JP2011093891A - 眼科用組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(A)カルボキシビニルポリマー、及び
(B)ネオスチグミン、タウリン、パントテン酸類、テトラヒドロゾリン、ベルベリン、ピリドキシン、及びアスパラギン酸、並びにそれらの塩からなる群より選択される1種以上の粘度低下抑制剤を含有する眼科用組成物。
【選択図】なし
Description
例えば、特許文献1には、眼に用いるのに適した調剤薬であって、調剤上受容可能なキャリアと、薬剤成分と、涙液膜の蒸発を減少させる成分とを含む薬が記載されている。また、涙液膜の蒸発を減少させる成分として、ポリアクリル酸が記載されている。
しかし、高分子増粘剤であるカルボキシビニルポリマーは、長時間光に暴露されると粘度が低下してしまう。一方、特に、点眼剤、洗眼剤、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物などの眼科用組成物は、品質管理上の観点などから透明性の高い容器に充填される事が望ましい。
本発明は、この知見に基づき完成されたものであり、以下の組成物及び方法を提供する。
項1.
(A)カルボキシビニルポリマー、及び
(B) ネオスチグミン、タウリン、パントテン酸類、テトラヒドロゾリン、ベルベリン、ピリドキシン、及びアスパラギン酸、並びにそれらの塩からなる群より選択される1種以上の粘度低下抑制剤を含有する眼科用組成物。
項2.
カルボキシビニルポリマーの含有量が、組成物の全体に対して、0.001〜10w/v%である項1に記載の組成物。
項3.
粘度低下抑制剤の含有量が、組成物の全体に対して、0.0001〜3w/v%である項1又は2に記載の組成物。
項4.
粘度が10〜10000mPa・sである項1〜3のいずれかに記載の組成物。
項5.
透明容器に充填されている項1〜4のいずれかに記載の組成物。
項6.
(A)カルボキシビニルポリマーを含有する眼科用組成物に、(B)ネオスチグミン、タウリン、パントテン酸類、テトラヒドロゾリン、ベルベリン、ピリドキシン、及びアスパラギン酸、並びにそれらの塩からなる群より選択される1種以上の粘度低下抑制剤を添加する、眼科用組成物の粘度低下抑制方法。
本発明の眼科用組成物は、(A)カルボキシビニルポリマー、及び(B)ネオスチグミン、タウリン、パントテン酸類、テトラヒドロゾリン、ベルベリン、ピリドキシン、及びアスパラギン酸、並びにそれらの塩からなる群より選択される1種以上の粘度低下抑制剤を含有する組成物である。
カルボキシビニルポリマーは、アクリル酸を主成分として重合して得られる親水性ポリマーであり、ポリアクリル酸、又はポリアクリル酸塩の何れであってもよい。
各成分の混合時にポリアクリル酸を使用する場合でも、pHを調整すると、結果として得られる組成物中では、その一部又は全部がポリアクリル酸塩になっている場合がある。好ましくは、カルボキシビニルポリマーとその他の成分とを混合する時に低粘度のポリアクリル酸を使用し、pH調整により、場合によりその一部又は全部をポリアクリル酸塩として組成物の粘度を上げればよい。また、混合時からポリアクリル酸塩を使用するのも好ましい。
ポリアクリル酸塩としては、ポリアクリル酸のナトリウム塩、カリウム塩のようなアルカリ金属塩;ポリアクリル酸のモノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩のようなアミン塩;ポリアクリル酸のアンモニウム塩などを使用できる。中でも、アルカリ金属塩が好ましい。
また、ポリアクリル酸またはその塩は架橋型、又は非架橋型のいずれであってもよいが、増粘効果が高く本願発明の効果をより一層発揮し易い点で架橋型ポリマーが好ましい。
カルボキシビニルポリマーは1種を単独で、又は2種以上を混合して使用できる。
カルボキシビニルポリマーの含有比率は、眼科用組成物全体に対して、カルボキシビニルポリマーの総量として0.001〜10w/v%程度が好ましく、0.05〜5 w/v%程度がより好ましく、0.075〜3 w/v%程度がさらに好ましく、0.1〜1 w/v%程度がさらにより好ましい。上記含有比率の範囲であれば、所望の増粘効果及び粘度低下抑制効果が得られる。また、上記含有比率の範囲であれば、良好な使用感が得られ、また洗眼剤として用いる場合には、充分な洗浄効果及び再付着抑制効果が得られ、眼の周囲への洗眼剤の付着も抑えることができる。
粘度低下抑制剤としては、ネオスチグミン、タウリン、パントテン酸類、テトラヒドロゾリン、ベルベリン、ピリドキシン、及びアスパラギン酸、並びにそれらの塩からなる群より選択される1種以上の化合物を使用することができる。
ネオスチグミンは、遊離のネオスチグミンであってもよく、硫酸塩、メチル硫酸塩、臭化物などの塩であってもよい。ネオスチグミン又はその塩のうち、好ましいのはメチル硫酸ネオスチグミンである。
タウリンは、別名アミノエチルスルホン酸または2-アミノエタンスルホン酸とも呼ばれる。アミノエチルスルホン酸は、塩であってもよい。好ましくはアミノエチルスルホン酸(タウリン)である。
パントテン酸類とは、パンテノール、パントテン酸、又はそれらの塩を指す。パントテン酸類は、遊離のパントテン酸類であってもよく、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などの塩であってもよい。パントテン酸類のうち、好ましいのはパントテン酸ナトリウム、パントテン酸カルシウム、パンテノールであり、特に好ましくはパンテノールである。
テトラヒドロゾリンは、遊離のテトラヒドロゾリンであってもよく、塩酸塩などの塩であってもよい。テトラヒドロゾリン又はその塩のうち、好ましいのは塩酸テトラヒドロゾリンである。
ベルベリンは、遊離のベルベリンであってもよく、塩酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩などの塩であってもよい。ベルベリン又はその塩のうち、好ましいのは塩化ベルベリン、硫酸ベルベリンである。
ピリドキシンは、遊離のピリドキシンであってもよく、塩酸塩などの塩であってもよい。ピリドキシン又はその塩のうち、好ましいのは塩酸ピリドキシンである。
上記の粘度低下抑制剤の中でも、ピリドキシン、テトラヒドロゾリン、ベルベリン、ネオスチグミン、タウリン、パントテン酸類、又はそれらの塩が好ましく、ネオスチグミン、タウリン、ピリドキシン、又はそれらの塩がより好ましい。粘度低下抑制剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。なお、眼科用組成物の粘度低下がより一層抑制される点で、2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
具体的には、眼科用組成物全体に対する各粘度低下抑制剤の好ましい含有比率は、以下の通りである。
粘度低下抑制剤としてネオスチグミン又はその塩を使用する場合のその含有量は、眼科用組成物全体に対して、ネオスチグミン又はその塩の総量として、0.0001〜0.1 w/v%程度が好ましく、0.0001〜0.05w/v% 程度がより好ましい。中でも、点眼剤、コンタクトレンズ装着液の場合は、好ましくは0.001〜0.1w/v%程度、より好ましくは0.001〜0.005w/v%程度、さらにより好ましくは0.003〜0.005 w/v%程度である。その他の眼科用組成物(洗眼剤等)の場合は、好ましくは0.0001〜0.001w/v%程度、より好ましくは0.0001〜0.0005 w/v%程度、さらにより好ましくは0.0003〜0.0005 w/v%程度である。
粘度低下抑制剤としてタウリン又はその塩を使用する場合のその含有量は、眼科用組成物全体に対して、タウリン又はその塩の総量として0.001〜1 w/v%程度が好ましい。中でも、点眼剤、コンタクトレンズ装着液の場合は、好ましくは0.1〜1 w/v% 程度、より好ましくは0.5〜1 w/v%程度である。また、その他の眼科用組成物(洗眼剤等)の場合は、0.01〜0.1 w/v%程度、より好ましくは0.05〜0.1 w/v%程度である。
粘度低下抑制剤としてパントテン酸類を使用する場合のその含有量は、眼科用組成物全体に対して、パントテン酸類の総量として0.0005〜0.1 w/v%程度が好ましい。中でも、点眼剤、コンタクトレンズ装着液の場合は、好ましくは0.005〜0.1 w/v%程度、より好ましくは0.01〜0.1 w/v%程度、特に好ましくは0.05〜0.1 w/v%程度である。また、その他の眼科用組成物(洗眼剤等)の場合は、好ましくは0.0005〜0.01 w/v%程度、より好ましくは0.001〜0.01 w/v%程度、特に好ましくは0.005〜0.01 w/v%程度である。
粘度低下抑制剤としてテトラヒドロゾリン又はその塩を使用する場合のその含有量は、眼科用組成物全体に対して、テトラヒドロゾリン又はその塩の総量として0.001〜0.1w/v%程度が好ましく、0.001〜0.05 w/v%程度がより好ましい。中でも、点眼剤、コンタクトレンズ装着液の場合は、好ましくは0.001〜0.1w/v%程度、より好ましくは0.001〜0.05 w/v%程度、さらに好ましくは0.01〜0.05 w/v%程度、特に好ましくは0.01〜0.03 w/v%程度である。また、その他の眼科用組成物(洗眼剤等)の場合は、好ましくは0.001〜0.01 w/v%程度、さらに好ましくは0.001〜0.005 w/v%程度である。
粘度低下抑制剤としてベルベリン又はその塩を使用する場合のその含有量は、眼科用組成物全体に対して、ベルベリン又はその塩の総量として、0.0001〜0.1 w/v%程度が好ましい。中でも、点眼剤、コンタクトレンズ装着液の場合は、好ましくは0.004〜0.1 w/v%程度、さらに好ましくは0.005〜0.025 w/v%程度、さらにより好ましくは0.01〜0.025w/v%程度、特に好ましくは0.0125〜0.025 w/v%程度である。また、その他の眼科用組成物(洗眼剤等)の場合は、好ましくは0.0001〜0.01w/v%程度、より好ましくは0.0001〜0.003w/v%程度、さらに好ましくは0.0005〜0.0025 w/v%程度、特に好ましくは0.00125〜0.0025 w/v%程度である。
粘度低下抑制剤としてピリドキシン又はその塩を使用する場合のその含有量は、眼科用組成物全体に対して、ピリドキシン又はその塩の総量として、0.0005〜0.1w/v%程度が好ましい。中でも、点眼剤、コンタクトレンズ装着液の場合は、好ましくは0.005〜0.1w/v%程度、より好ましくは0.01〜0.1 w/v%程度、特に好ましくは0.05〜0.1w/v%程度である。また、その他の眼科用組成物(洗眼剤等)の場合は、好ましくは0.0005〜0.01w/v%程度、より好ましくは0.001〜0.01w/v%程度、特に好ましくは0.005〜0.01w/v%程度である。
本発明の眼科用組成物において、カルボキシビニルポリマー((A)成分)に対する粘度低下抑制剤( (B)成分)の含有比率は、特に制限されるものではないが、本願発明の効果をより一層発揮させる観点から、(A)成分の総量100重量部に対して、(B)成分の総量が約0.5〜1000重量部であることが好ましく、約1〜500重量部であることが更に好ましく、約2〜350重量部であることが特に好ましい。より具体的には、(A)成分の総量100重量部に対する(B)成分の含有比率として、以下の範囲が例示される。
(B)成分がタウリン又はその塩である場合の、(A)成分100重量部に対する(B)成分総量の比率は、約10〜1000重量部が好ましく、約20〜500重量部がより好ましく、約30〜450重量部がさらに好ましく、約40〜350重量部が特に好ましい。
(B)成分がパントテン酸類である場合の、(A)成分100重量部に対する(B)成分総量の比率は、約1〜100重量部が好ましく、約2〜50重量部がより好ましく、約4〜35重量部が特に好ましい。
(B)成分がテトラヒドロゾリン又はその塩である場合の、(A)成分100重量部に対する(B)成分総量の比率は、約1〜100重量部が好ましく、約2〜50重量部がより好ましく、約4〜35重量部が特に好ましい。
(B)成分がベルベリン又はその塩である場合の、(A)成分100重量部に対する(B)成分総量の比率は、約1〜100重量部が好ましく、約2〜50重量部がより好ましく、約4〜35重量部が特に好ましい。
(B)成分がピリドキシン又はその塩である場合の、(A)成分100重量部に対する(B)成分総量の比率は、約1〜100重量部が好ましく、約3〜40重量部がより好ましく、約4〜30重量部が特に好ましい。
(B)成分がアスパラギン酸またはその塩である場合の、(A)成分100重量部に対する(B)成分総量の比率は、約10〜1000重量部が好ましく、約20〜500重量部がより好ましく、約40〜350重量部が特に好ましい。
本願発明の眼科用組成物は、(A)成分及び(B)成分に加えて、さらにホウ酸緩衝剤を含有することが好ましく、それにより上記説明した本願発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸、並びにホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂のようなホウ酸塩などが挙げられる。中でも、ホウ酸又はホウ砂が好ましく、ホウ酸及びホウ砂を組み合わせて用いることがより好ましい。
ホウ酸緩衝剤の含有比率は、眼科用組成物全体に対して、0.05〜3w/v%程度が好ましく、0.2〜2.5w/v%程度がより好ましく、0.7〜2w/v%程度がさらにより好ましい。上記範囲であれば、その効果を十分に発揮できるとともに、組成物中の成分の析出が回避される。
本発明の眼科用組成物には、上記の成分に加えて、有効成分(薬理活性成分や生理活性成分等)を配合することができる。このような成分の種類は特に制限されず、例えば、充血除去成分、眼筋調節薬成分、抗炎症薬成分又は収斂薬成分、抗ヒスタミン薬成分又は抗アレルギー薬成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌薬成分又は殺菌薬成分、糖類、高分子化合物又はその誘導体、セルロース又はその誘導体、局所麻酔薬成分、緑内障治療成分、白内障治療成分等が例示できる。本発明において好適な薬理活性成分及び生理活性成分としては、例えば、次のような成分が挙げられる。
任意成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明の眼科用組成物の粘度は、約10mPa・s以上が好ましく、約30mPa・s以上がより好ましく、約100mPa・s以上がより好ましく、約200mPa・s以上がより好ましく、約500mPa・s以上がより好ましく、約700mPa・s以上がより好ましく、約1000mPa・s以上がより好ましく、約1200mPa・s以上が特に好ましい。また、約10000mPa・s以下が好ましく、約8000 mPa・s以下がより好ましく、約5000mPa・s以下がより好ましく、約4000mPa・s以下がより好ましく、約3000 mPa・s以下がより好ましく、約2000 mPa・s以下が特に好ましい。
本発明の眼科用組成物は、上記範囲で、実用上十分な粘度となると共に、粘度低下抑制効果をより一層効果的に発揮できる。
本発明において、粘度は、第十五改正日本薬局方に記載の、一般試験法、粘度測定法、第2法回転粘度計法、「(2)単一円筒形回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)」の項に記載の方法で、B型回転粘度計(RB−80L;東機産業社)を用いて測定した値であり、具体的には実施例の項目に記載の方法で測定した値である。
本発明の眼科用組成物の剤型は特に制限されず、液剤、懸濁剤、乳剤等の剤型が挙げられる。これらの場合、水の含有量は、通常、約90重量%以上、好ましくは約95重量%以上とすればよい。好ましくは液剤である。
また、本発明の眼科用組成物のpHは、約3〜10とすればよく、約4〜9が好ましく、約5〜8.5がより好ましく、約7〜8.5が特に好ましい。
本発明の眼科用組成物を保存する為の容器の材質としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなプラスチック製やガラス製などの透明容器が挙げられる。本発明の眼科用組成物は、光照射による粘度低下が抑制されているため、このような透明容器(異物を観察するのに差し支えない程度の透明性を備えた容器)に充填することができる。特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、又はポリアリレートを含有する容器が好ましく、特にポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートを含有する容器がさらに好ましい。また、本発明の眼科用組成物は、遮光された容器に充填されてもよい。遮光は、例えば上記した透明容器材料に着色剤を添加することにより行ってもよいし、容器をシュリンクフィルム、外箱などで覆うことにより、遮光してもよい。
本発明の眼科用組成物は、慣用の方法で調製できる。例えば、各成分を水などの担体に分散させた後、ホモジナイザーなどを用いて均一化、溶解又は乳化させ、pH調整剤でpHを調整することにより調製すればよい。また、製剤の滅菌方法としては、オートクレーブ滅菌、ろ過滅菌等の方法が選択される。
本発明の眼科用組成物として、具体的には、点眼剤(点眼薬、点眼液を含む)、洗眼剤(洗眼薬、洗眼液を含む)、眼軟膏薬、コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズ用ケア用剤(洗浄液、保存液、消毒液、マルチパーパスソリューションなど)等が例示される。点眼剤及び洗眼剤には、コンタクトレンズを装用したまま使用可能な点眼剤及び洗眼剤が含まれる。また、本明細書において、コンタクトレンズには、ハードコンタクトレンズ(酸素透過性ハードコンタクトレンズも含む)、ソフトコンタクトレンズ等のあらゆるタイプのコンタクトレンズが包含される。
点眼剤や洗眼剤等のような医薬品の場合には、製造工程における容器内の異物検査が必須である他、粘度の変化もより少ない方が望ましいなど特に高い品質保証が要求される。本発明の眼科用組成物は、粘度低下が抑制されているため、このような品質保証に耐えることができる。従って、本発明の眼科用組成物は、点眼剤、洗眼剤として好適に使用することができ、特に点眼剤として好適に使用することができる。
本発明は、(A)カルボキシビニルポリマーを含む眼科用組成物に、(B)粘度低下抑制剤を添加する眼科用組成物の粘度低下抑制方法を包含する。各成分の種類、含有量、任意成分、眼科用組成物の剤型、粘度、pH、用途・使用方法は、上記した眼科用組成物と同様である。
試料の調製、光照射
後掲の表1〜6に記載の組成を有する眼科用組成物を以下のようにして調製した。即ち、各眼科用組成物処方の組成のうちカルボキシビニルポリマー(CVP)及びpH調整剤(塩酸又は水酸化ナトリウム)以外の成分を適量の精製水に加え、さらに、105℃で3時間乾燥させたCVP(AQUPEC HV-505E(住友精化)、又はカーボポール980(ルーブリゾール社))を粘度500〜3000mPa・s(25℃)になるように加えて、溶液が均一になるまで充分に攪拌した。塩酸もしくは水酸化ナトリウム溶液を加え、pHが7.0〜8.5になるように調整し、さらに適量の精製水を加えて各成分が所定の濃度となるよう調製した。ヒプロメロース(HPMC SH65-4000;信越化学工業)についてもCVPと同様に、約3000mPa・s(25℃)になるように調製した。
照射終了後、光を照射していない試料(未照射試料)及び光を照射した試料(照射試料)を25℃で一晩遮光保管した。その後すみやかに、粘度計で25℃における粘度を測定した。
未照射試料及び照射試料の粘度(25℃)を測定し、未照射試料の粘度を100として、照射後の粘度をそれに対する相対粘度で表して、各処方における粘度低下を比較、評価した。
相対粘度=〔照射試料の粘度(25℃)/未照射試料の粘度(25℃)〕×100
試験に用いた各サンプルの粘度を、第十五改正日本薬局方に記載の、「一般試験法、粘度測定法、第2法回転粘度計法」に記載されている「(2)単一円筒形回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)」の項に記載の試験法に準拠して測定した。粘度計としてB型回転粘度計(RB−80L;東機産業社)を使用した。
粘度の測定条件は以下の通りである。
測定温度 25℃
測定値 1分後の粘度を測定値とした
回転数及びローターNo.
・粘度100 mPa・s未満:回転数60rpm、ローターNo.M2
・粘度100 mPa・s以上2500mPa・s未満:回転数12rpm、ローターNo.M2
・粘度2500mPa・s以上10000mPa・s未満:回転数12rpm、ローターNo.M3
η=KB × T/ω
η:液体の粘度(mPa・s)
KB:装置定数(rad/cm3)
ω:角速度(rad/s)
T:円筒面に作用するトルク(10-7N・m)
浸透圧測定
浸透圧は、第十五改正日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を参考にして測定した。
各試料の組成、並びに光照射前後における試料の粘度、相対粘度、組成物の性状、浸透圧、及びpHを下記の表1〜6に示す。
表1〜6において、CVPはカルボキシビニルポリマーを示す。
また、ネオスチグミン、テトラヒドロゾリン、ベルベリン、パントテン酸類、タウリン、及びアスパラギン酸カリウムも、同様に、カルボキシビニルポリマーを含む眼科用組成物の光照射による粘度低下を効果的に抑制した。
光照射前の組成物の粘度が高い場合は光照射による粘度低下が大きい(相対粘度が小さい)が、本発明の組成物は、このような場合も光照射による粘度低下が効果的に抑制されている。
また、カルボキシビニルポリマーの配合量や種類を変化させても、同様の粘度低下効果が認められた。
Claims (6)
- (A)カルボキシビニルポリマー、及び
(B)ネオスチグミン、タウリン、パントテン酸類、テトラヒドロゾリン、ベルベリン、ピリドキシン、及びアスパラギン酸、並びにそれらの塩からなる群より選択される1種以上の粘度低下抑制剤を含有する眼科用組成物。 - カルボキシビニルポリマーの含有量が、組成物の全体に対して、0.001〜10w/v%である請求項1に記載の組成物。
- 粘度低下抑制剤の含有量が、組成物の全体に対して、0.0001〜3w/v%である請求項1又は2に記載の組成物。
- 粘度が10〜10000mPa・sである請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
- 透明容器に充填されている請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
- (A)カルボキシビニルポリマーを含有する眼科用組成物に、(B) ネオスチグミン、タウリン、パントテン酸類、テトラヒドロゾリン、ベルベリン、ピリドキシン、及びアスパラギン酸、並びにそれらの塩からなる群より選択される1種以上の粘度低下抑制剤を添加する、眼科用組成物の粘度低下抑制方法。
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