JP6724370B2 - 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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本発明は、光学フィルム、光学フィルムの製造方法、偏光板及び画像表示装置に関する。特に、本発明は、接着剤との親和性すなわち接着性が良好であってヘイズが低い光学フィルム等に関する。
従来、テレビ、ノートパソコン及びスマートフォン等の画像表示装置には偏光板が搭載され、当該偏光板は偏光子及び、保護フィルム、位相差フィルム等の光学フィルムを備えて構成されている。
当該偏光板の保護フィルムを構成する材料としては、例えば、セルロースエステル樹脂、ポリカーボネート及びシクロオレフィン系樹脂等が知られている。これらの中でも、高い耐熱性と耐湿性とを有する観点から、シクロオレフィン系樹脂(シクロオレフィンポリマー:「COP」ともいう。)が好ましく用いられる。
そして、偏光板に用いる光学フィルムは、偏光板を作製するにあたり、偏光子と接着させる工程が必須である。
しかし、前記光学フィルムとして、シクロオレフィン系樹脂フィルムを用いた場合、特別な表面改質処理を施さないと、接着剤との親和性が低い、すなわち、接着性が低いという問題がある。
従来、このような問題に対して、一般的な光学フィルムでは、表面自由エネルギーを上げるための表面改質処理、例えば、コロナ放電表面処理などが行われる。
シクロオレフィン系樹脂フィルムに対してコロナ放電表面処理を行う場合、接着剤との親和性が十分には改善されないため、代替策として、プラズマ表面処理が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、このプラズマ表面処理では、フィルムへのダメージが大きく、損傷を受け、フィルム欠陥が生じやすいという問題がある。
また、他の方法として、光学フィルムに下塗り層を設けることで接着性を改善する方法も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この下塗り層を設ける場合は、製造工程が増える、必要な材料の量が増える、下塗り層が剥がれることによる偏光板収率が低下する、折り曲げ耐性が劣化する、ヘイズが増加する等のデメリットがあり、好ましくない。
特開2003−121648号公報 特開2015−160434号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みなされたものであり、その解決課題は、接着剤との親和性すなわち接着性が良好であって、ヘイズが低くかつ折り曲げ耐性に優れた光学フィルム、その製造方法、当該光学フィルムを具備した偏光板及び画像表示装置を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、シクロオレフィン系樹脂フィルムに対して、単に従来の一般的な表面処理を施すのではなく、特定の有機添加剤を含有させた上で、当該表面処理をすると本発明の上記課題を解決することができることを見いだし、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.シクロオレフィン系樹脂と表面自由エネルギーを変化させる有機添加剤とを含有する光学フィルムであって、
前記有機添加剤として、ポリシロキサン系化合物を含有し、当該ポリシロキサン系化合物が、アクリル変性シリコーンであり、
前記有機添加剤の含有による表面自由エネルギーEの変化量の絶対値|ΔE|が、1031mJ/mの範囲内であり、
表面自由エネルギー増加のための、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、及びケン化処理のいずれかの表面改質処理が施されていることを特徴とする光学フィルム。
.フィルム膜厚が、5〜40μmの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の光学フィルム。
.第1項又は2項に記載の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、
少なくとも、シクロオレフィン系樹脂と表面自由エネルギーを変化させる有機添加剤を含有するドープを溶液流延法により製膜する工程と、
コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、及びケン化処理のいずれかの表面改質処理方法により表面自由エネルギーを増加させる工程と、
を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
.フィルム中の残留溶媒量が、30〜700質量ppmの範囲内であることを特徴とする第項に記載の光学フィルムの製造方法。
5.第1項又は項に記載の光学フィルムと偏光子とを具備していることを特徴とする偏光板。
6.第1項又は項に記載の光学フィルムを具備していることを特徴とする画像表示装置。
本発明の手段によれば、接着剤との親和性すなわち接着性が良好であって、ヘイズが低くかつ折り曲げ耐性に優れた光学フィルム、その製造方法、当該光学フィルムを具備した偏光板及び画像表示装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂フィルムに表面自由エネルギーを変化させる有機添加剤を含有させて光学フィルムを製造する際、当該有機添加剤は、それ自身が凝集しにくく、かつ空気界面での安定性が高い、つまりは当該光学フィルムの表面方向に偏在しやすい等の特性を有するため、ドープの製膜工程中に空気界面近傍に偏在しやすい。そのため、当該有機添加剤に物理的又は化学的表面処理に活性な官能基又は化学構造を持たせておくことで、表面状態を効率的に改質することができた。すなわち、当該有機添加剤を含有させることにより当初低下したシクロオレフィン系樹脂フィルムの表面自由エネルギーが表面処理によって高めることができ、その結果、接着性が改善されたと推察される。
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂と表面自由エネルギーを変化させる有機添加剤とを含有する光学フィルムであって、前記有機添加剤として、ポリシロキサン系化合物を含有し、当該ポリシロキサン系化合物が、アクリル変性シリコーンであり、
前記有機添加剤の含有による表面自由エネルギーEの変化量の絶対値|ΔE|が、1031mJ/mの範囲内であり、表面自由エネルギー増加のための、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、及びケン化処理のいずれかの表面改質処理が施されていることを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施形態としては、本発明の効果発現の観点から、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、及びケン化処理に対して活性であることが好ましい。また、前記有機添加剤として、ポリシロキサン系化合物を含有すること、及び、フィルム膜厚が、5〜40μmの範囲内であることが、上記と同様の観点から好ましい。
本発明の光学フィルムは、最終的には、表面自由エネルギー増加のための表面改質処理が施されていることが、課題解決の観点から好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法としては、少なくとも、シクロオレフィン系樹脂と表面自由エネルギーを変化させる有機添加剤を含有するドープを溶液流延法により製膜する工程と、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、及びケン化処理のいずれかの表面改質処理方法により表面自由エネルギーを増加させる工程と、を有する態様の製造方法であることが好ましい。当該製造方法においては、フィルム中の残留溶媒量が、30〜700質量ppmの範囲内であるようにすることが、本発明の効果発現の観点から、好ましい。
本発明の光学フィルムは、偏光板及び当該偏光板を具備する画像表示装置に好適である。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《1.光学フィルムの概要》
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂と表面自由エネルギーを変化させる有機添加剤とを含有する光学フィルムであって、前記有機添加剤の含有による表面自由エネルギーEの変化量の絶対値|ΔE|が、5〜50mJ/mの範囲内であることを特徴とする。
なお、本発明の光学フィルムは、単層であって、フィルム製膜時に用いられる溶媒を残留溶媒として更に含有するものであっても良い。
1−1.シクロオレフィン系樹脂
本発明の光学フィルムに含有されるシクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン単量体の重合体、又はシクロオレフィン単量体とそれ以外の共重合性単量体との共重合体であることが好ましい。
シクロオレフィン単量体としては、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体であることが好ましく、下記一般式(A−1)又は(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体であることがより好ましい。
Figure 0006724370
一般式(A−1)中、R〜Rは、各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基、又は極性基を表す。pは、0〜2の整数を表す。ただし、R〜Rの全てが同時に水素原子を表すことはなく、RとRが同時に水素原子を表すことはなく、RとRが同時に水素原子を表すことはないものとする。
一般式(A−1)においてR〜Rで表される炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1〜5の炭化水素基であることがより好ましい。炭素原子数1〜30の炭化水素基は、例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含む連結基を更に有していても良い。そのような連結基の例には、カルボニル基、イミノ基、エーテル結合、シリルエーテル結合、チオエーテル結合等の2価の極性基が含まれる。炭素原子数1〜30の炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等が含まれる。
一般式(A−1)においてR〜Rで表される極性基の例には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基及びシアノ基が含まれる。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基が好ましい。
一般式(A−1)におけるpは、光学フィルムの耐熱性を高める観点から、1又は2であることが好ましい。pが1又は2であると、得られる重合体がかさ高くなり、ガラス転移温度が向上しやすいためである。
Figure 0006724370
一般式(A−2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。Rは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子)を表す。pは、0〜2の整数を表す。
一般式(A−1)におけるRは、炭素数1〜5の炭化水素基を表すことが好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基を表すことがより好ましい。
一般式(A−2)におけるRは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基を表すことが好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基がより好ましい。
一般式(A−2)におけるpは、光学フィルムの耐熱性を高める観点から、1又は2を表すことが好ましい。pが1又は2を表すと、得られる重合体がかさ高くなり、ガラス転移温度が向上しやすいためである。
一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体は、有機溶媒への溶解性を向上させる点から好ましい。一般的に有機化合物は対称性を崩すことによって結晶性が低下するため、有機溶媒への溶解性が向上する。一般式(A−2)におけるR及びRは、分子の対称軸に対して片側の環構成炭素原子のみに置換されているので、分子の対称性が低く、すなわち、一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体は溶解性が高いため、光学フィルムを溶液流延法によって製造する場合に適している。
シクロオレフィン単量体の重合体における一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体の含有割合は、シクロオレフィン系樹脂を構成する全シクロオレフィン単量体の合計に対して例えば、70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは100モル%とし得る。一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体を一定以上含むと、樹脂の配向性が高まるため、位相差(リターデーション)値が上昇しやすい。
以下、一般式(A−1)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物1〜14に示し、一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物15〜34に示す。
Figure 0006724370
シクロオレフィン単量体と共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロオレフィン単量体と開環共重合可能な共重合性単量体、及びシクロオレフィン単量体と付加共重合可能な共重合性単量体等が含まれる。
開環共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン及びジシクロペンタジエン等のシクロオレフィンが含まれる。
付加共重合可能な共重合性単量体の例には、不飽和二重結合含有化合物、ビニル系環状炭化水素単量体及び(メタ)アクリレート等が含まれる。不飽和二重結合含有化合物の例には、炭素原子数2〜12(好ましくは2〜8)のオレフィン系化合物が含まれ、その例には、エチレン、プロピレン及びブテン等が含まれる。ビニル系環状炭化水素単量体の例には、4−ビニルシクロペンテン及び2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体が含まれる。(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜20のアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
シクロオレフィン単量体と共重合性単量体との共重合体におけるシクロオレフィン単量体の含有割合は、共重合体を構成する全単量体の合計に対して例えば、20〜80モル%、好ましくは30〜70モル%とし得る。
シクロオレフィン系樹脂は、前述のとおり、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体、好ましくは一般式(A−1)又は(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体を重合又は共重合して得られる重合体であり、その例には、以下のものが含まれる。
(1)シクロオレフィン単量体の開環重合体
(2)シクロオレフィン単量体と、それと開環共重合可能な共重合性単量体との開環共重合体
(3)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体の水素添加物
(4)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフツ反応により環化した後、水素添加した(共)重合体
(5)シクロオレフィン単量体と、不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体
(6)シクロオレフィン単量体のビニル系環状炭化水素単量体との付加共重合体及びその水素添加物
(7)シクロオレフィン単量体と、(メタ)アクリレートとの交互共重合体
上記(1)〜(7)の重合体は、いずれも公知の方法、例えば、特開2008−107534号公報や特開2005−227606号公報に記載の方法で得ることができる。例えば、上記(2)の開環共重合に用いられる触媒や溶媒は、例えば、特開2008−107534号公報の段落0019〜0024に記載のものを使用できる。上記(3)及び(6)の水素添加に用いられる触媒は、例えば、特開2008−107534号公報の段落0025〜0028に記載のものを使用できる。上記(4)のフリーデルクラフツ反応に用いられる酸性化合物は、例えば、特開2008−107534号公報の段落0029に記載のものを使用できる。上記(5)〜(7)の付加重合に用いられる触媒は、例えば、特開2005−227606号公報の段落0058〜0063に記載のものを使用できる。上記(7)の交互共重合反応は、例えば、特開2005−227606号公報の段落0071及び0072に記載の方法で行うことができる。
中でも、上記(1)〜(3)及び(5)の重合体が好ましく、上記(3)及び(5)の重合体がより好ましい。すなわち、シクロオレフィン系樹脂は、得られるシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度を高くし、かつ光透過率を高くすることができる点で、下記一般式(B−1)で表される構造単位と下記一般式(B−2)で表される構造単位の少なくとも一方を含むことが好ましく、一般式(B−2)で表される構造単位のみを含むか、又は一般式(B−1)で表される構造単位と一般式(B−2)で表される構造単位の両方を含むことがより好ましい。一般式(B−1)で表される構造単位は、前述の一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体由来の構造単位であり、一般式(B−2)で表される構造単位は、前述の一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体由来の構造単位である。
Figure 0006724370
一般式(B−1)中、Xは、−CH=CH−又は−CHCH−を表す。R〜R及びpは、それぞれ一般式(A−1)のR〜R及びpと同義である。
Figure 0006724370
一般式(B−2)中、Xは、−CH=CH−又は−CHCH−を表す。R〜R及びpは、それぞれ一般式(A−2)のR〜R及びpと同義である。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂は、市販品であっても良い。シクロオレフィン系樹脂の市販品の例には、JSR(株)製のアートン(Arton)G(例えば、G7810等)、アートンF、アートンR(例えば、R4500、R4900及びR5000等)、及びアートンRXが含まれる。
シクロオレフィン系樹脂の固有粘度〔η〕inhは、30℃の測定において、0.2〜5cm/gであることが好ましく、0.3〜3cm/gであることがより好ましく、0.4〜1.5cm/gであることが更に好ましい。
シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、8000〜100000であることが好ましく、10000〜80000であることがより好ましく、12000〜50000であることが更に好ましい。シクロオレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20000〜300000であることが好ましく、30000〜250000であることがより好ましく、40000〜200000であることが更に好ましい。シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量や重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算にて測定することができる。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあると、シクロオレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性、及びフィルムとしての成形加工性が良好となる。
シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常、110℃以上であり、110〜350℃であることが好ましく、120〜250℃であることがより好ましく、120〜220℃であることが更に好ましい。Tgが110℃以上であると、高温条件下での変形を抑制しやすい。一方、Tgが350℃以下であると、成形加工が容易となり、成形加工時の熱による樹脂の劣化も抑制しやすい。
シクロオレフィン系樹脂の含有量は、光学フィルムに対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
1−2.表面自由エネルギーを変化させる有機添加剤
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂と表面自由エネルギーを変化させる有機添加剤とを含有する光学フィルムであって、前記有機添加剤の含有による表面自由エネルギーEの変化量の絶対値|ΔE|が、5〜50mJ/mの範囲内であることを特徴とする。なお、当該表面自由エネルギーの測定方法については、〔実施例〕の欄において詳述するが、有機添加剤を添加して作製した光学フィルムと有機添加剤を添加せずに作製した光学フィルムの表面自由エネルギーをそれぞれ算出し、その差の絶対値を有機添加剤の含有による表面自由エネルギーEの変化量の絶対値|ΔE|としている。
本発明に用いられる有機添加剤は、シクロオレフィン系樹脂を含有するフィルムの表面自由エネルギーを変化させるものであれば特に限定されないが、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アニオン界面活性剤、及びフッ素−シロキサングラフト化合物、フッ素系化合物、アクリル共重合物などであることが好ましい。その中でも生産性の観点から、特にシリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。
シリコーン骨格を有する化合物としては、シリコーン骨格と有機変性部とを分子内に含むシリコーン系化合物を好適に用いることができる。シリコーン骨格を有する化合物は、一般式(I)で表される構造を有しており、一般式(I)中の繰り返し数n(1以上の数)や有機変性部の種類を変化させることで、表面張力を任意にコントロールすることができる。
Figure 0006724370
前記一般式(I)中のnや有機変性部の種類を変化させる一例として、例えば、一般式(II)で表される構造(x、yは繰り返し数を表す1以上の数、mは1以上の整数)が挙げられ、側鎖を付与することによりシリコーン骨格を変性させることができる。なお、一般式(II)中のRとしては、例えば、CH、CH−CH、(CHCH等が挙げられる。また、Rとしては、例えば、ポリエーテル基、ポリエステル基、アラルキル基等が挙げられる。さらに、一般式(III)で表される構造(mは1以上の整数)を有する化合物も用いることが可能であり、シリコーン鎖は数個のSi−O結合からなり、Rに相当する平均1個のポリエーテル鎖等を有する。このように、一般式(II)で表される化合物及び一般式(III)で表される化合物いずれにおいても、表面自由エネルギーのコントロールや相溶性の調整を任意に行うことができる。
Figure 0006724370
上記の一例以外にもシリコーン種としては、以下のような化合物を用いることができる。
[ポリシロキサン系化合物]
ポリシロキサン系化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトキエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するシラン化合物の部分加水分解物や、有機溶媒中に無水ケイ酸の微粒子を安定に分散させたオルガノシリカゾル、又は該オルガノシリカゾルにラジカル重合性を有する上記シラン化合物を付加させたもの等を使用することができる。
[ポリジメチルシロキサン系化合物]
ポリジメチルシロキサン系化合物としては、ポリジメチルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、(メタ)アクリレート変性ポリジメチルシロキサン(例えば、東亞合成(株)製GUV−235)などが挙げられる。
[ポリジメチルシロキサン系共重合体]
ポリジメチルシロキサン系共重合体は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体のいずれであってもよいが、ブロック共重合体、グラフト共重合体が好ましい。
また、市販されている材料としては、例えば、以下に記したものを用いることができる。
共栄社化学株式会社製:GL−01、GL−02R、GL−03、GL−04R、
日信化学工業株式会社製:シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG008、シルフェイスSAG503A、サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール104S、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノールSE
信越化学工業株式会社製:FA−600、KC−89S、KR−500、KR−516、X−40−9296、KR−513、X−22−161A、X−22−162C、X−22−163、X−22−163A、X−22−164、X−22−164A、X−22−173BX、X−22−174ASX、X−22−176DX、X−22−343、X−22−2046、X−22−2445、X−22−3939A、X−22−4039、X−22−4015、X−22−4272、XX−22−4741、X−22−4952、X−22−6266、KF−50−100cs、KF−96L−1cs、KF−101、KF−102、KF−105、KF−351、KF−352、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−393、KF−615A、KF−618、KF−857、KF−859、KF−860、KF−862、KF−877、KF−889、KF−945、KF−1001、KF−1002、KF−1005、KF−2012、KF−2201、X−22−2404、X−22−2426、X−22−3710、KF−6004、KF−6011、KF−6015、KF−6123、KF−8001、KF−8010、KF−8012、X−22−9002
東レ・ダウコーニング株式会社製:DOW CORNING 100F ADDITIVE、DOW CORNING 11 ADDITIVE、DOW CORNING 3037 INTERMEDIATE、DOW CORNING 56 ADDITIVE、DOW CORNING TORAY Z−6094、DOW CORNING TORAY FZ−2104、DOW CORNING TORAY AY42−119、DOW CORNING TORAY FZ−2222
花王株式会社製:エマルゲン102KG、エマルゲン、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン147、エマルゲン210P、エマルゲン220、エマルゲン306P、エマルゲン320P、エマルゲン404、エマルゲン408、エマルゲン409PV、エマルゲン420、エマルゲン430、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン1118S−70、エマルゲン1135S−70、エマルゲン2020G−HA、エマルゲン2025G、エマルゲンLS−106、エマルゲンLS−110、エマルゲンLS114
フッ素含有化合物としては、例えば、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキレンエーテル基を有する化合物等が挙げられる。
前記パーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキレンエーテル基を有する化合物において、パーフルオロアルキル基は、式:−C2n+1(nは1以上の整数)で表される構造であり、パーフルオロアルキレンエーテル基は、式:−C2nO−(nは1以上の整数)で表される構造であり、疎水・疎油基として機能する。剛直で曲がりにくく、表面に整然と配列する特徴を有するので、少量で表面を覆う有機添加剤として機能することができる。このとき、親油基と組み合わせることで、さらに有機添加剤としての効果を向上させることが可能となる。
具体的な含フッ素化合物製品としては、メガファックRS−75(DIC株式会社)、メガファックRS−76−E(DIC株式会社)、メガファックRS−72−K(DIC株式会社)、メガファックRS−76−NS(DIC株式会社)、メガファックRS−90(DIC株式会社)、オプツールDAC−HP(ダイキン工業株式会社)、ZX−058−A(株式会社T&K TOKA)、ZX−201(株式会社T&K TOKA)、ZX−202(株式会社T&K TOKA)、ZX−212(株式会社T&K TOKA)、ZX−214−A(株式会社T&K TOKA)を挙げることができる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーンやアクリル変性シリコーン等を挙げることができ、上記共栄社化学社製のGLシリーズ(共栄社化学株式会社製:GL−01、GL−02R、GL−03、GL−04R)や、日信化学工業社製のシルフェイスシリーズ(日信化学工業株式会社製:シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG008、シルフェイスSAG503A)等を挙げることができる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC株式会社製のメガファック RSシリーズ、メガファックF−444、メガファックF−556等を挙げることができる。
フッ素−シロキサングラフト化合物とは、少なくともフッ素系樹脂に、シロキサン及び/又はオルガノシロキサン単体を含むポリシロキサン及び/又はオルガノポリシロキサンをグラフト化させて得られる共重合体の化合物をいう。このようなフッ素−シロキサングラフト化合物は、後述の実施例に記載されているような方法で調製することができる。また、市販品としては、富士化成工業株式会社製のZX−022H、ZX−007C、ZX−049、ZX−047−D等を挙げることができる。
また、フッ素系化合物としては、ダイキン工業株式会社製のオプツールDSX、オプツールDAC等を挙げることができる。
アクリル共重合物としては、ビックケミー・ジャパン社製のBYK−350、BYK−352等を挙げることができる。
本発明に係る有機添加剤として、上記したものの他に、次の市販品を用いることができる。例えば、花王株式会社製:エマルゲン102KG、エマルゲン、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン147、エマルゲン210P、エマルゲン220、エマルゲン306P、エマルゲン320P、エマルゲン404、エマルゲン408、エマルゲン409PV、エマルゲン420、エマルゲン430、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン1118S−70、エマルゲン1135S−70、エマルゲン2020G−HA、エマルゲン2025G、エマルゲンLS−106、エマルゲンLS−110、エマルゲンLS114、日信化学工業株式会社製:サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール104S、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノールSE、信越化学工業株式会社製:X−22−4272、X−22−6266、KF−351、KF−352、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−618、KF−945、KF−6004、KF−6011、KF−6015等が挙げられる。
本発明に係る有機添加剤は、光学フィルムを構成する材料中の溶媒を除く全成分に対し、0.005〜5質量部の範囲で含有されていることが好ましい。
1−3.その他の添加剤
上記したように、本発明の光学フィルムには、更に他の添加剤が含有されていても良い。そのような添加剤としては、例えば、マット剤、紫外線吸収剤や酸化防止剤等が挙げられる。
(マット剤)
本発明に係るマット剤とは、表面粗さ等のフィルム表面の物理的形状・性状等を調整することができる粒子状物質をいう。
透過型電子顕微鏡により測定した場合における数平均粒子径が400nm以下である粒子であることが好ましい。この場合、各粒子の粒径は透過型電子顕微鏡における投影面を同面積の円に換算した場合の直径として定義される。不要な散乱を発生させないためには、マット剤(微粒子)の粒径は可視光の波長より十分に小さいことが好ましく、具体的には1〜200nmが好ましい範囲であり、より好ましくは1〜100nmの範囲であり、特に好ましくは5〜60nmの範囲である。粒子の形状は、球状に限定されず不定形の形状であっても良い。
本発明に係るマット剤としては、無機微粒子であっても良いし、有機微粒子であっても良い。
無機微粒子としては、例えば、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等であることが好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や酸化アルミニウムであるが、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。これらは、球状、平板状又は無定形状等の形状の粒子が挙げられる。
二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R972CF、R974、R812、50、200、200V、300、R202、OX50、TT600、R711、RY300、R106、R816、RA200HS、MOX170(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
酸化アルミニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルAlu C、Alu 130及びAlu C805(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
また、有機微粒子としては、例えば、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂等、アクリル−スチレン樹脂、メラミン−シリカ等複合されたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの無機微粒子及び有機微粒子は、単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。また、有機微粒子を使用する場合には、単分散における屈折率と樹脂の屈折率の差が少ないものを使用することが好ましい。
なお、マット剤(微粒子)の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個の粒子径を測定し、その平均値をもって、1次平均粒子径とした。
(紫外線吸収剤)
本発明の光学フィルムは、添加剤として紫外線吸収剤を含有していても良い。
紫外線吸収剤は、400nm以下の紫外線を吸収するため、光学フィルムの耐久性を向上させることができる。紫外線吸収剤は、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
紫外線吸収剤の具体例としては特に限定されないが、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられ、特に好ましくはベンゾトリアゾール系化合物及びベンゾフェノン系化合物等である。
紫外線吸収剤としては、より具体的には、例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等を用いることができる。これらは、市販品を用いても良く、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン109(オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物)、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)等のチヌビン類を好ましく使用できる。
この他、1,3,5−トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特にポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、市販品であるBASFジャパン社製のTINUVIN 400(2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルとオキシランとの反応生成物)、TINUVIN 460(2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン)、TINUVIN 405(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物)等を用いることができる。
紫外線吸収剤の添加方法としては、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール、ジクロロメタン、酢酸メチル、アセトン若しくはジオキソラン等の有機溶媒又はこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してから、光学フィルムの製造に用いられる樹脂溶液(ドープ)に添加するか、又は直接ドープに添加しても良い。無機粉体のように有機溶媒に溶解しないものは、有機溶媒とセルロースアセテート中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の含有量としては、例えば、光学フィルムに対して0.5〜10質量%の範囲が好ましく、0.6〜4質量%の範囲が更に好ましい。
(酸化防止剤)
本発明の光学フィルムは、添加剤として酸化防止剤(劣化防止剤)を含有していても良い。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等を挙げることができる。
酸化防止剤の含有量は、例えば、光学フィルムに対して1〜10000質量ppmの範囲が好ましく、10〜1000質量ppmの範囲が更に好ましい。
1−4.光学フィルムの物性
(表面粗さRa)
本発明の光学フィルムの表面粗さRaは、3.0〜50.0nmの範囲内であることが好ましい。表面粗さRaが3.0nm以上であると、光学フィルムのすべり性が向上し、搬送中のツレやシワを抑制できる。表面粗さRaが50nm以下であると、光学フィルム表面の凹凸による光の散乱を抑制でき、ヘイズ値を低い値にすることができる。なお、本発明における表面粗さRaは、JIS B0601:2001で規定される算術平均粗さ(Ra)であるものとする。
なお、表面粗さRaは、光干渉式の表面粗さ測定器で測定することができ、例えば、光学干渉式表面粗さ計RST/PLUS(WYKO社製)を用いて測定することができる。
(光学特性)
光学フィルムは、全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは92%以上である。また、現実的な上限としては99%程度である。ヘイズ値は10%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下である。全光線透過率及びヘイズ値は、それぞれJIS K7361及びJIS K7136に準じて測定することができる。
(位相差値)
本発明の光学フィルムの使用用途は特に限定されず、偏光板保護フィルムとして用いられても良いし、位相差フィルムとして用いられても良い。位相差フィルムとして用いられる場合は、その用途に応じて種々の位相差(リターデーション)値をとり得る。
例えば、本発明の光学フィルムがVA液晶用の位相差フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃・55%RHの環境下で測定される面内方向のリターデーション値Roは、10nm≦Ro≦100nmを満たすことが好ましく、20nm≦Ro≦80nmを満たすことがより好ましい。厚さ方向のリターデーション値Rtは、70nm≦Rt≦200nmを満たすことが好ましく、90nm≦Rt≦150nmを満たすことがより好ましい。
なお、リターデーション値Ro及びRtは下記式(i)及び(ii)で定義される値である。
式(i):Ro=(n−n)×d
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d
式(i)及び(ii)中、nは、光学フィルム面内の遅相軸方向の屈折率を表す。nは、光学フィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率を表す。nは、光学フィルムの厚さ方向の屈折率を表す。dは、光学フィルムの厚さ(nm)を表す。
本発明の光学フィルムがλ/4フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃・55%RHの環境下で測定される面内方向のリターデーション値Roは、50nm≦Ro≦250nmを満たすことが好ましく、70nm≦Ro≦200nmを満たすことがより好ましい。厚さ方向のリターデーション値Rtは、−200nm≦Rt≦200nmを満たすことが好ましく、−120nm≦Rt≦120nmを満たすことがより好ましい。
また、本発明の光学フィルムがゼロ位相差フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃・55%RHの環境下で測定される面内方向のリターデーション値Roは、0nm≦Ro≦5nmを満たすことが好ましく、厚さ方向のリターデーション値Rtは、−5nm≦Rt≦5nmを満たすことが好ましい。
上記リターデーション値は、例えば、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下で、波長590nmにて求めることができる。上記リターデーション値に制御した光学フィルムを用いることで、タッチパネルや液晶表示装置等の画像表示装置に用いた際の視認性に優れる点から好ましい。リターデーション値は、マット剤、有機添加剤及びその他の添加剤の種類や添加量、光学フィルムの厚さや延伸条件等で調整できる。
(厚さ)
光学フィルムの厚さは、上記リターデーション値RoとRtが上記範囲を満たし、かつ薄型化する観点から、例えば、3〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましく、5〜40μmであることが更に好ましい。特に、本発明の光学フィルムは、すべり性が付与されているため搬送張力を緩和することができ、薄型化しても良好な搬送性を有し得る。
《2.光学フィルムの製造方法》
本発明の光学フィルムは、溶液流延法で製造される。すなわち、本発明の光学フィルムの製造方法は、少なくともシクロオレフィン系樹脂と微粒子と有機添加剤とを1種類以上の溶媒に溶解させてドープ(樹脂溶液)を得る工程(ドープ調製工程)と、ドープを支持体上に流延した後、剥離して膜状物を得る工程(流延・剥離工程)と、膜状物を乾燥させる工程(乾燥工程)と、を有することが好ましい。また、本発明の光学フィルムの製造方法は、流延・剥離工程と乾燥工程との間に、膜状物を延伸する工程(延伸工程)を有することが好ましく、乾燥工程の後に、得られた光学フィルムを巻取る工程(巻き取り工程)を有することが好ましい。
2−1.ドープ調製工程
ドープ調製工程について説明する。ドープ中の樹脂濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、樹脂の濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜45質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜40質量%である。
ドープに含有される溶媒は、単独で用いても2種以上を併用しても良いが、樹脂の良溶媒と貧溶媒とを混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶媒が多い方が樹脂の溶解性の点で好ましい。良溶媒と貧溶媒との混合比率の好ましい範囲は、良溶媒が70〜98質量%であり、貧溶媒が2〜30質量%である。ここで、良溶媒及び貧溶媒とは、使用する樹脂を、単独で溶解するものを良溶媒、単独では膨潤するか又は溶解しないものを貧溶媒と定義している。
また、ドープの調製に有用な有機溶媒の組み合わせとしては、シクロオレフィン系樹脂や、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば特に制限されない。例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、クロロホルム、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、p−キシレン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープは、シクロオレフィン系樹脂、微粒子、有機添加剤及びその他添加剤を、前記溶媒に計15〜45質量%溶解させたドープであることが好ましい。
上記ドープを調製するときの、溶媒への樹脂の溶解方法としては一般的な方法を用いることができる。特に、溶解装置への負担低減や、樹脂の着色を防ぐ観点から、常温、常圧での溶解が望ましい。
次に、この樹脂を溶解した溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため絶対濾過精度が0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料の樹脂に含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に光学フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点の数が200個/cm以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm以下であり、更に好ましくは50個/m以下であり、特に好ましくは0〜10個/cmの範囲内である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶媒の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶媒が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の発現が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。具体的には、濾圧が1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
2−2.流延・剥離工程
得られたドープを流延ダイから吐出させて金属支持体上に流延し、得られた流延膜を乾燥及び剥離して膜状物を得る。流延幅は、例えば、1〜4mとすることができる。金属支持体としては、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムを用いることができる。金属支持体の表面は、鏡面仕上げされていることが好ましい。
金属支持体の表面温度は、−50℃〜溶媒の沸点未満の温度で、高い方が膜状物の乾燥速度を高くすることができるので好ましいが、高過ぎると膜状物が発泡したり、平面性が劣化したりする。したがって、金属支持体の表面温度は、0〜40℃であることが好ましく、5〜30℃であることがより好ましい。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹き付ける方法や、金属支持体の裏側に温水を接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使用する場合がある。
良好な平面性を有する膜状物を得るためには、金属支持体から剥離する際の膜状物の残留溶媒量は、10〜150質量%であることが好ましく、20〜40質量%又は60〜130質量%であることがより好ましく、20〜30質量%又は70〜120質量%であることが更に好ましい。
ここで、膜状物の残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
(Mは、膜状物の質量を示し、Nは、当該膜状物を120℃で1時間加熱した後の質量を示す。)
本発明においては、金属支持体上にドープを流延したときに、金属支持体界面側と空気界面側との間に極性の差が生まれるため、ドープ中の成分の表面自由エネルギーの違いによって、溶媒の揮発とともに有機添加剤が膜状物中で移動し、有機添加剤が空気界面側に局在した光学フィルムが得られる。更に、流延されたドープ中には微粒子が含有されており、この微粒子が有機添加剤の局在化に伴って空気界面側に移動するため、得られる光学フィルムにおいて微粒子も空気界面側に局在している。
このように、溶液流延法を用いて光学フィルムを製造することで、光学フィルムにすべり性を付与して搬送性を向上させることができ、プロテクトフィルムを用いることなく高収率で偏光板等を作製することができる。
2−3.乾燥工程
乾燥工程は、金属支持体より剥離した膜状物を、残留溶媒量が1質量%以下になるまで乾燥することが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0〜0.01質量%の範囲内である。これにより、光学フィルムを得ることができる。
乾燥工程では、一般にローラー乾燥方式(上下に配置した多数のローラーに膜状物を交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式で膜状物を搬送させながら乾燥する方式が採られる。
特に、流延から剥離するまでの間で、上記金属支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
2−4.延伸工程
延伸工程では、剥離して得られた膜状物を延伸して位相差の調整を行う。
延伸は、少なくとも一方向に行うことができる。延伸方向は、膜状物の長手方向(MD方向)、膜状物の長手方向と直交する幅手方向(TD方向)、及び膜状物の長手方向に対して斜め方向のいずれであっても良い。延伸は、逐次延伸でも良いし、同時延伸でも良い。
互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的にはMD方向に1.0〜2.0倍の範囲内、TD方向に1.05〜2.0倍の範囲内とすることが好ましく、MD方向に1.0〜1.5倍の範囲内、TD方向に1.05〜2.0倍の範囲内とすることがより好ましい。例えば、複数のローラーに周速差をつけ、その間でローラー周速差を利用してMD方向に延伸する方法、膜状物の両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げてMD方向に延伸する方法、同様に横方向に広げてTD方向に延伸する方法、又はMD方向及びTD方向に同時に広げて両方向に延伸する方法等が挙げられる。
延伸工程におけるこれらの幅保持又は幅手方向の延伸は、テンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでも良い。
テンター等のフィルム搬送張力は温度にもよるが、120〜200N/mの範囲内が好ましく、140〜200N/mの範囲内が更に好ましく、140〜160N/mの範囲内が最も好ましい。
延伸する際の温度は、光学フィルムのガラス転移温度をTgとすると、(Tg−30)〜(Tg+100)℃の範囲内が好ましく、(Tg−20)〜(Tg+80)℃の範囲内がより好ましく、(Tg−5)〜(Tg+20)℃の範囲内が更に好ましい。
光学フィルムのTgは、光学フィルムを構成する材料種及び構成する材料の比率によって制御することができる。光学フィルムの乾燥時のTgは、110℃以上が好ましく、120℃以上が更に好ましく、150℃以上が特に好ましい。また、光学フィルムのTgは、190℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。光学フィルムのTgは、JIS K7121に記載の方法等に準拠して求めることができる。
延伸する際の光学フィルムの温度をTg+10℃以上とし、延伸倍率を1.10倍以上とすると、光学フィルムの表面に適度な粗さを付与できるため好ましい。光学フィルム表面に適度な粗さを付与することにより、滑り性が向上するとともに、表面加工性が向上するため好ましい。
2−5.巻き取り工程
巻き取り工程では、得られた光学フィルムを、巻き取り機で巻き取る。巻き取り方法は、一般に使用される方法を採用でき、例えば、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等を用いることができる。
本発明の光学フィルムは、長尺状であることが好ましく、具体的には、長さが100〜5000m程度であることが好ましい。このような長尺状の光学フィルムは、通常、長さ方向に対して直交する方向を巻き取り軸として巻き取ったロール体で提供され得る。光学フィルムの幅は、1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜2mであることがより好ましい。光学フィルムの長さ及び幅を当該範囲内とすることで、機能性層等の塗布における加工適性や光学フィルム自体のハンドリング性に優れる。
巻き取る前に、製品となる幅になるように、光学フィルムの端部をスリットして裁ち落とし、巻き取り中の貼り付きや擦り傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施しても良い。ナール加工の方法としては、凹凸のパターンを側面に有する金属リングを用いて、光学フィルムに対して加熱や加圧をすることにより加工する方法を挙げることができる。光学フィルム両端部のクリップによる把持部分は、通常、変形しており製品として使用できないため切除され、その切除片は原料として再利用される。
なお、作製した光学フィルムの残留溶媒量は、〔実施例〕の欄において詳述する方法により測定することができ、30〜700質量ppm((30〜700)×10−4質量%)の範囲内であることが好ましい。
2−6.フィルムの表面改質処理
表面改質処理の方法としてはコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、ケン化処理、グロー処理、オゾン処理、電子線処理等が挙げられるが、上記の有機添加剤を含有した光学フィルムがこれらの処理に対して活性であることが望ましい。特に生産性の観点から、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、ケン化処理が好ましい。
本発明における表面処理に対して活性であるとは、表面が親水性に近づくことを意味しており、すなわちそれは表面改質処理前後で表面自由エネルギーが10mJ/m以上上昇することと定義される。
コロナ処理やプラズマ処理は、フィルム表面を放電処理に供して官能基(例えば、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アクリル基、アミド基など)を付与し、フィルム表面の濡れ性を向上させる処理である。コロナ処理は通常大気圧下(空気中)で行われ、プラズマ処理は通常、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、二酸化炭素、一酸化二窒素、水素、アンモニアなどの雰囲気下で行われる。
コロナ放電処理とは、誘電体と絶縁された電極間に高周波・高電圧をかけてコロナを発生させ、誘電体と電極との間に基材フィルムを通過させることで、基材フィルムの表面を処理する方法である。それにより、基材フィルムの表面の接着性が高められる。電極の材質の例には、セラミックス及びアルミが含まれる。電極と誘電体との距離は、1〜5mmであることが好ましく、1〜3mmであることがより好ましい。ライン速度(移動速度)は、3〜70m/分程度が好ましく、3〜50m/分程度がより好ましい。
コロナ出力強度は、0.2〜3kWであることが好ましく、0.5〜1.5kWであることがより好ましい。コロナ出力強度が0.2以上であることで、コロナ放電が安定化し、基材フィルムの表面に安定した接着力を付与しやすい点が好ましい。コロナ出力強度が2.0kW以下であることで、基材フィルムが傷付きにくくなる場合がある。コロナ放電処理における電子照射量は、100〜1000W/m・minとしうる。
プラズマ処理は、減圧下又は大気圧下で発生させた不活性ガスや酸素ガス等のガス雰囲気下で、プラズマ放電をすることにより、基材フィルムの表面を活性化させる処理である。ロールを用いた搬送下で効率良く生産するためには、大気圧下でのプラズマ処理が好ましい。
プラズマ処理は、ガスの種類を種々変更することにより基材層の表面を種々に改質することができる。そのため、基材層の表面を活性化するにあたり、適宜任意にガスの種類を選択することができる。ガスの種類の例には、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、アクリル酸、ヒドロキシアルキル、CF、CHF等のフッ素系化合物が含まれる。
プラズマ出力は、0.2〜3kWであることが好ましい。ライン速度(移動速度)は、3〜70m/分であることが好ましく、3〜50m/分であることがより好ましい。周波数は、3〜30kHzであることが好ましく、5〜20kHzであることがより好ましい。
本発明において、「紫外線」とは、一般的に10〜400nmの波長を有する電磁波をいうが、紫外線照射処理の場合は、好ましくは210〜375nmの紫外線を用いる。
紫外線の照射は、照射されるバリア層を担持している基材又は支持体がダメージを受けない範囲で、照射強度や照射時間を設定することが好ましい。
紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する基材又は支持体の形状によって適宜選定することができる。例えば、SAMCO社製のUVオゾンクリーナーUV−1、アイグラフィクス株式会社製の紫外線焼成炉等の装置を使用することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材若しくは基材又はバリア層の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜60分であり、好ましくは0.5秒〜30分である。
ケン化処理は、一般的には、一定温度、一定濃度の水酸化ナトリウム溶液に一定時間浸漬することにより行う。例えば、本発明の光学フィルムについては、60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬する。
《3.偏光板》
本発明の偏光板は、偏光子と、上記光学フィルムと、を備えることを特徴とする。
本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、本発明の光学フィルムをコロナ処理し、処理した光学フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。また、偏光子は、本発明の光学フィルムの両面のうち表面粗さRaが低い面に接着されていることが好ましい。
偏光子のもう一方の面には、上記光学フィルムや、市販品であるKC8UX、KC4UX、KC4UY、KC8UY、KC6UA、KC4UA、KC4UE、KC4CZ、KC8UCR、KC4FR(コニカミノルタ(株)製)、アートンフィルム(JSR(株)製)、ゼオノアフィルム(日本ゼオン(株)製)等を貼り合わせることができる。
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素又は二色性染料で染色したフィルム(好ましくは更にホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であっても良いし、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、更にホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であっても良い。偏光子の吸収軸は、通常、最大延伸方向と平行である。
偏光子としては、例えば、特開2003−248123号公報又は特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが用いられる。中でも、熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。
偏光子の厚さは、5〜30μmの範囲内であることが好ましく、偏光板を薄型化する観点等から、5〜20μmの範囲内であることがより好ましい。
《4.画像表示装置》
本発明の画像表示装置は、上記光学フィルムを備えることを特徴とする。これにより、視認性やムラに優れる性能が発揮される点で好ましい。画像表示装置としては、反射型、透過型、半透過型液晶表示装置又は、TN型、STN型、OCB型、VA型、IPS型、ECB型等の各種駆動方式の液晶表示装置、タッチパネル表示装置、有機EL表示装置やプラズマディスプレイ等が挙げられる。
また、本発明の光学フィルムは、例えば、液晶表示装置(上面側偏光板/液晶セル/下面側偏光板構成)の上面側偏光板の下にタッチパネル部材を用いたインナータッチパネルや静電容量方式のタッチパネル等にも使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
先ず、本実施例において使用する各種材料について説明する。
(1)シクロオレフィン系樹脂
アートンG7810:ARTON−G7810(JSR社製)、シクロオレフィン系樹脂(一般式(A−2)で表される単量体と他の単量体との共重合体(前述の(5)の重合体)、重量平均分子量Mw=140000)
アートンR5000:ARTON−R5000(JSR社製)、シクロオレフィン系樹脂(一般式(A−1)で表される単量体と、式(A−2)で表される単量体と、他の単量体との共重合体(前述の(5)の重合体)、重量平均分子量Mw=50000)
アートンRX4500:ARTON−RX4500(JSR社製)、シクロオレフィン系樹脂(一般式(A−1)で表される単量体と、式(A−2)で表される単量体と、他の単量体との共重合体(前述の(5)の重合体)、重量平均分子量Mw=63000)
(2)マット剤:ケイ素化合物を含有する微粒子
R812:シリカ微粒子(日本アエロジル社製)、平均一次粒径7nm
(3)有機添加剤
GL−01:アクリル変性シリコーン(共栄社化学社製)、重量平均分子量Mw=5200
GL−03:アクリル変性シリコーン(共栄社化学社製)、重量平均分子量Mw=4100
GL−04R:アクリル変性シリコーン(共栄社化学社製)、重量平均分子量Mw=4700
メガファックRS−75:含フッ素オリゴマー(DIC株式会社)
オプツールDAC−HP:含フッ素オリゴマー(ダイキン工業株式会社)
ZX−058−A:含フッ素オリゴマー(株式会社T&K TOKA)
LF−1984:アクリル重合体(楠本化成社製)、重量平均分子量Mw=3000
230:アクリル重合体(楠本化成社製)、重量平均分子量Mw=3500
《光学フィルム1(比較例)の作製》
(二酸化ケイ素分散希釈液の調製)
10質量部のアエロジルR812と、80質量部のエタノールとをディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行い、二酸化ケイ素分散液を調製した。調製した二酸化ケイ素分散液に、80質量部のジクロロメタンを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合した後、微粒子分散希釈液濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過して二酸化ケイ素分散希釈液を調製した。
(ドープの調製)
シクロオレフィン系樹脂:アートンG7810 120質量部
紫外線吸収剤:TINUVIN 928(BASFジャパン(株)製) 3質量部
マット剤:二酸化ケイ素分散希釈液 10質量部
ジクロロメタン 357質量部
エタノール 19質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープを調製した。
次に、ベルト流延製膜装置を用い、ステンレスバンド支持体上に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶媒量が80質量%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。得られたウェブを35℃に保持して更に溶媒を蒸発させ、1.15m幅にスリットし、160℃の乾燥温度で乾燥させた。その後、130℃の乾燥装置内を多数のローラーで搬送させながら15分間乾燥させた後、1.0m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ2μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、光学フィルム1を得た。光学フィルム1の厚さは10μm、巻長は5000mであった。なお、ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.01倍であった。
《光学フィルム2(比較例)の作製》
上記光学フィルム1の作製と同様にして、光学フィルム2を作製した。
《光学フィルム3(比較例)の作製》
(二酸化ケイ素分散希釈液の調製)
マット剤としての10質量部のR812と、80質量部のエタノールとをディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行い、二酸化ケイ素分散液を調製した。調製した二酸化ケイ素分散液に、80質量部のジクロロメタンを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合した後、微粒子分散希釈液濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過して二酸化ケイ素分散希釈液を調製した。
(ドープの調製)
下記組成のドープを調製し、これを密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープを調製した。
シクロオレフィン樹脂:G7810 120質量部
マット剤:二酸化ケイ素分散希釈液 20質量部
紫外線吸収剤:TINUVIN 928(BASFジャパン(株)製) 3質量部
ジクロロメタン 356質量部
エタノール 14質量部
(シクロオレフィン樹脂層の形成)
次に、ベルト流延製膜装置を用い、ステンレスバンド支持体上に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が80質量%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。得られたウェブを35℃に保持して更に溶媒を蒸発させ、1.15m幅にスリットし、160℃の乾燥温度で乾燥させた。その後、130℃の乾燥装置内を多数のローラーで搬送させながら15分間乾燥させた後、1.0m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ2μmのナーリング加工を施し、巻芯に巻き取り、シクロオレフィン樹脂層を形成した。シクロオレフィン樹脂層の厚さは10.0μm、巻長は5000mであった。なお、ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.01倍であった。
(下塗り層の形成)
特開2015−160434号公報の実施例1を参照して、シクロオレフィン樹脂上に下塗り層を形成した。
具体的には、下記組成の下塗り層形成用塗布液を調製した。
ウレタン系バインダー(タケラックWS5100、三井武田ケミカル(株)製、濃度30質量%) 3.90質量部
オキサゾリン基含有水分散性ポリマー(エポクロスK−2010E、Tg=−50℃、日本触媒(株)製、固形分:40質量%) 0.32質量部
コロイダルシリカ(スノーテックスUP、日産化学(株)製、固形分:10質量%水希釈) 0.27質量部
滑り剤:カルナバワックス(セロゾール524、中京油脂(株)製、固形分:3質量%水希釈) 1.67質量部
・界面活性剤A:界面活性剤(ナロアクティーCL95、三洋化成工業(株)製、固形分:1質量%水溶液) 1.67質量部
界面活性剤B:界面活性剤(ラピゾールA−90、日油(株)製、固形分:1質量%水溶液) 2.67質量部
蒸留水 89.50質量部
次いで、シクロオレフィン樹脂層上の一方の表面上に、8kJ/mの条件でコロナ放電処理を行い、このコロナ放電処理を行った表面に下塗り層形成用塗布液を、乾燥後の膜厚が90nmになるように塗布し、膜面温度90℃で1分間乾燥させて、下塗り層を形成し、厚さ10.1μmの光学フィルム3を作製した。
《光学フィルム4〜22の作製》
上記光学フィルム1の作製において、シクロオレフィン系樹脂(表2において「COP」と略記する。)の種類、光学フィルムの表面自由エネルギーを変化させる有機添加剤(表1において「有機添加剤」と略記する。)の添加量及び膜厚を表2に記載のとおりに変更した以外は同様にして、光学フィルム4〜22を作製した。
《光学フィルム1〜22の表面自由エネルギーの測定》
作製した光学フィルム1〜22について、有機添加剤を添加していない点を除いて同様に作製した光学フィルム1′〜22′を用いて、下記測定方法により表面自由エネルギーを測定した。
<表面自由エネルギーの測定方法>
本発明においては、フィルムの表面自由エネルギーを、次のように測定した。
測定装置:固液界面解析装置(DropMaster500、協和界面科学株式会社製)
測定方法:液滴法
環境 :温度23℃、55%RH
3種の標準液体(純水、ニトロメタン、ヨウ化メチレン)と、被測定固体(機能性フィルム、成形密着層又は自己修復層)との接触角を、JIS R3257で規定される方法に準拠して前記標準液体を被測定固体上に約3μL滴下して、固液界面解析装置(DropMaster500、協和界面科学株式会社製)により5回測定し、測定値の平均から平均接触角を得た。接触角測定までの時間は試薬を滴下してから60秒後に測定した。
次に、Young−Dupreの式及び拡張Fowkesの式に基づき、固体の表面自由エネルギーの3成分を算出した。
この場合、表面自由エネルギー解析ソフトEG−11(協和界面科学株式会社製)を用いて計算することができる。
Young−Dupreの式:WSL=γL(1+cosθ)
SL:液体/固体間の付着エネルギー
γL:液体の表面自由エネルギー
θ:液体/固体の接触角
拡張Fowkesの式:
SL=2{(γS・γL1/2+(γS・γL1/2+(γS・γL1/2
γL=γL+γL+γL:液体の表面自由エネルギー
γS=γS+γS+γS:固体の表面自由エネルギー
γS、γS、γS:固体の表面自由エネルギーの分散、双極子、水素結合の各成分
γL、γL、γL:液体の表面自由エネルギーの分散、双極子、水素結合の各成分
標準液体の表面自由エネルギー各成分値(mN/m)は、表1のように既知であるので、接触角の値から3元連立方程式を解くことにより、固体表面の表面自由エネルギー各成分値(γS、γS、γS)を求めることができる。
Figure 0006724370
Figure 0006724370
《光学フィルムのヘイズの評価》
上記光学フィルム1〜22(表面改質処理を施す前のフィルム)を3.0cm×3.0cmに切り出して試験片とした。この試験片を、JIS K−7136に準じ、23℃・55%RHの条件下、ヘーズメーターNDH−2000(日本電色工業株式会社製)にて測定したときの値を、以下の基準で評価した。
○:ヘイズ値が、2.0%未満
△:ヘイズ値が、2.0%以上5.0%未満
×:ヘイズ値が、5.0%以上
《光学フィルムの折り曲げ耐性の評価》
上記光学フィルム(表面改質処理を施す前のフィルム)を、1.5cm×10cmの大きさに切り出して試料片とした。この試料片を、25℃・60%RH下、MIT耐折疲労試験機(東洋精機製)にセットし、折り曲げ速度170rpm、折り曲げ角度135°、チャック先端半径(折り曲げクランプの先端半径)0.35mm、及び荷重4.9Nの条件で折り曲げたときの割れの有無を、以下の基準で評価した。
◎:2500回折り曲げて割れを生じない
○:2000回折り曲げて割れを生じない
△:1500回折り曲げて割れを生じない
×:1500回未満で割れを生じた
《光学フィルム中の残留溶媒の評価》
光学フィルム1〜22(表面改質処理を施す前)に含まれる残留溶媒の定量は、ヘッド・スペース・ガスクロマトグラフィー法により行った。すなわち、測定試料(上記光学フィルム)を容器に封入して、150℃で1時間、加熱し、容器中に揮発成分が充満した状態で速やかに容器中のガスをガスクロマトグラフに注入し、質量分析を行って化合物の同定を行いながら揮発成分の定量を行った。揮発成分の定量は、濃度が既知の試料を用いて検量線をあらかじめ作成しておき、測定で得られた揮発成分のピーク面積と検量線とを照合して行った。
<測定条件>
ヘッドスペース装置:7694 Headspace Sampler(アジレント・テクノロジー社製)
温度条件:トランスファーライン200℃、ループ温度200℃
サンプル量:0.8g/20mLバイアル
GC:5890(アジレント・テクノロジー社製)
MS:5971(アジレント・テクノロジー社製)
カラム:DB−624(30m×内径0.25mm)
オーブン温度:初期温度40℃(保持時間3分)、昇温速度10℃/分、到達温度200℃(保持時間5分)
測定モード:SIM(セレクトイオンモニター)モード
なお、光学フィルムの残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
(Mは、光学フィルム試料を加熱する前の質量を表す。Nは、当該試料を150℃で1時間の加熱した後の質量を表す。)
《表面改質処理前の光学フィルムの偏光子に対する接着性の評価》
(1)偏光子の作製
厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させた。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g及び水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、さらにヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5g及び水100gからなる45℃の水溶液に浸漬した。得られたフィルムを、延伸温度55℃、延伸倍率5倍の条件で一軸延伸した。この一軸延伸フィルムを、水洗した後、乾燥させて、厚さ7μmの偏光子を得た。
(2)評価用光学フィルムサンプルの作製
上記光学フィルム1〜22のそれぞれのフィルム上に、水系接着剤であるポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3質量%水溶液を塗布した後、上記作製した偏光子を貼り合わせた。貼り合わせは、光学積層フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とが直交するように行った。得られた積層物を60℃で5分間乾燥させて、評価用光学フィルムサンプル1〜22を得た。
(3)光学フィルムの接着性の評価
前記評価用光学フィルムサンプル1〜22を、23℃で相対湿度55%の環境下で24時間放置した。その後、評価用サンプルの偏光子と光学積層フィルムとの接着面を手で引き剥がしたとき、光学積層フィルムに材料破壊の発生の有無、及び剥離の程度を目視観察して、以下の基準で接着性を評価した。○以上であれば実用上問題ないレベルと判断した。
◎:剥がれない
○:光学積層フィルムと偏光子との間の接着力に問題はなく、光学積層フィルムを剥がそうとすると、光学積層フィルムと偏光子の少なくとも一方の端部の一部に材料(基材)破壊が生じる
△:光学積層フィルムと偏光子との界面の一部が剥がれる
×:光学積層フィルムと偏光子との界面の全部が剥がれる
《表面改質処理後の光学フィルムの偏光子に対する接着性の評価》
下記手順に従って光学フィルムの偏光子に対する接着性を評価した。
(1)光学フィルム1〜22の表面改質処理
以下のように上記で作製した光学フィルムを偏光子に接着(貼合)する前に、下記各種表面改質処理のいずれかを上記光学フィルム1〜22に、表3に示すように施した。
<コロナ放電処理>
上記光学フィルムに対し、コロナ放電処理(表3において「コロナ放電」と略記する。)を施した。コロナ放電における誘電体との距離は2mm、電子照射量は500W/m/minとした。
<プラズマ処理>
常圧プラズマ照射装置を使用し、フィルムを常圧プラズマ照射装置の下を通過させ、常圧プラズマ照射処理を施した。
常圧プラズマ処理に用いた混合ガス(反応ガス)の組成を以下に示した。なお、気圧は1.013×10Paとした。
窒素:99.98体積%
酸素:0.02体積%
混合ガス流量:2m/min
<紫外線照射処理>
幅1600mm、照射ガラス長手長約300mm、Xe波長172nmエキシマUVランプが4本入った装置にて、ランプのガラス外部表面から流延膜表面までの間隙が3mmの条件で、フィルムを紫外線照射装置の下を通過させ、処理時の残留溶媒量を変えて紫外線照射処理を施した。
<ケン化処理>
60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬した後、水洗及び乾燥させて、偏光子と貼合する側の表面をケン化した。
(2)偏光子の作製
厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させた。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g及び水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、さらにヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5g及び水100gからなる45℃の水溶液に浸漬した。得られたフィルムを、延伸温度55℃、延伸倍率5倍の条件で一軸延伸した。この一軸延伸フィルムを、水洗した後、乾燥させて、厚さ7μmの偏光子を得た。
(3)評価用光学フィルムサンプルの作製
上記光学フィルム1〜22のそれぞれに対し表3に示した表面改質処理を施し、その表面改質処理を施したフィルム上に、水系接着剤であるポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3質量%水溶液を塗布した後、上記作製した偏光子を貼り合わせた。貼り合わせは、光学積層フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とが直交するように行った。得られた積層物を60℃で5分間乾燥させて、評価用光学フィルムサンプル1〜22を得た。なお、表面改質処理後の下記接着性評価の際に表面自由エネルギーを測定し、いずれも10mJ/m以上上昇していることを確認した。
(4)光学フィルムの接着性の評価
前記評価用光学フィルムサンプル1〜22を、23℃で相対湿度55%の環境下で24時間放置した。その後、評価用サンプルの偏光子と光学積層フィルムとの接着面を手で引き剥がしたとき、光学積層フィルムに材料破壊の発生の有無、及び剥離の程度を目視観察して、以下の基準で接着性を評価した。○以上であれば実用上問題ないレベルと判断した。
◎:剥がれない
○:光学積層フィルムと偏光子との間の接着力に問題はなく、光学積層フィルムを剥がそうとすると、光学積層フィルムと偏光子の少なくとも一方の端部の一部に材料(基材)破壊が生じる
△:光学積層フィルムと偏光子との界面の一部が剥がれる
×:光学積層フィルムと偏光子との界面の全部が剥がれる
測定結果を表3に示す。表3においては、表面自由エネルギーを変化させる有機添加剤を含有しない比較例としての光学フィルムの表面自由エネルギーの膜厚依存性を示すとともに、本発明の実施例としての光学フィルム1〜22及び光学フィルム1′〜22′(光学フィルム1〜22に対応する、有機添加剤を添加しない光学フィルム)の表面自由エネルギーEを用いて、表面自由エネルギー差の絶対値|ΔE|を求めた。
具体的には、光学フィルム4′(有機添加剤添加前)の表面自由エネルギーから光学フィルム4(有機添加剤添加後)の表面自由エネルギーの差の絶対値を算出した。
なお、光学フィルム1については、有機添加剤を用いていないため、光学フィルム1′と表面自由エネルギーに差がない。光学フィルム2についても同様である。
また、光学フィルム3は有機添加剤を添加していないが、下塗り層を作製しているため、下塗り層を作製していないものを光学フィルム3′として、表面自由エネルギー差の絶対値|ΔE|を求めている。
Figure 0006724370
表3に示した結果から明らかなように、本発明の光学フィルム5〜7及び9〜22は、上記の各評価において比較例の光学フィルム1〜4及び8より優れている。
また、表中にはコロナ処理を行った場合の接着性評価を主に記しているが、プラズマ処理、紫外線照射処理、ケン化処理でも同様の接着結果が得られることを確認した。
《液晶表示装置の作製と画像の視認性の評価》
下記手順に従って、本発明の画像表示装置の一例として、偏光板とそれを備えた液晶表示装置を作製し、本発明の上記光学フィルムを偏光板に用いたときの画像の視認性に対する効果を評価した。
(1)第1の偏光板(視認側偏光板)の作製
下記工程1〜4に従って、上記作製した偏光子の一方の面に上記作製した光学フィルム1を貼り合わせ、他方の面にコニカミノルタ社製KC4UA(偏光子保護フィルム)を貼り合わせて、偏光板を作製した。
工程1:作製した光学フィルム1の表面自由エネルギーを変化させた面に対し、コロナ放電を行い、コロナ処理を施した。別途、コニカミノルタ社製KC4UA(偏光子保護フィルム)を60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬した後、水洗及び乾燥させて、偏光子と貼合する側の面をケン化した。
工程2:偏光子を、固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。次いで、偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除いた後、工程1でコロナ処理を施した光学フィルム1の面上に配置した。
工程3:光学フィルム1及び偏光子と、工程1でケン化処理した偏光子保護フィルムとを、圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼り合わせて、積層体を得た。
工程4:工程3で得られた積層体を、80℃の乾燥機中で2分間乾燥させて、KC4UA(偏光子保護フィルム)/偏光子/光学フィルム1の積層構造を有する第1の偏光板を得た。
(2)第2の偏光板(バックライト側偏光板)の作製
第1の偏光板の作製と同様にして、光学フィルム1/偏光子/KC4UA(偏光子保護フィルム)の積層構造を有する第2の偏光板を作製した。
(液晶表示装置1の作製)
携帯用液晶表示装置として、IPS方式のXperia Z2 D6502(Sony株式会社製)を準備した。この装置から2枚の偏光板を剥がしとり、液晶セルの視認側の面に上記作製した第1の偏光板を、バックライト側の面に上記作製した第2の偏光板を、それぞれ粘着剤を介して貼り付けて液晶表示装置1を作製した。
第1の偏光板の貼り付けは、KC4UAが視認側となるように行った。また、第2の偏光板の貼り付けは、KC4UAがバックライト側となるように行った。
《液晶表示装置5〜7、9〜22の作製》
上記液晶表示装置1の作製において、光学フィルム1を表2に記載のとおりに変更した以外は同様にして、上記光学フィルム5〜7、9〜22を用いて各フィルム番号に対応させた液晶表示装置5〜7、9〜22を作製した。
《液晶表示装置1、5〜7、9〜22の評価》
作製した画像表示装置1、5〜7、9〜22に対して、視認性の評価として光漏れの評価を行った。
(光漏れの評価)
上記作製した液晶表示装置1、5〜7、9〜22を暗室にて黒表示させた。このときの画面端部からの光漏れの有無を以下の基準で評価した。
○:光漏れが全く認識できない
△:僅かな光漏れが認識される
×:明らかな光漏れが確認される
上記評結果は、光学フィルム1については、明らかな光漏れが視認され×のレベルと評価された。この結果は、光学フィルムと偏光子の密着性が不十分で、光学フィルムと偏光子との接着界面に隙間が生じ、僅かな光漏れが発生したと考えられる。
一方、本発明に係る光学フィルム5〜7及び9〜22については、光漏れが無視できる程度に僅か(△のレベル)又は光漏れが全く視認できない(○のレベルである。)ことが、評価結果として、確認された。

Claims (6)

  1. シクロオレフィン系樹脂と表面自由エネルギーを変化させる有機添加剤とを含有する光学フィルムであって、
    前記有機添加剤として、ポリシロキサン系化合物を含有し、当該ポリシロキサン系化合物が、アクリル変性シリコーンであり、
    前記有機添加剤の含有による表面自由エネルギーEの変化量の絶対値|ΔE|が、10〜31mJ/mの範囲内であり、
    表面自由エネルギー増加のための、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、及びケン化処理のいずれかの表面改質処理が施されていることを特徴とする光学フィルム。
  2. フィルム膜厚が、5〜40μmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、
    少なくとも、シクロオレフィン系樹脂と表面自由エネルギーを変化させる有機添加剤を含有するドープを溶液流延法により製膜する工程と、
    コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、及びケン化処理のいずれかの表面改質処理方法により表面自由エネルギーを増加させる工程と、
    を有することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  4. フィルム中の残留溶媒量が、30〜700質量ppmの範囲内であることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 請求項1又は請求項に記載の光学フィルムと偏光子とを具備していることを特徴とする偏光板。
  6. 請求項1又は請求項に記載の光学フィルムを具備していることを特徴とする画像表示装置。
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