JP2017083740A - 光学フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
光学フィルム及びその製造方法に関する。
23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける、
前記シクロオレフィン系樹脂の屈折率が、1.45以上1.53未満であり、
前記シクロオレフィン系樹脂と前記エラストマー粒子との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が0.020〜0.036の範囲内であり、かつ、
当該エラストマー粒子の平均粒子径が5〜500nmの範囲内であることを特徴とする光学フィルム。
3.前記光学フィルムの厚さが、5〜30μmの範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルム。
23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける屈折率が、1.45以上1.53未満の範囲内であるシクロオレフィン系樹脂と、
当該シクロオレフィン系樹脂との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が、0.020〜0.036の範囲内であるエラストマーと、
溶媒と、
を少なくとも含有する溶液を支持体上に流延することで、エラストマー粒子を形成するとともに製膜することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
本発明の光学フィルムは、樹脂の屈折率1.53未満のシクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子とを含む光学フィルムであって、前記シクロオレフィン系樹脂と前記エラストマー粒子の23℃・55%RHの環境下、光波長589nmの測定における屈折率差の絶対値が0.020〜0.036の範囲内であり、かつ当該エラストマー粒子の平均粒子径が5〜500nmの範囲内であることを特徴とする。
シクロオレフィン系樹脂の屈折率は、当該シクロオレフィン系樹脂を溶媒に溶かした溶液を用いて、溶液流延法にて厚さ30μmのフィルムを作製し、当該フィルムをJIS K7142:2008にしたがって、以下の方法にて測定する。
エラストマー粒子の粒子径の測定は、ミクロトームで断層カットしたフィルム断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で適当な倍率で撮影し、断層カット写真に含まれる100個の粒子の粒子径を測定し、平均値を求め平均粒子径とする。粒子径は、粒子の断面が円形状の場合はその直径とし、円形状以外の場合は面積を算出し、それを円形状に換算したときの直径とする。
ミクロトーム:ライカ製EM UC6
断層カット時、粒子が大きいとエラストマーが伸びて型崩れ起こすが、500nm以下の小さい状態ならば伸びず、型崩れ起こさないため粒子径の測定が可能となる。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂は、シクロオレフィン系モノマー単独又はシクロオレフィン系モノマーと他のモノマーとを共重合した樹脂であり、樹脂の屈折率は1.45以上1.53未満であることが特徴である。
上記極性基としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。これらの中では、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリルオキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基又はアリルオキシカルボニル基であることが、溶液製膜時の溶解性を確保する観点で好ましい。
本発明においては、一般式(A−2)で表されるように、置換基R5及びR6が片側炭素に置換されたシクロオレフィンモノマーを用いることで、分子の対称性が崩れたためか溶媒揮発時の樹脂の拡散運動を促進し、それに伴い本発明に係るエラストマー粒子の均一な配向を促すことから、好ましい。
(1)シクロオレフィンモノマーの開環重合体
(2)シクロオレフィンモノマーと共重合性モノマーとの開環共重合体
(3)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体
(4)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した(共)重合体
(5)シクロオレフィンモノマーと不飽和二重結合含有化合物との飽和重合体
(6)シクロオレフィン系モノマーの付加型(共)重合体及びその水素添加(共)重合体
(7)シクロオレフィン系モノマーとメタクリレート、又はアクリレートとの交互共重合体
本発明に係る好ましいシクロオレフィン重合体としては、下記一般式(B−1)及び一般式(B−2)で表される構造単位を有するものも挙げられる。このようなシクロオレフィン系樹脂は、一般式(B−1)で表される構造単位のみ、一般式(B−2)で表される構造単位のみ、一般式(B−1)と一般式(B−2)のそれぞれの構造単位を含む共重合体でもよい。
本明細書では、本願に係るシクロオレフィン系樹脂の製造方法等については、特開2008−107534号公報の記載を援用するものとし、その説明を省略する。
本発明に係るエラストマー粒子は、フィルム製膜時において、樹脂及びエラストマーを含有するドープを支持体に流延して含まれる溶媒が揮発する際に、当該エラストマー同士が凝集してエラストマー粒子を形成することが特徴である。
スチレン系エラストマーとしては、スチレンとブタジエン若しくはイソプレン等の共役及び/又はその水素添加物ジエンの共重合体が挙げられる。スチレン系エラストマーは、スチレンをハードセグメント、共役ジエンをソフトセグメントとしたブロック共重合体であり、加硫工程が不用であり、好ましく用いられる。また、水素添加をしたものは熱安定性が高く、より好ましく用いられる。
オレフィン系エラストマーは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−ペンテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンの共重合体であり、例えば、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)等が挙げられ、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ブタジエン、イソプレン等の炭素数2〜20の非共役ジエンとα−オレフィン共重合体などが挙げられる。また、ブタジエン−アクニロニトリル共重合体にメタクリル酸を共重合したカルボキシ変性NBRが挙げられる。具体的には、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム、ブテン・α−オレフィン共重合体ゴム等が挙げられる。
ウレタン系エラストマーは、低分子のエチレングリコールとジイソシアネートからなるハードセグメントと高分子(長鎖)ジオールとジイソシアネートからなるソフトセグメントとの構造単位からなり、高分子(長鎖)ジオールとして、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリ(1−,4−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレン・1,4−ブチレンアジペート)、ポリカプロラクトン、ポリ(1,6−ヘキシレンカーボネート)、ポリ(1,6−ヘキシレン・ネオペンチレンアジペート)等が挙げられる。高分子(長鎖)ジオールの数平均分子量は、500〜10,000が好ましい。エチレングリコールの他に、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ビスフェノールA等の短鎖ジオールを用いることができ、短鎖ジオールの数平均分子量は、48〜500が好ましい。
ポリエステル系エラストマーは、ジカルボン酸又はその誘導体とジオール化合物又はその誘導体を重縮合して得られる。ジカルボン酸の具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びこれらの芳香核の水素原子がメチル基、エチル基、フェニル基等で置換された芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等の炭素数2〜20の脂肪族ジカルボン酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸などが挙げられる。これらの化合物は2種以上用いることができる。ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂肪族ジオール及び脂環式ジオール、又は、ビスフェノールA、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−プロパン、レゾルシン等の芳香族環式ジオールなどが挙げられる。これらの化合物は2種以上用いることができる。
ポリアミド系エラストマーは、ハード相にポリアミドを、ソフト相にポリエーテルやポリエステルを用いたポリエーテルブロックアミド型とポリエーテルエステルブロックアミド型の2種類に大別され、ポリアミドとしては、ポリアミド−6、11、12等が用いられ、ポリエーテルとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリテトラメチレングリコール等が用いられる。
シリコーン系エラストマーとしては、オルガノポリシロキサンを主成分したもので、ポリジメチルシロキサン系、ポリメチルフェニルシロキサン系、ポリジフェニルシロキサン系に分けられる。一部をビニル基、アルコキシ基等で変性したものもある。
また、上記のエラストマー以外に、ゴム変性エポキシ化合物を用いることができる。ゴム変性エポキシ化合物としては、例えば、具体的には、エポキシ化ポリブタジエン(PB3600、PB4700、株式会社ダイセル製)、エポキシ化ブタジエン−スチレン共重合体(エポキシ化ブタジエン−スチレン エポフレンドAT014等、株式会社ダイセル製)、あるいはポリジメチルシロキサンのエポキシ化合物X22−163B、KF100T(信越化学工業株式会社製)等が挙げられる。また、上述のビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒド型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の一部又は全部のエポキシ基を、両末端カルボン酸変性ブタジエン−アクリロニトリルゴム、末端アミノ変性シリコーンゴム等で変性することによって得られるゴム変性エポキシ化合物を用いることもできる。
本発明の光学フィルムは、マット剤、位相差上昇剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、剥離剤などを含んでもよい。以下に主要な添加剤の詳細を記す。
本発明の光学フィルムには、必要に応じて、フィルムの製膜時にフィルム表面に凹凸を付与し、滑り性を確保し、安定な巻取り形状を達成するためにマット剤を含有することも好ましい。また、作製されたフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化することを防止するためにも、当該マット剤は機能することができる。
本発明の光学フィルムは、位相差を調整するために位相差上昇剤を含有することができる。
本発明において可塑剤として、さらにポリエステル樹脂を用いることができる。ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来する。
本発明の光学フィルムは、偏光板や液晶表示装置に照射される不要な紫外線を遮蔽するために、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
酸化防止剤は、例えば、光学フィルム中の残留溶媒のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により光学フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、フィルム中に含有させることが好ましい。
本発明の光学フィルムの製造方法は、溶液流延法によって製膜する光学フィルムの製造方法であって、23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける屈折率が、1.45以上1.53未満の範囲内であるシクロオレフィン系樹脂と、当該シクロオレフィン系樹脂との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が、0.020〜0.036の範囲内であるエラストマーと、溶媒と、を少なくとも含有する溶液を支持体上に流延することで、エラストマー粒子を形成するとともに製膜することを特徴とする。
シクロオレフィン樹脂に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で当該シクロオレフィン樹脂及びエラストマー、場合によって、位相差上昇剤、マット剤又はその他の化合物を撹拌しながら溶解しドープを調製する工程、又は当該シクロオレフィン樹脂溶液に、前記エラストマー、場合によっては位相差上昇剤、マット剤又はその他の化合物溶液を混合して主溶解液であるドープを調製する工程である。
(2−1)ドープの流延
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属支持体31、例えば、ステンレスベルト、又は回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
ウェブを流延用金属支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程であり、後述する剥離時の残留溶媒量を制御する工程である。
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブはフィルムとして次工程に送られる。
残留溶媒量(%)=(ウェブ又はフィルムの加熱処理前質量−ウェブ又はフィルムの加熱処理後質量)/(ウェブ又はフィルムの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
乾燥工程は予備乾燥工程、本乾燥工程に分けて行うこともできる。
金属支持体からウェブ剥離して得られたフィルムは、予備乾燥させる。フィルムの予備乾燥は、フィルムを、上下に配置した多数のローラーにより搬送しながら乾燥させてもよいし、テンター乾燥機のようにフィルムの両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させてもよい。
本発明の光学フィルムは、延伸装置34にて残留溶媒量下で延伸処理を行うことで、フィルム中の樹脂にエラストマー粒子を均一に分散させたり、フィルムの平面性を向上したり、フィルム内の分子の配向を制御することで、所望の位相差値Ro及びRtを得ることができる。
・長手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
(式1において、d1は延伸後の本発明の光学フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、d2は延伸前の光学フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、tは延伸に要する時間(min)である。)
本発明の光学フィルムは、例えば位相差上昇剤を含有し、かつ延伸することにより所望の位相差値を付与することができる。面内位相差値Ro、及び厚さ方向の位相差値Rtは自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率nx、ny、nzから算出することができる。
式(ii):Rt={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nxは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nyは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nzは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
延伸工程では、通常、延伸した後、保持・緩和が行われる。すなわち、本工程は、フィルムを延伸する延伸段階、フィルムを延伸状態で保持する保持段階及びフィルムを延伸した方向に緩和する緩和段階をこれらの順序で行うことが好ましい。保持段階では、延伸段階で達成された延伸率での延伸を、延伸段階における延伸温度で保持する。緩和段階では、延伸段階における延伸を保持段階で保持した後、延伸のための張力を解除することによって、延伸を緩和する。緩和段階は、延伸段階における延伸温度以下で行えば良い。
乾燥工程では、乾燥装置35によって延伸後のフィルムを加熱して乾燥させる。
(4−1)ナーリング加工
所定の熱処理又は冷却処理の後、巻取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。更に、幅手両端部にはナーリング加工をすることが好ましい。
フィルム中の残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻取る工程であり、残留溶媒量を好ましくは0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
〈ヘイズ〉
本発明の光学フィルムは、ヘイズが1%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましい。ヘイズを1%未満とすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学用途のフィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。本発明の光学フィルムは、均一な粒子径を有するエラストマー粒子が分散しているため、粒子による光散乱の程度が低く、透明性に優れる。
本発明の光学フィルムは、25℃、相対湿度60%における平衡含水率が4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。平衡含水率を4%以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性や寸法がより変化しにくく好ましい。
本発明の光学フィルムは、長尺であることが好ましく、具体的には、100〜10000m程度の長さであることが好ましく、ロール状に巻き取られる。また、本発明の光学フィルムの幅は1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.3m以上であり、特に1.3〜4mであることが好ましい。
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置、有機EL表示装置等の各種表示装置やタッチパネルに用いられる機能フィルムであることが好ましい。具体的には、本発明の光学フィルムは、液晶表示装置又は有機EL表示装置用の偏光板保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、ハードコートフィルム、防眩フィルム、帯電防止フィルム、視野角拡大等の光学補償フィルムなどでありうる。典型的には、本発明の光学フィルムは、偏光板保護フィルムである。本発明の光学フィルムは、前記位相差フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムとして用いることもできる。
〔6.1.1〕偏光子
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、その例には、ポリビニルアルコール系偏光フィルムが含まれる。
[水糊]
本発明に用いられる偏光板は、本発明の光学フィルムを完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊)を用いて偏光子に貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には他の偏光板保護フィルムを貼合することができる。本発明の光学フィルムは液晶表示装置とされた際に、偏光子の液晶セル側に設けられることが好ましく、偏光子の外側のフィルムは、本発明の光学フィルム、及び従来の偏光板保護フィルムのどちらでも用いることができる。
また、本発明に用いられる偏光板においては、本発明の光学フィルムと偏光子とが、活性エネルギー線硬化性接着剤により貼合されていることが好ましい。
偏光板用の紫外線硬化型接着剤組成物としては、光ラジカル重合を利用した光ラジカル重合型組成物、光カチオン重合を利用した光カチオン重合型組成物、並びに光ラジカル重合及び光カチオン重合を併用したハイブリッド型組成物が知られている。
光ラジカル重合型組成物としては、特開2008−009329号公報に記載のヒドロキシ基やカルボキシ基等の極性基を含有するラジカル重合性化合物及び極性基を含有しないラジカル重合性化合物を特定割合で含む組成物)等が知られている。特に、ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の好ましい例には、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が含まれる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例には、N置換(メタ)アクリルアミド系化合物、(メタ)アクリレート系化合物などが含まれる。(メタ)アクリルアミドは、アクリアミド又はメタクリアミドを意味する。
前処理工程は、光学フィルムの偏光子との接着面に易接着処理を行う工程である。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
紫外線硬化型接着剤の塗布工程としては、偏光子と光学フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、上記紫外線硬化型接着剤を塗布する。偏光子又は光学フィルムの表面に直接、紫外線硬化型接着剤を塗布する場合、その塗布方法に特段の限定はない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の湿式塗布方式が利用できる。また、偏光子と光学フィルムの間に、紫外線硬化型接着剤を流延させたのち、ローラー等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
上記の方法により紫外線硬化型接着剤を塗布した後は、貼合工程で処理される。この貼合工程では、例えば、先の塗布工程で偏光子の表面に紫外線硬化型接着剤を塗布した場合、そこに光学フィルムが重ね合わされる。また、はじめに光学フィルムの表面に紫外線硬化型接着剤を塗布する方式の場合には、そこに偏光子が重ね合わされる。また、偏光子と光学フィルムの間に紫外線硬化型接着剤を流延させた場合は、その状態で偏光子と光学フィルムとが重ね合わされる。そして、通常は、この状態で両面の光学フィルム側から加圧ローラー等で挟んで加圧することになる。加圧ローラーの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置される加圧ローラーは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
硬化工程では、未硬化の紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射して、カチオン重合性化合物(例えば、エポキシ化合物やオキセタン化合物)やラジカル重合性化合物(例えば、アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物等)を含む紫外線硬化型接着剤層を硬化させ、紫外線硬化型接着剤を介して重ね合わせた偏光子と光学フィルムを接着させる。偏光子の片面に光学フィルムを貼合する場合、活性エネルギー線は、偏光子側又は光学フィルム側のいずれから照射してもよい。また、偏光子の両面に光学フィルムを貼合する場合、偏光子の両面にそれぞれ紫外線硬化型接着剤を介して光学フィルムを重ね合わせた状態で、紫外線を照射し、両面の紫外線硬化型接着剤を同時に硬化させるのが有利である。
偏光子の本発明の光学フィルムとは反対側に配置されるフィルムは、偏光子の保護フィルムとして機能するフィルムであることが好ましい。
上記本発明の光学フィルムを貼合した偏光板を液晶表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた本発明に用いられる液晶表示装置を作製することができる。
本発明のシクロオレフィン系樹脂を用いた光学フィルムは滑り性が良好であるため加工適性が高く、例えば曲面形状を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置にも好適である。
<光学フィルム101の作製>
下記組成の主ドープ1を調製した。まず加圧溶解タンクにジクロロメタンを400kg/minの流量とエタノールを20kg/minの流量で添加した。溶媒の添加開始から3分後に、前記加圧溶解タンクに、シクロオレフィン系樹脂を200kg/minの流量で撹拌しながら投入した。次いで、これを常温で30分間撹拌しながら、完全に溶解した。
シクロオレフィン系樹脂(JSR(株)アートンG7810) 100質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
次いで、無端ベルト流延装置を用い、上記ドープを温度33℃、1.5m幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
光学フィルム101の作製において、下記主ドープ2を用いた以外は同様にして光学フィルム102を作製した。
シクロオレフィン系樹脂(JSR(株)アートンG7810) 100質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
エラストマー(JSR(株)RB810:シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン) 10質量部
<光学フィルム103の作製>
光学フィルム102の作製において、エラストマーにJSR(株)製TR2827(スチレン/ブタジエン:24/76)を用いた以外は同様にして光学フィルム103を作製した。
光学フィルム102の作製において、エラストマーにJSR(株)製TR2500(スチレン/ブタジエン:35/65)を用いた以外は同様にして光学フィルム104を作製した。
光学フィルム102の作製において、エラストマーにJSR(株)製TR2003(スチレン/ブタジエン:43/57)を用いた以外は同様にして光学フィルム105を作製した。
光学フィルム102の作製において、エラストマーにJSR(株)製TR2250(スチレン/ブタジエン:52/48)を用いた以外は同様にして光学フィルム106を作製した。
光学フィルム102の作製において、ゴム粒子として三菱レイヨン(株)製メタブレンC140A(MBS(ブタジエン系ゴム):平均粒子径300nm)を用いた以外は同様にして光学フィルム107を作製した。
光学フィルム102の作製において、エラストマーにクレイトンジャパン(株)製RP6935(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体:SEBS、スチレン単量体単位含有割合:58%)を用いた以外は同様にして光学フィルム108を作製した。
光学フィルム102の作製において、シクロオレフィン系樹脂としてポリプラスチック(株)製Topas5013、及びエラストマーにクレイトンポリマージャパン(株)製RP6935(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体:SEBS、スチレン単量体単位含有割合:58%)を用いた以外は同様にして光学フィルム109を作製した。
光学フィルム102の作製において、シクロオレフィン系樹脂としてJSR(株)R5000、及びエラストマーにJSR(株)製TR2250(スチレン/ブタジエン:52/48)を用いた以外は同様にして光学フィルム110を作製した。
光学フィルム104の作製において、流延ダイへの供給量を調整して、表1記載のように光学フィルムの膜厚を、3μm、5μm、10μm、20μm及び40μmに変化させた以外は同様にして光学フィルム111〜115を作製した。
光学フィルム104の作製において、表1記載のように、エラストマーの添加量を、2質量部、3質量部、5質量部、30質量部、40質量部及び50質量部に変化させた以外は同様にして光学フィルム116〜121を作製した。
〔1〕シクロオレフィン系樹脂及びエラストマー粒子の屈折率の測定
シクロオレフィン系樹脂の屈折率は、当該シクロオレフィン系樹脂を溶媒に溶かした溶液を用いて、溶液流延法にて厚さ30μmのフィルムを作製し、当該フィルムをJIS K7142:2008にしたがって、以下の方法にて測定した。
エラストマー粒子の粒子径の測定は、ミクロトームで断層カットしたフィルム断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)撮影し、100個の粒子の粒子径を測定し、平均値を求め平均粒子径とした。粒子径は、粒子の断面が円形状の場合はその直径とし、円形状以外の場合は面積を算出し、それを円形状に換算したときの直径とした。
ミクロトーム:ライカ製EM UC6
断層カット写真は、図1(a)光学フィルム101(エラストマー未添加)、(b)光学フィルム106(屈折率差0.046)、(c)光学フィルム104(屈折率差0.033)をそれぞれ示す。
耐折性は、JIS P 8115:2001に準拠し、荷重100g、折り曲げ角度90°の条件で各フィルムを下記MIT試験にて評価し、下記のランク分けをした。
◎:2000以上
○:1500以上2000未満
△:1200以上1500未満
×:1200未満
〔4〕滑り性(高湿度)評価
滑り性は、各光学フィルムを23℃・80%RHで12時間調湿後、その中で摩擦測定器により静摩擦係数を測定し、下記のランク分けをした。
摩擦測定器:株式会社東洋精機製作所製TR−2
◎:0以上0.5未満
○:0.5以上1.0未満
△:1.0以上2.0未満
×:2.0以上
以上、光学フィルム101〜120の構成内容、及び評価結果を表1にまとめて示す。
<光学フィルム201の作製>
(微粒子添加液の調製)
微粒子(アエロジルR812:日本アエロジル株式会社製、一次平均粒子径:7nm、見掛け比重50g/L) 4質量部
ジクロロメタン 48質量部
エタノール 48質量部
以上をディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
シクロオレフィン系共重合体1 100質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 10質量部
エラストマー(JSR(株)TR2500(スチレン/ブタジエン:35/65)
10質量部
微粒子添加液 2質量部
紫外線吸収剤(BASFジャパン(株)製チヌビン928) 7質量部
次いで、無端ベルト流延装置を用い、上記ドープを温度33℃、1.5m幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は30℃に制御した。
<光学フィルム301〜303の作製>
実施例1の光学フィルム114の作製において、エラストマーとして、JSR(株)製TR2500(スチレン/ブタジエン:35/65)の代わりに、JSR(株)製SIS5002(SIS:スチレン−イソプレンブロック共重合体)、JSR(株)製DYNARON8903P(SEBS:スチレンとブタジエンからなるブロック共重合体の二重結合部分を水素添加したポリマー)、及びクラレ(株)製セプトン2007(SEPS:スチレン−イソプレンブロック共重合体の二重結合部分を水素添加したポリマー)を用いた以外は同様にして、光学フィルム301〜303を作製した。
3、6、12、15 濾過器
4、13 ストック釜
2、5、11、14 送液ポンプ
8、16 導管
10 添加剤仕込釜
20 合流管
21 混合機
30 加圧ダイ
31 金属支持体
32 ウェブ
33 剥離位置
34 延伸装置
35 乾燥装置
36 搬送ローラー
37 巻取り装置
41 仕込釜
42 ストック釜
43 ポンプ
Claims (7)
- シクロオレフィン系樹脂とエラストマー粒子とを含む光学フィルムであって、
23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける、
前記シクロオレフィン系樹脂の屈折率が、1.45以上1.53未満であり、
前記シクロオレフィン系樹脂と前記エラストマー粒子との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が0.020〜0.036の範囲内であり、かつ、
当該エラストマー粒子の平均粒子径が5〜500nmの範囲内であることを特徴とする光学フィルム。 - 前記シクロオレフィン系樹脂が、下記一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン系モノマー由来の重合体であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
- 前記光学フィルムの厚さが、5〜30μmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。
- 前記エラストマー粒子が、スチレン系エラストマー粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルム。
- 前記エラストマー粒子のスチレン化率が、1%以上40%未満であることを特徴とする請求項4に記載の光学フィルム。
- 溶液流延法によって製膜する光学フィルムの製造方法であって、
23℃・55%RHの環境下、測定光波長589nmにおける屈折率が、1.45以上1.53未満の範囲内であるシクロオレフィン系樹脂と、
当該シクロオレフィン系樹脂との前記条件下で測定した屈折率差の絶対値が、0.020〜0.036の範囲内であるエラストマーと、
溶媒と、
を少なくとも含有する溶液を支持体上に流延することで、エラストマー粒子を形成するとともに製膜することを特徴とする光学フィルムの製造方法。 - 前記エラストマー粒子の平均粒子径が、5〜500nmの範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の光学フィルムの製造方法。
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