JP6705576B1 - 部材および車両骨格 - Google Patents

部材および車両骨格 Download PDF

Info

Publication number
JP6705576B1
JP6705576B1 JP2020506275A JP2020506275A JP6705576B1 JP 6705576 B1 JP6705576 B1 JP 6705576B1 JP 2020506275 A JP2020506275 A JP 2020506275A JP 2020506275 A JP2020506275 A JP 2020506275A JP 6705576 B1 JP6705576 B1 JP 6705576B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
line portion
joining
plate
joining line
ridge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020506275A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020090956A1 (ja
Inventor
伊藤 泰弘
泰弘 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Application granted granted Critical
Publication of JP6705576B1 publication Critical patent/JP6705576B1/ja
Publication of JPWO2020090956A1 publication Critical patent/JPWO2020090956A1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D27/00Connections between superstructure or understructure sub-units
    • B62D27/02Connections between superstructure or understructure sub-units rigid
    • B62D27/023Assembly of structural joints
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D25/00Superstructure or monocoque structure sub-units; Parts or details thereof not otherwise provided for
    • B62D25/04Door pillars ; windshield pillars
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60YINDEXING SCHEME RELATING TO ASPECTS CROSS-CUTTING VEHICLE TECHNOLOGY
    • B60Y2304/00Optimising design; Manufacturing; Testing
    • B60Y2304/03Reducing weight
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B60VEHICLES IN GENERAL
    • B60YINDEXING SCHEME RELATING TO ASPECTS CROSS-CUTTING VEHICLE TECHNOLOGY
    • B60Y2306/00Other features of vehicle sub-units
    • B60Y2306/01Reducing damages in case of crash, e.g. by improving battery protection

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Combustion & Propulsion (AREA)
  • Transportation (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Body Structure For Vehicles (AREA)
  • Laser Beam Processing (AREA)

Abstract

この部材は、第1の板材と、第1の板材と重ね合わされた第2の板材と、を備え、3本の接合線部分により第1の板材と第2の板材とを界面で接合する。第1の接合線部分は第2の接合線部分との面内最短距離が第1板材の板厚の20倍以上120倍以下のA部分を備え、第2の接合線部分は第1の接合線部分との面内最短距離が第1板材の板厚の20倍以上120倍以下のB部分を備え、第3の接合線部分は、A部分及びB部分に挟まれた領域にあり、第1の接合線部分と第2の接合線部分との中間線の延在方向の長さ成分の長さは250mm以上である。

Description

本発明は、部材および車両骨格に関する。本願は、2018年10月31日に、日本に出願された特願2018−205024号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、下記の特許文献1には、高強度鋼板同士のレーザ溶接重ね継手について記載されている。また、下記の特許文献2には、補強鋼板を複雑に組み合わせることなく異なる変形モードに設定することを想定した技術が記載されている。
日本国特許第6203647号公報 日本国特許第6049146号公報
車両のさらなる軽量化を実現するには、例えば、高い強度が必要な箇所の板厚を厚くし、高い強度が必要のない箇所の板厚を薄くするなどして構造部材の差厚化を図ることが望ましい。構造部材の差厚化を実現する技術として、差厚ブランクが知られている。差厚ブランクに関する技術として、TRB(Tailor Rolled Blank)、TWB(Tailor Welded Blank)などの技術がある。
TRBは、圧延方向に限定して差厚を生じさせて差厚ブランクを製造する技術であるが、厚さに変化を生じさせる方向が圧延方向に限定されてしまう。このため、圧延方向以外では厚さに変化を生じさせることができず、自由な板厚設計が困難である。
また、TWBは、厚さの異なる板材を並べて、板材の輪郭線に相当する端面同士を溶接することで差厚ブランクを製造する技術である。TWBでは、溶接のし易さ等の観点から、直線の端面同士を溶接することが多く、溶接線は直線となる。従って、平面領域毎に自由な板厚設計をすることは困難である。
このため、例えば特許文献1、特許文献2に記載されているように、複数の板材(例えば2枚の板材)の面同士を接合することで、領域毎に板厚を変更することが考えられる。しかしながら、特許文献1に記載された技術は、高強度鋼板同士をレーザ溶接することで継手用途として用いるものであり、ブランクの自由な板厚設計を目的としたものではない。また、継手用途として用いるため、負荷のかかる方向として溶接線に垂直な方向を想定している。
また、特許文献2に記載された技術では、板材を貼り合わせることで変形モードを制御することを想定した技術であり、複数の板材を接合して1枚の板と同等の強度を発揮させることを想定した技術ではない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、自由な差厚化を実現することで、衝突安全性の向上と軽量化の要求をともに満たすことが可能な、新規かつ改良された部材および車両骨格を提供することにある。
上記課題を解決するために、本開示は以下の手段を採用する。
(1)本開示の第1の態様に係る部材は、第1の板材と、第2の板材と、第1の接合線部分と、第2の接合線部分と、第3の接合線部分と、を備え、前記第1の板材の板厚は前記第2の板材の板厚以下であり、前記第1の板材と前記第2の板材は重ね合わされ、前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分と前記第3の接合線部分はそれぞれ前記第1の板材と前記第2の板材とを界面で接合し、前記第1の接合線部分は、前記第2の接合線部分との面内最短距離が前記第1の板材の板厚の20倍以上120倍以下のA部分を備え、前記第2の接合線部分は、前記第1の接合線部分との面内最短距離が前記第1の板材の板厚の20倍以上120倍以下のB部分を備え、前記第3の接合線部分は前記A部分及び前記B部分に挟まれた第1の領域にあり、前記第1の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分との中間線の延在方向の長さ成分の長さは250mm以上である。
(2)上記(1)に記載の態様において、前記第3の接合線部分は、前記第1の領域であって、前記中間線と直交する直線上において、前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分との中間点から前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分との距離の20%以内の第2の領域の中にあってもよい。
(3)上記(2)に記載の態様において、前記第2の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分の中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上であってもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の態様において、前記第3の接合線部分は、前記第1の領域であって、前記第1の接合線部分から前記第1の板材の板厚の40倍以下の第3の領域の中にあってもよい。
(5)上記(4)に記載の態様において、前記第3の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分との中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上であってもよい。
(6)本開示の第2の態様に係る車両骨格は、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の部材を備えた車両骨格であって、第1の稜線部分と第2の稜線部分と天壁部とを備え、前記天壁部は前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分との間にあり、前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分と前記第3の接合線部分は前記天壁部にあり、前記天壁部は車両の外側になるよう配置される。
(7)本開示の第3の態様に係る部材は、第1の板材と、第2の板材と、第1の接合線部分と、第3の接合線部分と、第1の稜線部分と、を備え、前記第1の板材の板厚は前記第2の板材の板厚以下であり、前記第1の稜線部分と前記第1の接合線部分と前記第3の接合線部分において、前記第1の板材と前記第2の板材は重ね合わされ、前記第1の接合線部分と前記第3の接合線部分はそれぞれ前記第1の板材と前記第2の板材とを界面で接合し、前記第1の接合線部分は、前記第1の稜線部分との面内最短距離が前記第1の板材の板厚の20倍以上120倍以下のA部分を備え、前記第1の稜線部分は、前記第1の接合線部分との面内最短距離が前記第1の板材の板厚の20倍以上120倍以下のB部分を備え、前記第3の接合線部分は前記A部分及び前記B部分に挟まれた第1の領域にあり、前記第1の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第1の稜線部分との中間線の延在方向の長さ成分の長さは250mm以上である。
(8)上記(7)に記載の態様において、前記第3の接合線部分は、前記第1の領域であって、前記中間線と直交する直線上において、前記第1の接合線部分と前記第1の稜線部分との中間点から前記第1の接合線部分と前記第1の稜線部分との距離の20%以内の第2の領域の中にあってもよい。
(9)上記(8)に記載の態様において、前記第2の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第1の稜線部分の中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上であってもよい。
(10)上記(7)〜(9)のいずれか1項に記載の態様において、前記第3の接合線部分は、前記第1の領域であって、前記第1の接合線部分から前記第1の板材の板厚の40倍以下の第3の領域の中にあってもよい。
(11)上記(10)に記載の態様において、前記第3の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第1の稜線部分との中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上であってもよい。
(12)上記(7)〜(11)のいずれか1項に記載の態様において、前記第3の接合線部分は、前記第1の領域であって、前記第1の稜線部分から前記第1の板材の板厚の40倍以下の第4の領域の中にあってもよい。
(13)上記(12)に記載の態様において、前記第4の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第1の稜線部分との中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上であってもよい。
(14)上記(7)〜(13)のいずれか1項に記載の態様において、前記第1の板材の全ての端部は、前記第2の板材の内側にあってもよい。
(15)上記(7)〜(14)のいずれか1項に記載の態様において、前記第2の板材の全ての端部は、前記第1の板材の内側にあってもよい。
(16)上記(1)〜(5)及び(7)〜(15)のいずれか1項に記載の態様において、前記第1の接合線部分は、前記第1の板材の長手方向に沿って設けられてもよい。
(17)上記(1)〜(5)及び(7)〜(15)のいずれか1項に記載の態様において、前記第1の接合線部分は、前記第2の板材の長手方向に沿って設けられてもよい。
(18)本開示の第4の態様に係る車両骨格は、上記(7)〜(13)のいずれか1項に記載の部材を備えた車両骨格であって、第2の稜線部分と天壁部とを備え、前記天壁部は前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分との間にあり、前記第1の接合線部分と前記第3の接合線部分は前記天壁部にあり、前記天壁部は車両の外側になるよう配置される。
(19)上記(18)に記載の態様において、前記第2の稜線部分において、前記第1の板材と前記第2の板材が重ね合わされてもよい。
(20)本開示の第5の態様に係る車両骨格は、ハット型部材である車両骨格であって、第1の部材と、第2の部材と、第4の接合線部分と、第1の稜線部分と、第2の稜線部分とを備え、前記第1の部材の板厚は前記第2の部材の板厚以下であり、前記第1の稜線部分及び前記第2の稜線部分において、前記第1の部材と前記第2の部材は重ね合わされ、前記第1の部材は前記ハット型部材の長手方向に延びる天壁部を有し、前記第2の部材は前記ハット型部材の長手方向に延びる天壁部を有し、前記第1の稜線部分は、前記第1の部材の前記天壁部及び前記第2の部材の前記天壁部の一端の、前記第1の部材と前記第2の部材が重ね合わされた稜線部分であり、前記第2の稜線部分は、前記第1の部材の前記天壁部及び前記第2の部材の前記天壁部の他端の、前記第1の部材と前記第2の部材が重ね合わされた稜線部分であり、前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分と前記第4の接合線部分とは、前記第1の部材と前記第2の部材とを界面で接合し、前記第1の稜線部分は、前記第2の稜線部分との面内最短距離が前記第1の部材の板厚の20倍以上120倍以下のC部分を備え、前記第2の稜線部分は、前記第1の稜線部分との面内最短距離が前記第1の部材の板厚の20倍以上120倍以下のD部分を備え、前記第4の接合線部分は前記C部分及び前記D部分に挟まれた第5の領域にあり、前記第5の領域内における前記第4の接合線部分の、前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分との中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上であり、前記第1の部材の前記天壁部及び前記第2の部材の前記天壁部が、車両の外側になるように配置される。
(21)上記(20)に記載の態様において、前記第4の接合線部分は、前記第5の領域であって、前記中間線と直交する直線上において、前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分との中間点から前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分との距離の20%以内の第6の領域の中にあってもよい。
(22)上記(21)に記載の態様において、前記第6の領域内における前記第4の接合線部分の、前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分の中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上であってもよい。
(23)上記(20)〜(22)のいずれか1項に記載の態様において、前記第4の接合線部分は、前記第5の領域であって、前記第1の稜線部分から前記第1の部材の板厚の40倍以下の第7の領域の中にあってもよい。
(24)上記(23)に記載の態様において、前記第5の領域内における前記第4の接合線部分の、前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分との中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上であってもよい。
本発明によれば、自由な差厚化を実現とすることで、衝突安全性の向上と軽量化の要求をともに満たすことが可能な部材および車両骨格を提供することができる。
車両の側方からBピラーを見た状態を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るブランクの構成を示す斜視図である。 同実施形態の第1の板材と第2の板材を溶接する線溶接の接合線200を示す模式図である。 同実施形態の第1の板材と第2の板材を溶接する線溶接の接合線を示す模式図である。 同実施形態の第1の板材と第2の板材を溶接する線溶接の接合線を示す模式図である。 接合線の本数が初期反力に及ぼす影響を示す図である。 板厚tに対する板幅Wの比(W/t)と、板材の有効幅との関係を示す特性図である。 図2のブランクから構成した例を示す模式図である。 同実施形態のブランクを成形して製造された車両骨格を示す模式図である。 同実施形態のブランクを成形して製造された車両骨格を示す模式図である。 図7Bに示す車両骨格の斜視図である。 同実施形態のブランクを成形して製造された車両骨格を示す模式図である。 同実施形態のブランクを成形して製造された車両骨格を示す模式図である。 同実施形態のブランクを成形して製造された車両骨格を示す模式図である。 同実施形態のブランクを成形して製造された車両骨格を示す模式図である。 同実施形態のブランクを成形して製造された車両骨格を示す部分模式図である。 同実施形態に係る部材が適用される一例としての車両骨格を示す図である。
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
1.概要
自動車などの車両の車体を構成するため、例えば鋼板が用いられている。車体には、衝突した際の衝突特性を確保するため、座屈への耐性が求められる。同時に、車体には、車両としての性能を向上させるため、軽量化も求められている。本実施形態は、このような車体に用いられる部材および部材を含む車両骨格に関する。なお、このような部材は、ブランクを成形して製造される。本開示においてブランクは部材に含まれる。部材および部材の素材となるブランクの特徴が共通しているからである。以下においては、部材をブランクとして置き換えて説明する場合がある。
図1は、車体を構成する部材の例を示す模式図であって、車両の側面において、前部座席と後部座席の間でフロアとルーフの間を結合するBピラー400を示している。ここで、図1は、車両の側方(外側)からBピラー400を見た状態を示している。
Bピラー400など車体を構成する部材に求められる座屈への耐性は、部材の中の位置又は領域に応じて異なる。例えば、Bピラー400では、図1に領域R1で示す範囲は、側面から他車両が衝突した際に、他車両のバンパー等が衝突する可能性の高い位置に該当する。このため、領域R1では、衝突の衝撃を吸収し易いように、Bピラー400の板厚を比較的薄くしておくことが望ましい。領域R1でBピラー400の板厚を薄くしておくことで、他車両のバンパーが衝突した際に、Bピラー400が変形(圧壊)して衝撃を効果的に吸収できる。
一方、領域R2で示す範囲は、領域R1で示す範囲に比べ、剛性と座屈への耐性が高い。このため、バンパーが衝突した際に、変形(撓み)を最小限度に抑え、衝突物の車内への進入を抑制する機能を有している。また、領域R2で示す範囲は、車両のルーフを支えており、車両が横転した場合などにおいて、ルーフの潰れを抑え、乗員を守る機能を有している。領域R2で示す範囲でBピラー400の撓み、潰れが抑制されることで、車体の内部の乗員を確実に守ることができる。このため、領域R2では、座屈への耐性と剛性を確保する観点からBピラー400の板厚を厚くしておくことが望ましい。領域R2でBピラー400の板厚を厚くしておくことで、他車両が衝突したり、自車両が横転したりした場合に、Bピラー400が車体の内側に入り込むことが抑制され、またBピラー400の長手方向の潰れが抑えられるため、乗員を確実に守ることができる。
以上のように、車体を構成する部材に求められる座屈への耐性は、部材中の位置、領域に応じて異なる。このため、部材を成形するためのブランクでは、高い座屈への耐性が必要な箇所の板厚を厚くし、高い座屈への耐性が必要のない箇所の板厚を薄くするなど、自由な板厚設計が求められる。そして、このような板厚設計により、必要な箇所のみ十分な板厚を確保することで、車体の軽量化を図ることが可能である。
一方で、前述したように、TRB、TWBなどの技術では、自由な板厚設計ができず、座屈への耐性が必要のない箇所でも板厚が厚くなってしまうため、さらなる軽量化と座屈への耐性の確保の両立化が困難である。本実施形態では、自由な板厚設計を可能とする部材を実現することで、座屈への耐性と軽量化の両方のさらなる高度な要求を満たすことが可能な部材および車両骨格の提供を可能とする。以下、詳細に説明する。
2.部材(ブランク)の構成
図2は、本実施形態に係るブランク100の構成を示す斜視図である。図2に示すように、本実施形態に係るブランク100は、第1の板材110と第2の板材120とから構成され、第1の板材110と第2の板材120は重ね合わされている。第2の板材120の全ての端部は、板厚方向に見たとき、第1の板材110の内側にある。すなわち、第2の板材120は、第1の板材110よりも小さく、第2の板材120の輪郭を示す輪郭線は、第1の板材110の輪郭を示す輪郭線よりも内側に位置している。また、第1の板材110の全ての端部は、板厚方向に見たとき、第2の板材120の内側にあってもよい。すなわち、第1の板材110は、第2の板材120よりも小さく、第1の板材110の輪郭を示す輪郭線は、第2の板材120の輪郭を示す輪郭線よりも内側に位置していてもよい。
第2の板材120は、第1の板材110に対して接合されている。本実施形態では、特に、連続的な接合により第1の板材110と第2の板材120が接合されている。ここで、連続的な接合とは、いわゆるスポット溶接などの点状の接合を含まない趣旨である。第1の板材110と第2の板材120は、連続的な線接合により接合されている。
好ましくは、第1の板材110と第2の板材120は、線溶接により接合されている。但し、線溶接の接合線の全てが連続している必要はなく、接合線の延長線上に線溶接が行われていない領域があっても良い。また、好ましくは、線溶接は、レーザ溶接により行われる。図2では、第1の板材110と第2の板材120が、レーザ溶接による線溶接で接合された状態を示している。このため、第2の板材120の表面に3本の接合線部分200が形成されている。具体的には、3本の接合線部分200は、それぞれ第1の板材110と第2の板材120とを界面で接合している。なお、本明細書において「接合線部分」を単に「接合線」と呼ぶ場合がある。接合線200は、輪郭線の小さい板材(図2では第2の板材120)の長手方向に沿って設けられていても良い。なお、接合線200は完全に連続していなくても良く、例えば一部に30mm程度、好ましくは20mm程度の間隔が空いていても良い。第1の板材110と第2の板材120との間に、めっきや箔等の膜が介在していても良い。
図2では板材に3本の接合線部分が形成されているが、重ね合わされた部材に稜線が形成されている場合には、接合線部分を稜線部分に置き換えてもよい。稜線部分において、第1の板材110と第2の板材120が重ね合わせられてもよい。板材の稜線が形成された箇所は湾曲しにくいため、板材が接合線で拘束されているのと同様に、変形しにくいからである。
図2では、ブランク100が第1の板材110と第2の板材120から構成された例を示しているが、ブランク100は3枚以上の板材から構成されていても良い。ブランク100が3枚以上の板材から構成されている場合、第1の板材110と第2の板材120とが線接合により適切に接合されている態様であれば、ブランク100を構成する他の板材と第1の板材110および/または第2の板材120との接合の有無および接合の態様については特に限定されない。更に、ブランク100は、複数の板厚から選択された複数の板材から構成されていても良い。なお、本実施形態では、第1の板材110の板厚が、第2の板材120の板材の板厚以下である場合を例に挙げて説明する。
第1の板材110と第2の板材120は、引張強度が異なる板材であっても良い。例えば、第2の板材120と比較して輪郭線のより大きい第1の板材110は、ブランク100の基幹となる板材であり、第2の板材120は補強板材として機能する。このため、第1の板材110の引張強度よりも第2の板材120の引張強度が高くても良い。
また、第1の板材110と第2の板材120は、板材に含まれるカーボン量(C量)が異なるものであっても良い。なお、カーボン量の測定は、それぞれの板材の表面からそれぞれの板厚の1/4の深さの位置で行うものとする。例えば、ブランク100は、ホットスタンプに供されることで成形加工され得る。その際、焼入れ後における第1の板材110および第2の板材120の引張強度は、板材に含まれるC量によって変化しうる。例えば、第2の板材120に含まれるC量が第1の板材110に含まれるC量よりも多い場合、ホットスタンプ後において、第2の板材120であった部位の引張強度は、第1の板材110であった部位の引張強度よりも高くなる。なお、第1の板材110と第2の板材120の引張強度は、590MPa以上とすることが好適である。
また、第1の板材110と第2の板材120の表面に、アルミニウムなどによるめっき処理が施されていても良い。但し、第1の板材110と第2の板材120が密着する接合面となる表面には、めっき処理が施されなくても良い。
以上のように構成された本実施形態のブランク100によれば、第1の板材110上の必要な箇所のみに第2の板材120を接合することで、座屈への耐性(すなわち、衝突安全性の向上)が必要な箇所のみを厚くして座屈への耐性を確保するとともに、高い座屈への耐性が要求されない箇所の板厚を薄くすることができる。その結果、自由な板厚設計を可能とし、座屈への耐性と軽量化の要求を共に満たすブランク100を構成することができる。なお、図1に示したBピラー400などの部材は、ブランク100をプレス成形することによって構成される。
図3A、図3Bは、第1の板材110と第2の板材120を溶接する線溶接の接合線200を示す模式図である。図3Aは、図2と同様、3本の接合線200で第1の板材110と第2の板材120を接合した例を示している。また、図3Bは、5本の接合線200で第1の板材110と第2の板材120を接合した例を示している。
図3A及び図3Bに示す矢印A2の方向からブランク100に荷重が加えられた場合、初期反力が生じる。その際、板材が反ってしまうことがある。板材が反ってしまうと、板材の全断面で荷重を受けていないこととなる。初期反力を高めるためには、反りの発生を抑え、板幅方向の断面において、荷重を受け止める領域をより大きくすることが望ましい。本発明者は、所定の位置に少なくとも3本の接合線部分(稜線部分を含む)を配置することにより、接合線部分で囲まれた領域の反りを抑えられることを知見した。以下にその詳細を説明する。
図3Aに示すように、第1の板材110と第2の板材120が重ね合わされ、第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bと第3の接合線部分200cは、それぞれ第1の板材110と第2の板材120とを界面で接合している。
図3Cは、第1の接合線部分200a、第2の接合線部分200b、第3の接合線部分200cの、異なる態様を示す模式図である。この図3Cに示すように、第1の接合線部分200aは、第2の接合線部分200bとの面内最短距離が第1の板材110の板厚の20倍以上120倍以下のA部分300を備えている。第2の接合線部分200bは、第1の接合線部分200aとの面内最短距離が第1の板材110の板厚の20倍以上120倍以下のB部分310を備えている。図3Aに示すように、3本の接合線部分200のうち、中央の第3の接合線部分200cは、A部分300及びB部分310に挟まれた第1の領域500の中にある。なお、「面内最短距離」とは、第1の板材110と第2の板材120の板材に沿った経路での最短距離である。図3Aに示す例では、板材を平面視したときの第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bとの距離である。
第1の領域500内における第3の接合線部分200cの、第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bとの中間線の延在方向αの長さ成分の長さは、250mm以上である。「第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bとの中間線の延在方向」とは、図3Cの符号αが示す方向である。
このような3本の接合線部分200の構成により、初期反力を高めて板材の反りを抑えることができる。
第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bと第3の接合線部分200cは、直線でも曲線でもよい。第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bの少なくとも一つが曲線の場合、第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bの中間線も曲線になる。中間線が曲線の場合、中間線の延在方向を一義的に定義できない。そこで、本開示において、中間線が曲線の場合、第1の領域500の端部と中間線の交点を結んだ直線の方向を中間線の延在方向とみなす。
それぞれの接合線部分200は他の接合線部分200とつながって一つの接合線を形成してもよい。
図3Aに示すように、第3の接合線部分200cは、第2の領域510の中にあることが好ましい。第2の領域510とは、第1の領域500に含まれ、上記中間線と直交する直線上において、第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bとの中間点から第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bとの距離の20%以内の領域である。
第2の領域510内における第3の接合線部分200cの、第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bとの中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは、250mm以上であることが好ましい。「第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bとの中間線の延在方向」とは、図3Cの符号αが示す方向である。
図3Cに示すように、第3の接合線部分200cは、第3の領域520の中にあることが好ましい。第3の領域520とは、第1の領域500に含まれ、第1の接合線部分200aから第1の板材110の板厚の40倍以下の領域である。
第3の領域520内における第3の接合線部分200cの、第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bとの中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは、250mm以上であることが好ましい。
図2及び図3Aでは板材に3本の接合線部分が形成されているが、ブランクが成形され、部材がハット型等の稜線を含む形状である場合には、接合線部分が稜線部分であってもよい。すなわち、接合線部分を稜線部分に置き換えることができる。例えば、図3Aで示す第2の接合線部分200bを、稜線部分に置き換えてもよい。2本の接合線部分200a、200c及び稜線である接合線部分200bの構成により、初期反力を高めて板材の反りを抑えることができる。この場合、第3の接合線部分200cは、第1の領域500であって、稜線部分である接合線部分200bから第1の板材110の板厚の40倍以下の第4の領域(図示せず)の中にあってもよい。第4の領域内における第3の接合線部分200cの、第1の接合線部分200aと稜線部分との中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上であることが好ましい。また、第3の領域520の中に第3の接合線部分200cがあってもよい。
上述したように、初期反力を高めるためには、反りの発生を抑え、板幅方向の断面において、荷重を受け止める領域をより大きくすることが望ましい。さらに発明者は、所定の板材の板厚と板幅との関係性により初期反力を高めることを知見した。以下にその詳細を説明する。
初期反力を高めるには、板材の総板幅Wのうち、荷重を受け止めることができる幅が大きい方が望ましい。このため、板材の総板幅Wに対して荷重を受け止めることのできる板材の幅の割合を有効幅として定義する。具体的に、有効幅とは、総板幅Wに対し、荷重を受け止めるための仕事をしている幅の割合である。
板材の板幅Wが大きいほど、板幅Wの方向に沿った断面が広くなり、板材の反り(撓み)の影響を受け易くなるため、有効幅は小さくなる。また、板厚tが薄いほど板材の反りが大きくなり、総板幅Wのうち荷重を受け止める幅の割合は低下する。従って、板幅Wが大きいほど、また板厚tが薄いほど、有効幅は小さくなる。つまり、有効幅は、板厚tに対する板幅Wの比(W/t)が大きいほど小さくなる。図5は、板材の両端の面外方向への変形を抑止するよう拘束した時に、引張強度が1470MPaの板材の板厚tに対する板幅Wの比(W/t)と、板材の有効幅との関係を示す特性図であって、W/tを横軸に示し、有効幅を縦軸に示している。
図5に示すように、有効幅は、W/tが大きくなるほど小さくなる。従って、有効幅を増加し、初期反力を増加するためには、板幅を小さくし、板厚を厚くすることが望ましい。図5に示すように、W/tが20未満の領域では、有効幅が1.0になるため、板幅Wの全体で荷重を受け止めることができ、初期反力を高めることができる。
換言すれば、W/tが20未満の領域では、板幅Wの全体で荷重を受け止めることができる。このため、2枚の板材を線溶接で接合しなくても、それぞれの板材が板幅Wの全体で荷重を受けることができるため、総板厚が同じ1枚の板材と同等の初期反力を得ることができる。
本発明者は、この点に着目し、図5で有効幅が1.0よりも小さくなるW/tを有する板材、すなわち、W/tが20以上となる板材については、複数の板材を、例えば溶接により接合することで、総板厚が同じ板材と同等の引張強度を確保できることに想到した。
すなわち、本実施形態に係るブランク100は、第1の板材110と第2の板材120とを有し、これらの板材は少なくとも3本の接合線により接合される。ここで、3本の接合線200a、200b、200cのうち、外側の2本の接合線間距離(第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200bの間の距離)をWとした場合に、上述した板幅Wと板厚tの関係に倣い、W/tの値が20以上となるように外側に2本の接合線(第1の接合線部分200aと第2の接合線部分200b)を設け、その間に少なくとも1本の接合線を設ける。これにより、有効幅が増大する領域を複数有するブランク100が得られる。これにより、座屈への耐性が向上する。稜線も接合線と同様に面外方向への変形が抑止されるので、接合線を稜線に置換しても同様の効果が得られる。
なお、W/tが20未満の場合は、元々の有効幅が1.0であり、板幅Wの方向に沿った全断面で荷重を受ける仕事をするため、2枚の板材を接合しなくても、総板厚が同じ1枚の板材と同等の初期反力が得られる。従って、W/tの値が20以下の場合は、本実施形態による複数の板材を接合する手法の対象外とすることができる。
一方で、W/tの値が大きすぎると、接合線同士の間隔が離れすぎ、接合線を設けた効果が得られない恐れがある。図5を参照すると、接合線の間隔が板厚の60倍より大ではあまり大きな効果が得られないことが推定できる。このことから、W/tの値は120以下とする。そうすれば、第1の接合線部分と第2の接合線部分の間に第3の接合線部分を追加したとき、第3の接合線部分と第1又は第2の接合線部分の間隔は板厚の60倍より小になり第3の接合線部分を設けた効果が得られる。本発明者の検討の結果、W/tの上限値は120とすることが好ましい。従って、W/tの値は以下の(1)式を満たすことが好ましい。
20≦W/t≦120 ・・・(1)
また、任意の3本の接合線のうち、外側の2本の接合線部分の間に設けられる接合線部分200の、2本の外側の接合線の中間線の延在方向の長さ成分の長さは、250mm以上である。この接合線部分200の上記中間線の延在方向の長さ成分の長さが250mm未満である場合、成形後の部材における板材が重ね合わされた部分に曲げ変形が生じた場合に、重ね合わされた板材の一体化の効果が十分でなく、予期しないところから曲げ折れが生じる可能性がある。この接合線部分200の上記中間線の延在方向の長さ成分の長さの上限は特に制限されず、使用する板材の形状や溶接する箇所等に応じて設定され得る。なお、「2本の外側の接合線部分の中間線の延在方向」とは、図3Cで説明したように、図3Cの符号αが示す方向である。
また、ブランク100に設けられた接合線200のうち、隣り合ういずれか2本の接合線の距離をW’とすると、W’/tが40以下であってもよい。図5に示すように、W/tが40以下の場合、有効幅は約0.5以上となるので、溶接線にて領域を分断すると有効幅が向上する。その結果、板材の反りが抑えられ、初期反力を十分に高められる。したがって、領域の分断後、W’/tが40以下であれば、隣り合う2本の接合線で囲まれた領域の反りが抑えられ、一体化の効果をより得ることができる。好ましくは、W’/tが20未満である。これにより、隣り合う2本の接合線で囲まれた領域を1枚の板材とみなした場合の有効幅が1.0となるので、接合線で囲まれた領域の反りをさらに抑えられる。これにより、一体化の効果がさらに得られる。
以上、本実施形態に係るブランク(部材)100の構成について説明した。例えば図1に示したようなBピラー400を本実施形態のブランク100から構成した場合に、衝突時の撓みを抑えることが必要とされる領域R2については、基材である第1の板材110に対して厚い板厚の第2の板材120を接合しても良く、これにより高い剛性を確保する。その際、領域R2に対して、本実施形態に係るブランク100の第2の板材120が設けられた部分を適用することにより、一枚物のブランクから成形された場合と同等の特性(例えば曲げ特性)が領域R2で発揮され得る。これにより、Bピラー400の自由な板厚設計が可能となり、座屈への耐性(すなわち、衝突安全性の向上)を確保するとともに、軽量化を図ることが可能となる。
3.部材から構成される車両骨格
次に、一実施形態に係るハット型部材である車両用の車両骨格について説明する。図6は、図2のブランク(部材)100をプレス成形して図1に示すBピラー400に製造した車両骨格の例を示す模式図である。図1と同様に、図6は、車両の側方(外側)からBピラー400を見た状態を示している。図1と同様に、図6においても、領域R1と領域R2を示している。図6に示す例では、Bピラー400を本実施形態に係るブランク100から構成し、領域R2において、基材である第1の部材112に対して第2の部材122が接合されている。なお、第1の部材112はブランク100を構成する第1の板材110の加工後に対応し、第2の部材122はブランク100を構成する第2の板材120の加工後に対応する。この場合、図6に示すように、第2の部材122の第1の部材112と対向する面全体が、第1の部材112と対向していてもよい。
図7A〜図7Hは、同実施形態のブランク(部材)100により構成される車両骨格を示す模式図である。図7A〜図7Eで示す部材を、図7F〜図7Hで示すようなハット型部材に置き換えてもよい。車両骨格600は、所定方向に延在する部材であり、図7A〜図7B及び図7D〜図7Hでは、延在方向と直交する方向の断面形状を示している。図7A〜図7Hに示すように、車両骨格600は、ブランク100が曲げ成形されることにより形成された、稜線部分610、天壁部620、および縦壁部630を有している。
車両骨格600は、第1の部材112と第2の部材122とから構成され、第1の部材112と第2の部材122は重ね合わされている。第1の部材112は、ハット型部材の長手方向に延びる天壁部114を有する。第2の部材122は、ハット型部材の長手方向に延びる天壁部124を有する。第1の部材112の板厚は、第2の部材122の板材の板厚以下である。
図7Aに示す車両骨格600では、天壁部620(第1の部材112の天壁部114、第2の部材の天壁部124)において、3本の接合線部分200(第1の接合線部分200a、第2の接合線部分200b、第4の接合線部分200d)で第1の部材112と第2の部材122が溶接されている。なお、本明細書では「接合線部分」を単に「接合線」と呼ぶ場合がある。接合線200a、200b、200dは、車両骨格600の延在する方向に沿って形成されている。第1の接合線部分200a及び第2の接合線部分200bは、第1の部材112及び第2の部材122の2本の稜線部分610(第1の稜線部分610a、第2の稜線部分610b)に設けられている。2本の稜線部分610a、610bのうち、第1の稜線部分610aは、第1の部材112の天壁部114及び第2の部材122の天壁部124の一端の、第1の部材112及び第2の部材122が重ね合わされた稜線部分610aである。第2の稜線部分610bは、第1の部材112の天壁部114及び第2の部材122の天壁部124の他端の、第1の部材112及び第2の部材122が重ね合わされた稜線部分610bである。
3本の接合線部分200(第1の接合線部分200a、第2の接合線部分200b、第4の接合線部分200d)は、第1の部材112及び第2の部材122とを界面で接合している。
図7Cに示すように、第1の稜線部分610aは、第2の稜線部分610bとの面内最短距離が第1の部材112の板厚の20倍以上120倍以下のC部分320を備えている。第2の稜線部分610bは、第1の稜線部分610aとの面内最短距離が第1の部材112の板厚の20倍以上120倍以下のD部分330を備えている。第4の接合線部分200dは、C部分320及びD部分330に挟まれた第5の領域530の中にある。なお、「面内最短距離」とは、第1の部材112と第2の部材122の部材に沿った経路での最短距離である。図7Cでは「面内最短距離」は部材の長手方向を横切る断面における外面に沿った線長である。
第5の領域530内における第4の接合線部分200dの、第1の稜線部分610aと第2の稜線部分610bとの中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは、250mm以上である。「第1の稜線部分610aと第2の稜線部分610bとの中間線の延在方向」とは、図3Cの第1の接合線部分200a及び第2の接合線部分200bを稜線部分610に置き換えたときに符号αが示す方向である。
上述した車両骨格600は、第1の部材112の天壁部114及び第2の部材122の天壁部124が、車両の外側になるように配置されている。
このような車両骨格600により、第1の部材112の天壁部114および第2の部材122の天壁部124とがより強固に密着し、天壁部114と天壁部124とが接合している部分の座屈への耐性を効率よく上げることができる。
第4の接合線部分200dは、第6の領域(図示せず)の中にあることが好ましい。第6の領域とは、第5の領域に含まれ、第上記中間線と直交する直線上において、第1の稜線部分610aと第2の稜線部分610bとの中間点から第1の稜線部分610aと第2の稜線部分610bとの距離の20%以内の領域である。
第6の領域内における第4の接合線部分200dの、第1の稜線部分610aと第2の稜線部分610bとの中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは、250mm以上であることが好ましい。
第4の接合線部分200dは、第5の領域であって、第1の稜線部分610aから第1の板材110の板厚の40倍以下の第7の領域(図示せず)の中にあることが好ましい。
第5の領域内における第4の接合線部分200dの、第1の稜線部分610aと第2の稜線部分610bとの中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上であることが好ましい。
図7Aに示す車両骨格600では、天壁部620において、3本の接合線部分200a、200b、200dで第1の部材112と第2の部材122が溶接されているが、図7B及び図7Cに示す車両骨格600では、天壁部620において、1本の第4の接合線部分200dで第1の部材112と第2の部材122が溶接されている。図7Aの車両骨格600において、車両骨格600の第1の稜線部分610aに位置する第1の接合線部分200a及び第2の稜線部分610bに位置する第2の接合線部分200bは、省略することも可能である。第1の稜線部分610a及び第2の稜線部分610bで第1の部材112と第2の部材122とが係合するため、稜線部分610a、610bは第1の接合線部分200a及び第2の接合線部分200bと同様の効果を発揮する。すなわち、接合線部分を稜線部分に置き換えることが可能である。従って、図7B及び図7Cに示すように、例えば稜線部分610a、610bには接合線部分を設けずに、1本の第4の接合線部分200dのみで第1の部材112と第2の部材122を接合しても良い。また、稜線部分610a、610bに接合線部分200a、200bを設けないことによって、車両骨格600の変形時における稜線部分610a、610bにおける割れが生じる可能性を低減させることができる。また、接合線部分の設置本数を減らすことができ、コストの削減、または天壁部114、124の接合の強化を図ることができる。
図7Dに示すように、稜線部分610a、610bには接合線部分を設けずに、天壁部620(第1の部材112の天壁部114、第2の部材の天壁部124)において、3本の接合線部分200(第1の接合線部分200a、第2の接合線部分200b、第4の接合線部分200d)のみで第1の部材112と第2の部材122を接合しても良い。図7Dに示す車両骨格600においても、第1の接合線部分200a及び第2の接合線部分200bは、長手方向に延びる稜線部分610に相当する。さらに、図7Dに示すように、天壁部620に3本以上の接合線部分200(第1の接合線部分200a、第2の接合線部分200b、第4の接合線部分200d)を設けることによって、天壁部620における接合線部分200でのひずみを分散させることができ、より高い荷重まで耐えることができる。
図7Eに示すように、車両骨格600の天壁部620(第1の部材112の天壁部114、第2の部材の天壁部124)に第4の接合線部分200dを設けるとともに、天壁部620から稜線部分610を介して連なる縦壁部630にも接合線部分200(第1の接合線部分200a、第2の接合線部分200b)を設けても良い。この場合においても、稜線部分610は接合線部分200(第1の接合線部分200a、第2の接合線部分200b)と同等の効果を発揮するため、稜線部分610を接合線部分200(第1の接合線部分200a、第2の接合線部分200b)と見做すこともできる。
図7Fは、フランジ部を有するハット型部材である第1の部材112を外側に配置し、補強部材としてUの字型の第2の部材122を内側に配置した例を示している。図7Fの例では、図7Dと同様に、3本の接合線部分200(第1の接合線部分200a、第2の接合線部分200b、第4の接合線部分200d)で第1の部材112と第2の部材122が溶接されている。
図7Gは、フランジ部を有するハット型部材である第1の部材112を内側に配置し、補強部材としてUの字型の第2の部材122を外側に配置した例を示している。図7Gの例でも、図7Dと同様に、3本の接合線部分200(第1の接合線部分200a、第2の接合線部分200b、第4の接合線部分200d)で第1の部材112と第2の部材122が溶接されている。
図7Hに示す車両骨格600では、天壁部620において、2本の接合線部分200(第4の接合線部分200d、第5の接合線部分200e)で第1の部材112と第2の部材122が溶接されている。2本の接合線部分200(第4の接合線部分200d、第5の接合線部分200e)は、第1の部材112及び第2の部材122とを界面で接合している。
図7Hにおいて、第4の接合線部分200dは、第2の稜線部分610bとの面内最短距離が第1の部材112の板厚の20倍以上120倍以下のE部分(図示せず)を備えている。第2の稜線部分610bは、第4の接合線部分200dとの面内最短距離が第1の部材112の板厚の20倍以上120倍以下のF部分(図示せず)を備えている。第5の接合線部分200eは、E部分及びF部分に挟まれた第8の領域(図示せず)の中にある。なお、「面内最短距離」とは、図7Hに示す例では、天壁部620を平面視したときの第4の接合線部分200dと第2の稜線部分610bとの距離である。
第8の領域内における第5の接合線部分200eの、第2の稜線部分610bと第4の接合線部分200dとの中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは、250mm以上である。「第2の稜線部分610bと第4の接合線部分200dとの中間線の延在方向」とは、図3Cの接合線部分200bを稜線部分610bに置き換えたときに符号αが示す方向である。
上述した車両骨格600は、第1の部材112の天壁部114及び第2の部材122の天壁部124が、車両の外側になるように配置されている。
このような車両骨格600により、第1の部材112の天壁部114および第2の部材122の天壁部124とがより強固に密着し、天壁部114と天壁部124とが接合している部分の座屈への耐性を効率よく上げることができる。
第5の接合線部分200eは、第9の領域(図示せず)の中にあることが好ましい。第9の領域とは、第8の領域に含まれ、上記中間線と直交する直線上において、第2の稜線部分610bと第4の接合線部分200dとの中間点から第2の稜線部分610bと第4の接合線部分200dとの距離の20%以内の領域である。
第9の領域内における第5の接合線部分200eの、第2の稜線部分610bと第4の接合線部分200dとの中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは、250mm以上であることが好ましい。
第5の接合線部分200eは、第8の領域であって、第2の稜線部分610bから第1の板材110の板厚の40倍以下の第10の領域(図示せず)の中にあることが好ましい。
上述した同実施形態における板材の板厚と板幅との関係性について以下に詳述する。
図6に示すBピラー400の領域R2におけるBピラーの天壁部650には、少なくとも3本の接合線部分200(200a、200b、200c)がBピラー400の長手方向に沿って設けられている。かかる3本の接合線部分のうち外側の2本の接合線部分(200a、200b)間距離Wと、第1の部材112および第2の部材122のうち小さい方の板厚tとで表されるW/t、および接合線部分200cの長さは、上述した実施形態の規定を満たすものである。すなわち、20≦W/t≦120を満たし、かつ、接合線部分c200の接合線部分200aと接合線部分200bとの中間線の延在方向の長さ成分の長さが250mm以上の少なくとも3本の接合線部分がBピラー400の天壁部650に設けられる。
かかるBピラー400は、例えば、上述した実施形態に係るブランク100をプレス成形して製造することができる。具体的には、上記実施形態に係るブランク100をBピラー400に成形するための形状にトリミングし、トリミングされたブランク100を一般的なプレス成形を行うことによって、Bピラー400を得ることができる。かかるBピラー400は、例えば、第1の板材110と第2の板材120とが別々にプレス成形されて第1の部材112および第2の部材122とされたのち、第1の部材112と第2の部材122とが重ね合わされ、その後レーザ等により上記規定を満たす接合線を設けるように両部材を接合することで設けられてもよい。ただし、上記実施形態に係るブランク100を利用することで、ブランク100を一度プレス成形するだけでBピラー400を得ることができる。
以下では、本実施形態のブランク100により構成される車両骨格600について説明する。ここで、図6に示すBピラー400、または以下に説明する車両骨格600においても、上述したブランクと同様に、W/tの値を規定することで、座屈への耐性(すなわち、衝突安全性の向上)を向上させることができる。
すなわち、本実施形態に係るBピラー400は、第1の部材112と第2の部材122とを有し、これらの部材は少なくとも3本の接合線により接合される。ここで、3本の接合線のうち外側の2本の接合線間距離をWとした場合に、W/tの値を20以上となるように外側の接合線を設け、その間に少なくとも1本の接合線を設けることにより、有効幅が増大する領域を複数有するBピラー400または車両骨格600が得られる。これにより、座屈への耐性が向上する。
一方で、W/tの値が大きすぎると、接合線同士の間隔が離れすぎ、接合線を設けた効果が得られない恐れがある。図5を参照すると、接合線の間隔が板厚の60倍より大ではあまり大きな効果が得られないことが推定できる。このことから、W/tの値は120以下とする。そうすれば、外側の接合線の間に接合線を追加したとき、外側の接合線と外側の接合線の間に追加された接合線の間隔は板厚の60倍より小になり、外側の接合線の間に追加された接合線を設けた効果が得られる。従って、ブランク100と同様に、Bピラー400または車両骨格600においても、本発明者の検討の結果、W/tの上限値は120とすることが好ましい。
また、任意の3本の接合線のうち、2本の外側の接合線部分200の間に設けられる接合線部分200の、2本の外側の接合線の中間線の延在方向の長さ成分の長さは、250mm以上である。この接合線部分200の上記中間線の延在方向の長さ成分の長さが250mm未満である場合、成形後の部材における板材が重ね合わされた部分に曲げ変形が生じた場合に、重ね合わされた板材の一体化の効果が十分でなく、予期しないところから曲げ折れが生じる可能性がある。この接合線部分200の上記中間線の延在方向の長さ成分の長さの上限は特に制限されず、使用する板材の形状や溶接する箇所等に応じて設定され得る。
また、Bピラー400または車両骨格600は、複数の板厚から選択された複数の部材から構成されていても良いし、板厚が略同一である複数の部材から構成されていてもよい。
第1の部材112と第2の部材122は、引張強度が異なる部材であっても良い。例えば、第1の部材112はBピラー400または車両骨格600の主要な骨格部材であり、第2の部材122は補強部材として機能する。このため、第1の部材112の引張強度よりも第2の部材122の引張強度の方が高くても良い。なお、第1の部材112の引張強度は、1000MPa以上とすることが好適である。また、第2の部材122の引張強度は、1500MPa以上とすることが好適である。
また、第1の部材112と第2の部材122は、板材に含まれるカーボン量(C量)が異なるものであっても良い。なお、カーボン量の測定は、それぞれの部材の表面からそれぞれの板厚の1/4の深さの位置で行うものとする。例えば、Bピラー400または車両骨格600は、上述したブランク100がホットスタンプに供されることで得られる。
また、第1の部材112と第2の部材122の表面に、アルミニウムなどによるめっき処理が施されていても良い。但し、第1の部材112と第2の部材122が密着する接合面となる表面には、めっき処理が施されなくても良い。
また、上記ブランクに関する実施形態でも説明したように、接合線200のうち、隣り合ういずれか2本の接合線の距離をWとすると、W/tが40以下であってもよい。
4.本実施形態に係る骨格用板材の適用例
図8は、本実施形態に係るブランク100、車両骨格600が適用される一例としての自動車骨格1を示す図である。ブランク100から形成された車両骨格600は、キャビン骨格または衝撃吸収骨格として自動車骨格1を構成し得る。キャビン骨格としての車両骨格600の適用例は、ルーフセンタリーンフォース201、ルーフサイドレール203、Bピラー207、サイドシル209、トンネル211、Aピラーロア213、Aピラーアッパー215、キックリーンフォース227、フロアクロスメンバ229、アンダーリーンフォース231、フロントヘッダ233等が挙げられる。
また、衝撃吸収骨格としての車両骨格600の適用例は、リアサイドメンバー205、エプロンアッパメンバ217、バンパリーンフォース219、クラッシュボックス221、フロントサイドメンバー223等が挙げられる。
ブランク100から形成された車両骨格600がキャビン骨格または衝撃吸収骨格として使用される際に、ブランク100の領域毎の板厚は最適に調整されているため、車両骨格600は十分な耐荷重を有する。また、ブランク100の領域毎の板厚は最適に調整されているため、車両骨格600の衝撃吸収能力および耐力が高められており、自動車骨格1へ側面衝突等の入力があった場合にも十分な変形により衝撃を吸収しつつ、車両骨格600の車内進入量を抑制できる。また、自動車のフロアパネルに用いる場合など、ブランク100のままで自動車骨格に用いることも可能である。この場合においても、フロアパネルにおいて剛性が必要な部分のみ板厚を増加させる等自由な設計を実現することができる。
ブランク100、車両骨格600は、自動車骨格1に適用される例を示したが、本開示はこれに限定されない。ブランク100、車両骨格600は、自動車以外の乗り物を構成する骨格に適用され得る。また、ブランク100、車両骨格600は、建築物等を構成する構造体にも適用され得る。
本発明者は、ブランク100における溶接の態様および接合線200の本数が荷重に対する初期反力に及ぼす影響について鋭意検討した。図4は、溶接の態様および接合線200の本数が初期反力に及ぼす影響を示す図である。図4では、板幅Wが76mmの板材を用い、幅方向と直交する方向(接合線200に沿った方向であり、図3A及び図3B中に示す矢印A2方向)からブランク100の端面に荷重をかけた場合に生じる初期反力を縦軸に示している。
ここで、図4に示す例では、板材として、引張強度が1500MPa程度のものを用い、板厚が2.6mmの1枚の板材からなるサンプル1と、板厚が1.3mmの板材を2枚重ねたサンプル(サンプル2〜6)を準備した。つまり、サンプル2〜6では、2枚の板厚の合計はサンプル1の板厚と同一である。サンプル2は、2枚の板材を重ね、板材の両端のみを線溶接したものである。サンプル3〜6は、2枚の板材を溶接で接合しているが、溶接の方法(接合線の本数など)が異なる。サンプル3では板材の両端部および中央部の計3本の接合線200で線溶接を行い、サンプル4では板材の両端部および中央部の計4本の接合線200で線溶接を行い、サンプル5では板材の両端部および中央部の計5本の接合線200で線溶接を行った。サンプル6では板材の両端部を線溶接し、中央部における計3本の仮想線に沿って50mmピッチでナゲット径5√t(tは薄い方の板材の板厚(mm)すなわち1.3mm)のスポット溶接を行った。なお、線溶接はレーザ溶接により行った。そして、サンプル1〜6のそれぞれについて、板幅Wと直交する方向に荷重を加えた場合の初期反力を測定した。なお、外側の接合線200は板材の両端部近傍に施しているため、板幅Wは、外側の2本の接合線間距離Wとほぼ等しい。
図4に示すように、サンプル1では、初期反力が140[kN]程度であった。サンプル2では、板厚の合計はサンプル1と同じ2.6mmであるが、初期反力は50[kN]に到達しておらず、初期反力はサンプル1の半分にも満たなかった。
サンプル3〜5に示すように、接合線200の本数の増加に伴い、初期反力が増加した。サンプル5では、サンプル1と同等の初期反力が得られた。一方、スポット溶接を行ったサンプル6では、3本の線に沿ってスポット溶接を行ったのにも関わらず、サンプル3よりも低い初期反力しか得られず、サンプル2と同等の初期耐力となった。
以上の結果から、2枚の板材の溶接を線溶接で行った場合に、接合線200を少なくとも3本設けることで、初期耐力を向上させることができることが分かった。特に、外側の接合線200のほかに、接合線200を3本以上設けることで、2枚の板材の板厚の和となる同じ板厚の1枚の板材と同等の引張強度を確保できることが示された。これは、板材の有効領域の拡大による効果のみならず、接合線へのひずみの分散による接合線の破断可能性の低減によるものと考えられる。
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示はかかる例に限定されない。本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明によれば、自由な差厚化を実現とすることで、衝突安全性の向上と軽量化の要求をともに満たすことが可能な部材および車両骨格を提供することができる。そのため、本発明は、産業上の利用可能性が極めて大である。
100 ブランク(部材)
110 第1の板材
112 第1の部材
114 第1の部材112の天壁部
120 第2の板材
122 第2の部材
124 第2の部材122の天壁部
200 接合線
300 A部分
310 B部分
320 C部分
330 D部分
500 第1の領域
510 第2の領域
520 第3の領域
530 第5の領域
600 車両骨格
610 稜線部分
620 天壁部
α 中間線の延在方向

Claims (24)

  1. 第1の板材と、
    第2の板材と、
    第1の接合線部分と、
    第2の接合線部分と、
    第3の接合線部分と、
    を備え、
    前記第1の板材の板厚は前記第2の板材の板厚以下であり、
    前記第1の板材と前記第2の板材は重ね合わされ、
    前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分と前記第3の接合線部分はそれぞれ前記第1の板材と前記第2の板材とを界面で接合し、
    前記第1の接合線部分は、前記第2の接合線部分との面内最短距離が前記第1の板材の板厚の20倍以上120倍以下のA部分を備え、
    前記第2の接合線部分は、前記第1の接合線部分との面内最短距離が前記第1の板材の板厚の20倍以上120倍以下のB部分を備え、
    前記第3の接合線部分は前記A部分及び前記B部分に挟まれた第1の領域にあり、
    前記第1の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分との中間線の延在方向の長さ成分の長さは250mm以上である、
    部材。
  2. 前記第3の接合線部分は、前記第1の領域であって、前記中間線と直交する直線上において、前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分との中間点から前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分との距離の20%以内の第2の領域の中にある、請求項1に記載の部材。
  3. 前記第2の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分の中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上である、請求項2に記載の部材。
  4. 前記第3の接合線部分は、前記第1の領域であって、前記第1の接合線部分から前記第1の板材の板厚の40倍以下の第3の領域の中にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の部材。
  5. 前記第3の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分との中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上である、請求項4に記載の部材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の部材を備えた車両骨格であって、
    第1の稜線部分と第2の稜線部分と天壁部とを備え、
    前記天壁部は前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分との間にあり、
    前記第1の接合線部分と前記第2の接合線部分と前記第3の接合線部分は前記天壁部にあり、
    前記天壁部は車両の外側になるよう配置される
    車両骨格。
  7. 第1の板材と、
    第2の板材と、
    第1の接合線部分と、
    第3の接合線部分と、
    第1の稜線部分と、
    を備え、
    前記第1の板材の板厚は前記第2の板材の板厚以下であり、
    前記第1の稜線部分と前記第1の接合線部分と前記第3の接合線部分において、前記第1の板材と前記第2の板材は重ね合わされ、
    前記第1の接合線部分と前記第3の接合線部分はそれぞれ前記第1の板材と前記第2の板材とを界面で接合し、
    前記第1の接合線部分は、前記第1の稜線部分との面内最短距離が前記第1の板材の板厚の20倍以上120倍以下のA部分を備え、
    前記第1の稜線部分は、前記第1の接合線部分との面内最短距離が前記第1の板材の板厚の20倍以上120倍以下のB部分を備え、
    前記第3の接合線部分は前記A部分及び前記B部分に挟まれた第1の領域にあり、
    前記第1の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第1の稜線部分との中間線の延在方向の長さ成分の長さは250mm以上である、
    部材。
  8. 前記第3の接合線部分は、前記第1の領域であって、前記中間線と直交する直線上において、前記第1の接合線部分と前記第1の稜線部分との中間点から前記第1の接合線部分と前記第1の稜線部分との距離の20%以内の第2の領域の中にある、請求項7に記載の部材。
  9. 前記第2の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第1の稜線部分の中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上である、請求項8に記載の部材。
  10. 前記第3の接合線部分は、前記第1の領域であって、前記第1の接合線部分から前記第1の板材の板厚の40倍以下の第3の領域の中にある、請求項7〜9のいずれか1項に記載の部材。
  11. 前記第3の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第1の稜線部分との中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上である、請求項10に記載の部材。
  12. 前記第3の接合線部分は、前記第1の領域であって、前記第1の稜線部分から前記第1の板材の板厚の40倍以下の第4の領域の中にある、請求項7〜11のいずれか1項に記載の部材。
  13. 前記第4の領域内における前記第3の接合線部分の、前記第1の接合線部分と前記第1の稜線部分との中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上である、請求項12に記載の部材。
  14. 前記第1の板材の全ての端部は、前記第2の板材の内側にある、請求項1〜5及び7〜13のいずれか1項に記載の部材。
  15. 前記第2の板材の全ての端部は、前記第1の板材の内側にある、請求項1〜5及び7〜14のいずれか1項に記載の部材。
  16. 前記第1の接合線部分は、前記第1の板材の長手方向に沿って設けられる、請求項1〜5及び7〜15のいずれか1項に記載の部材。
  17. 前記第1の接合線部分は、前記第2の板材の長手方向に沿って設けられる、請求項1〜5及び7〜15のいずれか1項に記載の部材。
  18. 請求項7〜13のいずれか1項に記載の部材を備えた車両骨格であって、
    第2の稜線部分と天壁部とを備え、
    前記天壁部は前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分との間にあり、
    前記第1の接合線部分と前記第3の接合線部分は前記天壁部にあり、
    前記天壁部は車両の外側になるよう配置される
    車両骨格。
  19. 前記第2の稜線部分において、前記第1の板材と前記第2の板材が重ね合わされている請求項18の車両骨格。
  20. ハット型部材である車両骨格であって、
    第1の部材と、
    第2の部材と、
    第4の接合線部分と、
    第1の稜線部分と、
    第2の稜線部分と
    を備え、
    前記第1の部材の板厚は前記第2の部材の板厚以下であり、
    前記第1の稜線部分及び前記第2の稜線部分において、前記第1の部材と前記第2の部材は重ね合わされ、
    前記第1の部材は前記ハット型部材の長手方向に延びる天壁部を有し、
    前記第2の部材は前記ハット型部材の長手方向に延びる天壁部を有し、
    前記第1の稜線部分は、前記第1の部材の前記天壁部及び前記第2の部材の前記天壁部の一端の、前記第1の部材と前記第2の部材が重ね合わされた稜線部分であり、
    前記第2の稜線部分は、前記第1の部材の前記天壁部及び前記第2の部材の前記天壁部の他端の、前記第1の部材と前記第2の部材が重ね合わされた稜線部分であり、
    前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分と前記第4の接合線部分とは、前記第1の部材と前記第2の部材とを界面で接合し、
    前記第1の稜線部分は、前記第2の稜線部分との面内最短距離が前記第1の部材の板厚の20倍以上120倍以下のC部分を備え、
    前記第2の稜線部分は、前記第1の稜線部分との面内最短距離が前記第1の部材の板厚の20倍以上120倍以下のD部分を備え、
    前記第4の接合線部分は前記C部分及び前記D部分に挟まれた第5の領域にあり、
    前記第5の領域内における前記第4の接合線部分の、前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分との中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上であり、
    前記第1の部材の前記天壁部及び前記第2の部材の前記天壁部が、車両の外側になるように配置される、
    車両骨格。
  21. 前記第4の接合線部分は、前記第5の領域であって、前記中間線と直交する直線上において、前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分との中間点から前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分との距離の20%以内の第6の領域の中にある、請求項20に記載の車両骨格。
  22. 前記第6の領域内における前記第4の接合線部分の、前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分の中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上である、請求項21に記載の車両骨格。
  23. 前記第4の接合線部分は、前記第5の領域であって、前記第1の稜線部分から前記第1の部材の板厚の40倍以下の第7の領域の中にある、請求項20〜22のいずれか1項に記載の車両骨格。
  24. 前記第5の領域内における前記第4の接合線部分の、前記第1の稜線部分と前記第2の稜線部分との中間線の延在方向の長さ成分の連続した長さは250mm以上である、請求項23に記載の車両骨格。
JP2020506275A 2018-10-31 2019-10-31 部材および車両骨格 Active JP6705576B1 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018205024 2018-10-31
JP2018205024 2018-10-31
PCT/JP2019/042723 WO2020090956A1 (ja) 2018-10-31 2019-10-31 部材および車両骨格

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6705576B1 true JP6705576B1 (ja) 2020-06-03
JPWO2020090956A1 JPWO2020090956A1 (ja) 2021-02-15

Family

ID=70462571

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020506275A Active JP6705576B1 (ja) 2018-10-31 2019-10-31 部材および車両骨格

Country Status (6)

Country Link
US (1) US11267517B2 (ja)
EP (1) EP3875351A4 (ja)
JP (1) JP6705576B1 (ja)
KR (1) KR102374427B1 (ja)
CN (1) CN113272206B (ja)
WO (1) WO2020090956A1 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7172768B2 (ja) * 2019-03-15 2022-11-16 トヨタ自動車株式会社 車両後部構造
US20240131626A1 (en) * 2021-03-30 2024-04-25 Nippon Steel Corporation Blank, method for producing blank, and member

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016064725A (ja) * 2014-09-24 2016-04-28 富士重工業株式会社 車体骨格構造、及びその製造方法
JP2016124029A (ja) * 2015-01-08 2016-07-11 新日鐵住金株式会社 ホットスタンプ用重ね合わせブランクと、重ね合わせホットスタンプ成形体の製造方法、および重ね合わせホットスタンプ成形体

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6049146B2 (ja) 1981-07-04 1985-10-31 日本電信電話株式会社 光学ガラスフアイバ用被覆材料
JPS61210814A (ja) 1986-03-06 1986-09-19 永楽産業株式会社 裏側が狭い場所に設けたサドルペースの両側に配管し表側よりのみ作業できるケーブル取付装置
JP2003200852A (ja) * 2001-10-25 2003-07-15 Toyota Motor Corp 中空構造体
CN100493825C (zh) * 2007-05-11 2009-06-03 北京城建集团有限责任公司 厚钢板热加工及焊接方法
WO2012036262A1 (ja) * 2010-09-16 2012-03-22 住友金属工業株式会社 成形部材およびその製造方法
JP5749858B2 (ja) * 2012-07-02 2015-07-15 本田技研工業株式会社 車体パネルの溶接構造
JP6203647B2 (ja) 2014-01-21 2017-09-27 株式会社神戸製鋼所 高強度鋼板のレーザ溶接継手およびその製造方法
WO2016171230A1 (ja) * 2015-04-22 2016-10-27 新日鐵住金株式会社 プレス成形品の製造方法、プレス成形品及びプレス装置
JP6299705B2 (ja) * 2015-08-21 2018-03-28 トヨタ自動車株式会社 車両下部構造
JP6658493B2 (ja) * 2016-12-19 2020-03-04 トヨタ自動車株式会社 車両側部構造
JP2018205024A (ja) 2017-05-31 2018-12-27 株式会社キーエンス 画像検査装置、画像検査方法、画像検査プログラム及びコンピュータで読み取り可能な記録媒体並びに記録した機器

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016064725A (ja) * 2014-09-24 2016-04-28 富士重工業株式会社 車体骨格構造、及びその製造方法
JP2016124029A (ja) * 2015-01-08 2016-07-11 新日鐵住金株式会社 ホットスタンプ用重ね合わせブランクと、重ね合わせホットスタンプ成形体の製造方法、および重ね合わせホットスタンプ成形体

Also Published As

Publication number Publication date
KR20210045510A (ko) 2021-04-26
KR102374427B1 (ko) 2022-03-15
WO2020090956A1 (ja) 2020-05-07
CN113272206A (zh) 2021-08-17
US20210309300A1 (en) 2021-10-07
EP3875351A1 (en) 2021-09-08
CN113272206B (zh) 2022-01-11
EP3875351A4 (en) 2022-12-07
US11267517B2 (en) 2022-03-08
JPWO2020090956A1 (ja) 2021-02-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4021672B2 (ja) 車両用フロア構造
TWI592238B (zh) Automobile structural member and its manufacturing method
JP6907910B2 (ja) 車両用パネル構造
JPWO2013031341A1 (ja) 車体上部構造
WO2016060255A1 (ja) 衝撃吸収部材
JP6705576B1 (ja) 部材および車両骨格
JP6421534B2 (ja) 車両フロア構造
JP5478314B2 (ja) 車体側部構造
JP5857921B2 (ja) フロントピラー構造
JP5686586B2 (ja) 自動車用車体骨格における補強構造
JP6566173B1 (ja) フロントピラーアウタ
US20240097256A1 (en) Battery case of automobile and method for manufacturing the same
JP6908204B2 (ja) フロントピラーアウタ
JP6015217B2 (ja) フロントピラー
JP2020104601A (ja) 車体のロッカ構造
WO2021010389A1 (ja) フロントピラーアウタ
JP6183475B2 (ja) 自動車用骨格部品、及びそれを備えたフロントピラーロアー
JP6177751B2 (ja) 車両用構造部材
JP7372200B2 (ja) 車両用サイドドアのサッシュ部、車両用サイドドア、車両用サイドドアのサッシュ部の製造方法及び車両用サイドドアの製造方法
JP4744366B2 (ja) 車体フロア構造
JP4960726B2 (ja) 自動車のサイドシル
JP2018052280A (ja) 車両用構造体
JP2012081826A (ja) サンドイッチパネル
JP2012121501A (ja) 車体のルーフサイド構造
JP2015140143A (ja) 自動車の車体構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200204

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200204

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20200227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200414

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200427

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6705576

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151