以下、本発明に係るエスカレータの実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図2、図9、および図11においては、煩雑さを避けるため、断面であることを示すハッチングは省略している。
<実施形態1>
図1に示すように、実施形態1に係るエスカレータ10は、環状に連結されて循環走行し、乗客を搬送する無端搬送体である複数の踏段12を有する。踏段12の走行路RWの両側には、欄干14,16が設置されている。なお、図1において、欄干14,16に設けられた後述の照明器具32は省略している。
欄干14,16の各々は、走行路RWに沿って列設された複数の欄干パネル11,13,15,17,19,21,23,25,27,29,31を有する(図1において、欄干パネルは、片側の欄干14を構成する欄干パネルのみに符号を付している。)。欄干パネル11,...,31の各々は、例えば、ガラス製であり、強化板ガラスの片面に飛散防止フィルムが貼着されてなるものである。ここで、複数の欄干パネル11,...,31の内、列設方向において両端部に設けられた端部欄干パネルを特に区別する必要がある場合、当該端部欄干パネルを「ニューエルパネル11,31」と称し、ニューエルパネル11,31以外の欄干パネルを「中間パネル13,...,29」と称することとする。
欄干パネル11,...,31の外周には、ガイドレール(図1では不図示)に案内され、踏段12と同じ向きに同じ速度で循環走行する無端ベルト状をした移動手摺20,22がそれぞれ設けられている。前記ガイドレールに案内される移動手摺20,22は、欄干パネル11,...,31の上端縁に沿って走行する区間(乗客が掴む区間)では、水平方向に走行した後、カーブして直線的に斜行し、またカーブして再び水平方向に走行する。
エスカレータ10は、例えば、建築物内の階下のフロアDSと階上のフロアUSとの間に架け渡されて設置されている。エスカレータ10は、踏段12の走行の向きが切り替えられて、昇り用あるいは下り用として用いられ、踏段12に乗った乗客が、階下のフロアDSから階上のフロアUS、あるいは階上のフロアUSから階下のフロアDSへと搬送される。
エスカレータ10が昇り用として用いられる際に、踏段12によって搬送される乗客の進行方向に向かって左側となる移動手摺20とこれに近接して立体交差する階下の天井DC部分(交差部)には、法令で規定された保護板(固定保護板)24が設置されている。保護板24は、乗客の身体の一部が移動手摺22と天井DCとの間に挟みこまれてしまうといった事故を未然に防止する目的で設置されている。
次に、欄干14,16について説明する。欄干14と欄干16とは、走行路RWを挟んで対称的に設置されていて、基本的には、同じ構成を有している。よって、欄干14を代表に説明し、欄干16についての説明は省略することとする。
欄干14を構成する複数枚の欄干パネル11,...,31の各々は、その下端部が、走行路RWに沿って設置された、複数台の、図2に示す固定器具26によってトラス28に固定されている。欄干パネル11,...,31の1枚当り、そのサイズに応じた台数(2台〜4台)の固定器具26が用いられる。
一方、複数枚の欄干パネル11,...,31の上端部には、被固定部材である取付部材30が複数本、列を成して固定され、取付部材30を介して照明器具32が取り付けられている。取付部材30は、アルミニウムの押出形材からなり、欄干パネル13の上端縁に沿って、その複数本が間隔を空けて列設されている。取付部材30は、移動手摺20が斜行する区間においては、直線状をしたものが、カーブする区間では、当該カーブに合わせた湾曲部分を有するものが用いられるが、いずれも横断面は略同じ形状をしている。
ここではニューエルパネル11に隣接する欄干パネル13を代表に、これを支持する固定器具26等の構成について説明する。
照明器具32は、取付部材30にL字アングル部材34を介して取り付けられたホルダ36を有し、ホルダ36には、蛍光ランプ38が嵌め込まれている。
取付部材30を覆うように、横断面が略「コ」字状をした長尺のフレーム40が、不図示のねじによって、取付部材30に取り付けられている。フレーム40は、ステンレス鋼板を板金加工したものである。
一本のフレーム40は、一本の取付部材30よりも長く、複数本の取付部材30に亘って、一本のフレーム40が取り付けられている。これにより、隣接する取付部材30は、両者に取り付けられたフレーム40によって連結されていることになる。
フレーム40の開口部には、蛍光ランプ38を覆うように、合成樹脂からなる半透明のランプカバー42が取り付けられている。
取付部材30上部には、フレーム40を介してガイドレール44が固定されている。ガイドレール44は、例えば、ステンレス鋼板を板金加工して作製されたものである。ガイドレール44は、取付部材30上面に対応する底板部44Aを有し、底板部44Aがスポット溶接(不図示)等によりフレーム40に接合されている。ガイドレール44は、また、底板部44Aの両端縁から上方へ立ち上がった縦板部44B,44Cと、縦板部44B,44Cの上端から外方へ張り出したフランジ部44D,44Eとを有する。
ガイドレール44において、両フランジ部44D,44Eに移動手摺20が取り付けられている。
上記のようにして、照明器具32やガイドレール44が設けられた取付部材30の欄干パネル13上端縁部への固定構造について、図3を参照しながら説明する。なお、図3(a)は、後述する締付ねじ60の軸心を含む平面で切断した図であり、図3(b)は、後述する六角穴付ボルト62の軸心を含む平面で切断した図である。
図3に示すように、取付部材30は、欄干パネル13の端縁に沿った溝部46を有し、溝部46に欄干パネル13の縁部(本例では、上端縁部)が嵌め込まれている。
溝部46の第1壁面46Aは、欄干パネル13の第1主面13Aに平行に形成されている。第1壁面46Aに対向する第2壁面46Bは、溝部46の底部46Cからの高さが高くなる程(本例では、下方へ行くほど)欄干パネル13の第2主面13Bとの間隔が広くなるよう第2主面13Bに対し傾斜した面に形成されている。ここで、第2主面13Bが走行路RWに面している側の主面である(図2)。
欄干パネル13の上端縁部には、欄干パネル13を保護する保護部材48が被せられている。保護部材48は、横断面が略「コ」字状をした、ゴム製の押出成形材からなるクッションゴム50とこれよりも一回り大きな略「コ」字状の横断面を有する薄板状の金属カバー52とからなる。金属カバー52には、例えば、ステンレス鋼が用いられる。
欄干パネル13の第2主面13Bと溝部46の第2壁面46Bとの間には、くさび部材54が設けられている。くさび部材54は、金属材料(例えば、ステンレス鋼)、または硬質の合成樹脂からなる。
図4に示すように、くさび部材54は、全体的に直角三角形状をした横断面を有する棒状をしている。くさび部材54は、一つの取付部材30に対し、複数本が間隔を空けて用いられる。
くさび部材54は、図3に示す状態で、欄干パネル13の第2主面13Bと対向する押圧面54Aと、溝部46の第2壁面46Bに沿った斜面54Bとを含む。略直角三角形状をした両側面以外の残りの面を下面54Cと称することとする。
図4に示すように、くさび部材54の長さ方向中央部には、溝部46(図3)の深さ方向(本例では、上下方向)に貫通するねじ挿通孔54Dが開設されている。ねじ挿通孔54Dは、図3に示す状態において、平面視で、欄干パネル13の厚み方向に長い長孔である。
くさび部材54の長さ方向において、ねじ挿通孔54Dの両側には、前記深さ方向(本例では、上下方向)に貫通する雌ねじ54E、54Fが形成されている。
両雌ねじ54E,54Fのさらに両側には、後述する六角穴付ボルト62が挿入される挿通孔54G、54Hが開設されている。両挿通孔54G,54Hは、ねじ挿通孔54Dと同様の長孔である。
上記の構成からなるくさび部材54が設けられる取付部材30部分について、図5を参照しながら説明する。
取付部材30には、くさび部材54のねじ挿通孔54D(図3(a)、図4)に対応させて、前記深さ方向(本例では、上下方向)に雌ねじ30Aが形成されている。
取付部材30の長さ方向において、雌ねじ30Aの両側には、くさび部材54の挿通孔54G,54H(図3(b)、図4)に対応させて、前記深さ方向(本例では、上下方向)に雌ねじ30B、30Cが形成されている。雌ねじ30B,30Cの上側の開口側には、図5(a)、(c)に示すように、深ざぐりがなされている。
取付部材30の、くさび部材54が設けられる部分において、雌ねじ30A,30B,30Cが形成されている箇所以外は、V-V線断面図に代表されるように、第2壁面46Bは平坦な面になっている。なお、V-V線断面図は、くさび部材54の雌ねじ54E,54F(図4(a))に対応する位置で切断した断面図である。
図3に戻り、欄干パネル13上端縁部への取付部材30の固定態様について説明する。図3(a)に示すように、平座金56、ばね座金58が嵌められた締付ねじ60が、くさび部材54のねじ挿通孔54Dに、溝部46の開口側(本例では、下側)から挿入され、取付部材30の雌ねじ30Aに螺合している。締付ねじ60には、例えば、低頭六角穴付ボルトが用いられる。
図3(a)、(b)は、締付ねじ60の締め付けにより、取付部材30が欄干パネル13に固定されている状態を示している。締付ねじ60が締め付けられると、くさび部材54は、その斜面54Bが取付部材30の第2壁面46Bに案内されて斜行し、欄干パネル13の第2主面13Bに向かって押圧される。これにより、くさび部材54の押圧面54Aと取付部材30の第1壁面46Aとで欄干パネル13の上端縁部が締め付けられて(挟持されて)、取付部材30が欄干パネル13に固定されることとなる。
取付部材30の雌ねじ30B,30C(図5(a),(b),(c))の各々には、バー部材として六角穴付ボルト62(以下、単に「ボルト62」と言う。)がねじ込まれており、その頭部とは反対側のねじ部部分は、くさび部材54の挿通孔54G,54Hに挿入されている。
取付部材30に設けたボルト62とくさび部材54に開設された挿通孔54G,54Hとは、締付ねじ60を締め付ける際および後述するように弛める際に、くさび部材54が締付ねじ60の軸心周りに回転するのを規制する規制手段として機能する。
締付ねじ60を回すと、締付ねじ60が螺入されているくさび部材54は、締付ねじ60との間に生じる摩擦力によって、締付ねじ60の軸心周りに回転しようとする。この場合、何らの手当てをしないと、くさび部材54両端が周囲の部材にぶつかって、当該部材を損傷するおそれがある。
そこで、周囲の部材にぶつかる迄回転する手前で、挿通孔54G,54Hの内壁にボルト62を当接させて、それ以上回転するのを規制しているのである。
なお、当該規制手段として用いるバー部材は、ボルト62に限らず、例えば、ピンを用いても構わない。
取付部材30の欄干パネル13に対する固定は、締付ねじ60を弛めることによって解除される。締付ねじ60を弛めると、締付ねじ60は下方へ螺進する。その結果、締付ねじ60(の頭部)が、くさび部材54を第2壁面46Bに押圧する押圧力が解消され、ひいては、くさび部材54が欄干パネル13の第2主面13Bに向かって押圧される押圧力が解消される。これにより、くさび部材54は、手で引き落とすことができるようになる。
引き落とすと、図6(a)に示すように、くさび部材54は、その下面54Cが平座金56と当接するまで落下する。もっとも、締付ねじ60を雌ねじ30Aから抜き去ってしまうと、くさび部材54も取付部材30から取り外されることとなる。
ところで、くさび部材54の保護部材48に対する食い込みの態様によっては、締付ねじ60を弛めても、手だけでは、くさび部材54を引き落とせない可能性がある。この場合、くさび部材54の左右の側面(紙面に垂直な方向における両端面)などを金属棒などで叩くなどすると、その衝撃でくさび部材54が弛んで、くさび部材54を落下させることができなくもないが、確実な方法とは言えない。
そこで、このような場合に、本実施形態では、弛めねじ64を用いる。弛めねじ64を用いた方法について、図7を参照しながら説明する。図7は、くさび部材54の雌ねじ54E(図4)の軸心を含む平面で切断したくさび部材54の横断面を含む断面図である。
締付ねじ60(図3(a))を弛めた状態で、弛めねじ64を雌ねじ54Eの下側の開口部から螺合させる。弛めねじ64には、例えば、図示のような、比較的長めの六角穴付ボルトが用いられる。
弛めねじ64をねじ込んで行くと、弛めねじ64は上向きに螺進し、その先端が取付部材30の第2壁面46Bに当接する。当接後も弛めねじ64をねじ込むと、弛めねじ64はこれ以上螺進できないため、くさび部材54に対し相対的に下向きに螺進させようとする力が作用する。その結果、くさび部材54は、下向きに移動する。これによってくさび部材54が弛んだ場合、締付ねじ60が雌ねじ30Aから外れているときには、くさび部材54は、弛めねじ64がねじ込まれた状態で、取付部材30から取り外されることとなる。
なお、弛めねじ64は、くさび部材54に常時螺合されているものではなく、欄干パネル13を取り外すときだけに用いられるものである。
また、上記実施形態では、締付ねじ60と弛めねじ64として六角穴付ボルトを用いたが、これに限らず、六角ボルトを用いても構わない。あるいは、十字穴付ねじを用いても構わない。
以上説明したように、欄干パネル13の上端縁部に嵌め込まれた溝部46の第2壁面46Bと欄干パネル13の第2主面13Bとの間に設けられたくさび部材54において、溝部46の深さ方向(本例では、上下方向)に貫通するねじ挿通孔54Dに、溝部46の開口側(本例では、下方側)から挿入され、取付部材30に形成された雌ねじ30Aに螺合された締付ねじ60を弛めると、取付部材30の欄干パネル13の上端縁部に対する固定が解除される。すなわち、取付部材30に対し、その下方から取付部材30の固定の解除ができるため、取付部材30に対し、その上方に取り付けられている部材(本例では、ガイドレール44)を取り外す必要が無い。
取付部材30の固定が解除されると、欄干パネル13の上端縁部が取付部材30の溝部46に欄干パネル13の厚み方向に遊びを持って嵌った状態となる。このようになると、後述するように、欄干パネル13の下端部の固定が解除された状態で欄干パネル13下端部の、踏段12の走行路RW側前方が開放されていれば、欄干パネル13を取り外すことができる。
そのような固定構造とした固定器具26について説明する。図8に示すように、固定器具26は、固定ブラケット66と可動ブラケット68とを有する。
固定ブラケット66は、受け部材70と後述する複数の(本例では、4個の)規制部材92,94,96,98とを含む
受け部材70には、本例ではZ形鋼が用いられる。受け部材70には支持板74が溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている(溶接ビードについては不図示)。
図2に示すように、トラス28には、L形アングル材76がボルト78・ナット80によって固定されている。L形アングル材76には、図8に示すように、長孔76Aが開設されており、ボルト78は長孔76Aおよびトラス28に開設された貫通孔(不図示)に挿入されて、ナット80とでL形アングル材76をトラス28に固定している。なお、図8において、トラス28とボルト78・ナット80は図示していない。
トラス28に固定されたL形アングル材76のトラス28から垂直に立ち上がった壁部76Bと支持板74とがボルト82・ナット(ナットは、図には現れていない)によって締結されている。
これにより、受け部材70(固定ブラケット66)は支持板74とL形アングル材76を介してトラス28に取り付けられている(固定されている。)。
図8に戻り、受け部材70には、複数の(本例では、4個の)軸支部材84,86,88,90が溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている(溶接ビードについては不図示)。軸支部材84は、図2に示すように、L字状をした板体からなり、縦板部84Aにおいて受け部材70に接合されている。また、軸支部材84の横板部84Bの先端部分には、図8に示すように、その厚み方向に軸孔84Cが開設されている。
他の3個の軸支部材86,88,90は受け部材70の長手方向に間隔を空けて配されている。軸支部材86,88,90の各々は軸支部材84と略同様の形状をし、受け部材70に軸支部材84と同様に接合されている。すなわち、軸支部材86,88,90は、その縦板部(軸支部材86,88,90の縦板部は図に現れていない)において受け部材70に接合されており、横板部86B,88B,90Bの先端部分には、その厚み方向に軸孔86C,88C,90Cが開設されている。なお、4個の軸孔84C,86C,88C,90Cは同軸上に開設されている。
軸支部材84,86,88,90の各々に隣接して、規制部材92,94,96,98がそれぞれ設けられている。規制部材92は、図9に示すように、軸支部材84(図2)において、その横板部84B(図2)を短縮したような形状をしている。図8に戻り、規制部材92,94,96,98の各々は、その縦板部92A,94A,96A,98Aが受け部材70に対し、軸支部材84と同様に接合されている。
規制部材92,94,96,98各々の横板部92B,94B,96B,98Bにおける先端面の各々は、後述する回動アーム132,134,136,138各々の回動を規制する規制面92C,94C,96C,98Cとなる(図8(b))。
図10に示すように、受け部材70の下端部70Aの下面の長さ方向における両端部には、雌ねじ(不図示)が形成されたブロック部材100,102が接合されている。下端部70Aには、当該雌ねじに対応する貫通孔70B,70Cが開設されている。前記雌ねじには、下方から高さ調整ボルト104,106が螺入されていて、その先端が貫通孔70B,70Cから僅かに突出している。高さ調整ボルト104,106には、弛み止めナット108,110が螺合されている。
受け部材70の下端部70Aの上面の両端部には、平板状をしたゴムなどの弾性部材からなるクッション部材であるクッションパッド112,114が貼着されている。
図8に戻り、可動ブラケット68は、対向部材72と後述する複数の(本例では、4個の)回動アーム132,134,136,138とを含む。
対向部材72には、本例ではL形鋼(不等辺山形鋼)が用いられる。
対向部材72の長辺部72Aには、その厚み方向に貫通する雌ねじ(不図示)が複数個、形成されており、当該雌ねじの各々には、圧接部材である圧接ボルト116,118,120,122が螺入されている。また、圧接ボルト116,118,120,122の各々には、弛み止めナット124,126,128,130がそれぞれ螺合されている。
対向部材72には、また、規制部材92,94,96,98の各々に対応させて回動アーム132,134,136,138が接合されている。回動アーム132,134,136,138の各々は、略角棒状をしていて、全長の半分程度を対向部材72の長辺部72Aに重ねた状態で対向部材72に溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている(溶接ビードについては不図示)。
回動アーム132,134,136,138の対向部材72との接合部とは反対側の端部部分には軸孔132A,134A,136A,138Aが開設されている。4個の軸孔132A,134A,136A,138Aは、同軸上に開設されている。また、軸孔132A,134A,136A,138Aは、軸支部材84,86,88,90の軸孔84C,86C,88C,90Cと同じ径を有している。
回動アーム132,134,136,138の各々において、軸孔132A,134A,136A,138Aの近傍には、後述するように、規制面92C,94C,96C,98Cと当接する当接面132B,134B,136B,138Bが形成されている。
軸支部材84,86の軸孔84C,86Cと回動アーム132,134の軸孔132A,134Aには、第1シャフト140が遊挿されており、軸支部材88,90の軸孔88C,90Cと回動アーム136,138の軸孔136A,138Aには、第2シャフト142が遊挿されている。第1シャフト140と第2シャフト142の両端部には、抜け止め用のE形止め輪144,146が嵌め込まれている(いずれも、一方の端部側のE形止め輪は、図に現れていない。)。第1シャフト140と第2シャフト142とは、図9に示すように、欄干パネル13の下端縁よりも下方において、図8(a)に示すように、当該下端縁と平行に設けられている。
上記の構成により、可動ブラケット68は、固定ブラケット66に対し、第1および第2のシャフト140,142によって、その軸心を中心として回動自在、かつ、当該軸心の方向にスライド自在に連結されている。なお、本例では、可動ブラケット68と固定ブラケット66を2本のシャフト(第1および第2のシャフト140,142)で連結したが、これに限らず、1本のシャフトで連結しても構わない。すなわち、軸支部材84,86,88,90に開設された軸孔84C,86C,88C,90Cと回動アーム132,134,136,138に開設された軸孔132A,134A,136A,138Aの全てに1本のシャフトを遊挿して、可動ブラケット68と固定ブラケット66を連結しても構わない。
可動ブラケット68は、固定ブラケット66に対し、少なくとも、図8(a)に示す第1の位置と図8(b)に示す第2の位置との間でスライド自在とされている。
第1の位置は、受け部材70に接合された規制部材92,94,96,98の規制面92C,94C,96C,98Cの各々に対向部材72に接合された回動アーム132,134,136,138の当接面132B,134B,136B,138B(図10)の各々が対向する位置である。
第2の位置は、固定ブラケット66に対し、第1の位置(図8(a))から可動ブラケット68が第1および第2のシャフト140,142の軸心方向、矢印Cの向きにスライドして、図8(b)に示すように、当接面132B,134B,136B,138Bの各々が規制面92C,94C,96C,98Cの各々に非対向となる位置である。
第1の位置では、図9に示すように、可動ブラケット68の一部である当接面132Bが、第1シャフト140の軸心と直交する仮想平面(不図示)内で固定ブラケット66の一部である規制面92Cに当接していて、可動ブラケット68の第1シャフト140を中心とする時計方向の回動が規制される。残りの当接面134B,136B,138Bも同様に対応する規制面134B,136B,138Bに当接していて、これによっても、可動ブラケット68の回動が規制されている。
固定器具26は、可動ブラケット68が第1の位置にある状態で、欄干パネル13をトラス28に固定する。
図2、図9に示すように、欄干パネル13の下端部と固定ブラケット66の受け部材70における受け面70Dとの間には、長方形状をしたゴムなどからなる弾性部材であるクッションシート148が挟まれている。クッションシート148は、主面が受け面70Dと同じ形状をしており、受け面70Dに重ねた状態で、受け面70Dに貼着されている。
欄干パネル13の下端部と圧接ボルト116,118,120,122(図2、図9には、2本のみが現れている)の先端と間には、圧接板150が挟まれている。圧接板150は、長方形をした鋼板と同じ長方形をしたゴムシートとが貼り合わされてなる2層構造をした板体(図には、当該2層構造を表していない)であり、欄干パネル13側にゴムシートがあてがわれる形で、挟みこまれている。
欄干パネル13の下端面の一部は、クッションパッド112,114(図2、図9では、クッションパッド112のみが現れている)上面または高さ調整ボルト104,106の先端と当接していて(本例では、高さ調整ボルト104,106の先端と当接している。)、前記下端面はクッションパッド112,114または高さ調整ボルト104,106を介して可動ブラケット68の受け部材70における支持部である下端部70Aに支持されている。
なお、高さ調整ボルト104,106は、以下の場合に用いられる。欄干パネル13をクッションパッド112,114に載せた状態で、欄干パネル13の高さが不足する場合には、高さ調整ボルト104,106を上向きに螺進させ、その先端を欄干パネル13の下端面に当接させて持ち上げることにより、欄干パネル13の高さを調整するのである。
図2、図9に示す状態で、受け面70Dと対向する対向部材72の雌ねじ(不図示)に螺入された(取り付けられた)圧接ボルト116,118,120,122(図8(a))は、強く締め付けられていて、その先端が圧接板150を介して欄干パネル13の下端部を受け面70Dに向かって圧接することにより、欄干パネル13は、その下端部でトラス28に固定保持されている。圧接ボルト116,118,120,122の締め付けにより、可動ブラケット68は固定ブラケット66に対して、スライド不能となっている。そして、圧接ボルト116,118,120,122の弛みを防止するため、弛み止めナット124,126,128,130(図8(a))が締め付けられている。
上記のように欄干パネル13を支持する固定器具26と踏段12との間には、踏段12と僅かな隙間をあけてスカートガード152が立設されており、スカートガード152の上端部と欄干パネル13の下部との間には、当該下部や固定器具26を覆う内デッキ(不図示)が設けられている。また、欄干パネル13を挟んで走行路RWとは反対側には、外デッキが設けられているのであるが、当該外デッキの図示についても省略する。内デッキと外デッキ(いずれも不図示)は、例えば、ステンレス鋼の板体からなり、走行路RWに沿って複数枚が連設されている。
欄干パネル13の固定器具26による固定は、以下のようにして解除される。
先ず、弛み止めナット124,126,128,130(図8(a))を弛めた後、圧接ボルト116,118,120,122(図8(a))を弛める。これにより、可動ブラケット68は、第1および第2シャフト140,142の軸心方向にスライド可能となる。
可動ブラケット68を、矢印Cの向きに、図8(b)に示す第2の位置までスライドさせる。次に、対向部材72が受け面70Dから遠ざかる向きに回動させ、図10、図11に示す状態とする。すなわち、欄干パネル13の下端部の走行路RW側前方(図11に矢印Fで示す方向)が開放される状態とする。
欄干パネル13の上端縁部の取付部材30の固定が解除され、欄干パネル13の上端縁部が、取付部材30の溝部46に欄干パネル13の厚み方向に遊びを持って嵌った状態となっていれば、上述した通り、図11に一点鎖線で示すように、欄干パネル13は、その下部を走行路RW側へ振ることができる(全体を矢印Sの向きに傾けて斜めの姿勢にすることができる。)。下部を走行路RW側に振った状態で、欄干パネル13をその主面に平行に下方へ移動させることにより、その上端縁部が取付部材30からも完全に外れて、欄干パネル13が固定器具26と取付部材30から取り外されることとなる。なお、欄干パネル13の取付けおよび取り外しの際には、取付け・取り外し対象の欄干パネル13に対応する内デッキ(不図示)とスカートガード152(図2、図9)は、予め取り外される。
以上の説明から明らかなように、実施形態1に係るエスカレータ10によれば、欄干パネル13上端縁部の被固定部材である取付部材30を欄干パネル13の上方へ抜き取ることなく、欄干パネル13を取付部材30と固定器具26から取り外すことができる。
欄干パネル13が取り外された取付部材30は、上述した通り、これに隣接する取付部材にフレーム40によって連結されており、当該隣接する取付部材は対応する欄干パネルに支えられている。よって、欄干パネル13が取り外された取付部材30は、脱落することはない。
欄干パネル上端縁部への取付部材30の上記した固定構造、および固定器具26の上記した構成によれば、中間パネル13,...,29のいずれか1枚を交換する必要が生じた場合、当該交換対象となる中間パネルを単独で取り外すことができる。
しかしながら、ニューエルパネル11,31については、各々を単独で取り外すことができない。その理由について、ニューエルパネル11を例に、図12を参照しながら改めて説明する。なお、図12(c)は、前記内デッキおよびスカートガード152(図2)が取り外された状態で踏段12の走行路RW側(図1、図2)から見た様子を示している。また、図12(c)において、固定器具26は、簡略化して描いており、フレーム40(図2)は省略している(図13、図14、図15(a)において同様)。固定器具26同士は、アルファベットを付して区別することとする。
図12(a)に示すように、ニューエルパネル11は、方形部11Cと半円部11Dとを有する。半円部11Dにおける円弧状縁部11Eは、ニューエルパネル11が設置された状態において、水平方向に張り出している(図12(c))。
ニューエルパネル11は、図12(c)に示すように、方形部11Cの下端部でトラス(不図示)に固定器具26Aによって固定されている。
方形部11Cの上端縁部の一部には、取付部材30が固定されており、前記上端縁部の残りの部分と円弧状縁部11Eには、取付部材154が固定されている。取付部材154は、取付部材30と同じ横断面を有する押出形材が、ニューエルパネル11の外周形状に合わせて曲げ加工されたものである。取付部材154は、取付部材30と横断面形状が同じなので、以下、取付部材154の説明において、取付部材30の説明に用いた図を参照する。
取付部材154は、円弧状縁部11Eにおいては、矢印B1〜B8で指す位置においてくさび部材54(図4)によって固定されている。円弧状縁部11Eに対応する取付部材154部分は、同様に円弧状に湾曲している一方、くさび部材54は直線的な棒状をしているが、当該湾曲部分の曲率半径が大きいため、このようなくさび部材54を用いて、問題なく取付部材154を固定できる。
なお、取付部材154において円弧状に湾曲している区間には照明器具32は取付けられていない。当該区間において、フレーム40の照明器具32が設けられるべき開口部には、これを閉塞するカバー(不図示)が設けられている。また、取付部材154の下端の一部が、トラス(不図示)に固定された不図示の基板に支持されている。
固定器具26Aで支持され、取付部材154が固定されたニューエルパネル11を取り外すためには、固定器具26Aによる固定を解除すると共に、矢印B1〜B8で示す位置のくさび部材54(図に現れていない)を含む全てのくさび部材54を取り外す。
これにより、ニューエルパネル11において、固定器具26Aが設けられている下端部部分の走行路RW側(図12(c)において紙面手前側)前方が開放された状態になると共に、ニューエルパネル11の上端縁部および円弧状縁部11Eが取付部材30および取付部材154の溝部46にニューエルパネル11の厚み方向に遊びを持って嵌った状態となる。
しかし、この状態で、ニューエルパネル11の下部を走行路RW側(紙面手前側)に振ろうとしても、円弧状縁部11E(特に、円弧状縁部11Eの下半分)が嵌っている取付部材154の溝部46の第2壁面46B(図6)部分が障害となって、振ることができないため、ニューエルパネル11を取り外すことができない。
そこで、本実施形態においては、欄干パネルの構成(形状)を工夫すると共に、下記する取外し方法によって、ニューエルパネルの取外しを容易にした。
ニューエルパネル11に隣接する欄干パネル13(以下、他の欄干パネルと区別する場合は「隣接欄干パネル13」と称する。)を、移動手摺20がカーブする区間に対応する湾曲部13Cと水平に走行する区間に対応するストレート部13Dとで構成した。ストレート部13Dの水平方向の長さD1については後述する。
隣接欄干パネル13は、固定器具26B、26Cによってその下端部が支持されている。また、隣接欄干パネル13の上端縁部には取付部材30が固定されている。隣接欄干パネル13は、ニューエルパネル11と距離D2の隙間をあけて設置されている。
上記の構成におけるニューエルパネル11の取外し・取付方法(交換方法)について説明する。
(i)隣接欄干パネル固定解除ステップ
固定器具26B,26Cによる隣接欄干パネル13の固定を解除する(図13(a))と共に、隣接欄干パネル13の上端縁部に固定されている取付部材30の固定を解除する。
(ii)隣接欄干パネル取外しステップ
隣接欄干パネル13を取り外す(図10、図11)。隣接欄干パネル13が取り外された状態を図13(b)に示す。
(iii)ニューエルパネル固定解除ステップ
固定器具26Aによるニューエルパネル11の固定を解除する(図13(b))と共に、ニューエルパネル11に固定されている取付部材30および取付部材154の固定を解除する。
(iv)ニューエルパネルスライドステップ
ニューエルパネル11を図13(b)に示す矢印HLの向きにスライドさせる。すなわち、取り外された隣接欄干パネル13が存した領域へと、水平方向にスライドさせる。スライド完了後の状態を図14(a)に示す。
ニューエルパネル11は、固定器具26Aと固定器具26Bの両方の下端部70A(図10)に載置された状態となっている。また、ニューエルパネル11の円弧状縁部11Eは、取付部材154の円弧状部の溝部46(図6等)から抜け出している。よって、この状態であれば、溝部46の第2壁面46B(図6)部分が障害となることなく、ニューエルパネル11の下部を走行路RW側(紙面手前側)に振ることができる。
従来、一般的に、端部欄干パネルは、移動手摺が円弧状の軌道を描いて走行方向を変える領域から水平方向に移動し、カーブする領域に亘って、1枚のパネルで構成されている。このような形状をした従来一般の端部欄干パネルを採用すると、固定器具26による固定を解除し、取付部材30,154の固定を解除しても、当該端部欄干パネルは、スライドする余地がない。このため、結局、端部欄干パネルを取り外すためには、取付部材30,154を当該端部欄干パネルから抜き取る作業を余儀なくされる。
そこで、本実施形態では、従来一般の端部欄干パネルを移動手摺20が水平走行する領域で、ニューエルパネル11と隣接欄干パネル13とに分割した構成とした。そして、図12(c)に示す長さD〔=(D1+D2)〕が、隣接欄干パネル13を取り外した後で、少なくとも、ニューエルパネル11の円弧状縁部11Eが取付部材154の溝部46から抜け出せる距離分の水平方向のスライドを許容する長さとなるように、D1とD2とを設定したのである。
(v)ニューエルパネル取外しステップ
図14(a)に示す状態(スライドされた状態)にあるニューエルパネル11を、隣接欄干パネル13と同様にして取り外す。これによって、ニューエルパネル11の取外しが完了する(図14(b))。
以上説明したように、隣接欄干パネル13を取外した後、ニューエルパネル11を上記のようにスライドさせると、ニューエルパネル11は隣接欄干パネル13と同様にして取り外すことができる。これにより、ニューエルパネル11の取外しのために取付部材154をニューエルパネル11から抜き取る作業が不要になるため、従来と比べて、効率よくニューエルパネルを取り外すことができる。
なお、上記複数のステップの実行順は、適宜、変更しても構わない。例えば、(i)ステップと(iii)ステップを実行した後に、(ii)ステップを実行しても構わない。
新たなニューエルパネル11は、以下に記すように、上記の取外しとは逆の手順で取り付けられる。
(vi)ニューエルパネル載置ステップ
ニューエルパネル11を走行路RWとは反対側に傾けて、その上端縁部を取付部材30,154の溝部46(図6)に差し込み、下端部を固定器具26A,26Bに向かって振って、固定器具26A,26Bの下端部70A(図10)に載置させる(図14(a))。
(vii)ニューエルパネルスライドステップ
ニューエルパネル11を、図14(a)に示す矢印HRの向きにスライドさせて、円弧状縁部11Eを取付部材154の溝部46(図6)に嵌めこむ。
(viii)ニューエルパネル固定ステップ
固定器具26Aによってニューエルパネル11の下端部を固定する(図13(a))。また、複数のくさび部材54(不図示)によって、取付部材30,154をニューエルパネル11に固定する。
(ix)隣接欄干パネル載置ステップ
隣接欄干パネル13の上端縁部を取付部材30の溝部46(図6)に差し込んだ後、固定器具26B,26Cの下端部70A(図10)に載置する(図13(a))。
(x)隣接欄干パネル固定ステップ
固定器具26B,26Cによって隣接欄干パネル13の下端部を固定する(図12(b))。また、複数のくさび部材54によって取付部材30を隣接欄干パネル13に固定する。
以上の手順によってニューエルパネルの交換がなされる。
なお、新たなニューエルパネル11を取り付ける際の上記複数のステップの実行順は、適宜変更しても構わない。例えば、(vi)ステップ、(vii)ステップ、および(ix)ステップを実行した後に、(viii)ステップと(x)ステップを実行しても構わない。
(変形例)
上記実施形態では、ニューエルパネル11に隣接する隣接欄干パネル13を湾曲部13Cとストレート部13Dとを有するパネル形状としたが、ニューエルパネル11に隣接する欄干パネルの形状は、これに限らない。
例えば、図15(b)に示すように、長方形をした欄干パネル33(以下、「隣接欄干パネル33」とも言う。)としても構わない。隣接欄干パネル33は、図15(a)に示すように、設置された状態で、垂直方向に長く、幅L1を有する長方形をしている。
隣接欄干パネル33は、下端部が固定器具26Bで支持されている。隣接欄干パネル33の上端縁部には取付部材30が固定されている。隣接欄干パネル33は、ニューエルパネル11と距離L2の隙間をあけて設置されている。
隣接欄干パネル33に対しニューエルパネル11側とは反対側に隣接する欄干パネル35は、固定器具26B,26Cによって、その下端部が支持されている。欄干パネル35は、隣接欄干パネル33と距離L3の隙間をあけて設置されている。
隣接欄干パネル33は、固定器具26Bによる固定を解除すると共に、隣接欄干パネル33に固定されている取付部材30の固定を解除すれば、上記実施形態の隣接欄干パネル13と同様にして取り外すことができる。
そして、図15(a)に示す長さL〔=(L1+L2+L3)〕が、隣接欄干パネル33を取り外した後で、少なくとも、ニューエルパネル11の円弧状縁部11Eが取付部材154の溝部46から抜け出せる距離分の水平方向にスライドを許容する長さとなるように、L1,L2,L3各々の長さが設定されている。
なお、隣接欄干パネル33と欄干パネル35との間の長さL3の隙間に対応する取付部材30部分が湾曲している場合、隣接欄干パネル33を取り外しても、ニューエルパネル11は、当該隙間(であった領域)まで進入できない場合がある。この場合は、(L1+L2)が少なくとも、前記距離分の長さとなるよう、L1とL2の各々が設定される。
ここで、ニューエルパネル11に隣接する欄干パネルを、隣接欄干パネル33のように長方形とする構成は従来にはみられないため、不自然な感覚を乗客にもたれるおそれがある。そこで、隣接欄干パネル33を色彩的に他の欄干パネルと異なったものとすることにより、積極的に意匠処理が施されているとの感覚を乗客に与えるようにしても構わない。このため、隣接欄干パネル33をこれ以外の欄干パネルとは色または質感の異なるガラス製にすることが考えられる。例えば、隣接欄干パネル33以外の欄干パネルが透明であるのに対し、隣接欄干パネル33を着色したり、すりガラスにしたりすることが考えられる。あるいは、隣接欄干パネル33以外の欄干パネルがガラス製であるのに対し、隣接欄干パネル33を金属製(例えば、ステンレス製)とすることが考えられる。
さらに、ニューエルパネル11に隣接する隣接欄干パネルは、長方形に限らず、台形に形成しても構わない。この場合、当該台形の上下の辺(上底と下底)の内、短い方の辺の長さが、ニューエルパネルの円弧状縁部が取付部材154の溝部46から抜け出せる距離分の水平方向へのスライドを許容する長さを考慮する際の対象となる。
要は、隣接欄干パネルが固定器具26B,26Cおよび取付部材30から取り外されると、取り外された隣接欄干パネルが存した領域へと、ニューエルパネルを少なくともその円弧状縁部が取付部材154の溝部46から抜け出せる距離分、スライドさせることができるような形状に当該隣接欄干パネルが形成されていれば構わないのである。
以上の実施形態では、階上フロアUS側のニューエルパネル11とその隣接欄干パネル13の構成について説明したが、階下フロアDS側のニューエルパネル31とこれに隣接する隣接欄干パネル29(図1)も、ニューエルパネル11および隣接欄干パネル13と同様の考えに基づいて構成できるため、その説明については省略する。また、ニューエルパネル31に隣接する欄干パネルを垂直方向に長い長方形としても構わないのは、上記変形例の場合と同様である。
<実施形態2>
実施形態1では、例えば、欄干パネル13に照明器具32を取り付けるため、欄干パネル13の上端縁部に取付部材30を固定し、これに隣接するニューエルパネル11の円弧状縁部11Eに取付部材154を固定して、取付部材30,154にガイドレール44を取り付けた。照明器具32を設けない場合は、ガイドレールを欄干パネル11,13に直接固定しても構わない。
実施形態2に係るエスカレータは、そのように構成したエスカレータである。また、実施形態1において、移動手摺20を案内するガイドレール44は、ステンレス鋼板を板金加工したものであったが、実施形態2では、アルミの押出形材からなるものを用いている。
図16は、そのように構成したガイドレール202が設けられた欄干200において、欄干パネル13の上端部およびその近傍を示す断面図である。なお、実施形態2に係るエスカレータは、実施形態1とは、欄干パネルの縁部に取り付けられた部材が異なる以外は、基本的に同じ構成である。よって、以下、当該異なる部分を中心に説明に留める。
欄干パネル13の上端縁部に対する被固定部材であるガイドレール202の上端部には、幅方向両側に張り出した一対のフランジ部202A,202Bが形成されている。両フランジ部202A,202Bの間には、上方に開口し、欄干パネル13の端縁に沿った上溝部204が形成されている。
フランジ部202A,202Bの各々から、上溝部204の壁面204A,204Bにかけて、摺接部材206,208が貼着されている。摺接部材206,208は、ナイロンの押し出し材からなる。
摺接部材206,208が設けられたフランジ部202A,202Bに、移動手摺210が嵌め込まれている。
欄干パネル13上端縁部へのガイドレール202の固定方法は、実施形態1における取付部材30の欄干パネル13上端縁部への固定方法と実質的に同じである。よって、実施形態1と同じ構成部材については、同じ符号を付して、その説明については、省略するか簡単に説明するに留める。
上溝部204の下には、下方に開口し同じく欄干パネル13の端縁に沿った下溝部212が形成されており、下溝部212が欄干パネル13の上端縁部に上方から嵌め込まれている。
下溝部212の第1壁面212Aは、欄干パネル13の第1主面13Aに平行に形成されている。第1壁面212Aに対向する第2壁面212Bは、下溝部212の底部212Cからの高さが高くなる程(本例では、下方へ行くほど)欄干パネル13の第2主面13Bとの間隔が広くなるよう第2主面13Bに対し傾斜した面に形成されている。ここで、第2主面13Bが走行路RWに面している側の主面である。
欄干パネル13の上端縁部には、クッションゴム50と金属カバー52とからなる保護部材48が被せられている。
欄干パネル13の第2主面13Bと下溝部212の第2壁面212Bとの間には、くさび部材54が設けられている。
くさび部材54には、ねじ挿通孔54Dが開設されている。一方、ガイドレール202には、ねじ挿通孔54Dに対応させて、下溝部212の深さ方向(本例では、上下方向)に雌ねじ202Cが形成されている。
平座金56、ばね座金58が嵌められた締付ねじ60が、くさび部材54のねじ挿通孔54Dに、下溝部212の開口側(本例では、下側)から挿入され、ガイドレール202の雌ネジ202Cに螺合している。
締付ねじ60の締め付けによる、ガイドレール202の欄干パネル13への固定態様や、欄干パネル13に対するガイドレール202の固定解除の方法などは、実施形態1における取付部材30の場合と同様なので、これ以上の説明については省略する。
なお、ガイドレール202は、複数本が欄干パネル11〜31の上端縁部およびニューエルパネル11,31の円弧状縁部11Eに沿って列設されていて、隣接するガイドレール202は、その端部同士が上溝部204内に設けられた不図示の連結部材によって連結されている。
また、ガイドレール202は、移動手摺20が斜行する区間においては、直線状をしたものが、カーブする区間では、当該カーブに合わせた湾曲部分を有するものが用いられるが、いずれも横断面は略同じ形状をしている。ニューエルパネル11,31に固定されるガイドレールは、ニューエルパネル11,31の外周形状(円弧状部)に合わせて曲げ加工された部分を有するものが用いられる。
<実施形態3>
実施形態1、2における固定器具26では、固定ブラケット66に対し、可動ブラケット68を第1および第2シャフト140,142で連結した。
これに対し、実施形態3における固定器具では、固定ブラケットに対し可動ブラケットを着脱自在に構成している。
実施形態3に係るエスカレータは、実施形態1、2とは、固定器具が異なる以外は、実質的に同じ構成である。よって、図17を参照しながら、固定器具300を中心に説明する。なお、固定器具300においても、固定器具26(図2、図9)と同様、クッションシート148と圧接板150を有しているのであるが、これらについての図示は省略している。また、トラスの図示も省略している。
図17に示すように、固定器具300は、固定ブラケット302と可動ブラケット304とを有する。
固定ブラケット302は、受け部材306と複数の(本例では、4個の)L字状をしたLブロック部材308,310,312,314を含む。
受け部材306には、本例ではZ形鋼が用いられる。Lブロック部材308,310,312,314の各々は、その長辺部(縦辺部)が、受け部材306に溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている。Lブロック部材308,310,312,314の短辺部(横辺部)の各々には、雌ねじ308A,310A,312A,314Aが形成されている。
また、受け部材306には、第1支持板316と第2支持板318が溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている。
トラス(不図示)には、L形アングル材320が不図示のボルト・ナットによって固定されており、L形アングル材320と第1支持板316とが、不図示のボルト・ナットによって締結されている。
第2支持板318には、長孔318A,318Bが開設されており、長孔318A,318Bに挿入されたボルト(不図示)とナット(不図示)とで、第2支持板318がトラスに固定されている。
すなわち、受け部材306は、第1支持板316およびL形アングル材320、並びに第2支持板318を介してトラス(不図示)に取り付けられている(固定されている)。
受け部材306において、欄干パネル13の下端面を支持する支持部となる下端部306Aの上面には、複数枚の(本例では、3枚の)クッションパッド322,324,326が貼着されている。
また、下端部306Aには、その厚み方向に雌ねじ306B,306C,306D,306Eが形成されており、その各々に高さ調整ボルト328,330,332,334が螺入されている。高さ調整ボルト328,330,332,334の機能および使い方は、実施形態1と同様なので、これ以上の説明については省略する。
可動ブラケット304は、対向部材336と複数の(本例では、4個の)略四角柱状をした柱状ブロック部材338,340,342,344とを含む。
対向部材336には、本例ではL形鋼(不等辺山形鋼)が用いられている。
対向部材336の長辺部336Aには、その厚み方向に貫通する雌ねじ(不図示)が複数個、形成されており、当該雌ねじの各々には、圧接部材である圧接ボルト346,348,350,352,354,356,358が螺入されている。また、圧接ボルト346,...,358の各々には、弛み止めナット360,362,364,366,368,370,372がそれぞれ螺合されている。
対向部材336の長辺部336Aには、柱状ブロック部材338,340,342,344が、その上側三分の二程度を重ねた状態で溶接(例えば、隅肉溶接)により接合されている(溶接ビードについては不図示)。
柱状ブロック部材338,340,342,344各々の下端部には、片側に深ざぐりが施されたねじ挿通孔338A,340A,342A,344Aが開設されている。
ねじ挿通孔338A,340A,342A,344Aの各々には、締付ボルト374,376,378,380が、それぞれ前記深ざぐり側から挿入され、Lブロック部材308,310,312,314に形成された雌ねじ308A,310A,312A,314Aに螺入される。そして、締付ボルト374,376,378,380を締め付けることにより、可動ブラケット304が固定ブラケット302に装着される。
装着状態で、圧接ボルト346,...,358が強く締め付けられて、その先端が不図示の圧接板を介して欄干パネル13の下端部を受け部材306の受け面306Fに向かって圧接することにより、欄干パネル13は、その下端部で不図示のトラスに固定保持される。そして、圧接ボルト346,...,358が弛むのを防止するため、弛み止めナット360,...,372締め付けられる。
欄干パネル13の固定器具300による固定を解除するには、先ず、弛み止めナット360,...,372を弛めた後、圧接ボルト346,...,358を弛める。そして、締付ボルト374,376,378,380を弛めて、雌ねじ308A,310A,312A,314Aから取り外し、可動ブラケット304を固定ブラケット302から脱着する。
可動ブラケット304が固定ブラケット302から脱着されると、欄干パネル13の下端部の走行路RW側前方が開放される。走行路RW側が開放されると、取付部材30が欄干パネル13の上端部に欄干パネル13の厚み方向に遊びを持って嵌った状態となっていれば、実施形態1と同様、図17に一点鎖線で示すように、欄干パネル13は、その下部を走行路RW側へ振ることができる(全体を斜めの姿勢にすることができる。)。
これにより、欄干パネル13上端部の被固定部材である取付部材30を欄干パネル13の上方へ抜き取ることなく、欄干パネル13を取付部材30と固定器具300から取り外すことができるのも、実施形態1、2と同様である。
また、欄干パネル13が取り外されると、ニューエルパネル11に対する取付部材30,154(または、ガイドレール202)の固定が解除され、固定器具26Aによる固定が解除された状態で、ニューエルパネル11を欄干パネル13が存し領域へとスライドさせた後、下端部を走行路RW側に傾けて取り外すことができるのも実施形態1、2と同様である。
<実施形態4>
実施形態1〜3における固定器具26では、固定ブラケット66に対し可動ブラケット68を最終的に回動させることにより、欄干パネル11,...,31の下端部の走行路側前方を開放した(図10、図11等)。
これに対し、実施形態4における固定器具では、固定ブラケットに対し可動ブラケットを最終的に下方へスライドさせることにより、欄干パネル11,...,31の下端部の走行路側前方を開放することとしている。
実施形態4に係るエスカレータは、実施形態1〜3とは、固定器具が異なる以外は、実質的に同じ構成である。よって、図18、図19を参照しながら、実施形態4における固定器具400を中心に説明する。なお、図18、図19において、欄干パネル13、実施形態1で示したクッションシート148(図2、図9、図11)、圧接板150(図2、図9)、クッションパッド112,114(図2、図8、図9、図10、図11)、および圧接ボルト116,118,120,122(図8、図10等)等に相当する部材の図示は省略している。
図18(a)に示すように、固定器具400は、固定ブラケット402と可動ブラケット404とを有する。
固定ブラケット402は、ベンチ(長椅子)状をしており、不図示のトラスに固定されている。
固定ブラケット402は、長手方向両端部に一対の脚部406,408を有している。脚部406,408の各々には、逆L字状をしたスリット410,412が開設されている。
ベンチ状をした固定ブラケット402において、座面に相当する部分が、欄干パネル(不図示)の下端面を支持する支持部414となる。また、背もたれに相当する部分が、受け面416となる。
図18(b)に示すように、可動ブラケット404は、L字状の横断面をしたアングル材420を有する。アングル材420の長手方向における両端面からは、四角柱状をした突起418(片方のみ図に現れている)が突出している。突起418は、アングル材420に角穴を設け、当該角穴に角材を圧入することにより形成される。
アングル材420において、受け面416に対向する対向部となる縦板部420Aには、その厚み方向に複数個の(本例では、4個の)雌ねじ420B,420C,420D,420Eが形成されている。雌ねじ420B,...,420Eの各々には、不図示の圧接ボルトが螺合されている。
固定ブラケット402の両脚部406,408の間に、アングル材420の横板部420Fがさし込まれ、突起418がスリット410に嵌め込まれて、固定ブラケット402に可動ブラケット404が連結されている(図に現れていない他方の突起もスリット412に嵌め込まれている。)。
スリット410において横方向に延びる部分の幅W1は、四角柱をした突起418の一辺の長さよりも僅かに大きいだけである。図18(a)に示す状態で、突起418は、ガタツクことなくスリット410に嵌っており、スリット410(固定ブラケット402)に対し回動不能となっている。
スリット410において縦方向に延びる部分の幅W2は、幅W1よりも若干大きくなっている。
上記の構成からなる固定ブラケット402と可動ブラケット404を有する固定器具400において、図18(a)に示す状態で、支持部414上面に設けられた不図示のクッションパッドに不図示の欄干パネルが載置されている。なお、本実施形態においても、実施形態1〜5と同様、クッションパッドは必須の構成部材ではなく、用いなくても構わない。用いない場合には、欄干パネル(不図示)は、直に、支持部414に載置される。欄干パネル(不図示)の下端部と可動ブラケット404のアングル材420の縦板部420Aとの間には、不図示の圧接板が挿入されている。
そして、雌ねじ420B,420C、420D,420Eに螺入された(取り付けられた)不図示の圧接ボルトが締め付けられていて、その先端が圧接板(不図示)を介し欄干パネル(不図示)の下端部を受け面416に向かって圧接することにより、欄干パネル(不図示)は、その下端部で不図示のトラスに固定保持されている。
上記のように固定器具400に固定された欄干パネルの固定解除は以下の手順で行われる。
先ず、雌ねじ420B,420C、420D,420Eに螺合している圧接ボルト(不図示)の各々を弛める。この場合、圧接ボルト(不図示)各々を、雌ねじ420B,...,420Eから取り外しても構わないが、少なくとも、圧接ボルト(不図示)各々の先端が雌ねじ420B,...,420E内に没入するまで弛めれば足りる。
次に、不図示の圧接板を、固定ブラケット402の受け面416と可動ブラケット404のアングル材420の縦板部420Aの間から取り除く。
そして、可動ブラケット404を、図18(a)に示す矢印Xの向きに押し込んだ後、矢印Yの向き(すなわち、下向き)にスライドさせる。
そうすると、可動ブラケット404は、固定ブラケット402に対して、図19(a)に示す状態となる。すなわち、欄干パネル(不図示)の下端部の走行路側前方(矢印Fで示す方向)が開放された状態となる。
これ以降における、欄干パネルの取外しの手順は、実施形態3、4、5の場合と同様なので、その説明については省略する。なお、欄干パネルの取り付けは、上記取外しとは逆の手順でなされる。
(変形例)
上記実施形態では、欄干パネル(不図示)を固定した状態(図18(a))でも、固定を解除した状態(図19(a))でも、突起418がスリット410に嵌っている。すなわち、可動ブラケット404は、固定ブラケット402に常に連結されているが、これに限らず、可動ブラケットを固定ブラケットに着脱自在に取り付ける構成としても構わない。
そのような構成にした場合の固定ブラケット424を図19(b)に示す。固定ブラケット424は、固定ブラケット402(図18(a))の脚部406,408を短くし、かつ、スリット410,412において縦方向に延びる部分の下方を開放した形態としたものである。可動ブラケットには、上記実施形態の可動ブラケット404(図18(b))と同じものが用いられる。
固定ブラケット424(図19(b))において、固定ブラケット402(図18(a)、図19(a))と実質的に同じ部分には、同じ符号を付して、その説明については省略する。
固定ブラケット424のスリット426の開放部から矢印Yとは逆向き(すなわち、上向き)に可動ブラケット404の突起418を進入させた後、矢印Xとは逆向き(すなわち、手前側に)引き寄せることにより、可動ブラケット404を固定ブラケット424に装着する(取り付ける)ことができる。
可動ブラケット404を固定ブラケット424から脱着する(取り外す)ときは、可動ブラケット404を、図19(b)に示す矢印Xの向きに押し込んだ後、矢印Yの向き(すなわち、下向き)にスライドさせて、突起418をスリット426から抜き出す。
これにより、可動ブラケット404は、固定ブラケット424から、完全に分離されて、欄干パネル(不図示)の下端部の走行路側前方(図19(b)において矢印Fで示す方向)が開放された状態となる。
以上、本発明に係るエスカレータを実施形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記した形態に限らないことは、勿論であり、例えば、以下の形態としても構わない。
(1)実施形態1(図1〜図15)、実施形態2(図16)、実施形態3(図17)、および実施形態4(図18、図19)では、欄干パネル11,...,31の縁部(上端縁部、円弧状縁部)の被固定部材である取付部材30(図2、図3、図5、図6、図11〜図15)、取付部材154(図12〜図15)、およびガイドレール202(図16)を、くさび部材54(図3、図4、図6、図7)を用いて固定する構成とした。
しかしながら、欄干パネルの縁部(上端縁部、円弧状縁部)への被固定部材の固定は、くさび部材に限らず、例えば、特許文献2の図6に開示されているように、ボルトを用いても構わない。
要は、溝部を有し、当該溝部に欄干パネルの縁部(上端縁部、円弧状縁部)が嵌め込まれた状態で、当該欄干パネルに固定される被固定部材を固定するための構成が、当該被固定部材の前記欄干パネルに対する固定が解除された状態において、欄干パネルの縁部が前記溝部に当該欄干パネルの厚み方向に遊びを持って嵌った状態となるような構成であれば良いのである。
(2)上記実施形態では、いずれも、一種類の固定器具(固定器具26、固定器具300、固定器具400のいずれか)によって、欄干パネル11,...,31をトラスに固定したが、これに限らず、一台のエスカレータにおいて、複数種の固定器具を用いても構わない。
例えば、中間パネル13,...,29は固定器具26で固定し、ニューエルパネル11,31は、固定器具300で固定することとしても構わない。
(3)また、異なる種類の固定器具において、一部の部材を共有するような構成としても構わない。具体的には、例えば、固定器具26の受け部材70(図8)と固定器具300の受け部材306(図17)を一本のZ形鋼で構成して、受け部材を共有することとしても構わない。そして、この受け部材(Z形鋼)の長さ方向に可動ブラケット68(図8)と可動ブラケット304(図17)を並べて設けるのである。
(4)上記実施形態では、保護板24を建築物の天井DC部分に取り付けたが(図1)、これに限らず、保護板24は、取付部材30(図2)に付属物として取り付けても構わない。
(5)実施形態1,2では、別個に作製された受け部材70と規制部材92,...,98とを接合して固定ブラケット66を構成したが、これに限らず、固定ブラケットは、鋳造や切削加工により、これらが一体的に形成された一部材として構成しても構わない。さらに、軸支部材84,...,90も含めて一体的に形成された構成としても構わない。
また、実施形態1,2では、可動ブラケット68を、別個に作製された対向部材72と回動アーム132,...,138とを接合して構成したが、これに限らず、これらが一体的に形成された一部材として構成しても構わない。
(6)上記実施形態では、本発明に係るエスカレータを、踏段を有し踏面が階段状になるエスカレータに適用した例に基いて説明したが、本発明に係るエスカレータは、踏面が階段状にならないエスカレータ、すなわち、環状に連結された複数のパレットからなる無端搬送体やゴムベルトからなる無端搬送体を循環走行させて乗客を搬送するエスカレータであって、踏面が水平方向に対し傾斜して設けられたエスカレータ(傾斜型の移動歩道)にも適用可能である。