本明細書において含有量の単位「%」は「w/v%」を意味し、「g/100mL」と同義である。
本明細書中、特に記載の無い限り、略号「POE」はポリオキシエチレンを意味する。本明細書中、特に記載の無い限り、略号「POP」はポリオキシプロピレンを意味する。
本実施形態に係る水性組成物は、オロパタジン及びその塩からなる群から選択される少なくとも一種((A)成分)を含有するものである。これを後述する(B)ブロムフェナク及びその塩、ベルベリン及びその塩、アラントイン類、並びに、亜鉛及び亜鉛化合物からなる群から選択される少なくとも1種((B)成分)と共に含有させることによって、水性組成物におけるオロパタジンの光安定化を図ることができる。
オロパタジンは、化学名が(Z)−11−(3−ジメチルアミノプロピリデン)−6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]−オキセピン−2−酢酸である公知化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
オロパタジンの塩は、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような塩としては、例えば、無機酸との塩[例えば、塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ナトリウム−オルトリン酸塩、カリウム水素硫酸塩等]や、有機酸との塩[例えば、酢酸塩、グリコール酸塩、乳酸塩、ピルビン酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、マレイン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、桂皮酸塩、サリチル酸塩、2−フェノキシ安息香酸塩等]が挙げられる。
これらのオロパタジン及び/又はその塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。水性組成物におけるオロパタジンの光安定性を向上させるという効果の観点から、(A)成分としては、オロパタジン又はその無機酸との塩が好ましく、塩酸オロパタジンがより好ましい。
本実施形態に係る水性組成物における、(A)成分の含有量は特に限定されず、(A)成分の種類、併用する(B)成分の種類及び含有量、該水性組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。(A)成分の含有量としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物の総量を基準として、(A)成分の総含有量が、0.002〜1w/v%であることが好ましく、0.005〜0.5w/v%であることがより好ましく、0.01〜0.2w/v%であることが更に好ましく、0.01〜0.22w/v%であることが特に好ましく、0.02〜0.11w/v%であることがより一層好ましい。
上記(A)成分の含有量は、水性組成物におけるオロパタジンの光安定性を向上させるという効果の観点から好適である。
本実施形態に係る水性組成物は、(B)ブロムフェナク及びその塩、ベルベリン及びその塩、アラントイン類、並びに、亜鉛及び亜鉛化合物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する。(B)成分を含有させることによって、水性組成物におけるオロパタジンの光安定性を向上させることができる。
ブロムフェナクは、2−アミノ−3−(4−ブロモベンゾイル)フェニル酢酸とも称される公知化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
ブロムフェナクの塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような塩としては、有機酸塩[例えば、モノカルボン酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酪酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩等)、多価カルボン酸塩(フマル酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、マロン酸塩等)、オキシカルボン酸塩(乳酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等)、有機スルホン酸塩(メタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、トシル酸塩等)等]、無機酸塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩等)、有機塩基との塩(例えば、メチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、ピペラジン、ピロリジン、トリピリジン、ピコリン等の有機アミンとの塩等)、無機塩基との塩[例えば、アンモニウム塩;アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)、アルミニウム等の金属との塩等]等の各種の塩が挙げられる。
これらのブロムフェナク及びその塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。ブロムフェナク又はその塩には、それらの溶媒和物(例えば、水和物)の形態も包含される。溶媒和物の形態としては、例えば、1/2水和物、1水和物、3/2水和物等が挙げられるが、これらに限定されない。ブロムフェナク及び/又はその塩としては、水性組成物におけるオロパタジンの光安定化を図るという観点から、ブロムフェナク、その無機塩基との塩、又はそれらの溶媒和物が好ましく、ブロムフェナクもしくはそのアルカリ金属塩、又はそれらの溶媒和物がより好ましく、ブロムフェナクナトリウム、又はその水和物が更に好ましく、ブロムフェナクナトリウムの3/2水和物が特に好ましい。
ベルベリンは、ベンジルイソキノリン骨格を有する公知化合物であり、公知の方法により合成してもよく市販品として入手することもできる。
ベルベリンの塩としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような塩としては、例えば、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、及びタンニン酸ベルベリン等が挙げられる。
これらのベルベリン及びその塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。ベルベリン又はその塩には、それらの溶媒和物(例えば、水和物)の形態も包含される。水性組成物におけるオロパタジンの光安定性をより一層向上させるという観点から、ベルベリン及び/又はその塩としては、硫酸ベルベリン又は塩化ベルベリンが好ましく、硫酸ベルベリンがより好ましい。
アラントインは、5−ウレイドヒダントインとも称される公知化合物である。アラントイン類としては、アラントイン若しくはその塩、又は、アラントイン誘導体若しくはその塩が挙げられる。
アラントイン類としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。アラントイン類としては、具体的に、アラントイン、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントイングリチルレチン、アラントインアセチル−DL−メチオニン、アラントイン−DL−パントテニルアルコール、及びアラントインポリガラクツロン酸等が挙げられる。
これらのアラントイン類は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。水性組成物におけるオロパタジンの光安定性をより一層向上させるという観点から、アラントイン類としては、アラントイン、アラントインジヒドロキシアルミニウム、又はアラントインクロルヒドロキシアルミニウムが好ましく、アラントインがより好ましい。
亜鉛又は亜鉛化合物とは、少なくとも1つの亜鉛原子を含む単体又は化合物であり、亜鉛、無機亜鉛塩、有機亜鉛塩、及びこれらの水和物等のいずれの形態であっても使用することができる。
亜鉛又は亜鉛化合物としては、亜鉛、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、硝酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、2−オキソグルタル酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、アルミン酸亜鉛、弗化亜鉛、沃化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、クロム酸亜鉛、安息香酸亜鉛、酢酸亜鉛、パラアミノ安息香酸亜鉛、パラジメチルアミノ安息香酸亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛、パラメトキシ桂皮酸亜鉛、2−メルカプトピリジン−N−オキシド亜鉛、ピクリン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、セバシン酸亜鉛、トリポリリン酸亜鉛ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、カプリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、ポリホスホン酸亜鉛、コンドロイチン硫酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛、アスコルビン酸亜鉛、ジンクピリチオン、ヒノキチオール亜鉛、亜鉛ジピコリネート、亜鉛グリセロレート錯体、ビスヒスチジン亜鉛錯体、亜鉛−3,4−ジヒドロキシ安息香酸錯体、及びこれらの水和物等が挙げられる。
これらの亜鉛及び亜鉛化合物は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。亜鉛又は亜鉛化合物には、それらの溶媒和物(例えば、水和物)の形態も包含される。溶媒和物の形態としては、例えば、7水和物等が挙げられるが、これらに限定されない。水性組成物におけるオロパタジンの光安定性をより一層向上させるという観点から、亜鉛及び/又は亜鉛化合物としては、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、又はそれらの水和物が好ましく、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、又はそれらの水和物がより好ましく、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、又はそれらの水和物が更に好ましく、硫酸亜鉛7水和物が特に好ましい。
本実施形態に係る水性組成物における、(B)成分の含有量は特に限定されず、(B)成分の種類、併用する(A)成分の種類及び含有量、該水性組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。(B)成分の含有量としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物の総量を基準として、(B)成分の総含有量が、0.0001〜5w/v%であることが好ましく、0.0002〜3w/v%であることがより好ましく、0.0005〜1w/v%であることが更に好ましく、0.001〜0.5w/v%であることが特に好ましい。
ブロムフェナク及び/又はその塩の含有量としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物の総量を基準として、ブロムフェナク及び/又はその塩の総含有量が、0.0005〜1w/v%であることが好ましく、0.001〜0.5w/v%であることがより好ましく、0.005〜0.2w/v%であることが更に好ましい。
ベルベリン及び/又はその塩の含有量としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物の総量を基準として、ベルベリン及び/又はその塩の総含有量が、0.0001〜0.1w/v%であることが好ましく、0.0005〜0.05w/v%であることがより好ましく、0.001〜0.025w/v%であることが更に好ましい。
アラントイン類の含有量としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物の総量を基準として、アラントイン類の総含有量が、0.001〜1w/v%であることが好ましく、0.005〜0.5w/v%であることがより好ましく、0.01〜0.3w/v%であることが更に好ましい。
亜鉛及び/又は亜鉛化合物の含有量としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物の総量を基準として、亜鉛及び/又は亜鉛化合物の総含有量が、0.0001〜1w/v%であることが好ましく、0.001〜0.5w/v%であることがより好ましく、0.01〜0.25w/v%であることが更に好ましい。
上記(B)成分の含有量は、水性組成物におけるオロパタジンの光安定性をより一層向上させるという観点から好適である。
また、本実施形態に係る水性組成物における、(A)成分に対する(B)成分の含有比率は特に限定されず、(A)成分及び(B)成分の種類、該水性組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。(A)成分に対する(B)成分の含有比率としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、(B)成分の総含有量が、0.0005〜2000質量部であることが好ましく、0.002〜500質量部であることがより好ましく、0.005〜100質量部であることが更に好ましく、0.01〜50質量部であることが特に好ましい。
上記(A)成分に対する(B)成分の含有比率は、水性組成物におけるオロパタジンの光安定性をより一層高めるという観点から好適である。
ブロムフェナク及び/又はその塩の(A)成分に対する含有比率としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、ブロムフェナク及び/又はその塩の総含有量が、0.0005〜500質量部であることが好ましく、0.002〜100質量部であることがより好ましく、0.01〜20質量部であることが更に好ましく、0.05〜10質量部であることが特に好ましい。
ベルベリン及び/又はその塩の(A)成分に対する含有比率としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、ベルベリン及び/又はその塩の総含有量が、0.0001〜50質量部であることが好ましく、0.0005〜10質量部であることがより好ましく、0.002〜5質量部であることが更に好ましく、0.01〜1質量部であることが特に好ましい。
アラントイン類の(A)成分に対する含有比率としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、アラントイン類の総含有量が、0.001〜500質量部であることが好ましく、0.005〜100質量部であることがより好ましく、0.02〜50質量部であることが更に好ましく、0.1〜15質量部であることが特に好ましい。
亜鉛及び/又は亜鉛化合物の(A)成分に対する含有比率としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物に含まれる(A)成分の総含有量1質量部に対して、亜鉛及び/又は亜鉛化合物の総含有量が、0.0001〜500質量部であることが好ましく、0.0005〜100質量部であることがより好ましく、0.002〜50質量部であることが更に好ましく、0.1〜10質量部であることが特に好ましい。
上記(A)成分に対する(B)成分の含有比率は、水性組成物におけるオロパタジンの光安定性をより一層向上させるという観点から好適である。
本実施形態に係る水性組成物は、更に緩衝剤を含有することができる。これにより、水性組成物のpHを調整できる。緩衝剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような緩衝剤の一例として、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、トリス緩衝剤、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩、イプシロン−アミノカプロン酸等が挙げられる。これらの緩衝剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。ホウ酸緩衝剤としては、ホウ酸、又はホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸アルカリ土類金属塩等のホウ酸塩が挙げられる。リン酸緩衝剤としては、リン酸、又はリン酸アルカリ金属塩、リン酸アルカリ土類金属塩等のリン酸塩が挙げられる。炭酸緩衝剤としては、炭酸、又は炭酸アルカリ金属塩、炭酸アルカリ土類金属塩等の炭酸塩が挙げられる。クエン酸緩衝剤としては、クエン酸、又はクエン酸アルカリ金属塩、クエン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。トリス緩衝剤としては、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(トロメタモール)等が挙げられる。また、ホウ酸緩衝剤又はリン酸緩衝剤として、ホウ酸塩又はリン酸塩の水和物を用いてもよい。より具体的な例として、ホウ酸緩衝剤として、ホウ酸又はその塩(ホウ酸ナトリウム、テトラホウ酸カリウム、メタホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ砂等);リン酸緩衝剤として、リン酸又はその塩(リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム等);炭酸緩衝剤として、炭酸又はその塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム等);クエン酸緩衝剤として、クエン酸又はその塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二ナトリウム等);酢酸緩衝剤として、酢酸又はその塩(酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸ナトリウム等);アスパラギン酸又はその塩(アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カリウム等)等が例示できる。これらの緩衝剤の中でも、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、トリス緩衝剤が好ましく、ホウ酸緩衝剤(例えば、ホウ酸とホウ砂の組合せ等)、リン酸緩衝剤(例えば、リン酸水素二ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムの組合せ等)が特に好ましい。
本実施形態に係る水性組成物に緩衝剤を配合する場合、その含有量は、該緩衝剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、該水性組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。緩衝剤の含有量としては、例えば、本発明の水性組成物の総量を基準として、該緩衝剤の総含有量が、0.01〜15w/v%であることが好ましく、0.05〜10w/v%であることがより好ましく、0.1〜7.5w/v%であることが更に好ましく、0.5〜5w/v%であることが特に好ましい。
本実施形態に係る水性組成物は、さらに、テルペノイドを含有することができる。本実施形態に係る水性組成物に用いられるテルペノイドは、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。本実施形態に係る水性組成物に用いられるテルペノイドとして、例えば、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、シトロネロール、カルボン、アネトール、オイゲノール、リモネン、リナロール、酢酸リナリル、これらの誘導体等を用いることができる。これらの化合物はd体、l体及びdl体のいずれであってもよい。また、本実施形態に係る水性組成物において、テルペノイドとして、上記化合物を含有する精油を使用してもよい。このような精油としては、例えば、ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ハッカ油、ウイキョウ油、ケイヒ油、ローズ油、樟脳油等が挙げられる。
これらのテルペノイドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。オロパタジンの光安定性を向上させるという観点から、テルペノイドとしては、メントール、メントン、カンフル、ボルネオール、ゲラニオールが好ましく、メントール、カンフルがより好ましく、l−メントール、dl−メントール等のメントールが更に好ましい。
本実施形態に係る水性組成物における、テルペノイドの含有量は特に限定されず、併用する(A)成分、(B)成分の種類及び含有量、該水性組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。テルペノイドの含有量として、例えば、本実施形態に係る水性組成物の総量を基準に、テルペノイドの総含有量が、0.0001〜0.2w/v%であることが好ましく、0.0005〜0.1w/v%であることがより好ましく、0.001〜0.08w/v%であることがさらに好ましい。なお、テルペノイドを含む精油を使用する場合は、水性組成物中に含有される精油中のテルペノイドが上記含有量を満たすように設定することができる。上記テルペノイドの含有量は、オロパタジンの光安定性を向上させるという観点から好適である。
本実施形態に係る水性組成物は、さらに、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば特に制限されず、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。
非イオン性界面活性剤としては、具体的には、モノラウリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート40)、モノステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、トリステアリン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート65)、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン(ポリソルベート80)等のPOEソルビタン脂肪酸エステル;POE(40)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40)、POE(60)硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60)等のPOE硬化ヒマシ油;POEヒマシ油10、POEヒマシ油35等のPOEヒマシ油;POE(9)ラウリルエーテル等のPOEアルキルエーテル;POE(20)POP(4)セチルエーテル等のPOE−POPアルキルエーテル;POE(196)POP(67)グリコール(ポロクサマー407、プルロニックF127)、POE(200)POP(70)グリコール等のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ステアリン酸ポリオキシル40等のモノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。なお、上記で例示する化合物において、括弧内の数字は付加モル数を示す。
両性界面活性剤としては、具体的には、アルキルジアミノエチルグリシン又はその塩(例えば、塩酸塩等)等が例示できる。
また、陽イオン性界面活性剤としては、具体的には、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が例示できる。
さらに、陰イオン性界面活性剤としては、具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸等が例示できる。
これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、POEソルビタン脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、又はPOE・POPブロックコポリマー、モノステアリン酸ポリエチレングリコールがより好ましく、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレンヒマシ油10、ポリオキシエチレンヒマシ油35、又はポロクサマー407、ステアリン酸ポリオキシル40が更に好ましい。
本実施形態に係る水性組成物に界面活性剤を配合する場合、その含有量は、該界面活性剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、該水性組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。界面活性剤の含有量としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物の総量を基準として、(A)成分以外の界面活性剤の総含有量が、0.001〜3w/v%であることが好ましく、0.005〜2w/v%であることがより好ましく、0.01〜1w/v%であることが更に好ましく、0.05〜1w/v%であることが特に好ましい。
本実施形態に係る水性組成物は、さらに粘稠剤を含有することができる。これにより、本実施形態に係る水性組成物の粘度を調整できる。粘稠剤としては、例えば、ポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン(K25、K30、K90等)、カルボキシビニルポリマー、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー(BASF Wyandotte Coproration、プルロニック、テトロニック等)、セルロース誘導体[メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2208、2906、2910等)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ニトロセルロース又はそれらの塩等]、ポリエチレングリコール(マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000等)、コンドロイチン硫酸ナトリウム、アラビアゴム、トラガント、デキストラン(40、70等)、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ブドウ糖、ソルビトール等が例示でき、好ましくはポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン(K25、K30、K90)、カルボキシビニルポリマー、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2208、2906、2910)、カルボキシメチルセルロース又はその塩等)、ポリエチレングリコール(マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール4000、マクロゴール6000等)、デキストラン(70)、コンドロイチン硫酸ナトリウムであり、さらに好ましくはポリビニルアルコール(完全又は部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン(K25、K30、K90)、カルボキシビニルポリマー、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(2208、2906、2910)、カルボキシメチルセルロース又はその塩、ポリエチレングリコール(マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール4000、マクロゴール6000)、デキストラン(70)、コンドロイチン硫酸ナトリウムである。これらの粘稠剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る水性組成物に粘稠剤を配合する場合、その含有量は、該粘稠剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、該水性組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。粘稠剤の含有量としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物の総量を基準として、該粘稠剤の総含有量が、0.01〜10w/v%であることが好ましく、0.05〜5w/v%であることがより好ましく、0.1〜3w/v%であることが更に好ましい。
また、本実施形態に係る水性組成物は、更に等張化剤を含有していてもよい。等張化剤としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容されるものであれば、特に制限されない。このような等張化剤の具体例として、例えば、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。これらの等張化剤の中でも、グリセリン、プロピレングリコール、ブドウ糖、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、又は塩化マグネシウムが好ましく、塩化ナトリウム又はグリセリンがより好ましく、塩化ナトリウムが更に好ましい。これらの等張化剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本実施形態に係る水性組成物に等張化剤を配合する場合、その含有量は、該等張化剤の種類、他の配合成分の種類及び含有量、該水性組成物の用途、製剤形態、使用方法等に応じて適宜設定される。等張化剤の含有量としては、例えば、本実施形態に係る水性組成物の総量を基準として、該等張化剤の総含有量が、0.01〜10w/v%であることが好ましく、0.05〜5w/v%であることがより好ましく、0.1〜3w/v%であることが更に好ましい。
本実施形態に係る水性組成物のpHについては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される範囲内であれば特に限定されない。水性組成物のpHとしては、例えば、4.0〜9.5であることが好ましく、5.0〜9.0であることがより好ましく、5.5〜8.5であることが更に好ましい。
また、本実施形態に係る水性組成物の浸透圧については、生体に許容される範囲内であれば、特に制限されない。水性組成物の浸透圧比としては、例えば、0.5〜5.0であることが好ましく、0.6〜3.0であることがより好ましく、0.7〜2.0であることが更に好ましく、0.9〜1.55であることが特に好ましい。浸透圧の調整は、無機塩、多価アルコール、糖アルコール、又は糖等を用いて、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。浸透圧比は、第十六改正日本薬局方に基づき、286mOsm(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液の浸透圧)に対する試料の浸透圧の比とし、浸透圧は日本薬局方記載の浸透圧測定法(氷点降下法)を参考にして測定する。なお、浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)については、塩化ナトリウム(日本薬局方標準試薬)を500〜650℃で40〜50分間乾燥した後、デシケーター(シリカゲル)中で放冷し、その0.900gを正確に量り、精製水に溶かし正確に100mLとして調製するか、市販の浸透圧比測定用標準液(0.9w/v%塩化ナトリウム水溶液)を用いることができる。
本実施形態に係る水性組成物の粘度については、生体に許容される範囲内であれば特に制限されない。回転粘度計(RE550型粘度計、東機産業社製、ローター:1°34’xR24)で測定した25℃における粘度が、例えば、0.01〜1000mPa・sであることが好ましく、0.05〜100mPa・sであることがより好ましく、0.1〜10mPa・sであることが更に好ましい。
また、本実施形態に係る水性組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記成分の他に、種々の薬理活性成分や生理活性成分を組み合わせて適当量含有してもよい。かかる成分は特に制限されず、例えば、一般用医薬品製造販売承認基準2012年版(一般社団法人 レギュラトリーサイエンス学会 監修)に記載された各種医薬における有効成分が例示できる。具体的には、眼科用薬において用いられる成分としては、次のような成分が挙げられる。
抗ヒスタミン剤又は抗アレルギー剤:例えば、ケトチフェン、イプロヘプチン、ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、ペミロラストカリウム、クロモグリク酸ナトリウム等。
充血除去剤:例えば、テトラヒドロゾリン、ナファゾリン、エピネフリン、エフェドリン、メチルエフェドリン等。
眼筋調節薬剤:例えば、アセチルコリンと類似した活性中心を有するコリンエステラーゼ阻害剤、具体的にはメチル硫酸ネオスチグミン、トロピカミド、ヘレニエン硫酸アトロピン等。
殺菌剤:例えば、アクリノール、セチルピリジニウム、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド等。
ビタミン類:例えば、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、酢酸トコフェロール等。
アミノ酸類:例えば、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸マグネシウム・カリウム(等量混合物)、アミノエチルスルホン酸等。
消炎剤:例えば、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、サリチル酸メチル、サリチル酸グリコール、アズレンスルホン酸、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸、リゾチーム、甘草、プラノプロフェン等。
その他:例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、スルファメトキサゾール、インドメタシン、イブプロフェン、イブプロフェンピコノール、ブフェキサマク、フルフェナム酸ブチル、ベンダザック、ピロキシカム、ケトプロフェン、フェルビナク、紫根、セイヨウトチノキ、及びこれらの塩等。
また、本実施形態に係る水性組成物には、発明の効果を損なわない範囲であれば、その用途や製剤形態に応じて、常法に従い、様々な添加物を適宜選択し、1種又はそれ以上を併用して適当量含有させてもよい。それらの添加物として、例えば、医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集)に記載された各種添加物が例示できる。代表的な成分として次の添加物が挙げられる。
担体:例えば、水、含水エタノール等の水性担体。
糖類:例えば、グルコース、シクロデキストリン等。
糖アルコール類:例えば、キシリトール、ソルビトール、マンニトール等。これらはD体、L体及びDL体のいずれでもよい。
防腐剤、殺菌剤又は抗菌剤:例えば、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、安息香酸ナトリウム、エタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、硫酸オキシキノリン、フェネチルアルコール、ベンジルアルコール、ビグアニド化合物(具体的には、ポリヘキサメチレンビグアニド等)、グローキル(ローディア社製 商品名)等。
安定化剤:例えばトロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム、モノステアリン酸グリセリン、ジブチルヒドロキシトルエン等。
キレート剤:例えば、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン三酢酸、エチレンジアミン四酢酸(エデト酸、EDTA)、N−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)等。
本実施形態に係る水性組成物は、上記(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて他の配合成分を所望の濃度となるように担体に添加することにより調製される。例えば、眼科用組成物の場合、精製水で前記成分を溶解又は懸濁させ、所定のpH及び浸透圧に調整し、濾過滅菌等により滅菌処理することで調製できる。上記(A)成分、(B)成分及びその他疎水性の高い成分の溶解に関しては、予め界面活性剤等の溶解補助作用のある成分とあわせて攪拌を行なってから、さらに精製水を加えて溶解又は懸濁させてもよい。
本実施形態は、別の観点から、(A)オロパタジン及びその塩からなる群より選択される少なくとも一種を含有する水性組成物に、(B)ブロムフェナク及びその塩、ベルベリン及びその塩、アラントイン類、並びに、亜鉛及び亜鉛化合物からなる群より選択される少なくとも一種を配合することによる、水性組成物におけるオロパタジンの光安定化方法を提供するものである。
本実施形態において水性組成物とは、水の含有量が、該水性組成物の総量に対して、85w/v%以上の組成物を意味する。該水性組成物における水の含有量は、90w/v%以上であることが好ましく、92w/v%以上であることがより好ましく、94w/v%以上であることが更に好ましく、96w/v%以上であることが特に好ましい。本実施形態に係る水性組成物に用いられる水としては、医薬上、薬理学的に(製薬上)又は生理学的に許容される水を使用すればよく、このような水として、具体的には、蒸留水、常水、精製水、滅菌精製水、注射用水、注射用蒸留水等が例示される。また本実施形態における水性組成物の剤型については、特に制限されないが、液剤、半固形剤(軟膏等)等が挙げられ、液状であることが好ましい。これらの定義は第十六改正日本薬局方に基づく。
また、本実施形態に係る水性組成物は、オロパタジン又はその塩に基づく薬理作用のみならず、ブロムフェナクもしくはその塩、ベルベリンもしくはその塩、アラントイン類、又は、亜鉛もしくは亜鉛化合物に基づく薬理作用をも発現できるため、抗炎症、抗アレルギー等の用途に有効であり、とりわけ、外眼部及び前眼部の炎症性疾患(眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、強膜炎、上強膜炎、前眼部ブドウ膜炎、術後炎症)の対症療法、並びに、アレルギー性結膜炎及び春季カタルの治療等の用途で、医薬品や医薬部外品等の製剤として使用できる。
本実施形態に係る水性組成物は、医薬品及び医薬部外品等の製剤として使用でき、例えば、粘膜適用組成物(眼科用組成物及び鼻腔用組成物等)、経口用組成物、点耳用組成物、皮下投与用組成物、及び皮膚外用組成物等の様々な用途で使用することができる。
本実施形態に係る水性組成物は、角膜及び結膜等の眼粘膜、口腔粘膜、鼻腔粘膜、並びに、咽頭部粘膜などに適用される粘膜適用組成物として有用である。
本実施形態に係る水性組成物は、具体的には、点眼剤(点眼液又は点眼薬ともいう。また、点眼剤にはコンタクトレンズ装用中に点眼可能な点眼剤を含む)、人工涙液、洗眼剤(洗眼液又は洗眼薬ともいう。また、洗眼剤にはコンタクトレンズ装用中に洗眼可能な洗眼剤を含む)、眼軟膏剤等の眼科用組成物;コンタクトレンズ用組成物[コンタクトレンズ装着液、コンタクトレンズケア用組成物(コンタクトレンズ消毒剤、コンタクトレンズ用保存剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄保存剤)等];点鼻剤、鼻洗浄液等の鼻腔用組成物;口腔咽頭薬、含嗽薬(含嗽用剤)等の口腔用組成物;点耳薬等として用いることができる。(A)及び(B)成分の薬理作用を鑑みれば、本実施形態に係る水性組成物が粘膜適用組成物であることが好ましく、眼科用組成物であることがより好ましく、点眼剤であることが更に好ましい。
なお、上記コンタクトレンズ用組成物は、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズを含むあらゆるコンタクトレンズに適用可能である。また、ソフトコンタクトレンズとは、イオン性及び非イオン性の双方を包含し、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ(以下、SHCLと略記することもある。)及び非シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ(シリコーンハイドロゲルレンズでは無いソフトコンタクトレンズ)の双方を包含する。
本実施形態に係る水性組成物は、医薬分野で一般的に使用されている容器に収容して医薬製品として提供される。本実施形態に係る水性組成物を収容する容器としては、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。また、本実施形態に係る水性組成物を収容する容器は、容器内部を視認できる透明容器であってもよく、容器内部の視認が困難な不透明容器であってもよい。ここで、「透明容器」とは、無色透明容器及び有色透明容器の双方が含まれる。
本実施形態に係る水性組成物を収容する容器として、プラスチック製の容器を使用する場合、該プラスチック容器の構成材質については、特に制限されないが、例えば、ポリエステル(ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリカーボネートのいずれか1種、またはこれらを含む2種以上の混合体が挙げられる。また、上記プラスチック容器の構成材質として、例えば、2,6−ナフタレート単位、テレフタレート単位、エチレン−2,6−ナフタレート単位、エチレンテレフタレート単位、プロピレン単位、エチレン単位、イミド単位のいずれかを含む共重合体を用いることもできる。本実施形態に係る水性組成物を収容する容器の材質としては、オロパタジンの光安定性を向上させるという観点から、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリカーボネートが好ましく、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレートが更に好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。なお、本明細書中、特に記載の無い限り、例えば「ポリエチレンテレフタレート製」と記載する場合は、容器の構成材質中にポリエチレンテレフタレートを含有している場合に加え、容器のシュリンクの構成材質中にポリエチレンテレフタレートを含有している場合も含まれる。本願の効果を奏するという観点から、容器又はシュリンクの構成材質の全体の重量に対し、ポリエチレンテレフタレートを30w/w%以上含有しているものが好ましく、50w/w%以上含有しているものが更に好ましい。
また、本実施形態に係る水性組成物を収容する容器は、紫外線遮断剤等の添加剤が添加又は塗布されていてもよく、また紫外線遮断剤等の添加剤が添加又は塗布されたシート状合成樹脂を容器にシュリンク包装したものであってもよい。
以下に、実施例及び試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等によって限定されるものではない。
[試験例1 光安定性に関する試験(1)]
下記表1に示す組成の水性組成物を常法により調製し、光安定性を評価した。調製した水性組成物を10mL容量透明ガラスバイアルに5mLずつ充填した。光安定性試験装置(「Light−Tron LT−120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、室温の下、5000lxの光を120時間連続照射し、水性組成物に対して積算照射量60万lx・hrの光を曝光した。曝光後、HPLCを用いて水性組成物における塩酸オロパタジンの含有量を定量し、下記式(I)に従い、塩酸オロパタジンの残存率を算出した。
式(I)
残存率(%)=(光照射後の塩酸オロパタジン含有量)/(光照射前の塩酸オロパタジン含有量)×100
さらに、次式(II)を用いて、光安定性改善率(%)を算出した。算出の結果を表1に併せて示す。
式(II)
光安定性改善率(%)={(各実施例の残存率/対応する比較例の残存率)−1}×100
なお、対応する比較例は、例えば、実施例1−1、1−2については比較例1である。
表1に示す通り、塩酸オロパタジンを含有する水性組成物(比較例1)と比較して、塩酸オロパタジンと共に、ブロムフェナクナトリウム(実施例1−1)、又は硫酸ベルベリン(実施例1−2)を含有する水性組成物においては、塩酸オロパタジンの残存率が顕著に向上し、該水性組成物における光安定性が改善されることを確認した。
[試験例2 光安定性に関する試験(2)]
下記表2に従って水性組成物を調製し、光に対するオロパタジン又はその塩の安定性について評価を行った。具体的な実験手法及び結果を以下に示す。
まず、表2に示す各水性組成物を常法により調製した。次いで、調製した水性組成物を10mL容量透明ガラスバイアルに5mLずつ充填した。光安定性試験装置(「Light−Tron LT−120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、室温の下、5000lxの光を40時間連続照射し、水性組成物に対して積算照射量20万lx・hrの光を曝光した後、試験例1と同じ方法で、上記式(I)及び(II)に従い、塩酸オロパタジンの光安定性改善率を算出した。算出の結果を表2に併せて示す。
表2に示す通り、塩酸オロパタジンを含有する水性組成物は、pH6.0に調整した場合(比較例2)、又はリン酸緩衝剤を用いてpH6.0に調整した場合(比較例3)においても、光照射後に塩酸オロパタジンの残存率が低下し、曝光による塩酸オロパタジンの分解が認められた。これと比較して、塩酸オロパタジンと共に硫酸亜鉛(実施例2)、又はアラントイン(実施例3)を含有する水性組成物においては、塩酸オロパタジンの残存率が向上し、水性組成物における塩酸オロパタジンの光安定性が改善されることを確認した。
[試験例3 光安定性に関する試験(3)]
下記表3に従って水性組成物を調製し、光に対するオロパタジン又はその塩の安定性について評価を行った。具体的な実験手法及び結果を以下に示す。
まず、表3に示す各水性組成物を常法により調製した。次いで、調製した水性組成物を10mL容量透明ガラスバイアルに5mLずつ充填した。光安定性試験装置(「Light−Tron LT−120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、室温の下、5000lxの光を120時間連続照射し、水性組成物に対して積算照射量60万lx・hrの光を曝光した後、試験例1と同じ方法で、上記式(I)及び(II)に従い、塩酸オロパタジンの光安定性改善率を算出した。
算出の結果を表3に併せて示す。表3に示す通り、塩酸オロパタジンを含有する水性組成物は、pH6.0に調整した場合(比較例4)、又はリン酸緩衝剤を用いてpH7.5に調整した場合(比較例5)においても、光照射後に塩酸オロパタジンの残存率が低下し、曝光による塩酸オロパタジンの分解が認められた。これと比較して、塩酸オロパタジンと共に、硫酸亜鉛(実施例4−1)、又はアラントイン(実施例4−2、5)を含有する水性組成物においては、塩酸オロパタジンの残存率が向上し、水性組成物における塩酸オロパタジンの光安定性が改善されることを確認した。
[試験例4 光安定性に関する試験(4)]
下記表4に従って水性組成物を調製し、光に対するオロパタジン又はその塩の安定性について評価を行った。具体的な実験手法及び結果を以下に示す。
まず、表4に示す各水性組成物を常法により調製した。次いで各水性組成物を10mL容量透明ガラスバイアル、又は13mL容量PET(ポリエチレンテレフタレート:340〜365nmの平均吸光度0.218)製容器に5mLずつ充填した。光安定性試験装置(「Light−Tron LT−120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光源として、室温の下、5000lxの光を120時間連続照射し、水性組成物に対して積算照射量60万lx・hrの光を曝光した後、試験例1と同じ方法で、上記式(I)及び(II)に従い、塩酸オロパタジンの光安定性改善率を算出した。
算出の結果を表4に併せて示す。表4に示す通り、塩酸オロパタジンを含有する水性組成物(比較例6)は、光照射後に塩酸オロパタジンの残存率が低下し、曝光による塩酸オロパタジンの分解が認められた。これと比較して、塩酸オロパタジンと共に、ブロムフェナクナトリウム(実施例6−1)、硫酸ベルベリン(実施例6−2)を含有する水性組成物においては、塩酸オロパタジンの残存率が向上し、水性組成物における塩酸オロパタジンの光安定性が改善されることを確認した。さらに、PET製容器に収容されたブロムフェナクナトリウム(実施例6−3)、又は硫酸ベルベリン(実施例6−4)を含む水性組成物においては、塩酸オロパタジンの残存率が一層顕著に向上した。
[試験例5 光安定性に関する試験(5)]
下記表5に従って水性組成物を調製し、光に対するオロパタジン又はその塩の安定性について評価を行った。具体的な実験手法及び結果を以下に示す。
まず、表5に示す各水性組成物を常法により調製した。次いで、各水性組成物を10mL容量透明ガラスバイアルに5mLずつ充填した。光安定性試験装置(「Light−Tron LT−120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光原として、室温の下、5000lxの光を240時間連続照射し、水性組成物に対して積算照射量120万lx・hrの光を曝光した後、試験例1と同じ方法で、上記式(I)及び(II)に従い、塩酸オロパタジンの光安定性改善率を算出した。
算出の結果を表5に併せて示す。表5に示す通り、塩酸オロパタジンを含有する水性組成物(比較例7)は、光照射後に塩酸オロパタジンの残存率が低下し、曝光による塩酸オロパタジンの分解が認められた。これと比較して、塩酸オロパタジンと共に、ブロムフェナクナトリウム(実施例7−1)、又は硫酸ベルベリン(実施例7−2)を含有する水性組成物においては、塩酸オロパタジンの残存率が向上し、水性組成物における塩酸オロパタジンの光安定性が改善されることを確認した。
[試験例6 光安定性に関する試験(6)]
下記表6に従って水性組成物を調製し、光に対するオロパタジン又はその塩の安定性について評価を行った。具体的な実験手法及び結果を以下に示す。
まず、表6に示す各水性組成物を常法により調製した。次いで、各水性組成物を10mL容量透明ガラスバイアルに5mLずつ充填した。光安定性試験装置(「Light−Tron LT−120 D3CJ型」、ナガノ科学株式会社製)を用いて、D65ランプを光原として、室温の下、5000lxの光を120時間連続照射し、水性組成物に対して積算照射量60万lx・hrの光を曝光した後、試験例1と同じ方法で、上記式(I)及び(II)に従い、塩酸オロパタジンの光安定性改善率を算出した。
算出の結果を表6に併せて示す。表6に示す通り、塩酸オロパタジンを含有する水性組成物(比較例8)は、塩酸オロパタジンの含有量が0.22(w/v)%の場合も同様に、光照射後に塩酸オロパタジンの残存率が低下し、曝光による塩酸オロパタジンの分解が認められた。これと比較して、塩酸オロパタジンと共に、ブロムフェナクナトリウム(実施例8−1)、又は硫酸ベルベリン(実施例8−2)を含有する水性組成物においては、ブロムフェナクナトリウム、又は硫酸ベルベリンの配合量がそれぞれ、0.025(w/v)%、0.01%の場合も同様に、塩酸オロパタジンの残存率が向上し、水性組成物における塩酸オロパタジンの光安定性が改善されることを確認した。また、緩衝剤として、トロメタモール(トリス緩衝剤)を使用した場合においても、同様の傾向が確認された(比較例9、実施例9−1、9−2)。また、塩酸オロパタジンを0.11(w/v)%含有する水性組成物(比較例10)は、光照射後に塩酸オロパタジンの残存率が低下し、曝光による塩酸オロパタジンの分解が認められた。これと比較して、塩酸オロパタジンと共に、ブロムフェナクナトリウム(実施例10−1)、又はアラントイン(実施例10−2)を含有する水性組成物においては、塩酸オロパタジンの残存率が向上し、水性組成物における塩酸オロパタジンの光安定性が改善されることを確認した。さらに、アラントインに加えて、テルペノイドとしてl−メントールを配合させた場合には、水性組成物における塩酸オロパタジンの光安定性がより顕著に改善される傾向が確認された(実施例10−3)。
[製剤例]
表7〜14に記載の処方で、点眼剤(製剤例1−7、9−18、20−29、31−40、42−44)、洗眼剤(製剤例8、19、30、41)が調製される。