JP2017097283A - 光学積層フィルムとその製造方法、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な耐久性を有し、且つ高温高湿下における液晶表示装置の光学ムラを抑制しうる光学積層フィルムを提供する。【解決手段】シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを含む基材層と、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂又はシランカップリング剤を含む易接着層とを含み、前記基材層の表面に垂直な切断面において、前記基材層の前記易接着層が配置された面から厚み方向に0.1tの位置までの領域Sにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMs、前記基材層の中心から厚み方向に±0.1tの位置までの領域Cにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMcとしたとき(但し、前記基材層の厚みをtとする)、Mc/Msが0.01以上1未満であり、且つ前記基材層の残留溶媒量が100ppm以上2000ppm以下である、光学積層フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、光学積層フィルムとその製造方法、偏光板及び液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、テレビ、ノートパソコン、及びスマートフォン等の液晶ディスプレイとして広く用いられている。液晶表示装置は、通常、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含み;偏光板は、偏光子と、保護フィルムとを含む。
保護フィルムを構成する材料として、セルロースエステル、ポリカーボネート及びシクロオレフィン系樹脂が知られている。これらの中でも、高い耐熱性と耐湿性とを有する観点から、シクロオレフィン系樹脂が好ましく用いられている。
一方で、シクロオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムは疎水性が高いことから、当該フィルムを、水系接着剤を介して偏光子と接着させて偏光板を得ようとしても、偏光子との十分な接着性が得られにくいという不具合があった。そこで、水系接着剤を用いても偏光子との十分な接着性が得られるように、シクロオレフィン系樹脂を主成分とする基材フィルムと、易接着層とを含む積層フィルムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、モバイル用途の液晶表示装置は屋外で使用されることから、その保護フィルムは、良好な耐久性(紫外線耐性や耐酸化性)を有することが望まれる。そのような保護フィルムとして、シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤とを含む光学積層体が提案されている(例えば特許文献2及び3)。
特開2006−171707号公報 特開2015−031753号公報 特開2015−045845号公報
しかしながら、特許文献2及び3の光学積層体は、メルト製膜法で製造されることから、メルト製膜時の紫外線吸収剤のブリードアウトを抑制するために、中間層のみに紫外線吸収剤を含んでいる。このように、特許文献2及び3の光学積層体は多層構造を有することから、薄型化が困難であるだけでなく、層間剥離を生じやすいという問題があった。
これに対して、シクロオレフィン系樹脂と紫外線吸収剤とを含むフィルムを、キャスト製膜法で製造することで、単層フィルムを得ることができる。しかしながら、当該単層フィルムに易接着層を積層し、偏光子と貼り合わせて得られる偏光板を備えた液晶表示装置は、高温高湿下において光学ムラを生じる場合があった。
特許文献2や3の光学積層体に易接着層を積層し、偏光子と貼り合わせて得られる偏光板を備えた液晶表示装置は、高温高湿下における光学ムラを一層生じやすいという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、良好な耐久性を有し、且つ高温高湿下における液晶表示装置の光学ムラを抑制しうる光学積層フィルムを提供することを目的とする。
[1]シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを含む基材層と、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂又はシランカップリング剤を含む易接着層とを含み、前記基材層の表面に垂直な切断面において、前記基材層の前記易接着層が配置された面から厚み方向に0.1tの位置までの領域Sにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMs、前記基材層の中心から厚み方向に±0.1tの位置までの領域Cにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMcとしたとき(但し、前記基材層の厚みをtとする)、Mc/Msが0.01以上1未満であり、且つ前記基材層の残留溶媒量が100ppm以上2000ppm以下である、光学積層フィルム。
[2] 前記基材層における前記紫外線吸収剤の含有量は、前記シクロオレフィン系樹脂に対して0.5〜5質量%である、[1]に記載の光学積層フィルム。
[3] 前記基材層における前記酸化防止剤の含有量は、前記シクロオレフィン系樹脂に対して0.5〜5質量%である、[1]又は[2]に記載の光学積層フィルム。
[4] 前記アミド系樹脂は、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂である、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学積層フィルム。
[5] 前記基材層は、前記残留溶媒として100〜300ppmのトルエンを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学積層フィルム。
[6] 前記Mc/Msが0.7以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学積層フィルム。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の光学積層フィルムと、その易接着層側の面に配置された偏光子とを含む、偏光板。
[8] 第1の偏光板と、液晶セルと、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に含む液晶表示装置であって、前記第1の偏光板は、第1の偏光子と、前記第1の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF1と、前記第1の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF2とを含み、前記第2の偏光板は、第2の偏光子と、前記第2の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF3と、前記第2の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF4とを含み、前記保護フィルムF1及びF2の少なくとも一方が、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学積層フィルムであり、且つ前記第1の偏光子が、前記光学積層フィルムの易接着層側の面に配置されているか、及び/又は前記保護フィルムF3及びF4の少なくとも一方が、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学積層フィルムであり、且つ前記第2の偏光子が、前記光学積層フィルムの易接着層側の面に配置されている、液晶表示装置。
[9] 前記保護フィルムF1及びF2の少なくとも一方が、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学積層フィルムであり、且つ前記第1の偏光子が、前記光学積層フィルムの易接着層側の面に配置されている、[8]に記載の液晶表示装置。
[10] シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを含む基材層であって、その表面に垂直な切断面において、少なくとも一方の表面から厚み方向に0.1tの位置までの領域Sにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMs、前記基材層の中心から厚み方向に±0.1tの位置までの領域Cにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMcとしたとき(但し、前記基材層の厚みをtとする)、Mc/Msが0.01以上1未満であり、且つ残留溶媒量が100ppm以上2000ppm以下である基材層を得る工程と、前記基材層の前記領域Sを構成する面に、親水化処理を施す工程と、前記基材層の親水化処理が施された面に、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂又はシランカップリング剤を含む易接着層用組成物を塗布した後、乾燥又は硬化させて易接着層を形成する工程と、を含む、光学積層フィルムの製造方法。
本発明によれば、良好な耐久性を有し、且つ高温高湿下における液晶表示装置の光学ムラを抑制しうる光学積層フィルムを提供することができる。
本発明の光学積層フィルムの構成の一例を示す模式図である。 基材層の表面に垂直な切断面における、基材層の領域Sと領域Cを説明する図である。 本発明の光学積層フィルムの構成の他の例を示す模式図である。 液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。
前述の通り、特許文献2や3に示されるシクロオレフィン系樹脂と紫外線吸収剤とを含む光学積層体に、易接着層を積層して得られた液晶表示装置や、単にキャスト製膜して得られたシクロオレフィン系樹脂と紫外線吸収剤とを含む単層フィルム上に易接着層を積層して得られた液晶表示装置は、高温高湿下において光学ムラを生じる場合がある。
その原因は明らかではないが、1)光学積層フィルムの基材層と易接着層との「接着ムラ」、及び2)高温高湿下における、光学積層フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との「軸ズレ」にあると考えられる。即ち、上記1)による光学ムラは、基材層と易接着層との間に局所的に接着していない領域(隙間)が形成され、高温高湿下で外部から浸入した水分が当該隙間に滞留することによると考えられる。上記2)による光学ムラは、例えば高温高湿下や水系接着剤が塗布された際に、易接着層は吸水し易く膨張し易い一方、シクロオレフィン系樹脂を主成分とする基材層は吸水し難く膨張し難いことから、両者で膨張しようとする力に差が生じ、歪みが生じる。それにより、光学積層フィルムが反り、偏光子の吸収軸と光学積層フィルムの遅相軸との間で軸ズレが生じることによると考えられる。
これに対して本発明者らは、上記1)による光学ムラは、基材層に含まれる紫外線吸収剤又は酸化防止剤をその表面に偏在させることによって抑制できることを見出した(後述の図1参照)。この理由は明らかではないが、以下のように推測される。紫外線吸収剤又は酸化防止剤を基材層の表面に偏在させることで、易接着層を積層する前のコロナ処理等の親水化処理を安定に施しやすくなり、親水性基を多く生成させやすい。それにより、基材層と易接着層との間の接着不良となる領域(隙間)を低減できるので、接着ムラを低減できると考えられる。
また本発明者らは、上記2)による光学ムラは、基材層中の残留溶媒量を一定以上に調整することによって抑制できることを見出した。この理由は明らかではないが、以下のように推測される。基材層が一定以上の残留溶媒量を含むことで、基材層の柔軟性が高められる。それにより、高温高湿下において、吸水した易接着層が膨張したときに、基材層も当該易接着層の膨張変形に追従し易い。その結果、両者間で膨張しようとする力の差が小さくなり、歪みが生じ難い。それにより、光学積層フィルムの反りが抑制され、偏光子の吸収軸と光学積層フィルムの遅相軸との間で軸ズレが抑制されると考えられる。
このように、本発明では、基材層に含まれる紫外線吸収剤又は酸化防止剤をその表面に偏在させ、且つ基材層中の残留溶媒量を一定以上に調整することで、良好な耐久性を有しつつ、高温高湿下における液晶表示装置の光学ムラを抑制しうる光学積層フィルムを得ることができる。
1.光学積層フィルム
図1は、本発明の光学積層フィルムの構成の一例を示す模式図である。図1に示されるように、本発明の光学積層フィルム10は、基材層11と、易接着層13とを含む。
1-1.基材層11について
基材層11は、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含み、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方をさらに含む。
1-1-1.シクロオレフィン系樹脂
シクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン単量体の重合体、又はシクロオレフィン単量体とそれ以外の共重合性単量体との共重合体である。
シクロオレフィン単量体は、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体であることが好ましく、下記一般式(A−1)又は(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体であることがより好ましい。
Figure 2017097283
一般式(A−1)のR〜Rは、独立して水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基、又は極性基を表す。但し、R〜Rの全てが水素原子となる場合を除き、RとRが同時に水素原子となるか、又はRとRが同時に水素原子となる場合はないものとする。
炭素原子数1〜30の炭化水素基は、炭素原子数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1〜5の炭化水素基であることがより好ましい。炭素原子数1〜30の炭化水素基は、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含む連結基をさらに有していてもよい。そのような連結基の例には、カルボニル基、イミノ基、エーテル結合、シリルエーテル結合、チオエーテル結合等の2価の極性基が含まれる。炭素原子数1〜30の炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が含まれる。
極性基の例には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基及びシアノ基が含まれる。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基が好ましい。
一般式(A−1)のpは、0〜2の整数を示す。pは、1又は2であることが好ましい。
Figure 2017097283
一般式(A−2)のRは、水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。中でも、炭素数1〜5の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基がより好ましい。
一般式(A−2)のRは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリロキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子)を表す。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリロキシカルボニル基がより好ましい。
一般式(A−2)のpは、0〜2の整数を表す。pは、1又は2であることが好ましい。
一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体は、非対称な構造を有する。即ち、一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体の置換基R及びRが、分子の対称軸に対して片側の環構成炭素原子のみに置換されているので、分子の対称性が低い。そのようなシクロオレフィン単量体は、後述する基材フィルムの製造工程において、流延されたドープを乾燥させる際に、紫外線吸収剤や酸化防止剤の拡散移動を促進しうるので、これらの成分の分布状態を調整しやすくしうると考えられる。
一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物1〜14に示し、一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物15〜34に示す。
Figure 2017097283
シクロオレフィン単量体と共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロオレフィン単量体と開環共重合可能な共重合性単量体、シクロオレフィン単量体と付加共重合可能な共重合性単量体が含まれる。
開環共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエン等のシクロオレフィンが含まれる。
付加共重合可能な共重合性単量体の例には、不飽和二重結合含有化合物、ビニル系環状炭化水素単量体、(メタ)アクリレートが含まれる。不飽和二重結合含有化合物の例には、炭素原子数2〜12(好ましくは2〜8)のオレフィン系化合物であり、その例には、エチレン、プロピレン、ブテンが含まれる。ビニル系環状炭化水素単量体の例には、4−ビニルシクロペンテン、2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体が含まれる。(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜20のアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
シクロオレフィン系樹脂は、前述の通り、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体、好ましくは一般式(A−1)又は(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体を重合又は共重合して得られる重合体であり、その例には、以下のものが含まれる。
(1)シクロオレフィン単量体の開環重合体
(2)シクロオレフィン単量体とそれと開環共重合可能な共重合性単量体との開環共重合体
(3)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体の水素添加物
(4)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフツ反応により環化した後、水素添加した(共)重合体
(5)シクロオレフィン単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体
(6)シクロオレフィン系単量体のビニル系環状炭化水素単量体との付加共重合体及びその水素添加物
(7)シクロオレフィン系単量体と(メタ)アクリレートとの交互共重合体
中でも、(1)〜(3)が好ましく、(3)がより好ましい。即ち、シクロオレフィン系樹脂は、得られるシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度を高くし、且つ光透過率を高くすることができる点で、下記一般式(B−1)で表される構造単位と下記一般式(B−2)で表される構造単位の少なくとも一方を含むことが好ましい。一般式(B−1)で表される構造単位は、前述の一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体由来の構造単位であり、一般式(B−2)で表される構造単位は、前述の一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体由来の構造単位である。
Figure 2017097283
一般式(B−1)のXは、−CH=CH−又は−CHCH−である。
一般式(B−1)のR〜R及びpは、一般式(A−1)のR〜R及びpとそれぞれ同義である。
Figure 2017097283
一般式(B−2)のXは、−CH=CH−又は−CHCH−である。
一般式(B−2)のR〜R及びpは、一般式(A−2)のR〜R及びpとそれぞれ同義である。
シクロオレフィン系樹脂は、いずれも公知の方法、例えば特開2008−107534号公報、特開2005−227606号公報及び特許第4466272号公報に記載の方法で得ることができる。例えば、(3)の重合体は、モノマーを溶液重合させた後、得られた開環重合体の主鎖の二重結合を水素化する。水素化後に得られた重合体から触媒を除去(脱触媒)し、さらに減圧乾燥して溶媒を除去(脱溶媒)して、(3)の重合体を得る。得られる光学積層フィルムの基材層中の残留溶媒量の調整は、シクロオレフィン系樹脂を合成するときの、溶液重合に用いる溶媒の種類や、得られた開環重合体から溶媒を除去(脱溶媒)する際の乾燥条件の調整によって行うことができる。
シクロオレフィン系樹脂の固有粘度〔η〕inhは、0.2〜5cm/gであることが好ましく、0.3〜3cm/gであることがより好ましく、0.4〜1.5cm/gであることがさらに好ましい。
シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、8000〜100000であることが好ましく、10000〜80000であることがより好ましく、12000〜50000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20000〜300000であることが好ましく、30000〜250000であることがより好ましく、40000〜200000であることがさらに好ましい。シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量や重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算にて測定することができる。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあると、シクロオレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性とフィルムとしての成形加工性が良好となる。
シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常、110℃以上であり、110〜350℃であることが好ましく、120〜250℃であることがより好ましく、120〜220℃であることがさらに好ましい。Tgが110℃以上であると、高温条件下での変形を抑制しやすい。一方、Tgが350℃以下であると、成形加工が容易となり、成形加工時の熱による樹脂の劣化も抑制しやすい。
シクロオレフィン系樹脂の含有量は、基材層11に対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
1-1-2.紫外線吸収剤
紫外線吸収剤は、光学積層フィルムの耐久性を向上させる目的で添加される。そのような紫外線吸収剤は、400nm以下の紫外線を吸収する化合物であることが好ましく、具体的には、波長370nmの光の透過率が10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下の化合物である。
紫外線吸収剤の例には、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体、及び高分子紫外線吸収剤が含まれる。紫外線吸収剤は、1種類であってもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
中でも、良好な紫外線吸収能を有することから、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物及びトリアジン系化合物が好ましく、ベンゾトリアゾール系化合物及びベンゾフェノン系化合物がより好ましい。
ベンゾトリアゾール系化合物の例には、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノールが含まれる。ベンゾフェノン系化合物の例には、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノンが含まれる。
市販品の例には、Tinuvin109、Tinuvin171、Tinuvin234、Tinuvin326、Tinuvin327、Tinuvin328、Tinuvin928等のTinuvinシリーズがあり、これらはいずれもBASF社製の市販品である。
紫外線吸収剤の含有量(基材層11における総含有量)は、例えばシクロオレフィン系樹脂に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.1質量%以上であれば、光学積層フィルムの耐久性(特に耐候性)を十分に高めうる。紫外線吸収剤の含有量が10質量%以下であれば、光学積層フィルムの透明性が損なわれ難い。紫外線吸収剤の含有量は、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
1-1-3.酸化防止剤(劣化防止剤)
酸化防止剤は、高温高湿下における光学積層フィルムの劣化を抑制する目的で添加されうる。酸化防止剤の例には、ヒンダードフェノール系化合物が含まれる。ヒンダードフェノール系化合物の例には、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアネート等が含まれる。酸化防止剤は、1種類であってもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
中でも、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。
酸化防止剤は、例えばN,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤と併用されてもよい。
酸化防止剤の含有量(基材層11における総含有量)は、例えばシクロオレフィン系樹脂に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。酸化防止剤の含有量が0.1質量%以上であれば、光学積層フィルムの耐久性(特に耐候性)を十分に高めうる。酸化防止剤の含有量が10質量%以下であれば、光学積層フィルムの透明性が損なわれ難い。酸化防止剤の含有量は、0.5〜5質量%であることがより好ましい。
1-1-4.その他の成分
基材層11は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤をさらに含んでいてもよい。他の添加剤の例には、可塑剤、熱安定剤、微粒子(マット剤)、界面活性剤、フッ素系界面活性剤及び剥離助剤等が含まれる。
(微粒子)
微粒子は、基材層の表面に凹凸を付与し、滑り性を向上させうる。微粒子は、無機微粒子又は有機微粒子でありうる。無機微粒子の例には、シリカ、チタニア、アルミナ、ジルコニア等の無機酸化物の微粒子や;炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、燐酸カルシウム等の微粒子が含まれる。有機微粒子の例には、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル系樹脂等の微粒子が含まれる。中でも、ヘイズを生じ難く、着色も少ないことから、シリカ粒子が好ましい。
微粒子の平均粒子径は、1nm〜500nmであることが好ましく、5nm〜300nmであることがより好ましい。平均粒子径を1nm以上とすることで、易接着層の滑り性を効果的に高めることができ、500nm以下とすることで、ヘイズを低く抑えることができる。微粒子の平均粒子径は、レーザー回折法によって粒径分布を測定し、測定された粒径分布において小径側から計算した累積体積が50%となる粒子径(50%体積累積径D50)とする。
微粒子の含有量は、基材層11に対して10質量%以下としうる。
基材層11は、易接着層13との接着性をさらに高める観点から、親水化処理が施されていることが好ましい。親水化処理を施すことで、基材層11の表面の親水性を高めることができ、易接着層11との接着性を高めうる。親水化処理は、少なくとも基材層11の易接着層13との接着面に施されていることが好ましい。
親水化処理の例には、後述するようにコロナ(放電)処理、プラズマ処理、フレーム処理、イトロ処理、グロー処理、オゾン処理、プライマー塗布処理等が含まれ、生産性の観点から、好ましくはコロナ処理又はプラズマ処理である。
1-1-5.基材層11の物性
(紫外線吸収剤/酸化防止剤の含有分布)
基材層11は、少なくとも易接着層13が配置された面に紫外線吸収剤と酸化防止剤の少なくとも一方が偏在していることが好ましい(図1参照)。図1の例では、濃いグラデーション領域が紫外線吸収剤及び酸化防止剤が偏在している領域を示す。
具体的には、基材層11の表面に垂直な切断面において、基材層11の領域C(中間層領域)における紫外線吸収剤及び酸化防止剤の合計含有量をMcとし、基材層11の易接着層13が配置された面を含む領域Sにおける紫外線吸収剤及び酸化防止剤の合計含有量をMsとしたとき、Mc/Msが0.01以上1未満であることが好ましく、0.01以上0.7以下であることがより好ましい。Mc/Msが1未満、好ましくは0.7以下であると、基材層11の易接着層13が配置される面に紫外線吸収剤又は酸化防止剤が偏在しているので、当該表面近傍のシクロオレフィン系樹脂の高分子鎖が動きにくく、固定されやすい。それにより、コロナ処理等の親水化処理によりOH基等の親水性基が安定に生成しやすく、基材層11の親水性基が安定に生成した面に易接着層が積層されているので、基材層11と易接着層13との間で均一且つ良好な接着性が得られやすい。
図2は、基材層11の表面に垂直な切断面における、基材層11の領域Sと領域Cを説明する図である。同図において、上側が、易接着層13が配置される側となる。図2に示されるように、領域Sは、基材層11の易接着層が配置される面から厚み方向に0.1t(t:基材層11の厚み)の位置までの表層領域を示し、領域Cは、基材層11の中心から厚み方向に±0.1tの位置までの中間層領域を示す。
基材層11の易接着層が配置された面を含む領域SがMc/Msが1未満を満たしていればよいが(図1及び図2参照)、基材層11の易接着層13が配置されていない面を含む領域S’における紫外線吸収剤及び酸化防止剤の合計含有量をMs’としたとき、Mc/Ms’が0.01以上1未満、好ましくは0.01以上0.7以下をさらに満たしてもよい(図3及び図2参照)。
基材層11における紫外線吸収剤又は酸化防止剤の分布状態やMc/Msは、以下の方法で測定することができる。即ち、
1)光学積層フィルム10をミクロトームで切断し、光学積層フィルム10の表面に垂直な切断面を得る。
2)得られた光学積層フィルム10の切断面のうち、基材層11の領域Sと領域Cを含む測定領域における有機物の面分布像を、Thermo Fisher Scientific 社のNicolet380を用いてATR法により測定する。測定領域は、基材層の厚みをtとしたとき、1.5t×1.5tの領域としうる。
3)測定対象となる紫外線吸収剤又は酸化防止剤のピーク(測定対象ピーク)を抽出し、その吸光度から含有量を数値化し、可視化したIRイメージ像を得る。IRイメージ像から、基材層11の切断面における紫外線吸収剤又は酸化防止剤の分布状態を把握する。
Mc/Msの値は、上記測定領域のうち、領域Sにおける測定対象ピークの吸光度の積算値と、領域Cにおける測定対象ピークの吸光度の積算値との比から求めることができる。測定対象ピークは、予め測定しておくものとする。Mc/Ms’の値も同様にして測定することができる。
Mc/Msは、例えば基材層11の製造工程における、ドープの溶媒組成や乾燥前の膜状物の残留溶媒量によって調整することができる。紫外線吸収剤/酸化防止剤を基材層11の表層に偏在させるためには、乾燥前の膜状物中の残留溶媒量が少なくなるようにすることが好ましく、例えばドープの溶媒組成を、良溶媒(低沸点溶媒)の含有割合を多くし、且つ乾燥前の膜状物の残留溶媒量を少なくすることが好ましい。乾燥前の膜状物中の残留溶媒量が少なくなるようにすると、Mc/Msを上記範囲に調整しやすい(紫外線吸収剤や酸化防止剤が表面に偏在しやすい)理由は明らかではないが、乾燥前の膜状物の残留溶媒量が少ないと、当該膜状物の表面近傍にある紫外線吸収剤や酸化防止剤が揮発しにくく、膜状物の表面に密集しやすいからであると考えられる。
(残留溶媒量)
基材層11に含まれる残留溶媒量は、100〜2000ppmであることが好ましい。残留溶媒量が100ppm以上であると、基材層11が適度な柔軟性を有しうる。それにより、光学積層フィルム10の易接着層13に水系接着剤を塗布して偏光子と貼り合わせる際に、易接着層13が吸水して膨張する力に基材層11が追従しやすく、両者の層に歪みが生じにくい。それにより、光学積層フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との軸ズレが生じにくく、光学ムラを抑制できる。残留溶媒量が2000ppm以下であると、基材層11の強度が損なわれ難い。基材層11中の残留溶媒量は、100〜800ppmであることがより好ましい。
基材層11は、残留溶媒として100〜300ppmのトルエンを含むことが好ましい。トルエンは、極性が低いため、シクロオレフィン系樹脂との相溶性が良い。従って、基材層11中で樹脂の流動性が担保されやすい(高分子鎖が動きやすい)ことから、それを含む基材層11は、易接着層13が吸水したときの膨張変形に追従しやすい。その結果、光学積層フィルムの反りを抑制し、光学ムラをより抑制しうる。
基材層11に含まれる残留溶媒の定性及び定量は、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより行うことができる。即ち、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーでは、試料を容器に封入して加熱し、容器中に揮発成分が充満した状態で速やかに容器中のガスをガスクロマトグラフに注入し、質量分析を行って化合物の同定を行いながら揮発成分の定量を行うものである。揮発成分の定量は、濃度が既知の試料を用いて検量線を予め作成しておき、測定で得られた揮発成分のピーク面積と検量線とを照合して行うことができる。具体的な測定装置や測定条件は、後述する実施例と同様である。
基材層11に含まれる残留溶媒量は、前述したシクロオレフィン系樹脂の合成時の脱溶媒時の乾燥条件や;基材層11の製造時の膜状物の乾燥条件(後述する(1-3)の工程での乾燥条件)によって調整されうる。基材層11に含まれる残留溶媒量を一定以上とするためには、シクロオレフィン系樹脂の合成における脱溶媒時の乾燥温度を低くしたり;基材層11の製造における後述の(1-3)の工程での乾燥温度を低くしたりすればよい。
(厚み)
基材層11の厚みは、光学積層フィルム10のRoとRthが後述する範囲を満たし、且つ薄型化する観点から、例えば10〜200μmであり、10〜100μmであることが好ましく、15〜60μmであることがより好ましく、15〜30μmであることがさらに好ましい。
1−2.易接着層13について
易接着層13は、例えば偏光子との接着性を高める機能を付与する機能を有する。易接着層13は、特に水系接着剤を用いた際の接着性を高めうる層であることが好ましい。
1-2-1.主成分について
易接着層13は、主成分として、加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するカップリング剤(アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基、クロル基等の反応性官能基と加水分解性のアルコキシシリル基とを有するシラン系カップリング剤;チタンを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するチタネート系カップリング剤;アルミニウムを含む加水分解性の親水性基と有機官能性基とを有するアルミネート系カップリング剤等);又はアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、イソシアネート系樹脂及びウレタン系樹脂等の有機反応性基を有する樹脂を含むことが好ましい。
中でも、易接着層13は、接着性を良好に高めうる点から、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂又はシラン系カップリング剤を含むことが好ましく、アミド系樹脂又はシラン系カップリング剤を含むことがより好ましい。
(アミド系樹脂)
アミド系樹脂は、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂であることが好ましい。水溶性ポリアミドエポキシ樹脂は、ポリアミンとポリカルボン酸の縮重合物にエピハロヒドリンを反応させて得られるものである。
ポリアミンは、3官能以上のアミンであり、好ましくは3官能のアミンである。ポリアミンは、脂肪族ポリアミンであることが好ましい。ポリカルボン酸は、2官能以上のカルボン酸であり、好ましくは2官能のカルボン酸である。ポリカルボン酸は、脂肪族ポリカルボン酸であることが好ましい。エピハロヒドリンは、好ましくはエピクロロヒドリンである。
水溶性ポリアミドエポキシ樹脂の市販品の例には、田岡化学工業(株)製のスミレーズレジン(登録商標)6615、650(30)、675A、星光PMC社製のWSシリーズ、荒川化学工業(株)アラフィックス530、504等が含まれる。
(ウレタン系樹脂)
ウレタン系樹脂は、(i)多価アルコール成分と(ii)多価イソシアネート成分との反応物由来の繰り返し単位を含む。
(i)多価アルコール成分の例には、ポリオール化合物、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、及びポリカーボネートポリオールが含まれる。これらの多価アルコール成分は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
ポリオール化合物の例には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリシクロデカンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ジメチルプロパンジオール、1,4−ブタンジオール等が含まれる。
ポリエーテルポリオールの例には、前述のポリオール化合物のアルキレンオキシド付加物;アルキレンオキシドと環状エーテル(例えばテトラヒドロフラン)との開環(共)重合体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコールの共重合体;グリコール、ポリテトラメチレングリコール等のグリコール類が含まれる。
ポリエステルポリオールの例には、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸等のジカルボン酸又はその無水物と、エチレングリコール、プロピレングリコール等のポリオール化合物とを、水酸基過剰の条件下で重縮合させたものが含まれる。
ポリエーテルエステルポリオールの例には、ポリテトラメチレングリコール−アジピン酸縮合物が含まれる。
ポリカーボネートポリオールの例には、一般式:HO−R−(O−C(O)−O−R)x−OH(Rは、炭素原子数1〜12の飽和脂肪酸ポリオール残基を示し、xは分子の繰り返し単位の数を示し、5〜50の整数である)で示される化合物等が含まれる。
(ii)多価イソシアネート成分の例には、1分子中に2以上のイソシアネート基を含有する脂肪族、脂環族又は芳香族の化合物が含まれる。脂肪族ジイソシアネート化合物は、炭素原子数1〜12の脂肪族ジイソシアネートであることが好ましく、その例には、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、ヘキサンジイソシアネート(HDI)が含まれる。脂環式ジイソシアネート化合物は、炭素原子数4〜18の脂環式ジイソシアネートであることが好ましく、その例には、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)が含まれる。芳香族イソシアネートの例には、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが含まれる。
ウレタン系樹脂は、酸構造を含有することが好ましい。界面活性剤の添加量が少なくても、水中に分散させることが可能となり、易接着層の耐水性が良くなるからである。これを、自己乳化型といい、界面活性剤を使用すること無く分子イオン性のみで、水中にウレタン系樹脂が分散安定化しうることを意味する。
酸構造の例には、カルボキシル基(−COOH)、スルホン酸基(−SO3H)等の酸基等が含まれる。酸構造は、ウレタン系樹脂において側鎖に存在していてもよく、末端に存在していてもよい。
ウレタン系樹脂の酸価は、20〜250mgKOH/gであることが好ましく、25〜150mgKOH/gであることがより好ましい。酸価が20mgKOH/g未満では水分散性が不十分となりやすく、酸価が250mgKOH/gより大きいと易接着層の耐水性が劣る傾向となる。
酸構造の一部又は全部は、中和されていることが好ましい。酸構造を中和することにより、ウレタン系樹脂の水分散性を向上させることができる。酸構造を中和する中和剤の例には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が含まれる。
ウレタン系樹脂の市販品の例には、第一工業製薬(株)製の「スーパーフレックス」シリーズ等が含まれる。
(シラン系カップリング剤)
シラン系カップリング剤の例には、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン等のイソシアネート基含有アルコキシシラン類;γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニルベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基含有アルコキシシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプト基含有アルコキシシラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有アルコキシシラン類;β−カルボキシエチルトリエトキシシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のカルボキシ含有アルコキシシラン類;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイルオキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型不飽和基含有アルコキシシラン類;γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン基含有アルコキシシラン類;トリス(トリメトキシシリル)イソシアネート等のイソシアネート基含有アルコキシシラン類、アミノ変性シリルポリマー、シリル化アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルアミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、シリル化ポリエステル、及びこれらの誘導体が含まれる。
アミド系樹脂、ウレタン系樹脂又はシラン系カップリング剤の含有量は、易接着層13に対して60質量%以上であることが好ましい。これらの成分の含有量が60質量%以上であると、偏光子との良好な接着性が得られやすい。アミド系樹脂、ウレタン系樹脂又はシラン系カップリング剤の含有量は、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
1-2-2.その他成分
易接着層13は、必要に応じて他の成分をさらに含んでもよい。他の成分の例には、微粒子(マット剤)等が含まれる。微粒子(マット剤)は、基材層11に含まうる微粒子(マット剤)と同様のものを使用できる。
1-2-3.易接着層の物性
易接着層13の厚みは、特に制限はないが、接着性の改善効果が得られる範囲であればよく、0.001〜10μmであることが好ましい。易接着層13の厚みが0.001μm以上であると、水系接着剤を用いた際の偏光子との十分な接着性が得られやすい。易接着層13の厚みが10μm以下であると、得られる偏光板の厚みが過剰に厚くなるのを抑制できる。易接着層13の厚みは、0.01〜1μmであることがより好ましい。
1-3.光学積層フィルム10の物性
(位相差値)
光学積層フィルム10は、用途に応じて種々の位相差値をとり得る。例えば、光学積層フィルムが、VAモードやIPSモードの液晶表示装置の光学フィルムとして用いられる場合、光学積層フィルム10の、測定波長590nm、23℃55%RHの環境下で測定される面内方向の位相差Ro及び厚み方向の位相差Rthは、例えば下記関係を満たしうる。
0nm≦Ro≦300nm
−200nm≦Rth≦200nm
光学積層フィルム10の面内方向の位相差Roは、5≦Ro≦250nmを満たすことがより好ましく、50nm≦Ro≦200nmを満たすことがさらに好ましい。光学積層フィルム10の厚み方向の位相差Rthは、−150nm≦Rth≦150nmを満たすことがより好ましく、−120nm≦Rth≦120nmを満たすことがさらに好ましい。
光学積層フィルム10のRo及びRthは、それぞれ下記式で定義される。
式(2a):Ro=(nx−ny)×d
式(2b):Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、
nxは、光学積層フィルムの面内遅相軸方向の屈折率を表し、
nyは、光学積層フィルムの面内遅相軸に直交する方向の屈折率を表し、
nzは、光学積層フィルムの厚み方向の屈折率を表し、
dは、光学積層フィルムの厚み(nm)を表す。)
光学積層フィルム10の面内遅相軸とは、フィルム面において屈折率が最大となる軸をいう。光学積層フィルムの面内遅相軸は、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)により確認することができる。
光学積層フィルム10のRo及びRthの測定は、以下の方法で行うことができる。
1)光学積層フィルム10を23℃55%RHの環境下で24時間調湿する。この光学積層フィルムの平均屈折率をアッベ屈折計で測定し、厚みdを市販のマイクロメーターを用いて測定する。
2)調湿後の光学積層フィルム10の、測定波長590nmにおけるリターデーションRo及びRthを、それぞれ自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃55%RHの環境下で測定する。具体的には、
i)フィルム面の法線方向に平行に測定波長590nmの光を入射させたときのRを、アクソスキャンにて測定する。
ii)さらに、アクソスキャンにより、試料片の面内遅相軸を傾斜軸(回転軸)として、試料片の表面の法線に対してθの角度(入射角(θ))から測定波長590nmの光を入射させたときの位相差R(θ)を測定した。位相差R(θ)の測定は、θが0°〜50°の範囲で10°毎に6点行う。試料片の面内遅相軸は、アクソスキャンにより確認する。
iii)測定されたRo及びR(θ)と、前述の平均屈折率と厚みとから、アクソスキャンがnx、ny及びnzを算出し、上記式(2b)に基づいて測定波長590nmでのRthを算出する。
(厚み)
光学積層フィルム10の厚みは、RoとRthが前述の範囲を満たし、且つ薄型化する観点から、例えば10〜210μmであり、10〜110μmであることが好ましく、15〜70μmであることがより好ましく、15〜40μmであることがさらに好ましい。
2.光学積層フィルムの製造方法
本発明の光学積層フィルムは、1)シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤と酸化防止剤の少なくとも一方とを含み、Mc/Msが0.01以上1未満を満たし、且つ残留溶媒量が100ppm以上2000ppm以下を満たす前述の基材層11(以下、「基材フィルム」ともいう)を得る工程と、2)基材フィルムの領域Sを構成する面に、親水化処理を施す工程と、3)基材フィルムの親水化処理が施された面に、易接着層用組成物を塗布した後、乾燥又は硬化させて易接着層を得る工程とを経て製造される。
2-1.1)の工程について
シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤と酸化防止剤の少なくとも一方とを含み、Mc/Msが0.01以上1未満を満たし、且つ残留溶媒量が100ppm以上2000ppm以下を満たす基材フィルムを得る。基材フィルムのMc/Msは、光学フィルムにおけるMc/Msと同様に定義される。即ち、基材フィルムにおけるMsは、基材フィルムの易接着層が配置される面を含む領域Sにおける紫外線吸収剤及び酸化防止剤の合計含有量を示す。
そのような基材フィルムは、具体的には、(1-1)前述のシクロオレフィン系樹脂と前述の紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを溶媒に溶解させてドープを得る工程と、(1-2)ドープを支持体上に流延した後、剥離して膜状物を得る工程と、(1-3)膜状物を乾燥させる工程とを経て得られる。基材フィルムの製造方法は、前記(1-2)と前記(1-3)の間に(1-4)膜状物を延伸する工程をさらに行うことが好ましい。
(1-1)の工程
少なくともシクロオレフィン系樹脂と紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを溶媒に溶解させてドープを得る。シクロオレフィン系樹脂と紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを溶媒に同時に混合及び溶解させてドープを得てもよいし、シクロオレフィン系樹脂を溶媒に溶解させた樹脂溶液と、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを溶媒に溶解させた添加剤溶液とを混合してドープを得てもよい。
ドープに用いられる溶媒は、光学積層フィルムの基材層中の残留溶媒量が前述の範囲となるように選択される。透明で、且つゲル等の異物のない基材フィルムを得るためには、シクロオレフィン系樹脂と溶媒とが均一に混ざる必要があるので、シクロオレフィン系樹脂の良溶媒を1種類以上含むことが好ましい。
良溶媒の例には、メチレンクロライド、クロロホルム等の有機ハロゲン化合物、トルエン、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等が含まれる。中でも、シクロオレフィン系樹脂を溶解させ易い点から、メチレンクロライドが好ましい。
ドープの調製に用いられる溶媒は、必要に応じてシクロオレフィン系樹脂の貧溶媒をさらに含んでもよい。貧溶媒の例には、メタノール、エタノール、n−ブタノール等の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコール、及びテトラヒドロフラン等が含まれる。
良溶媒と貧溶媒とを併用する場合、Mc/Msを前述の範囲とするためには、良溶媒(低沸点溶媒)の含有割合を多くすることが好ましい。溶媒除去時の条件(時間や温度)にもよるが、良溶媒(低沸点溶媒)の含有割合を多くすることで、乾燥前の膜状物の残留溶媒量を一定以下に調整しやすいからである。具体的には、良溶媒の含有比率を51〜100質量%(好ましくは70〜99質量%、より好ましくは80〜99質量%)とし、貧溶媒の含有比率を0〜49質量%(好ましくは1〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%)とすることが好ましい。
ドープの樹脂濃度は、金属支持体上に流延した後の乾燥負荷を低減する観点では高いほうが好ましいが、濾過時の負荷が増えて濾過精度が悪くなる。これらを両立するドープの樹脂濃度は、10〜35質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。
樹脂の溶解は、一般的な方法で行うことができる。加熱と加圧を組み合わせると、常圧における沸点以上に加熱できる。溶媒の常圧での沸点以上で且つ加圧下で溶媒が沸騰しない温度で加熱しながら攪拌溶解すると、塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、樹脂を貧溶媒と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶媒を添加して溶解してもよい。
加圧は、窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶媒の蒸気圧を発現させる方法によって行うことができる。加熱は、外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
樹脂を溶解させるときの加熱温度は、樹脂の溶解性の観点からは高いほうが好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。加熱温度は、45〜120℃であることが好ましく、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。
異物故障を抑制する観点等から、得られたドープを濾材で濾過することが好ましい。濾過したドープを脱泡した後、送液ポンプで流延ダイに供給する。
(1-2)の工程
得られたドープを流延ダイから吐出させて金属支持体上に流延し、得られた流延膜を乾燥及び剥離して膜状物を得る。
金属支持体は、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムでありうる。金属支持体の表面は、鏡面仕上げされていることが好ましい。
金属支持体の表面温度は、−50℃〜溶媒の沸点未満の温度で、高い方が膜状物の乾燥速度を高くすることができるので好ましいが、高過ぎると膜状物が発泡したり、平面性が劣化したりする。従って、金属支持体の表面温度は、0〜40℃であることが好ましく、5〜30℃であることがより好ましい。
金属支持体から剥離する際の膜状物の残留溶媒量(乾燥前の残留溶媒量)は、得られる基材フィルムのMc/Msを前述の範囲とするためには、1〜10質量%であることが好ましく、5〜9質量%であることがより好ましい。
膜状物の残留溶媒量は、下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
(Mは、膜状物の質量を示し、Nは、当該膜状物を120℃で1時間の加熱した後の質量を示す)
剥離して得られた膜状物は、必要に応じてさらに乾燥させてもよい。
(1-4)の工程
剥離して得られた膜状物を延伸して、位相差を調整することが好ましい。
延伸は、少なくとも一方向に行うことができる。延伸方向は、膜状物の長手方向(MD方向)、膜状物の長手方向と直交する幅手方向(TD方向)、及び膜状物の長手方向に対して斜め方向のいずれであってもよい。延伸は、逐次延伸でもよいし、同時延伸でもよい。
例えば、光学積層フィルムを後述のλ/4フィルムとして機能させる場合、斜め方向に延伸することが好ましい。斜め方向の延伸は、得られる光学積層フィルムの面内遅相軸が、膜状物の長手方向に対して20〜70°、好ましくは30〜60°、さらに好ましくは40〜50°となるように設定されうる。光学積層フィルムをVA用の位相差フィルムとして機能させる場合、膜状物の幅手方向(TD方向)に延伸することが好ましい。
延伸倍率は、求められる光学性能にもよるが、例えばλ/4フィルムやVA用の位相差フィルムとして機能しうる光学積層フィルムを得るためには、1.03〜2.00倍としうる。延伸倍率は、(延伸後の積層物の延伸方向大きさ)/(延伸前の積層物の延伸方向大きさ)として定義される。
延伸温度は、シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度をTgとすると、Tg−30℃〜Tg+60℃であることが好ましく、Tg−10℃〜Tg+50℃であることがより好ましい。
延伸開始時の膜状物中の残留溶媒量は、20〜100質量%であることが好ましい。延伸終了時の膜状物中の残留溶媒量は、10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。
MD方向の延伸は、例えば複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用する方法で行うことができる。TD方向の延伸は、例えば膜状物の両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げる方法で行うことができる。これらは組み合わせてもよい。斜め方向の延伸は、斜め延伸装置で行うことが好ましい。斜め延伸装置としては、レールパターンを多様に変化させることにより、得られる基材フィルムの配向角(面内遅相軸の長手方向に対する角度)を自在に設定でき、且つ基材フィルムの配向軸を幅手方向にわたって左右均等に高精度に配向させうるものであることが好ましい。
(1-3)の工程
前記(1-2)又は(1-4)で得られた膜状物を乾燥させて、基材フィルムを得る。基材フィルムの残留溶媒量は、主に本工程で調整されうる。従って、乾燥温度及び乾燥時間は、得られる基材フィルムにおける残留溶媒量が前述の範囲となるように調整されうる。
乾燥温度は、概ね40〜250℃であることが好ましく、40〜160℃であることがより好ましい。急激な乾燥は、得られる基材フィルムの平面性を損ねやすいことから、高温による乾燥は、膜状物の残留溶媒量が8質量%以下で行うことが好ましい。乾燥時間は、ドープに用いる溶媒種に応じて調整されうる。
膜状物の乾燥は、乾燥装置内に複数配置したロールに膜状物を交互に通し、膜状物を搬送させながら乾燥させるロール乾燥法や、クリップで膜状物の両端を把持して搬送させながら乾燥させるテンター乾燥法で行うことができる。
乾燥方法は、特に制限されず、熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができ、簡便さの点から、熱風で行うことが好ましい。
2-2.2)の工程について
親水化処理の例には、コロナ(放電)処理、プラズマ処理、フレーム処理、イトロ処理、グロー処理、オゾン処理、及びプライマー塗布処理が含まれる。中でも、生産性の観点から、コロナ処理及びプラズマ処理が好ましい。
コロナ放電処理とは、誘電体と絶縁された電極間に高周波・高電圧をかけてコロナを発生させ、誘電体と電極との間に基材フィルムを通過させることで、基材フィルムの表面を処理する方法である。それにより、基材フィルムの表面の接着性が高められる。
電極の材質の例には、セラミックス及びアルミが含まれる。電極と誘電体との距離は、1〜5mmであることが好ましく、1〜3mmであることがより好ましい。ライン速度(移動速度)は、3〜70m/分程度が好ましく、3〜50m/分程度がより好ましい。
コロナ出力強度は、0.2kW〜3kWであることが好ましく、0.5kW〜1.5kWであることがより好ましい。コロナ出力強度が0.2kW未満であると、コロナ放電が不安定になり、基材フィルムの表面に安定した接着力を付与しにくい場合がある。コロナ出力強度が2.0kWより大きいと、基材フィルムが傷付き易くなる場合がある。コロナ放電処理における電子照射量は、100〜1000W/m/minとしうる。
プラズマ処理は、減圧下又は大気圧下で発生させた不活性ガスや酸素ガス等のガス雰囲気下で、プラズマ放電をすることにより、基材フィルムの表面を活性化させる処理である。ロールを用いた搬送下で効率良く生産するためには、大気圧下でのプラズマ処理が好ましい。
プラズマ処理は、ガスの種類を種々変更することにより基材層の表面を種々に改質することができる。そのため、基材層の表面を活性化するにあたり、適宜任意にガスの種類を選択することができる。ガスの種類の例には、窒素、酸素、アルゴン、ヘリウム、アクリル酸、ヒドロキシアルキル、CF、CHF等のフッ素系化合物が含まれる。
プラズマ出力は、0.2kW〜3kWであることが好ましい。ライン速度(移動速度)は、3〜70m/分であることが好ましく、3〜50m/分であることがより好ましい。周波数は、3〜30kHであることが好ましく、5〜20kHであることがより好ましい。
2-3.3)の工程について
易接着層用組成物を、基材フィルムの親水化処理が施された面に塗布した後、乾燥又は硬化させて易接着層を形成する。即ち、易接着層用組成物が熱硬化成分(熱硬化性樹脂及び架橋剤)を含む場合、易接着層用組成物を、基材フィルム上に塗布した後、硬化(加熱処理)させて易接着層を形成する。易接着層用組成物が前述の熱硬化成分を含まない場合、易接着層用組成物を、基材フィルム上に塗布した後、乾燥して易接着層を形成する。中でも、生産性を高める観点では、易接着層用組成物を、基材フィルム上に塗布した後、乾燥して易接着層を形成することが好ましい。
易接着層用組成物は、主成分となるアミド系樹脂、ウレタン系樹脂又はシランカップリング剤と、水又は有機溶媒とを含む。
用いられる有機溶媒は、シランカップリング剤やアミド系樹脂を均一に溶解又は分散させることができ、適度な揮発性を有するものであることが好ましい。そのような有機溶媒の例には、メタノール、エタノール、プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類が挙げられる。なお、易接着層の主成分としてシランカップリング剤を用いる場合、易接着層用組成物は、水や有機溶媒を含まなくてもよい。易接着層用組成物におけるアミド系樹脂又はシランカップリング剤の濃度は、安定的に易接着層を形成しやすい観点から、例えば0.1%以上としうる。
易接着層用組成物は、必要に応じて架橋剤をさらに含んでもよい。架橋剤は、主成分となる樹脂が有する反応性基と反応する官能基を有する化合物であればよい。例えば、ウレタン系樹脂と組み合わされる架橋剤の例には、水系エポキシ化合物、水系アミノ化合物、及び水系オキサゾリン化合物が含まれる。架橋剤は、1種類であってもよいし、2種類以上を併用してもよい。
水系エポキシ化合物は、水に溶解性があるか、又はエマルジョン化した2個以上のエポキシ基を有する化合物であればよく、その例にはエチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類1モルと、エピクロルヒドリン2モルとのエーテル化によって得られるジエポキシ化合物;グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類1モルと、エピクロルヒドリン2モル以上とのエーテル化によって得られるポリエポキシ化合物;フタル酸、テレフタル酸、シュウ酸、アジピン酸等のジカルボン酸1モルと、エピクロルヒドリン2モルとのエステル化によって得られるジエポキシ化合物等のエポキシ化合物が含まれる。
水系アミノ化合物は、水に溶解性があるか、又はエマルジョン化した2個以上のアミノ基を有する化合物であればよく、その例には、カルボジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタール酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、グリコリック酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、メラミン樹脂、ユリア樹脂、グアナミン樹脂等が含まれる。
水系オキサゾリン化合物は、水に溶解性があるか、又はエマルジョン化した2個以上のオキサゾリン基を有する化合物であればよい。
易接着層用組成物の塗布方法は、例えばグラビアコート法、ディップコート法、スプレーコート法又は流延法等を採用できる。
乾燥温度は、例えば20℃以上基材フィルムのTg以下としうる。乾燥時間は、例えば1分以上10時間以下としうる。
本発明では、前述の1)の工程で得られた基材フィルムは、その表面に紫外線吸収剤や酸化防止剤が偏在しているため(Mc/Msが1未満であるため)、前述の2)の工程において、基材フィルムの表面が良好に親水化処理され易い。それにより、上記3)の工程において、基材フィルムの親水化処理が施された面と易接着層との間の接着性が高められ、接着ムラを低減できる。
3.偏光板
本発明の偏光板は、偏光子と、2つの保護フィルムとを含み、保護フィルムの少なくとも一方を本発明の光学積層フィルムとし得る。本発明の光学積層フィルムが偏光子の一方の面にのみ配置される場合は、偏光子の他方の面には、他のフィルムが配置され得る。
3-1.偏光子
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムである。ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムを一軸延伸した後、ヨウ素又は二色性染料で染色したフィルム(好ましくはさらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよいし;ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素又は二色性染料で染色した後、一軸延伸したフィルム(好ましくは、さらにホウ素化合物で耐久性処理を施したフィルム)であってもよい。偏光子の吸収軸は、通常、最大延伸方向と平行である。
例えば、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、けん化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが用いられる。中でも、熱水切断温度が66〜73℃であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。
偏光子の厚みは、5〜30μmであることが好ましく、偏光板を薄型化するため等から、5〜20μmであることがより好ましい。
3-2.本発明の光学積層フィルム
本発明の光学積層フィルムは、偏光子の少なくとも一方の面に配置されうる。光学積層フィルムの易接着層と偏光子とは、直接又は接着剤層を介して積層されていることが好ましい。
本発明の光学積層フィルムがλ/4フィルムとして用いられる場合、本発明の光学積層フィルムの面内遅相軸と偏光子の吸収軸とのなす角度は、20〜70°であることが好ましく、30〜60°であることがより好ましく、40〜50°であることがさらに好ましい。本発明の光学積層フィルムが、VA用の位相差フィルムとして用いられる場合、本発明の光学積層フィルムの面内遅相軸と偏光子の吸収軸とは略直交し得る。
3-3.他のフィルム
偏光子の他方の面には、必要に応じて他のフィルムが配置されてもよい。他のフィルムの例には、市販のセルロースアシレートフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC6UA、KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC4FR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UE、KC4UE、KC4HR−1、KC4KR−1、KC4UA、KC6UA以上コニカミノルタオプト(株)製)等が含まれる。
他のフィルムの厚みは、特に限定はないが、10〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましく、20〜60μmであることが特に好ましい。
3-4.偏光板の製造方法
本発明の偏光板は、偏光子と本発明の光学積層フィルムとを接着剤又は粘着剤を介して貼り合わせて得ることができる。
接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂やウレタン系樹脂を主成分として含む水系接着剤や、エポキシ系樹脂等の光硬化性樹脂を主成分として含む光硬化型接着剤でありうる。粘着剤は、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン及びポリエーテル等をベースポリマーとして含むものでありうる。中でも、本発明の光学積層フィルムの易接着層との親和性が良く、吸水による歪みも生じにくいことから、水系接着剤が好ましい。
偏光子と本発明の光学積層フィルムの貼り合わせは、通常、ロールトゥロールで行うことができる。
4.液晶表示装置
本発明の液晶表示装置は、液晶セルと、それを挟持する一対の偏光板とを含む。
図4は、液晶表示装置の基本的な構成の一例を示す模式図である。図4に示されるように、本発明の液晶表示装置20は、液晶セル30と、それを挟持する第1の偏光板40及び第2の偏光板50と、バックライト60とを含む。
液晶セル30の表示モードは、例えばTN(Twisted Nematic)、VA(Vistical Alignment)、又はIPS(In Plane Switching)等のいずれの表示モードであってよい。モバイル機器向けの液晶セルは、例えばIPSモードが好ましい。中・大型用途の液晶セルは、例えばVAモードが好ましい。
第1の偏光板40は、液晶セル30の視認側の面に配置されており、第1の偏光子41と、第1の偏光子41の液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルム43(F1)と、第1の偏光子41の液晶セル側の面に配置された保護フィルム45(F2)とを含む。
第2の偏光板50は、液晶セル30のバックライト側の面に配置されており、第2の偏光子51と、第2の偏光子51の液晶セル側の面に配置された保護フィルム53(F3)と、第2の偏光子51の液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルム55(F4)とを含む。
第1の偏光子41の吸収軸と第2の偏光子51の吸収軸とは直交していることが好ましい。
保護フィルム45(F2)は、本発明の光学積層フィルムとしうる。光学積層フィルムの易接着層48と第1の偏光子41とは、直接又は接着剤層(不図示)を介して積層されている。保護フィルム43(F2)の面内遅相軸と第1の偏光子41の吸収軸とは略直交しうる。保護フィルム43(F1)、53(F3)及び55(F4)は、例えば前述した他のフィルムとしうる。
図4では、保護フィルム45(F2)を本発明の光学積層フィルムとした例を示したが、これに限定されず、保護フィルム43(F1)、45(F2)、53(F3)及び55(F4)の少なくとも一つを本発明の光学積層フィルムとしうる。例えば、保護フィルム43(F1)を本発明の光学積層フィルムとし、λ/4フィルムとして機能させる場合、本発明の光学積層フィルムの面内遅相軸と第1の偏光子41の吸収軸とのなす角度は、前述の通り、40〜50°としうる。保護フィルム45(F2)を本発明の光学積層フィルムとし、VA用の位相差フィルムとして機能させる場合、本発明の光学積層フィルムの面内遅相軸と偏光子の吸収軸とは略直交しうる。
保護フィルム45(F2)としての本発明の光学積層フィルムは、前述の通り、紫外線吸収剤や酸化防止剤が基材層11の表面に偏在しているので、基材層11と易接着層13との間の接着ムラが低減される。さらに、本発明の光学積層フィルムは、その基材層11が一定量以上の残留溶媒を含むので、基材層11と易接着層13との間の膨張しようとする力の差を低減でき、偏光子の吸収軸と光学積層フィルム10の遅相軸との間の軸ズレを抑制できる。それらにより、本発明の液晶表示装置は、良好な耐久性を有しつつ、高温高湿下における光学ムラが抑制されうる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.基材フィルム(基材層)の作製
1)基材フィルムの材料
<シクロオレフィン系樹脂の合成>
(合成例1)
シクロオレフィン単量体として一般式(A−1)の例示化合物11を100質量部と、分子量調節剤である1−ヘキセンを3.6質量部と、トルエンを200質量部とを窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これに、重合触媒としてトリエチルアルミニウム((C253Al)1.5モル/lのトルエン溶液を0.17質量部と、t−ブタノ−ル及びメタノールで変性した六塩化タングステン(WCl6)を含み、t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35:0.3:1(モル比)であるWCl6溶液(濃度0.05モル/l)を1.0質量部とを加え、80℃で3時間加熱攪拌して開環重合反応させて、重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は96%であった。
得られた重合体溶液の4000質量部をオートクレーブに入れ、この重合体溶液にRuHCl(CO)[P(C6533を0.48質量部加え、水素ガス圧を10MPa、反応温度160℃の条件で3時間加熱攪拌して、水素添加反応を行った。
得られた反応溶液を冷却した後、水素ガスを放圧し、この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収した。回収した凝固物を乾燥させて、シクロオレフィン系樹脂1を得た。
(合成例2〜4)
水素化反応液を濾別洗浄した後、分離した凝固物を乾燥させる際の乾燥温度を、表1に示されるように変更した以外は合成例1と同様にしてシクロオレフィン系樹脂2〜4を得た。
Figure 2017097283
1-2)紫外線吸収剤
紫外線吸収剤A:Tinuvin928(2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール)(下記式参照)
Figure 2017097283
紫外線吸収剤B:N,N',N''‐トリ‐m‐トルイル‐1,3,5‐トリアジン‐2,4,6‐トリアミン
紫外線吸収剤C:CHIMASSORB 81 (下記式参照)
Figure 2017097283
1-3)酸化防止剤
酸化防止剤:IRGANOX 1010(下記式参照)
Figure 2017097283
2)基材フィルムの作製
<基材フィルム1の作製>
(微粒子添加液の調製)
下記成分を、ディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。さらに、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを、日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を得た。
微粒子(アエロジルR812:日本アエロジル株式会社製、一次平均粒子径:7nm、見掛け比重50g/L):4質量部
メチレンクロライド:96質量部
(ドープ液の調製)
次いで、下記成分を加熱しながら十分に溶解させて、ドープ液を得た。
合成例1で得たシクロオレフィン系樹脂1:100質量部
紫外線吸収剤A:8質量部
IRGANOX1010(酸化防止剤):0.2質量部
メチレンクロライド:210質量部
微粒子添加液:3質量部
(溶液流延製膜法による基材フィルムの作製)
得られたドープ液を40℃に保ち、40℃に保温された無端の金属支持体であるステンレスベルト上に均一に流延した。この流延膜を、残留溶媒量が80質量%となるまで乾燥させた後、ステンレスベルト上から剥離して膜状物を得た。得られた膜状物を、残留溶剤量が5質量%となるまで40℃で乾燥させた後、幅方向に延伸倍率1.5倍で延伸した。得られた膜状物を、多数のロールで搬送させながら120℃でさらに乾燥させて、厚み20μm、幅1.3mの基材フィルム1を得た。
<基材フィルム2〜5の作製>
基材フィルム1の作製において、ドープの溶媒組成を表2に示されるように変更した以外は同様にして基材フィルム2〜5を得た。
<基材フィルム6〜11の作製>
基材フィルム3の作製において、ドープの溶媒組成と延伸後の乾燥温度を表2に示されるように変更した以外は同様にして基材フィルム6〜11を得た。
<基材フィルム12〜16の作製>
基材フィルム3の作製において、ドープに含まれる紫外線吸収剤の含有量を表2に示されるように変更した以外は同様にして基材フィルム12〜16を得た。
<基材フィルム17〜19の作製>
基材フィルム15の作製において、ドープに含まれるシクロオレフィン系樹脂の種類を表2に示されるように変更した以外は同様にして基材フィルム17〜19を得た。
<基材フィルム20〜22の作製>
基材フィルム2の作製において、ドープに含まれる紫外線吸収剤の種類と含有量を表2に示されるように変更した以外は同様にして基材フィルム20〜22を得た。
<基材フィルム23の作製>
(ペレットの作製)
乾燥させたシクロオレフィン系樹脂1を100質量部と、紫外線吸収剤A:3質量部と、IRGANOX1010(酸化防止剤):0.2質量部とを、二軸押出機により混合した。得られた混合物を、押出機に接続されたホッパーへ投入し、単軸押出機で溶融押出してペレットを得た。
次いで、得られたペレットを、目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを設置したダブルフライト型50mm単軸押出機(スクリュー有効長さLとスクリュー径Dとの比L/D=32)に装填されたホッパーへ投入し、押出機出口温度280℃、押出機のギヤポンプの回転数10rpmで溶融樹脂をダイに供給した。そして、溶融樹脂を、280℃でダイから吐出させ、150℃に温度調整された冷却ロールにキャストして基材フィルム23を得た。エアギャップ量を50mmとした。
<基材フィルム24の作製>
基材フィルム20の作製において、延伸を行わなかった以外は同様にして基材フィルム24を得た。
<基材フィルム25の作製>
基材フィルム2の作製において、紫外線吸収剤を添加せず、シクロオレフィン系樹脂1の添加量を108質量部とした以外は同様にして基材フィルム25を得た。
得られた基材フィルムの、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の含有分布(Mc/Ms)及び残留溶媒量を、それぞれ以下の方法で測定した。
(Mc/Ms)
基材フィルムのMc/Msを、以下の手順で測定した。即ち、
1)基材フィルムをミクロトームで切断し、基材フィルムの表面に垂直な切断面を得た。
2)得られた基材フィルムの切断面における測定対象物の面分布像(IRイメージ像)を、Thermo Fisher Scientific社製のNicolet 380を用いてATR法にてよって測定した。
(測定条件)
各測定領域:30μm×30μm(基材フィルムの表面と内部を含む領域)
3)測定領域について、測定対象となる紫外線吸収剤又は酸化防止剤のピーク(測定対象ピーク)を抽出し、その吸光度から含有量を数値化し、可視化したIRイメージ像を得た。
また、上記測定領域において、基材フィルムの一方の面から厚み方向に2μmの位置までの領域における測定対象ピークの吸光度の積算値As1、基材フィルムの他方の面から厚み方向に2μmの位置までの領域における測定対象ピークの吸光度の積算値As2、及び基材フィルムの厚み方向の中心から厚み方向に±2μmの位置までの領域における測定対象ピークの吸光度の積算値Acを測定し、それらの比Ac/As1、Ac/As2をそれぞれ算出した。これらの比のうち、小さいほうの値を「Mc/Ms」とした。
(残留溶媒の定性及び定量)
得られた基材フィルム中の残留溶媒の定性及び定量は、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより行った。ヘッドスペースガスクロマトグラフィーでは、試料を容器に封入して加熱し、容器中に揮発成分が充満した状態で速やかに容器中のガスをガスクロマトグラフに注入し、質量分析を行って化合物の同定を行いながら揮発成分の定量を行った。揮発成分の定量は、濃度が既知の試料を用いて検量線を予め作成しておき、測定で得られた揮発成分のピーク面積と検量線とを照合して行った。
(測定条件)
ヘッドスペース装置:HP7694 Head Space Sampler(ヒューレットパッカード社製)
温度条件:トランスファーライン200℃、ループ温度200℃
サンプル量:0.8g/20mlバイアル
GC:HP5890(ヒューレットパッカード社製)
MS:HP5971(ヒューレットパッカード社製)
カラム:HP−624(30m×内径0.25mm)
オーブン温度:初期温度40℃(保持時間3分)、昇温速度10℃/分、到達温度200℃(保持時間5分)
測定モード:SIM(セレクトイオンモニター)モード
基材フィルム1〜25の製造条件と評価結果を、表2に示す。表中、MCはメチレンクロライドを示し、Etはエタノールを示し、Meはメタノールを示す。
Figure 2017097283
基材フィルム4、5及び23以外の基材フィルムは、いずれもIRイメージ像から基材フィルムの両面もしくは片面に紫外線吸収剤又は酸化防止剤が偏在していることが確認された。そして、表2に示されるように、基材フィルムの製造工程におけるドープの溶媒組成と乾燥前の膜状物の残留溶媒量を調整することで、得られる基材フィルムのMc/Msを1未満に調整できることが示される(基材フィルム1〜5の対比)。具体的には、沸点が低いメチレンクロライドの含有比率が多くなると、乾燥前の膜状物の残留溶媒量が少なくなりやすく、基材フィルムのMc/Msを一定以下としやすいことが示される。
基材フィルムの製造工程における膜状物の乾燥温度を低くすることで、得られる基材フィルムの残留溶媒量を一定以上としうることが示される(基材フィルム6〜11の対比)。
シクロオレフィン系樹脂の合成条件(減圧乾燥温度)を低くすることで、得られる基材フィルムの残留トルエン量を一定以上としうることが示される(基材フィルム15及び17〜19の対比)。
2.光学積層フィルムの作製
1)易接着層の材料
<易接着層用組成物1の調製>
信越化学工業社製のKBM−603(アミノ系シランカップリング剤)を、1−メトキシ−2−プロパノールに溶解させて、濃度10重量%の易接着層用組成物1を得た。
<易接着層用組成物2の調製>
田岡化学工業社製のスミレーズレジン650(ポリアミドエポキシ系樹脂)を純水に溶解させて、濃度10重量%の易接着層用組成物2を得た。
<易接着層用組成物3の調製>
第一工業製薬社製のスーパーフレックス210(水系ウレタン系樹脂)と、架橋剤としてのアジピン酸とエポキシ樹脂とを純水に溶解させて、スーパーフレックス210の濃度10質量%の易接着層用組成物3を得た。
2)光学積層フィルムの作製
<光学積層フィルム1〜16及び28の作製>
表3に示される基材フィルムの領域Sを構成する面(表2のMc/Msの値を有する面)に、コロナ放電処理を施した。コロナ放電における電子照射量は500W/m/minとした。得られた基材フィルムのコロナ処理面に、上記作製した易接着層用組成物1をバーコーターにて乾燥後の厚みが0.8μmとなるように塗布した後、80℃で5分間乾燥させて易接着層を形成した。それにより、基材フィルムと易接着層とを含む光学積層フィルム1〜16及び28を得た。
<光学積層フィルム17〜18の作製>
基材フィルム15上に、表3に示される易接着層用組成物を塗布した後、100℃で10分間乾燥させて易接着層を形成して、光学積層フィルム17〜18を得た。
<光学積層フィルム19の作製>
光学積層フィルム15の作製において、易接着層を形成しなかった以外は同様にして光学積層フィルム19を得た。
<光学積層フィルム20〜27の作製>
表3に示される基材フィルム上に、上記作製した易接着層用組成物2を塗布した後、100℃で10分間乾燥させて易接着層を形成して、光学積層フィルム20〜27を得た。
得られた光学積層フィルムの、偏光子との接着性を、以下の方法で評価した。
(偏光子との接着性)
1)偏光子の作製
厚さ25μmのポリビニルアルコールフィルムを、35℃の水で膨潤させた。得られたフィルムを、ヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5gおよび水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、さらにヨウ化カリウム3g、ホウ酸7.5gおよび水100gからなる45℃の水溶液に浸漬した。得られたフィルムを、延伸温度55℃、延伸倍率5倍の条件で一軸延伸した。この一軸延伸フィルムを、水洗した後、乾燥させて、厚さ7μmの偏光子を得た。
2)評価用サンプルの作製
得られた光学積層フィルムの易接着層上に、水系接着剤であるポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3質量%水溶液を塗布した後、上記作製した偏光子を貼り合わせた。貼り合わせは、光学積層フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸とが直交するように行った。得られた積層物を60℃で5分間乾燥させて、評価用サンプルを得た。
得られた評価用サンプルを、23℃で相対湿度55%の環境下で24時間放置した。その後、評価用サンプルの偏光子と光学積層フィルムとの接着面を手で引き剥がしたとき、光学積層フィルムに材料破壊の発生の有無、及び剥離の程度を目視観察して、以下の基準で接着性を評価した。〇以上であれば実用上問題ないレベルと判断した。
◎:剥がれない
○:光学積層フィルムと偏光子との間の接着力に問題はなく、光学積層フィルムを剥がそうとすると、光学積層フィルムと偏光子の少なくとも一方の端部の一部に材料(基材)破壊が生じる
△:光学積層フィルムと偏光子との界面の一部が剥がれる
×:偏光板保護フィルムと偏光膜との界面の全部が剥がれる
光学積層フィルム1〜27の評価結果を、表3に示す。
Figure 2017097283
表3に示されるように、基材層中で紫外線吸収剤と酸化防止剤を表面に偏在させた(Mc/Ms=1未満とした)光学積層フィルムは、基材層中で紫外線吸収剤と酸化防止剤を表面に偏在させなかった(Mc/Ms=1とした)光学積層フィルムよりも、偏光子との接着性が高いことが示される(光学積層フィルム1〜5及び28の対比)。
また、メルト製膜した基材層を含む光学積層フィルムは、易接着層との接着性が低いことから、偏光子との接着性も低いことがわかる(光学積層フィルム26と15との対比)。また、易接着層を設けなかった光学積層フィルムは、偏光子との接着性が低いことが示される(光学積層フィルム15、17〜19の対比)。
3.液晶表示装置の作製
<液晶表示装置1の作製>
偏光子として、前述の「偏光子との接着性」の評価に用いた偏光子を準備した。保護フィルムF1として、コニカミノルタタック KC6UA(コニカミノルタ社製)を準備した。保護フィルムF2として、上記作製した光学積層フィルム1を準備した。
そして、KC6UAの表面を以下の条件でアルカリ鹸化処理した。具体的には、KC6UAを、1.5N水酸化ナトリウム水溶液に55℃にて2分間浸漬した後、室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.1N硫酸を用いて中和した。得られたKC6UAを再度、室温の水洗浴槽中で洗浄した後、100℃の温風で乾燥させた。
アルカリ鹸化処理面したKC6UA、偏光子及び上記作製した光学積層フィルム1を、水系接着剤であるポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3質量%水溶液を介して貼り合わせて、KC6UA/偏光子/光学積層フィルム1の積層物を得た。貼り合わせは、偏光子の一方の面がKC6UAの鹸化処理面と接し、他方の面が光学積層フィルム1の易接着層と接するように行い、且つ光学積層フィルム1の面内遅相軸と偏光子の吸収軸とが直交するように行った。得られた積層物を乾燥させて偏光板1を得た。
(液晶表示装置の作製)
液晶表示装置として、VA方式のSONY製液晶テレビ(型番:BRAVIA KJ−43X8500C)を準備した。この装置から視認側の偏光板を剥がしとり、液晶セルの視認側の面に上記作製した偏光板1を貼り付けて液晶表示装置1を得た。
偏光板1の貼り付けは、光学積層フィルム1(保護フィルムF2)が液晶セル側となり、偏光子の吸収軸と光学積層フィルム1の遅相軸とが直交し、且つ液晶セルから剥がしとる前の視認側偏光板の吸収軸と一致するように行った。
<液晶表示装置2〜27の作製>
液晶表示装置1の作製において、偏光板の保護フィルムF2の種類を、表4に示されるように変更した以外は同様にして液晶表示装置2〜27を得た。
<液晶表示装置28〜29の作製>
液晶表示装置1の作製において、偏光板の保護フィルムF1とF2の種類を、表4に示されるように変更した以外は同様にして液晶表示装置28〜29を得た。
得られた液晶表示装置の光学ムラを目視観察し、以下の基準に基づいて評価した。光学ムラとは、黒表示させたときに、光が漏れているような白っぽい領域が画面全体若しくは画面四隅にまばらに生じる現象をいう。〇以上であれば実用上問題ないレベルと判断した
◎:ムラが全く観察されない。
○:ムラがほとんど観察されない(ムラの合計面積が画面全体の面積の5%以下である)。
△:目視の角度によってはやや弱いムラが観察される(ムラの合計面積が画面全体の面積の5%超である)。
×:画面に強いムラがはっきりと観察される。
液晶表示装置1〜29の評価結果を表4に示す。
Figure 2017097283
表4に示されるように、基材フィルムのMc/Msを1未満とし、且つ基材フィルムの残留溶媒量を一定以上とした光学積層フィルム1〜3、7〜10、12〜18、20〜25、及び27〜29は、光学ムラを抑制できることが示される。
これに対し、基材フィルムのMc/Msが1以上である光学積層フィルム4及び5は、接着ムラに起因する光学ムラが発生し、基材フィルムの残留溶媒量が少なすぎる光学積層フィルム6は、軸ズレに起因する光学ムラが発生することが示唆される。また、易接着層を有しない光学積層フィルム19は、接着ムラに起因する光学ムラが発生し、基材フィルムをメルト製膜で得た光学積層フィルム26は、軸ズレに起因する光学ムラが発生することが示唆される。
<液晶表示装置30の作製>
(偏光板29の作製)
保護フィルムF1として、コニカミノルタタック KC6UA(コニカミノルタ社製)を用い、保護フィルムF2として、上記作製した光学積層フィルム27を用いた以外は、前述と同様にして偏光板29を得た。
(液晶表示装置の作製)
液晶表示装置として、IPS方式のLGエレクトロニクス製液晶テレビ(型番:43UF6900)を準備した。この装置から視認側の偏光板を剥がしとり、液晶セルの視認側の面に上記作製した偏光板29を貼り付けて液晶表示装置30を得た。
偏光板29の貼り付けは、光学積層フィルム27(保護フィルムF2)が液晶セル側となり、偏光子の吸収軸と光学積層フィルム27の遅相軸とが直交し、且つ液晶セルから剥がしとる前の視認側偏光板の吸収軸と一致するように行った。
<液晶表示装置31〜33の作製>
液晶表示装置30の作製において、偏光板の保護フィルムF1とF2の種類を、表5に示されるように変更した以外は同様にして液晶表示装置31〜33を得た。
得られた液晶表示装置の光学ムラを目視観察して、前述と同様の方法で評価した。〇以上であれば実用上問題ないレベルと判断した。
液晶表示装置30〜33の評価結果を表5に示す。
Figure 2017097283
表5に示されるように、基材フィルム中のMc/Msを1未満とし、且つ基材フィルムの残留溶媒量を一定以上とした光学積層フィルム27を用いた液晶表示装置30及び31は、光学ムラを抑制できることが示される。
これに対し、基材フィルムをメルト製膜で得た光学積層フィルム26を用いた液晶表示装置32及び33は、軸ズレに起因する光学ムラが発生することが示唆される。
本発明によれば、良好な耐久性を有し、且つ高温高湿下における液晶表示装置の光学ムラを抑制しうる光学積層フィルムを提供できる。
10 光学積層フィルム
11 基材層
13、48 易接着層
20 液晶表示装置
30 液晶セル
40 第1の偏光板
41 第1の偏光子
43 保護フィルム(F1)
45 保護フィルム(F2)
50 第2の偏光板
51 第2の偏光子
53 保護フィルム(F3)
55 保護フィルム(F4)
60 バックライト

Claims (10)

  1. シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを含む基材層と、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂又はシランカップリング剤を含む易接着層と
    を含み、
    前記基材層の表面に垂直な切断面において、前記基材層の前記易接着層が配置された面から厚み方向に0.1tの位置までの領域Sにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMs、前記基材層の中心から厚み方向に±0.1tの位置までの領域Cにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMcとしたとき(但し、前記基材層の厚みをtとする)、Mc/Msが0.01以上1未満であり、且つ
    前記基材層の残留溶媒量が100ppm以上2000ppm以下である、光学積層フィルム。
  2. 前記基材層における前記紫外線吸収剤の含有量は、前記シクロオレフィン系樹脂に対して0.5〜5質量%である、請求項1に記載の光学積層フィルム。
  3. 前記基材層における前記酸化防止剤の含有量は、前記シクロオレフィン系樹脂に対して0.5〜5質量%である、請求項1又は2に記載の光学積層フィルム。
  4. 前記アミド系樹脂は、水溶性ポリアミドエポキシ樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学積層フィルム。
  5. 前記基材層は、前記残留溶媒として100〜300ppmのトルエンを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学積層フィルム。
  6. 前記Mc/Msが0.7以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学積層フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学積層フィルムと、その易接着層側の面に配置された偏光子とを含む、偏光板。
  8. 第1の偏光板と、液晶セルと、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に含む液晶表示装置であって、
    前記第1の偏光板は、第1の偏光子と、前記第1の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF1と、前記第1の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF2とを含み、
    前記第2の偏光板は、第2の偏光子と、前記第2の偏光子の前記液晶セル側の面に配置された保護フィルムF3と、前記第2の偏光子の前記液晶セルとは反対側の面に配置された保護フィルムF4とを含み、
    前記保護フィルムF1及びF2の少なくとも一方が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学積層フィルムであり、且つ前記第1の偏光子が、前記光学積層フィルムの易接着層側の面に配置されているか、及び/又は
    前記保護フィルムF3及びF4の少なくとも一方が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学積層フィルムであり、且つ前記第2の偏光子が、前記光学積層フィルムの易接着層側の面に配置されている、液晶表示装置。
  9. 前記保護フィルムF1及びF2の少なくとも一方が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学積層フィルムであり、且つ前記第1の偏光子が、前記光学積層フィルムの易接着層側の面に配置されている、請求項8に記載の液晶表示装置。
  10. シクロオレフィン系樹脂と、紫外線吸収剤及び酸化防止剤の少なくとも一方とを含む基材層であって、その表面に垂直な切断面において、少なくとも一方の表面から厚み方向に0.1tの位置までの領域Sにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMs、前記基材層の中心から厚み方向に±0.1tの位置までの領域Cにおける前記紫外線吸収剤及び前記酸化防止剤の合計含有量をMcとしたとき(但し、前記基材層の厚みをtとする)、Mc/Msが0.01以上1未満であり、且つ残留溶媒量が100ppm以上2000ppm以下である基材層を得る工程と、
    前記基材層の前記領域Sを構成する面に、親水化処理を施す工程と、
    前記基材層の親水化処理が施された面に、アミド系樹脂、ウレタン系樹脂又はシランカップリング剤を含む易接着層用組成物を塗布した後、乾燥又は硬化させて易接着層を形成する工程と、
    を含む、光学積層フィルムの製造方法。
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