JP2017122854A - 液晶表示装置 - Google Patents

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和樹 赤阪
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祐一 細谷
慎 窪田
Shin Kubota
慎 窪田
田坂 公志
Masayuki Tasaka
公志 田坂
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Abstract

【課題】本発明の課題は、液晶セルの反りと、外観不良と、が改善された液晶表示装置を提供することである。
【解決手段】本発明の液晶表示装置は、少なくとも、第1の偏光板と、第1の粘着剤層と、液晶セルと、第2の粘着剤層と、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に具備する液晶表示装置であって、第1の偏光板が偏光子を挟持する一対の保護フィルムT及びTのうち保護フィルムTと、第1の粘着剤層と、第1の偏光板の偏光子と、液晶セルが、液晶層を挟持する一対のガラス基板のうち第1の粘着剤層側のガラス基板と、が特定の関係を満たすことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶表示装置に関する。より詳しくは、本発明は、液晶セルの反りと、外観不良と、が改善された液晶表示装置に関する。
近年、モバイル機器は、薄型化が進行している。
これに伴い、モバイル機器が有する液晶表示装置の部材についても、薄膜化が要望されている。
特に、偏光板と、液晶セルが有するガラス基板と、に対する薄膜化の要求は高い。
一般に、偏光板は、保護フィルムと偏光子とで構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
偏光子の薄膜化も進行しているが、保護フィルムに対する薄膜化の要求も高い。
また、液晶セルが有するガラス基板も、従来は200μm程度の厚さだったが、近年は150μm程度の厚さになるなど、薄膜化が進行している。さらに、このガラス基板の薄膜化は偏光板よりも、液晶表示装置ひいてはモバイル機器に対する薄膜化の影響度が高い。このため、ガラス基板の薄膜化はより進行する可能性がある。
しかし、ガラス基板の薄膜化の進行に伴い、液晶パネルのメーカーで液晶セルに偏光板を貼合した後、パネルが反る(「ベンド」ともいう。)といった問題が発生するようになった。
これまでは、液晶セルが有するガラス基板は厚く、偏光板が多少伸縮した程度ではガラス基板に反りは発生しなかった。
しかしながら、上述したように、昨今の顕著なガラス基板の薄膜化により、偏光板の多少の伸縮であっても、ガラス基板に反りが発生してしまうこととなった。この反りの主因は、視認側の偏光板の伸縮であるということが、経験的に知られており、視認側の偏光板の伸縮を制御する必要があった。
なお、ガラス基板の反りは、モバイル機器の製造の、その後の工程で多大な影響をきたす。例えば、最終工程であるボンディング作業の際、ガラス基板が反っていると泡を巻き込み、生産収率が低下する。この最終工程における生産収率の低下は、採算性に大きく影響をきたすため、この問題の解決は急務である。
なお、この問題は、偏光板が製造後、吸湿することで発生すること、特に、視認側の偏光板と液晶セルとを貼合する粘着剤層の吸湿性が主因となっていることが本発明者の検討で判明した。このため、液晶表示装置の製造工程において、貼合工程の全てにおける環境を制御すれば、上記問題は解決できるが、通常、液晶表示装置の製造は複数の製造会社及び工場で行われるため、上記貼合工程の全てにおける環境を制御することは現実性に欠ける。
偏光板の薄膜化に伴う問題として、上記ベントの発生以外に、偏光子の外観に不良が発生するという問題が生じている。偏光板の薄膜化においては、偏光子自体の薄膜化も進行している。
しかしながら、偏光子は、その製造過程において、強く延伸されるため、そもそも脆い。このため、偏光子は薄膜化が進行すると、脆さもさらに進行する。
したがって、薄膜化した偏光子を採用した偏光板では、偏光子が脆いため、サイクル試験(ヒートショック試験)という耐久評価をした際に、偏光子ひいては偏光板にクラックが発生し、この結果、外観に不良が発生するなど、耐久性に改善の余地があることが分かった。
上記クラックの発生についても、最適な解決策はまだ提案されていない。
このように、液晶表示装置に対する薄膜化への要望に応えるためには、液晶部材全体を薄膜化しなければならないが、上述の生産収率や耐久性など、薄膜化の進行に伴って発生する問題の全てを解決するのは非常に困難である。
特開2014−157284号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、液晶セルの反りと、外観不良と、が改善された液晶表示装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、視認側の第1の粘着剤層、偏光子及びガラス基板を特定の関係を満たすようにすれば、液晶セルの反りと、外観不良と、が改善された液晶表示装置を提供できることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、第1の偏光板と、第1の粘着剤層と、液晶セルと、第2の粘着剤層と、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に具備する液晶表示装置であって、下記要件(a)〜(d)を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
(a)前記第1の偏光板が偏光子を挟持する一対の保護フィルムT及びTを有し、当該第1の偏光板の前記液晶セルに近い側の前記保護フィルムTの40℃・90%RHの環境下での透湿度が50〜600g/m・24hの範囲内であり、23℃における湿度膨張係数(CHE)が5〜20ppm/%RHの範囲内であり、当該保護フィルムTの厚さが5〜25μmの範囲内である。
(b)前記第1の粘着剤層の厚さが、5〜20μmの範囲内である。
(c)第1の偏光板の偏光子の厚さが、3〜15μmの範囲内である。
(d)前記液晶セルが、液晶層を挟持する一対のガラス基板を備え、少なくとも前記第1の粘着剤層側のガラス基板の厚さが0.05〜0.2mmの範囲内である。
2.前記保護フィルムTの23℃における引張り弾性率が、2.0〜3.0GPaの範囲内であり、かつ当該保護フィルムTについて下記式(1)の計算値が50〜1500の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の液晶表示装置。
式(1)=引張り弾性率×膜厚×湿度膨張係数(単位:GPa・μm・%RH)
3.前記保護フィルムTが、シクロオレフィン系樹脂を含有していることを特徴とする第1項又は第2項に記載の液晶表示装置。
4.前記シクロオレフィン系樹脂として、ノルボルネン系樹脂を含有していることを特徴とする第3項に記載の液晶表示装置。
5.前記保護フィルムTが、トリアジン又はその誘導体を含有していることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の液晶表示装置。
6.前記保護フィルムTが、ポリエステル系添加剤を含有していることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の液晶表示装置。
7.前記保護フィルムTが、マット剤を含有していることを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の液晶表示装置。
8.前記液晶表示装置の表示画面の長辺方向の長さ及び短辺方向の長さが、23cm以下であることを特徴とする第1項から第7項までのいずれか一項に記載の液晶表示装置。
本発明の上記手段により、液晶セルの反りと、外観不良と、が改善された液晶表示装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
液晶表示装置において、経験上、視認側の偏光板の伸縮が反りの主因ということが知られている。
このため、本発明者は、視認側の偏光板の伸縮を制御することに着目した。
一般的に偏光板をガラス基板に貼合した際は、液晶表示装置の最表面(視認側)にはプロテクトフィルムが張られており、こちらから水が浸入することはないと考えられる。
一方で、従来、ガラス基板側の偏光板である第1の偏光板は、粘着剤からなる第1の粘着剤層を介してガラス基板に貼り合わせしているので水分は浸入しない、とこれまでは考えられていた。
しかし、本発明者らの鋭意検討により、現在、広く使用されているアクリル系やエポキシ系などの粘着剤は、非常に水分を含む材質のため、粘着剤層の端から水分を吸着し、この結果、偏光板を構成する部材へと水分を供給することが分かった。特に、粘着剤として、アクリロイル基を有するアクリル系化合物を使用した場合に、水分の供給が顕著であった。
このため、粘着剤の間に位置する部材は、水分を通さない材料(以下、「非吸湿材料」ともいう。)であることが好ましいと考えらえる。
一方で、偏光板に使用する全ての部材を、非吸湿材料で構築すれば、この水分の供給という問題は生じないが、偏光子自体が吸湿性を持ち、また、偏光板の生産においても、水を扱うプロセスを経るため、保護フィルムにはある程度透湿性があるものが好ましい。
しかしながら、反りのメカニズムは複雑であり、その発生機構がこれまで不明確であったため、生産性を犠牲にすることなく、透湿性のある保護フィルムを使いながら、反りを制御する方法はこれまで検討されなかった。
このような反りのメカニズムについて、本発明者は、下記のように考えている。
すなわち、偏光子の吸湿膨張、及び保護フィルム自身の吸湿膨張により反りが発生すると考える。また、視認側の偏光子の吸収軸が、ガラス基板の短辺と平行となる場合に、反りが強調されると考えられる。特に、この傾向は、モバイル機器に使用される小型の液晶表示装置において、顕著である。これは、小型の液晶においては、吸湿せず膨張しない中心部が比較的狭くなり、端部の膨張を抑えることができないためと考えられる。
このため、視認側の偏光板の設計を行うことで反りを抑制できると考える。
そこで、本発明者は、視認側の偏光板が有する保護フィルムTの40℃・90%RHの環境下での透湿度が50〜600g/m・24hの範囲内であれば、生産性が向上し、また、反りを抑制できることを見いだした。これは、50g/m・24h以上であれば、偏光板製造時において、偏光板を構成する部材からの水抜けが悪化することを回避できるためと推察する。また、600g/m・24h以下であれば、偏光子が含水しないため、反りの発生を抑制できたと推察する。
また保護フィルムT自身の23℃における湿度膨張係数(CHE:Coefficient of Hydroscopic Expansion)が5〜20ppm/%RHの範囲内であれば反りが発生しないことを見いだした。
これは、5ppm/%RH以上であれば、保護フィルムTが、環境変動による偏光子の変動に追従できるためと推察され、この結果、外観不良の発生を回避できたと考える。また、20ppm/%RH以下であれば、保護フィルムTが湿度膨張することを回避できると推察され、この結果、反りの発生を回避できたと考える。
さらに、本発明者は、外観に不良が発生する原理については下記のように考えている。
ヒートショック試験をすると、偏光子が伸縮する。また、水分の出入りに伴い、保護フィルムも同様に伸縮する。
その際、偏光子の伸縮に対し、保護フィルムが柔軟に追従することで、偏光子に大きな負荷がかかることなく、偏光子にクラックやツレが生じないと推察する。
これに対し、本発明者は、本発明に係る要件(a)〜(d)を満たすことで、適度に保護フィルムが伸縮し、偏光子に大きな負担がかかることがなくなり、ひいては、偏光板の外観に不良が発生することを抑えることができると考える。
なお、バックライト側の粘着剤層の膨張は、液晶表示装置の視認側からの見た目には影響を与えないため、問題ないと考えられる。
本発明の液晶表示装置の構成の一例を示す概略断面図
本発明に係る保護フィルムは、少なくとも、第1の偏光板と、第1の粘着剤層と、液晶セルと、第2の粘着剤層と、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に具備する液晶表示装置であって、上記要件(a)〜(d)を満たすことを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項8までの各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記保護フィルムTの23℃における引張り弾性率が、2.0〜3.0GPaの範囲内であり、かつ当該保護フィルムTについて上記式(1)の計算値が50〜1500の範囲内であることが、反りの発生をより抑制できるため好ましい。
また、保護フィルムTが、シクロオレフィン系樹脂を含有していることが、フィルムの寸法安定性を高めるため好ましく、中でも、シクロオレフィン系樹脂として、ノルボルネン系樹脂を含有していることが好ましい。
また、保護フィルムTが、トリアジン又はその誘導体を含有していることがフィルムの寸法安定性を高めるため好ましい。
また、保護フィルムTが、ポリエステル系添加剤を含有していることがフィルムの寸法安定性を高めるため好ましい。
また、保護フィルムTは、マット剤を含有していることが、偏光板のカールを抑制でき、さらには、偏光板の透過率をより改善できるという観点から好ましい。
また、本発明の液晶表示装置は、表示画面の長辺方向の長さ及び短辺方向の長さが、23cm以下であるような小型の液晶表示装置であっても反りを好適に抑制する効果を発揮することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《液晶表示装置の概要》
本発明の液晶表示装置は、少なくとも、第1の偏光板と、第1の粘着剤層と、液晶セルと、第2の粘着剤層と、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に具備する液晶表示装置であって、下記要件(a)〜(d)を満たすことを特徴とする。
(a)前記第1の偏光板が偏光子を挟持する一対の保護フィルムT及びTを有し、当該第1の偏光板の前記液晶セルに近い側の前記保護フィルムTの40℃・90%RHの環境下での透湿度が50〜600g/m・24hの範囲内であり、23℃における湿度膨張係数(CHE)が5〜20ppm/%RHの範囲内であり、当該保護フィルムTの厚さが5〜25μmの範囲内である。
(b)前記第1の粘着層の厚さが、5〜20μmの範囲内である。
(c)第1の偏光板の偏光子の厚さが、3〜15μmの範囲内である。
(d)前記液晶セルが、液晶層を挟持する一対のガラス基板を備え、少なくとも第1の粘着層側のガラス基板の厚さが0.05〜0.2mmの範囲内である。
なお、液晶表示装置の駆動方式は特に限定されず、例えば、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置であってもよいが、好ましくはVA(MVA、PVA)型液晶表示装置及びIPS型液晶表示装置である。
図1に、通常視認側Eの第1の偏光板101Aとバックライト側(BL)の第2の偏光板101Bの2枚の偏光板を液晶セル101Cの両面に配置した液晶表示装置100の構成の一例を示す。
図1において、液晶層107の両面を、透明基材としてガラス基板108A及び108Bで挟持して液晶セル101Cを構成し、それぞれのガラス基板108A及び108Bのそれぞれの表面に、第1の粘着剤層106A及び第2の粘着剤層106Bを介して、図1に示す構成の第1の偏光板101A及び第2の偏光板101Bが配置されて、液晶表示装置100を構成している。
第1の偏光板101Aは、偏光子104を挟持する一対の保護フィルムT及びTを有する。保護フィルムTは偏光子104の視認(E)側に、保護フィルムTは偏光子104のバックライト(BL)側に、それぞれ貼合されている。保護フィルムT及びTはそれぞれ紫外線硬化型接着剤103A、103Bによって偏光子104に貼合されている。
第2の偏光板101Bは、偏光子105を挟持する一対の保護フィルムT及びTを有する。保護フィルムTは偏光子105の視認(E)側に、保護フィルムTは偏光子105のバックライト(BL)側に、それぞれ貼合されている。保護フィルムT及びTはそれぞれ紫外線硬化型接着剤103A、103Bによって偏光子105に貼合されている。
液晶セル101Cは、液晶物質の両面を配向膜、透明電極及びガラス基板(108A及び108B)が配置されて構成している。
このような本発明の液晶表示装置は、表示画面の長辺方向の長さ及び短辺方向の長さが、23cm以下であるような小型の液晶表示装置(例えば、10型(アスペクト比16:9)以下の表示画面が相当。)であっても反りを好適に抑制する効果を発揮することができる。
以下、本発明の液晶表示装置が有する構成について詳述する。
《第1の偏光板101A》
第1の偏光板は、偏光子を挟持する一対の保護フィルムT及びTを有する。
また、偏光子の片側には保護フィルムを、位相差フィルムとして配置することもできる。本発明に係る保護フィルムは、偏光子面に、活性エネルギー線硬化性接着剤を介して積層されていることが好ましい。
(1)保護フィルムT
保護フィルムTは、第1の偏光板の液晶セルに近い側の保護フィルムである。
保護フィルムTは、40℃・90%RHの環境下での透湿度が50〜600g/m・24hの範囲内であり、23℃における湿度膨張係数が5〜20ppm/%RHの範囲内である。
保護フィルムTの厚さは、5〜25μmの範囲内である。
保護フィルムTの厚さが、5μm以上であれば、保護フィルムTにコシを十分に持たすことができ、この結果、偏光子の膨張を抑制する力が働き、反りを抑制できる。また、25μm以下であれば、保護フィルムTが膨張した際の力が強くなりすぎず、この結果、反りの発生を抑制できたと考える。
保護フィルムTは、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有していることが好ましく、中でも、シクロオレフィン系樹脂として、後述のノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体の重合体であるノルボルネン系樹脂を含有していることがフィルムの寸法安定性を高めるため好ましい。
ここで「主成分」とは、保護フィルムTを構成する樹脂のうち50質量%以上含まれることをいう。
保護フィルムTの23℃における引張り弾性率が、2.0〜3.0GPaの範囲内であり、かつ当該保護フィルムTについて下記式(1)の計算値が50〜1500の範囲内であることが好ましい。
式(1)=弾性率×膜厚×湿度膨張係数(単位:GPa・μm・%RH)
保護フィルムTの23℃における引張り弾性率が、2.0GPa以上であれば、十分なコシを有し、第1の偏光板が有する偏光子の膨張をより抑制でき、反りの発生をより抑制できる。また、3.0GPa以下では、保護フィルムが湿度で膨張することを抑え、反りの発生をより抑制できる。
また、式(1)は保護フィルムTが伸縮した際の力を表現しており、この式(1)の計算値が50GPa・μm・%RH以上であれば、保護フィルムTが環境変化による偏光子の変動に好適に追従でき、外観不良の発生をより抑制できる。1500GPa・μm・%RH以下であれば、反りの発生をより抑制できる。
[透湿度の測定]
JIS Z−0208に準拠して、各保護フィルムを、40℃・90%RHの環境下で24時間調湿した後、透湿試験装置を用いて、調湿前後での単位面積あたりの水分量を算出(g/m・24h)した。次いで、調湿後の水分量−調湿前の水分量の変化量(g/m・24h)を求め、これを透湿度とする。
[弾性率の測定]
本発明における23℃での弾性率(Pa)は、JIS K 7127に記載の方法に準じつつ、例えば、引っ張り試験器(株)オリエンテック製テンシロンRTA−100を用い、23℃の環境下で引っ張り試験を行うことで、弾性率を測定できる。
[厚さの測定]
保護フィルム等の厚さ(膜厚)は、フィルムの流れ方向に連続したテープ状サンプル(長さ3m)を採取し、市販される測定器(例えば、(株)セイコー・イーエム製電子マイクロメータ ミリトロン1240)を用いて、1cmピッチで100点の厚さを測定し平均して、膜厚の平均値(d)として求めることができる。
[湿度膨張係数(CHE)の測定]
恒温恒湿槽に幅1cm、試長15cmになるように固定し、一定湿度(約30%RH)まで脱湿し、フィルム長が一定になった後、加湿(約80%RH)すると吸湿により伸び始める。約24時間後吸湿は平衡に達してフィルムの伸びも平衡に達する。この時の伸び量から下式により計算する。
湿度膨張係数((ppm)/%RH)=伸び量(cm)/(試長(cm)×湿度差)×10
[シクロオレフィン系樹脂]
本発明に係る保護フィルムに好適に含有されるシクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン単量体の重合体、又はシクロオレフィン単量体とそれ以外の共重合性単量体との共重合体であることが好ましい。
シクロオレフィン単量体としては、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体であることが好ましく、下記一般式(A−1)又は(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体であることがより好ましい。
Figure 2017122854
一般式(A−1)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基、又は極性基を表す。pは、0〜2の整数を表す。ただし、R〜Rの全てが同時に水素原子を表すことはなく、RとRが同時に水素原子を表すことはなく、RとRが同時に水素原子を表すことはないものとする。
一般式(A−1)においてR〜Rで表される炭素原子数1〜30の炭化水素基としては、例えば、炭素原子数1〜10の炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1〜5の炭化水素基であることがより好ましい。炭素原子数1〜30の炭化水素基は、例えば、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子又はケイ素原子を含む連結基を更に有していても良い。そのような連結基の例には、カルボニル基、イミノ基、エーテル結合、シリルエーテル結合、チオエーテル結合等の2価の極性基が含まれる。炭素原子数1〜30の炭化水素基の例には、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等が含まれる。
一般式(A−1)においてR〜Rで表される極性基の例には、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基及びシアノ基が含まれる。中でも、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基が好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基が好ましい。
一般式(A−1)におけるpは、保護フィルムTの耐熱性を高める観点から、1又は2を表すことが好ましい。pが1又は2を表すと、得られる重合体が嵩高くなり、ガラス転移温度が向上しやすいためである。
Figure 2017122854
一般式(A−2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。Rは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、又はハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子)を表す。pは、0〜2の整数を表す。
一般式(A−1)におけるRは、炭素数1〜5の炭化水素基を表すことが好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基を表すことがより好ましい。
一般式(A−2)におけるRは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基を表すことが好ましく、溶液製膜時の溶解性を確保する観点から、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基がより好ましい。
一般式(A−2)におけるpは、保護フィルムTの耐熱性を高める観点から、1又は2を表すことが好ましい。pが1又は2を表すと、得られる重合体が嵩高くなり、ガラス転移温度が向上しやすいためである。
一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体は、得られる保護フィルムTにおいて後述する微粒子等のほかの成分を偏在させやすい点から好ましい。その理由は明らかではないが、一般式(A−2)におけるR及びRが、分子の対称軸に対して片側の環構成炭素原子のみに置換されているので、分子の対称性が低い。これにより、保護フィルムTの製膜時の溶媒揮発時に、シクロオレフィン系樹脂と他の成分同士の拡散運動が促進され、これに伴い他の成分の製膜フィルム表面への移動が促されるからであると考えられる。
シクロオレフィン単量体の重合体における一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体の含有割合は、シクロオレフィン系樹脂を構成する全シクロオレフィン単量体の合計に対して例えば70モル%以上、好ましくは80モル%以上、より好ましくは100モル%とし得る。一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体を一定以上含むと、樹脂の配向性が高まるため、位相差値が上昇しやすい。
以下、一般式(A−1)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物1〜14に示し、一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体の具体例を例示化合物15〜34に示す。
Figure 2017122854
シクロオレフィン単量体と共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロオレフィン単量体と開環共重合可能な共重合性単量体、及びシクロオレフィン単量体と付加共重合可能な共重合性単量体等が含まれる。
開環共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン及びジシクロペンタジエン等のシクロオレフィンが含まれる。
付加共重合可能な共重合性単量体の例には、不飽和二重結合含有化合物、ビニル系環状炭化水素単量体及び(メタ)アクリレート等が含まれる。不飽和二重結合含有化合物の例には、炭素原子数2〜12(好ましくは2〜8)のオレフィン系化合物が含まれ、その例には、エチレン、プロピレン及びブテン等が含まれる。ビニル系環状炭化水素単量体の例には、4−ビニルシクロペンテン及び2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体が含まれる。(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜20のアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
シクロオレフィン単量体と共重合性単量体との共重合体におけるシクロオレフィン単量体の含有割合は、共重合体を構成する全単量体の合計に対して例えば20〜80モル%、好ましくは30〜70モル%とし得る。
シクロオレフィン系樹脂は、前述のとおり、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体、好ましくは一般式(A−1)又は(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体を重合又は共重合して得られる重合体であり、その例には、以下のものが含まれる。
(1)シクロオレフィン単量体の開環重合体
(2)シクロオレフィン単量体と、それと開環共重合可能な共重合性単量体との開環共重合体
(3)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体の水素添加物
(4)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフツ反応により環化した後、水素添加した(共)重合体
(5)シクロオレフィン単量体と、不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体
(6)シクロオレフィン単量体のビニル系環状炭化水素単量体との付加共重合体及びその水素添加物
(7)シクロオレフィン単量体と、(メタ)アクリレートとの交互共重合体
上記(1)〜(7)の重合体は、いずれも公知の方法、例えば特開2008−107534号公報や特開2005−227606号公報に記載の方法で得ることができる。例えば、上記(2)の開環共重合に用いられる触媒や溶媒は、例えば特開2008−107534号公報の段落0019〜0024に記載のものを使用できる。上記(3)及び(6)の水素添加に用いられる触媒は、例えば特開2008−107534号公報の段落0025〜0028に記載のものを使用できる。上記(4)のフリーデルクラフツ反応に用いられる酸性化合物は、例えば特開2008−107534号公報の段落0029に記載のものを使用できる。上記(5)〜(7)の付加重合に用いられる触媒は、例えば特開2005−227606号公報の段落0058〜0063に記載のものを使用できる。上記(7)の交互共重合反応は、例えば特開2005−227606号公報の段落0071及び0072に記載の方法で行うことができる。
中でも、上記(1)〜(3)及び(5)の重合体が好ましく、上記(3)及び(5)の重合体がより好ましい。すなわち、シクロオレフィン系樹脂は、得られるシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度を高くし、かつ光透過率を高くすることができる点で、下記一般式(B−1)で表される構造単位及び下記一般式(B−2)で表される構造単位の少なくとも一方を含むことが好ましく、一般式(B−2)で表される構造単位のみを含むか、又は一般式(B−1)で表される構造単位と一般式(B−2)で表される構造単位の両方を含むことがより好ましい。一般式(B−1)で表される構造単位は、前述の一般式(A−1)で表されるシクロオレフィン単量体由来の構造単位であり、一般式(B−2)で表される構造単位は、前述の一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体由来の構造単位である。
Figure 2017122854
一般式(B−1)中、Xは、−CH=CH−又は−CHCH−を表す。R〜R及びpは、それぞれ一般式(A−1)のR〜R及びpと同義である。
Figure 2017122854
一般式(B−2)中、Xは、−CH=CH−又は−CHCH−を表す。R、R及びpは、それぞれ一般式(A−2)のR、R及びpと同義である。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂は、市販品であっても良い。シクロオレフィン系樹脂の市販品の例には、JSR(株)製のアートン(Arton)G(例えばG7810等)、アートンF、アートンR(例えばR4500、R4900及びR5000等)、及びアートンRXが含まれる。
シクロオレフィン系樹脂の固有粘度〔η〕inhは、30℃において、0.2〜5cm/gであることが好ましく、0.3〜3cm/gであることがより好ましく、0.4〜1.5cm/gであることが更に好ましい。
シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量(Mn)は、8000〜100000であることが好ましく、10000〜80000であることがより好ましく、12000〜50000であることが更に好ましい。シクロオレフィン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、20000〜300000であることが好ましく、30000〜250000であることがより好ましく、40000〜200000であることが更に好ましい。シクロオレフィン系樹脂の数平均分子量や重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてポリスチレン換算にて測定することができる。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあると、シクロオレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性、及びフィルムとしての成形加工性が良好となる。
シクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、通常、110℃以上であり、110〜350℃であることが好ましく、120〜250℃であることがより好ましく、120〜220℃であることが更に好ましい。Tgが110℃以上であると、高温条件下での変形を抑制しやすい。一方、Tgが350℃以下であると、成形加工が容易となり、成形加工時の熱による樹脂の劣化も抑制しやすい。
シクロオレフィン系樹脂の含有量は、保護フィルムTに対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。
[マット剤]
保護フィルムTは、マット剤を含有していることが好ましい。これにより、保護フィルムTは、よく滑り、偏光板製造時に、張力調整が可能になり、貼合時の残留応力も低下するため好ましい。また、偏光板のカールを抑制でき、さらには、偏光板の透過率をより改善できるという観点からも好ましい。
マット剤は、特に限定されないが、微粒子であることが好ましい。微粒子としては、無機微粒子であっても良いし、有機微粒子であっても良い。また、有機化合物で表面修飾された無機微粒子であっても良い。
なお、この微粒子とは、透過型電子顕微鏡により測定した場合における数平均粒子径が400nm以下である粒子を指す。この場合、各粒子の粒径は透過型電子顕微鏡における投影面を同体積の円に換算した場合の直径として定義される。不要な散乱を発生させないためには、微粒子の粒径は可視光の波長より十分に小さいことが好ましく、具体的には1〜200nmが好ましい範囲であり、より好ましくは1〜100nmの範囲であり、特に好ましくは5〜60nmの範囲である。粒子の形状は、球状に限定されず不定形の形状であっても良い。
無機微粒子としては、例えば、ケイ素を含む化合物(ケイ素化合物)、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等であることが好ましく、更に好ましくは、ケイ素化合物や酸化アルミニウムであるが、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。これらは、球状、平板状又は無定形状等の形状の粒子が挙げられる。
二酸化ケイ素の微粒子(マット剤)としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R972CF、R974、R812、50、200、200V、300、R202、OX50、TT600、R711、RY300、R106、R816、RA200HS、MOX170(以上、日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
酸化アルミニウムの微粒子(マット剤)としては、例えば、アエロジルAlu C、Alu130及びAlu C805(以上、日本アエロジル(株)製)等の市販品が使用できる。
また、マット剤として有機微粒子を採用する場合は、例えば、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂等、アクリル−スチレン樹脂、メラミン−シリカ等複合されたものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの無機微粒子及び有機微粒子は、単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。また、有機微粒子を使用する場合には、単分散における屈折率と保護フィルムTに含有されるシクロオレフィン系樹脂の屈折率の差が少ないものを使用することが好ましい。
また、本発明に係る微粒子の1次平均粒子径としては、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、特に好ましくは、5〜12nmである。なお、微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個の粒子径を測定し、その平均値をもって、1次平均粒子径とした。
[その他の添加剤]
本発明に係る保護フィルムには、マット剤のほか、更に他の添加剤が含有されていても良い。そのような添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤やポリエステル系添加剤、酸化防止剤等が挙げられる。
<紫外線吸収剤>
本発明に係る保護フィルムTは、添加剤として紫外線吸収剤を含有していても良い。
紫外線吸収剤は、400nm以下の紫外線を吸収するため、光学フィルムの耐久性を向上させることができる。紫外線吸収剤は、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
紫外線吸収剤の具体例としては特に限定されないが、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられ、特に好ましくは、トリアジン又はその誘導体を含有していることである。
紫外線吸収剤としては、より具体的には、例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等を用いることができる。これらは、市販品を用いても良く、例えば、BASFジャパン社製のチヌビン109(オクチル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物)、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928(2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1−メチル−1−フェニルエチル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)等のチヌビン類を好ましく使用できる。
このほか、1,3,5−トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特にポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、市販品であるBASFジャパン社製のチヌビン400(2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヒドロキシフェニルとオキシランとの反応生成物)、チヌビン460(2,4−ビス[2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル]−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン)、チヌビン405(2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと(2−エチルヘキシル)−グリシド酸エステルの反応生成物)等を用いることができる。
紫外線吸収剤の添加方法としては、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール、ジクロロメタン、酢酸メチル、アセトン若しくはジオキソラン等の有機溶媒又はこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してから、保護フィルムTの製造に用いられる樹脂溶液(ドープ)に添加するか、又は直接ドープに添加しても良い。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースアセテート中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の含有量としては、例えば、保護フィルムT中、0.5〜10質量%の範囲が好ましく、0.6〜4質量%の範囲が更に好ましい。
0.5質量%以上含有されていれば、紫外線吸収剤の効果を十分に発現できる。
特に、紫外線吸収剤として、トリアジンを使用する場合は、その含有量は、3質量%以下であることが着色する懸念がないため好ましい。
<ポリエステル系添加剤>
保護フィルムTは、ポリエステル系添加剤を含有していることが好ましい。なお、ポリエステル系添加剤は、保護フィルムT中、10質量%以下含有されていること好ましい。10質量%以下であれば、引張り弾性率が低下しすぎることを回避でき、この結果、反りの発生を抑制できる。
ポリエステル系添加剤は、ジオールとジカルボン酸とを脱水縮合反応させた後;得られる反応生成物の分子末端の(ジオール由来の)ヒドロキシ基を、環構造を有するヒドロキシ基含有モノカルボン酸のカルボキシ基と脱水縮合反応させて得られる化合物である。具体的には、ポリエステル系添加剤は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
一般式(1):B−(G−A)−G−B
式中、Bは、環構造を有するヒドロキシ基含有モノカルボン酸から誘導される基を表す。環構造とは、脂肪族炭化水素環、脂肪族ヘテロ環、芳香族炭化水素環又は芳香族ヘテロ環を有する構造をいい、好ましくは脂肪族炭化水素環又は芳香族炭化水素環を有する構造をいう。環構造を有するヒドロキシ基含有モノカルボン酸は、炭素原子数5〜20の脂環式モノカルボン酸、炭素原子数7〜20の芳香族モノカルボン酸及びそれらの混合物でありうる。
炭素原子数5〜20の脂環式モノカルボン酸は、好ましくは炭素原子数6〜15の脂環式モノカルボン酸でありうる。脂環式モノカルボン酸の例には、4−ヒドロキシシクロヘキシル酢酸、3−ヒドロキシシクロヘキシル酢酸、2−ヒドロキシシクロヘキシル酢酸、4−ヒドロキシシクロヘキシルプロピオン酸、4−ヒドロキシシクロヘキシル酪酸、4−ヒドロキシシクロヘキシルグリコール酸、4−ヒドロキシ−o−メチルシクロヘキシル酢酸、4−ヒドロキシ−m−メチルシクロヘキシル酢酸、4−ヒドロキシ−p−メチルシクロヘキシル酢酸、5−ヒドロキシ−m−メチルシクロヘキシル酢酸、6−ヒドロキシ−o−メチルシクロヘキシル酢酸、2,4−ジヒドロキシシクロヘキシル酢酸、2,5−ジヒドロキシシクロヘキシル酢酸、2−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル酢酸、3−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル酢酸、4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキシル酢酸、2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)シクロヘキシル酢酸、3−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)シクロヘキシル酢酸、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)シクロヘキシル酢酸等が含まれる。
炭素原子数7〜20の芳香族モノカルボン酸は、好ましくは炭素原子数7〜15の芳香族モノカルボン酸でありうる。芳香族モノカルボン酸の例には、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−o−トルイル酸、3−ヒドロキシ−p−トルイル酸、5−ヒドロキシ−m−トルイル酸、6−ヒドロキシ−o−トルイル酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2−(ヒドロキシメチル)安息香酸、3−(ヒドロキシメチル)安息香酸、4−(ヒドロキシメチル)安息香酸、2−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)安息香酸、3−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)安息香酸、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)安息香酸等が含まれる。
これらの中でも、十分な疎水性を付与し、偏光子の水分による劣化を抑制しやすい点から、芳香環を含むヒドロキシ基含有モノカルボン酸(ヒドロキシ基を含む芳香族モノカルボン酸)が好ましい。
式中、Gは、炭素原子数2〜12のアルキレンジオール、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジオール、炭素原子数4〜12のオキシアルキレンジオール及び炭素原子数6〜12のアリーレンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種から誘導される基を表す。
炭素原子数2〜12のアルキレンジオールの例には、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等が含まれる。
炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジオールの例には、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、水素化ビスフェノールB(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)ブタン等が含まれる。
炭素原子数4〜12のオキシアルキレンジオールの例には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が含まれる。
炭素原子数6〜12のアリーレンジオールの例には、ビスフェノールA、ビスフェノールB等が含まれる。
ジオールは、1種又は2種以上の混合物として使用される。中でも、シクロオレフィン系樹脂との相溶性に優れる点で、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールが好ましい。
式中、Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸、炭素原子数6〜12のシクロアルキレンジカルボン酸、及び炭素原子数8〜16のアリーレンジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種から誘導される基を表す。
炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸の例には、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等が含まれる。
炭素原子数6〜16のシクロアルキレンジカルボン酸の例には、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸等が含まれる。
炭素原子数8〜16のアリーレンジカルボン酸の例には、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸等が含まれる。
ジカルボン酸は、1種又は2種以上の混合物として使用される。ジカルボン酸は、アルキレンジカルボン酸とアリーレンジカルボン酸の混合物であることが好ましい。アルキレンジカルボン酸とアリーレンジカルボン酸の含有割合は、アルキレンジカルボン酸:アリーレンジカルボン酸=40:60〜99:1であることが好ましく、50:50〜90:10であることがより好ましい。
式中、nは、0以上の整数を表す。
ポリエステル系添加剤の数平均分子量は、好ましくは300〜30000、より好ましくは300〜700の範囲内であり、より好ましくは300〜600である。数平均分子量が一定以上であると、ブリードアウトを抑制しやすい。数平均分子量が一定以下であると、シクロオレフィン系樹脂との相溶性を損ないにくくヘイズ上昇を抑制しやすい。
ポリエステル系添加剤の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されうる。具体的には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定装置(東ソー株式会社製「HLC−8330」)を用いて、下記の測定条件で、エステル化合物の標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)を測定することができる。
(測定条件)
カラム:「TSK gel SuperHZM−M」×2本及び「TSK gel SuperHZ−2000」×2本
ガードカラム:「TSK SuperH−H」
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.35mL/分
ポリエステル系添加剤の数平均分子量は、縮合又は重縮合の反応時間によって調整することができる。
ポリエステル系添加剤の酸価は、好ましくは0.5mgKOH/g以下、より好ましくは0.3mgKOH/g以下である。ポリエステル系添加剤のヒドロキシ価は、好ましくは25mgKOH/g以下、より好ましくは15mgKOH/g以下である。
ポリエステル系添加剤の合成は、常法によりジカルボン酸、ジオール、及び末端封止用モノカルボン酸のエステル化反応又はエステル交換反応による熱溶融縮合法、又はジカルボン酸及び末端封止用モノカルボン酸の酸クロライドとジオールとの界面縮合法のいずれかの方法で行うことができる。ジオールとジカルボン酸の仕込み比は、分子末端がジオールとなるように調整される。
一般式(1)で表される構造を有するポリエステル系添加剤のシクロオレフィン系樹脂に対する添加量は2〜10質量%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、3〜7質量%の範囲内である。添加量は、2質量%以上の場合で、保護フィルムの硬度上昇の効果が認められ、10質量%以下であると、高温環境下における寸法安定性及びヘイズの安定性を高める観点から好ましい。
(酸化防止剤)
本発明に係る保護フィルムは、その他の添加剤として酸化防止剤(劣化防止剤)を含有していても良い。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等を挙げることができる。
酸化防止剤の含有量は、例えば、保護フィルムTに対して1〜10000質量ppmの範囲が好ましく、10〜1000質量ppmの範囲が更に好ましい。
[保護フィルムTの製造方法]
保護フィルムTは、任意の方法で製造されうるが、比較的分子量の大きな樹脂でも製膜しやすい、また添加剤を保護フィルムT中に均一に添加しやすい等の点から、溶液流延法で製造されることが好ましい。以下においては、保護フィルムTが主成分として含有する樹脂がシクロオレフィン系樹脂である場合を例に保護フィルムTの製造方法を説明する。
シクロオレフィン系樹脂を含有する溶液を基体上に流延する工程を経て、前記保護フィルムTを形成すること、具体的にはシクロオレフィン系樹脂を含有する溶液を基体上に流延する工程を経て、保護フィルムTを形成することが好ましい。
保護フィルムTは、1)前述の各成分を溶剤に溶解させてドープ液を調製する工程、2)ドープ液を無端の基体上に流延する工程、3)流延したドープを乾燥した後、剥離して膜状物を得る工程、4)膜状物を乾燥及び延伸する工程を経て製造されうる。
上記1)の工程用いられる溶剤としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶剤;トルエン、キシレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶剤などの芳香族系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶液流延法では、ドープ中のシクロオレフィン系樹脂の濃度は、濃度が高い方が基体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、シクロオレフィン系樹脂の濃度が高すぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、さらに好ましくは、15〜25質量%の範囲内である。流延(キャスト)工程における基体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、基体としては、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の基体の表面温度は−50℃から溶媒が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、あまり高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化したりする場合がある。
好ましい基体温度としては0〜100℃の範囲内で適宜決定され、5〜30℃がさらに好ましい。又は、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶剤を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。基体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を基体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、基体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶剤の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶剤の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で基体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
保護フィルムTが良好な平面性を示すためには、基体からウェブを剥離する際の残留溶剤量は10〜150質量%の範囲内が好ましく、さらに好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%の範囲内であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%の範囲内である。
残留溶剤量は下記式で定義される。
残留溶剤量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、保護フィルムTの乾燥工程においては、ウェブを基体より剥離し、さらに乾燥し、残留溶剤量を1質量%以下にすることが好ましく、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%の範囲内である。
フィルム乾燥工程では一般にローラー乾燥方式(上下に配置した多数のローラーにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
延伸工程では、最大延伸方向(延伸率が最大となる方向)の延伸率は、好ましくは5〜80%、より好ましくは12〜60%の範囲内としうる。例えば、互いに直交する2軸方向に延伸する場合、搬送方向(MD方向)に0〜60%、幅方向(TD方向)に5〜70%としうる。延伸率(%)は、下記式で定義される。
延伸率(%)={(延伸後のフィルムの(延伸方向)長さ−延伸前のフィルムの(延伸方向)長さ)/延伸前のフィルムの(延伸方向)長さ)}×100
延伸温度は、120〜180℃、好ましくは140〜180℃、より好ましくは145〜165℃の範囲内としうる。
延伸開始時の膜状物の残留溶媒は、ヘイズの上昇を抑制する観点から、好ましくは5質量%未満、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下としうる。延伸開始時の残留溶媒を5質量%未満に保持するには、流延したドープを基体から剥離した膜状物(フィルム原反)を、搬送する過程において前記乾燥工程を設け溶媒を蒸発させることが好ましい。
膜状物を延伸する方法は、特に限定されず、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用してMD方向に延伸する方法や;テンターにより膜状物の両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔をTD方向に広げて延伸する方法等であってよい。中でも、TD方向の延伸は、テンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
また、斜め延伸可能なテンターを用いて、斜め方向に延伸する工程を経て保護フィルムTを形成することもできる。斜め延伸可能なテンターは、長尺フィルム原反を、オーブンによる加熱環境下で、その進行方向(フィルム幅方向の中点の移動方向)に対して斜め方向に拡幅する装置である。このテンターは、オーブンと、フィルムを搬送するための把持具が走行する左右で一対のレールと、該レール上を走行する多数の把持具とを備えている。フィルムロールから繰り出され、テンターの入口部に順次供給されるフィルムの両端を、把持具で把持し、オーブン内にフィルムを導き、テンターの出口部で把持具からフィルムを開放する。把持具から開放されたフィルムは巻芯に巻き取られる。一対のレールは、それぞれ無端状の連続軌道を有し、テンターの出口部でフィルムの把持を開放した把持具は、外側を走行して順次入口部に戻されるようになっている。
その他の工程については、公知の溶液流延法;例えば特開2012−48214号の段落0109〜0140と同様としうる。
(2)他の保護フィルム(保護フィルムTなど)
偏光子の本発明に係る保護フィルムTとは反対側に配置される保護フィルムTや、第2の偏光板101Bが有する保護フィルムT、T(以下、これらをまとめて「他の保護フィルム」ともいう。)は、偏光子の保護フィルムとして機能するフィルムであることもできるし、位相差フィルムであることもできる。
また、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等の樹脂フィルム、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン株式会社製、ゼオノア(登録商標)、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、シクロオレフィンコポリマー、ポリイミド(例えば三菱ガス化学株式会社製、ネオプリム(登録商標))、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、アクリロイル化合物等の樹脂フィルムが挙げられる(括弧内はガラス転移温度Tgを示す。)。これら樹脂基材のうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)、ポリカーボネート(略称:PC)等のフィルムが保護フィルムとして好ましく用いられる。
本発明に係る保護フィルムTとともに他の保護フィルムの厚さは、特に制限されないが、10〜200μm程度とすることができ、好ましくは10〜100μmの範囲内であり、より好ましくは10〜70μmの範囲内である。
(3)接着剤
本発明に係る保護フィルムT及びTは下記偏光子と水糊又は活性エネルギー線硬化性接着剤(図1に示す103A及び103B)で接着することができる。活性エネルギー線硬化性接着剤は紫外線硬化型接着剤であることが好ましい。また、偏光板は、本発明に係る保護フィルムと偏光子とが、後述の活性エネルギー線硬化性接着剤により貼合されていることが好ましい。
保護フィルムと偏光子との貼合に紫外線硬化型接着剤を適用することにより、薄膜でも強度が高く、平面性に優れた偏光板を得ることができる。
[水糊]
偏光板は、保護フィルムTを完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊)を用いて偏光子に貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には他の保護フィルムを貼合することができる。本発明に係る保護フィルムは液晶表示装置とされた際に、偏光子の液晶セル側に設けられることが好ましく、偏光子の外側のフィルムは、本発明に係る保護フィルム、及び従来の偏光板保護フィルムのどちらでも用いることができる。
例えば、従来の偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC6UY、KC6UA、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC、以上コニカミノルタ(株)製)が好ましく用いられる。
(4)偏光子
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、その例には、ポリビニルアルコール系偏光フィルム(いわゆる「PVA偏光子」。)が含まれる。
本発明の液晶表示装置において、第1の偏光板の偏光子の厚さは、3〜15μmの範囲内である。第1の偏光板の偏光子の厚さが、3μm以上であれば、もろくならず、製造時にクラックが発生し難いため、簡単には偏光子の外観不良が生じず、この結果、生産性を上げることができる。また、15μm以下では、伸縮力が強くなりすぎず、反りの発生を回避できる。
なお、以下の説明において、特別の区別の必要がない場合、第1の偏光板の偏光子及び第2の偏光板の偏光子をまとめて「偏光子」という。なお、第2の偏光板の偏光子は、特に限定されず、公知のものを使用できる。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
偏光子は、ポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸した後、染色するか又はポリビニルアルコールフィルムを染色した後、一軸延伸して、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理をさらに行って得ることができる。
偏光子の膜厚は、5〜30μmの範囲内が好ましく、5〜15μmの範囲内であることがより好ましい。
ポリビニルアルコールフィルムとしては、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。また、特開2011−100161号公報、特許第4691205号公報、特許第4804589号公報に記載の方法で、偏光子を作製し本発明に係る保護フィルムと貼り合わせて偏光板を作製することができる。
なお、偏光子がPVA偏光子である場合、製造工程で粘着剤層に水分が含有されるため、反りが発生しやすいが、本発明の構成によれば、偏光子がPVA偏光子であっても反りも防止することができる。
《第2の偏光板101B》
第2の偏光板としては、公知の偏光板を使用することができ、特に限定されず、例えば、上記第1の偏光板と同じものを使用できる。
《第1の粘着剤層106A》
第1の粘着剤層の厚さは、5〜20μmの範囲内である。
5μm以上であれば、保護フィルムTの伸縮を抑制でき、反りが生じない。
20μm以下であれ、保護フィルムTが伸縮しすぎず、この結果、偏光子の外観不良の発生やクラックを発生を回避できる。
第1の粘着剤層としては、両面テープ、例えば、リンテック社製の厚さ25μmの両面テープ(基材レステープ MO−3005C)等や、又は、下記のような活性光線硬化型樹脂層の形成に用いる組成物を適用することができる。
なお、下記のうちでも、アクリル系化合物は、硬すぎず、偏光子に対してかかる力が強くなりすぎず、偏光子にクラックが発生することをより抑制できるため好ましい。また、アクリル系化合物は、硬さを調整しやすく、反りの制御を容易にできるため好ましい。一方、エポキシ系化合物は、透湿度が低く、より反りを抑えることができ好ましい。
[活性エネルギー線硬化性接着剤]
活性エネルギー線硬化性接着剤は、下記紫外線硬化型接着剤(以下、「UV糊」ともいう。)を用いることが好ましい。
〈UV糊の組成〉
偏光板用のUV糊組成物としては、光ラジカル重合を利用した光ラジカル重合型組成物、光カチオン重合を利用した光カチオン重合型組成物、並びに光ラジカル重合及び光カチオン重合を併用したハイブリッド型組成物が知られている。
光ラジカル重合型組成物としては、特開2008−009329号公報に記載のヒドロキシ基やカルボキシ基等の極性基を含有するラジカル重合性化合物及び極性基を含有しないラジカル重合性化合物を特定割合で含む組成物)等が知られている。特に、ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の好ましい例には、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(アクリル系化合物)が含まれる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例には、N置換(メタ)アクリルアミド系化合物、(メタ)アクリレート系化合物などが含まれる。(メタ)アクリルアミドは、アクリアミド又はメタクリアミドを意味する。
また、光カチオン重合型組成物としては、特開2011−028234号公報に開示されているような、(α)カチオン重合性化合物、(β)光カチオン重合開始剤、(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤、及び(δ)ナフタレン系光増感助剤の各成分を含有する紫外線硬化型接着剤組成物が挙げられる。ただし、これ以外のUV糊が用いられてもよい。
(a)前処理工程
前処理工程は、保護フィルムTの液晶セルとの接着面に易接着処理を行う工程である。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
(UV糊の塗布工程)
UV糊の塗布工程としては、液晶セルと保護フィルムTとの接着面のうち少なくとも一方に、上記UV糊を塗布する。液晶セル又は保護フィルムTの表面に直接、UV糊を塗布する場合、その塗布方法に特段の限定はない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の湿式塗布方式が利用できる。また、液晶セルと保護フィルムTの間に、UV糊を流延させたのち、ローラー等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
(b)貼合工程
上記の方法によりUV糊を塗布した後は、貼合工程で処理される。この貼合工程では、例えば、先の塗布工程で液晶セルの表面にUV糊を塗布した場合、そこに保護フィルムTが重ね合わされる。また、始めに保護フィルムTの表面にUV糊を塗布する方式の場合には、そこに液晶セルが重ね合わされる。また、液晶セルと保護フィルムTの間にUV糊を流延させた場合は、その状態で液晶セルと保護フィルムTとが重ね合わされる。そして、通常は、この状態で加圧ローラー等で挟んで加圧することになる。加圧ローラーの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置される加圧ローラーは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
(c)硬化工程
硬化工程では、未硬化のUV糊に紫外線を照射して、カチオン重合性化合物(例えば、エポキシ系化合物やオキセタン化合物)やラジカル重合性化合物(例えば、アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物等)を含むUV糊層を硬化させ、UV糊を介して重ね合わせた液晶セルと保護フィルムTを接着させる。液晶セルの片面に保護フィルムTを貼合する場合、活性エネルギー線は、液晶セル側又は保護フィルムT側のいずれから照射してもよい。
紫外線の照射条件は、本発明に適用するUV糊を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cmの範囲であることが好ましく、100〜500mJ/cmの範囲であるのがさらに好ましい。
偏光板の製造工程を連続ラインで行う場合、ライン速度は、接着剤の硬化時間によるが、好ましくは1〜500m/minの範囲、より好ましくは5〜300m/minの範囲、さらに好ましくは10〜100m/minの範囲である。ライン速度が1m/min以上であれば、生産性を確保することができ、又は保護フィルムTへのダメージを抑制することができ、耐久性に優れた偏光板を作製することができる。また、ライン速度が500m/min以下であれば、UV糊の硬化が十分となり、目的とする硬度を備え、接着性に優れたUV糊層を形成することができる。
《第2の粘着剤層106B》
第2の粘着剤層は、ガラス基板と液晶セルとを粘着できるものであれば特に限定されず、第1の粘着剤層と同様のものを使用できる。
《液晶セル101C》
液晶セルは、液晶層107を挟持する一対のガラス基板108A及び108Bを備え、少なくとも第1の粘着層側のガラス基板の厚さが0.05〜0.2mmの範囲内である。
ガラス基板は、厚さが0.05mm以上であれば、液晶表示装置を構成する各フィルムの膨張に耐えることができ、この結果、反りが生じないと考えられる。
また、ガラス基板は、厚さが0.2mm以下であれば、剛性が高くなりすぎることを回避でき、この結果、液晶表示装置を構成する各フィルムを抑制しすぎず、偏光子にクラックが発生することを回避できると考えられる。
(1)液晶層
液晶層は、特に限定されず、公知のものでよく、例えば、液晶セルの表示方式がIPS(In−Plane Switching)方式である場合、正の誘電率異方性(Δε>0)又は負の誘電率異方性(Δε>0)を有する液晶分子を含むものであることが好ましい。また、この場合、液晶分子は、電圧無印加時には基板面に対して水平に配向している。
このように構成された液晶セルでは、一方のガラス基板に設けられた画素電極と対向電極との間に、ガラス基板面に対して水平方向の電界を生じさせる。それにより、ガラス基板面に対して水平配向している液晶分子を、ガラス基板面と水平な面内で回転させる。それにより、液晶分子を駆動し、各副画素の透過率及び反射率を変化させて画像表示を行う。
(2)ガラス基板
液晶セル101Cに用いることのできるガラス基板108A及び108Bを構成する材質としては、例えば、ソーダライムガラス、ケイ酸塩ガラスなどが挙げられ、ケイ酸塩ガラスであることが好ましく、具体的には、シリカガラス又はホウケイ酸ガラスであることがより好ましい。
ガラス基板を構成するガラスは、アルカリ成分を実質的に含有していない無アルカリガラスであること、具体的には、アルカリ成分の含有量が1000ppm以下であるガラスであることが好ましい。ガラス基板中のアルカリ成分の含有量は、500ppm以下であることが好ましく、300ppm以下であることがより好ましい。アルカリ成分を含有するガラス基材は、フィルム表面で陽イオンの置換が発生し、ソーダ吹きの現象が生じやすい。それにより、フィルム表層の密度が低下しやすく、ガラス基板が破損しやすいからである。
上述のように、少なくとも、第1の粘着剤層側のガラス基板の厚さが0.05〜0.2mmであるが、第2の粘着剤層側のガラス基板108Bの厚さも、0.05〜0.2mmの範囲内であることが好ましい。このような厚さとすることは、液晶表示装置の薄型化形成に寄与することができる点で好ましい。
ガラス基板は、公知の方法、例えばフロート法、ダウンドロー法、オーバーフローダウンドロー法などにより成形されうる。中でも、成形時にガラス基材の表面が成形部材と接触せず、得られるガラス基材の表面に傷がつきにくいことなどから、オーバーフローダウンドロー法が好ましい。
また、このようなガラス基板は、市販品としても入手することができ、例えば、旭硝子社製の無アルカリガラスAN100(厚さ500μm)、コーニング社製のガラス基板 EAGLE XG Slim(厚さ300μm、400μm等)、日本電気硝子社製のガラス基材(厚さ100〜200μm)等を挙げることができる。
また、図1に示すような第1の偏光板101A、第2の偏光板101Bと、液晶セル101Cを構成するガラス基材108A、108Bとは、第1の粘着剤層106A又は第2の粘着剤層106Bを介して接着されている。
《バックライト》
バックライトとしては特に限定されず、公知のものを使用でき、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLEDバックライトなどを好適に使用できる。
《液晶表示装置プロテクトフィルム》
液晶表示装置は、視認側に、更に液晶表示装置プロテクトフィルム(図示しない。)を偏光板の表面(視認側)に貼合したものであることが好ましい。当該液晶表示装置プロテクトフィルムは、傷つき防止、異物付着防止、帯電防止等の目的で用いられる。
液晶表示装置プロテクトフィルムとして用いられるフィルムの材質は特に制限されるものではなく、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、フィルム物性及びコストの点からは、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルムが好ましい。
本発明に用いられる液晶表示装置プロテクトフィルムの厚さは、好ましくは10〜100μm、更に好ましくは15〜50μmである。
また、液晶表示装置プロテクトフィルムは、粘着層を有していてもよく、粘着層は、コーティングにより粘着層を形成するものと、共押し出しにより、自己粘着層を形成するものがあるが、液晶表示装置プロテクトフィルムの選択肢を広げることが可能であるという観点から、コーティングにより粘着層を形成する方法が好ましい。
粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などを挙げることができる。なお、粘着剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよいそれらの中でも、耐熱性、生産性の観点からアクリル系粘着剤が好ましい。
粘着層の厚さは、好ましくは2〜20μmの範囲、より好ましくは5〜15μmの範囲であることが好ましい。粘着層の厚さが20μmより厚いと、保護フィルムと貼り合わせて剥がす際に、糊残りが発生しやすい問題、液晶表示装置プロテクトフィルムの繰り出し張力が高くなり、保護フィルムとの貼り合わせの際にしわや傷が生じやすくなる可能性がある。また、2μmより薄いと、粘着力が低くなって液晶表示装置プロテクトフィルムの浮きや剥がれが発生する可能性がある。
液晶表示装置プロテクトフィルムは、異物の混入を防ぐ目的や、巻き取りシワを抑制する目的で、粘着層面にセパレーターを用いる構成で製造される場合がある。その場合、粘着層面と、セパレーターの剥離力を軽くする目的や、剥離帯電を抑制する目的で、セパレーターへ離形処理を行うことが一般的である。離形剤としては、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン系、フッ化アルキルなどのフッ素系、長鎖アルキルなどが用いられる。その中でも、離形性、加工性が良好である理由で、シリコーン系が好適に用いられる。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
《保護フィルムT[1]の作製》
[微粒子分散液1の調製]
シリカ微粒子(アエロジルR812 日本アエロジル(株)製) 11質量%
ジクロロメタン 89質量%
以上をディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリン分散機を用いて分散を行い、微粒子分散液を調製した。
溶解タンクにジクロロメタンを入れ、ジクロロメタンを十分に撹拌しながら上記調製した微粒子分散液を50質量%となるようにゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が、所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過して、微粒子添加液1を調製した。
〔主ドープ1の調製〕
下記組成の主ドープ1を調製した。具体的には、まず加圧溶解タンクにジクロロメタンとエタノールを添加した。ジクロロメタンとエタノールの混合溶液の入った加圧溶解タンクにシクロオレフィン系樹脂であるG7810(JSR(株)製シクロオレフィン系樹脂)を撹拌しながら投入し、次いで、微粒子添加液1を添加した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用してろ過し、主ドープ1を調製した。
(主ドープ1)
G7810 99.5質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
微粒子添加液1(R812) (固形分換算)0.5質量部
以上の成分を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解して主ドープ1を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、主ドープ1を温度31℃、1800mm幅でステンレスベルト基体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は28℃に制御した。
ステンレスベルト基体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶剤量が30%になるまで溶剤を蒸発させた。次いで、剥離張力128N/mで、ステンレスベルト基体上から剥離した。剥離したフィルムの延伸開始時の残留溶剤は10質量%であった。フィルム原反を剥離後、剥離したフィルム原反を、145℃(表1の製造条件に記載の延伸における「温度」。)の条件下で、延伸をさせずに延伸ゾーンを搬送させた(すなわち、延伸率0%。)。次いで、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後、巻き取り、厚さ20μmの保護フィルムT[1]を作製した。
《保護フィルムT[2]〜[4]の作製》
保護フィルムT[1]の作製において、表1の製造条件における「残留溶剤」としたほかは同様にして、保護フィルムT[2]〜[4]を作製した。
《保護フィルムT[5]の作製》
保護フィルムT[1]の作製で調製した主ドープ1を温度31℃、1800mm幅でステンレスベルト基体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は28℃に制御した。
ステンレスベルト基体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶剤量が30%になるまで溶剤を蒸発させた。次いで、剥離張力128N/mで、ステンレスベルト基体上から剥離した。剥離したフィルムの延伸開始時の残留溶剤は10質量%であった。フィルム原反を剥離後、剥離したフィルム原反を、120℃(表1の製造条件に記載の延伸における「温度」。)の条件下で幅手方向に、延伸率30%で一軸延伸した。次いで、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後、巻き取り、厚さ20μmの保護フィルムT[5]を作製した。
《保護フィルムT[6]〜[13]、[17]及び[18]の作製》
保護フィルムT[5]の作製において、表1の製造条件における延伸の「温度」及び「延伸率」並びに「厚さ」としたほかは同様にして、保護フィルムT[6]〜[13]、[17]及び[18]を作製した。
《保護フィルムT[14]の作製》
〔主ドープ2の調製〕
下記組成の主ドープ2を調製した。具体的には、まず加圧溶解タンクにジクロロメタンとエタノールを添加した。ジクロロメタンとエタノールの混合溶液の入った加圧溶解タンクにシクロオレフィン系樹脂であるG7810(JSR(株)製シクロオレフィン系樹脂)を撹拌しながら投入し、次いで、ベンゾトリアゾール系化合物である、添加剤A1(紫外線吸収剤:TINUVIN Ti928(BASFジャパン社製、略称:Ti928))、微粒子添加液1を添加した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用してろ過し、主ドープ2を調製した。
(主ドープ2)
G7810 89.5質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
微粒子添加液1(R812) (固形分換算)0.5質量部
紫外線吸収剤A1 10質量部
以上の成分を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解して主ドープ2を調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、主ドープ2を温度31℃、1800mm幅でステンレスベルト基体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は28℃に制御した。
ステンレスベルト基体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶剤量が30%になるまで溶剤を蒸発させた。次いで、剥離張力128N/mで、ステンレスベルト基体上から剥離した。剥離したフィルムの延伸開始時の残留溶剤は10質量%であった。フィルム原反を剥離後、剥離したフィルム原反を、145℃の条件下で幅手方向に、延伸率15%で一軸延伸した。次いで、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後、巻き取り、厚さ25μmの保護フィルムT[14]を作製した。
《保護フィルムT[15]の作製》
上記主ドープ2において、添加剤A1の代わりに、添加剤B1(ポリエステル系添加剤)を10質量部添加したほかは同様にして、主ドープ3を調製した。
次に、保護フィルムT[14]の作製において、主ドープ2の代わりに上記主ドープ3を使用し、厚さを5μmとしたほかは、同様にして、保護フィルムT[15]を作製した。
なお、本実施例で使用した添加剤B1は、下記化学構造式で表される化合物である。
Figure 2017122854
《保護フィルムT[16]の作製》
保護フィルムT[15]の作製において、主ドープ3の代わりに下記組成の主ドープ4を使用したほかは、同様にして、保護フィルムT[16]を作製した。
(主ドープ4)
G7810 79.5質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
微粒子添加液1(R812) (固形分換算)0.5質量部
添加剤A1 10質量部
添加剤B1 10質量部
《保護フィルムT[19]の作製》
保護フィルムT[9]の作製において、主ドープ1の代わりに下記主ドープ5を使用したほかは、保護フィルムT[9]の作製と同様にして、保護フィルムT[19]を作製した。
(主ドープ5)
TAC(イーストマンケミカル社製、アセチル置換度2.91 Mw300000)
74.5質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
微粒子添加液1(R812) (固形分換算)0.5質量部
添加剤A1 10質量部
添加剤B1 15質量部
《保護フィルムT[20]の作製》
保護フィルムT[6]の作製において、主ドープ1の代わりに下記主ドープ6を使用したほかは、保護フィルムT[6]の作製と同様にして、保護フィルムT[20]を作製した。
(主ドープ6)
アクリル樹脂(日本触媒社製、アクリビュア) 84.5質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
微粒子添加液1(R812) (固形分換算)0.5質量部
添加剤B1 15質量部
《保護フィルムT[21]の作製》
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール65質量部、ジエチレングリコール2質量部にエステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05質量部を添加し、常法に従ってエステル交換反応を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.03質量部を添加した。
次いで、徐々に昇温、減圧にし、280℃、0.5mmHgで重合を行い、固有粘度0.70のポリエチレンテレフタレートを得た。
さらに、このポリエチレンテレフタレートを150℃で8時間真空乾燥した後、押出機を用いて285℃で溶融押出し、30℃の冷却ドラム上に静電印加しながら密着させ、冷却固化させフィルム原反を得た。このフィルム原反を、145℃の条件下で幅手方向に、延伸率30%で一軸延伸した。次いで、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させ、テンタークリップで挟んだ端部をレーザーカッターでスリットし、その後、巻き取り、厚さ5μmの保護フィルムT[21]を作製した。
《保護フィルムT[22]の作製》
ポリカーボネート樹脂(表1に記載の「PC」、帝人社製 ピュアエース)を用い、表1に記載の条件で延伸し、保護フィルムT[22]を作製した。
《保護フィルムT[23]〜[29]の作製》
保護フィルムT[5]の作製において、表1に記載の主ドープの組成、製造条件、厚さにしたほかは同様にして、保護フィルムT[23]〜[29]を作製した。
なお、表1に記載の添加剤A2は、ベンゾトリアゾール系化合物である紫外線吸収剤LA31(株式会社ADEKA製)である。
また、表1に記載の添加剤B2(ポリエステル系添加剤)は、下記化学構造式で表される化合物である。
Figure 2017122854
《保護フィルムT[30]の作製》
市販品である商品名ゼオノア(ZF14:日本ゼオン(株)製、厚さ13μm)を保護フィルムT[30]として使用した。
Figure 2017122854
[保護フィルムT[1]〜[30]の物性]
保護フィルムT[1]〜[30]の物性として、下記の項目を求めた。結果は表1に示す。
<透湿度>
JIS Z−0208に準拠して、各保護フィルムを、40℃、90%RHの環境下で24時間調湿した後、透湿試験装置を用いて、調湿前後での単位面積あたりの水分量を算出(g/m・24H)した。次いで、調湿後の水分量−調湿前の水分量の変化量(g/m・24H)を求め、これを透湿度とした。
<湿度膨張係数(CHE)>
恒温恒湿槽に幅1cm、試長15cmになるように固定し、一定湿度(約30%RH)まで脱湿し、フィルム長が一定になった後、加湿(約80%RH)すると吸湿により伸び始める。約24時間後吸湿は平衡に達してフィルムの伸びも平衡に達する。この時の伸び量から下式により計算した。
湿度膨張係数((ppm)/%RH)=伸び量(cm)/(試長(cm)×湿度差)×10
<保護フィルムの厚さの測定>
保護フィルムの厚さ(膜厚)は、フィルムの流れ方向に連続したテープ状サンプル(長さ3m)を採取し、市販される測定器(例えば、(株)セイコー・イーエム製電子マイクロメータ ミリトロン1240)を用いて、1cmピッチで100点の厚さを測定し平均して、膜厚の平均値(d)として求めた。
<引張り弾性率の測定>
本発明における23℃での弾性率(Pa)は、JIS K 7127に記載の方法に準じつつ、引っ張り試験器(株)オリエンテック製テンシロンRTA−100を用い、23℃の環境下で引っ張り試験を行うことで、引張り弾性率を測定した(表1には、「弾性率」と記載。)。
<式(1)の値>
上述のようにして求められた、保護フィルムTの「引張り弾性率」、「膜厚」、「湿度膨張係数」を使用し、下記式(1)の値を求めた。
式(1)=引張り弾性率×膜厚×湿度膨張係数(単位:GPa・μm・%RH)
[偏光板1〜41の作製]
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥して偏光子を得た。
次に、上記作製した保護フィルムTを図1の保護フィルムTとして用い、その表面にコロナ放電処理を施した。なお、コロナ放電処理の条件は、コロナ出力強度2.0kW、ライン速度18m/分とした。次いで、保護フィルムTのコロナ放電処理面に、下記のようにして調製した紫外線硬化型接着剤液1を、硬化後の膜厚が約3μmとなるようにバーコーターで塗工して紫外線硬化型接着剤層を形成した。得られた紫外線硬化型接着剤層に、上記作製した偏光子を貼合した。
次いで、市販のセルロースエステルフィルムであるKC4UE(コニカミノルタ(株)製)にコロナ放電処理を施した。コロナ放電処理の条件は、コロナ出力強度2.0kW、速度18m/分とした。
次いで、KC4UEのコロナ放電処理面に、下記のようにして調製した紫外線硬化型接着剤液1を、硬化後の膜厚が約3μmとなるようにバーコーターで塗工して紫外線硬化型接着剤層を形成した。
この紫外線硬化型接着剤層に、上記作製した保護フィルムTが片面に貼合された偏光子を貼合して、保護フィルムT/紫外線硬化型接着剤層/偏光子/紫外線硬化型接着剤層/KC4UEが積層された偏光板1〜41を得た。その際に、保護フィルムT及びKC4UEの遅相軸と偏光子の吸収軸が互いに直交になるように貼合した。
この積層体のセルロースエステルフィルム側から、ベルトコンベヤー付き紫外線照射装置(ランプは、フュージョンUVシステムズ社製のDバルブを使用)を用いて、積算光量が750mJ/cmとなるように紫外線を照射し、紫外線硬化型接着剤層を硬化させ、偏光板1〜41を作製した。
なお、偏光板1〜41に使用された上記保護フィルムTは、表2に記載のとおりである。また、偏光板1〜41における偏光子の厚さ、第1の粘着剤層側のガラス基板の厚さ(表2には、単に「ガラス基板の厚さ」と記載。)は表2に記載のとおりとした。
(偏光子、第1の粘着剤層側のガラス基板、粘着剤の厚さの測定)
偏光子、第1の粘着剤層側のガラス基板、粘着剤の厚さは、接触式膜厚計(DIGIMICRO MH−15M(ニコン(株)製))を用い、測定した。なお、厚さは、測定対象の面内において無作為に10点測定し、その平均値を各測定対象の厚さとした。
(紫外線硬化型接着剤液1の調製)
下記の各成分を混合した後、脱泡して、紫外線硬化型接着剤液1を調製した。なお、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートは、50%プロピレンカーボネート溶液として配合し、下記にはトリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートの固形分量を表示した。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
45質量部
エポリードGT−301(ダイセル社製の脂環式エポキシ樹脂) 40質量部
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル 15質量部
トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート 2.3質量部
9,10−ジブトキシアントラセン 0.1質量部
1,4−ジエトキシナフタレン 2.0質量部
[液晶表示装置1〜41の作製]
液晶セルとして、厚さが0.5mmの2枚のガラス基板と、それらの間に配置された液晶層とを有するIPS方式の液晶セルを準備した。そして、上記準備した液晶セルの両面に、第1及び第2の粘着剤層であるリンテック社製の厚さ25μmの両面テープ(アクリル系粘着剤、基材レステープ MO−3005C)を介して上記作製した偏光板をそれぞれKC4UEが液晶セル側になるように貼り合わせて、液晶表示装置1〜24、26〜40を得た。貼り合わせは、視認側の偏光板の偏光子の吸収軸とバックライト側の偏光板の偏光子の吸収軸とが直交するようにした。
なお、液晶表示装置25においては、上記において、第1及び第2の粘着剤層に、アクリル系粘着剤の代わりにエポキシ系形成剤(商品名セメダイン、セメダイン(株)製)を用いたほかは同様にして、液晶表示装置25を作製した。
なお、液晶表示装置1〜40において、第1の粘着剤層の厚さは表2に記載のとおりとした。
液晶表示パネルの構成は図1のようにして作製した。保護フィルムT[1]〜[30]は、それぞれ図1に示す液晶表示装置100の保護フィルムTの位置である。
なお、液晶表示装置1〜40が有する保護フィルムT[1]〜[30]においては、視認側にポリエチレンフィルムをプロテクトフィルムとして貼り付け、液晶表示装置1〜40とし、下記評価を行った。
[液晶表示装置41の作製]
液晶表示装置1の作製において、第1の偏光板を第1の粘着剤層を介さず液晶セルに積層させたほかは、液晶表示装置1の作製と同様にして、液晶表示装置41を作製した。なお、液晶表示装置41は、液晶セルと第1の偏光板とが固定されていないため、液晶表示装置としての実用性はない。
<ヘイズ>
本発明に係る保護フィルムのヘイズは、JIS K 7105:1981に記載された方法を用いて算出した。測定装置としては、東京電色社製 ヘイズメーター NDH5000を用いた。
評価基準は下記のとおりである。
◎ 0.3以下(合格)
○ 0.3より大きく、0.5以下(合格)
△ 0.5より大きく、0.7以下(合格)
× 0.7より大きい(不合格)
<反り(ベンド)>
上記作製した各偏光板を、23℃・55%RHの環境下で厚さ100μm、10cm×10cmのガラス板に粘着剤を用いて、保護フィルムTがガラス板側になるように貼合し、測定用サンプルを作製した。
次いで、測定用サンプルを23℃・80%RHの環境下で24時間放置した後、平面の金属板上に静置し、金属板表面からの試料サンプルのカールによる凹凸の高さを測定した。試料サンプルが凸状のカールであれば、金属面から中央部の最大高さを測定し、試料サンプルが凹状のカールであれば、端部における金属面からの最大高さを測定した。次いで、下記の基準に従って、反りの判定を行った。
◎ 凹凸の高さが、5mm未満である(合格)
○ 凹凸の高さが、5mm以上、10mm未満である(合格)
× 凹凸の高さが、10mm以上である(不合格)
<ヒートショック試験>
作製した液晶表示デバイスに対し、ヒートショック試験機(日立アプライアンス(株)製、EC−35EXH)を用いて、80℃・45%RHで10分間保持した後、25℃・80%RHに変化させて10分間保持し、再び80℃・45%RHに変化させる操作を1サイクルとして、これを150サイクル繰り返す耐久試験を行った。当該耐久試験後の液晶表示デバイスを平面ガラス上に置き、クロスニコルの状態で、顕微鏡で偏光子にクラックが発生していないか観察した。
◎:クラックはなし(合格)
○:偏光板端部から1mm未満のササクレが観察される(合格)
×:偏光板のいずれかに、1mm以上のクラックが観察される(不合格)
Figure 2017122854
表2に示すように、本発明によれば、液晶セルの反りと、外観不良と、が改善された液晶表示装置を提供できる。
また、液晶表示装置41により、ベンドの発生が、粘着剤層に起因することが示された。
100 液晶表示装置
101A 第1の偏光板
101B 第2の偏光板
101C 液晶セル
103A 紫外線硬化型接着剤
103B 紫外線硬化型接着剤
104 偏光子
106A 第1の粘着剤層
106B 第2の粘着剤層
107 液晶層
108A ガラス基板
108B ガラス基板
保護フィルムT
保護フィルムT

Claims (8)

  1. 少なくとも、第1の偏光板と、第1の粘着剤層と、液晶セルと、第2の粘着剤層と、第2の偏光板と、バックライトとをこの順に具備する液晶表示装置であって、下記要件(a)〜(d)を満たすことを特徴とする液晶表示装置。
    (a)前記第1の偏光板が偏光子を挟持する一対の保護フィルムT及びTを有し、当該第1の偏光板の前記液晶セルに近い側の前記保護フィルムTの40℃・90%RHの環境下での透湿度が50〜600g/m・24hの範囲内であり、23℃における湿度膨張係数(CHE)が5〜20ppm/%RHの範囲内であり、当該保護フィルムTの厚さが5〜25μmの範囲内である。
    (b)前記第1の粘着剤層の厚さが、5〜20μmの範囲内である。
    (c)第1の偏光板の偏光子の厚さが、3〜15μmの範囲内である。
    (d)前記液晶セルが、液晶層を挟持する一対のガラス基板を備え、少なくとも前記第1の粘着剤層側のガラス基板の厚さが0.05〜0.2mmの範囲内である。
  2. 前記保護フィルムTの23℃における引張り弾性率が、2.0〜3.0GPaの範囲内であり、かつ当該保護フィルムTについて下記式(1)の計算値が50〜1500の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
    式(1)=引張り弾性率×膜厚×湿度膨張係数(単位:GPa・μm・%RH)
  3. 前記保護フィルムTが、シクロオレフィン系樹脂を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液晶表示装置。
  4. 前記シクロオレフィン系樹脂として、ノルボルネン系樹脂を含有していることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
  5. 前記保護フィルムTが、トリアジン又はその誘導体を含有していることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  6. 前記保護フィルムTが、ポリエステル系添加剤を含有していることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  7. 前記保護フィルムTが、マット剤を含有していることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の液晶表示装置。
  8. 前記液晶表示装置の表示画面の長辺方向の長さ及び短辺方向の長さが、23cm以内であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の液晶表示装置。
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