JP6664388B2 - グリセリン酸カーボネートの製造方法 - Google Patents

グリセリン酸カーボネートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、以下の式(I):
Figure 0006664388
(上記式中、置換基Rは特定の意味を有する。)の化合物の製造方法、混合物、並びに相応する適用/使用に関する。
発明の名称「2−OXO−1,3−DIOXOLANE−4−CARBOXAMIDES, THEIR PREPARATION AND USE」の国際公開第2013/092011号(WO2013/092011A1)の刊行物には、RがHを意味する式(I)の化合物の製造方法が開示されている。国際公開第2013/092011号(WO2013/092011A1)、10頁、6〜11行目には、グリセリンカーボネート(RがHを意味する以下の式(II)の化合物)
Figure 0006664388
の酸化を、(i)「N−オキシドを介した酸化」又は(ii)「酸素酸化(aerobic oxidation)」によって、行うことができることが開示されている。その直後には、以下の内容が述べられている:「N−オキシドを介した酸化」は、1,3,5−トリクロロイソシアヌル酸及び2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)を用いて実施することができる。前記酸化は、例えばマンガン塩の存在下で、酸化剤としての過酸化水素を用いて実施することができる。酸素酸化では、空気からの酸素又は純粋な形の酸素が酸化剤として使用される。酸素酸化は、Co、Mn、Cu、Fe、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1種の遷移金属塩、好ましくはMn塩の存在下で適切に実施される。酸素酸化は好ましくは、適した溶媒又は(例えば、水性の)酢酸中で実施される」(国際公開第2013/092011号(WO2013/092011A1)の10頁、13〜20行目を参照)。
本発明の課題は、以下の利点:
・運転コスト及び技術コストが僅かであること
・出発物質化合物の転化度が高いこと(例えば、式(II)の化合物の転化)
・生成物(式(I)の化合物)の収率が高いこと
・生成物を反応媒体から分離する操作が単純であること
のうち1つ、好適には複数、又は特に好ましくは全てを有する方法を提供することであった。
この課題は、以下の式(I):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
の化合物を製造するための本発明による方法によって解決され、この方法は、
(a)以下の工程:
・以下の式(II):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは式(I)で選択した意味を有する。)
の化合物を提供するか、又は製造する工程
・式(II)の化合物を、気体状酸素を用いて白金触媒により酸化させ、式(I)の化合物を得る工程を有する。
式(I)の化合物は有機酸であり、そのカルボキシル基は水溶液中で解離し、酸性のpH値をもたらす。
基Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、Rが、H、直鎖状C1〜12アルキル基、分枝鎖状C1〜12アルキル基、及び環状C1〜12アルキル基から成る群より選択され、ここで、環状C1〜12アルキル基が、その環構造上に1つ以上のアルキル置換基を有する(つまり、環構造が1つ以上の分枝を有する。)か、又は環状C1〜12アルキル基が、その環構造上にアルキル置換基を有さない(つまり、環構造が分枝を有さない。)。特に好ましくは、RがH及び直鎖状若しくは分枝鎖状(つまり、非環状)のC1〜12アルキル基から選択される。好適には、直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のアルキル基は、C1〜10、好適にはC1〜8、特に好ましくはC1〜6のアルキル基である。
所望の生成物に応じてRは、好適には、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、3−メチルブタ−2−イル、2−メチルブタ−2−イル、2,2−ジメチルプロピル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−メチル−3,3−ジメチルプロピル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びシクロヘプチルから成る群より選択され、特に好ましくは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、3−メチルブタ−2−イル、2−メチルブタ−2−イル、2,2−ジメチルプロピル、及びn−ヘキシルから成る群より選択され、殊にH、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルから成る群より選択される。
使用されうる気体状酸素は好適には、空気中に含有されている気体状酸素、又は気体状の工業用(純)酸素、又は原子状若しくは分子状の酸素であり、原子状若しくは分子状の酸素は、始めはまだ化学的又は物理的に結合しているため、まずは、放出された気体状酸素に変換される必要がある(遊離した気体状酸素の前駆体)。化学的に結合している酸素は例えば、過酸化物中で結合している酸素であり、好適には化学反応によって放出され、その結果、気体状酸素として利用可能になる。物理的に結合している酸素は例えば、吸着した気体状酸素であるか、又は液体(例えば、水)中に溶解しており、かつ例えば、温度上昇によって液体から追い出すことができ、その結果、気体状酸素として利用可能になる酸素である。したがって、化学的に結合している若しくは物理的に結合している酸素は、本発明による方法で使用されうる気体状酸素の前駆体である。特に好ましくは、空気中に含有されている気体状酸素又は気体状の純酸素(つまり、99%超の酸素含分を有する気体状の工業用酸素)である。
本発明による方法(上記の通り、好適には上記で好ましいとして定義した通り)では、(a)として特徴付けられる方法形態だけでなく、さらに副反応も起こる場合がある。本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)を実施する場合、例えば式(II)の化合物は、副反応において以下の式(III):
Figure 0006664388
の化合物に変換される場合がある。
本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)を実施する場合、先の副反応の代わりに又はそれに加えて、例えば式(I)の化合物(所望の生成物)又は式(III)の化合物は、副反応において以下の式(IV):
Figure 0006664388
の化合物にも変換される場合がある。
先に挙げた副反応において形成された式(III)の化合物を、気体状酸素を用いて白金触媒により酸化させ、式(IV)の化合物をもたらすことは排除されない。
式(IV)の化合物は、例えば反応混合物から(又はさらなる処理工程の後に)、分離することができ、かつ適した条件下で式(I)の化合物に変換することができる(例えばホスゲン又はジメチルカーボネートを用いる、環化;式(II)の化合物の製造に類似)。したがって少なからぬ場合に、本発明による方法(上記の通り、好適には上記で好ましいとして定義した通り)は、以下の式(I):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
の化合物を製造するために好ましく、この方法は、
(a)以下の工程:
・以下の式(II):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは式(I)で選択した意味を有する。)
の化合物を提供するか、又は製造する工程
・式(II)の化合物を、気体状酸素を用いて白金触媒により酸化させ、式(I)の化合物を得る工程を有し、
かつさらに
(b)以下の工程:
・以下の式(III):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは式(I)で選択した意味を有する。)
の化合物を提供するか、又は製造する工程
・式(III)の化合物を、気体状酸素を用いて白金触媒により酸化させ、以下の式(IV):
Figure 0006664388
の化合物を得る工程を有し、
並びに任意で以下の工程:
・式(IV)の化合物を式(I)の化合物に変換する工程を有する。
式(IV)の化合物を式(I)の化合物に変換する工程はその際、すでに本明細書で上記に述べたように、好適にはジメチルカーボネート又はホスゲンの存在下で行われる。
特に好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、白金触媒による酸化のために、固体としての白金を有する、好ましくは担体材料上の固体としての白金を有する、特に好ましくは炭素上の固体としての白金を有する触媒が使用される。
特に好ましい担体材料は、Al、Y、Lu、ZrO−Y、TiO、Fe、SiO、ゼオライト、γ−AlO(OH)、炭素、及びこれらの混合物から成る群より選択され、ここで炭素が特に好ましい担体材料である。
白金触媒による酸化のための特に好ましい触媒は、「カーボン上の(固体としての)白金」触媒(担持白金としても知られている)であり、ここで炭素上の白金の担持率(Beladung)は、好適にはPt/C 4w/w%〜Pt/C 12w/w%の範囲にあり、特に好適にはPt/C 5w/w%〜Pt/C 10w/w%の範囲にある。独自の調査は、Pt/C 4w/w%未満の担持率で、幾つかの場合では、不所望に高いCO形成(脱炭酸)が観察されたことを示した。
好適には、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)における担持白金の合計物質量が、それぞれ式(II)の化合物の合計物質量を基準として、2.5〜10モル%、好適には4〜8モル%、特に好ましくは4〜6モル%である。
特に好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、白金触媒による酸化のために、気体状酸素での酸化用の「カーボン上の(固体としての)白金」触媒が使用され、ここで
・炭素上の白金の担持率は、Pt/C 4w/w%〜Pt/C 12w/w%の範囲にあり、好適にはPt/C 5w/w%〜Pt/C 10w/w%の範囲にあり、
かつ
・担持白金(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)の合計物質量は、それぞれ式(II)の化合物の合計物質量を基準として、2.5〜10モル%、好適には4〜8モル%、特に好ましくは4〜6モル%である。
独自の調査は、通例、白金の、式(II)の化合物の合計量に対する定義された比が存在する場合に良好な結果(許容可能な収率及び許容可能な転化率)が達成されることを明らかにした。よって、好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、白金触媒による酸化工程の開始時に、使用される白金の、式(II)の化合物に対するモル比が2超:100であり、好適には3超:100である。
特に好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、Rが水素を意味する。この場合、式(I)の化合物はグリセリン酸カーボネートであり、式(II)の化合物はグリセリンカーボネートである(式(III)の化合物はグリセリンであり、かつ式(IV)の化合物はグリセリン酸である。)。本明細書において先に及び以下で本発明による方法の好ましい形態に関して述べることは殊に、本発明による好ましい方法であって、RがHを意味する場合に該当する。
特に好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、白金触媒による酸化工程が水性媒体中で行われる。水性媒体が実際に有利であると判明した。というのも、式(I)及び(II)の化合物が水性媒体中で、通例、本目的のために十分な安定性(例えば、加水分解安定性)を有するから、若しくは式(II)の化合物が十分に良好な反応性を有するからである。さらに水性媒体は、簡単に用意することができ、また本発明による方法の終了後、比較的簡単に後処理して、式(I)の化合物を単離することができる。
好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、白金触媒による酸化工程が、少なくとも一時的に、好適には大部分の時間で、50〜90℃の範囲、好適には50〜82℃の範囲、特に好ましくは68〜82℃の範囲にある温度で行われる。特に好ましくは、白金触媒による酸化工程を、50〜90℃の範囲、好適には50〜82℃の範囲、特に好ましくは68〜82℃の範囲にある温度で行う。
50〜90℃の範囲、好適には50〜82℃の範囲、特に好ましくは68〜82℃の範囲にある温度が特に有利である。というのも、そのような温度は標準大気圧で達成することができるからである。このことは、比較的単純な方法形態を可能にする。温度が50℃未満であると、反応経過が非常に緩慢になり、殊に不経済である。82℃超の温度は、出発物質若しくは生成物の分解(CO形成、加水分解)の増加、延いては収率の悪化を招く。この作用は、温度が90℃を超える場合に特に顕著である。
すでに上記で述べたように、式(I)及び(II)の化合物は水性媒体中で、本目的のために十分な加水分解安定性を有する。この加水分解安定性は、使用される1種以上の溶媒(好適には、水)だけでなく、さらには相応する水性媒体のpH値(殊に、水を単独の溶媒として使用する場合)にも依存する。同じくすでに上記で説明したように、製造される式(I)の化合物は有機酸であり、そのカルボキシル基が水の存在下で解離することによって、すでに反応過程の間に水性媒体中のpH値の減少がもたらされる。pH値が6超、殊に7超であると、グリセリンカーボネート(式(II)の化合物であって、RがHを意味する)及びグリセリン酸カーボネート(式(I)の化合物であって、RがHを意味する)の安定性に不利な影響を及ぼす。pH値が大きくなるほど、加水分解を受け易くなる。反対に、pH値が比較的低い(6未満)場合、式(I)及び(II)の化合物(それぞれRが好適にはHを意味する)は安定化する。
よって、特に好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、水性媒体中での白金触媒による酸化工程の開始時に、pHが7であるか又は7未満であり、好適にはpHが4〜7の範囲にあり、好適にはpHが4〜6の範囲にある。
本発明による好ましい方法において、白金触媒による酸化工程は、少なくとも一時的に、好適には大部分の時間で、50〜90℃の範囲、好適には50〜82℃の範囲、特に好ましくは68〜82℃の範囲にある温度で実施される。これらの好ましい方法形態では、水性媒体中のpHが、酸化開始時に好適には4〜7の範囲、好ましくは4〜6の範囲にある。50〜90℃の範囲、好適には50〜82℃の範囲、特に好ましくは68〜82℃の範囲にある温度で、及び4〜7の範囲、好適には4〜6の範囲にあるpH値で(それぞれ酸化開始時に関する)、式(II)の化合物は、依然として十分に高い酸化力、並びに不所望の副反応に対する安定性を示すため、式(I)の化合物に容易に変換することができる。
独自の調査において、本発明による方法を、水性媒体中のpH値が、式(I)(場合によってはさらに式(IV))の化合物の解離の結果であるように実施することが通例有利であると分かった。すでに上記で説明したように、殊に、水性媒体中の式(I)の化合物の存在は、pH値が、水性媒体中でのこの化合物(殊に式(I)の化合物であって、Rが好適にはHを意味する)の固有pH値に相当するpH値に(少なくともほぼ)達するまで、減少することをもたらす。化合物の固有pH値とは、この化合物の所定の濃度で、かつこの化合物のpKa値に基づき、水性媒体中に存在するpH値である。好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、白金触媒による酸化工程は、式(I)の化合物の形成に伴って水性媒体中のpH値が低下するように、好適にはpH単位で少なくとも2、特に好ましくはpH単位で少なくとも3、さらに好ましくはpH単位で少なくとも4、殊に好ましくはpH単位で6低下するように実施される。
例えば、pH単位で2.5低下するpH値は、例えば4.5の開始pH値から出発して、水性媒体のpH値が、酸化の間に2に低下する場合である(本明細書のさらに以下にある実施例を参照)。特に好ましくは、白金触媒による酸化工程を、式(I)(ここでRは、好適にはHを意味する。)の化合物の形成に伴って、水性媒体中のpH値が2〜0の範囲、好適には1.4〜0.2の範囲になるように実施する。
驚くべきことに、独自の調査において、本発明による方法(先に定義した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)で好ましくは使用される担持白金触媒(好ましい触媒については本明細書で上記をさらに参照)が、先に記載したpH値を有する水性媒体中で、依然として十分な活性を有することが示された。式(I)及び(II)の化合物(Rが好適にはHを意味する)は、これらの条件下で、本目的のために加水分解から大体において保護されている。すでに上記で述べたように、本発明の課題は、単純で、かつ比較的大きな運転コストなしに実施することができる方法を提供することであった。驚くべきことに、好ましく使用されうる担持白金触媒が先に挙げたpH値で、依然として十分な活性を有することが示されたため、水性媒体のpH値の連続的な測定及び場合によっては調整は、本発明による方法(先に定義した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)では必要ない。通常、あまり酸性ではない条件でのpH値は、塩基を添加することによって、ある一定のpH範囲に維持される(例えば、ヘインズ酸化(Heyns−Oxidationen))。しかしながら本発明による方法では、水性媒体中で確立される固有pH値を、塩基を連続的に又は徐々に添加することによって逆に作用させる措置を何ら講じる必要はない。さらに、緩衝系を有する水性媒体を、反応の間に生成物として形成された酸の解離によって起こるpHの減少に対して逆に作用させるために、使用する必要もない。このことは、方法の実施を単純化し、本方法の実施のために必要なコストを削減する。したがって、特に好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、白金触媒による酸化工程が塩基又は緩衝剤を添加することなく行われる。
独自の調査において、式(I)の化合物の特に良好な収率が通例、水性媒体中のpH値が低いにもかかわらず達成されることが示された(先の説明を参照)。少なからぬ場合に、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)が好ましく、ここで、白金触媒による酸化工程が、pHが(より高いpH値から開始して)2の値、好適には1の値、特に好ましくは0.5の値を下回る前には終了せず、水性媒体中での白金触媒による酸化工程の開始時に、pH値が7であるか又は7未満であり、好適にはpHが4〜7の範囲にあり、好適にはpHが4〜6の範囲にあるか、
又は
白金触媒による酸化工程が、pH値が(より高いpH値から開始して)2、好適には1、特に好ましくは0.5を下回るまで少なくとも実施され、水性媒体中での白金触媒による酸化工程の開始時に、pH値が7であるか又は7未満であり、好適にはpHが4〜7の範囲にあり、好適にはpHが4〜6の範囲にある。
したがって、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)を好適には、反応を終了する前に(より高い特定の開始pH値から出発して)、少なくとも目的pH値に達するように、実施することが特に有利である。そのような手順は、本発明による方法がバッチ法として実施される場合に特に有利である。好適には、白金触媒による酸化工程が、pHが(より高いpH値から出発して)2の値、好適には1の値、特に好ましくは0.5の値を下回る前には終了しないか(ここで水性媒体中での白金触媒による酸化工程の開始時に、pH値が7であるか又は7未満であり、好適にはpHが4〜7の範囲にあり、好適にはpHが4〜6の範囲にある。)、又は白金触媒による酸化工程が、pH値が(より高いpHから開始して)2、好適には1、特に好ましくは0.5を下回るまで少なくとも実施され(ここで水性媒体中での白金触媒による酸化工程の開始時に、pH値が7であるか又は7未満であり、好適にはpHが4〜7の範囲にあり、好適にはpHが4〜6の範囲にある。)、ここで白金触媒による酸化工程が(それぞれ先に挙げた2つの選択肢に関して)、少なくとも一時的に、好適には大部分の時間で、50〜90℃の範囲、好適には50〜82℃の範囲、特に好ましくは68〜82℃の範囲にある温度で行われる。
特に好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、式(I)の化合物の収率が、白金触媒による酸化工程が終了し、水性媒体のpHが好適には0.5の値を下回った後に、90%以上である(本明細書の以下にある実施例を参照)。特に好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、白金触媒による酸化工程が、水性媒体のpH値が固有pH値に達する前には終了せず(若しくは、白金触媒による酸化工程が、水性媒体のpH値が式(I)の化合物の固有pH値とほぼ相応するまで実施され)、好適には、白金触媒による酸化工程が、少なくとも一時的に、好適には大部分の時間で、50〜90℃の範囲、好適には50〜82℃の範囲、特に好ましくは68〜82℃の範囲にある温度で行われる。
すでに本明細書で上記に説明したように、白金触媒による酸化は気体状酸素を用いて行われる。その際酸素は、式(II)の化合物の酸化のために(場合によっては、式(III)の化合物の酸化のためにも)、様々な方法でここに導くことができる。特に好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、白金触媒による酸化工程を、気体状酸素が水性媒体中へ導入されるように実施する。特に好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、気体状酸素が、気体状の空気又は気体状の純酸素(例えば、99%超の酸素含分を有する工業用酸素)の形で水性媒体中へ導入される。好適には、導入される気体(例えば、気体状の空気又は気体状の純酸素)は、この導入される気体が水性媒体中を流れ、その際に好適には水性媒体との接触時間が最大になるように、水性媒体中へ導入される。
好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、白金触媒による酸化工程が大気圧で実施される。別の適用に応じて、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)を、白金触媒による酸化工程が1〜50barの範囲、好適には1〜10barの範囲、特に好ましくは1〜2barにある圧力で実施されるように実施することが好ましい場合がある。
特に好ましくは、本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、式(I)〜(IV)を有する化合物(殊に式(I)及び(II)の化合物)が水性媒体(好適には先に記載した通りの水性媒体、好適には先で好ましいとして定義した通り)中で溶解して存在する(水溶液)。このことは殊に、白金触媒による酸化のために、好ましい担持白金触媒が使用される場合に有利である(好ましい触媒については本明細書で上記をさらに参照)。この場合、不均一系白金触媒は、単純な機械的分離方法(例えば、濾過、遠心分離、及び/又は沈降)によって水溶液から分離することができる。式(II)の化合物を完全に若しくはほぼ完全に式(I)の化合物に変換する場合、触媒から分離された反応媒体(例えば、濾液)は、式(I)の所望の反応生成物だけ又はほぼそれだけを含有する。これらの条件下で、式(I)の生成物を、単純な方法で、かつ大きな運転コスト、技術コストなしに取得することができる。引き続く工程において、溶媒である水を、好適には真空下で(例えば、ロータリーエバポレーター中で)、好適には除去する(蒸発させる)。
本発明はまた、式(I)の化合物を製造するための、ヘインズ酸化の適用(若しくは使用)にも関する。したがって、本発明によると、本発明は、
(a)以下の式(II):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
の化合物を酸化するための、
ヘインズ酸化の適用(若しくは使用)に関し、
ここでヘインズ酸化は塩基又は緩衝剤を添加することなく行われる。
本発明による方法に関して先に述べたことは、それに応じて、本発明による前記適用(若しくは使用)に該当する。
すでに本明細書で上記に述べたように(かつこの想定に縛られるものではないが)、本発明による方法では、式(III)の化合物(本発明による方法の好ましい水性媒体中に存在することができる)を、白金触媒による酸化工程によって式(IV)の化合物に変換することは排除されない。この場合に、ヘインズ酸化の本発明による適用(若しくは使用)は、
(a)以下の式(II):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
の化合物を酸化するため、
かつさらに
(b)以下の式(III):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは式(II)で選択した意味を有する。)
の化合物を酸化するために
好ましく、
ここでヘインズ酸化はそれぞれ塩基又は緩衝剤を添加することなく行われる。
「ヘインズ酸化」は、有機第一級アルコールを、酸素及び白金の存在下、水性媒体中で、特に塩基性のpH値で、有機酸に酸化することをいう。ヘインズ反応の詳細は、Gabriel Tojo及びMarcos Fernandez著,“Oxidation of Primary Alcohols to Carboxylic Acids,A Guide to Current Common Practice”,p.43−60、の専門書から読み取ることができる。
したがって、「ヘインズ酸化」の適用(若しくは使用)は、方法(好適には、好ましい温度及び/又はpH値が存在する場合の好ましい本発明による方法)であって、式(II)の化合物(及び場合によっては、式(III)の化合物)の第一級ヒドロキシル基が、気体状酸素の存在下での酸化によりカルボキシル基に変換される(これにより式(I)の化合物(及び場合によっては、式(IV)の化合物)が生成する)方法をもたらす。その際に進行する酸化反応は、ヒドロキシル基のアルデヒド基への酸化、並びに引き続く、アルデヒド基のカルボキシル基への酸化を含む。酸化工程が無水の条件下で行われる場合、カルボキシル基への完全な酸化が行われるのではなく、第一級ヒドロキシル基がアルデヒド基にまで酸化されるだけである。
殊に好ましくは、ヘインズ酸化の適用(若しくは使用)(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、酸化工程が、少なくとも一時的に、好適には大部分の時間で、50〜90℃の範囲、好適には50〜82℃の範囲、特に好ましくは68〜82℃の範囲にある温度で実施される。
特に好ましくは、ヘインズ酸化の本発明による適用(若しくは使用)(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)であって、(先に挙げた温度とは無関係に、又は先に挙げた温度に加えて、)酸化工程が、pHが(より高いpHから開始して)2の値、好適には1の値、特に好ましくは0.5の値を下回る前には終了せず、水性媒体中での白金触媒による酸化工程の開始時に、pH値が7であるか又は7未満であり、好適にはpHが4〜7の範囲にあり、好適にはpHが4〜6の範囲にあるか、
又は
白金触媒による酸化工程が、pH値が(より高いpH値から開始して)2、好適には1、特に好ましくは0.5を下回るまで少なくとも実施され、水性媒体中での白金触媒による酸化工程の開始時に、pH値が7であるか又は7未満であり、好適にはpHが4〜7の範囲にあり、好適にはpHが4〜6の範囲にある。
本発明はまた、以下のもの:
・固体としての白金を有する、好ましくは担体材料上の固体としての白金を有する、特に好ましくは炭素上の固体としての白金を有する触媒、
並びに
・(a)以下の式(II):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
の化合物
から成る群より選択される1種以上の化合物、
及び任意で、
(b)以下の式(III):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
の化合物
から成る群より選択される1種以上の化合物
を含有する混合物にも関する。
好適には、本発明による混合物(先に記載した通り)は、式(II)の1種以上(好適には1種)の化合物(特に好ましくは式(II)の化合物であって、RがHを意味する)と式(III)の1種以上(好適には1種)の化合物(特に好ましくは式(III)の化合物であって、RがHを意味する)の両方を含有し、ここで式(II)の化合物の物質量割合は、式(II)及び(III)の化合物の合計物質量を基準として、好適には95%であるか又は95%超、好ましくは97%であるか又は97%超である。
本発明による方法に関して先に述べたこと、若しくはヘインズ酸化の本発明による適用について先に述べたことは、それに応じて、本発明による混合物に該当する。
先に記載した本発明による混合物は、好適には本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)における開始時点、又は好適にはヘインズ酸化の本発明による適用(若しくは使用)(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)での開始時点で、(例えば、バッチ法として知られている、方法の形態において)使用される。
すでに本明細書で上記に説明したように、本発明による方法では通例、副反応が生じる(具体的な副反応については本明細書の上記をさらに参照)。
幾つかの場合では、本発明による混合物(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)が好ましく、以下のもの:
・固体としての白金を有する、好ましくは担体材料上の固体としての白金を有する、特に好ましくは炭素上の固体としての白金を有する触媒、
・以下の式(II):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
の1種以上(好適には1種)の化合物、
並びに
(a)以下の式(I):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
の1種以上(好適には1種)の化合物、
並びに好適には
(b)以下の式(III):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
の1種以上(好適には1種)の化合物、
及び好適には
(c)以下の式(IV):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
の1種以上(好適には1種)の化合物
を含有する。
先に記載した、本発明による好ましい混合物は、好適には本発明による方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)において、又は好適にはヘインズ酸化の本発明による適用(若しくは使用)(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)で、反応混合物として得られるか若しくは(例えば、連続的な方法形態において)使用される。
本発明はまた、本発明による混合物(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)の使用にも関し、この混合物は、以下のもの:
・固体としての白金を有する、好ましくは担体材料上の固体としての白金を有する、特に好ましくは炭素上の固体としての白金を有する触媒、
並びに
・(a)以下の式(II):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
の化合物
から成る群より選択される1種以上の化合物、
及び任意で、
(b)以下の式(III):
Figure 0006664388
(上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
の化合物
から成る群より選択される1種以上の化合物
を含有し、
式(I)の化合物の製造方法における、好適には式(I)の化合物の本発明による製造方法(先に記載した通り、好適には先で好ましいとして定義した通り)において用いる。特に好ましくは、先に記載した本発明による混合物の本発明による使用であって、本発明による混合物は、式(II)の1種以上(好適には1種)の化合物(特に好ましくは式(II)の化合物であって、RがHを意味する)と式(III)の1種以上(好適には1種)の化合物(特に好ましくは式(III)の化合物であって、RがHを意味する)の両方を含有する。
以下で本発明を実施例により説明する。
実施例:
1.全体的な実験構成:
第一工程では、「カーボン上の白金」触媒をグリセリンカーボネート水溶液(式(II)の化合物、RがHを意味する、水中)へ添加した(以下で触媒に関する記載は、グリセリンカーボネートを基準としたモル濃度である。)。
第二工程では、不均一系触媒を加えた溶液(以下、懸濁液と称する)を所望の温度に加熱し、酸素(99.995%、Air Liquide社)を、所望の圧力若しくは所望の流量(表1を参照)で、実験実施の時間に亘ってフリットを介して懸濁液中へ導入した。
第三工程では、(a)式(I)の化合物の、式(II)の化合物に対する比率、及び(b)式(I)の化合物の、式(IV)の化合物に対する比率をH−NMR及び13C−NMRによって様々な時点で測定した。
実験パラメータに関するさらなる詳細及び記載については、以下の項目2及び表1を参照。
2.具体的な実験パラメータ及び結果:
詳細及び実験パラメータは、以下の表1にまとめてある。ここで、
・「#」は例番号であり、
・「O[l/h]」は酸素流量(開放反応操作の場合;例1〜12に関する)であり、
・「圧力[bar]」は反応器中の酸素圧力(閉鎖反応操作の場合;例13〜15に関する)であり、
・「GC[w/w%]」は水中のグリセリンカーボネート濃度であり、
・「Pt[モル%]」は懸濁液中のグリセリンカーボネートの合計物質量を基準とする担持白金の使用された物質量であり、
・「Pt/C[w/w%]」は不均一系触媒の白金担持率であり、
・「生産量[%]」(Austrag[%])は転化率100%を基準とする粗収率であり、ここで粗収率は、触媒を濾過により除去し、かつ易揮発性成分を蒸発させた後の懸濁液の残分に関し、
・「(I):(II)」はグリセリン酸カーボネートの、グリセリンカーボネートに対する物質量の比率(転化率及び選択率の大きさ)であり、
・「(I):(IV)」はグリセリン酸カーボネートの、グリセリン酸に対する物質量の比率(選択率の大きさ及び分解反応の程度)である。
触媒として、以下の製品番号を有する、Sigma Aldrichのカーボン上の白金触媒を使用した:
・Pt/C[w/w%]10:製品番号:80980
・Pt/C[w/w%]5:製品番号:80982
Figure 0006664388
例2、3、及び7〜12では、「生産量」が測定されなかった。
例1は、12時間の反応時間後に、全ての反応物が完全にCOに分解したことを示す。特に好ましい反応時間は、2〜4時間の範囲にある。
例5は(例4及び6と比較として)、80℃の特に好ましい反応温度、及び4時間の好ましい反応時間の場合に、中程度の生産量損失で選択率の最適値が達成されたことを示す。
例7は(例8及び9と比較して)、8.3w/w%のグリセリンカーボネート濃度が、例8若しくは9における12w/w%及び15.3w/w%の濃度と比較して、その他の点では同じ反応時間で、非常に高い「(I):(II)」及び「(I):(IV)」の比率をもたらすことを示す。
例2、10、及び11は、酸素流量の増加が、「(I):(II)」及び「(I):(IV)」の比率の特出するほどの増加を(2時間の反応時間でも4時間の反応時間でも)もたらさないことを示す。
例12及び14はそれに対して、反応器中の圧力の増加(つまり、閉鎖反応操作の場合)が、「(I):(II)」の比率の増加をもたらすことを示す。
先に示した、実施した例の結果は、不均一系触媒の白金担持率が、反応パラメータ、反応時間、及び反応温度(「t」若しくは「T」)に影響を与えるが、反応の質(「(I):(II)」及び「(I):(IV)」の比率で読み取ることができる)に影響を与えないことを示す。つまり、例えば例13及び14は、担持率が減少した触媒を用いる反応(例13)が、極めて類似した「(I):(II)」及び「(I):(IV)」の比率をもたらすものの、(同じ反応時間で)明らかに低い生産量を招くことを示す。
例14及び15は、白金の絶対量(Pt[モル%]の欄を参照)の減少が、「(I):(II)」の比率に不利な影響を及ぼすことを示す。
表1によると、例4、5、及び14が、特に好ましい方法の実施である。
実施された全ての酸化反応において、各水性媒体のpH値が、4〜5の範囲にある開始pH値から(「t」=0時間及び表1にそれぞれ挙げられている温度で)出発して、120分後に0.5未満であったことが観察された。したがって、pH値は各例において、pH単位で少なくとも3低下した。各懸濁液のどれにも、塩基又は緩衝剤を添加しなかった。
pH値の推移を、以下の表2に、選ばれた3つの例反応について、より詳細に示してある。表2に示された、70℃の温度で実施した例反応は、表1中の例10及び11に対応する。表2に示された、80℃の温度で実施した例反応は例5に対応し、90℃で実施した例反応は表1中の例6に対応する。
Figure 0006664388
さらに、pH安定化の影響を調査した。例16では、pH値を反応の間にpH=5.5に緩衝化し、例17では、pH値を安定化させなかった。さらなる詳細及び実験パラメータは、以下の表3にまとめてある。
Figure 0006664388
例16と17との比較は、緩衝化が行われない場合に、はるかに高い転化率及び選択率を達成できることを示す。

Claims (26)

  1. 以下の式(I):
    Figure 0006664388
    (上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
    の化合物の製造方法であって、
    (a)以下の工程:
    ・以下の式(II):
    Figure 0006664388
    (上記式中、Rは式(I)で選択した意味を有する。)
    の化合物を提供するか、又は製造する工程
    ・式(II)の化合物を、気体状酸素を用いて白金触媒により酸化させ、式(I)の化合物を得る工程を有し、
    白金触媒による酸化工程が水性媒体中で行われ、かつ、水性媒体中での白金触媒による酸化工程の開始時に、pHが7であるか又は7未満である、
    式(I)の化合物の製造方法。
  2. 白金触媒による酸化のために、固体としての白金を有する触媒が使用される、請求項1に記載の製造方法。
  3. 白金触媒による酸化のために、担体材料上の固体としての白金を有する触媒が使用される、請求項2に記載の製造方法。
  4. 白金触媒による酸化のために、炭素上の固体としての白金を有する触媒が使用される、請求項2に記載の製造方法。
  5. が水素を意味する、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 水性媒体中での白金触媒による酸化工程の開始時に、pHが4〜7の範囲にある、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 水性媒体中での白金触媒による酸化工程の開始時に、pHが4〜6の範囲にある、請求項6に記載の製造方法。
  8. 白金触媒による酸化工程は、式(I)の化合物の形成に伴って水性媒体中のpH値が低下するように実施される、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 白金触媒による酸化工程は、式(I)の化合物の形成に伴って水性媒体中のpH値がpH単位で少なくとも2低下するように実施される、請求項8に記載の製造方法。
  10. 白金触媒による酸化工程は、式(I)の化合物の形成に伴って水性媒体中のpH値がpH単位で少なくとも3低下するように実施される、請求項8に記載の製造方法。
  11. 白金触媒による酸化工程は、式(I)の化合物の形成に伴って水性媒体中のpH値がpH単位で少なくとも4低下するように実施される、請求項8に記載の製造方法。
  12. 白金触媒による酸化工程は、式(I)の化合物の形成に伴って水性媒体中のpH値がpH単位で少なくとも6低下するように実施される、請求項8に記載の製造方法。
  13. 白金触媒による酸化工程が、塩基又は緩衝剤を添加することなく行われる、請求項1〜12のいずれかに記載の製造方法。
  14. 白金触媒による酸化工程が、2のpH値を下回るまで少なくとも実施される、請求項1〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 白金触媒による酸化工程が、1のpH値を下回るまで少なくとも実施される、請求項14に記載の製造方法。
  16. 白金触媒による酸化工程が、0.5のpH値を下回るまで少なくとも実施される、請求項14に記載の製造方法。
  17. 白金触媒による酸化工程の開始時に、使用される白金の、式(II)の化合物に対するモル比が2超:100である、請求項1〜16のいずれかに記載の製造方法。
  18. 白金触媒による酸化工程の開始時に、使用される白金の、式(II)の化合物に対するモル比が3超:100である、請求項17に記載の製造方法。
  19. 白金触媒による酸化工程が、50〜90℃の範囲にある温度で行われる、請求項1〜18のいずれかに記載の製造方法。
  20. 白金触媒による酸化工程が、50〜82℃の範囲にある温度で行われる、請求項19に記載の製造方法。
  21. 白金触媒による酸化工程が、68〜82℃の範囲にある温度で行われる、請求項19に記載の製造方法。
  22. 白金触媒による酸化工程が、気体状酸素が水性媒体中へ導入されるように実施される、請求項1〜21のいずれかに記載の製造方法。
  23. ヘインズ酸化を、
    (a)以下の式(II):
    Figure 0006664388
    (上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
    の化合物を酸化するために
    適用する使用であって、ヘインズ酸化が、塩基又は緩衝剤を添加することなく行われ、ヘインズ酸化が水性媒体中で行われ、かつ、水性媒体中でのヘインズ酸化の開始時に、pHが7であるか又は7未満である、前記使用。
  24. 以下のもの:
    ・固体としての白金を有する触媒、
    及び
    ・(a)以下の式(II):
    Figure 0006664388
    (上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
    の化合物
    から成る群より選択される1種以上の化合物、
    ・及び任意で、
    (b)以下の式(III):
    Figure 0006664388
    (上記式中、Rは、H及び直鎖状、分枝鎖状、若しくは環状のC1〜12アルキル基から選択される。)
    の化合物
    から成る群より選択される1種以上の化合物
    を含有する混合物。
  25. 前記触媒が、担体材料上の固体としての白金を有する、請求項24に記載の混合物。
  26. 前記触媒が、炭素上の固体としての白金を有する、請求項24に記載の混合物。
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