JP7304168B2 - 点眼剤 - Google Patents

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Description

本発明は、点眼剤に関する。
点眼剤(特に、マルチドーズ型点眼剤)は、点眼剤の収容容器を開封した後一定期間にわたり何度も使用することが前提とされているところ、一旦容器を開封すると、空気あるいは接触した粘膜や皮膚等から点眼剤に微生物汚染が引き起こされる可能性が高い。そのため、点眼剤には、微生物汚染等による製品の腐敗を防止して保存安定性を図る観点から、一定レベル以上の保存効力を有することが求められている(例えば、特許文献1及び2)。
特開2013-82751号公報 特開平10-109930号公報
本発明は、保存効力が増強された点眼剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、(A)アレキシジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を点眼剤中に配合することにより、該点眼剤の保存効力が増強されることを見出した。本発明はこの新規な知見に基づくものである。
本発明は、例えば、以下の各発明を提供する。
[1]
(A)アレキシジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、点眼剤。
[2]
(B)酸性糖類及びセルロース系高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種を更に含有する、[1]に記載の点眼剤。
[3]
酸性糖類が、グリチルリチン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、[2]に記載の点眼剤。
[4]
セルロース系高分子化合物が、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、[2]又は[3]に記載の点眼剤。
[5]
pHが5.5~8.0である、[1]~[4]のいずれかに記載の点眼剤。
[6]
ソフトコンタクトレンズ装用中の点眼に使用される、[1]~[5]のいずれかに記載の点眼剤。
[7]
(A)アレキシジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量が、点眼剤の全量を基準として、0.000001~0.05w/v%である、[1]~[6]のいずれかに記載の点眼剤。
[8]
点眼剤に(A)アレキシジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を配合することを含む、該点眼剤の保存効力を増強する方法。
[9]
(A)アレキシジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、点眼剤用保存剤。
本発明によれば、保存効力が増強された点眼剤を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
[1.点眼剤]
本実施形態に係る点眼剤は、(A)アレキシジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種(「(A)成分」ともいう。)を含有する。
〔(A)成分〕
(A)成分であるアレキシジン及びその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
アレキシジンは、1,1’-ヘキサメチレン-ビス-[5-(2-エチルヘキシル)ビグアニド]とも称される公知の化合物である。
アレキシジンの塩としては、例えば、無機酸塩、有機酸塩及びスルホン酸塩が挙げられる。無機酸塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、ホウ酸、リン酸及び硝酸との塩が挙げられる。有機酸塩としては、例えば、酢酸、グルコン酸、マレイン酸、アスコルビン酸、ステアリン酸、酒石酸及びクエン酸との塩が挙げられる。スルホン酸塩としては、例えば、メタンスルホン酸、イセチオン酸、ベンゼンスルホン酸及びp-トルエンスルホン酸との塩が挙げられる。
アレキシジン及びその塩の具体例として、例えば、アレキシジン、アレキシジン二塩酸塩を挙げることができる。アレキシジン及びその塩としては、本発明による効果をより一層高める観点から、アレキシジン、及びアレキシジンの無機酸塩が好ましく、アレキシジンの無機酸塩がより好ましく、アレキシジンの塩酸塩が更に好ましく、アレキシジン二塩酸塩が特に好ましい。
アレキシジン及びその塩は、市販されているものを使用することもできる。アレキシジン及びその塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る点眼剤における(A)成分の含有量は、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、点眼剤の総量を基準として、(A)成分の総含有量が、0.000001~0.05w/v%であることが好ましく、0.000005~0.005w/v%であることがより好ましく、0.00001~0.0005w/v%であることが更に好ましく、0.00005~0.0002w/v%であることが更により好ましい。
〔(B)成分〕
本実施形態に係る点眼剤は、(B)酸性糖類及びセルロース系高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種(「(B)成分」ともいう。)を更に含有してもよい。これにより、本発明による効果をより高めることができる。(B)成分である酸性糖類及びセルロース系高分子化合物は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
酸性糖類は、糖骨格、及び、カルボキシル基又はスルホ基などの酸性基を分子内に有する化合物であれば特に限定はされない。酸性糖類の具体例としては、例えば、グリチルリチン酸及びその塩;ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、グリコサミノグリカン等のムコ多糖、及びそれらの塩が挙げられる。また、重量平均分子量が600以上(好ましくは700以上、より好ましくは800以上)の、糖骨格及び酸性基を有する化合物を酸性糖類として使用することもできる。酸性糖類としては、本発明による効果をより一層高める観点から、グリチルリチン酸、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸及びそれらの塩が好ましい。
グリチルリチン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩が挙げられる。
グリチルリチン酸及びその塩としては、本発明による効果をより一層高める観点から、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸のアルカリ金属塩及びグリチルリチン酸のアンモニウム塩が好ましく、グリチルリチン酸二カリウム及びグリチルリチン酸一アンモニウムがより好ましく、グリチルリチン酸二カリウムが更に好ましい。
ヒアルロン酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩が挙げられる。
ヒアルロン酸及びその塩としては、本発明による効果をより一層高める観点から、ヒアルロン酸及びヒアルロン酸のアルカリ金属塩が好ましく、ヒアルロン酸及びヒアルロン酸ナトリウムがより好ましく、ヒアルロン酸ナトリウムが更に好ましい。
コンドロイチン硫酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩が挙げられる。
コンドロイチン硫酸及びその塩としては、本発明による効果をより一層高める観点から、コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸のアルカリ金属塩が好ましく、コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸ナトリウムがより好ましく、コンドロイチン硫酸ナトリウムが更に好ましい。
酸性糖類は、市販のものを用いることもできる。酸性糖類は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
セルロース系高分子化合物としては、セルロース、及びセルロースのヒドロキシル基が他の官能基で置換された化合物を用いることができる。セルロースのヒドロキシル基を置換する官能基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシメトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、カルボキシメトキシ基及びカルボキシエトキシ基が挙げられる。セルロース系高分子化合物の具体例としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシエチルセルロース、並びにそれらの塩が挙げられる。セルロース系高分子化合物としては、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそれらの塩が好ましく、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びそれらの塩がより好ましい。
セルロース系高分子化合物は、市販のものを用いることもできる。セルロース系高分子化合物は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る点眼剤における(B)成分の含有量は特に限定されず、(B)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、点眼剤の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(B)成分の含有量としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、点眼剤の総量を基準として、(B)成分の総含有量が、0.0001~12w/v%であることが好ましく、0.001~2.5w/v%であることがより好ましく、0.01~1.2w/v%であることが更に好ましく、0.1~1w/v%であることが更により好ましい。
(B)成分として酸性糖類を使用する場合、酸性糖類の含有量としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、点眼剤の総量を基準として、酸性糖類の総含有量が、0.0001~5w/v%であることが好ましく、0.001~3w/v%であることがより好ましく、0.01~2w/v%であることが更に好ましく、0.1~0.85w/v%であることが更により好ましい。
(B)成分としてグリチルリチン酸及びその塩を使用する場合、グリチルリチン酸及びその塩の含有量としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、点眼剤の総量を基準として、グリチルリチン酸及びその塩の総含有量が、0.001~2w/v%であることが好ましく、0.01~1w/v%であることがより好ましく、0.05~0.5w/v%であることが更に好ましく、0.1~0.25w/v%であることが更により好ましい。
(B)成分としてヒアルロン酸及びその塩を使用する場合、ヒアルロン酸及びその塩の含有量としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、点眼剤の総量を基準として、ヒアルロン酸及びその塩の総含有量が、0.0001~1w/v%であることが好ましく、0.001~0.5w/v%であることがより好ましく、0.005~0.3w/v%であることが更に好ましく、0.01~0.1w/v%であることが更により好ましい。
(B)成分としてコンドロイチン硫酸及びその塩を使用する場合、コンドロイチン硫酸及びその塩の含有量としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、点眼剤の総量を基準として、コンドロイチン硫酸及びその塩の総含有量が、0.01~6w/v%であることが好ましく、0.05~5w/v%であることがより好ましく、0.1~4w/v%であることが更に好ましく、0.25~3w/v%であることが更により好ましく、0.5~1w/v%であることが特に好ましい。
(B)成分としてセルロース系高分子化合物を使用する場合、セルロース系高分子化合物の含有量としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、点眼剤の総量を基準として、セルロース系高分子化合物の総含有量が、0.001~3w/v%であることが好ましく、0.005~1w/v%であることがより好ましく、0.01~0.6w/v%であることが更に好ましく、0.05~0.3w/v%であることが更により好ましい。
本実施形態に係る点眼剤における、(A)成分に対する(B)成分の含有比率は特に限定されず、(A)成分及び(B)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、点眼剤の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する(B)成分の含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(B)成分の総含有量が、200~50000質量部であることが好ましく、1000~24000質量部であることがより好ましく、2000~12000質量部であることが更に好ましい。
(B)成分として酸性糖類を使用する場合、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、酸性糖類の総含有量が、100~40000質量部であることが好ましく、200~20000質量部であることがより好ましく、1000~10000質量部であることが更に好ましい。
(B)成分としてグリチルリチン酸及びその塩を使用する場合、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、グリチルリチン酸及びその塩の総含有量が、500~10000質量部であることが好ましく、1000~5000質量部であることがより好ましく、1500~2500質量部であることが更に好ましい。
(B)成分としてヒアルロン酸及びその塩を使用する場合、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、ヒアルロン酸及びその塩の総含有量が、1~2000質量部であることが好ましく、2.5~1500質量部であることがより好ましく、5~1250質量部であることが更に好ましい。
(B)成分としてコンドロイチン硫酸及びその塩を使用する場合、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、コンドロイチン硫酸及びその塩の総含有量が、300~60000質量部であることが好ましく、500~50000質量部であることがより好ましく、1000~40000質量部であることが更に好ましい。
(B)成分としてセルロース系高分子化合物を使用する場合、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、セルロース系高分子化合物の総含有量が、200~5000質量部であることが好ましく、500~4000質量部であることがより好ましく、1000~2500質量部であることが更に好ましい。
本実施形態に係る点眼剤は、アミノ酸類を更に含有してもよい。これにより、本発明による効果をより高めることができる。アミノ酸類は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
アミノ酸類としては、例えば、アミノ酸及びその塩、並びにアミノ酸誘導体及びその塩が挙げられる。アミノ酸及びその塩の具体例としては、例えば、グリシン、アラニン、アミノ酪酸、及びアミノ吉草酸等のモノアミノモノカルボン酸、アスパラギン酸、及びグルタミン酸等のモノアミノジカルボン酸、アルギニン、及びリジン等のジアミノモノカルボン酸、並びにこれらの塩が挙げられる。アミノ酸誘導体及びその塩の具体例としては、例えば、アミノエチルスルホン酸(タウリン)等のアミノ酸誘導体及びその塩が挙げられる。アミノ酸類は、D体、L体、DL体のいずれでもよい。アミノ酸類としては、本発明による効果をより一層高める観点から、アスパラギン酸及びその塩、アミノエチルスルホン酸が好ましく、アミノエチルスルホン酸がより好ましい。
アミノ酸類は、市販のものを用いることもできる。アミノ酸類は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る点眼剤におけるアミノ酸類の含有量は特に限定されず、アミノ酸類の種類、他の配合成分の種類及び含有量、点眼剤の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。アミノ酸類の含有量としては、本発明による効果をより高める観点から、例えば、点眼剤の総量を基準として、アミノ酸類の総含有量が、0.01~5w/v%であることが好ましく、0.05~3w/v%であることがより好ましく、0.1~2w/v%であることが更に好ましく、0.5~1w/v%であることが更により好ましい。
本実施形態に係る点眼剤における、(A)成分に対するアミノ酸類の含有比率は特に限定されず、(A)成分及びアミノ酸類の種類、他の配合成分の種類及び含有量、点眼剤の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分に対するアミノ酸類の含有比率としては、本発明による効果をより高める観点から、例えば、本実施形態に係る点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、アミノ酸類の総含有量が、2000~40000質量部であることが好ましく、5000~25000質量部であることがより好ましく、10000~20000質量部であることが更に好ましい。
本実施形態に係る点眼剤は、緩衝剤を更に含有していてもよい。緩衝剤としては、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、トリス緩衝剤を挙げることができる。緩衝剤としては、本発明による効果をより一層高める観点から、ホウ酸緩衝剤(例えば、ホウ酸とホウ砂の組合せ等)が好ましい。
本実施形態に係る点眼剤のpHは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されるものではない。本実施形態に係る点眼剤のpHとしては、目に対する刺激性、配合する成分の溶解性の観点から、例えば、4.0~9.5であってよく、5.5~8.0であることが好ましく、5.8~7.8であることがより好ましく、6.0~7.5であることが更に好ましい。
本実施形態に係る点眼剤は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は、点眼剤の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定され得るが、目に対する刺激性の観点から、例えば、0.3~3.0とすることができ、0.4~2.5とすることが好ましく、0.5~2.0とすることがより好ましく、0.8~1.5とすることが更に好ましい。浸透圧比は、第十七改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(凝固点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500~650℃で40~50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いることができる。
本実施形態に係る点眼剤の粘度は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば、特に限定されるものではない。本実施形態に係る点眼剤の粘度としては、点眼の容易さ、適用時の眼部における滞留性の観点から、例えば、回転粘度計(RE550型粘度計、東機産業社製、ローター;1°34’×R24)で測定した20℃における粘度が1~100mPa・sであることが好ましく、1~60mPa・sであることがより好ましく、1~30mPa・sであることが更に好ましく、1~7mPa・sであることが更により好ましい。
本実施形態に係る点眼剤は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記成分の他に種々の薬理活性成分及び生理活性成分から選択される成分を組み合わせて適当量含有していてもよい。当該成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造販売承認基準2012年版(一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会 監修)に記載された眼科用薬における有効成分が例示できる。眼科用薬において用いられる成分として、具体的には、例えば、次のような成分が挙げられる。
抗アレルギー剤:例えば、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、ペミロラストカリウム等。
抗ヒスタミン剤:例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、イプロヘプチン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸レボカバスチン、フマル酸ケトチフェン、ペミロラストカリウム、塩酸オロパタジン等。
消炎剤:例えば、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、グリチルリチン酸二カリウム、アラントイン、トラネキサム酸、ベルベリン、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、リゾチーム、塩化リゾチーム、アズレンスルホン酸、アズレンスルホン酸ナトリウム、インドメタシン、プラノプロフェン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ケトプロフェン、フェルビナク、ベンダザック、ピロキシカム、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、硫酸亜鉛、イプシロン-アミノカプロン酸等。
ステロイド剤:例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フランカルボン酸フルチカゾン、フランカルボン酸モメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド等。
充血除去剤:例えば、塩酸テトラヒドロゾリン、硝酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸フェニレフリン、dl-塩酸メチルエフェドリン等。
眼筋調節薬剤:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン、硫酸アトロピン等。
ビタミン類:例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸トコフェロール、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム等。
無機塩類:例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等の金属の塩化物;塩化アンモニウム;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム等の金属の硫酸塩等。
収斂剤:例えば、亜鉛華、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛等。
その他:例えば、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルフイソミジン及びそれらの塩等。
本実施形態に係る点眼剤には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途及び製剤形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。このような添加物として、例えば、医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性溶媒。
キレート剤:例えば、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等。
安定化剤:例えば、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、シクロデキストリン、モノエタノールアミン等。
基剤:例えば、オクチルドデカノール、酸化チタン、臭化カリウム、プラスチベース等。
pH調節剤:例えば、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等。
非イオン界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポロクサマー類等。
陰イオン界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、N-アシルタウリン塩等。
両性界面活性剤:例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等。
清涼化剤:メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、チモール、シメン、テルピネオール、ピネン、カンフェン、イソボルネオール、フェンチェン、ネロール、ミルセン、ミルセノール、酢酸リナロール、ラバンジュロール、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油、樟脳油等。
ビニル化合物:例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等。
多価アルコール:例えば、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等の脂肪族多価アルコール;グルコース、ラクトース、マルトース、フルクトース、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、トレハロース等の糖アルコール。
(A)成分以外の防腐剤:例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、クロルヘキシジン及びその塩(具体的には、塩酸クロルヘキシジン、酢酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン)、エデト酸ナトリウム、塩化亜鉛、ジブチルヒドロキシトルエン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、ビグアニド化合物(具体的には、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド)等)、グローキル(ローディア社製商品名)等。
油類:例えば、ゴマ油、ヒマシ油、ダイズ油、オリーブ油等の植物油、スクワラン等の動物油、流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油等。
なお、本実施形態に係る点眼剤は、ユーカリ油を含有しないことが好ましい。また、本実施形態に係る点眼剤は、目に対する刺激性の観点から、クロルヘキシジン及びその塩(好ましくはグルコン酸クロルヘキシジン)、塩化ベンザルコニウム並びに塩酸ポリヘキサニドからなる群より選択される少なくとも1種を含有しないことが好ましい。さらに、本実施形態に係る点眼剤は、ユーカリ油と、クロルヘキシジン及びその塩(好ましくはグルコン酸クロルヘキシジン)、塩化ベンザルコニウム並びに塩酸ポリヘキサニドからなる群より選択される少なくとも1種とを共に含有しないことが好ましい。
本実施形態に係る点眼剤が水を含有する場合、水の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、点眼剤の総量を基準として、水の含有量が、80w/v%以上100w/v%未満であることが好ましく、85w/v%以上99.5w/v%以下であることがより好ましく、90w/v%以上99.2w/v%以下であることが更に好ましい。
本実施形態に係る点眼剤に使用される水は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであればよい。このような水として、例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水及び注射用蒸留水等を挙げることができる。それらの定義は第十七改正日本薬局方に基づく。
本実施形態に係る点眼剤は、(A)成分及び必要に応じて他の成分を所望の濃度となるように添加及び混和することにより調製することができる。例えば、精製水でそれらの成分を溶解又は分散させ、所定のpH及び浸透圧に調整し、濾過滅菌等により滅菌処理することで調製できる。
本実施形態に係る点眼剤は、目的に応じて種々の製剤形態をとることができる。製剤形態として、例えば、液剤、ゲル剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられる。本実施形態に係る点眼剤の製剤形態は、本発明による効果をより一層高める観点から、液剤が好ましい。
本実施形態に係る点眼剤は、コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む。本実施形態に係る点眼剤は、十分な保存効力を示す濃度においても細胞毒性が低い観点から、コンタクトレンズ(好ましくはソフトコンタクトレンズ)装用中の点眼に使用されることが好ましい。
本実施形態に係る点眼剤は、任意の容器に収容して提供される。本実施形態に係る点眼剤を収容する容器については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したものが挙げられる。好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレートであり、より好ましくは、ポリエチレンテレフタレートである。また、本実施形態に係る点眼剤を収容する容器は、容器内部を視認できる透明容器であってもよく、容器内部の視認が困難な不透明容器であってもよい。好ましくは透明容器である。ここで、「透明容器」とは、無色透明容器及び有色透明容器の双方が含まれる。
本実施形態に係る点眼剤を収容する容器には、ノズルが装着されてもよい。ノズルの材質については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したものが挙げられる。ノズルの材質としては、本発明の効果をより一層高めるという観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。
本実施形態に係る点眼剤を収容する容器は、複数回の使用量が収容されるマルチドーズ型であってもよく、単回の使用量が収容されるユニットドーズ型であってもよいが、本発明による効果をより顕著に発揮できることから、マルチドーズ型であることが好ましい。
[2.点眼剤の保存効力を増強する方法]
本実施形態に係る点眼剤は、(A)成分を含有することにより、保存効力が向上している。したがって、本発明の一実施形態として、点眼剤に(A)アレキシジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を配合することを含む、該点眼剤の保存効力を増強する方法が提供される。
点眼剤(特に、マルチドーズ型点眼剤)は、点眼剤の収容容器を開封した後一定期間にわたり何度も使用することが前提とされているところ、一旦容器を開封すると、空気あるいは接触した粘膜や皮膚等から点眼剤に微生物汚染が引き起こされる可能性が高い。そのため、点眼剤には、微生物汚染等による製品の腐敗を防止して保存安定性を図る観点から、一定レベル以上の保存効力を有することが求められており、保存効力の増強は点眼剤の開発において極めて重要な課題である。
当該方法における、(A)成分の種類及び含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、点眼剤の製剤形態及び用途等については、[1.点眼剤]で説明したとおりである。
[3.点眼剤を安定化させる方法]
本実施形態に係る点眼剤は、(A)成分を含有することにより、粘度の低下が抑制されている。したがって、本発明の一実施形態として、点眼剤に(A)アレキシジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を配合することを含む、該点眼剤を安定化させる方法が提供される。また、本発明の一実施形態として、点眼剤に(A)アレキシジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を配合することを含む、該点眼剤の粘度を安定化させる方法が提供される。
当該方法における、(A)成分の種類及び含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、点眼剤の製剤形態及び用途等については、[1.点眼剤]で説明したとおりである。
[4.点眼剤における滴下量のばらつきを抑制する方法]
本実施形態に係る点眼剤は、(A)成分を含有することにより、滴下量のばらつきが抑制されている。したがって、本発明の一実施形態として、点眼剤に(A)アレキシジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を配合することを含む、該点眼剤における滴下量のばらつきを抑制する方法が提供される。
当該方法における、(A)成分の種類及び含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、点眼剤の製剤形態及び用途等については、[1.点眼剤]で説明したとおりである。
[5.点眼剤用保存剤]
(A)成分は、点眼剤の保存効力を向上させる効果を奏する。したがって、本発明の一実施形態として、(A)アレキシジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、点眼剤用保存剤が提供される。
本実施形態に係る点眼剤用保存剤における(A)成分の種類及び含有量等、その他の成分の種類及び含有量等、製剤形態等については、[1.点眼剤]で説明したとおりである。
以下、実施例等に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔試験例1:保存効力試験(1)〕
下記表1に示す点眼剤を、常法に従い調製した。表1における各成分の単位はw/v%である。次に、調製した各点眼剤を60℃の恒温槽で3週間保管した。その後、以下の方法で各点眼剤の保存効力試験を第十七改正日本薬局方に基づいて実施した。
まず、Staphylococcus aureus(ATCC6538)を、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト斜面培地の表面に接種して、33℃で24時間培養した。培養菌体を白金耳で無菌的に採取し、適量の滅菌生理食塩水に浮遊させて、約1×10CFU/mLの生菌を含む細菌浮遊液を調製した。なお、浮遊液の生菌数は、別途培養して計測した。次に、50mLのCORNINGコニカルチューブ(PET)に、調製した各点眼剤を10mLずつ充填した。これらの各点眼剤に、生菌数(最終濃度)が約10CFU/mLとなるように、Staphylococcus aureus菌液(生理食塩水で懸濁)を接種し、よく攪拌して試料とした。菌を含む試料を遮光下23℃で7日間保存した。その後、菌を含む試料を計数に適切な濃度となるように調整し、トリプトソーヤ寒天培地(SCD寒天培地)上に播種し、33℃にて3日間培養後、観察されたコロニー数をカウントすることにより生菌数を求めた。接種直後の生菌数と、7日間保存後の試料中の生菌数を比較し、菌数の減少量をLog Reductionとして算出した。なお、計数のための菌の培養は、33℃にて3日間実施した。結果を表1に示す。
Figure 0007304168000001
グリチルリチン酸二カリウムを含む点眼剤において、塩酸ポリヘキサニドを配合した比較例1-1の点眼剤では菌数の減少量が小さかったのに対して、アレキシジン二塩酸塩を配合した実施例1-1の点眼剤では菌数が顕著に減少した。
〔試験例2:保存効力試験(2)〕
下記表2に示す点眼剤を、常法に従い調製した。表2における各成分の単位はw/v%である。次に、調製した各点眼剤を60℃の恒温槽で3週間保管した。保管した各点眼剤について、試験例1と同様の方法で保存効力試験を実施した。結果を表2に示す。
Figure 0007304168000002
コンドロイチン硫酸ナトリウムを含む点眼剤において、塩酸ポリヘキサニドを配合した比較例2-1の点眼剤での菌数の減少量と比較して、アレキシジン二塩酸塩を配合した実施例2-1の点眼剤では菌数が検出限界以下(Log Reduction:>4.1)にまで減少し、菌数の減少量が顕著に大きかった。
また、ヒアルロン酸ナトリウム又はヒドロキシエチルセルロースを含む各点眼剤において、アレキシジン二塩酸塩を配合した実施例2-2及び2-3の各点眼剤ではいずれも菌数が検出限界以下(Log Reduction:>4.1)であった。
〔試験例3:保存効力試験(3)〕
下記表3に示す点眼剤を、常法に従い調製した。表3における各成分の単位はw/v%である。次に、調製した各点眼剤を60℃の恒温槽で3週間保管した。保管した各点眼剤について、菌を含む試料を遮光下23℃で14日間保存したこと以外は試験例1と同様の方法で保存効力試験を実施した。結果を表3に示す。
Figure 0007304168000003
コンドロイチン硫酸ナトリウムとグリチルリチン酸二カリウムを含む点眼剤において、塩酸ポリヘキサニドを配合した比較例3-1の点眼剤では菌数の減少量が小さかったのに対して、アレキシジン二塩酸塩を配合した実施例3-1の点眼剤では菌数が顕著に減少した。
〔試験例4:ウサギ角膜上皮細胞株(SIRC)を用いた細胞毒性試験〕
96ウェル培養プレート(コーニング)にウサギ角膜上皮細胞株(SIRC)を1ウェルあたり2.5×10個の密度で播種し、37℃、湿度90%且つ5%COの条件下で1日間培養した。次に、Medium199(GIBCO)にウシ胎児血清(第一化学薬品)を10%(v/v)添加して細胞培養培地を調製した。続いて、調製した細胞培養培地にアレキシジン二塩酸塩を溶解して、成分の濃度が下記表4に示す濃度(保存効力を示す濃度)となるように調整した。得られた溶液を各ウェルに0.1mL添加し、24時間培養した。対照にはMedium199を添加した。培養後、上清を除去し、生細胞検出試薬(Cell Counting Kit-8;同仁化学)を10%(v/v)含有するMedium199にウシ胎児血清(第一化学薬品)を10%(v/v)添加して調製した細胞培養培地を添加して、37℃、湿度90%且つ5%COの条件で1時間インキュベートした。その後、分光光度計(VersaMax)にて生細胞に反応して発色した色素の吸光度(450nm)を測定した。下記式1を用いて、相対的細胞生存率を算出した。結果を表4に示す。
(式1)相対的細胞生存率(%)={(成分の溶液を添加したウェルにおける吸光度-培地及び生細胞検出試薬の混合液の吸光度)/(対照ウェルにおける吸光度-培地及び生細胞検出試薬の混合液の吸光度)}×100
Figure 0007304168000004
アレキシジン二塩酸塩を添加した溶液では、相対的細胞生存率が顕著に高かった。すなわち、アレキシジン二塩酸塩の細胞毒性は、十分な保存効力を示す濃度においても低いことが確認された。
〔試験例5:粘度安定性試験〕
下記表5に示す点眼剤を、常法に従い調製した。表5における各成分の単位はw/v%である。次に、調製した各点眼剤の粘度を以下の方法により測定した。さらに、各点眼剤を透明ガラス瓶に10mL充填し密栓して、60℃の恒温槽内にて3週間保管した後、再度各点眼剤の粘度を以下の方法により測定した。
E型粘度計の一種であるTVE-20L形粘度計コーンプレートタイプ(トキメック(TOKIMEC)製、東機産業(日本))に付属の標準コーンロータ(α=1°34’、半径(R)=24mm)をフルスケール・トルク6.737×10-5Nmのスプリングを介してモータで回転させた。測定時、粘度計は回転軸が水平面に対して垂直になるように設置した。各点眼剤1mLをコーンロータの所定の位置(プレート)に載置し、温度が20.0℃になるまで放置した。次いで、装置を各点眼剤の粘度に応じた回転数で回転させ、表示された粘度を読み取った。また、高精度の測定結果を得るために、各点眼剤の粘度測定前に、JIS Z 8809により規定されている石油系の炭化水素油(ニュートン流体)を校正用標準液として用い、測定値が標準液の粘度に一致するように調整した。なお、TVE-20L形粘度計コーンプレートタイプ以外の市販の粘度計を用い、上記と同様にコーンロータを選択して実施し、適宜校正することにより、同等の結果を得ることができる。
60℃での保管前後における粘度から、粘度低下率を下記式2に基づき算出した。結果を表5に示す。
(式2)粘度低下率(%)=100-(60℃で3週間保管後の粘度/60℃で保管前の粘度)×100
Figure 0007304168000005
ヒアルロン酸ナトリウム又はヒドロキシエチルセルロースを配合した点眼剤において、アレキシジン二塩酸塩を含有しない比較例5-1及び5-2の点眼剤と比較して、アレキシジンを含有する実施例5-1及び5-2の点眼剤では粘度低下率が小さくなった。
〔試験例6:滴下量のばらつき評価(1)〕
下記表6に示す点眼剤を、常法により調製した。表6における各成分の単位はw/v%である。次に、調製した各点眼剤を内容積10mLのポリエチレンテレフタレート製点眼容器に10mL充填し、この容器にポリエチレン製ノズルを装着した。
ポリエチレン製ノズルとしては、30~50μLの滴下に適したノズルを使用した。この容器入り点眼剤をノズルの滴下口をほぼ垂直に下を向けて滴下し、1滴滴下毎に滴下重量を測定した。この操作を20回繰り返すことによって求めた平均滴下量(AVG:mg)及び標準偏差(SD:mg)から、下記式3によって滴下量のばらつき(変動係数CV:%)を算出した。得られた各変動係数を用いて、比較例に対する実施例の、滴下量のばらつき抑制率を下記式4に基づき算出した。結果を表6に示す。
(式3)滴下量のばらつき(変動係数CV:%)=(SD/AVG)×100
(式4)滴下量のばらつき抑制率(%)
={(比較例の変動係数-実施例の変動係数)/比較例の変動係数}×100
Figure 0007304168000006
アミノエチルスルホン酸又はグリチルリチン酸二カリウムを配合した点眼剤において、アレキシジン二塩酸塩を含有しない比較例6-1及び6-2の点眼剤と比較して、アレキシジン二塩酸塩を配合した実施例6-1及び6-2の点眼剤では滴下量のばらつきが抑制された。
〔試験例7:滴下量のばらつき評価(2)〕
下記表7に示す点眼剤を、常法により調製した。表7における各成分の単位はw/v%である。次に、調製した各点眼剤について、試験例6と同様の方法で、比較例に対する実施例の、滴下量のばらつき抑制率を算出した。結果を表7に示す。
Figure 0007304168000007
ヒアルロン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース又はヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合した点眼剤において、塩酸ポリヘキサニドを配合した比較例7-1~7-3の点眼剤と比較して、アレキシジン二塩酸塩を配合した実施例7-1~7-3の点眼剤では滴下量のばらつきが抑制された。
〔製剤例〕
表8に記載の処方で、点眼剤を調製した(製剤例1~12)。表8中の単位は、表中に記載があるもの以外は全て(w/v%)である。
Figure 0007304168000008

Claims (2)

  1. レキシジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、
    グリチルリチン酸、ヒドロキシエチルセルロース、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸及びそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する点眼剤であって、
    前記アミノエチルスルホン酸の含有量が、点眼剤の総量を基準として、0.1~5w/v%である、点眼剤(ただし、ジグリシン又はその塩を含有する点眼剤を除く。)
  2. ソフトコンタクトレンズ装用中の点眼に使用される、請求項に記載の点眼剤。
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