JP6690195B2 - 乗客コンベア - Google Patents

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    • B66B23/22Balustrades

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Description

本発明は、乗客コンベアに関し、特に、欄干パネルの上端部に固定される被固定部材の固定構造に関する。
乗客コンベア、例えば、エスカレータでは、環状に連結されて循環走行する踏段の両側に、踏段の走行方向に沿って列設されてなる複数の欄干パネルを構成部材とする欄干が設置されている。この欄干パネルには、近年においてデザイン性が重視される中、ガラス製のものが多く用いられている。ガラス製の欄干パネルは、強化板ガラスの片面に飛散防止フィルムが貼着されてなるものである。
列設された複数の欄干パネルの上端部には、被固定部材であるガイドレールが複数本固定されている。当該ガイドレールは、前記踏段と同期して走行する、無端ベルト状をした移動手摺の走行を案内する部材である。なお、欄干パネルの枚数とその上端部に固定されたガイドレールの本数とは、必ずしも同数とは限らず、よって、欄干パネルとガイドレールとは、一対一の対応関係になっているとは限らない。
ガイドレールの各々は、例えば、特許文献1、特許文献2に記載されているようにして、欄干パネル上端部に固定されている。
特許文献1,2に記載されたガイドレールには、アルミの押出形材が用いられている。 当該ガイドレールの上端部には、幅方向両側に張り出した一対のフランジ部が形成されている。両フランジ部の間には、上方に開口し長さ方向に沿った上溝が形成されている。前記上溝の下には、下方に開口し同じく長さ方向に沿った下溝が形成されている。また、前記上溝の底面と前記下溝の天井面との間を貫通するねじ挿通孔が形成されている。
前記下溝の一方の側面は鉛直面に形成され、もう一方の側面は下方に行くほど前記鉛直面から遠ざかる斜面に形成されている。前記下溝内には、台形の横断面を有するくさび部材が設けられている。当該くさび部材の前記斜面と対向する側の側面は当該斜面と平行な面に形成されており、前記斜面とは反対側の側面は前記鉛直面と平行な面に形成されている。前記くさび部材には、上下に貫通する雌ねじが形成されている。当該雌ねじには、前記ねじ挿通孔に前記上溝側から挿入されたねじが螺合している。
前記くさび部材と前記鉛直面の間に前記欄干パネルの上端部が嵌められ、前記ねじが締め込まれることによって、前記くさび部材が引き上げられる。その結果、くさび効果により、当該くさび部材と前記鉛直面とで前記上端部の側面が強固に把持されて、前記ガイドレールが欄干パネルの上端部に固定される。欄干パネルに固定されたガイドレールには、前記両フランジ部の間の前記上溝を塞ぐように、当該両フランジ部に移動手摺が取り付けられている。
特開平5−162964号公報 特開平5−201677号公報
ところで、上記した欄干パネルは、強化板ガラスが破損した場合や飛散防止フィルムが経年劣化した場合等には、新しいものとの交換がなされる。
当該交換に際し、前記欄干パネルを取り外す場合、先ず、欄干パネルの上端部に固定されている前記ガイドレールの固定を解除する必要がある。ガイドレールは、前記くさび部材に螺合されているねじを弛めることで固定が解除される。
この交換作業は、エスカレータの運転を停止して行われるが、例えば、商業施設に設置されているエスカレータにあって、営業中に強化板ガラスが破損した場合には、特に速やかな交換が要求される
しかしながら、上記した従来のガイドレールの欄干パネル上端部への固定構造によれば、前記ねじを弛めるためには、前記上溝を覆っている移動手摺をガイドレールから部分的に取り外す必要がある。すなわち、少なくとも、交換対象とされる欄干パネルに固定されているガイドレールに取り付けられている移動手摺部分を当該ガイドレールから取り外す必要がある。このため、従来、欄干パネルの交換に相当な時間を要するものとなっている。
また、欄干パネルに、照明器具等の付属品が取り付けられる場合には、欄干パネルの上端部には、先ず、前記付属品が取り付けられた取付部材が固定され、当該取付部材の上部に前記ガイドレールが設けられる構成とされる。この場合でも、被固定部材である前記取付部材の固定に上記した従来の固定構造を採用する限り、欄干パネルの交換作業に相当な時間を要する事情は、上述したものと同様である。
なお、上記した課題は、ガラス製の欄干パネルを有するエスカレータに限らず、ガラス以外の材質で構成された欄干パネルを有するエスカレータにも共通する。また、環状に連結された複数の踏段からなる無端搬送体によって乗客を搬送するエスカレータに限らず、他の形式の無端搬送体、例えば、ゴムベルト式の無端搬送体を有する乗客コンベアである動く歩道にも共通するものである。
本発明は、上記した課題に鑑み、上記従来の乗客コンベアよりも欄干パネルの交換に要する時間を可能な限り短縮できる乗客コンベアを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る乗客コンベアは、循環走行して乗客を搬送する無端搬送体の走行路に沿って立設された欄干パネルと、前記欄干パネルの第1の主面に平行な第1の壁面と前記欄干パネルの第2の主面との間隔が下方程広くなるよう当該第2の主面に対し傾斜した第2の壁面とを含み、当該欄干パネルの上端部に上方から嵌め込まれた溝部を有する被固定部材と、前記第2の主面と前記第2の壁面との間に設けられ、当該第2の主面と対向する押圧面と当該第2の壁面に沿った斜面とを含むくさび部材と、締付ねじとを備え、前記くさび部材には、上下方向に貫通するねじ挿通孔が開設され、前記被固定部材には、前記ねじ挿通孔に対応する雌ねじが上下方向に形成されていて、前記締付ねじは、前記ねじ挿通孔に下方から挿入され、前記雌ねじに螺合しており、当該締付ねじの締め付けにより、前記くさび部材の前記斜面が前記第2の壁面に案内されて、当該くさび部材が前記第2の主面に向かって押圧され、前記押圧面と前記第1の壁面とで、前記欄干パネルの上端部が締め付けられて、前記被固定部材が当該欄干パネルに固定されていることを特徴とする。
また、前記第2の主面が前記走行路に面していて、前記くさび部材が前記欄干パネルに対し、前記走行路側に設けられていることを特徴とする。
さらに、前記くさび部材には、上下方向に貫通する雌ねじが形成されており、当該くさび部材に形成された前記雌ねじは、前記締付ねじが弛められた状態で、前記くさび部材を弛めるため、その下側から弛めねじが螺入される雌ねじであることを特徴とする。
また、さらに、前記締付ねじを締め付ける際および弛める際に、前記くさび部材が当該締付ねじの軸心周りに回転するのを規制する規制手段を有し、当該規制手段は、前記被固定部材から下方に突出したバー部材と、前記くさび部材に開設され、前記バー部材が挿入された挿入孔とを含むことを特徴とする。
また、前記被固定部材は、前記循環走行する前記無端搬送体と同期して循環走行する移動手摺を案内するガイドレール、または、照明器具が取り付けられた取付部材であることを特徴とする。
さらに、前記欄干パネルをその下端部でトラスに固定する固定器具を有し、当該固定器具は、前記欄干パネルを固定保持した状態で当該欄干パネルの前記下端部の前記走行路とは反対側の主面部分と対向する受け面を含み、前記トラスに固定された固定ブラケットと、前記欄干パネルを固定保持した状態で、当該欄干パネルの前記下端部を介して前記受け面と対向し当該下端部を前記受け面に向かって圧接する圧接部材が取り付けられた対向部を含む可動ブラケットとを含み、前記欄干パネルの固定を解除した状態では、当該欄干パネルにおける前記下端部の前記走行路側前方が開放されるように、前記可動ブラケットが前記固定ブラケットに取り付けられていることを特徴とする。
この場合に、前記欄干パネルを固定保持した状態で、前記固定ブラケットが、前記欄干パネルの下端面を支持する支持部を含み、当該固定ブラケットと前記可動ブラケットとが、前記欄干パネルの下端縁よりも下方において当該下端縁と平行に設けられたシャフトにより、当該可動ブラケットが当該固定ブラケットに対しその軸心を中心として回動自在、かつ、前記軸心の方向における第1の位置と第2の位置との間でスライド自在に連結されていて、前記欄干パネルを固定保持した状態において、前記可動ブラケットは前記第1の位置に在って、その一部が前記軸心と直交する仮想平面内で前記固定ブラケットの一部に当接して、前記対向部が前記受け面から離間する向きの、当該可動ブラケットの回動が規制され、前記欄干パネルの固定が解除されて、前記可動ブラケットが前記第1の位置から前記第2の位置までスライドされると前記当接の状態が解消されて、当該可動ブラケットは前記対向部が前記受け面から離間する向きに回動して、前記欄干パネルの前記下端部の前記走行路側前方が開放されるように、前記可動ブラケットが前記固定ブラケットに取り付けられていることを特徴とする。
上記の構成からなる乗客コンベアによれば、欄干パネルの上端部に嵌め込まれた溝部の第2の壁面と欄干パネルの第2の主面との間に設けられたくさび部材において上下方向に貫通するねじ挿通孔に下方から挿入され、被固定部材に形成された雌ねじに螺合された締付ねじを弛めると、被固定部材の欄干パネルの上端部に対する固定が解除される。すなわち、被固定部材に対し、その下方から被固定部材の固定の解除ができるため、被固定部材に対し、その上方に取り付けられている部材(上記従来の例では、移動手摺またはガイドレール)を取り外す必要が無い。その結果、上記従来の乗客コンベアよりも欄干パネルの交換に要する時間を可能な限り短縮することができる。
実施形態1に係るエスカレータの概略構成を示す斜視図である。 実施形態1に係るエスカレータを構成する欄干の概略構成を示す断面図である。 (a)は、図2におけるA部の拡大断面図であり、(b)は紙面に垂直方向における別の位置で切断し、A部と同じ向きに見た拡大断面図である。 実施形態1における、(a)はくさび部材の正面図、(b)は同下面図、(c)は同左側面図、(d)はI-I線断面図、(e)はII-II線断面図、(f)はIII-III線断面図をそれぞれ示している。 取付部材において、上記くさび部材が設けられる箇所の、(a)は上から見た図を、(b)は図3(a)におけるB-B線断面図を、(c)はVI-VI線断面図を、(d)はV-V線断面図を、(e)はIV-IV線断面図をそれぞれ示している。 欄干パネルに対する取付部材の固定が解除された状態における、(a)は図3(a)と同じ位置で切断した拡大断面図であり、(b)は図3(b)と同じ位置で切断した拡大断面図である。 欄干パネルに対する取付部材の固定を解除する方法を説明するための図である。 実施形態1における固定器具において、(a)は欄干パネルを固定保持した状態における斜視図であり、(b)は(a)に示す状態から可動ブラケットを固定ブラケットに対してスライドさせた状態を示す斜視図である。 実施形態1における固定器具およびその近傍の拡大図である。 実施形態1における固定器具において、欄干パネルの固定が解除された状態を示す斜視図である。 実施形態1での、欄干パネルの交換作業途中の状態を示す図である。 実施形態2に係るエスカレータにおける欄干上端部を示す断面図である。 実施形態3に係るエスカレータの固定器具において、(a)は欄干パネルを固定保持した状態における斜視図であり、(b)は欄干パネルの固定が解除された状態を示す斜視図である。
以下、本発明に係る乗客コンベアの実施形態について、エスカレータを例にとり、図面を参照しながら説明する。なお、図2、図9、および図11においては、煩雑さを避けるため、断面であることを示すハッチングは省略している。
<実施形態1>
図1に示すように、実施形態1に係るエスカレータ10は、環状に連結されて循環走行し、乗客を搬送する無端搬送体である複数の踏段12を有する。踏段12の走行路RWの両側には、欄干14,16が設置されている。なお、図1において、欄干14,16に設けられた後述の照明器具32は省略している。欄干14,16の各々は、走行路RWに沿って立設された複数の欄干パネル18を有する(図1において、欄干パネルは、片側の欄干14を構成する欄干パネル18のみに符号を付している。)。欄干パネル18は、例えば、ガラス製であり、強化板ガラスの片面に飛散防止フィルムが貼着されてなるものである。
欄干パネル18の外周には、ガイドレール(図1では不図示)に案内され、踏段12と同じ向きに同じ速度で循環走行する無端ベルト状をした移動手摺20,22がそれぞれ設けられている。
エスカレータ10は、例えば、建築物内の階下のフロアDSと階上のフロアUSとの間に架け渡されて設置されている。エスカレータ10は、踏段12の走行の向きが切り替えられて、昇り用あるいは下り用として用いられ、踏段12に乗った乗客が、階下のフロアDSから階上のフロアUS、あるいは階上のフロアUSから階下のフロアDSへと搬送される。
エスカレータ10が昇り用として用いられる際に、踏段12によって搬送される乗客の進行方向に向かって右側となる移動手摺22とこれに近接して立体交差する階下の天井DC部分(交差部)には、法令で規定された保護板(固定保護板)24が設置されている。保護板24は、乗客の身体の一部が移動手摺22と天井DCとの間に挟みこまれてしまうといった事故を未然に防止する目的で設置されている。
次に、欄干14,16について説明する。欄干14と欄干16とは、走行路RWを挟んで対称的に設置されていて、基本的には、同じ構成を有している。よって、欄干14を代表に説明し、欄干16についての説明は省略することとする。
図2に示すように、欄干14を構成する複数枚の欄干パネル18の各々は、その下端部が、走行路RWに沿って設置された複数台の固定器具26によってトラス28に固定されている。欄干パネル18の1枚当り、そのサイズに応じた台数(2台〜4台)の固定器具26が用いられる。
一方、複数枚の欄干パネル18の上端部には、被固定部材である取付部材30が複数本、列を成して固定され、取付部材30を介して照明器具32が取り付けられている。取付部材30は、アルミニウムの押出形材からなり、欄干パネル18の上端縁に沿って、その複数本が間隔を空けて列設されている。
照明器具32は、取付部材30にL字アングル部材34を介して取り付けられたホルダ36を有し、ホルダ36には、蛍光ランプ38が嵌め込まれている。
取付部材30を覆うように、横断面が略「コ」字状をした長尺のフレーム40が、不図示のねじによって、取付部材30に取り付けられている。フレーム40は、ステンレス鋼板を板金加工したものである。
一本のフレーム40は、一本の取付部材30よりも長く、複数本の取付部材30に亘って、一本のフレーム40が取り付けられている。これにより、隣接する取付部材30は、両者に取り付けられたフレーム40によって連結されていることになる。
フレーム40の開口部には、蛍光ランプ38を覆うように、合成樹脂からなる半透明のランプカバー42が取り付けられている。
取付部材30上部には、フレーム40を介してガイドレール44が固定されている。ガイドレール44は、例えば、ステンレス鋼板を板金加工して作製されたものである。ガイドレール44は、取付部材30上面に対応する底板部44Aを有し、底板部44Aがスポット溶接(不図示)によりフレーム40に接合されている。ガイドレール44は、また、底板部44Aの両端縁から上方へ立ち上がった縦板部44B,44Cと、縦板部44B,44Cの上端から外方へ張り出したフランジ部44D,44Eとを有する。
ガイドレール44において、両フランジ部44D,44Eに移動手摺20が取り付けられている。
上記のようにして、照明器具32やガイドレール44が設けられた取付部材30の欄干パネル18上端部への固定構造について、図3を参照しながら説明する。なお、図3(a)は、後述する締付ねじ60の軸心を含む平面で切断した図であり、図3(b)は、後述する六角穴付ボルト62の軸心を含む平面で切断した図である。
図3に示すように、取付部材30は、下方に開口された溝部46を有し、溝部46が欄干パネル18の上端部に上方から嵌め込まれている。
溝部46の第1壁面46Aは、欄干パネル18の第1主面18Aに平行に形成されていると共に、第1壁面46Aに対向する第2壁面46Bは、欄干パネル18の第2主面18Bとの間隔が下方程広くなるよう第2主面18Bに対し傾斜した面に形成されている。ここで、第2主面18Bが走行路RWに面している側の主面である(図2)。
欄干パネル18の上端部には、欄干パネル18を保護する保護部材48が被せられている。保護部材48は、横断面が略「コ」字状をした、ゴム製の押出成形材からなるクッションゴム50とこれよりも一回り大きな略「コ」字状の横断面を有する薄板状の金属カバー52とからなる。金属カバー52には、例えば、ステンレス鋼が用いられる。
欄干パネル18の第2主面18Bと溝部46の第2壁面46Bとの間には、くさび部材54が設けられている。くさび部材54は、金属材料(例えば、ステンレス鋼)、または硬質の合成樹脂からなる。
図4に示すように、くさび部材54は、全体的に直角三角形状をした横断面を有する棒状をしている。くさび部材54は、一つの取付部材30に対し、複数本が間隔を空けて用いられる。
くさび部材54は、図3に示す状態で、欄干パネル18の第2主面18Bと対向する押圧面54Aと、溝部46の第2壁面46Bに沿った斜面54Bとを含む。略直角三角形状をした両側面以外の残りの面を下面54Cと称することとする。
図4に示すように、くさび部材54の長さ方向中央部には、上下方向に貫通するねじ挿通孔54Dが開設されている。ねじ挿通孔54Dは、図3に示す状態において、平面視で、欄干パネル18の厚み方向に長い長孔である。
くさび部材54の長さ方向において、ねじ挿通孔54Dの両側には、上下方向に貫通する雌ねじ54E、54Fが形成されている。
両雌ねじ54E,54Fのさらに両側には、後述する六角穴付ボルト62が挿入される挿通孔54G、54Hが開設されている。両挿通孔54G,54Hは、ねじ挿通孔54Dと同様の長孔である。
上記の構成からなるくさび部材54が設けられる取付部材30部分について、図5を参照しながら説明する。
取付部材30には、くさび部材54のねじ挿通孔54D(図3(a)、図4)に対応させて、上下方向に雌ねじ30Aが形成されている。
取付部材30の長さ方向において、雌ねじ30Aの両側には、くさび部材54の挿通孔54G,54H(図3(b)、図4)に対応させて、上下方向に雌ねじ30B、30Cが形成されている。雌ねじ30B,30Cの上側の開口側には、図5(a)、(c)に示すように、深ざぐりがなされている。
取付部材30の、くさび部材54が設けられる部分において、雌ねじ30A,30B,30Cが形成されている箇所以外は、V-V線断面図に代表されるように、第2壁面46Bは平坦な面になっている。なお、V-V線断面図は、くさび部材54の雌ねじ54E,54F(図4(a))に対応する位置で切断した断面図である。
図3に戻り、欄干パネル18上端部への取付部材30の固定態様について説明する。図3(a)に示すように、平座金56、ばね座金58が嵌められた締付ねじ60が、くさび部材54のねじ挿通孔54Dに下側から挿入され、取付部材30の雌ねじ30Aに螺合している。締付ねじ60には、例えば、低頭六角穴付ボルトが用いられる。
図3(a)、(b)は、締付ねじ60の締め付けにより、取付部材30が欄干パネル18に固定されている状態を示している。締付ねじ60が締め付けられると、くさび部材54は、その斜面54Bが取付部材30の第2壁面46Bに案内されて斜行し、欄干パネル18の第2主面18Bに向かって押圧される。これにより、くさび部材54の押圧面54Aと取付部材30の第1壁面46Aとで欄干パネル18の上端部が締め付けられて(挟持されて)、取付部材30が欄干パネル18に固定されることとなる。
取付部材30の雌ねじ30B,30C(図5(a),(b),(c))の各々には、バー部材として六角穴付ボルト62(以下、単に「ボルト62」と言う。)がねじ込まれており、その頭部とは反対側のねじ部部分は、くさび部材54の挿通孔54G,54Hに挿入されている。
取付部材30に設けたボルト62とくさび部材54に開設された挿通孔54G,54Hとは、締付ねじ60を締め付ける際および後述するように弛める際に、くさび部材54が締付ねじ60の軸心周りに回転するのを規制する規制手段として機能する。
締付ねじ60を回すと、締付ねじ60が螺入されているくさび部材54は、締付ねじ60との間に生じる摩擦力によって、締付ねじ60の軸心周りに回転しようとする。この場合、何らの手当てをしないと、くさび部材54両端が周囲の部材にぶつかって、当該部材を損傷するおそれがある。
そこで、周囲の部材にぶつかる迄回転する手前で、挿通孔54G,54Hの内壁にボルト62を当接させて、それ以上回転するのを規制しているのである。
なお、当該規制手段として用いるバー部材は、ボルト62に限らず、例えば、ピンを用いても構わない。
取付部材30の欄干パネル18に対する固定は、締付ねじ60を弛めることによって解除される。締付ねじ60を弛めると、締付ねじ60は下方へ螺進する。その結果、締付ねじ60(の頭部)が、くさび部材54を第2壁面46Bに押圧する押圧力が解消され、ひいては、くさび部材54が欄干パネル18の第2主面18Bに向かって押圧される押圧力が解消される。これにより、くさび部材54は、手で引き落とすことができるようになる。
引き落とすと、図6(a)に示すように、くさび部材54は、その下面54Cが平座金56と当接するまで落下する。もっとも、締付ねじ60を雌ねじ30Aから抜き去ってしまうと、くさび部材54も取付部材30から取り外されることとなる。
ところで、くさび部材54の保護部材48に対する食い込みの態様によっては、締付ねじ60を弛めても、手だけでは、くさび部材54を引き落とせない可能性がある。この場合、くさび部材54の左右の側面(紙面に垂直な方向における両端面)などを金属棒などで叩くなどすると、その衝撃でくさび部材54が弛んで、くさび部材54を落下させることができなくもないが、確実な方法とは言えない。
そこで、このような場合に、本実施形態では、弛めねじ64を用いる。弛めねじ64を用いた方法について、図7を参照しながら説明する。図7は、くさび部材54の雌ねじ54E(図4)の軸心を含む平面で切断したくさび部材54の横断面を含む断面図である。
締付ねじ60(図3(a))を弛めた状態で、弛めねじ64を雌ねじ54Eの下側の開口部から螺合させる。弛めねじ64には、例えば、図示のような、比較的長めの六角穴付ボルトが用いられる。
弛めねじ64をねじ込んで行くと、弛めねじ64は上向きに螺進し、その先端が取付部材30の第2壁面46Bに当接する。当接後も弛めねじ64をねじ込むと、弛めねじ64はこれ以上螺進できないため、くさび部材54に対し相対的に下向きに螺進させようとする力が作用する。その結果、くさび部材54は、下向きに移動する。これによってくさび部材54が弛んだ場合、締付ねじ60が雌ねじ30Aから外れているときには、くさび部材54は、弛めねじ64がねじ込まれた状態で、取付部材30から取り外されることとなる。
なお、弛めねじ64は、くさび部材54に常時螺合されているものではなく、欄干パネル18を取り外すときだけに用いられるものである。
以上説明したように、欄干パネル18の上端部に嵌め込まれた溝部46の第2壁面46Bと欄干パネル18の第2主面18Bとの間に設けられたくさび部材54において上下方向に貫通するねじ挿通孔54Dに下方から挿入され、取付部材30に形成された雌ねじ30Aに螺合された締付ねじ60を弛めると、取付部材30の欄干パネル18の上端部に対する固定が解除される。すなわち、取付部材30に対し、その下方から取付部材30の固定の解除ができるため、取付部材30に対し、その上方に取り付けられている部材(本例では、ガイドレール44)を取り外す必要が無い。
取付部材30の固定が解除されると、取付部材30は欄干パネル18の上端部に欄干パネル18の厚み方向に遊びを持って嵌った状態となる。このようになると、後述するように、欄干パネル18の下端部の固定が解除された状態で欄干パネル18下端部の、踏段12の走行路RW側前方が開放されていれば、欄干パネル18を取り外すことができる。
そのような固定構造とした固定器具26について説明する。図8に示すように、固定器具26は、固定ブラケット66と可動ブラケット68とを有する。
固定ブラケット66は、受け部材70と後述する複数の(本例では、4個の)規制部材92,94,96,98とを含む
受け部材70には、本例ではZ形鋼が用いられる。受け部材70には支持板74が溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている(溶接ビードについては不図示)。
図2に示すように、トラス28には、L形アングル材76がボルト78・ナット80によって固定されている。L形アングル材76には、図8に示すように、長孔76Aが開設されており、ボルト78は長孔76Aおよびトラス28に開設された貫通孔(不図示)に挿入されて、ナット80とでL形アングル材76をトラス28に固定している。なお、図8において、トラス28とボルト78・ナット80は図示していない。
トラス28に固定されたL形アングル材76のトラス28から垂直に立ち上がった壁部76Bと支持板74とがボルト82・ナット(ナットは、図には現れていない)によって締結されている。
これにより、受け部材70(固定ブラケット66)は支持板74とL形アングル材76を介してトラス28に取り付けられている(固定されている。)。
図8に戻り、受け部材70には、複数の(本例では、4個の)軸支部材84,86,88,90が溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている(溶接ビードについては不図示)。軸支部材84は、図2に示すように、L字状をした板体からなり、縦板部84Aにおいて受け部材70に接合されている。また、軸支部材84の横板部84Bの先端部分には、図8に示すように、その厚み方向に軸孔84Cが開設されている。
他の3個の軸支部材86,88,90は受け部材70の長手方向に間隔を空けて配されている。軸支部材86,88,90の各々は軸支部材84と略同様の形状をし、受け部材70に軸支部材84と同様に接合されている。すなわち、軸支部材86,88,90は、その縦板部(軸支部材86,88,90の縦板部は図に現れていない)において受け部材70に接合されており、横板部86B,88B,90Bの先端部分には、その厚み方向に軸孔86C,88C,90Cが開設されている。なお、4個の軸孔84C,86C,88C,90Cは同軸上に開設されている。
軸支部材84,86,88,90の各々に隣接して、規制部材92,94,96,98がそれぞれ設けられている。規制部材92は、図9に示すように、軸支部材84(図2)において、その横板部84B(図2)を短縮したような形状をしている。図8に戻り、規制部材92,94,96,98の各々は、その縦板部92A,94A,96A,98Aが受け部材70に対し、軸支部材84と同様に接合されている。
規制部材92,94,96,98各々の横板部92B,94B,96B,98Bにおける先端面の各々は、後述する回動アーム132,134,136,138各々の回動を規制する規制面92C,94C,96C,98Cとなる(図8(b))。
図10に示すように、受け部材70の下端部70Aの下面の長さ方向における両端部には、雌ねじ(不図示)が形成されたブロック部材100,102が接合されている。下端部70Aには、当該雌ねじに対応する貫通孔70B,70Cが開設されている。前記雌ねじには、下方から高さ調整ボルト104,106が螺入されていて、その先端が貫通孔70B,70Cから僅かに突出している。高さ調整ボルト104,106には、弛み止めナット108,110が螺合されている。
受け部材70の下端部70Aの上面の両端部には、平板状をしたゴムなどの弾性部材からなるクッション部材であるクッションパッド112,114が貼着されている。
図8に戻り、可動ブラケット68は、対向部材72と後述する複数の(本例では、4個の)回動アーム132,134,136,138とを含む。
対向部材72には、本例ではL形鋼(不等辺山形鋼)が用いられる。
対向部材72の長辺部72Aには、その厚み方向に貫通する雌ねじ(不図示)が複数個、形成されており、当該雌ねじの各々には、圧接部材である圧接ボルト116,118,120,122が螺入されている。また、圧接ボルト116,118,120,122の各々には、弛み止めナット124,126,128,130がそれぞれ螺合されている。
対向部材72には、また、規制部材92,94,96,98の各々に対応させて回動アーム132,134,136,138が接合されている。回動アーム132,134,136,138の各々は、略角棒状をしていて、全長の半分程度を対向部材72の長辺部72Aに重ねた状態で対向部材72に溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている(溶接ビードについては不図示)。
回動アーム132,134,136,138の対向部材72との接合部とは反対側の端部部分には軸孔132A,134A,136A,138Aが開設されている。4個の軸孔132A,134A,136A,138Aは、同軸上に開設されている。また、軸孔132A,134A,136A,138Aは、軸支部材84,86,88,90の軸孔84C,86C,88C,90Cと同じ径を有している。
回動アーム132,134,136,138の各々において、軸孔132A,134A,136A,138Aの近傍には、後述するように、規制面92C,94C,96C,98Cと当接する当接面132B,134B,136B,138Bが形成されている。
軸支部材84,86の軸孔84C,86Cと回動アーム132,134の軸孔132A,134Aには、第1シャフト140が遊挿されており、軸支部材88,90の軸孔88C,90Cと回動アーム136,138の軸孔136A,138Aには、第2シャフト142が遊挿されている。第1シャフト140と第2シャフト142の両端部には、抜け止め用のE形止め輪144,146が嵌め込まれている(いずれも、一方の端部側のE形止め輪は、図に現れていない。)。第1シャフト140と第2シャフト142とは、図9に示すように、欄干パネル18の下端縁よりも下方において、図8(a)に示すように、当該下端縁と平行に設けられている。
上記の構成により、可動ブラケット68は、固定ブラケット66に対し、第1および第2のシャフト140,142によって、その軸心を中心として回動自在、かつ、当該軸心の方向にスライド自在に連結されている。なお、本例では、可動ブラケット68と固定ブラケット66を2本のシャフト(第1および第2のシャフト140,142)で連結したが、これに限らず、1本のシャフトで連結しても構わない。すなわち、軸支部材84,86,88,90に開設された軸孔84C,86C,88C,90Cと回動アーム132,134,136,138に開設された軸孔132A,134A,136A,138Aの全てに1本のシャフトを遊挿して、可動ブラケット68と固定ブラケット66を連結しても構わない。
可動ブラケット68は、固定ブラケット66に対し、少なくとも、図8(a)に示す第1の位置と図8(b)に示す第2の位置との間でスライド自在とされている。
第1の位置は、受け部材70に接合された規制部材92,94,96,98の規制面92C,94C,96C,98Cの各々に対向部材72に接合された回動アーム132,134,136,138の当接面132B,134B,136B,138B(図10)の各々が対向する位置である。
第2の位置は、固定ブラケット66に対し、第1の位置(図8(a))から可動ブラケット68が第1および第2のシャフト140,142の軸心方向、矢印Cの向きにスライドして、図8(b)に示すように、当接面132B,134B,136B,138Bの各々が規制面92C,94C,96C,98Cの各々に非対向となる位置である。
第1の位置では、図9に示すように、可動ブラケット68の一部である当接面132Bが、第1シャフト140の軸心と直交する仮想平面(不図示)内で固定ブラケット66の一部である規制面92Cに当接していて、可動ブラケット68の第1シャフト140を中心とする時計方向の回動が規制される。残りの当接面134B,136B,138Bも同様に対応する規制面134B,136B,138Bに当接していて、これによっても、可動ブラケット68の回動が規制されている。
固定器具26は、可動ブラケット68が第1の位置にある状態で、欄干パネル18をトラス28に固定する。
図2、図9に示すように、欄干パネル18の下端部と固定ブラケット66の受け部材70における受け面70Dとの間には、長方形状をしたゴムなどからなる弾性部材であるクッションシート148が挟まれている。クッションシート148は、主面が受け面70Dと同じ形状をしており、受け面70Dに重ねた状態で、受け面70Dに貼着されている。
欄干パネル18の下端部と圧接ボルト116,118,120,122(図2、図9には、2本のみが現れている)の先端と間には、圧接板150が挟まれている。圧接板150は、長方形をした鋼板と同じ長方形をしたゴムシートとが貼り合わされてなる2層構造をした板体(図には、当該2層構造を表していない)であり、欄干パネル18側にゴムシートがあてがわれる形で、挟みこまれている。
欄干パネル18の下端面の一部は、クッションパッド112,114(図2、図9では、クッションパッド112のみが現れている)上面または高さ調整ボルト104,106の先端と当接していて(本例では、高さ調整ボルト104,106の先端と当接している。)、前記下端面はクッションパッド76,78または高さ調整ボルト104,106を介して可動ブラケット68の受け部材70における支持部である下端部70Aに支持されている。
なお、高さ調整ボルト104,106は、以下の場合に用いられる。欄干パネル18をクッションパッド112,114に載せた状態で、欄干パネル18の高さが不足する場合には、高さ調整ボルト104,106を上向きに螺進させ、その先端を欄干パネル18の下端面に当接させて持ち上げることにより、欄干パネル18の高さを調整するのである。
図2、図9に示す状態で、受け面70Dと対向する対向部材72の雌ねじ(不図示)に螺入された(取り付けられた)圧接ボルト116,118,120,122(図8(a))は、強く締め付けられていて、その先端が圧接板150を介して欄干パネル18の下端部を受け面70Dに向かって圧接することにより、欄干パネル18は、その下端部でトラス28に固定保持されている。圧接ボルト116,118,120,122の締め付けにより、可動ブラケット68は固定ブラケット66に対して、スライド不能となっている。そして、圧接ボルト116,118,120,122の弛みを防止するため、弛み止めナット124,126,128,130(図8(a))が締め付けられている。
上記のように欄干パネル18を支持する固定器具26と踏段12との間には、踏段12と僅かな隙間をあけてスカートガード152が立設されており、スカートガード152の上端部と欄干パネル18の下部との間には、当該下部や固定器具26を覆う内デッキ(不図示)が設けられている。また、欄干パネル18を挟んで走行路RWとは反対側には、外デッキが設けられているのであるが、当該外デッキの図示についても省略する。内デッキと外デッキ(いずれも不図示)は、例えば、ステンレス鋼の板体からなり、走行路RWに沿って複数枚が連設されている。
欄干パネル18の固定器具26による固定は、以下のようにして解除される。
先ず、弛み止めナット124,126,128,130(図8(a))を弛めた後、圧接ボルト116,118,120,122(図8(a))を弛める。これにより、可動ブラケット68は、第1および第2シャフト140,142の軸心方向にスライド可能となる。
可動ブラケット68を、矢印Cの向きに、図8(b)に示す第2の位置までスライドさせる。次に、対向部材72が受け面70Dから遠ざかる向きに回動させ、図10、図11に示す状態とする。すなわち、欄干パネル18の下端部の走行路RW側前方(図11に矢印Fで示す方向)が開放される状態とする。
欄干パネル18の上端部の取付部材30の固定が解除され、取付部材30が欄干パネル18の上端部に欄干パネル18の厚み方向に遊びを持って嵌った状態となっていれば、上述した通り、図11に一点鎖線で示すように、欄干パネル18は、その下部を走行路RW側へ振ることができる(全体を矢印Sの向きに傾けて斜めの姿勢にすることができる。)。下部を走行路RW側に振った状態で、欄干パネル18をその主面に平行に下方へ移動させることにより、その上端部が取付部材30からも完全に外れて、欄干パネル18を固定器具26と取付部材30から取り外されることとなる。なお、欄干パネル18の取付けおよび取り外しの際には、取付け・取り外し対象の欄干パネル18に対応する内デッキ(不図示)とスカートガード152(図2、図9)は、予め取り外される。
以上の説明から明らかなように、実施形態1に係るエスカレータ10によれば、欄干パネル18上端部の被固定部材である取付部材30を欄干パネル18の上方へ抜き取ることなく、欄干パネル18を取付部材30と固定器具26から取り外すことができる。
欄干パネル18が取り外された取付部材30は、上述した通り、これに隣接する取付部材にフレーム40によって連結されており、当該隣接する取付部材は対応する欄干パネルに支えられている。よって、欄干パネル18が取り外された取付部材30は、脱落することはない。
なお、上記実施形態では、締付ねじ60と弛めねじ64として六角穴付ボルトを用いたが、これに限らず、六角ボルトを用いても構わない。あるいは、十字穴付ねじを用いても構わない。
<実施形態2>
実施形態1では、欄干パネル18に照明器具32を取り付けるため、欄干パネル18の上端部に取付部材30を固定し、取付部材30の上方にガイドレール44を取り付けた。照明器具32を設けない場合は、ガイドレールを欄干パネル18の上端部に直接固定しても構わない。
実施形態2に係るエスカレータは、そのように構成したエスカレータである。また、実施形態1において、移動手摺20を案内するガイドレール44は、ステンレス鋼板を板金加工したものであったが、実施形態2では、アルミの押出形材からなるものを用いている。
図12は、そのように構成したガイドレール202が設けられた欄干200の上端部を示す断面図である。なお、実施形態2に係るエスカレータは、実施形態1とは、欄干パネル18の上端部に取り付けられた部材が異なる以外は、基本的に同じ構成である。よって、以下、当該異なる部分を中心に説明に留める。
欄干パネル18の上端部に対する被固定部材であるガイドレール202の上端部には、幅方向両側に張り出した一対のフランジ部202A,202Bが形成されている。両フランジ部202A,202Bの間には、上方に開口し長さ方向に沿った上溝部204が形成されている。
フランジ部202A,202Bの各々から、上溝部204の壁面204A,204Bにかけて、摺接部材206,208が貼着されている。摺接部材206,208は、ナイロンの押し出し材からなる。
摺接部材206,208が設けられたフランジ部202A,202Bに、移動手摺210が嵌め込まれている。
欄干パネル18上端部へのガイドレール202の固定方法は、実施形態1における取付部材30の欄干パネル18上端部への固定方法と実質的に同じである。よって、実施形態1と同じ構成部材については、同じ符号を付して、その説明については、省略するか簡単に説明するに留める。
上溝部204の下には、下方に開口し同じく長さ方向に沿った下溝部212が形成されており、下溝部212が欄干パネル18の上端部に上方から嵌め込まれている。
下溝部212の第1壁面212Aは、欄干パネル18の第1主面18Aに平行に形成されていると共に、第1壁面212Aに対向する第2壁面212Bは、欄干パネル18の第2主面18Bとの間隔が下方程広くなるよう第2主面18Bに対し傾斜した面に形成されている。ここで、第2主面18Bが走行路RWに面している側の主面である。
欄干パネル18の上端部には、クッションゴム50と金属カバー52とからなる保護部材48が被せられている。
欄干パネル18の第2主面18Bと下溝部212の第2壁面212Bとの間には、くさび部材54が設けられている。
くさび部材54には、ねじ挿通孔54Dが開設されている。一方、ガイドレール202には、ねじ挿通孔54Dに対応させて、上下方向に雌ねじ202Cが形成されている。
平座金56、ばね座金58が嵌められた締付ねじ60が、くさび部材54のねじ挿通孔54Dに下側から挿入され、ガイドレール202の雌ネジ202Cに螺合している。
締付ねじ60の締め付けによる、ガイドレール202の欄干パネル18への固定態様や、欄干パネル18に対するガイドレール202の固定解除の方法などは、実施形態1における取付部材30の場合と同様なので、これ以上の説明については省略する。
なお、ガイドレール202は、複数本が欄干パネル18の上端縁に沿って列設されていて、隣接するガイドレール202は、その端部同士が上溝部204内に設けられた不図示の連結部材によって連結されている。
<実施形態3>
実施形態1、2における固定器具26では、固定ブラケット66に対し、可動ブラケット68を第1および第2シャフト140,142で連結した。
これに対し、実施形態3における固定器具では、固定ブラケットに対し可動ブラケットを着脱自在に構成している。
実施形態3に係るエスカレータは、実施形態1、2とは、固定器具が異なる以外は、実質的に同じ構成である。よって、図13を参照しながら、固定器具300を中心に説明する。なお、固定器具300においても、固定器具26(図2、図9)と同様、クッションシート148と圧接板150を有しているのであるが、これらについての図示は省略している。また、トラスの図示も省略している。
図13に示すように、固定器具300は、固定ブラケット302と可動ブラケット304とを有する。
固定ブラケット302は、受け部材306と複数の(本例では、4個の)L字状をしたLブロック部材308,310,312,314を含む。
受け部材306には、本例ではZ形鋼が用いられる。Lブロック部材308,310,312,314の各々は、その長辺部(縦辺部)が、受け部材306に溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている。Lブロック部材308,310,312,314の短辺部(横辺部)の各々には、雌ねじ308A,310A,312A,314Aが形成されている。
また、受け部材306には、第1支持板316と第2支持板318が溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている。
トラス(不図示)には、L形アングル材320が不図示のボルト・ナットによって固定されており、L形アングル材320と第1支持板316とが、不図示のボルト・ナットによって締結されている。
第2支持板318には、長孔318A,318Bが開設されており、長孔318A,318Bに挿入されたボルト(不図示)とナット(不図示)とで、第2支持板318がトラスに固定されている。
すなわち、受け部材306は、第1支持板316およびL形アングル材320、並びに第2支持板318を介してトラス(不図示)に取り付けられている(固定されている)。
受け部材306において、欄干パネル18の下端面を支持する支持部となる下端部306Aの上面には、複数枚の(本例では、3枚の)クッションパッド322,324,326が貼着されている。
また、下端部306Aには、その厚み方向に雌ねじ306B,306C,306D,306Eが形成されており、その各々に高さ調整ボルト328,330,332,334が螺入されている。高さ調整ボルト328,330,332,334の機能および使い方は、実施形態1と同様なので、これ以上の説明については省略する。
可動ブラケット304は、対向部材336と複数の(本例では、4個の)略四角柱状をした柱状ブロック部材338,340,342,344とを含む。
対向部材336には、本例ではL形鋼(不等辺山形鋼)が用いられている。
対向部材336の長辺部336Aには、その厚み方向に貫通する雌ねじ(不図示)が複数個、形成されており、当該雌ねじの各々には、圧接部材である圧接ボルト346,348,350,352,354,356,358が螺入されている。また、圧接ボルト346,...,358の各々には、弛み止めナット360,362,364,366,368,370,372がそれぞれ螺合されている。
対向部材336の長辺部336Aには、柱状ブロック部材338,340,342,344が、その上側三分の二程度を重ねた状態で溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている(溶接ビードについては不図示)。
柱状ブロック部材338,340,342,344各々の下端部には、片側に深ざぐりが施されたねじ挿通孔338A,340A,342A,344Aが開設されている。
ねじ挿通孔338A,340A,342A,344Aの各々には、締付ボルト374,376,378,380が、それぞれ前記深ざぐり側から挿入され、Lブロック部材308,310,312,314に形成された雌ねじ308A,310A,312A,314Aに螺入される。そして、締付ボルト374,376,378,380を締め付けることにより、可動ブラケット304が固定ブラケット302に装着される。
装着状態で、圧接ボルト346,...,358が強く締め付けられて、その先端が不図示の圧接板を介して欄干パネル18の下端部を受け部材306の受け面306Fに向かって圧接することにより、欄干パネル18は、その下端部で不図示のトラスに固定保持される。そして、圧接ボルト346,...,358が弛むのを防止するため、弛み止めナット360,...,372締め付けられる。
欄干パネル18の固定器具300による固定を解除するには、先ず、弛み止めナット360,...,372を弛めた後、圧接ボルト346,...,358を弛める。そして、締付ボルト374,376,378,380を弛めて、雌ねじ308A,310A,312A,314Aから取り外し、可動ブラケット304を固定ブラケット302から脱着する。
可動ブラケット304が固定ブラケット302から脱着されると、欄干パネル18の下端部の走行路RW側前方が開放される。走行路RW側が開放されると、取付部材30が欄干パネル18の上端部に欄干パネル18の厚み方向に遊びを持って嵌った状態となっていれば、実施形態1と同様、図13に一点鎖線で示すように、欄干パネル18は、その下部を走行路RW側へ振ることができる(全体を斜めの姿勢にすることができる。)。
これにより、欄干パネル18上端部の被固定部材である取付部材30を欄干パネル18の上方へ抜き取ることなく、欄干パネル18を取付部材30と固定器具26から取り外すことができるのも、実施形態1、2と同様である。
以上、本発明に係る乗客コンベアを実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは、勿論であり、例えば、以下の形態としても構わない。
(1)上記実施形態では、保護板24を建築物の天井DC部分に取り付けたが(図1)、これに限らず、保護板24は、取付部材30(図2)に付属物として取り付けても構わない。
(2)実施形態1では、別個に作製された受け部材70と規制部材92,...,98とを接合して固定ブラケット66を構成したが、これに限らず、固定ブラケットは、鋳造や切削加工により、これらが一体的に形成された一部材として構成しても構わない。さらに、軸支部材84,...,90も含めて一体的に形成された構成としても構わない。
また、実施形態1では、可動ブラケット68を、別個に作製された対向部材72と回動アーム132,...,138とを接合して構成したが、これに限らず、これらが一体的に形成された一部材として構成しても構わない。
(3)上記実施形態では、本発明に係る乗客コンベアを、エスカレータに適用した例に基いて説明したが、本発明に係る乗客コンベアは、エスカレータに限らず、他の乗客コンベア、例えば、パレット式やゴムベルト式の動く歩道にも適用できる。すなわち、環状に連結された複数のパレットからなる無端搬送体やゴムベルトからなる無端搬送体を循環走行させて乗客を搬送する動く歩道にも適用できる。
本発明に係る乗客コンベアは、例えば、エスカレータや動く歩道に好適に利用可能である。
10 エスカレータ
18 欄干パネル
18A 第1主面
18B 第2主面
30 取付部材
30A 雌ねじ
46 溝部
46A 第1壁面
46B 第2壁面
54 くさび部材
54A 押圧面
54B 斜面
54D ねじ挿通孔
202 ガイドレール
212 下溝部
212A 第1壁面
212B 第2壁面

Claims (6)

  1. 循環走行して乗客を搬送する無端搬送体の走行路に沿って立設された欄干パネルと、
    前記欄干パネルの第1の主面に平行な第1の壁面と前記欄干パネルの第2の主面との間隔が下方程広くなるよう当該第2の主面に対し傾斜した第2の壁面とを含み、当該欄干パネルの上端部に上方から嵌め込まれた溝部を有する被固定部材と、
    前記第2の主面と前記第2の壁面との間に設けられ、当該第2の主面と対向する押圧面と当該第2の壁面に沿った斜面とを含むくさび部材と、
    締付ねじと、
    を備え、
    前記くさび部材には、上下方向に貫通するねじ挿通孔が開設され、
    前記被固定部材には、前記ねじ挿通孔に対応する雌ねじが上下方向に形成されていて、
    前記締付ねじは、前記ねじ挿通孔に下方から挿入され、前記雌ねじに螺合しており、当該締付ねじの締め付けにより、前記くさび部材の前記斜面が前記第2の壁面に案内されて、当該くさび部材が前記第2の主面に向かって押圧され、前記押圧面と前記第1の壁面とで、前記欄干パネルの上端部が締め付けられて、前記被固定部材が当該欄干パネルに固定されており、
    前記くさび部材には、上下方向に貫通する雌ねじが形成されており、
    当該くさび部材に形成された前記雌ねじは、前記締付ねじが弛められた状態で、前記くさび部材を弛めるため、その下側から弛めねじが螺入される雌ねじであることを特徴とする乗客コンベア。
  2. 循環走行して乗客を搬送する無端搬送体の走行路に沿って立設された欄干パネルと、
    前記欄干パネルの第1の主面に平行な第1の壁面と前記欄干パネルの第2の主面との間隔が下方程広くなるよう当該第2の主面に対し傾斜した第2の壁面とを含み、当該欄干パネルの上端部に上方から嵌め込まれた溝部を有する被固定部材と、
    前記第2の主面と前記第2の壁面との間に設けられ、当該第2の主面と対向する押圧面と当該第2の壁面に沿った斜面とを含むくさび部材と、
    締付ねじと、
    を備え、
    前記くさび部材には、上下方向に貫通するねじ挿通孔が開設され、
    前記被固定部材には、前記ねじ挿通孔に対応する雌ねじが上下方向に形成されていて、
    前記締付ねじは、前記ねじ挿通孔に下方から挿入され、前記雌ねじに螺合しており、当該締付ねじの締め付けにより、前記くさび部材の前記斜面が前記第2の壁面に案内されて、当該くさび部材が前記第2の主面に向かって押圧され、前記押圧面と前記第1の壁面とで、前記欄干パネルの上端部が締め付けられて、前記被固定部材が当該欄干パネルに固定されており、
    前記締付ねじを締め付ける際および弛める際に、前記くさび部材が当該締付ねじの軸心周りに回転するのを規制する規制手段を有し、
    当該規制手段は、
    前記被固定部材から下方に突出したバー部材と、
    前記くさび部材に開設され、前記バー部材が挿入された挿入孔と、
    を含むことを特徴とする乗客コンベア。
  3. 前記第2の主面が前記走行路に面していて、
    前記くさび部材が前記欄干パネルに対し、前記走行路側に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の乗客コンベア。
  4. 前記被固定部材は、前記循環走行する前記無端搬送体と同期して循環走行する移動手摺を案内するガイドレール、または、照明器具が取り付けられた取付部材であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
  5. 前記欄干パネルをその下端部でトラスに固定する固定器具を有し、
    当該固定器具は、
    前記欄干パネルを固定保持した状態で当該欄干パネルの前記下端部の前記走行路とは反対側の主面部分と対向する受け面を含み、前記トラスに固定された固定ブラケットと、
    前記欄干パネルを固定保持した状態で、当該欄干パネルの前記下端部を介して前記受け面と対向し当該下端部を前記受け面に向かって圧接する圧接部材が取り付けられた対向部を含む可動ブラケットと、
    を含み、
    前記欄干パネルの固定を解除した状態では、当該欄干パネルにおける前記下端部の前記走行路側前方が開放されるように、前記可動ブラケットが前記固定ブラケットに取り付けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の乗客コンベア。
  6. 前記欄干パネルを固定保持した状態で、前記固定ブラケットが、前記欄干パネルの下端面を支持する支持部を含み、
    当該固定ブラケットと前記可動ブラケットとが、前記欄干パネルの下端縁よりも下方において当該下端縁と平行に設けられたシャフトにより、当該可動ブラケットが当該固定ブラケットに対しその軸心を中心として回動自在、かつ、前記軸心の方向における第1の位置と第2の位置との間でスライド自在に連結されていて、
    前記欄干パネルを固定保持した状態において、前記可動ブラケットは前記第1の位置に在って、その一部が前記軸心と直交する仮想平面内で前記固定ブラケットの一部に当接して、前記対向部が前記受け面から離間する向きの、当該可動ブラケットの回動が規制され、
    前記欄干パネルの固定が解除されて、前記可動ブラケットが前記第1の位置から前記第2の位置までスライドされると前記当接の状態が解消されて、当該可動ブラケットは前記対向部が前記受け面から離間する向きに回動して、前記欄干パネルの前記下端部の前記走行路側前方が開放されるように、前記可動ブラケットが前記固定ブラケットに取り付けられていることを特徴とする請求項5記載の乗客コンベア。
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