良い。
偏光板保護フィルムの樹脂原料である(メタ)アクリル系樹脂に対し、前記一般式(III)で表される化合物、及び一般式(IV)で表される化合物を添加するタイミングは特に限定されない。例えば、(メタ)アクリル系樹脂の合成時点で添加してもよいし、成型時に混ぜてもよい。
本発明においては偏光板保護フィルムに、偏光板又は液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤を加えてもよい。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2−メチレンビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の含有量は、偏光板保護フィルム100質量部に対して0.1質量部〜10.0質量部が好ましい。
偏光板保護フィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。また、前記劣化防止剤の含有量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。含有量が0.01質量%以上であれば、劣化防止剤の効果が十分に発揮されるので好ましく、含有量が1質量%以下であれば、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)などが生じにくいので好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
本発明の偏光板の製造方法における前記偏光子の製造方法としては、特に制限はないが、例えば、前記PVAをフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造は、特開2007−86748号公報の〔0213〕〜〔0237〕に記載の方法、特許登録第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
前記PVA系樹脂溶液の調製工程では、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を調製することが好ましい。原液中のPVA系樹脂の濃度は、好ましくは5〜20質量%である。例えば、PVAのウェットケーキを溶解槽に入れ、必要に応じて可塑剤、水を加え、槽底から水蒸気を吹き込みながら攪拌する方法が好ましい。内部樹脂温度は50〜150℃に加温することが好ましく、系内を加圧してもよい。
また、前記偏光子中に酸を添加しなくてもよく、添加してもよいが、添加する場合はこの工程で加えることが好ましい。なお、偏光子中に酸を添加する場合は、前記偏光板保護フィルムに含まれる前記有機酸と同じものを用いてもよい。
前記流延工程は、上記にて調製したPVA系樹脂溶液原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。流延の方法としては、特に制限はないが、加熱した前記PVA系樹脂溶液原液を2軸押し出し機に供給し、ギアポンプにより排出手段(好ましくはダイ、より好ましくはT型スリットダイ)から支持体上に流涎して製膜することが好ましい。また、ダイからの排出される樹脂溶液の温度については特に制限はない。
前記支持体としては、キャストドラムが好ましく、ドラムの直径、幅、回転速度、表面温度については、特に制限はない。
その後、得られたロールの裏面と表面とを乾燥ロールに交互に通過させながら乾燥を行なうことが好ましい。
前記膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化及び、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜60℃、5秒〜2000秒が好ましい。
なお、膨潤工程のときにわずかに延伸を行ってもよく、例えば1.3倍程度に延伸する態様が好ましい。
前記染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、及び浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストの偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素とヨウ化カリウムの質量比については特開2007−086748号公報に記載の態様を用いることができる。
また、特許登録第3145747号明細書に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
前記硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、又は溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
前記架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号明細書に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加してもよい。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
また、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行ってもよく、特開2007−086748号公報に記載の方法を用いることができる。
前記延伸工程は、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、若しくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍〜12倍であり、さらに好ましくは3倍〜10倍である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号公報に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号公報に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95としたりすることも好ましく行うことができる。
前記乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許登録第3148513号明細書に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号公報や特開平07−325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングしたりすることも好ましく行うことができる。
本発明の偏光板の製造方法は、上記にて得られた前記偏光子の両面に、2枚の偏光板保護フィルムを積層する。
本発明の偏光板の製造方法では、偏光板保護フィルムをアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方法により作製することが好ましい。
前記偏光板保護フィルムの処理面と偏光子を貼り合わせるのに使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス等が挙げられる。
ここで、実質的に平行であるとは、前記有機酸を含む偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが5°以内であることをいい、1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。また、実質的に垂直であるとは、前記有機酸を含む偏光板保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが85°以上95°以内であることをいい、89°以上91°以下、好ましくは89.5°以上90.5°以下であることが好ましい。ずれが1°以内、あるいは89°以上90°以下であれば、偏光板クロスニコル下での偏光度性能の低下、光抜けが抑制され好ましい。
(直交透過率CT)
本発明の偏光板は、直交透過率CTがCT≦2.0であることが好ましく、より好ましい範囲としてはCT≦1.3であり、最も好ましくはCT≦0.6(単位はいずれも%)である。
また、偏光板耐久性試験前後では直交透過率の変化量は小さいほうが好ましい。
本発明の偏光板は、60℃、相対湿度90%、1000時間経静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)が0.05%以下、且つ、105℃、Dry環境下(調湿をしていない状態であり、本発明における実施例では相対湿度0%〜20%)に50時間静置させたときの直交単板透過率の変化量(%)が0.05%以下であることが好ましい。
直交透過率の変化量(%)={(耐久性試験後の直交透過率(%)−耐久性試験前の直交透過率(%)
上記直交透過率の変化量の範囲を満たせば、偏光板の高温高湿下及び高温低湿下で長時間使用中あるいは保管中の安定性が確保でき、好ましい。
ここで、偏光板耐久性試験は、ガラスの上に偏光板を、本発明の要件を満たす偏光板保護フィルムが空気界面側になるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作製する。単板直交透過率測定ではこのサンプルの本発明の偏光板フィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板直交透過率とする。
本発明の偏光板のその他の好ましい光学特性等については特開2007−086748号公報の〔0238〕〜〔0255〕に記載されており、これらの特性を満たすことが好ましい。
本発明の偏光板の形状は、液晶表示装置にそのまま組み込むことが可能な大きさに切断されたフィルム片の態様の偏光板のみならず、連続生産により、長尺状に作製され、ロール状に巻き上げられた態様(例えば、ロール長2500m以上や3900m以上の態様)の偏光板も含まれる。大画面液晶表示装置用とするためには、偏光板の幅は1470mm以上とすることが好ましい。
前記プロテクトフィルム及び前記セパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
以下、本発明の偏光板に用いることができる偏光子と2枚の偏光板保護フィルムの詳細について説明する。
本発明の偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板としても好ましく使用される。機能化のための反射防止フィルム、輝度向上フィルム、他の機能性光学フィルム、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア層については、特開2007−86748号公報の〔0257〕〜〔0276〕に記載され、これらの記載を基に機能化した偏光板を作製することができる。
本発明の偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、又は薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
前記含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例えば、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908号公報、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104号公報等)、特定の分散剤を併用する(例えば、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
前記高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
前記中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
本発明の偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光若しくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトとの間に配置され、一方の円偏光若しくは直線偏光をバックライト側に後方反射若しくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルム及び偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式及び異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明における偏光板と組み合わせることができる。
本発明の偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前記ハードコート層は、光及び/又は熱による硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又は、加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
前方散乱層は、本発明における偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、前方散乱層は屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子との相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明における偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学(株)の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
本発明の液晶表示装置は、本発明の偏光板を少なくとも1枚含むことを特徴とする。
液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子又は2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層5の厚さdは3.5μm程度に設定してあることが好ましい。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の膜厚を0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
また、以下実施例101〜127、134〜137は参考例と読み替えるものとする。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた30L反応釜に、7000gのメタクリル酸メチル(MMA)、1000gの2−[2´−ヒドロキシ−5´−(メタクリロイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2000gの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、10000gのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤として10.0gのターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富製、商品名:ルパゾール570)を添加すると同時に、20.0gの開始剤と100gのトルエンからなる溶液を4時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
上記アクリル系樹脂ペレット(A)100質量部に対して、TSP(三光株式会社製スチレン化フェノール)を4質量部、2軸混練機にて230℃にて混合し、樹脂ペレット(101)を作製した。
平均重合度約2400、ケン化度99.9モル%以上のポリビニルアルコールからなる膜厚75μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の純水に浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の質量比が0.02/2/100の水溶液に30℃で浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の質量比が12/5/100の水溶液に56.5℃で浸漬した。引き続き、8℃の純水で洗浄した後、65℃で乾燥して、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向された偏光フィルム(偏光子)を得た。延伸は、主に、ヨウ素染色およびホウ酸処理の工程で行ない、トータル延伸倍率は5.3倍であった。
上記で得られた偏光子の片面に偏光板保護フィルム(101)を、総研化学(株)製SK粘着シートを用いて貼り合わせた。
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)に鹸化処理を行った。ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、作製した偏光板保護フィルム(101)を貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に、鹸化処理後の市販のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けた。ポリビニルアルコール系接着剤は、それぞれ偏光板保護フィルム側に塗布し、70℃で10分間乾燥させて偏光板を得た。
このようにして実施例101の偏光板を作製した。
〔偏光板保護フィルムの作製〕
実施例101において、添加化合物(「添加剤A」であるTSP、「添加剤B」)の種類および含有量、フィルム膜厚を下記表1に記載したとおりに変更した以外は同様にして、実施例102〜133、及び比較例201〜206の偏光板に用いる偏光板保護フィルムをそれぞれ製造した。
<実施例101、113〜119に用いたTSP>
実施例102のTSP(三光株式会社の製品)100質量部と塩化ニッケル(II)0.000044質量部を1000質量部のジクロロメタンに溶解させた。溶液を140℃で2時間乾燥し、TSP(Ni含有量0.35ppm)を得た。
<実施例120に用いたTSP>
実施例102のTSP(三光株式会社の製品)100質量部と塩化ニッケル(II)0.000110質量部を1000質量部のジクロロメタンに溶解させた。溶液を140℃で2時間乾燥し、実施例120のTSP(Ni含有量0.65ppm)を得た。
偏光板保護フィルム101の替わりに、実施例102〜133、及び比較例201〜206の偏光板に用いる偏光板保護フィルムを用いる以外は、それぞれ実施例101と同様にして偏光板作製を行い、各実施例および比較例の偏光板を作製した。
〔偏光板の作製〕
鹸化処理した市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士フイルム(株)製)を、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、実施例101と同様にして製造した偏光子の片側に貼り付けた。さらに、市販のセルローストリアセテートフィルムを貼り付けてある側とは反対側の偏光子の面に、市販のポリエチレンテレフタラートフィルム(帝人製、商品名「テイジンテトロンフィルム−K」)を、総研化学(株)製SK粘着シートを用いて貼り付け、比較例211の偏光板を作製した。
<フィルムの着色(黄変)の評価>
上記で作製した各実施例および比較例の偏光板保護フィルムについて、105℃、Dry環境下(調湿をしていない状態であり、本発明における実施例では相対湿度0%〜20%)で72時間保存した後に、10枚重ねて、島津製作所の分光光度計UV3150を用いて、色相b*を測定した。その結果を下表1に記載した。色相b*の値がマイナス側に大きくなると透過光は青味が増し、プラス側に大きくなると黄色味が増す。
A:b*が4.0未満
B:b*が4.0以上、8.0未満
C:b*が8.0以上
上記で作製した各実施例および比較例の偏光板について、波長410nmにおける偏光子の直交透過率CTを、日本分光(株)製自動偏光フィルム測定装置VAP−7070を用いて測定し、10回測定の平均値を用いた。
偏光板耐久性試験は偏光板をガラスに、本発明の偏光板保護フィルムが空気界面側となるように粘着剤を介して貼り付けた形態で次のように行った。ガラスの上に偏光板を貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作製した。単板直交透過率測定ではこのサンプルのガラスの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を偏光板の直交透過率とした。
その後、60℃、相対湿度90%の環境下で1000時間保存した後について同様の手法で直交透過率を測定した。経時前後の直交透過率の変化を求め、これを偏光板耐久性として下記表1にその結果を記載した。
ここで、直交透過率の変化量とは下記式で算出されるものである。
直交透過率の変化量(%)={(耐久性試験後の直交透過率(%)−耐久性試験前の直交透過率(%)
A:直交透過率の変化量が0.06%未満
B:直交透過率の変化量が0.06%以上、0.08%未満
C:直交透過率の変化量が0.08%以上
表1の「添加剤A」であるフェノール系化合物について、試料0.1gを採取し、60分間自然乾燥した。試料に70%硝酸水溶液を3ml添加し、マイクロウェーブを用いて240℃で灰化した。その後、水を加えて全量を50mlにし、ICP−OES(パーキンエルマー製 Optima7300V)を用いてニッケルの含有量を定量した。
クマロン樹脂として、日塗料化学株式会社製の「V−120S」を使用した。
前記一般式(3)に該当するグリセリンクエン酸オレイン酸エステルとして、理研ビタミン(株)社製の「ポエムK−37V」を使用した。
比較例において使用した「ステアラーLAS」は精工化学株式会社製であり、「irganox1076」はBASF社製であり、「テイジン テトロン フィルム−K」は帝人株式会社製のPETフィルムである。
特開2011‐138119号公報の[0173]〜[0176]の方法で、イミド化樹脂を得た。イミド化樹脂は主鎖にグルタルイミド環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂である。
イミド化樹脂ペレット(B)100質量部に対して、1‐ベンジル‐5−フェニルバルビツル酸を4質量部、2軸混練機にて230℃にて混合し、イミド化樹脂ペレット(134)を作製した。
PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製デルペット80N)を90℃の真空乾燥機で乾燥して含水率を0.03%以下とした後、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂100質量部に対して、1‐ベンジル‐5−フェニルバルビツル酸を4質量部、安定剤(イルガノックス1010(チバガイギ(株)製)0.3質量部、2軸混練機にて230℃にて混合し、PMMA樹脂ペレット(135)を作製した。
PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂の代わりに主鎖に無水マレイン酸環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製デルペット980N、全モノマー中メタクリル酸メチル67mol%、スチレン18mol%、無水マレイン酸15mol%含有、Tg=117℃)を用いた以外は実施例135と同様にしてペレット作製および製膜を行い、膜厚60μmの偏光板保護フィルム(136)を作製した。
(ドープ137の調製)
下記に記載の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、ドープを調製した。
(ドープ137の組成)
PMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂
(商品名ダイヤナールBR88、三菱レイヨン社製(質量平均分子量1500000)
100質量部
1‐ベンジル‐5−フェニルバルビツル酸 例示化合物(3−3) 4.0質量部
ジクロロメタン 502質量部
メタノール 44質量部
偏光板保護フィルム101の替わりに、実施例134〜137の偏光板に用いる偏光板保護フィルムを用いる以外は、それぞれ実施例101と同様にして偏光板作製を行い、各実施例の偏光板を作製した。
フィルム試料を縦100mm×横10mmのサイズで切り出し、中央部で折り曲げ、フィルムの破断のしやすさを確認した。尚、縦方向ないし横方向の設定の仕方により破断しやすさが異なる場合は、破断しやすいほうの評価結果を用いることとした。
A:フィルムは破断し難い。
B:フィルムを大きく折り曲げると破断することがある。
C:フィルムを中程度に折り曲げると破断することがある。
D:フィルムを小さく折り曲げただけでフィルムは破断する。
フィルム試料を80℃、DRY環境下(調湿をしていない状態であり、本発明における実施例では相対湿度0%〜20%)の雰囲気下に72時間放置後、フィルム変形の程度を目視で確認した。
A:フィルム変形は確認されず。
B:フィルム変形の程度はごく小さい。
C:フィルム変形の程度は小さい。
D:フィルム変形が顕著。
2 上側偏光板吸収軸の方向
3 液晶セル上電極基板
4 上基板の配向制御方向
5 液晶層
6 液晶セル下電極基板
7 下基板の配向制御方向
8 下側偏光板
9 下側偏光板吸収軸の方向
10 液晶表示装置
Claims (5)
- 前記(メタ)アクリル系樹脂の質量平均分子量が1000〜2000000である請求項1に記載の偏光板保護フィルム。
- 膜厚が20μm〜80μmである、請求項1又は2に記載の偏光板保護フィルム。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムを少なくとも1枚含む偏光板。
- 請求項4に記載の偏光板を少なくとも1枚含む液晶表示装置。
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