JP6717602B2 - タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤに関する。
トレッドにサイプを配置して、ウェット路面上でのブレーキ性能を向上させる技術が開示されている(特許文献1参照)。
特開2014−205459号公報
タイヤは、ウェット路面の走行時に溝やサイプにより排水を行うため、溝やサイプを増やすと、ブレーキ性能等のウェット性能が向上する。一方、溝やサイプを増やすと、トレッドの剛性が低下し、ドライ路面での制動性能に影響する。
また、走行時のタイヤ騒音は、タイヤ回転時に溝やサイプの角が路面と接触することによって発生するため、溝やサイプを増やすとタイヤ騒音が増大する。
しかしながら、上記した従来例では、走行ノイズが特に考慮されていない。
本発明は、タイヤにおいて、ウェット性能の向上と走行ノイズの低減を図ることを目的とする。
請求項1に係るタイヤは、トレッドに設けられ、タイヤ周方向に延びる3本以上の周方向主溝と、前記トレッドに設けられ、前記周方向主溝によりそれぞれ区画された第1陸部及び第2陸部と、前記第1陸部に複数設けられ、前記第1陸部を区画する前記周方向主溝に両端が連通し、タイヤ周方向に凸となる第1屈曲部を有する第1サイプと、前記第2陸部に複数設けられ、前記第2陸部を区画する前記周方向主溝に両端が連通し、タイヤ周方向における前記第1サイプの領域外にタイヤ周方向に凸となる第2屈曲部を有する第2サイプと、を有し、前記第1陸部のうち前記第1サイプに面した部分の少なくとも一部と、前記第2陸部のうち前記第2サイプに面した部分の少なくとも一部は、それぞれ面取りされ、前記第1陸部のうち前記第1サイプに面した部分の面取り量は、タイヤ赤道面側がタイヤ赤道面側と反対側よりも大きく、前記第2陸部のうち前記第2サイプに面した部分の面取り量は、タイヤ赤道面側がタイヤ赤道面側と反対側よりも大きい
このタイヤでは、第1陸部に設けられた第1サイプが第1屈曲部を有し、第2陸部に設けられた第2サイプが第2屈曲部を有しているので、屈曲部を有しないサイプよりもサイプ容積が大きくなり、ウェット路面上において、第1サイプ及び第2サイプの吸水量が多くなる。第1サイプの両端は、第1陸部を区画する周方向主溝に連通しているので、第1サイプから各周方向主溝への排水が促進される。また、第2サイプの両端は、第2陸部を区画する周方向主溝に連通しているので、第2サイプから各周方向主溝への排水も促進される。
第2サイプは、タイヤ周方向における第1サイプの領域外に設けられているので、タイヤ回転に伴う第1サイプ及び第2サイプと路面との接地タイミングがずれるため、走行時のタイヤ騒音が小さくなり、走行ノイズが低減する。
このタイヤでは、第1陸部のうち第1サイプに面した部分の少なくとも一部と、第2陸部のうち第2サイプに面した部分の少なくとも一部とが、それぞれ面取りされているので、急制動などの大きな力が加わった際に、陸部のめくれ変形による接地面積の減少を抑制することができる。このため、特にドライ路面での制動性能(ドライ制動性能)を確保することができる。
また、このタイヤでは、第1陸部及び第2陸部の何れにおいても、タイヤ赤道面側の面取り量がタイヤ赤道面側と反対側の面取り量よりも大きいので、タイヤ周方向の接地長が長くなるタイヤ赤道面側の領域(センター領域)での接地性がよくなる。これにより、良好なドライ制動性能を得ることができる。
請求項2の発明は、請求項1に記載のタイヤにおいて、前記第1屈曲部と前記第2屈曲部とは、タイヤ周方向において互いに異なる方向に屈曲している。
このタイヤでは、第1屈曲部と第2屈曲部とが、タイヤ周方向において互いに異なる方向に屈曲しているので、車両にタイヤを装着する際、回転方向によらず良好なウェット性能を得ることができる。また、タイヤが摩耗した際に、左右の装着輪間での装着位置の交換(タイヤローテーション)を行い、タイヤ回転方向が逆になっても、ウェット性能の変化が抑制される。
請求項の発明は、トレッドに設けられ、タイヤ周方向に延びる3本以上の周方向主溝と、前記トレッドに設けられ、前記周方向主溝によりそれぞれ区画された第1陸部及び第2陸部と、前記第1陸部に複数設けられ、前記第1陸部を区画する前記周方向主溝に両端が連通し、タイヤ周方向に凸となる第1屈曲部を有する第1サイプと、前記第2陸部に複数設けられ、前記第2陸部を区画する前記周方向主溝に両端が連通し、タイヤ周方向における前記第1サイプの領域外にタイヤ周方向に凸となる第2屈曲部を有する第2サイプと、を有し、前記第1陸部と前記第2陸部との間に、前記周方向主溝により区画された第3陸部が設けられ、前記第3陸部に、前記第3陸部を区画する前記周方向主溝に両端が連通した第3サイプが設けられ、前記第3陸部のうち前記第3サイプに面した部分の少なくとも一部は面取りされており、その面取り量は、前記第3陸部の幅方向外側から幅方向中央側に向かって小さくなる。
このタイヤでは、第1陸部と第2陸部の間に位置する第3陸部に第3サイプが設けられ、該第3サイプは、第3陸部を区画する周方向主溝に両端が連通している。したがって、ウェット路面において、第3サイプで吸水した水を、第3陸部を区画する周方向主溝へ排水することができる。
この第3陸部のうち第3サイプに面した部分の少なくとも一部は面取りされており、その面取り量は、第3陸部の幅方向外側から幅方向中央側に向かって小さくなっている。したがって、ドライ路面において、陸部のめくれ変形を抑制しながら接地面積を確保し、良好なドライ制動性能を得ることができる。
請求項の発明は、請求項1〜請求項の何れか1項に記載のタイヤにおいて、タイヤ周方向に隣り合う2つの前記第1サイプ間には、前記第1陸部の幅方向に延び、一端が前記第1陸部内で終端する第1横溝が設けられ、タイヤ周方向に隣り合う2つの前記第2サイプ間には、前記第2陸部の幅方向に延び、一端が前記第2陸部内で終端する第2横溝が設けられている。
このタイヤでは、第1陸部において、タイヤ周方向に隣り合う2つの第1サイプ間に第1横溝を設けることで、該第1サイプで区画されたブロックのタイヤ周方向中央部のタイヤ径方向剛性を低減し、該ブロック内のタイヤ径方向の圧縮剛性を適度に均一化することができる。同様に、第2陸部において、タイヤ周方向に隣り合う2つの第2サイプ間に第2横溝を設けることで、第2陸部のうち2つの第2サイプで区画されたブロックのタイヤ周方向中央部のタイヤ径方向の圧縮剛性を適度に低減し、該ブロック内のタイヤ径方向剛性を均一化することができる。これにより、走行時のタイヤ騒音が小さくなり、走行ノイズが低減する。また、第1横溝及び第2横溝により、排水性が向上する。
本発明に係るタイヤによれば、タイヤにおいて、ウェット性能の向上と走行ノイズの低減を図ることができる、という優れた効果が得られる。
第1実施形態に係るタイヤのトレッドパターンを示す平面図である。 図1におけるA部拡大図である。 図1におけるB部拡大図である。 第2実施形態に係るタイヤのトレッドパターンを示す平面図である。 第2実施形態において、第3サイプの部分を示す拡大平面図である。
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。
各部の寸法測定方法は、JATMA(日本自動車タイヤ協会)が発行する2012年度版YEAR BOOKに記載の方法による。図面において、矢印C方向はタイヤ周方向を示し、矢印W方向はタイヤ幅方向を示す。タイヤ径方向とは、タイヤ軸(図示せず)と直交する方向を意味する。タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸と平行な方向を意味する。タイヤ幅方向をタイヤ軸方向と言い換えることもできる。
[第1実施形態]
図1において、本実施形態に係るタイヤ10は、例えば空気入りタイヤであり、周方向主溝11,12,13と、第1陸部21と、第2陸部22と、第1サイプ31と、第2サイプ32とを有している。
例えば3本の周方向主溝11,12,13は、トレッド16に設けられ、タイヤ周方向に延びている。周方向主溝12は、タイヤ赤道面CLを含むタイヤ幅方向中央部に設けられている。タイヤ幅方向において、周方向主溝11は周方向主溝12の一方側に設けられ、周方向主溝13は周方向主溝12の他方側に設けられている。
第1陸部21は、トレッド16に設けられ、周方向主溝11,12により区画されている。また、第2陸部22は、トレッド16に設けられ、周方向主溝12,13により区画されて、タイヤ赤道面CLを挟んで第1陸部21と隣り合っている。タイヤ周方向において、第1陸部21は第1サイプ31により区画され、第2陸部22は第2サイプ32により区画されているが、何れもその全体的な形状は、タイヤ周方向に連続したリブ状とされている。周方向主溝11,13のタイヤ幅方向両側には、ショルダー陸部17,18がそれぞれ設けられている。なお、サイプとは、接地時に閉じる切込みである。
図1において、第1サイプ31は、第1陸部21に複数設けられ、第1陸部21を区画する周方向主溝11,12に両端が連通している。この第1サイプ31は、タイヤ周方向に凸となる第1屈曲部31Aを有している。第2サイプ32は、第2陸部22に複数設けられ、第2陸部22を区画する周方向主溝12,13に両端が連通し、タイヤ周方向における第1サイプ31の領域外にタイヤ周方向に凸となる第2屈曲部32Aを有している。ここで、第1サイプ31の領域とは、第1屈曲部31Aから、該第1屈曲部31Aの凸方向と反対側の端部までの範囲であり、図1において符号Cで示されている。
第1屈曲部31Aと第2屈曲部32Aとは、タイヤ周方向において互いに異なる方向に屈曲している。トレッド平面視において、第1サイプ31は例えば略逆V字形とされ、第2サイプ32は例えば略V字形とされている。またトレッド平面視において、第1屈曲部31A及び第2屈曲部32Aは、それぞれ例えば円弧形に形成されている。
図2に示されるように、第1サイプ31において、第1屈曲部31Aの両側には、直線部31B,31Cがそれぞれ連なっている。屈曲部31Aの両側を直線状とすることで、金型のコストを低減できるようになっている。直線部31Bの第1屈曲部31Aと反対側の端部31B1は、周方向主溝11に連通している。また、直線部31Cの第1屈曲部31Aと反対側(タイヤ赤道面CL側)の端部31C1は、周方向主溝12に連通している。
図3に示されるように、第2サイプ32において、第2屈曲部32Aの両側には、直線部32B,32Cがそれぞれ連なっている。直線部32Bの第2屈曲部32Aと反対側の端部32B1は、周方向主溝13に連通している。また、直線部32Cの第2屈曲部32Aと反対側(タイヤ赤道面CL側)の端部32C1は、周方向主溝12に連通している。
第1サイプ31において、端部31B1,31C1のタイヤ周方向位置の差は、例えば距離D1である。具体的には、端部31B1が端部31C1よりも第1屈曲部31Aに近い位置にある。同様に、第2サイプ32において、端部32B1,32C1のタイヤ周方向位置の差は、例えば距離D2である。具体的には、端部32B1が端部32C1よりも第2屈曲部32Aに近い位置にある。距離D1は、例えば第1陸部21の幅の5〜25%である。距離D2は、例えば第2陸部22の幅の5〜25%である。これにより、操縦安定性を確保できるようになっている。
図2に示されるように、第1サイプ31における直線部31B,31Cのタイヤ幅方向に対する角度θは、例えば20〜30°である。また、図3に示されるように、第2サイプ32における直線部32B,32Cの角度θについても同様である。角度θがこの範囲より小さい場合、走行ノイズが悪化する。一方、角度θがこの範囲より大きい場合、面取りが鋭角になる為、陸部剛性が低下し操縦安定性が低下する。
図1において、第1陸部21は、第1サイプ31により、タイヤ周方向に並ぶ複数のブロック21Aに区画されている。第1陸部21のうち、第1サイプ31に面した部分の少なくとも一部は、面取りされている。具体的には、図1,図2に示されるように、例えば第1サイプ31の直線部31C、特にその端部31C1を含む領域に面した部分である、ブロック21Aの鋭角側の角部21Bと、鈍角側の角部21Cとがそれぞれ面取りされている。ここで、鋭角及び鈍角は、タイヤ周方向を基準とする。第1サイプ31における直線部31Cの端部31C1は、第1サイプ31がタイヤ赤道面CLを含む周方向主溝12に連通する部分であり、該第1サイプ31のタイヤ赤道面CL側の部分が面取りされている。鋭角側の角部21Bは、トレッド平面視で、例えば弧状に面取りされている。一方、鈍角側の角部21Cは、トレッド平面視で、例えば略三角形に面取りされている。
第1陸部21のうち第1サイプ31に面した部分の面取り量は、タイヤ赤道面CL側がタイヤ赤道面CL側と反対側よりも大きい。本実施形態では、上記のように、例えばブロック21Aのタイヤ赤道面CL側(周方向主溝12側)における鋭角側の角部21Bと、鈍角側の角部21Cとが、面取りされている。一方、ブロック21Aのタイヤ赤道面CL側と反対側(周方向主溝11側)のうち、第1サイプ31に面した角部は、面取りされていないか、あるいは比較的小さな面取りがなされている。
面取りの大小を、トレッド平面視でのタイヤ周方向の幅で考えると、鈍角側の角部21Cの面取り量は、第1陸部21の幅方向の外側から内側に向かって漸減しており、第1屈曲部31Aに至る前に面取り量が0となっている。なお、面取りの大小については、ブロック21Aの踏面側の角部(エッジ)を除去した体積で考えることもできる。
図1において、第2陸部22は、第2サイプ32により、タイヤ周方向に並ぶ複数のブロック22Aに区画されている。第2陸部22のうち、第2サイプ32に面した部分の少なくとも一部は、面取りされている。具体的には、図1,図3に示されるように、例えば第2サイプ32の直線部32C、特にその端部32C1を含む領域に面した部分である、ブロック22Aの鋭角側の角部22Bと、鈍角側の角部22Cが面取りされている。ここで、鋭角及び鈍角は、タイヤ周方を基準とする。第2サイプ32における直線部32Cの端部32C1は、第2サイプ32がタイヤ赤道面CLを含む周方向主溝12に連通する部分であり、該第2サイプ32のタイヤ赤道面CL側の部分が面取りされている。鋭角側の角部22Bは、トレッド平面視で、例えば弧状に面取りされている。一方、鈍角側の角部22Cは、トレッド平面視で、例えば略三角形に面取りされている。
第2陸部22のうち第2サイプ32に面した部分の面取り量は、タイヤ赤道面CL側がタイヤ赤道面CL側と反対側よりも大きい。本実施形態では、上記のように、例えばブロック22Aのタイヤ赤道面CL側(周方向主溝12側)における鋭角側の角部22Bと、鈍角側の角部22Cとが、面取りされている。一方、ブロック22Aのタイヤ赤道面CL側と反対側(周方向主溝13側)のうち、第2サイプ32に面した角部は、面取りされていないか、あるいは比較的小さな面取りがなされている。
面取りの大小を、トレッド平面視でのタイヤ周方向の幅で考えると、鈍角側の角部22Cの面取り量は、第2陸部22の幅方向の外側から内側に向かって漸減しており、第2屈曲部32Aに至る前に面取り量が0となっている。なお、面取りの大小については、ブロック22Aの角部(エッジ)を除去した体積で考えることもできる。
図1,図2において、タイヤ周方向に隣り合う2つの第1サイプ31間には、第1陸部21の幅方向に延び、一端が第1陸部21内で終端する第1横溝41が設けられている。この第1横溝41は、例えば、タイヤ赤道面CL側とは反対側の周方向主溝11に連通し、第1サイプ31の直線部31Bに沿った方向に延び、第1屈曲部31Aよりも第1陸部21の幅方向外側で終端している。なお、第1横溝41の構成は、これに限られるものではない。
図1,図3において、タイヤ周方向に隣り合う2つの第2サイプ32間には、第2陸部22の幅方向に延び、一端が第2陸部22内で終端する第2横溝42が設けられている。この第2横溝42は、例えば、タイヤ赤道面CL側とは反対側の周方向主溝13に連通し、第2サイプ32の直線部32Bに沿った方向に延び、第2屈曲部32Aよりも第2陸部22の幅方向外側で終端している。なお、第2横溝42の構成は、これに限られるものではない。
図1において、ショルダー陸部17には、タイヤ幅方向に延びる横主溝24と、サイプ28,30とが設けられている。ショルダー陸部18には、タイヤ幅方向に延びる横主溝26と、サイプ28,30とが設けられている。横主溝24は、周方向主溝11に連通し、横主溝26は周方向主溝13に連通している。サイプ28は、タイヤ周方向に断続的に設けられたサイプ30とT字形に交差して終端している。横主溝24,26は、互いに点対称に形成されている。また、ショルダー陸部17,18におけるサイプ28,30も、互いに点対称に形成されている。第1横溝41は横主溝24の延長上に位置し、第2横溝42は横主溝26の延長上に位置している。
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図1において、本実施形態に係るタイヤ10では、第1陸部21に設けられた第1サイプ31が第1屈曲部31Aを有し、第2陸部22に設けられた第2サイプ32が第2屈曲部32Aを有している。したがって、屈曲部を有しないサイプよりもサイプ容積が大きくなり、ウェット路面上において、第1サイプ31及び第2サイプ32の吸水量が多くなる。第1サイプ31の両端は、第1陸部21を区画する周方向主溝11,12に連通しているので、第1サイプ31から周方向主溝11,12への排水が促進される。また、第2サイプ32の両端は、第2陸部22を区画する周方向主溝12,13に連通しているので、第2サイプ32から周方向主溝12,13への排水も促進される。
第2サイプ32は、タイヤ周方向における第1サイプ31の領域外に設けられているので、タイヤ回転に伴う第1サイプ31及び第2サイプ32と路面との接地タイミングがずれるため、走行時のタイヤ騒音が小さくなり、走行ノイズが低減する。
また、第1屈曲部31Aと第2屈曲部32Aとが、タイヤ周方向において互いに異なる方向に屈曲しているので、車両にタイヤ10を装着する際、回転方向によらず良好なウェット性能を得ることができる。また、タイヤが摩耗した際に、左右の装着輪間での装着位置の交換(タイヤローテーション)を行い、タイヤ回転方向が逆になっても、ウェット性能の変化が抑制される。
更に、第1陸部21のうち第1サイプ31に面した部分の少なくとも一部と、第2陸部22のうち第2サイプ32に面した部分の少なくとも一部、具体的には、ブロック21Aの鋭角側の角部21B及び鈍角側の角部21C、並びにブロック22Aの鋭角側の角部22B及び鈍角側の角部22Cとが、それぞれ面取りされているので、急制動などの大きな力が加わった際に、第1陸部21及び第2陸部22のめくれ変形による接地面積の減少を抑制することができる。このため、特にドライ路面での制動性能(ドライ制動性能)を確保することができる。
また、第1陸部21及び第2陸部22の何れにおいても、タイヤ赤道面CL側の面取り量がタイヤ赤道面CL側と反対側の面取り量よりも大きいので、タイヤ周方向の接地長が長くなるタイヤ赤道面CL側の領域(センター領域)での接地性がよくなる。これにより、良好なドライ制動性能を得ることができる。
更に、第1陸部21において、タイヤ周方向に隣り合う2つの第1サイプ31間に第1横溝41を設けることで、該第1サイプ31で区画されたブロック21Aのタイヤ周方向中央部のタイヤ径方向剛性を低減し、該ブロック21A内のタイヤ径方向の圧縮剛性を適度に均一化することができる。同様に、第2陸部22において、タイヤ周方向に隣り合う2つの第2サイプ32間に第2横溝42を設けることで、第2陸部22のうち2つの第2サイプ32で区画されたブロック22Aのタイヤ周方向中央部のタイヤ径方向の圧縮剛性を適度に低減し、該ブロック22A内のタイヤ径方向剛性を均一化することができる。これにより、走行時のタイヤ騒音が小さくなり、走行ノイズが低減する。また、第1横溝41及び第2横溝42により、排水性が向上する。
更に、本実施形態では、第1サイプ31が第1屈曲部31Aを有し、第2サイプ32が第2屈曲部32Aを有しているので、第1サイプ31のタイヤ周方向両側のブロック21A同士が、タイヤ幅方向において互いに支え合うことができる。同様に、第2サイプ32のタイヤ周方向両側のブロック22A同士が、タイヤ幅方向において互いに支え合うことができる。これにより、ブロック剛性と排水性のバランスを取ることができる。
[第2実施形態]
図4において、本実施形態に係るタイヤ20のトレッド16には、4本の周方向主溝11,12,13,14が設けられている。第1実施形態と異なり、周方向主溝12はタイヤ赤道面CLを含んでいない。具体的には、周方向主溝11,12はタイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向の一方側に設けられ、周方向主溝13,14はタイヤ赤道面CLのタイヤ幅方向の他方側に設けられている。
第1陸部21と第2陸部22との間には、周方向主溝12,13により区画された第3陸部23が設けられている。図4,図5に示されるように、第3陸部23には、該第3陸部23を区画する周方向主溝12,13に両端が連通した第3サイプ33が設けられている。第3サイプ33は、タイヤ幅方向に対して、第1サイプ31の直線部31C及び第2サイプ32の直線部32Cと同方向に傾斜している。直線部31C,32Cの延長上に第3サイプ33が配置されていてもよい。
第3陸部23は、第3サイプ33により、複数のブロック23Aに区画されている。第3陸部23のうち第3サイプ33に面した部分の少なくとも一部は面取りされており、その面取り量は、第3陸部23の幅方向外側から幅方向中央側に向かって小さくなっている。具体的には、図5に示されるように、例えば第3サイプ23の両端部33Aを含む領域に面した部分である、ブロック23Aの鋭角側の角部23Bと、鈍角側の角部23Cとがそれぞれ面取りされている。ここで、鋭角及び鈍角は、タイヤ周方向を基準とする。鋭角側の角部23Bは、トレッド平面視で、例えば弧状に面取りされている。一方、鈍角側の角部23Cは、トレッド平面視で、例えば略三角形に面取りされている。面取り形状は、点対称となっている。
面取りの大小を、トレッド平面視でのタイヤ周方向の幅で考えると、鈍角側の角部23Cの面取り量は、第3陸部23の幅方向の外側から内側に向かって漸減しており、第3陸部23の幅方向中央(タイヤ赤道面CL)で面取り量が0となっている。なお、面取りの大小については、ブロック23Aの踏面側の角部(エッジ)を除去した体積で考えることもできる。
図4において、ショルダー陸部17には、タイヤ幅方向に延びる横主溝24と、サイプ28,30とが設けられている。ショルダー陸部18には、タイヤ幅方向に延びる横主溝26と、サイプ28,30とが設けられている。横主溝24は、周方向主溝11に連通せず、ショルダー陸部17内で終端している。横主溝24のタイヤ幅方向内側端部の位置は、ショルダー陸部17におけるサイプ30のタイヤ幅方向の位置と同等である。横主溝26は、周方向主溝13に連通せず、ショルダー陸部18内で終端している。横主溝26のタイヤ幅方向内側端部の位置は、ショルダー陸部18におけるサイプ30のタイヤ幅方向の位置と同等である。ショルダー陸部17のうち横主溝24に面する部位、及びショルダー陸部18のうち横主溝26に面する部位は、それぞれ適宜面取りされている。
他の部分については、第1実施形態と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図4において、本実施形態に係るタイヤ20では、第1陸部21と第2陸部22の間に位置する第3陸部23に第3サイプ33が設けられ、該第3サイプ33は、第3陸部23を区画する周方向主溝12,13に両端が連通している。したがって、ウェット路面において、第3サイプ33で吸水した水を、該周方向主溝12,13へ排水することができる。
この第3陸部23のうち第3サイプ33に面した部分の少なくとも一部は面取りされており、その面取り量は、第3陸部23の幅方向外側から幅方向中央側に向かって小さくなっている。したがって、ドライ路面において、第3陸部23のめくれ変形を抑制しながら接地面積を確保し、良好なドライ制動性能を得ることができる。
第3陸部23がめくれ変形し易いのは、該第3陸部23の周方向主溝12,13側の端部なので、第3サイプ33の周方向主溝12,13への連通部(両端部33A)付近の面取り量を大きくしている。一方、第3陸部23の中央部は、比較的剛性が高くめくれ変形が生じ難いので、面取りを設けずに、接地面積を確保している。
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
周方向主溝の本数を、第1実施形態では3本とし、第2実施形態では4本としたが、周方向主溝の本数はこれらに限られず、5本以上であってもよい。
第1屈曲部31Aと第2屈曲部32Aとが、タイヤ周方向において互いに異なる方向に屈曲しているものとしたが、屈曲方向はこれに限られるものではなく、同方向であってもよい。
第1陸部21のうち第1サイプ31に面した部分の面取り量は、タイヤ赤道面CL側がタイヤ赤道面CL側と反対側よりも大きいものとしたが、面取り量の大小はこれに限られない。また、第1陸部21のうち、第1サイプ31に面した部分の少なくとも一部が面取りされているものとしたが、第1陸部21は面取りされていなくてもよい。第2陸部22の面取りについても同様である。
第1陸部21に第1横溝41が設けられるものとしたが、第1横溝41を設けない構成としてもよい。また、第2陸部22に第2横溝42が設けられるものとしたが、第2横溝42を設けない構成としてもよい。
10…タイヤ、11…周方向主溝、12…周方向主溝、13…周方向主溝、14…周方向主溝、16…トレッド、20…タイヤ、21…第1陸部、22…第2陸部、23…第3陸部、31…第1サイプ、31A…第1屈曲部、32…第2サイプ、32A…第2屈曲部、33…第3サイプ、41…第1横溝、42…第2横溝

Claims (4)

  1. トレッドに設けられ、タイヤ周方向に延びる3本以上の周方向主溝と、
    前記トレッドに設けられ、前記周方向主溝によりそれぞれ区画された第1陸部及び第2陸部と、
    前記第1陸部に複数設けられ、前記第1陸部を区画する前記周方向主溝に両端が連通し、タイヤ周方向に凸となる第1屈曲部を有する第1サイプと、
    前記第2陸部に複数設けられ、前記第2陸部を区画する前記周方向主溝に両端が連通し、タイヤ周方向における前記第1サイプの領域外にタイヤ周方向に凸となる第2屈曲部を有する第2サイプと、
    を有し、
    前記第1陸部のうち前記第1サイプに面した部分の少なくとも一部と、前記第2陸部のうち前記第2サイプに面した部分の少なくとも一部は、それぞれ面取りされ、
    前記第1陸部のうち前記第1サイプに面した部分の面取り量は、タイヤ赤道面側がタイヤ赤道面側と反対側よりも大きく、
    前記第2陸部のうち前記第2サイプに面した部分の面取り量は、タイヤ赤道面側がタイヤ赤道面側と反対側よりも大きいタイヤ。
  2. 前記第1屈曲部と前記第2屈曲部とは、タイヤ周方向において互いに異なる方向に屈曲している請求項1に記載のタイヤ。
  3. トレッドに設けられ、タイヤ周方向に延びる3本以上の周方向主溝と、
    前記トレッドに設けられ、前記周方向主溝によりそれぞれ区画された第1陸部及び第2陸部と、
    前記第1陸部に複数設けられ、前記第1陸部を区画する前記周方向主溝に両端が連通し、タイヤ周方向に凸となる第1屈曲部を有する第1サイプと、
    前記第2陸部に複数設けられ、前記第2陸部を区画する前記周方向主溝に両端が連通し、タイヤ周方向における前記第1サイプの領域外にタイヤ周方向に凸となる第2屈曲部を有する第2サイプと、
    を有し、
    前記第1陸部と前記第2陸部との間に、前記周方向主溝により区画された第3陸部が設けられ、
    前記第3陸部に、前記第3陸部を区画する前記周方向主溝に両端が連通した第3サイプが設けられ、
    前記第3陸部のうち前記第3サイプに面した部分の少なくとも一部は面取りされており、その面取り量は、前記第3陸部の幅方向外側から幅方向中央側に向かって小さくなタイヤ。
  4. タイヤ周方向に隣り合う2つの前記第1サイプ間には、前記第1陸部の幅方向に延び、一端が前記第1陸部内で終端する第1横溝が設けられ、
    タイヤ周方向に隣り合う2つの前記第2サイプ間には、前記第2陸部の幅方向に延び、一端が前記第2陸部内で終端する第2横溝が設けられている請求項1〜請求項の何れか1項に記載のタイヤ。
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