JP7206078B2 - 摩擦によるストレス低減剤 - Google Patents

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本発明は、摩擦によるストレス低減剤に関する。
眼部においては、瞬目時やコンタクトレンズ装用時に結膜や角膜等の組織間で摩擦が発生し、これが目の乾き(ドライアイ)や炎症などの症状を引き起こすといわれている。よって、眼部における物理的な摩擦抵抗、あるいは摩擦により生じた生体反応に起因するストレスを低減することができれば、これらの症状の緩和につながるものと考えられる。
特許文献1には、コンタクトレンズ装用時における眼部の物理的な摩擦抵抗を低減する眼科組成物が記載されている。しかしながら、瞬目時の摩擦により生じた生体反応に起因するストレスを低減するための方法については、これまでに報告されていない。
国際公開第2017/094552号
本発明は、瞬目時における摩擦により生じた生体反応に起因するストレスを低減させる製剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、角膜上皮細胞等の細胞にシェアストレスを負荷することで、瞬目時の摩擦発生をモデル化できることを見出すとともに、増粘剤、油性成分又はアミノ酸類が摩擦により生じた生体反応に起因するストレスを低減させることを見出した。本発明は、この知見に基づくものであり、以下の各発明を提供するものである。
[1]
増粘剤、油性成分及びアミノ酸類からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、摩擦によるストレス低減剤。
[2]
増粘剤がビニル系増粘剤である、[1]に記載のストレス低減剤。
[3]
油性成分がトコフェロール類又はレチノール類である、[1]に記載のストレス低減剤。
[4]
アミノ酸類がアミノエチルスルホン酸である、[1]に記載のストレス低減剤。
[5]
細胞にシェアストレスを負荷することを含む、摩擦によるストレスを評価する方法。
本発明によれば、瞬目時における摩擦により生じた生体反応に起因するストレスを低減させる製剤を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、特に記載のない限り、含有量の単位「%」は「w/v%」を意味し、「g/100mL」と同義である。
〔1.摩擦によるストレス低減剤〕
本実施形態に係る摩擦によるストレス低減剤(単に「本実施形態に係る剤」とも表記する。)は、増粘剤、油性成分及びアミノ酸類からなる群より選択される少なくとも1種を含有する。
瞬目時の摩擦より角膜上皮細胞等の細胞に刺激が加わると、摩擦により生じた生体反応に起因するストレスにより、ROS(活性酸素種)が産生し、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン8(IL-8)等の炎症性サイトカインが上昇する一方、粘膜として細胞表面を保護する役割を担うムチン1(MUC1)、ムチン4(MUC4)、ムチン16(MUC16)等の糖タンパク質が低下することが本発明者らの知見として得られている。また、以下の実施例において示されているように、シェアストレスを用いた瞬目時の摩擦によるストレスの低減を評価する試験において、増粘剤はIL-6及びIL-8の各遺伝子発現を抑制し、かつMUC1、MUC4及びMUC16の各遺伝子発現を促進すること、油性成分はIL-6及びIL-8の各遺伝子発現を抑制すること、アミノ酸類はMUC1の遺伝子発現を促進することがそれぞれ確認されている。これらの知見から、増粘剤、油性成分又はアミノ酸類は、これらの遺伝子発現を制御することで、瞬目時の摩擦により生じた生体反応に起因するストレスを低減する作用を発揮するものと推認される。また、増粘剤又はアミノ酸類はムチンの産生を促進することから、摩擦により生じた生体反応に起因するストレスによって発生した眼表面へのレンズのはりつきやレンズとの摩擦によっておこる不快感(ピリピリ感)を低減する。さらに、ムチンは摩擦の発生部位にうるおいやクッション作用を付与する成分であることから、これらの成分はモイストクッション産生成分であるとも言える。
(増粘剤)
増粘剤は、粘性を付与する物質であって、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。増粘剤として、具体的には、ビニル系増粘剤(例えば、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン(K25、K30、K40、K50、K60、K80、K85、K90、K120等)、カルボキシビニルポリマーなど)、セルロース系増粘剤(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)(2208、2906、2910等)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ニトロセルロース又はそれらの塩等)、グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、アラビアゴム、カラヤガム、キサンタンガム、寒天、アルギン酸及びその塩、デンプン、キチン及びその誘導体、キトサン及びその誘導体、カラギーナン等が挙げられる。増粘剤の塩としては、例えば無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩等)が挙げられ、アルカリ金属との塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。増粘剤としては、本発明による効果をより一層高める観点から、ビニル系増粘剤が好ましく、ポリビニルピロリドンがより好ましく、ポリビニルピロリドンK90が更に好ましい。増粘剤は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る剤における増粘剤の含有量は特に限定されず、増粘剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態等に応じて適宜設定される。増粘剤の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、本実施形態に係る剤の総量を基準として、増粘剤の総含有量が、0.001~10w/v%であることが好ましく、0.005~5.0w/v%であることがより好ましく、0.01~4.0w/v%であることが更に好ましく、0.03~2.5w/v%であることが特に好ましい。
(油性成分)
油性成分は、常温(15~25℃)で液状、半固形状、または固形状で存在する疎水性成分全般をいい、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。油性成分として、具体的には、オリーブ油、ゴマ油、トウモロコシ油、ツバキ油、ダイズ油、ナタネ油、ラッカセイ油、ヒマシ油等の植物油、ラノリン、スクワラン等の動物油、流動パラフィン、ワセリン、白色ワセリン、セレシン等の鉱物油、トコフェロール類(d-α-トコフェロール、dl-α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール等)、レチノール類(レチノール、レチナール、レチノイン酸、カロチン、デヒドロレチナール、リコピン等)等の脂溶性ビタミン、メントール、アネトール、オイゲノール、カンフル、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、リモネン、リュウノウ等のテルペノイド(これらは、d体、l体又はdl体のいずれでもよい)、ハッカ油、クールミント油、スペアミント油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油等の精油が挙げられる。油性成分としては、本発明による効果をより一層高める観点から、脂溶性ビタミンが好ましく、トコフェロール類、レチノール類がより好ましく、酢酸トコフェロール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノールが更に好ましい。油性成分は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る剤における油性成分の含有量は特に限定されず、油性成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態等に応じて適宜設定される。油性成分の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、本実施形態に係る剤の総量を基準として、油性成分の総含有量が、0.001~0.1w/v%であることが好ましく、0.0025~0.1w/v%であることがより好ましく、0.0025~0.05w/v%であることが更に好ましく、0.005~0.05w/v%であることが特に好ましい。
油性成分がレチノール類である場合、本実施形態に係る剤におけるレチノール類の含有量は特に限定されず、レチノール類の種類、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態等に応じて適宜設定される。レチノール類の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、本実施形態に係る剤の総量を基準として、レチノール類の総含有量が、5000~50000IU/100mLであることが好ましく、10000~50000IU/100mLであることがより好ましく、30000~50000IU/100mLであることが更に好ましい。なお、「IU」とは、第十七改正日本薬局方ビタミンA定量法等に記載の手法により求められる国際単位を意味する。例えば、第十七改正日本薬局方の医薬品各条において、酢酸レチノールの場合、1gにつきビタミンA250万単位以上を含むこと、パルミチン酸レチノールの場合、1gにつきビタミンA150万単位以上を含むことが記載されている。
(アミノ酸類)
アミノ酸類とは、分子内にアミノ基とカルボキシ基若しくはスルホ基とを有する化合物又はその誘導体を意味する。アミノ酸類として、アミノ酸及びムコ多糖類、並びにそれらの塩が例示される。アミノ酸類のうち、アミノ酸及びその塩としては、例えば、グリシン、アラニン、γ-アミノ酪酸、γ-アミノ吉草酸等のモノアミノモノカルボン酸及びそれらの塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等のモノアミノジカルボン酸及びそれらの塩;アルギニン、リジン等のジアミノモノカルボン酸及びそれらの塩;アミノエチルスルホン酸(タウリン)等の誘導体及びそれらの塩が挙げられる。また、アミノ酸類のうち、ムコ多糖及びその誘導体、並びにそれらの塩としては、例えば、酸性ムコ多糖として、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸等の誘導体及びそれらの塩が挙げられる。アミノ酸及びその塩としては、L体、D体、DL体のいずれであってもよい。アミノ酸の塩又はムコ多糖類の塩としては、有機酸との塩(例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩等)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩等)等)、無機酸との塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩等)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩等)等が例示でき、化合物によって適宜選択される。例えば、モノアミノジカルボン酸の場合は、無機塩基との塩が好ましく、特にアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が好ましい。アミノ酸類としては、本発明による効果をより一層高める観点から、アミノエチルスルホン酸が好ましい。アミノ酸類は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る剤におけるアミノ酸類の含有量は特に限定されず、アミノ酸類の種類、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態等に応じて適宜設定される。アミノ酸類の含有量としては、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、例えば、本実施形態に係る剤の総量を基準として、アミノ酸類の総含有量が、0.01~5.0w/v%であることが好ましく、0.02~3.0w/v%であることがより好ましく、0.05~2.0w/v%であることが更に好ましく、0.1~1.0w/v%であることが特に好ましい。
本実施形態に係る剤は、上記増粘剤、油性成分及びアミノ酸類からなる群より選択される1種のみを含有してもよく、2種以上を含有してもよいが、本発明による効果をより顕著に奏する観点から、2種以上を含有することが好ましい。
本実施形態に係る剤が増粘剤及び油性成分を含有する場合、増粘剤に対する油性成分の含有比率は特に限定されず、増粘剤及び油性成分の種類、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態等に応じて適宜設定される。増粘剤に対する油性成分の含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る剤に含まれる増粘剤の総含有量1質量部に対して、油性成分の総含有量が、0.01~10質量部であることが好ましく、0.02~2質量部であることがより好ましい。
本実施形態に係る剤が増粘剤及び油性成分を含有し、かつ油性成分がレチノール類である場合、増粘剤に対するレチノール類の含有比率は特に限定されず、増粘剤及びレチノール類の種類、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態等に応じて適宜設定される。増粘剤に対するレチノール類の含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る剤に含まれる増粘剤の総含有量1質量部に対して、レチノール類の総含有量が、2万~500万IU/gであることが好ましく、6万~300万IU/gであることがより好ましい。
本実施形態に係る剤が増粘剤及びアミノ酸類を含有する場合、増粘剤に対するアミノ酸類の含有比率は特に限定されず、増粘剤及びアミノ酸類の種類、他の配合成分の種類及び含有量、製剤形態等に応じて適宜設定される。増粘剤に対するアミノ酸類の含有比率としては、本発明による効果をより一層高める観点から、例えば、本実施形態に係る剤に含まれる増粘剤の総含有量1質量部に対して、アミノ酸類の総含有量が、0.04~100質量部であることが好ましく、0.2~50質量部であることがより好ましい。
本実施形態に係る剤は、上記増粘剤、油性成分及びアミノ酸類からなる群より選択される少なくとも1種に加えて、本発明の効果を妨げない限度において、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される、薬理活性成分若しくは生理活性成分、及び/又は添加剤を更に含有してもよい。
本実施形態に係る剤の投与経路は特に限定されず、例えば、経腸投与、経静脈投与、経動脈投与、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、腹腔内投与、眼局所投与(例えば点眼投与、硝子体内投与、結膜下投与等)、経皮投与等の非経口投与、又は経口投与を採用することができる。これらの中でも、本発明の効果をより確実に発揮できるという観点から、非経口投与が好ましく、眼局所投与及び経皮投与がより好ましく、眼局所投与が更に好ましい。
本実施形態に係る剤は投与経路に適した製剤形態を採用することができる。経口投与に適した製剤形態としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等が挙げられ、非経口投与に適した製剤形態としては、例えば、眼科組成物(点眼剤、洗眼剤、コンタクトレンズ用組成物等)、皮膚外用剤(液剤、リニメント剤、ローション剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤)、注射剤等が挙げられる。これらの製剤形態は、当該分野で汎用されている通常の技術を用いて調製することができる。これらの中でも、本発明の効果をより確実に発揮できるという観点から、眼科組成物及び皮膚外用剤が好ましく、眼科組成物がより好ましい。なお、本実施形態に係る剤の製剤形態が眼科組成物である場合、例えば、液剤、ゲル剤、半固形剤(軟膏等)等の製剤形態をとることができ、中でも液剤であることが好ましい。
本実施形態に係る剤に含有されてもよい薬理活性成分又は生理活性成分は特に制限されず、例えば、要指導・一般用医薬品 製造販売承認基準・申請実務の手引き 2017(一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会監修)に記載された各種医薬における有効成分を例示することができる。特に、本実施形態に係る剤の製剤形態が眼科組成物である場合、具体的には、以下の成分が挙げられる。
抗ヒスタミン剤:例えば、イプロヘプチン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、フマル酸ケトチフェン、塩酸オロパタジン、塩酸レボカバスチン等。
抗アレルギー剤:例えば、クロモグリク酸ナトリウム、トラニラスト、ペミロラストカリウム等。
ステロイド剤:例えば、プロピオン酸フルチカゾン、フランカルボン酸フルチカゾン、フランカルボン酸モメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド等。
充血除去剤:例えば、塩酸テトラヒドロゾリン、硝酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸フェニレフリン、dl-塩酸メチルエフェドリン等。
眼筋調節薬剤:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン、硫酸アトロピン等。
消炎剤:例えば、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸二カリウム、プラノプロフェン、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アラントイン、トラネキサム酸、ε-アミノカプロン酸、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、リゾチーム、甘草等。
収斂剤:例えば、亜鉛華、乳酸亜鉛、硫酸亜鉛等。
水溶性ビタミン類:例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム等。
局所麻酔剤:例えば、リドカイン等。
その他:例えば、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム等。
本実施形態に係る剤に含有されてもよい添加物としては、例えば、担体、キレート剤、基剤、pH調節剤、界面活性剤、清涼化剤、緩衝剤、安定化剤、防腐剤、等張化剤、糖アルコール類、溶剤、分散剤、乳化剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、保湿剤、着色料、及び香料等が挙げられる。これらの添加物は、投与経路、製剤形態等に応じて適宜選択することができる。
本実施形態に係る剤の製剤形態が眼科組成物である場合、例えば、担体(例えば、水、含水エタノール等の水性溶媒)、キレート剤(例えば、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等)、基剤(例えば、オクチルドデカノール、酸化チタン、臭化カリウム、プラスチベース等)、pH調節剤(例えば、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(例えば、チロキサポール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ステアリン酸ポリオキシル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポロクサマー類等の非イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、N-アシルタウリン塩等の陰イオン界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の両性イオン界面活性剤等)、緩衝剤(例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、乳酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、トリス緩衝剤、AMPD緩衝剤等)、安定化剤(例えば、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、シクロデキストリン、モノエタノールアミン、ジブチルヒドロキシトルエン等)、防腐剤(例えば、アルキルポリアミノエチルグリシン類第四級アンモニウム塩(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等)、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ポリドロニウム、塩化亜鉛、安息香酸ナトリウム、エタノール、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド)、アレキシジン等)、グローキル(ローディア社製 商品名)等)、等張化剤(例えば、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、ブドウ糖等)、糖アルコール類(例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等)等を添加剤として使用することができる。
本実施形態に係る剤の製剤形態が眼科組成物である場合、そのpHは、医薬上、薬理学的に(製薬上)または生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されない。本実施形態に係る剤のpHとしては、例えば、4.0~9.5であることが好ましく、5.0~9.0であることがより好ましく、5.5~8.5であることが更に好ましい。
本実施形態に係る剤の製剤形態が眼科組成物である場合、その浸透圧には、生体に許容される範囲内であれば、特に制限されない。本実施形態に係る剤の浸透圧比としては、例えば、0.5~5.0であることが好ましく、0.6~3.0であることがより好ましく、0.7~2.0であることがさらに好ましく、0.75~1.55であることが特に好ましい。浸透圧の調整は、無機塩、多価アルコール、糖アルコールまたは糖等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。浸透圧比は、第十七改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)については、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500~650℃で40~50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いることができる。
本実施形態に係る剤の製剤形態が眼科組成物である場合、その粘度については、生体に許容される範囲内であれば、特に制限されない。回転粘度計(RE550型粘度計、東機産業社製、ローター:1°34'×R24)で測定した25℃における粘度が、例えば、0.1~1000mPa・sであることが好ましく、0.5~100mPa・sであることがより好ましく、1~50mPa.sであることが更に好ましく、1~10mPa・sであることが特に好ましい。
本実施形態に係る剤は、製剤分野で通常用いられている方法に従って調製すればよく、例えば、上記増粘剤、油性成分及びアミノ酸類からなる群より選択される少なくとも1種、及び必要に応じて他の含有成分を所望の含有量となるように添加及び混和することにより調製することができる。なお、本実施形態に係る剤の製剤形態が眼科組成物である場合、上記増粘剤、油性成分及びアミノ酸類からなる群より選択される少なくとも1種、及び必要に応じて他の含有成分を、所望の含有量となるように担体に添加することにより調製される。上記担体としては医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される水を使用すればよく、このような水として、具体的には、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水等が例示される。そして、例えば、精製水で、これらの成分を溶解または懸濁させ、所定のpH及び浸透圧に調整し、濾過滅菌等により滅菌処理することにより、本実施形態に係る剤を調製することができる。
本実施形態に係る剤の製剤形態が眼科組成物である場合、本実施形態に係る剤の総量に対して、水の含有量が85w/v%以上であり、90w/v%以上であることが好ましく、92w/v%以上であることがより好ましく、94w/v%以上であることが更に好ましく、96w/v%以上であることが特に好ましい。
本実施形態に係る剤の用法・用量としては、効果を奏し、副作用の少ない用法・用量であれば特に限定されないが、例えば、本実施形態に係る剤を眼科組成物として点眼投与する場合、かつ成人(15歳以上)及び7歳以上の小児の場合、1回1~2滴を1日4回点眼して用いる方法、1回1~2滴、1~3滴、又は2~3滴を1日5~6回点眼して用いる方法を例示できる。
本実施形態に係る剤は、任意の容器に収容して提供される。本実施形態に係る剤の製剤形態が眼科組成物である場合、該眼科組成物を収容する容器については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら二種以上を混合したものがあげられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレートである。また、本実施形態に係る剤の製剤形態が眼科組成物である場合、該眼科組成物を収容する容器には、ノズルが装着されてもよい。ノズルの材質については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したものが挙げられる。ノズルの材質としては、本発明の効果をより一層高めるという観点から、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。なお、眼科組成物を収容する容器は、容器内部を視認できる透明容器であってもよく、容器内部の視認が困難な不透明容器であってもよい。好ましくは透明容器である。ここで、「透明容器」とは、無色透明容器及び有色透明容器の双方が含まれる。眼科組成物は、例えば、有色透明のプラスチック製容器等に、繰り返し使用可能なマルチドーズの形態で収容して使用できる。また、別の態様として、ユニットドーズの形態で収容して使用することもできる。
本実施形態に係る剤は、医薬品または医薬部外品の製剤として使用できる。本実施形態に係る剤の製剤形態が眼科組成物である場合、該眼科組成物には、いわゆる点眼剤(ただし、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む)の他に、人工涙液、洗眼剤(ただし、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む)、コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤、コンタクトレンズ用消毒・洗浄・保存液<マルチパーパスソリューション>)等]等が含まれる。本実施形態の好適な一例として、点眼剤、人工涙液、洗眼剤、コンタクトレンズ装着液が挙げられ、特に好適な例として点眼剤、人工涙液が挙げられる。なお、コンタクトレンズ用組成物として用いる場合には、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズ(イオン性及び非イオン性の双方を包含し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ及び非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズの双方のシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを包含する)を含むあらゆるコンタクトレンズに適用可能である。
本実施形態に係る剤は、裸眼時、コンタクトレンズ装用時を問わず、眼部において瞬目時の摩擦によって生じた生体反応に起因するストレスを低減させることができるが、上述した各種遺伝子の発現量を制御することによって生体反応に起因するストレスを低減させることから、裸眼用のストレス低減剤、すなわち、裸眼における摩擦によるストレス低減剤であることが好ましい。
本実施形態に係る剤は、瞬目時の摩擦により生じた生体反応に起因するストレスを低減させる効果を奏する。よって、本発明の一実施形態として、製剤(好ましくは眼科組成物)に、増粘剤、油性成分及びアミノ酸類からなる群より選択される少なくとも1種を含有させることを含む、製剤(好ましくは眼科組成物)に摩擦によるストレスの低減作用を付与する方法が提供される。
〔2.摩擦によるストレスを評価する方法〕
本実施形態に係る摩擦によるストレスを評価する方法(単に「本実施形態に係る評価方法」とも表記する。)は、細胞にシェアストレスを負荷することを含む。
本明細書において「シェアストレス」とは、一定の間隔で細胞の表面に両方向性の水流を発生させたときに、水流方向に生じるずり応力を意味する。例えば、Pump System(ibidi社製)を用いて、細胞表面に両方向性の水流を発生させることで、細胞にシェアストレスを負荷することができる。よって、当該Pump Systemを用いて細胞にシェアストレスを負荷する試験系は、瞬目のモデルとして使用することができるとともに、瞬目時の摩擦により生じた生体反応に起因するストレスを評価することが可能となる。
細胞としては、眼部において瞬目時に摩擦が発生する部位に存在する細胞を用いることができる。このような細胞としては、例えば、角膜上皮細胞、結膜上皮細胞、結膜線維芽細胞、輪部幹細胞が挙げられ、中でも角膜上皮細胞が好ましい。
本実施形態に係る評価方法においては、細胞へのシェアストレスの負荷によるストレス関連物質の発現量の変化を指標とすることができる。
本明細書において「ストレス関連物質」とは、摩擦による刺激やシェアストレスが細胞に負荷されたときに、生体内で発現量の変化が生じるタンパク質や遺伝子を意味する。このようなストレス関連物質としては、例えば、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン8(IL-8)、ムチン1(MUC1)、ムチン4(MUC4)、ムチン16(MUC16)及びこれらの遺伝子が挙げられる。このうち、IL-6及びIL-8並びにこれらの遺伝子については、摩擦による刺激やシェアストレスが負荷されると発現量が増加するのに対し、MUC1、MUC4及びMUC16並びにこれらの遺伝子については、摩擦によるストレスが負荷されると発現量が減少する。
本実施形態に係る評価方法は、具体的には以下の工程:
(1)細胞にシェアストレスを負荷する工程(単に、「負荷工程」とも表記する)、
(2)被験物質の非存在下及び存在下におけるストレス関連物質の発現量を測定する工程(単に、「測定工程」とも表記する)、及び
(3)上記(2)測定工程で得られた被験物質の非存在下及び存在下におけるストレス関連物質の発現量の変化に基づいて、摩擦によるストレスの低減作用を評価する工程(単に、「評価工程」とも表記する)
を含む。
負荷工程では、細胞にシェアストレスを負荷する。本工程で用いる細胞としては、例えば、角膜上皮細胞、結膜上皮細胞等が挙げられ、中でも角膜上皮細胞が好ましい。細胞へのシェアストレスの負荷は、例えば、Pump System(ibidi社製)を用いることによって行うことができる。
測定工程では、被験物質の非存在下及び存在下におけるストレス関連物質の発現量を測定する。ストレス関連物質としては、摩擦による刺激やシェアストレスが細胞に負荷されたときに、生体内で発現量の変化が生じるタンパク質や遺伝子が挙げられ、例えば、IL-6、IL-8、MUC1、MUC4、MUC16及びこれらの遺伝子を例示できる。測定工程においては、遺伝子の発現量を測定するのが好ましい。ストレス関連物質の発現量は、当業者に公知の方法、例えば定量的リアルタイムPCR法によって測定することができる。
評価工程では、上記測定工程で得られた被験物質の非存在下及び存在下におけるストレス関連物質の発現量の変化に基づいて、摩擦によるストレスの低減作用を評価する。ストレス関連物質がIL-6及びIL-8並びにこれらの遺伝子である場合、被験物質の存在下における発現量が被験物質の非存在下における発現量と比較して減少した場合に、当該被験物質は摩擦によるストレスを低減させたものと評価することができる。また、ストレス関連物質がMUC1、MUC4及びMUC16並びにこれらの遺伝子である場合、被験物質の存在下における発現量が被験物質の非存在下における発現量と比較して増加した場合に、当該被験物質は摩擦によるストレスを低減させたものと評価することができる。
以下、試験例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔試験例:ヒト角膜上皮細胞におけるシェアストレス負荷時のMUC1、MUC4、MUC16、IL-6及びIL-8の各遺伝子発現量の測定〕
不死化ヒト角膜上皮細胞(HCE-T)を、培養プレート(μ-Slide VI0.4、ibidi社製)に7.2×10個播種し、37℃、5%CO、湿度90%の条件下で2日間培養し、培地交換を行った。さらに1日培養し、細胞がコンフルエントになっていることを確認した後、Pump System(ibidi社製)に接続した。Pump Systemには、事前に以下の表1~4に示す各成分の試験溶液をそれぞれ添加したもの、及び各成分の試験溶液を添加しないものを満たしておいた。ポリビニルピロリドン(ポリビニルピロリドンK90)、トコフェロール類(酢酸d-α-トコフェロール)及びアミノエチルスルホン酸の各試験溶液については、5mbarの圧で両方向性の水流を起こし、4.5dyn/cmのシェアストレスを負荷した。レチノール類(パルミチン酸レチノール)の試験溶液については、66mbarの圧で両方向性の水流を起こし、49.98dyn/cmのシェアストレスを負荷した。24時間後に細胞から総RNAを抽出した。総RNAの抽出は、QIAshredder(QIAGEN社製)とRNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いた。ReverTra Ace qPCR RT Master Mix with dDNA Remover(TOYOBO社製)を用いて逆転写PCRを行い、cDNAを作製した。Taq man プローブ(Applied Biosystems社製)を用いて、IL-6、IL-8、MUC1、MUC4及びMUC16のmRNA発現量をApplied Biosystems QuantStudio 3(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて定量的リアルタイムPCR法により評価した。定量的リアルタイムPCR後、各サンプルのCT値を、QuantStudioTM Design & Analysis Softwareの自動解析により算出した。
各サンプルにおける標的因子のΔCT値を、式(1)から算出した。
式(1):ΔCT値=(標的因子のCT値)-(GAPDHのCT値)
静置培養条件におけるサンプルのΔCT値の平均値を算出し、各サンプルのΔΔCT値を、式(2)から算出した。
式(2):ΔΔCT値=(標的因子のΔCT値)-(静置培養条件におけるサンプルのΔCT値の平均値)
各サンプルの、静置培養条件に対する相対的mRNA発現量を、式(3)から算出した。
式(3):各サンプルの相対的mRNA発現量=2-ΔΔCT
各群の相対的mRNA発現量の平均値及びSD値を算出した。
結果を以下の表1~4に示す。
なお、培養には、insulin(5μg/mL)、hEGF(10μg/mL)、滅菌DMSO(0.5%)、FBS(5%)を添加したDMEM/F-12 (Dulbecco’s Modified Eagle Medium/Nutrient Mixture F-12、Gibco社製)培地を用い、試験溶液はこの培地に各成分を溶解したものを用いた。
Figure 0007206078000001
Figure 0007206078000002
Figure 0007206078000003
Figure 0007206078000004
ポリビニルピロリドンK90は、シェアストレス負荷時のMUC1、MUC4及びMUC16の各遺伝子の発現量を増加させ、かつIL-6及びIL-8の各遺伝子の発現量を減少させた。酢酸d-α-トコフェロール及びパルミチン酸レチノールは、シェアストレス負荷時のIL-6及びIL-8の各遺伝子の発現量を減少させた。アミノエチルスルホン酸は、シェアストレス負荷時のMUC1の遺伝子の発現量を増加させた。
以上より、ポリビニルピロリドン、トコフェロール類、レチノール類及びアミノエチルスルホン酸は摩擦によるストレスを低減させるものと評価されることが確認された。
〔製剤例〕
以下の表5及び6に製剤例を示す。表5及び6における各成分の単位は表中に明記したもの以外はw/v%である。
Figure 0007206078000005
Figure 0007206078000006

Claims (4)

  1. パルミチン酸レチノール、酢酸d-α-トコフェロール及びアミノエチルスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、眼部における瞬目時の摩擦によるストレス低減剤
    (但し、ポリビニルピロリドンを含有するものを除く)。
  2. パルミチン酸レチノールの含有量が30000~50000IU/100mLであり、酢酸d-α-トコフェロールの含有量が0.005~0.05w/v%であり、アミノエチルスルホン酸の含有量が0.1~1.0w/v%である、請求項1に記載のストレス低減剤。
  3. 眼部における瞬目時の摩擦が、裸眼時の眼部における瞬目時の摩擦である、請求項1又は2に記載のストレス低減剤。
  4. 眼科組成物である、請求項1~3のいずれか一項に記載のストレス低減剤。
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