JP6345492B2 - 点眼剤 - Google Patents

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Description

本発明は、点眼剤に関する。
トラニラストは、アレルギー性疾患の治療剤として臨床上使用されており、例えば、眼科領域においても、アレルギー性結膜炎治療剤としてトラニラストを含有する点眼剤が臨床上使用されている(非特許文献1)。
インターロイキン−33(IL−33)は、IL−1スーパーファミリーに属するサイトカインであり、アレルギーの初期反応である肥満細胞の脱顆粒を促進することが知られている。また、IL−33は、TNF−α等の炎症性サイトカイン刺激により結膜細胞が産生することも知られている。
したがって、アレルギー反応が一旦始まると、IL−33により肥満細胞の脱顆粒が生じ、炎症性サイトカインが放出され、それによってIL−33が産生され、産生されたIL−33が肥満細胞の脱顆粒を促進するという悪循環が生じる。つまり、IL−33の産生を抑制して肥満細胞の脱顆粒を抑えることが、アレルギー症状の発症を抑える予防の観点から重要となる。
しかしながら、トラニラストの作用機序は、「抗原刺激による肥満細胞及び各種炎症細胞からのケミカルメディエーター(ヒスタミン、ロイコトリエン等)の遊離を抑制することにより、抗アレルギー作用を示す」(非特許文献1)ことであり、トラニラストが肥満細胞に作用することは知られているものの、トラニラストが結膜細胞に及ぼす影響はもちろん、IL−33産生に及ぼす影響については何ら知られていない。
リザベン(登録商標)点眼液0.5%(キッセイ薬品)添付文書
本発明は、IL−33産生抑制用の点眼剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、(A)トラニラスト又はその塩(以下、「(A)成分」ともいう。)が結膜細胞のIL−33産生を抑制することを見出した。また、本発明者らは、トラニラスト又はその塩のIL−33産生抑制作用が、(B)抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、アミノ酸類及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種(以下、「(B)成分」ともいう。)と組み合わせることによっても発揮され、また増強されることも見出した。さらに、(A)成分及び(B)成分を含有する点眼剤をアレルゲン接触前にアレルギー患者に投与すると、アレルゲン接触後に投与した場合と比較して、アレルギー症状がより緩和されることを見出した。これらの知見に基づき、本発明者らは本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[10]を提供する。
[1](A)トラニラスト又はその塩を含有する、IL−33産生抑制用点眼剤。
[2](A)トラニラスト又はその塩と、(B)抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、アミノ酸類及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種とを含有する、IL−33産生抑制用点眼剤。
[3]アレルゲンへの接触の1〜2週間前から適用される、(A)トラニラスト又はその塩と、(B)抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、アミノ酸類及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種とを含有する、アレルギー症状の予防用点眼剤。
[4]花粉飛散開始1〜2週間前から適用される、[3]に記載の点眼剤。
[5]アレルギー症状が、目の充血、目のかゆみ、なみだ目、目のかすみ及び目の異物感からなる群から選択される少なくとも1つである、[3]又は[4]に記載の点眼剤。
[6]シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを装用していない状態で適用される、[3]〜[5]のいずれかに記載の点眼剤。
[7](B)成分として、マレイン酸クロルフェニラミン、イプロヘプチン及び塩酸ジフェンヒドラミンからなる群から選択される少なくとも1種の抗ヒスタミン剤を含む、[3]〜[6]のいずれかに記載の点眼剤。
[8](B)成分として、ε−アミノカプロン酸、アラントイン、硫酸ベルベリン、塩化ベルベリン、グリチルリチン酸二カリウム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化リゾチーム、プラノプロフェン及びアズレンスルホン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の抗炎症剤を含む、[3]〜[7]のいずれかに記載の点眼剤。
[9](B)成分として、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、アミノエチルスルホン酸及びイプシロンアミノカプロン酸からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ酸類を含む、[3]〜[8]のいずれかに記載の点眼剤。
[10](B)成分として、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール及びハッカ油からなる群から選択される少なくとも1種の清涼化剤を含む、[3]〜[9]のいずれかに記載の点眼剤。
本発明の点眼剤は、IL−33産生抑制作用を有することから、アレルギー症状の予防に用いることが可能である。具体的には、本願発明の点眼剤は、目の充血、目のかゆみ、なみだ目、目のかすみ及び目の異物感といったアレルギー症状の予防に有効である。
また、IL−33は痛覚過敏に関与していることも知られており、本発明の点眼剤は、花粉症に起因する痛覚過敏である目の異物感(チクチク感、ゴロゴロ感)の予防に特に有効である。
動物アレルギー症状の評価において、比較例3の点眼剤を用いた時の各種VASスコアに対する、実施例6の点眼剤を用いた時の各種VASスコアの相対値を示す。 動物アレルギー症状の評価において、比較例3の点眼剤を用いた時の各種VASスコアに対する、実施例7の点眼剤を用いた時の各種VASスコアの相対値を示す。 花粉アレルギー症状の評価において、比較例4の点眼剤を用いた時の各種VASスコアに対する、実施例8の点眼剤を用いた時の各種VASスコアの相対値を示す。 花粉アレルギー症状の評価において、比較例4の点眼剤を用いた時の各種VASスコアに対する、実施例9の点眼剤を用いた時の各種VASスコアの相対値を示す。
本明細書において、含有量の単位「%」は「w/v%」を意味し、「g/100mL」と同義である。
本明細書において、略号「POE」はポリオキシエチレンを、略号「POP」はポリオキシプロピレンを、それぞれ意味する。
本実施形態に係る点眼剤は、(A)トラニラスト又はその塩と、(B)抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、アミノ酸類及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種とを含有する。
(A)成分
トラニラストは、N−(3,4−ジメトキシシンナモイル)アントラニル酸とも称される公知化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
トラニラストの塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような塩としては、例えば、有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等)]、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩]等の各種の塩が挙げられる。
これらのトラニラストの塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。アレルギーの予防、IL−33産生抑制という効果の観点から、(A)成分としてはトラニラストが好ましい。
本実施形態に係る点眼剤における、(A)成分の含有量は特に限定されず、(A)成分の種類、併用する(B)成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。(A)成分の含有量としては、例えば、本実施形態に係る点眼剤の総量を基準として、(A)成分の総含有量が、0.0001〜5w/v%であることが好ましく、0.001〜1w/v%であることがより好ましく、0.01〜0.5w/v%であることが更に好ましく、0.05〜0.5w/v%であることが特に好ましい。上記(A)成分の含有量は、アレルギーの予防、IL−33産生抑制という効果の観点から好適である。
(B)成分
(B)成分は、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、アミノ酸類及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種である。1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
抗ヒスタミン剤とは、抗ヒスタミン作用を有する物質であれば、特に制限されない。抗ヒスタミン剤としては、例えば、クロルフェニラミン、イプロヘプチン、ジフェンヒドラミン、及びそれらの塩が挙げられる。このような塩としては、塩酸塩、マレイン酸塩などが例示され、具体的には、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン等が例示される。IL−33産生抑制という効果の観点から、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミンが好適であり、マレイン酸クロルフェニラミンが特に好適である。
本実施形態に係る点眼剤における抗ヒスタミン剤の含有量は特に限定されず、抗ヒスタミン剤の種類、併用する(A)成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。抗ヒスタミン剤の含有量としては、例えば、本実施形態に係る点眼剤の総量を基準として、抗ヒスタミン剤の総含有量が、0.001〜1w/v%であることが好ましく、0.003〜0.5w/v%であることがより好ましく、0.005〜0.2w/v%であることが更に好ましく、0.01〜0.1w/v%であることが特に好ましい。上記抗ヒスタミン剤の含有量は、アレルギーの予防、IL−33産生抑制という効果の観点から好適である。
また、本実施形態に係る点眼剤における、(A)成分に対する抗ヒスタミン剤の含有比率は特に限定されず、(A)成分及び抗ヒスタミン剤の種類等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する抗ヒスタミン剤の含有比率としては、例えば、本実施形態に係る点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、抗ヒスタミン剤の総含有量が、0.0005〜20質量部であることが好ましく、0.001〜10質量部であることがより好ましく、0.003〜5質量部であることが更に好ましく、0.01〜2質量部であることが特に好ましい。上記(A)成分に対する抗ヒスタミン剤の含有比率は、アレルギーの予防、IL−33産生抑制という効果の観点から好適である。
抗炎症剤とは、抗炎症作用を有する物質であれば、特に制限されない。抗炎症剤としては、例えば、ε−アミノカプロン酸、アラントイン、ベルベリン、グリチルリチン酸、アズレンスルホン酸、亜鉛、トラネキサム酸、リゾチーム、及びプラノプロフェン及びそれらの塩が挙げられる。このような塩としては、無機酸との塩、有機酸との塩、無機塩基との塩、有機塩基との塩が挙げられ、硫酸塩、乳酸塩、塩酸塩、塩化物塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が例示される。具体的には、硫酸ベルベリン、塩化ベルベリン、グリチルリチン酸二カリウム、アズレンスルホン酸ナトリウム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化リゾチーム等が例示される。IL−33産生抑制という効果の観点から、ε−アミノカプロン酸、アラントイン、硫酸ベルベリン、塩化ベルベリン、グリチルリチン酸二カリウム、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、塩化リゾチーム、プラノプロフェン及びアズレンスルホン酸ナトリウムが好適であり、グリチルリチン酸二カリウムが特に好適である。
本実施形態に係る点眼剤における抗炎症剤の含有量は特に限定されず、抗炎症剤の種類、併用する(A)成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。抗炎症剤の含有量としては、例えば、本実施形態に係る点眼剤の総量を基準として、抗炎症剤の総含有量が、0.001〜7.5w/v%であることが好ましく、0.005〜5w/v%であることがより好ましく、0.01〜1w/v%であることが更に好ましく、0.02〜0.5w/v%であることが特に好ましい。上記抗炎症剤の含有量は、アレルギーの予防、IL−33産生抑制という効果の観点から好適である。
また、本実施形態に係る点眼剤における、(A)成分に対する抗炎症剤の含有比率は特に限定されず、(A)成分及び抗炎症剤の種類等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する抗炎症剤の含有比率としては、例えば、本実施形態に係る点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、抗炎症剤の総含有量が、0.001〜500質量部であることが好ましく、0.01〜200質量部であることがより好ましく、0.02〜100質量部であることが更に好ましく、0.04〜80質量部であることが特に好ましい。上記(A)成分に対する抗炎症剤の含有比率は、アレルギーの予防、IL−33産生抑制という効果の観点から好適である。
アミノ酸類とは、アミノ酸又はその塩、及びアミノ酸類似体を包含し、分子内にアミノ基とカルボキシル基又はスルホン基を有する化合物又はその誘導体を意味する。具体的にはアミノ酸又はその塩、ムコ多糖又はその塩が例示される。アミノ酸類のうち、アミノ酸またはその塩としては、例えば、グリシン、アラニン、アミノ酪酸、アミノ吉草酸、アミノカプロン酸等のモノアミノモノカルボン酸;アスパラギン酸、グルタミン酸等のモノアミノジカルボン酸又はそれらの塩;アルギニン、リジン等のジアミノモノカルボン酸又はそれらの塩;アミノエチルスルホン酸(タウリン)等の誘導体又はそれらの塩が挙げられる。また、アミノ酸類のうち、ムコ多糖またはその誘導体またはそれらの塩としては、例えば、酸性ムコ多糖として、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸等の誘導体又はそれらの塩が挙げられる。具体例として、グリシン、アラニン、γ―アミノ酪酸、γ―アミノ吉草酸、イプシロンアミノカプロン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸又はそれらの塩等が挙げられる。アミノ酸の塩又はムコ多糖の塩は、医薬上、薬理学的に又は生理学的に許容される塩を含む。そのような塩としては、有機酸との塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩等)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等)等]、無機酸との塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩等)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩等]等が例示でき、化合物によって適宜選択される。例えば、モノアミノジカルボン酸の場合は、無機塩基との塩が好ましく、特にアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩が好ましい。本発明のアミノ酸類は、D体、L体、DL体のいずれでもよい。IL−33産生抑制という効果の観点から、アスパラギン酸、アミノカプロン酸、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、アルギン酸又はその塩が好適であり、中でもアスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、イプシロンアミノカプロン酸、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウムが好適である。さらに好ましくはコンドロイチン硫酸又はその塩であり、特にコンドロイチン硫酸ナトリウムが好適である。
本実施形態に係る点眼剤におけるアミノ酸類の含有量は特に限定されず、アミノ酸類の種類、併用する(A)成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。アミノ酸類の含有量としては、例えば、本実施形態に係る点眼剤の総量を基準として、アミノ酸類の総含有量が、0.001〜10w/v%であることが好ましく、0.005〜8w/v%であることがより好ましく、0.02〜5w/v%であることが更に好ましく、0.05〜2w/v%であることが特に好ましい。上記アミノ酸類の含有量は、アレルギーの予防、IL−33産生抑制という効果の観点から好適である。
また、本実施形態に係る点眼剤における、(A)成分に対するアミノ酸類の含有比率は特に限定されず、(A)成分及びアミノ酸類の種類等に応じて適宜設定される。(A)成分に対するアミノ酸類の含有比率としては、例えば、本実施形態に係る点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、アミノ酸類の総含有量が、0.001〜500質量部であることが好ましく、0.005〜200質量部であることがより好ましく、0.01〜100質量部であることが更に好ましく、0.05〜70質量部であることが特に好ましい。上記(A)成分に対するアミノ酸類の含有比率は、アレルギーの予防、IL−33産生抑制という効果の観点から好適である。
清涼化剤は、点眼剤に清涼感を付与する物質であれば、特に制限されない。清涼化剤としては、例えば、テルペノイド、テルペノイドを含有する精油(例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ローズ油、ケイヒ油、スペアミント油、樟脳油、クールミント及びハッカ油)が挙げられる。テルペノイドとしては、例えば、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール(リュウノウ)、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール及び酢酸リナリルが挙げられる。テルペノイドはd体、l体及びdl体のいずれであってもよく、l−メントール、d−メントール、dl−メントール、dl-カンフル、d-カンフル、dl-ボルネオール、d-ボルネオールが例示される。ただし、ゲラニオール及びシネオール等のようにテルペノイドによっては光学異性体が存在しない場合もある。IL−33産生抑制という効果の観点から、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール及びハッカ油が好適であり、l−メントールが特に好適である。
本実施形態に係る点眼剤における清涼化剤の含有量は特に限定されず、清涼化剤の種類、併用する(A)成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。清涼化剤の含有量としては、テルペノイドとして測定することができ、例えば、本実施形態に係る点眼剤の総量を基準として、清涼化剤(テルペノイドとして)の総含有量が、0.00005〜0.5w/v%であることが好ましく、0.0005〜0.05w/v%であることがより好ましく、0.001〜0.05w/v%であることが更に好ましく、0.004〜0.02w/v%であることが特に好ましい。上記清涼化剤の含有量は、アレルギーの予防、IL−33産生抑制という効果の観点から好適である。
また、本実施形態に係る点眼剤における、(A)成分に対する清涼化剤の含有比率は特に限定されず、(A)成分及び清涼化剤の種類等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する清涼化剤の含有比率としては、例えば、本実施形態に係る点眼剤に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、清涼化剤の総含有量が、0.0001〜100質量部であることが好ましく、0.0005〜50質量部であることがより好ましく、0.001〜10質量部であることが更に好ましく、0.005〜5質量部であることが特に好ましい。上記(A)成分に対する清涼化剤の含有比率は、アレルギーの予防、IL−33産生抑制という効果の観点から好適である。
本実施形態に係る点眼剤は、更に緩衝剤を含有することが好ましい。これにより、点眼剤のpHを調整でき、また本願の効果をより一層顕著に発揮できる。緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、トリス緩衝剤、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩等が挙げられる。これらの緩衝剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸、又はホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩等のホウ酸塩が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸、又はリン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等のリン酸塩が挙げられる。炭酸緩衝剤としては、炭酸、又は炭酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩等の炭酸塩が挙げられる。クエン酸緩衝剤としては、クエン酸、又はクエン酸アルカリ金属塩、クエン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤として、ホウ酸塩又はリン酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、ホウ酸緩衝剤として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等);リン酸緩衝剤として、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等);炭酸緩衝剤として、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム等);クエン酸緩衝剤として、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等);酢酸緩衝剤として、酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム等);アスパラギン酸又はその塩(アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウム等)等が例示できる。これらの緩衝剤の中でも、ホウ酸緩衝剤(例えば、ホウ酸とホウ砂の組合せ等)、リン酸緩衝剤(例えば、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムの組合せ等)が好ましく、ホウ酸緩衝剤がさらに好ましい。
本実施形態に係る点眼剤が緩衝剤を含有する場合、その含有量は、緩衝剤の種類、他の含有成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。緩衝剤の含有量としては、例えば、点眼剤の総量を基準として、緩衝剤の総含有量が、0.01〜15w/v%であることが好ましく、0.05〜10w/v%であることがより好ましく、0.1〜7.5w/v%であることが更に好ましく、0.5〜5w/v%であることが特に好ましい。
本実施形態に係る点眼剤は、更に粘稠剤を含有することが好ましい。これにより、本実施形態に係る点眼剤の粘度を調整でき、また本願の効果をより一層顕著に発揮できる。粘稠剤としては、例えば、ビニル系増粘剤[ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン(K25、K30、K90等)、カルボキシビニルポリマー等]、セルロース誘導体[メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2208、2906、2910等)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ニトロセルロース又はそれらの塩等]、ポリエチレングリコール(マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000等)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアゴム、トラガント、デキストラン(40、70等)、ブドウ糖、ソルビトール等が例示でき、好ましくはビニル系増粘剤[ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン(K25、K30、K90)、カルボキシビニルポリマー等]、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2208、2906、2910)、カルボキシメチルセルロース又はその塩等)、ポリエチレングリコール(マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール4000、マクロゴール6000等)、デキストラン(70)であり、さらに好ましくはビニル系増粘剤[中でも、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン(K25、K30、K90)、カルボキシビニルポリマー]、セルロース誘導体[中でも、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2208、2906、2910)、カルボキシメチルセルロース又はその塩]、ポリエチレングリコール(マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール4000、マクロゴール6000)、デキストラン(70)である。これらの粘稠剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。特にビニル系増粘剤が好ましく、中でもポリビニルピロリドンが好ましく、ポリビニルピロリドンK30がさらに好ましい。
本実施形態に係る点眼剤が粘稠剤を含有する場合、その含有量は、粘稠剤の種類、他の含有成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。粘稠剤の含有量としては、例えば、点眼剤の総量を基準として、粘稠剤の総含有量が、0.0001〜5w/v%であることが好ましく、0.0005〜3w/v%であることがより好ましく、0.001〜1w/v%であることが更に好ましく、0.01〜0.2w/v%であることが特に好ましい。
本実施形態に係る点眼剤は、更に非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。これにより、本実施形態に係る点眼剤に配合する成分の溶解性を調整でき、また本願の効果をより一層顕著に発揮できる。
ここで、非イオン界面活性剤としては、溶解させる成分に応じて、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される公知の非イオン界面活性剤から適宜選択して用いることができる。本発明で用いられる非イオン界面活性剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
非イオン性界面活性剤として、具体的には、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)等のPOEソルビタン脂肪酸エステル;POE(40)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40)、POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)等のPOE硬化ヒマシ油;POE(3)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油3)、POE(10)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油10)、POE(35)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油35)、POE(70)ヒマシ油(ポリオキシエチレンヒマシ油70)等のPOEヒマシ油;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE−POPアルキルエーテル;POE(196)POP(67)グリコール(ポロクサマー407、プルロニックF127)、POE(200)POP(70)グリコール等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ステアリン酸ポリオキシル10、ステアリン酸ポリオキシル40等のモノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。なお、上記で例示する化合物において、括弧内の数字は付加モル数を示す。好ましくは、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEヒマシ油、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマーであり、より好ましくは、POEソルビタン脂肪酸エステルであり、さらに好ましくはモノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)である。
本実施形態に係る点眼剤が非イオン界面活性剤を含有する場合、その含有量は、非イオン界面活性剤の種類、他の含有成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。非イオン界面活性剤の含有量としては、例えば、点眼剤の総量を基準として、非イオン界面活性剤の総含有量が、0.0001〜5w/v%、好ましくは0.001〜2w/v%、更に好ましくは0.005〜0.5w/v%である。
本実施形態に係る点眼剤は、更にキレート剤を含有することが好ましい。これにより、本実施形態に係る点眼剤に配合する成分の溶解性や安定性を調整でき、また本願の効果をより一層顕著に発揮できる。
ここで、キレート剤としては、溶解又は安定化させる成分に応じて、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される公知の界面活性剤から適宜選択して用いることができる。本発明で用いられるキレート剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
キレート剤として、具体的には、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(エデト酸、EDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等又はそれらの塩あるいはそれらの水和物が挙げられる。好ましくはエデト酸ナトリウム又はその水和物であり、より好ましくはエデト酸ナトリウム水和物であり、特にエデト酸ナトリウム水和物(第十六改正日本薬局方適合品)が好ましい。
本実施形態に係る点眼剤がキレート剤を含有する場合、その含有量は、キレート剤の種類、他の含有成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。キレート剤の含有量としては、例えば、点眼剤の総量を基準として、キレート剤の総含有量が、0.0001〜1w/v%、好ましくは0.0005〜0.5w/v%、更に好ましくは0.001〜0.1w/v%である。
本実施形態に係る点眼剤は、更にエタノールアミンを含有することが好ましい。これにより、本実施形態に係る点眼剤に配合する成分の溶解性や安定性を調整でき、また本願の効果をより一層顕著に発揮できる。
ここで、エタノールアミンとしては、溶解又は安定化させる成分に応じて、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される公知の界面活性剤から適宜選択して用いることができる。本発明で用いられるエタノールアミンは、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
エタノールアミンとして、具体的には、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)等が挙げられる。より好ましくはモノエタノールアミンである。
本実施形態に係る点眼剤がエタノールアミンを含有する場合、その含有量は、エタノールアミンの種類、他の含有成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。エタノールアミンの含有量としては、例えば、点眼剤の総量を基準として、エタノールアミンの総含有量が、0.001〜2w/v%、好ましくは0.01〜1w/v%、更に好ましくは0.05〜0.5w/v%である。
本願の効果をより一層顕著に発揮させるため、点眼剤中にエタノールアミンと粘稠剤とを共に含有することがより好ましい。エタノールアミンと粘稠剤との好ましい組み合わせは、例えばモノエタノールアミンとビニル系増粘剤であり、より好ましくはモノエタノールアミンとポリビニルピロリドン、さらに好ましくはモノエタノールアミンとポリビニルピロリドンK30との組み合わせである。さらに、エタノールアミンと粘稠剤と非イオン界面活性剤とを組み合わせると、よりさらに好ましい。
本実施形態に係る点眼剤は、更に高分子抗菌剤を含有することが好ましい。これにより、本実施形態に係る点眼剤の保存効力を調整でき、また本願の効果をより一層顕著に発揮できる。
ここで、高分子抗菌剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される公知の高分子抗菌剤から適宜選択して用いることができる。本発明で用いられる高分子抗菌剤は、1種を単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
高分子抗菌剤として、具体的には、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニド、塩酸ポリヘキサニド等)、ポリクォータニウム、グローキル(ローディア社製 商品名)等が挙げられる。
本実施形態に係る点眼剤が高分子抗菌剤を含有する場合、その含有量は、高分子抗菌剤の種類、他の含有成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。高分子抗菌剤の含有量としては、例えば、点眼剤の総量を基準として、高分子抗菌剤の総含有量が、0.000001〜0.1w/v%、好ましくは0.000005〜0.05w/v%、更に好ましくは0.00001〜0.01w/v%である。
また、本実施形態に係る点眼剤は、更に等張化剤を含有することができる。等張化剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような等張化剤の具体例として、例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。これらの等張化剤の中でも、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブドウ糖、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、又は塩化マグネシウムが好ましく、塩化ナトリウム、塩化カリウム又はポリエチレングリコールがさらに好ましく、塩化ナトリウムが特に好ましい。これらの等張化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る点眼剤が等張化剤を含有する場合、その含有量は、等張化剤の種類、他の含有成分の種類及び含有量等に応じて適宜設定される。等張化剤の含有量としては、例えば、点眼剤の総量を基準として、等張化剤の総含有量が、0.01〜10w/v%であることが好ましく、0.05〜5w/v%であることがより好ましく、0.1〜3w/v%であることが更に好ましい。
本実施形態に係る点眼剤のpHについては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されない。点眼剤のpHとしては、例えば、4.0〜9.5であることが好ましく、5.0〜9.0であることがより好ましく、5.5〜8.5であることが更に好ましい。
また、本実施形態に係る点眼剤の浸透圧については、生体に許容される範囲内であれば、特に制限されない。点眼剤の浸透圧比としては、例えば、0.5〜5.0であることが好ましく、0.6〜3.0であることがより好ましく、0.7〜2.0であることが更に好ましく、0.9〜1.55であることが特に好ましい。浸透圧の調整は、無機塩、多価アルコール、糖アルコール、又は糖等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。浸透圧比は、第十六改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)については、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いることができる。
本実施形態に係る点眼剤の粘度については、生体に許容される範囲内であれば特に制限されない。回転粘度計(RE550型粘度計、東機産業社製、ローター:1°34’xR24)で測定した25℃における粘度が、例えば、0.1〜1000mPa・sであることが好ましく、0.5〜100mPa・sであることがより好ましく、1〜10mPa・sであることが更に好ましい。
また、本実施形態に係る点眼剤は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて適当量含有していてもよい。かかる成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造販売承認基準2012年版(一般財団法人 レギュラトリーサイエンス学会監修)に記載された各種医薬における有効成分が例示できる。具体的には、眼科用薬において用いられる成分としては、次のような成分が挙げられる。
抗アレルギー剤:例えば、フマル酸ケトチフェン、ペミロラストカリウム、クロモグリク酸ナトリウム等。充血除去剤:塩酸テトラヒドロゾリン、硝酸テトラヒドロゾリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、エピネフリン、塩酸エピネフリン、塩酸エフェドリン、塩酸フェニレフリン、dl−塩酸メチルエフェドリン等。
眼筋調節薬剤:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン、硫酸アトロピン等。
ビタミン類:例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、パルミチン酸レチノール、酢酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール等。
アミノ酸類:アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム、アミノエチルスルホン酸等。
殺菌剤:例えば、アクリノール、セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン等。
その他:例えば、スルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム及びこれらの塩等。
また、本実施形態に係る点眼剤には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や製剤形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有していてもよい。それらの添加物として、例えば、医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性担体。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリン等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等。これらはD体、L体及びDL体のいずれでもよい。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩化亜鉛、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール等。
安定化剤:トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン等。
本実施形態に係る点眼剤は、上記(A)成分及び(B)成分、並びに必要に応じて他の含有成分を所望の含有量となるように担体に添加することにより調製される。具体的には、例えば、精製水で上記成分を溶解又は懸濁させ、所定のpH及び浸透圧に調整し、濾過滅菌等により滅菌処理することで調製できる。
本実施形態に係る点眼剤は、点眼剤の総量に対して、水の含有量が、85w/v%以上であり、90w/v%以上であることが好ましく、92w/v%以上であることがより好ましく、94w/v%以上であることが更に好ましく、96w/v%以上であることが特に好ましい。本実施形態に係る点眼剤に用いられる水としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される水を使用すればよく、このような水として、具体的には、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水等が例示される。
本実施形態に係る点眼剤は、任意の容器に収容して提供される。本実施形態に係る点眼剤を収容する容器については特に制限されず、例えば、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。好ましくはプラスチック製である。プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド及びこれらを構成するモノマーの共重合体、並びにこれら2種以上を混合したものが挙げられる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレートである。また、本実施形態に係る点眼剤を収容する容器は、容器内部を視認できる透明容器であってもよく、容器内部の視認が困難な不透明容器であってもよい。好ましくは透明容器である。ここで、「透明容器」とは、無色透明容器及び有色透明容器の双方が含まれる。本実施形態に係る点眼剤は、例えば、有色透明のプラスチック製容器などに、繰り返し使用可能なマルチドーズの形態で収容して使用できる。
本実施形態に係る点眼剤はコンタクトレンズを装用した状態で適用することが可能であるが、アレルギー予防、IL−33産生抑制という効果の観点からは、コンタクトレンズを装用しない状態で適用することが好適である。
本実施形態に係る点眼剤は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズを含むあらゆるコンタクトレンズに対して装用した状態で適用することが可能であるが、アレルギー予防、IL−33産生抑制という効果の観点からは、コンタクトレンズ、中でもソフトコンタクトレンズ、特にシリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを装用しない状態で適用することが好適である。シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズには、イオン性及び非イオン性の双方があるが、イオン性シリコーンコンタクトレンズにはアレルゲンとなるタンパク質を吸着する性質があることが知られている。また、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは他のソフトコンタクトレンズに比しても材質が固く、角膜上皮に物理的損傷を与え易いことから、アレルギー症状の予防という効果への影響は、計り知れない。しかるに、本実施形態に係る点眼剤は、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを装用中に点眼することを推奨するものではない。
本実施形態に係る点眼剤は、食物アレルギー、動物アレルギー、花粉症、ハウスダスト(室内塵)等、各種のアレルギー症状の予防に有効である。中でも、花粉やハウスダスト(室内塵)などによる目のアレルギー症状の予防に好適であり、そのようなアレルギー症状として具体的には、目の充血、目のかゆみ、目のかすみ、目やにの多いとき、なみだ目、異物感(ゴロゴロする感じ)の予防に使用される。
また、本実施形態に係る点眼剤の用法・用量としては、効果を奏し、副作用の少ない用法・用量であれば特に限定されないが、例えば成人(15歳以上)及び7歳以上の小児の場合、1回1〜2滴、1日4回(例えば、朝,昼,夕方及び就寝前)点眼して用いる方法が好ましい。
本実施形態に係る点眼剤の好適な使用開始時期は、アレルゲンへの接触の1〜2週間前である。例えば、リゾチームをはじめとするタンパク質等のアレルギー物質による症状の予防に本実施形態に係る点眼剤を使用する場合は、それらの物質への接触の予定日の1〜2週間前から使用する。動物アレルギーによる症状の予防に本実施形態に係る点眼剤を使用する場合は、動物への接触の予定日の1〜2週間前から使用する。動物としては、イヌ、ネコ、ウサギ、ハムスター、モルモット、ラット及びマウス等が挙げられる。また、例えば、花粉症などの季節性アレルギーによる症状の予防に本実施形態に係る点眼剤を使用する場合は、花粉飛散開始1〜2週間前から使用する。花粉としては、例えば、スギ、ヒノキ、シラカンバ、コナラ、クリ、オリーブ、ハンノキ、ケヤキ、イチョウ、アカマツ、ネズ、カモガヤ、オオアワガエリ、ヨモギ及びブタクサが挙げられる。花粉の種類ごとに飛散開始時期は知られているため、アレルギーを引き起こす花粉によって、使用開始時期である花粉飛散開始1〜2週間前を決定することができる。特に、スギ花粉は毎年2月頃から花粉の飛散が開始し、花粉症の中でもスギ花粉症の患者が最も多い。そのため、環境省及び日本気象協会等の機関によって花粉飛散開始時期の予測が毎年行われており、その予測を目安に使用開始時期である花粉飛散開始1〜2週間前を決定することができる。したがって、本明細書において「花粉飛散開始」とは、花粉測定器において1cmあたり1個以上の花粉が2日以上連続して観測された最初の日と定義される実際の花粉飛散開始日を意味するのではなく、花粉飛散開始予測日又は時期を意味する。花粉飛散開始予測日又は時期は、いずれの機関が予測したものであってもよい。また、機関によっては花粉飛散開始予測日又は時期が複数回公表する場合があるが、いずれの予測日又は時期であってもよい。使用開始時期の決定にあたっては、使用者が自己の判断で行うことができ、また、医師及び薬剤師等の医療従事者と相談の上決定することもできる。
本実施形態に係る点眼剤は、IL−33産生抑制という効果を奏するため、アレルギー症状の発症する前、特にアレルゲンへの接触の1〜2週間前から使用することで、IL−33による肥満細胞の脱顆粒というアレルギーの初期反応を効果的に防ぐことが可能となり、アレルギー症状の発症を効果的に予防することができる。
本実施形態は、別の観点から、(A)トラニラスト又はその塩を含有する、IL−33産生抑制剤を提供するものであり、また、(A)トラニラスト又はその塩及び(B)抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、アミノ酸類及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有する、IL−33産生抑制剤を提供するものである。
本実施形態は、さらに別の観点から、(A)トラニラスト又はその塩及び(B)抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、アミノ酸類及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、点眼して用いられることを特徴とする、アレルギー反応に起因する目の充血予防剤を提供するものである。
本実施形態は、さらに別の観点から、(A)トラニラスト又はその塩及び(B)抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、アミノ酸類及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、点眼して用いられることを特徴とする、アレルギー反応に起因する目のかゆみの予防剤、アレルギー反応に起因する目やに過多の予防剤、アレルギー反応に起因するなみだ目予防剤或いはアレルギー反応に起因する目の異物感予防剤を提供するものである。
(A)成分及び/又は(B)成分は、有効成分として含有されていてもよい。
以下に、実施例及び試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
試験例1:結膜繊維芽細胞におけるIL−33産生抑制作用の評価
試料調製
各試薬を培養培地に溶解した。トラニラスト(Cayman Chemical社)は、DMSOに溶解し500mMストック溶液とした後、培養培地で希釈した。TNFαはhuman recombinant TNFα(R&D Systems社)を用い、IL−4はhuman recombinant IL−4(R&D Systems社)を用い、それぞれ、最終濃度が100ng/mLとなるように調製した。マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸二カリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム及びl−メントールは第十五改正日本薬局方適合品を用いた。
IL−33産生抑制作用の評価
結膜線維芽細胞(ScienCell Research Laboratories社)を、6 well plate(コーニング社)に1.5x10細胞/ウェルで播種し、37度、5%CO、湿度90%の条件でコンフルエントになるまで培養した。培養培地を無血清培地に入れ替えて一晩培養した後、トラニラスト単独又はマレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸二カリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム若しくはl−メントールの各成分とトラニラストを組み合わせた薬剤を添加して1時間前処理した。その後、TNFα及びIL−4を添加してアレルギー反応を惹起した。IL−33のmRNA発現量は、ABI PRISM7000 Sequence Detection System(アプライドバイオシステムズ社)を用いて、定量的リアルタイムPCR法により定量した。
結果
試験結果を表1に示す。結膜線維芽細胞をTNFα及びIL−4で刺激してアレルギー反応を惹起することにより、IL−33の発現量が上昇するが(比較例2)、トラニラストで前処理することでIL−33の発現量が抑制された(実施例1)。また、トラニラストにさらにマレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸二カリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム又はl−メントールを組み合わせて前処理することでIL−33の発現量は顕著に抑制された(実施例2〜5)。トラニラストのみならず、マレイン酸クロルフェニラミン、グリチルリチン酸二カリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、l−メントールも、それぞれIL−33の産生抑制効果は知られていない。それにも拘わらず、表1のような顕著なIL−33産生抑制効果が得られたことは予想外であり、本願発明の点眼剤が、アレルギー予防に対し特に顕著な効果を有する事が明らかである。
Figure 0006345492
試験例2:ヒトモニター試験による動物アレルギー症状の評価
試料調製
下記表2の組成で比較例3及び実施例6、7の点眼剤を調製した。
Figure 0006345492
動物アレルギーを持つ被験者6名に対して、トラニラストを含有する点眼剤(比較例3)を右眼に、トラニラスト及び清涼化剤を含有する点眼剤(実施例6)を左眼にそれぞれ点眼するか、トラニラストを含有する点眼剤(比較例3)を右眼に、トラニラスト及びマレイン酸クロルフェニラミンを含有する点眼剤(実施例7)を左眼にそれぞれ点眼することで、アレルギー症状の評価を行った。点眼は、アレルギー反応惹起後に1日4回、アレルギー反応惹起2〜3日前からアレルギー反応惹起後まで1日4回、又は、アレルギー反応惹起1週間前からアレルギー反応惹起後まで1日4回、の3通り実施し、点眼量は片眼につき1回1滴とした。アレルギー反応惹起は被験者を動物と接触させることにより行った。接触させる動物は各被験者がアレルギーを持つ動物とし、具体的には、ウサギ、モルモット、ラット、イヌ又はハムスターである。アレルギー症状の程度は目の充血、目のかゆみ、目のかすみ(目やに)、なみだ目、目の異物感(ゴロゴロ感)に関してVisual Analog Scale法(VAS法)で各点眼剤投与終了後に評価を行なった。より詳細には、長さ11.8cmの横直線の左端を0%(動物アレルギー症状を全く感じない状態)、右端を100%(過去に経験した動物アレルギー症状で最も強い状態)とし、各被験者が感じた症状の強さを示す点を直線状に記してもらい、左端からその点までの長さを測定することで、パーセンテージ(VASスコア)を評価した。
結果を表3及び4に示す。図1及び2には、比較例3の点眼剤を用いた時の各種VASスコアに対する、実施例6又は7の点眼剤を用いた時の各種VASスコアの相対値を示す。
トラニラスト及び清涼化剤を含有する点眼剤は、トラニラストを含有する点眼剤と比較して、アレルギー症状がさらに抑制された。特に、アレルギー反応の惹起の1週間前からトラニラスト及び清涼化剤を含有する点眼剤を投与した場合は、アレルギー症状の抑制効果が特に顕著であり、トラニラストを含有する点眼剤をアレルギー反応の惹起の1週間前から投与した場合と比較しても、アレルギー症状の明らかな改善が認められた。同様の効果は、トラニラスト及びマレイン酸クロルフェニラミンを含有する点眼剤でも認められた。
Figure 0006345492
Figure 0006345492
試験例3:ヒトモニター試験による花粉アレルギー症状の評価
試薬調製
下記表5の組成で比較例4及び実施例8、9の点眼剤を調製した。
Figure 0006345492
花粉アレルギーを持つ被験者18名に対して、トラニラストを含有する点眼剤(比較例4)を右眼に、トラニラスト及び清涼化剤を含有する点眼剤(実施例8)を左眼にそれぞれ点眼するか、トラニラストを含有する点眼剤(比較例4)を右眼に、トラニラスト及びマレイン酸クロルフェニラミンを含有する点眼剤(実施例9)を左眼にそれぞれ点眼することで、アレルギー症状の評価を行った。点眼は、(1)花粉飛散開始後に1日4回、9日間、(2)花粉飛散開始2〜3日前から花粉飛散開始まで1日4回、さらに花粉飛散開始後に1日4回、9日間、又は、(3)花粉飛散開始1〜2週間前から花粉飛散開始まで1日4回、さらに花粉飛散開始後に1日4回、9日間の3通り、各点眼方法につき3名ずつ実施した。また、点眼量は片眼につき1回1滴とした。花粉飛散開始日は、環境省によるスギ花粉の飛散開始時期の予測(奈良県)に基づき、決定した。アレルギー症状の程度は、目の充血、目のかゆみ、目のかすみ(目やに)、なみだ目に関してVAS法で各点眼剤投与終了後に評価を行った。
結果を表6及び7に示す。図3及び4には、比較例4の点眼剤を用いた時の各種VASスコアに対する、実施例8又は9の点眼剤を用いた時の各種VASスコアの相対値を示す。
トラニラスト及び清涼化剤を含有する点眼剤は、トラニラストを含有する点眼剤と比較して、アレルギー症状がさらに抑制された。特に、花粉飛散開始の1〜2週間前からトラニラスト及び清涼化剤を含有する点眼剤を投与した場合は、アレルギー症状の抑制効果が特に顕著であり、トラニラストを含有する点眼剤を花粉飛散開始の1〜2週間前から投与した場合と比較しても、アレルギー症状の明らかな改善が認められた。同様の効果は、トラニラスト及びマレイン酸クロルフェニラミンを含有する点眼剤でも認められた。
Figure 0006345492
Figure 0006345492
製剤例 以下の処方に従って、点眼剤を調製した。
Figure 0006345492

Claims (6)

  1. アレルゲンへの接触の1〜2週間前から適用される、(A)トラニラスト又はその塩と、(B)抗ヒスタミン剤及び清涼化剤からなる群から選択される少なくとも1種とを含有する、アレルギー症状の予防用点眼剤。
  2. 花粉飛散開始1〜2週間前から適用される、請求項に記載の点眼剤。
  3. 前記アレルギー症状が、目の充血、目のかゆみ、なみだ目、目のかすみ及び目の異物感からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項又はに記載の点眼剤。
  4. シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズを装用していない状態で適用される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の点眼剤。
  5. 前記(B)成分として、マレイン酸クロルフェニラミン、イプロヘプチン及び塩酸ジフェンヒドラミンからなる群から選択される少なくとも1種の抗ヒスタミン剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の点眼剤。
  6. 前記(B)成分として、メントール、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール及びハッカ油からなる群から選択される少なくとも1種の清涼化剤を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の点眼剤。
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