JP2022157707A - 眼科組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】特定の重量平均分子量を有するコンドロイチン硫酸又はその塩を含有しながら、光による粘度変化が抑制された安定な眼科組成物を提供すること。【解決手段】重量平均分子量が3万~5万であるコンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、抗ヒスタミン剤、亜鉛塩、テトラヒドロゾリン及びその塩、ヒドロキシエチルセルロース及びその塩、並びにポリビニル系高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、眼科組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、眼科組成物に関する。
コンドロイチン硫酸又はその塩は酸性ムコ多糖の一種で、エネルギー代謝を促進させること、新陳代謝や細胞呼吸を促進して目の疲れを解消させること、涙液成分を補給すること等を目的として眼科製剤に配合されている(例えば、特許文献1)。
コンドロイチン硫酸又はその塩の中でも特定の重量平均分子量を有するものを含有する眼科組成物では、光に曝露されるとその粘度が小さくなり、安定性が低下するという新たな課題が本発明者らによって見出された。本発明は、特定の重量平均分子量を有するコンドロイチン硫酸又はその塩を含有しながら、光による粘度変化が抑制された安定な眼科組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、重量平均分子量が3万~5万であるコンドロイチン硫酸ナトリウムと特定の成分を含有した眼科組成物が、意外にも光による粘度変化を抑制することを見出した。
本発明は、例えば、以下の各発明を提供する。
[1]
重量平均分子量が3万~5万であるコンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、抗ヒスタミン剤、亜鉛塩、充血除去剤、ヒドロキシエチルセルロース及びその塩、並びにポリビニル系高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、眼科組成物。
[2]
抗ヒスタミン剤がクロルフェニラミン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、充血除去剤がテトラヒドロゾリン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、ポリビニル系高分子化合物がポリビニルピロリドンである、[1]に記載の眼科組成物。
[1]
重量平均分子量が3万~5万であるコンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、抗ヒスタミン剤、亜鉛塩、充血除去剤、ヒドロキシエチルセルロース及びその塩、並びにポリビニル系高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、眼科組成物。
[2]
抗ヒスタミン剤がクロルフェニラミン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、充血除去剤がテトラヒドロゾリン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、ポリビニル系高分子化合物がポリビニルピロリドンである、[1]に記載の眼科組成物。
本発明によれば、特定の重量平均分子量を有するコンドロイチン硫酸又はその塩を含有しながら、光による粘度変化が抑制された安定な眼科組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、特に記載のない限り、含有量の単位「%」は「w/v%」を意味し、「g/100mL」と同義である。
本実施形態に係る眼科組成物は、重量平均分子量が3万~5万であるコンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種(単に「(A)成分」とも表記する。)と、抗ヒスタミン剤、亜鉛塩、充血除去剤、ヒドロキシエチルセルロース及びその塩、並びにポリビニル系高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種(単に「(B)成分」とも表記する。)とを含有する。
本実施形態に係る眼科組成物は、後述の試験例において確認されているとおり、光による粘度変化を抑制する効果に加えて、容器への充填時又は送液時における配管での液残りを抑制する効果、保存効力を高める効果、目に製剤を入れた時の粘度によらず(高粘度製剤であっても)瞬きをしやすくする効果、目に製剤を入れた時の粘度によらず(高粘度製剤であっても)瞬き時の違和感を抑制する効果、紫外線による製剤の着色を抑制する効果、細胞生存率を高める効果、及び外的刺激(瞬き、コンタクトレンズ由来(つけ外し時、装用中)による刺激、目を擦る、異物混入(花粉、大気汚染物質、まつ毛、アイメイク関連異物、その他の異物等)による目の細胞損傷を抑制する効果を奏する。
〔コンドロイチン硫酸及びその塩〕
コンドロイチン硫酸及びその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
コンドロイチン硫酸及びその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
コンドロイチン硫酸の塩としては、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩としては、例えば、マグネシウム塩、カルシウム塩が挙げられる。
コンドロイチン硫酸及びその塩としては、コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸のアルカリ金属塩が好ましく、コンドロイチン硫酸及びコンドロイチン硫酸ナトリウムがより好ましく、コンドロイチン硫酸ナトリウムが更に好ましい。
コンドロイチン硫酸及びその塩は、天然物であっても合成物であってもよいが、一般的に天然物である動物(好ましくは哺乳類、魚類、軟体動物等;より好ましくはウシ、サメ、イカ等;更に好ましくはサメ)に由来するコンドロイチン硫酸及びその塩が好適に用いられ、とりわけサメ由来のコンドロイチン硫酸が好適に用いられる。
コンドロイチン硫酸及びその塩は、市販のものを用いることもできる。コンドロイチン硫酸及びその塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本明細書において「重量平均分子量」とは、コンドロイチン硫酸及びその塩の極限粘度を元に後述の計算式にて算出した値を意味する(Biol. Rev(1967),42, 499-551)。また、極限粘度は第17改正日本薬局方の一般試験法に記載の粘度測定法にて測定することができる。上記の方法で算出されたコンドロイチン硫酸及びその塩の重量平均分子量は、3万~5万の範囲であれば特に制限されないが、3万1000~4万9000であることが好ましく、3万2000~4万8000であることがより好ましい。
<重量平均分子量の計算式>
コンドロイチン硫酸Cの場合:
[η]=5.8×10-4M-7.4
コンドロイチン硫酸A又はBの場合:
[η]=3.1×10-4M-7.4
なお、上記式において、ηは極限粘度、Mは重量平均分子量をそれぞれ表す。
<重量平均分子量の計算式>
コンドロイチン硫酸Cの場合:
[η]=5.8×10-4M-7.4
コンドロイチン硫酸A又はBの場合:
[η]=3.1×10-4M-7.4
なお、上記式において、ηは極限粘度、Mは重量平均分子量をそれぞれ表す。
本実施形態に係る眼科組成物における(A)成分の含有量は特に限定されず、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分の含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、例えば、通常0.001~5w/v%であり、0.005~5w/v%であることが好ましく、0.008~4w/v%であることがより好ましく、0.01~3w/v%であることが更に好ましく、0.05~2w/v%であることが更により好ましく、0.1~1w/v%であることが特に好ましく、0.3~1w/v%であることが好ましい。
〔抗ヒスタミン剤〕
抗ヒスタミン剤は、抗ヒスタミン作用を有する化合物、及びその塩である。抗ヒスタミン剤は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
抗ヒスタミン剤は、抗ヒスタミン作用を有する化合物、及びその塩である。抗ヒスタミン剤は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
抗ヒスタミン剤の具体例としては、クロルフェニラミン、イプロヘプチン、ジフェンヒドラミン、ケトチフェン、オロパタジン、レボカバスチン、及びそれらの塩が挙げられる。抗ヒスタミン剤としては、クロルフェニラミン及びその塩が好ましく、クロルフェニラミンマレイン酸塩がより好ましい。
抗ヒスタミン剤は、市販されているものを使用することもできる。抗ヒスタミン剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分として抗ヒスタミン剤を用いる場合、本実施形態に係る眼科組成物における抗ヒスタミン剤の含有量は特に限定されず、抗ヒスタミン剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。抗ヒスタミン剤の含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、抗ヒスタミン剤の総含有量が、0.001~1w/v%であることが好ましく、0.003~0.5w/v%であることがより好ましく、0.005~0.1w/v%であることが更に好ましく、0.01~0.05w/v%であることが更により好ましく、0.02~0.04w/v%(例えば0.03w/v%)であることが特に好ましい。
(B)成分として抗ヒスタミン剤を用いる場合、本実施形態に係る眼科組成物における、(A)成分に対する抗ヒスタミン剤の含有比率は特に限定されず、(A)成分及び抗ヒスタミン剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する抗ヒスタミン剤の含有比率は、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、抗ヒスタミン剤の総含有量が、0.0002~20質量部であることが好ましく、0.001~10質量部であることがより好ましく、0.01~1質量部であることが更に好ましい。
〔亜鉛塩〕
亜鉛塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
亜鉛塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
亜鉛塩としては、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛又は塩化亜鉛が好ましく、硫酸亜鉛がより好ましい。また、亜鉛塩は、水和物(例えば、硫酸亜鉛7水和物)であってもよい。
亜鉛塩は、市販されているものを使用することもできる。亜鉛塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分として亜鉛塩を用いる場合、本実施形態に係る眼科組成物における亜鉛塩の含有量は特に限定されず、亜鉛塩の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。亜鉛塩の含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、亜鉛塩の総含有量が、0.0001~10w/v%であることが好ましく、0.001~5w/v%であることがより好ましく、0.005~3w/v%であることが更に好ましく、0.01~1w/v%であることが更により好ましく、0.03~0.5w/v%であることが特に好ましい。また、亜鉛塩の総含有量は0.25w/v%であってもよい。
(B)成分として亜鉛塩を用いる場合、本実施形態に係る眼科組成物における、(A)成分に対する亜鉛塩の含有比率は特に限定されず、(A)成分及び亜鉛塩の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する亜鉛塩の含有比率は、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、亜鉛塩の総含有量が、0.0002~1000質量部であることが好ましく、0.001~500質量部であることがより好ましく、0.01~100質量部であることが更に好ましく、0.05~50質量部であることが更により好ましく、0.05~30質量部であることが更により好ましく、0.1~1質量部が特に好ましい。また、(A)成分の総含有量1質量部に対する亜鉛塩の総含有量は0.5質量部であってもよい。
〔充血除去剤〕
充血除去剤は、目の充血を除去する作用を有する化合物、及びその塩である。充血除去剤は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
充血除去剤の具体例としては、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、オキシメタゾリン等のイミダゾリン化合物及びその塩(例えば、塩酸塩、硝酸塩);、エピネフリン、エフェドリン、メチルエフェドリン、フェニレフリン及びそれらの塩(例えば、塩酸塩)が挙げられる。充血除去剤としては、イミダゾリン化合物及びその塩が好ましく、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン及びそれらの塩がより好ましく、テトラヒドロゾリン及びその塩が更に好ましく、テトラヒドロゾリン塩酸塩(塩酸テトラヒドロゾリン)が特に好ましい。
充血除去剤は、市販されているものを使用することもできる。充血除去剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分として充血除去剤を用いる場合、本実施形態に係る眼科組成物における充血除去剤の含有量は特に限定されず、充血除去剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。充血除去剤の含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、充血除去剤の総含有量が、0.0001~1w/v%であることが好ましく、0.0005~0.5w/v%であることがより好ましく、0.001~0.1w/v%であることが更に好ましく、0.002~0.1w/v%であることが更により好ましい。
(B)成分として充血除去剤を用いる場合、本実施形態に係る眼科組成物における、(A)成分に対する充血除去剤の含有比率は特に限定されず、(A)成分及び充血除去剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する充血除去剤の含有比率は、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、充血除去剤の総含有量が、0.0001~50質量部であることが好ましく、0.0005~20質量部であることがより好ましく、0.001~10質量部であることが更に好ましく、0.003~5質量部であることが更により好ましい。
〔ヒドロキシエチルセルロース及びその塩〕
ヒドロキシエチルセルロース及びその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
ヒドロキシエチルセルロース及びその塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
ヒドロキシエチルセルロースの塩としては、例えば有機塩基との塩(アミン塩、アルギニン等の塩基性アンモニウム塩等)、無機塩基との塩(アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩等)等が挙げられ、中でもナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
ヒドロキシエチルセルロース及びその塩として、市販されているものを使用することもできる。ヒドロキシエチルセルロース及びその塩は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分としてヒドロキシエチルセルロース及びその塩を用いる場合、本実施形態に係る眼科組成物におけるヒドロキシエチルセルロース及びその塩の含有量は特に限定されず、ヒドロキシエチルセルロース及びその塩の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。ヒドロキシエチルセルロース及びその塩の含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準としてヒドロキシエチルセルロース及びその塩の総含有量が、0.0001~10w/v%であることが好ましく、0.001~5w/v%であることがより好ましく、0.005~3w/v%であることが更に好ましく、0.01~1w/v%であることが更により好ましい。
(B)成分としてヒドロキシエチルセルロース及びその塩を用いる場合、本実施形態に係る眼科組成物における、(A)成分に対するヒドロキシエチルセルロース及びその塩の含有比率は特に限定されず、(A)成分及びヒドロキシエチルセルロース及びその塩の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分に対するヒドロキシエチルセルロース及びその塩の含有比率は、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、ヒドロキシエチルセルロース及びその塩の総含有量が、0.0001~500質量部であることが好ましく、0.001~100質量部であることがより好ましく、0.005~50質量部であることが更に好ましく、0.01~30質量部であることが更により好ましい。
〔ポリビニル系高分子化合物〕
ポリビニル系高分子化合物は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。
ポリビニル系高分子化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマーが挙げられる。本発明に用いることができるポリビニル系高分子は、その分子量に制限はないが、例えば重量平均分子量0.5万~500万、好ましくは1万~300万、より好ましくは1万~100万程度のものを使用することができる。ポリビニルピロリドンのK値(粘性特性値)については、特に制限されないが、10~150程度のものを好ましく使用することができる。これらの中でも、本発明による効果をより一層高める観点から、ポリビニルピロリドンが好ましく、ポリビニルピロリドンK25、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90がより好ましく、ポリビニルピロリドンK30、ポリビニルピロリドンK90が更に好ましい。
ポリビニル系高分子化合物として、市販されているものを使用することもできる。ポリビニル系高分子化合物は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分としてポリビニル系高分子化合物を用いる場合、本実施形態に係る眼科組成物におけるポリビニル系高分子化合物の含有量は特に限定されず、ポリビニル系高分子化合物の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。ポリビニル系高分子化合物の含有量は、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、眼科組成物の総量を基準として、ポリビニル系高分子化合物の総含有量が、0.0001~10w/v%であることが好ましく、0.001~8w/v%であることがより好ましく、0.005~5w/v%であることが更に好ましく、0.01~3w/v%であることが更により好ましく、0.01~2w/v%であることが特に好ましい。
(B)成分としてポリビニル系高分子化合物を用いる場合、本実施形態に係る眼科組成物における、(A)成分に対するポリビニル系高分子化合物の含有比率は特に限定されず、(A)成分及びポリビニル系高分子化合物の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分に対するポリビニル系高分子化合物の含有比率は、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、ポリビニル系高分子化合物の総含有量が、0.0001~1000質量部であることが好ましく、0.001~500質量部であることがより好ましく、0.005~100質量部であることが更に好ましく、0.01~50質量部であることが更により好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物は、(C)界面活性剤(「(C)成分」ともいう。)を更に含有してもよい。眼科組成物が(C)成分を更に含有することで、本発明による効果がより顕著に奏される。界面活性剤は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)等のPOEソルビタン脂肪酸エステル;POE(40)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40)、POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)等のPOE硬化ヒマシ油;POE(3)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油3)、POE(10)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油10)、POE(35)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油35)等のPOEヒマシ油;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE-POPアルキルエーテル;POE(196)POP(67)グリコール(ポロクサマー407、プルロニックF127)、POE(200)POP(70)グリコール等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。なお、上記で例示する化合物において、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレン、及び括弧内の数字は付加モル数をそれぞれ示す。
両性界面活性剤としては、例えば、アルキルジアミノエチルグリシン又はその塩(例えば、塩酸塩等)等が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族α-スルホメチルエステル、α-オレフィンスルホン酸等が挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
これらの界面活性剤の中でも、非イオン性界面活性剤が好ましく、POEソルビタン脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POE・POPブロックコポリマーがより好ましい。界面活性剤は、市販のものを用いることもできる。界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る眼科組成物における(C)成分の含有量は特に限定されず、(C)成分の種類、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(C)成分の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、(C)成分の総含有量が、0.001~3w/v%であることが好ましく、0.005~2w/v%であることがより好ましく、0.01~1w/v%であることが更に好ましく、0.05~1w/v%であることが特に好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物における、(A)成分に対する(C)成分の含有比率は特に限定されず、(A)成分及び(C)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する(C)成分の含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(C)成分の総含有量が、0.001質量部~30質量部であることがより好ましく、0.005~20質量部であることがより好ましく、0.01~10質量部であることが更に好ましく、1~10質量部であることが特に好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物は、更に(D)緩衝剤(「(D)成分」ともいう。)を含有することが好ましい。眼科組成物が(D)成分を更に含有することで、本発明による効果がより顕著に奏される。緩衝剤は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。緩衝剤としては、例えば、無機酸由来の緩衝剤である無機緩衝剤、及び有機酸又は有機塩基由来の緩衝剤である有機緩衝剤が挙げられる。
無機緩衝剤としては、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤等が挙げられる。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸又はその塩(ホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩等)が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸又はその塩(リン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等)が挙げられる。炭酸緩衝剤としては、炭酸又はその塩(炭酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩等)が挙げられる。また、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤又は炭酸緩衝剤として、ホウ酸塩、リン酸塩又は炭酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、ホウ酸緩衝剤として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等);リン酸緩衝剤として、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等);炭酸緩衝剤として、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム等)などが例示できる。
有機緩衝剤としては、例えば、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、トリス緩衝剤、AMPD緩衝剤等が挙げられる。クエン酸緩衝剤としては、クエン酸又はその塩(クエン酸アルカリ金属塩、クエン酸アルカリ土類金属塩等)が挙げられる。酢酸緩衝剤としては、酢酸又はその塩(酢酸アルカリ金属塩、酢酸アルカリ土類金属塩等)が挙げられる。乳酸緩衝剤としては、乳酸又はその塩(乳酸アルカリ金属塩、乳酸アルカリ土類金属塩等)が挙げられる。コハク酸緩衝剤としては、コハク酸又はその塩(コハク酸アルカリ金属塩等)が挙げられる。また、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、乳酸緩衝剤又はコハク酸緩衝剤として、クエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩又はコハク酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、クエン酸緩衝剤として、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等);酢酸緩衝剤として、酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム等);乳酸緩衝剤として、乳酸又はその塩(乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウム等);コハク酸緩衝剤としてコハク酸又はその塩(コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム等)などが例示できる。トリス緩衝剤としては、例えば、トロメタモール又はその塩(トロメタモール塩酸塩等)が挙げられる。AMPD緩衝剤としては、例えば、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール又はその塩が挙げられる。
緩衝剤としては、ホウ酸緩衝剤(例えば、ホウ酸とホウ砂の組み合わせ等)、リン酸緩衝剤(例えば、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムの組み合わせ等)、トリス緩衝剤(例えば、トロメタモール)が好ましく、ホウ酸緩衝剤がより好ましく、ホウ酸及びその塩が更に好ましく、ホウ酸とホウ砂の組み合わせが更により好ましい。
緩衝剤は、市販されているものを使用してもよい。緩衝剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る眼科組成物における(D)成分の含有量は特に限定されず、(D)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(D)成分の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、(D)成分の総含有量が、0.01~10w/v%であることが好ましく、0.05~5w/v%であることがより好ましく、0.1~3w/v%であることが更に好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物における、(A)成分に対する(D)成分の含有比率は特に限定されず、(A)成分及び(D)成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、眼科組成物の用途及び製剤形態等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する(D)成分の含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る眼科組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(D)成分の総含有量が、0.01~100質量部であることが好ましく、0.05~50質量部であることがより好ましく、0.1~30質量部であることが更に好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物のpHは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されるものではない。本実施形態に係る眼科組成物のpHとしては、例えば、4.0~9.5であってよく、4.0~9.0であることが好ましく、4.5~9.0であることがより好ましく、4.5~8.5であることが更に好ましく、5.0~8.5であることが更により好ましく、5.0~8.0であることが特に好ましく、5.3~7.5であることがさらに特に好ましく、5.3~7.0であることが最も好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物は、必要に応じて、生体に許容される範囲内の浸透圧比に調節することができる。適切な浸透圧比は、眼科組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定され得るが、例えば、0.4~5.0とすることができ、0.6~3.0とすることが好ましく、0.8~2.2とすることがより好ましく、0.8~2.0とすることが更に好ましい。浸透圧比は、第十七改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(凝固点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)は、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500~650℃で40~50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いることができる。
本実施形態に係る眼科組成物の粘度は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば、特に限定されるものではない。本実施形態に係る眼科組成物の粘度としては、例えば、回転粘度計(TV-20型粘度計、東機産業社製、ローター;1°34’×R24)で測定した20℃における粘度が1~10000mPa・sであることが好ましく、1~8000mPa・sであることがより好ましく、1~1000mPa・sであることが更に好ましく、1~100mPa・sであることが更により好ましく、1~20mPa・sであることが特に好ましく、1.5~10mPa・sであることが最も好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、上記成分の他に種々の薬理活性成分及び生理活性成分から選択される成分を組み合わせて適当量含有していてもよい。当該成分は特に制限されず、例えば、要指導・一般用医薬品製造販売承認基準2017年版(一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会 監修)に記載された眼科用薬における有効成分が例示できる。眼科用薬において用いられる成分として、具体的には、例えば、次のような成分が挙げられる。
抗アレルギー剤:例えば、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、ペミロラストカリウム、アシタザノラスト、アンレキサノクス、イブジラスト等。
ステロイド剤:例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フランカルボン酸フルチカゾン、フランカルボン酸モメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド等。
眼筋調節薬剤:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン、硫酸アトロピン、塩酸ピロカルピン等。
消炎剤:例えば、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アラントイン、トラネキサム酸、リゾチーム、塩化リゾチーム、インドメタシン、プラノプロフェン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ケトプロフェン、フェルビナク、ベンダザック、ピロキシカム、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、イプシロン-アミノカプロン酸、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸又はその塩(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム)等。
ビタミン類:例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸トコフェロール、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム等。
アミノ酸類:例えば、L-アルギニン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、リジン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ吉草酸、トリメチルグリシン、タウリン、アスパラギン酸及びそれらの塩等。
収斂剤:例えば、亜鉛華等。
その他:例えば、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルフイソミジン及びそれらの塩等。
抗アレルギー剤:例えば、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、ペミロラストカリウム、アシタザノラスト、アンレキサノクス、イブジラスト等。
ステロイド剤:例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フランカルボン酸フルチカゾン、フランカルボン酸モメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド等。
眼筋調節薬剤:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン、硫酸アトロピン、塩酸ピロカルピン等。
消炎剤:例えば、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アラントイン、トラネキサム酸、リゾチーム、塩化リゾチーム、インドメタシン、プラノプロフェン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ケトプロフェン、フェルビナク、ベンダザック、ピロキシカム、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、イプシロン-アミノカプロン酸、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、グリチルリチン酸又はその塩(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム)等。
ビタミン類:例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、酢酸トコフェロール、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、ピリドキシン塩酸塩、パンテノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム等。
アミノ酸類:例えば、L-アルギニン、グルタミン酸、グリシン、アラニン、リジン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ吉草酸、トリメチルグリシン、タウリン、アスパラギン酸及びそれらの塩等。
収斂剤:例えば、亜鉛華等。
その他:例えば、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、スルフイソミジン及びそれらの塩等。
本実施形態に係る眼科組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途及び製剤形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。このような添加物として、例えば、医薬品添加物事典2016(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性溶媒。
キレート剤:例えば、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等。
基剤:例えば、オクチルドデカノール、酸化チタン、臭化カリウム、プラスチベース等。
pH調節剤:例えば、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等。
香料又は清涼化剤:例えば、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、チモール、シメン、テルピネオール、ピネン、カンフェン、イソボルネオール、フェンチェン、ネロール、ミルセン、ミルセノール、酢酸リナロール、ラバンジュロール、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油、樟脳油等。これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよい。
増粘剤:例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子化合物;グアーガム;ヒドロキシプロピルグアーガム;アラビアゴム;カラヤガム;キサンタンガム;寒天;アルギン酸及びその塩(ナトリウム塩等);ヘパリン類似物質、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリノイド、ヒアルロン酸及びその塩(ナトリウム塩等)のムコ多糖類;デンプン;キチン及びその誘導体;キトサン及びその誘導体;カラギーナン;ブドウ糖等の単糖類等。
安定化剤:例えば、エデト酸、エデト酸塩類(エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、シクロデキストリン、モノエタノールアミン、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等。
防腐剤:例えば、アルキルポリアミノエチルグリシン類第四級アンモニウム塩(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等)、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ポリドロニウム、安息香酸ナトリウム、エタノール、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド)、アレキシジン等)、グローキル(ローディア社製 商品名)等。
等張化剤:例えば、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
油類:例えば、ゴマ油、ヒマシ油、ダイズ油、オリーブ油等の植物油;スクワラン等の動物油;流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油等。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性溶媒。
キレート剤:例えば、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等。
基剤:例えば、オクチルドデカノール、酸化チタン、臭化カリウム、プラスチベース等。
pH調節剤:例えば、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等。
香料又は清涼化剤:例えば、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、チモール、シメン、テルピネオール、ピネン、カンフェン、イソボルネオール、フェンチェン、ネロール、ミルセン、ミルセノール、酢酸リナロール、ラバンジュロール、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油、樟脳油等。これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよい。
増粘剤:例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース系高分子化合物;グアーガム;ヒドロキシプロピルグアーガム;アラビアゴム;カラヤガム;キサンタンガム;寒天;アルギン酸及びその塩(ナトリウム塩等);ヘパリン類似物質、ヘパリン、ヘパリン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリノイド、ヒアルロン酸及びその塩(ナトリウム塩等)のムコ多糖類;デンプン;キチン及びその誘導体;キトサン及びその誘導体;カラギーナン;ブドウ糖等の単糖類等。
安定化剤:例えば、エデト酸、エデト酸塩類(エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、シクロデキストリン、モノエタノールアミン、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等。
防腐剤:例えば、アルキルポリアミノエチルグリシン類第四級アンモニウム塩(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等)、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ポリドロニウム、安息香酸ナトリウム、エタノール、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド)、アレキシジン等)、グローキル(ローディア社製 商品名)等。
等張化剤:例えば、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン等。これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。
油類:例えば、ゴマ油、ヒマシ油、ダイズ油、オリーブ油等の植物油;スクワラン等の動物油;流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油等。
本実施形態に係る眼科組成物は、本発明の効果を顕著に奏することができる観点から、ゲラニオール、酢酸リナリル、リモネン、シトラール及びリナロールからなる群より選択される少なくとも1種を0.01%以上含有しないことが好ましく、含有しないことが好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物が水を含有する場合、水の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、眼科組成物の総量を基準として、水の含有量が、80w/v%以上100w/v%未満であることが好ましく、85w/v%以上99.5w/v%以下であることがより好ましく、90w/v%以上99.2w/v%以下であることが更に好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物に使用される水は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであればよい。このような水として、例えば、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水及び注射用蒸留水等を挙げることができる。それらの定義は第十七改正日本薬局方に基づく。
本実施形態に係る眼科組成物は、所望量の(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて他の成分を所望の濃度となるように添加及び混和することにより調製することができる。例えば、精製水でそれらの成分を溶解又は分散させ、所定のpH及び浸透圧に調整し、濾過滅菌等により滅菌処理することで調製できる。
本実施形態に係る眼科組成物は、目的に応じて種々の製剤形態をとることができる。製剤形態として、例えば、液剤、ゲル剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられる。
本実施形態に係る眼科組成物は、例えば、点眼剤(点眼液又は点眼薬ともいう。また、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む。)、人工涙液、洗眼剤(洗眼液又は洗眼薬ともいう。また、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む。)、コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)、コンタクトレンズパッケージ液等]として用いることができる。なお、「コンタクトレンズ」は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ(イオン性及び非イオン性の双方を包含し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ及び非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの双方を包含する)を含む。本発明による効果をより顕著に奏する観点から、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ用眼科組成物が好ましく、シリコーンハイドロゲルレンズ装用中に点眼可能な点眼剤がより好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物は、本発明による効果をより顕著に発揮できることから、点眼剤(コンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む。)であることが好ましい。本実施形態に係る眼科組成物が点眼剤である場合、その用法・用量としては、効果を奏し、副作用の少ない用法・用量であれば特に限定されないが、例えば成人(15歳以上)及び7歳以上の小児の場合、1回1~3滴、1~2滴、又は2~3滴を1日2~4回、又は5~6回点眼して用いる方法を例示できる。
本実施形態に係る眼科組成物は、任意の容器に収容して提供される。本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したものが挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレートである。また、本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器は、容器内部を視認できる透明容器であってもよく、容器内部の視認が困難な不透明容器であってもよい。好ましくは透明容器である。ここで、「透明容器」とは、無色透明容器及び有色透明容器の双方が含まれる。
本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器には、ノズルが装着されてもよい。ノズルの材質については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したものが挙げられる。ノズルの材質としては、本発明の効果をより一層高めるという観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。
本実施形態に係る眼科組成物を収容する容器は、複数回の使用量が収容されるマルチドーズ型であってもよく、単回の使用量が収容されるユニットドーズ型であってもよい。
本実施形態に係る眼科組成物は、内容積が4~30mLである容器に充填されてなることが好ましく、内容積が5~20mLである容器に充填されてなることがより好ましく、内容積が6~16mLである容器に充填されてなることが更に好ましく、内容積が10~15mLである容器に充填されてなることが更により好ましい。また、内容積が0.1~3mLである容器に充填されてもよく、内容積が0.2~1mLである容器に充填されてもよい。
以下、試験例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、下記試験例で使用されるコンドロイチン硫酸ナトリウムは、全てサメ由来である。
〔試験例1:光照射による粘度安定性試験〕
表1に示す組成で常法に従い各眼科組成物を調製し、試験溶液とした。表1における各成分の単位はw/v%である。10mL容量のガラスヘッドスペースバイアル(ジーエルサイエンス社)に各眼科組成物を10mLずつ充填し、光安定性試験装置(LT-120A-WCD(ナガノサイエンス社製))にて、D65蛍光ランプを光源として、室温25℃の下、照度4000lx/hで積算照度120万lxとなるまで照射した。照射前後の各眼科組成物(600μL)について、レオメーター(MCR302(AntonPaar社))にて、コーンプレート型測定治具(CP50-1、d:0.102mm)を用いて、34℃でのせん断速度(1~10000(1/s))に対する粘度を測定した。そして、せん断速度1000(1/s)での粘度(mPa・s)を用いて、下記式に従い、試験前後の粘度安定性を評価した。結果を表1に示す。なお、粘度変化率の値が小さい程、光による粘度変化が生じず、眼科組成物が物性的に同等に保たれているであることを示す。
(式)粘度変化率(%)={(各眼科組成物の光照射前粘度-各眼科組成物の光照射後粘度)/各眼科組成物の光照射前粘度}×100
表1に示す組成で常法に従い各眼科組成物を調製し、試験溶液とした。表1における各成分の単位はw/v%である。10mL容量のガラスヘッドスペースバイアル(ジーエルサイエンス社)に各眼科組成物を10mLずつ充填し、光安定性試験装置(LT-120A-WCD(ナガノサイエンス社製))にて、D65蛍光ランプを光源として、室温25℃の下、照度4000lx/hで積算照度120万lxとなるまで照射した。照射前後の各眼科組成物(600μL)について、レオメーター(MCR302(AntonPaar社))にて、コーンプレート型測定治具(CP50-1、d:0.102mm)を用いて、34℃でのせん断速度(1~10000(1/s))に対する粘度を測定した。そして、せん断速度1000(1/s)での粘度(mPa・s)を用いて、下記式に従い、試験前後の粘度安定性を評価した。結果を表1に示す。なお、粘度変化率の値が小さい程、光による粘度変化が生じず、眼科組成物が物性的に同等に保たれているであることを示す。
(式)粘度変化率(%)={(各眼科組成物の光照射前粘度-各眼科組成物の光照射後粘度)/各眼科組成物の光照射前粘度}×100
重量平均分子量が約2万であるコンドロイチン硫酸ナトリウムを含む参考例1では光照射によって粘度変化は生じないが、重量平均分子量が約4万であるコンドロイチン硫酸ナトリウムを含む参考例2では光照射によって粘度変化が生じるという課題が見出された。しかし、重量平均分子量が約4万であるコンドロイチン硫酸ナトリウムと、塩酸テトラヒドロゾリン、硫酸亜鉛水和物、クロルフェニラミンマレイン酸塩、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンK30又はポリビニルピロリドンK90をそれぞれ含有した実施例1~6では粘度変化率が顕著に低下し、光照射による眼科組成物の安定性が向上することが確認された。なお、せん断速度100(1/s)で粘度を測定した際にも同様の傾向が得られた。
〔試験例2:ステンレス管における接触角の測定〕
表2に示す組成で常法に従い各眼科組成物を調製し、試験溶液とした。表2における各成分の単位はw/v%である。調製した各眼科組成物の液滴(約1μL)をステンレス製金属板(ヘルールキャップ TypeCLF-B)に滴下し、自動接触角計(固液界面解析システム Drop Master、DM-A501(協和界面科学株式会社))を使用して、滴下0.1秒後における金属に対する接触角(静的接触角)を測定した。各眼科組成物について接触角の測定を3回行い、その平均値を算出して各眼科組成物の接触角とした。結果を表2に示す。
表2に示す組成で常法に従い各眼科組成物を調製し、試験溶液とした。表2における各成分の単位はw/v%である。調製した各眼科組成物の液滴(約1μL)をステンレス製金属板(ヘルールキャップ TypeCLF-B)に滴下し、自動接触角計(固液界面解析システム Drop Master、DM-A501(協和界面科学株式会社))を使用して、滴下0.1秒後における金属に対する接触角(静的接触角)を測定した。各眼科組成物について接触角の測定を3回行い、その平均値を算出して各眼科組成物の接触角とした。結果を表2に示す。
実施例4及び5の試験溶液は参考例2の試験溶液と比較して接触角が顕著に増大した。すなわち、重量平均分子量が約4万であるコンドロイチン硫酸ナトリウムのみを含む試験溶液と比べて、重量平均分子量が約4万であるコンドロイチン硫酸ナトリウムとヒドロキシエチルセルロース又はポリビニルピロリドンを含有した試験溶液はステンレス管への親和性が顕著に低いことが確認された。製造ラインの充填管はステンレスのような金属で構成されているため、眼科組成物の容器への充填時に、充填管の先に付着する液滴を少なくすることができ、充填量の均一化が容易になることがわかる。
〔試験例3:保存効力に関する試験〕
表3に示す組成で常法に従い各眼科組成物を調製し、試験溶液とした。表3における各成分の単位はw/v%である。Staphylococcus aureus(ATCC6538)を、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト斜面培地の表面に接種して、33℃で24時間培養した。培養菌体を白金耳で無菌的に採取し、適量の滅菌生理食塩水に浮遊させて、約1×107CFU/mLの生菌を含む細菌浮遊液を調製した。なお、浮遊液の生菌数は、別途培養して計測した。次に、材質がPETである15mLのコニカルチューブ(CORNING社)に、調製した各眼科組成物を10mLずつ充填した。これらの各眼科組成物に、生菌数(最終濃度)が約105CFU/mLとなるように、Staphylococcus aureus菌液(生理食塩水で懸濁)を接種し、よく攪拌して試料とした。菌を含む試料を遮光下23℃で3日間保存した。その後、菌を含む試料を計数に適切な濃度となるように調整し、3MTM ペトリフィルムTM 生菌数迅速測定用プレート(RACプレート)上に1mL播種し、33℃にて2日間培養後、観察されたコロニー数をカウントすることにより生菌数を求めた。接種直後の生菌数と、3日間保存後の試料中の生菌数を比較し、菌数の減少量をLog Reductionとして算出した。さらに算出したLog Reductionについて、下記の評価基準に従って十分な保存効力を有しているかを判定した。なお、初期菌数計数のための菌の培養は、33℃にて2日間実施した。結果を表3に示す。
評価基準
Log Reduction<0.7:D
0.7≦Log Reduction<0.8:C
0.8≦Log Reduction<0.9:B
0.9≦Log Reduction:A
表3に示す組成で常法に従い各眼科組成物を調製し、試験溶液とした。表3における各成分の単位はw/v%である。Staphylococcus aureus(ATCC6538)を、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト斜面培地の表面に接種して、33℃で24時間培養した。培養菌体を白金耳で無菌的に採取し、適量の滅菌生理食塩水に浮遊させて、約1×107CFU/mLの生菌を含む細菌浮遊液を調製した。なお、浮遊液の生菌数は、別途培養して計測した。次に、材質がPETである15mLのコニカルチューブ(CORNING社)に、調製した各眼科組成物を10mLずつ充填した。これらの各眼科組成物に、生菌数(最終濃度)が約105CFU/mLとなるように、Staphylococcus aureus菌液(生理食塩水で懸濁)を接種し、よく攪拌して試料とした。菌を含む試料を遮光下23℃で3日間保存した。その後、菌を含む試料を計数に適切な濃度となるように調整し、3MTM ペトリフィルムTM 生菌数迅速測定用プレート(RACプレート)上に1mL播種し、33℃にて2日間培養後、観察されたコロニー数をカウントすることにより生菌数を求めた。接種直後の生菌数と、3日間保存後の試料中の生菌数を比較し、菌数の減少量をLog Reductionとして算出した。さらに算出したLog Reductionについて、下記の評価基準に従って十分な保存効力を有しているかを判定した。なお、初期菌数計数のための菌の培養は、33℃にて2日間実施した。結果を表3に示す。
評価基準
Log Reduction<0.7:D
0.7≦Log Reduction<0.8:C
0.8≦Log Reduction<0.9:B
0.9≦Log Reduction:A
参考例1は保存効力が低いが、実施例2及び6では保存効力が向上した。すなわち、重量平均分子量が約2万であるコンドロイチン硫酸ナトリウムを含む参考例1の試験溶液に比べて重量平均分子量が約4万であるコンドロイチン硫酸ナトリウムと硫酸亜鉛水和物又はポリビニルピロリドンを含有した実施例2及び6の試験溶液では保存効力がより向上することが確認された。
〔試験例4:粘度の測定〕
表4に示す組成で常法に従い各眼科組成物を調製し、試験溶液とした。表4における各成分の単位はw/v%である。調製後の各眼科組成物(600μL)の粘度について、レオメーター(MCR302(AntonPaar社製))にてコーンプレート型測定治具(CP50-1、d:0.102mm)を用いて、34℃でのせん断速度に対する粘度を測定した。せん断速度10000(1/s)での粘度(mPa・s)に関して、下記式に従い参考例2(コンドロイチン硫酸ナトリウム単独配合製剤)に対する実施例2の粘度低下率を算出した。なお、粘度が低下するということは、応力を与えた場合に粘度が低下することを示しており、瞬目時における粘度変化が評価できる。よって、瞬目時の粘度が低下するということは、瞬目がしやすく、また瞬目時の違和感を感じにくいことを表す。(式)粘度低下率(%)=(1-実施例2の粘度/参考例2の粘度)×100
結果を表4に示す。
表4に示す組成で常法に従い各眼科組成物を調製し、試験溶液とした。表4における各成分の単位はw/v%である。調製後の各眼科組成物(600μL)の粘度について、レオメーター(MCR302(AntonPaar社製))にてコーンプレート型測定治具(CP50-1、d:0.102mm)を用いて、34℃でのせん断速度に対する粘度を測定した。せん断速度10000(1/s)での粘度(mPa・s)に関して、下記式に従い参考例2(コンドロイチン硫酸ナトリウム単独配合製剤)に対する実施例2の粘度低下率を算出した。なお、粘度が低下するということは、応力を与えた場合に粘度が低下することを示しており、瞬目時における粘度変化が評価できる。よって、瞬目時の粘度が低下するということは、瞬目がしやすく、また瞬目時の違和感を感じにくいことを表す。(式)粘度低下率(%)=(1-実施例2の粘度/参考例2の粘度)×100
結果を表4に示す。
参考例2に比べて硫酸亜鉛水和物を含む実施例2の方が顕著に粘度が低下した。ここで、重量平均分子量が約4万のコンドロイチン硫酸ナトリウムを使用した参考例2の調製後の回転粘度計を用いて測定した粘度は、参考例2において重量平均分子量が約4万のコンドロイチン硫酸ナトリウムに代えて重量平均分子量が約2万のコンドロイチン硫酸ナトリウムを使用したこと以外は同じ組成の試験溶液の粘度よりも高かったことが本発明者らにより確認されている。点眼した際に眼科組成物の粘度が高い場合、瞬きがしづらい、違和感を感じやすいなどの問題が生じることがある。そのため、高せん断速度における粘度が低いと、点眼後に瞬きがしやすく、違和感を感じにくいと言える。よって、重量平均分子量が約4万のコンドロイチン硫酸ナトリウムと硫酸亜鉛水和物を含有した眼科組成物は、重量平均分子量が約4万のコンドロイチン硫酸ナトリウムのみを含有する眼科組成物と比較して、点眼後に瞬きがしやすく、違和感を感じにくいことが確認された。
〔試験例5:紫外線照射による外観(色)の変化抑制試験〕
表5に示す組成で常法に従い各眼科組成物を調製し、試験溶液とした。表5における各成分の単位はw/v%である。各眼科組成物をガラス瓶(10mL)に10mL充填し、35℃において、SUNTESTER XLS+(東洋精機社製、1700W キセノン空冷ランプ光源)を用いて、紫外光照度765(W/m2)、96時間照射した。その後、各眼科組成物を25℃で十分に恒温化させ、分光測色計(CM3500d:コニカミノルタ社製)を用いて、紫外線照射前後の各眼科組成物の色差変化(b*値)を測定し、下記式1に従って、紫外線照射前後での眼科組成物の外観の変化(色差変化度;Δb*値)を算出し、さらに下記式2に従って色差変化低下率を算出した。結果を表5に示す。なお、Δb*値が小さいほど、眼科組成物の外観(色)の変化(着色)が抑制されていることを表す。
(式1)Δb*=紫外線照射前のb*値-紫外線照射後のb*値
(式2)色差変化低下率(%)={1-(実施例1のΔb*/比較例1のΔb*)}×100
表5に示す組成で常法に従い各眼科組成物を調製し、試験溶液とした。表5における各成分の単位はw/v%である。各眼科組成物をガラス瓶(10mL)に10mL充填し、35℃において、SUNTESTER XLS+(東洋精機社製、1700W キセノン空冷ランプ光源)を用いて、紫外光照度765(W/m2)、96時間照射した。その後、各眼科組成物を25℃で十分に恒温化させ、分光測色計(CM3500d:コニカミノルタ社製)を用いて、紫外線照射前後の各眼科組成物の色差変化(b*値)を測定し、下記式1に従って、紫外線照射前後での眼科組成物の外観の変化(色差変化度;Δb*値)を算出し、さらに下記式2に従って色差変化低下率を算出した。結果を表5に示す。なお、Δb*値が小さいほど、眼科組成物の外観(色)の変化(着色)が抑制されていることを表す。
(式1)Δb*=紫外線照射前のb*値-紫外線照射後のb*値
(式2)色差変化低下率(%)={1-(実施例1のΔb*/比較例1のΔb*)}×100
重量平均分子量が約2万であるコンドロイチン硫酸ナトリウムと塩酸テトラヒドロゾリンを含有した比較例1に比べて、重量平均分子量が約4万であるコンドロイチン硫酸ナトリウムと塩酸テトラヒドロゾリンを含有した実施例1の方が紫外線照射による色差変化度(Δb*)が小さく、紫外線照射による製剤の着色が抑制されることが確認された。
〔試験例6:細胞損傷試験〕
表6に示す組成で常法に従い各眼科組成物を調製し、試験溶液とした。表6における各成分の単位はw/v%である。24ウェルプレート(コーニング社)にヒト角膜上皮細胞株HCE-T細胞を1×105cells/mLの濃度で各ウェルに対し、500μLずつ播種し、37℃、5%CO2の濃度に設定したCO2インキュベーターで培養した。増殖培地としては、DMEM/F12(ThermoFisher社)にFCS(DSファーマ社)を5%、DMSO(和光純薬社)を0.5%、recombinant human EGF(R&D社)を10ng/mL、insulin solution human(SIGMA社)を5μg/mLとなるように添加したものを用いた。2~4日後に細胞がコンフルエントになったら各ウェルから増殖培地を吸引除去し、各眼科組成物を50μLずつ各ウェルに加え、37℃、5%CO2の条件下で15分間インキュベートした。ガラスビーズ(アズワン社)を各ウェルに3又は4粒入れ、マイクロプレートシェーカー(Heidlph Instruments GmbH &Co.KG社)を用いて450rpmで1分間振とうした。上清とガラスビーズを取り除き細胞数測定試薬Cellcountingkit-8(同仁化学社)と培地が1:10で混合されている培地を500μL入れて、CO2インキュベーターで2時間培養した後、吸光度計(MOLECULAR DEVICES社)を用いて、450nmでの吸光度を測定した。細胞生存率は下記式にて算出した。
(式)細胞生存率(%)=(各処方における吸光度/コントロールの吸光度)×100
結果を表6に示す。
表6に示す組成で常法に従い各眼科組成物を調製し、試験溶液とした。表6における各成分の単位はw/v%である。24ウェルプレート(コーニング社)にヒト角膜上皮細胞株HCE-T細胞を1×105cells/mLの濃度で各ウェルに対し、500μLずつ播種し、37℃、5%CO2の濃度に設定したCO2インキュベーターで培養した。増殖培地としては、DMEM/F12(ThermoFisher社)にFCS(DSファーマ社)を5%、DMSO(和光純薬社)を0.5%、recombinant human EGF(R&D社)を10ng/mL、insulin solution human(SIGMA社)を5μg/mLとなるように添加したものを用いた。2~4日後に細胞がコンフルエントになったら各ウェルから増殖培地を吸引除去し、各眼科組成物を50μLずつ各ウェルに加え、37℃、5%CO2の条件下で15分間インキュベートした。ガラスビーズ(アズワン社)を各ウェルに3又は4粒入れ、マイクロプレートシェーカー(Heidlph Instruments GmbH &Co.KG社)を用いて450rpmで1分間振とうした。上清とガラスビーズを取り除き細胞数測定試薬Cellcountingkit-8(同仁化学社)と培地が1:10で混合されている培地を500μL入れて、CO2インキュベーターで2時間培養した後、吸光度計(MOLECULAR DEVICES社)を用いて、450nmでの吸光度を測定した。細胞生存率は下記式にて算出した。
(式)細胞生存率(%)=(各処方における吸光度/コントロールの吸光度)×100
結果を表6に示す。
重量平均分子量約2万のコンドロイチン硫酸ナトリウムを含む参考例1と比べて、重量平均分子量約4万のコンドロイチン硫酸ナトリウムと、ヒドロキシエチルセルロースを含有した実施例4は細胞生存率が顕著に高いことが確認された。よって、重量平均分子量約4万のコンドロイチン硫酸ナトリウムと、ヒドロキシエチルセルロースを含有した眼科組成物を点眼した後に、目に外的刺激を与えた場合(例えば、手で目をこすった場合、瞬き、コンタクトレンズのつけ外し時、コンタクトレンズとの摩擦、異物混入(花粉、大気汚染物質、まつ毛、アイメイク関連異物、その他の異物)を受けた場合)においても、目の細胞損傷が抑制されることが期待される。
〔製剤例〕
下記表7及び8に記載の処方で、常法により点眼剤が調製される。なお、下記表7及び8における各成分量の単位は、表中に明記したもの以外はw/v%である。
下記表7及び8に記載の処方で、常法により点眼剤が調製される。なお、下記表7及び8における各成分量の単位は、表中に明記したもの以外はw/v%である。
Claims (2)
- 重量平均分子量が3万~5万であるコンドロイチン硫酸及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種と、抗ヒスタミン剤、亜鉛塩、充血除去剤、ヒドロキシエチルセルロース及びその塩、並びにポリビニル系高分子化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含有する、眼科組成物。
- 抗ヒスタミン剤がクロルフェニラミン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、充血除去剤がテトラヒドロゾリン及びその塩からなる群より選択される少なくとも1種であり、ポリビニル系高分子化合物がポリビニルピロリドンである、請求項1に記載の眼科組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021062082A JP2022157707A (ja) | 2021-03-31 | 2021-03-31 | 眼科組成物 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11766421B2 (en) | 2017-09-25 | 2023-09-26 | Surface Ophthalmics, Inc. | Ophthalmic pharmaceutical compositions and methods for treating ocular surface disease |
-
2021
- 2021-03-31 JP JP2021062082A patent/JP2022157707A/ja active Pending
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