JP2017093308A - 薄板状焼き菓子の製造方法 - Google Patents

薄板状焼き菓子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2017093308A
JP2017093308A JP2015225858A JP2015225858A JP2017093308A JP 2017093308 A JP2017093308 A JP 2017093308A JP 2015225858 A JP2015225858 A JP 2015225858A JP 2015225858 A JP2015225858 A JP 2015225858A JP 2017093308 A JP2017093308 A JP 2017093308A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dough
oil
baked confectionery
fat
sandwich
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015225858A
Other languages
English (en)
Inventor
亮子 岡本
Riyouko Okamoto
亮子 岡本
晴雄 白井
Haruo Shirai
晴雄 白井
康信 村中
Yasunobu Muranaka
康信 村中
成美 松澤
Narumi Matsuzawa
成美 松澤
由季 川合
Yuki Kawai
由季 川合
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Miyoshi Yushi KK
Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
Original Assignee
Miyoshi Yushi KK
Miyoshi Oil and Fat Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Miyoshi Yushi KK, Miyoshi Oil and Fat Co Ltd filed Critical Miyoshi Yushi KK
Priority to JP2015225858A priority Critical patent/JP2017093308A/ja
Publication of JP2017093308A publication Critical patent/JP2017093308A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Confectionery (AREA)
  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

【課題】挟み焼き機等の特別な製造設備を必要としないで、汎用されるオーブンを使用し、汎用される起泡性油脂素材を使用することで、挟み焼きと同じようなサクサクとした軽い食感の焼き菓子を製造することができ、生地への膨張剤の添加を要せずとも挟み焼き様の多孔質な内層構造を形成でき、生地の作製をオールインミックス法のような比較的簡易な手法で行うことができ、起泡した生地の安定性が良好であるため生地の比重の変化が起こりにくく、生地作製後時間を経へてから焼成してもサクサクとした軽い食感の焼き菓子を得ることができる薄板状焼き菓子の製造方法を提供する。
【解決手段】挟み焼き様の多孔質な内層構造を有する薄板状焼き菓子の製造方法であって、穀粉、卵類、糖質、および、水中油型乳化物および粉末油脂から選ばれる少なくとも1種の起泡性油脂素材を含有する起泡生地を、オーブンを用いて焼成することを特徴としている。
【選択図】なし

Description

本発明は、薄板状焼き菓子の製造方法に関する。
従来、ウエハースのようなサクサ感が求められる薄板状菓子は、挟み焼きにより焼成するのが一般的であった(特許文献1、3〜5)。挟み焼きは、小麦粉などの穀粉に加水して水種とし、挟み焼き機を用いて型で挟んで生地を焼成する。型からの伝導熱により急激に加熱された生地の水分が水蒸気となり膨脹して、多孔質な内層構造に焼き上がる。また、生地に含まれる澱粉のα化が十分になされるため、サクサクとした軽い食感に仕上がる。
また、挟み焼きでは、多孔質な内層構造を形成するために、重炭酸ナトリウムや重炭酸アンモニウムなどの膨張剤を通常は使用する。しかし、膨張剤を用いると、風味が低下したり、生地中の気泡が不均一になり、製品にバラツキが出てしまったりする等の問題点があった。
膨張剤以外の手段によって生地中に気泡を生成する技術としては、挟み焼きに関するものでは、特許文献1には、ウエハースを製造するに際して、タンパク質含有乳化物を発泡剤に用いて予め泡を生成し、これをポンプによって、穀粉と水を含む生地へ注入することで生地中に泡を内包させることが提案されている。挟み焼きに関するものではないが、特許文献2には、閉鎖環境下に置いた生地を、これに加圧ガスを吹き込みつつ混捏し、常圧に戻すことで、微小多数の気泡を均質に保有する焼き菓子用生地を得ることが提案されている。しかしこれらの技術では、空気を注入するのに特別な装置を必要とし、また起泡性油脂素材が配合されていないため、生地中の気泡安定性が満足できるものではなかった。
スポンジケーキなどのソフトな食感の焼成品では、卵類の起泡性を利用し、これを加熱すると気泡の空気が熱で膨張して生地が膨れ、さらにタンパク質の熱変性によって空気を含んだまま熱凝固することによって、生地の基本的な骨格を形成することが知られている。しかし、起泡した生地は、作製後にある程度時間が経つと起泡状態が変化してしまい、食感にも影響し得る。また、スポンジケーキ等では多量の卵類を用いるが、薄板状のサクッとした歯ざわりの良さを持つ焼き菓子では、通常、多量な卵類の使用は、タンパク質の熱凝固により硬くなりやすいなどの点から検討されていない。
挟み焼きでは主に水、穀粉、糖質、油脂を使用した技術が検討されている。特許文献3は、ウエハースを製造するに際して、穀粉、水を含む生地に、高分子量でんぷん加水分解物または結晶性水和物を形成する糖のいずれかを有する特定の甘味料を使用し、製品のパリパリ感を増加させることが提案されている。特許文献4、5は、コーンやモナカの可食容器の挟み焼きにおいて、膨化性、焼成後の離型性、分散性等を改善するために、油脂を予め乳化して水和液とし、これと穀粉や糖質とを混練して水種生地を調製することが提案されている。これらの技術においても膨張剤は概ね添加することを前提としている。
しかし、以上のような挟み焼きにより焼成する技術では、挟み焼き機等の特別な製造設備を必要とするため、挟み焼きをせずとも、挟み焼き様の多孔質の焼き菓子のサクサクとした軽い食感を得ようとする試みもなされてきた。特許文献6には、穀粉、ショートニング等の油脂、水溶性タンパク素材、乳化剤を特定量含有する生地原料に、60℃以上の温水を加えて湯捏ねして調製された生地を成型し、この成型物をメッシュ上に載置して上面が開放された状態で焼成し焼菓子を製造することが提案されている。伸展性と保形性のある生地をロールで薄くシート状に伸ばし型抜きして焼成するものであり、挟み焼き様の多孔質な内層構造とするのを容易とするために、焼成前半の温度上昇過程にある水蒸気のない温度帯、例えば60〜80℃でも、膨張剤によるガスが活発に生じるようにし、また230℃での生地内部からの水蒸気やガスの発散を抑えるため、水蒸気やガスが発生する前に、生地表面に上記水溶性タンパク素材による被膜を形成させることで、挟み焼き様の多孔質な内層構造を持つ焼き菓子を得ている。すなわち、水溶性タンパク素材の使用、生地原料の配合手順、温度条件の工夫などによって、成型性と、挟み焼き様の多孔質な内層構造を達成している。しかし、やはり膨張剤を用いるため、風味が満足できるものではなかった。
なお、特許文献7は、主に固形脂肪の代替を目的として、生地を作製するために粉末化した油脂を使用している。生地は、ショートニング、水、穀粉を含み、実施例では、ショートクラストやビスケットの生地として、膨張剤としてベーキングパウダーを加え、ショートニングを多く配合したものが例示されているが、主に、より多くの脂肪分を含むことで薄くサクサクした質感になるペストリーが対象で、挟み焼きによる多孔質のものとは異なる。
特表2013−530706号公報 特開昭52−21368号公報 特表2004−532610号公報 特開2004−089028号公報 特開平2−69130号公報 特開2014−073079号公報 特表2014−501113号公報
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、挟み焼き機等の特別な製造設備を必要としないで、汎用されるオーブンを使用し、汎用される起泡性油脂素材を使用することで、挟み焼きと同じようなサクサクとした軽い食感の焼き菓子を製造することができ、生地への膨張剤の添加を要せずとも挟み焼き様の多孔質な内層構造を形成でき、生地の作製をオールインミックス法のような比較的簡易な手法で行うことができ、起泡した生地の安定性が良好であるため比重の変化が起きにくく、生地作製後時間を経て焼成してもサクサクとした軽い食感の焼き菓子を得ることができる薄板状焼き菓子の製造方法を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明の薄板状焼き菓子の製造方法は、挟み焼き様の多孔質な内層構造を有する薄板状焼き菓子の製造方法であって、穀粉、卵類、糖質、および、水中油型乳化物および粉末油脂から選ばれる少なくとも1種の起泡性油脂素材を含有する起泡生地を、オーブンを用いて焼成することを特徴としている。
本発明によれば、挟み焼き機等の特別な製造設備を必要としないで、汎用されるオーブンを使用し、汎用される起泡性油脂素材を使用することで、挟み焼きと同じようなサクサクとした軽い食感の焼き菓子を製造することができ、生地への膨張剤の添加を要せずとも挟み焼き様の多孔質な内層構造を形成でき、生地の作製をオールインミックス法のような比較的簡易な手法で行うことができ、起泡した生地の安定性が良好であるため生地の比重の変化が起こりにくく、生地作製後時間を経てから焼成してもサクサクとした軽い食感の焼き菓子を得ることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
1.起泡生地
起泡生地に配合される穀粉としては、穀粉を挽いて粉状にしたもので、通常焼菓子に配合されるものであれば特に制限なく使用することができる。例えば、小麦粉(強力粉、準強力粉、中力粉、デュラム粉、薄力粉等)、全粒粉、小麦ふすま、小麦胚芽、大麦粉、米粉、とうもろこし粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、そば粉、大豆粉、アーモンドプードルなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、アーモンドプードルを配合することが好ましく、サクサクとした軽い食感をより向上させることができる。また、栄養補給を目的とした点から、全粒粉、グラハム粉、小麦ふすま、小麦胚芽、大麦粉や雑穀を製粉したものを用いることが好ましく、タンパク量の多い強力粉等と併用して使用すると、起泡生地のつながりが低下せずキメの開きが良好となり、サクサ感が向上するためより好ましい。
起泡生地における穀粉の含有量は、20〜30質量%が好ましい。
起泡生地に配合される卵類としては、全卵、卵黄、卵白、またはこれらの加糖卵、冷凍卵が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。全卵としては、液状全卵が好ましく、卵白としては、液状卵白が好ましい。
これらの中でも、全卵と卵白を10:90〜50:50の質量比となるように配合することが好ましく、30:70〜40:60に配合することがより好ましい。
起泡生地における卵類の含有量は、35〜46質量%が好ましい。卵類の含有量がこの範囲内であると、起泡した生地の安定性が特に良好である。卵類と起泡性油脂素材を併用することによって、起泡した生地の安定性が良好になり、生地の比重の変化が起こりにくくなるため、生地作製後時間を経てから焼成してもサクサクとした軽い食感の焼き菓子を得ることができる。
起泡生地に配合される糖質としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなどの単糖類、ラクトース、ショ糖(スクロース)、マルトース、トレハロースなどの二糖類、澱粉、デキストリン、オリゴ糖などの多糖類などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、ショ糖を主成分とする粉末状のものが好ましく、例えば、上白糖、グラニュー糖が挙げられる。また、グラニュー糖以外に、トレハロースや還元水飴、特殊水飴を併用することもでき、グラニュー糖とトレハロースを併用することがより好ましい。グラニュー糖とトレハロースを併用すると、甘味度を抑えつつサクサクとした食感を向上させることができる。グラニュー糖とトレハロースの配合比率は、質量比で1.5:1〜9:1が好ましく、2:1〜6:1がより好ましい。
起泡生地における糖質の含有量は、25〜36質量%が好ましい。糖質の含有量がこの範囲内であると、サクサクとした食感が特に良好である。
起泡生地に配合される起泡性油脂素材は、(A)水中油型乳化物、および(B)水中油型乳化物を乾燥した粉末油脂から選ばれる少なくとも1種である。この起泡性油脂素材は、水中油型乳化物(A)および粉末油脂(B)が、外側が水溶性基材であるため、水和した生地中へ容易に均一に分散させることができるので、微細な油滴が生地の隅々まで均一に分散し、起泡性などをより有効に発揮できる。
水中油型乳化物(A)は、食用油脂、乳化剤、水を必須とし、例えば、次の手順で製造することができる。
食用油脂、乳化剤、水などの各成分を混合して乳化する。乳化にはホモミキサーなどを用いることができる。乳化は、油相については配合油脂が完全に溶解する温度に加温し、水相については混合後の油相が温度低下を起こさない温度に加温し、水相に油相を添加しホモミキサー等で撹拌する。乳化は、例えば60〜70℃で行うことができる。
乳化した後、均質化を行う。均質化は、高圧ホモジナイザーを用いて、従来より水中油型乳化物の製造に用いられている圧力等の条件を適宜に設定して行うことができる。この均質化の工程において油滴のメディアン径を調整することができる。また均質化の前後の工程として、殺菌または滅菌処理をすることができる。
そして、均質化後の乳化物を冷却することにより、水中油型乳化物(A)を製造することができる。
水中油型乳化物(A)には、必要に応じて、水中油型乳化物に通常使用される各種の食品素材や食品添加物などを添加することができる。
粉末油脂(B)は、水溶性の粉末化基材を含む水相に油相を添加し、ホモミキサー等で攪拌後、ホモジナイザー等で均質化することにより、水中油型乳化物とし、その後、乾燥粉末化して得ることができる。
水中油型乳化物を乾燥粉末化する方法としては、一般的に知られている噴霧乾燥法、真空凍結乾燥法、真空乾燥法等を用いることができる。
水溶性の粉末化基材は、被覆材として機能し、乾燥後の粉末油脂(B)は、油脂が水溶性の粉末化基材で覆われた(カプセル化した)形状となっている。
水溶性の粉末化基材としては、例えば、乳タンパク、大豆タンパク、小麦タンパク、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、コラーゲン、ゼラチンなどのタンパク、これらタンパクの分解物、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなどの単糖類、ラクトース、ショ糖(スクロース)、マルトース、トレハロースなどの二糖類、澱粉、デキストリン、オリゴ糖などの多糖類、増粘多糖類、糖アルコールなどが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
乳タンパクとしては、例えば、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、ホエイタンパク、それらの酵素分解物である乳ペプチド、ミルクプロテインコンセントレート、トータルミルクプロテインなどが挙げられる。これらの中でも、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、ホエイタンパク、乳ペプチド、酸カゼインなどの非ミセル状態であるものは、乳化安定性が向上する点で好ましい。
澱粉としては、例えば、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプン、緑豆デンプン、サゴデンプン、コーン、ワキシーコーン、馬鈴薯、タピオカ等を原料とし、これをエーテル化処理したカルボキシメチルデンプンや、エステル化処理したリン酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプン、酢酸デンプン、エーテル化処理したヒドロキシプロピルデンプン、湿熱処理デンプン、酸処理デンプン、架橋処理デンプン、α化処理デンプンなどが挙げられる。
デキストリンは、澱粉を化学的または酵素的方法により低分子化した澱粉部分加水分解物であり、市販品などを使用できる。澱粉の原料としては、コーン、キャッサバ、米、馬鈴薯、甘藷、小麦などを挙げることができる。デキストリンとして具体的には、水あめ、粉あめ、マルトデキストリン、サイクロデキストリン、焙焼デキストリン、分岐サイクロデキストリン、難消化性デキストリンなどが挙げられる。
増粘多糖類としては、例えば、プルラン、アラビアガム、キサンタンガム、トラガントガム、ジェランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギーナン、寒天、LMペクチン、HMペクチンなどが挙げられる。
水溶性の粉末化基材は、粉末油脂(B)中の割合が、10〜60質量%となるように配合することが好ましく、15〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%がさらに好ましい。
粉末油脂(B)には、乳化剤を配合することができる。粉末油脂(B)に乳化剤を配合する場合、通常は、油溶性乳化剤は油相に、水溶性乳化剤は水相に配合する。
油相および水相には、本発明の効果を損なわない範囲内において、酸化防止剤、着色料、フレーバーなどを適宜に配合してもよい。
粉末油脂(B)は、例えば、食用油脂、水溶性の粉末化基材、水、および必要に応じて他の成分を配合して水中油型に乳化後、水中油型乳化物を乾燥させ粉末化することによって製造することができる。以下に粉末油脂(B)の製造方法の一例を説明する。
乳化工程では、前記の各原料を撹拌機のついた乳化釜に投入して撹拌混合した後、圧力式ホモジナイザーで均質化する。
原料の配合比は、特に限定されないが、例えば、食用油脂と水溶性の粉末化基材の合計量100質量部に対して水50〜200質量部の範囲内にすることができる。
配合手順は、特に限定されないが、例えば、水溶性の粉末化基材を水に室温で分散後、加熱下に攪拌して完全に溶解させた後、ホモミキサーで攪拌しながら、食用油脂を加熱溶解させたものを滴下して乳化することができる。
得られた乳化液は、圧力式ホモジナイザーに供給することによって油滴サイズが微細化される。例えば、圧力式ホモジナイザーを用いて、10〜250kgf/cm2の程度の圧力をかけて均質化し、油滴サイズを微細化することができる。
次に、均質化した乳化液を高圧ポンプで噴霧乾燥機の入口に供給し、高温熱風を吹き込み、噴霧乾燥機の槽内に上方から噴霧する。噴霧乾燥された粉末は槽内底部に堆積される。噴霧乾燥機としては、例えば、アトマイザー方式やノズル方式で噴霧するスプレードライヤーを用いることができる。
次に、噴霧乾燥された粉末を噴霧乾燥機の槽内から取り出した後、振動流動槽などにより搬送しながら冷風で冷却することによって、粉末油脂(B)を製造することができる。なお、適宜のときに加熱殺菌工程などを設けることもできる。
水中油型乳化物(A)および粉末油脂(B)の食用油脂含有量(油分)は、20〜65質量部であることが好ましく、25〜50質量部であることがさらに好ましい。
水中油型乳化物(A)の油滴のメディアン径、および粉末油脂(B)を水に溶解した時の油滴のメディアン径は、0.1〜5.0μmが好ましく、0.2〜4.0μmがより好ましい。なお、油滴のメディアン径は、油滴の粒度分布をレーザー回折散乱法によって測定し、粒度分布からメディアン径(積算で50体積%における直径)を算出することで得ることができる。粉末油脂(B)は、水中油型乳化物を乾燥したものであり、水に添加すると元の水中油型乳化物となり、油滴が再分散した状態となる。
油滴のメディアン径が上記の範囲内であると、粒径が小さく、乳化剤を含有した油滴が水和した生地中に薄く均一に分散し、起泡性油脂素材としての効果をより発揮できる。
水中油型乳化物(A)および粉末油脂(B)に使用される乳化剤としては、レシチン、モノグリセリン脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルなどが挙げられる。
食用油脂としては、液状、固体の動植物性油脂、硬化した動植物性油脂、エステル交換油脂、分別した液状油または固体脂などが挙げられる。具体的には、ナタネ油、コーン油、大豆油、綿実油、サフラワー油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、米糠油、ゴマ油、オリーブ油、カカオ脂などの植物性油脂、牛脂、ラード、乳脂、魚油などの動物性油脂および、これらの油脂の硬化油またはエステル交換油脂、あるいはこれらの油脂を分別して得られる液状油、固体脂などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
起泡生地における起泡性油脂素材の含有量は、1.5〜5.5質量%が好ましく、1.8〜5.2質量%がより好ましい。起泡性油脂素材の含有量がこの範囲内であると、起泡した生地の安定性が特に良好である。卵類と起泡性油脂素材を併用することによって、起泡した生地の安定性が良好になり生地の比重の変化が起こりにくくなるため、生地作製後時間を経てから焼成してもサクサクとした軽い食感の焼き菓子を得ることができる。
起泡性油脂素材は、粉末油脂であることが好ましい。起泡性油脂素材として粉末油脂を使用すると、サクサ感がさらに向上する。
起泡生地における穀粉の含有量を20〜30質量%、卵類の含有量を35〜46質量%、糖質の含有量を25〜36質量%、起泡性油脂素材の含有量を1.5〜5.5質量%とすることにより、適正な生地粘度となり、生地を平口金で絞り出すことや、生地が流れ出したりせず、生地を薄く均一に延ばすことが容易となる。
起泡生地には、上記必須の原材料以外にも、通常生地に配合されるものであれば、特に制限なく配合することができる。具体的には、例えば、塩類(食塩等)、油(サラダ油、溶かしたバター等)、膨脹剤、増粘剤、調味料、抗酸化剤、ビタミンC等のビタミン類、香辛料、着色成分、香料などが挙げられる。
なお、生地には、膨張剤を含まないことが好ましい。ここで「膨脹剤」とは、加熱によって発生するガスによって生地を膨脹させる作用を有する物質をいう。膨脹剤の例としては、ミョウバン、石灰、ソーダ灰、重炭酸ナトリウムおよび重炭酸アンモニウムが挙げられる。
2.起泡生地の作製
生地は、穀粉、卵類、糖質、起泡性油脂素材を必須とする各原材料をすべて投入した後、高速撹拌して起泡させることで作製することができる(オールインミックス法)。また、卵類、糖質、起泡性油脂素材を混合し起泡させた後、穀粉を混合してもよい(後粉法)。本発明によれば、例えば、オールインミックス法により、比較的簡易に生地を作製することができる。具体的には、穀粉、卵類、糖質、起泡性油脂素材を混ぜ合わせた後、ホイッパーなどの撹拌装置を用いて撹拌しミキシングすることにより起泡生地を作製することができる。生地の比重は、0.45〜0.55が好ましく、この範囲内であると、生地の安定性が向上し、生地作製後時間を経てから起泡生地を焼成しても、サクサクとした軽い食感の焼き菓子を得ることができる。
3.起泡生地の焼成
得られた起泡生地は、オーブンで焼成する。この起泡生地は、起泡した生地の安定性が良好であるため生地の比重の変化が起こりにくく、生地作製後時間が経ってから起泡生地を焼成しても、サクサクとした軽い食感の焼き菓子を得ることができる。
例えば、オーブン天板にオーブンシートを敷き、そこに起泡生地を流し込む。起泡生地は、乾燥焼きにより水分を飛散させ、薄板状菓子を得るために、厚さ3〜5mmのシート状にすることが好ましい。
焼成温度、すなわちオーブン温度は、130〜140℃が好ましい。オーブン温度が高過ぎると水分が抜けきらないうちに焦げを生じる。また、オーブン温度が低すぎると水分が抜け切らずサクサクとした食感が得られなくなる。
4.焼成品
本発明により得られる薄板状焼き菓子は、乾燥焼きすることで、含水量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは4〜6質量%とされており、サクサクとした軽い食感で、挟み焼き様の多孔質な内層構造を有する。
なお、「多孔質な内層構造」とは、焼き菓子の内層(断面)に0.5〜2mm程度の目が開いた丸い気泡のような空洞が無数にある状態を意味し、フレーク状や層状などの内層構造を有する焼き菓子(クラッカーやパイなど)とは、構造を異にする。
本発明により得られる薄板状焼き菓子は、オーブン天板から取り出した薄板状の焼成品を適度なサイズに割って、栄養補給も見込めるチップス状の焼き菓子とすることもできる。また、テンパリングしたチョコレートを表面全体に塗布し、ピスタチオやフルーツ顆粒などでトッピングしてもよい。このようにするとサクサクとした軽い食感のチョコチップスとすることができる。
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(1)生地の作製および焼成
(水中油型乳化物)パルファンドール ミヨシ油脂株式会社製 油分30質量%、メディアン径3.5μm
(粉末油脂1)マジカルケーキ ミヨシ油脂株式会社製 油分46質量%、メディアン径0.3μm
(粉末油脂2)マジカルエースN ミヨシ油脂株式会社製 油分60質量%、メディアン径0.67μm
メディアン径は、島津製作所製:SALD−2300湿式レーザー回折装置により測定した。粉末油脂については、水に溶解した時のメディアン径を測定した。
なお、上記粉末油脂は、水中油型乳化物を乾燥させ粉末化することによって得られたものである。
(起泡性流動状ショートニング)ケークドール ミヨシ油脂株式会社製 油分86質量%
表1に示す配合で実施例および比較例の起泡生地を作製した。
ホイッパーを使用し、原材料を合わせて起泡生地の比重が0.50前後となるようにミキシングした。比較例3は、起泡生地の比重が0.50まで下がらなかったため、比重が0.67の起泡生地を使用した。6取天板にオーブンシートを敷き、起泡生地を天板1枚あたり220g流し込み、3mm厚とした。
この天板をオーブンに入れ、140℃、約20分で乾燥焼きした。その後天板をとり出し、薄板状焼き菓子を得た。
(2)評価
実施例および比較例の焼き菓子について、次の評価を行った。
[焼成品のサクサ感]
生地作製直後に焼成した焼き菓子のサクサ感(サクサクとした軽い食感)と、生地作製後30分放置し、焼成した焼き菓子のサクサ感について、パネル12名で以下の基準により評価した。
パネルは、五味(甘、酸、塩、苦、うま味)の識別テスト、味の濃度差識別テスト、食品
の味の識別テスト、基準臭覚テストを実施し、その各々のテストで適合と判定された20
〜40代の男性5名、女性7名を選抜した。
評価基準
5:12名中10名以上が良好であると評価
4:12名中8〜9名が良好であると評価
3:12名中6〜7名が良好であると評価
2:12名中4〜5名が良好であると評価
1:12名中3人以下が良好であると評価
評価結果を表1に示す。
Figure 2017093308
実施例1〜6の焼き菓子は、挟み焼き様の多孔質な内層構造を有し、サクサクとした軽い食感の焼き菓子であった。生地作製後30分放置してから焼成しても、焼き菓子のサクサ感はほとんど失われなかった。
比較例1の焼き菓子は、卵類に代えて水を配合したものであるが、起泡力が弱く、サクサクとした軽い食感の焼き菓子とはならなかった。
比較例2の焼き菓子は、起泡性油脂素材を配合しなかったが、生地作製後30分放置すると、それから焼成した焼き菓子は、サクサ感が失われてしまった。
比較例3の焼き菓子は、起泡性油脂素材に代えて起泡性流動状ショートニングを配合したものであるが、起泡力が弱く、サクサクとした軽い食感の焼き菓子とはならなかった。

Claims (3)

  1. 穀粉、卵類、糖質、および、水中油型乳化物および粉末油脂から選ばれる少なくとも1種の起泡性油脂素材を含有する起泡生地を、オーブンを用いて焼成する、挟み焼き様の多孔質な内層構造を有する薄板状焼き菓子の製造方法。
  2. 起泡生地における穀粉の含有量が20〜30質量%、卵類の含有量が35〜46質量%、糖質の含有量が25〜36質量%、起泡性油脂素材の含有量が1.5〜5.5質量%である、請求項1に記載の薄板状焼き菓子の製造方法。
  3. 起泡性油脂素材が粉末油脂である、請求項1または2に記載の薄板状焼き菓子の製造方法。
JP2015225858A 2015-11-18 2015-11-18 薄板状焼き菓子の製造方法 Pending JP2017093308A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015225858A JP2017093308A (ja) 2015-11-18 2015-11-18 薄板状焼き菓子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015225858A JP2017093308A (ja) 2015-11-18 2015-11-18 薄板状焼き菓子の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2017093308A true JP2017093308A (ja) 2017-06-01

Family

ID=58803000

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015225858A Pending JP2017093308A (ja) 2015-11-18 2015-11-18 薄板状焼き菓子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2017093308A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101903447B1 (ko) * 2018-02-28 2018-10-02 (주) 삼아인터내셔날 초콜릿류를 입힌 웨하스의 제조방법.
KR101903436B1 (ko) * 2018-02-28 2018-10-02 (주) 삼아인터내셔날 웨하스의 제조방법.

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09172942A (ja) * 1995-12-27 1997-07-08 Nissei Kk 加熱膨化食品の製造方法
JP2005102684A (ja) * 2003-09-11 2005-04-21 Nisshin Oillio Group Ltd 菓子類用食感品質改良剤及び該菓子類用食感品質改良剤を含有する菓子類用生地、並びに菓子類の製造方法
JP2012210177A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 Mitsubishi-Kagaku Foods Corp 焼き菓子用生地

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09172942A (ja) * 1995-12-27 1997-07-08 Nissei Kk 加熱膨化食品の製造方法
JP2005102684A (ja) * 2003-09-11 2005-04-21 Nisshin Oillio Group Ltd 菓子類用食感品質改良剤及び該菓子類用食感品質改良剤を含有する菓子類用生地、並びに菓子類の製造方法
JP2012210177A (ja) * 2011-03-31 2012-11-01 Mitsubishi-Kagaku Foods Corp 焼き菓子用生地

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
日本食糧新聞, 2015/04/15, 20面, JPN6019027535, ISSN: 0004204111 *
月刊フードケミカル, 2009, VOL.25, NO.3, P.47-51, JPN6019027534, ISSN: 0004204112 *

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101903447B1 (ko) * 2018-02-28 2018-10-02 (주) 삼아인터내셔날 초콜릿류를 입힌 웨하스의 제조방법.
KR101903436B1 (ko) * 2018-02-28 2018-10-02 (주) 삼아인터내셔날 웨하스의 제조방법.

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2009072177A (ja) 食品用品質改良剤および食品
JP2747974B2 (ja) 電子レンジ加熱食品及びその食感改良方法
JP6845735B2 (ja) ベーカリー製品用改質剤とそれを用いたベーカリー生地およびベーカリー製品の製造方法
JP4468841B2 (ja) 鬆抑制剤、加熱ゲル化食品およびその製造方法
JP6671172B2 (ja) マシュマロの製造方法およびミックス粉
JP2004180516A (ja) 菓子及びその製造法
JP5125472B2 (ja) 蛋白質高含有焼き菓子生地又はパン生地の製造法
JP2017093308A (ja) 薄板状焼き菓子の製造方法
JP2003199536A (ja) 起泡組成物の製造方法および焼成菓子の製造方法
JP6557073B2 (ja) チルドパンとその製造方法
JPH05292874A (ja) パン粉
JP2019149982A (ja) ベーカリー用油中水型乳化油脂組成物
JP6316604B2 (ja) ベーカリー製品の製造方法
JP2015073474A (ja) ベーカリー上掛け用バッター生地
JP2021013378A (ja) 粉末油脂を用いた離水抑制剤
JP2014014299A (ja) 即席ガレット用ソバミックス粉及びその製造方法
JP6621993B2 (ja) 製菓製パン用粉末油脂
WO2020188694A1 (ja) 冷蔵又は冷凍焼成食品の製造方法
JP2005102684A (ja) 菓子類用食感品質改良剤及び該菓子類用食感品質改良剤を含有する菓子類用生地、並びに菓子類の製造方法
JP2000093070A (ja) 製菓用水中油型乳化組成物及びそれを用いるケーキの製造方法
JP7427416B2 (ja) ケーキ類生地及びケーキ類の製造方法
JP6715712B2 (ja) 湯種生地の製造方法およびベーカリー製品の製造方法
JP7530088B2 (ja) バターケーキ用プレミックス粉及びバターケーキ製造方法
JP7271125B2 (ja) バウムクーヘン生地及びバウムクーヘン
JP2009038995A (ja) 焼き菓子

Legal Events

Date Code Title Description
A80 Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80

Effective date: 20151126

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180926

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190723

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190719

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200204