JP6715712B2 - 湯種生地の製造方法およびベーカリー製品の製造方法 - Google Patents

湯種生地の製造方法およびベーカリー製品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、湯種生地の製造方法およびベーカリー製品の製造方法に関する。
湯種法は、湯種特有のモチモチ感と保湿性や耐老化性、穀粉から導き出される甘味などをパンに与える製法である。
この製法は非常にベタつく生地物性のため、ホールセールベーカリーにおける機械製パンラインでは難しいとされていた。近年では、湯種に使用する粉質、油脂類などの原材料の検討によりホールセールベーカリーにおいても生産が可能となり市場に出回っているが、湯種生地の作業性や本捏時のベーカリー生地のミキシング耐性などの製パン性、食感において改善の余地があった。
従来、湯種生地を用いたベーカリー製品の製造方法として、次の技術が提案されている。
特許文献1には、湯種生地の作製時に乳化剤を主体とした水中油型乳化物あるいは乳化剤粉末を添加することが提案されている。乳化剤の効果により、湯種生地の製パン性は向上するが、必要以上に保水性が向上し、ネチャツキのある食感になる。
特許文献2には、小麦粉と、油相含量3〜90質量%、水相含量10〜97質量%の乳化物とを含有する種生地材料を、少なくとも該乳化物の水相中の水分を80〜100℃まで加熱して混捏することが提案されている。乳化物の水相部を80〜100℃まで加熱して湯種生地を作製しているため、乳化が壊れ液状の油相が単体で混合されるので、油脂が生地中ですべり、入りにくくなる。そのため、ベタツキのある軟化した作業性の悪い湯種生地となる。このような湯種生地を用いたベーカリー生地を焼成した場合、焼成品においてはボリュームが低下し、あるいは大きな空洞ができるなど不安定な製品となる。
特許文献3には、小麦粉と40〜65℃の温水とを該温水の温度以上の捏上温度になるまで、または55〜70℃の捏上温度になるまで、加温しながら混捏して湯捏種を作製する工程で、より効果を上げるために、この湯捏種の小麦粉に対して5〜30質量%の油脂を添加して混捏することが提案されている。しかし特許文献2と同様に、湯種生地中で液状化した油脂が生地中ですべり、入りにくくなる。そのため、ベタツキのある軟化した作業性の悪い湯種生地となり、焼成品においてはボリュームが低下し、あるいは大きな空洞ができるなど不安定な製品となる。生地は50℃以上となるので油脂が液状となり、油脂の状態が変化してしまう。液状油脂であれば、製品自体がネチャついたり、製品に穴が開いたり、綺目が粗くなるなど不安定となる。
特許文献4には、長期間保存することができる耐老化性を有する湯種生地を提供するものとして、酸性水中油型乳化油脂組成物を2〜60質量部含有するベーカリー製品用湯種生地が提案されている。しかし特許文献2、3と同様に、湯種生地がベタつき、軟化するため作業性が悪くなる。また、湯種生地の保存性は向上するが、ベーカリー生地の本捏時に生地のベタツキが強く作業性が悪い。
特開2003−23955号公報 特開2004−29号公報 特開2004−105195号公報 特開2009−201468号公報
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、製パン性が良く、かつベーカリー製品の食感、特にサックリ感と口溶けを満足する湯種生地の製造方法およびベーカリー製品の製造方法を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の湯種生地の製造方法は、穀粉、粉末油脂、および加温した水を混捏することを特徴としている。
また本発明のベーカリー製品の製造方法は、前記の方法で湯種生地を製造し、この湯種生地を配合したベーカリー生地を焼成することを特徴としている。
本発明によれば、製パン性が良く、かつベーカリー製品の食感、特にサックリ感と口溶けを満足することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の湯種生地の製造方法では、穀粉、粉末油脂、および加温した水を混捏する。
本発明に使用される穀粉としては、特に限定されるものではなく、従来ベーカリー製品の製造に使用されている小麦粉を用いることができる。その中でも、強力粉が好ましい。
本発明に使用される粉末油脂としては、特に限定されるものではないが、水中油型乳化物を乾燥した粉末油脂を好ましく用いることができる。
粉末油脂に使用される油脂としては、食用であれば特に限定されるものではないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、コーン油、オリーブ油、ゴマ油、魚油、シア脂、サル脂、イリッペ脂、カカオ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂、それらの分別油またはそれらの加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
以下に、本発明に使用される粉末油脂の一例について説明する。
粉末油脂は、賦形剤を含む水相に、上記のような油脂を含む油相を添加し、ホモミキサーなどで攪拌後、ホモジナイザーなどで均質化することにより、水中油型乳化物とし、その後、乾燥粉末化して得ることができる。
水中油型乳化物を乾燥粉末化する方法としては、一般的に知られている噴霧乾燥法、真空凍結乾燥法、真空乾燥法などを用いることができる。
賦形剤としては、例えば、カゼインナトリウムなどの乳タンパクや、大豆タンパク、小麦タンパク、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、コラーゲン、ゼラチンなどのタンパク、これらタンパクの分解物、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなどの単糖類、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロースなどの二糖類、オリゴ糖、デキストリン、デンプンなどの多糖類、増粘多糖類、糖アルコールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
粉末油脂は、必要に応じて、乳化剤を配合することができる。乳化剤は、食品用であれば特に限定されるものではなく、例えば、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウムなどが挙げられる。粉末油脂に乳化剤を配合する場合、通常は、油溶性乳化剤は油相に、水溶性乳化剤は水相に配合する。油相および水相には、酸化防止剤、着色料、フレーバーなどを適宜に配合してもよい。
以下に、粉末油脂の製造方法の一例について説明する。
乳化工程では、前記の各原材料を乳化機の撹拌槽に投入して撹拌混合した後、圧力式ホモジナイザーで均質化する。
原材料の配合比は、特に限定されるものではないが、例えば、油脂と賦形剤の合計量100質量部に対して水50〜200質量部の範囲内にすることができる。
配合手順は、特に限定されるものではないが、例えば、賦形剤を水に室温で分散後、加熱下に攪拌し、あるいは賦形剤を加熱した水に分散、攪拌して完全に溶解させた後、ホモミキサーで攪拌しながら、油脂を加熱溶解させたものを滴下して乳化することができる。
得られた乳化液は、圧力式ホモジナイザーに供給することによって油滴サイズが微細化される。例えば、市販の圧力式ホモジナイザーを用いて、10〜250kgf/cmの程度の圧力をかけて均質化し、油滴サイズを微細化することができる。
次に、均質化した乳化液を高圧ポンプで噴霧乾燥機の入口に供給し、高温熱風を吹き込み、噴霧乾燥機の槽内に上方から噴霧する。噴霧乾燥された粉末は槽内底部に堆積される。噴霧乾燥機としては、例えば、アトマイザー方式やノズル方式で噴霧するスプレードライヤーを用いることができる。
次に、噴霧乾燥された粉末を噴霧乾燥機の槽内から取り出した後、振動流動槽などにより搬送しながら冷風で冷却することによって、粉末油脂を製造することができる。なお、適宜のときに加熱殺菌工程などを設けることもできる。
粉末油脂は、水に添加すると水中油型乳化物となり、微細な油滴が再分散した状態となる。粉末油脂は、水に溶解した時の油滴のメディアン径が0.1〜2μmである。好ましくは0.3μm以上1.6μm未満、より好ましくは0.5μm以上1.1μm未満である。メディアン径がこの範囲内であると、湯種生地の製造における混捏時に粉末油脂による細かな油滴が均一に分散することにより、澱粉の糊化による澱粉粒の崩壊を抑制し、湯種生地のベタツキによる生地の損傷が抑制され、操作性、ミキシング耐性が向上する。
本発明の湯種生地の製造方法では、穀粉、粉末油脂、および加温した水を原材料として混捏する。通常、穀粉に熱湯を入れることにより、ミキシング耐性が減少し、パンの体積が減少する。これは湯種の温度が上昇することにより、澱粉の糊化が進行し、同時にタンパク質の熱変性が起こることが理由として考えられる。そのため、正常なグルテンタンパク質が減少し、生地がベタついたり、ミキシング耐性が減少したり、ガス保持力も低下するため、ボリュームが悪くなったりするが、粉末油脂が分散していることにより澱粉の糊化による澱粉粒の崩壊を抑制すると共に、グルテンの損傷が抑えられ、ボリュームのある、サックリとした食感で口溶けの良いベーカリー製品が得られる。すなわち、粉末油脂を配合することによって、作業性の低下、特に湯種生地のベタツキ、本捏生地のベタツキと伸展性の低下を改善し、良好なミキシング耐性を可能とし、ベーカリー製品の食感を向上させることができる。
湯種生地には、上記の原材料以外に、本発明の効果を損なわない範囲内において、他の原材料を配合してもよい。
混捏手順は、特に限定されるものではないが、穀粉と粉末油脂とを混合した後、この混合物を加温した水と混捏することが好ましい。この混合物に加える加温した水は、澱粉を糊化開始温度以上にさらす必要があるため、75〜95℃に加温した熱湯が好ましい。穀粉に通常の固形のショートニングを配合する場合、先に加温した水と穀粉が接触し澱粉の糊化が促進された生地となり、その後に油脂が溶けて混合されるので油脂が入り難くなる。さらに、加温した水を入れることにより、グルテンが損傷しボリュームが悪くなったり生地がベタついたりする。さらに油脂が固形脂ではなく液状脂であれば、生地の伸展性に影響が出て、製品にした時にボリュームが悪くなったり、製品に穴が開いたりする。しかし本発明では、穀粉に粉末油脂を混合しておくことにより、加温した水をこの混合物と混合する際に、澱粉の糊化による粘着性の発現が遅れるため混合が容易となり、温度が下がる前に澱粉とお湯が接触するため、糊化が十分に行われる。
穀粉と粉末油脂とを混合した後、この混合物を加温した水と混捏する方法としては、例えば、穀粉と粉末油脂とを混合した後、この混合物に加温した水を加えて混捏する方法や、あるいは穀粉と粉末油脂とを混合した後、この混合物に常温の水または温湯を加え、加熱しながら混捏する方法などが挙げられる。これらの中でも、前記混合物に加温した水を加えて混捏する方法が好ましい。
粉末油脂の配合量は、湯種生地の穀粉100質量部に対して5〜40質量部が好ましい。この範囲内であると、湯種生地のベタツキが抑えられて作業性が良好になり、ベーカリー生地の作製時には生地切れやベタツキが抑えられて十分なミキシングが行える。また、これらの製パン性が良いことに加えて、ベーカリー製品の食感、特にサックリ感と口溶けを満足することができる。これらの製パン性とベーカリー製品の食感が向上する点を考慮すると、粉末油脂の配合量は、湯種生地の穀粉100質量部に対して10〜40質量部がより好ましく、18〜32質量%がさらに好ましい。
湯種生地における加温した水の配合量は、特に限定されるものではないが、湯種生地の穀粉100質量部に対して50〜150質量部が好ましい。
混捏時間は特に限定されるものではなく、例えば中速で3〜10分である。
混捏後における湯種生地の品温は、製パン性とベーカリー製品の食感などを考慮すると、60〜80℃とすることが好ましい。
混捏後の湯種生地は、乾燥を防ぐためにビニールなどの被覆材に包んで冷蔵保管する。本発明により得られる湯種生地は、冷蔵保管後には絞まっておりベタツキも少ないため、使用時にビニールなどの被覆材から取り出す際には被覆材に付着しづらく剥がれやすく、湯種生地の作業性が良い。
以上に説明した方法によって製造された湯種生地を用いてベーカリー製品を製造する際には、この湯種生地を配合したベーカリー生地を作製し、焼成する。
湯種生地は、製パン工程において一般に行われている直捏法、中種法(中種生地、本捏生地)、液種法(本捏生地)などに使用することができる。
直捏法は、全ての原材料を一操作でミキシングして生地を作る方法で、前発酵工程はない。湯種生地も他の原材料と同時期にミキサーに投入してからミキシングを行う。
中種法は二段階で生地を作る方法で、例えば、第一段階の中種は使用する穀粉の50〜100質量%とイースト、イーストフード、水で捏上げ醗酵させる。醗酵が終わった後に第二段階として残りの穀粉などの原材料を加え本捏を行う。この中種法で湯種生地を使用する場合、中種生地あるいは本捏生地に添加することができる。添加時期としては、中種、本捏共に他の原材料と同時期にミキサーに投入してからミキシングを行う。
液種法は、イースト、塩、水、少量の糖で液種(水種)を作る方法で、この後の工程は中種法と同様に液種と残りの原材料を加え本捏を行う。この液種法で湯種を使用する場合、本捏時に他の原材料と同時期にミキサーに投入してからミキシングを行う。
本発明により得られる湯種生地を用いたベーカリー生地は、湯種生地をベーカリー生地の穀粉100質量%に対して5〜40質量%配合することが好ましい。湯種生地の配合量がこの範囲内であると、湯種法独特の食感が得られ、生地のミキシング耐性も良い。
ベーカリー生地に使用される湯種生地以外の穀粉としては、通常、焼成品の生地に配合されるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、小麦粉(強力粉、中力粉、薄力粉等)、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、そば粉、大豆粉などが挙げられる。
ベーカリー生地には、穀粉以外にも、通常、焼成品の生地に使用されるものであれば、特に制限なく配合することができる。また、これらの配合量も、通常、焼成品の生地に配合される範囲を考慮して特に制限なく適宜の量とすることができる。具体的には、例えば、水、乳、乳製品、蛋白質、糖質、卵、卵加工品、澱粉、塩類、乳化剤、可塑性油脂、乳化起泡剤(乳化油脂)、粉末油脂、イースト、イーストフード、カカオマス、ココアパウダー、チョコレート、コーヒー、紅茶、抹茶、野菜類、果物類、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、肉類、魚介類、豆類、きな粉、豆腐、豆乳、大豆蛋白、膨張剤、甘味料、調味料、香辛料、着色料、フレーバーなどが挙げられる。
本発明の方法により得られる湯種生地は、粉末油脂が分散していることによりグルテン損傷が抑制され、生地の粘着性による生地の損傷が抑制され、生地の操作性が良く、ミキシング耐性が向上し十分なミキシングを行うことができる。このベーカリー生地は分割、成型時には、ベタツキが少なく、生地に損傷が少ない。
このベーカリー生地を焼成することによって、ベーカリー製品が得られる。このベーカリー製品の内相は、綺目も揃っており、大きな穴も見られない。食感は、湯種生地に特有のモチモチ感がありながらも、生地はしっとり柔らかくサックリ感があり、口の中で生地がダマになりにくく、生地の口溶けが良いという特徴がある。
ベーカリー製品としては、例えば、食パン、テーブルロール、菓子パン、調理パン、フランスパン、ライブレッド、デニッシュ、クロワッサン、ドーナツなどが挙げられる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、表1に示す粉末油脂の配合量は質量%、表2に示す湯種生地の配合量は質量部を表す。
<粉末油脂の作製>
表1に記載の油脂に乳化剤を添加し70℃に加熱し撹拌後、油相とした。表1の油相と賦形剤の合計量100質量部に対して100質量部の水を60℃に調温し、賦形剤を添加し水相とした。油相を70℃で、水相を60℃で保持し、ホモミキサーで攪拌しながら水相に油相の全量を添加し、水中油型に乳化させた後、ホモジナイザーで150kgf/cmの圧力をかけて均質化し、水中油型乳化物を得た。得られた水中油型乳化物を、ノズル式スプレードライヤーを用いて噴霧乾燥し、水分1.5質量%の粉末油脂1〜3を得た(噴霧乾燥条件:入口温度210℃)。
Figure 0006715712
粉末油脂の再溶解時のメディアン径は、粉末油脂を水に分散させて、水分散液中の油滴の粒度分布をレーザー回折散乱法によって測定し、粒度分布からメディアン径を算出する。このメディアン径は、島津製作所製SALD−2300湿式レーザー回折装置により測定し、粒子径分布の中央値として求めた。その結果を表2に示す。
<粉末乳化剤の作製>
グリセリンモノステアリン酸エステル(エマルジーMS:理研ビタミン(株)製)90質量部を加熱融解し、これにカゼインナトリウム5質量部、コーンシロップ5質量部を添加し、スプレーにより室温下に散布、冷却し、粉末乳化剤を作製した。
<O/W乳化物の作製>
パーム油50質量部および水50質量部を混合して攪拌し、冷却しながら混捏してO/W(水中油型)乳化物を作製した。
<湯種生地の作製>
表2に示す配合で、次の手順で湯種生地を作製した。粉末油脂1〜3、粉末乳化剤、O/W乳化物は、上記で作製したものを使用した。
(1) ミキサーに加温した水を除く原材料を加える。小麦粉と他の原材料はあらかじめ混合する。
(2) 加温した水を加え、フックを用いて低速3分中低速3分ミキシングする。
(3) 捏ね上がった湯種生地を、ビニールに密閉し一晩冷蔵保管する。
(ただし、比較例3のO/W乳化物については加温した水を使用せず、O/W乳化物を90℃に加温して使用した。)
<ベーカリー製品の作製>
上記において作製した湯種生地を用いて、ベーカリー製品として食パンを作製した。
〈食パンの配合および作製工程〉
・中種配合
強力粉 70質量部
イースト 2.5質量部
イーストフード 0.1質量部
吸 水 40質量部
・中種工程
ミキシング 低速3分中速1分(フック使用)
捏上温度 24℃
発 酵 発酵室温27℃ 湿度75% 4時間
終点温度 29℃
・本捏配合
強力粉 30質量部
上白糖 6質量部
食 塩 1.8質量部
脱脂粉乳 2質量部
ショートニング ※ 4質量部
吸 水 20質量部
上記の湯種生地 20質量部
※:ミヨシショートニングAVS:ミヨシ油脂(株)
・本捏工程
ミキシング (本捏配合のショートニングを除く全素材
および中種生地全量を添加)
低速3分中速4分
(ショートニング添加)
低速2分中速4分
捏上温度 28℃
フロアータイム 室温27℃ 湿度75% 20分
分割質量 220g×6
ベンチタイム 室温27℃ 湿度75% 18分
成 型 U字成型プルマン3斤型
ホイロ 室温38℃ 湿度80% 40分
焼成 200℃ 40分
<評価>
[湯種生地の作業性]
湯種生地作製時のミキシング状態と、冷蔵保管時に生地を取り出す際の生地のベタツキと剥がれやすさを以下の基準で評価した。
評価基準
◎:ミキシング時の生地のベタツキはまったくない。冷蔵保管時に生地をビニールから
取り出す際にはベタツキがなく剥がれやすい。
○:ミキシング時の生地のベタツキはない。冷蔵保管時に生地をビニールから取り出す
際にはベタツキが少なく剥がれやすい。
△:ミキシング時の生地のベタツキが少しある。冷蔵保管時に生地をビニールから
取り出す際にはベタツキが少しあり剥がれにくい。
×:ミキシング時の生地のベタツキがある。冷蔵保管時に生地をビニールから取り出す
際にはベタツキが多く剥がれにくい。
[ベーカリー生地のミキシング耐性]
本捏時の生地の状態を以下の基準で評価した。
評価基準
◎:本捏時に生地切れ、ベタツキがなく十分なミキシングが行えた。
○:本捏時に生地切れ、ベタツキが若干あるが十分なミキシングが行えた。
△:本捏時に生地切れ、ベタツキがあり十分なミキシングが行えなかった。
×:本捏時に生地切れ、ベタツキが強くミキシングが行えなかった。
[食パンのサックリ感]
20℃で24時間保管した食パンについて、パネル10名によりサックリ感を以下の基準で評価した。
パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準臭覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判定された20〜40代の男性4名、女性6名を選抜した。
評価基準
◎:10名中8名以上が良好であると評価した。
○:10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:10名中2名以下が良好であると評価した。
[食パンの口溶け]
20℃で24時間保管した食パンについて、パネル10名により口溶けを以下の基準で評価した。
パネルは、五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品の味の識別テスト、基準臭覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判定された20〜40代の男性4名、女性6名を選抜した。
評価基準
◎:10名中8名以上が良好であると評価した。
○:10名中7〜5名が良好であると評価した。
△:10名中4〜3名が良好であると評価した。
×:10名中2名以下が良好であると評価した。
[総合評価]
上記の各評価に基づいて、以下の基準で総合評価し、A以上を良と判定した。
評価基準
A++:湯種の作業性、ベーカリー生地のミキシング耐性、食パンのサックリ感、
食パンの口溶けのいずれも○評価以上である。
A+ :湯種の作業性、ベーカリー生地のミキシング耐性のいずれか1つ、あるいは
食パンのサックリ感、食パンの口溶けのいずれか1つが△評価で、それ以外は
○評価以上である。
A :湯種の作業性、ベーカリー生地のミキシング耐性がいずれも△評価、あるいは
食パンのサックリ感、食パンの口溶けがいずれも△評価であり、それ以外は
○評価以上である。
B :湯種の作業性、ベーカリー生地のミキシング耐性、食パンのサックリ感、
食パンの口溶けがいずれも△評価である。
C :湯種の作業性、ベーカリー生地のミキシング耐性、食パンのサックリ感、
食パンの口溶けのいずれか1つ以上が×評価である。
上記の評価結果を表2に示す。また湯種生地配合なども併せて表2に示した。
Figure 0006715712

Claims (5)

  1. 穀粉、粉末油脂、および加温した水を混捏する工程を含み、
    前記粉末油脂の配合量が、前記穀粉100質量部に対して5〜40質量部である、湯種生地の製造方法。
  2. 前記穀粉と前記粉末油脂とを混合した後、この混合物を加温した水と混捏する請求項1に記載の湯種生地の製造方法。
  3. 前記粉末油脂は、水に溶解した時の油滴のメディアン径が0.1〜2μmである請求項1または2に記載の湯種生地の製造方法。
  4. 前記混捏後における前記湯種生地の品温が60〜80℃である請求項1〜3のいずれか一項に記載の湯種生地の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法で湯種生地を製造し、この湯種生地を配合したベーカリー生地を焼成するベーカリー製品の製造方法
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