JP2017083740A - 光学フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、薄膜化しても滑り性やフレキシブル性に優れる、シクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子を含有する光学フィルム及びその製造方法を提供することである。【解決手段】本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子とを含む光学フィルムであって、23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける、前記シクロオレフィン系樹脂の屈折率が、1.45以上1.53未満であり、前記シクロオレフィン系樹脂と前記エラストマー粒子との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が0.020〜0.036の範囲内であり、かつ、当該エラストマー粒子の平均粒子径が5〜500nmの範囲内であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルム及びその製造方法に関する。より詳しくは、薄膜化しても滑り性やフレキシブル性に優れる、シクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子を含有する
光学フィルム及びその製造方法に関する。
液晶表示装置用偏光板保護フィルムの基材フィルムとして、従来広く用いられているセルロースアセテートフィルムは、吸湿性や透湿性を有するという欠点があり、一方シクロオレフィン系樹脂は、この欠点が少なく、耐水性、耐熱性、透明性や寸法安定性などが良好で、保護フィルムとして優れた熱可塑性樹脂として注目されている。
しかしながら、シクロオレフィン系樹脂フィルム(本願では、シクロオレフィン系フィルムともいう。)を偏光板保護フィルムとして用いた場合、近年の表示装置の軽量化やモバイル市場の拡大に伴い、さらに薄膜化が要求されているが、薄膜化に伴いフレキシブル性(耐折性)や滑り性が十分ではないという問題がある。
特許文献1には、シクロオレフィン系樹脂フィルム中のエラストマーと樹脂の屈折率差を、ある特定の範囲に規定して滑り性を改善する技術が開示されている。
また、一般にフィルムの耐折性向上には、ゴム成分の添加が知られている。ゴム成分の形状の種類として「ゴム粒子系」と「エラストマー系」がある。
「ゴム粒子系」とは、架橋の工程を経ることで熱を加えても軟化することがなく、強い弾性を発揮する無定形で軟質の高分子物質である「ゴム」を粒子形状に加工したものである。
一方、「エラストマー系」とは、常温でゴム弾性体の性能を示す無定形で軟質な高分子物質であり、熱を加えることで可塑化(流動化)され、成型・加工に供されるものである。
例えば、「ゴム粒子系」の場合、フィルム等の耐折性を向上させるには前記ゴム粒子をフィルム中に均一に分散させることが重要とされている。しかしながら、フィルム中にゴム粒子を均一に含有させるには、フィルム製造時に別工程として分散液の調製が必要となり、工数が増える問題やゴム粒子を均一に分散させるための条件が難しいという問題がある。
また、「エラストマー系」の場合、エラストマーは熱を加えることで可塑化(流動化)するためフィルムに含有させることは比較的容易であるが、もともと無定形であることから、耐折性及び滑り性は「ゴム粒子系」よりも効果が小さいことが分かった。
特開2015−55796号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、薄膜化しても滑り性やフレキシブル性に優れる、シクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子を含有する光学フィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、樹脂の屈折率が、1.45以上1.53未満のシクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子とを含む光学フィルムであって、前記シクロオレフィン系樹脂と前記エラストマー粒子の屈折率差の絶対値が特定の範囲内であり、かつ当該エラストマー粒子の平均粒子径が特定の範囲内である光学フィルムによって、薄膜化しても滑り性やフレキシブル性に優れる光学フィルムが得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.シクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子とを含む光学フィルムであって、
23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける、
前記シクロオレフィン系樹脂の屈折率が、1.45以上1.53未満であり、
前記シクロオレフィン系樹脂と前記エラストマー粒子との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が0.020〜0.036の範囲内であり、かつ、
当該エラストマー粒子の平均粒子径が5〜500nmの範囲内であることを特徴とする光学フィルム。
2.前記シクロオレフィン系樹脂が、下記一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン系モノマー由来の重合体であることを特徴とする第1項に記載の光学フィルム。
(一般式(A−2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。Rは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。pは、0〜2の整数を表す。)
3.前記光学フィルムの厚さが、5〜30μmの範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルム。
4.前記エラストマー粒子が、スチレン系エラストマー粒子であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
5.前記エラストマー粒子のスチレン化率が、1%以上40%未満であることを特徴とする第4項に記載の光学フィルム。
6.溶液流延法によって製膜する光学フィルムの製造方法であって、
23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける屈折率が、1.45以上1.53未満の範囲内であるシクロオレフィン系樹脂と、
当該シクロオレフィン系樹脂との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が、0.020〜0.036の範囲内であるエラストマーと、
溶媒と、
を少なくとも含有する溶液を支持体上に流延することで、エラストマー粒子を形成するとともに製膜することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
7.前記エラストマー粒子の平均粒子径が、1〜500nmの範囲内であることを特徴とする第6項に記載の光学フィルムの製造方法。
本発明の上記手段により、薄膜化しても滑り性やフレキシブル性に優れる、シクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子を含有する光学フィルム及びその製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
樹脂及びエラストマーを含有するドープ中では、前記エラストマー自体は無定形で流動状態であるが、ドープを支持体上に流延して溶媒が揮発される時に、前記エラストマー同士が凝集してエラストマー粒子を形成する。
本発明者らは、その際、前記樹脂と前記エラストマーの相溶性の程度によって、エラストマー粒子径を制御できることを見出し、さらに前記相溶性を制御するには、樹脂とエラストマーの屈折率に特定の範囲の差を設けることで、達成できることを見出した。
光学フィルムの耐折性を向上するには、ある一定以上のエラストマー粒子径が必要となるが、前記樹脂と前記エラストマーとの屈折率に特定の範囲の差を設けることで、当該粒子径を制御できることから、優れた耐折性を発現するエラストマー粒子を含有する光学フィルムが得られるものと推察される。
また、相溶性を制御するように当該樹脂と当該エラストマーとの屈折率に特定の範囲の差を設けることで、当該エラストマー同士の凝集を制御して分布のそろった粒子径を有するエラストマー粒子を形成することもできることから、光学フィルムの滑り性、特に高湿度環境下での滑り性を向上させることも可能となるものと推察される。
エラストマー粒子を含む光学フィルムの断層カットした写真 本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程、乾燥工程及び巻取り工程の一例を示す模式図
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子とを含む光学フィルムであって、23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける、前記シクロオレフィン系樹脂の屈折率が、1.45以上1.53未満であり、前記シクロオレフィン系樹脂と前記エラストマー粒子との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が0.020〜0.036の範囲内であり、かつ、当該エラストマー粒子の平均粒子径が5〜500nmの範囲内であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項7までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記シクロオレフィン系樹脂が、前記一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン系モノマー由来の重合体であることが、本発明に係るエラストマーとの相溶性を良好に制御して均一なエラストマー粒子を得る観点から、好ましい。
また、本発明の構成は、薄膜化された光学フィルムに好適であり、前記光学フィルムの厚さが、5〜30μmの範囲内であることが、薄型の液晶表示装置やモバイル機器に搭載する観点から、好ましい。
前記エラストマー粒子は、スチレン系エラストマー粒子であることが、前記シクロオレフィン系重合体とエラストマーとの相溶性を制御して均一なエラストマー粒子を得る観点から、好ましい。その際に、前記エラストマー粒子のスチレン化率が、1%以上40%未満であることが、好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法は、溶液流延法によって製膜する光学フィルムの製造方法であって、23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける屈折率が、1.45以上1.53未満の範囲内であるシクロオレフィン系樹脂と、当該シクロオレフィン系樹脂との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が、0.020〜0.036の範囲内であるエラストマーと、溶媒と、を少なくとも含有する溶液を支持体上に流延することで、エラストマー粒子を形成するとともに製膜することが特徴であり、当該製造方法によって、溶媒揮発時に当該エラストマーの均一な凝集を促し、均一な粒子径を有するエラストマー粒子を含む光学フィルムを得る観点から、好ましい製造方法である。
また、前記エラストマー粒子の平均粒子径が、5〜500nmの範囲内であることが、薄膜化しても滑り性やフレキシブル性に優れる光学フィルムを得る観点から、好ましい製造方法である。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の光学フィルムの概要≫
本発明の光学フィルムは、樹脂の屈折率1.53未満のシクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子とを含む光学フィルムであって、前記シクロオレフィン系樹脂と前記エラストマー粒子の23℃・55%RHの環境下、光波長589nmの測定における屈折率差の絶対値が0.020〜0.036の範囲内であり、かつ当該エラストマー粒子の平均粒子径が5〜500nmの範囲内であることを特徴とする。
本発明の光学フィルムに含まれるシクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子の屈折率差は、0.020〜0.036の範囲内であり、0.024〜0.033の範囲内であることがより好ましい。
本発明では、シクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子の屈折率差を上記範囲内とすることにより、光学フィルムを薄膜化しても滑り性やフレキシブル性に優れ、かつヘイズの上昇を抑制することができるため透明性に優れる光学フィルムが得られる。
〈シクロオレフィン系樹脂及びエラストマー粒子の屈折率の測定方法〉
シクロオレフィン系樹脂の屈折率は、当該シクロオレフィン系樹脂を溶媒に溶かした溶液を用いて、溶液流延法にて厚さ30μmのフィルムを作製し、当該フィルムをJIS K7142:2008にしたがって、以下の方法にて測定する。
屈折率測定:23℃・55%RHの環境下、波長589nmの光におけるフィルムの屈折率をアッベ屈折計にて測定し、シクロオレフィン系樹脂の屈折率とする。アッベ屈折計は、1T(株式会社アタゴ製)を使用し、波長589nmの光は、ハイパワーキセノン光源MAX−302(朝日分光株式会社製)を使用する。
エラストマー粒子の屈折率は、エラストマー粒子を含む本発明の光学フィルムをサンプルとして用い、JIS K7142:2008のB法にしたがって、顕微鏡下、屈折率が既知の浸液を用いて、波長589nmの光におけるエラストマー粒子の屈折率を測定する。
浸液は例えば、フタル酸n−ブチル(nD:約1.49)、モノブロモナフタレン(nD:約1.65)、ジヨウ素メタン(ヨウ化メチレン)(nD:約1.747)等を用いることができる。
〈エラストマー粒子の平均粒子径の測定方法〉
エラストマー粒子の粒子径の測定は、ミクロトームで断層カットしたフィルム断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で適当な倍率で撮影し、断層カット写真に含まれる100個の粒子の粒子径を測定し、平均値を求め平均粒子径とする。粒子径は、粒子の断面が円形状の場合はその直径とし、円形状以外の場合は面積を算出し、それを円形状に換算したときの直径とする。
SEM:JSM−6060LA(JEOL:日本電子株式会社)
ミクロトーム:ライカ製EM UC6
断層カット時、粒子が大きいとエラストマーが伸びて型崩れ起こすが、500nm以下の小さい状態ならば伸びず、型崩れ起こさないため粒子径の測定が可能となる。
図1は、エラストマー粒子を含む光学フィルムを、上記手順にて撮影した断層カット写真である。
(a)シクロオレフィン系樹脂のみを含有する光学フィルム。
(b)比較例の、不均一な形状のエラストマー粒子を含有する光学フィルム(樹脂とエラストマーの屈折率差が0.046)。
(c)本発明の、均一な粒子径のエラストマー粒子を含有する光学フィルム(樹脂とエラストマーの屈折率差が0.033)。
本発明の光学フィルム(c)は、均一なエラストマー粒子を含有していることが分かる。
〔1〕シクロオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系重合体)
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン系モノマー単独又はシクロオレフィン系モノマーと他のモノマーとを共重合した樹脂であり、樹脂の屈折率は1.45以上1.53未満であることが特徴である。
前記樹脂の屈折率が、1.45未満又は1.53以上であると、樹脂とエラストマー粒子との屈折率差を本発明の範囲内に制御することが難しく、フィルム製膜時に所望の平均粒子径を有するエラストマー粒子を得ることが難しい。
シクロオレフィン系モノマーの構造としては、例えば、ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセン、エチルテトラシクロドデセン、エチリデンテトラシクロドデセン、テトラシクロ〔7.4.0.110,13.02,7〕トリデカ−2,4,6,11−テトラエンなどの多環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの単環構造の不飽和炭化水素及びその誘導体等が挙げられる。これらモノマーの構造には、極性基を有していてもよい。極性基としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシル基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、カルボン酸無水物基などが挙げられる。
シクロオレフィン系樹脂としては、上記種々のシクロオレフィンモノマーの重合体を用いることができるが、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィンモノマーを単独重合又は共重合して得られる重合体を用いることが好ましい。
以下において、本発明で用いられるシクロオレフィンモノマーの説明をする。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂は、下記で示される一般式(A−1)及び(A−2)で表されるシクロオレフィンモノマーから単独重合又は共重合して得られる重合体であることが好ましい。特に、一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィンモノマーであることが、本発明に係るエラストマーとの相溶性を制御する観点から、好ましい。
一般式(A−1)で表される構造を有するシクロオレフィンモノマーを説明する。
(一般式(A−1)中、R〜Rは、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、酸素、窒素、イオウ又はケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表す。pは、0〜2の自然数を表す。)
上記極性基としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。これらの中では、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリルオキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基又はアリルオキシカルボニル基であることが、溶液製膜時の溶解性を確保する観点で好ましい。
次に、本発明で好ましい、一般式(A−2)で表されるシクロオレフィンモノマーを説明する。
(一般式(A−2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。Rは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。pは、0〜2の整数を表す。)
本発明においては、一般式(A−2)で表されるように、置換基R及びRが片側炭素に置換されたシクロオレフィンモノマーを用いることで、分子の対称性が崩れたためか溶媒揮発時の樹脂の拡散運動を促進し、それに伴い本発明に係るエラストマー粒子の均一な配向を促すことから、好ましい。
は、炭素数1〜3の炭化水素基、Rは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリルオキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基又はアリルオキシカルボニル基であることが、溶液製膜時の溶解性を確保する観点でも好ましい。
以下に、本願における一般式(A−1)及び(A−2)の構造を具体的に示すが、以下の具体例によって限定されるものではない。
シクロオレフィン系樹脂としては、ノルボルネン骨格を有する前記一般式(A−1)及び(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィンモノマーを単独重合又は共重合して得られる重合体であり、例えば以下のものが挙げられ、(1)〜(3)が好ましく、(3)がより好ましい。
(1)シクロオレフィンモノマーの開環重合体
(2)シクロオレフィンモノマーと共重合性モノマーとの開環共重合体
(3)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体
(4)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した(共)重合体
(5)シクロオレフィンモノマーと不飽和二重結合含有化合物との飽和重合体
(6)シクロオレフィン系モノマーの付加型(共)重合体及びその水素添加(共)重合体
(7)シクロオレフィン系モノマーとメタクリレート、又はアクリレートとの交互共重合体
本発明に係る好ましいシクロオレフィン重合体としては、下記一般式(B−1)及び一般式(B−2)で表される構造単位を有するものも挙げられる。このようなシクロオレフィン系樹脂は、一般式(B−1)で表される構造単位のみ、一般式(B−2)で表される構造単位のみ、一般式(B−1)と一般式(B−2)のそれぞれの構造単位を含む共重合体でもよい。
好ましくは、一般式(B−2)の構造体のみ、又は一般式(B−1)と一般式(B−2)の両者の構造単位を含む共重合体の樹脂である。得られるシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くかつ透過率の高い優れたものとなる点で好ましい。
(一般式(B−1)中、Xは、−CH=CH−で表される基又は式:−CHCH−で表される基である。R〜Rは、それぞれ水素原子;ハロゲン原子;酸素、窒素、イオウ又はケイ素を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;又は極性基を表す。pは、0〜2の自然数を表す。)
(一般式(B−2)中、Xは、−CH=CH−で表される基又は式:−CHCH−で表される基である。Rは、水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。Rは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。pは、0〜2の整数を表す。)
本明細書では、本願に係るシクロオレフィン系樹脂の製造方法等については、特開2008−107534号公報の記載を援用するものとし、その説明を省略する。
シクロオレフィン系樹脂は1種単独で、又は2種以上を併用することができる。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂の好ましい分子量は、固有粘度〔η〕inhで0.2〜5cm/g、さらに好ましくは0.3〜3cm/g、特に好ましくは0.4〜1.5cm/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は8000〜100000、さらに好ましくは10000〜80000、特に好ましくは12000〜50000であり、重量平均分子量(Mw)は20000〜300000、さらに好ましくは30000〜250000、特に好ましくは40000〜200000の範囲のものが好適である。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあることによって、シクロオレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性と、本発明のシクロオレフィン系フィルムとしての成形加工性が良好となる。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、通常、110℃以上、好ましくは110〜350℃、さらに好ましくは120〜250℃、特に好ましくは120〜220℃である。Tgが110℃以上の場合が、高温条件下での使用、又はコーティング、印刷などの二次加工により変形が起こりにくいため好ましい。
一方、Tgが350℃以下とすることで、成形加工が困難になる場合を回避し、成形加工時の熱によって樹脂が劣化する可能性を抑制することができる。
また、シクロオレフィン系樹脂は、市販品を好ましく用いることができ、市販品の例としては、JSR(株)からアートン(ARTON:登録商標)G、アートンF、アートンR、及びアートンRXという商品名で発売されており、これらを使用することができる。
〔2〕エラストマー粒子
本発明に係るエラストマー粒子は、フィルム製膜時において、樹脂及びエラストマーを含有するドープを支持体に流延して含まれる溶媒が揮発する際に、当該エラストマー同士が凝集してエラストマー粒子を形成することが特徴である。
本発明に用いることができるエラストマーとしては、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、アクリル系エラストマー、シリコーン系エラストマー及びゴム変性エポキシ化合物等が挙げられる。本発明の光学フィルムには、これらの1種又は2種以上が用いられる。
本発明では、上述したエラストマーの中でも、芳香族ビニル系化合物を共重合成分として含むものであることが好ましく、スチレン系エラストマーであることが、均一な粒子径を有するエラストマー粒子を形成する観点から、特に好ましい。
〔2.1〕スチレン系エラストマー
スチレン系エラストマーとしては、スチレンとブタジエン若しくはイソプレン等の共役及び/又はその水素添加物ジエンの共重合体が挙げられる。スチレン系エラストマーは、スチレンをハードセグメント、共役ジエンをソフトセグメントとしたブロック共重合体であり、加硫工程が不用であり、好ましく用いられる。また、水素添加をしたものは熱安定性が高く、より好ましく用いられる。
スチレン系エラストマーの例としては、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック重合体、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体等を挙げることができる。中でも、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体又はスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体であるであることが好ましい。
スチレン系エラストマーを構成する成分としては、スチレンのほかに、α−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン等のスチレン誘導体を用いることができる。具体的には、タフプレン、ソルプレンT、アサプレンT、タフテック(以上、旭化成工業株式会社製)、エラストマーAR(アロン化成株式会社製)、クレイトンD、クレイトンG、カリフレックス(以上、クレイトンポリマージャパン株式会社製)、JSR−TR、TSR−SIS、ダイナロン(以上、JSR株式会社製)、デンカSTR(電気化学工業株式会社製)、クインタック(日本ゼオン株式会社製)、TPE−SBシリーズ(住友化学株式会社製)、ラバロン(三菱化学株式会社製)、セプトン、ハイブラ−(以上、株式会社クラレ製)、レオストマー、アクティマ−(以上、リケンテクノス株式会社製)等が挙げられる。
本発明で用いるスチレン系エラストマーは、その屈折率が、シクロオレフィン系樹脂の屈折率に対して、屈折率差の絶対値が0.020〜0.036の範囲内である。水素添加されたスチレン系エラストマーを用いる場合、エラストマーのスチレン成分量(スチレン化率)が1%以上40%未満であると、シクロオレフィン系樹脂に対して、屈折率差を上記範囲以内に制御することができる。前記スチレン成分量が1%未満40%以上である場合は、前記屈折率差の範囲に制御することが難しく、均一な粒子形成が難しい。
エラストマーの含有率は、光学フィルムの全質量に対して、3〜40質量%であればよく、5〜30質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。エラストマーの含有率を上記範囲内とすることにより、光学フィルムの靭性や耐衝撃性を高めることができ、耐折性や滑り性を向上することができる。
シクロオレフィン系樹脂/スチレン系エラストマーの質量%比は、99/1〜50/50であることが好ましく、より好ましくは95/5〜50/50、さらに好ましくは93/7〜60/40、特に好ましくは90/10〜65/35(両者の合計は100質量%である。)である。スチレン系エラストマーの添加比率が上記範囲内とすることにより、機械的強度を高めることができる。
スチレン系エラストマーの構造には、特に制限はなく、鎖状でも、分岐状でも、架橋状でもよいが、好ましくは直鎖状である。
また、スチレン系エラストマーの分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法による数平均分子量が5000〜30万、好ましくは1万〜15万、さらに好ましくは2万〜10万である。スチレン系エラストマーの分子量を上記範囲内とすることにより、機械的強度や成形性を高めることができる。
本発明で用いることができるエラストマーとしては、スチレン系エラストマーの他に下記のものも挙げることができる。なお、下記のエラストマーは、スチレン系エラストマーと併用することが好ましい。
〔2.2〕オレフィン系エラストマー
オレフィン系エラストマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体であり、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられ、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィン共重合体などが挙げられる。また、ブタジエン−アクニロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性NBRが挙げられる。具体的には、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン・α−オレフィン共重合体ゴム等が挙げられる。
〔2.3〕ウレタン系エラストマー
ウレタン系エラストマーは、低分子のエチレングリコールとジイソシアネートからなるハードセグメントと高分子(長鎖)ジオールとジイソシアネートからなるソフトセグメントとの構造単位からなり、高分子(長鎖)ジオールとして、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1−,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン・1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−ヘキシレン・ネオペンチレンアジペート)等が挙げられる。高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500〜10,000が好ましい。エチレングリコールの他に、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等の短鎖ジオールを用いることができ、短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500が好ましい。
〔2.4〕ポリエステル系エラストマー
ポリエステル系エラストマーは、ジカルボン酸又はその誘導体とジオール化合物又はその誘導体を重縮合して得られる。ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香核の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。これらの化合物は2種以上用いることができる。ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族ジオール及び脂環式ジオール、又は、ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、レゾルシン等の芳香族環式ジオールなどが挙げられる。これらの化合物は2種以上用いることができる。
また、芳香族ポリエステル(例えば、ポリブチレンテレフタレート)部分をハードセグメント成分に、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリテトラメチレングリコール)部分をソフトセグメント成分にしたマルチブロック共重合体を用いることもできる。ハードセグメントとソフトセグメントの種類、比率、分子量の違いによりさまざまなグレードのものがある。
〔2.5〕ポリアミド系エラストマー
ポリアミド系エラストマーは、ハード相にポリアミドを、ソフト相にポリエーテルやポリエステルを用いたポリエーテルブロックアミド型とポリエーテルエステルブロックアミド型の2種類に大別され、ポリアミドとしては、ポリアミド−6、11、12等が用いられ、ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコール等が用いられる。
アクリル系エラストマーは、アクリル酸エステルを主成分とし、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート等が用いられ、また、架橋点モノマーとして、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が用いられる。さらに、アクリルニトリルやエチレンを共重合することもできる。具体的には、アクリロニトリル−ブチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレト−エチルアクリレート共重合体、アクリロニトリル−ブチルアクリレート−グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
〔2.6〕シリコーン系エラストマー
シリコーン系エラストマーとしては、オルガノポリシロキサンを主成分したもので、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサン系に分けられる。一部をビニル基、アルコキシ基等で変性したものもある。
〔2.7〕ゴム変性エポキシ化合物
また、上記のエラストマー以外に、ゴム変性エポキシ化合物を用いることができる。ゴム変性エポキシ化合物としては、例えば、具体的には、エポキシ化ポリブタジエン(PB3600、PB4700、株式会社ダイセル製)、エポキシ化ブタジエン−スチレン共重合体(エポキシ化ブタジエン−スチレン エポフレンドAT014等、株式会社ダイセル製)、あるいはポリジメチルシロキサンのエポキシ化合物X22−163B、KF100T(信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。また、上述のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を、両末端カルボン酸変性ブタジエン−アクリロニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られるゴム変性エポキシ化合物を用いることもできる。
〔3〕その他の添加剤
本発明の光学フィルムは、マット剤、位相差上昇剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、剥離剤などを含んでもよい。以下に主要な添加剤の詳細を記す。
〔3.1〕マット剤
本発明の光学フィルムには、必要に応じて、フィルムの製膜時にフィルム表面に凹凸を付与し、滑り性を確保し、安定な巻取り形状を達成するためにマット剤を含有することも好ましい。また、作製されたフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化することを防止するためにも、当該マット剤は機能することができる。
マット剤としては、無機化合物の微粒子や樹脂の微粒子が挙げられる。無機化合物の微粒子の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は、20〜400nmの範囲内が好ましく、さらに好ましくは30〜300nmの範囲内である。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの範囲内の二次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径80〜400nmの範囲内の粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
フィルム中のこれらの微粒子の含有量は、0.01〜1質量%の範囲内であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%の範囲内であることが好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
樹脂の微粒子の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR812が、基材フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。
本発明のシクロオレフィン系フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0の範囲内であることが好ましい。
〔3.2〕位相差上昇剤
本発明の光学フィルムは、位相差を調整するために位相差上昇剤を含有することができる。
本願でいう位相差上昇剤とは、シクロオレフィン系樹脂100質量部に対して当該化合物を3質量部含有した光学フィルムの厚さ方向の位相差値Rt(光波長590nm測定)が、未添加の光学フィルムと比べて1.1倍以上の値を示す機能を有する化合物をいう。
本発明に用いられる位相差上昇剤は、特に制限されるものではなく、例えば従来知られている、特開2006−113239号公報段落〔0143〕〜〔0179〕に記載の芳香族環を有する円盤状化合物(1,3,5−トリアジン系化合物等)、特開2006−113239号公報段落〔0106〕〜〔0112〕記載の棒状化合物、特開2012−214682号公報段落〔0118〕〜〔0133〕記載のピリミジン系化合物等を用いることができる。
〔3.3〕可塑剤
本発明において可塑剤として、さらにポリエステル樹脂を用いることができる。ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来する。
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
脂肪族ジオールに由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。ポリエステル樹脂は、2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,4′−ビフェニルジカルボン酸等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸を用いることができる。
前記脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用いることもできる。
ポリエステル樹脂の製造には、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用することができる。ポリエステル樹脂の製造時に使用する重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酢酸チタン等のチタン化合物、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が例示できるが、これらに限定されない。
好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4′−ビフェニルジカルボキシレート樹脂、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂等がある。
より好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂の固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40質量比混合溶媒中、25℃で測定した値)は、0.7〜2.0cm/gの範囲内が好ましく、より好ましくは0.8〜1.5cm/gの範囲内である。固有粘度が0.7cm/g以上であるとポリエステル樹脂の分子量が充分に高いために、これを使用して得られるポリエステル樹脂組成物からなる成形物が成形物として必要な機械的性質を有するとともに、透明性が良好となる。固有粘度が2.0cm/g以下の場合、成形性が良好となる。他の可塑剤としては、特開2013−97279号公報の段落0056〜0080の一般式(PEI)及び一般式(PEII)に記載の化合物を用いてよい。
〔3.4〕紫外線吸収剤
本発明の光学フィルムは、偏光板や液晶表示装置に照射される不要な紫外線を遮蔽するために、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
本発明の光学フィルムを、光学補償フィルムのほかに、偏光板の保護フィルムとして用いる場合、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ液晶の表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ない特性を備えていることが好ましい。
紫外線吸収剤の添加量は、高分子組成物に対して0.1〜5.0質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜5.0質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、「チヌビン(TINUVIN)109」、「チヌビン(TINUVIN)171」、「チヌビン(TINUVIN)326」、「チヌビン(TINUVIN)328」(以上、商品名、BASFジャパン社製)を好ましく使用できる。
〔3.5〕酸化防止剤
酸化防止剤は、例えば、光学フィルム中の残留溶媒のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により光学フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、フィルム中に含有させることが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
〔4〕光学フィルムの製造方法
本発明の光学フィルムの製造方法は、溶液流延法によって製膜する光学フィルムの製造方法であって、23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける屈折率が、1.45以上1.53未満の範囲内であるシクロオレフィン系樹脂と、当該シクロオレフィン系樹脂との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が、0.020〜0.036の範囲内であるエラストマーと、溶媒と、を少なくとも含有する溶液を支持体上に流延することで、エラストマー粒子を形成するとともに製膜することを特徴とする。
本発明に係るエラストマー粒子は、フィルム製膜時において、樹脂及びエラストマーを含有するドープを支持体に流延して含まれる溶媒が揮発する際に、当該エラストマー同士が凝集してエラストマー粒子を形成することが特徴である。
本発明の光学フィルムは、少なくともシクロオレフィン系樹脂、エラストマー及び有機溶媒を含有するドープを調製する工程(ドープ調製工程)と、前記ドープを支持体上に流延してウェブ(流延膜ともいう。)を形成する工程(流延工程)と、支持体上でウェブから溶媒を蒸発させる工程(溶媒蒸発工程)、ウェブを支持体から剥離する工程(剥離工程)、得られたフィルムを乾燥させる工程(予備乾燥工程)、フィルムを延伸する工程(延伸工程)、延伸後のフィルムを更に乾燥させる工程(乾燥工程)、得られた光学フィルムを巻取る工程(巻取り工程)によって製造されることが好ましい。
以上の工程を図をもって説明する。
図1は、本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程、乾燥工程及び巻取り工程の一例を模式的に示した図である。
マット剤を用いる場合は、分散機によって溶媒とマット剤を分散させた微粒子分散液は仕込み釜41から濾過器44を通過しストック釜42にストックされる。一方主ドープであるシクロオレフィン樹脂は溶媒とともに溶解釜1にて溶解され、適宜ストック釜42に保管されているマット剤が添加されて混合され主ドープを形成する。得られた主ドープは、濾過器3、ストック釜4から濾過器6によって濾過され、合流管20によって添加剤が添加されて、混合機21で混合されて加圧ダイ30に液送される。
一方、添加剤(例えば紫外線吸収剤、位相差上昇剤など)は、溶媒に溶解され、添加剤仕込み釜10から濾過器12を通過してストック釜13にストックされる。その後、濾過器15を通して導管16を経由して合流管20、混合機21によって主ドープと混合される。
加圧ダイ30に液送された主ドープは、金属ベルト状の支持体31上に流延されてウェブ32を形成し、所定の乾燥後剥離位置33で剥離されフィルムを得る。剥離されたウェブ32は、多数の搬送ローラーに通しながら、所定の残留溶媒量になるまで乾燥された後、延伸装置34によって長手方向又は幅手方向に延伸される。延伸後、乾燥装置35によって所定の残留溶媒量になるまで、搬送ローラー36に通しながら乾燥し、巻取り装置37によって、ロール状に巻取られる。
以下、各工程について説明する。
(1)ドープ調製工程
シクロオレフィン樹脂に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で当該シクロオレフィン樹脂及びエラストマー、場合によって、位相差上昇剤、マット剤又はその他の化合物を撹拌しながら溶解しドープを調製する工程、又は当該シクロオレフィン樹脂溶液に、前記エラストマー、場合によっては位相差上昇剤、マット剤又はその他の化合物溶液を混合して主溶解液であるドープを調製する工程である。
本発明の光学フィルムを溶液流延法で製造する場合、ドープを形成するのに有用な有機溶媒は、シクロオレフィン樹脂、エラストマー、位相差上昇剤及びその他の化合物を同時に溶解するものであることが好ましい。
用いられる有機溶媒として、以下の溶媒が好ましく用いられる。
溶液流延法に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶剤は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る溶媒が良溶媒と貧溶媒の混合溶媒である場合、当該良溶媒は、例えば、塩素系有機溶媒としては、ジクロロメタン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられ、中でもジクロロメタンであることが好ましい。
貧溶媒はアルコール系溶媒であることが好ましく、当該アルコール系溶媒が、メタノール、エタノール及びブタノールから選択されることが、剥離性を改善し、高速度流延を可能にする観点から好ましい。
本発明では、混合溶媒であれば、前記良溶媒を溶媒全体量に対して55質量%以上を用いることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上用いることである。
シクロオレフィン系樹脂及びエラストマー、場合によっては位相差上昇剤、その他の化合物の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されている高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、常圧で行う方法が好ましい。
ドープ中のシクロオレフィン系樹脂の濃度は、10〜40質量%の範囲であることが好ましい。溶解中又は後のドープに化合物を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
ドープの濾過については、好ましくはリーフディスクフィルターを具備する主な濾過器3で、ドープを例えば90%捕集粒子径が微粒子の平均粒子径の10倍〜100倍の濾材で濾過することが好ましい。
本発明において、濾過に使用する濾材は、絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾過材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行わなければならず、生産性を低下させるという問題点ある。
このため、本発明において、シクロオレフィン系樹脂含有ドープに使用する濾材は、絶対濾過精度0.008mm以下のものが好ましく、0.001〜0.008mmの範囲が、より好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材がさらに好ましい。
濾材の材質には、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
本発明において、濾過の際のドープの流量が、10〜80kg/(h・m)、好ましくは20〜60kg/(h・m)であることが好ましい。ここで、濾過の際のドープの流量が、10kg/(h・m)以上であれば、効率的な生産性となり、濾過の際のドープの流量が、80kg/(h・m)以内であれば、濾材にかかる圧力が適正となり、濾材を破損させることがなく、好ましい。
濾圧は、3500kPa以下であることが好ましく、3000kPa以下が、より好ましく、2500kPa以下であることがさらに好ましい。なお、濾圧は、濾過流量と濾過面積を適宜選択することで、コントロールできる。
多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。
返材とは、例えば光学フィルムを細かく粉砕した物で、光学フィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでフィルムの規定値を越えた光学フィルム原反が使用される。
また、ドープ調製に用いられる樹脂の原料としては、あらかじめシクロオレフィン系樹脂及びその他の化合物などをペレット化したものも、好ましく用いることができる。
(2)流延工程
(2−1)ドープの流延
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属支持体31、例えば、ステンレスベルト、又は回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mの範囲、好ましくは1.3〜3mの範囲、さらに好ましくは1.5〜2.8mの範囲とすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下、さらに好ましくは−30〜0℃の範囲に設定される。温度が高い方がウェブ(流延用金属支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブという。)の乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃の範囲が更に好ましい。または、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
ダイは、ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して積層してもよい。
(2−2)溶媒蒸発工程
ウェブを流延用金属支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程であり、後述する剥離時の残留溶媒量を制御する工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。また、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを30〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。30〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜180秒以内で当該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
(2−3)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブはフィルムとして次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃の範囲であり、さらに好ましくは11〜30℃の範囲である。
本発明では、前記溶媒蒸発工程でウェブ中の溶媒を蒸発するが、当該溶媒蒸発工程中にエラストマー同士が凝集してエラストマー粒子となるため、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの残留溶媒量は、15〜100質量%の範囲内とすることが好ましい。残留溶媒量の制御は、前記溶媒蒸発工程における乾燥温度及び乾燥時間で行うことが好ましい。
前記残留溶媒量が15質量%以上であると、支持体上での乾燥過程において、エラストマーが厚さ方向に分布を持たずフィルム中に均一に分散した状態になるため、均一な粒子径を有するエラストマー粒子となりやすい。
また、前記残留溶媒量が100質量%以内であれば、フィルムが自己支持性を有し、フィルムの剥離不良を回避でき、ウェブの機械的強度も保持できることから剥離時の平面性が向上し、剥離張力によるツレや縦スジの発生を抑制できる。
ウェブ又はフィルムの残留溶媒量は下記式(Z)で定義される。
式(Z)
残留溶媒量(%)=(ウェブ又はフィルムの加熱処理前質量−ウェブ又はフィルムの加熱処理後質量)/(ウェブ又はフィルムの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体からウェブを剥離してフィルムとする際の剥離張力は、通常、196〜245N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜30℃の範囲内とするのが最も好ましい。
(3)乾燥及び延伸工程
乾燥工程は予備乾燥工程、本乾燥工程に分けて行うこともできる。
(3−1)予備乾燥工程
金属支持体からウェブ剥離して得られたフィルムは、予備乾燥させる。フィルムの予備乾燥は、フィルムを、上下に配置した多数のローラーにより搬送しながら乾燥させてもよいし、テンター乾燥機のようにフィルムの両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させてもよい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で、熱風で行うことが好ましい。
ウェブの予備乾燥工程における乾燥温度は好ましくはフィルムのガラス転移点−5℃以下であって、30℃以上の温度で1分以上30分以下の熱処理を行うことが効果的である。乾燥温度は40〜150℃の範囲内、更に好ましくは50〜100℃の範囲内で乾燥が行われる。
(3−2)延伸工程
本発明の光学フィルムは、延伸装置34にて残留溶媒量下で延伸処理を行うことで、フィルム中の樹脂にエラストマー粒子を均一に分散させたり、フィルムの平面性を向上したり、フィルム内の分子の配向を制御することで、所望の位相差値Ro及びRtを得ることができる。
本発明の光学フィルムの製造方法は、当該フィルムを延伸する工程において、延伸開始時の残留溶媒量を1質量%以上15質量%未満とすることが好ましい。より好ましくは2〜10質量%の範囲内である。
本発明の光学フィルムは、長手方向(MD方向、流延方向ともいう。)及び/又は幅手方向(TD方向ともいう。)に延伸することが好ましく、少なくとも延伸装置によって、幅手方向に延伸して製造することが好ましい。
延伸操作は多段階に分割して実施してもよい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
すなわち、例えば、次のような延伸ステップも可能である:
・長手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
本発明の光学フィルムは、延伸後の膜厚が所望の範囲になるように長手方向及び/又は幅手方向に、好ましくは幅手方向に、フィルムのガラス転移温度をTgとしたときに、(Tg+5)〜(Tg+50)℃の温度範囲で延伸することが好ましい。上記温度範囲で延伸すると、位相差の調整がしやすく、また延伸応力を低下できるのでヘイズが低くなる。また、破断の発生を抑制し、平面性、フィルム自身の着色性に優れた光学フィルムが得られる。延伸温度は、(Tg+10)〜(Tg+40)℃の範囲で行うことが好ましい。
なお、ここでいうガラス転移温度Tgとは、市販の示差走査熱量測定器を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。具体的な光学フィルムのガラス転移温度Tgの測定方法は、JIS K7121(1987)に従って、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を用いて測定する。
本発明の光学フィルムは、フィルムを少なくとも幅手方向に、元幅に対して5〜40%の範囲内の延伸率で延伸することが好ましく、さらにフィルムの長手方向及び幅手方向において、それぞれ5〜40%の範囲内の延伸率で延伸することがより好ましい。特に当該延伸率の範囲は、元幅に対して10〜30%の範囲内で延伸することがさらに好ましい。上記範囲内であれば、特に位相差上昇剤を含む場合は所望の位相差値が得られるばかりではなく、フィルムを薄膜化できる。本発明でいう延伸率とは、延伸前のフィルムの長手又は幅手の長さに対して、延伸後のフィルムの長手又は幅手の長さの比率(%)をいう。
長手方向に延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、又は縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
幅手方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程又は一部の工程を幅方向にクリップ又はピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる)、中でもクリップを用いるテンター方式、ピンを用いるピンテンター方式が好ましく用いられる。
幅手方向への延伸に際し、フィルム幅手方向に250〜500%/minの範囲内の延伸速度で延伸することが、フィルムの平面性を向上する観点から、好ましい。
延伸速度は250%/min以上であれば、平面性が向上し、またフィルムを高速で処理することができるため、生産適性の観点で好ましく、500%/min以内であれば、フィルムが破断することなく処理することができ、好ましい。
好ましい延伸速度は、300〜400%/minの範囲内であり、低倍率の延伸時に有効である。延伸速度は下記式1によって定義されるものである。
式1 延伸速度(%/min)=[(d/d)−1]×100(%)/t
(式1において、dは延伸後の本発明の光学フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、dは延伸前の光学フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、tは延伸に要する時間(min)である。)
本発明の光学フィルムは、例えば位相差上昇剤を含有し、かつ延伸することにより所望の位相差値を付与することができる。面内位相差値Ro、及び厚さ方向の位相差値Rtは自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率nx、ny、nzから算出することができる。
式(i):Ro=(n−n)×d(nm)
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
延伸工程では、通常、延伸した後、保持・緩和が行われる。すなわち、本工程は、フィルムを延伸する延伸段階、フィルムを延伸状態で保持する保持段階及びフィルムを延伸した方向に緩和する緩和段階をこれらの順序で行うことが好ましい。保持段階では、延伸段階で達成された延伸率での延伸を、延伸段階における延伸温度で保持する。緩和段階では、延伸段階における延伸を保持段階で保持した後、延伸のための張力を解除することによって、延伸を緩和する。緩和段階は、延伸段階における延伸温度以下で行えば良い。
(3−3)乾燥工程
乾燥工程では、乾燥装置35によって延伸後のフィルムを加熱して乾燥させる。
光学フィルム中に含有する有機溶媒量を調整するのに、乾燥工程の条件を適宜調整して行うことが好ましい。
熱風等によりフィルムを加熱する場合、使用済みの熱風(溶媒を含んだエアーや濡れ込みエアー)を排気できるノズルを設置して、使用済み熱風の混入を防ぐ手段も好ましく用いられる。熱風温度は、40〜350℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は5秒〜60分程度が好ましく、10秒〜30分がより好ましい。
また、加熱乾燥手段は熱風に制限されず、例えば、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置した搬送ローラー36でフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は残留溶媒量、搬送における伸縮率等を考慮して、40〜350℃の範囲がより好ましい。
乾燥工程においては、残留溶媒量が一般的には0.5質量%以下になるまで、フィルムを乾燥することが好ましい。
(4)巻取り工程
(4−1)ナーリング加工
所定の熱処理又は冷却処理の後、巻取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。更に、幅手両端部にはナーリング加工をすることが好ましい。
ナーリング加工は、加熱されたエンボスローラーをフィルム幅手端部に押し当てることにより形成することができる。エンボスローラーには細かな凹凸が形成されており、これを押し当てることでフィルムに凹凸を形成し、端部を嵩高くすることができる。
本発明の光学フィルムの幅手両端部のナーリングの高さは4〜20μmの範囲、幅5〜20mmの範囲が好ましい。
また、本発明においては、上記のナーリング加工は、フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻取りの前に設けることが好ましい。
(4−2)巻取り工程
フィルム中の残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻取る工程であり、残留溶媒量を好ましくは0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
巻取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使い分ければよい。
〔5〕光学フィルムの物性
〈ヘイズ〉
本発明の光学フィルムは、ヘイズが1%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましい。ヘイズを1%未満とすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学用途のフィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。本発明の光学フィルムは、均一な粒子径を有するエラストマー粒子が分散しているため、粒子による光散乱の程度が低く、透明性に優れる。
ヘイズ値の測定は、23℃・50%RHの環境下、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)により、フィルムの幅手方向に等間隔で10点の測定を行い、その平均値を求めヘイズとする。
〈平衡含水率〉
本発明の光学フィルムは、25℃、相対湿度60%における平衡含水率が4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。平衡含水率を4%以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性や寸法がより変化しにくく好ましい。
平衡含水率は、試料フィルムを23℃・20%RHに調湿された部屋に4時間以上放置した後、23℃・80%RHに調湿された部屋に24時間放置し、サンプルを微量水分計(例えば三菱化学アナリテック(株)製、CA−20型)を用いて、温度150℃で水分を乾燥・気化させた後、カールフィッシャー法により定量する。
〈フィルム長、幅、膜厚〉
本発明の光学フィルムは、長尺であることが好ましく、具体的には、100〜10000m程度の長さであることが好ましく、ロール状に巻き取られる。また、本発明の光学フィルムの幅は1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.3m以上であり、特に1.3〜4mであることが好ましい。
延伸後のフィルムの膜厚は、表示装置の薄型化、生産性の観点から、5〜30μmの範囲内であることが好ましい。膜厚が5μm以上であれば、一定以上のフィルム強度や位相差を発現させることができる。膜厚が30μm以下であれば、所望の位相差を具備し、かつ偏光板及び表示装置の薄型化に適用できる。好ましくは、フィルムの厚さは10〜30μmの範囲内である。
〔6〕光学フィルムの応用
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置、有機EL表示装置等の各種表示装置やタッチパネルに用いられる機能フィルムであることが好ましい。具体的には、本発明の光学フィルムは、液晶表示装置又は有機EL表示装置用の偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、ハードコートフィルム、防眩フィルム、帯電防止フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルムなどでありうる。典型的には、本発明の光学フィルムは、偏光板保護フィルムである。本発明の光学フィルムは、前記位相差フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムとして用いることもできる。
〔6.1〕偏光板
〔6.1.1〕偏光子
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、その例には、ポリビニルアルコール系偏光フィルムが含まれる。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
偏光子は、ポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸した後、染色するか又はポリビニルアルコールフィルムを染色した後、一軸延伸して、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理をさらに行って得ることができる。
偏光子の膜厚は、5〜30μmの範囲内が好ましく、5〜15μmの範囲内であることがより好ましい。
ポリビニルアルコールフィルムとしては、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。また、特開2011−100161号公報、特許第4691205号公報、特許第4804589号公報に記載の方法で、偏光子を作製し本発明の光学と貼り合わせて偏光板を作製することが好ましい。
〔6.1.2〕接着剤
[水糊]
本発明に用いられる偏光板は、本発明の光学フィルムを完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊)を用いて偏光子に貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には他の偏光板保護フィルムを貼合することができる。本発明の光学フィルムは液晶表示装置とされた際に、偏光子の液晶セル側に設けられることが好ましく、偏光子の外側のフィルムは、本発明の光学フィルム、及び従来の偏光板保護フィルムのどちらでも用いることができる。
例えば、従来の偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC6UY、KC6UA、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC、以上コニカミノルタ(株)製)が好ましく用いられる。
[活性エネルギー線硬化性接着剤]
また、本発明に用いられる偏光板においては、本発明の光学フィルムと偏光子とが、活性エネルギー線硬化性接着剤により貼合されていることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、下記紫外線硬化型接着剤を用いることが好ましい。
本発明においては、光学フィルムと偏光子との貼合に紫外線硬化型接着剤を適用することにより、薄膜でも強度が高く、平面性に優れた偏光板を得ることができる。
〈紫外線硬化型接着剤の組成〉
偏光板用の紫外線硬化型接着剤組成物としては、光ラジカル重合を利用した光ラジカル重合型組成物、光カチオン重合を利用した光カチオン重合型組成物、並びに光ラジカル重合及び光カチオン重合を併用したハイブリッド型組成物が知られている。

光ラジカル重合型組成物としては、特開2008−009329号公報に記載のヒドロキシ基やカルボキシ基等の極性基を含有するラジカル重合性化合物及び極性基を含有しないラジカル重合性化合物を特定割合で含む組成物)等が知られている。特に、ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の好ましい例には、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が含まれる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例には、N置換(メタ)アクリルアミド系化合物、(メタ)アクリレート系化合物などが含まれる。(メタ)アクリルアミドは、アクリアミド又はメタクリアミドを意味する。
また、光カチオン重合型組成物としては、特開2011−028234号公報に開示されているような、(α)カチオン重合性化合物、(β)光カチオン重合開始剤、(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤、及び(δ)ナフタレン系光増感助剤の各成分を含有する紫外線硬化型接着剤組成物が挙げられる。ただし、これ以外の紫外線硬化型接着剤が用いられてもよい。
(1)前処理工程
前処理工程は、光学フィルムの偏光子との接着面に易接着処理を行う工程である。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
(紫外線硬化型接着剤の塗布工程)
紫外線硬化型接着剤の塗布工程としては、偏光子と光学フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、上記紫外線硬化型接着剤を塗布する。偏光子又は光学フィルムの表面に直接、紫外線硬化型接着剤を塗布する場合、その塗布方法に特段の限定はない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の湿式塗布方式が利用できる。また、偏光子と光学フィルムの間に、紫外線硬化型接着剤を流延させたのち、ローラー等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
(2)貼合工程
上記の方法により紫外線硬化型接着剤を塗布した後は、貼合工程で処理される。この貼合工程では、例えば、先の塗布工程で偏光子の表面に紫外線硬化型接着剤を塗布した場合、そこに光学フィルムが重ね合わされる。また、はじめに光学フィルムの表面に紫外線硬化型接着剤を塗布する方式の場合には、そこに偏光子が重ね合わされる。また、偏光子と光学フィルムの間に紫外線硬化型接着剤を流延させた場合は、その状態で偏光子と光学フィルムとが重ね合わされる。そして、通常は、この状態で両面の光学フィルム側から加圧ローラー等で挟んで加圧することになる。加圧ローラーの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置される加圧ローラーは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
(3)硬化工程
硬化工程では、未硬化の紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射して、カチオン重合性化合物(例えば、エポキシ化合物やオキセタン化合物)やラジカル重合性化合物(例えば、アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物等)を含む紫外線硬化型接着剤層を硬化させ、紫外線硬化型接着剤を介して重ね合わせた偏光子と光学フィルムを接着させる。偏光子の片面に光学フィルムを貼合する場合、活性エネルギー線は、偏光子側又は光学フィルム側のいずれから照射してもよい。また、偏光子の両面に光学フィルムを貼合する場合、偏光子の両面にそれぞれ紫外線硬化型接着剤を介して光学フィルムを重ね合わせた状態で、紫外線を照射し、両面の紫外線硬化型接着剤を同時に硬化させるのが有利である。
紫外線の照射条件は、本発明に適用する紫外線硬化型接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cmの範囲であることが好ましく、100〜500mJ/cmの範囲であるのがさらに好ましい。
偏光板の製造工程を連続ラインで行う場合、ライン速度は、接着剤の硬化時間によるが、好ましくは1〜500m/minの範囲、より好ましくは5〜300m/minの範囲、さらに好ましくは10〜100m/minの範囲である。ライン速度が1m/min以上であれば、生産性を確保することができ、又は光学フィルムへのダメージを抑制することができ、耐久性に優れた偏光板を作製することができる。また、ライン速度が500m/min以下であれば、紫外線硬化型接着剤の硬化が十分となり、目的とする硬度を備え、接着性に優れた紫外線硬化型接着剤層を形成することができる。
〔6.1.3〕
偏光子の本発明の光学フィルムとは反対側に配置されるフィルムは、偏光子の保護フィルムとして機能するフィルムであることが好ましい。
このような保護フィルムとしては、本発明の光学フィルムを用いてもよいが、例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタックKC8UX、KC5UX、KC4UX、KC8UCR3、KC4SR、KC4BR、KC4CR、KC4DR、KC4FR、KC4KR、KC8UY、KC6UY、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC2UA、KC4UA、KC6UAKC、2UAH、KC4UAH、KC6UAH、以上コニカミノルタ(株)製、フジタックT40UZ、フジタックT60UZ、フジタックT80UZ、フジタックTD80UL、フジタックTD60UL、フジタックTD40UL、フジタックR02、フジタックR06、以上富士フイルム(株)製)も好ましく用いることができる。
また、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等の樹脂フィルム、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン株式会社製、ゼオノア(登録商標)、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、シクロオレフィンコポリマー、ポリイミド(例えば三菱ガス化学株式会社製、ネオプリム(登録商標))、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、アクリロイル化合物等の樹脂フィルムが挙げられる(括弧内はガラス転移温度Tgを示す。)。これら樹脂基材のうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)、ポリカーボネート(略称:PC)等のフィルムが保護フィルムとして好ましく用いられる。
上記保護フィルムの厚さは、特に制限されないが、10〜200μm程度とすることができ、好ましくは10〜100μmの範囲内であり、より好ましくは10〜70μmの範囲内である。
〔6.2〕液晶表示装置
上記本発明の光学フィルムを貼合した偏光板を液晶表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた本発明に用いられる液晶表示装置を作製することができる。
本発明に用いられる偏光板は、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。好ましくはVA(MVA,PVA)型液晶表示装置及びIPS型液晶表示装置である。
液晶表示装置には、通常視認側の偏光板とバックライト側の偏光板の2枚の偏光板が用いられるが、本発明に用いられる偏光板を両方の偏光板として用いることも好ましく、片側の偏光板として用いることも好ましい。特に本発明に用いられる偏光板は外部環境に直接触れる視認側の偏光板として用いることが好ましく、その際は、本発明の光学フィルムが光学補償フィルムである場合は、液晶セル側に配置されることが好ましい。
また、バックライト側の偏光板は本発明以外の偏光板を用いることもでき、その場合は偏光子の両面を、例えば市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタックKC8UX、KC5UX、KC4UX、KC8UCR3、KC4SR、KC4BR、KC4CR、KC4DR、KC4FR、KC4KR、KC8UY、KC6UY、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC2UA、KC4UA、KC6UA、KC2UAH、KC4UAH、KC6UAH、以上コニカミノルタ(株)製、フジタックT40UZ、フジタックT60UZ、フジタックT80UZ、フジタックTD80UL、フジタックTD60UL、フジタックTD40UL、フジタックR02、フジタックR06、以上富士フイルム(株)製等)を貼合した偏光板が好ましく用いられる。
また、バックライト側の偏光板として、偏光子の液晶セル側に本発明の光学フィルムを用い、反対側の面に上記市販の保護フィルムや位相差フィルム、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、又は他のシクロオレフィンポリマーフィルムを貼合した偏光板も好ましく用いることができる。
本発明に用いられる偏光板を用いることで、特に画面が30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、表示ムラ、正面コントラストなど視認性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
〔6.3〕有機エレクトロルミネッセンス表示装置
本発明のシクロオレフィン系樹脂を用いた光学フィルムは滑り性が良好であるため加工適性が高く、例えば曲面形状を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置にも好適である。
本発明に用いられる有機エレクトロルミネッセンス表示装置に適用可能な有機EL素子の概要については、例えば、特開2013−157634号公報、特開2013−168552号公報、特開2013−177361号公報、特開2013−187211号公報、特開2013−191644号公報、特開2013−191804号公報、特開2013−225678号公報、特開2013−235994号公報、特開2013−243234号公報、特開2013−243236号公報、特開2013−242366号公報、特開2013−243371号公報、特開2013−245179号公報、特開2014−003249号公報、特開2014−003299号公報、特開2014−013910号公報、特開2014−017493号公報、特開2014−017494号公報等に記載されている構成を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
<光学フィルム101の作製>
下記組成の主ドープ1を調製した。まず加圧溶解タンクにジクロロメタンを400kg/minの流量とエタノールを20kg/minの流量で添加した。溶媒の添加開始から3分後に、前記加圧溶解タンクに、シクロオレフィン系樹脂を200kg/minの流量で撹拌しながら投入した。次いで、これを常温で30分間撹拌しながら、完全に溶解した。
ドープ粘度は10000CPであり、含水率は0.50%であった。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244(濾過精度0.005mm)を使用して濾過流量300L/m・h、濾圧1.0×10Paにて濾過し、主ドープ1を調製した。
〈主ドープ1の組成〉
シクロオレフィン系樹脂(JSR(株)アートンG7810) 100質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
次いで、無端ベルト流延装置を用い、上記ドープを温度33℃、1.5m幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
剥離した光学フィルムを、140℃の熱をかけながらテンターを用いて幅手方向に5%延伸した。延伸開始時の残留溶媒は5質量%であった。次いで、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は90℃で、搬送張力は100N/mとした。乾燥後、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ10μmのナーリング加工を施し、ロール状に巻き取り、乾燥膜厚30μmの光学フィルム101を得た。
なお表1中、シクロオレフィン系樹脂はCOP樹脂と表記した。
<光学フィルム102の作製>
光学フィルム101の作製において、下記主ドープ2を用いた以外は同様にして光学フィルム102を作製した。
下記組成の主ドープ2を調製した。まず加圧溶解タンクにジクロロメタンを400kg/minの流量とエタノールを20kg/minの流量で添加した。溶媒の添加開始から3分後に、前記加圧溶解タンクに、シクロオレフィン系樹脂を200kg/minの流量で撹拌しながら投入した。次いで、溶媒投入開始後5分後に、下記エラストマーを投入して、これを80℃に加熱し、撹拌しながら、完全に溶解した。加熱温度は室温から5℃/minで昇温し、30分間で溶解した後、3℃/minで降温した。
ドープ粘度は100Pa・Sであり、含水率は0.50%であった。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244(濾過精度0.005mm)を使用して濾過流量300L/m・h、濾圧1.0×10Paにて濾過し、主ドープ1を調製した。
〈主ドープ2の組成〉
シクロオレフィン系樹脂(JSR(株)アートンG7810) 100質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
エラストマー(JSR(株)RB810:シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン) 10質量部
<光学フィルム103の作製>
光学フィルム102の作製において、エラストマーにJSR(株)製TR2827(スチレン/ブタジエン:24/76)を用いた以外は同様にして光学フィルム103を作製した。
<光学フィルム104の作製>
光学フィルム102の作製において、エラストマーにJSR(株)製TR2500(スチレン/ブタジエン:35/65)を用いた以外は同様にして光学フィルム104を作製した。
<光学フィルム105の作製>
光学フィルム102の作製において、エラストマーにJSR(株)製TR2003(スチレン/ブタジエン:43/57)を用いた以外は同様にして光学フィルム105を作製した。
<光学フィルム106の作製>
光学フィルム102の作製において、エラストマーにJSR(株)製TR2250(スチレン/ブタジエン:52/48)を用いた以外は同様にして光学フィルム106を作製した。
<光学フィルム107の作製>
光学フィルム102の作製において、ゴム粒子として三菱レイヨン(株)製メタブレンC140A(MBS(ブタジエン系ゴム):平均粒子径300nm)を用いた以外は同様にして光学フィルム107を作製した。
<光学フィルム108の作製>
光学フィルム102の作製において、エラストマーにクレイトンジャパン(株)製RP6935(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体:SEBS、スチレン単量体単位含有割合:58%)を用いた以外は同様にして光学フィルム108を作製した。
<光学フィルム109の作製>
光学フィルム102の作製において、シクロオレフィン系樹脂としてポリプラスチック(株)製Topas5013、及びエラストマーにクレイトンポリマージャパン(株)製RP6935(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体:SEBS、スチレン単量体単位含有割合:58%)を用いた以外は同様にして光学フィルム109を作製した。
<光学フィルム110の作製>
光学フィルム102の作製において、シクロオレフィン系樹脂としてJSR(株)R5000、及びエラストマーにJSR(株)製TR2250(スチレン/ブタジエン:52/48)を用いた以外は同様にして光学フィルム110を作製した。
<光学フィルム111〜115の作製>
光学フィルム104の作製において、流延ダイへの供給量を調整して、表1記載のように光学フィルムの膜厚を、3μm、5μm、10μm、20μm及び40μmに変化させた以外は同様にして光学フィルム111〜115を作製した。
<光学フィルム116〜121の作製>
光学フィルム104の作製において、表1記載のように、エラストマーの添加量を、2質量部、3質量部、5質量部、30質量部、40質量部及び50質量部に変化させた以外は同様にして光学フィルム116〜121を作製した。
≪評価≫
〔1〕シクロオレフィン系樹脂及びエラストマー粒子の屈折率の測定
シクロオレフィン系樹脂の屈折率は、当該シクロオレフィン系樹脂を溶媒に溶かした溶液を用いて、溶液流延法にて厚さ30μmのフィルムを作製し、当該フィルムをJIS K7142:2008にしたがって、以下の方法にて測定した。
屈折率測定:23℃・55%RHの環境下、波長589nmの光におけるフィルムの屈折率をアッベ屈折計にて測定し、シクロオレフィン系樹脂の屈折率とした。アッベ屈折計は、1T(株式会社アタゴ製)を使用し、波長589nmの光は、ハイパワーキセノン光源MAX−302(朝日分光株式会社製)を使用した。
エラストマー粒子の屈折率は、エラストマー粒子を含む本発明の光学フィルムサンプルとして用い、JIS K7142:2008のB法にしたがって、顕微鏡下、屈折率が既知の浸液を用いて、波長589nmの光におけるエラストマー粒子の屈折率を測定した。
浸液は、フタル酸n−ブチル(nD:約1.49)、モノブロモナフタレン(nD:約1.65)、ジヨウ素メタン(ヨウ化メチレン)(nD:約1.747)等を用いた。
〔2〕エラストマー粒子の平均粒子径の測定
エラストマー粒子の粒子径の測定は、ミクロトームで断層カットしたフィルム断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)撮影し、100個の粒子の粒子径を測定し、平均値を求め平均粒子径とした。粒子径は、粒子の断面が円形状の場合はその直径とし、円形状以外の場合は面積を算出し、それを円形状に換算したときの直径とした。
SEM:Hitachi High−Technologies製S4800
ミクロトーム:ライカ製EM UC6
断層カット写真は、図1(a)光学フィルム101(エラストマー未添加)、(b)光学フィルム106(屈折率差0.046)、(c)光学フィルム104(屈折率差0.033)をそれぞれ示す。
断層カット写真は、ガラスナイフで切削速度0.1mm/secのミクロトームでサンプルフィルムをカットし、断面を加速電圧5.0kvで、Hitachi High−Technologies製S4800を用いて、SEM撮影した。
〔3〕耐折性評価
耐折性は、JIS P 8115:2001に準拠し、荷重100g、折り曲げ角度90°の条件で各フィルムを下記MIT試験にて評価し、下記のランク分けをした。
MIT=耐折疲労試験機D−2(株式会社東洋精機製作所)
◎:2000以上
○:1500以上2000未満
△:1200以上1500未満
×:1200未満
〔4〕滑り性(高湿度)評価
滑り性は、各光学フィルムを23℃・80%RHで12時間調湿後、その中で摩擦測定器により静摩擦係数を測定し、下記のランク分けをした。
条件:スレッド50g、(40cm板)、スピード100mm/min、荷重10Nで、JIS K 7125:1999の方法に従い、スレッド(重りのみ200gを50gに変更)
摩擦測定器:株式会社東洋精機製作所製TR−2
◎:0以上0.5未満
○:0.5以上1.0未満
△:1.0以上2.0未満
×:2.0以上
以上、光学フィルム101〜120の構成内容、及び評価結果を表1にまとめて示す。
本発明の構成の光学フィルム103及び104は、耐折性及び滑り性に優れていることが分かる。
ゴム粒子C140Aを用いた光学フィルム107は、ゴム粒子の分散に工数がかかるため生産性が低下しており、またゴム粒子が均一に分散されていないためか、耐折性及び滑り性が劣っていた。
光学フィルムの膜厚は、20〜30μmの範囲であると、耐折性及び滑り性のバランスに優れる(光学フィルム104及び114参照。)。
エラストマーの添加量は、10〜40質量部の範囲であると、耐折性及び滑り性のバランスに優れる(光学フィルム104、119及び120参照。)。
実施例2
<光学フィルム201の作製>
(微粒子添加液の調製)
微粒子(アエロジルR812:日本アエロジル株式会社製、一次平均粒子径:7nm、見掛け比重50g/L) 4質量部
ジクロロメタン 48質量部
エタノール 48質量部
以上をディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
さらに、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
次いで、下記組成の主ドープ3を調製した。まず加圧溶解タンクにジクロロメタンを400kg/minの流量とエタノールを20kg/minの流量で添加した。溶媒の添加開始から3分後に、前記加圧溶解タンクに、シクロオレフィン系共重合体1を200kg/minの流量で撹拌しながら投入した。次いで、溶媒投入開始後5分後に、エラストマー、微粒子添加液及び紫外線吸収剤を投入して、これを80℃に加熱し、撹拌しながら、完全に溶解した。加熱温度は室温から5℃/minで昇温し、30分間で溶解した後、3℃/minで降温した。
ドープ粘度は100Pa・Sであり、含水率は0.50%であった。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244(濾過精度0.005mm)を使用して濾過流量300L/m・h、濾圧1.0×10Paにて濾過し、主ドープ3を調製した。
〈主ドープ3の組成〉
シクロオレフィン系共重合体1 100質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
エラストマー(JSR(株)TR2500(スチレン/ブタジエン:35/65)
10質量部
微粒子添加液 2質量部
紫外線吸収剤(BASFジャパン(株)製チヌビン928) 7質量部
次いで、無端ベルト流延装置を用い、上記ドープを温度33℃、1.5m幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
剥離した光学フィルムを、140℃の熱をかけながらロール間で流延方向に35%延伸した後、連続して、テンターを用いて幅手方向に5%延伸した。延伸開始時の残留溶媒は5質量%であった。次いで、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は90℃で、搬送張力は100N/mとした。乾燥後、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ10μmのナーリング加工を施し、ロール状に巻き取り、乾燥膜厚20μmの光学フィルム201を得た。
実施例1で作製した光学フィルム114とともに、実施例1で実施した、耐折性評価と滑り性(高湿度)評価を行った。
光学フィルム201は、マット剤を添加することで滑り性がさらに向上することが分かる。
実施例3
<光学フィルム301〜303の作製>
実施例1の光学フィルム114の作製において、エラストマーとして、JSR(株)製TR2500(スチレン/ブタジエン:35/65)の代わりに、JSR(株)製SIS5002(SIS:スチレン−イソプレンブロック共重合体)、JSR(株)製DYNARON8903P(SEBS:スチレンとブタジエンからなるブロック共重合体の二重結合部分を水素添加したポリマー)、及びクラレ(株)製セプトン2007(SEPS:スチレン−イソプレンブロック共重合体の二重結合部分を水素添加したポリマー)を用いた以外は同様にして、光学フィルム301〜303を作製した。
実施例1で作製した光学フィルム114とともに、実施例1で実施した、耐折性評価と滑り性(高湿度)評価を行った。
光学フィルム301〜303は耐折性及び滑り性に優れ、スチレン系のエラストマーを用いることで本発明の効果を良好に発現することが分かる。
1 溶解釜
3、6、12、15 濾過器
4、13 ストック釜
2、5、11、14 送液ポンプ
8、16 導管
10 添加剤仕込釜
20 合流管
21 混合機
30 加圧ダイ
31 金属支持体
32 ウェブ
33 剥離位置
34 延伸装置
35 乾燥装置
36 搬送ローラー
37 巻取り装置
41 仕込釜
42 ストック釜
43 ポンプ

Claims (7)

  1. シクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子とを含む光学フィルムであって、
    23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける、
    前記シクロオレフィン系樹脂の屈折率が、1.45以上1.53未満であり、
    前記シクロオレフィン系樹脂と前記エラストマー粒子との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が0.020〜0.036の範囲内であり、かつ、
    当該エラストマー粒子の平均粒子径が5〜500nmの範囲内であることを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記シクロオレフィン系樹脂が、下記一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン系モノマー由来の重合体であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
    (一般式(A−2)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。Rは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。pは、0〜2の整数を表す。)
  3. 前記光学フィルムの厚さが、5〜30μmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。
  4. 前記エラストマー粒子が、スチレン系エラストマー粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 前記エラストマー粒子のスチレン化率が、1%以上40%未満であることを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム。
  6. 溶液流延法によって製膜する光学フィルムの製造方法であって、
    23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける屈折率が、1.45以上1.53未満の範囲内であるシクロオレフィン系樹脂と、
    当該シクロオレフィン系樹脂との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が、0.020〜0.036の範囲内であるエラストマーと、
    溶媒と、
    を少なくとも含有する溶液を支持体上に流延することで、エラストマー粒子を形成するとともに製膜することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  7. 前記エラストマー粒子の平均粒子径が、5〜500nmの範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の光学フィルムの製造方法。
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