JP6687781B1 - 刺激感が抑制された眼科組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】刺激感が抑制された眼科組成物、眼科組成物用の刺激抑制剤、眼科組成物の刺激を抑制する方法及び眼刺激の評価方法を提供すること。【解決手段】充血除去成分と、任意で(B)TRPA1アゴニストを含有することを特徴とする、刺激感が抑制された眼科組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、刺激感が抑制された眼科組成物、眼科組成物用の刺激抑制剤、眼科組成物の刺激を抑制する方法及び眼刺激の評価方法に関する。
TRP(Transient Receptor Potential)チャネルは膜貫通領域を有する陽イオンチャネルであり、4量体として機能すると考えられている。TRPチャネルは感覚受容のさまざまな局面で機能する陽イオンチャネルファミリーであり、多様な刺激に応答する多くのTRPチャネル分子が存在する(非特許文献1)。TRPM8は清涼感、TRPA1は痛み、TRPV1は灼熱感に関与する細胞センサである。眼においてもTRPA1及びTRPV1が不快感や痛みに関与していることが報告されている(非特許文献2)。
l−メントールは、点眼剤等において清涼化剤として用いられるが、TRPA1アゴニストでもあるため、眼に清涼感とともに刺激感を与えることが知られている。
生化学、第81巻、第11号,pp.962-983, 2009 Curr. Ophthalmol. Rep. (2015), 3: 111-121
本発明の課題は、刺激感が抑制された眼科組成物、眼科組成物用の刺激抑制剤、眼科組成物の刺激を抑制する方法及び眼刺激の評価方法を提供することである。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、特定の成分を含有する眼科組成物が、l−メントール等のTRPA1アゴニストによる、眼への刺激感を抑制出来ること、さらに、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の各発明を包含する。
[1] 以下の(A−1)成分、(A−2)成分、(A−3)成分、及び(A−4)成分からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする、刺激感が抑制された眼科組成物:
(A−1)充血除去成分、
(A−2)抗ヒスタミン剤、
(A−3)カンフル、メントン、イソメントール、シネオール、メントフラン、ピネン、リモネン、ネオメントール、及びメチルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種、及び
(A−4)局所麻酔成分。
[2] 以下の(A−1)成分、(A−2)成分、(A−3)成分、及び(A−4)成分からなる群より選択される少なくとも1種と、(B)TRPA1アゴニストとを含有することを特徴とする、刺激感が抑制された眼科組成物:
(A−1)充血除去成分、
(A−2)抗ヒスタミン剤、
(A−3)カンフル、メントン、イソメントール、シネオール、メントフラン、ピネン、リモネン、ネオメントール、及びメチルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種、及び
(A−4)局所麻酔成分。
[3] (B)TRPA1アゴニストがl−メントールである前記[2]に記載の眼科組成物。
[4] (A−1)充血除去成分が、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、及びそれらの薬学上許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の眼科組成物。
[5] (A−2)抗ヒスタミン剤が、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、及びそれらの薬学上許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の眼科組成物。
[6] (A−4)局所麻酔成分が、クロロブタノールである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の眼科組成物。
[7][1]〜[6]に記載の眼科組成物であって、刺激がドライアイやアレルギー等に由来する疼痛である眼科組成物。
[8] 以下の(A−1)成分、(A−2)成分、(A−3)成分、及び(A−4)成分からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする、眼科組成物用の刺激抑制剤:
(A−1)充血除去成分、
(A−2)抗ヒスタミン剤、
(A−3)カンフル、メントン、イソメントール、シネオール、メントフラン、ピネン、リモネン、ネオメントール、及びメチルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種、及び
(A−4)局所麻酔成分。
[9] 前記[8]に記載の眼科組成物用の刺激抑制剤であって、ドライアイやアレルギー等に由来する疼痛を抑制するための剤。
[10] (B)TRPA1アゴニストを含有する眼科組成物に、さらに、以下の(A−1)成分、(A−2)成分、(A−3)成分、及び(A−4)成分からなる群より選択される少なくとも1種を含有させることを特徴とする、(B)TRPA1アゴニストに由来する眼科組成物の刺激を抑制する方法:
(A−1)充血除去成分、
(A−2)抗ヒスタミン剤、
(A−3)カンフル、メントン、イソメントール、シネオール、メントフラン、ピネン、リモネン、ネオメントール、及びメチルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種、及び
(A−4)局所麻酔成分。
[11] 被験試料を、TRPA1発現細胞と接触させ、前記被験試料によりTRPA1を介して引き起こされる細胞内カルシウムイオン濃度の変化量を測定することを特徴とする、被験試料による眼刺激の評価方法。
本発明の眼科組成物は、以下の(A−1)成分、(A−2)成分、(A−3)成分、及び(A−4)成分からなる群より選択される少なくとも1種を含有することを特徴とし、さらに、(B)TRPA1アゴニストを含んでも含まなくてもよく、刺激感が抑制されるという効果を奏する:(A−1)充血除去成分、(A−2)抗ヒスタミン剤、(A−3)カンフル、メントン、イソメントール、シネオール、メントフラン、ピネン、リモネン、ネオメントール、及びメチルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種、及び(A−4)局所麻酔成分。
好ましくは、当該刺激感は、眼科組成物中に含まれる(B)TRPA1アゴニストに由来するものであるが、眼科組成物中に(B)TRPA1アゴニストが含まれない場合は、眼科組成物を投与されるヒト等の動物がドライアイやアレルギー等による疼痛症状を示しているか、又は当該動物の刺激受容体TRPA1が活性化されていることが好ましい。
また、本発明では、眼科組成物の刺激を抑制する方法及び被験試料による眼刺激の評価方法も提供する。
図1は、本発明の眼科組成物を構成する成分による、TRPA1アゴニスト(l−メントール)に対する刺激抑制確認試験の結果を示す。 図2は、TRPA1阻害効果を可視化したものであり、ボルネオール(参考例)、テトラヒドロゾリン塩酸塩及びペパーミントオイル(実施例)による結果を示す。 図3は、l−メントール(比較例)とl−メントール及びテトラヒドロゾリン塩酸塩の併用(実施例)による、ヒトでの清涼感及び刺激感確認試験の結果を示す。
本発明の眼科組成物は、以下の(A−1)成分、(A−2)成分、(A−3)成分、及び(A−4)成分からなる群より選択される少なくとも1種を含む:(A−1)充血除去成分、(A−2)抗ヒスタミン剤、(A−3)カンフル、メントン、イソメントール、シネオール、メントフラン、ピネン、リモネン、ネオメントール、及びメチルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種、及び(A−4)局所麻酔成分。好ましくは、さらに、本発明の眼科組成物は、(B)TRPA1アゴニストを含む。
〔(A−1)充血除去成分〕
充血除去成分としては、例えば、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン、又はそれらの塩酸塩、硝酸塩などの、イミダゾリン系の充血除去成分、エピネフリン、エフェドリン、メチルエフェドリン、フェニレフリン及びこれらの薬学上許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましいが、これらに限定されない。
これら充血除去成分のうち、好ましくは、例えば、イミダゾリン系充血除去成分、より好ましくは、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン及びその薬学上許容される塩、さらに好ましくは、テトラヒドロゾリン及びその薬学上許容される塩、特に好ましくは、テトラヒドロゾリン塩酸塩(塩酸テトラヒドロゾリン)である。
本発明の眼科組成物が(A−1)成分を含む場合、(A−1)成分の割合は、眼科組成物の全量に対して、例えば、下限が0.0001w/v%以上、0.0003w/v%以上、0.0005w/v%以上であってもよい。また、0.01w/v%以上であってもよい。また、本発明の眼科組成物が(A−1)成分を含む場合、(A−1)成分の割合は、眼科組成物の全量に対して、例えば、上限が0.5w/v%以下、0.3w/v%以下、0.1w/v%以下、0.05w/v%以下であってもよい。
また、上記した下限と上限が任意に組み合わせられてもよい。
本発明の眼科組成物が(A−1)成分を含む場合、(A−1)成分の割合は、(B)成分が1である場合に対して、例えば、下限が通常0.001以上であり、0.01以上であり、0.1以上が好ましく、0.2以上であることがより好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。また、(A−1)成分の割合は、(B)成分1に対して、例えば、上限が、1000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましく、50以下であることがさらに好ましく、10以下であることが特に好ましい。
また、上記した下限と上限が任意に組み合わせられてもよい。
〔(A−2)抗ヒスタミン剤〕
抗ヒスタミン剤としては、例えば、クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、ケトチフェン、イプロヘプチン、レボカバスチン、オロパタジン及びこれらの薬学上許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましいが、これらに限定されない。
これら抗ヒスタミン剤のうち、好ましくは、ケトチフェンフマル酸塩、イプロヘプチン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩(マレイン酸クロルフェンラミン)、レボカバスチン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩等が挙げられ、より好ましくは、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩、レボカバスチン塩酸塩、オロパタジン塩酸塩等が挙げられ、更に好ましくは、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩が挙げられ、更により好ましくはクロルフェニラミンマレイン酸塩が挙げられる。
本発明の眼科組成物が(A−2)成分を含む場合、(A−2)成分の割合は、眼科組成物の全量に対して、例えば、下限が0.001w/v%以上、0.003w/v%以上、0.005w/v%以上、0.01w/v%以上であってもよい。また、上限が0.5w/v%以下、0.3w/v%以下、0.05w/v%以下、0.03w/v%以下であってもよい。
また、上記した下限と上限が任意に組み合わせられてもよい。
本発明の眼科組成物が(A−2)成分を含む場合、(A−2)成分の割合は、(B)成分が1である場合に対して、例えば、下限が、0.01以上であることが好ましく、0.05以上であることが更に好ましく、0.1以上であることが特に好ましい。また、(A−2)成分の割合は、(B)成分1に対して、例えば、上限が、1000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましく、500以下であることが更に好ましく、100以下が更により好ましく、10以下であることが特に好ましい。
また、上記した下限と上限が任意に組み合わせられてもよい。
〔(A−3)成分〕
本発明の眼科組成物は、(A−3)成分として、カンフル、メントン、イソメントール、シネオール、メントフラン、ピネン、リモネン、ネオメントール、メチルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種を含む。これらは、d体、l体又はdl体のいずれであってもよい。
また、本発明の(A−3)成分は、精油に含有された状態で使用することが出来る。(A−3)成分を含有する精油としては、例えば、ハッカ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ベルガモット油、ユーカリ油、シナモン油、ローズ油等の1種以上が挙げられ、中でもハッカ油またはクールミント油が特に好ましい。
本発明の眼科組成物が(A−3)成分を含む場合、(A−3)成分の割合は、眼科組成物の全量に対して、例えば、下限が0.00001w/v%以上、0.00005w/v%以上、0.0001w/v%以上、0.0003w/v%以上、0.0005w/v%以上、0.0007w/v%以上、0.0008w/v%以上、0.0009w/v%以上、0.001w/v%以上であってもよい。
また、本発明の眼科組成物が(A−3)成分を含む場合、(A−3)成分の割合は、眼科組成物の全量に対して、例えば、上限が5w/v%以下、3w/v%以下、2w/v%以下、1.5w/v%以下、1.2w/v%以下、1w/v%以下、0.9w/v%以下、0.8w/v%以下、0.7w/v%以下、0.6w/v%以下、0.5w/v%以下、0.3w/v%以下、0.1w/v%以下であってもよい。
また、上記した下限と上限が任意に組み合わせられてもよい。
特に、さらに、(A−3)成分の割合は、眼科組成物の全量に対して、例えば、合計で0.00001w/v%〜2w/v%(例えば、合計で0.00005〜1w/v%)、好ましくは、合計で0.0001〜0.1w/v%(例えば、0.0003〜0.05w/v%)、さらに好ましくは、合計で0.0005〜0.02w/v%(例えば、合計で0.001〜0.01w/v%)程度であってもよい。さらに、(A−3)成分の割合は、眼科組成物の全量に対して、例えば、下限が0.00000005%以上、0.0000005%以上、0.000001%以上であっても良い。
眼科組成物中に(A−3)成分を含む精油が使用される場合は、眼科組成物の全量に対して、例えば、精油中の(A−3)成分の下限が、0.0001w/v%以上、0.0005w/v%以上、0.001w/v%以上、0.0015w/v%以上であってもよい。また、眼科組成物の全量に対して、例えば、精油中の(A−3)成分の上限が、0.2w/v%以下、0.1w/v%以下、0.05w/v%以下、0.02w/v%以下であってもよい。また、上限が90w/v%以下、80w/v%以下、60w/v%以下、30w/v%以下、10w/v%以下、1w/v%以下であっても良い。
また、上記した下限と上限が任意に組み合わせられてもよい。
特に、さらに、(A−3)成分を含む精油の割合は、眼科組成物の全量に対して、例えば、合計で0.00001w/v%〜2w/v%(例えば、合計で0.00005〜1w/v%)、好ましくは、合計で0.0001〜0.1w/v%(例えば、0.0003〜0.05w/v%)、さらに好ましくは、合計で0.0005〜0.02w/v%(例えば、合計で0.001〜0.01w/v%)程度であってもよい。
なお、眼科組成物中に(A−3)成分を含む精油が使用される場合は、当該精油は、精油中の(A−3)成分の含有量が、上記割合を満たすように適宜調整される。
本発明の眼科組成物が(A−3)成分を含む場合、(A−3)成分の割合は、(B)成分が1である場合に対して、例えば、下限が、0.000001以上、0.00001以上、0.0001以上、0.001以上、0.005以上、0.01以上、0.1、1以上であってもよい。また、(A−3)成分の割合は、(B)成分1に対して、例えば、上限が、800以下、500以下、100以下、10以下であってもよい。
また、上記した下限と上限が任意に組み合わせられてもよい。
〔(A−4)成分〕
局所麻酔成分としては、クロロブタノールが好ましい。また、本発明においては、クロロブタノールの他、塩酸プロカイン又は塩酸リドカイン等の当分野で公知の局所麻酔成分をクロロブタノールの代わりに、又はクロロブタノールと併用してよい。
特に、本発明の眼科組成物が(A−4)成分を含む場合、この割合は、眼科組成物の全量に対して、例えば、0.001〜2.5w/v%が好ましく、0.01〜1w/v%がより好ましく、0.05〜0.5w/v%が更に好ましく、0.1〜0.25%が特に好ましい。
本発明の眼科組成物が(A−4)成分を含む場合、(A−4)成分の割合は、(B)成分が1である場合に対して、例えば、下限が、0.01以上、0.1以上、1以上であってもよい。また、(A−3)成分の割合は、(B)成分1に対して、例えば、上限が、5000以下、3500以下、1000以下、500以下、100以下、50以下、10以下であってもよい。
また、上記した下限と上限が任意に組み合わせられてもよい。
〔(A)成分〕
本明細書において、(A−1)成分、(A−2)成分、(A−3)成分、及び(A−4)成分をまとめて、(A)成分と総称することもある。また、(A)成分は複数成分を組み合わせて使用することが好ましく、(A−1)〜(A−4)からなる群より選択される2群以上を組み合わせて使用することがより好ましく、3群以上を組み合わせて使用することが更に好ましい。
〔(B)TRPA1アゴニスト〕
本発明の眼科組成物は、TRPA1アゴニストを含むことが好ましい。TRPA1アゴニストは、眼に刺激感を与える。TRPA1アゴニストとしては、メントールが好ましい。
メントールは、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されず、d体、l体、dl体のいずれであってもよいが、l−メントールが好ましい。
また、メントールとして、メントールを含有する精油を使用してもよい。このような精油としては、例えば、ペパーミント油、ハッカ油、クールミント油、スペアミント等の精油が挙げられる。メントールとして、市販されているものを使用することもできる。メントール及び精油は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の眼科組成物におけるメントールの含有量は、眼科組成物の全量に対して、0.00001〜0.5w/v%であることが好ましく、0.0001〜0.25w/v%であることがより好ましく、0.0005〜0.1w/v%であることがさらに好ましく、0.001〜0.08w/v%であることが更に好ましい。なお、(A−3)成分として、メントールを含む精油と(B)成分としてメントールを使用する場合は、精油中に含まれるメントール量と(B)成分のメントール量の総和が上記割合を満たすように設定される。
また、(B)TRPA1アゴニストと、(B)TRPA1アゴニストを含む精油が併用される場合は、配合される所望の(B)TRPA1アゴニストと精油中の所望の(B)TRPA1アゴニストの合計の含有量が上記割合を満たすように設定される。
本発明の眼科組成物は、(A−1)成分、(A−2)成分、(A−3)成分、及び(A−4)成分からなる群より選択される少なくとも1種を含むことにより、刺激感が抑制され得る。さらに、本発明の眼科組成物が、(B)TRPA1アゴニストを含む場合、眼科組成物中に含まれるTRPA1アゴニストによる刺激感を抑制することが出来るため、特に好ましい。眼科組成物を投与されるヒト等の動物がドライアイやアレルギー等による疼痛症状を示しているか、又は当該動物の刺激受容体TRPA1が活性化されていることも好ましい。
本発明の眼科組成物は、上記した成分の他に、更に非イオン界面活性剤を含んでもよい。非イオン界面活性剤は、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。非イオン界面活性剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー付加物、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルが挙げられる。
非イオン界面活性剤のより具体的な例として、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEともいう。)−ポリオキシプロピレン(以下、POPともいう。)グリコール(例えば、ポロクサマー407、ポロクサマー235、ポロクサマー188等のポロクサマー類);ポロキサミンなどのエチレンジアミンのPOE−POPブロックコポリマー付加物;モノラウリル酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、POEソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、POEソルビタントリステアレート(ポリソルベート65)等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE(5)硬化ヒマシ油、POE(10)硬化ヒマシ油、POE(20)硬化ヒマシ油、POE(40)硬化ヒマシ油、POE(50)硬化ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油、POE(100)硬化ヒマシ油などのPOE硬化ヒマシ油;POE(3)ヒマシ油、POE(10)ヒマシ油、POE(35)ヒマシ油などのPOEヒマシ油;POE(9)ラウリルエーテルなどのPOEアルキルエーテル類;POE(20)POP(4)セチルエーテルなどのPOE・POPアルキルエーテル類;POE(10)ノニルフェニルエーテルなどのPOEアルキルフェニルエーテル類;ステアリン酸ポリオキシル40などのモノステアリン酸ポリエチレングリコール類などが挙げられる。なお、括弧内の数字はPOP又はPOEの平均付加モル数を示す。
これらの非イオン界面活性剤の中でも、本発明の効果を顕著に奏する観点から、POE−POPグリコール、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、及びモノステアリン酸ポリエチレングリコール類が好ましく、ポロクサマー407、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)、POE(40)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40)、POE(3)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油3)、POE(10)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油10)、POE(35)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油35)、ステアリン酸ポリオキシル40がより好ましく、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン、POE(60)硬化ヒマシ油が特に好ましい。
これらの非イオン界面活性剤は、公知の方法により合成して使用しても、市販品を入手して使用してもよい。非イオン界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
非イオン界面活性剤の含有量は、非イオン界面活性剤の種類、他の成分の種類や量、眼科組成物の用途等に応じて適宜設定できる。
また、本発明の眼科組成物は、非イオン界面活性剤以外の界面活性剤を含んでいてもよい。そのような界面活性剤は、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されないが、具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、N−アシルタウリン塩等の陰イオン界面活性剤等、あるいは、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性界面活性剤等が挙げられる。
一例として、眼科組成物の全量に対する界面活性剤の総含有量は、限定はされないが、例えば、下限について、好ましくは、0.0001w/v%以上であり、より好ましくは0.0005w/v%以上、さらに好ましくは0.001w/v%以上、特に好ましくは0.005w/v%以上であり、最も好ましくは0.01w/v%以上である。また、上限について、限定はされないが、好ましくは10w/v%以下であり、より好ましくは5w/v%以下、さらに好ましくは1w/v%以下、特に好ましくは0.5w/v%以下である。また、上記した下限と上限が任意に組み合わせられてもよい。
本発明において、眼科組成物は、上記した成分の他に、更に増粘剤を含有していてもよい。増粘剤として、具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、カルボキシメチルセルロース及びその塩、カルボキシエチルセルロース及びその塩等のセルロース系高分子化合物、コンドロイチン硫酸及びその塩並びにヒアルロン酸及びその塩等のグリコサミノグリカン、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン(K17、K25、K30、K90など)、カルボキシビニルポリマー及びその塩等のビニル系高分子、デキストラン、マクロゴール6000、マクロゴール4000、マクロゴール400等のマクロゴール(ポリエチレングリコール)、ジェランガム、アルギン酸及びその塩が挙げられる。ここで、その塩とは、特に限定はされないが、ナトリウム塩が好ましい。
本発明の効果を顕著に奏する観点から、グリコサミノグリカン、セルロース系高分子、又はビニル系高分子が好ましく、グルコサミノグリカンがより好ましく、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及びそれらの塩がより好ましく、コンドロイチン硫酸ナトリウム(コンドロイチン硫酸エステルナトリウム)及びヒアルロン酸ナトリウムが更に好ましい。これらの増粘剤は、公知の方法により合成して使用しても、市販品を入手して使用してもよい。これらの増粘剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
増粘剤の総含有量は、使用する増粘剤の種類、他の配合成分の種類や配合量、眼科組成物の用途等に応じて適宜設定できる。眼科組成物の全量に対して、増粘剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.0001w/v%以上であり、より好ましくは0.0005w/v%以上、さらに好ましくは0.001w/v%以上、さらに好ましくは0.005w/v%以上、さらにより好ましくは0.01w/v%以上、最も好ましくは0.05w/v%以上である。また、眼科組成物の全量に対して、増粘剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは5w/v%以下であり、より好ましくは3w/v%以下、さらに好ましくは1w/v%以下、更により好ましくは0.5w/v%以下、最も好ましくは0.3w/v%以下である。眼科組成物の全量に対して、増粘剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.0001〜5w/v%、より好ましくは、0.0005〜3w/v%、さらに好ましくは0.001〜1w/v%、さらにより好ましくは、0.005〜0.5w/v%、特に好ましくは、0.01〜0.5w/v%、最も好ましくは0.05〜0.3w/v%である。
本発明において、眼科組成物は、上記した成分の他に、更に緩衝剤を含有していてもよい。緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、トリス緩衝剤、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、イプシロン−アミノカプロン酸等が挙げられる。緩衝剤としては、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤が好ましい。
より具体的な例として、限定はされないが、ホウ酸緩衝剤として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等);リン酸緩衝剤として、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等);炭酸緩衝剤として、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム等);クエン酸緩衝剤として、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等);酢酸緩衝剤として、酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム等);アスパラギン酸又はその塩(アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム混合物等)が例示できる。また、緩衝剤の製造の原料として、各塩の水和物を用いてもよい。
これらの緩衝剤は、公知の方法により合成して使用しても、市販品を入手して使用してもよい。これらの緩衝剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
本発明の眼科組成物における緩衝剤の含有量は、使用する緩衝剤の種類、他の配合成分の種類や配合量、眼科組成物の用途等に応じて適宜設定できる。一例として、眼科組成物の全量に対する緩衝剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.01w/v%以上、より好ましくは0.05w/v%以上、さらに好ましくは0.1w/v%以上、特に好ましくは0.3w/v%以上である。眼科組成物の全量に対する緩衝剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは10w/v%以下、より好ましくは5w/v%以下、さらに好ましくは3w/v%以下、特に好ましくは2w/v%以下である。眼科組成物の全量に対する緩衝剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.01〜10w/v%、より好ましくは0.05〜5w/v%、さらに好ましくは0.1〜3w/v%、特に好ましくは0.3〜2w/v%である。
本発明において、眼科組成物は、上記した成分の他に、更に等張化剤を含有していてもよい。等張化剤としては、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
等張化剤として、具体的には、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール等が挙げられる。これらの等張化剤の中でも、本発明の効果を顕著に奏させるという観点から、好ましくは、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、グリセリン、及びプロピレングリコールが挙げられる。これらの等張化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の眼科組成物における等張化剤の含有量については、使用する等張化剤の種類、他の配合成分の種類や配合量、眼科組成物の用途等に応じて適宜設定できる。一例として、眼科組成物の全量に対する緩衝剤の総含有量は、限定はされないが、好ましくは0.01〜10w/v%、好ましくは0.05〜5w/v%、更に好ましくは0.1〜3w/v%である。
本発明の眼科組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途及び製剤形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。このような添加物として、例えば、医薬品添加物事典2016(日本医薬品添加剤協会編集)又は一般用医薬品製造販売承認基準2012年版(一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会)に記載された有効成分(薬理活性成分や生理活性成分等)等に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性溶媒。
キレート剤:例えば、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等。
基剤:例えば、オクチルドデカノール、酸化チタン、臭化カリウム、プラスチベース等。
pH調節剤:例えば、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等。
安定化剤:例えば、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、シクロデキストリン、モノエタノールアミン等。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩化亜鉛、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、塩酸ポリヘキサニド等)、グローキル(ローディア社製 商品名)等。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリン、アルファ−シクロデキストリン等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
また、本実施形態に係る刺激感が抑制された眼科用組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて適当量含有していてもよい。成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造販売承認基準2012年版(一般社団法人レギュラトリーサイエンス学会監修)に記載された各種医薬における有効成分が例示できる。例えば、眼科用薬において用いられる成分として、具体的には、次のような成分が挙げられる。
眼筋調節薬剤:例えば、ネオスチグミンメチル硫酸塩、トロピカミド、ヘレニエン硫酸アトロピン等のコリンエステラーゼ阻害剤等。
ビタミン類:例えば、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、ピリドキシン塩酸塩、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パンテノール、アスコルビン酸、酢酸トコフェロール、酢酸d−α−トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、リノレン酸トコフェロール等。
アミノ酸類:例えば、L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム・カリウム、アミノエチルスルホン酸(タウリン)等。
消炎剤:例えば、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルレチン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アズレンスルホン酸、アズレンスルホン酸ナトリウム、アラントイン、トラネキサム酸、ベルベリン、リゾチーム、塩化リゾチーム、塩化ベルベリン、ベルベリン硫酸塩、ベルベリン硫酸塩水和物、イプシロン−アミノカプロン酸、インドメタシン、プラノプロフェン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ケトプロフェン、ジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナクナトリウム、フェルビナク、ベンダザック、ピロキシカム、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、硫酸亜鉛水和物等。
収斂剤:例えば、酸化亜鉛、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛等。これらは水和物であってもよい。
スイッチ成分:例えば、クロモグリク酸ナトリウム、プラノプロフェン等。
その他:例えば、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフイソキサゾール、スルフイソミジンナトリウム、紫根、セイヨウトチノキ、及びこれらの塩、クレアチニン、チロキサポール、ゴマ油、ヒマシ油、ジブチルヒドロキシトルエン、フェニルエチルアルコール等。
本発明の眼科組成物が水を含有する場合、水の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の全量を基準として、水の含有量が、80w/v%以上100w/v%未満であることが好ましく、85w/v%以上99.5w/v%以下であることがより好ましく、90w/v%以上99.2w/v%以下であることが更に好ましい。
本発明の眼科組成物に使用される水は、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容されるものであればよい。このような水として、例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水及び注射用蒸留水等を挙げることができる。それらの定義は第十七改正日本薬局方に基づく。
本発明の眼科組成物は、所望量の(A−1)成分、(A−2)成分、(A−3)成分及び(A−4)成分からなる群より選択される1種以上、及び任意で(B)TRPAアゴニスト、さらに、必要に応じて他の成分を、所望の濃度となるように添加及び混和することにより調製することができる。例えば、精製水でそれらの成分を溶解又は分散させ、所定のpH及び浸透圧に調整し、濾過滅菌等により滅菌処理することで調製できる。
本発明の眼科組成物のpHは、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容される範囲内であれば、特に限定されるものではない。例えば、眼科組成物のpHは、眼科組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定され得るが、例えば、4.0〜9.5であってよく、4.0〜9.0であることが好ましく、4.5〜9.0であることがより好ましく、4.5〜8.5であることが更に好ましく、5.0〜8.5であることが更により好ましい。
本発明の眼科組成物は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は、眼科組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定され得るが、例えば、0.4〜5.0とすることができ、0.6〜3.0とすることが好ましく、0.8〜2.2とすることがより好ましく、0.8〜2.0とすることが更に好ましい。浸透圧比は、第十七改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(凝固点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いることができる。
本発明の眼科組成物の粘度は、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容される範囲内であれば、特に限定されるものではない。例えば、回転粘度計(RE550型粘度計、東機産業社製、ローター;1°34‘×R24)で測定した20℃における粘度が0.1〜10000mPa・sであることが好ましく、0.1〜8000mPa・sであることがより好ましく、0.1〜1000mPa・sであることが更に好ましく、0.1〜100mPa・sであることが更により好ましく、1〜20mPa・sであることが特に好ましい。
本発明の眼科組成物は、目的に応じて種々の製剤形態をとることができる。そのような製剤形態として、例えば、液剤、ゲル剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられる。
本発明の眼科組成物は、例えば、点眼剤(点眼液又は点眼薬ともいう。また、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む。)、人工涙液、洗眼剤(洗眼液又は洗眼薬ともいう。また、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む。)、コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)等]として用いることができる。
なお、「コンタクトレンズ」は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ(イオン性及び非イオン性の双方を包含し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ及び非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの双方を包含する)を含む。
本発明の眼科組成物は、本発明の効果をより顕著に発揮できることから、点眼剤(コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む。)であることが好ましい。本実施形態に係る眼科組成物が点眼剤である場合、その用法・用量としては、効果を奏し、副作用の少ない用法・用量であれば特に限定されないが、例えば成人(15歳以上)及び7歳以上の小児の場合、1回1〜7滴が好ましく、1回1〜3滴、1〜2滴、又は2〜3滴がより好ましい。点眼回数は、1回1〜3滴、1〜2滴、又は2〜3滴の場合、1日5〜6回点眼して用いる方法を例示できる。また、1回4〜6滴を1日3〜6回点眼しても良い。
本発明の眼科組成物は、任意の容器に収容して提供される。本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したものが挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレートである。また、本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器は、容器内部を視認できる透明容器であってもよく、容器内部の視認が困難な不透明容器であってもよい。好ましくは透明容器である。ここで、「透明容器」とは、無色透明容器及び有色透明容器の双方が含まれる。
本発明の眼科組成物を収容する容器には、ノズルが装着されてもよい。ノズルの材質については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したものが挙げられる。
本発明の眼科組成物を収容する容器は、複数回の使用量が収容されるマルチドーズ型であってもよく、単回の使用量が収容されるユニットドーズ型であってもよい。
〔眼科組成物用の刺激抑制剤〕
また、本発明は、眼科組成物用の刺激抑制剤も提供する。刺激抑制剤の配合や形態としては、上記した眼科組成物と同様のものを用いることが出来る。
本発明の刺激抑制剤はTRPA1アゴニストがメントールの場合、清涼感を保持しつつ、眼科組成物の刺激を抑制することができる。また、本発明の刺激抑制剤は、TRPA1アゴニストに由来する眼科組成物の刺激を抑制することが出来るため、ドライアイに由来する疼痛を抑制することが出来る。これは、TRPA1がドライアイによる疼痛にも関与することが報告されていることに基づく(例えば、Neuroscience. 2015 Apr 2;290:204-13 参照)。また、疼痛はドライアイ由来の他、アレルギー由来であってもよい。なお、ドライアイとは、ドライアイ診断基準によるドライアイの他、目の乾きなども含む。
〔眼科組成物の刺激を抑制する方法〕
また、本発明は、眼科組成物の刺激を抑制する方法も提供する。具体的には、(B)TRPA1アゴニストを含有する眼科組成物に、さらに、(A−1)充血除去成分、(A−2)抗ヒスタミン剤、(A−3)カンフル、メントン、イソメントール、シネオール、メントフラン、ピネン、リモネン、ネオメントール、及びメチルアセテートからなる群より選択される少なくとも1種、及び(A−4)クロロブタノールからなる群より選択される少なくとも1種を含有させることを特徴とする、(B)TRPA1アゴニストに由来する眼科組成物の刺激を抑制する方法、である。
〔眼刺激の評価方法〕
また、本発明は、眼刺激の評価方法も提供する。例えば、被験試料を、TRPA1発現細胞と接触させ、前記被験試料によりTRPA1を介して引き起こされる細胞内カルシウムイオン濃度の変化量を測定することを特徴とする、被験試料による眼刺激の評価方法、である。
本発明の評価方法に用いられる被験試料として、例えば、(B)TRPA1アゴニストと、眼科組成物の分野で通常用いられる成分との組み合わせを用いることが出来る。例えば、そのような成分としては、上記した(A−1)成分、(A−2)成分、(A−3)成分、又は(A−4)成分であってもよく、界面活性剤、増粘剤、緩衝剤、等張化剤、担体、キレート剤、基剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤、糖類、糖アルコール類、眼筋調節薬剤、ビタミン類、アミノ酸類、消炎剤、収斂剤等であってもよい。
また、(B)TRPA1アゴニストは、被験試料との対照(対照試料)として用いられてもよい。
TRPA1発現細胞は、安定的にhTRPA1遺伝子を保持することが出来る細胞であれば特に限定されないが、例えば、T-REx−293細胞、HEK293T細胞等が好ましい。
上記方法における、細胞内カルシウムイオン濃度の変化は、例えば、公知のCa2+濃度指示薬、Fluo-4、Fluo-8又はFluo-2等を用いて、市販のマイクロプレートリーダーや、蛍光顕微鏡等により測定、観察することが出来る。
本発明においては、細胞内カルシウムイオン濃度の変化量を測定することで、眼刺激の有無、眼刺激の強さ等の情報を得ることが出来る。また、被験試料や対照試料をTRPA1発現細胞と接触させる時間を調整すること等により、細胞内カルシウムイオン濃度を経時観察して、被験試料の、TRPA1発現細胞に対する親和性に関する情報(例えば、被験試料のLogP値(分配係数)等との相関)等も得ることが出来る。
また、被験試料を、TRPA1発現細胞と接触させる方法としては、例えば、被験試料又はその希釈液、あるいは、被験試料を含む人工涙液等を、培養されたTRPA1発現細胞やヒト等の動物に添加、点眼する方法等が挙げられる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
<使用細胞>
hTRPA1遺伝子を保持するT-REx−293細胞株の調製
hTRPA1のmRNAを、ヒトWI38細胞から抽出した。安定的にhTRPA1を発現させたHEK細胞は、Invitrogen社のテトラサイクリン制御T-REx発現システムを用いて作成した。hTRPA1 mRNAを鋳型としてRT-PCRにより増幅させたhTRPA1のcDNAを、哺乳類細胞用遺伝子発現ベクターであるpcDNA4/TO(invitrogen社製)へ組み込み、invitrogen社の遺伝子導入試薬であるLipofectamin 2000 reagentを用いてT-REx−293細胞に導入した。pcDNA4/TOにはZeocinが組み込まれており、T-REx−293細胞にT-Rexシステムを維持するためのプラスミド(ブラストサイジン耐性遺伝子)が保持されている。抗生物質であるZeocin500μg/mL及びブラストサイジン10μg/mLを用いて安定的にhTRPA1遺伝子を保持するT-REx−293細胞株を樹立した。
<細胞培養>
hTRPA1を保持するT-REx−293細胞は10%FBS,100unit/mL penicillin,100mg/mL streptomysin,250ng/mL amphotericin Bを含むDMEM培地を用いて、5%二酸化炭素存在下で培養した。継代の際には200μg/mL Zeocin,5μg/mL ブラストサイジンを加え、最大継代数は50以下で行った。
具体的には前培養として60 mm dishにセミコンフルエントになるようにT-REx−293細胞を培養した後、PBS(-)で洗浄した。1×Trypsin/EDTA処理によりdishから細胞を剥がし、DMEM培地を加えた。その後、15 mLチューブに移し、800 rpmにて室温で4分間、遠心分離した。DMEM培地のみを吸引除去し、タッピングにより細胞をほぐした後、新たなDMEM培地を加え、約40×10〜50×10cell/mLになるように細胞数を調整した細胞懸濁液を作成した。この時、受容体発現のために1μg/mLtetracyclineを加えた。作成した細胞懸濁液を96ウェルプレートに100μLずつ分注し、37℃、5%CO2インキュベーターで一晩インキュベートして試験に使用した。
[試験例1]l−メントールによる刺激感抑制確認試験
メントールは、刺激受容体TRPA1を活性化して刺激を与えることが知られている。そこでl−メントールと被験試料(実施例)を上記した細胞に投与し、被験試料によって、l−メントールによるTRPA1活性が阻害されるかどうかを確認した。
Ca2+濃度指示薬(Fluo-4若しくはFluo-8(AAT Bioquest, Inc.社製)を用いて、TRP活性が変化するかを観察した。Ca2+濃度指示薬を予めhTRPA1を保持したT-REx−293細胞内に取り込ませておき、マイクロプレートリーダーにて蛍光量を測定した。
具体的には以下のプロトコールに従って実施した。前日に準備(上記した細胞培養)を行っていた96ウェルプレートをインキュベーターより取り出し、DMEM培地をデカンテーションで除去した。100μL/ウェルの緩衝液(pH 7.4、5.37 mM KCl、0.44 mM KH2PO4、137 mM NaCl、0.34 mM Na2HPO4、5.56 mM D-glucose、20 mM HEPES、1 mM CaCl2、0.1% bovine serum albumin、2.5 mM probenecid.、残余 精製水)で優しく洗浄し、1.5μM Fluo-8で溶解した同上の緩衝液を50μLずつウェルに添加した後、37℃、5%CO2インキュベーターで1時間処理した。インキュベーター処理後、Fluo-8が入った同上の緩衝液をデカンテーションで除去し、100μL/ウェルの同上の緩衝液で優しく洗浄した。さらに、180μL/ウェルの同上の緩衝液を添加して、Flexstation II (レジスタードトレードマーク) 又はFlexstation III (レジスタードトレードマーク) マイクロプレートリーダー(Molecular Devices、Sunnyvale、CA、USA)で測定を開始した。マイクロプレートリーダー測定開始30秒後に被験試料を20μL/ウェル添加し、添加後5秒〜120秒間における蛍光量の最大値を測定し、この値を蛍光量とした。
なお、TRP活性(%)は以下の式に基づき、算出した。
比較例2(l−メントール単独投与時)は100%となる。
下記表1に記載の被験試料のTRP活性の算出結果を図1に示す。なお、比較例1はコントロール(l−メントール非添加緩衝液(pH 7.4、5.37 mM KCl、0.44 mM KH2PO4、137 mM NaCl、0.34 mM Na2HPO4、5.56 mM D-glucose、20 mM HEPES、1 mM CaCl2、0.1% bovine serum albumin、2.5 mM probenecid.、残余 精製水))であり、比較例2は、比較例1と同様の緩衝液にl−メントール(TRPA1アゴニスト)を66.7μMの濃度で溶解させたものである。そして、実施例は、比較例1と同様の緩衝液に、l−メントール(66.7μM)と表1に記載の成分を、表2に記載の濃度で溶解させたものである。
図1の結果から、本発明の(A−1)充血除去成分である、テトラヒドロゾリン塩酸塩、ナファゾリン塩酸塩、(A−2)抗ヒスタミン剤である、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、(A−3)成分であるd−カンフル、dl−カンフル、(−)−メントン、(+)−イソメントール、1,8−シネオール、メントフラン、α-ピネン、β-ピネン、(R)−(+)−リモネン、(S)−(−)−リモネン、ネオメントール、メチルアセテート、及び(A−4)成分である、クロロブタノールを含む眼科組成物は、TRPA1アゴニストによる刺激感を抑制できた。また、(A−3)成分を含む精油である、ペパーミントオイル及びユーカリ油を含む眼科組成物においても、同様にTRPA1アゴニストによる刺激感を抑制できた。
[試験例2]l−メントールのTRPA1活性化の可視化、経時観察及び結合能力評価
上記試験例1と同様の原理に基づき、Ca2+濃度に応じて蛍光量が増すCa2+濃度指示薬Fluo-8を用いてTRPの活性化度を測定した。Ca2+濃度指示薬を予めhTRPA1遺伝子を保持したT-REx−293細胞内に取り込ませておき、蛍光顕微鏡システム(Leica, LAS AF6000)にて蛍光量を可視化した。
カバーガラス上に約60×10cell/mLのhTRPA1遺伝子を保持したT-REx−293細胞DMEM懸濁液をスライドガラス1枚あたり20μL滴下して、37℃、5%CO2インキュベーターで一晩インキュベートした。インキュベートしたカバーガラスをインキュベーターより取り出し、培地をデカンテーションで除去した。カバーガラスを緩衝液 (pH 7.4、5.37 mM KCl、0.44 mM KH2PO4、137 mM NaCl、0.34 mM Na2HPO4、5.56 mM D-glucose、20 mM HEPES、1 mM CaCl2、残余 精製水)で優しく洗浄した後、蛍光指示薬Fluo-8/緩衝液を添加し、37℃、5%CO2インキュベーターで1時間処理した。インキュベーター処理後、カバーガラスをチャンバー上に設置し、蛍光顕微鏡システム(Leica, LAS AF6000)にて蛍光量を可視化及び経時観察した。
本試験の流れは以下の通りである。
(1)緩衝液中で蛍光試薬の発光量が安定しているのを確認した後に、緩衝液をl−メントール(66.7μM)を含有する緩衝液に替え、TRPA1を活性させる。
(2)TRPA1の活性化が確認できた後に、l−メントール(66.7μM)を含有する緩衝液を、さらに同濃度のl−メントールと各被験試料(テトラヒドロゾリン塩酸塩 0.003125w/v%、ペパーミントオイル0.015w/v%)との組み合わせに替え、TRPA1活性が阻害されるか確認を行う。
(3)TRPA1活性の阻害効果が確認できた後に、l−メントールと各被験試料を含有する緩衝液を、(1)で用いたl−メントールを含有する緩衝液に戻し、TRPA1が再び活性化されるか確認を行う。
l−メントールによるTRPA1活性化を蛍光顕微鏡にて可視化した結果を図2に示す。ボルネオールを被験試料として用いたものはTRPA1活性阻害効果を示した後に、試験液をl−メントールに戻すと再度、TRPA1活性を示した(図2の参考例参照)。一方、(A−1)充血除去成分であるテトラヒドロゾリン塩酸塩及び(A−3)成分を含む精油であるペパーミントオイルを被験試料として用いたものは、TRPA1活性阻害効果を示した後に、試験液をメントールのみのものに戻すと阻害効果が見られないか、再活性化が弱かった(図2の実施例参照)。
すなわち、本発明の(A−1)成分及び(A−3)成分は、それぞれ、TRPA1受容体に対する阻害効果をしばらくの間、持続出来たと考えられる。
[試験例3]ヒトにおけるテトラヒドロゾリン塩酸塩による刺激感抑制確認試験
人工涙液(ロート製薬(株)製 「ロート ソフトワン点眼」 塩化カリウム0.1w/v%、塩化ナトリウム0.4w/v%、ホウ酸、pH調節剤含有)にl−メントール(0.01w/v%)及びポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(0.1w/v%)を溶解させたもの(比較例)、同上の人工涙液にl−メントール(0.01w/v%)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(0.1w/v%)及びテトラヒドロゾリン塩酸塩(0.05w/v%)を溶解させたもの(実施例)を同じ被験者の左右の眼にそれぞれ点眼し、清涼感及び刺激感を評価した結果を図3に示す。なお、被験者は裸眼若しくは眼鏡着用の8名の成人男性であり、評価はVASスケール(最大目盛:20)を用いて数値化して行った。
結果、メントールと(A−1)充血除去成分であるテトラヒドロゾリン塩酸塩を組み合わせることで、l−メントールの清涼感は維持しつつ、l−メントールの刺激感を抑制出来ることが示された。すなわち本発明の(A−1)充血除去成分によって、TRPA1アゴニストによる刺激感を抑制出来ることがヒトにおいても確認された。
[製剤例]
下記表4及び表5に記載の処方例を調製した。精製水は各液剤の全量が100mLとなるよう加えられた。
本発明は、刺激感が抑制された眼科組成物、眼科組成物用の刺激抑制剤、眼科組成物の刺激を抑制する方法及び眼刺激の評価方法に関する。本発明の剤は、医薬品の分野において有用である。

Claims (2)

  1. (B)l−メントールを含有する眼科組成物に、(A)テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、及びそれらの薬学上許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種を配合することにより、(B)l−メントールによる清涼感維持しながらも刺激感を抑制する方法(但し、眼科組成物が塩化ベンザルコニウム又はカフェイン若しくはその塩を含む場合を除く)。
  2. 眼科組成物において、(A)成分の割合が(B)成分が1である場合に対して0.01以上800以下である、請求項に記載の方法。
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