JP6702316B2 - 偏光板保護フィルム、それが具備された偏光板、液晶表示装置、及び偏光板保護フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、表面硬度が高く高温環境下に置かれても寸法安定性及びヘイズの安定性に優れた偏光板保護フィルム、それが具備された偏光板、液晶表示装置、及び偏光板保護フィルムの製造方法に関する。
近年、表示装置において、大型化や薄膜化等の要求が強く、偏光板を含む各部材の高機能化が進んでいる。
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ともいう。)を搭載する画像表示装置に組み合わせる偏光板は、一般的に二つの保護フィルム間に偏光子が配置された構成を有し、偏光板に反射防止機能を付加するために、有機EL素子側に位相差を付与した保護フィルムが用いられている。また、液晶表示装置(LCD)は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを有している。
これらの表示装置に用いられている偏光板のうち、特に視認側の偏光板は、表面の傷付きを防止するため、高い耐擦傷性を有することが求められ、そのため、視認側の偏光板に用いられる偏光板保護フィルムの表面硬度を高めることが検討されている。例えば、偏光板保護フィルムの表面硬度を高めるために、基材フィルム上にハードコート層を積層する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、基材フィルムとして、従来広く用いられているセルロースアセテートフィルムは、吸湿性や透湿性を有するという欠点があり、シクロオレフィン系樹脂は、この欠点が少なく、耐水性、耐熱性、透明性や寸法安定性などが良好で、保護フィルムとして優れた熱可塑性樹脂として注目されている。しかしながら、シクロオレフィン系樹脂を偏光板保護フィルムとして用いた場合、近年の表示画面の大型化やモバイル市場の拡大に伴い偏光板保護フィルムに求められる薄膜化に対して、表面硬度が十分ではなく、傷がつきやすいという問題があった。
この対策として、薄膜でも高い表面硬度を得るため、シクロオレフィン系樹脂に、添加剤を加えることが考えられる。例えば、特許文献2では、シクロオレフィン系樹脂にバルビツール酸の誘導体を添加することにより、表面硬度を上げる技術が開示されている。
しかしながら、シクロオレフィン系樹脂にこのような添加剤を加えると、硬度は高くなるものの、耐熱性が劣り、高温環境下に置かれたときの寸法安定性やヘイズが劣化するという問題があり、特に近年のスマートホンなど、小型モバイル機器に搭載される偏光板保護フィルムとしては不十分であった。
したがって、高度に薄膜であって、かつ高い表面硬度を有し、耐熱性の優れたシクロオレフィン系樹脂を用いた偏光板保護フィルムが要望されていた。
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、表面硬度が高く高温環境下に置かれても寸法安定性及びヘイズの安定性に優れた偏光板保護フィルムを提供することである。また、それが具備された偏光板、液晶表示装置を提供することである。さらにその偏光板保護フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において下記一般式(1)で表される特定構造のポリエステル系添加剤を用いることで、表面硬度を高くでき、高温環境下に置かれても寸法安定性及びヘイズの安定性に優れた偏光板保護フィルムを実現することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する偏光板保護フィルムであって、前記樹脂層が、厚さが50μm以下であり、下記一般式(1)で表されるポリエステル系添加剤を含有することを特徴とする偏光板保護フィルム。
一般式(1):B−(G−A)n−G−B
(式中、
Bは、環構造を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表す。
(式中、
Bは、環構造を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表す。
Gは、炭素原子数2〜12のアルキレンジオール、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジオール、炭素原子数4〜12のオキシアルキレンジオール及び炭素原子数6〜12のアリーレンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種から誘導される基を表す。
Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジカルボン酸、及び炭素原子数8〜16のアリーレンジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種から誘導される基を表す。nは、0以上の整数を表す。)
2.前記一般式(1)中のBが、芳香族環を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表すことを特徴とする第1項に記載の偏光板保護フィルム。
2.前記一般式(1)中のBが、芳香族環を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表すことを特徴とする第1項に記載の偏光板保護フィルム。
3.前記ポリエステル系添加剤の数平均分子量が、300〜700の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の偏光板保護フィルム。
4.前記樹脂層中の前記ポリエステル系添加剤の含有量が、前記シクロオレフィン系樹脂に対して2〜10質量%の範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
5.前記樹脂層の上にハードコート層を有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
6.前記樹脂層の厚さが、15〜50μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
7.偏光子の片側に第1項から第6項までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムが、具備されていることを特徴とする偏光板。
8.第7項に記載の偏光板が、具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
9.シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する偏光板保護フィルムを製造する偏光板保護フィルムの製造方法であって、下記一般式(1)で表されるポリエステル系添加剤を含有し、かつ、シクロオレフィン系樹脂を含有する溶液を基体上に流延する工程を経て、前記樹脂層を形成することを特徴とする偏光板保護フィルムの製造方法。
一般式(1):B−(G−A)n−G−B
(式中、
Bは、環構造を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表す。
(式中、
Bは、環構造を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表す。
Gは、炭素原子数2〜12のアルキレンジオール、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジオール、炭素原子数4〜12のオキシアルキレンジオール及び炭素原子数6〜12のアリーレンジオールからなる群より選ばれる化合物から誘導される基を表す。
Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジカルボン酸、及び炭素原子数8〜16のアリーレンジカルボン酸からなる群より選ばれる化合物から誘導される基を表す。nは、0以上の整数を表す。)
本発明の上記手段により、表面硬度が高く高温環境下に置かれても寸法安定性及びヘイズの安定性に優れた偏光板保護フィルムを提供することができる。また、それが具備された偏光板、液晶表示装置を提供することができる。さらにその偏光板保護フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
一般式(1)で表される特定構造のポリエステル系添加剤は、末端にヒドロキシ基を有する環状構造を有する化合物である。シクロオレフィン系樹脂にこの化合物を添加すると、シクロオレフィン樹脂の自由体積をこの添加剤が相溶良く埋めることで樹脂層の密度が増加すると考えられる。このため、硬度の上昇が大きく、高温環境下に置かれても寸法安定性やヘイズの低下が少ない偏光板保護フィルムを得ることができるものと推定している。
本発明の偏光板保護フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する偏光板保護フィルムであって、前記樹脂層が、厚さが50μm以下であり、前記一般式(1)で表されるポリエステル系添加剤を含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項9までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、一般式(1)中のBが、芳香族環を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表すことが好ましい。また、ポリエステル系添加剤の数平均分子量が、300〜700の範囲内であることが好ましい。数平均分子量が300以上であるとブリードアウトを抑制しやすく、数平均分子量が700以下であるとシクロオレフィン系樹脂との相溶性を損ないにくく、ヘイズの上昇を抑制しやすい。
さらに、本発明においては、前記樹脂層中の前記ポリエステル系添加剤の含有量が、前記シクロオレフィン系樹脂に対して2〜10質量%の範囲内であることが好ましい。これにより、表面硬度が高く、ヘイズが低く耐熱性にも優れる効果が得られる。
本発明の実施態様としては、樹脂層の上にハードコート層を有することが、最表面の硬度を上げることから好ましい。
また、前記樹脂層の厚さが、15〜50μmの範囲内であることが好ましい。
本発明の偏光板保護フィルムは、偏光板に好適に具備され得る。本発明の偏光板は、液晶表示装置に好適に具備され得る。
本発明の偏光板保護フィルムの製造方法は、シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する偏光板保護フィルムを製造する偏光板保護フィルムの製造方法であって、前記一般式(1)で表されるポリエステル系添加剤を含有し、かつ、シクロオレフィン系樹脂を含有する溶液を基体上に流延する工程を経て、前記樹脂層を形成することが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《偏光板保護フィルムの概要》
本発明の偏光板保護フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する偏光板保護フィルムであって、前記樹脂層が、厚さが50μm以下であり、下記一般式(1)で表されるポリエステル系添加剤を含有することを特徴とする。
本発明の偏光板保護フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する偏光板保護フィルムであって、前記樹脂層が、厚さが50μm以下であり、下記一般式(1)で表されるポリエステル系添加剤を含有することを特徴とする。
一般式(1):B−(G−A)n−G−B
(式中、
Bは、環構造を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表す。
(式中、
Bは、環構造を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表す。
Gは、炭素原子数2〜12のアルキレンジオール、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジオール、炭素原子数4〜12のオキシアルキレンジオール及び炭素原子数6〜12のアリーレンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種から誘導される基を表す。
Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジカルボン酸、及び炭素原子数8〜16のアリーレンジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種から誘導される基を表す。nは、0以上の整数を表す。)
図1は、本発明の偏光板保護フィルムの一例である。本発明の偏光板保護フィルム1は、樹脂層2を基材フィルムとしてそのまま用いてもよいが、樹脂層2の上にハードコート層3を有していることが好ましい。
図1は、本発明の偏光板保護フィルムの一例である。本発明の偏光板保護フィルム1は、樹脂層2を基材フィルムとしてそのまま用いてもよいが、樹脂層2の上にハードコート層3を有していることが好ましい。
偏光板保護フィルム1の厚さは、最近の偏光板保護フィルムの薄型化から樹脂層の厚さが、15〜50μmの範囲内であることが好ましい。また、ハードコート層の厚さは1〜10μmの範囲内であることが好ましい。1〜8μmの範囲内であることがより好ましい。さらに好ましくは3〜5μmの範囲内である。
《ポリエステル系添加剤》
本発明の偏光板保護フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する偏光板保護フィルムであって、前記一般式(1)で表されるポリエステル系添加剤を含有することを特徴とする。
本発明の偏光板保護フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する偏光板保護フィルムであって、前記一般式(1)で表されるポリエステル系添加剤を含有することを特徴とする。
本発明者は、シクロオレフィン系樹脂に、前記一般式(1)で表される構造を有するポリエステル系添加剤を含有させることにより、表面の硬度が増加する現象を見いだした。このような現象は、セルロースエステル系樹脂には見られないもので、シクロオレフィン系樹脂の特徴である。このように、特定の化合物に上記特性が変化する現象は、明確ではないが樹脂の自由体積をこれらの添加剤が相溶良く埋めることで基材密度が増加することによるものと推定される。このため硬度の上昇が大きく、耐熱性の低下が少ないという特徴を有するため、高温環境下に置かれても寸法安定性に優れるものと考えられる。
ポリエステル系添加剤は、ジオールとジカルボン酸とを脱水縮合反応させた後;得られる反応生成物の分子末端の(ジオール由来の)ヒドロキシ基を、環構造を有するヒドロキシ基含有モノカルボン酸のカルボキシ基と脱水縮合反応させて得られる化合物である。
ポリエステル系添加剤は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
一般式(1):B−(G−A)n−G−B
式中、Bは、環構造を有するヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表す。環構造とは、脂肪族炭化水素環、脂肪族ヘテロ環、芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環を有する構造をいい、好ましくは脂肪族炭化水素環又は芳香族炭化水素環を有する構造をいう。環構造を有するヒドロキシ基含有モノカルボン酸は、炭素原子数5〜20の脂環式モノカルボン酸、炭素原子数7〜20の芳香族モノカルボン酸及びそれらの混合物でありうる。
式中、Bは、環構造を有するヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表す。環構造とは、脂肪族炭化水素環、脂肪族ヘテロ環、芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環を有する構造をいい、好ましくは脂肪族炭化水素環又は芳香族炭化水素環を有する構造をいう。環構造を有するヒドロキシ基含有モノカルボン酸は、炭素原子数5〜20の脂環式モノカルボン酸、炭素原子数7〜20の芳香族モノカルボン酸及びそれらの混合物でありうる。
炭素原子数5〜20の脂環式モノカルボン酸は、好ましくは炭素原子数6〜15の脂環式モノカルボン酸でありうる。脂環式モノカルボン酸の例には、4−ヒドロキシシクロヘキシル酢酸、3−ヒドロキシシクロヘキシル酢酸、2−ヒドロキシシクロヘキシル酢酸、4−ヒドロキシシクロヘキシルプロピオン酸、4−ヒドロキシシクロヘキシル酪酸、4−ヒドロキシシクロヘキシルグリコール酸、4−ヒドロキシ−o−メチルシクロヘキシル酢酸、4−ヒドロキシ−m−メチルシクロヘキシル酢酸、4−ヒドロキシ−p−メチルシクロヘキシル酢酸、5−ヒドロキシ−m−メチルシクロヘキシル酢酸、6−ヒドロキシ−o−メチルシクロヘキシル酢酸、2,4−ジヒドロキシシクロヘキシル酢酸、2,5−ジヒドロキシシクロヘキシル酢酸、2−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル酢酸、3−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル酢酸、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル酢酸、2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)シクロヘキシル酢酸、3−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)シクロヘキシル酢酸、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)シクロヘキシル酢酸等が含まれる。
炭素原子数7〜20の芳香族モノカルボン酸は、好ましくは炭素原子数7〜15の芳香族モノカルボン酸でありうる。芳香族モノカルボン酸の例には、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−o−トルイル酸、3−ヒドロキシ−p−トルイル酸、5−ヒドロキシ−m−トルイル酸、6−ヒドロキシ−o−トルイル酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2−(ヒドロキシメチル)安息香酸、3−(ヒドロキシメチル)安息香酸、4−(ヒドロキシメチル)安息香酸、2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)安息香酸、3−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)安息香酸、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)安息香酸等が含まれる。
これらの中でも、偏光板保護フィルムに十分な疎水性を付与し、偏光子の水分による劣化を抑制しやすい点から、芳香環を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸(ヒドロキシ基を含む芳香族モノカルボン酸)から誘導される基であることが好ましい。
式中、Gは、炭素原子数2〜12のアルキレンジオール、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジオール、炭素原子数4〜12のオキシアルキレンジオール及び炭素原子数6〜12のアリーレンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種から誘導される基を表す。
炭素原子数2〜12のアルキレンジオールの例には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が含まれる。
炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジオールの例には、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、水素化ビスフェノールB(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)ブタン等が含まれる。
炭素原子数4〜12のオキシアルキレンジオールの例には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が含まれる。
炭素原子数6〜12のアリーレンジオールの例には、ビスフェノールA、ビスフェノールB等が含まれる。
ジオールは、1種又は2種以上の混合物として使用される。中でも、シクロオレフィン系樹脂との相溶性に優れる点で、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールが好ましい。
式中、Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジカルボン酸、及び炭素原子数8〜16のアリーレンジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種から誘導される基を表す。
炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸の例には、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等が含まれる。
炭素原子数6〜16のシクロアルキレンジカルボン酸の例には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸等が含まれる。
炭素原子数8〜16のアリーレンジカルボン酸の例には、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等が含まれる。
ジカルボン酸は、1種又は2種以上の混合物として使用されることが好ましい。ジカルボン酸は、アルキレンジカルボン酸とアリーレンジカルボン酸の混合物であることが好ましい。アルキレンジカルボン酸とアリーレンジカルボン酸の含有割合は、アルキレンジカルボン酸:アリーレンジカルボン酸=40:60〜99:1であることが好ましく、50:50〜90:10であることがより好ましい。
式中、nは、0以上の整数を表す。
ポリエステル系添加剤の数平均分子量は、好ましくは300〜30000、より好ましくは300〜700の範囲内であり、より好ましくは300〜600である。数平均分子量が一定以上であると、ブリードアウトを抑制しやすい。数平均分子量が一定以下であると、シクロオレフィン系樹脂との相溶性を損ないにくくヘイズ上昇を抑制しやすい。
ポリエステル系添加剤の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されうる。具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置(東ソー株式会社製「HLC−8330」)を用いて、下記の測定条件で、エステル化合物の標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)を測定することができる。
(測定条件)
カラム:「TSK gel SuperHZM−M」×2本及び「TSK gel SuperHZ−2000」×2本
ガードカラム:「TSK SuperH−H」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
ポリエステル系添加剤の数平均分子量は、縮合又は重縮合の反応時間によって調整することができる。
カラム:「TSK gel SuperHZM−M」×2本及び「TSK gel SuperHZ−2000」×2本
ガードカラム:「TSK SuperH−H」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
ポリエステル系添加剤の数平均分子量は、縮合又は重縮合の反応時間によって調整することができる。
ポリエステル系添加剤の酸価は、好ましくは0.5mgKOH/g以下、より好ましくは0.3mgKOH/g以下である。ポリエステル系添加剤の水酸基価は、好ましくは25mgKOH/g以下、より好ましくは15mgKOH/g以下である。
ポリエステル系添加剤の合成は、常法によりジカルボン酸、ジオール、及び末端封止用モノカルボン酸のエステル化反応又はエステル交換反応による熱溶融縮合法、又はジカルボン酸及び末端封止用モノカルボン酸の酸クロライドとジオールとの界面縮合法のいずれかの方法で行うことができる。ジオールとジカルボン酸の仕込み比は、分子末端がジオールとなるように調整される。
一般式(1)で表される構造を有するポリエステル系添加剤のシクロオレフィン系樹脂に対する添加量は2〜10質量%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、3〜7質量%の範囲内である。添加量は、2質量%以上の場合で、偏光板保護フィルム硬度上昇の効果が認められ、10質量%以下であると、高温環境下における寸法安定性及びヘイズの安定性を高める観点から好ましい。
《シクロオレフィン系樹脂》
本発明の偏光板保護フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する。本発明に係るシクロオレフィン系樹脂としては、次のような構造を有するシクロオレフィン単量体の(共)重合体が挙げられる。
本発明の偏光板保護フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する。本発明に係るシクロオレフィン系樹脂としては、次のような構造を有するシクロオレフィン単量体の(共)重合体が挙げられる。
〔式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エステル基、カルボキシ基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は極性基(すなわち、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、エステル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された炭化水素基である。ただし、R1〜R4は、二つ以上が互いに結合して、不飽和結合、単環又は多環を形成していてもよく、この単環又は多環は、二重結合を有していても、芳香環を形成してもよい。R1とR2とで、又はR3とR4とで、アルキリデン基を形成していてもよい。p、mは0以上の整数である。〕
上記一般式(2)中、R1及びR3が水素原子又は炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基を表す。R2及びR4が水素原子又は1価の有機基であって、R2及びR4の少なくとも一つは水素原子又は炭化水素基以外の極性を有する極性基を表す。mは0〜3の整数、pは0〜3の整数であり、より好ましくはm+p=0〜4、さらに好ましくは0〜2、特に好ましくはm=1、p=0であるものである。m=1、p=0である特定単量体は、得られるシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くかつ機械的強度も優れたものとなる点で好ましい。
上記一般式(2)中、R1及びR3が水素原子又は炭素数1〜10、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基を表す。R2及びR4が水素原子又は1価の有機基であって、R2及びR4の少なくとも一つは水素原子又は炭化水素基以外の極性を有する極性基を表す。mは0〜3の整数、pは0〜3の整数であり、より好ましくはm+p=0〜4、さらに好ましくは0〜2、特に好ましくはm=1、p=0であるものである。m=1、p=0である特定単量体は、得られるシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くかつ機械的強度も優れたものとなる点で好ましい。
上記特定単量体の極性基としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。これらの中では、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基が好ましい。
さらに、R2及びR4の少なくとも一つが式−(CH2)nCOORで表される極性基である単量体は、得られるシクロオレフィン系樹脂が高いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有するものとなる点で好ましい。上記の特定の極性基にかかる式において、Rは炭素原子数1〜12、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。
共重合性単量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエン、ノルボルネンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。
シクロオレフィンの炭素数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましいのは5〜12である。
本発明において、シクロオレフィン系樹脂は1種単独で、又は2種以上を併用することができる。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂の好ましい分子量は、固有粘度〔η〕inhで0.2〜5dL/g、さらに好ましくは0.3〜3dL/g、特に好ましくは0.4〜1.5dL/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は8000〜100000、さらに好ましくは10000〜80000、特に好ましくは12000〜50000であり、重量平均分子量(Mw)は20000〜300000、さらに好ましくは30000〜250000、特に好ましくは40000〜200000の範囲のものが好適である。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあることによって、シクロオレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性と、溶媒への溶解性が良好となる。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、通常、110℃以上、好ましくは110〜350℃、さらに好ましくは120〜250℃、特に好ましくは120〜220℃である。Tgが110℃以上の場合は、高温条件下での使用、又はコーティング、印刷などの二次加工により変形することがない。一方、Tgが350℃以下であれば、溶媒への溶解性が良好となる。
偏光板保護フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する。樹脂層中の50質量%以上がシクロオレフィン系樹脂であることが好ましく、より好ましくは70〜90質量%以上である。
シクロオレフィン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば特開平9−221577号公報、特開平10−287732号公報に記載されている、特定の炭化水素系樹脂、又は公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、紫外線吸収剤、有機微粒子、無機微粒子などを配合しても良く、特定の波長分散剤、糖エステル化合物、酸化防止剤、剥離促進剤、ゴム粒子、可塑剤、などの添加剤を含んでも良い。
以上説明したシクロオレフィン系樹脂は、市販品を好ましく用いることができ、市販品の例としては、JSR(株)からアートン(ARTON)G、アートンF、アートンR、及びアートンRXという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(ZEONOR)ZF14、ZF16、ゼオネックス(ZEONEX)250又はゼオネックス280という商品名で市販されており、これらを使用することができる。
〈紫外線吸収剤〉
基材フィルムは、耐候性を向上させるために、必要に応じて紫外線吸収剤をさらに含みうる。紫外線吸収剤は、好ましくは波長370nmでの透過率が10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下となるものでありうる。
基材フィルムは、耐候性を向上させるために、必要に応じて紫外線吸収剤をさらに含みうる。紫外線吸収剤は、好ましくは波長370nmでの透過率が10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下となるものでありうる。
紫外線吸収剤の例には、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。中でも、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤がより好ましい。
紫外線吸収剤の含有量は、紫外線吸収剤の種類や使用条件等にもよるが、基材フィルムに対して1.0〜5質量%が好ましい。
〈微粒子〉
基材フィルムは、表面に滑り性等を付与するために、微粒子(マット剤)をさらに含みうる。微粒子は、無機化合物で構成されてもよいし、樹脂で構成されてもよい。
基材フィルムは、表面に滑り性等を付与するために、微粒子(マット剤)をさらに含みうる。微粒子は、無機化合物で構成されてもよいし、樹脂で構成されてもよい。
無機化合物の例には、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が挙げられる。
樹脂の例には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂が含まれる。中でもシリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されているものが挙げられる。
これらの中でも、フィルムの濁度を低くしうる点で、二酸化ケイ素の微粒子が好ましい。二酸化ケイ素の微粒子の例には、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)が挙げられ、フィルムのヘイズを低く保ちながら摩擦係数を下げる効果が大きいことから、好ましくはアエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR812である。
《樹脂層の物性》
〈マルテンス硬度〉
樹脂層の表面硬度は、マルテンス硬度を測定することで評価することができる。マルテンス硬度(ビッカース硬度)とは、ビッカース圧子及び稜線同士の確度が115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計で、試験力が負荷された状態で測定される硬度であり、負荷増加時の試験力−押し込み深さ曲線の関係から『試験力Fを、表面から圧子の侵入した表面積Asで除した値』と定義され、単位はN/mm2で表される。マルテンス硬度(HMT115)は、下記式(A)で表される。
〈マルテンス硬度〉
樹脂層の表面硬度は、マルテンス硬度を測定することで評価することができる。マルテンス硬度(ビッカース硬度)とは、ビッカース圧子及び稜線同士の確度が115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計で、試験力が負荷された状態で測定される硬度であり、負荷増加時の試験力−押し込み深さ曲線の関係から『試験力Fを、表面から圧子の侵入した表面積Asで除した値』と定義され、単位はN/mm2で表される。マルテンス硬度(HMT115)は、下記式(A)で表される。
式(A) :HMT115=Fmax/(26.43×hmax2)
Fmax=最大試験力
hmax=深さ最大値
マルテンス硬度の測定は、23℃において行われる。例えば、超微小硬度計DUH−211(島津製作所製)を用いて行うことができる。
Fmax=最大試験力
hmax=深さ最大値
マルテンス硬度の測定は、23℃において行われる。例えば、超微小硬度計DUH−211(島津製作所製)を用いて行うことができる。
本発明に係る樹脂層は、23℃において、樹脂層のマルテンス硬度が143N/mm2以上であることが好ましく、より好ましくは159N/mm2以上であることである。マルテンス硬度は高い方が偏光板保護フィルムの表面に傷が付きにくいため好ましいが、上限は添加剤等の材料入手、製造条件などの制約により200N/mm2程度である。
(ヘイズ)
基材フィルムの、JIS K−7136に準拠した方法で測定されるヘイズは、0.8%以下、好ましくは0.5%以下でありうる。
基材フィルムの、JIS K−7136に準拠した方法で測定されるヘイズは、0.8%以下、好ましくは0.5%以下でありうる。
ヘイズは、ポリエステル系添加剤の分子量や含有量によって調整されうる。ヘイズを低くするためには、例えばポリエステル系添加剤の分子量や含有量を一定以下としたり、末端封止するヒドロキシ基含有モノカルボン酸に、セルロースエステルとの親和性が高い芳香環を導入したりすることが好ましい。
《樹脂層の製造方法》
樹脂層は、任意の方法で製造されうるが、比較的分子量の大きな樹脂でも製膜しやすい、また添加剤を樹脂層中に均一に添加しやすい等の点から、溶液流延法で製造されることが好ましい。シクロオレフィン系樹脂を含有する溶液を基体上に流延する工程を経て、前記樹脂層を形成すること、具体的にはシクロオレフィン系樹脂を含有する溶液を基体上に流延する工程を経て、樹脂層を形成することが好ましい。
樹脂層は、任意の方法で製造されうるが、比較的分子量の大きな樹脂でも製膜しやすい、また添加剤を樹脂層中に均一に添加しやすい等の点から、溶液流延法で製造されることが好ましい。シクロオレフィン系樹脂を含有する溶液を基体上に流延する工程を経て、前記樹脂層を形成すること、具体的にはシクロオレフィン系樹脂を含有する溶液を基体上に流延する工程を経て、樹脂層を形成することが好ましい。
樹脂層は、1)前述の各成分を溶剤に溶解させてドープ液を調製する工程、2)ドープ液を無端の基体上に流延する工程、3)流延したドープを乾燥した後、剥離して膜状物を得る工程、4)膜状物を乾燥及び延伸する工程を経て製造されうる。
なお、以下の記載において、本発明に係る樹脂層のみのフィルム(基材フィルム)を樹脂フィルムともいう。
上記1)の工程用いられる溶剤としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶剤;トルエン、キシレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶剤などの芳香族系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶液流延法では、ドープ中のシクロオレフィン系樹脂の濃度は、濃度が高い方が基体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、シクロオレフィン系樹脂の濃度が高すぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、さらに好ましくは、15〜25質量%の範囲内である。流延(キャスト)工程における基体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、基体としては、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の基体の表面温度は−50℃から溶媒が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、あまり高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化したりする場合がある。
好ましい基体温度としては0〜100℃の範囲内で適宜決定され、5〜30℃がさらに好ましい。又は、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶剤を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。基体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を基体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、基体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶剤の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶剤の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で基体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
樹脂フィルムが良好な平面性を示すためには、基体からウェブを剥離する際の残留溶剤量は10〜150質量%の範囲内が好ましく、さらに好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%の範囲内であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%の範囲内である。
残留溶剤量は下記式で定義される。
残留溶剤量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
なお、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、樹脂フィルムの乾燥工程においては、ウェブを基体より剥離し、さらに乾燥し、残留溶剤量を1質量%以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%の範囲内である。
フィルム乾燥工程では一般にローラー乾燥方式(上下に配置した多数のローラーにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
延伸工程では、最大延伸方向(延伸率が最大となる方向)の延伸率は、好ましくは5〜80%、より好ましくは12〜60%の範囲内としうる。例えば、互いに直交する2軸方向に延伸する場合、搬送方向(MD方向)に0〜60%、幅方向(TD方向)に5〜70%としうる。延伸率(%)は、下記式で定義される。
延伸率(%)={(延伸後のフィルムの(延伸方向)長さ−延伸前のフィルムの(延伸方向)長さ)/延伸前のフィルムの(延伸方向)長さ)}×100
延伸温度は、120〜180℃、好ましくは140〜180℃、より好ましくは145〜165℃の範囲内としうる。
延伸温度は、120〜180℃、好ましくは140〜180℃、より好ましくは145〜165℃の範囲内としうる。
延伸開始時の膜状物の残留溶媒は、ヘイズの上昇を抑制する観点から、好ましくは5質量%未満、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下としうる。延伸開始時の残留溶媒を5質量%未満に保持するには、流延したドープを基体から剥離した膜状物(フィルム原反)を、搬送する過程において前記乾燥工程を設け溶媒を蒸発させることが好ましい。
膜状物を延伸する方法は、特に限定されず、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用してMD方向に延伸する方法や;テンターにより膜状物の両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔をTD方向に広げて延伸する方法等であってよい。中でも、TD方向の延伸は、テンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
また、斜め延伸可能なテンターを用いて、斜め方向に延伸する工程を経て樹脂層を形成することもできる。斜め延伸可能なテンターは、フィルム原反を、オーブンによる加熱環境下で、その進行方向(フィルム幅方向の中点の移動方向)に対して斜め方向に拡幅する装置である。このテンターは、オーブンと、フィルムを搬送するための把持具が走行する左右で一対のレールと、該レール上を走行する多数の把持具とを備えている。フィルムロールから繰り出され、テンターの入口部に順次供給されるフィルムの両端を、把持具で把持し、オーブン内にフィルムを導き、テンターの出口部で把持具からフィルムを開放する。把持具から開放されたフィルムは巻芯に巻き取られる。一対のレールは、それぞれ無端状の連続軌道を有し、テンターの出口部でフィルムの把持を開放した把持具は、外側を走行して順次入口部に戻されるようになっている。
その他の工程については、公知の溶液流延法;例えば特開2012−48214号の段落0109〜0140と同様としうる。
《ハードコート層》
本発明の偏光板保護フィルムは、ハードコート層を有することが好ましい。ハードコート層を有することで、偏光板の耐衝撃性や取扱い容易性等を向上させることができる。
本発明の偏光板保護フィルムは、ハードコート層を有することが好ましい。ハードコート層を有することで、偏光板の耐衝撃性や取扱い容易性等を向上させることができる。
ハードコート層を形成する材料としては、JIS K5700に規定される鉛筆硬度試験で、「H」以上の硬度を示すものであれば、特に制限はないが、活性線硬化性化合物の硬化物を含有することが好ましく、活性線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられる。活性線硬化性化合物としては、紫外線硬化性化合物や電子線硬化性化合物が挙げられるが、紫外線照射により硬化する化合物が、機械的膜強度(耐擦傷性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。
例えば、有機シリコーン系、メラミン系、エポキシ系、アクリレート系、多官能(メタ)アクリル系化合物等の有機系ハードコート材料;二酸化ケイ素等の無機系ハードコート材料;等が挙げられる。中でも、接着力が良好であり、生産性に優れる観点から、(メタ)アクリレート系、多官能(メタ)アクリル系化合物のハードコート形成材料の使用が好ましい。ここで(メタ)アクリルとはアクリル及びメタクリルを示す。
(メタ)アクリレートは、重合性不飽和基を分子内に一つ有するもの、二つ有するもの、三つ以上有するもの、重合性不飽和基を分子内に三つ以上含有する(メタ)アクリレートオリゴマーを挙げることができる。例えば、多官能アクリレートとして、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレート等を用いることができる。(メタ)アクリレートは、単独で用いられても良く、2種類以上のものを用いても良い。
また、本発明に係るハードコート層中には、本発明の効果が損なわれない範囲で、さらに各種の添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、酸化防止剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、レベリング剤、帯電防止剤などを用いることができるまた、本発明のハードコート層は平均粒径サイズ0.2〜10μmの範囲内の粒子を含有することで、滑り性を付与してもよく、高屈折率微粒子を分散含有し、屈折率を付与してもよい。
レベリング剤は、特に、ハードコート層を塗工する際、表面凹凸低減に効果的である。レネリング剤としては、例えば、シリコーン系レベリング剤として、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体が好適である。
平均粒径サイズ0.2〜10μmの範囲内の粒子としては、無機粒子が好ましく、無機粒子の例としては、シリカ、酸化亜鉛、ITO(酸化インジウム/酸化スズ)、ATO(酸化アンチモン/酸化スズ)、酸化スズ、酸化インジウム、酸化タングステン、複合酸化タングステン及び酸化アンチモンからなる群から選択される少なくとも1種類以上が挙げられる。この中で、表面硬度の向上効果を特に高くすることができ、強度を特に高くすることができることからシリカ微粒子が好ましい。また、ハードコート層に紫外線吸収性能を付加し、ハードコート層の経時劣化を抑制するという観点から、ITO、ATO、酸化タングステン又は複合酸化タングステンを用いることが好ましい。
上記紫外線安定剤としては、例えば、紫外線に対する安定性が高いヒンダードアミン系紫外線安定剤が好適に用いられる。ハードコート層が紫外線安定剤を含有することにより、紫外線によって発生するラジカル、活性酸素等が不活性化され、紫外線安定性、耐候性等を向上させることができる。
上記紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等を挙げることができ、これらの群より選択される1種又は2種以上のものを用いることができる。中でも、分散性の点から、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤が好ましい。また、上記紫外線吸収剤としては、分子鎖に紫外線吸収基を有するポリマーも好適に使用される。かかる分子鎖に紫外線吸収基を有するポリマーを用いることで、紫外線吸収剤のブリードアウト等による紫外線吸収機能の劣化を防止することができる。この紫外線吸収基としては、ベンゾトリアゾール基、ベンゾフェノン基、シアノアクリレート基、トリアジン基、サリシレート基、ベンジリデンマロネート基等が挙げられる。中でも、ベンゾトリアゾール基、ベンゾフェノン基、トリアジン基が特に好ましい。
〈ハードコート層を有する偏光板保護フィルムの製造方法〉
ハードコート層を有する偏光板保護フィルム(HC層有りの偏光板保護フィルムともいう。)は、1)前述の樹脂フィルムを準備する工程と、2)当該樹脂フィルム上に活性エネルギー線硬化物層用塗布液を塗布した後、乾燥及び硬化させて活性エネルギー線硬化物層(ハードコート層)を得る工程とを経て製造されうる。
ハードコート層を有する偏光板保護フィルム(HC層有りの偏光板保護フィルムともいう。)は、1)前述の樹脂フィルムを準備する工程と、2)当該樹脂フィルム上に活性エネルギー線硬化物層用塗布液を塗布した後、乾燥及び硬化させて活性エネルギー線硬化物層(ハードコート層)を得る工程とを経て製造されうる。
上記1)の樹脂フィルムを準備する工程は前述したとおりである。
上記2)の活性エネルギー線硬化層用塗布液の塗布は、例えばディッピング法、ダイコーター法、ワイヤーバー法、スプレー法等の任意の手段にて行うことができる。
上記2)の活性エネルギー線硬化層用塗布液の塗膜の硬化は、活性エネルギー線を照射して行うことができる。活性エネルギー線(好ましくは紫外線)を照射する光源の例には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。照射光量は20〜10000mJ/cm2程度あればよく、好ましくは50〜2000mJ/cm2である。照射時間は、好ましくは0.5秒〜5分、作業効率等の観点からより好ましくは3秒〜2分としうる。
ハードコート層のドライ層厚としては、層厚が1〜8μmの範囲内が好ましく、より好ましくは3〜5μmの範囲内である。
〈偏光子〉
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素又は二色性染料で染色したフィルム(好ましくはさらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよいし;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の吸収軸は、フィルムの延伸方向と平行である。
例えば、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコール等が用いられる。中でも、熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。
偏光子の厚さは、5〜30μmであることが好ましく、偏光板を薄型化するためなどから、10〜20μmであることがより好ましい。
〈他の偏光板保護フィルム〉
偏光子の他方の面には、必要に応じて前述の偏光板保護フィルムや基材フィルムが配置されてもよいし、他の偏光板保護フィルムが配置されてもよい。
偏光子の他方の面には、必要に応じて前述の偏光板保護フィルムや基材フィルムが配置されてもよいし、他の偏光板保護フィルムが配置されてもよい。
他の偏光板保護フィルムの例には、市販のセルロースアシレートフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UE、KC4UE、KC4HR−1、KC4KR−1、KC4UA、KC6UA以上コニカミノルタ(株)製)等が含まれる。
本発明では、偏光子の片側に本発明の偏光板保護フィルムが具備され、前記偏光子の他の片側に位相差フィルムが具備されていることが好ましい。
他の偏光板保護フィルムは位相差フィルムであることが好ましい。位相差フィルムのリターデーションは、組み合わされる液晶セルの種類にもよるが、例えば23℃・55%RHの条件下、波長590nmで測定される面内方向のリターデーションRo(590)は20〜100nmであることが好ましく、厚さ方向のリターデーションRth(590)は70〜300nmであることが好ましい。リターデーションが上記範囲である保護フィルムは、例えばVA型液晶セル等の位相差フィルムとして適している。各リターデーション値は、以下の方法で測定されうる。
リターデーションRo及びRthは、それぞれ以下の式で定義される。
式(I):Ro=(nx−ny)×d(nm)
式(II):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(式(I)及び(II)において、
nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる遅相軸方向xにおける屈折率を表し;
nyは、フィルムの面内方向において前記遅相軸方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;
nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表し;
d(nm)は、フィルムの厚さを表す)
リターデーションRo及びRthは、例えば以下の方法によって求めることができる。
式(II):Rth={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
(式(I)及び(II)において、
nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる遅相軸方向xにおける屈折率を表し;
nyは、フィルムの面内方向において前記遅相軸方向xと直交する方向yにおける屈折率を表し;
nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表し;
d(nm)は、フィルムの厚さを表す)
リターデーションRo及びRthは、例えば以下の方法によって求めることができる。
1)偏光板保護フィルムを、23℃・55%RHで調湿する。調湿後の偏光板保護フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計などで測定する。
2)調湿後の偏光板保護フィルムに、当該フィルム表面の法線に平行に測定波長590nmの光を入射させたときのRoを、KOBRA−21DH、王子計測機器(株)にて測定する。
3)KOBRA−21ADHにより、偏光板保護フィルムの面内の遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、当該フィルムの表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときのリターデーション値R(θ)を測定する。リターデーション値R(θ)の測定は、θが0〜50°の範囲で、10°毎に6点行うことができる。面内遅相軸とは、フィルム面内のうち屈折率が最大となる軸をいい、KOBRA−21ADHにより確認することができる。
4)測定されたRo及びR(θ)と、前述の平均屈折率と膜厚とから、KOBRA−21ADHにより、nx、ny及びnzを算出して、測定波長590nmでのRthを算出する。リターデーションの測定は、23℃・55%RH条件下で行うことができる。
本発明の偏光板は、偏光子と本発明の偏光板保護フィルムとを接着剤を介して貼り合わる工程と;貼り合わせた積層物を所定の大きさに裁断する工程とを経て得ることができる。貼り合わせに用いられる接着剤は、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊)であってもよいし、活性エネルギー線硬化性接着剤を用いて行ってもよい。
《液晶表示装置》
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。
図2は、液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。図2に示されるように、本発明の液晶表示装置10は、液晶セル30と、それを挟持する第一の偏光板50及び第二の偏光板70と、バックライト90とを含む。
液晶セル30の表示モードは、例えばSTN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS等の種々の表示モードであってよく、高いコントラストを得るためにはVA(MVA、PVA)モードであることが好ましい。
第一の偏光板50は、第一の偏光子51と、第一の偏光子51の液晶セルとは反対側の面に配置された偏光板保護フィルム53(F1)と、第一の偏光子51の液晶セル側の面に配置された偏光板保護フィルム55(F2)とを含む。
第二の偏光板70は、第二の偏光子71と、第二の偏光子71の液晶セル側の面に配置された偏光板保護フィルム73(F3)と、第二の偏光子71の液晶セルとは反対側の面に配置された偏光板保護フィルム75(F4)とを含む。偏光板保護フィルム55(F2)と73(F3)の一方は、必要に応じて省略されうる。
そして、偏光板保護フィルム53(F1)と75(F4)の少なくとも一方;好ましくは偏光板保護フィルム53(F1)が、本発明の偏光板保護フィルムでありうる。偏光板保護フィルム53(F1)は、基材フィルム53Aと、活性エネルギー線硬化物層53Bとを有し、かつ基材フィルム53Aが第一の偏光子51と接している。偏光板保護フィルム53(F1)が本発明の偏光板保護フィルムである液晶表示装置は、表面の耐擦傷性が高いので、表示画面に傷を付きにくくしうる。
本発明の偏光板保護フィルムは、液晶表示装置の偏光板保護フィルムとしてだけでなく、タッチパネルを備えた画像表示装置や、有機ELディスプレイやプラズマディスプレイ等の画像表示装置等の保護フィルムとしても好ましく用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
以下の実施例で使用した化合物をその略号とともに示す。
〔ポリエステル系添加剤の合成〕
一般式(1)で表される構造を有するポリエステル系添加剤PE1〜PE9と比較のポリエステル系添加剤としてポリエステル系添加剤PE10及びPE11を合成した。また、比較の化合物PE12として、特開2014−132071号公報に記載の(A−4)を用いた。
一般式(1)で表される構造を有するポリエステル系添加剤PE1〜PE9と比較のポリエステル系添加剤としてポリエステル系添加剤PE10及びPE11を合成した。また、比較の化合物PE12として、特開2014−132071号公報に記載の(A−4)を用いた。
〈ポリエステル系添加剤PE1の合成〉
エチレングリコール341部、テレフタル酸とコハク酸を5:5のモル比で410部、4−ヒドロキシ安息香酸610部、及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を、温度計、撹拌機及び緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中で撹拌拌下、還流凝縮器を付して過剰量の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで230℃で加熱を続けて、生成する水を連続的に除去した。次いで、200℃で4×102Pa以下の減圧下にて、未反応のエチレングリコールを留去してポリエステル系添加剤PE1を得た。
エチレングリコール341部、テレフタル酸とコハク酸を5:5のモル比で410部、4−ヒドロキシ安息香酸610部、及びエステル化触媒としてテトライソプロピルチタネート0.35部を、温度計、撹拌機及び緩急冷却管を備えた2Lの四つ口フラスコに仕込み、窒素気流中で撹拌拌下、還流凝縮器を付して過剰量の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで230℃で加熱を続けて、生成する水を連続的に除去した。次いで、200℃で4×102Pa以下の減圧下にて、未反応のエチレングリコールを留去してポリエステル系添加剤PE1を得た。
〈ポリエステル系添加剤PE2〜PE4及びPE9〜PE11の合成〉
ジオール(G)、ジカルボン酸(A)、及び末端封止用モノカルボン酸(B)の種類を表1に示されるように変更した以外は同様にしてポリエステル系添加剤PE2〜PE4及びPE9〜PE11を得た。
ジオール(G)、ジカルボン酸(A)、及び末端封止用モノカルボン酸(B)の種類を表1に示されるように変更した以外は同様にしてポリエステル系添加剤PE2〜PE4及びPE9〜PE11を得た。
〈ポリエステル系添加剤PE5〜PE8の合成〉
PE4の合成において、反応時間を変えて、異なる分子量のポリエステル系添加剤PE5〜PE8を合成した。
PE4の合成において、反応時間を変えて、異なる分子量のポリエステル系添加剤PE5〜PE8を合成した。
得られたポリエステル系添加剤の数平均分子量を、以下の方法で測定した。
(数平均分子量(Mn)の測定)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置(東ソー株式会社製「HLC−8330」)を用いて、下記条件で、ポリエステル化合物の標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)を測定した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置(東ソー株式会社製「HLC−8330」)を用いて、下記条件で、ポリエステル化合物の標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)を測定した。
カラム:「TSK gel SuperHZM−M」×2本及び「TSK gel SuperHZ−2000」×2本
ガードカラム:「TSK SuperH−H」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
これらの結果を表1に示す。
ガードカラム:「TSK SuperH−H」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
これらの結果を表1に示す。
〔シクロオレフィン系樹脂〕
COP1:シクロオレフィン系樹脂(ARTON G7810、JSR(株)製)
COP2:シクロオレフィン系樹脂(ARTON R5000、JSR(株)製)
COP3:シクロオレフィン系樹脂(ARTON RX4500、JSR(株)製)
〔ハードコート層塗布液〕
(ハードコート層塗布液1(HC1))の調製)
下記組成のハードコート層塗布液1を調製した。紫外線硬化型樹脂と界面活性剤とプロピレングリコールモノメチルエーテルを混合した後、当該混合液を30分間撹拌し、ハードコート層塗布液1を調製した。
COP1:シクロオレフィン系樹脂(ARTON G7810、JSR(株)製)
COP2:シクロオレフィン系樹脂(ARTON R5000、JSR(株)製)
COP3:シクロオレフィン系樹脂(ARTON RX4500、JSR(株)製)
〔ハードコート層塗布液〕
(ハードコート層塗布液1(HC1))の調製)
下記組成のハードコート層塗布液1を調製した。紫外線硬化型樹脂と界面活性剤とプロピレングリコールモノメチルエーテルを混合した後、当該混合液を30分間撹拌し、ハードコート層塗布液1を調製した。
紫外線硬化型樹脂(オプスターZ7527、JSR社製)
100質量部
界面活性剤(サーフロンS−651、AGCセイミケミカル社製)
0.1質量部
メチルエチルケトン 30質量部
《偏光板保護フィルム1の作製》
〔主ドープの調製〕
下記組成の主ドープを調製した。まず加圧溶解タンクにジクロロメタンとエタノールを添加した。ジクロロメタンとエタノールの混合溶液の入った加圧溶解タンクにシクロオレフィン樹脂を撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用してろ過し、主ドープを調製した。
100質量部
界面活性剤(サーフロンS−651、AGCセイミケミカル社製)
0.1質量部
メチルエチルケトン 30質量部
《偏光板保護フィルム1の作製》
〔主ドープの調製〕
下記組成の主ドープを調製した。まず加圧溶解タンクにジクロロメタンとエタノールを添加した。ジクロロメタンとエタノールの混合溶液の入った加圧溶解タンクにシクロオレフィン樹脂を撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用してろ過し、主ドープを調製した。
(主ドープ)
COP1 100質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
以上の成分を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解して主ドープを調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度31℃、1800mm幅でステンレスベルト基体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は28℃に制御した。
COP1 100質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
以上の成分を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解して主ドープを調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度31℃、1800mm幅でステンレスベルト基体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は28℃に制御した。
ステンレスベルト基体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶剤量が30%になるまで溶剤を蒸発させた。次いで、剥離張力128N/mで、ステンレスベルト基体上から剥離した。剥離したフィルムを、延伸開始時の残留溶剤は5質量%であった。フィルム原反を剥離後、剥離したフィルム原反を、160℃の条件下で幅方向(TD方向)に、延伸率30%で一軸延伸した。次いで、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後、巻き取り、厚さ40μmの樹脂フィルム1(樹脂層1)を作製した。
上記で得られた樹脂フィルム1の片面に、マイクログラビアを用いてハードコート層塗布液1を、ドライ膜厚3μmになるように塗布し、乾燥した。
次いで、高圧水銀ランプを使用して、大気下で当該塗膜に光量270mJ/cm2で紫外線照射して硬化し、樹脂フィルム1にハードコート層が形成された偏光板保護フィルム1を作製した。
《偏光板保護フィルム2の作製》
偏光板保護フィルム1の作製において主ドープを以下のように変えた他は、偏光板保護フィルム1の作製と同様にして樹脂フィルム2及び偏光板保護フィルム2を作製した。
偏光板保護フィルム1の作製において主ドープを以下のように変えた他は、偏光板保護フィルム1の作製と同様にして樹脂フィルム2及び偏光板保護フィルム2を作製した。
(主ドープ)
COP1 100質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
PE1 5質量部
《偏光板保護フィルム3〜24の作製》
偏光板保護フィルム2の作製において、主ドープに含まれるシクロオレフィン系樹脂の種類、ポリエステル系添加剤の種類と添加量、及び樹脂層の厚さを表2のように変えて、偏光板保護フィルム2の作製と同様にして樹脂フィルム3〜24及び偏光板保護フィルム3〜24を作製した。
COP1 100質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
PE1 5質量部
《偏光板保護フィルム3〜24の作製》
偏光板保護フィルム2の作製において、主ドープに含まれるシクロオレフィン系樹脂の種類、ポリエステル系添加剤の種類と添加量、及び樹脂層の厚さを表2のように変えて、偏光板保護フィルム2の作製と同様にして樹脂フィルム3〜24及び偏光板保護フィルム3〜24を作製した。
《偏光板保護フィルムの評価》
作製した樹脂フィルム1〜24及びハードコート層を有する樹脂フィルム1〜24に対して、ハードコート層を有しない樹脂層(樹脂フィルム)に対して、マルテンス硬度、耐熱寸法安定性及び耐熱ヘイズの評価を行った。樹脂層上にハードコート層を備えた偏光板保護フィルムに対しては、鉛筆硬度、耐熱カール及び耐熱ヘイズの評価を行った。
作製した樹脂フィルム1〜24及びハードコート層を有する樹脂フィルム1〜24に対して、ハードコート層を有しない樹脂層(樹脂フィルム)に対して、マルテンス硬度、耐熱寸法安定性及び耐熱ヘイズの評価を行った。樹脂層上にハードコート層を備えた偏光板保護フィルムに対しては、鉛筆硬度、耐熱カール及び耐熱ヘイズの評価を行った。
〈マルテンス硬度〉
マルテンス硬度の測定は、ハードコート層を有しない樹脂層(樹脂フィルム)に対して行った。
マルテンス硬度の測定は、ハードコート層を有しない樹脂層(樹脂フィルム)に対して行った。
樹脂層の表面硬度は、マルテンス硬度を測定して評価した。マルテンス硬度(ビッカース硬度)は、ビッカース圧子及び稜線同士の確度が115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計で、試験力が負荷された状態で測定される硬度であり、負荷増加時の試験力−押し込み深さ曲線の関係から『試験力Fを、表面から圧子の侵入した表面積Asで除した値』と定義され、単位はN/mm2で表される。マルテンス硬度(HMT115)は、下記式で表される。
HMT115=Fmax/(26.43×hmax2)
Fmax=最大試験力(12mNに設定)
hmax=深さ最大値
更に、今回の測定条件は『Fmax = 12mN』で実施した。
樹脂フィルムの両面を測定し、その平均値を表2に示した。
HMT115=Fmax/(26.43×hmax2)
Fmax=最大試験力(12mNに設定)
hmax=深さ最大値
更に、今回の測定条件は『Fmax = 12mN』で実施した。
樹脂フィルムの両面を測定し、その平均値を表2に示した。
〈耐熱寸法安定性〉
各試料を90℃の恒温槽へ500時間投入後の延伸(MD)方向の寸法変化率を、測定顕微鏡STM6(OLYMPUS社製)を用いて測定した。変化率の絶対値を以下のランク付けをおこなって評価した。
◎:変化率が0.05%未満
○:変化率が0.05%以上0.20%未満
×:変化率が0.20%以上
〈耐熱ヘイズ〉
各樹脂フィルムを23℃・55%RHで12時間調湿後、80℃・90%RHの環境下で120時間処理した後のヘイズの変化を測定することで、高温環境下でのヘイズの安定性を評価した。
各試料を90℃の恒温槽へ500時間投入後の延伸(MD)方向の寸法変化率を、測定顕微鏡STM6(OLYMPUS社製)を用いて測定した。変化率の絶対値を以下のランク付けをおこなって評価した。
◎:変化率が0.05%未満
○:変化率が0.05%以上0.20%未満
×:変化率が0.20%以上
〈耐熱ヘイズ〉
各樹脂フィルムを23℃・55%RHで12時間調湿後、80℃・90%RHの環境下で120時間処理した後のヘイズの変化を測定することで、高温環境下でのヘイズの安定性を評価した。
ヘイズの測定は、JIS K−7136に準拠して、ヘーズメーターNDH−2000(日本電色工業株式会社製)にてヘイズ(全ヘイズ)の測定を行った。ヘーズメーターの光源は、5V9Wのハロゲン球とし、受光部は、シリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)とした。
ヘイズの測定は、23℃・55%RHの条件下にて行い、処理後のヘイズ値から処理前のヘイズを引いた差を以下のランク付けを行って評価した。
◎:差が0.03%未満
○:差が0.03%以上0.05%未満
△:差が0.05%以上
〈鉛筆硬度〉
ハードコート層を有する偏光板保護フィルムの表面硬度を、JIS K 5400に準拠した鉛筆硬度評価法にて測定した。具体的には、ハードコートフィルムを23℃55%・RH下で24時間調湿した。その後、ハードコート層の表面を1kgの重りを用いて各硬度の鉛筆で引っ掻く操作を5回繰り返し、傷が1本以下となる硬度の最大値を求めた。最大値の値が大きいほど、硬度が高いことを示す。
◎:差が0.03%未満
○:差が0.03%以上0.05%未満
△:差が0.05%以上
〈鉛筆硬度〉
ハードコート層を有する偏光板保護フィルムの表面硬度を、JIS K 5400に準拠した鉛筆硬度評価法にて測定した。具体的には、ハードコートフィルムを23℃55%・RH下で24時間調湿した。その後、ハードコート層の表面を1kgの重りを用いて各硬度の鉛筆で引っ掻く操作を5回繰り返し、傷が1本以下となる硬度の最大値を求めた。最大値の値が大きいほど、硬度が高いことを示す。
〈耐熱カール〉
樹脂層上にハードコート層を設けると、高温下の環境で樹脂層とハードコート層の熱膨張率が異なるためカールを発生する。このため耐熱寸法性の指標として、カールを測定した。各試料を23℃・55%RHで12時間調湿後、90℃の恒温槽へ500時間投入後の延伸(MD)方向のカールを測定した。
樹脂層上にハードコート層を設けると、高温下の環境で樹脂層とハードコート層の熱膨張率が異なるためカールを発生する。このため耐熱寸法性の指標として、カールを測定した。各試料を23℃・55%RHで12時間調湿後、90℃の恒温槽へ500時間投入後の延伸(MD)方向のカールを測定した。
JIS K 7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の方法Aのカール測定用型板を用いて行った。ここで、カールがプラスとはフィルムのハードコート層塗設側が湾曲の内側になるカールをいい、マイナスとは、塗設側が湾曲の外側になるカールをいう。また、カールは以下の数式Aで表される。
(数式A) カール=1/R Rは曲率半径(m)
測定結果のカール量の絶対値により、以下のようにランク付した。
◎:絶対値で5未満
○:絶対値で5以上10未満
△:絶対値で10以上15未満
×:絶対値で15以上
〈耐熱ヘイズ〉
樹脂フィルムの耐熱ヘイズの測定と同様にして、ハードコート層を有する樹脂フィルムに対して、80℃・90%RHの環境下で120時間処理した後のヘイズの変化を測定した。
測定結果のカール量の絶対値により、以下のようにランク付した。
◎:絶対値で5未満
○:絶対値で5以上10未満
△:絶対値で10以上15未満
×:絶対値で15以上
〈耐熱ヘイズ〉
樹脂フィルムの耐熱ヘイズの測定と同様にして、ハードコート層を有する樹脂フィルムに対して、80℃・90%RHの環境下で120時間処理した後のヘイズの変化を測定した。
上記結果から、本発明の要件を満たす偏光板保護フィルムは表面硬度が高く高温環境下に置かれても寸法安定性及びヘイズに優れていることがわかる。また、これを具備する偏光板及び液晶表示装置として有用であることが分かる。
なお、偏光板保護フィルム4の作製において、樹脂層の厚さを80μmに変更した以外は偏光板保護フィルム4と同様にして作製した樹脂フィルム及び偏光板保護フィルムを評価した結果、鉛筆硬度は2Hでその他の特性は、厚さ50μmの樹脂層16及び偏光板保護フィルム16と同等の結果が得られたが、高い薄膜要求に対しては、応えられなかった。
本発明の偏光板保護フィルムは、薄膜であり、表面硬度が高く高温環境下に置かれても寸法安定性及びヘイズの安定性に優れ、偏光板、液晶表示装置に好ましく具備することができる。
1 偏光板保護フィルム
2 樹脂層
3 ハードコート層
10 液晶表示装置
30 液晶セル
50 第一の偏光板
51 第一の偏光子
53 保護フィルム(F1)
55 保護フィルム(F2)
70 第二の偏光板
71 第二の偏光子
73 保護フィルム(F3)
75 保護フィルム(F4)
90 バックライト
2 樹脂層
3 ハードコート層
10 液晶表示装置
30 液晶セル
50 第一の偏光板
51 第一の偏光子
53 保護フィルム(F1)
55 保護フィルム(F2)
70 第二の偏光板
71 第二の偏光子
73 保護フィルム(F3)
75 保護フィルム(F4)
90 バックライト
Claims (9)
- シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する偏光板保護フィルムであって、前記樹脂層が、厚さが50μm以下であり、下記一般式(1)で表されるポリエステル系添加剤を含有することを特徴とする偏光板保護フィルム。
一般式(1):B−(G−A)n−G−B
(式中、
Bは、環構造を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表す。
Gは、炭素原子数2〜12のアルキレンジオール、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジオール、炭素原子数4〜12のオキシアルキレンジオール及び炭素原子数6〜12のアリーレンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種から誘導される基を表す。
Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジカルボン酸、及び炭素原子数8〜16のアリーレンジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種から誘導される基を表す。
nは、0以上の整数を表す。) - 前記一般式(1)中のBが、芳香族環を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表すことを特徴とする請求項1に記載の偏光板保護フィルム。
- 前記ポリエステル系添加剤の数平均分子量が、300〜700の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の偏光板保護フィルム。
- 前記樹脂層中の前記ポリエステル系添加剤の含有量が、前記シクロオレフィン系樹脂に対して2〜10質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
- 前記樹脂層の上にハードコート層を有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
- 前記樹脂層の厚さが、15〜50μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルム。
- 偏光子の片側に請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の偏光板保護フィルムが、具備されていることを特徴とする偏光板。
- 請求項7に記載の偏光板が、具備されていることを特徴とする液晶表示装置。
- シクロオレフィン系樹脂を含有する樹脂層を有する偏光板保護フィルムを製造する偏光板保護フィルムの製造方法であって、下記一般式(1)で表されるポリエステル系添加剤を含有し、かつ、シクロオレフィン系樹脂を含有する溶液を基体上に流延する工程を経て、前記樹脂層を形成することを特徴とする偏光板保護フィルムの製造方法。
一般式(1):B−(G−A)n−G−B
(式中、
Bは、環構造を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表す。
Gは、炭素原子数2〜12のアルキレンジオール、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジオール、炭素原子数4〜12のオキシアルキレンジオール及び炭素原子数6〜12のアリーレンジオールからなる群より選ばれる化合物から誘導される基を表す。
Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジカルボン酸、及び炭素原子数8〜16のアリーレンジカルボン酸からなる群より選ばれる化合物から誘導される基を表す。
nは、0以上の整数を表す。)
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