JP4856981B2 - 光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 - Google Patents

光学補償シート、偏光板および液晶表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学補償シート、偏光板及び液晶表示装置とに関する。
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々用途が広がっている。従来、画像の視野角依存性が大きいことが液晶表示装置の大きな欠点であったが、近年、VAモードの高視野角液晶モードが実用化されており、これによりテレビ等の高品位の画像が要求される市場でも液晶表示装置の需要が急速に拡大しつつある。
これに伴い液晶表示装置において、色味、コントラスト、及びそれらの視角依存性改良に用いられる光学補償部材に対しても光学補償能のさらなる向上が求められている。
VAモード用の液晶表示装置用の光学補償フィルムとしてはAプレートとCプレートを組み合わせたものが特にコントラスト視野角の改善効果が高いことが知られている。
さらに特許文献1には面内レターデーションと厚み方向レターデーションの波長分散が異なるポリマーフィルムで光学補償をおこなうことにより、コントラストをさらに向上させ、且つ黒表示での色味をグレーに近づける技術が開示されている。
しかし、この方法では色味視野角の改良効果が不十分であり、特に高温高湿下で長時間表示した場合、色味変化が大きくなるという問題を有しており、改善が求められていた。
WO2004/068226 A1
本発明の目的は、高湿下で長時間点灯しても高品位の画像を維持できる光学補償シートを提供することである。
更に本発明の他の目的は、上記光学補償シートを具備した偏光板および液晶表示装置を提供することである。
本発明者らは鋭意検討した結果、前記色味変化が波長分散変化に起因していることを見出した。すなわち特許文献1に開示されているポリマーは主鎖の分極率異方性の波長分散と側鎖の分極率異方性の波長分散が異なり、これらが互いに相殺することにより、面内レターデーションと厚み方向レターデーションで異なる波長分散を実現しているものである。しかし、光弾性係数は大きくならざるを得ず、結果としてフィルムに応力が発生した場合のレターデーション変化が大きくなるという弊害がある。特に液晶表示装置が高湿下で長時間点灯された場合、偏光子のポリビニルアルコールの収縮に伴い光学補償シートに大きな応力が発生するため、深刻である。
これに代わり、本発明者らは固有複屈折の小さいモノマー成分からなるポリマーを延伸したフィルム上に、前記延伸方向と垂直に液晶性化合物が配向した光学異方性を設けることにより、レターデーションの理想的な波長分散特性を実現でき、かつ高温高湿下に長時間点灯しても色味変化の少ない液晶表示装置を実現できることを見出し、本発明を完結するに至った。
1)延伸ポリマーフィルム上に、少なくとも1つの液晶化合物を含有する光学異方性層を有し、レターデーションが下記(A)〜(F)の関係を満たす光学補償シートであって、
前記延伸ポリマーフィルムのレターデーションが下記式(G)〜(J)を満たすことを特徴とする光学補償シート。
30nm<Re(546)<150nm (A)
100nm<Rth(546)<400nm (B)
0.5<Re(480)/Re(546)<1 (C)
1.0<Re(628)/Re(546)<2.0 (D)
1.0<Rth(480)/Rth(546)<1.5 (E)
0.7<Rth(628)/Rth(546)<1.0 (F)
0.95<Re(480)/Re(546)<1.05 (G)
0.95<Re(628)/Re(546)<1.05 (H)
0.95<Rth(480)/Rth(546)<1.05 (I)
0.95<Rth(628)/Rth(546)<1.05 (J)
(但し、Re(λ)は、波長λにおける面内レターデーション(nm)であり、Rth(λ)は、波長λにおける厚み方向のレターデーション(nm)である。)
2)延伸ポリマーフィルムの遅相軸と液晶化合物を含有する光学異方性層の遅相軸が直交していることを特徴とする上記1)に記載の光学補償シート。
3)光学異方性層のレターデーションが下記式(K)〜(N)を満たすことを特徴とする上記1)又は2)に記載の光学補償シート。
1.0<Re(480)/Re(546)<2.0 (K)
0.5<Re(628)/Re(546)<1.0 (L)
1.0<Rth(480)/Rth(546)<2.0 (M)
0.5<Rth(628)/Rth(546)<1.0 (N)
(但し、Re(λ)は、波長λにおける面内レターデーション(nm)であり、Rth(λ)は、波長λにおける厚み方向のレターデーション(nm)である。)
4)延伸ポリマーフィルムの光弾性係数が5×10−13cm/dyn(5×10−8cm/N)以下であることを特徴とする上記1)〜3)のいずれかに記載の光学補償シート。
5)延伸ポリマーフィルムがシクロオレフィン系ポリマーフィルムであることを特徴とする上記1)〜4)のいずれかに記載の光学補償シート。
6)偏光子及びその両側に配置された2枚の保護フィルムからなる偏光板であって、少なくとも1枚の保護フィルムが上記1)〜5)のいずれかに記載の光学補償シートであることを特徴とする偏光板。
7)液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、少なくとも1つの偏光板が上記6)に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
8)該液晶セルがVAモードであることを特徴とする上記7)に記載の液晶表示装置。 本発明は、上記1)〜8)に係る発明であるが、以下、それ以外の事項についても記載している。
本発明の光学補償シートによれば、長時間点灯しても色味変化の少ない液晶表示装置が得られる。
<延伸ポリマーフィルム>
まず、本発明の延伸ポリマーフィルム(以下、特定位相差フィルムとも称する)について説明する。
<ポリマー材料>
本発明において延伸ポリマーフィルム形成に用いられるポリマーとしては、固有複屈折が小さく、かつ光弾性係数が小さいものが好ましい。
光弾性係数としては5×10-8cm2/N以下であることが好ましく、より好ましくは3×10-8cm2/N以下である。
上記を満たすポリマーの中でも、シクロオレフィン系ポリマーフィルムが特に好ましい。
以下に本発明で好ましく用いられるシクロオレフィン系ポリマーについて詳しく説明する。
<シクロオレフィン系ポリマーフィルム>
(シクロオレフィン系付加重合体)
本発明において、延伸ポリマーフィルム形成に使用されるシクロオレフィン系ポリマーは下記一般式(1)で表される構造単位(a)と下記一般式(2)で表される構造単位(b)を適度の比率で含む環状オレフィン系付加重合体が好ましい。
一般式(1)
Figure 0004856981
[一般式(1)のA1,A2,A3,A4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、炭素数4〜15のシクロアルキル基、ハロゲン原子である。また、A1〜A4には、A1とA2、A1とA3またはA2とA4から形成されるアルキレン基も含まれる。rは0〜2の整数を示す。
このような構造単位(a)は下記一般式(3)で表される環状オレフィン化合物(以下、「特定の単量体(A)」という。)を付加重合することにより、形成される。
一般式(3)
Figure 0004856981
[一般式(3)のA1,A2,A3,A4はそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、炭素数4〜15のシクロアルキル基、ハロゲン原子である。またA1〜A4には、A1とA2、A1とA3またはA2とA4から形成されるアルキレン基、アルキリデン基も含まれる。rは0〜2の整数を示す。]
式(3)で表される「特定の単量体(A)」の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヘプチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−デシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ドデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロオクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−クロロ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[4.2.0.15,8]ノナ−2−エン、1−メチルトリシクロ[4.2.0.15,8]ノナ−2−エン、6−メチルトリシクロ[4.2.0.15,8]ノナ−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、3−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、4−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、1−メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、3−メチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、1−エチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、3−エチルトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−9−エン、トリシクロ[8.2.1.02,9]トリデカ−11−エン、1−メチルトリシクロ[8.2.1.02,9]トリデカ−11−エン、5−メチルトリシクロ[8.2.1.02,9]トリデカ−11−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,517,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,517,10]ドデカ−3−エン、などが挙げられる。
また、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−ブテニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン、1−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン、1−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエン、などの環状ジオレフィン系化合物を付加重合し、しかる後、側鎖に存在する環状オレフィン性不飽和結合を水素化することにより、構造単位(a)としてもよい。
これらの「特定の単量体(A)」のうち好ましいものは、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エンまたはトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンである。なお、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンには、endo体およびexo体の立体異性体が存在するが、本発明においては、endo体を使用した方が最終的に得られるフィルムの靱性が高まるため好ましく、少なくともendo体含量が80%以上のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エンを使用することが好ましい。また、endo体のトリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−3,8−ジエンを用いて付加重合し、しかる後側鎖に残存する環状オレフィン性不飽和結合を水素化する方法も同様に好ましい。この場合でも、endo体含量は80%以上であることが好ましい。これらを用いて得られる環状オレフィン系重合体は、透明性、耐熱性が優れるだけでなく、低吸水性、低誘電性、および高い靭性を有する重合体となる。なお、「特定の単量体(A)」は1種または2種以上、用いることができる。
下記一般式(2)で表される構造単位(b)は、下記一般式(4)で表される環状オレフィン(以下、「特定の単量体(B)」という。)を付加重合することにより、形成される。
一般式(2)
Figure 0004856981
[一般式(2)中、B1〜B4はそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリ−ル基、ハロゲン化アルキル基、加水分解性シリル基または−(CH2jXで表される極性基を示し、B1〜B4の少なくとも一つは加水分解性シリル基または−(CH2jXで表される極性基を含む。ここで、Xは−C(O)OR1または−OC(O)R2であり、R1,R2は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはそれらのハロゲン置換体からなる基から選ばれた置換基、jは0〜3の整数である。また、B1〜B4には、B1とB3またはB2とB4から形成されるアルキレン基、B1とB2またはB3とB4から形成されるアルキリデニル基も含まれる。pは0〜2の整数を示す。
一般式(4)
Figure 0004856981
[一般式(4)中、B1〜B4は一般式(2)と同一である。pは0〜2の整数を示す。]
このような「特定の単量体(B)」の具体例としては、例えば以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ブトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−エトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−プロポキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−ブトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチル−5−メトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−トリフロロメトキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−5−イルメチルカルボン酸エチル、アクリル酸−1−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−エン、メタクリル酸−1−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−3−エン、5,6−ジ(メトキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(メトキシカルボニル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−エトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、5−トリメトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ジメトキシクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシクロロメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ジメトキシクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシヒドリドメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ジメトキシヒドリドシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシジメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリエトキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ジエトキシクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシクロロメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ジエトキシヒドリドシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシジメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシジエチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−プロポキシジメチルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリプロポキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリフェノキシシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリメトキシシリルメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ジメチルクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルジクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ジエチルクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルジクロロシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−トリメトキシシリル)エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−ジメトキシクロロシリル)エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−トリメトキシシリル)エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2−トリメトキシシリル)プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(1−トリメトキシシリル)プロピル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリエトキシシリルエチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ジメトキシメチルシリルメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−トリメトキシプロピルシリル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチル−5−(3−トリエトキシシリル)プロポキシカルボニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−トリエトキシシリル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチルジメトキシシリル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、
5−[1’−メチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−3’,3’,4’,4’−テトラフェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−3’,3’,4’,4’−テトラメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−フェニル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−エチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’,3’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−3’,4’−ジメチル−2’,5’−ジオキサ−1’−シラシクロペンチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−エチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’,3’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−フェニル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−4’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−4’−スピロ−シクロヘキシル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−4’−エチル−4’−ブチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−3’,3’−ジメチル−5’メチレン−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−3’−フェニル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−7−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−[1’−メチル−2’,7’−ジオキサ−1’−シラシクロヘプチル]−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、8−[1’−メチル−4’,4’−ジメチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−テトラシクロ[4.4.0.12,517,10]ドデカ−3−エン、8−[1’−メチル−2’,6’−ジオキサ−1’−シラシクロヘキシル]−テトラシクロ[4.4.0.12,517,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−カルボキシメチル−9-カルボキシメチルテトラシクロ
[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、などが挙げられる。これらの「特定の単量体(B)」は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
環状オレフィン系重合体に含まれる構造単位(b)の割合は、全構造単位中、5〜95モル%、好ましくは10〜90モル%、さらに好ましくは20〜80モル%である。上記環状オレフィン系重合体の構造単位(b)の割合が少なすぎると、偏光子に使用されるポリビニルアルコールとの接着・密着性が劣る場合が生じる。一方、その割合が多すぎると、吸湿性が大きくなり寸法安定性に劣る。なお、構造単位(b)の配列は、環状オレフィン系重合体中にランダム状、ブロック状など制限はないが、好ましくはランダム状である。さらに、側鎖置換基として加水分解性シリル基、エステル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの反応性置換基を有する構造単位(b)を含む環状オレフィン系付加重合体は、後述する架橋剤を用いることによって環状オレフィン系重合体のフィルムを架橋体とすることができる。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体には、さらに、「特定のα−オレフィン化合物」を付加重合して得られる構造単位(c)を導入することができる。
このような「特定のα−オレフィン化合物」の具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、トリメチルシリルエチレン、トリエチルシリルエチレン、スチレンなどが挙げられるが好ましくはエチレンである。
「特定のα−オレフィン化合物」に由来する繰り返し単位(c)を重合体に導入することにより、環状オレフィン系重合体のガラス転移温度を制御することができる。本発明で用いられる環状オレフィン系重合体に含まれる繰り返し単位(c)の割合は、0〜30モル%、好ましくは0〜20モル%である。なお、繰り返し単位(c)の割合が30モル%を超えると、環状オレフィン系重合体のガラス転移温度が170℃以下と低くなり、耐熱性が低下することがあり好ましくない。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体の分子量は、ポリスチレン換算で表され、数平均分子量が10,000〜300,000、重量平均分子量が20,000〜700,000、好ましくは数平均分子量が20,000〜200,000、重量平均分子量が50,000〜500,000、さらに好ましくは数平均分子量が50,000〜150,000、重量平均分子量が100,000〜300,000である。数平均分子量10,000未満、重量平均分子量が20,000未満の場合には、フィルムとしたときに靭性に劣り割れやすいものとなることがある。一方、数平均分子量が300,000、重量平均分子量が700,000を超えると、溶液粘度が高くなり、溶液キャスト法による製膜の作業性や得られたフィルムの表面などが悪くなることがある。
また、本発明で用いられる環状オレフィン系重合体のガラス転移温度は、未架橋の状態で180〜450℃、好ましくは200〜400℃である。該重合体のガラス転移温度が180℃未満では耐熱性が不十分で、一方、450℃を超えるとフィルムとして靭性がなく割れやすいものとなることがある。
本発明で用いられる環状オレフィン系重合体は、「特定の単量体(A)」を主として用い、必要に応じて架橋形成または接着・密着付与のために「特定の単量体(B)」を用い、さらに必要に応じてガラス転移温度の制御のために「特定のα−オレフィン化合物」を用いて製造される。以下、その製造法について説明する。
重合触媒としては、下記[1]、[2]、[3]に挙げられるパラジウム、ニッケル、コバルト、チタンおよびジルコンなどの単一錯体触媒や多成分系触媒が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[1] Pd、Niなどの単一錯体触媒[Pd(CH3CN)4][BF42、[Pd(PhCN)4][SbF6]、[(η3−クロチル)Pd(シクロオクタジエン)][PF6]、[(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)][B(3,5−(CF32634]、[(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)][PF6]、[(η3−allyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)][B(C654]、[(η3−crotyl)Ni(cycloocta−1,5−diene)][SbF6]、Toluene・Ni(C652、Benzene・ Ni(C652 、Mesitylene・Ni(C652Ethylether・ Ni(C652
[2] σまたはσ,π結合を有するパラジウム錯体と有機アルミニウムまたは超強酸塩の組み合わせによる多成分系触媒ジ−μ−クロロ−ビス(6−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−エンド−5σ,2π)Pd、とメチルアルモキサン(MAOと略す)、AgSbF6、AgBF4、から選ばれた化合物との組み合わせ。[(η3−アリール)PdCl]2とAgSbF6またはAgBF4、との組み合わせ。[(1,5−シクロオクタジエン)Pd(CH3)Cl]とPPh3とNaB[3,5−(CF32634との組み合わせ。などの組み合わせが挙げられる。
[3]以下に示した、1)ニッケル化合物、コバルト化合物、チタン化合物またはジルコン化合物から選ばれた遷移金属化合物、2)超強酸、ルイス酸およびイオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物、ならびに 3)有機アルミニウム化合物、を含む多成分系触媒。
1)遷移金属化合物
1)−1 ニッケル化合物、コバルト化合物:以下に挙げる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、ニッケルまたはコバルトの有機カルボン酸塩、有機亜リン酸塩、有機リン酸塩、有機スルホン酸塩、β−ジケトン化合物などから選ばれた化合物。例えば、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸コバルト、オレイン酸ニッケル、ドデカン酸ニッケル、ドデカン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、ドデシルベンゼンスルホン酸ニッケル、ビス(アセチルアセトナート)ニッケル、ビス(エチルアセトアセテート)ニッケルなど。・上記のニッケルの有機カルボン酸塩を六フッ化アンチモン酸、四フッ化ホウ素酸、トリフロロ酢酸、六フッ化アセトンなどの超強酸で変性した化合物、・ニッケルのジエンもしくはトリエン配位錯体、例えば、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、[(η3−クロチル)(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル]ヘキサフロロホスフェート、およびそのテトラフロロボレート、テトラキス[3,5−ビス(トリフロロメチル)]ボレート錯体、5,9−シクロドデカトリエン)ニッケル、ビス(ノルボルナジエン)ニッケル、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルなどのニッケル錯体、ニッケルにP、N、Oなどの原子を有する配位子が配位した錯体、例えば、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジクロライド、ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケルジブロマイド、ビス(トリフェニルホスフィン)コバルトジブロマイド、ビス[N−(3−t−ブチルサリシリデン)フェニルアミネート]ニッケル、Ni[PhC(O)CH](Ph)、Ni(OC(C64)PPh)(H)(PCy3)、Ni[OC(O)(C64)P](H)(PPh3)、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケルとPhC(O)CH=PPh3との反応物、6−(i−Pr)263N=CHC63(O)(Anth)](Ph)(PPh3)Niなどのニッケル錯体(ここで、Anthは9−anthracenyl、Phはphenyl、Cyはcyclohexylの略称である。)が挙げられる。
1)−2 チタン化合物、ジルコン化合物:[t−BuNSiMe(Me4Cp)]TiCl2、(Me4Cp)(O−iPr2632TiCl、(Me4Cp)TiCl3、(Me4Cp)Ti(OBu)3、[t−BuNSiMeFlu]TiMe2、[t−BuNSiMeFlu]TiCl2Et(Ind)2ZrCl2、Ph2C(Ind)(Cp)ZrCl2iPr(Cp)(Flu)ZrCl2iPr(3−tert−But−Cp)(Ind)ZrCl2iPr(Cp)(Ind)ZrCl2、 Me2Si(Ind)2ZrCl2、Cp2ZrCl2、[CpはCyclopentadienl、IndはIndenyl、FluはFluorenylの略称である。]などが挙げられる。
2)超強酸、ルイス酸化合物およびイオン性ホウ素化合物から選ばれた化合物:超強酸としては、例えば、ヘキサフロロアンチモン酸、ヘキサフロロリン酸、ヘキサフロロ砒酸、トリフロロ酢酸、フロロ硫酸、トリフロロメタンスルホン酸、テトラフロロホウ酸、テトラキス(ペンタフロロフェニル)ホウ酸、テトラキス[3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル]ホウ酸、p−トルエンスルホン酸、ペンタフロロプロピオン酸などが挙げられる。ルイス酸化合物としては、例えば、三フッ化ホウ素とエーテル、アミン、フェノールなどとの錯体、三フッ化アルミニウムのエーテル、アミン、フェノールなどの錯体、トリス(ペンタフロロフェニル)ボラン、トリス[3,5−ビス(トリフロロメチル)フェニル]ボラン、などのホウ素化合物、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウム、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムフロライド、トリ(ペンタフロロフェニル)アルミニウムなどのアルミニウム化合物、ヘキサフロロアセトン、ヘキサクロロアセトン、クロラニル、ヘキサフロロメチルエチルケトンなどのルイス酸性を示す有機ハロゲン化合物、その他、四塩化チタン、ペンタフロロアンチモンなどのルイス酸性を示す化合物などが挙げられる。イオン性ホウ素化合物としては、例えば、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジフェニルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
3)有機アルミニウム化合物:例えば、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサンなどのアルキルアルモキサン化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムフルオライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライドなどのアルキルアルミニウム化合物およびハロゲン化アルキルアルミニウム化合物、または上記アルキルアルモキサン化合物と上記アルキルアルミニウム化合物との混合物などが好適に使用される。
これら単一錯体触媒または多成分系触媒の成分は、以下の範囲の使用量で用いられる。ニッケル化合物、パラジウム化合物、コバルト化合物、チタニウム化合物およびジルコニウム化合物などの遷移金属化合物は単量体1モルに対して、0.02〜100ミリモル原子、有機アルミニウム化合物は遷移金属化合物1モル原子に対して1〜5,000モル、また超強酸、ルイス酸、イオン性ホウ素化合物は遷移金属化合物の1モル原子に対して0〜100モルである。
環状オレフィン系重合体は、上記成分からなる単一錯体触媒または多成分系触媒を用い、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタンなどの脂環式炭化水素溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素溶媒などから、1種または2種以上選ばれた溶媒中で、−20〜120℃の温度範囲で重合を行うことにより得られる。
(シクロオレフィン系開環重合体)
本発明にかかるシクロオレフィン系ポリマーとしては、下記一般式(5)及び(6)で表わされる繰り返し単位を有する開環重合体も好ましく用いることができる。
Figure 0004856981
[式中、mは1以上の整数、pは0又は1以上の整数であり、Xは、ビニレン基(−CH=CH−)またはエチレン基(−CH2CH2 −)を示し、R1 〜R4 は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。
更に、R1 とR2 、R3 とR4またはR2 とR3 は、互いに結合して、単環構造若しくは他の環が縮合して多環構造を有する炭素環または複素環を形成していてもよく、形成される炭素環または複素環は芳香環であってもよいし非芳香環であってもよい。]
Figure 0004856981
[式中、Yは、ビニレン基(−CH=CH−)またはエチレン基(−CH2CH2−)を示し、R5 〜R8 は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。更に、R5とR6 、R7 とR8 またはR6 とR7 は、互いに結合して、単環構造若しくは他の環が縮合して多環構造を有する炭素環または複素環(但し、一般式(1)で表される構造を除く)を形成してもよく、形成される炭素環または複素環は芳香環であってもよいし非芳香環であってもよい。]
上記一般式(5)及び(6)のポリマーは下記の(イ)〜(ニ)に示す単量体の(共)重合体(以下、「特定重合体」ともいう。)として合成される。
(イ)下記一般式(7)で表される化合物(以下、「特定の単量体D」ともいう。)の開環重合体。
(ロ)特定の単量体Dと、当該特定の単量体Dと共重合可能な化合物(以下、「共重合性単量体」ともいう。)との開環重合体。
(ハ)上記(イ)の開環重合体または(ロ)の開環重合体の水素添加物。
(ニ)上記(イ)の開環重合体または(ロ)の開環重合体をフリーデルクラフト反応により環化して得られた化合物若しくはその水素添加物。
Figure 0004856981
[式中、mは1以上の整数、pは0又は1以上の整数であり、R1 〜R4 は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。更に、R1とR2 、R3 とR4 またはR2 とR3 は、互いに結合して、単環構造若しくは他の環が縮合して多環構造を有する炭素環または複素環を形成していてもよく、形成される炭素環または複素環は芳香環であってもよいし非芳香環であってもよい。]
特定重合体は、共重合性単量体として下記一般式(8)で表される化合物(以下、「特定の単量体E」ともいう。)を用い、特定の単量体Dと、特定の単量体Eとを共重合して得られるものであることが好ましい。このような構成の特定重合体によれば、最終的に得られる特定位相差フィルムが靱性等の機械的な特性が一層優れたものとなり、また、延伸加工により特定位相差フィルムに必要とされる所望のレターデーションを得やすくなる。
Figure 0004856981
[式中、R〜R は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換若しくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を示す。更に、RとR 、R とR またはR とR は、互いに結合して、単環構造若しくは他の環が縮合して多環構造を有する炭素環または複素環(但し、一般式(5)で表される構造を除く)を形成してもよく、形成される炭素環または複素環は芳香環であってもよいし非芳香環であってもよい。]
更に、特定重合体は、特定の単量体Dと特定の単量体Eとの開環重合体であって、上記一般式(5)で表される特定の単量体Dに由来の構造単位(以下、「構造単位d」ともいう。)と、上記一般式(6)で表される特定の単量体Eに由来の構造単位(以下、「構造単位e」ともいう。)とを有するものであることが好ましい。このような構成の特定重合体は、耐熱性と延伸加工等による加熱加工性とのバランスを図ることができる点で好ましい。
一般式(7)〜一般式(8)におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基などが挙げられる。
また、一般式(5)〜一般式(8)における置換または非置換の炭化水素基は、直接環構造に結合していてもよいし、あるいは連結基(linkage)を介して結合していてもよい。
連結基としては、例えば炭素原子数1〜10の2価の炭化水素基〔例えば、−(CH2 )q −(式中、qは1〜10の整数)で表されるアルキレン基〕;酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基〔例えば、カルボニル基(−CO−)、オキシカルボニル基(−O(CO)−)、スルホン基(−SO2−)、エーテル結合(−O−)、チオエーテル結合(−S−)、イミノ基(−NH−)、アミド結合(−NHCO−,−CONH−)、シロキサン結合(−OSi(R9 8−メチル−8−n−プロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5. 17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−イソプロポキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−フルオロ−8−ペンタフルオロエチル−9,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジフルオロ−8−ヘプタフルオロiso−プロピル−9−トリフルオロメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−クロロ−8,9,9−トリフルオロテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8,9−ジクロロ−8,9−ビス(トリフルオロメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−(2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、
8−(4−ビフェニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−(4−ビフェニルカルボニルオキシエチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−(4−ビフェニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−(2−ビフェニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−(2−ビフェニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−(3−ビフェニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−(3−ビフェニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−(1−ナフチルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−(1−ナフチルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−(2−ナフチルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−(2−ナフチルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−(9−アントラセニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、8−メチル−8−(9−アントラセニルカルボニルオキシメチル)テトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン、1,2−(2H、3H−[1,3]エピシクロペンタ)−1,2−ジヒドロアセナフチレンとシクロペンタジエンとのディールス・アルダー付加体などを挙げることができるが、特定の単量体Dは、これらの化合物に限定されるものでなはい。また、これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて特定の単量体Dとして用いることができる。
これらの中では、分子内に少なくとも1つの極性基を有する化合物が好ましく、特に、一般式(3)において、R1 およびR3 が水素原子または炭素原子数1〜10の炭化水素基であり、R2およびR4 が水素原子または一価の有機基に相当するものであって、かつR2 およびR4 の少なくとも一つが水素原子および炭化水素基以外の極性基であるものが、他素材との密着性・接着性を高めるので好ましい。
ここに、得られる特定重合体中の極性基の含有量は、最終的に得られる特定位相差フィルムに要求される所望の機能等により決定されるものであり、特に限定はされないが、特定単量体aに由来する全構造単位中に極性基を有する特定の単量体Dに由来の構造単位が、通常1モル%以上、好ましくは5モル%以上、更に好ましくは10モル%以上であり、特定の単量体Dに由来する全構造単位が極性基を有するものであってもよい。
また、特定の単量体Dとしては、一般式(7)において、R2 およびR4 の少なくとも一つが一般式(9)で表される極性基を有するものであることが、得られる特定重合体のガラス転移温度と吸水性を制御しやすい点で好ましい。
Figure 0004856981
〔式中、nは0〜5の整数であり、R10は一価の有機基である。〕
一般式(9)においてR10で表される一価の有機基の具体例としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、ビフェニリル基等のアリール基;この他にもジフェニルスルホン、テトラヒドロフルオレン等のフルオレン類等の芳香環やフラン環、イミド環等の複素環を有する一価の基等が挙げられる。
また、一般式(9)において、nは0〜5の整数、好ましくは0〜2の整数、より好ましくは0である。nの値が小さいものほど得られる特定重合体のガラス転移温度が高くなるので好ましく、特にnが0である特定単量体aは、その合成が容易である点で好ましい。
更に、特定単量体aは、一般式(7)において、一般式(9)で表される極性基が結合した炭素原子に更にアルキル基が結合したものであることが好ましく、これにより、得られる特定重合体の耐熱性と吸水性のバランスを図ることができる。ここで、アルキル基の炭素原子数は1〜5であることが好ましく、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1である。
また、特定の単量体Dとしては、一般式(7)においてmが1でありpが0であるものは、ガラス転移温度の高い特定重合体が得られる点で好ましい。
特定の単量体Eの具体例としては、
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
トリシクロ[5.2.1.02,6 ]デカ−8−エン、
トリシクロ[6.2.1.02,7 ]ウンデカ−9−エン、
5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−メトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−シアノビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−エチリデンビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フェニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(α体およびβ体)、
5−フルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−ペンタフルオロエチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリス(フルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5−ジフルオロ−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−5−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−フルオロ−5−ペンタフルオロエチル−6,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジフルオロ−5−ヘプタフルオロ−iso−プロピル−6−トリフルオロメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−クロロ−5,6,6−トリフルオロビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,6−ジクロロ−5,6−ビス(トリフルオロメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5,5,6−トリフルオロ−6−ヘプタフルオロプロポキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−フェニルフェニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
4−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2−イル)フェニルスルホニルベンゼン、
5−(4−ビフェニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−ビフェニルカルボニルオキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(4−ビフェニルカルボニルオキシプロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−(4−ビフェニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ビフェニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ビフェニルカルボニルオキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−(2−ビフェニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(3−ビフェニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(3−ビフェニルカルボニルオキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1−ナフチルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(1−ナフチルカルボニルオキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−(1−ナフチルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(2−ナフチルカルボニルオキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−(2−ナフチルカルボニルオキシメチル)メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(9−アントラセニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−(9−アントラセニルカルボニルオキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
5−メチル−5−(9−アントラセニルカルボニルオキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、
アセナフチレンとシクロペンタジエンとのディールス・アルダー付加体などを挙げることができるが、特定単量体eは、これらの化合物に限定されるものでなはい。また、これらの化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて特定単量体eとして用いることができる。
特定の単量体Dと特定の単量体Eとを共重合させることによって得られる特定重合体は、当該特定の単量体Dおよび特定の単量体E以外の他の共重合性単量体と共に共重合されてなるものであってもよい。
他の共重合性単量体としては、例えばシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィンを挙げることができる。シクロオレフィンの炭素原子数としては、4〜20が好ましく、更に好ましくは5〜12である。更にポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−非共役ジエン共重合体、ポリノルボルネンなどの主鎖にオレフィン性不飽和結合を有する不飽和炭化水素系ポリマーなどの存在下に特定の単量体Dおよび必要に応じて特定の単量体Eを重合させてもよく、このようにして得られる特定重合体は、耐衝撃性の大きい樹脂の原料として有用である。
特定重合体の30℃クロロホルム中で測定した固有粘度(ηinh )は、0.2〜5dl/gであることが好ましい。更に好ましくは0.3〜4dl/g、特に好ましくは0.5〜3dl/gである。5dl/gを超えると、溶液粘度が高くなりすぎ、加工性が悪化することがあり、0.2dl/g未満であるとフィルム強度が低下することがある。
特定重合体の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、通常は8,000〜1,000,000、好ましくは10,000〜500,000、更に好ましくは20,000〜100,000、特に好ましくは30,000〜100,000、また、重量平均分子量(Mw)が、通常は20,000〜3,000,000、好ましくは30,000〜1,000,000、更に好ましくは40,000〜500,000、特に好ましくは40,000〜300,000の範囲である。
また、特定重合体の分子量分布は、上記のMw/Mnが通常1.5〜10、好ましくは2〜8、更に好ましくは2.5〜5、特に好ましくは2.5〜4.5である。
特定重合体のガラス転移温度(Tg)は、例えば特定重合体の構造単位aおよび構造単位bの種類若しくは構造単位aと構造単位bとの比の調整、あるいは添加剤の添加等により適宜変えることが可能であるが、通常は100〜250℃、好ましくは110〜200℃、更に好ましくは120〜180℃である。Tgが100℃以下の場合は、熱変形温度が低くなり、耐熱性に問題が生じるおそれがあり、また、最終的に得られるフィルムの光学特性が温度により大きく影響を受けることがある。また、Tgが250℃以上であると、延伸加工等にTg近辺まで加熱して加工する場合に熱可塑性ノルボルネン系樹脂が熱劣化する可能性が高くなる。
構造単位dおよび構造単位eを有する特定重合体においては、特定の単量体Dと特定の単量体Eとの比(D/E)は、好ましくは、モル比ではD/E=95/5〜5/95、更に好ましくは95/5〜60/40である。構造単位dの割合が上記範囲より大きいと靱性改良の効果や所望の光学特性が期待できない場合があり、逆に、構造単位dの割合が上記範囲より小さいとガラス転移温度が低くなり、耐熱性に問題が生じる場合がある。
更に、構造単位dおよび構造単位eを有する特定重合体において、当該重合体中の構造単位dと構造単位eの比率(組成比)は、分子量分布全範囲においてバラツキが小さいことが好ましい。具体的には、重合反応に供した特定の単量体Dと特定の単量体Eとの比率に対して、任意の分子量における組成比を、±50%以内、好ましくは±30%以内、更に好ましくは±20%以内のバラツキ範囲に収めることで、より一層均一な特定位相差フィルムを得ることができる。また、こうした範囲に収めることで、延伸配向した際に、位相差のより一層の均一性を得ることが可能となる。
以下に、特定の単量体D、および必要に応じて特定の単量体Eあるいはその他の共重合性単量体を開環共重合することにより、あるいはこれらの単量体を開環共重合した後、得られる開環共重合体を水素添加することにより得られる特定重合体を製造するための条件について説明する。
開環重合触媒:
単量体の開環重合反応は、メタセシス触媒の存在下に行われる。
このメタセシス触媒は、(a)W、MoおよびReの化合物から選ばれた少なくとも1種と、(b)デミングの周期律表IA族元素(例えばLi、Na、Kなど)、IIA族元素(例えばMg、Caなど)、IIB族元素(例えばZn、Cd、Hgなど)、IIIB族元素(例えばB、Alなど)、IVA族元素(例えばTi、Zrなど)あるいはIVB族元素(例えばSi、Sn、Pbなど)の化合物であって、少なくとも1つの当該元素−炭素結合あるいは当該元素−水素結合を有するものから選ばれた少なくとも1種との組合せからなる触媒である。またこの場合に触媒の活性を高めるために、後述の添加剤(c)が添加されたものであってもよい。
(a)成分として適当なW、MoあるいはReの化合物の代表例としては、WCl6 、MoCl5 、ReOCl3など特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
(b)成分の具体例としては、n−C49 Li、( C253Al 、( C252 AlCl、( C251.5 AlCl1.5 、( C25 )AlCl2、メチルアルモキサン、LiHなど特開平1−240517号公報に記載の化合物を挙げることができる。
(c)成分の代表例としては、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アミン類などが好適に用いることができるが、更に特開平1−240517号公報に記載の化合物を使用することができる。
メタセシス触媒の使用量としては、上記(a)成分と特定の単量体Dおよび特定の単量体E(以下、双方を併せて「特定の単量体」という。)とのモル比で(a)成分:特定単量体が、通常1:500〜1:50000となる範囲、好ましくは1:1000〜1:10000となる範囲である。
(a)成分と(b)成分との割合は、金属原子比で「(a):(b)」が1:1〜1:50、好ましくは1:2〜1:30の範囲である。
(a)成分と(c)成分との割合は、モル比で「(c):(a)」が0.005:1〜15:1、好ましくは0.05:1〜7:1の範囲である。
分子量調節剤:
特定重合体の分子量の調節は重合温度、触媒の種類、溶媒の種類によっても行うことができるが、本発明においては、分子量調節剤を反応系に共存させることにより調節することが好ましい。好適な分子量調節剤としては、例えばエチレン、プロペン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどのα−オレフィン類およびスチレンを挙げることができ、これらのうち、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましい。
これらの分子量調節剤は、単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
分子量調節剤の使用量としては、重合反応に供される特定単量体1モルに対して0.005〜0.6モル、好ましくは0.02〜0.5モルである。
開環重合反応用溶媒:
開環重合反応において用いられる溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカンなどのアルカン類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素類;クロロブタン、ブロムヘキサン、塩化メチレン、ジクロロエタン、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン、クロロホルム、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素化合物類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸iso−ブチル、プロピオン酸メチルなどの飽和カルボン酸エステル類;ジメトキシエタン、ジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を挙げることができ、これらは単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、上記芳香族炭化水素類が好ましい。
溶媒の使用量としては、溶媒:特定単量体(重量比)が、通常1:1〜10:1となる量、好ましくは1:1〜5:1となる量である。
水素添加:
以上の開環重合により得られる開環共重合体は、そのまま特定重合体として使用することもできるが、当該開環共重合体において残留するオレフィン性不飽和結合を水素添加された水素添加物とすることが好ましい。
この水素添加物は、優れた熱安定性を有するものとなり、フィルム製膜加工時および延伸加工時、あるいは製品としての使用時において、加熱によってその特性が劣化しにくくなる。このような水素添加物において、オレフィン性不飽和結合に対する水素添加率は、50%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上である。また、水素添加に供される開環共重合体が分子内に芳香環を有するものである場合には、水素添加後において、当該芳香環が実質的に水素添加されていないことが好ましい。
水素添加反応は、通常の方法、すなわち開環共重合体の溶液に水素添加触媒を添加し、これに常圧〜300気圧、好ましくは3〜200気圧の水素ガスを0〜200℃、好ましくは20〜180℃で作用させることによって行われる。
水素添加触媒としては、通常のオレフィン性化合物の水素添加反応に用いられるものを使用することができる。この水素添加触媒としては、不均一系触媒および均一系触媒が公知である。なお、芳香環を有する置換基を分子内に有する開環重合体を水素添加する場合には、芳香環の不飽和結合が実質的に水素添加されない条件を選択することが好ましい。
不均一系触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属類を、カーボン、シリカ、アルミナ、チタニアなどの担体に担持させた固体触媒を挙げることができる。また、均一系触媒としては、ナフテン酸ニッケル/トリエチルアルミニウム、ニッケルアセチルアセトナート/トリエチルアルミニウム、オクテン酸コバルト/n−ブチルリチウム、チタノセンジクロリド/ジエチルアルミニウムモノクロリド、酢酸ロジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロヒドロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロカルボニルトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムなどを挙げることができる。触媒の形態は粉末でも粒状でもよい。
これらの水素添加触媒は、開環重合体:水素添加触媒(重量比)が、1:1×10−6〜1:2となる割合で使用される。
また、JSR(株)アートン、日本ゼオン(株)製ゼオノア等の市販フィルムも本発明の熱可塑性ノルボルネン樹脂として好ましく用いることができる。
(フィルム製造)
本発明においては、特定重合体よりなる熱可塑性ノルボルネン系樹脂は溶融成形法あるいは溶液流延法(溶剤キャスト法)などによりフィルムに成形することができるが、厚みの均一性が高く、表面平滑性が良好な加工前フィルムが得られる点で、溶剤キャスト法を利用することが好ましい。溶剤キャスト法としては、例えば、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解または分散させることにより、熱可塑性ノルボルネン系樹脂が適度の濃度で含有されてなるフィルム形成液を調製し、このフィルム形成液を適当なキャリヤー上に注ぐかまたは塗布し、これを乾燥した後、キャリヤーから剥離させる方法が挙げられる。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解または分散させる際には、当該熱可塑性ノルボルネン系樹脂の濃度を、通常0.1〜90重量%、好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは10〜35重量%にする。この濃度が0.1重量%未満である場合には、所要の厚みを有する加工前フィルムを得ることが困難になるおそれがあり、また、乾燥により溶媒を除去する際に、当該溶媒の蒸発に伴って発泡等が生じやすく、表面平滑性が良好な加工前フィルムを得ることが困難になるおそれがある。一方、この濃度が90重量%を超える場合には、フィルム形成液の溶液粘度が高くなりすぎるため、厚みや表面状態が均一なフィルムを得ることが困難となるおそれがある。
また、フィルム形成液の粘度は、室温で、通常1〜1,000,000(mPa・s)、好ましくは10〜100,000(mPa・s)、更に好ましくは100〜50,000(mPa・s)、特に好ましくは1000〜40,000(mPa・s)である。
フィルム形成液の調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等のセロソルブ系溶媒、ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサン等のケトン系溶媒、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、1−ペンタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができる。
また、上記の溶媒以外でも、SP値(溶解度パラメーター)が、通常10〜30(MPa1/2 )、好ましくは10〜25(MPa1/2 )、更に好ましくは15〜25(MPa1/2 )、特に好ましくは15〜20(MPa1/2 )の範囲の溶媒を使用すれば、表面均一性と光学特性の良好な加工フィルムを得ることができる。
上記の溶媒は単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。溶媒を2種以上組み合わせて用いる場合には、得られる混合溶媒のSP値の範囲を上記範囲内とすることが好ましい。このとき、混合溶媒のSP値の値は、当該混合溶媒を構成する各溶媒の重量比から求めることができ、例えば2種の溶媒から得られる混合溶媒においては、各溶媒のSP値およびそれらの重量分率をW1およびW2とし、また、SP値をSP1およびSP2とすると、混合溶媒のSP値は式:SP値=W1・SP1+W2・SP2により算出することができる。
フィルム形成液における溶媒として混合溶媒を用いる場合において、熱可塑性ノルボルネン系樹脂に対して良溶媒となるものと貧溶媒となるものとを組み合わせることにより、光拡散機能を有する加工前フィルムを得ることができる。具体的には、熱可塑性ノルボルネン系樹脂のSP値をSPx、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の良溶媒のSP値をSPy、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の貧溶媒のSP値をSPzとしたとき、SPxとSPyとの差が好ましくは7以下、更に好ましくは5以下、特に好ましくは3以下であり、SPxとSPzとの差が好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、特に好ましくは9以上であり、SPyとSPzとの差が好ましくは3以上、更に好ましくは5以上、更に好ましくは7以上とすることにより、得られる加工前フィルムに光拡散機能を付与することができ、その結果、最終的に得られる特定位相差フィルムを光拡散機能を有するものとすることができる。
また、混合溶媒中に占める貧溶媒の割合は、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下、特に好ましくは15重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。また、貧溶媒の沸点と良溶媒の沸点との差は好ましくは1℃以上、更に好ましくは5℃以上、特に好ましくは10℃以上、最も好ましくは20℃以上であり、特に貧溶媒の沸点が良溶媒の沸点より高いことが好ましい。
熱可塑性ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解または分散させる際の温度は、室温でも高温でもよく、十分に撹拌することにより、熱可塑性ノルボルネン系樹脂が均一に溶解または分散したフィルム形成液が得られる。また、必要に応じてフィルム形成液に染料、顔料等の着色剤を適宜添加することができ、これにより、着色された加工前フィルムを得ることができる。
また、得られる加工前フィルムの表面平滑性を向上させることを目的として、フィルム形成液にレベリング剤を添加してもよい。かかるレベリング剤としては、一般的なものであれは種々のものを用いることができ、その具体例としては、フッ素系ノニオン界面活性剤、特殊アクリル樹脂系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤などが挙げられる。
フィルム形成液の液層を形成するためのキャリヤーとしては、金属ドラム、スチールベルト、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等よりなるポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレン製ベルトなどを用いることができる。フィルム形成液を塗布する方法としては、ダイスやコーターを使用する方法、スプレー法、刷毛塗り法、ロールコート法、スピンコート法、ディッピング法などを利用することができる。
また、フィルム形成液を繰り返し塗布することにより、得られる加工前フィルムの厚みや表面平滑性を制御することもできる。
また、キャリヤーとしてポリエステルフィルムを使用する場合には、表面処理されたフィルムを使用してもよい。
表面処理の方法としては、一般的に行われている親水化処理方法、例えばアクリル系樹脂やスルホン酸塩基含有樹脂をコーテイングやラミネートにより積層する方法、あるいは、コロナ放電処理等によりフィルム表面の親水性を向上させる方法等が挙げられる。
溶剤キャスト法において、液層中の溶媒を除去するための具体的な方法としては、特に限定されず、一般的に用いられる乾燥処理法、例えば多数のローラーによって乾燥炉中を通過させる方法を利用することができるが、乾燥工程において溶媒の蒸発に伴って気泡が発生すると、最終的に得られる特定位相差フィルムの特性を著しく低下させるので、これを回避するために、乾燥工程を2段以上の複数工程とし、各工程における温度あるいは風量を制御することが好ましい。
このようにして得られる加工前フィルム中の残留溶媒量は、通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。ここで、加工前フィルム中の残留溶媒量が10重量%を超える場合には、当該加工前フィルムを延伸加工することによって得られる特定位相差フィルムを実際に使用したときに経時による寸法変化が大きくなり好ましくない。また、残留溶媒によりガラス転移温度が低くなり、耐熱性も低下することため好ましくない。
また、後述する延伸加工を好適に行うためには、加工前フィルム中の残留溶媒量を上記範囲内で適宜調節することが必要となる場合がある。具体的には、延伸配向処理によってフィルムに位相差を安定して均一に発現させるために、加工前フィルム中の残留溶媒量を通常10〜0.1重量%、好ましくは5〜0.1重量%、更に好ましくは1〜0.1重量%にすることがある。加工前フィルム中に微量の溶媒を残留させることにより、延伸配向処理が容易になる、あるいは位相差の制御が容易になる場合がある。
本発明において、加工前フィルムの厚みは、通常1〜500μm(1,000〜500,000nm)、好ましくは1〜300μm(1,000〜300,000nm)、更に好ましくは1〜200μm(1,000〜200,000)、最も好ましくは1〜100μm(1,000〜100,000nm)である。この厚みが1μm未満である場合には、当該加工前フィルムを実質的にハンドリングすることが困難となる。一方、この厚みが500μm以上である場合には、当該加工前フィルムをロール状に巻き取った際に、いわゆる「巻きぐせ」がついてしまい後加工等における取扱いが困難になる場合がある。
加工前フィルムの厚み分布は、平均値に対して通常±20%以内、好ましくは±10%以内、更に好ましくは±5%以内、特に好ましくは±3%以内である。また、1cmあたりの厚みの変動は、通常は10%以下、好ましくは5%以下、更に好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下であることが望ましい。加工前フィルムの厚み分布を上記の範囲内に制御することにより、当該加工前フィルムに対して延伸配向処理を行う際に、位相差ムラが発生することを防止することができる。
特定位相差フィルムを製造するための延伸加工法としては、具体的に、公知の一軸延伸法又は二軸延伸法を挙げることができる。
すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、円周の異なる二組のロールを利用する縦一軸延伸法等あるいは横一軸と縦一軸を組合わせた二軸延伸法、インフレーション法による延伸法等を用いることができる。
一軸延伸法の場合、延伸速度は通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、更に好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
二軸延伸法の場合、同時2方向に延伸を行う場合や一軸延伸後に最初の延伸方向と異なる方向に延伸処理する場合がある。この時、延伸後のフィルムの屈折率楕円体の形状を制御するための2つの延伸軸の交わり角度は、所望の特性により決定されるため特に限定はされないが、通常120〜60度の範囲である。また、延伸速度は各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよく、通常1〜5,000%/分であり、好ましくは50〜1,000%/分であり、更に好ましくは100〜1,000%/分であり、特に好ましくは100〜500%/分である。
延伸配向処理における処理温度は、特に限定されるものではないが、用いられる熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度Tgを基準として、通常Tg±30℃、好ましくはTg±15℃、更に好ましくはTg−5℃〜Tg+15℃の範囲である。処理温度を上記の範囲内とすることにより、位相差ムラの発生を抑制することが可能となり、また、屈折率楕円体の制御が容易になることから好ましい。
延伸倍率は、所望の特性により決定されるため特に限定はされないが、通常1.01〜10倍、好ましくは1.03〜5倍、更に好ましくは1.03〜3倍である。延伸倍率が10倍以上であると、位相差の制御が困難になる場合がある。
延伸したフィルムは、そのまま冷却してもよいが、Tg−20℃〜Tgの温度雰囲気下に少なくとも10秒以上、好ましくは30秒〜60分間、更に好ましくは1分〜60分間保持してヒートセットすることが好ましい。これにより、透過光の位相差の経時変化が少なく安定した位相差フィルムが得られる。
特定位相差フィルムの加熱による寸法収縮率は、100℃における加熱を500時間行った場合に、通常10%以下、好ましくは5%以下、更に好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
寸法収縮率を上記範囲内にするためには、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の原料である、例えば特定単量体a、特定単量体bあるいはその他の共重合性単量体の選択に加え、キャスト方法や延伸方法によりコントロールすることが可能である。
なお、延伸配向処理を施していない状態の加工前フィルムの加熱による寸法収縮率は、100℃における加熱を500時間行った場合に、通常5%以下、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
上記のようにして延伸したフィルムは、延伸により分子が配向していることにより、透過光に位相差を与えるようになるが、この位相差は、原料として用いる熱可塑性ノルボルネン系樹脂の種類、延伸倍率、延伸処理温度あるいは延伸前のフィルム(加工前フィルム)の厚み等を調整することにより制御することができる。例えば、延伸倍率については、延伸前の厚みが同じフィルムであっても、延伸倍率が大きいフィルムほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸倍率を変更することによって所望の位相差を透過光に与えるフィルムを得ることができる。また、延伸前のフィルム(加工前フィルム)の厚みについては、延伸倍率が同じであっても、延伸前のフィルムの厚みが大きいほど透過光に与える位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸前のフィルムの厚みを変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。また、延伸処理温度については、延伸温度が低いほど透過光の位相差の絶対値が大きくなる傾向があるので、延伸温度を変更することによって所望の位相差を透過光に与える位相差フィルムを得ることができる。
また、特定位相差フィルムの厚みを調整するためには、加工前フィルムの厚み、延伸倍率等を調整することにより制御することができる。具体的には、例えば加工前フィルムの厚みを小さくすること、あるいは延伸倍率を大きくすることにより位相差フィルムの厚みを小さくすることができる。
このような特定位相差フィルムにおいては、フィルム面上における1m2 当たりに換算したときの輝点の数は、10個以下、好ましくは7個以下、更に好ましくは5個以下、特に好ましくは3個以下、最も好ましくは0または1とされる。
ここに、「輝点」とは、特定位相差フィルムをクロスニコル状態の偏光板に挟んで観察したときに肉眼で確認される部分的な光の漏れであり、通常外径1μm以上(円形のものであればその直径、その他の形状のものであれば長手方向の長さ)のものを計測する。
もちろん、要求される性能によっては、これよりも小さいものを輝点として計測する場合がある。また、かかる輝点は、微小領域における位相差の部分的なムラが原因と考えられている。すなわち、加工前フィルム中に異物や泡等が存在すると、それらが肉眼では確認できないような大きさであっても、延伸加工した際に、異物や泡等が存在する部分に応力が集中し、この応力が集中した部分の位相差が周辺部分の位相差と異なってしまうことがあり、係る位相差の違いにより光が漏れてしまうと考えられている。
また、特定位相差フィルムにおいては、フィルム面上における1m2 当たりに換算したときの異物の数が、好ましくは10個以下、更に好ましくは5個以下、特に好ましくは3個以下、最も好ましくは0または1とされる。
ここでいう「異物」とは、特定位相差フィルムに光を透過させた場合に、実質的に光の透過を妨げるものである。このような異物が特定位相差フィルム中に存在する場合には、透過光強度に影響を与え、液晶表示素子等に用いた場合、画素抜けや特性の低下を招くおそれがある。
なお、計測すべき異物の大きさは、通常外径1μm以上(円形のものであればその直径、その他の形状のものであれば長手方向の長さ)であるが、要求される性能によっては、これよりも小さいものを異物として計測する場合がある。
(フィルムのレターデーション)
以上の工程によって得られる本発明における延伸ポリマーフィルムのレターデーションは下記式(A1)、(B1)、(G)〜(J)の関係を満たすことが好ましい。
30nm<Re(546)<400nm (A1)
30nm<Rth(546)<400nm (B1)
0.95<Re(480)/Re(546)<1.05 (G)
0.95<Re(628)/Re(546)<1.05 (H)
0.95<Rth(480)/Rth(546)<1.05 (I)
0.95<Rth(628)/Re(546)<1.05 (J)
式(A1)はさらに好ましくは40nm<Re(546)<300nmであり、最も好ましくは40nm<Re(546)<200nmである。
式(B1)はさらに好ましくは50nm<Rth(546)<300nmであり、最も好ましくは70nm<Rth(546)<250nmである
式(G)はさらに好ましくは0.98<Re(480)/Re(546)<1.02である。
レターデーションの波長分散を上記範囲にすることにより、コントラスト及び色味の改良効果の大きい光学補償シートが得られる。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。ここで平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx-nz)/(nx-ny)が更に算出される。
(光弾性)
本発明にかかる延伸ポリマーフィルムの光弾性係数は5×10-8cm2/N以下が好ましく、4×10-8cm2/Nがより好ましく、さらに好ましくは3×10-8cm2/N(5×10-13cm2/dyn)ある。延伸ポリマーフィルムの光弾性係数を上記範囲とすることにより、偏光板に組み込まれた状態で高温高湿下にさらされた場合の光学補償フィルムのレターデーション変化を低減できるという効果を奏する。なお、延伸ポリマーフィルム上に光学異方性層を具備する本発明の光学補償フィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる際に、偏光子の両端に配置される2枚の保護フィルムの光弾性係数が互いに異なる場合は、液晶セル側に使用される保護フィルムの光弾性係数は空気側保護フィルムの光弾性係数より小さいことが好ましい。光弾性係数はエリプソメーター(島津製作所(製))により求めることができる。
(透湿度)
透湿度はJIS Z 0208に記載の方法に則り、各試料の透湿度を測定し、面積1m2あたり24時間で蒸発する水分量(g)として算出する。偏光板保護フィルムの透湿度は偏光板の耐久性と密接に関係したフィルム物性である。ポリビニルアルコールにヨウ素を染着した偏光子はヨウ素の脱色による偏光性能劣化を水分が促進することが知られている。偏光板製造時の乾燥による水分除去のためには透湿度を下げることが好ましいが、一方偏光板製造時は逆に透湿度が低いほうが外部からの水分の浸入が抑制され好ましい。
したがって、前記相反する要求を満たすため、偏光板保護フィルムは適度な透水度を有することが必要である。したがって、偏光板の保護フィルムとして偏光子と貼り付けられる延伸ポリマーフィルムの60℃90%RH24hrにおける透湿度は、1g/m2以上1000g/m2以下が好ましく、10g/m2以上700g/m2以下がさらに好ましい。
(平衡含水率)
フィルムの含水率は一定温湿度における平衡含水率を測定することにより評価することができる。平衡含水率は25℃80%RH温湿度に24時間放置した後、平衡に達した試料の水分量をカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料質量(g)で除して算出したものである。
本発明にかかる延伸ポリマーフィルムの25℃80%RHにおける平衡含水率は0.01質量%以上2質量%以下が好ましく、0.01質量%以上1質量%以下がさらに好ましい。
(フィルムの表面処理)
本発明にかかる延伸ポリマーフィルムは偏光子、及び光学異方性層あるいは光学異方性層と本発明にかかる延伸ポリマーフィルムとの間に設けられる配向層、との密着の確保するため、表面が親水化処理されていることが好ましい。
表面処理方法としては、例えば特開2000-24167号、特開平10-130402号、特開2002-148436号、特開2002-90546号、特開2001-350017号の各公報に記載の接着層を設ける方法、また、特開2001-350018に記載のコロナ放電処理等の表面処理により親水性を付与することもできる。
(光学異方性層)
次に本発明における光学異方性層について詳しく説明する。
本発明における光学異方性層は少なくとも1つの液晶性化合物を含むことが好ましい。液晶性化合物としては、棒状液晶性化合物あるいは円盤状液晶性化合物であることが好ましい。
また、本発明における液晶性化合物は前記延伸ポリマーフィルムを構成するモノマーユニットよりも長波長側に吸収を有することが好ましい。これにより光学補償シートのレターデーションの波長分散を所望のパターンにコントロールすることができる。本発明における液晶性化合物の吸収極大の好ましい範囲は200nm以上370nm以下であり、さらに好ましくは220nm以上350nm以下であり、最も好ましくは240nm以上330nm以下である。吸収極大が長波長過ぎると吸収の裾が可視域にかかり光学補償シートが黄色味を帯びて好ましくない。
本発明における光学異方性層は、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させ、その配向状態を固定することにより形成することが好ましい。液晶性化合物の配向状態を固定するため、液晶性化合物は重合性基を有することが好ましい。
(棒状液晶性化合物)
まず本発明における光学異方性層で使用する棒状液晶性化合物について説明する。
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましい。低分子の液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることもできる。特に好ましく用いられる、低分子の重合性基を有する棒状液晶性化合物としては、下記式(I)の棒状液晶性化合物である。
(I) Q1−L1−Cy1−L2−(Cy2−L3)n−Cy3−L4−Q2
式中、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基であり、L1,およびL4はそれぞれ独立に二価の連結基であり、L2およびL3はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基であり、Cy1,Cy2およびCy3は二価の環状基であり、nは0、1または2である。
以下にさらに重合性棒状液晶化合物について説明する。
式(I)において、Q1およびQ2はそれぞれ独立に重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
L1およびL4はそれぞれ独立に二価の連結基である。L1およびL4はそれぞれ独立に、−O−,−S−,−CO−,−NR2−,二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子である。
組み合わせからなる二価の連結基の例を以下に示す。ここで、左側がQ(Q1またはQ2)に、右側がCy(Cy1またはCy3)に結合する。
L−1:−CO−O−二価の鎖状基―O−
L−2:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−
L−3:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−
L−4:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−
L−5:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−CO−O−
L−6:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−O−CO−
L−7:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−8:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−9:−CO−O−二価の鎖状基―O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−10:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−
L−11:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−CO−O−
L−12:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−O−CO−
L−13:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−14:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−15:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
L−16:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−
L−17:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−CO−O−
L−18:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−O−CO−
L−19:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―
L−20:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―CO−O−
L−21:−CO−O−二価の鎖状基―O−CO−O−二価の環状基−二価の鎖状基―O−CO−
二価の鎖状基は、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基,置換アルキニレン基を意味する。アルキレン基,置換アルキレン基,アルケニレン基,置換アルケニレン基が好ましく、アルキレン基およびアルケニレン基がさらに好ましい。
アルキレン基は,分岐を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキレン基のアルキレン部分は、上記アルキレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルケニレン基は、分岐を有していてもよい。アルケニレン基の炭素数は2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルケニレン基のアルケニレン部分は、上記アルケニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
アルキニレン基は、分岐を有していてもよい。アルキニレン基の炭素数は2乃至12であることが好ましく、2乃至10であることがさらに好ましく、2乃至8であることがもっとも好ましい。
置換アルキニレン基のアルキニレン部分は、上記アルキニレン基と同様である。置換基の例としてはハロゲン原子が含まれる。
二価の鎖状基の具体例としては、エチレン、トリメチレン、プロピレン、ブタメチレン、1−メチル−ブタメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、2−ブテニレン、2−ブチニレンなどが上げられる。
二価の環状基の定義および例は、後述するCy1,Cy2およびCy3の定義および例と同様である。
R2は、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。
式(I)において、L2またはL3はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基である。L2およびL3はそれぞれ独立に、−O−,−S−,−CO−,−NR2−,二価の鎖状基、二価の環状基およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基または単結合であることが好ましい。上記R2は炭素原子数が1から7のアルキル基または水素原子であり、炭素原子数1から4のアルキル基または水素原子であることが好ましく、メチル基、エチル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることがもっとも好ましい。二価の鎖状基、および二価の環状基についてはL1およびL4の定義と同義である。
式(I)において、nは0または1または2である。nが2の場合、二つのL3は同じであっても異なっていても良く、二つのCy2も同じであっても異なっていてもよい。nは1または2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。
式(I)において、Cy1、Cy2およびCy3は、それぞれ独立に、二価の環状基である。
環状基に含まれる環は、5員環、6員環、または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることがもっとも好ましい。
環状基に含まれる環は、縮合環であっても良い。ただし、縮合環よりも単環であることがより好ましい。
環状基に含まれる環は、芳香族環、脂肪族環、および複素環のいずれでもよい。芳香族環の例には、ベンゼン環およびナフタレン環が含まれる。脂肪族環の例には、シクロヘキサン環が含まれる。複素環の例には、ピリジン環およびピリミジン環が含まれる。
ベンゼン環を有する環状基としては、1,4−フェニレンが好ましい。ナフタレン環を有する環状基としては、ナフタレン−1,5−ジイルおよびナフタレン−2,6−ジイルが好ましい。シクロヘキサン環を有する環状基としては1,4−シクロへキシレンであることが好ましい。ピリジン環を有する環状基としてはピリジンー2,5−ジイルが好ましい。ピリミジン環を有する環状基としては、ピリミジンー2,5−ジイルが好ましい。
環状基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数が1乃至5のアルキル基、炭素原子数が1乃至5のハロゲン置換アルキル基、炭素原子数が1乃至5のアルコキシ基、炭素原子数が1乃至5のアルキルチオ基、炭素原子数が2乃至6のアシルオキシ基、炭素原子数が2乃至6のアルコキシカルボニル基、カルバモイル基、炭素原子数が2乃至6のアルキル置換カルバモイル基および炭素原子数が2乃至6のアシルアミノ基が含まれる。
以下に、式(I)で表される重合性液晶化合物の例を示す。本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0004856981
Figure 0004856981
Figure 0004856981
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円盤状液晶性化合物は、様々な文献(例えば、C.Destrade et.al., Mol.Cryst. vol. 71, page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et.al., Angew. Chem. Soc. Chem., Comm., page 1794(1985);J.Zhang et.al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655(1994))に記載されている。光学異方性層に好ましく用いられる円盤状液晶性化合物については、特開平8−50286号公報にも記載がある。
光学異方性層は、液晶性化合物および必要に応じて重合開始剤、平均傾斜角調整剤、および任意の添加剤(例、可塑剤、モノマー、界面活性剤、配向温度低下剤、カイラル剤)を含む塗布液を配向膜の上に塗布することで形成できる。
(重合開始剤)
配向させた液晶性化合物は、配向状態を維持して固定することができる。固定化は、重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01乃至20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5乃至5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。
照射エネルギーは、20mJ/cm2 乃至50J/cm2 の範囲にあることが好ましく、20乃至5000mJ/cm2 の範囲にあることがより好ましく、100乃至800mJ/cm2 の範囲にあることがさらに好ましい。また、光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。
(平均傾斜角制御剤)
本発明における光学異方性層は特定の界面活性を有する化合物により液晶化合物の平均傾斜角を調節することができる。
平均傾斜角を低下せしめる化合物としてはセルロースの低級脂肪酸エステル、含フッ素界面活性剤、または1,3,5-トリアジン環を有する化合物が上げられる。
(セルロースの低級脂肪酸エステル)
セルロースの低級脂肪酸エステルにおける「低級脂肪酸」とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。炭素原子数は、2乃至5であることが好ましく、2乃至4であることがさらに好ましい。脂肪酸には置換基(例、ヒドロキシ)が結合していてもよい。二種類以上の脂肪酸がセルロースとエステルを形成していてもよい。セルロースの低級脂肪酸エステルの例には、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースヒドロキシプロピオネート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートが含まれる。セルロースアセテートブチレートが特に好ましい。セルロースアセテートブチレートのブチリル化度は、30%以上であることが好ましく、30乃至80%であることがさらに好ましい。セルロースアセテートブチレートのアセチル化度は、30%以下であることが好ましく、1乃至30%であることがさらに好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルは、液晶性化合物の量の0.01乃至1重量%の量で使用する。
使用量は、液晶性化合物の量の0.1乃至1重量%であることが好ましく、0.3乃至0.9重量%であることがさらに好ましい。
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、下記式(III)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0004856981
式中、X1 、X2 およびX3 は、それぞれ独立に、単結合、−NR−(Rは炭素原子数が1乃至30のアルキル基または水素原子)、−O−または−S−であり;そして、R31、R32およびR33は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。式(III)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。メラミン化合物では、式(III)において、X1、X2 またはX3 が−NR−であるか、あるいは、X1 、X2 またはX3が単結合であり、かつR31、R32およびR33が窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基である。メラミン化合物については、下記式(IV)を引用して、さらに詳細に説明する。−NR−のRは、水素原子であることが特に好ましい。R31、R32およびR33は、アリール基であることが特に好ましい。
上記アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましく、2乃至30であることがより好ましく、4乃至30であることがさらに好ましく、6乃至30であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至30であることが好ましく、3乃至30であることがより好ましく、4乃至30であることがさらに好ましく、6乃至30であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。
上記アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が含まれる。上記アルキル基は、前述したアルキル基と同様の定義を有する。アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のアルキル部分も、前述したアルキル基と同様である。上記アルケニル基は、前述したアルケニル基と同様の定義を有する。アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基およびアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基と同様である。上記アリール基の例には、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−メトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、4−オクチルオキシフェニルおよび4−ドデシルオキシフェニルが含まれる。アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリールチオ基およびアシル基の部分の例は、上記アリール基の例と同様である。
1 、X2 またはX3 が−NR−、−O−または−S−である場合の複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、N、SまたはOであることが好ましく、Nであることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。X1、X2 またはX3が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例、O、S)を有していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。
複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。
Figure 0004856981
Figure 0004856981
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Figure 0004856981
31、R32およびR33の少なくとも一つは、炭素原子数が9乃至30のアルキレン部分またはアルケニレン部分を含むことが好ましい。炭素原子数が9乃至30のアルキレン部分またはアルケニレン部分は、直鎖状であることが好ましい。アルキレン部分またはアルケニレン部分は、アリール基の置換基に含まれていることが好ましい。また、R31、R32およびR33の少なくとも一つは、重合性基を置換基として有することが好ましい。1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、少なくとも二つの重合性基を有することが好ましい。また、重合性基は、R31、R32またはR33の末端に位置することが好ましい。1,3,5−トリアジン環を有する化合物に重合性基を導入することで、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とディスコティック液晶性分子とが重合している状態で光学的異方性層に含ませることができる。重合性基を置換基として有するR31、R32またはR33を、下記式(Rp)で示す。
(Rp) −L5 (−P)n
式中、L5 は、(n+1)価の連結基であり;Pは、重合性基であり;そして、nは1乃至5の整数である。式(Rp)において、(n+1)価の連結基(L5 )は、アルキレン基、アルケニレン基、n+1価の芳香族基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−NR−(Rは炭素原子数が1乃至30のアルキル基または水素原子)、−O−、−S−および−SO2−からなる群より選ばれる基を少なくとも二つ組み合わせた連結基であることが好ましい。アルキレン基の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましい。アルケニレン基の炭素原子数は、2乃至12であることが好ましい。芳香族基の炭素原子数は、6乃至10であることが好ましい。式(Rp)のL5 の例を以下に示す。左側が式(III)のX1 、X2 またはX3に結合(X1、X2 またはX3 が単結合の場合は、1,3,5−トリアジン環に直結)し、右側が(L53〜L59ではn個の)重合性基(P)に結合する。ALはアルキレン基またはアルケニレン基、Hcは二価のヘテロ環残基、ARは芳香族基を意味する。なお、アルキレン基、アルケニレン基、ヘテロ環残基および芳香族基は、置換基(例、アルキル基、ハロゲン原子)を有していてもよい。
L51:−AL−O−CO−
L52:−AL−O−
L53:−AR(−O−AL−O−CO−)n
L54:−AR(−O−AL−O−)n
L55:−AR(−O−CO−AL−O−CO−)n
L56:−AR(−CO−O−AL−O−CO−)n
L57:−AR(−O−CO−AR−O−AL−O−CO−)n
L58:−AR(−NR−SO2 −AL−O−CO−)n
L59:−AR(−SO2 −NR−AL−O−CO−)n
式(Rp)における重合性基(P)としては、下記の構造を好ましく使用できる。
Figure 0004856981
Figure 0004856981
Figure 0004856981
Figure 0004856981
Figure 0004856981
Figure 0004856981
重合性基(P)は、不飽和重合性基(P1、P2、P3、P7、P8、P15、P16、P17)またはエポキシ基(P6、P18)であることが好ましく、不飽和重合性基であることがさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基(P1、P7、P8、P15、P16、P17)であることが最も好ましい。式(Rp)において、nは4乃至12の整数である。具体的な数字は、液晶性化合物の種類に応じて決定される。
1,3,5−トリアジン環を有する化合物の(メラミン化合物を除く)具体例を以下に示す。
Figure 0004856981
TR−1:R31、R32、R33:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−2:R31、R32、R33:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
TR−3:R31、R32:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2 ;R33:-(CH2)12-CH3
TR−4:R31、R32:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R33:-(CH2)12-CH3
TR−5:R31:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R32、R33:-(CH2)12-CH3
TR−6:R31:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R32、R33:-(CH2)12-CH3
TR−7:R31、R32:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2 ;R33:-(CH2)12-CH3
TR−8:R31:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2 ;R32、R33:-(CH2)12-CH3
TR−9:R31、R32、R33:-(CH2)9-O-EpEt
TR−10:R31、R32、R33:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-EpEt
TR−11:R31、R32:-(CH2)9-O-EpEt;R33:-(CH2)12-CH3
TR−12:R31、R32、R33:-(CH2)9-O-CH=CH2
TR−13:R31、R32:-(CH2)9-O-CH=CH2;R33:-(CH2)12-CH3
(註)EpEt:エポキシエチル
Figure 0004856981
TR−14:X1、X2、X3:-O-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−15:X1、X2、X3:-O-;R31、R32、R34、R35、R37、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−16:X1、X2、X3:-O-;R32、R35、R38:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
TR−17:X1、X2、X3:-O-;R31、R32、R34、R35、R37、R38:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
TR−18:X1、X2、X3:-O-;R31、R33、R34、R36、R37、R39:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−19:X1、X2、X3:-O-;R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−20:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−21:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−22:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R37、R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−23:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−24:X1:-O-;X2、X3:-NH-;R31、R33:-O-(CH2)12-CH3;R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−25:X1:-O-;X2、X3:-NH-;R31、R32:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;R35、R38:-O-(CH2)11-CH3
TR−26:X1:-O-;X2、X3:-NH-;R31、R32、R33:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;R35、R38:-O-(CH2)11-CH3
TR−27:X1、X2:-NH-;X3:-S-;R32、R35:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−28:X1、X2:-NH-;X3:-S-;R31、R32、R34、R35:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−29:X1、X2:-NH-;X3:-S-;R32、R35:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−30:X1、X2:-NH-;X3:-S-;R31、R32、R34、R35:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−31:X1、X2:-NH-;X3:-S-;R31、R33、R34、R36:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−32:X1、X2:-NH-;X3:-S-;R31、R32、R33、R34、R35、R36:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−33:X1、X2:-O-;X3:-S-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−34:X1、X2:-O-;X3:-S-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−35:X1、X2:-O-;X3:-S-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R37、R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−36:X1、X2:-O-;X3:-S-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−37:X1:-O-;X2、X3:-S-;R31、R33:-O-(CH2)12-CH3;R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−38:X1:-O-;X2、X3:-S-;R31、R32:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;R35、R38:-O-(CH2)11-CH3
TR−39:X1:-O-;X2、X3:-S-;R31、R32、R33:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;R35、R38:-O-(CH2)11-CH3
TR−40:X1、X2、X3:-S-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−41:X1、X2、X3:-S-;R31、R32、R34、R35、R37、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−42:X1、X2、X3:-S-;R32、R35、R38:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
TR−43:X1、X2、X3:-S-;R31、R32、R34、R35、R37、R38:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
TR−44:X1、X2、X3:-S-;R31、R33、R34、R36、R37、R39:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−45:X1、X2、X3:-S-;R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−46:X1、X2:-S-;X3:-NH-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
TR−47:X1、X2:-S-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−48:X1、X2:-S-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R37、R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−49:X1、X2:-S-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−50:X1:-O-;X2:-NH-;X3:-S-;R31、R33:-O-(CH2)12-CH3;R35:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−51:X1:-O-;X2:-NH-;X3:-S-;R31、R32:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;R35:-O-(CH2)11-CH3;R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−52:X1:-O-;X2:-NH-;X3:-S-;R31、R32、R33:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;R35:-O-(CH2)11-CH3;R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−53:X1、X2、X3:-O-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-EpEt
TR−54:X1、X2、X3:-O-;R31、R32、R34、R35、R37、R38:-O-(CH2)9-O-EpEt
TR−55:X1、X2、X3:-O-;R32、R35、R38:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-EpEt
TR−56:X1、X2、X3:-O-;R31、R32、R34、R35、R37、R38:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-EpEt
TR−57:X1、X2、X3:-O-;R31、R33、R34、R36、R37、R39:-O-(CH2)9-O-EpEt
TR−58:X1、X2、X3:-O-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CH=CH2
TR−59:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-EpEt
TR−60:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-EpEt;R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−61:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-EpEt;R37、R38:-O-(CH2)12-CH3
TR−62:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35:-O-(CH2)4-O-EpEt;R38:-O-CO-(CH2)11-CH3
TR−63:X1:-O-;X2、X3:-NH-;R31、R33:-O-(CH2)12-CH3;R35、R38:-O-(CH2)9-O-EpEt
TR−64:X1:-O-;X2、X3:-NH-;R31、R32:-O-(CH2)6-O-EpEt;R35、R38:-O-(CH2)11-CH3
TR−65:X1、X2:-O-;X3:-NH-;R32、R35、R38:-O-(CH2)9-O-CH=CH2
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
EpEt:エポキシエチル
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、下記式(IV)で表されるメラミン化合物であることが好ましい。
Figure 0004856981
式中、R41、R43およびR45は、それぞれ独立に、炭素原子数が1乃至30のアルキル基または水素原子であり、R42、R44およびR46は、それぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基であるか、あるいは、R41とR42、R43とR44またはR45とR46が結合して、複素環を形成する。R41、R43およびR45は、炭素原子数が1乃至20のアルキル基または水素原子であることが好ましく、炭素原子数が1乃至10のアルキル基または水素原子であることがより好ましく、炭素原子数が1乃至6のアルキル基または水素原子であることがさらに好ましく、水素原子であることが最も好ましい。R42、R44およびR46は、アリール基であることが特に好ましい。上記アルキル基、アルケニル基、アリール基および複素環基の定義および置換基は、前記式(III)で説明した各基の定義および置換基と同様である。R41とR42、R43とR44またはR45とR46が結合して形成する複素環は、前記式(III)で説明した窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基と同様である。
42、R44およびR46の少なくとも一つは、炭素原子数が9乃至30のアルキレン部分またはアルケニレン部分を含むことが好ましい。炭素原子数が9乃至30のアルキレン部分またはアルケニレン部分は、直鎖状であることが好ましい。アルキレン部分またはアルケニレン部分は、アリール基の置換基に含まれていることが好ましい。また、R42、R44およびR46の少なくとも一つは、重合性基を置換基として有することが好ましい。メラミン化合物は、少なくとも二つの重合性基を有することが好ましい。また、重合性基は、R42、R44およびR46の末端に位置することが好ましい。メラミン化合物に重合性基を導入することで、メラミン化合物と液晶性化合物とが重合している状態で光学的異方性層に含ませることができる。重合性基を置換基として有するR42、R44およびR46は、前述した式(Rp)で示される基と同様である。
メラミン化合物の具体例を以下に示す。
Figure 0004856981
MM−1:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)9-CH3
MM−2:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)11-CH3MM−3:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)15-CH3
MM−4:R44、R54、R64:-O-(CH2)9-CH3
MM−5:R44、R54、R64:-O-(CH2)15-CH3
MM−6:R43、R53、R63:-O-CH3;R44、R54、R64:-O-(CH2)17-CH3
MM−7:R44、R54、R64:-CO-O-(CH2)11-CH3
MM−8:R44、R54、R64:-SO2-NH-(CH2)17-CH3
MM−9:R43、R53、R63:-O-CO-(CH2)15-CH3
MM−10:R42、R52、R62:-O-(CH2)17-CH3
MM−11:R42、R52、R62:-O-CH3;R43、R53、R63:-CO-O-(CH2)11-CH3
MM−12:R42、R52、R62:-Cl;R43、R53、R63:-CO-O-(CH2)11-CH3
MM−13:R42、R52、R62:-O-(CH2)11-CH3;R45、R55、R65:-SO2-NH-iso-C3H7
MM−14:R42、R52、R62:-Cl;R45、R55、R65:-SO2-NH-(CH2)15-CH3
MM−15:R42、R46、R52、R56、R62、R66:-Cl;R45、R55、R65:-SO2-NH-(CH2)19-CH3
MM−16:R43、R54:-O-(CH2)9-CH3;R44、R53、R63、R64:-O-(CH2)11-CH3
MM−17:R44:-O-(CH2)11-CH3;R54:-O-(CH2)15-CH3;R64:-O-(CH2)17-CH3
MM−18:R42、R45、R52、R55、R62、R65:-O-CH3;R44、R54、R64:-NH-CO-(CH2)14-CH3
MM−19:R42、R45、R52、R55、R62、R65:-O-(CH2)3-CH3;R44、R54、R64:-O-(CH2)15-CH3
MM−20:R42、R52、R62:-NH-SO2-(CH2)15-CH3;R44、R45、R54、R55、R64、R65:-Cl
MM−21:R42、R43、R52、R53、R62、R63:-F;R44、R54、R64:-CO-NH-(CH2)15-CH3;R45、R46、R55、R56、R65、R66:-Cl
MM−22:R42、R52、R62:-Cl;R44、R54、R64:-CH3;R45、R55、R65:-NH-CO-(CH2)12-CH3
MM−23:R42、R52、R62:-OH;R44、R54、R64:-CH3;R45、R55、R65:-O-(CH2)15-CH3
MM−24:R42、R45、R52、R55、R62、R65:-O-CH3;R44、R54、R64:-(CH2)11-CH3
MM−25:R42、R52、R62:-NH-SO2-CH3;R45、R55、R65:-CO-O-(CH2)11-CH3
MM−26:R42、R52、R62:-S-(CH2)11-CH3;R45、R55、R65:-SO2-NH2
MM−27:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)12-O-CO-CH=CH2
MM−28:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)8-O-CO-CH=CH2
MM−29:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-CO-(CH2)7-O-CO-CH=CH2
MM−30:R44、R54、R64:-CO-O-(CH2)12-O-CO-C(CH3)=CH2
MM−31:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-CO-p-Ph-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
MM−32:R42、R44、R52、R54、R62、R64:-NH-SO2-(CH2)8-O-CO-CH=CH2;R45、R55、R65:-Cl
MM−33:R42、R52、R62:-NH-SO2-CH3;R45、R55、R65:-CO-O-(CH2)12-O-CO-CH=CH2
MM−34:R44、R54、R64:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−35:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−36:R44、R54、R64:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
MM−37:R43、R44、R53、R54、R63、R64:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
MM−38:R43、R45、R53、R55、R63、R65:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−39:R43、R44、R45、R53、R54、R55、R63、R64、R65:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−40:R44、R54:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R64:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−41:R44、R54:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R64:-O-(CH2)12-CH3
MM−42:R44、R54:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R63、R64:-O-(CH2)12-CH3
MM−43:R44、R54:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R63、R64:-O-CO-(CH2)11-CH3
MM−44:R43、R45:-O-(CH2)12-CH3;R54、R64:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−45:R43、R44:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;R54、R64:-O-(CH2)11-CH3
MM−46:R43、R44、R45:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2;R54、R64:-O-(CH2)11-CH3
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
p-Ph:p−フェニレン
Figure 0004856981
MM−47:R46、R56、R66:-SO2-NH-(CH2)15-CH3;R48、R58、R68:-O-(CH2)11-CH3
MM−48:R45、R55、R65:-SO2-NH-(CH2)17-CH3
MM−49:R46、R56、R66:-SO2-NH-(CH2)15-CH3
MM−50:R45、R55、R65:-O-(CH2)17-CH3;R47、R57、R67:-SO2-NH-CH3
MM−51:R43、R53、R63:-O-(CH2)15-CH3
MM−52:R41、R51、R61:-O-(CH2)17-CH3
MM−53:R46、R56、R66:-SO2-NH-Ph;R48、R58、R68:-O-(CH2)11-CH3
MM−54:R45、R55、R65:-O-(CH2)21-CH3;R47、R57、R67:-SO2-NH-Ph
MM−55:R41、R51、R61:-p-Ph-(CH2)11-CH3
MM−56:R46、R48、R56、R58、R66、R68:-SO2-NH-(CH2)7-CH3
MM−57:R46、R56、R66:-SO2-NH-(CH2)10-O-CO-CH=CH2;R48、R58、R68:-O-(CH2)12-CH3
MM−58:R45、R55、R65:-O-(CH2)12-O-CO-CH=CH2;R47、R57、R67:-SO2-NH-Ph
MM−59:R43、R53、R63:-O-(CH2)16-O-CO-CH=CH2
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
Ph:フェニル
p-Ph:p−フェニレン
Figure 0004856981
MM−60:R45、R55、R65:-NH-CO-(CH2)14-CH3
MM−61:R42、R52、R62:-O-(CH2)17-CH3
MM−62:R44、R54、R64:-O-(CH2)15-CH3
MM−63:R45、R55、R65:-SO2-NH-(CH2)15-CH3
MM−64:R43、R53、R63:-CO-NH-(CH2)17-CH3;R44、R54、R64:-OH
MM−65:R45、R55、R65:-O-(CH2)15-CH3;R46、R56、R66:-SO2-NH-(CH2)11-CH3
MM−66:R47、R57、R67:-O-(CH2)21-CH3
MM−67:R44、R54、R64:-O-p-Ph-(CH2)11-CH3
MM−68:R46、R56、R66:-SO2-NH-(CH2)15-CH3
MM−69:R43、R53、R63:-CO-NH-(CH2)17-CH3;R44、R54、R64:-O-(CH2)12-O-CO-CH=CH2
MM−70:R45、R55、R65:-O-(CH2)8-O-CO-CH=CH2;R46、R56、R66:-SO2-NH-(CH2)11-CH3
MM−71:R43、R46、R53、R56、R63、R66:-SO2-NH-(CH2)8-0-CO-CH=CH2
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
p-Ph:p−フェニレン
Figure 0004856981
MM−72:R41、R43、R45:-CH3
MM−73:R41、R43、R45:-C2H5
MM−74:R41、R43:-C2H5;R45:-CH3
MM−75:R41、R43、R45:-(CH2)3-CH3
Figure 0004856981
MM−76:R42、R44、R46:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
MM−77:R42、R44、R46:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
MM−78:R42、R44:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2 ;R46:-(CH2)12-CH3
MM−79:R42、R44:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R46:-(CH2)12-CH3
MM−80:R42:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R44、R46:-(CH2)12-CH3
MM−81:R42:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R44、R46:-(CH2)12-CH3
MM−82:R42、R44:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2 ;R46:-(CH2)12-CH3
MM−83:R42:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2 ;R44、R46:-(CH2)12-CH3
MM−84:R42、R44、R46:-(CH2)9-O-EpEt
MM−85:R42、R44、R46:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-EpEt
MM−86:R42、R44:-(CH2)9-O-EpEt;R46:-(CH2)12-CH3
MM−87:R42、R44、R46:-(CH2)9-O-CH=CH2
MM−88:R42、R44:-(CH2)9-O-CH=CH2;R46:-(CH2)12-CH3
(註)EpEt:エポキシエチル
Figure 0004856981
MM−89:R41、R42、R43、R44、R45、R46:-(CH2)9-CH3
MM−90:R41、R43、R45:-CH3;R42、R44、R46:-(CH2)17-CH3
MM−91:R41、R42、R43、R44:-(CH2)7-CH3;R45、R46:-(CH2)5-CH3
MM−92:R41、R42、R43、R44、R45、R46:-CyHx
MM−93:R41、R42、R43、R44、R45、R46:-(CH2)2-O-C2H5
MM−94:R41、R43、R45:-CH 3;R42、R44、R46:-(CH2)12-O-CO-CH=CH2
MM−95:R41、R42、R43、R44、R45、R46:-(CH2)8-O-CO-CH=CH2
(註)CyHx:シクロヘキシル
Figure 0004856981
メラミン化合物として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポリマーは、下記式(V)で示すメラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応により合成することが好ましい。
Figure 0004856981
式中、R71、R72、R73、R74、R75およびR76は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。上記アルキル基、アルケニル基、アリール基および複素環基の定義および置換基は、前記式(III)で説明した各基の定義および置換基と同様である。メラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応は、通常のメラミン樹脂(例、メラミンホルムアルデヒド樹脂)の合成方法と同様である。市販のメラミンポリマー(メラミン樹脂)を用いてもよい。メラミンポリマーの分子量は、2千以上40万以下であることが好ましい。
71、R72、R73、R74、R75およびR76の少なくとも一つは、炭素原子数が9乃至30のアルキレン部分またはアルケニレン部分を含むことが好ましい。炭素原子数が9乃至30のアルキレン部分またはアルケニレン部分は、直鎖状であることが好ましい。アルキレン部分またはアルケニレン部分は、アリール基の置換基に含まれていることが好ましい。また、R71、R72、R73、R74、R75およびR76の少なくとも一つは、重合性基を置換基として有することが好ましい。また、重合性基は、R71、R72、R73、R74、R75およびR76の末端に位置することが好ましい。メラミンポリマーに重合性基を導入することで、メラミンポリマーと液晶性化合物とが重合している状態で光学的異方性層に含ませることができる。重合性基を置換基として有するR71、R72、R73、R74、R75およびR76は、前述した式(Rp)で示される基と同様である。重合性基は、カルボニル化合物(R71、R72、)とメラミン化合物(R73、R74、R75、R76)の一方に導入すればよい。メラミン化合物が重合性基を有する場合は、カルボニル化合物はホルムアルデヒドのような簡単な化学構造の化合物が好ましく用いられる。カルボニル化合物が重合性基を有する場合は、メラミン化合物は、(無置換)メラミンのような簡単な化学構造の化合物が好ましく用いられる。
重合性基を有するカルボニル化合物の例を以下に示す。
Figure 0004856981
CO−1:R72:-H;R82:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−2:R72:-H;R81、R82:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−3:R72:-H;R82:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
CO−4:R72:-H;R81、R82:-O-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
CO−5:R72:-H;R81、R83:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−6:R72:-H;R81、R82、R83:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−7:R72:-CH3;R82:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−8:R72:-(CH2)11-CH3;R82:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
CO−9:R72:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R82:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
CO−10:R72:-(CH2)9-O-CO-EpEt;R82:-O-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
CO−11:R72:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R81、R83:-O-(CH2)12-CH3
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
EpEt:エポキシエチル
Figure 0004856981
CO−12:R81、R82、R83、R84:-O-(CH2)6-O-CO-CH=CH2
CO−13:R82、R83:-O-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
Figure 0004856981
CO−14:R71:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R72:-H
CO−15:R71:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R72:-H
CO−16:R71:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R72:-CH3
CO−17:R71:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R72:-CH3
CO−18:R71:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2;R72:-Ph
CO−19:R71:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R72:-Ph
CO−20:R71:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R72:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−21:R71:-(CH2)4-O-CO-CH=CH2;R72:-(CH2)12-CH3
CO−22:R71:-(CH2)9-O-EpEt;R72:-H
CO−23:R71:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-EpEt;R72:-H
CO−24:R71、R72:-(CH2)9-O-EpEt
CO−25:R71、R72:-(CH2)9-O-CO-CH=CH2
CO−26:R71、R72:-(CH2)4-CH=CH-(CH2)4-O-CO-CH=CH2
(註)Ph:フェニル
EpEt:エポキシエチル
メラミン化合物側に重合性基を有するメラミンポリマーの例を以下に示す。
Figure 0004856981
MP−1:R73、R75、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)8-CH3
MP−2:R71:-CH3;R73、R75、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)8-CH3
MP−3:R71、R72:-CH3;R73、R75、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)8-CH3
MP−4:R71:-Ph;R73、R75、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)8-CH3
MP−5:R73、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R75:-CH2-O-CH3
MP−6:R73、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R75:-CH2-OH
MP−7:R73、R76:-CH2-NH-CO-C2H5;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)16-CH3;R75:-CH2-O-CH3
MP−8:R73、R76:-CH2-NH-CO-C2H5;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)16-CH3;R75:-CH2-OH
MP−9:R73、R76:-CH2-O-CO-CH=CH2;R74:-CH2-O-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R75:-CH2-O-CH3
MP−10:R73、R76:-CH2-O-CO-CH=CH2;R74:-CH2-O-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R75:-CH2-OH
MP−11:R73、R76:-CH2-O-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R75:-CH2-O-CH3
MP−12:R73、R76:-CH2-O-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R74:-CH2-NH-CO-(CH2)7-CH=CH-(CH2)7-CH3;R75:-CH2-OH
MP−13:R73、R74、R75、R76:-CH2-O-(CH2)11-O-CO-CH=CH2
MP−14:R73、R75、R76:-CH2-NH-CO-CH=CH2;R74:-CH2-O-(CH2)16-CH3
(註)定義のないR:無置換(水素原子)
Ph:フェニル
(含フッ素界面活性剤)
本発明にかかる光学異方性層は含フッ素界面活性剤の添加により液晶性化合物を安定かつ均一に配向させることができる。
本発明で用いられる含フッ素界面活性剤は、フッ素原子を含む疎水性基、ノニオン性、アニオン性、カチオン性あるいは両性の親水性基および任意に設けられる連結基からなる。一つの疎水性基と一つの親水性基からなる含フッ素界面活性剤は、下記式(II)で表わされる。
(II) Rf−L3 −Hy
式中、Rfは、フッ素原子で置換された一価の炭化水素残基であり;L3 は、単結合または二価の連結基であり;そして、Hyは親水性基である。式(II)のRfは、疎水性基として機能する。炭化水素残基は、アルキル基またはアリール基であることが好ましい。アルキル基の炭素原子数は3乃至30であることが好ましく、アリール基の炭素原子数は6乃至30であることが好ましい。炭化水素残基に含まれる水素原子の一部または全部は、フッ素原子で置換されている。フッ素原子で、炭化水素残基に含まれる水素原子の50%以上を置換することが好ましく、60%以上を置換することがより好ましく、70%以上を置換することがさらに好ましく、80%以上を置換することが最も好ましい。残りの水素原子は、さらに他のハロゲン原子(例、塩素原子、臭素原子)で置換されていてもよい。Rfの例を以下に示す。
Rf1:n−C817
Rf2:n−C613
Rf3:Cl−(CF2 −CFCl)3 −CF2
Rf4:H−(CF28
Rf5:H−(CF210
Rf6:n−C919
Rf7:ペンタフルオロフェニル
Rf8:n−C715
Rf9:Cl−(CF2 −CFCl)2 −CF2
Rf10:H−(CF24
Rf11:H−(CF26
Rf12:Cl−(CF26
Rf13:C37
式(II)において、二価の連結基は、アルキレン基、アリーレン基、二価のヘテロ環残基、−CO−、−NR−(Rは炭素原子数が1乃至5のアルキル基または水素原子)、−O−、−SO2−およびそれらの組み合わせからなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。式(II)のL3 の例を以下に示す。左側が疎水性基(Rf)に結合し、右側が親水性基(Hy)に結合する。ALはアルキレン基、ARはアリーレン基、Hcは二価のヘテロ環残基を意味する。なお、アルキレン基、アリーレン基および二価のヘテロ環残基は、置換基(例、アルキル基)を有していてもよい。
L0:単結合
L31:−SO2 −NR−
L32:−AL−O−
L33:−CO−NR−
L34:−AR−O−
L35:−SO2 −NR−AL−CO−O−
L36:−CO−O−
L37:−SO2 −NR−AL−O−
L38:−SO2 −NR−AL−
L39:−CO−NR−AL−
L40:−AL1 −O−AL2 −
L41:−Hc−AL−
L42:−SO2 −NR−AL1 −O−AL2 −
L43:−AR−
L44:−O−AR−SO2 −NR−AL−
L45:−O−AR−SO2 −NR−
L46:−O−AR−O−
式(II)のHyは、ノニオン性親水性基、アニオン性親水性基、カチオン性親水性基あるいはそれらの組み合わせ(両性親水性基)のいずれかである。ノニオン性親水性基が特に好ましい。式(II)のHyの例を以下に示す。
Hy1:−(CH2 CH2 O)n −H(nは5乃至30の整数)
Hy2:−(CH2 CH2 O)n −R1(nは5乃至30の整数、R1 は炭素原子数が1乃至6のアルキル基)
Hy3:−(CH2 CHOHCH2 )n −H(nは5乃至30の整数)
Hy4:−COOM(Mは水素原子、アルカリ金属原子または解離状態)
Hy5:−SO3 M(Mは水素原子、アルカリ金属原子または解離状態)
Hy6:−(CH2 CH2 O)n −CH2 CH2CH2 −SO3 M(nは5乃至30の整数、Mは水素原子またはアルカリ金属原子)
Hy7:−OPO(OH)2
Hy8:−N+ (CH33 ・X- (Xはハロゲン原子)
Hy9:−COONH4
ノニオン性親水性基(Hy1、Hy2、Hy3)が好ましく、ポリエチレンオキサイドからなる親水性基(Hy1)が最も好ましい。式(II)で表わされる含フッ素界面活性剤の具体例を、以上のRf、L3 およびHyの例を引用して示す。
FS−1:Rf1−L31(R=C37 )−Hy1(n=6)
FS−2:Rf1−L31(R=C37 )−Hy1(n=11)
FS−3:Rf1−L31(R=C37 )−Hy1(n=16)
FS−4:Rf1−L31(R=C37 )−Hy1(n=21)
FS−5:Rf1−L31(R=C25 )−Hy1(n=6)
FS−6:Rf1−L31(R=C25 )−Hy1(n=11)
FS−7:Rf1−L31(R=C25 )−Hy1(n=16)
FS−8:Rf1−L31(R=C27 )−Hy1(n=21)
FS−9:Rf2−L31(R=C37 )−Hy1(n=6)
FS−10:Rf2−L31(R=C37 )−Hy1(n=11)
FS−11:Rf2−L31(R=C37 )−Hy1(n=16)
FS−12:Rf2−L31(R=C37 )−Hy1(n=21)
FS−13:Rf3−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=5)
FS−14:Rf3−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=10)
FS−15:Rf3−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=15)
FS−16:Rf3−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=20)
FS−17:Rf4−L33(R=C37 )−Hy1(n=7)
FS−18:Rf4−L33(R=C37 )−Hy1(n=13)
FS−19:Rf4−L33(R=C37 )−Hy1(n=19)
FS−20:Rf4−L33(R=C37 )−Hy1(n=25)
FS−21:Rf5−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=11)
FS−22:Rf5−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=15)
FS−23:Rf5−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=20)
FS−24:Rf5−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=30)
FS−25:Rf6−L34(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=11)
FS−26:Rf6−L34(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=17)
FS−27:Rf6−L34(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=23)
FS−28:Rf6−L34(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=29)
FS−29:Rf1−L35(R=C37 、AL=CH2 )−Hy1(n=20)
FS−30:Rf1−L35(R=C37 、AL=CH2 )−Hy1(n=30)
FS−31:Rf1−L35(R=C37 、AL=CH2 )−Hy1(n=40)
FS−32:Rf1−L36−Hy1(n=5)
FS−33:Rf1−L36−Hy1(n=10)
FS−34:Rf1−L36−Hy1(n=15)
FS−35:Rf1−L36−Hy1(n=20)
FS−36:Rf7−L36−Hy1(n=8)
FS−37:Rf7−L36−Hy1(n=13)
FS−38:Rf7−L36−Hy1(n=18)
FS−39:Rf7−L36−Hy1(n=25)
FS−40:Rf1−L0−Hy1(n=6)
FS−41:Rf1−L0−Hy1(n=11)
FS−42:Rf1−L0−Hy1(n=16)
FS−43:Rf1−L0−Hy1(n=21)
FS−44:Rf1−L31(R=C37 )−Hy2(n=7、R1 =C25
FS−45:Rf1−L31(R=C37 )−Hy2(n=13、R1 =C25
FS−46:Rf1−L31(R=C37 )−Hy2(n=20、R1 =C25
FS−47:Rf1−L31(R=C37 )−Hy2(n=28、R1 =C25
FS−48:Rf8−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=5)
FS−49:Rf8−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=10)
FS−50:Rf8−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=15)
FS−51:Rf8−L32(AL=CH2 )−Hy1(n=20)
FS−52:Rf1−L37(R=C37 、AL=CH2CH2)−Hy3(n=5)
FS−53:Rf1−L37(R=C37 、AL=CH2CH2)−Hy3(n=7)
FS−54:Rf1−L37(R=C37 、AL=CH2CH2)−Hy3(n=9)
FS−55:Rf1−L37(R=C37 、AL=CH2CH2)−Hy3(n=12)
FS−56:Rf9−L0−Hy4(M=H)
FS−57:Rf3−L0−Hy4(M=H)
FS−58:Rf1−L38(R=C37 、AL=CH2 )−Hy4(M=K)
FS−59:Rf4−L39(R=C37 、AL=CH2 )−Hy4(M=Na)
FS−60:Rf1−L0−Hy5(M=K)
FS−61:Rf10−L40(AL1 =CH2 、AL2 =CH2CH2)−Hy5(M=Na)
FS−62:Rf11−L40(AL1 =CH2、AL2 =CH2CH2)−Hy5(M=Na)
FS−63:Rf5−L40(AL1 =CH2、AL2 =CH2CH2)−Hy5(M=Na)
FS−64:Rf1−L38(R=C37、AL=CH2CH2CH2)−Hy5(M=Na)
FS−65:Rf1−L31(R=C37)−Hy6(n=5、M=Na)FS−66:Rf1−L31(R=C37 )−Hy6(n=10、M=Na)
FS−67:Rf1−L31(R=C37 )−Hy6(n=15、M=Na)
FS−68:Rf1−L31(R=C37 )−Hy6(n=20、M=Na)
FS−69:Rf1−L38(R=C25 、AL=CH2 CH2)−Hy7
FS−70:Rf1−L38(R=H、AL=CH2CH2CH2 )−Hy8(X=I)
FS−71:Rf11−L41(下記Hc、AL=CH2CH2CH2)−Hy6(Mは解離)
Figure 0004856981
FS−72:Rf1−L42(R=C3H7、AL1=CH2CH2、AL2=CH2CH2CH2)−Hy6(M=Na)
FS−73:Rf12−L0−Hy5(M=Na)
FS−74:Rf13−L43(AR=o-フェニレン)−Hy6(M=K)
FS−75:Rf13−L43(AR=m-フェニレン)−Hy6(M=K)
FS−76:Rf13−L43(AR=p-フェニレン)−Hy6(M=K)
FS−77:Rf6−L44(R=C2H5、AL=CH2CH2)−Hy5(M=H)
FS−78:Rf6−L45(AR=p-フェニレン、R=C2H5)−Hy1(n=9)
FS−79:Rf6−L45(AR=p-フェニレン、R=C2H5)−Hy1(n=14)
FS−80:Rf6−L45(AR=p-フェニレン、R=C2H5)−Hy1(n=19)
FS−81:Rf6−L45(AR=p-フェニレン、R=C2H5)−Hy1(n=28)
FS−82:Rf6−L46(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=5)
FS−83:Rf6−L46(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=10)
FS−84:Rf6−L46(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=15)
FS−85:Rf6−L46(AR=p-フェニレン)−Hy1(n=20)
フッ素原子を含む疎水性基または親水性基を二以上有する含フッ素界面活性剤を用いてもよい。二以上の疎水性基または親水性基を有する含フッ素界面活性剤の例を以下に示す。
Figure 0004856981
FS−86:n1+n2=12、FS−87:n1+n2=18、FS−88:n1+n2=24
Figure 0004856981
FS−89:n1+n2=20、FS−90:n1+n2=30、FS−91:n1+n2=40
Figure 0004856981
FS−92:n=5、FS−93:n=10、FS−94:n=15、FS−95:n=20
Figure 0004856981
二種類以上の含フッ素界面活性剤を併用してもよい。界面活性剤については、様々な文献(例、堀口弘著「新界面活性剤」三共出版(1975)、M.J. Schick, NonionicSurfactants, Marcell Dekker Inc., New York, (1967)、特開平7−13293号公報)に記載がある。含フッ素界面活性剤は、ディスコティック液晶性分子の量の2乃至30重量%の量で使用する。使用量は、ディスコティック液晶性分子の量の3乃至25重量%であることが好ましく、5乃至10重量%であることがさらに好ましい。
二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物(メラミン化合物およびメラミンポリマーを含む)を併用してもよい。1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、液晶性化合物の量の0.01乃至20重量%の量で使用する。使用量は、液晶性化合物の量の0.1乃至15重量%であることが好ましく、0.5乃至10重量%であることがさらに好ましい。
光学的異方性層は、本発明にかかる延伸ポリマーフィルムまたは配向膜の上に塗布することで形成する。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液は、公知の方法(例、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、印刷コーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法)により実施できる。連続塗布により光学的異方性層を形成することが好ましい。カーテンコーティング法、ロールコーティング法およびスライドコーティング法が連続塗布に適している。
光学異方性層の厚さは、0.5乃至100μmであることが好ましく、0.5乃至30μmであることがさらに好ましい。
(配向膜)
配向膜は、光学異方性層に含まれる液晶性化合物の配向方向を決定する機能を有する。
配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成、あるいはラングミュア−ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例、ω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライド、ステアリル酸メチル)の累積のような手段で、設けることができる。さらに、電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により、配向機能が生じる配向膜も知られている。
配向膜は、ポリマーのラビング処理により形成することが好ましい。ラビング処理は延伸ポリマーフィルムの遅相軸と実質的に垂直の方向に行うことが好ましい。これにより延伸ポリマーフィルムの遅相軸と光学異方性層の遅相軸を直交させることが可能である。
ポリマーは、ポリビニルアルコールが好ましい。疎水性基が結合している変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。疎水性基は、光学異方性層の液晶性化合物と親和性があるため、疎水性基をポリビニルアルコールに導入することで、液晶性化合物を均一に配向させることができる。疎水性基は、ポリビニルアルコールの主鎖末端または側鎖に結合させる。
疎水性基は、炭素原子数が6以上の脂肪族基(好ましくは、アルキル基またはアルケニル基)または芳香族基が好ましい。
ポリビニルアルコールの主鎖末端に疎水性基を結合させる場合、疎水性基と主鎖末端との間に連結基を導入することが好ましい。連結基の例には、−S−、−C(CN)R1 −、−NR2 −、−CS−およびそれらの組み合わせが含まれる。上記R1 およびR2 は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数が1乃至6のアルキル基(好ましくは、炭素原子数が1乃至6のアルキル基)である。
ポリビニルアルコールの側鎖に疎水性基を導入する場合は、ポリビニルアルコールの酢酸ビニル単位のアセチル基(−CO−CH3 )の一部を、炭素原子数が7以上のアシル基(−CO−R3 )で置き換えればよい。R3 は、炭素原子数が6以上の脂肪族基または芳香族基である。
市販の変性ポリビニルアルコール(例、MP103、MP203、R1130、クラレ(株)製)を用いてもよい。
配向膜に用いる(変性)ポリビニルアルコールのケン化度は、80%以上であることが好ましい。(変性)ポリビニルアルコールの重合度は、200以上であることが好ましい。
ラビング処理は、配向膜の表面を、紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。長さおよび太さが均一な繊維を均一に植毛した布を用いることが好ましい。
なお、光学異方性層の液晶性化合物を配向膜で配向させた後、配向膜を除去しても、液晶性化合物の配向状態を維持することができる。すなわち、配向膜は液晶性化合物を配向させるため、光学補償シートの製造において必須であるが、製造された光学補償シートにおいては必須ではない。
配向膜を延伸ポリマーフィルムと光学異方性との間に設ける場合は、さらに接着層(下塗り層)を延伸ポリマーフィルムと配向膜との間に設けてもよい。
本発明における光学異方性層は特開2000−155216号の記載の変性ポリビニルアルコールを含む配向層により液晶性化合物の平均傾斜角を調節することもできる。
(光学異方性層のレターデーション)
本発明における光学異方性層のRe(546)は10nm以上300nm以下が好ましく、30nm以上250nmがさらに好ましい。Rth(546)は10nm以上300nm以下が好ましく、30nm以上250nm以下が好ましい。
さらに、本発明における光学異方性層は下記式(K)〜(N)を満たすことが好ましい。
1.0<Re(480)/Re(546)<2.0 (K)
0.5<Re(628)/Re(546)<1.0 (L)
1.0<Rth(480)/Rth(546)<2.0 (M)
0.5<Rth(628)/Rth(546)<1.0 (N)
式(K)はより好ましくは1.02<Re(480)/Re(546)<1.50であり、さらに好ましくは1.05<Re(480)/Re(546)<1.30である。
式(L)はより好ましくは0.75<Re(628)/Re(546)<0.98である。
式(M)はより好ましくは1.02<Rth(480)/Rth(546)<1.50であり、さらに好ましくは1.05<Rth(628)/Rth(546)<1.30である。
上記範囲にレターデーションを調節することによりコントラストが高く、色味変化の小さい光学補償シートが得られる。
<光学補償シートのレターデーション>
本発明の光学補償シートは、延伸ポリマーフィルム上に光学異方性層を有し、延伸ポリマーフィルムの遅相軸と光学異方性層の遅相軸とが直交するように配置される。
このように配置されることによって、光学補償シートのReの波長分散が短波長側ほど小さい形になるという効果を奏する。
本発明の光学補償シートのレターデーションは下記式の関係を満たすことが好ましい。
30nm<Re(546)<150nm (A)
100nm<Rth(546)<400nm (B)
0.5<Re(480)/Re(546)<1 (C)
1.0<Re(628)/Re(546)<2.0 (D)
1.0<Rth(480)/Rth(546)<1.5 (E)
0.7<Rth(628)/Rth(546)<1.0 (F)
式(A)は35nm<Re(546)<120nmが好ましく、40nm<Re(546)<100nmがさらに好ましい。
式(B)は110nm<Rth(546)<350nmが好ましく、120nm<Rth(546)<300nmがさらに好ましい。
式(C)は0.6<Re(480)/Re(546)<0.95が好ましく0.7<Re(480)/Re(546)<0.9がさらに好ましい。
式(D)は1.0<Re(628)/Re(546)<1.50が好ましく1.02<Re(628)/Re(546)<1.30がさらに好ましい。
式(E)は1.00<Rth(480)/Rth(546)<1.30が好ましく、1.01<Rth(480)/Rth(546)<1.20がさらに好ましい。
式(F)は0.8<Rth(628)/Rth(546)<1.0が好ましく0.85<Rth(628)/Rth(546)<0.99がさらに好ましい。
光学補償シートのレターデーションを上記範囲に調節することにより、液晶表示装置の視角による色味変化を小さくできるという効果が得られる。
<偏光板の作製>
次に本発明の光学補償シートを含む偏光板について図面を基に説明する。
図1の(A)は一般的な偏光板の断面図を模式的に示した図であり、偏光子2の両端に保護フィルム1、3を貼り合せて構成される。一方、図1(B)は本発明の光学補償シートを偏光板の保護フィルムとした場合の一例を示す断面模式図であり、偏光子2の片面に保護フィルム1aを貼り合わせ、偏光板の他方の面に本発明の光学補償シート(光学異方性層 3、延伸ポリマーフィルム 4)を延伸ポリマーフィルム4が偏光子側となるように貼り合せることで構成される。
(保護フィルム)
本発明の偏光板は偏光子の両側に1ずつ合計2枚の保護フィルムを有し、少なくとも1枚は本発明の光学補償シートであることが好ましい。
本発明において偏光子の他方の面に用いられる保護フィルム(透明支持体)はノルボルネン樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリスルフォン、セルロースアシレートなどから製造されたポリマーフィルムであることが好ましく、セルロースアシレートフィルムであることが最も好ましい。
(偏光子)
次に本発明の偏光板に用いられる偏光子について説明する。
本発明の偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
PVAは、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材であるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは特許2978219号に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されている45〜52.5%も好ましく用いることができる。
PVAはフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造方法は、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。PVAフィルムの製造は、特許第3342516号、特開平09−328593号、特開2001−302817号、特開2002−144401号を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開2002−236214号に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることができる。
PVAフィルムの複屈折(△n)は小さいことが好ましく、特許第3342516号に記載されている複屈折が1.0×10-3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。但し、特開2002−228835号に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.002以上0.01以下としてもよいし、特開2002−060505号に記載されているように(nx+ny)/2−nzの値を0.0003以上0.01以下としてもよい。PVAフィルムのレターデーション(面内)は0nm以上100nm以下が好ましく、0nm以上50nm以下がさらに好ましい。また、PVAフィルムのRth(膜厚方向)は0nm以上500nm以下が好ましく、0nm以上300nm以下がさらに好ましい。
この他、本発明の偏光板には、特許3021494号に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm2当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量部混合したり、特開平06−289225号に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
PVAフィルムの延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。特開2002−236212号に記載されているように水中において4倍から6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
二色性分子はI3 -やI5 -などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/またはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
このような二色性染料の具体例としては、例えば、C.I.Direct Red 37、 Congo Red(C.I. Direct Red 28)、C.I.Direct Violet 12、 C.I.Direct Blue 90、 C.I.Direct Blue 22、 C.I.Direct Blue 1、 C.I.Direct Blue 151、 C.I.Direct Green 1等のベンジジン系、C.I.Direct Yellow 44、 C.I.Direct Red 23、 C.I.Direct Red 79等のジフェニル尿素系、C.I.Direct Yellow 12等のスチルベン系、C.I.Direct Red、
31等のジナフチルアミン系、C.I.Direct Red 81、 C.I.Direct Violet 9、 C.I.Direct Blue 78等のJ酸系を挙げることができる。
これ以外にも、C.I.Direct Yellow 8、C.I.Direct Yellow 28、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 87、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Orange 26、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 106、C.I.Direct Orange 107、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Direct Red 240、C.I.Direct Red 242、C.I.Direct Red 247、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Violet 98、C.I.Direct Blue 15、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct、
Blue 98、C.I.Direct Blue 168、C.I.Direct Blue 202、C.I.Direct Blue 236、C.I.Direct Blue 249、C.I.Direct Blue 270、C.I.Direct Green 59、C.I.Direct Green 85、C.I.Direct Brown 44、C.I.Direct Brown 106、C.I.Direct Brown 195、C.I.Direct Brown 210、C.I.Direct Brown 223、C.I.Direct Brown 224、C.I.Direct Black 1、C.I.Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 54等が、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもかまわない。二色性染料を用いる場合、特開2002−082222号に記載されているように吸着厚みが4μm以上であってもよい。
フィルム中の該二色性分子の含有量は、少なすぎると偏光度が低く、また、多すぎても単板透過率が低下することから通常、フィルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01質量%から5質量%の範囲に調整される。
偏光子の好ましい膜厚としては、5μm〜40μmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜30μmである。偏光子の厚さと後述する保護フィルムの厚さの比を、特開2002−174727号に記載されている0.01≦A(偏光子膜厚)/B(保護フィルム膜厚)≦0.16範囲とすることも好ましい。
保護フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸の交差角は、任意の値でよいが、平行もしくは45±20゜の方位角であることが好ましい。
<偏光板の製造工程>
次に、本発明の偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
本発明では、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けても構わない。
膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709に記載されているように、光学性能の安定化及び、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃以上60℃以下、5秒以上2000秒以下が好ましい。
染色工程は、特開2002−86554に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストの偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素は0.05〜20g/l、ヨウ化カリウムは3〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜2000が好ましい範囲である。染色時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ヨウ素は0.5〜2g/l、ヨウ化カリウムは30〜120g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は30〜120がよく、染色時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃がよい。
また、特許第3145747号に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加しても良い。
硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
架橋剤としては米国再発行特許第232897号に記載のものが使用でき、特許第3357109号に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加しても良い。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
本発明では、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行うことが好ましく行われる。ホウ酸は1〜100g/l、ヨウ化カリウムは1〜120g/l、塩化亜鉛は0.01〜10g/l、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/l、ヨウ化カリウムは5〜100g/l、塩化亜鉛は0.02〜8g/l、硬膜時間は30〜600秒がよく、液温度は20〜50℃がよい。
延伸工程は、米国特許2、454、515などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍以上12倍以下であり、さらに好ましくは3倍以上10倍以下である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95とすることも好ましく行うことができる。
乾燥工程は、特開2002−86554で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号や特開平07−325218号に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングすることも好ましく行うことができる。
保護フィルム貼り合わせ工程は、乾燥工程を出た前述の偏光子の両面を2枚の保護フィルムで貼合する工程である。貼合直前に接着液を供給し、偏光子と保護フィルムを重ね合わせるように、一対のロールで貼り合わせる方法が好ましく使用される。また、特開2001−296426及び特開2002−86554に記載されているように、偏光子の延伸に起因するレコードの溝状の凹凸を抑制するため、貼り合わせ時の偏光子の水分率を調整することが好ましい。本発明では0.1%〜30%の水分率が好ましく用いられる。
偏光子と保護フィルムとの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmが特に好ましい。
また、偏光子と保護フィルムの接着力を向上させるために、保護フィルムを表面処理して親水化してから接着することが好ましく行われる。表面処理の方法は特に制限は無いが、アルカリ溶液を用いてケン化する方法、コロナ処理法など公知の方法を用いることができる。また、表面処理後にゼラチン下塗り層等の易接着層を設けても良い。特開2002−267839号に記載されているように保護フィルム表面の水との接触角は50°以下が好ましい。
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特開平07−325220号に記載されているように温湿度管理をした雰囲気でエージングすることも好ましい。
偏光子中の元素含有量は、ヨウ素0.1〜3.0g/m2、ホウ素0.1〜5.0g/m2、カリウム0.1〜2.00g/m2、亜鉛0〜2.00g/m2であることが好ましい。また、カリウム含有量は特開2001−166143号に記載されているように0.2質量%以下であってもよいし、偏光子中の亜鉛含有量を特開2000−035512号に記載されている0.04質量%〜0.5質量%としてもよい。
特許第3323255号に記載されているように、偏光板の寸法安定性をあげるために、染色工程、延伸工程および硬膜工程のいずれかの工程において有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物を添加使用し、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を含有することもできる。また、偏光板の色相を調整するために二色性染料を添加しても良い。
<偏光板の特性>
(1)透過率および偏光度
本発明の偏光板の好ましい単板透過率は42.5%以上49.5%以下であるが、さらに好ましくは42.8%以上49.0%以下である。式4で定義される偏光度の好ましい範囲は99.900%以上99.999%以下であり、さらに好ましくは99.940%以上99.995%以下である。平行透過率の好ましい範囲は36%以上42%以下であり、直交透過率の好ましい範囲は、0.001%以上0.05%以下である。次に示す式5で定義される二色性比の好ましい範囲は48以上、1215以下であるが、さらに好ましくは53以上525以下である。
Figure 0004856981
上述の透過率はJISZ8701に基づいて、下記式により定義される。
Figure 0004856981
ここで、K、S(λ)、y(λ)、τ(λ)は以下の通りである。
Figure 0004856981
S(λ):色の表示に用いる標準光の分光分布
y(λ):XYZ系における等色関数
τ(λ):分光透過率
Figure 0004856981
ヨウ素濃度と単板透過率は特開2002−258051号に記載されている範囲であってもよい。
平行透過率は、特開2001−083328号や特開2002−022950号に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。偏光板をクロスニコルに配置した場合の光学特性は、特開2001−091736号に記載されている範囲であってもよく、平行透過率と直交透過率の関係は、特開2002−174728号に記載されている範囲内であってもよい。
特開2002−221618号に記載されているように、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の平行透過率の標準偏差が3以下で、且つ、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の(平行透過率/直交透過率)の最小値が300以上であってもよい。
偏光板の波長440nmにおける平行透過率と直交透過率、平行透過率、波長550nmにおける平行透過率と直交透過率、波長610nmにおける平行透過率と直交透過率が、特開2002−258042号や特開2002−258043号に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(2)色相
本発明の偏光板の色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL*a*b*表色系における明度指数L*およびクロマティクネス指数a*とb*を用いて好ましく評価される。
L*、a*、b*は、上述のX、 Y、 Zを用いて式6で定義される。
Figure 0004856981
ここでX0、 Y0、 Z0は照明光源の三刺激値を表し、標準光Cの場合、X0=98.072、Y0=100、 Z0=118.225であり、標準光D65の場合、X0=95.045、Y0=100、 Z0=108.892である。
偏光板単枚の好ましいa*の範囲は−2.5以上0.2以下であり、さらに好ましくは−2.0以上0以下である。偏光板単枚の好ましいb*の範囲は1.5以上5以下であり、さらに好ましくは2以上4.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のa*の好ましい範囲は−4.0以上0以下であり、さらに好ましくは−3.5以上−0.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のb*の好ましい範囲は2.0以上8以下であり、さらに好ましくは2.5以上7以下である。2枚の偏光板の直交透過光のa*の好ましい範囲は−0.5以上1.0以下であり、さらに好ましくは0以上2以下である。2枚の偏光板の直交透過光のb*の好ましい範囲は−2.0以上2以下であり、さらに好ましくは−1.5以上0.5以下である。
色相は、前述のX、 Y、 Zから算出される色度座標(x,y)で評価しても良く、例えば、2枚の偏光板の平行透過光の色度(xp、yp)と直交透過光の色度(xc、yc)は、特開2002−214436号、特開2001−166136号や特開2002−169024に記載されている範囲にしたり、色相と吸光度の関係を特開2001−311827号に記載されている範囲内にすることも好ましく行うことができる。
(3)視野角特性
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40度の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開2001−166135号や特開2001−166137号に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10−068817号に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T0)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T0)を10000以下としたり、特開2002−139625号に記載されているように、偏光板に法線から仰角80度までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520〜640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平08−248201号に記載されている、フィルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
(4)耐久性
(4−1)湿熱耐久性
60℃、95%RHの雰囲気に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率が絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下であることが好ましい。また、特開平07−077608号に記載されているように80℃、90%RH、500時間放置後の偏光度が95%以上、単体透過率が38%以上であることも好ましい。
(4−2)ドライ耐久性
80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率及び偏光度の変化率も絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
(4−3)その他の耐久性
さらに、特開平06−167611号に記載されているように80℃で2時間放置した後の収縮率を0.5%以下としたり、ガラス板の両面にクロスニコル配置した偏光板積層体を69℃の雰囲気中で750時間放置した後のx値及びy値を特開平10−068818号に記載されている範囲内としたり、80℃、90%RHの雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による105cm-1及び157cm-1のスペクトル強度比の変化を、特開平08−094834号や特開平09−197127号に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
(5)配向度
PVAの配向度は高い程良好な偏光性能が得られるが、偏光ラマン散乱や偏光FT−IR等の手段によって算出されるオーダーパラメーター値として0.2〜1.0が好ましい範囲である。また、特開昭59−133509号に記載されているように、偏光子の全非晶領域の高分子セグメントの配向係数と占領分子の配向係数(0.75以上)との差を少なくとも0.15としたり、特開平04−204907号に記載されているように偏光子の非晶領域の配向係数を0.65〜0.85としたり、I3 -やI5―の高次ヨウ素イオンの配向度を、オーダーパラメーター値として0.8〜1.0とすることも好ましく行うことができる。
(6)その他の特性
特開2002−006133号に記載されているように、80℃30分加熱したときの単位幅あたりの吸収軸方向の収縮力を4.0N/cm以下としたり、特開2002−236213号に記載されているように、偏光板を70℃の加熱条件下に120時間置いた場合に、偏光板の吸収軸方向の寸法変化率及び偏光軸方向の寸法変化率を、共に±0.6%以内としたり、偏光板の水分率を特開2002−090546号に記載されているように3質量%以下とすることも好ましく行うことができる。さらに、特開2000−249832号に記載されているように延伸軸に垂直な方向の表面粗さを中心線平均粗さに基づいて0.04μm以下としたり、特開平10−268294号に記載されているように透過軸方向の屈折率n0を1.6より大きくしたり、偏光板の厚みと保護フィルムの厚みの関係を特開平10−111411号に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
<偏光板の機能化>
本発明の偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合してもよい。
(反射防止フィルム)
本発明の偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、及び低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報, vol.38, No.1, may, 2000, 26頁〜28頁や特開2002−301783号などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
反射防止フィルムに用いる透明支持体は、前述の偏光子の保護フィルムに使用する透明ポリマーフィルムを好ましく使用することができる。
低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であり、好ましくは1.30〜1.50である。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、シリコーン基や、フッ素の含有する素材を用い表面への滑り性付与することも好ましく行われる。
含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001-40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良いが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法を好ましく使用することができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
中屈折率層および高屈折率層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子をマトリックス用材料に分散した構成とすることが好ましい。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等を好ましく使用できる。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104等)、特定の分散剤併用する(例、特開平11−153703号公報、特許番号US6210858B1、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
マトリックス用材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等を使用できるが、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の多官能性材料や、特開2001−293818号公報等に記載の金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜を使用することもできる。
高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
反射防止フィルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。又膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(輝度向上フィルム)
本発明の偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明の偏光板と組み合わせることができる。
異方性反射方式では、一軸延伸フィルムと未延伸フィルムを多重に積層して、延伸方向の屈折率差を大きくすることにより反射率ならびに透過率の異方性を有する輝度向上フィルムが知られており、誘電体ミラーの原理を用いた多層膜方式(WO95/17691号、WO95/17692号、WO95/17699号の各明細書記載)やコレステリック液晶方式(欧州特許606940A2号明細書、特開平8−271731号公報記載)が知られている。誘電体ミラーの原理を用いた多層方式の輝度向上フィルムとしてはDBEF―E、DBEF−D、DBEF−M(いずれも3M社製)、コレステリック液晶方式の輝度向上フィルムとしてはNIPOCS(日東電工(株)製)が本発明で好ましく使用される。NIPOCSについては、日東技報, vol.38, No.1, may, 2000,
19頁〜21頁などを参考にすることができる。
また、本発明ではWO97/32223号、WO97/32224号、WO97/32225号、WO97/32226号の各明細書および特開平9−274108号、同11−174231号の各公報に記載された正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーをブレンドして一軸延伸した異方性散乱方式の輝度向上フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。異方性散乱方式輝度向上フィルムとしては、DRPF−H(3M社製)が好ましい。
(他の機能性光学フィルム)
本発明の偏光板は、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は、前述の反射防止フィルムにおける反射防止層、あるいは視野角補償フィルムにおける光学異方性層等と同一層内で相互に複合して使用することも好ましい。これらの機能層は、偏光子側および偏光子と反対面(より空気側の面)のどちらか片面、もしくは両面の設けて使用できる。
〔ハードコート層〕
本発明の偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱による硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、WO0/46617号公報等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。又、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層を形成する材料は、エチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合性基を含む化合物を用いることができ、これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。 また、市販化合物としては、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220、TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、開環重合性基を含む化合物の好ましい例としては、グリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合できるモノマーとの共重合体をハードコート層に使用することもできる。
ハードコート層には、ハードコート層の硬化収縮の低減、基材との密着性の向上、本発明のハードコート処理物品のカールを低減するため、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の酸化物微粒子やポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等の架橋粒子、SBR、NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子等の架橋微粒子を添加することも好ましく行われる。これらの架橋微粒子の平均粒径は、1nmないし20000nmであることが好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の添加量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
上記で記載した無機微粒子を添加する場合、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属を含有し、かつアルコキシド基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用いて表面処理を行うことも好ましく行われる。
ハードコート層は、熱または活性エネルギー線を用いて硬化することが好ましく、その中でも放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることがより好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることが特に好ましい。熱で硬化させる場合は、プラスチック自身の耐熱性を考えて、加熱温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
〔前方散乱層〕
前方散乱層は、本発明の偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明の偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
〔アンチグレア層〕
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
<液晶表示装置>
次に本発明の光学補償シートを含む偏光板が好ましく用いられる液晶表示装置について図面を基に説明する。
図2は、本発明の光学補償シートを具備した液晶表示装置の一例を示す模式図である。
図2において、液晶表示装置は、液晶セル、液晶セルの両側に配置された一対の偏光板1、14からなる。液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。また反射型として使用する場合において偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
本発明では、偏光板の少なくとも一方を、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜および光学異方性層の積層体とする。本発明の光学補償シートは、偏光膜の一方の側の保護膜として機能できるため、透明保護膜、偏光膜、本発明の光学補償シート(延伸ポリマーフィルムおよび光学異方性層)の順序で積層した一体型偏光板とすることが好ましい。液晶表示装置内では、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護膜、偏光膜、本発明の光学補償シート(延伸ポリマーフィルムおよび光学異方性層)の順序で積層することが好ましい。液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
(VAモード)
本発明の液晶表示装置はVAモードであることが好ましい。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作成する。液晶層7の厚さdは3.5μmに設定してある。ここで厚さdと屈折率異方性Δnの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るために0.2から0.5μmの範囲になるように設定する。
液晶セルの上側偏光板1の吸収軸2と下側偏光板14の吸収軸15は概略直交に積層する。基板5および基板8のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層7中の液晶分子は、基板面に対して概略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。すなわち、液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は基板面に平行な方向に傾斜し、液晶パネルを通過する光はかかる傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させる。換言すると、液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。
ここでは上下基板間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用した。また電極を一方の基板に配置し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル材の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、コントラストは正面では高いが、斜め方向では劣化する課題がある。黒表示時に液晶分子は基板面に垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。これを解決するために光学補償シートを配置する。
また白表示時には液晶分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる。これを解決するためには、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にする。
[マルチドメイン]
例えばVA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
また配向分割の領域境界では、液晶分子が応答しずらい。そのためノーマリーブラック表示では黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。そこで液晶材料にカイラル剤を添加して境界領域を小さくすることが可能である。
以下、本発明の実施例を示すがこれに限定されるものではない。尚、下記実施例中、「部」とは「質量部」を示すものである。
[実施例1]
<光学補償シートA−1の作製>
(延伸ポリマーフィルムA−1の作製)
下記組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解した後、平均孔径34μmの濾紙及び平均孔径10μmの焼結金属フィルターで濾過した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
環状ポリオレフィン溶液 D−5
―――――――――――――――――――――――――――――――――
環状ポリオレフィン:ARTON‐G 150質量部
流動パラフィン:ダフニーオイルCP68(出光興産(株)) 15質量部
ジクロロメタン 450質量部
界面活性剤RZ‐13 0.7質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
Figure 0004856981
界面活性剤RZ−13
iso−C8 17−C6 4 −O−(CH2 CH2 O)3 −(CH2 2 SO3 Na
次に上記方法で作成した環状ポリオレフィン溶液を含む下記組成物を分散機に投入し、微粒子分散液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
微粒子分散液 M−5
―――――――――――――――――――――――――――――――――
1次平均粒径16nmのシリカ粒子
(aerosil R972 日本アエロジル(株)) 2質量部
ジクロロメタン 83質量部
環状ポリオレフィン溶液 D−5 10質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
上記環状ポリオレフィン溶液D‐5を100質量部、微粒子分散液M−5を1.35質量を混合し、製膜用ドープを調製した。上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が約25質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを120℃で乾燥した。
更にテンター内で、170℃に加熱し、フィルムを搬送方向と垂直方向に1.7倍に延伸し、その後、90℃の雰囲気下で1分間この状態を保持しながら冷却し、更に室温で冷却し、テンター内から取り出すことにより、延伸ポリマーフィルム(A−1)を得た。厚みは63μmであった。
また、Re(480)/Re(546)は1.01、Re(628)/Re(546)は0.99であった。Rth(480)/Rth(546)は1.00、Rth(628)/Rth(546)は1.00であった。延伸ポリマーフィルムA−1の光弾性係数は2×10-8cm2/Nであった。
(密着付与層の塗設)
上記で得られた延伸ポリマーフィルム(A−1)の両面に、下記組成の塗布液を乾燥膜厚0.3μmになるように塗設して、疎水性セルロースエステル含有層(DAC含有層)を形成した。
(塗布液の組成)
セルロースジアセテート(DAC:アセテートフレークスL−AC、ダイセル化学工業
(株)製、5質量%アセトン溶液に調製) 50ml
酢酸エチル 40ml
メタノール 10ml
アエロジルR−972(日本アエロジル社製:層内で平均粒径が0.3μmになるように分散調製した) 1g
(配向膜層の形成)
密着付与層を塗布した延伸ポリマーフィルム(A−1)の片方の面に、下記の組成の塗布液を、#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、延伸ポリマーフィルム(A−1)の延伸方向(遅相軸とほぼ一致)と90゜の方向に、形成した膜に対してラビング処理を実施した。
────────────────────────────────────
配向膜塗布液組成
────────────────────────────────────
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
────────────────────────────────────
Figure 0004856981
(光学異方性層の作製)
配向膜上に、下記組成の塗布液を、#6のワイヤーバーコーターで23.1ml/m2塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、液晶性化合物を配向させた。次に、90℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。
─────────────────────────────────────
光学異方性層塗布液組成
─────────────────────────────────────
棒状液晶性化合物I−6 100質量部
架橋性基含有ポリマー(1) 0.7重量部
フッ素系ポリマー(大日本インク(株)製 メガファック F-780-F)
0.5質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 2.9質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
メチルエチルケトン 262質量部
─────────────────────────────────────
Figure 0004856981
光学異方性層のRe(480)/Re(546)は1.11、Re(628)/Re(546)は0.95であった。また、Rth(480)/Rth(546)は1.11、Rth(628)/Rth(546)は0.95であった。
延伸ポリマーフィルムA−1の遅相軸と光学異方性層の遅相軸とが直交となるように配置した。
[実施例2]
<光学補償シートA−2の作製>
(延伸ポリマーフィルムA−2の作製)
上記環状ポリオレフィン溶液D‐5を100質量部、微粒子分散液M−5を1.35質量を混合し、製膜用ドープを調製した。上述のドープをバンド流延機を用いて流延した。残留溶剤量が約25質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムを120℃で乾燥した。
更にをテンター内で、170℃に加熱し、フィルムを搬送方向と垂直方向に1.5倍に延伸し、その後、90℃の雰囲気下で1分間この状態を保持しながら冷却し、更に室温で冷却し、テンター内から取り出すことにより、延伸ポリマーフィルム(A−2)を得た。厚みは69μmであった。
また、Re(480)/Re(546)は1.01、Re(628)/Re(546)は0.99であった。Rth(480)/Rth(546)は1.00、Rth(628)/Rth(546)は1.00であった。延伸ポリマーフィルムA−1の光弾性係数は1×10-8cm2/Nであった。
延伸ポリマーフィルムA−2の遅相軸と光学異方性層の遅相軸とが直交となるように配置した。
(フィルムの表面処理)
延伸ポリマーフィルム(A−2)の両面に12W・分/m2の条件で春日電機(株)製コロナ放電して親水性を付与した。
(配向膜層の形成)
延伸ポリマーフィルム(A−2)の面に、下記の組成の塗布液を、#14のワイヤーバーコーターで24ml/m2 塗布した。60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。
次に、延伸ポリマーフィルム(A−2)の延伸方向(遅相軸とほぼ一致)と90゜の方向に、形成した膜に対してラビング処理を実施した。
────────────────────────────────────
配向膜塗布液組成
────────────────────────────────────
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 360質量部
メタノール 120質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 1.0質量部
────────────────────────────────────
Figure 0004856981
(光学異方性層の作製)
配向膜上に、下記組成の塗布液を、#4のワイヤーバーコーターで15.4ml/m2塗布した。これを金属の枠に貼り付けて、100℃の恒温槽中で2分間加熱し、液晶性化合物を配向させた。次に、90℃で120W/cm高圧水銀灯を用いて、1分間UV照射し液晶性化合物を重合させた。その後、室温まで放冷した。
────────────────────────────────────
光学異方性層塗布液組成
────────────────────────────────────
棒状液晶性化合物I−1 100質量部
架橋性基含有ポリマー(1) 0.7重量部
フッ素系ポリマー(大日本インク(株)製メガファック F-780-F)
0.5質量部
光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製) 2.9質量部
増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製) 1.0質量部
メチルエチルケトン 253質量部
────────────────────────────────────
光学異方性層の、Re(480)/Re(546)は1.05、Re(628)/Re(546)は0.97であった。Rth(480)/Rth(546)は1.05、Rth(628)/Rth(546)は0.97であった。
[比較例1]
<光学補償シートB−1の作製>
(セルロースアシレートフィルムB−1の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Bを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液B組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル化度1.0、プロピオニル化度1.4のセルロースアシレート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 9.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 3.5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 362.0質量部
エタノール(第2溶媒) 100.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
<マット剤溶液の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
エタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液B 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<添加剤溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤(A) 4.0質量部
紫外線吸収剤(B) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.2質量部
エタノール(第2溶媒) 11.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤(A)
Figure 0004856981
紫外線吸収剤(B)
Figure 0004856981
上記マット剤溶液を1.3質量部と紫外線吸収剤溶液6.0質量部それぞれを濾過後にインラインミキサーで混合後、さらにセルロースアシレート溶液Bを92.7質量部、添加してインラインミキサーで混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量36質量%でフィルムをバンドから剥離し、130℃の雰囲気温度ででフィルムをテンターを用いて40%まで横延伸したのち、140℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は15質量%だった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1質量%であり、膜厚は90μmであった。
(フィルムのアルカリ処理)
セルロースアシレートフィルムB−1を、2.3 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05 mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
このようにして、比較例の光学補償シートB−1を作製した。
[比較例2]
<光学補償シートB−2の作製>
(セルロースアシレートフィルムB−2の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液Cを調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
セルロースアシレート溶液C組成
―――――――――――――――――――――――――――――――――
アセチル化度1.1、プロピオニル化度1.5のセルロースアシレート
100.0質量部
トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 9.0質量部
エチルフタリルエチルグリコレート(可塑剤) 3.5質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 362.0質量部
エタノール(第2溶媒) 100.0質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――――
<マット剤溶液の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――
マット剤溶液組成
――――――――――――――――――――――――――――――――
平均粒径20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
エタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液C 10.3質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――
<添加剤溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、紫外線吸収剤溶液を調製した。
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤溶液組成
―――――――――――――――――――――――――――――――
紫外線吸収剤(A) 4.0質量部
紫外線吸収剤(B) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.2質量部
エタノール(第2溶媒) 11.2質量部
―――――――――――――――――――――――――――――――
上記マット剤溶液を1.3質量部と紫外線吸収剤溶液6.0質量部それぞれを濾過後にインラインミキサーで混合後、さらにセルロースアシレート溶液Bを92.7質量部、添加してインラインミキサーで混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量36質量%でフィルムをバンドから剥離し、130℃の雰囲気温度ででフィルムをテンターを用いて20%まで横延伸したのち、140℃で30秒間保持した。延伸開始時の残留溶剤含量は15質量%だった。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルムを製造した。出来あがったセルロースアシレートフィルムの残留溶剤量は0.1質量%であり、膜厚は96μmであった。
(フィルムのアルカリ処理)
セルロースアシレートフィルムB-2を、1.5規定の水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1規定の硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、比較例の光学補償シートB−2を作製した。
<フィルム物性の測定>
(光学特性の測定)
自動複屈折率計(KOBRA−21ADH、王子計測機器(株)製)を用い25℃60%RHでRe及びRthを測定した。測定波長は480nm、546nm、628nmとした。
(光弾性率の測定)
3.5cm×12cmに切り出してフィルムについて、荷重無し、250g、500g、1000g、1500gのそれぞれの荷重におけるReを測定し、応力に対するRe変化の直線の傾きから光弾性率を算出した。測定波長は630nmとした。
フィルム物性の測定結果を表1に示す。
Figure 0004856981
〔実施例3〕
<偏光板の作製>
(延伸ポリマーフィルムの鹸化処理)
市販のセルロースアシレートフィルム(富士タックTD80)を1.5 mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で1分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
(偏光子の作成)
重合度1700、厚さ39μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水浴にて膨潤した後、ヨウ素とヨウ化カリウムの水溶液からなる30℃の染色浴にて約4倍に延伸した。次いで、ホウ酸とヨウ化カリウムの入った50℃の架橋浴にて総延伸倍率が5.5倍になるように延伸し、架橋した。これを、35℃のヨウ化カリウム水溶液中に10秒間浸漬して色相の調整を行った。さらに水洗、乾燥して、厚さ18μmの偏光子を得た。この偏光子の水分率は14%であった。また波長900nmにおける複屈折率(Δn)は0.0482、透過率は43%、偏光度は99.9%であった。
なお、複屈折率は、900nmの波長光により、平行ニコル回転法を用いて位相差値(Δnd)を求め、厚さd(nm)で割ることにより求めた。
透過率は、分光光度計(村上色彩技術研究所製,DOT−3)を用いて測定し、JIS Z8701の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
偏光度は、2枚の同じ偏光子を偏光軸が平行になるように重ね合わせた場合の透過率(H0 )と直交に重ね合わせた場合の透過率(H90)を、上記の透過率の測定に準じて測定し、以下の式から求めた。なお、偏光の透過率(H0 )と直交の透過率(H90)は、視感度補正したY値である。偏光度(%)=√{(H0 −H90)/(H0 +H90)}×100
(接着剤の調製)
ポリエステル系ウレタン(三井武田ケミカル社製,タケラックXW−74−C154)10部およびイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル社製,タケネートWD−725)1部を、水に溶解し、固形分を20%に調整した溶液を調製した。これを接着剤として用いた。
(偏光板1の作製)
上記偏光子の両面に、上記接着剤溶液を塗布した後、実施例1で作製した光学補償シートA−1と上記で作製した鹸化処理済みの富士タックTD80とを偏光子を挟み込むように貼り合わせ、40℃のオーブンで72時間乾燥キュアして、偏光板1を作製した。光学補償シートA−1については光学異方性が空気側となるように貼り合せた。得られた偏光板の透過率は42%、偏光度は99.9%であった。
(偏光板2の作製)
上記偏光子の両面に、上記接着剤溶液を塗布した後、実施例2で作製した光学補償シートA−2と上記で作製した鹸化処理済みの富士タックTD80とを偏光子を挟み込むように貼り合わせ、40℃のオーブンで72時間乾燥キュアして、偏光板2を作製した。光学補償シートA−2については光学異方性が空気側となるように貼り合せた。得られた偏光板の透過率は41%、偏光度は99.9%であった。
[比較例3]
(偏光板3の作製)
実施例3と同様にして、比較例1で作製した光学補償シートフィルムB−1と上記で作製した鹸化処理済みの富士タックTD80とを偏光子を挟み込むように貼り合わせ、40℃のオーブンで72時間乾燥キュアして、偏光板3を作製した。得られた偏光板の透過率は43%、偏光度は99.9%であった。
(偏光板4の作製)
実施例3と同様にして、比較例2で作製した光学補償シートフィルムB−2と上記で作製した鹸化処理済みの富士タックTD80とを偏光子を挟み込むように貼り合わせ、40℃のオーブンで72時間乾燥キュアして、偏光板4を作製した。得られた偏光板の透過率は42%、偏光度は99.9%であった。
[実施例4]
図3の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板、VAモード液晶セル(上基板、液晶層、下基板)、下側偏光板を積層し、さらにバックライト光源を配置した。以下の例では、上側偏光板に市販品の偏光板(HLC2−5618)を用いて、下側偏光板に偏光板1〜4を使用している。
<液晶セルの作製>
液晶セルは、基板間のセルギャップを3.6μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のリターデーション(即ち、記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・d)を275nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
上記の垂直配向型液晶セルを使用した液晶表示装置(図3)の上側偏光板に、市販品のスーパーハイコントラスト品(株式会社サンリッツ社製HLC2−5618)を、下側偏光板に実施例3で作製した偏光板1を、光学補償シート(A−1)が液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けて液晶表示装置
1を作製した。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。
[比較例4]
偏光板 3についても実施例4と同様にして液晶表示装置2を作製した。
<色味変化の評価>
実施例4及び比較例4で作製した液晶表示装置を30℃80%RHの環境下で点灯直後及び500hr時間点灯後の正面の色味変化をELDIM社製Ezcontrastにより測定し、xy色度図上での色味変化の絶対値Δx,Δyを求めた。
結果を表2に示す。
Figure 0004856981
表2の結果から本発明の光学補償シートを用いた偏光板は液晶表示装置に組み込んだ場合、長時間点灯しても色味変化が少なく、好ましいことがわかった。
[実施例5]
〔VA液晶表示装置の作成と評価2〕
ポリビニルアルコール3重量%水溶液に、オクタデシルジメチルアンモニウムクロライド(カップリング剤)を1重量%添加した。これを、ITO電極付のガラス基板上にスピンコートし、160℃で熱処理した後、ラビング処理を施して、垂直配向膜を形成した。ラビング処理は、2枚のガラス基板において反対方向となるようにした。セルギャップ(d)が5μmとなるように2枚のガラス基板を向かい合わせた。セルギャップに、エステル系とエタン系を主成分とする液晶性化合物(Δn:0.08)を注入し、垂直配向液晶セルを作成した。Δnとdとの積は400nmであった。
上記で作製した偏光板2を、作成した垂直配向液晶セルの両面に光学補償シート(A−2)側がセル側となるように粘着シートを用いて貼り付けて、液晶表示装置3を作製した。
[比較例5]
実施例5と同様にして垂直配向液晶セルの両面に、上記で作成した偏光板4を粘着シートを用いて貼り付けて、液晶表示装置4を作製した。
<色味変化の評価>
実施例5及び比較例5で作製した液晶表示を30℃80%RHの環境下で点灯直後及び1000hr時間点灯後の正面の色味変化をELDIM社製Ezcontrastにより測定し、xy色度図上での色味変化の絶対値Δx,Δyを求めた。
結果を表3に示す。
Figure 0004856981
表3の結果から本発明の光学補償シートを用いた偏光板は液晶表示装置に組み込んだ場合、長時間点灯しても色味変化が少なく、好ましいことがわかった。
本発明の偏光板の例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。 実施例4の液晶表示装置の構成例を示す概略図である。
符号の説明
1、1a、3 保護フィルム
2 偏光子
3 光学異方性層
4 延伸ポリマーフィルム
1‥‥上偏光板
2‥‥上偏光板吸収軸
3‥‥第1光学異方性層
4‥‥第1光学異方性層遅相軸の方向
5‥‥液晶セル上電極基板
6‥‥上基板配向制御方向
7‥‥液晶層
8‥‥液晶セル下電極基板
9‥‥下基板配向制御方向
10‥‥第2光学異方性層1
11‥‥第2光学異方性層1遅相軸の方向
12‥‥第2光学異方性層2
13‥‥第2光学異方性層2遅相軸の方向
14‥‥下偏光板
15‥‥下偏光板吸収軸の方向

Claims (8)

  1. 延伸ポリマーフィルム上に、少なくとも1つの液晶化合物を含有する光学異方性層を有し、レターデーションが下記(A)〜(F)の関係を満たす光学補償シートであって、
    前記延伸ポリマーフィルムのレターデーションが下記式(G)〜(J)を満たすことを特徴とする光学補償シート。
    30nm<Re(546)<150nm (A)
    100nm<Rth(546)<400nm (B)
    0.5<Re(480)/Re(546)<1 (C)
    1.0<Re(628)/Re(546)<2.0 (D)
    1.0<Rth(480)/Rth(546)<1.5 (E)
    0.7<Rth(628)/Rth(546)<1.0 (F)
    0.95<Re(480)/Re(546)<1.05 (G)
    0.95<Re(628)/Re(546)<1.05 (H)
    0.95<Rth(480)/Rth(546)<1.05 (I)
    0.95<Rth(628)/Rth(546)<1.05 (J)
    (但し、Re(λ)は、波長λにおける面内レターデーション(nm)であり、Rth(λ)は、波長λにおける厚み方向のレターデーション(nm)である。)
  2. 延伸ポリマーフィルムの遅相軸と液晶化合物を含有する光学異方性層の遅相軸が直交していることを特徴とする請求項1に記載の光学補償シート。
  3. 光学異方性層のレターデーションが下記式(K)〜(N)を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学補償シート。
    1.0<Re(480)/Re(546)<2.0 (K)
    0.5<Re(628)/Re(546)<1.0 (L)
    1.0<Rth(480)/Rth(546)<2.0 (M)
    0.5<Rth(628)/Rth(546)<1.0 (N)
    (但し、Re(λ)は、波長λにおける面内レターデーション(nm)であり、Rth(λ)は、波長λにおける厚み方向のレターデーション(nm)である。)
  4. 延伸ポリマーフィルムの光弾性係数が5×10-13cm2/dyn(5×10-8 cm2/N)以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学補償シート。
  5. 延伸ポリマーフィルムがシクロオレフィン系ポリマーフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学補償シート。
  6. 偏光子及びその両側に配置された2枚の保護フィルムからなる偏光板であって、少なくとも1枚の保護フィルムが請求項1〜5のいずれかに記載の光学補償シートであることを特徴とする偏光板。
  7. 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、少なくとも1つの偏光板が請求項6に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
  8. 該液晶セルがVAモードであることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
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