JPWO2019098159A1 - 偏光板の製造方法及び液晶表示装置の製造方法、並びに光学フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
偏光板は液晶表示装置(LCD)や有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイ(OLED)などの部材として用いられ、その表示性能において重要な役割を果たす。一般的な偏光板は、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂にヨウ素錯体などの二色性色素を吸着配向させた偏光子の片面、もしくは両面に光学フィルムを貼合させた構成を有する。
近年、表示装置の大型化、薄型化、フレキシブル化が進んでおり、これに伴って偏光板もこれまでと異なる機能や、薄型化が求められる。
フィルムの特長となる機能は一般にフィルムの主材料によるところが大きいが、その主材料は必ずしも高温高湿下でのPVA系樹脂の変形に対応出来るわけではなく、むしろ不利である場合が多い。また、光学フィルムやそれを含む偏光板を画像表示装置に適用した際に、輝度ムラが抑制されることも望ましい。
すなわち、本発明の光学フィルムは、伸長性を有する成分を含有しており、本発明の光学フィルムを偏光板に用いた場合、高温高湿下での偏光子の伸長に追従して本発明の光学フィルムが伸長することで、偏光板の破壊故障を抑制できると考えられる。
仮支持体上に塗布層を形成し、乾燥することにより、上記仮支持体上に光学フィルムを形成した転写フィルムを作成する工程、
上記転写フィルムにおける上記光学フィルムの空気界面側表面に偏光子を貼り合わせる工程、
上記転写フィルムから上記仮支持体を剥離する工程を有する偏光板の製造方法であって、
上記光学フィルムが、ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体を上記光学フィルムの全固形分に対して25〜45質量%含み、
上記光学フィルムが、ポリエステル系添加剤を上記光学フィルムの全固形分に対して0.1〜10質量%含み、
上記光学フィルムの厚さが、4〜10μmであり、
上記光学フィルムの破断伸度が、厚さ30μm、幅10mmの試料において、25℃の環境下で2.5%以上であり、
上記仮支持体の上記光学フィルムを形成する側の表面の算術平均粗さが、40nm以下である、偏光板の製造方法。
<2>
上記光学フィルムが、スチレン系樹脂を含む<1>に記載の偏光板の製造方法。
<3>
<1>又は<2>に記載の製造方法により製造された偏光板の上記光学フィルム側を液晶セル側に貼り合わせる工程を有する、液晶表示装置の製造方法。
<4>
ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエステル系添加剤とを含む光学フィルムであって、
上記ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体の含有量が、上記光学フィルムの全固形分に対して25〜45質量%であり、
上記ポリエステル系添加剤の含有量が、上記光学フィルムの全固形分に対して0.1〜10質量%であり、
上記光学フィルムの厚さが、4〜10μmであり、
上記光学フィルムの破断伸度が、厚さ30μm、幅10mmの試料において、25℃の環境下で2.5%以上である、光学フィルム。
<5>
スチレン系樹脂を含む、<4>に記載の光学フィルム。
また、本発明において、「(メタ)アクリル基」は、「アクリル基およびメタアクリル基のいずれか一方または双方」の意味で使用される。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリルアミド」、「(メタ)アクリロイル基」なども同様である。
仮支持体上に塗布層を形成し、乾燥することにより、上記仮支持体上に光学フィルムを形成した転写フィルムを作成する工程、
上記転写フィルムにおける上記光学フィルムの空気界面側表面に偏光子を貼り合わせる工程、
上記転写フィルムから上記仮支持体を剥離する工程を有する偏光板の製造方法であって、
上記光学フィルムが、ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体を上記光学フィルムの全固形分に対して25〜45質量%含み、
上記光学フィルムが、ポリエステル系添加剤を上記光学フィルムの全固形分に対して0.1〜10質量%含み、
上記光学フィルムの厚さが、4〜10μmであり、
上記光学フィルムの破断伸度が、厚さ30μm、幅10mmの試料において、25℃の環境下で2.5%以上であり、
上記仮支持体の上記光学フィルムを形成する側の表面の算術平均粗さが、40nm以下である、偏光板の製造方法である。
また、本発明の光学フィルムは、
ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエステル系添加剤とを含む光学フィルムであって、
上記ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体の含有量が、上記光学フィルムの全固形分に対して25〜45質量%であり、
上記ポリエステル系添加剤の含有量が、上記光学フィルムの全固形分に対して0.1〜10質量%であり、
上記光学フィルムの厚さが、4〜10μmであり、
上記光学フィルムの破断伸度が、厚さ30μm、幅10mmの試料において、25℃の環境下で2.5%以上である、光学フィルムである。
本発明の光学フィルムは種々の用途に用いることができる。本発明の光学フィルムの用途の一例として、偏光板の構成部材として用いることが挙げられる。
本発明の光学フィルムは、偏光板を構成する部材として用いる場合、偏光子を保護する膜(「偏光板保護フィルム」とも呼ぶ。)として用いることができる。特に、粘着剤を介して表示装置側に位置する側の偏光板保護フィルムとして用いることが好適である。
本発明の光学フィルムを用いた偏光板を、例えば高温高湿条件として、60℃、相対湿度90%の条件下に置いて、3日間経過した後に、偏光板が破壊されていないことが好ましい。
偏光板の破壊は、高温高湿下で、偏光子であるPVA系樹脂が吸湿して伸長し、同時に温度上昇により室温下より伸長することにより、偏光板保護フィルムが破壊されることが切っ掛けとなる。この破壊は、偏光板保護フィルムが薄くなる、具体的には10μm以下になると、起こることがある。
なお、本発明における光学フィルムの膜厚は4〜10μmであるが、破断伸度の測定において、安定的に試験が行えるように、厚さ30μmの試料で破断伸度を測定することとした。厚さ30μmの試料は、例えば、光学フィルムを製造するための塗布組成物を用い、厚さが30μmとなるように調整して製膜することや、30μm未満の光学フィルムを積層するなどして作製することができる。
本発明の光学フィルムは、伸長性を有する成分を適宜選んで含むことができる。
伸長性を有する成分としては、具体的には、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエンースチレン樹脂)、SB樹脂(スチレン−ブタジエン樹脂)、イソプレン樹脂、ブタジエン樹脂や、イソブチエン−イソブテン樹脂、ポリエーテル−ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、等を挙げることができる。また、上記樹脂は、適宜水素添加してもよい。
本発明の光学フィルムは、伸長性を有する成分として、ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体を含むことが好ましい。
本発明の光学フィルムは、ABS樹脂またはSB樹脂を含むことが好ましく、SB樹脂を含むことがさらに好ましい。
なお、光学フィルムの全固形分とは、光学フィルムに含まれる成分のうち、溶剤を除いた全成分をいう。
本発明の光学フィルムは、ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体を光学フィルムの全固形分に対して25〜45質量%含むことが好ましく、25〜40質量%含むことがより好ましく、25〜30質量%含むことが更に好ましい。
本発明の光学フィルムは、本発明の偏光板の製造方法において、仮支持体からの剥離を行う工程における剥離性を制御する成分を含むことができる。仮支持体(基材)からの光学フィルムの剥離性を制御することで、剥離後の光学フィルムに剥離跡が付くことを防いだり、剥離工程の加工速度に適宜対応することができ、偏光板の品質や、生産性向上に好ましい効果を得ることができる。
ポリエステル系添加剤の重量平均分子量が500以上であると、脆性、湿熱耐久性の観点で好ましく、50000以下であると、樹脂との相溶性の観点で好ましい。
ポリエステル系添加剤の重量平均分子量は、以下の条件で標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)を測定した。なお、Mnは標準ポリスチレン換算の数平均分子量である。
GPC:ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー(株)製HLC−8220GPC、カラム;東ソー(株)製ガードカラムHXL−H、TSK gel G7000HXL、TSK gel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、溶離液;テトラヒドロフラン、流速;1mL/min、サンプル濃度;0.7〜0.8質量%、サンプル注入量;70μL、測定温度;40℃、検出器;示差屈折(RI)計(40℃)、標準物質;東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)
ジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸、又は芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の混合物を好ましく用いることができる。
脂肪族ジオールの中でも、炭素数2〜4の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数2〜3の脂肪族ジオールがより好ましい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコールなどが挙げることができ、これらを単独又は二種類以上を併用して用いることができる。
本発明における光学フィルムは、少なくとも1種のレベリング剤を含有することができる。
これにより、仮支持体上に塗布層を形成し、乾燥して、光学フィルムを有する転写フィルムを作製する工程において、乾燥風の局所的な分布による乾燥バラツキに起因する膜厚ムラ等を抑制したり、塗布物のハジキを改良することができる。
フルオロ脂肪族基を有するモノマーと共重合される、親媒性基を有するモノマーの代表的な例としては、ポリ(オキシアルキレン)アクリレート、ポリ(オキシアルキレン)メタクリレート等が挙げられる。
本発明の光学フィルムは、光学フィルム形成用の組成物を塗布して形成した塗布層を乾燥して得ることができる。
光学フィルム形成用の組成物は、溶剤(溶媒)を含有することができる。溶剤(好ましくは有機溶剤)は、光学フィルムを形成するための材料を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で適宜選択することができる。このような有機溶剤としては、例えばジブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール、フェネトール、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−プチロラクトン、2−メトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸メチル、2−エトキシ酢酸エチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1,2−ジアセトキシアセトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、酢酸イソブチル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、2−オクタノン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の光学フィルムは、他の性能を向上する観点から、その他の成分を含むことができる。
ポリマー樹脂は、特に限定されない。具体的な例として、環状オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ビニル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂等を挙げることができ、環状ポリオレフィン樹脂、スチレン系樹脂が、インナーフィルムに要求される性能を適宜付与する観点から好ましい。
スチレン系樹脂は、スチレンの単独重合体(すなわちポリスチレン)であることが好ましい。また、他の共重合性モノマーとの共重合体である場合、スチレン系樹脂は、スチレンまたはスチレン誘導体と、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレートおよびブタジエンから選ばれる少なくとも1種のモノマーとの共重合体であることが好ましい。
好ましいポリスチレンとしては、DIC株式会社製 CR−3500、CR−4500、CR−2600、XC−315、XC−515、PSジャパン株式会社製 HF77、679、SGP−10、東洋スチレン株式会社製 G200C、G210C、G320C、HRM12、HRM26、HRM48N、等を挙げることが出来るがこれに限定されるものではない。
また、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/メタクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体は、アクリル系樹脂との相溶性が高いため、本発明の光学フィルムがアクリル系樹脂を含む場合などは、透明性が高く、使用中に相分離を起こして透明性が低下することがない光学フィルムを得られることからも好ましい。このような観点からは、特に、アクリル系樹脂としてメタクリル酸メチルを単量体成分として含む重合体を用いる場合に好ましい。
スチレン−メタクリル酸共重合体の場合、共重合体中のメタクリル酸の共重合体割合は0.1〜50質量%であることが好ましい。より好ましい範囲は0.1〜40質量%であり、さらに好ましい範囲は0.1〜30質量%である。共重合体中のメタクリル酸の共重合体割合が0.1質量%以上であると耐熱性に優れ、50質量%以下の範囲であれば透明性に優れるので好ましい。
スチレン−無水マレイン酸共重合体の場合、共重合体中の無水マレイン酸の共重合体割合は0.1〜50質量%であることが好ましい。より好ましい範囲は0.1〜40質量%であり、さらに好ましい範囲は0.1質量%〜30質量%である。共重合体中の無水マレイン酸含量が0.1質量%以上であると耐熱性に優れ、50質量%以下の範囲であれば透明性に優れるので好ましい。
スチレン系樹脂は、公知のアニオン、塊状、懸濁、乳化または溶液重合方法により得ることができる。また、スチレン系樹脂においては、共役ジエンやスチレン系単量体のベンゼン環の不飽和二重結合が水素添加されていてもよい。水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)によって測定できる。
ビニル系樹脂の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、等が挙げられる。
その他の成分として、偏光子に対する光学フィルムの接着性改良成分を含むことで、本発明の光学フィルムを有する偏光板において、光学フィルムの偏光子に対する接着性を良化することができる。
なお、本発明の光学フィルムは、共重合体(a)及び共重合体(a)に由来する架橋反応物のどちらか1種のみを含有していてもよいし、両方を含有していてもよい。
以下、光学フィルムに含有される共重合体(a)、または共重合体(a)に由来する架橋反応物について説明する。
Lが表す2価の脂肪族鎖状基としては、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基がより好ましい。
Lが表す2価の脂肪族環状基としては、炭素数3〜20のシクロアルキレン基が好ましく、炭素数3〜15のシクロアルキレン基がより好ましい。
Lとしては、−(C=O)O−、または−O(C=O)−が好ましく、−(C=O)O−がより好ましい。
接着性に有利な表面偏在の観点ならびに原料入手及び製造の容易さの観点から、一般式(III)中のmaは1〜8の整数であることが好ましく、1〜5の整数であることがより好ましい。また、naは1〜15の整数であることが好ましく、1〜12の整数であることがより好ましく、2〜10の整数であることがさらに好ましく、5〜7の整数が最も好ましい。
Ra1は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基を表す。Ra5は、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
nnは、10〜1000が好ましく、20〜500がより好ましく、30〜200がさらに好ましい。
一般式(IV)中のnn個のRa3は同じでも異なっていてもよく、nn個のRa4は同じでも異なっていてもよい。
共重合体(a)は、上記一般式(I)で表される繰り返し単位の他に、一般式(II)で表される繰り返し単位も有する。一般式(II)で表される繰り返し単位は、水酸基に対して強い相互作用を持つ。即ち、基材上に光学フィルム形成用の組成物の塗布液を塗布した後に、塗布液表面に水酸基を有する接着剤層を設けると、一般式(II)で表される繰り返し単位の一部又は全部が水酸基と相互作用することにより、共重合体(a)は水酸基を有する接着剤層界面及び接着剤層の内部に拡散して吸着される。
従って、光学フィルムと接着剤層が接した後では、塗布液中に添加された一般式(II)で表される繰り返し単位を有する共重合体(a)は、光学フィルム、接着剤層、及び、両者の界面で、一般式(II)そのままの化学構造を有する共重合体、もしくは、一般式(II)で表される繰り返し単位が接着剤層の水酸基と反応した構造を有する誘導体(架橋反応物)として存在する。
このように、一般式(II)で表される繰り返し単位を有する共重合体が接着剤層と相互作用するため、接着剤層及び/又は光学フィルム中に存在する共重合体の比率に拘らず、共重合体(a)を含む光学フィルムと接着剤層との接着性を高めることができる。
上記アルケニル基の具体例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−シクロペンテニル基、1−シクロヘキセニル基等の直鎖状、分枝状、又は環状のアルケニル基が挙げられる。
上記アルキニル基の具体例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−オクチニル基等が挙げられる。
また、R11及びR12がそれぞれ表す置換もしくは無置換のヘテロアリール基の例としては、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環上の水素原子を1個除し、ヘテロアリール基としたものが含まれる。窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれるヘテロ原子を1個以上含む複素芳香環の具体例としては、ピロール、フラン、チオフェン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、チアジアゾール、インドール、カルバゾール、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チアナフテン、ジベンゾチオフェン、インダゾールベンズイミダゾール、アントラニル、ベンズイソオキサゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾチアゾール、プリン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、キノリン、アクリジン、イソキノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキザリン、ナフチリジン、フェナントロリン、プテリジン等が挙げられる。
置換基群Y:
ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N'−アルキルウレイド基、N',N'−ジアルキルウレイド基、N'−アリールウレイド基、N',N'−ジアリールウレイド基、N'−アルキル−N'−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N'−アルキル−N−アルキルウレイド基、N'−アルキル−N−アリールウレイド基、N',N'−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N',N'−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N'−アリール−N−アルキルウレイド基、N'−アリール−N−アリールウレイド基、N',N'−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N',N'−ジアリール−N−アリールウレイド基、N'−アルキル−N'−アリール−N−アルキルウレイド基、N'−アルキル−N'−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SO2NHSO2(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO2(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl)3)、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl)3)、ヒドロキシシリル基(−Si(OH)3)及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO3H2)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノ基(−PO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノ基(−PO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO3H2)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)2)、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO3(aryl)2)、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO3(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、アルケニル基及びアルキニル基。
また、これらの置換基は、可能であるならば置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよい。
X12は、芳香環を1〜5個含むことが好ましく、芳香環を2〜4個含むことが更に好ましく、芳香環を2〜3個含むことが最も好ましい。
一般式(V)中のR10、R11及びR12の好ましい範囲はそれぞれ、一般式(II)中のR10、R11及びR12と同様である。
アクリル酸エステル類:
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、クロルエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート、アクリル酸2−カルボキシエチル等、
メタクリル酸エステル類:
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、クロルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、エチレングリコールモノアセトアセタートモノメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルサクシネート、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、メタクリル酸2−カルボキシエチル等、
アクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルアクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルアクリルアミドなど。
メタクリルアミド類:
メタクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜3のもの、例えばメチル基、エチル基、プロピル基)、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としては炭素数1〜6のもの)、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド、N−2−アセトアミドエチル−N−アセチルメタクリルアミドなど。
アリル化合物:
アリルエステル類(例えば酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリルなど)、アリルオキシエタノールなど
アルキルビニルエーテル(例えばヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテルなど
ビニルエステル類:
ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレート、ビニルカプロエート、ビニルクロルアセテート、ビニルジクロルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β―フェニルブチレート、ビニルシクロヘキシルカルボキシレートなど。
イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなど。
フマール酸のジアルキルエステル類又はモノアルキルエステル類:ジブチルフマレートなど。
共重合体(a)の数平均分子量(Mn)は、500〜160000が好ましく、600〜120000がより好ましく、600〜100000が更に好ましく、1000〜80000が特に好ましく、2000〜60000が極めて好ましい。
共重合体(a)の分散度(Mw/Mn)は、1.00〜18.00が好ましく、1.00〜16.00がより好ましく、1.00〜14.00が更に好ましく、1.00〜12.00が特に好ましく、1.00〜10.00が極めて好ましい。
なお、重量平均分子量および数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により下記の条件で測定された値である。
[溶離液] N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
[装置名] EcoSEC HLC−8320GPC(東ソー株式会社製)
[カラム] TSKgel SuperAWM−H(東ソー株式会社製)
[カラム温度] 40℃
[流速] 0.50ml/min
偏光子に対する光学フィルムの接着性改良成分として、上記共重合体(a)とは異なる接着性改良樹脂を含んでいてもよい。接着性改良樹脂は熱架橋性基を有することが好ましく、また接着性改良樹脂はスチレン系モノマーに由来する繰り返し単位を含むものからなることが好ましい。熱架橋性基については、前述の共重合体(a)において説明したものと同様である。スチレン系樹脂が熱架橋性基を有していて、かつ、共重合体(a)が熱架橋性基を有していると、共重合体(a)を機能性膜の表面に固定化することができ、より高い接着性を発現することが可能となる。この場合、加熱により熱架橋性基を反応させることで共重合体(a)を機能性膜の表面に固定化することができるため、分子内に反応性基を有する化合物(モノマー)を含有させ、かつこのモノマーを紫外線等の電離放射線照射によって硬化させることにより共重合体(a)を機能性膜の表面に固定化するプロセスが不要となるので好ましい。
接着性改良樹脂は、公知のアニオン、塊状、懸濁、乳化または溶液重合方法により得ることができる。また、接着性改良樹脂においては、共役ジエンやスチレン系単量体のベンゼン環の不飽和二重結合が水素添加されていてもよい。水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)によって測定できる。
接着性改良樹脂としては市販品を用いることもでき、例えば、エポクロス RPS−1005:スチレン−オキサゾリン共重合体(日本触媒製)などが挙げられる。
本発明の光学フィルムは、単膜であっても、2層以上の積層構造を有していてもよい。
本発明において好ましい光学フィルムの膜厚は、3〜20μmであり、3〜15μmがより好ましく、4〜10μmがさらに好ましく、4〜7μmが特に好ましく、4〜6μmが最も好ましい。膜厚を4μm以上とすることで高温高湿下での偏光子伸長に対し十分に光学フィルムが伸長することで偏光板の破壊を抑制することが可能となり、10μm以下とすることで偏光板を薄層化できる点で好ましい。また、液晶表示装置に実装した場合に環境変化に伴う液晶表示装置の光ムラを低減する効果や、温湿度変化に伴う液晶パネルの反りを小さくするような効果も期待できるため、好ましい。
本発明の光学フィルムは、公知の溶液製膜法、溶融押出し法を用いて作製することができる。また、基材上に光学フィルムを積層する場合は、基材と同時に作製してもよい(共流延や共押出し)。また別途準備した仮支持体上に公知の方法で光学フィルム形成用塗布液による塗布層を形成する方法で準備することができ、適宜基材にポリマー溶液または塗布層が積層された状態で、適宜仮支持体ごと延伸することもできる。特にコーティング法を用いることが好ましい。
本発明の転写フィルムに用いられる仮支持体を形成する材料としては、機械的強度、表面粗さ、熱安定性等の観点に加え、光学フィルムとの接着性(接着力)で選定することができる。
とりわけ、ポリエステル系ポリマー、オレフィン系ポリマーが基材フィルムの材料として好ましく、ポリエステル系ポリマーがより好ましく、ポリエステル系ポリマーの中でも特にポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
仮支持体の光学フィルムを形成する側の表面エネルギーは、41.0〜48.0mN/mであることが好ましく、42.0〜48.0mN/mであることが、より好ましい。表面エネルギーが41.0mN/m以上であると、光学フィルムの厚みの均一性を高められるため好ましく、48.0mN/m以下であると、光学フィルムを仮支持体との剥離力を適切な範囲に制御しやすいため、好ましい。
本発明において、仮支持体の光学フィルムを形成する側の表面は、算術平均粗さ(Ra)が、40nm以下であることが好ましく、0.1〜38nmであることがより好ましく、1〜36nmであることが更に好ましい。
本発明における算術平均粗さ(Ra)は、日本工業規格(JIS) B0601:2013に基づくものである。
Raを40nm以下とすることで、光学フィルム側の凹部深さが小さくなり、高温高湿下における偏光子の伸長による偏光板の破壊を抑制することができる。また、光学フィルムの表示特性に関連するヘイズ、光線透過率、分光特性、等の視野内のムラを抑制する観点からも好ましい。また、Raを0.1nm以上にすることで、ロール形態でのブロッキングを防ぐことができる。本発明のRaは、例えば、非接触表面・層断面形状計測システムVertScan 2.0((株)菱化システム製)を用い、縦465.48μm、横620.64μm四方を測定することで得ることができる。また、別の指標として仮支持体の光学フィルム側の表面凸部の高さが0.1〜10.0μmであることが好ましい。仮支持体の表面凸部の高さは、例えば、仮支持体の断面像を光学顕微鏡で観察し、平たん部から突き出している凸部の高さを観察することで、測定することができる。表面凸部を10.0μm以下とすることで、光学フィルム側の凹部深さが小さくなり、高温高湿下における偏光子の伸長による破壊を抑制することができる。
光学フィルムを、コーティング法で形成させるために用いられる仮支持体は、膜厚が5〜100μmであることが好ましく、10〜75μmがより好ましく、15〜55μmが更に好ましい。膜厚が5μm以上であると、十分な機械強度を確保しやすく、カール、シワ、座屈等の故障が生じにくいため、好ましい。また、膜厚が100μm以下であると、本発明の光学フィルムと仮支持体との転写フィルムを、例えば長尺のロール形態で保管する場合に、転写フィルムにかかる面圧を適正な範囲に調整しやすく、接着の故障が生じにくいため、好ましい。適宜、両端に厚み出し加工を付与することもできる。
本発明の転写フィルムに用いられる仮支持体には、両端に厚み出し加工を付与する。厚み出し加工(ナーリングと呼ぶこともある)は、仮支持体の片側または両側からエンボス加工等で基材に凹凸を付与することを意味し、公知の方法を用いることができる。付与される厚み出し加工の高さは、光学フィルムの厚みに応じて適宜調整することができるが、例えば、0.2〜5.5μmであり、0.5〜5.0μmが好ましく、1.0〜4.5μmがより好ましく、1.5〜4.0μmがさらに好ましい。厚み出し加工の高さは、仮支持体単独または光学フィルムを積層した後、最も加圧された部分の厚み出し加工部を切り出し、凹凸高さを厚み計で測定して求める。
厚み出し加工の位置は、基材の両端から基材に対し0〜10%の位置が好ましく、0.1〜7%がより好ましく、0.3〜5%がさらに好ましい。また、厚み出し加工の幅は、3〜40mmが好ましく、5〜30mmがより好ましく、10〜25mmがさらに好ましい。
光学フィルムが塗工された転写フィルムは、少なくとも仮支持体と光学フィルムから構成され、一体化したものとして転写フィルムと呼称する。
転写フィルムは、光学フィルムと他の層、膜、フィルムまたは他の物品とを接着することができ、特に接着剤層を介して光学フィルムと偏光子を接着することができ、得られた偏光板としては仮支持体を光学フィルムから剥離することもでき、あるいは剥離せず偏光板の一部としてそのまま用いることもできるが、偏光板の薄型化の観点からは、光学フィルムから仮支持体を剥離して使用することが好ましい。
本発明の偏光板に用いられる光学フィルムを、コーティング法で形成させる場合、光学フィルムと仮支持体との間の剥離力は、上記光学フィルムの材料、仮支持体の材料、光学フィルムの内部歪み等を調整して制御することができる。この剥離力は、例えば、仮支持体を光学フィルムの表面に対して90°方向に剥がす試験で測定することができ、300mm/分の速度で測定したときの剥離力が、0.001〜5N/25mmが好ましく、0.01〜3N/25mmがより好ましく、0.05〜1N/25mmがさらに好ましい。0.001N/25mm以上であれば、仮支持体の剥離工程以外での剥離を防ぐことができ、5N/25mm以下であれば、剥離工程における剥離不良(例えば、ジッピングや、光学フィルムの割れ)を防ぐことができる。
本発明における偏光板は、少なくとも、偏光子、および、本発明の光学フィルムを含む。また、上記偏光板は、偏光子と本発明の光学フィルムが接着剤層を介して貼り合わされていてもよい。
偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明には、いずれの偏光子を用いてもよい。例えば偏光子はポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましい。ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成される偏光子については例えば特開2009−237376号公報の記載を参照することができる。偏光子の膜厚は、通常、1〜50μmであればよく、2〜30μmが好ましく、3〜20μmがより好ましい。
偏光子に本発明の光学フィルムが貼合された面の反対面には、さらに本発明の光学フィルムを貼合してもよいし、従来知られている偏光板保護フィルムを貼合してもよい。
従来知られている偏光板保護フィルムについては、光学特性及び材料のいずれについても特に制限はないが、セルロースエステル樹脂、アクリル樹脂、および/または環状オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂を含む(あるいは主成分とする)フィルムを好ましく用いることができ、光学的に等方性のフィルムを用いても、光学的に異方性の位相差フィルムを用いてもよい。
従来知られている偏光板保護フィルムについて、セルロースエステル樹脂を含むものとしては、例えばフジタックTD40UC(富士フイルム(株)製)などを利用することができる。
従来知られている偏光板保護フィルムについて、アクリル樹脂を含むものとしては、特許第4570042号公報に記載のスチレン系樹脂を含有する(メタ)アクリル樹脂を含む偏光板保護フィルム、特許第5041532号公報に記載のグルタルイミド環構造を主鎖に有する(メタ)アクリル樹脂を含む偏光板保護フィルム、特開2009−122664号公報に記載のラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を含む偏光板保護フィルム、特開2009−139754号公報に記載のグルタル酸無水物単位を有する(メタ)アクリル系樹脂を含む偏光板保護フィルムを利用することができる。
従来知られている偏光板保護フィルムについて、環状オレフィン樹脂を含むものとしては、特開2009−237376号公報の段落[0029]以降に記載の環状オレフィン系樹脂フィルム、特許第4881827号公報、特開2008−063536号公報に記載のRthを低減する添加剤を含有する環状オレフィン樹脂フィルムを利用することができる。
従来知られている偏光板保護フィルムについて、ポリエステル樹脂を含むものとしては、ポリエチレンテレフタレートからなるコスモシャインSRF(東洋紡(株))、等を上げることができる。
光学フィルムは、偏光板の保護フィルムとして用いられる。偏光板は、公知の方法で作製することができ、偏光子の搬送方向と、上記転写フィルムの搬送方向とが平行となるように貼り合わせて作製されることが好ましい。
接着剤層は接着剤から形成されたものであればよい。接着剤としては、水酸基を有する樹脂を含む接着剤が好ましく、ポリビニルアルコール系接着剤のほか、エポキシ系の活性エネルギー線硬化型接着剤、例えば特開2004−245925号公報に示されるような、分子内に芳香環を含まないエポキシ化合物を含有し、加熱又は活性エネルギー線の照射により硬化する接着剤、特開2008−174667号公報記載の(メタ)アクリル系化合物の合計量100質量部中に(a1)分子中に(メタ)アクリロイル基を2以上有する(メタ)アクリル系化合物と、(b1)分子中に水酸基を有し、重合性二重結合をただ1個有する(メタ)アクリル系化合物と、(c1)フェノールエチレンオキサイド変性アクリレートまたはノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレートとを含有する活性エネルギー線硬化型接着剤などが挙げられる。これらの中で、ポリビニルアルコール系接着剤が最も好ましい。
なお、ポリビニルアルコール系接着剤は変性または未変性ポリビニルアルコールを含む接着剤である。ポリビニルアルコール系接着剤は、変性または未変性ポリビニルアルコールのほか、架橋剤を含有していてもよい。接着剤の具体例としては、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアセタール(例、ポリビニルブチラール)の水溶液や、ビニル系ポリマー(例、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリブチルアクリレート)のラテックスが挙げられる。特に好ましい接着剤は、ポリビニルアルコールの水溶液である。このとき、ポリビニルアルコールは完全鹸化されたものが好ましい。
また、エポキシ系の活性エネルギー線硬化型接着剤は、活性エネルギー線の照射によりエポキシ基が開環し、水酸基を生じるので共重合体(a)と架橋することができる。そのため、本発明においてはエポキシ系の活性エネルギー線硬化型接着剤も水酸基含有接着剤として含み、適宜用いることができる。
前述の本発明の光学フィルムが有する熱架橋性基の重合のための熱処理は、転写フィルムにおける光学フィルムの空気界面側表面に偏光子を貼り合わせる工程で、行うことができる。また偏光子を貼り合わせたのち、さらに熱架橋工程として熱処理時間を与えることで、光学フィルム―偏光子間の接着を向上することができる。
加温に要する時間は、使用する熱架橋性部位基の種類、及び量により異なるが、好ましくは5秒〜1時間であり、より好ましくは10秒〜30分であり、更に好ましくは15秒〜5分である。反応をより進行させやすくする観点で15秒以上が好ましく、生産性を高くする観点で5分以下が好ましい。
本発明の偏光板の製造方法は、
仮支持体上に塗布層を形成し、乾燥することにより、上記仮支持体上に光学フィルムを形成した転写フィルムを作成する工程、
上記転写フィルムにおける上記光学フィルムの空気界面側表面に偏光子を貼り合わせる工程、
上記転写フィルムから上記仮支持体を剥離する工程を有する偏光板の製造方法であって、
上記光学フィルムが、ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体を上記光学フィルムの全固形分に対して25〜45質量%含み、
上記光学フィルムが、ポリエステル系添加剤を上記光学フィルムの全固形分に対して0.1〜10質量%含み、
上記光学フィルムの厚さが、4〜10μmであり、
上記光学フィルムの破断伸度が、厚さ30μm、幅10mmの試料において、25℃の環境下で2.5%以上であり、
上記仮支持体の上記光学フィルムを形成する側の表面の算術平均粗さが、40nm以下である、偏光板の製造方法である。
また、光学フィルム形成用の塗布液について、ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体、ポリエステル系添加剤、その他の成分などの塗布液に含まれる成分又は含んでもよい成分は前述したものと同様である。また、塗布液の塗布方法も前述したものと同様である。
光学フィルムの厚さ、破断伸度なども前述したものと同様である。
また、転写フィルムにおける光学フィルム側表面に偏光子を貼り合わせる工程は、公知の方法で行うことができるが、好ましくは前述したものと同様である。なお、上記光学フィルム側表面は、通常は光学フィルムの空気界面側表面である。
上記転写フィルムから上記仮支持体を剥離する工程は、特に限定されず公知の方法で行うことができる。
本発明は、上記本発明の偏光板を含む表示装置にも関する。表示装置について特に制限はなく、液晶セルを含む液晶表示装置であっても、有機EL層を含む有機EL画像表示装置であっても、またプラズマ画像表示装置であってもよい。上記本発明の偏光板は、例えば、表示面側に配置することができる。表示装置の構成については、公知の表示装置のいずれの構成も採用することができる。
本発明の液晶表示装置は、さらにバックライトを有し、上記偏光板が上記バックライト側、あるいは視認側に配置されたことが好ましい。バックライトとしては特に制限は無く、公知のバックライトを用いることができる。本発明の液晶表示装置は、バックライト、バックライト側偏光板、液晶セル、視認側偏光板の順で積層されたことが好ましい。
その他の構成については、公知の液晶表示装置のいずれの構成も採用することができる。液晶セルの方式(モード)についても特に制限はなく、TN(Twisted Nematic)方式の液晶セル、横電界スイッチングIPS(In−Plane Switching)方式の液晶セル、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)方式の液晶セル、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)方式の液晶セル、OCB(Optically Compensatory Bend)方式の液晶セル、STN(Supper Twisted Nematic)方式の液晶セル、VA(Vertically Aligned)方式の液晶セルおよびHAN(Hybrid Aligned Nematic)方式の液晶セル等の様々な表示方式の液晶表示装置として構成することができる。その中でも、本発明の液晶表示装置は、上記液晶セルはIPS方式であることが好ましい。
その他の構成については、公知の液晶表示装置のいずれの構成も採用することができる。
(含フッ素共重合体(A−19)の合成例)
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた500ミリリットル三口フラスコに、シクロヘキサノン23.3gを仕込んで、78℃まで昇温した。次いで、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレート59.10g(141.3ミリモル)、4−(4−アクリロイルオキシブトキシ)ベンゾイルオキシフェニルボロン酸11.00g(28.6ミリモル)、アクリル酸28.53g(299.1ミリモル)、1,3−プロパンジオール2.39g(31.5ミリモル)、シクロヘキサノン157.7g、イソプロパノール52.5g及び「V−601」(和光純薬(株)製)5.73gからなる混合溶液を、180分で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、さらに1時間攪拌を続けた後、V−601を1.00g添加し、90℃まで昇温し、更に3時間攪拌を続け、含フッ素共重合体(A−19)のシクロヘキサノン溶液330.0gを得た。この共重合体の重量平均分子量(Mw)は5,700(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(EcoSEC HLC−8320GPC(東ソー株式会社製))により溶離液NMP、流速0.50ml/min、温度40℃の測定条件にてポリスチレン換算で算出、使用カラムはTSKgel SuperAWM−H×3本(東ソー株式会社製))であった。また、得られた重合体の1H−NMRスペクトルにて構造を同定し、組成比を決定した。
1H−NMR(CDCl3) δ:3.8〜4.5(2H、4H、2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートに由来する繰り返し単位中のメチレン基由来、化合物II−12に由来する繰り返し単位のメチレン基由来、化合物II−12に由来する繰り返し単位のホウ素に隣接するメチレン基由来)、6.8〜7.3ならびに7.6〜8.2(8H、化合物II−12に由来する繰り返し単位の芳香環由来)。
2−(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートに由来する繰り返し単位25重量部、4−(4−アクリロイルオキシブトキシ)ベンゾイルオキシフェニルボロン酸1,3―ジプロパノールエステルに由来する繰り返し単位5重量部、アクリル酸に由来する繰り返し単位70重量部。
<光学フィルム形成用の塗布液の調製>
表1〜2に示す組成で、光学フィルム形成用の塗布液1〜19を調製した。表1〜2において、「%」とは、「質量%」を表し、溶媒における数値は、塗布液全量に含まれる全溶媒中の各溶媒の含有率を表し、その他の成分における数値は、塗布液中の溶媒を除く成分(全固形分)中の含有率を表す。また、光学フィルム形成用塗布液1〜19の全固形分濃度は、すべて14.3質量%であった。
・アサフレックス810(旭化成(株)製)
・クリアレン220M(デンカ(株)製)
・TR2250((JSR(株)製)
・バイロン550(東洋紡(株)製)
・バイロンGK680(東洋紡(株)製)
・F−552:市販フッ素系表面改質剤(DIC(株)社製、製品名:メガファックF−552)
・SGP−10:ポリスチレン(PSジャパン製)
・エポクロス RPS−1005:スチレン−オキサゾリン共重合体(日本触媒製)
・酢酸エチル
・トルエン
市販のポリエチレンテレフタレートフィルム、エンブレットS38(膜厚38μm、ユニチカ(株)製)を基材として用い、塗布液1〜19を使用し、それぞれ光学フィルムA1〜A19を、膜厚が30μmとなるように作製した。具体的には、特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、基材上に、搬送速度60m/分の条件で各塗布液を塗布し、100℃で60秒乾燥させた。その後、巻き取った。このようにして、光学フィルムA1〜A19を作製した。なお、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの光学フィルムを形成する側の表面のRaは34nmであった。
光学フィルムの膜厚は、接触式膜厚計 KG30001(アンリツ(株)製)を用いて作製した積層体(転写フィルム)の膜厚を測定し、そこから同様に測定した基材厚みを引いて算出した。光学フィルムA1〜A19の膜厚はすべて30.0μmであった。
上記で作製した光学フィルムA1〜A19について、破断伸度測定を、下記に従い行った。即ち、引っ張り試験機テンシロンRTC−1210A((株)オリエンテック)を用い、乾燥状態(25℃、相対湿度60%)で、試料を幅10mm、長さ120mmに切り出し、光学フィルムをポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離し、準備する。この試料を、引っ張り速度300mm/分、ロードセル50Nの設定で、破断伸度を測定する。各試料について5回測定し、最大値と最小値を除いた3回の結果を平均し、破断伸度とする。
市販のポリエチレンテレフタレートフィルム、ルミラー(R)S105(膜厚38μm、東レ株式会社製)を基材(仮支持体)として用い、塗布液1〜19を使用し、それぞれ光学フィルム1〜19を、膜厚が5.0μmとなるように作製した。具体的には、特開2006−122889号公報実施例1記載のスロットダイを用いたダイコート法で、基材上に、搬送速度60m/分の条件で各塗布液を塗布し、100℃で60秒乾燥させた。その後、巻き取った。このようにして、ポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体付きの光学フィルム1〜19を作製した。なお、上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの光学フィルムを形成する側の表面のRaは34nmであった。
上記で作製した光学フィルム1〜19について、以下の方法で剥離面を評価した。即ち、縦50mmx横50mmx厚さ0.7mmのガラス基板にアクリル系粘着剤(厚さ20μm)を貼り付ける。次いで、上記光学フィルム(厚さ5.0μm、ポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体付き)を、光学フィルムが粘着剤と隣り合うように貼り付ける。この仮支持体を剥離した後、光学フィルムに対し、垂直位置を90°として、45〜30°の角度で、照明を入れながら観察する。剥離面が白っぽくなっている場合(剥離跡が「あり」の場合)、品質に問題があると判断する。
上記塗布液1〜4、7、9、12〜19を用いて、上記光学フィルムの塗設2と同様にして、ポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体付きの光学フィルム1〜4、7、9、12〜19を作製した。
〔ポリメチルメタクリレートフィルムの作製〕
特開2015−227458号公報の実施例1に従い、厚さ40μmのポリメチルメタクリレートフィルムを作製した。
上記で作製したポリメチルメタクリレートフィルムについて、下記条件でコロナ放電処理を行った。
電極:VETAPONE社製 Coron−Plus
ジェネレーター:CP1C
出力:900W
フィルム搬送速度:6m/分
上記処理を行ったポリメチルメタクリレートフィルムについて、幅1340mm、長さ100mのロール形態のフィルムを得た。
特開2017−201417号公報の偏光子保護フィルム1の作製方法に従い、厚さ80μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを作製した。
上記で作製したポリエチレンテレフタレートフィルムについて、下記条件でコロナ放電処理を行った。
電極:VETAPONE社製 Coron−Plus
ジェネレーター:CP1C
出力:900W
フィルム搬送速度:6m/分
上記処理を行ったポリエチレンテレフタレートフィルムについて、幅1340mm、長さ100mのロール形態のフィルムを得た。
(フィルムの表面処理)
セルロースアセテートフィルム(富士フイルム(株)製、フジタックTD40UC)を37℃に調温した1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(けん化液)に1分間浸漬した後、フィルムを水洗し、その後、0.05mol/Lの硫酸水溶液に30秒浸漬した後、更に水洗浴を通した。そして、エアナイフによる水切りを3回繰り返し、水を落とした後に70℃の乾燥ゾーンに15秒間滞留させて乾燥し、鹸化処理したセルロースアセテートフィルムを作製した。
特開2001−141926号公報の実施例1に従い、2対のニップロール間に周速差を与え、長手方向に延伸し、厚さ18μmの偏光子を作製した。
このようにして得た偏光子と、仮支持体付きの光学フィルム1〜4、7、9、12〜19と、上記鹸化処理したセルロースアセテートフィルムを用い、下記接着剤1を用いて、偏光子の吸収軸と各フィルムの長手方向とが平行になるようにロールツーロールで積層した。ここで、偏光子の一方の面は、仮支持体付きの光学フィルム1〜4、7、9、12〜19のいずれか1つの塗布面(光学フィルム側表面)が偏光子側となるようにし、偏光子の他方の面は、上記鹸化処理したセルロースアセテートフィルムと積層した。
ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、PVA−117H)3%水溶液を接着剤として用いた。
接着剤1を用いた場合、積層後70℃20分間の乾燥により硬化させた。
・接着剤2:
以下に示す組成の紫外線硬化型接着剤を作製した。
セロキサイド2021P 25質量部
アロンオキセタンOXT−221 50質量部
リカレジン DME−100 25質量部
光酸発生剤1 5質量部
・アロンオキセタンOXT−221:3−エチル−3−[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシメチル]オキセタン[東亜合成(株)製]
・リカレジン DME−100:1,4−シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル[新日本理化(株)製]
・光酸発生剤1:CPI 100P[サンアプロ(株)製]
接着剤2を用いた場合、30℃の条件で、160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度200mW/cm2、照射量160mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させた。
IPSモードの液晶テレビ(スリム型55型液晶テレビ、バックライトとセルのクリアランスが0.5mm)のフロント側偏光板およびリア側偏光板として、上記作製した偏光板を、上記作製した光学フィルム側が液晶セル側に配置されるように、粘着剤を介して液晶セルに貼合した。得られた液晶テレビを、60℃・相対湿度90%の環境で3日間保持した後に、25℃・相対湿度60%の環境に移し、黒表示状態で点灯して偏光板破壊による光漏れ欠陥を評価した。偏光板破壊による光漏れについて評価した結果を表4に示す。
(正面方向の偏光板の割れによる光漏れ欠陥評価(高温高湿下での偏光板の破壊故障))
装置正面から観察した場合の黒表示時の光漏れ欠陥(言い換えると、偏光板の割れ)を観察し、以下の基準で評価した。
A:光漏れが観察されない。
B:光漏れが観察される。
次に、実施例101〜112は、黒表示状態で点灯して光漏れ欠陥が確認されない満足のいく品質のものであった。比較例106、107は、光漏れ欠陥が確認された。これは高温高湿下での偏光子の伸長により、光学フィルムが破壊された(すなわち偏光板が破壊された)ことが原因と考えられる。
実施例201〜203、および比較例201〜202の光学フィルムを膜厚及び使用する仮支持体を変更した以外は光学フィルム1と同様にして得た。膜厚は、表5に記載の膜厚で作製した。仮支持体はエンブレットS38であり、表面凹凸(Ra(nm))は表中に記載のとおり34nmであった。
上記光学フィルムを用いた以外は、実施例101と同様にして偏光板を作製した。
作製した偏光板を用いて、上記液晶表示装置への実装評価1及び下記液晶表示装置への実装評価2を行った。
IPSモードの液晶テレビ(スリム型55型液晶テレビ、バックライトとセルのクリアランスが0.5mm)のフロント側偏光板およびリア側偏光板として、上記作製した偏光板を、上記作製した光学フィルムが液晶セル側に配置されるように、粘着剤を介して液晶セルに貼合した。得られた液晶テレビを、60℃・相対湿度90%の環境で3日間保持した後に、25℃・相対湿度60%の環境に移し、黒表示状態で点灯させ続け、24時間後に目視観察して、パネル反りに起因する光ムラ(輝度ムラ)を評価した。
(正面方向の輝度ムラレベル)
装置正面から観察した場合の黒表示時の光ムラ(言い換えると、輝度ムラ)を観察し、以下の基準で評価した。
A:照度100lxの環境下でムラが全く視認されない
B:照度100lxの環境下でムラがほとんど視認されない
C:照度100lxの環境下で淡いムラが視認される
D:照度100lxの環境下で明確なムラが視認される
E:照度300lxの環境下で明確なムラが視認される
実用上問題が無いのはA、Bの基準である。Aの基準であることが好ましい。
実施例101において、仮支持体をテオネックスQ51(Ra9nm、膜厚38μm、帝人デュポンフィルム(株)製)とするほかは、同様の作業を行い、光学フィルム20(膜厚5.0μm)を得た。
実施例101において、仮支持体をOPU−1(Ra76nm、膜厚38μm、三井化学東セロ(株))とするほかは、同様の作業を行い、光学フィルム21(膜厚5.0μm)を得た。
上記光学フィルムを用いた以外は実施例101と同様にして、実施例204及び比較例203の偏光板を作製し、液晶表示装置への実装評価1及び液晶表示装置への実装評価2を行った。結果を以下に示す。
<偏光板の作製>
実施例101において、偏光板保護フィルムを、セルロースアセテートフィルムに代えて上述のポリメチルメタクリレートフィルムとするほかは同様の作業を行い、偏光板301を得た。
実施例101において、偏光板保護フィルムを、セルロースアセテートフィルムに代えて上述のポリエチレンテレフタレートフィルムとするほかは同様の作業を行い、偏光板302を得た。
実施例101において、接着剤を、接着剤1に代えて接着剤2にし、紫外線を照射して硬化するほかは同様の作業を行い、偏光板303を得た。
実施例101において、偏光板保護フィルムを、セルロースアセテートフィルムに代えて上述のポリメチルメタクリレートフィルムとし、接着剤を、接着剤1に代えて接着剤2にし、紫外線を照射して硬化するほかは同様の作業を行い、偏光板304を得た。
実施例101において、偏光板保護フィルムを、セルロースアセテートフィルムに代えて上述のポリエチレンテレフタレートフィルムとし、接着剤を、接着剤1に代えて接着剤2にし、紫外線を照射して硬化するほかは同様の作業を行い、偏光板305を得た。
上記偏光板を用いて、実施例205〜209の液晶表示装置への実装評価1及び2を行った。結果を以下に示す。
本出願は、2017年11月15日出願の日本特許出願(特願2017−220289)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
Claims (5)
- 仮支持体上に塗布層を形成し、乾燥することにより、前記仮支持体上に光学フィルムを形成した転写フィルムを作成する工程、
前記転写フィルムにおける前記光学フィルムの空気界面側表面に偏光子を貼り合わせる工程、
前記転写フィルムから前記仮支持体を剥離する工程を有する偏光板の製造方法であって、
前記光学フィルムが、ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体を前記光学フィルムの全固形分に対して25〜45質量%含み、
前記光学フィルムが、ポリエステル系添加剤を前記光学フィルムの全固形分に対して0.1〜10質量%含み、
前記光学フィルムの厚さが、4〜10μmであり、
前記光学フィルムの破断伸度が、厚さ30μm、幅10mmの試料において、25℃の環境下で2.5%以上であり、
前記仮支持体の前記光学フィルムを形成する側の表面の算術平均粗さが、40nm以下である、偏光板の製造方法。 - 前記光学フィルムが、スチレン系樹脂を含む請求項1に記載の偏光板の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法により製造された偏光板の前記光学フィルム側を液晶セル側に貼り合わせる工程を有する、液晶表示装置の製造方法。
- ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエステル系添加剤とを含む光学フィルムであって、
前記ブタジエンに由来する構成単位を含む共重合体の含有量が、前記光学フィルムの全固形分に対して25〜45質量%であり、
前記ポリエステル系添加剤の含有量が、前記光学フィルムの全固形分に対して0.1〜10質量%であり、
前記光学フィルムの厚さが、4〜10μmであり、
前記光学フィルムの破断伸度が、厚さ30μm、幅10mmの試料において、25℃の環境下で2.5%以上である、光学フィルム。 - スチレン系樹脂を含む、請求項4に記載の光学フィルム。
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