JP6821913B2 - 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、ロールフィルム、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、光学フィルムの製造方法、ロールフィルム、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、光学フィルム、光学フィルムの製造方法、ロールフィルム、偏光板及び画像表示装置に関する。特に、本発明は、巻き取られたときの形状が良好であって内部ヘイズ値が低い光学フィルム、そのような光学フィルムの製造方法、そのような光学フィルムを巻き取ったロールフィルム、そのような光学フィルムを備えた偏光板及び画像表示装置に関する。
従来、テレビジョン、ノートパソコン及びスマートフォン等の画像表示装置には偏光板が搭載され、当該偏光板は偏光子及び保護フィルム等を備えて構成されている。
保護フィルムとしては、例えば、セルロース樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート及びシクロオレフィン樹脂等を含有する光学フィルムが用いられている。
しかしながら、上記のような光学フィルムは滑り性が低いため、搬送ローラーで搬送する際に搬送ローラー上で滑らず、当該光学フィルムに張力が過剰にかかることで、ツレやシワ、破断等の欠陥が発生してしまうといった問題がある。
また、上記のような光学フィルムは、ロール状に巻き取られて互いに重ね合わされた際の滑り性も低いため、フィルムをロール状に巻き取ったときの形状(巻き形状)が安定しない。巻き形状が安定しない、つまり、光学フィルムが均一に巻き取られていないと、例えばそれを巻き出して偏光子と貼り合わせて偏光板を作製するとき等に、フィルム端部にバラツキが出て品質が低下する場合がある。このような場合、最終的に得られる偏光板の収率が低下してしまう。
これらのような問題に対しては、例えば、光学フィルムにシリカ微粒子を含有させたり、フィルム端部にナーリングを付与したりするといった対応が考えられる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、シリカ微粒子を添加する方法にあっては、シリカ微粒子の添加量が少ないと光学フィルムに十分な滑り性を付与できず、シリカ微粒子の添加量が多いと滑り性は付与できるものの光学フィルムの内部ヘイズ値が上昇して、画像表示装置等に搭載した場合に視認性が低下する。
また、製造するフィルムが5〜40μmの薄膜であると、巻き形状の径を小さくできるため、より長尺な光学フィルムを巻き取ることが可能となる。このような場合、光学フィルム端部に上記ナーリングを付与したとしても、巻き取られた光学フィルムの中心軸近傍ではナーリングが潰れてしまい、巻き形状を安定させることができない場合がある。
特開2005−342929号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、巻き取られたときの形状が良好であって内部ヘイズ値が低い光学フィルム、そのような光学フィルムの製造方法、そのような光学フィルムを巻き取ったロールフィルム、そのような光学フィルムを備えた偏光板及び画像表示装置を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、光学フィルムが、表面粗さRaが大きいA面、表面粗さRaが小さいB面を有し、A面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μ(A/A)と、B面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μ(B/B)とが所定範囲の差を有していることで、巻き取られたときの巻き形状が良好であって内部ヘイズ値が低い光学フィルムを提供できることを見いだした。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.両面で表面粗さRaの異なる単層の光学フィルムであって、
両面のうち表面粗さRaが大きい面をA面、表面粗さRaが小さい面をB面としたとき、A面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μ(A/A)と、B面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μ(B/B)との差が、
0.5≦μ(B/B)−μ(A/A)≦10.0
を満たし、かつ、前記光学フィルムが表面調整剤及び微粒子を、それぞれ前記光学フィルムを構成する材料中の溶剤を除く全成分に対し、0.05〜5.0質量%の範囲内及び0.01〜5.0質量%の範囲内で含有することを特徴とする光学フィルム。
2.前記動摩擦係数μ(A/A)が、
0.05≦μ(A/A)≦5.0
を満たすことを特徴とする第1項に記載の光学フィルム。
3.前記動摩擦係数μ(B/B)が、
0.55≦μ(B/B)≦15.0
を満たすことを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルム。
4.厚さが、5〜40μmであることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
5.シクロオレフィン樹脂、セルロース樹脂及びアクリル樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項の光学フィルム。
6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、
2種以上の溶媒を用いた溶液流延法により製造することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
7.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の光学フィルムを巻き取ったロールフィルムであって、
前記光学フィルムの巻き取り方向の長さが、1000m以上であり、前記光学フィルムの幅方向の長さが1〜4mの範囲内であることを特徴とするロールフィルム。
8.ストレート巻き又はオシレート巻きにより巻き取られていることを特徴とする第7項に記載のロールフィルム。
9.偏光子と、
第1項から第5項までのいずれか一項に記載の光学フィルムと、を備えることを特徴とする偏光板。
10.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の光学フィルムを備えることを特徴とする画像表示装置。
本発明によれば、巻き取られたときの形状が良好であって内部ヘイズ値が低い光学フィルム、そのような光学フィルムの製造方法、そのような光学フィルムを巻き取ったロールフィルム、そのような光学フィルムを備えた偏光板及び画像表示装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明では、フィルム両面のうち表面粗さRaが大きい面をA面、表面粗さRaが小さい面をB面としたとき、A面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μ(A/A)と、B面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数(B/B)との差が0.5〜10.0の範囲内であるため、A面の滑り性がB面よりも十分に高くなっている。これにより、薄膜且つ長尺な光学フィルムが巻き取られるときの中心軸近傍でも、A面とB面との間に十分な滑り性が発現し、良好な巻き形状とすることができる。
また、光学フィルムのA面及びB面の上記動摩擦係数の差を上記範囲に設定することで、シリカ微粒子等を過剰に添加することなく、良好な巻き形状とすることができるため、内部ヘイズ値を低減することができる。
本発明の光学フィルムは、両面で表面粗さRaの異なる単層の光学フィルムであって、両面のうち表面粗さRaが大きい面をA面、表面粗さRaが小さい面をB面としたとき、A面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μ(A/A)と、B面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μ(B/B)との差が、0.5≦μ(B/B)−μ(A/A)≦10.0を満たし、かつ、前記光学フィルムが表面調整剤及び微粒子を、それぞれ前記光学フィルムを構成する材料中の溶剤を除く全成分に対し、0.05〜5.0質量%の範囲内及び0.01〜5.0質量%の範囲内で含有することを特徴とする。この特徴は、各請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明においては、前記動摩擦係数μ(A/A)が、0.05≦μ(A/A)≦5.0を満たすことが好ましい。これにより、巻き形状が更に良好な光学フィルムとすることができる。
また、本発明においては、前記動摩擦係数μ(B/B)が、0.55≦μ(B/B)≦15.0を満たすことが好ましい。これにより、巻き形状が更に良好な光学フィルムとすることができる。
また、本発明においては、厚さが、5〜40μmであることが好ましい。これにより、巻き形状が更に良好な光学フィルムとすることができる。
また、本発明においては、シクロオレフィン樹脂、セルロース樹脂及びアクリル樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。これにより、画像表示装置に搭載される際に必要とされる透明性・光学特性・強度・生産性を向上させることができる。
本発明の光学フィルムの製造方法は、上記光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、2種以上の溶媒を用いた溶液流延法により製造することを特徴とする。これにより、巻き取られたときの形状が良好であって内部ヘイズ値が低い光学フィルムを製造することができる。
本発明のロールフィルムは、上記光学フィルムを巻き取ったロールフィルムであって、前記光学フィルムの巻き取り方向の長さが、1000m以上であり、前記光学フィルムの幅方向の長さが1〜4mの範囲内であることを特徴とする。
本発明においては、ストレート巻き又はオシレート巻きにより巻き取られていることが好ましい。
本発明の偏光板は、偏光子と、上記光学フィルムと、を備えることを特徴とする。これにより、内部ヘイズ値の低い偏光板とすることができる。
本発明の画像表示装置は、上記光学フィルムを備えることを特徴とする。これにより、視認性を向上させることができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《1.光学フィルムの概要》
本発明の光学フィルムは、両面で表面粗さRaの異なる単層の光学フィルムであって、両面のうち表面粗さRaが大きい面をA面、表面粗さRaが小さい面をB面としたとき、A面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μ(A/A)と、B面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数(B/B)との差が、0.5≦μ(B/B)−μ(A/A)≦10.0を満たすことを特徴とする。
本発明においては、動摩擦係数μを次のように測定することができる。
JIS K7125(1987)に準じ、光学フィルムを切り出して、水平面上でA面同士又はB面同士が接触するように重ね合わせ、その上に200gの重りを載せ、移動速度100mm/分、接触面積80mm×200mmの条件で、重ね合わされたフィルムのうち上側のフィルムを水平に引っ張り、当該上側のフィルムが移動中の平均荷重(F)を測定し、下記式より動摩擦係数(μ)を求める。
動摩擦係数μ=F(g)/重りの重さ(g)
光学フィルムのA面及びB面の動摩擦係数差を上記範囲内に制御する手段としては、例えば、光学フィルムに微粒子及び表面調整剤を組み合わせて含有させる方法を挙げることができる。
ここで、一般に、光学フィルムの組成物を含有するドープを支持体上に流延し、得られる膜状物から溶媒を乾燥させてフィルムを得る溶液流延法により光学フィルムを製造する際、支持体から膜状物を剥離するときの剥離性の観点から、ドープに低沸点溶媒を良溶媒として含有させることが好ましい。
当該方法により光学フィルムを作製する場合において、上記した微粒子と表面調整剤とはドープや膜状物の中で会合体を形成しており、当該会合体は良溶媒との親和性が高いものと考えられる。このため、支持体上に流延された膜状物が乾燥する過程で、膜状物から揮発する良溶媒とともに、上記会合体が膜状物の空気界面側の表面に移動し、この状態で固定化されて光学フィルムが製造される。これにより、微粒子を表面調整剤とともに光学フィルムの片面に偏在させることができ、光学フィルムの両面のうち一方の面(空気界面側の表面)が選択的に荒れる結果、顕著な滑り性を発現して、これがA面となる。
以上のような方法により、A面及びB面の動摩擦係数差を上記範囲内とすることができる。
A面及びB面の動摩擦係数差を上記範囲内とすることで、薄膜かつ長尺な光学フィルムが巻き取られるときの中心軸近傍でも、A面とB面との間に十分な滑り性が発現し、良好な巻き形状とすることができる。また、上記したように、微粒子を表面調整剤とともに含有させることでA面及びB面の動摩擦係数差を上記範囲内に制御するものであるから、光学フィルムには少量の微粒子を含有させるのみであり、内部ヘイズ値を大きく上昇させることがない。
また、本発明において単層とは、一回の製膜で作製することができる単一の層からなるものであり、積層構造でないものをいう。
なお、本発明の光学フィルムは、上記微粒子及び表面調整剤の他、後述する熱可塑性樹脂、各種添加剤、及びフィルム製膜時に用いられる溶媒を残留溶媒として更に含有するものであっても良い。
1−1.熱可塑性樹脂
本発明の光学フィルムの原料としては、主として熱可塑性樹脂が用いられることが好ましい。ここで、熱可塑性樹脂とは、ガラス転移温度又は融点まで加熱することによって軟らかくなり、目的の形に成形できる樹脂のことをいう。
熱可塑性樹脂としては、一般的な光学フィルム用樹脂としてのポリカーボネート、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリオレフィン等を用いることができる。また、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィン樹脂、アクリル系ポリマー、ラクトン環を有するアクリル系重合体ポリマー、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル等を用いても良い。
特に、光学特性、製造性及びコスト面から、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロース樹脂、シクロオレフィン樹脂、アクリル樹脂等が好ましく、耐熱性及び耐湿性の観点からシクロオレフィン樹脂が特に好ましい。
これらの原料は単独で用いても良いし、異なる熱可塑性樹脂を混合して用いても良い。
熱可塑性樹脂の含有量は、光学フィルムを構成する材料中の溶剤を除く全成分に対し、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
(シクロオレフィン樹脂)
以下、特に好ましく用いられるシクロオレフィン樹脂について詳細に説明する。
本発明の光学フィルムに含有されるシクロオレフィン樹脂は、シクロオレフィン単量体の重合体、又はシクロオレフィン単量体とそれ以外の共重合性単量体との共重合体であることが好ましい。
シクロオレフィン単量体としては、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体であることが好ましく、下記一般式(A−1)又は(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体であることがより好ましい。
Figure 0006821913
一般式(A−1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基、又は極性基を表す。pは、0〜2の整数を表す。ただし、R〜Rの全てが同時に水素原子を表すことはなく、RとRが同時に水素原子を表すことはなく、RとRが同時に水素原子を表すことはないものとする。
一般式(A−1)においてR〜Rで表される炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1〜5の炭化水素基であることがより好ましい。炭素原子数1〜30の炭化水素基は、例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含む連結基を更に有していても良い。そのような連結基の例には、カルボニル基、イミノ基、エーテル結合、シリルエーテル結合、チオエーテル結合等の2価の極性基が含まれる。炭素原子数1〜30の炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等が含まれる。
一般式(A−1)においてR〜Rで表される極性基の例には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基及びシアノ基が含まれる。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基が好ましい。
一般式(A−1)におけるpは、光学フィルムの耐熱性を高める観点から、1又は2を表すことが好ましい。pが1又は2を表すと、得られる重合体が嵩高くなり、ガラス転移温度が向上しやすいためである。
Figure 0006821913
一般式(A−2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。Rは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子)を表す。pは、0〜2の整数を表す。
一般式(A−1)におけるRは、炭素数1〜5の炭化水素基を表すことが好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基を表すことがより好ましい。
一般式(A−2)におけるRは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基を表すことが好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基がより好ましい。
一般式(A−2)におけるpは、光学フィルムの耐熱性を高める観点から、1又は2を表すことが好ましい。pが1又は2を表すと、得られる重合体が嵩高くなり、ガラス転移温度が向上しやすいためである。
一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体は、有機溶媒への溶解性を向上させる点から好ましい。一般的に有機化合物は対称性を崩すことによって結晶性が低下するため、有機溶媒への溶解性が向上する。一般式(A−2)におけるR及びRは、分子の対称軸に対して片側の環構成炭素原子のみに置換されているので、分子の対称性が低く、これにより、一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体は溶解性が高く、光学フィルムを溶液流延法によって製造する場合に適している。
シクロオレフィン単量体の重合体における一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体の含有割合は、シクロオレフィン樹脂を構成する全シクロオレフィン単量体の合計に対して例えば70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは100モル%とし得る。一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体を一定以上含むと、樹脂の配向性が高まるため、位相差値が上昇しやすい。
以下、一般式(A−1)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物1〜14に示し、一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物15〜34に示す。
Figure 0006821913
シクロオレフィン単量体と共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロオレフィン単量体と開環共重合可能な共重合性単量体、及びシクロオレフィン単量体と付加共重合可能な共重合性単量体等が含まれる。
開環共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン及びジシクロペンタジエン等のシクロオレフィンが含まれる。
付加共重合可能な共重合性単量体の例には、不飽和二重結合含有化合物、ビニル系環状炭化水素単量体及び(メタ)アクリレート等が含まれる。不飽和二重結合含有化合物の例には、炭素原子数2〜12(好ましくは2〜8)のオレフィン系化合物が含まれ、その例には、エチレン、プロピレン及びブテン等が含まれる。ビニル系環状炭化水素単量体の例には、4−ビニルシクロペンテン及び2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体が含まれる。(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜20のアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
シクロオレフィン単量体と共重合性単量体との共重合体におけるシクロオレフィン単量体の含有割合は、共重合体を構成する全単量体の合計に対して例えば20〜80モル%、好ましくは30〜70モル%とし得る。
シクロオレフィン樹脂は、前述のとおり、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体、好ましくは一般式(A−1)又は(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体を重合又は共重合して得られる重合体であり、その例には、以下のものが含まれる。
(1)シクロオレフィン単量体の開環重合体
(2)シクロオレフィン単量体と、それと開環共重合可能な共重合性単量体との開環共重合体
(3)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体の水素添加物
(4)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフツ反応により環化した後、水素添加した(共)重合体
(5)シクロオレフィン単量体と、不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体
(6)シクロオレフィン単量体のビニル系環状炭化水素単量体との付加共重合体及びその水素添加物
(7)シクロオレフィン単量体と、(メタ)アクリレートとの交互共重合体
上記(1)〜(7)の重合体は、いずれも公知の方法、例えば特開2008−107534号公報や特開2005−227606号公報に記載の方法で得ることができる。例えば、上記(2)の開環共重合に用いられる触媒や溶媒は、例えば特開2008−107534号公報の段落0019〜0024に記載のものを使用できる。上記(3)及び(6)の水素添加に用いられる触媒は、例えば特開2008−107534号公報の段落0025〜0028に記載のものを使用できる。上記(4)のフリーデルクラフツ反応に用いられる酸性化合物は、例えば特開2008−107534号公報の段落0029に記載のものを使用できる。上記(5)〜(7)の付加重合に用いられる触媒は、例えば特開2005−227606号公報の段落0058〜0063に記載のものを使用できる。上記(7)の交互共重合反応は、例えば特開2005−227606号公報の段落0071及び0072に記載の方法で行うことができる。
中でも、上記(1)〜(3)及び(5)の重合体が好ましく、上記(3)及び(5)の重合体がより好ましい。すなわち、シクロオレフィン樹脂は、得られるシクロオレフィン樹脂のガラス転移温度を高くし、かつ光透過率を高くすることができる点で、下記一般式(B−1)で表される構造単位及び下記一般式(B−2)で表される構造単位の少なくとも一方を含むことが好ましく、一般式(B−2)で表される構造単位のみを含むか、又は一般式(B−1)で表される構造単位と一般式(B−2)で表される構造単位の両方を含むことがより好ましい。一般式(B−1)で表される構造単位は、前述の一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体由来の構造単位であり、一般式(B−2)で表される構造単位は、前述の一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体由来の構造単位である。
Figure 0006821913
一般式(B−1)中、Xは、−CH=CH−又は−CHCH−を表す。R〜R及びpは、それぞれ一般式(A−1)のR〜R及びpと同義である。
Figure 0006821913
一般式(B−2)中、Xは、−CH=CH−又は−CHCH−を表す。R、R及びpは、それぞれ一般式(A−2)のR、R及びpと同義である。
本発明に係るシクロオレフィン樹脂は、市販品であっても良い。シクロオレフィン樹脂の市販品の例には、JSR(株)製のアートン(Arton)G(例えばG7810等)、アートンF、アートンR(例えばR4500、R4900及びR5000等)、及びアートンRXが含まれる。
シクロオレフィン樹脂の固有粘度〔η〕inhは、30℃において、0.2〜5cm/gであることが好ましく、0.3〜3cm/gであることがより好ましく、0.4〜1.5cm/gであることが更に好ましい。
シクロオレフィン樹脂の数平均分子量(Mn)は、8000〜100000であることが好ましく、10000〜80000であることがより好ましく、12000〜50000であることが更に好ましい。シクロオレフィン樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20000〜300000であることが好ましく、30000〜250000であることがより好ましく、40000〜200000であることが更に好ましい。シクロオレフィン樹脂の数平均分子量や重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算にて測定することができる。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあると、シクロオレフィン樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性、及びフィルムとしての成形加工性が良好となる。
シクロオレフィン樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常、110℃以上であり、110〜350℃であることが好ましく、120〜250℃であることがより好ましく、120〜220℃であることが更に好ましい。Tgが110℃以上であると、高温条件下での変形を抑制しやすい。一方、Tgが350℃以下であると、成形加工が容易となり、成形加工時の熱による樹脂の劣化も抑制しやすい。
1−2.微粒子
本発明に係る微粒子とは、透過型電子顕微鏡により測定した場合における数平均粒子径が400nm以下である粒子を指す。この場合、各粒子の粒径は透過型電子顕微鏡における投影面を同面積の円に換算した場合の直径として定義される。不要な散乱を発生させないためには、微粒子の粒径は可視光の波長より十分に小さいことが好ましく、具体的には1〜200nmが好ましい範囲であり、より好ましくは1〜100nmの範囲であり、特に好ましくは5〜60nmの範囲である。粒子の形状は、球状に限定されず不定形の形状であっても良い。
本発明に係る微粒子としては、無機微粒子であっても良いし、有機微粒子であっても良い。また、有機化合物で表面修飾された無機微粒子であっても良い。
無機微粒子としては、例えば、ケイ素を含む化合物(ケイ素化合物)、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等であることが好ましく、更に好ましくは、ケイ素化合物や酸化アルミニウムであるが、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。これらは、球状、平板状又は無定形状等の形状の粒子が挙げられる。
二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R972CF、R974、R812、50、200、200V、300、R202、OX50、TT600、R711、RY300、R106、R816、RA200HS、MOX170(以上、日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
酸化アルミニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルAlu C、Alu130及びAlu C805(以上、日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
また、有機微粒子としては、例えば、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂等、アクリル−スチレン樹脂、メラミン−シリカ等複合されたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの無機微粒子及び有機微粒子は、単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。また、有機微粒子を使用する場合には、単分散における屈折率と樹脂の屈折率の差が少ないものを使用することが好ましい。
微粒子の含有量は、光学フィルムを構成する材料中の溶剤を除く全成分に対し、0.01〜5.0質量%の範囲内が好ましく、0.05〜3.0質量%の範囲内がより好ましい。
1−3.表面調整剤
本発明において表面調整剤とは、シリコーン材料、フッ素系材料、ビニル系材料及びアクリル系材料のうち少なくとも1種を含有するものをいう。
シリコーン材料としては、例えば、シリコーン系界面活性剤等、フッ素系材料としては、例えば、フッ素系界面活性剤、フッ素−シロキサングラフト化合物又はフッ素系化合物等、ビニル系材料としては、例えば、ビニル共重合物、ビニル−シロキサングラフト化合物等、アクリル系材料としては、例えば、アクリル−シリコーングラフト化合物、アクリル共重合物等が用いられることが好ましい。
ここで、シリコーン材料とは、シロキサン骨格を繰り返し単位として有するオリゴマー又はポリマーである。このシロキサン繰り返し構造は、主鎖として有していても良いし、グラフトされた側鎖として有していても良い。
フッ素系材料とは、フッ素原子を少なくとも一つ繰り返し単位中に含有するオリゴマー又はポリマーである。この含フッ素繰り返し構造は、主鎖として有していても良いし、グラフトされた側鎖として有していても良い。
ビニル系材料とは、ビニル基、ビニリデン基、ビニレン基のうち少なくとも1種を繰り返し単位中に有するオリゴマー又はポリマーである。このビニル基含有繰り返し構造は、主鎖として有していても良いし、グラフトされた側鎖として有していても良い。
アクリル系材料とは、アクリロイル基を繰り返し単位中に有するオリゴマー又はポリマーである。このビニル基含有繰り返し構造は、主鎖として有していても良いし、グラフトされた側鎖として有していても良い。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーンやアクリル変性シリコーン等を挙げることができ、上記共栄社化学社製のGLシリーズ(例えば、GL−01、GL−02R、GL−03、GL−04R等)や、日信化学工業社製のシルフェイスシリーズ(例えば、シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG008、シルフェイスSAG503A等)等を挙げることができる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、DIC株式会社製のメガファックRSシリーズ、メガファックF−444、メガファックF−556等を挙げることができる。
フッ素−シロキサングラフト化合物とは、少なくともフッ素系樹脂に、シロキサン及び/又はオルガノシロキサン単体を含むポリシロキサン及び/又はオルガノポリシロキサンをグラフト化させて得られる共重合体の化合物をいう。また、市販品としては、富士化成工業株式会社製のZX−022H、ZX−007C、ZX−049、ZX−047−D等を挙げることができる。
また、フッ素系化合物としては、ダイキン工業株式会社製のオプツールDSX、オプツールDAC等を挙げることができる。
アクリル共重合物としては、ビックケミー・ジャパン社製のBYK−350、BYK−352等を挙げることができる。
本発明に係る表面調整剤として、上記したものの他に、次の市販品を用いることができる。例えば、花王株式会社製:エマルゲン102KG、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン109P、エマルゲン120、エマルゲン123P、エマルゲン147、エマルゲン210P、エマルゲン220、エマルゲン306P、エマルゲン320P、エマルゲン404、エマルゲン408、エマルゲン409PV、エマルゲン420、エマルゲン430、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン1118S−70、エマルゲン1135S−70、エマルゲン2020G−HA、エマルゲン2025G、エマルゲンLS−106、エマルゲンLS−110、エマルゲンLS114、日信化学工業株式会社製:サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104DPM、サーフィノール104PA、サーフィノール104PG−50、サーフィノール104S、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノールSE、信越化学工業株式会社製:FA−600、KC−89S、KR−500、KR−516、X−40−9296、KR−513、X−22−161A、X−22−162C、X−22−163、X−22−163A、X−22−164、X−22−164A、X−22−173BX、X−22−174ASX、X−22−176DX、X−22−343、X−22−2046、X−22−2445、X−22−3939A、X−22−4039、X−22−4015、X−22−4272、X−22−4741、X−22−4952、X−22−6266、KF−50−100cs、KF−96L−1cs、KF−101、KF−102、KF−105、KF−351、KF−352、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−393、KF−615A、KF−618、KF−857、KF−859、KF−860、KF−862、KF−877、KF−889、KF−945、KF−1001、KF−1002、KF−1005、KF−2012、KF−2201、X−22−2404、X−22−2426、X−22−3710、KF−6004、KF−6011、KF−6015、KF−6123、KF−8001、KF−8010、KF−8012、X−22−9002等が挙げられる。
表面調整剤の含有量は、光学フィルムを構成する材料中の溶剤を除く全成分に対し、0.01〜5.0質量%の範囲内が好ましく、0.05〜3.0質量%の範囲内がより好ましい。表面調整剤の含有量が、0.01質量%以上であることで、本発明の効果を十分に発揮でき、5.0質量%以下であることで、フィルムの内部ヘイズを低く抑えつつ滑り性をより確実に付与することができる。
1−4.その他の添加剤
上記したように、本発明の光学フィルムには、更に他の添加剤が含有されていても良い。そのような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤や酸化防止剤等が挙げられる。
(紫外線吸収剤)
本発明の光学フィルムは、添加剤として紫外線吸収剤を含有していても良い。
紫外線吸収剤は、400nm以下の紫外線を吸収するため、光学フィルムの耐久性を向上させることができる。紫外線吸収剤は、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
紫外線吸収剤の具体例としては特に限定されないが、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられ、特に好ましくはベンゾトリアゾール系化合物及びベンゾフェノン系化合物等である。
紫外線吸収剤としては、より具体的には、例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等を用いることができる。これらは、市販品を用いても良く、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン109(オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物)、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)等のチヌビン類を好ましく使用できる。
この他、1,3,5−トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特にポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、市販品であるBASFジャパン社製のチヌビン400(2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルとオキシランとの反応生成物)、チヌビン460(2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン)、チヌビン405(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物)等を用いることができる。
紫外線吸収剤の添加方法としては、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール、ジクロロメタン、酢酸メチル、アセトン若しくはジオキソラン等の有機溶媒又はこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してから、光学フィルムの製造に用いられる樹脂溶液(ドープ)に添加するか、又は直接ドープに添加しても良い。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースアセテート中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の含有量としては、例えば、光学フィルムに対して0.5〜10質量%の範囲が好ましく、0.6〜4質量%の範囲が更に好ましい。
(酸化防止剤)
本発明の光学フィルムは、その他の添加剤として酸化防止剤(劣化防止剤)を含有していても良い。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等を挙げることができる。
酸化防止剤の含有量は、例えば、光学フィルムに対して1〜10000質量ppmの範囲が好ましく、10〜1000質量ppmの範囲が更に好ましい。
1−5.光学フィルムの物性
(表面粗さRa)
本発明の光学フィルムの両面のうち表面粗さRaが大きい面であるA面の表面粗さRaは、3.0〜50.0nmの範囲内であることが好ましく、4.0〜40.0nmの範囲内であることがより好ましい。表面粗さRaが3.0nm以上であると、光学フィルムの滑り性が向上し、搬送中のツレやシワを抑制できる。表面粗さRaが50nm以下であると、光学フィルム表面の凹凸による光の散乱を抑制でき、ヘイズ値を低い値にすることができる。なお、本発明における表面粗さRaは、JIS B0601:2001で規定される算術平均粗さ(Ra)であるものとする。
また、本発明の光学フィルムの両面のうち表面粗さRaが小さい面であるB面の表面粗さRaは、2.0〜30.0nmの範囲内であることが好ましく、2.0〜20.0nmの範囲内であることがより好ましい。表面粗さRa値が当該範囲内にあることで、光学フィルムの表面粗さRaが低い面に偏光子を貼り合わせて偏光板を作製したときに、表面粗さRaが高い面よりも凹凸が少ない分、当該偏光子との接着界面に隙間が生じにくく光の散乱を抑制することができるため、液晶表示装置に搭載したときに光漏れを効果的に抑制することができる。
ここで、上記したように、フィルムに微粒子を表面調整剤とともに含有させることで、微粒子をフィルムの一方の面(製膜時における空気界面側の表面)に多く存在させることができるが、当該微粒子はフィルムの他方の面(製膜時における支持体(例えば、後述する金属支持体)側の表面)にも一部存在し、B面を形成している。
これは、光学フィルムの製造における膜状物の乾燥工程において、溶媒は良溶媒から優先して揮発するが、乾燥の最終段階まで揮発しない良溶媒成分も若干存在するため、その良溶媒に溶媒和された上記会合体はフィルムの他方の面にも存在すると考えられる。このため、フィルムの一方の面に比べれば微粒子の存在量は少ないが、微粒子と表面調整剤とが会合体を形成している分、粒径が大きく、上記したような範囲の表面粗さRaを得ることができる。
B面の表面粗さRaを上記範囲内に制御する方法としては、微粒子及び表面調整剤の含有量や、フィルム製造時の延伸条件を適宜調整する方法が挙げられる。
更に、光学フィルム両面の表面粗さRaの差が、1.0nm以上であることが好ましい。フィルム両面の表面粗さRaに差があることで、ヘイズ値を低く保ちつつ光学フィルムの搬送性を向上させることができる。
なお、表面粗さRaは、光干渉式の表面粗さ測定器で測定することができ、例えば光学干渉式表面粗さ計RST/PLUS(WYKO社製)を用いて測定することができる。
(光学特性)
光学フィルムは、全光線透過率が90%以上であることが好ましく、より好ましくは92%以上である。また、現実的な上限としては99%程度である。フィルム全体としてのヘイズ値は10%以下であることが好ましく、より好ましくは2%以下である。全光線透過率及びフィルム全体としてのヘイズ値は、それぞれJIS K7361及びJIS K7136に準じて測定することができる。
(リターデーション値)
本発明の光学フィルムの使用用途は特に限定されず、偏光板保護フィルムとして用いられても良いし、位相差フィルムとして用いられても良い。位相差フィルムとして用いられる場合は、その用途に応じて種々のリターデーション値をとり得る。
例えば、本発明の光学フィルムがVA液晶用の位相差フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃・55%RHの環境下で測定される面内方向のリターデーション値Roは、10nm≦Ro≦100nmを満たすことが好ましく、20nm≦Ro≦80nmを満たすことがより好ましい。厚さ方向のリターデーション値Rtは、70nm≦Rt≦200nmを満たすことが好ましく、90nm≦Rt≦150nmを満たすことがより好ましい。
なお、リターデーション値Ro及びRtは下記式(i)及び(ii)で定義される値である。
式(i):Ro=(n−n)×d
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d
(式(i)及び(ii)中、nは光学フィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nは光学フィルム面内で遅相軸に直交する方向の屈折率、nは光学フィルムの厚さ方向の屈折率、dは光学フィルムの厚さ(nm)をそれぞれ表す。)
本発明の光学フィルムがλ/4フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃・55%RHの環境下で測定される面内方向のリターデーション値Roは、50nm≦Ro≦250nmを満たすことが好ましく、70nm≦Ro≦200nmを満たすことがより好ましい。厚さ方向のリターデーション値Rtは、−200nm≦Rt≦200nmを満たすことが好ましく、−120nm≦Rt≦120nmを満たすことがより好ましい。
また、本発明の光学フィルムがゼロ位相差フィルムとして用いられる場合、測定波長590nm、23℃・55%RHの環境下で測定される面内方向のリターデーション値Roは、0nm≦Ro≦5nmを満たすことが好ましく、厚さ方向のリターデーション値Rtは、−5nm≦Rt≦5nmを満たすことが好ましい。
上記リターデーション値は、例えば自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下で、波長590nmにて求めることができる。上記リターデーション値に制御した光学フィルムを用いることで、タッチパネルや液晶表示装置等の画像表示装置に用いた際の視認性に優れる点から好ましい。リターデーション値は、微粒子、表面調整剤及びその他の添加剤の種類や添加量、光学フィルムの厚さや延伸条件等で調整できる。
(厚さ)
光学フィルムの厚さは、上記リターデーション値RoとRtが上記範囲を満たし、かつ薄膜化の観点から、例えば3〜200μmであることが好ましく、5〜100μmであることがより好ましく、7〜40μmであることが更に好ましく、5〜40μmであることが特に好ましい。特に、本発明の光学フィルムは、滑り性が付与されているため搬送張力を緩和することができ、薄膜化しても良好な搬送性を有し得る。
2.光学フィルムの製造方法
本発明の光学フィルムは、2種以上の溶媒を用いた溶液流延法で製造される。すなわち、本発明の光学フィルムの製造方法は、少なくとも熱可塑性樹脂と微粒子と表面調整剤とを2種類以上の溶媒に溶解させてドープ(樹脂溶液)を得る工程(ドープ調製工程)と、ドープを支持体上に流延した後、剥離して膜状物を得る工程(流延・剥離工程)と、膜状物を乾燥させる工程(乾燥工程)と、を有することが好ましい。また、本発明の光学フィルムの製造方法は、流延・剥離工程と乾燥工程との間に、膜状物を延伸する工程(延伸工程)を有することが好ましく、乾燥工程の後に、得られた光学フィルムを巻取る工程(巻き取り工程)を有することが好ましい。
2−1.ドープ調製工程
ドープ調製工程について説明する。ドープ中の樹脂濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、樹脂の濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜45質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜40質量%である。
ドープに含有される溶媒は、2種以上が併用されるが、樹脂の良溶剤と貧溶剤とを混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方が樹脂の溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤との混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。ここで、良溶剤及び貧溶剤とは、使用する樹脂を、単独で溶解するものを良溶剤、単独では膨潤するか又は溶解しないものを貧溶剤と定義している。
また、ドープの調製に有用な有機溶媒の組み合わせとしては、熱可塑性樹脂や、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば特に制限されない。例えば、塩素系有機溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、トルエン、p−キシレン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等を挙げることができ、ジクロロメタン、トルエン、テトラヒドロフラン、エタノール、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープは、熱可塑性樹脂、微粒子、表面調整剤及びその他の添加剤を、前記溶媒に計15〜45質量%溶解させたドープであることが好ましい。
上記ドープを調製するときの、溶媒への樹脂の溶解方法としては一般的な方法を用いることができる。特に、溶解装置への負担低減や、樹脂の着色を防ぐ観点から、常温、常圧での溶解が望ましい。
次に、この樹脂を溶解した溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため絶対濾過精度が0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。濾過により、原料の樹脂に含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に光学フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点の数が200個/cm以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm以下であり、更に好ましくは50個/m以下であり、特に好ましくは0〜10個/cmの範囲内である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶媒の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶媒が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という。)の発現が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。具体的には、濾圧が1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
2−2.流延・剥離工程
得られたドープを流延ダイから吐出させて金属支持体上に流延し、得られた流延膜を乾燥及び剥離して膜状物を得る。流延幅は、例えば1〜4mとすることができる。金属支持体としては、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムを用いることができる。金属支持体の表面は、鏡面仕上げされていることが好ましい。なお、ドープが流延される支持体は金属製に限られるものではなく、樹脂製等、いずれの材質であっても良い。
金属支持体の表面温度は、−50℃〜溶媒の沸点未満の温度で、高い方が膜状物の乾燥速度を高くすることができるので好ましいが、高過ぎると膜状物が発泡したり、平面性が劣化したりする。したがって、金属支持体の表面温度は、0〜40℃であることが好ましく、5〜30℃であることがより好ましい。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹き付ける方法や、金属支持体の裏側に温水を接触させる方法が挙げられる。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使用する場合がある。
良好な平面性を有する膜状物を得るためには、金属支持体から剥離する際の膜状物の残留溶媒量が、10〜150質量%であることが好ましく、20〜40質量%又は60〜130質量%であることがより好ましく、20〜30質量%又は70〜120質量%であることが更に好ましい。
ここで、膜状物の残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
(上記式中、Mは、膜状物の質量を示し、Nは、当該膜状物を120℃で1時間加熱した後の質量を示す。)
2−3.乾燥工程
乾燥工程は、金属支持体より剥離した膜状物を、残留溶媒量が1質量%以下になるまで乾燥することが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下、特に好ましくは0〜0.01質量%の範囲内である。これにより、光学フィルムを得ることができる。
乾燥工程では、一般にローラー乾燥方式(上下に配置した多数のローラーに膜状物を交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式で膜状物を搬送させながら乾燥する方式が採られる。
特に、流延から剥離するまでの間で、上記金属支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
本発明においては、ドープや膜状物中で微粒子と表面調整剤とが会合体を形成し、当該会合体が良溶媒と親和性が高いことで、乾燥工程において膜状物から揮発する良溶媒とともに、当該会合体がフィルムの空気界面側の表面に移動し、微粒子及び表面調整剤が片面側に偏在した光学フィルムが得られるものと考えている。
これにより、2種以上の溶媒を用いた溶液流延法で光学フィルムを製造することで、光学フィルムに滑り性を付与して搬送性を向上させることができ、プロテクトフィルムを用いることなく高収率で偏光板等を作製することができる。
2−4.延伸工程
延伸工程では、剥離して得られた膜状物を延伸して位相差の調整を行う。
延伸は、少なくとも一方向に行うことができる。延伸方向は、膜状物の長手方向(MD方向)、膜状物の長手方向と直交する幅手方向(TD方向)、及び膜状物の長手方向に対して斜め方向のいずれであっても良い。延伸は、逐次延伸でも良いし、同時延伸でも良い。
互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的にはMD方向に1.0〜2.0倍の範囲内、TD方向に1.05〜2.0倍の範囲内とすることが好ましく、MD方向に1.0〜1.5倍の範囲内、TD方向に1.05〜2.0倍の範囲内とすることがより好ましい。例えば、複数のローラーに周速差をつけ、その間でローラー周速差を利用してMD方向に延伸する方法、膜状物の両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げてMD方向に延伸する方法、同様に横方向に広げてTD方向に延伸する方法、又はMD方向及びTD方向に同時に広げて両方向に延伸する方法等が挙げられる。
延伸工程におけるこれらの幅保持又は幅手方向の延伸は、テンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでも良い。
テンター等のフィルム搬送張力は温度にもよるが、120〜200N/mの範囲内が好ましく、140〜200N/mの範囲内が更に好ましく、140〜160N/mの範囲内が最も好ましい。
延伸する際の温度は、光学フィルムのガラス転移温度をTgとすると、(Tg−30)〜(Tg+100)℃の範囲内が好ましく、(Tg−20)〜(Tg+80)℃の範囲内がより好ましく、(Tg−5)〜(Tg+20)℃の範囲内が更に好ましい。
光学フィルムのTgは、光学フィルムを構成する材料種及び構成する材料の比率によって制御することができる。光学フィルムの乾燥時のTgは、110℃以上が好ましく、120℃以上が更に好ましく、150℃以上が特に好ましい。また、光学フィルムのTgは、190℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。光学フィルムのTgは、JIS K7121に記載の方法等に準拠して求めることができる。
延伸する際の光学フィルムの温度をTg+10℃以上とし、延伸倍率を1.10倍以上とすると、光学フィルムの表面に適度な粗さを付与できるため好ましい。光学フィルム表面に適度な粗さを付与することにより、滑り性が向上するとともに、表面加工性が向上するため好ましい。
2−5.巻き取り工程
巻き取り工程では、得られた光学フィルムを、巻き取り機で巻き取る。これにより、本発明のロールフィルムを得ることができる。巻き取り方法は、一般に使用される方法を採用でき、例えば、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等を用いることができる。
本発明の光学フィルムは、長尺状であることが好ましく、具体的には、巻き取り方向の長さが100〜7000m程度であることが好ましく、1000m以上であることが好ましい。このような長尺状の光学フィルムは、通常、長さ方向に対して直交する方向を巻き取り軸として巻き取ったロール体で提供され得る。光学フィルムの幅は、1〜4mであることが好ましく、1.4〜2mであることがより好ましい。光学フィルムの長さ及び幅を当該範囲内とすることで、機能性層等の塗布における加工適性や光学フィルム自体のハンドリング性に優れる。
巻き取る前に、製品となる幅になるように、光学フィルムの端部をスリットして裁ち落とし、巻き取り中の貼り付きや擦り傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施しても良い。ナール加工の方法としては、凹凸のパターンを側面に有する金属リングを用いて、光学フィルムに対して加熱や加圧をすることにより加工する方法を挙げることができる。光学フィルム両端部のクリップによる把持部分は、通常、変形しており製品として使用できないため切除され、その切除片は原料として再利用される。
巻き取り工程で用いられる巻取装置は、一般的に、フィルムの側縁が揃うように順々にフィルムを巻芯に巻き取っていくストレート巻き、又はフィルムの側縁がある一定範囲内で幅方向に振れるようにフィルムを巻芯に巻き取っていくオシレート巻きによりフィルムを巻き取る。このような巻き取りを行うことで、両側縁部(耳部)の巻径と中央部の巻径とがほぼ同じになるようにすることができる。
オシレート巻きにおけるフィルムの振幅としては、10〜200mmであることが好ましい。振幅が10mm以上であると、十分な効果が得られ、200mm以下であると、フィルム幅方向両端部の製品化不可能な耳部分の幅を低減し、生産性を向上させることができる。なお、オシレート巻きにおける巻き取り速度は、5〜100mm/分であることが好ましく、更に好ましくは10〜50mm/分である。巻き取り速度が速すぎる場合は、フィルムの搬送・巻き取りを行う際にしわを巻き込みやすく、また遅すぎる場合は、部分的に固定厚み斑が積層して平面性が悪化することがある。
《3.偏光板》
本発明の偏光板は、偏光子と、上記光学フィルムと、を備えることを特徴とする。
本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。例えば、本発明の光学フィルムをコロナ処理し、処理した光学フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。また、偏光子は、本発明の光学フィルムの両面のうち表面粗さRaが低いB面に接着されていることが好ましい。
偏光子のもう一方の面には、上記光学フィルムや、市販品であるKC8UX、KC4UX、KC4UY、KC8UY、KC6UA、KC4UA、KC4UE、KC4CZ、KC8UCR、KC4FR(コニカミノルタ(株)製)、アートンフィルム(JSR(株)製)、ゼオノアフィルム(日本ゼオン(株)製)等を貼り合わせることができる。
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素又は二色性染料で染色したフィルム(好ましくは更にホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であっても良いし、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、更にホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であっても良い。偏光子の吸収軸は、通常、最大延伸方向と平行である。
偏光子としては、例えば、特開2003−248123号公報又は特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが用いられる。中でも、熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。
偏光子の厚さは、5〜30μmの範囲内であることが好ましく、偏光板を薄型化する観点等から、5〜20μmの範囲内であることがより好ましい。
《4.画像表示装置》
本発明の画像表示装置は、上記光学フィルムを備えることを特徴とする。これにより、視認性やムラに優れる性能が発揮される点で好ましい。画像表示装置としては、反射型、透過型、半透過型液晶表示装置又は、TN型、STN型、OCB型、VA型、IPS型、ECB型等の各種駆動方式の液晶表示装置、タッチパネル表示装置、有機EL表示装置やプラズマディスプレイ等が挙げられる。
また、本発明の光学フィルムは、例えば液晶表示装置(上面側偏光板/液晶セル/下面側偏光板構成)の上面側偏光板の下にタッチパネル部材を用いたインナータッチパネルや静電容量方式のタッチパネル等にも使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
まず、本実施例において使用する各種材料について説明する。
(1)熱可塑性樹脂
(1−1)シクロオレフィン樹脂(COP)
G7810:ARTON−G7810(JSR社製)、シクロオレフィン樹脂(式(A−2)で表される単量体と他の単量体との共重合体(前述の(5)の重合体)、重量平均分子量Mw=140000)
R5000:ARTON−R5000(JSR社製)、シクロオレフィン樹脂(式(A−1)で表される単量体と、式(A−2)で表される単量体と、他の単量体との共重合体(前述の(5)の重合体)、重量平均分子量Mw=50000)
RX4500:ARTON−RX4500(JSR社製)、シクロオレフィン樹脂(式(A−1)で表される単量体と、式(A−2)で表される単量体と、他の単量体との共重合体(前述の(5)の重合体)、重量平均分子量Mw=63000)
(1−2)セルロース樹脂
TAC:セルローストリアセテート(イーストマンケミカル社製)、アセチル置換度3.0、重量平均分子量Mw=300000
(1−3)アクリル樹脂
BR85:ダイヤナールBR85(三菱レイヨン(株)製)、ポリメチルメタクリレート(PMMA、重量平均分子量Mw=280000)
(1−4)その他の樹脂
PI:ポリイミド樹脂(2,2-bis(3,4-anhydrodicarboxyphenyl) hexafluoropropane(6FDA)と4,4'-Diamino-2,2'-bis(trifluoromethyl)biphenyl(TFMB)との交互共重合体、重量平均分子量Mw=200000)
(2)微粒子
(2−1)ケイ素化合物を含有する微粒子
R812:トリメチルシリル基で表面修飾されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製)、平均一次粒径7nm
R972V:ジメチルシリル基で表面修飾されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製)、平均一次粒径12nm
200V:シリカ微粒子(日本アエロジル社製)、平均一次粒径12nm
300V:シリカ微粒子(日本アエロジル社製)、平均一次粒径7nm
RY300:ジメチルシリコーンオイルで表面修飾されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製)、平均一次粒径12nm
RA200HS:トリメチルシリル基とアミノ基で表面修飾されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製)、平均一次粒径12nm
R711:メタクリロキシシランで表面修飾されたシリカ微粒子(日本アエロジル社製)、平均一次粒径12nm
(2−2)その他の微粒子
Alu130:アルミナ微粒子(日本アエロジル社製)、平均一次粒径20nm
TiOP90:チタニア微粒子(日本アエロジル社製)、平均一次粒径20nm
(3)表面調整剤
(3−1)シリコーン材料
GL−01:アクリル変性シリコーン(共栄社化学社製)、重量平均分子量Mw=5200
GL−03:アクリル変性シリコーン(共栄社化学社製)、重量平均分子量Mw=4100
GL−04R:アクリル変性シリコーン(共栄社化学社製)、重量平均分子量Mw=4700
(3−2)フッ素系材料
ルブロン:四フッ化エチレン樹脂(ダイキン社製)、重量平均分子量Mw=2000
(3−3)ビニル系材料
P−410EF:ビニル重合体(楠本化成社製)、重量平均分子量Mw=4500
(3−4)アクリル系材料
LF−1984:アクリル重合体(楠本化成社製)、重量平均分子量Mw=3000
《光学フィルム101の作製》
(二酸化ケイ素分散希釈液の調製)
10質量部のアエロジルR812と、80質量部のエタノールとをディゾルバーで30分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行い、二酸化ケイ素分散液を調製した。調製した二酸化ケイ素分散液に、80質量部のジクロロメタンを撹拌しながら投入し、ディゾルバーで30分間撹拌混合した後、微粒子分散希釈液濾過器(アドバンテック東洋(株):ポリプロピレンワインドカートリッジフィルターTCW−PPS−1N)で濾過して二酸化ケイ素分散希釈液を調製した。
(ドープの調製)
熱可塑性樹脂:G7810 120質量部
紫外線吸収剤:TINUVIN 928(BASFジャパン(株)製)
3質量部
微粒子:二酸化ケイ素分散希釈液 10質量部
ジクロロメタン 357質量部
エタノール 19質量部
以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.24を使用して濾過し、ドープを調製した。
次に、ベルト流延製膜装置を用い、ステンレスバンド支持体上に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が80質量%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体上から剥離した。得られたウェブを35℃に保持して更に溶媒を蒸発させ、1.15m幅にスリットし、160℃の乾燥温度で乾燥させた。その後、130℃の乾燥装置内を多数のローラーで搬送させながら15分間乾燥させた後、1.0m幅にスリットし、巻芯に巻き取り、光学フィルム101を得た。光学フィルム101の厚さは15μm、巻長は5000mであった。なお、ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出されるMD方向の延伸倍率は1.01倍であった。
《光学フィルム102の作製》
上記光学フィルム101の作製において、最終的に得られるフィルムの微粒子の含有量が表1に記載のとおりになるように微粒子の添加量を変更した以外は同様にして、光学フィルム102を作製した。
《光学フィルム103の作製》
上記光学フィルム101の作製において、最終的に得られるフィルムの微粒子の含有量が表1に記載のとおりになるように微粒子の添加量を変更するとともに、フィルムの厚さを40μmに変更した以外は同様にして、光学フィルム103を作製した。
《光学フィルム104の作製》
上記光学フィルム101の作製において、ドープの調製時に、更に表面調整剤を0.06質量部添加した以外は同様にして、光学フィルム104を作製した。
《光学フィルム105〜11の作製》
上記光学フィルム104の作製において、最終的に得られるフィルムの表面調整剤及び微粒子の含有量が表1に記載のとおりになるように表面調整剤及び微粒子の添加量を変更した以外は同様にして、光学フィルム105〜11を作製した。
《光学フィルム113〜117の作製》
上記光学フィルム107の作製において、表面調整剤を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、光学フィルム113〜117を作製した。
《光学フィルム118〜121の作製》
上記光学フィルム107の作製において、フィルムの厚さを表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、光学フィルム118〜121を作製した。
《光学フィルム122の作製》
上記光学フィルム101の作製において、熱可塑性樹脂をTACに変更した以外は同様にして、光学フィルム122を作製した。
《光学フィルム123の作製》
上記光学フィルム104の作製において、熱可塑性樹脂をTACに変更するとともに、最終的に得られるフィルムの表面調整剤及び微粒子の含有量が表1に記載のとおりになるように表面調整剤及び微粒子の添加量を変更した以外は同様にして、光学フィルム123を作製した。
《光学フィルム124の作製》
上記光学フィルム107の作製において、熱可塑性樹脂をTACに変更した以外は同様にして、光学フィルム124を作製した。
《光学フィルム125の作製》
上記光学フィルム113の作製において、熱可塑性樹脂をTACに変更した以外は同様にして、光学フィルム125を作製した。
《光学フィルム126の作製》
上記光学フィルム114の作製において、熱可塑性樹脂をTACに変更した以外は同様にして、光学フィルム126を作製した。
《光学フィルム127の作製》
上記光学フィルム101の作製において、熱可塑性樹脂をBR85(アクリル樹脂)に変更した以外は同様にして、光学フィルム127を作製した。
《光学フィルム128の作製》
上記光学フィルム107の作製において、熱可塑性樹脂をBR85(アクリル樹脂)に変更した以外は同様にして、光学フィルム128を作製した。
《光学フィルム129、130の作製》
上記光学フィルム128の作製において、最終的に得られるフィルムの表面調整剤及び微粒子の含有量が表2に記載のとおりになるように表面調整剤及び微粒子の添加量を変更した以外は同様にして、光学フィルム129、130を作製した。
《光学フィルム131の作製》
上記光学フィルム113の作製において、熱可塑性樹脂をBR85(アクリル樹脂)に変更した以外は同様にして、光学フィルム131を作製した。
《光学フィルム132の作製》
上記光学フィルム131の作製において、最終的に得られるフィルムの表面調整剤及び微粒子の含有量が表2に記載のとおりになるように表面調整剤及び微粒子の添加量を変更した以外は同様にして、光学フィルム132を作製した。
《光学フィルム133の作製》
上記光学フィルム114の作製において、熱可塑性樹脂をBR85(アクリル樹脂)に変更した以外は同様にして、光学フィルム133を作製した。
《光学フィルム134〜144の作製》
上記光学フィルム107の作製において、熱可塑性樹脂及び微粒子を表2に記載のとおりに変更した以外は同様にして、光学フィルム134〜144を作製した。
《光学フィルム101〜144の物性測定及び評価》
作製した光学フィルム101〜144に対して、以下の物性測定及び評価を行った。測定結果及び評価結果を表1及び表2に示す。
(動摩擦係数μの測定)
作製した各光学フィルムの幅方向両縁から15cm幅をそれぞれスリットして除去し、スリット後の光学フィルムの幅方向両縁部から、フィルムの巻き取り方向80mm×幅方向200mmのサイズの試験片をそれぞれ1枚ずつ切り出した。JIS K7125(1987)に準じ、水平面上で2枚の試験片のA面同士又はB面同士が接触するように重ね合わせ、その上に200gの重りを載せ、移動速度100mm/分、接触面積80mm×200mmの条件で、重ね合わされた試験片のうち上側の試験片を水平に引っ張り、当該上側の試験片が移動中の平均荷重Fを測定し、下記式より光学フィルムの幅方向両縁部の動摩擦係数μを求めた。
また、上記スリット後の光学フィルムの幅方向中央部から、フィルムの巻き取り方向80mm×幅方向200mmのサイズの試験片を2枚切り出し、上記と同様にして、下記式より光学フィルムの幅方向中央部の動摩擦係数μを求めた。
動摩擦係数μ=F(g)/重りの重さ(g)
これにより、A面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μ(A/A)、B面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μ(B/B)、及びそれらの差(μ(B/B)−μ(A/A))を求めた。
なお、動摩擦係数μ(A/A)は、光学フィルムの幅方向両縁部におけるA面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μと、光学フィルムの幅方向中央部におけるA面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μとの平均値とした。また、動摩擦係数μ(B/B)は、光学フィルムの幅方向両縁部におけるB面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μと、光学フィルムの幅方向中央部におけるB面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μとの平均値とした。
(内部ヘイズ値の評価)
作製した各光学フィルムのA面及びB面にシリコーンオイルを数滴滴下し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)2枚で、両面側より挟み込んだ。両面をガラス板で挟み込んだ光学フィルムを、2枚のガラス板と光学的に完全に密着させ、この状態でヘイズ(Ha)をJIS K7105及びJIS K7136に準じて測定した。次に、ガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみ数滴滴下して挟み込んでガラスヘイズ(Hb)を測定した。そして、ヘイズ(Ha)の値からガラスヘイズ(Hb)の値を引くことで内部ヘイズ値を算出し、下記基準に従って評価した。
○:内部ヘイズ値が0.05未満
△:内部ヘイズ値が0.05以上0.1未満
×:内部ヘイズ値が0.1以上
(巻き形状の評価)
作製した各光学フィルムを、巻取装置を用いて巻芯にロール状に巻き取ることによって、光学フィルムロールを製造した。
具体的には、光学フィルムを、巻芯に速度80m/分、巻き取り初期張力140N、巻き終わり張力90N、タッチローラのニップ力は20Nで一定として、4000m巻き取り、ストレート巻きのロールフィルムを作製した。また、光学フィルムを巻芯に巻き取る際、巻芯を振動させながら巻き取った以外は同様にして、オシレート巻きのロールフィルムを作製した。
各ロールフィルムにおけるフィルム端部のズレ発生の有無を目視観察し、下記基準に従って評価した。
◎:フィルム端部のズレが全くない
○:フィルム端部に5mm未満のズレがある
△:フィルム端部に5mm以上10mm未満のズレがある
×:フィルム端部に10mm以上のズレがある
Figure 0006821913
Figure 0006821913
表1及び表2から明らかなように、本発明の光学フィルムにおいては、A面とB面との動摩擦係数差が適切な範囲であり、A面とB面との間に十分な滑り性が発現するため、巻き形状が良好となっている。また、微粒子が過剰に添加されていないため、内部ヘイズ値が低い値となっている。
光学フィルム101、103、104、122、127においては、微粒子の添加量が少ないため内部ヘイズ値が低い値を示しているが、A面とB面との動摩擦係数差が小さいため、A面とB面との間に十分な滑り性が得られず、ロールフィルムにおいてフィルム端部にズレが発生している。
光学フィルム102においては、微粒子の添加量が多いため、A面とB面との間に十分な滑り性が得られ、良好な巻き形状とすることができるものの、内部ヘイズ値が高い値を示している。
面とB面との動摩擦係数差μ(B/B)−μ(A/A)が大きく、動摩擦係数μ(A/A)が低いものの動摩擦係数μ(B/B)が非常に高い場合、A面に滑り性が付与されていても、B面が滑らない状態となる。このため、B面側の特性が支配的になってしまい、ロールフィルムにおいてフィルム端部にズレが発生する。本発明の光学フィルムは、μ(B/B)−μ(A/A)が10以下となっていることで、このような巻きズレの発生が効果的に抑制されている。

Claims (10)

  1. 両面で表面粗さRaの異なる単層の光学フィルムであって、
    両面のうち表面粗さRaが大きい面をA面、表面粗さRaが小さい面をB面としたとき、A面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μ(A/A)と、B面同士を重ね合わせて測定したときの動摩擦係数μ(B/B)との差が、
    0.5≦μ(B/B)−μ(A/A)≦10.0
    を満たし、かつ、前記光学フィルムが表面調整剤及び微粒子を、それぞれ前記光学フィルムを構成する材料中の溶剤を除く全成分に対し、0.05〜5.0質量%の範囲内及び0.01〜5.0質量%の範囲内で含有することを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記動摩擦係数μ(A/A)が、
    0.05≦μ(A/A)≦5.0
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記動摩擦係数μ(B/B)が、
    0.55≦μ(B/B)≦15.0
    を満たすことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。
  4. 厚さが、5〜40μmであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. シクロオレフィン樹脂、セルロース樹脂及びアクリル樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、
    2種以上の溶媒を用いた溶液流延法により製造することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  7. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の光学フィルムを巻き取ったロールフィルムであって、
    前記光学フィルムの巻き取り方向の長さが、1000m以上であり、前記光学フィルムの幅方向の長さが1〜4mの範囲内であることを特徴とするロールフィルム。
  8. ストレート巻き又はオシレート巻きにより巻き取られていることを特徴とする請求項7に記載のロールフィルム。
  9. 偏光子と、
    請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の光学フィルムと、を備えることを特徴とする偏光板。
  10. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の光学フィルムを備えることを特徴とする画像表示装置。
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