JP6696211B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、難燃剤を含む電解質と、負極活物質としてのハードカーボンとを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、太陽光または風力などの自然エネルギーを電気エネルギーに変換する技術が注目を集めている。また、多くの電気エネルギーを蓄えることができる蓄電デバイスとして、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンキャパシタなどの需要が拡大している。
リチウムイオン二次電池やリチウムイオンキャパシタでは、引火点が低い有機電解質が使用されており、難燃性の確保も課題の1つである。特許文献1では、難燃性を確保する観点から、リチウムイオン二次電池の電解質にフッ化リン酸エステルなどのリン酸エステルを添加している。
特開2011−187410号公報
一般に、リチウムイオン二次電池では、負極活物質として使用される黒鉛粒子の表面に固体電解質界面(SEI:Solid Electrolyte Interphase)が形成されることで、充放電サイクルが安定化する。しかし、高温(例えば、40℃以上の温度)になると、リチウムイオンが黒鉛粒子に吸蔵される際に、副反応が起こり易くなり、SEI被膜の安定性が低下する。よって、サイクル特性が大きく低下する。
また、リチウムイオン二次電池に使用される電解質は、引火点が低い。特許文献1には、フッ化リン酸エステルなどのリン酸エステルが、高い難燃性を有するものの、電池の性能を低下させる傾向があるため、少量添加することが好ましいことが教示されている。実際に、黒鉛を負極活物質として用いたリチウムイオン二次電池に、フッ化リン酸リチウムなどの難燃剤を多量に含む電解質を用いると、サイクル特性が低下する。また、充放電自体が困難な場合もある。
本発明の目的は、電解質の難燃性が高く、サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することである。
本発明の一局面は、発電要素と、前記発電要素を収容する電池ケースと、を備え、
前記発電要素は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、
前記電池ケース、前記正極および前記負極から選ばれる少なくとも1つは、アルミニウムを含み、
前記負極活物質は、ハードカーボンを含み、
前記電解質は、リチウム塩と非水溶媒と難燃剤とを含み、
前記リチウム塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)アミド塩を含み、
前記非水溶媒は、少なくともプロピレンカーボネートを含み、
前記プロピレンカーボネートの前記リチウム塩に含まれるリチウムイオンに対するモル比は、4.0以下であり、
前記電解質中の前記難燃剤の濃度は、25質量%以上であり、
前記難燃剤は、下記式(I):
Figure 0006696211
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、いずれもアルキル基またはフルオロアルキル基を示し、R、RおよびRのうち少なくとも1つはフルオロアルキル基である。)
で表される構造を有するフッ化リン酸エステルを含み、
前記フッ化リン酸エステルは、前記難燃剤の80質量%以上を占める、リチウムイオン二次電池に関する。
本発明によれば、電解質の高い難燃性を確保しながら、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上することができる。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を概略的に示す縦断面図である。
[発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、発電要素と、発電要素を収容する電池ケースと、を備える。発電要素は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、正極および負極の間に介在するセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する電解質とを含む。負極活物質は、ハードカーボンを含む。電解質は、リチウム塩と非水溶媒と難燃剤とを含み、電解質中の難燃剤の濃度は、25質量%以上である。本実施形態では、このように難燃剤を多く含む電解質を用いることで、電解質(ひいてはリチウムイオン二次電池)の難燃性を大きく向上できる。
一般に、多量の難燃剤をリチウムイオン二次電池の電解質に用いると、電池性能が低下し易くなる。特に、一般的な負極活物質である黒鉛粒子を用いた場合には、黒鉛粒子表面のSEI被膜の安定性が低下して、サイクル特性が低下する。このサイクル特性の低下は、40℃以上の高温(特に60℃以上)では特に顕著になる。それに対し、本実施形態では、負極活物質にハードカーボンを用いる。乱層構造を有するハードカーボンは、結晶性の黒鉛粒子とはリチウムイオンを吸蔵する反応サイトの構造が異なるため、黒鉛粒子の場合のような副反応が起こり難いと考えられる。そのため、高温で電池を作動させても高いサイクル特性が得られる。
負極活物質中のハードカーボンの割合は、80質量%以上であることが好ましい。高温でのサイクル特性の改善効果は、ハードカーボンの割合に応じて得ることができるが、このようにハードカーボンの割合が多い場合には、リチウムイオンが吸蔵される際の副反応が効果的に抑制されると考えられる。
リチウム塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)アミド(FSA:bis(fluorosulfonyl)amide))塩を含むことが好ましい。このような塩を用いることで、高温におけるサイクル特性がさらに向上する。
一般的なリチウムイオン二次電池で用いられる有機電解質は、通常、引火点が21℃以上70℃未満である第2石油類に分類され、第4類危険物として扱われる。本実施形態で使用する電解質は、難燃剤を多く含むが、さらに環状カーボネートを含むことが好ましい。環状カーボネートは、引火点が高いため(例えば120℃以上)、安全性をさらに高めることができる。環状カーボネートは、少なくともプロピレンカーボネート(PC:propylene carbonate)を含むことが好ましい。PCの引火点は、135℃であり、PCを用いると、高い電池性能を確保し易いことに加え、電解質の安全性を高める上でさらに効果的である。
一般に、リチウムイオン二次電池では、電池ケースや発電要素に、アルミニウムが多用されている。金属状態のアルミニウムは、周囲の環境によっては腐食が進行し易くなる。例えば、電解質がFSAアニオンを含む場合、条件によっては、金属状態のアルミニウムが腐食することがある。高電圧下では、金属状態のアルミニウムの腐食が進行し易く、高温下では腐食の程度が大きくなる。本実施形態では、このようなアルミニウムの腐食を抑制する観点から、PCのリチウム塩に含まれるリチウムイオンに対するモル比(=PC/Li)を4.0以下としてもよい。アルミニウムの腐食が抑制されるメカニズムは明確ではないが、PC/Li比を小さくすることで溶媒和していないフリーのPC量が少なくなり、アルミニウムの表面を覆う不動態膜が安定化するものと考えられる。一方、フリーのPCの存在下では、不動態膜が不安定になり、腐食が進行するものと予測される。リチウムイオン二次電池において、アルミニウムは、多くの場合、電池ケース、正極および負極から選ばれる少なくとも1つに含まれている。
正極活物質として、金属リチウムに対して4.0V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵および放出するファラデー反応を発現する材料を用いてもよい。この場合、リチウムイオン二次電池を高電圧まで充電することで、大きな容量を得ることができる。アルミニウムの腐食は、電池電圧が4Vを超える場合に顕著になるが、電解質におけるPC/Li比を4.0以下とすることにより、アルミニウムの腐食を大きく抑制することができる。よって、高電圧まで充電する場合でも、優れたサイクル特性を得ることができる。
難燃剤は、フッ化リン酸エステルを含むことが好ましい。一般に、リチウムイオンは、フッ化リン酸エステルとの溶媒和エネルギーが大きく、溶媒和された状態で負極活物質中に吸蔵される。黒鉛粒子を負極活物質として用いる場合に、フッ化リン酸エステルを多く含む電解質を用いると、電解質が分解して不安定なSEI被膜が形成され、抵抗が大きくなると考えられる。SEI被膜の形成は、充放電が進むにつれて顕著になるため、サイクル特性が低下すると考えられる。一方、本実施形態では、負極活物質としてハードカーボンを用いるため、結晶性の高い黒鉛の場合と比べて、負極活物質へのLiの挿入をスムーズに行うことができ、電解質の副反応が抑制される。よって、充放電を繰り返しても容量低下が抑制され、高いサイクル特性が得られる。
電解質中のリチウムイオンの濃度は、1mol/L〜3mol/Lであることが好ましい。この場合、高いイオン伝導度を確保し易くなるため、高いレート特性を確保し易い。
[発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るリチウムイオン二次電池の具体例を、適宜図面を参照しつつ以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
[リチウムイオン二次電池]
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、発電要素と、発電要素を収容する電池ケースとを備える。発電要素は、正極と、負極と、これらの間に介在するセパレータと、電解質とを含む。電池ケース、正極および負極から選ばれる少なくとも1つは、アルミニウムを含んでもよい。
以下に、電池の構成要素についてより詳細に説明する。
(正極)
正極は、正極活物質を含む。正極は、正極集電体と、正極集電体に担持された正極活物質(または正極合剤)とを含んでもよい。
正極集電体は、金属箔でもよく、金属多孔体でもよい。金属多孔体としては、三次元網目状の骨格(特に中空の骨格)を有する金属多孔体を使用できる。正極集電体の材質としては、正極電位での安定性の観点から、アルミニウム、アルミニウム合金などが好ましい。
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵および放出(または挿入および脱離)する材料(すなわち、ファラデー反応により容量を発現する材料)が使用できる。このような材料としては、例えば、リチウムと遷移金属とを含む複合化合物が挙げられる。複合化合物は、Alなどの典型金属元素を含んでもよい。中でも、高容量が得られる点で、金属リチウムに対して4.0V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵および放出するファラデー反応を発現する材料が好ましい。
複合化合物としては、酸化物が好ましく、例えば、リチウムと、マンガン、コバルト、およびニッケルからなる群より選択される少なくとも一種の遷移金属元素とを含む複合酸化物が好ましい。複合酸化物としては、例えば、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルトマンガン酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウム、ニッケルマンガンコバルト酸リチウムなどが挙げられる。
正極合剤は、正極活物質に加え、さらに導電助剤および/またはバインダを含むことができる。正極は、正極集電体に正極合剤を塗布または充填し、乾燥し、必要に応じて、乾燥物を厚み方向に圧縮(または圧延)することにより得られる。正極合剤は、通常、分散媒を含むスラリーの形態で使用される。導電助剤としては、例えば、カーボンブラック、黒鉛、および/または炭素繊維などが挙げられる。バインダとしては、例えば、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ゴム状重合体、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂(ポリアミドイミドなど)、および/またはセルロースエーテルなどが挙げられる。分散媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP:N−methyl−2−pyrrolidone)などの有機溶媒の他、水などが用いられる。
(負極)
負極は、負極活物質を含む。負極は、負極集電体と、負極集電体に担持された負極活物質(または負極合剤)とを含んでもよい。負極集電体は、正極集電体と同様に、金属箔または金属多孔体であってもよい。負極集電体の材質としては、リチウムと合金化せず、負極電位で安定であることから、銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、ステンレス鋼などが好ましい。
負極活物質は、ハードカーボンを含む。ハードカーボンは、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出(もしくは挿入および脱離)し、ファラデー反応により容量を発現する材料である。ハードカーボンは、炭素網面が三次元的にずれた状態で重なりあった乱層構造を有する炭素質材料である。ハードカーボンは、高温(例えば、3000℃)での加熱処理によっても、乱層構造から黒鉛構造への転換が起こらず、黒鉛結晶子の発達が見られない。そのため、ハードカーボンは、難黒鉛化性炭素(non−graphitizable carbon)とも称される。
ハードカーボンのX線回折スペクトルで測定される(002)面の平均面間隔d002は、例えば、0.37nm〜0.42nmである。ハードカーボンの平均比重(密度)は、例えば、1.4g/cm〜1.7g/cmである。
ハードカーボンの平均粒子径D50は、特に制限されず、例えば、3μm〜20μmの範囲から適宜選択できる。
なお、本明細書中、平均粒子径D50とは、体積基準の粒度分布における累積が50%となる粒子径(つまり、メジアン径)を意味する。
負極活物質は、ハードカーボンに加え、他の負極活物質(第2負極活物質)を含んでもよい。第2負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出(もしくは挿入および脱離)する材料、リチウムと合金化する材料などが挙げられる。いずれの材料も、ファラデー反応により容量を発現する材料である。第2負極活物質としては、金属、合金、金属化合物、ハードカーボン以外の炭素質材料などが例示できる。
第2負極活物質を構成する金属としては、リチウム、ナトリウム、チタン、亜鉛、インジウム、スズ、ケイ素などを用いることができる。炭素質材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)などが例示できる。第2負極活物質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。ただし、黒鉛を用いると、高温でのサイクル特性が損なわれるため、負極活物質全体(ハードカーボンおよび第2負極活物質の総量)に占める黒鉛の割合は、少ないほうが好ましく、例えば、5質量%以下または1質量%以下であることが好ましい。
負極活物質中のハードカーボンの割合は、50質量%以上であり、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であってもよい。また、負極活物質をハードカーボンのみで構成してもよい。このように多くのハードカーボンを用いることで、高温における高いサイクル特性を確保することができる。
負極は、例えば、正極の場合に準じて、負極集電体に、負極活物質を含む負極合剤を塗布または充填し、乾燥し、乾燥物を厚み方向に圧縮(または圧延)することにより形成できる。負極活物質には、必要に応じて、リチウムイオンをプレドープしてもよい。
負極合剤は、負極活物質に加え、さらに導電助剤および/またはバインダを含むことができる。導電助剤およびバインダとしては、それぞれ、正極について例示したものから適宜選択できる。
(セパレータ)
セパレータとしては、例えば、樹脂製の微多孔膜、不織布などが使用できる。微多孔膜または不織布を形成する繊維に含まれる樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミド樹脂(芳香族ポリアミド樹脂など)、および/またはポリイミド樹脂などが例示できる。セパレータは、セラミックス粒子などの無機フィラーを含んでもよい。
(電解質)
電解質は、リチウム塩と非水溶媒と難燃剤とを含む。
(リチウム塩)
リチウム塩は、非水溶媒中で解離して、リチウムイオンとアニオンとを生成する。これにより、電解質は、リチウムイオン伝導性を示す。
リチウム塩を構成するアニオンとしては、ヘキサフルオロホスフェートアニオン(PF )、テトラフルオロボレートアニオン(BF )、過塩素酸アニオン(ClO )、ビススルホニルアミドアニオンなどが例示される。ビススルホニルアミドアニオンとしては、FSAアニオン((FSO)、(フルオロスルホニル)(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン((FSO)(CFSO)N)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)アミドアニオン(N(SOCF )などが例示される。リチウム塩は、一種を単独で用いてもよく、アニオンの種類が異なる二種以上の塩を組み合わせて用いてもよい。
リチウム塩は、LiFSAを含むことが好ましい。電解質に、FSAアニオンが含まれると、このアニオンに由来する安定なSEI被膜が形成され易くなることに加え、電解質の耐熱性が向上する。よって、高温での高いサイクル特性がさらに得られ易くなる。
リチウム塩に占めるLiFSAの割合は、例えば、50質量%〜100質量%であり、65質量%〜100質量%または80質量%〜100質量%であることが好ましい。LiFSAの割合がこのような範囲である場合、高温におけるサイクル特性の向上効果がさらに高くなる。
電解質中のリチウムイオンの濃度は、例えば、0.2mol/L〜10mol/Lの範囲から適宜選択でき、1mol/L〜3mol/Lであることが好ましく、1.5mol/L〜3mol/Lまたは2mol/L〜3mol/Lであってもよい。このような濃度範囲とすることで、所望のレート特性を確保することが容易となる。
(非水溶媒)
非水溶媒としては、リチウムイオン二次電池の電解質に使用される公知の溶媒、例えば、有機溶媒、イオン液体などが挙げられる。非水溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。イオン液体は、溶融状態の塩(溶融塩)と同義であり、アニオンとカチオンとで構成される液状イオン性物質である。有機溶媒を用いると、低温での電池の作動性を高めることができ、イオン液体を用いると、耐熱性をさらに高めることができる。
有機溶媒としては、高いイオン伝導度を確保し易い観点から、例えば、環状カーボネート、鎖状カーボネート、環状エステル、エーテルなどが挙げられる。環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC:Etylene carbonate)、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、PC、およびブチレンカーボネートなどが例示される。鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、およびエチルメチルカーボネート(MEC:Ethyl methyl carbonate)などが例示される。環状エステルとしては、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが例示される。エーテルとしては、鎖状または環状のエーテル、例えば、フッ素含有エーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルなどのグライム、クラウンエーテルなどが挙げられる。有機溶媒は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
イオン液体は、リチウムイオン以外のカチオン(第2カチオン)と、アニオン(第2アニオン)とを含む。第2カチオンとしては、有機カチオン、およびリチウムイオン以外の無機カチオンなどが例示できる。第2アニオンとしては、ビススルホニルアミドアニオンを用いることが好ましい。
イオン液体の具体例としては、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオンとFSAアニオンとの塩、1−メチル−1−プロピルピロリジニウムカチオンとTFSAアニオンとの塩、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムカチオンとFSAアニオンとの塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンとFSAアニオンとの塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンとFSAアニオンとの塩、メチルトリエチルアンモニウムカチオンとFSAアニオンとの塩、テトラエチルアンモニウムカチオンとFSAアニオンとの塩などが挙げられる。これらの塩は、一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いてもよい。
電解質の引火点を高め易い観点からは、非水溶媒は、環状カーボネートを含むことが好ましい。特に、少なくともPCを含む非水溶媒を用いると、安全性を向上できるとともに、低温での充放電を安定して行うことができ、高いレート特性も確保し易い。
非水溶媒中のPCの含有量は、例えば15〜70質量%であることが好ましい。PCが15質量%以上であれば、電解質を低粘度化する効果が大きく、サイクル特性を向上させる効果も大きくなる。また、PCが70質量%以下であれば、FSAアニオンが関与する副反応を抑制する効果が大きくなる。
電解質におけるリチウムイオンの濃度が、1.5mol/L未満である場合には、非水溶媒中のPCの含有量が15質量%〜30質量%であることが好ましく、15質量%〜20質量%であることが更に好ましい。また、電解質におけるリチウムイオン濃度が、1.5mol/L以上、2mol/L未満である場合には、非水溶媒中のPCの含有量が20質量%〜50質量%であることが好ましい。また、電解質におけるリチウムイオン濃度が、2mol/L以上、3mol/L以下である場合には、非水溶媒中のPCの含有量が30質量%〜70質量%であることが好ましく、50質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
PCのリチウムイオンに対するモル比(=PC/Li比)を、4.0以下に制御することが好ましい。電解質が、FSAアニオンを含む場合には、PC/Li比を4.0以下とすることにより、FSAアニオンが関与する副反応を抑制し易くなり、その結果、サイクル特性の低下を抑制できる。
リチウムイオン二次電池を、高い電位(例えば、4.0V以上の充電終止電圧)まで充電したり、高温(例えば、60℃以上)での充放電を繰り返したりすると、電池内の発電要素や電池ケースに含まれるアルミニウム(正極集電体など)が腐食する場合がある。正極集電体が腐食すると、容量が低下し、サイクル特性が低下する場合がある。このようなアルミニウムの腐食を抑制する観点からは、PC/Li比を4.0以下とすることで、フリーのPCの量を低減することが好ましい。
PC/Li比を4.0以下に制御すると、リチウムイオン濃度が高いほど、PCの含有量を大きくすることができる。よって、電解質の粘度が低下するため、リチウムイオン二次電池のレート特性を高めることができる。一方、リチウムイオン濃度が低いほど、PCの含有量は小さくなるが、リチウム塩の使用量が減少するため、電解質の製造コストを低減できるメリットがある。
PCを用いることによる効果、特にサイクル特性の向上と電解質の低粘度化の効果を十分に得る観点からは、PC/Li比は、1.0以上であることが好ましく、1.3以上であることが更に好ましい。なお、副反応をより高度に抑制する観点から、PC/Li比は、3.5以下であることが望ましく、3.0以下もしくは2.5以下であることが更に望ましい。
(難燃剤)
難燃剤としては、リチウムイオン二次電池の電解質に使用される公知の難燃剤が使用できるが、リン酸エステル、特にフッ化リン酸エステルを用いることが好ましい。これにより、電解質の耐熱性を飛躍的に高めることが可能であり、電解質の引火点を高めたり、電解質の引火点を無くしたりすることも可能である。
電解質の引火点は、70℃以上であることが好ましく、引火点を有さない場合が最も好ましい。引火点が70℃以上である場合、電解質は、第3石油類または第4石油類などに分類される。そのため、一般に第2石油類に分類されるリチウムイオン二次電池用電解質に比べて、高い安全性を確保することができる
リン酸エステルとしては、トリアルキルホスフェート(特にトリC1−6アルキルホスフェート)、トリアリールホスフェート(特にトリC6−10アリールホスフェート)などが例示できる。リン酸エステルは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
トリC1−6アルキルホスフェートとしては、トリメチルホスフェート(TMP:trimethyl phosphate)、トリエチルホスフェート(TEP:triethyl phosphate)などが好ましく、トリC6−10アリールホスフェートとしては、トリフェニルホスフェート、トリトリルホスフェートなどが好ましい。
リン酸エステルのエステル部位(アルキル基やアリール基)が嵩高くなると、Liとの溶媒和エネルギーが小さくなるため、容量の低下を抑制し易くなる。よって、サイクル特性を高める観点からは、TEP、トリアリールホスフェートなどを用いることが好ましい。
リン酸エステルとして、難燃性が高く、かつ低粘度のフッ化リン酸エステルを用いることもできる。フッ化リン酸エステルは、例えば下記式(I)で表される構造を有する。必要に応じてフッ化リン酸エステルとフッ素を含まないリン酸エステルとを併用してもよい。フッ化リン酸エステルは、難燃剤の50質量%以上を占めることが望ましく、80質量%以上を占めることがより好ましく、100質量%を占める場合も好ましい。これにより、電解質の更なる低粘度化および難燃化が可能である。
Figure 0006696211
〜Rのうち2つまたは3つが同じであってもよく、全てが異なっていてもよい。R〜Rで表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのC1−6アルキル基が例示できる。フルオロアルキル基としては、これらのアルキル基に対応するフルオロアルキル基、つまり、フルオロC1−6アルキル基が例示できる。アルキル基およびフルオロアルキル基の炭素数は、それぞれ1〜3個が好ましく、2個または3個であってもよい。
フルオロアルキル基が有するフッ素原子の個数は、特に制限されず、フルオロアルキル基の炭素数に応じて適宜選択できる。各フルオロアルキル基が有するフッ素原子の個数は、難燃性および充放電特性などの観点からは、複数個であることが好ましく、2〜4個、もしくは2個または3個であってもよい。つまり、フッ化リン酸エステルは、ポリフルオロアルキル基を有するポリフルオロアルキルホスフェートであることが好ましい。
フルオロアルキル基は、フルオロアルキル基を構成するいずれの炭素原子上にフッ素原子を有していてもよいが、フッ化リン酸エステルのリン原子からできるだけ遠い炭素原子上に有していることが好ましい。例えば、フルオロエチル基では、エチル基の2位の炭素原子、フルオロn−プロピル基では、n−プロピル基の3位の炭素原子上に、フッ素原子を有することが好ましい。
フルオロアルキル基の個数は1〜3個から選択でき、難燃性および充放電特性などの観点からは、R、RおよびRのうち、2つまたは3つがフルオロアルキル基もしくはポリフルオロアルキル基であり、残りがアルキル基であることが好ましい。ポリフルオロアルキル基としては、例えば、ジフルオロメチル基、2,2−ジフルオロエチル基などのジフルオロC1−3アルキル基;トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基などのトリフルオロC1−3アルキル基;2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基などのテトラフルオロC2−3アルキル基などが挙げられる。
難燃性および充放電特性(サイクル特性など)の観点から、フッ化リン酸エステルのうち、トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスフェート(TFEP:tris(2,2,2−trifluoroethyl) phosphate)、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)メチルホスフェート(TFEMP:bis(2,2,2−trifluoroethyl) methyl phosphate)およびビス(2,2,2−トリフルオロエチル)エチルホスフェート(TFEEP:bis(2,2,2−trifluoroethyl) ethyl phosphate)からなる群より選択される少なくとも一種が特に好ましい。レート特性を高める観点からは、TFEMPおよび/またはTFEEPを用いることが特に好ましい。
電解質中の難燃剤の濃度は、25質量%以上であることが好ましく、27質量%以上であることがさらに好ましい。難燃剤の濃度がこのように高濃度であることで、電解質の難燃性を大きく向上できる。一般に、リチウムは、リン酸エステルなどの難燃剤との溶媒和エネルギーが大きいため、充電時には、溶媒和された状態で負極活物質中に吸蔵(または挿入)される。その結果、電解質の分解を伴って高抵抗なSEI被膜が形成されることで、サイクル特性が大きく低下する。本実施形態では、ハードカーボンを負極活物質として用いることで、負極活物質へのリチウムイオンの挿入をスムーズに行うことができる。よって、電解質の分解を伴う副反応が抑制されるため、サイクル特性の低下を抑制できる。
電解質は、必要に応じて、リチウム塩、非水溶媒、および難燃剤に加え、添加剤を含んでもよい。電解質中に占めるリチウム塩、非水溶媒、および難燃剤の合計は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上または90質量%以上であってもよい。この場合、非水溶媒および難燃剤の含有量を相対的に高めることができ、難燃性および充放電特性の向上効果が得られ易くなる。
図1は、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を概略的に示す縦断面図である。リチウムイオン二次電池は、発電要素を構成する積層型の電極群と電解質(図示せず)とを具備し、発電要素は角型の電池ケース10に収容されている。電池ケース10は、上部が開口した有底の容器本体12と、上部開口を塞ぐ蓋体13とで構成されている。電池ケース10の材質としては、軽量で加工性に優れるアルミニウムが好ましい。
リチウムイオン二次電池を組み立てる際には、まず、正極2と負極3とをこれらの間にセパレータ1を介在させた状態で積層することにより電極群が構成される。電極群は、電池ケース10の容器本体12に挿入される。その後、容器本体12に電解質が注液され、セパレータ1、正極2および負極3の空隙に、電解質を含浸させる工程が行われる。
蓋体13の中央には、電池ケース10の内圧が上昇したときに内部で発生したガスを放出するための安全弁16が設けられている。安全弁16を中央にして、蓋体13の一方側寄りには、蓋体13を貫通する外部負極端子14が設けられ、蓋体13の他方側寄りの位置には、蓋体13を貫通する外部正極端子が設けられる。
積層型の電極群は、いずれも矩形のシート状の複数の正極2と複数の負極3と、これらの間に介在する複数のセパレータ1とで構成されている。図1では、セパレータ1は、正極2を包囲するように袋状に形成されているが、セパレータの形態は特に限定されない。複数の正極2と複数の負極3は、電極群内で積層方向に交互に配置される。
各正極2の一端部には、正極リード片2aが形成される。複数の正極2の正極リード片2aを束ねるとともに、電池ケース10の蓋体13に設けられた外部正極端子に接続することにより、複数の正極2が並列に接続される。同様に、各負極3の一端部には、負極リード片3aが形成される。複数の負極3の負極リード片3aを束ねるとともに、電池ケース10の蓋体13に設けられた外部負極端子14に接続することにより、複数の負極3が並列に接続される。正極リード片2aの束と負極リード片3aの束は、互いの接触を避けるように間隔を空けて配置することが望ましい。
外部正極端子および外部負極端子14は、いずれも柱状であり、少なくとも外部に露出する部分が螺子溝を有する。各端子の螺子溝にはナット7が嵌められ、ナット7を回転することにより蓋体13に対してナット7が固定される。各端子の電池ケース10内部に収容される部分には、鍔部8が設けられており、ナット7の回転により、鍔部8が、蓋体13の内面に、O−リング状のガスケット9を介して固定される。
電極群は、積層タイプに限らず、正極と負極とをセパレータを介して捲回することにより形成したものであってもよい。負極に金属リチウムが析出するのを防止する観点から、正極よりも負極の寸法を大きくしてもよい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実
施例に限定されるものではない。
参考例1
(1)正極の作製
ニッケルマンガンコバルト酸リチウム(正極活物質)93質量部、アセチレンブラック(導電助剤)4質量部およびポリフッ化ビニリデン(結着剤)3質量部を、NMPに分散させて、正極合剤ペーストを調製した。得られた正極合剤ペーストを、アルミニウム箔(縦10cm×横10cm、厚さ20μm)の両面に塗布し、十分に乾燥させ、圧延して、両面に厚さ60μmの正極合剤層を有する総厚140μmの正極を100枚作製した。なお、正極の一辺の一方側端部には、集電用のリード片を形成した。
(2)負極の作製
ハードカーボン(負極活物質)95質量部およびポリアミドイミド(結着剤)5質量部を、NMPに分散させて、負極合剤ペーストを調製した。得られた負極合剤ペーストを、負極集電体としての銅箔(縦10cm×横10cm、厚さ20μm)の両面に塗布し、十分に乾燥させ、圧延して、両面に厚さ65μmの負極合剤層を有する総厚150μmの負極(または負極前駆体)を99枚作製した。また、負極集電体の片面のみに負極合剤層を形成する以外は、上記と同様にして、2枚の負極(または負極前駆体)を作製した。負極の一辺の一方側端部には、集電用のリード片を形成した。
(3)電極群の組み立て
正極と、負極との間に、セパレータを介在させて積層することにより、電極群を作製した。このとき、電極群の一方の端部には、片面のみに負極合剤層を有する負極を、その負極合剤層が正極と対向するように配置した。また、電極群の他方の端部には、片面のみに負極合剤層を有する負極を、その負極合剤層が正極と対向するように配置した。セパレータとしては、袋状の微多孔膜(ポリオレフィン製、厚さ50μm)を用い、内部に正極を収容した状態で、負極と積層した。
(4)電解質の調製
TFEP(難燃剤)とPC(非水溶媒)とを質量比30:70で含む混合物に、LiFSA(リチウム塩)を溶解させて電解質を調製した。このとき、電解質中のLiFSAの濃度は1mol/Lとした。電解質中のPCのリチウムイオンに対するモル比(PC/Li比)は、8.91であった。
(5)リチウムイオン二次電池の組み立て
上記(3)で得られた電極群と、上記(4)で得られた電解質とを、アルミニウム製の容器本体に収容した。電極群の正極に接続されたリードを、アルミニウム製の蓋体に設けられた外部正極端子に接続し、負極に接続されたリードを蓋体に設けられた外部負極端子に接続した。次いで、容器本体の開口部を、蓋体で密閉して、図1に示すリチウムイオン二次電池を完成させた。
(6)評価
上記(4)で得られた電解質、および上記(5)で得られたリチウムイオン二次電池を用いて、下記の評価を行った。
(a)電解質の引火点
JIS K 2265−2に準拠し、セタ密閉式引火点測定器を用いて、電解質の引火点を測定した。
(b)サイクル特性
リチウムイオン二次電池を、25℃の温度で、時間率0.5Cレートの電流値で、4.2Vになるまで充電し、4.2Vで電流値が0.05Cとなるまで定電圧充電し、時間率0.5Cレートの電流値で、2.5Vになるまで放電し、このときの放電容量(初期放電容量)を測定した。上記と同様の条件での充電および放電のサイクルを繰り返し、50サイクル目の放電容量を測定し、初期放電容量を100%としたときの比率(容量維持率)を算出した。
また、温度を60℃に変更した以外は、25℃の場合と同様にして放電容量を測定し、容量維持率を算出した。
参考例2および実施例1〜2
電解質中のLiFSAの濃度を表1に示すように変更したこと以外は参考例1と同様にして、電解質およびリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。
参考
LiFSAに代えて、LiPF6をリチウム塩として用いたこと以外は、実施例と同様にして、電解質およびリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。
比較例1
ハードカーボンに代えて人造黒鉛を負極活物質として用いたこと以外は、参考例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。ただし、サイクル特性の評価においては、放電終止電圧を、2.5Vから2.7Vに変更した。
比較例2
LiFSAに代えて、LiPFをリチウム塩として用い、TFEPとPCとの混合物に代えて、ECとMECとを、30:70の質量比で含む混合物を用いた。これら以外は、比較例1と同様にして、電解質およびリチウムイオン二次電池を作製し、評価を行った。
参考例1〜3、実施例1〜および比較例1〜2の結果を表1に示す。なお、参考例1〜3はA1、A2、およびA5であり、実施例1および2はA3およびA4であり、比較例1〜2はB1〜B2である。
Figure 0006696211
表1に示されるように、比較例のリチウムイオン二次電池B1は、充放電を行うことができず、サイクル特性の評価を実施できなかった。電池B2では、電解質の引火点が70℃未満と低く、60℃でのサイクル後の容量維持率は36%と低くなった。
それに対し、参考例および実施例では、電解質の引火点が無く、60℃での容量維持率も電池B2に比べて10%〜53%も向上した。なお、電池A1および電池A2では、60℃における容量維持率が電池A3およびA4に比べると少し低くなっている。これは、電解質中のフリーのPCの割合が大きい状態で、60℃という高温下、4.2Vの高電位まで充電することで、電池内に含まれるアルミニウムの腐食が生じたことによるものと考えられる。また、電池A5に関してはPFの熱安定性がFSAよりも低いために60℃での容量維持率が低くなっていると考えられる。
充放電後の電池A1を分解して正極集電体を、走査型電子顕微鏡(SEM:scanning electron microscope)で確認したところ、腐食が見られた。また、充放電後の電池A1の電解質を取り出して、誘導プラズマ結合(ICP:Inductively coupled plasma)分析したところ、Alが検出された。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、電解質の難燃性が高く、サイクル特性に優れている。そのため、リチウムイオン二次電池は、例えば、家庭用または工業用の大型電力貯蔵装置、電気自動車、ハイブリッド自動車などの電源としての利用が期待される。
1:セパレータ
2:正極
2a:正極リード片
3:負極
3a:負極リード片
7:ナット
8:鍔部
9:ガスケット
10:電池ケース
12:容器本体
13:蓋体
14:外部負極端子
16:安全弁

Claims (5)

  1. 発電要素と、前記発電要素を収容する電池ケースと、を備え、
    前記発電要素は、正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、前記正極および前記負極の間に介在するセパレータと、リチウムイオン伝導性を有する電解質とを含み、
    前記電池ケース、前記正極および前記負極から選ばれる少なくとも1つは、アルミニウムを含み、
    前記負極活物質は、ハードカーボンを含み、
    前記電解質は、リチウム塩と非水溶媒と難燃剤とを含み、
    前記リチウム塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)アミド塩を含み、
    前記非水溶媒は、少なくともプロピレンカーボネートを含み、
    前記プロピレンカーボネートの前記リチウム塩に含まれるリチウムイオンに対するモル比は、4.0以下であり、
    前記電解質中の前記難燃剤の濃度は、25質量%以上であり、
    前記難燃剤は、下記式(I):
    Figure 0006696211
    (式中、R、RおよびRは、それぞれ独立であり、いずれもアルキル基またはフルオロアルキル基を示し、R、RおよびRのうち少なくとも1つはフルオロアルキル基である。)
    で表される構造を有するフッ化リン酸エステルを含み、
    前記フッ化リン酸エステルは、前記難燃剤の80質量%以上を占める、リチウムイオン二次電池。
  2. 前記負極活物質中の前記ハードカーボンの割合は、80質量%以上である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記プロピレンカーボネートの前記リチウム塩に含まれるリチウムイオンに対するモル比は、1.0以上である、請求項1または請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記正極活物質は、金属リチウムに対して4.0V以上の電位でリチウムイオンを吸蔵および放出するファラデー反応を発現する材料を含む、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記電解質中のリチウムイオンの濃度は、1mol/L〜3mol/Lである請求項1〜請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
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