JP2003183692A - 不飽和脂肪酸含有油脂粉末 - Google Patents

不飽和脂肪酸含有油脂粉末

Info

Publication number
JP2003183692A
JP2003183692A JP2001389670A JP2001389670A JP2003183692A JP 2003183692 A JP2003183692 A JP 2003183692A JP 2001389670 A JP2001389670 A JP 2001389670A JP 2001389670 A JP2001389670 A JP 2001389670A JP 2003183692 A JP2003183692 A JP 2003183692A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
oil
fatty acid
unsaturated fatty
emulsion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001389670A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichi Ohori
浩一 大堀
Atsushi Saito
淳 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2001389670A priority Critical patent/JP2003183692A/ja
Publication of JP2003183692A publication Critical patent/JP2003183692A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 味覚等への悪影響が無く、酸化安定性に優れ
た不飽和脂肪酸含有油脂粉末、及びその不飽和脂肪酸含
有油脂粉末を容易に製造できる製法の提供。 【解決手段】 不飽和脂肪酸含有油脂(A)、糖アルコ
ール(B)、乳化剤(C)、必要により(B)及び
(C)成分以外の水溶性糖類(D)を含有してなる粉末
であって、(B)成分の配合量が、(A)成分100重
量部に対して1〜30重量部である、不飽和脂肪酸含有
油脂粉末、及びその製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、酸化安定性に優れ
た機能的な不飽和脂肪酸含有油脂粉末及びその製法に関
する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】油脂
は、栄養源あるいは生理活性(薬効)物質として配合素
材、製品として有用である。特に、α−リノレン酸、γ
−リノレン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、ドコサ
ペンタエン酸(DPA)、エイコサペンタエン酸(EP
A)、アラキドン酸(ADP)等に代表される不飽和脂
肪酸を構成脂肪酸として含む不飽和脂肪酸含有油脂は、
健康との関わりが深い多様な生理機能を発現することか
ら、健康食品や医薬品等への利用が活発となってきてい
る。
【0003】これらの不飽和脂肪酸含有油脂は、液状で
も有用であるが、粉末化することにより新たな機能を付
加することができる。例えば、配合の自由度向上、加工
性の付与、安定性向上等が挙げられ、これらの機能を有
効に活用することで、多様な商品を作り出すことが可能
である。しかしながら、不飽和脂肪酸含有油脂は、酸化
に対する安定性が極めて低く、酸化安定性に優れる粉末
を得ることは困難であった。
【0004】かかる欠点を解決すべく、特許第3142601
号には、ビタミンC及び/又はその塩を特定比率配合す
ることを特徴とする保存性が改善された魚油添加粉乳及
びその製造方法が開示されている。これは、乳化工程で
失活する抗酸化剤量を見込んで、過剰に抗酸化剤を配合
するものであるが、不飽和脂肪酸含有油脂に対する抗酸
化剤の配合量が多く、味覚への影響が懸念される。
【0005】又、特開平7-305088号公報には、W/O型
に乳化されたアスコルビン酸又はその塩を油脂中に分散
させ、噴霧乾燥する方法が開示されている。これは、水
溶性抗酸化剤を油脂中に分散させることによりその効果
を向上させたもので、抗酸化剤は少量で良いが、乳化操
作が煩雑となる。
【0006】以上の様に、酸化抑制に対する様々な工夫
が提案されているが、充分満足できるものではなく未だ
検討の余地がある。
【0007】本発明の課題は、味覚等への悪影響が無
く、酸化安定性に優れた不飽和脂肪酸含有油脂粉末、及
びその不飽和脂肪酸含有油脂粉末を容易に製造できる製
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、糖アルコ
ールを不飽和脂肪酸含有油脂に対して特定比率配合する
ことで、味覚等への悪影響が無く、酸化安定性に優れる
粉末が得られることを見出し、また、乳化を行う際に、
乳化物中の溶存酸素量を低減することによって、より酸
化安定性に優れる粉末が得られることを見出した。
【0009】即ち、本発明は、不飽和脂肪酸含有油脂
(A)、糖アルコール(B)、乳化剤(C)、必要によ
り(B)及び(C)成分以外の水溶性糖類(D)を含有
してなる粉末であって、(B)成分の配合量が、(A)
成分100重量部に対して1〜30重量部である、不飽
和脂肪酸含有油脂粉末、及びその製法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】[(A)成分](A)成分は、本
発明により粉末化される不飽和脂肪酸含有油脂であり、
油脂を構成する脂肪酸成分の一部又は全部が、不飽和脂
肪酸である植物性油脂及び/又は動物性油脂が好まし
い。植物性油脂としては、ナタネ油、大豆油、ヤシ油、
パーム油、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン
油、ひまわり油、紅花油、ゴマ油、米油、亜麻仁油、月
見草油、ボラージ油、シソ実油等が挙げられ、動物性油
脂としては、牛脂、豚脂、羊脂、魚油(マグロ、サバ、
イワシ、カツオ、ニシン等)等が挙げられる。
【0011】これらの中でも、炭素数18以上で、不飽
和結合を2つ以上有する不飽和脂肪酸成分を含有する油
脂が特に好ましい。具体的な不飽和脂肪酸成分として
は、リノール酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、ド
コサヘキサエン酸(DHA)、ドコサペンタエン酸(D
PA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、アラキドン
酸(ADP)等が挙げられる。
【0012】これらの(A)成分は、トリグリセリドで
も一部又は全部がジグリセリドの形態であっても良く、
場合によっては少量のモノグリセリドが存在していても
良い。また、(A)成分は、一部が水素添加により硬化
したものであっても良い。
【0013】これらの(A)成分は、必要に応じ2種以
上の不飽和脂肪酸含有油脂を組合わせて使用しても良
く、又、比較的酸化安定性に優れる他の油脂と混合して
使用しても良い。
【0014】不飽和脂肪酸含有油脂粉末中の(A)成分
の含有量は、経済性の観点から、5重量%以上が好まし
く、10重量%以上がより好ましい。又、油保持性(油
の染み出し防止)の観点から、80重量%以下が好まし
く、60重量%以下がより好ましい。従って、経済性、
油保持性の観点から、(A)成分の含有量は不飽和脂肪
酸含有油脂粉末中、5〜80重量%が好ましく、10〜
60重量%がより好ましい。
【0015】[(B)成分](B)成分は、本発明の不
飽和脂肪酸含有油脂粉末の酸化安定性を向上させる機能
を有する糖アルコールである。糖アルコールは水溶性糖
類に属し、単糖、2糖、オリゴ糖等の各還元物が挙げら
れる。その中でも、効果、取扱い性、粒子形成性の観点
から、単糖の還元物であるソルビトール、マンニトー
ル、キシリトール等が好ましく、ソルビトールがより好
ましい。
【0016】糖アルコールは、抗酸化効果を持つと同時
に、賦形剤(皮膜形成剤)としての役割も持つので、他
の抗酸化剤とは異なり多量に配合することが可能であ
る。又、甘味料としても使用されている物質である為、
多量配合による味覚への悪影響も無い。
【0017】(B)成分の配合量は、酸化抑制効果の観
点から、(A)成分100重量部に対して1〜30重量
%であり、5〜20重量%が好ましい。
【0018】また、得られる粉末の流動性向上あるいは
ケーキング性を防止する観点から、(B)成分の配合量
は、不飽和脂肪酸含有油脂粉末を構成する成分の内、
(A)成分を除く成分100重量部に対して50重量%
以下が好ましく、30重量部以下がより好ましい。
【0019】[(C)成分](C)成分は、(A)成分
を乳化させる為の乳化剤であり、安定に乳化させる機能
を持つものであれば特に限定されない。例えば、カゼイ
ンナトリウム、ゼラチン、乳蛋白、大豆蛋白等の水溶性
蛋白質、アラビアガム、キタンサンガム等のガム類、レ
シチン等のリン脂質、エステル化化工澱粉、ショ糖脂肪
酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリ
ン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤等が挙げられ
る。中でも、乾燥により皮膜を形成し賦形剤としても有
効に作用するものが適宜選択できる。具体的には、カゼ
インナトリウム、水溶性蛋白質、ガム類、エステル化化
工澱粉等が好ましい。これらの(C)成分は、必要に応
じ2種以上組合わせて使用しても良い。組合せにより、
複合効果を期待することができる。
【0020】不飽和脂肪酸含有油脂粉末中の(C)成分
の含有量は、乳化安定性の観点から、1重量%以上が好
ましく、5重量%以上がより好ましい。又、粉末の溶解
性及びコストの観点から、50重量%以下が好ましく、
30重量%以下がより好ましい。従って、乳化安定性、
溶解性及びコストの観点から、(C)成分の含有量は不
飽和脂肪酸含有油脂粉末中、1〜50重量%が好まし
く、5〜30重量%がより好ましい。
【0021】[(D)成分](D)成分は、必要に応じ
て用いられる賦形剤であり、(A)成分を固定化し粒子
を形成させる為の(B)成分及び(C)成分以外の水溶
性糖類である。具体的には、グルコース、果糖、乳糖、
麦芽糖、蔗糖、デキストリン、シクロデキストリン、マ
ルトース、フルクトース、プルラン等が挙げられる。こ
の中でも、溶解性、吸湿性、粒子形成性の観点から、デ
キストリンが特に好ましい。又、上記の(D)成分は、
必要に応じ2種以上組合わせて使用しても良い。
【0022】不飽和脂肪酸含有油脂粉末中の(D)成分
の含有量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分の配
合量により変動するので特に限定されないが、粒子形成
性の観点から、5〜90重量%が好ましく、20〜70
重量%がより好ましい。尚、(C)成分が賦形剤として
の機能を有する場合には、(D)成分を配合しなくても
良い。
【0023】[その他の成分]本発明の不飽和脂肪酸含
有油脂粉末には、(A)成分、(B)成分、(C)成
分、(D)成分以外にも、必要に応じ他の物質が含まれ
ていても良い。例えば、防腐剤、着色剤、崩壊又は増量
剤(水溶性無機塩類)、香料、水溶性抗酸化剤、油由来
の各種抗酸化剤等が挙げられる。又、使用する原料及び
製造プロセス由来の水分を含有しても良い。これらは、
本発明の不飽和脂肪酸含有油脂粉末中に配合されても、
別途配合されても良い。尚、不飽和脂肪酸含有油脂粉末
中の水分含量は、菌増殖に関わる水分活性の観点から、
10重量%以下が好ましく、5重量%以下がより好まし
い。
【0024】[不飽和脂肪酸含有油脂粉末の製法]本発
明の不飽和脂肪酸含有油脂粉末は、(A)成分、(B)
成分、(C)成分、必要に応じ(D)成分及び水を含有
するO/W型乳化物を調製し、該乳化物を乾燥させるこ
とにより製造することができる。
【0025】乳化を行う際に、(B)成分を抗酸化剤と
しては比較的多量に配合することで、乳化から乾燥工程
におけるラジカルの発生を抑制し、更に粉末化された後
にも(B)成分が充分量残存しているので、酸化安定性
に優れる粉末となる。
【0026】更に、乳化工程において、乳化物中の酸素
飽和率を30%以下、好ましくは15%以下にすると、
より酸化安定性の高い粉末となると同時に、(B)成分
の配合量を低減することができる。
【0027】ここで、酸素飽和率とは、市販のポーラロ
グラフ型の溶存酸素計で測定される値であり、空気飽和
水中の溶存酸素量を100%として、その状態に対して相
対的に酸素濃度を表す数値である。
【0028】O/W型乳化物は、(A)成分、(B)成
分、(C)成分、必要に応じて(D)成分及び水を混合
することによって調製される。
【0029】O/W型乳化物を調製する場合の各成分の
混合方法は特に限定されないが、例えば、下記、の
方法が挙げられる。 水に(B)成分と(C)成分と必要に応じ(D)成
分を溶解した水相を調製し、攪拌下に(A)成分を添加
するか、(A)成分に該水相を添加する方法。 水に(B)成分と必要に応じ(D)成分を溶解させ
た水相と、(A)成分に(C)成分を溶解させた油相を
別々に調製し、攪拌下に水相と油相を混合する方法。こ
の場合、水相を攪拌しておきそこに油相を添加しても、
油相を攪拌しておきそこに水相を添加してもいずれでも
良い。又、水相と油相を同時に添加し混合しても良い。
【0030】乳化を行う場合に使用する乳化機として
は、静止型乳化・分散機、一般的な攪拌機、ホモミキサ
ー等の攪拌型乳化機、ホモジナイザー等の高圧乳化機を
使用することが好ましい。特に、静止型乳化・分散機又
は攪拌型乳化機で予備分散した後、高圧乳化機で処理す
ると、より均一で微細な乳化・分散液が得られ好まし
い。
【0031】本発明に係わる乳化物の平均乳化粒径は、
0.05〜20μmが好ましく、0.1〜10μmが更
に好ましい。尚、この平均乳化粒径は、実施例の項に示
す方法で測定することができる。
【0032】乳化物中の溶存酸素低減操作は、上記の乳
化物の調製工程において、減圧処理、窒素等の不活
性ガスの通気、減圧と不活性ガス通気の併用等の処理
法により行うことができる。これらの処理法の中でも、
減圧と不活性ガス通気の併用操作が、溶存酸素低減の効
率が高く好ましい。又、不活性ガスの通気は、乳化槽の
気相部、液相部のいずれに通気しても良いが、液との接
触を高め、溶存酸素の除去効率を上げる為には、攪拌下
で液相部に通気することが好ましい。
【0033】上記の溶存酸素低減操作を行う時期は、特
に限定されないが、例えば、1)乳化操作を行う前、各
種原料を各々溶存酸素低減操作を行ってから乳化する
か、又は、水相と油相を調製する段階で溶存酸素低減操
作を行う、2)乳化操作を行う際に、同時に溶存酸素低
減操作を行う、3)乳化操作終了後に溶存酸素低減操作
を行う等、いずれか又はそれらの組合せでも良い。特
に、乳化操作前に溶存酸素低減操作を行うと、乳化初期
におけるラジカルの発生防止及び酸素除去効率の観点か
ら好ましい。尚、全ての時期に行うと更に好ましい。
【0034】この様にして得られたO/W型乳化物を、
乾燥することによって、酸化安定性に優れる不飽和脂肪
酸含有油脂粉末が得られる。
【0035】乾燥法は、一般的な方法を用いることがで
き、特に限定されないが、例えば、噴霧乾燥、凍結乾
燥、真空乾燥、ベルト乾燥、棚乾燥、ドラム乾燥等が挙
げられる。噴霧乾燥以外の方法で乾燥した場合には、所
望の粒径の粒子を得る為に粉砕を行う。これらの乾燥法
の中では、生産性、熱履歴、粒子形状等の観点から、噴
霧乾燥法を用いるのが特に好ましい。
【0036】尚、噴霧乾燥法で不飽和脂肪酸含有油脂粉
末を形成させる場合、その粒径は、使用する噴霧ノズル
により任意に調整できるが、必要に応じ、更に得られた
粒子を凝集させ凝集粒子とすることもできる。
【0037】[不飽和脂肪酸含有油脂粉末]本発明の不
飽和脂肪酸含有油脂粉末は、(A)成分、(B)成分、
(C)成分、及び必要により(D)成分を含有する、酸
化安定性に優れる油脂粉末である。
【0038】本発明の油脂粉末の平均粒径は、流動性及
び溶解性の観点から10〜1000μmが好ましく、5
0〜500μmがより好ましい。尚、この平均粒径は、
実施例の項に示す方法で測定することができる。又、本
発明の油脂粉末は、単一粒子であっても凝集粒子であっ
ても良い。
【0039】本発明の油脂粉末中の水分含量は、菌増殖
に関わる水分活性の観点から、10重量%以下が好まし
く、5重量%以下がより好ましい。
【0040】本発明の不飽和脂肪酸含有油脂粉末は、荷
重を加えても成分が染み出し難いので、押出造粒、ブリ
ケット、打錠等により、顆粒や錠剤とすることも可能で
ある。
【0041】この様に、本発明の不飽和脂肪酸含有油脂
粉末は、酸化安定性が高く、且つ取扱い性及び形状加工
性に優れる工業的に好ましい油脂粉末である。
【0042】
【実施例】例中の%は、特記しない限り重量%である。
【0043】実施例1 不飽和脂肪酸含有油脂としてボラージ油(ロシュ・ビタ
ミン・ジャパン(株)製 ロプファ ボラージ油 タイプ
25)を用い、下記の工程に従い不飽和脂肪酸含有油脂
粉末を作製した。
【0044】(1)水相の調製 2Lの三角フラスコに水720gを仕込み、デキストリ
ン(松谷化学工業(株)製 パインデックス#2)15
6g、ソルビトール(東和化成工業(株)製ソルビット
Wパウダー50)24gを投入して完全に溶解し、得ら
れた水溶液を5分間減圧状態(13kPa)にして合計9
00gの水相を調製した。
【0045】(2)油相の調製 3Lスケールのセパラブルフラスコにボラージ油240
gを仕込み、タービン翼による攪拌下(150r/min:
0.5m/s)、カゼインナトリウム(三栄源FFI
(株)製)60gを添加し10分間攪拌して溶解した。
この間、溶解時の空気混入防止と溶存酸素低減の為、油
相に窒素を通気した(40mL/min)。またフラスコ内部
を13kPaに減圧にしながら、更に窒素の通気を続け
た。
【0046】(3)乳化 上記の操作で得られた油相300gに、水相900gを
添加し、フラスコ内部を13kPaに減圧にしながら液部
に窒素を通気した(40mL/min)状態で、攪拌下(15
0r/min:1.0m/s)、30分間予備乳化操作を行い乳
化物を得た。得られた乳化物の酸素飽和率は14%であ
った。
【0047】次に、予備乳化物を、高圧ホモゲナイザー
(ナノマイザー製)を用い、一次圧力35MPaで処理し
乾燥用のO/W型の均質乳化物を得た。この間、高圧乳
化処理にかけられる予備乳化物は、大気圧下、窒素雰囲
気状態とした。又、高圧乳化物も同様な状態とし、大気
からの空気混入を防止した。乾燥直前の乳化物の酸素飽
和率は、予備乳化物と同様であった。又、平均乳化粒径
は約0.4μmであった。
【0048】(4)乾燥 上記の乳化操作で得られた乳化物を、噴霧乾燥機(東京
理化器機(株)製 SD−1000型)を用い、乳化物
供給量600g/hr、送風温度150℃、排風温度80℃
の条件で噴霧乾燥し、含油率50%、水分含量2.5
%、平均粒径13.0μmのボラージ油粉末を得た。
【0049】尚、乳化物中の酸素飽和率及び平均乳化粒
径、油脂粉末の平均粒径は以下の方法で測定した。
【0050】<乳化物中の酸素飽和率>酸素飽和率の測
定には、ポーラログラフ型の溶存酸素計(メトラー・ト
レド(株)製 MO128型)を採用した。乳化物を攪
拌子の入った100mLの三角フラスコに空気が混入し
ないように注意深く分取し、大気下で校正した測定電極
を装着して測定を行った。この時、フラスコ内に空気相
が出来ない様に注意した。スターラーで乳化物を攪拌し
ながら、溶存酸素計のマニュアルに従い溶存酸素を測定
した。測定により得られた%表示の値をその乳化物中の
酸素飽和率とした。
【0051】<乳化物の平均乳化粒径、油脂粉末の平均
粒径>レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA−9
20(堀場製作所(株)製)を用い、メジアン径を乳化
物の平均乳化粒径又は油脂粉末の平均粒径とした。分散
溶媒には、乳化物の平均乳化粒径を測定する場合には
水、油脂粉末の平均粒径を測定する場合にはエタノール
を使用した。測定においては、攪拌を中位(具体的に
は、測定装置LA−920の7段階の4)とし、サンプ
ルを添加して所定濃度に調整後、中位レベル(具体的に
は、測定装置LA−920の7段階の4)の超音波を1
分間照射し各々の粒径を測定した。
【0052】比較例1 ソルビトールをデキストリンに置換え、油相及び水相の
調製、乳化の各操作を、窒素の通気及び減圧を行わず、
大気下で実施した以外は実施例1と同様の操作を行い、
含油率50%、水分含量3.0%のボラージ油粉末を得
た。
【0053】乳化物中の酸素飽和率及び平均乳化粒径、
油脂粉末の平均粒径を実施例1と同様に測定した。結果
を表1に示す。
【0054】比較例2 実施例1の水相の調製において、ソルビトールを加え
ず、デキストリンの量を180gとする以外は実施例1
と同様の操作を行い、含油率50%、水分含量3.5%
のボラージ油粉末を得た。
【0055】乳化物中の酸素飽和率及び平均乳化粒径、
油脂粉末の平均粒径を実施例1と同様に測定した。結果
を表1に示す。
【0056】試験例1 実施例1及び比較例1〜2で得られた油脂粉末の酸化安
定性を、以下の測定方法に従って測定した。結果を表1
に示す。
【0057】<酸化安定性>油脂粉末を50mLのスク
リュー管に約6割充填し、上部の気相部に窒素を封入し
て、50℃に設定した恒温槽で所定日数保存した。所定
日数保存した油脂粉末から、高速溶媒抽出装置(日本ダ
イオネクス(株)製 ASE−200型)を用いて含有
する油脂を抽出した。この時、抽出溶媒として、イソプ
ロパノール/ヘキサン混合溶媒(比率4:6)を用い、
抽出温度125℃、抽出圧力7MPaとし、抽出操作を3
回行った。得られた抽出液から、30℃、減圧下で溶媒
を除去し、酸化安定性評価用サンプル油脂を調製した。
【0058】この様にして得た抽出油脂のPOV(過酸
化物価)を測定し、その値を酸化の指標とした。尚、P
OVの測定は、基準油脂分析測定法(社団法人日本油化
学会、1996年)に基づき実施した。
【0059】
【表1】
【0060】表1の結果から、実施例1で得られた粉末
は非常に高い酸化安定性を示すことがわかる。
【0061】
【発明の効果】本発明の不飽和脂肪酸含有油脂粉末は、
酸化安定性が高く、長期間保存可能であり、また水に対
する溶解・分散性が高く、油脂が染み出し難いので、顆
粒化や錠剤化することも容易であり、製品形態の多様化
への対応性が高い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B026 DC04 DG01 DG11 DH10 DL03 DP10 DX08 4H059 BB03 DA16 DA24 EA03 EA11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和脂肪酸含有油脂(A)、糖アルコ
    ール(B)、乳化剤(C)を含有してなる粉末であっ
    て、(B)成分の配合量が、(A)成分100重量部に
    対して1〜30重量部である、不飽和脂肪酸含有油脂粉
    末。
  2. 【請求項2】 更に(B)及び(C)成分以外の水溶性
    糖類(D)を含有する、請求項1記載の不飽和脂肪酸含
    有油脂粉末。
  3. 【請求項3】 (B)成分の配合量が、不飽和脂肪酸含
    有油脂粉末を構成する成分の中で、(A)成分を除く成
    分100重量部に対して50重量部以下である、請求項
    1又は2記載の不飽和脂肪酸含有油脂粉末。
  4. 【請求項4】 (A)成分、(B)成分、(C)成分及
    び水を含有するO/W型乳化物を調製し、該乳化物を乾
    燥する、請求項1叉は3記載の不飽和脂肪酸含有油脂粉
    末の製法。
  5. 【請求項5】 (A)成分、(B)成分、(C)成分、
    (D)成分及び水を含有するO/W型乳化物を調製し、
    該乳化物を乾燥する、請求項2叉は3記載の不飽和脂肪
    酸含有油脂粉末の製法。
  6. 【請求項6】 O/W型乳化物中の酸素飽和率を30%
    以下にする、請求項4又は5記載の製法。
  7. 【請求項7】 O/W型乳化物を調製する際に、減圧及
    び/又は不活性ガスの通気を行い、乳化物中の酸素飽和
    率を30%以下にする、請求項6記載の製法。
JP2001389670A 2001-12-21 2001-12-21 不飽和脂肪酸含有油脂粉末 Pending JP2003183692A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001389670A JP2003183692A (ja) 2001-12-21 2001-12-21 不飽和脂肪酸含有油脂粉末

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001389670A JP2003183692A (ja) 2001-12-21 2001-12-21 不飽和脂肪酸含有油脂粉末

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003183692A true JP2003183692A (ja) 2003-07-03

Family

ID=27597830

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001389670A Pending JP2003183692A (ja) 2001-12-21 2001-12-21 不飽和脂肪酸含有油脂粉末

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003183692A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003183691A (ja) * 2001-12-21 2003-07-03 Kao Corp 不飽和脂肪酸含有油脂粉末の製造法
JP2008506382A (ja) * 2004-07-13 2008-03-06 フリーズランド ブランズ ビー.ブイ. 食用油を含む粉末化された組成物及び食品におけるそれの使用
WO2009001786A1 (ja) 2007-06-22 2008-12-31 Kaneka Corporation 生理活性物質含有組成物
WO2013179891A1 (ja) 2012-05-29 2013-12-05 東レ株式会社 炭素繊維複合材料
JP2017225381A (ja) * 2016-06-21 2017-12-28 不二製油株式会社 高度不飽和脂肪酸含有可塑性油脂組成物
JP2018007618A (ja) * 2016-07-13 2018-01-18 ミヨシ油脂株式会社 湯種生地の製造方法およびベーカリー製品の製造方法

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0741792A (ja) * 1993-07-28 1995-02-10 Ueda Seiyu Kk 粉末状油脂
JPH07291827A (ja) * 1993-10-15 1995-11-07 Keijiro Sato O/w型皮膚クリームの製造方法
JPH07305088A (ja) * 1994-05-13 1995-11-21 Nippon Oil & Fats Co Ltd 粉末油脂組成物
JPH0899835A (ja) * 1993-10-29 1996-04-16 Keijiro Sato 乳液の製造方法
JPH11335698A (ja) * 1998-05-27 1999-12-07 Lion Corp 液体洗浄剤組成物の製造方法
JP2000119686A (ja) * 1998-10-15 2000-04-25 Nof Corp 粉末油脂組成物およびその製造方法
JP2003183691A (ja) * 2001-12-21 2003-07-03 Kao Corp 不飽和脂肪酸含有油脂粉末の製造法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0741792A (ja) * 1993-07-28 1995-02-10 Ueda Seiyu Kk 粉末状油脂
JPH07291827A (ja) * 1993-10-15 1995-11-07 Keijiro Sato O/w型皮膚クリームの製造方法
JPH0899835A (ja) * 1993-10-29 1996-04-16 Keijiro Sato 乳液の製造方法
JPH07305088A (ja) * 1994-05-13 1995-11-21 Nippon Oil & Fats Co Ltd 粉末油脂組成物
JPH11335698A (ja) * 1998-05-27 1999-12-07 Lion Corp 液体洗浄剤組成物の製造方法
JP2000119686A (ja) * 1998-10-15 2000-04-25 Nof Corp 粉末油脂組成物およびその製造方法
JP2003183691A (ja) * 2001-12-21 2003-07-03 Kao Corp 不飽和脂肪酸含有油脂粉末の製造法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003183691A (ja) * 2001-12-21 2003-07-03 Kao Corp 不飽和脂肪酸含有油脂粉末の製造法
JP2008506382A (ja) * 2004-07-13 2008-03-06 フリーズランド ブランズ ビー.ブイ. 食用油を含む粉末化された組成物及び食品におけるそれの使用
KR101229319B1 (ko) 2004-07-13 2013-02-05 로더스 크로클란 비.브이. 식용유를 함유하는 분말화 조성물 및 식료품에서의 그의 용도
WO2009001786A1 (ja) 2007-06-22 2008-12-31 Kaneka Corporation 生理活性物質含有組成物
JPWO2009001786A1 (ja) * 2007-06-22 2010-08-26 株式会社カネカ 生理活性物質含有組成物
EP2172223A4 (en) * 2007-06-22 2012-09-26 Kaneka Corp COMPOSITION CONTAINING A PHYSIOLOGICALLY ACTIVE SUBSTANCE
JP5343002B2 (ja) * 2007-06-22 2013-11-13 株式会社カネカ 生理活性物質含有組成物
WO2013179891A1 (ja) 2012-05-29 2013-12-05 東レ株式会社 炭素繊維複合材料
US9481770B2 (en) 2012-05-29 2016-11-01 Toray Industries, Inc. Carbon fiber composite material
JP2017225381A (ja) * 2016-06-21 2017-12-28 不二製油株式会社 高度不飽和脂肪酸含有可塑性油脂組成物
JP2018007618A (ja) * 2016-07-13 2018-01-18 ミヨシ油脂株式会社 湯種生地の製造方法およびベーカリー製品の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3040477B2 (ja) マイクロカプセル封入油又は脂肪製品
JP2007520603A (ja) 水性分散液及びその使用
JP4044354B2 (ja) 耐アルコール性、耐酸性、耐塩性を有する組成物および用途
JPH07305088A (ja) 粉末油脂組成物
JP4028642B2 (ja) 乳化粉末の製造方法
CN105379843A (zh) 含有多不饱和脂肪酸油脂的奶粉的制备方法
JP2005008810A (ja) 不飽和脂肪酸含有油脂粉末
JP2003183692A (ja) 不飽和脂肪酸含有油脂粉末
EP3677121A1 (en) Fat or oil composition containing unsaturated fatty acid
WO2018190203A1 (ja) 酸化防止剤分散物
JP2003183691A (ja) 不飽和脂肪酸含有油脂粉末の製造法
JP5738721B2 (ja) ソフトカプセル製剤及びその製造方法
CN111602819A (zh) 一种鱼油微囊粉剂及其制备方法
KR101744588B1 (ko) 오메가-3 불포화 지방산-함유 분말의 제조방법
AU2004215531B2 (en) Process for producing powdered composition containing highly unsaturated fatty acid esters of ascorbic acid and powdered composition containing esters
JP2000109882A (ja) 油性粉末、製造方法および用途
KR20110110206A (ko) 물 존재하에 있어서의 친유성 성분의 분해·열화를 억제하는 방법
JP2005047851A (ja) ユビデカレノン含有組成物
CN108368451B (zh) 油脂组合物和油脂的氧化抑制方法
JP4282730B2 (ja) 乳化粉末の製造方法
KR102464175B1 (ko) 오메가-7을 함유하는 정제어유 분말 조성물 및 이의 제조방법
WO2012014903A1 (ja) 油脂含有組成物、及びそれを含む経口製剤
JPH07133491A (ja) 油溶性物質含有固状物
JP7360526B1 (ja) 組成物
JP2000102345A (ja) 粉乳の製造法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20041021

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041021

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060802

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060822

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061020

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080826