JP2021013378A - 粉末油脂を用いた離水抑制剤 - Google Patents

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圭佑 魚住
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Abstract

【課題】豆腐や畜肉加工食品等へ冷解凍耐性、離水抑制効果を付与する技術を提供する。【解決手段】本発明の離水抑制剤は、乾燥型の粉末油脂を含み、前記粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物のメディアン径が0.3〜2.0μmであることを特徴としている。【選択図】なし

Description

本発明は、粉末油脂を用いた離水抑制剤に関する。
豆腐や畜肉加工食品は、加工(とりわけ加熱調理時)や流通保管時に離水してしまう問題があった。さらに近年は冷凍流通し、喫食時に解凍される場面が多く、解凍時に離水や、食感の悪化といった問題があり、改善が望まれていた。
離水を抑制する方法としては、特許文献1〜4の技術が知られているが、特許文献1、2は、製剤由来の異風味が生じていた。特許文献3、4は、増粘剤や硬化油を用いているため、食感が硬くなる。したがって、離水を抑制する方法としては改善の余地があった。
国際公開第2017/104807号 特開2016−103992号公報 特開2014−076041号公報 国際公開第2018/174204号
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、豆腐や畜肉加工食品等へ冷解凍耐性、離水抑制効果を付与する技術を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明の離水抑制剤は、乾燥型の粉末油脂を含み、前記粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物のメディアン径が0.3〜2.0μmであることを特徴としている。
本発明の離水抑制剤は、豆腐や畜肉加工食品等へ冷解凍耐性、離水抑制効果を付与する。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明において、離水抑制剤の粉末油脂に使用される油脂としては、特に限定されないが、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、菜種油、大豆油、綿実油、コーン油、ヒマワリ油、米油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、シア脂、サル脂、マンゴー油、イリッペ脂、カカオ脂、豚脂(ラード)、牛脂、乳脂、バターオイル、それらの分別油、加工油(硬化およびエステル交換反応のうち1つ以上の処理がなされたもの)等が挙げられる。これらの油脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において粉末油脂は、賦形剤を含むことが好ましい。賦形剤としては、例えば、蛋白質またはその分解物、糖質等が挙げられる。
蛋白質としては、例えば、乳蛋白質、大豆蛋白質、小麦蛋白質、エンドウ豆蛋白質、そら豆蛋白質、全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、バターミルクパウダー、コラーゲン、ゼラチン等が挙げられる。蛋白質の分解物としては、例えば、蛋白質を酵素消化等により加水分解したペプチド等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、乳蛋白質またはその分解物が好ましい。
乳蛋白質としては、例えば、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム、カゼインカリウム等のカゼイン類、ホエイ蛋白質、ミルクプロテインコンセントレート、トータルミルクプロテイン等が挙げられる。乳蛋白質の分解物としては、例えば、乳蛋白質を酵素消化等により加水分解した乳ペプチド等が挙げられる。これらの中でも、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、ホエイ蛋白質、乳ペプチド、酸カゼイン等の非ミセル状態であるものは、乳化安定性が向上する点で好ましい。
蛋白質またはその分解物の含有量は、特に限定されないが、粉末化前の乳化物の粘度等を考慮すると、粉末油脂全量に対して0.5〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましく、2〜6質量%がさらに好ましい。
糖質としては、例えば、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース等の単糖類、ラクトース、スクロース、マルトース、トレハロース等の二糖類、オリゴ糖、デキストリン(コーン、キャッサバ、米、馬鈴薯、甘藷、小麦等を原料とする、水あめ、粉あめ、マルトデキストリン、サイクロデキストリン、焙焼デキストリン、分岐サイクロデキストリン、難消化性デキストリン等)、澱粉(馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、甘藷デンプン、タピオカデンプン、緑豆デンプン、サゴデンプン等)等の多糖類、増粘多糖類(プルラン、アラビアガム、キサンタンガム、トラガントガム、ジェランガム、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギーナン、寒天、LMペクチン、HMペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、難消化性糖質、糖アルコール等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
糖質の含有量の下限は、乳化性を十分に高める観点から、粉末油脂全体の質量に対して30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。糖質の含有量の上限は、粉末油脂全体の質量に対して80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
本発明において粉末油脂には、乳化剤を配合することができる。乳化剤は、食品用であれば特に限定されるものではなく、例えば、レシチン、サポニン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、加工澱粉(エーテル化処理したカルボキシメチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプンや、エステル化処理したリン酸デンプン、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、酢酸デンプンや、湿熱処理デンプン、酸処理デンプン、架橋処理デンプン、α化処理デンプン等)等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乳化剤の含有量の下限は、乳化安定性の観点から、粉末油脂全体の質量に対して0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。該乳化剤の含有量の上限は、粉末油脂の風味や溶解性の観点から、粉末油脂全体の質量に対して30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
乳化剤のHLB値は、乾燥に適した水中油型乳化物が得られやすいという観点から、10以下が好ましい。ここでHLB値は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、Griffin式(Atlas社法)により求めることができる。
粉末油脂に乳化剤を配合する場合、通常は、油溶性乳化剤は油相に、水溶性乳化剤は水相に配合する。油相および水相には、酸化防止剤、着色料、フレーバー等を適宜に配合してもよい。
本発明において粉末油脂は、水中油型乳化物を乾燥した乾燥型粉末油脂であり、水に添加すると元の水中油型乳化物となり、油滴が再分散した状態となる。再溶解させた水中油型乳化物のメディアン径は0.3〜2.0μmであり、好ましくは0.5〜1.3μmである。この範囲内であると、豆腐や畜肉加工食品等への冷解凍耐性、離水抑制効果に優れる。メディアン径が小さすぎると、澱粉やタンパク質に油脂が作用しにくくなるので、油脂の効果が十分に奏されない。メディアン径が大きすぎると、油滴の分散性が低下したり、水中油型乳化物の乳化が不安定になり、離水抑制効果が十分に得られない。
本発明においては、粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物が、式(A)で表される歪度が−1〜1を取ることが好ましい。
Figure 2021013378
歪度(わいど):分布の形状が正規分布からどれだけ離れているかを表す指標。分布が左に偏れば正の値、正規分布であれば0、分布が右に偏れば負の値をとる。
歪度は0〜1であることが好ましく、0〜0.5であることがより好ましい。
式(A)で表される歪度が−1〜1を取ることで、豆腐や畜肉加工食品等への冷解凍耐性、離水抑制効果に優れる。歪度が大きくなるにつれて、小さい粒子の割合が多くなる。歪度が大きすぎると、澱粉やタンパク質に油脂が作用しにくくなるので、油脂の効果が十分に奏されない。歪度が小さくなるにつれて、大きい粒子の割合が多くなる。歪度が小さすぎると、水中油型乳化物の乳化が不安定になり、離水抑制効果が十分に得られない。
本発明においては、粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物の粒子径の標準偏差が、0.3以下の値を取ることが好ましい。
標準偏差:データの散らばりの度合いを示す値。分散の正の平方根を取り、データが平均値に集中しているほど値は小さくなり(最小値は0)、平均値から広がるほど値は大きくなる。
標準偏差は0.26以下であることが好ましく、0.20以下であることがより好ましい。標準偏差が0.30以下の値を取ることで、豆腐や畜肉加工食品等への冷解凍耐性、離水抑制効果に優れる。標準偏差が小さくなるほど粒子径の分布が狭くなり、より均一となるため、水中油型乳化物の乳化が安定になる。
本発明において、粉末油脂は、油脂含量が45質量%超であり、油脂に対する乳化剤と蛋白質またはその分解物の合計量の割合が0.06以上であることが好ましい。この範囲内であると、豆腐や畜肉加工食品等への冷解凍耐性、離水抑制効果に優れる。この観点より、油脂含量は60質量%以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、水中油型乳化物の乳化安定性等の点を考慮すると、例えば80質量%以下である。また油脂に対する乳化剤と蛋白質またはその分解物の合計量の割合は0.08以上がより好ましく、0.12以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、水中油型乳化物の粘度を過度に高めにくい等の点を考慮すると、例えば0.30以下が好ましく、0.25以下がより好ましい。
本発明において、粉末油脂は、油脂に対する乳化剤の割合が0.015以上であることが好ましい。この範囲内であると、豆腐や畜肉加工食品等への冷解凍耐性、離水抑制効果に優れる。特に豆腐の風味が向上し、畜肉加工食品の結着性が向上する。この観点より、油脂に対する乳化剤の割合は0.025以上がより好ましく、0.040以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、風味等の点を考慮すると、例えば0.200以下が好ましく、0.170以下がより好ましい。
本発明において、粉末油脂は、油脂に対する蛋白質またはその分解物の割合が0.043以上であることが好ましい。この範囲内であると、豆腐や畜肉加工食品等への離水抑制効果に優れる。この観点より、油脂に対する乳化剤の割合は0.046以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、水中油型乳化物の粘度を過度に高めにくい等の点を考慮すると、0.080以下が好ましく、0.070以下がより好ましい。
本発明において、粉末油脂は、蛋白質またはその分解物に対する乳化剤の割合が2.0以上であることが好ましい。この範囲内であると、豆腐や畜肉加工食品等の食感を改良し、離水抑制効果も向上する。この観点より、油脂に対する乳化剤の割合は2.5以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、水中油型乳化物の粘度を過度に高めにくい等の点を考慮すると、4.0以下が好ましく、3.5以下がより好ましい。
以下に、本発明における離水抑制剤の製造方法の一例について説明する。
粉末油脂は、賦形剤を含む水相に、前述のような油脂を含む油相を添加し、ホモミキサー等で攪拌、乳化後、ホモジナイザー等で均質化することにより、水中油型乳化物とし、その後、乾燥粉末化して得ることができる。
水中油型乳化物を乾燥粉末化する方法としては、噴霧乾燥法や凍結乾燥法を用いることができ、この噴霧乾燥法や凍結乾燥法により得られる乾燥型粉末油脂が用いられる。
水中油型乳化物は、賦形剤を含む水相と、油脂を含む油相を混合して調製することができる。例えば、次の乳化工程および均質化工程によって調製することができる。
乳化工程では、前述の各原材料を乳化機の撹拌槽に投入して撹拌混合する。原材料のうち、油脂と賦形剤と水の配合比は、特に限定されるものではないが、例えば、油脂と賦形剤の合計量100質量部に対して水50〜200質量部の範囲内にすることができる。
これらの配合手順は、特に限定されないが、例えば、賦形剤を水に室温で分散後、加熱下に攪拌し、あるいは賦形剤を加熱した水に分散、攪拌して完全に溶解させた後、ホモミキサーで攪拌しながら、油脂を加熱溶解させたものを滴下して乳化することができる。
均質化工程では、乳化工程において得られた乳化液を圧力式ホモジナイザーに供給することによって油滴サイズが微細化される。例えば、市販の圧力式ホモジナイザーを用いて、10〜250kgf/cm程度の圧力をかけて均質化し、油滴サイズを微細化することができる。
次に、噴霧乾燥法によって乾燥粉末化する場合には、均質化した乳化液を高圧ポンプで噴霧乾燥機の入口に供給し、高温熱風を吹き込み、噴霧乾燥機の槽内に上方から噴霧する。噴霧乾燥された粉末は槽内底部に堆積される。噴霧乾燥機としては、例えば、アトマイザー方式やノズル方式で噴霧するスプレードライヤーを用いることができる。
次に、噴霧乾燥された粉末を噴霧乾燥機の槽内から取り出した後、振動流動槽等により搬送しながら冷風で冷却することによって、粉末油脂を製造することができる。なお、適宜のときに加熱殺菌工程等を設けることもできる。
本発明の離水抑制剤は、以上に説明した乾燥型の粉末油脂を含み、粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物のメディアン径が0.3〜2.0μmである。
本発明の加工食品は、上述した本発明の離水抑制剤を含有する。加工食品とは、農産物、畜産物、水産物を原料として種々の処理加工、調理により製造された食品であり、例えば、豆腐等の大豆加工食品、ハンバーグ等の畜肉加工食品、ゲル化食品、卵加工食品、介護食、離乳食、惣菜類、冷凍食品、チルド食品などを例示することができる。畜肉加工食品へ離水抑制剤を含有させる方法としては、畜肉に直接練り込んで含有させる方法、ピックル液やバッター液に離水抑制剤を配合し、当該液へ食材を漬け込む方法、ピックル液を畜肉に直接注入する方法などが挙げられ、離水を効果的に抑制できる観点から、畜肉に直接練り込んで含有させる方法が特に好ましい。
本発明の離水抑制剤によれば、冷解凍耐性、離水抑制効果に優れ、豆腐用、畜肉練り込み用、ゲル化食品用、卵加工食品用等に好適に用いることができる。畜肉練り込み用としては、ハンバーグ、肉団子等が例示される。豆腐用としては、豆腐そのものの他に、豆腐を加工した食品(焼き豆腐、がんもどき、厚揚げ、油揚げ、豆腐ステーキ、豆腐ハンバーグ)等が例示される。ゲル化食品用としては、ゼリー等が例示される。卵加工食品用としては、卵焼き、オムレツ、スクランブルエッグ、茶碗蒸し、プリン等が例示される。豆腐用に用いた場合、キメが非常に滑らかであり、白度が高く、なめらかさとコクに優れ、青臭さが低減する。畜肉練り込み用に用いた場合、焼成後の焼減、縮みが少なく、やわらかさに優れる。ゼリーに用いた場合、白度が高くソフトな食感になり、なめらかさとコクに優れる。本発明の離水抑制剤の添加量は、特に限定されないが、例えば畜肉練り込み用としては畜肉加工食品全体中に3〜10質量%、豆腐用としては豆腐全体中に1.5〜10質量%、ゼリーとしてはゼリー全体中に3〜10質量%である。また、高カロリーゼリーとして添加する場合、ゼリー全体中に10質量%以上添加することでさらに離水抑制効果が高まる。粉末油脂は水分量がほとんどないので、同量の油脂分を水中油型乳化物の形態で加工食品に含有させる場合と比べ、水分量増加による離水増大もなく、加工時の作業性も良好である。
本発明の離水抑制剤は、介護食や離乳食にも好適に用いることができる。介護食としては、嚥下食、きざみ食、ミキサー食、ソフト食等が例示される。本発明の離水抑制剤を介護食用に用いた場合、なめらかさとまとまりやすさが向上する。本発明の離水抑制剤の添加量は、特に限定されないが、例えば介護食用としては、介護食全体中に3〜20質量%の範囲を例示することができる。
本発明の離水抑制剤には、任意の原料(トウモロコシ、米、小麦、豆類、馬鈴薯、甘藷、タピオカ)から得られる澱粉およびその加工澱粉等から選択される1種以上の澱粉類を配合することができる。本発明の離水抑制剤は、乾燥型の粉末油脂と澱粉類を併用することで、冷解凍耐性、離水抑制効果をさらに高めることができる。澱粉類の添加量としては、例えば、乾燥型の粉末油脂に対する澱粉類の割合が0.02〜60の範囲を例示することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<離水抑制剤の作製>
表2、表4に記載の油脂に乳化剤(加工澱粉は水相へ添加)を添加して60℃に加熱し、油相とした。同表に記載の粉末油脂組成に対して等量の水(約20℃)に、同表に記載の蛋白質またはその分解物と糖質を添加して60℃に加熱し、水相とした。水相と油相を混合して乳化後、圧力式ホモジナイザーを用いて150kgf/cmの圧力で均質化し、乳化液として水中油型乳化物を得た。得られた乳化液を、ノズル式スプレードライヤーを用いて25ml/minの流量で噴霧乾燥し、水分が1.5%の離水抑制剤(粉末油脂)を得た(噴霧乾燥条件:入口温度210℃)。得られた乾燥型の粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物のメディアン径、粒子径の標準偏差は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SALD−2300、島津製作所製)を用いて測定した。歪度は、前記測定で得られた粒度分布の結果から、前記式(A)により算出され、表計算ソフト(例えば、マイクロソフト社のEXCELなど)を用いることにより容易に算出することができる。
なお、比較例2は、水中油型乳化物(噴霧乾燥はしていない)であり、メディアン径、粒子径の標準偏差は均質化後の測定値である。
<冷凍豆腐の作製>
1.水に加工澱粉、還元澱粉分解物、塩化マグネシウムを溶解させる。
2.豆乳を添加し、攪拌する。
3.離水抑制剤を添加し、均一になるように混ぜ合わせる(豆乳液)。
4.容器に50mlずつ分注する。
5.15分間蒸し、加熱を止め15分蒸らす。
6.冷却後に急速冷凍する。
Figure 2021013378
一晩冷凍後、室温で解凍させ、離水量の測定と断面観察、白度の測定、官能評価を行った。なお、評価は△以上を課題が解決できたものとした。
[離水量]
豆腐の中心部を4g切り取り、ろ紙上で20℃、3時間後の吸水量を測定した。ろ紙に吸水された量を、豆腐からの離水量として下記基準に従って評価した。
◎:離水量が0.25g未満
○:離水量が0.25g以上0.27g未満
△:離水量が0.27g以上0.29g未満
×:離水量が0.29g以上
[断面の状態]
豆腐の断面の状態について目視により下記基準に従って評価した。
◎:キメが非常に滑らかである。
○:キメの粗さが僅かにある。
△:キメの粗さが見られる。
×:キメの粗さが顕著である。
[白度]
冷凍豆腐の作製工程3で得られた豆乳液を分光色差計にて測定し、ハンター白色度を算出して下記基準に従って評価した。白度の数値が高いほど、豆腐の色がより白いことを表す。
○:ハンター白度が79.0以上
△:ハンター白度が78.0以上79.0未満
×:ハンター白度が78.0未満
各豆腐をパネル20名で試食し、「なめらかさ」、「コク」、「青臭さ」を、離水抑制剤を添加していない参考例を基準(5点)として10点満点で評価し、その平均値を求めた。なお、「なめらかさ」「コク」は参考例と比べて強いと感じるほど10点に近く、「青臭さ」は参考例と比べて弱いと感じるほど10点に近い点数をつけた。
下記において風味を評価した評価パネルは、20組の異なる食感および風味の豆腐を用意して、1対2点試験法(duo−trio test 2種類の試料に対して、3個の試料を提示するが、どちらか一方の試料を標準試料として提示し、標準試料と同じものを選択する手法)を行い、正解率70%以上の人を選抜した。評価を実施するにあたりパネル全体で討議し、各評価項目の特性に対してすり合わせを行って、各パネルが共通認識を持つようにした。また、官能評価におけるパネルの偏りを排除し、評価の精度を高めるために、サンプルの試験区番号や内容はパネルに知らせず、ランダムに提示した。
[豆腐の官能評価(なめらかさ)]
◎:「なめらかさ」の平均値が7.5点超
○:「なめらかさ」の平均値が6点超7.5点以下
△:「なめらかさ」の平均値が5点超6点以下
×:「なめらかさ」の平均値が5点以下
[豆腐の官能評価(コク)]
◎:「コク」の平均値が8点超
○:「コク」の平均値が6点超8点以下
△:「コク」の平均値が5点超6点以下
×:「コク」の平均値が5点以下
[豆腐の官能評価(青臭さ)]
◎:「青臭さ」の平均値が8点超
○:「青臭さ」の平均値が6点超8点以下
△:「青臭さ」の平均値が5点超6点以下
×:「青臭さ」の平均値が5点以下
上記の測定、評価の結果を表2に示す。
Figure 2021013378
<ハンバーグの作製>
1.パン粉と牛乳を合せる。
2.牛挽肉、豚挽肉、食塩、油脂を均一になるまで練り合わせる。
3.2に1、ソティーオニオン、卵、黒胡椒、ナツメグを加え更に均一になるまで練り合わせる。
4.100gに分け、20回空気を抜く。手で円形型に成型する。
5.180℃で焼成する。
Figure 2021013378
[焼減率]
焼成前後の重量差からドリップ量を求め、焼成前重量に対するドリップ量から焼減率(%)を算出した。焼減率を、焼成前後における離水量として評価した。焼減率が低いほど、離水が抑えられていることを表している。
焼減率(%)=(焼成前重量−焼成後重量)/焼成前重量×100(%)
◎:焼減率が12%未満
○:焼減率が12%以上16%未満
△:焼減率が16%以上20%未満
×:焼減率が20%以上
[縮み率]
レーザー体積計Volscan(Stable Micro Systems社製)を用いて、焼成前後の体積を測定して縮み率(%)を算出し、下記基準に従って評価した。焼成前後で離水が多いほど縮み率が高くなるため、縮み率が低いほど離水が抑えられていることを表している。
◎:縮み率が5%未満
○:縮み率が5%以上8%未満
△:縮み率が8%以上12%未満
×:縮み率が12%以上
[やわらかさ]
テクスチャーアナライザーEZ−SX200N(株式会社島津製作所社製)を用いて、50%圧縮、1mm/secの条件で荷重(N)を測定し、下記基準に従って評価した。◎:圧縮時のかかる力が16N以下
○:圧縮時のかかる力が16N以上17N未満
△:圧縮時のかかる力が17N以上20N未満
×:圧縮時のかかる力が20N以上
上記の測定、評価の結果を表4に示す。
Figure 2021013378
次に、表5に示す配合の離水抑制剤(粉末油脂)と水中油型乳化物を用いて、表6に示す配合で上記と同様にハンバーグの生地種を作製し、成形性、保形性を下記項目について粉末油脂と水中油型乳化物の違いを評価した。
[成形性(作業性)]
生地種を手で成形した際のまとまりやすさを、下記基準に従って評価した。
○:生地種のつながりが良く、まとまりやすい
△:まとまりやすいが、力を加えると崩れる
×:生地種のつながりが悪く、まとまりにくい
[保形性]
成形後の生地種をバットの上に並べた際の生地状態を、下記基準に従って目視で評価した。
○:成形後室温下で5分静置してもだれない
△:静置直後は形を保っているが、5分以内にだれる
×:静置直後に形が崩れる
上記の測定、評価の結果を表6に示す。
Figure 2021013378
Figure 2021013378
表6に示したように、実施例8の粉末油脂と比較例2の水中油型乳化物を用いてハンバーグを作製した結果、水中油型乳化物を用いて作製すると生地種のつながりが悪く保形性も十分ではなかったが、粉末油脂を用いて作製すると生地種のつながりが良く、しっかりとした保形性を有していたことから、粉末油脂の形態であることによって、離水抑制効果だけでなく作業性の面でも有用であることが示された。
<介護食(ミキサー食)の作製>
以下の手順でミキサー食を作製した。
1.各材料を、表7の配合ですべて合わせて、ペースト状になるまでミキサーにかける。
2.90℃、3分間加熱する。
3.容器に50gずつ入れて室温で冷却する。
4.冷却後に急速冷凍して、−20℃で1週間保管する。
Figure 2021013378
[離水量]
作製した冷凍ミキサー食50gを室温で3時間放置した際に離水した水分量を測定し、下記基準に従って評価した。
◎:離水量が0.50g未満
○:離水量が0.50g以上0.60g未満
×:離水量が0.60g以上
Figure 2021013378
表8に示したように、実施例1、3〜8の離水抑制剤を配合したミキサー食では、離水量が抑制されていることが確認された。
<冷凍卵焼きの作製>
以下の手順で冷凍卵焼きを作製した。
1.全ての原材料をボウルに合わせる。
2.卵焼き器に油をひき、表面温度が150℃になるまで加熱する。
3.1で合わせた生地全量の3分の1を2に流し入れ、火が通ったら巻く。
4.再度生地全量の3分の1を流し入れ、火が通ったら巻く。
5.残りの生地を流し入れ、火が通ったら巻く。
6.室温で60分徐冷後、急速冷凍して、−20℃で3日間保管する。
[離水率]
冷凍前と室温解凍2時間後の重量差からドリップ量を求め、冷凍前重量に対するドリップ量から離水率(%)を算出した。離水率を、冷解凍前後における離水量として評価した。離水率が低いほど、離水が抑えられていることを表している。
◎:離水量が2.0%未満
○:離水量が2.0%以上4.0%未満
△:離水量が4.0%以上6.0%未満
×:離水量が6.0%以上
Figure 2021013378
表9に示したように、実施例2の離水抑制剤を配合した卵焼きでは、離水量が抑制されていることが確認された。また、実施例2の離水抑制剤(粉末油脂)に馬鈴薯澱粉を配合した形態である実施例2−2の離水抑制剤では、離水量がより抑制されることが確認された。

Claims (10)

  1. 乾燥型の粉末油脂を含み、前記粉末油脂を再溶解させた水中油型乳化物のメディアン径が0.3〜2.0μmである、離水抑制剤。
  2. 前記水中油型乳化物が、式(A)で表される歪度が−1〜1を取る、請求項1に記載の離水抑制剤。
    Figure 2021013378
  3. 前記水中油型乳化物の粒子径の標準偏差が0.30以下の値を取る、請求項1または2に記載の離水抑制剤。
  4. 前記粉末油脂は、油脂含量が45質量%超であり、前記油脂に対する乳化剤と蛋白質またはその分解物の合計量の割合が0.06以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の離水抑制剤。
  5. 前記粉末油脂は、油脂に対する乳化剤の割合が0.015以上である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の離水抑制剤。
  6. 前記粉末油脂は、油脂に対する蛋白質またはその分解物の割合が0.043以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の離水抑制剤。
  7. 前記粉末油脂は、蛋白質またはその分解物に対する乳化剤の割合が2.0以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の離水抑制剤。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の離水抑制剤を含有する、加工食品。
  9. 豆腐用である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の離水抑制剤。
  10. 畜肉練り込み用である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の離水抑制剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024009991A1 (ja) * 2022-07-08 2024-01-11 日清オイリオグループ株式会社 ゲル状食品、ゲル状食品の製造方法、及びゲル状食品の容器付着抑制方法

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