以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
[病棟薬剤業務支援システム10]
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る病棟薬剤業務支援システム10は、サーバー1、クライアント端末2、調剤機器3、及びプリンター4を備える。前記クライアント端末2は、調剤薬剤師により処方データに基づく調剤が行われる調剤室100と、病棟薬剤師により薬剤の服薬に関する指導又は確認が行われる病棟200とにそれぞれ設けられる。なお、前記調剤室100又は前記病棟200が複数存在する場合には、前記調剤室100及び前記病棟200各々に前記クライアント端末2が設けられる。以下、前記調剤室100に設けられ、調剤薬剤師により操作される前記クライアント端末2を「調剤室端末2A」と称し、前記病棟200に設けられ、病棟薬剤師により操作される前記クライアント端末2を「病棟端末2B」と称し、これらを区別することなく総称する場合は「クライアント端末2」と称する。なお、前記調剤室端末2Aが第2クライアント端末の一例であり、前記病棟端末2Bが第1クライアント端末の一例である。
ここで、前記サーバー1では、薬剤師の情報が予め登録される後述の薬剤師マスターにおいて、前記クライアント端末2を使用する薬剤師ごとの業務権限が予め設定されていることが考えられる。具体的に、前記サーバー1では、薬剤師が調剤薬剤師としての権限を有しているか否か、及び薬剤師が病棟薬剤師としての権限を有しているか否かなどの情報が予め設定可能であることが考えられる。なお、前記業務権限の設定操作は、例えば予め設定された管理者によって前記サーバー1又は前記クライアント端末2を用いて行われる。そして、前記サーバー1では、前記クライアント端末2にログインした薬剤師が調剤薬剤師の権限を有する場合には、前記クライアント端末2が前記調剤室端末2Aとして認識される。同じく、前記サーバー1では、前記クライアント端末2にログインした薬剤師が病棟薬剤師の権限を有する場合には、前記クライアント端末2が前記病棟端末2Bとして認識される。さらに、前記サーバー1では、前記クライアント端末2にログインした薬剤師が、調剤薬剤師及び病棟薬剤師の両方の権限を有する場合には、ログインした薬剤師による任意のモード選択により、前記クライアント端末2が前記調剤室端末2A及び前記病棟端末2Bのいずれかとして認識される。即ち、前記サーバー1では、薬剤師単位で前記クライアント端末2が前記調剤室端末2A及び前記病棟端末2Bのいずれであるかが識別されることが考えられる。
また、他の実施形態として、前記サーバー1において、前記調剤室100に設置された前記クライアント端末2が前記調剤室端末2Aとして予め設定されており、前記病棟200に設置された前記クライアント端末2が前記病棟端末2Bとして予め設定されていることも考えられる。即ち、前記サーバー1では、前記クライアント端末2の単位で前記クライアント端末2が前記調剤室端末2A及び前記病棟端末2Bのいずれであるかが識別されることが考えられる。なお、この場合、前記サーバー1では、前記クライアント端末2各々が、IPアドレス、MACアドレス、又は端末名称などによって識別され、前記調剤室端末2A又は前記病棟端末2Bとして予め設定されていることが考えられる。
前記サーバー1、前記クライアント端末2、前記調剤機器3、及び前記プリンター4は、通信網5を介して無線又は有線で通信可能に接続される。前記通信網5は、LAN、WAN、インターネット、又はイントラネットなどである。また、前記サーバー1には、処方内容を示す処方データ及び患者の情報を示す患者データなどを前記サーバー1に入力する電子カルテシステム、オーダーリングシステム、又はレセプトシステムなどの上位システム6が前記通信網5を介して接続される。前記処方データには、例えば患者の氏名、性別、年齢、病棟、担当医師、担当薬剤師などの基本情報、及び患者に処方する薬品の種類、用量、用法などの情報が含まれる。なお、前記サーバー1が前記上位システム6から前記処方データ及び前記患者データを読み出す構成であってもよい。例えば、前記サーバー1は、前記上位システム6の予め設定された記憶装置内の処方データ記憶領域に前記処方データが記憶されたか否かを監視しており、前記処方データ記憶領域に前記処方データが記憶された場合に前記処方データを取得する。
[調剤機器3]
前記調剤機器3各々は、前記病棟薬剤業務支援システム10が使用される病院又は薬局等の医療機関において、薬品の調剤作業で使用される。例えば、前記調剤機器3各々は、錠剤分包機、散薬分包機、水剤分注機、PTPシート払出装置、又は混注装置などである。例えば、前記錠剤分包機は、複数種類の錠剤が収容された複数の薬品カセットを有し、前記サーバー1から入力される調剤用データに従って、前記薬品カセットから錠剤を払い出して1服用分ごとに分包紙で包装する分包動作を実行する。前記散薬分包機は、前記サーバー1から入力される調剤用データに従って、投入された散薬を1服用分ごとに分包紙で包装する分包動作を実行する。前記水剤分注機は、複数種類の水剤が収容された複数の薬瓶を有しており、前記サーバー1から入力される調剤用データに従って、前記薬瓶から必要量の水剤を払い出す。前記PTPシート払出装置は、予め錠剤が包装されたPTPシート又はヒートシールが収容された複数のシートカセットを有し、前記サーバー1から入力される調剤用データに従って、前記シートカセットから前記PTPシート又は前記ヒートシールを払い出す。前記混注装置は、前記サーバー1から入力される調剤用データに従って、抗癌剤などの薬品を輸液に注入する混注作業をロボットアームで自動的に実行する。
[プリンター4]
前記プリンター4は、前記サーバー1、前記クライアント端末2から前記通信網5を介して入力される印刷データに含まれる情報を紙などのシートに印刷する。例えば、前記プリンター4は、前記病棟薬剤業務支援システム10における処方箋又は薬袋の印刷などに用いられる。
[サーバー1]
前記サーバー1は、制御部11、記憶部12、通信I/F13、表示装置14、操作装置15、及びドライブ装置16などを備えるコンピュータである。なお、前記サーバー1は、前記病棟薬剤業務支援システム10が使用される病院又は薬局等の医療機関の内部又は外部に設けられる。また、前記サーバー1は、スマートフォン又はタブレット端末などのモバイル端末であってもよい。
前記制御部11は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部11は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部12に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
前記記憶部12は、前記制御部11によって実行される各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部12には、プログラム記憶部121、マスター記憶部122、及び情報記憶部123が含まれる。
前記プログラム記憶部121は、後述の調剤開始処理(図5参照)及び病棟薬剤業務支援処理(図9参照)を前記制御部11に実行させるための制御プログラムが記憶される記憶領域である。なお、前記プログラム記憶部121には、オペレーティングシステム(OS)及びブラウザソフトなどのアプリケーションプログラムも記憶される。
前記マスター記憶部122は、薬品マスター、患者マスター、薬剤師マスター、処方箋区分マスター、診療科マスター、及び病棟マスターなどの各種のマスター情報が記憶される記憶領域である。例えば、前記薬品マスターには、各種の薬品について、薬品コード(YJコード等)、薬品名、JANコード、RSSコード、薬瓶コード、剤形、単位、比重、薬品種、配合変化、賦形薬品、注意事項などの情報が含まれる。
前記患者マスターには、各患者について、例えば患者名、患者ID、性別、年齢、飲酒有無、喫煙有無、及び病名などの情報が含まれる。また、前記患者マスターには、患者が妊婦又は授乳婦であるか否か等の診察時又は問診時に確認された各種の情報も含まれる。前記薬剤師マスターには、前記医療機関で業務を行う薬剤師の薬剤師コード、薬剤師名、担当病棟、及び管理者権限の有無などの情報が含まれる。また、前記薬剤師マスターには、薬剤師の業務権限(調剤薬剤師、病棟薬剤師)などの情報が記憶されている。
なお、前記制御部11は、前記マスター記憶部に記憶されている各種のマスター情報を、前記上位システム6から取得する情報に基づいて随時更新可能である。また、前記制御部11は、前記サーバー1、前記クライアント端末2を用いたユーザー操作に応じて前記各種のマスター情報を編集することも可能である。
前記情報記憶部123は、前記処方データ、処方チェック情報D11、条件チェック情報D12、業務基本情報D21、及びスケジュール構成情報D22などの各種の情報が記憶される記憶領域である。前記処方データは、前記制御部11により前記上位システム6から取得されて前記情報記憶部123に記憶される。
ここに、図2(A)は前記処方チェック情報D11の一例を示す図、図2(B)は、前記条件チェック情報D12、図3は前記業務基本情報D21の一例を示す図、図4は前記スケジュール構成情報D22の一例を示す図である。
図2(A)に示すように、前記処方チェック情報D11には、処方データについて調剤前に確認されるべき一又は複数の第1確認項目が記憶されている。具体的に、図2(A)に示す前記処方チェック情報D11には、処方チェックNo.「1」〜「20」に対応する20種類の第1確認項目が含まれている。また、前記処方チェック情報D11には、前記処方データについて前記第1確認項目の内容が適正であるか否かを判定するために前記第1確認項目ごとに予め定められた判定条件が含まれる。前記判定条件は、薬品ごとに予め定められている。なお、前記薬品各々に対応する前記判定条件は、前記処方チェック情報D11ではなく前記薬品マスターで薬品ごとに定められていることも考えられる。
例えば、図2(A)に示されている前記第1確認項目である「相互作用チェック」については、前記処方データにおける薬品の組み合わせに関する問題の有無を判断するための情報が定められている。また、前記第1確認項目である「投与量」については、前記処方データにおける薬品の一回量、一日量が、前記薬品の予め定められた一回量、一日量の上限以下であるか否かを判断するための情報が定められている。さらに、前記第1確認項目である「禁忌症チェック」については、前記処方データに含まれる薬品が患者に処方してよい薬品であるか否かを患者の病名などに基づいて判断するための情報が定められている。また、前記第1確認項目である「妊婦・授乳婦投与制限」については、前記処方データに対応する患者が妊婦・授乳婦である場合に、前記処方データに妊婦・授乳婦への投与が制限されている薬品が含まれているか否かを判断するための情報が定められている。
図2(B)に示すように、前記条件チェック情報D12には、前記処方データ及び前記処方データに対応する患者のいずれか一方又は両方について前記第1確認項目とは別に予め定められた一又は複数の第2確認項目が記憶されている。具体的に、図2(B)に示す前記条件チェック情報D12には、条件チェックNo.「1」〜「4」に対応する4種類の第2確認項目が含まれている。また、前記条件チェック情報D12には、前記第2確認項目の内容を薬剤師が確認するべきであるか否かを判定するために前記第2確認項目ごとに予め定められた判定条件が含まれる。
例えば、図2(B)に示されている前記第2確認項目である「手術前中止薬」については、前記処方データに含まれる薬品が手術前に服用されるべきでない手術前中止薬であるか否かを判断するための情報が定められている。また、前記第2確認項目である「追加処方」については、前記処方データが患者に対して追加で発行されたものであるか否かを判断するための情報が定められている。さらに、前記第2確認項目である「用法用量変更」については、前記処方データに対応する患者に前回処方された内容と比べて薬品の用法及び用量に変更が生じているか否かを判断するための情報が定められている。
なお、前記第1確認項目は、例えば医師への処方提案が必要な項目、又は疑義照会が必要な項目など、比較的重要度の高い確認項目である。一方、前記第2確認項目は、例えば病棟薬剤師が患者の副作用の状況把握及び服薬指導などの病棟薬剤業務を行う上で確認が必要な確認項目である。
図3に示すように、前記業務基本情報D21では、前記第1確認項目と、前記第1確認項目の確認の優先区分(優先度の一例)と、前記第1確認項目の確認に要する処理時間との対応関係が定められている。また、前記業務基本情報D21では、前記第2確認項目と、前記第2確認項目の確認の優先区分(優先度の一例)と、前記第2確認項目の確認に要する処理時間との対応関係も定められている。
前記第1確認項目及び前記第2確認項目は、病棟薬剤師によって確認されることがある事項であり、例えば「併用禁忌」、「併用注意」、「投与量」、「アレルギー」、「配合変化」、「病名」、「投与間隔」、「妊産婦授乳」、「手術前中止薬」、「追加処方」、「用法用量変更」、及び「検査報告」などの項目が含まれる。
前記優先区分は、前記第1確認項目及び前記第2確認項目各々の処理の優先度に関する情報であり、本実施形態では、「禁忌(高)」、「注意(中)」、及び「情報提供(低)」の3種類の優先区分が用いられる場合を例に挙げて説明する。なお、優先区分の括弧内の記載は優先度の高低を示す。また、前記処理時間は、病棟薬剤師が前記第1確認項目及び前記第2確認項目の適否を確認するために必要と考えられる時間として予め設定された情報である。例えば、前記業務基本情報D21では、前記第1確認項目である「併用禁忌」について、優先区分が「禁忌(高)」、処理時間が「10分」に設定されている。同じく、前記第1確認項目である「併用注意」については、優先区分が「注意(中)」、処理時間が「10分」に設定され、前記第2確認項目である「手術前中止薬」について、優先区分が「情報提供(低)」、処理時間が「15分」に設定されている。
図4に示すように、前記スケジュール構成情報D22では、薬剤師ごとに、1日の病棟薬剤業務の実施予定時間と、業務経験年数などの予め定められた能力情報と、前記第1確認項目及び前記第2確認項目ごとの処理能力とが対応付けて記憶されている。具体的に、前記スケジュール構成情報D22では、薬剤師名、経験、病棟、病棟業務時間、及び処理能力が対応付けて設定されている。前記処理能力は、薬剤師が前記第1確認項目又は前記第2確認項目の確認を実施するために必要な個別処理時間を算出するための数値として予め設定されており、数値が低いほど処理能力が高く個別処理時間が短くなる。例えば、前記制御部11は、前記処理時間が「10分」であり、前記処理能力が「0.5」である場合に、前記処理時間及び前記処理能力の乗算により、前記個別処理時間として「5分」を算出することが可能である。
前記通信I/F13は、前記通信網5を介して前記クライアント端末2、前記調剤機器3、及び前記プリンター4などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
前記表示装置14は、前記制御部11からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作装置15は、前記サーバー1に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部である。具体的に、前記操作装置15は、前記表示装置14に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を含む。また、前記操作装置15は、前記表示装置14に表示される各種の操作画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置を含むものであってもよい。
前記ドライブ装置16は、前記制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体161から前記制御プログラムを読み取ることが可能である。前記記録媒体161は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリなどであり、前記ドライブ装置16は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。そして、前記サーバー1では、前記制御部11により、前記ドライブ装置16を用いて前記記録媒体161から読み取られた前記制御プログラムが前記記憶部12の前記プログラム記憶部121に記憶され、前記サーバー1にインストールされる。これにより、前記制御部11では、前記CPUが、前記プログラム記憶部121に記憶されている前記制御プログラムを前記RAMに展開しつつ実行することが可能となる。
そして、前記サーバー1の前記制御部11は、取得処理部111、表示制御部112、スケジュール作成処理部113、及び設定処理部114を含む。具体的に、前記制御部11は、前記制御プログラムに従って各種の処理を実行することにより、前記取得処理部111、前記表示制御部112、前記スケジュール作成処理部113、及び前記設定処理部114として機能する。
前記取得処理部111は、前記処方データについて一又は複数の前記第1確認項目が適正であるか否かを前記処方チェック情報D11に基づいて判定する処方チェック(処方鑑査)を実行し、前記処方チェックのチェック結果を取得する。前記処方チェックは、例えば前記サーバー1が前記上位システム6から前記処方データを取得した際、前記処方データについて調剤が開始される際、又はユーザーによる処方チェック要求時などに前記制御部11の前記取得処理部111によって実行される。なお、前記処方チェックについては従来周知の各種手法を用いればよいため、ここでは詳細な説明を省略する。そして、前記取得処理部111は、前記処方チェックのチェック結果を前記処方データに対応付けて前記記憶部12に記録する。これにより、前記制御部11は、後述の調剤開始処理及び病棟薬剤業務支援処理において、前記記憶部12に記憶されている前記処方データに対応する前記処方チェックのチェック結果を参照することが可能である。なお、前記取得処理部111は、前記処方チェックのチェック結果を取得可能であれば、例えば前記処方チェックを実行可能な前記上位システム6のような外部装置から、前記通信網5を介して前記外部装置による前記処方チェックのチェック結果を取得することも考えられる。
また、前記取得処理部111は、前記処方データ及び前記処方データに対応する患者のいずれか一方又は両方について一又は複数の前記第2確認項目を薬剤師が確認するべきであるか否かを前記条件チェック情報D12に基づいて判定する条件チェックを実行し、前記条件チェックのチェック結果を取得する。前記条件チェックは、例えば前記サーバー1が前記上位システム6から前記処方データを取得した際、前記処方データについて調剤が開始される際、又はユーザーによる条件チェック要求時などに前記制御部11の前記取得処理部111によって実行される。なお、前記条件チェックについては従来周知の各種手法を用いればよいため、ここでは詳細な説明を省略する。そして、前記取得処理部111は、前記条件チェックのチェック結果を前記処方データに対応付けて前記記憶部12に記録する。これにより、前記制御部11は、後述の調剤開始処理及び病棟薬剤業務支援処理において、前記記憶部12に記憶されている前記処方データに対応する前記条件チェックのチェック結果を参照することが可能である。なお、前記取得処理部111は、前記条件チェックのチェック結果を取得可能であれば、例えば前記条件チェックを実行可能な前記上位システム6のような外部装置から、前記通信網5を介して前記外部装置による前記条件チェックのチェック結果を取得することも考えられる。
前記表示制御部112は、病棟薬剤師が病棟薬剤業務の実施時に参照する後述の業務管理画面P1(図10参照)を前記クライアント端末2などに表示させる。具体的に、前記表示制御部112は、前記業務管理画面P1において、前記取得処理部111により取得される前記チェック結果に基づいて一又は複数の前記第1確認項目の確認要否を表示する第1表示領域と、病棟薬剤師により確認される一又は複数の前記第2確認項目の確認要否を表示する第2表示領域とが患者ごとに表示させる。特に、前記表示制御部112は、前記第1表示領域及び前記第2表示領域の各表示欄を分割し、確認の優先度を表示する第1分割領域と確認の有無を表示する第2分割領域とを表示させる。なお、前記業務管理画面P1については後段で図10を参照しながら詳述する。
前記スケジュール作成処理部113は、前記第1確認項目及び前記第2確認項目各々の確認スケジュールを作成する後述のスケジュール作成機能を実現する。前記スケジュール作成処理では、前記業務基本情報D21に含まれる前記処理時間と、前記スケジュール構成情報D22に含まれる前記勤務予定時間とに基づいて前記勤務予定時間における前記第1確認項目及び前記第2確認項目各々の確認スケジュールが作成される。
前記設定処理部114は、前記第1確認項目及び前記第2確認項目の確認要否の判定条件を操作入力に応じて任意に設定可能である。また、前記設定処理部114は、前記第1確認項目及び前記第2確認項目の追加及び削除が可能である。
[クライアント端末2]
一方、前記クライアント端末2は、制御部21、記憶部22、通信I/F23、表示装置24、操作装置25、及びドライブ装置26などを備えるコンピュータである。前記クライアント端末2のうち、前記調剤室端末2Aは、調剤が行われる調剤室に設けられ、調剤薬剤師によって用いられる操作端末であり、前記病棟端末2Bは、患者が入院する病棟に設けられ、病棟薬剤師によって用いられる操作端末である。なお、前記クライアント端末2は、スマートフォン又はタブレット端末などのモバイル端末であり、薬剤師などのユーザーによって前記調剤室100又は前記病棟200などの間で持ち運ばれるものであってもよい。
前記制御部21は、CPU、ROM、RAM、及びEEPROMなどの制御機器を有する。前記CPUは、各種の演算処理を実行するプロセッサーである。前記ROMは、前記CPUに各種の処理を実行させるための制御プログラムなどの情報が予め記憶される不揮発性の記憶部である。前記RAMは揮発性の記憶部、前記EEPROMは不揮発性の記憶部である。前記RAM及び前記EEPROMは、前記CPUが実行する各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として使用される。そして、前記制御部21は、前記CPUを用いて、前記ROM、前記EEPROM、又は前記記憶部22に予め記憶された各種の制御プログラムに従って各種の処理を実行する。
前記記憶部22は、前記制御部21によって実行される各種のアプリケーションプログラム及び各種のデータが記憶されるハードディスク又はSSD等の不揮発性の記憶部である。具体的に、前記記憶部22には、オペレーティングシステム(OS)及びブラウザソフトなどのアプリケーションプログラムが記憶されるプログラム記憶部221が含まれる。前記ブラウザソフトは、前記通信網5を介して前記サーバー1にアクセスすることにより前記表示装置24に各種の操作画面などを表示させると共に、前記操作装置25を用いた前記操作画面に対する入力操作を前記サーバー1に伝達するためのアプリケーションソフトウェアである。具体的に、前記制御部21は、前記ブラウザソフトにより表示される操作画面の所定位置に、前記サーバー1に対応するURL(Universal Resource Locator)などのアドレス情報が入力された場合に、該アドレス情報に基づいて前記サーバー1にアクセスする。
前記通信I/F23は、前記通信網5を介して前記サーバー1、前記調剤機器3、及び前記プリンター4などの外部機器との間で、予め定められた通信プロトコルに従って無線又は有線でデータ通信を実行するネットワークカード等を有する通信インターフェースである。
前記表示装置24は、前記制御部21からの制御指示に従って各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示部である。前記操作装置25は、前記クライアント端末2に各種の情報を入力するためにユーザーによって操作される操作部である。具体的に、前記操作装置25は、前記表示装置24に表示される各種の操作画面における入力操作を受け付けるキーボード及びマウス(ポインティングデバイス)を含む。また、前記操作装置25は、前記表示装置24に表示される各種の操作画面に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネル、又は音声認識により各種情報の入力を受け付ける音声入力装置を含むものであってもよい。
前記ドライブ装置26は、前記OS又は前記ブラウザソフトなどが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体261から前記OS又は前記ブラウザソフトなどを読み取ることが可能である。前記記録媒体261は、CD、DVD、BD、又はUSBメモリなどであり、前記ドライブ装置16は、CDドライブ、DVDドライブ、BDドライブ、又はUSBポートなどである。前記クライアント端末2では、前記制御部21により、前記ドライブ装置26を用いて前記記録媒体261から読み取られた前記OS又は前記ブラウザソフトなどが前記記憶部22の前記プログラム記憶部221に記憶され、前記サーバー1にインストールされる。これにより、前記制御部21では、前記CPUが、前記プログラム記憶部221に記憶されている前記制御プログラムを前記RAMに展開しつつ実行することが可能となる。
そして、前記病棟薬剤業務支援システム10では、ユーザーによる前記クライアント端末2の操作に応じて、調剤薬剤師の業務及び前記病棟薬剤業務に関する各種情報の表示、記録、及び印刷などが実行可能である。具体的に、本実施形態では、前記サーバー1と前記クライアント端末2とによりサーバクライアントシステムが構成されており、前記サーバー1が前記クライアント端末2のユーザー操作に応じて調剤薬剤師の業務及び前記病棟薬剤業務に関する各種情報の表示、記録、及び印刷などを実行する場合について説明する。そのため、以下に説明する「表示」、「操作」、「選択」、及び「入力」などは、前記クライアント端末2の前記表示装置24及び前記操作装置25を用いて行われる。
一方、前記サーバー1が、前記表示装置14及び前記操作装置15を用いて調剤薬剤師の業務及び前記病棟薬剤業務に関する各種の表示及び印刷を実行することも可能であり、前記サーバー1単体を本発明に係る病棟薬剤業務支援システムとして捉えてもよい。さらに、前記クライアント端末2を本発明に係る服薬指導システムとして捉えてもよい。即ち、前記クライアント端末2に、前記制御プログラムの一部又は全部がインストールされており、前記クライアント端末2の前記制御部21が、前記サーバー1から必要な情報を適宜取得して、調剤薬剤師の業務及び前記病棟薬剤業務に関する各種の表示及び印刷を実行することも考えられる。
[調剤開始処理]
次に、図5を参照しつつ、前記サーバー1の前記制御部11によって実行される調剤開始処理について説明する。前記調剤開始処理は、例えば前記処方チェックが終了したとき、又は調剤薬剤師による調剤開始要求時などに前記制御部11によって前記処方データの単位で実行される。前記調剤薬剤師による前記調剤開始要求は、例えば前記調剤室端末2Aに対する前記処方データの選択発行操作に応じて、前記調剤室端末2Aの前記制御部21から前記サーバー1の前記制御部11に対して行われる。
<ステップS11>
ステップS11において、前記制御部11は、調剤対象となる前記処方データについての前記処方チェックのチェック結果が適正であるか否かを判断する。そして、前記制御部11は、前記チェック結果が適正であると判断した場合(S11:Yes側)、処理をステップS111に移行させ、前記処方チェックのチェック結果にエラーが存在すると判断した場合(S11:No側)、処理をステップS12に移行させる。なお、前記ステップS11は、前記処方チェックのチェック結果にエラーが存在するか否かを判断する処理であって、前記条件チェックのチェック結果に要確認項目が存在するか否かは判断されない。従って、前記調剤開始処理では、前記条件チェックのチェック結果に要確認項目が存在する場合であっても、前記処方チェックのチェック結果にエラーが存在しない場合には、処理がステップS111に移行して調剤制御処理が実行される。これは、前記条件チェックで確認の要否が判断される前記第2確認項目は、病棟薬剤師が、患者の容体について確認する項目、又は患者に対して説明する項目などであり、調剤薬剤師によって行われる調剤業務には影響が少ないためである。一方、他の実施形態として、前記ステップS11において、前記制御部11が、前記処方チェックのチェック結果が適正であるか否かを判断すると共に、前記条件チェックのチェック結果に要確認項目が存在するか否かを判断することも考えられる。この場合、前記制御部11は、前記処方チェックのチェック結果にエラーが存在する場合、又は前記条件チェックのチェック結果に要確認項目が存在する場合に、処理をステップS12に移行させる。
<ステップS111>
ステップS111において、前記制御部11は、前記処方データに基づく薬品の調剤を開始するための調剤制御処理を実行する。例えば、前記制御部11は、前記処方データに基づいて前記調剤機器3各々に対応する調剤用データを生成し、前記記憶部12の記憶領域に確保された共有データフォルダに記憶する。これにより、前記調剤機器3各々は、前記共有データフォルダから前記調剤用データを取得し、前記調剤用データに基づいて薬品の調剤を実行する。なお、前記制御部11が、前記調剤機器3各々に前記調剤用データを送信することも考えられる。また、前記制御部11は、薬剤師が前記処方データに基づいて薬品をピッキングするために必要なピッキング情報を前記プリンター4で印刷し、又は前記ピッキング情報をピッキング補助装置に送信することも考えられる。
<ステップS12>
ステップS12において、前記制御部11は、前記チェック結果のエラーについて既に確認済みであるか否かを判断する。ここで、前記チェック結果のエラーの確認は、調剤薬剤師による前記調剤室端末2Aの操作によって、又は、後述の病棟薬剤業務支援処理で説明する病棟薬剤師による前記病棟端末2Bの操作によって行われる。なお、前記確認操作は、例えば後述のエラー詳細画面P22(図7参照)において行われる。ここで、前記チェック結果のエラーについて確認済みであると判断されると(S12:Yes側)、処理は前記ステップS111に移行し、確認済みでないと判断されると(S12:No側)、処理はステップS13に移行する。
なお、前記制御部11が、前記チェック結果のエラーについて確認済みである場合であっても、前記調剤室端末2Aに前記エラーが確認済みである旨を表示させ、調剤薬剤師により更なる確認操作が行われた場合に、処理を前記ステップS111に移行させることも考えられる。これにより、調剤薬剤師が、前記チェック結果が病棟薬剤師又は他の調剤薬剤師により確認済みであることを確認することが可能である。
<ステップS13>
ステップS13において、前記制御部11は、予め定められたエラー報知処理を実行する。例えば、前記エラー報知処理では、前記処方データにエラーが存在する旨の警告が前記調剤室端末2Aの前記表示装置24などに表示され、又は前記処方データにエラーが存在する旨が前記上位システム6に報知される。
ここに、図6は、前記エラー報知処理によって表示されるエラー一覧画面P21の一例を示す図である。図6に示すように、前記エラー一覧画面P21では、前記調剤室100で調剤される前記処方データのうち前記処方チェックのチェック結果にエラーが生じている前記処方データの一覧が表示領域A211に表示される。なお、既に前記エラー一覧画面P21が表示されている場合には、例えば前記チェック結果にエラーが生じている前記処方データが前記表示領域A211に追加された状態になるように表示が更新される。
また、前記エラー一覧画面P21では、前記処方データのエラー内容の詳細が表示されるエラー詳細画面P22を表示させるための操作キーK211、及び前記処方データに対応する患者の薬歴が表示される薬歴画面P23を表示させるための操作キーK212が、前記処方データごとに対応して表示される。そして、前記制御部11は、前記操作キーK211の操作に応じてエラー詳細画面P22を表示させ、前記操作キーK212の操作に応じて薬歴画面P23を表示させる。
ここに、図7は、前記エラー詳細画面P22の一例を示す図である。図7に示すように、前記エラー詳細画面P22には、前記第1確認項目のうち前記処方チェックのチェック結果がエラーとなっているエラー項目の内容の内容が表示される表示領域A21が表示されている。さらに、前記エラー詳細画面P22では、医師により入力されるコメントが表示されるコメント表示領域A22と、前記第1確認項目について既に薬剤師によって確認が行われている際に、その薬剤師の氏名、記入日、及びその薬剤師によって入力されるコメントなどが表示されるコメント表示領域A23とが表示されている。
このように、前記病棟薬剤業務支援システム10では、薬剤師が前記第1確認項目のエラー項目の内容に問題ないことを確認した場合に、その理由又は経緯などをコメントとして前記コメント表示領域A23に記入することが可能である。従って、例えば病棟薬剤師が前記エラー項目について前記確認操作を行った際に入力したコメントを、調剤薬剤師が前記エラー詳細画面P22において参照することが可能となる。また、調剤薬剤師が前記エラー項目について前記確認操作を行った際に入力したコメントを、病棟薬剤師が前記エラー詳細画面P22において参照することが可能となる。即ち、調剤薬剤師及び病棟薬剤が、互いに前記エラー項目の確認についての情報を共有することができる。さらに、前記病棟薬剤業務支援システム10において、前記制御部11は、調剤薬剤師により前記エラー一覧画面P21又は前記エラー詳細画面P22において所定の操作が行われた場合に、前記要確認項目についての情報が表示可能である。具体的に、前記制御部11は、前記所定の操作に応じて、前記処方データに対応する前記要確認項目の有無、及び前記要確認項目が確認済みであるか否かなどの情報を表示させることが可能である。これにより、例えば調剤薬剤師は、患者の容体に詳しい病棟薬剤師の判断を参考にして、前記エラー項目について承認するか否かを判断することが可能となる。
また、前記表示領域A21には、前記エラー項目の内容を確認した旨を入力するための確認キーK21と、前記エラー項目について医師に対して疑義照会を行った結果を入力する予定であることを記録するための疑義予定キーK22とが表示されている。なお、前記エラー詳細画面P22では、前記確認キーK21に「承認」と表示されるが、前記確認キーK21は、確認した旨の入力を行うための操作キーである。
さらに、前記表示領域A21には、前記エラー項目について医師に対して疑義照会を行った結果を入力するための疑義照会キーK23と、前記処方データに対応する患者の薬歴を表示するための薬歴キーK24とが表示されている。また、前記エラー詳細画面P22には、表示画面を前記エラー一覧画面P21に遷移させるための操作キー25が表示される。なお、前記操作キー25は、前記クライアント端末2を操作している薬剤師が調剤薬剤師である場合、即ち前記クライアント端末2が前記調剤室端末2Aである場合にのみ表示されることが考えられる。さらに、前記表示領域A21では、前記クライアント端末2を操作している薬剤師が病棟薬剤師である場合には、前記エラー項目及び前記要確認項目の両方の内容が表示され、前記クライアント端末2を操作している薬剤師が調剤薬剤師である場合には、前記エラー項目の内容のみが表示される。なお、他の実施形態として、前記クライアント端末2を操作している薬剤師が病棟薬剤師及び調剤薬剤師のいずれの場合であっても、前記エラー詳細画面P22に前記エラー項目及び前記要確認項目の両方が表示されることが考えられる。さらに、前記制御部11が、前記病棟薬剤業務支援システム10の初期設定処理などにおいて、前記エラー詳細画面P22に前記エラー項目のみを表示させるモードと前記エラー項目及び前記要確認項目を表示させるモードとをユーザー操作に応じて任意に選択可能であってもよい。
そして、前記制御部11は、前記確認キーK21が操作されると、前記エラー項目について確認が行われた旨、その確認を行った薬剤師の識別情報(氏名又はID等)、及びその確認が行われた日時などの確認履歴情報を前記チェック結果に対応付けて前記情報記憶部123に記録する。さらに、前記制御部11は、前記確認キーK21の操作後は、前記エラー詳細画面P22における前記エラー項目に対応する前記確認キーK21に代えて確認済みである旨を表示させる。これにより、薬剤師は、前記エラー詳細画面P22を見て、前記エラー項目について確認済みであるか否かを把握することができる。
また、前記制御部11は、前記疑義予定キーK22が操作されると、前記エラー項目について医師に対して疑義照会を行った結果を入力する予定である旨を示す疑義予定情報を、前記処方データに対応付けて前記情報記憶部123に記録する。即ち、この時点では、疑義照会は行われているが、前記疑義照会の結果が入力されていない状態である。
また、前記制御部11は、前記疑義照会キーK23が操作されると、前記エラー項目について医師に対し疑義照会をした結果に関する疑義照会情報を入力するための疑義照会入力画面を表示させる。なお、前記制御部11は、前記疑義照会入力画面の表示に従って、医師からのコメント等を含む前記疑義照会情報の入力を受け付け、入力された前記疑義照会情報を前記情報記憶部123に記録する。また、前記制御部11は、前記疑義照会情報に基づいて、医師からのコメントを前記エラー詳細画面P22の前記コメント表示領域A22に表示させる。
また、前記制御部11は、前記薬歴キーK24が操作されると、前記処方データに対応する患者の薬歴を表示する前記薬歴画面P23を前記表示装置24に表示させる。
ここに、図8は、前記薬歴画面P23の一例を示す図である。図8に示すように、前記薬歴画面P23には、前記処方データに対応する患者の薬歴が表示されている。また、前記薬歴画面P23には、表示画面を前記エラー一覧画面P21に遷移させるための操作キーK231と、表示画面を前記エラー詳細画面P22に遷移させるための操作キーK232とが表示される。そして、前記制御部11は、前記操作キーK231の操作に応じて前記エラー一覧画面P21を表示させ、前記操作キーK232の操作に応じて前記エラー詳細画面P22を表示させる。また、前記制御部11は、前記薬歴画面P23において前記処方データに含まれる前記エラー項目及び前記要確認項目に対応する薬品名などを前記エラー項目及び前記要確認項目の優先区分に対応する特定色で表示させ、前記エラー項目又は前記要確認項目が選択された場合に、その選択された項目に対応する前記エラー詳細画面P22を表示させることも考えられる。
また、前記制御部11は、図7に示す前記操作キーK25が操作されると、前記エラー一覧画面P21を前記表示装置24に表示させる。また、前記制御部11は、前記エラー詳細画面P22を閉じるための操作が行われた場合、又は画面遷移を戻すための操作が行われた場合などにも、前記表示装置24の表示画面を前記エラー一覧画面P21に遷移させる。
このように、前記病棟薬剤業務支援システム10では、調剤薬剤師が、前記エラー一覧画面P21、前記エラー詳細画面P22、及び前記薬歴画面P23各々を任意に切り替えて前記表示装置24に表示させることが可能である。従って、調剤薬剤師は、前記エラー一覧画面P21、前記エラー詳細画面P22、及び前記薬歴画面P23を参照して前記処方データのチェック結果のエラーを承認して前記処方データに関する調剤業務を実行するか否かなどを判断することが可能である。
また、前記制御部11は、前記エラー一覧画面P21において前記処方データの選択操作が行われた場合に、前記選択操作により選択された前記処方データに対応する患者の薬歴を表示する前記薬歴画面P23を表示させることも他の実施形態として考えられる。この場合、前記制御部11は、前記薬歴画面P23において処理を進めるための所定操作が行われた場合に、前記薬歴画面P23を閉じて前記エラー詳細画面P22を表示させることが考えられる。即ち、前記制御部11は、前記エラー一覧画面P21から前記エラー詳細画面P22を表示させる場合に、前記薬歴画面P23の表示を介在させることが考えられる。これにより、前記薬歴画面P23で患者の薬歴を参照してから前記第1確認項目についての確認操作の有無を判断することが調剤薬剤師に促される。なお、この場合、前記エラー一覧画面P21、前記エラー詳細画面P22、及び前記薬歴画面P23各々を任意に切り替えるための操作キーは表示されていてもよいが、省略されてもよい。
<ステップS14>
そして、図5に示されているように、ステップS14において、前記制御部11は、前記エラー項目について確認操作が行われたか否かを判断する。具体的に、前記エラー詳細画面P22において前記確認キーK21が既に操作されている場合に、前記確認操作が行われたと判断される。ここで、前記確認操作が既に行われていると判断されると(S14:Yes側)、処理は前記ステップS111に移行し、前記確認操作が未だ行われていないと判断されると(S14:No側)、当該調剤開始処理は終了する。
[病棟薬剤業務支援処理]
次に、図9を参照しつつ、前記サーバー1の前記制御部11によって実行される病棟薬剤業務支援処理について説明する。ところで、本発明は、前記病棟薬剤業務支援処理を実行することにより病棟薬剤師の服薬指導業務を支援するための病棟薬剤業務支援方法の発明として捉えてもよい。
<ステップS21>
まず、前記制御部11は、病棟薬剤師により前記病棟端末2Bを用いて予め定められた業務開始操作が行われた場合に(S21のYes側)処理をステップS22に移行させる。なお、前記業務開始操作が行われるまでの間は(S21のNo側)、処理が前記ステップS21で待機する。
前記業務開始操作は、例えば薬剤師の氏名又はIDなどの識別情報と、薬剤師ごとに予め設定されたパスワードとを入力するログイン操作である。また、前記業務開始操作は、薬剤師各々が有する磁気カード又はICカードなどが前記病棟薬剤業務支援システム10に接続されるカードリーダー(不図示)によって読み取られることであってもよい。
具体的に、前記サーバー1では、前述したように前記薬剤師マスターに、薬剤師各々の権限情報が記憶されているため、前記制御部11が、前記業務開始操作を行った薬剤師が調剤薬剤師及び病棟薬剤師のいずれであるかを前記薬剤師マスターに基づいて判断することが考えられる。そして、前記制御部11は、前記業務開始操作を行った薬剤師が病棟薬剤師である場合と調剤薬剤師である場合とで異なる処理を実行することが考えられる。具体的に、前記制御部11は、前記業務開始操作を行った薬剤師が病棟薬剤師である場合に処理をステップS22に移行させ、調剤薬剤師である場合には、前記エラー一覧画面P21(図5参照)を表示させることが考えられる。即ち、前記病棟薬剤業務支援処理が、病棟薬剤師の業務を支援するための病棟薬剤師専用の処理であることが考えられる。なお、他の実施形態として、前記業務開始操作を行った薬剤師が調剤薬剤師である場合にも同様に前記病棟薬剤業務支援処理が実行されることが考えられる。
また、前記ステップS21の前段で、前記制御部11が、調剤薬剤師に対応する第1モードと病棟薬剤師に対応する第2モードとを任意に選択可能なモード選択画面を前記クライアント端末2に表示させ、前記モード選択画面におけるモード選択操作に応じて前記第2モードが選択された場合に、前記病棟薬剤師による業務開始操作が行われたと判断することも考えられる。なお、前記第1モードが選択された場合には、前記制御部11が、前記調剤薬剤師による業務開始操作が行われたと判断し、前記エラー一覧画面P21等を表示させることが考えられる。
<ステップS22>
ステップS22において、前記制御部11は、前記ステップS21で前記業務開始操作を行った薬剤師に対応する業務管理画面P1を前記表示装置24に表示させる。前記業務開始操作を行った薬剤師が病棟薬剤師である場合、前記業務管理画面P1には、病棟薬剤師の担当病棟に入院している患者に関する情報のうち必要な情報が抽出されて表示される。具体的に、前記制御部11は、病棟薬剤師の担当病棟に入院している患者について、前記取得処理部111により取得される前記処方チェックのチェック結果として前記第1確認項目にエラー項目が含まれる場合、及び前記取得処理部111により取得される前記条件チェックのチェック結果として前記第2確認項目に要確認項目が含まれる場合に、その患者に対応する情報を抽出して前記業務管理画面P1に表示させる。
ここに、図10は、前記業務管理画面P1の一例を示す図である。図10に示されているように、前記業務管理画面P1には、条件表示領域A11及び業務表示領域A12が含まれる。なお、前記業務管理画面P1には、スケジュール表示キーK11及びマスター設定キーK12なども表示されている。
前記条件表示領域A11では、前記業務管理画面P1における表示対象となる患者の情報を絞り込むための絞込条件が入力可能である。具体的に、前記条件表示領域A11では、前記業務管理画面P1に表示される情報を、病棟、診療科、薬剤師、禁忌、注意、情報提供、及び未承認/未確認のみ等の絞込条件を設定することが可能である。なお、前記業務管理画面P1では、前記第1確認項目については確認が行われた旨が「承認」と表示され、前記第2確認項目については確認が行われた旨が「確認」と表示されるが、いずれも確認済みであることを示す。前記制御部11は、前記絞込条件に従って前記業務管理画面P1に表示する情報を前記情報記憶部から抽出する。
また、前記業務表示領域A12には、基本表示領域A121、第1表示領域A122、及び第2表示領域A123が表示される。前記基本表示領域A121には、患者のID、氏名、病棟、病室、診療科、医師、担当薬剤師、入院日などの基本情報が表示される。前記第1表示領域A122には、前記第1確認項目のうち予め設定された一又は複数の第1確認項目の判定結果が表示される。また、前記第2表示領域A123には、前記第2確認項目のうち予め設定された一又は複数の第2確認項目の確認要否が表示される。
なお、前記制御部11は、前記第1表示領域A122に表示される前記第1確認項目の項目名をオレンジ色などの第1区分色で表示させ、前記第2表示領域A123に表示される前記第2確認項目の項目名を水色などの第2区分色で表示させる。このように、前記業務管理画面P1では、前記第1確認項目及び前記第2確認項目の項目名が異なる表示色で表示されるため、薬剤師は、前記第1確認項目及び前記第2確認項目のいずれに該当するかを一見して把握することができる。
さらに、前記制御部11は、前記第1表示領域A122の各表示欄A13を上下に分割し、確認の優先区分を表示する第1分割領域A131と確認の有無を表示する第2分割領域A132とを表示させる。同じく、前記制御部11は、前記第2表示領域A123の各表示欄A14を上下に分割し、確認の優先区分を表示する第1分割領域A141と確認の有無を表示する第2分割領域A142とを表示させる。
具体的に、前記制御部11は、前記処方チェックのチェック結果に前記エラー項目が含まれない場合、前記第1確認項目各々に対応する前記表示欄A13の前記第1分割領域A131に空白を表示させる。これにより、病棟薬剤師は、前記第1分割領域A131を一見して、前記第1確認項目各々について確認が不要である旨を把握することができる。
一方、前記制御部11は、前記処方チェックのチェック結果に前記エラー項目が含まれる場合、前記エラー項目である前記第1確認項目に対応する前記表示欄A13の前記第1分割領域A131及び前記第2分割領域A132に確認の優先区分及び確認の有無を表示させる。即ち、前記表示欄A13のうち、前記処方チェックにより適正でないと判定された前記エラー項目に対応する表示欄の前記第1分割領域A131及び前記第2分割領域A132のみに確認の優先区分及び確認の有無が表示される。なお、前記第2分割領域A132に表示される確認の有無に関する情報は、前記情報記憶部123に記憶されており、前記制御部11によって適宜更新される。
例えば、図10に示すように、前記制御部11は、前記第1確認項目のうち「投与量」が前記エラー項目であり、そのエラー内容が「禁忌(高)」である場合、その「投与量」の前記表示欄A13の第1分割領域A131に、確認の優先区分である「禁忌(高)」を示す「×」のマークを、「禁忌(高)」に予め対応付けられた赤色などの第1特定色M1の背景と共に表示させる。また、前記制御部11は、前記第1確認項目のうち「相互作用」が前記エラー項目であり、そのエラー内容が「注意(中)」である場合、その「相互作用」の前記表示欄A13の第1分割領域A131に、確認の優先区分である「注意(中)」を示す「△」のマークを、「注意(中)」に予め対応付けられた黄色などの第2特定色M2の背景と共に表示させる。即ち、前記制御部11は、前記第1確認項目の前記第1分割領域A131を、前記第1確認項目の確認の優先区分(優先度)に応じて予め設定された表示態様で表示させる。なお、前記表示態様には、例えば前記第1分割領域A131の文字色、背景色、図柄、及び表示の点滅などが含まれる。
さらに、前記制御部11は、前記エラー項目について確認が行われていない場合には、その旨を示すための空白を前記第2分割領域A132に表示させ、前記エラー項目の確認が行われた場合には、その旨を示すための「承認済」のメッセージを前記第2分割領域A132に表示させると共に、前記第1分割領域A131の背景色を確認済みに予め対応付けられた白色などの特定色に変更する。なお、前記第1確認項目の確認の優先区分及び確認の有無を示す表示態様はこれらに限らない。即ち、前記制御部11は、確認が行われた前記第1確認項目の前記第1分割領域A131を、前記第1確認項目の確認済みに対応して予め設定された表示態様で表示させる。なお、前記表示態様には、例えば前記第1分割領域A131の文字色、背景色、図柄、及び表示の点滅などが含まれる。
また、前記制御部11は、前記条件チェックのチェック結果に前記要確認項目が含まれていない場合、前記第2確認項目各々に対応する前記表示欄A14の前記第1分割領域A141に空白を表示させる。これにより、病棟薬剤師は、前記第2分割領域A141を一見して、前記第2確認項目各々について確認が不要である旨を把握することができる。
一方、前記制御部11は、前記条件チェックのチェック結果に前記要確認項目が含まれている場合、前記要確認項目である前記第2確認項目に対応する前記表示欄A14の前記第1分割領域A141及び前記第2分割領域A142に確認の優先区分及び確認の有無を表示させる。即ち、前記表示欄A14のうち、前記条件チェックにより確認が必要であると判定された前記要確認項目に対応する表示欄の前記第1分割領域A141及び前記第2分割領域A142のみに確認の優先区分及び確認の有無が表示される。なお、前記第2分割領域A142に表示される確認の有無に関する情報は、前記情報記憶部123に記憶されており、前記制御部11によって適宜更新される。
例えば、図10に示すように、前記制御部11は、前記第2確認項目のうち「手術前中止薬」が前記要確認項目であり、その確認内容が「情報提供(低)」である場合、その「手術前中止薬」の前記表示欄A14の前記第1分割領域A141に、確認の優先区分である「情報提供(低)」を示す「○」のマークを、「情報提供(低)」に予め対応付けられた青色などの第3特定色M3の背景と共に表示させる。即ち、前記制御部11は、確認が行われた前記第2確認項目の前記第1分割領域A141を、前記第2確認項目の確認の優先区分(優先度)に応じて予め設定された表示態様で表示させる。なお、前記表示態様には、例えば前記第1分割領域A141の文字色、背景色、図柄、及び表示の点滅などが含まれる。
さらに、前記制御部11は、前記要確認項目について確認が行われていない場合には、その旨を示すための空白を前記第2分割領域A142に表示させ、前記要確認項目の確認が行われた場合には、その旨を示すための「確認済」のメッセージを前記第2分割領域A142に表示させると共に、前記第1分割領域A141の背景色を確認済みに予め対応付けられた白色などの特定色に変更する。なお、前記第1確認項目の確認の優先区分及び確認の有無を示す態様はこれらに限らない。即ち、前記制御部11は、確認が行われた前記第2確認項目の前記第1分割領域A141を、前記第2確認項目の確認済みに対応して予め設定された表示態様で表示させる。なお、前記表示態様には、例えば前記第1分割領域A141の文字色、背景色、図柄、及び表示の点滅などが含まれる。
なお、前記業務管理画面P1では、確認が必要な前記第1確認項目及び前記第2確認項目が存在する患者の情報が、過去、当日、未来の優先順位、即ち時期が早い順で優先的に上位に表示される。また、時期が同じ情報については、前記第1確認項目及び前記第2確認項目の確認の優先区分が高い患者の情報が優先的に上位に表示される。これにより、薬剤師は、優先的に確認するべき患者の情報を容易に把握することができる。
また、前記制御部11は、前記業務管理画面P1において各種の項目名が選択された場合に、その項目名について並べ替えて表示を行うことが可能である。なお、前記項目名の選択は、例えば前記操作装置25のマウスのクリック操作又は前記操作装置25のタッチパネルのタッチ操作によって行われる。ところで、前記業務管理画面P1に全ての項目が同時に表示できない場合、前記制御部11は、横方向の所定のスクロール操作に応じて表示を横方向にスクロールして全ての項目を順次表示させることが可能である。なお、前記制御部11は、予め実行可能な初期設定処理により、ユーザー操作に応じて前記患者の情報として前記業務管理画面P1に表示する項目の種類及び表示順などを任意に設定することが可能である。また、前記制御部11は、前記業務管理画面P1に表示する前記第1確認項目及び前記第2確認項目の種類などをユーザー操作に応じて設定する項目設定機能を有しており、この点については後述する。
さらに、前記業務管理画面P1において、前記第1分割領域A131又は前記第1分割領域A141に確認の優先区分が表示されている前記表示欄A13又は前記表示欄A14に、操作位置を示すカーソルが存在する場合、例えばマウスオーバー操作が行われた場合、前記制御部11は、前記表示欄A13又は前記表示欄A14に対応する前記第1確認項目又は前記第2確認項目の確認状況に関する詳細情報をポップアップ表示させる。例えば、前記制御部11は、前記第1確認項目又は前記第2確認項目について、前記エラー項目の具体的なエラー内容、前記要確認項目の具体的な確認内容、確認日時、及び確認者などの確認詳細情報を前記情報記憶部123に記録しており、前記第1確認項目又は前記第2確認項目に対応する前記確認詳細情報を前記情報記憶部123から読み出して前記ポップアップ表示させることが考えられる。
また、前記制御部11は、確認が必要な前記第1確認項目について確認が行われた場合、前記第1分割領域A131の背景色を白色などの特定色に変更するが、前記第1分割領域A131における前記確認の優先区分(○、△、×など)については表示を継続させる。これにより、薬剤師は、前記第1確認項目のうち元はエラー項目であったが、既に確認が行われている旨を容易に把握することができる。同じく、前記制御部11は、確認が必要な前記第2確認項目について確認が行われた場合、前記第1分割領域A141の背景色を白色などの特定色に変更するが、前記第1分割領域A141における前記確認の優先区分(○、△、×など)については表示を継続させる。これにより、薬剤師は、前記第2確認項目のうち元は確認が必要な項目であったが、既に確認が行われている旨を容易に把握することができる。
一方、前記制御部11は、前記第1確認項目各々の前記第1分割領域A131の表示態様を、当該第1確認項目の確認操作を行った薬剤師と前記確認操作を行っていない他の薬剤師との間で変更することが考えられる。同じく、前記制御部11は、前記第2確認項目各々の前記第1分割領域A141の表示態様を、当該第2確認項目の確認操作を行った薬剤師と前記確認操作を行っていない他の薬剤師との間で変更することが考えられる。具体的に、前記制御部11は、前記業務管理画面P1が表示される場合に、前記業務開始操作を行った薬剤師(ログイン中の薬剤師)により前記確認操作が行われた前記第1確認項目の第1分割領域A131及び前記第2確認項目の第1分割領域A141の背景色は白色などの特定色に変更し、他の薬剤師により前記確認操作が行われた前記第1確認項目の第1分割領域A131及び前記第2確認項目の第1分割領域A141の背景色は変化させないことが考えられる。そのため、他の薬剤師によって確認が行われた前記第1確認項目の第1分割領域A131及び前記第2確認項目の第1分割領域A141の背景色は、前記確認の優先区分に応じた前記第1特定色M1、前記第2特定色M2、及び前記第3特定色M3のいずれかになる。これにより、薬剤師は、前記第1確認項目及び前記第2確認項目各々について、自己が確認操作を行った項目と他の薬剤師が確認操作を行った項目とを一見して把握することができる。
また、前記業務管理画面P1には、前記処方データに対応する患者の薬歴が表示される前記薬歴画面P23を表示させるための操作キーK151が、前記患者ごとに対応して表示される。そして、前記制御部11は、前記操作キーK151の操作に応じて前記薬歴画面P23を表示させる。これにより、前記病棟薬剤業務支援システム10では、病棟薬剤師が、前記業務管理画面P1、前記エラー詳細画面P22、及び前記薬歴画面P23各々を任意に切り替えて表示させることが可能である。従って、病棟薬剤師は、前記エラー一覧画面P21、前記エラー詳細画面P22、及び前記薬歴画面P23を参照して前記処方データのチェック結果のエラーを承認して前記処方データに関する調剤業務を実行するか否かなどを判断することが可能である。
<ステップS23>
次に、ステップS23において、前記制御部11は、前記第1確認項目又は前記第2確認項目のうち前記エラー項目又は前記要確認項目に対応する前記表示欄A13又は前記表示欄A14の選択操作が行われた場合(S23のYes側)、処理をステップS24に移行させる。なお、前記選択操作が行われなければ(S23のNo側)、処理がステップS28に移行する。
また、他の実施形態として、前記制御部11が、前記選択操作が行われた場合に(S23のYes側)、前記選択操作により選択された前記表示欄A13又は前記表示欄A14に対応する患者の薬歴を表示する前記薬歴画面P23を表示させることも考えられる。この場合、前記制御部11は、前記薬歴画面P23において処理を進めるための所定操作が行われた場合に、前記薬歴画面P23を閉じて前記エラー詳細画面P22を表示させることが考えられる。即ち、前記制御部11は、前記業務管理画面P1から前記エラー詳細画面P22を表示させる場合に、前記薬歴画面P23の表示を介在させることが考えられる。これにより、前記薬歴画面P23で患者の薬歴を参照してから前記第1確認項目及び前記第2確認項目各々についての確認操作の有無を判断することが病棟薬剤師に促される。なお、この場合、前記業務管理画面P1、前記エラー詳細画面P22、及び前記薬歴画面P23各々を任意に切り替えるための操作キーは表示されてもよいが、省略されてもよい。
<ステップS24>
ステップS24において、前記制御部11は、前記ステップS23における選択操作が行われた前記第1確認項目又は前記第2確認項目の詳細を表示する前記エラー詳細画面P22(図7参照)を前記クライアント端末2に表示させる。即ち、前記制御部11は、前記クライアント端末2を操作する薬剤師が病棟薬剤師である場合には、前記エラー詳細画面P22に、前記第1確認項目だけでなく、前記第2確認項目についても表示させることが可能である。そして、前記エラー詳細画面P22には、前記第1確認項目又は前記第2確認項目のうち前記選択操作が行われた前記エラー項目又は前記要確認項目の詳細が表示されると共に、前記エラー項目又は前記要確認項目の確認の有無及び確認者のコメントなどが表示される。従って、病棟薬剤師は、例えば患者の容体を踏まえて、前記エラー項目又は前記要確認項目について問題ないことを確認するか否かを判断すること、或いは、既に調剤薬剤師等によって確認されている場合にはその確認時のコメントなどを参照することにより処方内容の適否を判断することが可能となる。
また、前記選択操作が行われた前記エラー項目又は前記要確認項目の他にも、前記エラー項目又は前記要確認項目が存在することが考えられるが、前記ステップS24では、前記選択操作によって選択された前記エラー項目又は前記要確認項目のみを表示させることが考えられる。なお、他の実施形態として、前記選択操作によって選択された前記エラー項目又は前記要確認項目を先頭に表示させると共に、他の前記エラー項目又は前記要確認項目も同時に表示させることが考えられる。さらに、前記制御部11が、前記病棟薬剤業務支援システム10の初期設定処理などにおいて、前記選択操作が行われた場合に前記選択操作に対応する前記エラー項目又は前記要確認項目のみを表示するモードと全ての前記エラー項目又は前記要確認項目を表示するモードとをユーザー操作に応じて任意に選択可能であってもよい。
<ステップS25>
ステップS25において、前記制御部11は、前記エラー詳細画面P22における確認操作の有無を判断する。例えば、病棟薬剤師は、患者と接することによって得られる患者の容体などの個別の事情を踏まえて、患者に対する処方内容の適否を判断し、処方内容に問題がなければ前記確認操作を行い、処方内容に問題があれば前記確認操作を行わない。ここで、前記制御部11は、前記確認キーK21の操作により前記第1確認項目又は前記第2確認項目の確認操作が行われたと判断すると(S25のYes側)、処理をステップS26に移行させる。一方、前記制御部11は、前記確認操作が行われなかった場合(S25のNo側)、例えば前記エラー詳細画面P22を閉じるための所定操作が行われた場合には、前記業務管理画面P1を最新の状態に更新するために処理をステップS27に移行させる。なお、前記確認操作が行われなかった場合に(S25のNo側)、処理が前記ステップS23に戻されてもよい。
<ステップS26>
ステップS26において、前記制御部11は、前記第1確認項目又は前記第2確認項目について確認が行われた旨、確認日時、確認者などの情報を前記情報記憶部123に記憶させる情報更新処理を実行する。
<ステップS27>
次に、ステップS27において、前記制御部11は、前記業務管理画面P1を再表示させる。これにより、前記エラー詳細画面P22において前記確認操作が行われなかった場合には(S25のNo側)、前記第1確認項目又は前記第2確認項目の確認状態が更新されずに前記エラー詳細画面P22が閉じられて前記業務管理画面P1が再度表示される。一方、前記エラー詳細画面P22において前記確認操作が行われた場合には(S25のYes側)、前記ステップS26における情報の更新が前記業務管理画面P1に反映される。即ち、前記制御部11は、前記ステップS25で確認操作が行われたと判断した前記第1確認項目又は前記第2確認項目を確認済みの状態で表示させる。
また、前記エラー詳細画面P22には、表示画面を前記業務管理画面P1に遷移させるための操作キーK26が表示される。なお、前記操作キー26は、前記クライアント端末2を操作している薬剤師が病棟薬剤師である場合、即ち前記クライアント端末2が前記病棟端末2Bである場合にのみ表示されることが考えられる。そして、前記制御部11は、前記操作キーK26が操作されると、前記業務管理画面P1を前記表示装置24に表示させる。また、前記制御部11は、前記エラー詳細画面P22を閉じるための操作が行われた場合、又は画面遷移を戻すための操作が行われた場合などにも、前記表示装置24の表示画面を前記業務管理画面P1に遷移させる。
<ステップS28>
その後、ステップS28において、前記制御部11は、前記業務管理画面P1を閉じる操作又はログアウト操作などの予め設定された業務終了操作が行われていない場合には(S28のNo側)、処理を前記ステップS23に戻す。また、前記業務終了操作が行われた場合(S28のYes側)、前記制御部11は、薬剤師のログアウト処理などを実行した後、処理を前記ステップS21に戻す。また、前記病棟薬剤業務支援処理の途中で、前記業務終了操作が行われた場合にも同様に、薬剤師のログアウト処理などが実行された後、処理が前記ステップS21に戻される。
以上説明したように、前記病棟薬剤業務支援システム10では、前記第1表示領域A122及び前記第2表示領域A123を参照することで、患者各々について前記第1確認項目及び前記第2確認項目の確認の優先度及び確認の有無などを容易に把握することが可能となる。従って、例えば病棟薬剤師が、前記第1確認項目及び前記第2確認項目の確認の優先度及び確認の有無などを参照して業務を効率的に行うことが可能となる。
また、前記制御部11は、前記第1表示領域A122及び前記第2表示領域A123において、前記第1分割表示領域A131及び前記第1分割表示領域A141の表示色を前記優先区分に応じて変化させる。従って、病棟薬剤師は、前記第1確認項目及び前記第2確認項目の優先度を容易に把握することができる。
[スケジュール作成機能]
また、前記病棟薬剤業務支援システム10は、病棟薬剤師によって実施される病棟薬剤業務のスケジュールを自動的に作成するスケジュール作成機能を有する。具体的に、前記制御部11は、図10に示すように前記業務管理画面P1に表示されている前記スケジュール表示キーK11が操作された場合に、前記病棟薬剤業務における前記第1確認項目及び前記第2確認項目の確認スケジュールを作成するスケジュール作成処理を前記制御プログラムに従って実行する。ところで、前記スケジュール表示キーK11は、前記病棟端末2Bにのみ表示されることも考えられる。なお、前記スケジュール作成処理は、前記制御部11の前記スケジュール作成処理部113によって実行される。
より具体的に、前記スケジュール作成処理において、前記制御部11は、現在ログイン中の病棟薬剤師が担当する病棟に入院している患者各々について確認が必要である前記第1確認項目及び前記第2確認項目の内容などを前記情報記憶部123から読み出す取得処理を実行する。具体的に、前記取得処理では、前記患者各々の処方データについて行われた前記処方チェックのチェック結果と、前記処方データ又は前記処方データに対応する患者について行われた前記条件チェックのチェック結果とを前記情報記憶部123から取得する。これにより、前記制御部11は、前記エラー項目及び前記要確認項目を認識することが可能である。なお、前記取得処理は、前記取得処理部111によって実行される。
また、前記制御部11は、前記業務基本情報D21及び前記スケジュール構成情報D22を前記情報記憶部123から読み出す。そして、前記制御部11は、前記業務基本情報D21に含まれる各項目に対応する処理時間、及び前記スケジュール構成情報D22に含まれる勤務予定時間などに基づいて、病棟薬剤師の勤務予定時間に処理可能な範囲で、現時点で確認が終了していない前記エラー項目及び前記要確認項目を自動的に割り当て、前記確認スケジュールを作成する。
具体的に、前記制御部11は、病棟薬剤師の勤務予定時間と前記処理時間とに応じて、現時点で確認が終了していない前記エラー項目及び前記要確認項目を前記優先区分が高い項目から順に割り当てる。特に、前記制御部11は、前記スケジュール構成情報D22に含まれる薬剤師の処理能力にも基づいて前記確認スケジュールを作成する。例えば、前記処理時間が「10分」であり、前記処理能力が「0.5」である場合に、前記個別処理時間として「5分」を算出する。そして、前記制御部11は、病棟薬剤師の勤務予定時間と前記個別処理時間とに基づいて、現時点で確認が終了していない前記エラー項目及び前記要確認項目を前記優先区分が高い項目から順に割り当てる。
ここに、図11は、前記確認スケジュールが反映されたカレンダー表示画面P3の一例を示す図である。具体的に、図11に示すように、前記カレンダー表示画面P3には、病棟薬剤師の勤務日ごとに確認するべき前記エラー項目又は前記要確認項目の内容が表示される。なお、前記勤務日のいずれかにその勤務日に対応する表示欄に一度に表示されない数の前記エラー項目及び前記要確認項目が割り当てられている場合には、前記勤務日の選択操作又はマウスオーバー操作に応じて前記勤務日における前記エラー項目及び前記要確認項目の情報の一覧画面が画面遷移又はポップアップ表示によって表示される。
ここで、前記カレンダー表示画面P3においても、前記エラー項目及び前記要確認項目の表示色が前記優先区分に応じて異なる。例えば、前記カレンダー表示画面P3において、「5月21日」の表示欄には、優先区分が「禁忌(高)」に該当する前記第1確認項目の種類「相互作用」及び患者名「患者一郎」が、赤色などの前記第1特定色を背景として表示されている。また、前記カレンダー表示画面P3において、「5月21日」の表示欄には、優先区分が「注意(中)」に該当する前記第1確認項目の種類「併用注意」及び患者名「患者三郎」が、黄色などの前記第2特定色を背景として表示されている。さらに、前記カレンダー表示画面P3において、「5月22日」の表示欄には、優先区分が「情報提供(低)」に該当する前記第2確認項目の種類「手術前中止薬」及び患者名「患者二郎」が、青色などの前記第1特定色を背景として表示されている。
また、前記制御部11は、前記カレンダー表示画面P3において、前記第1確認項目又は前記第2確認項目のうち既に確認操作が行われた前記エラー項目又は前記要確認項目を、完了のステータスを示す文字情報、背景色、又はマーク等と共に前記カレンダー表示画面P3に表示させる。さらに、前記制御部11は、前記クライアント端末2のユーザー操作に応じて前記確認スケジュールを任意に変更することが可能である。例えば、前記制御部11は、前記カレンダー表示画面P3において確認項目をドラッグアンドドロップが行われた場合に、その確認項目を移動させることが可能である。
このように、前記病棟薬剤業務支援システム10では、前記スケジュール作成機能により、病棟薬剤師ごとの前記確認スケジュールを自動的に作成することが可能であるため、病棟薬剤師各々の業務の効率化を図りつつ確認漏れを抑制することができる。
[マスター設定機能]
また、前記病棟薬剤業務支援システム10は、前記業務管理画面P1に表示される前記第1確認項目及び前記第2確認項目を編集する項目設定機能を有する。具体的に、前記制御部11は、前記業務管理画面P1に表示されているマスター設定キーK12が操作された場合に、前記第1確認項目及び前記第2確認項目の確認要否の判定条件を設定する項目設定処理を前記制御プログラムに従って実行する。なお、前記項目設定処理は、前記制御部11の前記項目設定処理部114によって実行される。
前記項目設定処理において、前記制御部11は、図12に示す項目設定画面P4を前記クライアント端末2に表示させる。前記項目設定画面P4には、入力表示領域A41〜A43が表示されている。また、前記制御部11は、前記項目設定画面P4におけるユーザー操作に応じて、前記業務管理画面P1に表示される前記第1設定項目及び前記第2設定項目の追加及び削除を実行することも可能である。
前記入力表示領域A41は、前記項目設定画面P4で登録する項目の内容、病棟、診療科、及び薬剤師などの情報を入力するために用いられる。前記入力表示領域A42は、前記項目設定画面P4で登録する項目の種別(禁忌、注意、情報提供)及びカテゴリー(用法用量変更、検査報告、疼痛など)を入力するために用いられる。なお、前記項目の種別が「禁忌」又は「注意」である場合には前記第1確認項目として登録され、前記項目の種別が「情報提供」である場合には前記第2確認項目として登録されることが考えられる。また、前記項目設定処理では、前記第2確認項目のみについて編集が可能であり、前記第1確認項目についての編集ができない構成も他の実施形態として考えられる。
前記項目設定画面P4で項目内容が登録されると、前記業務管理画面P1の前記第1表示領域A122又は前記第2表示領域A123に、その登録された項目の表示列が追加され、前記表示列の項目名として前記カテゴリーが表示される。前記入力表示領域A43は、前記項目設定画面P4で登録する項目について薬剤師による確認が必要であると判定する判定条件を入力するために用いられる。
例えば、前記入力表示領域A43では、一又は複数の判定条件を設定可能であり、特に複数の判定条件を論理和(OR)又は論理積(AND)で組み合せることも可能である。具体的に、図12に示す例では、前記判定条件として、分類、項目、条件、抽出条件、及び抽出期間各々を設定可能である。前記分類の表示欄では、例えば薬品、薬効、成分、検査、病名、体重、体表面積、年齢、BMI、性別、レジメン、バイタル、腎機能障害、肝機能障害、及び薬品マスターが、プルダウン又はリスト表示され、任意に選択可能である。また、前記項目の表示欄では、前記分類の表示欄で選択された内容に応じて入力可能な
情報が変化する。
具体的に、前記分類として「薬品」が選択された場合には、前記項目として「薬品」を指定可能である。前記分類として「薬効」が選択された場合には、前記項目として「薬効(87分類)」を指定可能である。前記分類として「成分」が選択された場合には、前記項目として「成分」を指定可能である。前記分類として「検査」が選択された場合には、前記項目として「検査項目」を指定可能である。前記分類として「病名」が選択された場合には、前記項目として「病名」を指定可能である。前記分類として「体重」、「体表面積」、「BMI」、「年齢」、又は「性別」が選択された場合には、前記項目は指定なし(例えばグレーアウト)となる。前記分類として「レジメン」が選択された場合には、前記項目として「レジメン名」を指定可能である。前記分類として「バイタル」が選択された場合には、前記項目として「体温」、「最高血圧」、「最低血圧」、「心拍数」、及び「呼吸数」などを指定可能である。前記分類として「腎機能障害」又は「肝機能障害」が選択された場合には、前記項目は指定なし(例えばグレーアウト)となる。前記分類として「薬品マスター」が選択された場合、前記項目として前記薬品マスターに含まれる予備を含む全ての薬品から任意の薬品が選択可能である。
また、前記条件の表示欄では、「値」、「範囲」、「前回との差」が入力可能である。具体的に、「値」では「=」、「≦」、「<」、「≧」、「>」などの条件及び数値が入力可能である。「範囲」では、「下限値」及び「上限値」を入力可能である。「前回との差」では、「増加」、「減少」、及び「増減」が選択可能である。また、前記項目設定画面P4では、前記判定条件として「値」、「範囲」、及び「前回との差」のいずれかの設定を開始するための操作キーK41、K42、及びK43が表示されている。そして、前記制御部11は、前記操作キーK41、K42、又はK43が操作されると、図13に示すように、「値」、「範囲」、及び「前回との差」を入力するための条件入力画面P5を前記クライアント端末2にポップアップ等で表示させる。これにより、ユーザーは、前記クライアント端末2を用いて、前記項目の判定条件として「値」、「範囲」、及び「前回との差」などを入力することが可能である。
具体的に、図13に示す前記条件入力画面P5では、「値」を入力するための入力表示領域A51、「前回との差」を入力するための入力表示領域A52、及び「範囲」を入力するための入力表示領域A53が表示されている。前記入力表示領域A51では、入力欄A511に「=」、「≦」、「<」、「≧」、「>」などの条件が入力され、入力欄A512に数値が入力され、入力欄A513に「and」又は「or」が入力される。また、前記入力表示領域A52では、入力欄A521に「増加」、「減少」、「増減」が入力され、入力欄A522に数値が入力される。
前記入力表示領域A53では、入力欄A531に下限値の数値が入力され、入力欄A532に下限値について「=」、「≦」、「<」、「≧」、「>」などの条件が入力される。また、前記入力表示領域A53では、入力欄A533に上限値について「=」、「≦」、「<」、「≧」、「>」などの条件が入力され入力欄A534に上限値の数値が入力される。さらに、前記入力表示領域A53では、入力欄A535に「and」又は「or」が入力される。
さらに、図12に示すように、前記入力表示領域A43において、前記抽出条件の表示欄では、「本日」、「過去」、「未来」、「過去(当日含)」、及び「未来(当日含)」が選択可能である。また、前記抽出期間の表示欄では、抽出期間を日数などで指定することが可能である。例えば、前記制御部11は、情報が最初に抽出されてから前記抽出期間が経過した後は前記情報を抽出しないように処理する。
例えば、図12に示す前記項目設定画面P4では、チェック種別が前記第2確認項目である「情報提供」であって、「条件1」及び「条件2」の論理和で判定条件が設定されている。具体的に、「条件1」では、前記分類として「薬品」が選択されると共に、前記項目として「デュロテップ」が選択されている。なお、「デュロテップ」は、「デュロテップMTパッチ 2.1mg」の略称である。また、「条件2」では、前記分類として「バイタル」が選択されると共に、前記項目として「体温」が選択され、前記値として「≧38」が入力されている。この状態で前記第2確認項目の前記判定条件が登録されると、前記制御部11は、処方データに「デュロテップ」が含まれており、且つ患者の体温が「38度以上」である場合に、前記第2確認項目として追加された「疼痛」について確認するべきであると判断する。また、前記第1確認項目の登録又は削除が行われた場合には、前記処方チェック及び前記条件チェックにおいて前記処方データの適否又は薬剤師による確認要否を判断する際の条件が変更されることになる。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る病棟薬剤業務支援システム20について説明する。なお、前記病棟薬剤業務支援システム20について、前記第1実施形態で説明した前記病棟薬剤業務支援システム10(図1参照)と同様の構成要素については同じ符号を付すことにより説明を省略する。
図14に示されているように、前記病棟薬剤業務支援システム20では、前記制御部11が、前記取得処理部111、鑑査判定処理部115、発行制御処理部116、保留処理部117、保留表示処理部118、及び一括調剤処理部119を含む。具体的に、前記制御部11は、前記制御プログラムに従って各種の処理を実行することにより、前記制御部11が、前記取得処理部111、前記鑑査判定処理部115、前記発行制御処理部116、前記保留処理部117、前記保留表示処理部118、及び前記一括調剤処理部119として機能する。
前記取得処理部111は、前述したように、前記処方データについて一又は複数の前記第1確認項目が適正であるか否かを前記処方チェック情報D11に基づいて判定する処方チェック(処方鑑査)を実行し、前記処方チェックのチェック結果を取得する。前記処方チェックは、例えば前記サーバー1が前記上位システム6から前記処方データを取得した際、前記処方データについて調剤が開始される際、又はユーザーによる処方チェック要求時などに前記制御部11の前記取得処理部111によって実行される。
前記鑑査判定処理部115は、前記処方データと予め定められた鑑査判定条件とに基づいて、患者が入院している病棟で業務を行う病棟薬剤師による鑑査が必要であるか否かを判定することが可能である。前記発行制御処理部116は、少なくとも前記鑑査判定処理部115によって前記病棟薬剤師による鑑査が必要であると判定された前記処方データを前記病棟薬剤師による発行操作が行われた場合に調剤対象として発行することが可能である。例えば、前記処方データの発行とは、前記調剤薬剤師又は前記調剤機器3による前記処方データに基づく薬品の調剤が可能な状態にすることである。なお、前記病棟薬剤師は、前記処方データの内容が適切であるか否かを確認する鑑査作業を実行し、前記処方データに問題がないと判断した場合に前記発行操作を行う。
前記保留処理部117は、前記発行制御処理部116によって発行された前記処方データを予め定められた保留条件に従って調剤開始前の状態で保留させることが可能である。前記保留表示処理部118は、前記保留処理部117によって保留されている前記処方データが一覧表示される際に、前記処方データ各々が前記病棟薬剤師による鑑査対象であったか否かを表示させることが可能である。前記一括調剤処理部119は、前記保留処理部117で保留された前記処方データのうち予め選択された複数の処方データについて一括して調剤処理を開始させることが可能である。
[処方データの処理フロー]
そして、前記病棟薬剤業務支援システム20では、前記処方データが、図15に示されている処理フローに従って処理される。まず、図15を参照しつつ、当該第2実施形態に係る前記病棟業務支援システム20における前記処方データの処理フローの概略について説明する。なお、前記処方データの処理フローを実現するために前記制御部11によって実行される各種の処理(図16〜図20参照)については後述する。
<処方受信処理S1>
図15に示されているように、前記上位システム6から前記病棟薬剤業務支援システム20に前記処方データが入力されると、前記処方データは処方受信処理S1の処理対象となる。前記処方受信処理S1では、前記サーバー1の前記制御部11により、前記処方データについて前記処方チェックが実行されると共に、前記処方データが病棟側鑑査及び調剤側鑑査の対象であるか否かが判定される。そして、前記病棟側鑑査及び前記調剤側鑑査の対象でないと判定されると、前記処方データは、調剤対象として発行されて調剤保留判定処理S5の処理対象となる。一方、前記病棟側鑑査の対象であると判定されると、前記処方データは、調剤対象として発行されることなく病棟側鑑査処理S2の処理対象となる。また、前記調剤側鑑査の対象であると判定された場合にも、前記処方データは、調剤対象として発行されることなく調剤側鑑査処理S4の処理対象となる。
<病棟側鑑査処理S2>
前記病棟側鑑査処理S2では、前記病棟薬剤師により前記病棟端末2Bを用いて入力される前記処方データの鑑査結果に応じて処理が分岐する。ここで、鑑査の結果に問題がない旨の発行操作が行われると、前記処方データは、調剤保留判定処理S5の処理対象となる。一方、鑑査の結果に問題がある場合であって医師に対する疑義照会により処方データが修正(再発行)される旨のNG発行操作が行われると、前記処方データは、前記処方データを破棄する破棄処理S3の対象となる。
<破棄処理S3>
前記破棄処理S3では、前記処方データが破棄される。また、前記破棄処理S3では、前記処方データを破棄することなく前記処方データの状態を発行操作ができない無効状態とされ、修正後(再発行後)の処方データが入力された場合に、前記処方データが上書きされることも考えられる。
なお、前記病棟側鑑査処理S2において、前記処方データの発行操作が行われた場合に、前記調剤薬剤師によって行われる調剤側鑑査の要否を判断する調剤側鑑査移行判定処理が実行されることも他の実施形態として考えられる。例えば、前記病棟薬剤師が前記処方データについて一包化の有無又は薬剤の粉砕の有無などの予め定められた事項を変更した場合に、前記調剤薬剤師による鑑査が必要であると判定される。また、前記処方データにおける服用開始日までの残り日数が予め定められた所定期間以上である場合に前記調剤側鑑査が必要であると判定されることも考えられる。なお、前記病棟薬剤業務支援システム20では、前記病棟薬剤師の操作に応じて、前記処方データについて個別に調剤方法に関する各種の事項を変更可能であると共に、患者ごとに調剤方法に関する各種の事項を設定することも可能である。前記調剤側鑑査移行判定処理において、前記処方データについて前記調剤薬剤師による鑑査が必要であると判定された場合、前記処方データは前記調剤側鑑査処理S4の処理対象となる。一方、前記処方データについて前記調剤薬剤師による鑑査が必要でないと判定された場合、前記処方データは、調剤対象として発行されて調剤保留判定処理S5の処理対象となる。
<調剤側鑑査処理S4>
前記調剤側鑑査処理S4では、前記調剤薬剤師により前記調剤室端末2Aを用いて入力される前記処方データの鑑査結果に応じて処理が分岐する。ここで、鑑査の結果に問題がない旨の発行操作が行われると、前記処方データは、調剤対象として発行されて調剤保留判定処理S5の処理対象となる。一方、鑑査の結果に問題がある旨のNG発行操作が行われると、前記処方データは、調剤対象として発行されることなく前記処方データを破棄する破棄処理S3の処理対象となる。
<調剤保留判定処理S5>
前記調剤保留判定処理S5では、前記処方データを前記保留条件に従って調剤開始前の状態で保留させる。例えば、前記保留条件は、前記処方データの処方箋区分(定期、臨時、外来など)が「定期」であること、又は前記病棟側鑑査が行われたことなどである。ここで、前記保留条件が充足する場合、前記処方データは、調剤開始前の状態で保留されて締め管理処理S6の処理対象となる。また、前記保留条件が充足しない場合、前記処方データは前記調剤処理S7の処理対象となる。
<締め管理処理S6>
前記締め管理処理S6では、前記調剤保留判定処理S5で保留された前記処方データについての調剤開始の有無が管理される。具体的に、前記処方データについて発行操作が行われた場合、又は前記処方データについて予め設定された発行時期が到来した場合、前記処方データは、調剤処理S7の処理対象となる。
<調剤処理S7>
前記調剤処理S7では、前記処方データに基づいて薬品の調剤を行うための調剤用データが生成され、前記記憶部12の前記共有データフォルダに記憶される。これにより、前記調剤機器3各々が、前記共有データフォルダから前記調剤用データを取得し、前記調剤用データに基づいて薬品の調剤を実行する。なお、前記サーバー1から前記調剤機器3各々に前記調剤用データが入力されることにより前記調剤機器3各々による調剤が開始されてもよい。
ところで、前記病棟薬剤業務支援システム20が、前記処方データの発行を一時的に保留する保留機能の有効及び無効を切り換え可能な構成、又は前記保留機能を有していない構成も考えられる。具体的に、前記病棟薬剤業務支援システム20が前記保留機能が無効である場合、又は前記保留機能を有していない場合には、前記調剤保留判定処理S5及び前記締め管理処理S6が省略され、前記調剤対象として発行された前記処方データが前記調剤処理S7の処理対象となる。即ち、前記処方受信処理S1で鑑査が不要であると判定された場合、前記病棟側鑑査処理S2で発行操作が行われた場合、又は前記調剤側鑑査処理S4で発行操作が行われた場合に、前記処方データについて前記調剤機器3各々による調剤が開始されることが考えられる。具体的に、前記処方データの発行とは、薬品の調剤に用いられる前記調剤機器3に前記処方データに基づく調剤を開始させるための処理である。例えば、前記病棟薬剤業務支援システム20では、前記制御部11が、前記処方データを調剤対象として発行する際に、前記処方データに基づく調剤を開始させるための前記調剤用データなどを含む調剤指示を前記調剤機器3に送信することが考えられる。なお、係る処理は、例えば前記制御部11の前記発行制御処理部116によって実行される。これにより、例えば前記調剤機器3に含まれる錠剤分包機により前記調剤用データに基づく錠剤の分包処理が開始される。
続いて、図16〜図20を参照しつつ、前記処方データの処理フローを実現するために、前記制御部11によって実行される各種の処理について説明する。また、図21〜図30は、前記サーバー1の前記制御部11によって前記クライアント端末2に表示される各種の操作画面の一例を示す図である。なお、前記制御部11は、HTMLなどのページ記述言語を用いて構成された前記操作画面のデータを前記クライアント端末2に送信することにより、前記クライアント端末2に各種の操作画面を表示させる。ここに、前記操作画面各々は、例えば1920×1080ドットのフルハイビジョン対応の画面であって、前記操作画面各々が表示される前記クライアント端末2の前記表示装置24はフルハイビジョン対応の表示装置である。
[処方受信処理]
まず、図16を参照しつつ、前記制御部11によって実行される処方受信処理について説明する。なお、当該処方受信処理は前記処方受信処理S1を実現するための処理手順の一例である。当該処方受信処理は、例えば前記制御部11が前記上位システム6から前記処方データを取得した場合に、前記制御部11によって前記処方データごとについて実行される。
<ステップS31>
ステップ31において、前記制御部11は、前記処方データと予め定められた病棟鑑査条件とに基づいて、患者が入院している病棟で業務を行う病棟薬剤師による鑑査(病棟側鑑査)が必要であるか否かを判定する。ここに、前記ステップS31の処理は前記鑑査判定処理部115によって実行される。そして、前記病棟側鑑査が必要であると判定されると(S31:Yes)、処理がステップS311に移行し、前記病棟側鑑査が必要でないと判定されると(S31:No)、処理がステップS32に移行する。
例えば、前記病棟鑑査条件は、下記の条件C1〜条件C7のいずれか一つが充足することである。条件C1:前記チェック結果に予め定められたエラーが含まれる。条件C2:前記処方データの処方箋区分が予め定められた区分である。条件C3:前記処方データに対応する患者の入院病棟が予め定められた病棟である。条件C4:前記処方データに対応する患者の診療科が予め定められた診療科である。条件C5:前記処方データに予め定められた薬剤が含まれる。条件C6:前記処方データに対応する患者が予め定められた患者である。条件C7:前記処方データに対応する患者の疾患が予め定められた疾患(病名)である。前記患者の疾患は、前記処方データに含まれており、又は前記上位システム6から取得可能である。なお、前記条件C1は前記病棟鑑査条件に含まれていないことも考えられる。
また、前記病棟鑑査条件が、前記条件C1〜前記条件C7のいずれか複数の条件の組み合わせが充足することであってもよい。例えば、前記病棟鑑査条件は、前記条件C3条件又は前記条件C4のいずれかの条件が充足すると共に、前記条件C2が充足することである。具体的には、前記処方データの処方箋区分が入院患者に対する処方である旨を示す「定期」であって、前記処方データに対応する患者の入院病棟が「A棟」である場合に、前記病棟鑑査条件が充足すると判断されることが考えられる。
また、前記条件C3又は前記条件C4のいずれかの条件が充足すると共に、前記条件C2が充足することが前記病棟鑑査条件として設定されており、且つ、前記条件C1又は前記条件C5のいずれかの条件が充足することが前記病棟鑑査条件として設定されていることも考えられる。具体的には、前記処方データの処方箋区分が「定期」であって、前記処方データに対応する患者の入院病棟が「A棟」であり、且つ、前記チェック結果に予め定められた併合禁忌などのエラーが含まれる場合に、前記病棟鑑査条件が充足すると判断されることが考えられる。
<ステップS311>
ステップS311において、前記制御部11は、前記処方データを調剤対象として発行せず、前記処方データに前記病棟側鑑査が必要である旨を示す病棟側鑑査情報を付与する。例えば、前記病棟側鑑査情報の付与は、前記処方データに含まれる病棟側鑑査フラグを0から1に変更することによって行われる。これにより、後述の病棟側鑑査処理(図17参照)では、前記病棟側鑑査情報の付与の有無に基づいて前記処方データ各々が前記病棟側鑑査の対象であるか否かを判定することが可能となる。
<ステップS32>
ステップS32において、前記制御部11は、前記処方データと予め設定された調剤側鑑査条件とに基づいて、前記処方データの調剤を担当する調剤薬剤師による鑑査(調剤側鑑査)が必要であるか否かを判定する。そして、前記調剤側鑑査が必要であると判定されると(S32:Yes)、処理がステップS33に移行し、前記調剤側鑑査が必要でないと判定されると(S32:No)、処理がステップS321に移行する。
例えば、前記調剤側鑑査条件は、前記処方データに含まれている各種のコード情報に対応する内容が前記記憶部12のマスター情報として記憶されていない旨を示すマスターコードエラーが発生していること、又は、前記処方データが削除処方であること等である。
<ステップS321>
ステップS321において、前記制御部11は、前記処方データを調剤対象として発行し、前記処方データについて後述の処方データ発行処理(図19参照)を実行する。なお、前記処方データ発行処理では、前記処方データについて調剤が開始され、又は前記処方データの調剤が保留される。
<ステップS33>
一方、ステップS33において、前記制御部11は、前記処方データを調剤対象として発行せず、前記処方データに前記調剤側鑑査が必要である旨を示す調剤側鑑査情報を付与する。例えば、前記調剤側鑑査情報の付与は、前記処方データに含まれる調剤側鑑査フラグを0から1に変更することによって行われる。これにより、後述の調剤側鑑査処理(図18参照)では、前記調剤側鑑査情報の付与の有無に基づいて前記処方データ各々が前記調剤側鑑査の対象であるか否かを判定することが可能となる。
[病棟側鑑査処理]
次に、図17を参照しつつ、前記制御部11によって実行される病棟側鑑査処理について説明する。なお、当該病棟側鑑査処理は、前記病棟側鑑査処理S2、及び前記破棄処理S3を実現するための処理手順の一例である。
<ステップS41>
ステップS41において、前記制御部11は、前記ステップS21(図9参照)と同様に、病棟薬剤師により前記病棟端末2Bを用いて、予め定められた業務開始操作が行われた場合に(S41のYes側)処理をステップS42に移行させる。また、前記業務開始操作が行われるまでの間は(S41のNo側)、処理が前記ステップS41で待機する。具体的に、前記業務開始操作は、病棟薬剤師の氏名又はIDなどの識別情報と、病棟薬剤師ごとに予め設定されたパスワードとを入力するログイン操作である。
<ステップS42>
ステップS42において、前記制御部11は、患者一覧画面P6を前記病棟端末2Bに表示させる。前記患者一覧画面P6では、前記ステップS41で業務開始操作を行ったと判定されたログイン中の前記病棟薬剤師が担当する患者のうち、前記病棟薬剤師が鑑査を行うべき処方データであって未鑑査状態(未発行状態)である処方データに対応する患者の一覧が表示される。具体的に、前記制御部11は、前記病棟薬剤師が担当する患者に対応する処方データのうち前記病棟側鑑査情報が付与された処方データであって未鑑査状態である処方データを、前記病棟薬剤師が鑑査を行うべき処方データと判定する。
即ち、前記制御部11は、前記病棟薬剤師により病棟側鑑査が行われる場合には、鑑査対象となる処方データに対応する患者単位で鑑査対象の情報を表示させ(ステップS42)、前記調剤薬剤師により調剤側鑑査が行われる場合には、処方データ単位で鑑査対象の情報を表示させる(後述のステップS62)。これにより、鑑査時に患者を診ることが可能な前記病棟側鑑査と鑑査時に患者を診ることのない前記調剤側鑑査とが行われるそれぞれの状況に適した画面が表示されるため、前記病棟薬剤師及び前記調剤薬剤師による効率的な鑑査業務が支援される。例えば、前記調剤側鑑査が行われる場合には、前記調剤側鑑査の対象である処方データが発行日時順又は処方オーダー番号順などで一覧表示されることが考えられる。一方、前記病棟側鑑査が行われる際に表示される前記患者一覧画面P6では、例えば前記病棟側鑑査の対象である処方データに対応する患者の一覧が表示されており、前記患者のいずれかが選択された場合に、その選択された患者に対応する処方データのうち前記病棟側鑑査の対象である一又は複数の処方データが表示されることが考えられる。また、前記制御部11は、前記患者一覧画面P6のように患者の一覧を表示することなく、前記病棟側鑑査の対象である処方データに対応する患者単位で、例えば後述の詳細画面P7のような個別鑑査画面を表示し、予め定められたフリック操作などの切換操作に従って前記個別鑑査画面を患者ごとに順に表示させることも考えられる。この場合、前記個別鑑査画面では、前記患者に対応する処方データのうち前記病棟側鑑査の対象である一又は複数の処方データが表示される。これにより、1人の患者について鑑査対象の複数の処方データが存在する場合に、前記病棟薬剤師が、その複数の処方データについての鑑査を同時に行うことができるため業務効率が高まる。
ここに、図21は、前記患者一覧画面P6の一例を示す図である。図21に示すように、前記患者一覧画面P6には、現在ログイン中の病棟薬剤師を識別するための氏名又はIDなどの識別情報と共に、患者一覧領域A61、検索領域A62、及び操作キーK61〜K64などが表示される。
前記患者一覧領域A61には、現在ログイン中の病棟薬剤師が担当する患者のうち、前記病棟側鑑査情報が付与された処方データであって未鑑査状態である処方データに対応する患者の一覧が表示される。また、前記患者一覧領域A61では、前記患者各々に対応する一又は複数の処方データが個別に表示されるが、前記処方データ各々は前記患者の単位で連続するように表示される。例えば、図21に示されている前記患者一覧画面P6では、患者「湯山一郎」に対応する未鑑査状態の二つの処方データが連続して表示されており、患者「湯山次郎」に対応する未鑑査状態の二つの処方データも連続して表示されている。さらに、前記患者一覧領域A61には、前記患者一覧領域A61に表示されている一又は複数の患者に対応する一又は複数の処方データをユーザー操作に応じて選択状態にするための操作部が表示された選択領域A621が表示されている。前記選択領域A621は、前記患者各々について前記患者に対応する未鑑査状態の処方データごとに表示され、前記病棟薬剤師は、前記選択領域A621を用いて前記処方データを個別に選択するための操作を行うことが可能である。なお、前記患者一覧領域A61では前記未鑑査状態である処方データが存在する患者の一覧だけが表示され、前記処方データ各々の情報が表示されないことも他の実施形態として考えられる。
前記検索領域A62には、前記患者一覧領域A61に表示される患者の一覧を絞り込むための検索条件を入力するための操作部が表示される。例えば、前記検索条件には、処方データの鑑査状態(不可、未鑑査、鑑査済み)、病棟、診療科、処方箋区分、担当医師、担当薬剤師、患者、服用開始日、処方No、及び処方オーダーなどが含まれる。なお、前記検索条件の各項目には、その項目で絞込が実行された場合の件数が表示されている。そして、前記制御部11は、前記検索領域A62において前記検索条件が入力され、検索開始操作が行われた場合に、前記検索条件を満たす一又は複数の患者に対応する一又は複数の処方データのみを抽出して前記患者一覧領域A61に表示させる。
前記操作キーK61は、前記患者一覧領域A61に表示される患者の処方データのうち前記選領域A621で選択された処方データを発行するために操作される操作キーである。また、前記操作キーK62は、前記患者一覧領域A61に表示される患者の処方データのうち前記選領域A621で選択された処方データをNG発行するために操作される操作キーである。
前記操作キーK63は、前記患者一覧領域A61の上端に表示され、前記患者一覧領域A61の表示領域を上下方向に拡張及び縮小するための操作キーである。また、前記操作キーK64は、前記患者一覧領域A61及び前記検索領域A62の境界部に表示され、前記患者一覧領域A61の表示領域を左右方向に拡張及び縮小するための操作キーである。
具体的に、前記制御部11は、前記操作キーK63が操作される度に、前記操作キーK61及び前記操作キーK62を非表示にして前記患者一覧領域A61の表示領域を上下方向に拡張した状態と、前記患者一覧領域A61の表示領域を上下方向に縮小して前記操作キーK61及び前記操作キーK62を表示した状態とを切り換える。
同じく、前記制御部11は、前記操作キーK64が操作される度に、前記検索領域A62を非表示にして前記患者一覧領域A61の表示領域を左右方向に拡張した状態と、前記患者一覧領域A61の表示領域を左右方向に縮小して前記検索領域A62を表示した状態とを切り換える。
ここに、図21には、前記患者一覧領域A61の表示領域が上下及び左右に縮小された初期表示状態が示されており、図22には、前記患者一覧領域A61の表示領域が上下及び左右に拡張された状態が示されている。
<ステップS43>
ステップS43において、前記制御部11は、前記患者一覧画面P6で患者の詳細を表示させるための詳細表示操作が行われたか否かを判断する。例えば、前記詳細表示操作は、前記患者一覧領域A61に表示されている患者の氏名の選択操作である。ここで、前記詳細表示操作が行われたと判断されると(S43:Yes)、処理はステップS44に移行し、前記詳細表示操作が行われていないと判断されると(S43:No)、処理はステップS45に移行する。
<ステップS44>
ステップS44において、前記制御部11は、前記患者一覧領域A61に表示されている患者のうち前記詳細表示操作の対象となっている患者の詳細を表示するための患者詳細画面P7を表示させる。具体的に、前記制御部11は、前記患者一覧領域A61に表示されている患者のうち前記ステップS43で氏名の選択操作が行われた患者を前記詳細表示操作の対象と判断する。
ここに、図23は、前記患者詳細画面P7の一例を示す図である。図23に示すように、前記患者詳細画面P7には、今回処方データ領域A71、過去処方データ領域A72、関連データ領域A73、及び操作キーK71〜K78などが表示される。特に、前記制御部11は、前記患者詳細画面P7において、前記今回処方データ領域A71を画面左側に表示させ、前記過去処方データ領域A72を画面右側に表示させる。また、前記患者詳細画面P7には、現在ログイン中の病棟薬剤師を識別するための氏名又はIDなどの識別情報と共に、前記詳細表示操作の対象となっている患者の氏名、ID、性別、年齢、身長、体重、及び入院病棟などの患者基本情報も表示される。
前記今回処方データ領域A71には、前記患者に対応する処方データのうち一又は複数の未発行の処方データであって今回の調剤対象候補である今回処方データの内容が表示される。例えば、前記今回処方データが複数存在する場合、前記今回処方データ各々は前記今回処方データ領域A71において上下方向に並べて表示される。なお、前記今回処方データ領域A71には、処方日、服用開始日、オーダーNo、診療科、病棟、及び処方箋区分(定期、臨時、外来など)などの処方基本情報も表示される。
また、前記今回処方データ領域A71には、前記今回処方データ領域A71に表示されている今回処方データを選択状態にするための操作を受け付けるチェックボックスなどの操作部A711が前記今回処方データごとに表示される。前記制御部11は、前記操作部A711の操作により前記今回処方データが選択された状態で前記患者詳細画面P7が閉じられた場合、前記今回処方データの選択状態を記憶しておき、前記患者一覧領域A61において前記今回処方データに対応する前記選択領域A621を選択状態で表示させる。
また、前記今回処方データ領域A71には、前記今回処方データごとに対応して、前記処方チェックのチェック結果が表示されるチェック結果領域A712、及び前記処方データの処方コメントが表示されるコメント表示領域A713が表示されている。これにより、前記病棟薬剤師は、前記処方チェックのチェック結果及び前記処方コメントの内容を容易に把握することができる。
さらに、前記今回処方データ領域A71には、前記今回処方データごとに対応して明細領域A714が表示されている。前記制御部11は、前記明細領域A714の操作に応じて、前記今回処方データの明細の表示の有無を切り換える。なお、図23には、前記今回処方データの明細が表示された状態が示されている。また、前記明細領域A714では、前記今回処方データの明細として、Rp番号、薬品名/用法名、1日量/二数、単位、PTN、及び備考などの情報が表示される。さらに、前記制御部11は、前記明細領域A714において、前記明細領域A714に表示されている前記今回処方データの薬品各々と、前記患者の過去の処方データである過去処方データの薬品各々との処方量の比較結果が表示される前回比較領域A715を表示させる。具体的に、前記制御部11は、前記明細領域A714に表示されている前記今回処方データの薬品ごとに、直近でその薬品が処方されたときの過去処方データの薬品との間で処方量を比較する。即ち、前記今回処方データに含まれる薬品各々の比較対象が異なる過去処方データである場合もある。そして、前記制御部11は、図23に示されているように、例えば前記薬品の処方量が前回に比べて増加した場合には上矢印、前回に比べて減少した場合は下矢印、前回と同じ場合は等号を前記前回比較領域A715に表示させる。これにより、前記病棟薬剤師は、前記今回処方データと前記過去処方データとの比較結果を容易に把握することが可能であり、前記今回処方データの適否を判断する処方鑑査を効率的に行うことができる。
一方、前記過去処方データ領域A72には、前記患者に対する過去の処方に関する過去処方データのリストが表示される。具体的に、前記過去処方データは、前記患者に対応する処方データのうち一又は複数の発行済みの処方データである。このように、前記病棟薬剤業務支援システム20では、前記制御部11が、前記患者詳細画面P7において、前記患者単位でその患者に対応する処方データを表示させるため、一又は複数の前記今回処方データと一又は複数の前記患者の過去処方データとを同時に表示させることが可能である。
前記過去処方データ領域A72には、例えば処方日、服用開始日、オーダーNo、診療科、病棟、及び処方箋区分(定期、臨時、外来など)などの処方基本情報が表示される。また、前記過去処方データ領域A72では、前記過去処方データ領域A72に表示される前記過去処方データの詳細の表示の有無を切り換える切換操作が可能である。具体的に、前記制御部11は、前記過去処方データ領域A72において、前記過去処方データの選択操作が行われる度に、その選択操作が行われた前記過去処方データの詳細の表示の有無を切り換える。ここに、図23には、前記過去処方データ各々の詳細が閉じられた状態が示されており、図24は、前記過去処方データ各々の詳細が開かれた状態の前記過去処方データ領域A72の部分拡大図である。
また、前記関連データ領域A73には、前記詳細項目領域A731〜A735が表示されている。前記制御部11は、前記詳細項目領域A731の操作に応じて前記患者の処方歴の表示の有無を切り換え、前記詳細項目領域A732の操作に応じて前記患者の検査値の表示の有無を切り換える。ここに、図26は、前記詳細項目領域A731が展開されて前記患者の処方歴が表示された状態の一例を示す部分拡大図、図27は、前記詳細項目領域A732が展開されて前記患者の検査値が表示された状態の一例を示す部分拡大図である。
また、前記制御部11は、前記詳細項目領域A733の操作に応じて前記患者の病名の表示の有無を切り換え、前記詳細項目領域A734の操作に応じて前記患者のアレルギーの表示の有無を切り換える。ここに、図28は、前記詳細項目領域A733が展開されて前記患者の病名が表示された状態の一例を示す部分拡大図、図29は、前記詳細項目領域A734が展開されて前記患者のアレルギーが表示された状態の一例を示す部分拡大図である。さらに、前記制御部11は、前記詳細項目領域A735の操作に応じて前記患者ごとに予め登録された患者コメントの表示の有無を切り換える。ここに、図30は、前記詳細項目領域A735が展開されて前記患者の患者コメントが表示された状態の一例を示す部分拡大図である。
このように、前記患者詳細画面P7では、患者単位で鑑査対象の処方データの内容などが表示されると共に、その患者の処方歴、検査値、病名、アレルギー、及び患者コメントなどの患者固有の情報が表示可能である。従って、病棟薬剤師は、病棟側鑑査を行う際に、前記患者固有の情報を踏まえて、その患者の一又は複数の処方データの適否を効率良く判断することが可能となる。
前記操作キーK71は、前記今回処方データ領域A71に表示されている前記今回処方データを発行するために操作される操作キーである。また、前記操作キーK72は、前記今回処方データ領域A71に表示されている前記今回処方データをNG発行するために操作される操作キーである。さらに、前記操作キーK73は、前記患者の薬歴を表示するための操作キーであり、前記操作キーK74は、前記患者に対する服薬指導の記録を表示するための操作キーであり、前記操作キーK75は、前記患者マスターを表示するための操作キーである。例えば、前記制御部11は、前記操作キーK73〜K75のいずれかが操作された場合、前記患者の服薬履歴などを管理する服薬管理システムの機能を実現するためのソフトウェアを起動し、前記服薬管理システムによって管理されている前記患者の薬歴、服薬指導、又は患者マスターなどの情報を表示させる。また、前記サーバー1が、前記サーバー1とは別に設けられる前記服薬管理システムと連携可能な構成である場合には、前記制御部11が、前記操作キーK73〜K75の操作に応じて、前記服薬管理システムから前記患者の薬歴、服薬指導、又は患者マスターなどの情報を読み出して表示することも考えられる。なお、前記制御部11が前記服薬管理システムの機能を有していない場合、又は、前記服薬管理システムと連携していない場合に、前記制御部11が、前記操作キーK73〜K74を、例えばグレーアウト表示などによって操作できない状態とすることが考えられる。また、前記サーバー1が前記服薬管理システムの機能を有していない場合であって前記記憶部12に前記患者マスターが記憶されていない場合に、又は、前記サーバー1が前記服薬管理システムと連携していない場合に、前記制御部11が、前記操作キーK75を、例えばグレーアウト表示などによって操作できない状態とすることが考えられる。
前記操作キーK76及び前記操作キーK77は、前記今回処方データ領域A71及び前記過去処方データ領域A72の上端及び下端に表され、前記今回処方データ領域A71及び前記過去処方データ領域A72の表示領域を上下方向に拡張及び縮小するための操作キーである。また、前記操作キーK78は、前記今回処方データ領域A71及び前記過去処方データ領域A72の境界部に表示され、前記今回処方データ領域A71の表示領域を左右方向に拡張及び縮小するための操作キーである。
具体的に、前記制御部11は、前記操作キーK76が操作される度に、前記操作キーK71〜K75を非表示にして前記今回処方データ領域A71及び前記過去処方データ領域A72の表示領域を上下方向に拡張した状態と、前記今回処方データ領域A71及び前記過去処方データ領域A72の表示領域を上下方向に縮小して前記今回処方データ領域A71及び前記過去処方データ領域A72と共に前記操作キーK71〜K75を表示した状態とを切り換える。
また、前記制御部11は、前記操作キーK77が操作される度に、前記関連データ領域A73を非表示にして前記今回処方データ領域A71及び前記過去処方データ領域A72の表示領域を上下方向に拡張した状態と、前記今回処方データ領域A71及び前記過去処方データ領域A72の表示領域を上下方向に縮小して前記今回処方データ領域A71及び前記過去処方データ領域A72と共に前記関連データ領域A73を表示した状態とを切り換える。
さらに、前記制御部11は、前記操作キーK78が操作される度に、前記過去処方データ領域A72を非表示にして前記今回処方データ領域A71の表示領域を左右方向に拡張した状態と、前記今回処方データ領域A71の表示領域を左右方向に縮小して前記今回処方データ領域A71及び前記過去処方データ領域A72を表示した状態とを切り換える。
ここに、図23には、前記今回処方データ領域A71が上下及び左右に縮小された初期表示状態が示されており、図24には、前記今回処方データ領域A71の表示領域が上下及び左右に拡張された状態が示されている。
<ステップS45>
次に、ステップS45において、前記制御部11は、前記処方データの発行操作が行われた否かを判断する。ここで、前記発行操作が行われたと判断されると(S45:Yes)、処理はステップS46に移行し、前記発行操作が行われていないと判断されると(S45:No)、処理はステップS47に移行する。
具体的に、前記制御部11は、前記患者一覧画面P6において前記操作キーK61が操作された場合、及び前記患者詳細画面P7において前記操作キーK71が操作された場合に、前記処方データの発行操作が行われたと判断する。より具体的に、前記操作キーK61が操作された場合、前記制御部11は、前記患者一覧画面P6で選択されている一又は複数の患者の一又は複数の処方データについて一括して発行操作が行われたと判断する。即ち、前記制御部11は、前記患者一覧画面P6で選択されている一又は複数の患者の一又は複数の処方データについて、一括して病棟側鑑査を終了させて調剤対象として発行することが可能である。また、前記患者詳細画面P7において前記操作キーK71が操作された場合、前記制御部11は、前記患者詳細画面P7に表示されている前記今回処方データのうち前記選択領域A711が選択状態となっている今回処方データのみについて発行操作が行われたと判断する。即ち、前記制御部11は、前記患者詳細画面P7で選択されている1人の患者の一又は複数の処方データについて、一括して病棟側鑑査を終了させて調剤対象として発行することが可能である。
<ステップS46>
ステップS46において、前記制御部11は、前記ステップS45における前記発行操作の対象であった前記処方データについて後述の処方データ発行処理(図19参照)を実行する。なお、前記処方データ発行処理では、前記処方データについて調剤が開始され、又は前記処方データの調剤が保留される。このように、前記制御部11は、前記病棟薬剤師による鑑査が必要であると判定された前記処方データについては、前記病棟薬剤師による鑑査が行われた場合に調剤対象として発行する。ここに、係る処理は、前記発行制御処理部116によって実行される。これにより、前記病棟側鑑査が必要であると判定された前記処方データについては、前記処方データに対応する患者を病棟で診ている病棟薬剤師による鑑査を経てから前記処方データについての調剤が開始されることになる。
ところで、前述したように、前記制御部11が前記調剤側鑑査移行判定処理を実行することも考えられる。この場合、前記制御部11は、前記ステップS46の前段において、前記発行操作の対象である一又は複数の前記処方データについて順に調剤側鑑査の要否を判定する。例えば、前記制御部11は、前記患者詳細画面P7におけるユーザー操作に応じて、前記処方データについて予め設定された処方コメントを追記することが可能である。そして、前記制御部11は、前記処方コメントで指示された内容に基づいて調剤時に同じ薬包に収容される薬品の適否を予め設定された調剤側鑑査移行条件に従って判定する。具体的に、前記処方コメントとして、一包化指示、ヒート指示、つぶし・粉砕指示、散薬ほどき指示、簡易懸濁処理、混合(MIX)指示、錠剤散薬混合指示、完全縦割り指示、単独指示、薬情出力指示、及び手帳ラベル出力指示などが選択可能であることが考えられる。また、前記処方データに対応付けられる前記処方コメントにおいて、前記調剤薬剤師及び前記病棟薬剤師のいずれによって入力されたかを識別するための入力者情報が付加され、前記処方データの表示時、又は前記処方データに対応する処方箋の印刷時に、前記入力者情報が示されることが考えられる。なお、前記制御部11は、前記処方データに対応付けられる処方コメントとは別に、前記患者ごとに対応付けられる患者コメントを前記患者マスターに登録可能な構成も考えられる。これにより、前記制御部11は、前記患者についての今後の前記処方データの調剤方法を前記登録された前記患者コメントに基づいて自動的に変更することが可能である。
例えば、前記調剤側鑑査移行判定処理において、前記制御部11は、同じ薬包に分包されることが好ましくない成分の薬品が前記処方データに含まれ、それらの薬品の一包化指示が前記処方コメントとして選択された場合に、前記処方データについて前記調剤側鑑査の必要があると判断することが考えられる。そして、前記制御部11は、前記調剤側鑑査移行判定処理において、前記調剤側鑑査の必要があると判断した場合、前記処方データを調剤対象として発行することなく(S46を実行することなく)、前記処方データに前記調剤側鑑査情報を付与し、処理をステップS51に移行させる。これにより、後述の調剤側鑑査処理において、前記処方データは、調剤側鑑査が必要な処方データと判定されることになる。なお、前記制御部11は、前記調剤側鑑査移行判定処理において、前記調剤側鑑査の必要がないと判断した場合、処理を前記ステップS46に移行させる。
<ステップS47>
ステップS47において、前記制御部11は、前記処方データのNG発行操作が行われた否かを判断する。ここで、前記NG発行操作が行われたと判断されると(S47:Yes)、処理はステップS48に移行し、前記NG発行操作が行われていないと判断されると(S47:No)、処理はステップS49に移行する。
具体的に、前記制御部11は、前記患者一覧画面P6において前記操作キーK62が操作された場合、及び前記患者詳細画面P7において前記操作キーK72が操作された場合に、前記処方データのNG発行操作が行われたと判断する。より具体的に、前記操作キーK62が操作された場合、前記制御部11は、前記患者一覧画面P6で選択されている一又は複数の患者の一又は複数の処方データについて一括してNG発行操作が行われたと判断する。また、前記患者詳細画面P7において前記操作キーK72が操作された場合、前記制御部11は、前記制御部11は、前記患者詳細画面P7に表示されている前記今回処方データのうち前記選択領域A711が選択状態となっている今回処方データのみについてNG発行操作が行われたと判断する。
<ステップS48>
ステップS48において、前記制御部11は、前記NG発行操作の対象である一又は複数の前記処方データを破棄する破棄処理を実行する。この場合、前記処方データについての調剤は実行されない。このように、前記制御部11は、前記病棟薬剤師による鑑査が必要であると判定された複数の前記処方データを一括してNG発行することも可能である。
<ステップS49>
ステップS49において、前記制御部11は、前記今回処方データ領域A71の前記明細領域A714において、前記前回比較領域A715の選択の有無を判断する。具体的に、前記前回比較領域A715が選択された場合(S49:Yes)、処理はステップS50に移行し、前記前回比較領域A715が選択されていない場合(S49:No)、処理はステップS51に移行する。
<ステップS50>
ステップS50において、前記制御部11は、前記過去処方データ領域A72において、前記選択された前記前回比較領域A715に対応する比較対象の前記過去処方データの詳細を自動的に展開して表示させることが考えられる。これにより、前記病棟薬剤師の前記今回処方データについての処方鑑査の作業効率を向上させることができる。例えば、前記制御部11は、前記選択された前記前回比較領域A715に対応する比較対象の前記過去処方データの詳細が前記過去処方データ領域A72に表示されていない場合、前記過去処方データの詳細を前記過去処方データ領域A72の先頭に表示させることが考えられる。なお、前記前回比較領域A715に対応する比較対象の前記過去処方データがポップアップ画面などにより別途表示されることも考えられる。
<ステップS51>
その後、ステップS51において、前記制御部11は、前記患者一覧画面P6を閉じる操作又はログアウト操作などの予め設定された業務終了操作が行われていない場合には(S51のNo側)、処理を前記ステップS43に戻す。また、前記業務終了操作が行われた場合(S51のYes側)、前記制御部11は、薬剤師のログアウト処理などを実行した後、処理を前記ステップS41に戻す。
[調剤側鑑査処理]
次に、図18を参照しつつ、前記制御部11によって実行される調剤側鑑査処理について説明する。なお、当該調剤側鑑査処理は、前記調剤側鑑査処理S4及び前記破棄処理S3を実現するための処理手順の一例である。
<ステップS61>
ステップS61において、前記制御部11は、前記ステップS21(図9参照)と同様に、調剤薬剤師により前記調剤室端末2Aを用いて予め定められた業務開始操作が行われた場合に(S61のYes側)、処理をステップS62に移行させる。また、前記業務開始操作が行われるまでの間は(S61のNo側)、処理が前記ステップS61で待機する。具体的に、前記業務開始操作は、調剤薬剤師の氏名又はIDなどの識別情報と、調剤薬剤師ごとに予め設定されたパスワードとを入力するログイン操作である。
<ステップS62>
ステップS62において、前記制御部11は、前記調剤薬剤師が鑑査を行うべき処方データであって未鑑査状態である処方データの一覧を表示する処方データ一覧画面が表示される。具体的に、前記制御部11は、前記処方データのうち前記調剤側鑑査情報が付与された処方データであって未鑑査状態である処方データを、前記調剤側鑑査情報が鑑査を行うべき処方データと判定する。なお、前記処方データ一覧画面は、例えば前記エラー一覧画面P21(図6参照)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
<ステップS63>
ステップS63において、前記制御部11は、前記処方データの発行操作が行われた否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記処方データ一覧画面において一又は複数の処方データが選択された状態で、予め定められた操作キー(不図示)が操作された場合に、前記処方データの発行操作が行われたと判断する。ここで、前記発行操作が行われたと判断されると(S63:Yes)、処理はステップS631に移行し、前記発行操作が行われていないと判断されると(S63:No)、処理はステップS64に移行する。
<ステップS631>
ステップS631において、前記制御部11は、前記発行操作の対象である前記処方データについて後述の処方データ発行処理(図19参照)を実行する。なお、前記処方データ発行処理では、前記処方データについて調剤が開始され、又は前記処方データの調剤が保留される。
<ステップS64>
ステップS64において、前記制御部11は、前記処方データのNG発行操作が行われた否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記処方データ一覧画面において一又は複数の処方データが選択された状態で、予め定められた操作キー(不図示)が操作された場合に、前記処方データのNG発行操作が行われたと判断する。ここで、前記NG発行操作が行われたと判断されると(S64:Yes)、処理はステップS65に移行し、前記発行操作が行われていないと判断されると(S64:No)、処理はステップS66に移行する。
<ステップS65>
ステップS65において、前記制御部11は、前記NG発行操作の対象である一又は複数の前記処方データを破棄する処理を実行する。この場合、前記処方データについての調剤は実行されない。
<ステップS66>
その後、ステップS66において、前記制御部11は、前記処方データ一覧画面を閉じる操作又はログアウト操作などの予め設定された業務終了操作が行われていない場合には(S66のNo側)、処理を前記ステップS62に戻す。また、前記業務終了操作が行われた場合(S66のYes側)、前記制御部11は、薬剤師のログアウト処理などを実行した後、処理を前記ステップS61に戻す。
[処方データ発行処理]
次に、図19を参照しつつ、前記制御部11によって実行される処方データ発行処理について説明する。なお、当該処方データ発行処理は前記調剤保留判定処理S5を実現するための処理手順の一例である。前述したように、前記処方データ発行処理は、前記処方受信処理(図16参照)、前記病棟側鑑査処理(図17参照)、及び前記調剤側鑑査処理(図18参照)において必要に応じて実行される。
<ステップS71>
ステップS71において、前記制御部11は、前記処方データに基づいて、前記処方データが保留対象であるか否かを予め設定された前記保留条件に従って判断する。ここで、前記処方データが保留対象であると判断されると(S71:Yes)、処理がステップS72に移行し、前記処方データが保留対象でないと判断されると(S71:No)、処理がステップS73に移行する。
前記保留条件は、前記制御部11が、前記サーバー1の初期設定などにおけるユーザー操作に応じて任意に設定可能である。例えば、前記保留条件は、前記処方データの処方箋区分が「定期」であること、又は前記処方データが前記病棟側鑑査の対象であること(処方データに病棟側鑑査情報が付与されていること)などのいずれか一つ又は複数の組み合わせが充足することである。
<ステップS72>
ステップS72において、前記制御部11は、前記処方データの調剤処理を開始させる。具体的に、前記制御部11は、前記処方データに基づいて薬品の調剤を行うための調剤用データを生成し、前記記憶部12の前記共有データフォルダに記憶するための処理などを実行する。これにより、前記調剤機器3各々は、前記共有データフォルダから前記調剤用データを取得し、前記調剤用データに基づいて薬品の調剤を実行する。なお、前記調剤薬剤師が前記調剤機器3を用いて手動で薬品の調剤(ピッキング等)を実行することも考えられる。
<ステップS73>
一方、ステップS73において、前記制御部11は、前記処方データの調剤を開始させることなく、前記処方データを調剤開始前の保留状態であることが識別可能な態様で前記記憶部12に記憶させる。このように、前記保留条件に従って前記処方データを保留する処理は、前記保留処理部117によって実行される。
なお、前述したように、前記調剤保留判定処理S5及び前記締め管理処理S6が省略され、前記調剤対象として発行された前記処方データが前記調剤処理S7の処理対象となることも考えられる。この場合、前記制御部11の前記発行制御処理部116は、前記処方データ発行処理における前記ステップS71及び前記ステップS73を省略し、前記処方受信処理(図16参照)、前記病棟側鑑査処理(図17参照)、及び前記調剤側鑑査処理(図18参照)において前記処方データが発行された場合に前記ステップS72を実行することが考えられる。
[締め管理処理]
次に、図20を参照しつつ、前記制御部11によって実行される締め管理処理について説明する。なお、当該締め管理処理は、前記締め管理処理S6及び前記調剤処理S7を実現するための処理手順の一例である。当該締め管理処理は、前記調剤薬剤師により前記調剤室端末2Aを用いて予め定められた締め管理開始操作が行われた場合に実行される。なお、前記締め管理開始操作は、例えば前記処方データ一覧画面(不図示)又はメニュー画面(不図示)に表示された締め管理開始キー(不図示)のユーザー操作である。
<ステップS81>
ステップS81において、前記制御部11は、前記上位システム6から取得した後、調剤開始前の状態で保留されている前記処方データが一覧表示される締め管理画面P8を表示させる。ここに、図31は、前記締め管理画面P8の一例を示す図である。具体的に、前記制御部11は、前記記憶部12に記憶されている前記処方データのうち、前記ステップS73によって調剤開始前の状態で保留された処方データの一覧を前記締め管理画面P8に表示させる。なお、前記処方データのうち既に調剤が開始された処方データについては前記締め管理画面P8に表示されない。前記締め管理画面P8には、保留中の前記処方データの件数を病棟又は診療科ごとに表示する件数領域A81、及び前記件数領域A81で表示されている件数の前記処方データの詳細を表示する詳細領域A82が表示されている。なお、前記処方データの件数は、例えば前記処方データに含まれる服用開始日、処方発行日、処方予定日、又は調剤予定日などの単位で表示される。
ここで、前記制御部11は、前記締め管理画面P8の前記詳細領域A82において、前記処方データ各々の鑑査場所を表示する領域A821を表示する。具体的に、前記領域A821では、前記処方データ各々の鑑査が病棟側で行われた場合には「病棟鑑査」、調剤室側で行われた場合には「調剤鑑査」が表示される。また、前記締め管理画面P8には、前記件数領域A81及び前記詳細領域A82に表示される処方データを絞り込むための条件を指定するための操作キーA83及び操作キーA84が表示されている。そして、前記制御部11は、前記操作キーA83の操作に応じて前記操作キーA83の表示領域にチェックマークが付けられている場合には、前記調剤側鑑査の対象であった前記処方データを前記件数領域A81及び前記詳細領域A82の表示対象とする。また、前記制御部11は、前記操作キーA84の操作に応じて前記操作キーA83の表示領域にチェックマークが付けられている場合には、前記病棟側鑑査の対象であった前記処方データを前記件数領域A81及び前記詳細領域A82の表示対象とする。これにより、前記調剤薬剤師は、前記病棟側鑑査の対象であった処方データのみを容易に選択することが可能である。ここに、係る表示処理は前記保留表示処理部118によって実行される。なお、前記調剤薬剤師は、前記調剤側鑑査の対象であった処方データのみを容易に選択することも可能である。また、前記締め管理画面P8の前記詳細領域A82に表示されている前記処方データのいずれかの表示領域を選択するための操作(例えばダブルクリック)操作が行われると、前記制御部11は、その選択された前記処方データの詳細を表示する詳細画面P9を表示させる。ここに、図32は、前記詳細画面P9の一例を示す図である。図32に示されている例では、前記詳細画面P9に、患者ID、患者名、オーダーNo、病棟、服用日、及び処方内容が表示されている。また、前記詳細画面P9には、前記領域A821と同様に「病棟鑑査」又は「調剤鑑査」などの鑑査種別を表示する領域A91も表示されている。また、前記制御部11は、前記詳細領域A82又は前記詳細画面P9に、前記病棟側鑑査又は前記調剤側鑑査を行った薬剤師の識別情報(氏名又はIDなど)及び鑑査日時(発行日時)を表示させることも考えられる。
<ステップS82>
ステップS82において、前記制御部11は、前記締め管理画面において、前記締め管理画面に表示される前記処方データを、前記病棟側鑑査の対象であった前記処方データに絞り込むための抽出操作が行われたか否かを判断する。ここで、前記抽出操作が行われたと判断されると(S82:Yes)、処理はステップS83に移行し、前記抽出操作が行われていなければ(S82:No)、処理はステップS84に移行する。
<ステップS83>
ステップS83において、前記制御部11は、調剤開始前の状態で保留されている前記処方データのうち前記病棟側鑑査の対象であった前記処方データを抽出して前記締め管理画面に表示させる。具体的に、前記制御部11は、調剤開始前の状態で保留されている前記処方データから、前記病棟側鑑査情報が付与された前記処方データを抽出する。
<ステップS84>
ステップS84において、前記制御部11は、前記締め管理画面において、一又は複数の前記処方データの調剤を開始させるための調剤開始操作が行われたか否かを判断する。ここで、前記調剤開始操作が行われたと判断されると(S84:Yes)、処理はステップS85に移行し、前記調剤開始操作が行われていなければ(S84:No)、処理はステップS82に戻る。
<ステップS85>
ステップS85において、前記制御部11は、前記処方データの調剤処理を開始させる。具体的に、前記制御部11は、前記処方データに基づいて薬品の調剤を行うための調剤用データを生成し、前記記憶部12の前記共有データフォルダに記憶するための処理などを実行する。これにより、前記調剤機器3各々は、前記共有データフォルダから前記調剤用データを取得し、前記調剤用データに基づいて薬品の調剤を実行する。
特に、前記制御部11は、前記締め管理画面において複数の処方データが予め選択された状態で前記調剤開始操作が行われた場合、その予め選択された複数の処方データについて一括して調剤処理を実行する。ここに、係る処理は前記一括調剤処理部119によって実行される。これにより、任意の処方データについて一括して調剤処理を開始させることができるため、例えばその調剤後に薬剤師によって行われる最終監査などの作業効率を高めることが可能である。
以上説明したように、前記病棟薬剤業務支援システム20では、前記処方データについて、前記病棟側鑑査又は前記調剤側鑑査などの必要性が自動的に判定され、前記病棟薬剤師又は前記調剤薬剤師に鑑査業務を自動的に振り分けて実行させることが可能である。また、前記病棟薬剤業務支援システム20では、前記病棟薬剤師が、操作性の高い前記患者一覧画面P6及び前記患者詳細画面P7を用いて効率的に鑑査業務を行うことができ、前記病棟薬剤師の鑑査業務が支援される。
なお、前記制御部11が、前記第1実施形態に係る前記病棟薬剤業務支援システム10及び前記第2実施形態に係る前記病棟薬剤業務支援システム20において実行される一部又は全部の処理を適宜組み合せて実行することも考えられる。