JP2008303149A - アミノナフトキノン類の製造方法 - Google Patents

アミノナフトキノン類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】合成時及び精製時における溶媒使用量を低減することができ、かつ高収率でアミノナフトキノン類を製造することができるアミノナフトキノン類の製造方法を提供する。
【解決手段】下記一般式(B)で表される化合物を、酢酸中で、アジ化ナトリウムと反応させ、得られた生成物を再結晶法により精製することにより、下記一般式(A)で表されるアミノナフトキノン類を製造する。なお、下記一般式(A),(B)中のXは、水素又はアルキル基を示す。

【選択図】なし

Description

本発明は、2−アミノ−1,4−ナフトキノン及び2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノン等のアミノナフトキノン類の製造方法に関する。より詳しくは、酸化還元酵素を用いた燃料電池のミディエーター等に使用されるアミノナフトキノン類の製造方法に関する。
酵素電池は、負極の電極上の触媒に酵素を採用することにより、例えばグルコース及びエタノールのように通常の工業触媒では利用できない燃料から、効率よく電子を取り出すことができるため、次世代の燃料電池として注目されている。一般に酵素電池では、電極表面に酵素が固定化されているが、酵素分子と電極との間での直接的な電子の受け渡しは極めて効率が悪いため、これらの間にミディエーターとなる小分子を介在させて、化学反応に必要な電子を間接的に受け渡す構成としている。
図6は酵素電池の反応スキームを示す図である。図6に示すグルコースを燃料とする酵素電池においては、負極でグルコース(Glucose)の酸化反応が進行し、正極で大気中の酸素(O)の還元反応が進行する。そして、負極では、グルコース(Glucose)、グルコース脱水素酵素(Glucose Dehydrogenase)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD;Nicotinamide Adenine Dinucleotide)、ジアホラーゼ(Diaphorase)、ミディエーター、電極(カーボン)の順に電子が受け渡される。このような酵素電池で使用されるミディエーターには、ジアホラーゼ(Diaphorase)と電極の両方に反応性が高いことが要求される。また、ミディエーターの酸化還元電位により電池の電位が決定するため、ミディエーターの酸化還元電位はジアホラーゼの酸化還元電位よりも貴な領域で、できるだけ卑側にあることが望ましい。
このような特性を持つミディエーターとしては、例えば、2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ;2-amino-1,4-naphthoquione)及び2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノン等のアミノナフトキノン類が挙げられる(特許文献1参照)。一般に、これらアミノナフトキノン類は、ナフトキノンを塩酸存在下のメタノール溶媒中でアジ化ナトリウム(NaN)と反応させることにより製造されている(非特許文献1参照)。また、従来、1,4−ナフトキノンをアルコール溶媒中でo−アルキルヒドロキシルアミンと反応させて、ANQを製造する方法も提案されている(特許文献2参照)。
更に、酢酸溶媒中でアジ化ナトリウムと反応させることにより、ナフトキノン誘導体をアミノ化する方法も提案されている(特許文献3参照)。特許文献3に記載の方法では、酢酸に溶解した2−カルボキシメチル−1,4−ナフトキノンに、アジ化ナトリウム水溶液を添加してこれらを反応させることにより、2−アミノ−3−カルボキシメチル−1,4−ナフトキノンを製造している。
特開2006−156354号 特開平8−325214号 特開平10−36328号 Elias A. Couladouros、他2名,「Efficient Synthesis of Aminonaphthoquinones and Azidobenzohydroquinones: Mechanistic Considerations of the Reaction of Hydrazoic Acid with Quinones. An Overview」,The Journal of Organic Chemistry,第62巻,第1号,1997年、p.6−10
しかしながら、ナフトキノンはアルコールへの溶解性が低いため、特許文献1及び2に記載の方法でANQ又は2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンを大量に生産すると、反応のスケールが大きくなりすぎるという問題点がある。一方、特許文献3に記載の方法のように反応溶媒に酢酸を使用すると、前述したナフトキノンの溶解性についての問題は生じないが、この方法では、精製にカラムクロマトグラフィーを使用しているため、精製溶媒の使用量が増加するという問題点がある。一般に、アミノナフトキノン類をカラムクロマトグラフィーで精製する場合、溶媒として酢酸エチルとn−ヘキサンとの混合溶媒を使用するが、ANQ及び2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンはこの混合溶媒に対する溶解性が低いため、大量の溶媒が必要となる。
なお、特許文献2には、カラムクロマトグラフィー以外に、再結晶法により精製可能である旨の記載があるが、ANQ又は2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンの場合、反応副生物も同様の性質を持っているため、単に再結晶法を適用しただけでは、反応副生成物を除去することができないという問題点がある。
そこで、本発明は、合成時及び精製時における溶媒使用量を低減することができ、かつ高収率でアミノナフトキノン類を製造することができるアミノナフトキノン類の製造方法を提供することを主目的とする。
本発明のアミノナフトキノン類の製造方法は、下記化学式1で表されるアミノナフトキノン類を製造する方法であって、下記化学式2で表される化合物を、酢酸中で、アジ化ナトリウムと反応させる工程と、前記反応により得られた反応生成物を再結晶法により精製する工程とを有する。なお、下記化学式1,2におけるXは、水素又はアルキル基を示す。
上記化学式2で表される1,4−ナフトキノン及び2−アルキル−1,4−ナフトキノンは、酢酸への溶解性が良好であるため、アジ化ナトリウムとの反応時の溶媒に酢酸を使用すると、従来使用されていたアルコールよりも少量でこれらを溶解することができる。また、再結晶法で精製すると、カラムクラマトグラフィー法よりも、使用する溶媒の量が少なくなる。また、精製に要する時間も短くなり、製造時間が短縮される。
また、前記アミノナフトキノン類が2−アミノ−1,4−ナフトキノンである場合は、前記精製工程において、前記反応生成物を再結晶溶媒である酢酸エチルに溶解させた後、その溶液を45〜55℃に保持することで酢酸エチルを徐々に除去し、2−アミノ−1,4−ナフトキノンを再結晶化させることが好ましい。一方、前記アミノナフトキノン類が2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンである場合は、前記精製工程において、水:エタノールが2:1〜5:3の混合溶液を再結晶溶媒として使用し、前記混合溶液を沸点と同等の温度で環流することにより前記混合溶液中に前記反応生成物を溶解し、前記反応生成物が過飽和の状態となった後、その溶液を5℃以下に冷却して2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンを再結晶化させることが好ましい。
本発明によれば、反応溶媒に酢酸を使用すると共に、再結晶法により精製しているため、合成時及び精製時に使用する使用する溶媒の量を低減することができ、更に高収率でアミノナフトキノン類を製造することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。本発明者は、上述した課題を解決するために鋭意実験検討を行った結果、ナフトキノン類をアミノ化する際の反応溶媒に酢酸を使用すると、反応溶媒に対するナフトキノン類の溶解性が向上し、その結果、反応溶媒の使用量を低減できることを見出した。また、本発明者は、精製工程についても併せて検討を行い、カラムクロマトグラフィー法に代えて、再結晶法を適用することにより、再結晶溶媒の使用量も低減できること、更には、再結晶法において高収率でアミノナフトキノン類が得られる条件を見出した。
本発明は、これらの知見に基づいてなされたものであって、酢酸溶媒中で、下記化学式3に示すナフトキノン類、即ち、1,4−ナフトキノン又は2−アルキル−1,4−ナフトキノンとアジ化ナトリウムとを反応させ、その反応生成物を再結晶法により精製して、下記化学式4で表されるアミノナフトキノン類、即ち、2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ)又は、2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンを製造する。なお、下記化学式3,4におけるXは水素又はアルキル基を示す。
先ず、本発明の第1の実施形態に係るアミノナフトキノン類の製造方法について説明する。本実施形態のアミノナフトキノン類の製造方法においては、下記化学式5に示す反応により、1,4−ナフトキノンにアミノ基を導入して、2−アミノ−1,4−ナフトキノン(ANQ)を製造する。
本実施形態においては、先ず、出発物質である1,4−ナフトキノンを酢酸に溶解させてナフトキノン/酢酸溶液を調整する。このとき、1,4−ナフトキノンの全てが酢酸に溶解している必要はなく、部分的に溶解している状態でもよい。また、アジ化ナトリウム(NaN)を水に溶解させて、アジ化ナトリウム水溶液を調整する。このアジ化ナトリウム水溶液の濃度は、特に限定する必要はないが、2〜3Mとすることが好ましい。なお、ナフトキノン類は酸素と反応して容易に酸化してしまうため、ナフトキノン/酢酸溶液及びアジ化ナトリウム水溶液は、窒素バブリング等によって脱酸素することが望ましい。
次に、ナフトキノン/酢酸溶液中にアジ化ナトリウム水溶液を滴下し、1,4−ナフトキノンとアジ化ナトリウムとを反応させる。これにより、ANQが析出する。また、1,4−ナフトキノンが溶け残っていた場合は、反応が進行するに従い溶解し、代わってANQが析出する。
なお、アジ化ナトリウムを滴下する際は、反応を促進するために、ナフトキノン/酢酸溶液を撹拌することが望ましく、更に、滴下終了後も少なくとも反応が完了するまでは撹拌を継続することが望ましい。また、反応温度、アジ化ナトリウム水溶液の滴下量及び滴下速度等の各種反応条件は、各溶液の濃度等に応じて適宜設定することができるが、反応温度が40℃を超えるとANQの収率が低下することがあるため、反応温度は室温以上40℃以下とすることが好ましい。更に、前述したようにナフトキノン類は酸化しやすいため、ナフトキノン/酢酸溶液へのアジ化ナトリウム水溶液の滴下は、窒素雰囲気下で行うことが望ましい。
次に、析出した反応生成物を再結晶法により精製する。具体的には、先ず、濾過して溶媒と分離した反応生成物を、酢酸及び飽和炭酸水素ナトリウム水溶液等で洗浄した後、再結晶溶媒である酢酸エチルに溶解させる。本発明者は、再結晶溶媒として、酢酸エチル、ジエチルエーテル及びエタノール等の比較的ANQに対して良溶媒になるものを軸に、n−ヘキサン等の貧溶媒を加える方法も検討したが、このような混合溶媒では、副生成物、特にTLC(Thin Layer Chromatography:薄層クロマトグラフィー)でANQ付近にスポットが現れる化合物の分離が芳しくなかった。そこで、再結晶溶媒に酢酸エチルを単独で使用したところ、副生成物の溶解性が向上し、ANQと副生成物とが分離可能となることが確認された。即ち、本発明者は、再結晶溶媒に酢酸エチルを単独で使用することにより、純度が高いANQが得られることを見出した。なお、洗浄後の反応生成物が水により湿って泥状になることがあるが、その場合は、酢酸エチルに溶解する際に激しく撹拌することが望ましい。
次に、反応生成物を溶解した酢酸エチル溶液を、ロータリーエバポレーター等により濃縮する。このときの温度は、40〜55℃とすることが望ましい。これにより、反応生成物の溶解度を極力高く保つことができる。このように、一旦過剰量の酢酸エチルに反応生成物(析出固体)を溶解させた後、再結晶溶媒を徐々に減少させると、過飽和状態を経てある点でANQが析出を始める。そして、再結晶が確認された時点で濃縮を中止し、濃縮溶液を室温にて静置してANQを再結晶化させる。その後、再結晶化した結晶を溶媒から分離回収し、酢酸エチルにより洗浄した後、乾燥してANQを得る。
本実施形態のアミノナフトキノン類の製造方法においては、反応溶媒として従来のメタノール/塩酸ではなく、酢酸を使用しているため、反応剤が同じアジ化ナトリウムであっても、従来の製造方法よりも収率を向上させることができる。その理由としては、酢酸は、アジ化ナトリウムによるアミノ基への置換反応において、ブレンステッド酸であると同時に、有機溶剤としての役割を果たしているため、プロトン性ないしは極性溶媒中への溶解度が低い原料試薬を、酸雰囲気下に存在させることに寄与しているためと考えられる。これにより、本実施形態のアミノナフトキノン類の製造方法は、従来の方法に比べて、反応溶媒の使用量をより少なく抑えることができる。
また、本実施形態のアミノナフトキノン類の製造方法においては、反応の進行に伴い溶け残った固体が徐々に溶解し、生成物のANQが析出するため、原料の1,4−ナフトキノンを反応溶媒に完全溶解させる必要がない。これにより、反応溶媒の使用量を更に抑制することができる。
更に、一般にカラムクロマトグラフィーでは、導入するサンプルの体積が分離能に大きく影響するが、ANQは一般有機溶媒への溶解性がそれほど高くない。このため、従来のようにカラムクロマトグラフィーを用いてANQの精製を行った場合、担持体や溶媒量が大きくなってしまう。これに対して、本実施形態のアミノナフトキノン類の製造方法では、ANQの比較的低い溶解性という特性を利用して、再結晶法により精製しているため、精製時に使用する溶媒の量も低減することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係るアミノナフトキノン類の製造方法について説明する。本実施形態のアミノナフトキノン類の製造方法においては、下記化学式6に示す反応により、2−アルキル−1,4−ナフトキノンにアミノ基を導入して、2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンを製造する。なお、下記化学式6におけるRはアルキル基を示す。
本実施形態においては、先ず、出発物質である2−アルキル−1,4−ナフトキノンを酢酸に溶解させてナフトキノン/酢酸溶液を調整すると共に、アジ化ナトリウム(NaN)を水に溶解させて、アジ化ナトリウム水溶液を調整する。なお、前述した第1の実施形態と同様に、2−アルキル−1,4−ナフトキノンの全てが酢酸に溶解している必要はなく、部分的に溶解している状態でもよい。
次に、ナフトキノン/酢酸溶液中にアジ化ナトリウム水溶液を滴下する。このとき、アジ化ナトリウム滴下中及び/又は滴下後に、撹拌しながら窒素バブリングする等して、ナフトキノン/酢酸溶液を脱酸素することが望ましい。その後、ナフトキノン/酢酸溶液を所定の温度まで加熱し、2−アルキル−1,4−ナフトキノンとアジ化ナトリウムとを反応させる。その際、2−アルキル−1,4−ナフトキノンが溶け残っていた場合は、反応が進行するに従って溶解し、更に反応溶液の色が変化する。例えば、2−アミノ−3−メチル−1,4−ナフトキノン(AMNQ;2-amino-3-Methyl-1,4-naphthoquione)の製造においては、反応溶液の色が淡黄色から濃赤色に変化する。そして、反応完了が確認できた後、反応溶液を室温に戻し、炭酸水素ナトリウム水溶液を滴下する。これにより、生成した2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンが析出する。なお、このアミノ化反応に関する各種反応条件は、アルキル基の種類等に応じて適宜設定することができるが、8当量以上のアジ化ナトリウムを添加し、90〜110℃の範囲で反応させることが好ましい。
次に、上述した反応により生成した2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンを、再結晶法により精製する。具体的には、先ず、析出した反応生成物を、濾過して溶媒と分離した後、水等で洗浄する。次に、再結晶溶媒である水とエタノールの混合溶媒に溶解させた後、加熱しながら環流し、2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンを再結晶溶媒に完全に溶解させる。このように、再結晶溶媒に水とエタノールの混合溶媒を使用することにより、副生成物等を含む反応混合物から目的とする2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンのみを結晶させることができる。この再結晶溶媒における水とエタノールの混合比は、水:エタノールが2:1〜5:3であることが望ましい。
そして、溶液が熱いうちに濾過して不溶成分を除去した後、溶液を室温まで戻し、更に5℃以下の温度条件下で静置して、2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンを再結晶化させる。そして、再結晶化した結晶を濾過により回収し、更に冷溶媒で洗浄した後、乾燥して、2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンを得る。なお、2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンを再結晶化させる際は、再結晶溶媒中のエタノール比率を高くすることが好ましい。これにより、2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンを効果的に溶解することができる。
本実施形態のアミノナフトキノン類の製造方法は、反応に使用するアジ化ナトリウムの量が多くなり反応温度が高くなる点と、再結晶溶媒として水とエタノールの混合溶媒を使用する点が、前述した第1の実施形態のアミノナフトキノン類の製造方法とは異なるが、基本的には、第1の実施形態の技術を応用可能であり、上記以外の構成及び効果は、前述した第1の実施形態と同様である。即ち、本実施形態のアミノナフトキノン類の製造方法においては、反応溶媒に酢酸を使用すると共に、再結晶法により精製しているため、従来の方法に比べて、反応溶媒及び精製溶媒の使用量を低減することができる。
なお、本実施形態の製造方法は、2−アミノ−3−メチル−1,4−ナフトキノン、2−アミノ−3−エチル−1,4−ナフトキノン、2−アミノ−3−プロピル−1,4−ナフトキノン等の各種2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンの製造方法に適用可能であるが、アルキル基のC数が6以下の2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノン類の製造に好適である。
以上詳述したように、本発明のアミノナフトキノン類の製造方法によれば、ANQ及び2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンの収率の向上、並びに生成方法(合成・精製方法)の簡便化を実現することができる。その結果、ANQ及び2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンの大量調製法を確立することができた。
なお、本発明のアミノナフトキノン類の製造方法で製造された2−アミノ−1,4−ナフトキノン及び2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンは、酸化還元酵素を用いた燃料電池のミディエーターに好適である。
以下、本発明の実施例について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して、その効果について具体的に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。先ず、本発明の第1実施例について説明する。本実施例においては、前述した第1の実施形態の方法でANQを製造した。具体的には、先ず、300mLの三口丸底フラスコに50mLの等圧滴下ロート及び三方コックを連結した。次に、この三口丸底フラスコに、1,4−ナフトキノンを7.91g(50mmol)投入した後、酢酸50mLを加えて1,4−ナフトキノンを溶解し、ナフトキノン/酢酸溶液を調整した。引き続き、このナフトキノン/酢酸溶液を30分間窒素バブリングし、脱酸素した。このとき、1,4−ナフトキノンは部分的に溶解した状態であった。また、並行してアジ化ナトリウム4.86g(75mmol,1.5equiv)を、14mLの水に溶解し、同様に窒素バブリングにより脱酸素を行った。
次に、系を窒素雰囲気下に保ち、室温で、マグネチックスターラーにより撹拌しながら、ナフトキノン/酢酸溶液にアジ化ナトリウム水溶液を滴下し、更に、そのまま室温で終夜撹拌した。図1は撹拌後の溶液の状態を示す図面代用写真である。図1に示すように、反応が進むに従い、当初溶け残っていた1,4−ナフトキノンは溶解し、代わって反応生成物であるANQが析出する。
次に、析出した生成物を桐山ロートで濾過し、氷冷した酢酸、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液により洗浄した。その後、撹拌しながら酢酸エチル700mLを加えることにより生成物を溶解し、得られた黒色溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した。このとき、湯浴温度は50℃とし、濃縮速度を急速にしないように減圧を制御した。そして、再結晶の開始が確認されたところで直ちに濃縮を中止し、室温にて3時間静置した。次に、再結晶した濃橙色の針状結晶を桐山ロートにより回収し、氷冷した酢酸エチルにより洗浄した後、減圧条件下で乾燥した。更に、結晶分離後の濾液を、ロータリーエバポレーターで同様に濃縮し、生じた針状結晶を回収・洗浄・乾燥した。
そして、得られた結晶を、H−NMR(JEOL社製 ECA500,500MHz)及びGC−MS(島津製作所社製 GC17A/GCMS−QP5050)により分析した。このとき、H−NMR測定における溶媒はCDCl、TMSとした。図2は精製後のANQのH−NMRスペクトルであり、図3は図2に示すスペクトルの拡大図である。また、図4は精製後のANQのGC−MSチャートであり、図5は精製後のANQのマススペクトルである。なお、図2,3に示すH−NMRスペクトルにおいて、5.13は(s,2H、NH)、6.00は(s,1H,3−CH)、7.62〜7.65は(td,1H,6−CH)、7.71〜7.74は(td,1H,7−CH)、8.05〜8.07は(dd,1H,8−CH)、8.07〜8.09は(dd,1H,5−CH)である。図2〜図5に示すように、実施例1で製造したANQは不純物を含有していないことが確認された。また、本実施例におけるANQの収量は4.51g(26mmol)であり、収率は52%であった。
次に、本発明の比較例として、精製にカラムクロマトグラフィーを使用し、前述した実施例よりも小スケールでANQを製造した。具体的には、先ず、30mLの二口ナス型フラスコ中で1,4−ナフトキノン158mg(1.0mmol)を酢酸2mLに溶解した後、このナフトキノン/酢酸溶液を30分間窒素バブリングして脱酸素した。また、並行してアジ化ナトリウム102mg(1.5mmol,1.5equiv)を0.5mLの水に溶解し、窒素バブリングにより脱酸素した。
次に、系を窒素雰囲気下に保ち、室温にてマグネチックスターラーにより撹拌しながら、注射器を使ってアジ化ナトリウム水溶液を滴下した。そして、そのまま室温で終夜撹拌を行った。これにより、反応生成物であるANQの析出が観測された。その後、得られた反応混合物(酢酸分散液)を、氷冷下飽和炭酸ナトリウム水溶液100mL中に、マグネチックスターラーによる攪拌を行いながら徐々に加えた。このとき、中和反応による二酸化炭素ガスと反応生成物等との固体が生じ、泡の形成が著しくなるため、注意して作業を行った。引き続き、このアルカリ性溶液に酢酸エチル100mLを加えて攪拌し、分液漏斗に移して有機層を分離した。更に、酢酸エチル50mLによる抽出を2回行った。次に、得られた有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム中で5分間撹拌した後、濾過することにより溶液中の水分を取り除き、更に、ロータリーエバポレーターで酢酸エチルを除去した。
このようにして得られた固形混合物を、再度酢酸エチル50mLに溶解した。この時点の溶液を、TLCで分析したところ、Rf=0.5の目的生成物及びその前後に数種類のスポットが確認された。なお、TLCでは、シリカゲルはMerck TLC Plates Silica gel 60 F254を使用し、溶媒は酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒(酢酸:n−ヘキサン=50:50)を使用した。
次に、固体混合物を溶解した酢酸エチル溶液にn−ヘキサンを加えて、n−ヘキサンと酢酸エチルとの混合溶液(酢酸:n−ヘキサン=50:50)とした。そして、この混合溶液を、シリカゲル(和光純薬社製 Wako−gel C300)を使用したカラムクロマトグラフィー(直径30mm、長さ200mm)に供した。その際の展開溶媒は、n−ヘキサンと酢酸エチルとの混合溶液(酢酸:n−ヘキサン=50:50)とした。カラムクロマトグラフィーによる分離の結果は、前述したTLCの結果をほぼ反映したものであったが、TLCで確認できなかった低濃度の副生成物も観察された。そして、強いオレンジ色のバンドを分取し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した後、生成物を乾固した。更に、減圧乾燥を行い、橙色の固体を収集し、H−NMR及びGC−MSにより同定を行った。その結果、本比較例におけるANQの収量は215mg(0.72mmol)であり、収率は72%であった。また、精製時の溶媒使用量は、0.8Lであった。
上記実験結果においては、カラムクロマトグラフィーで精製した比較例の方が、再結晶法で精製した実施例よりも、ANQの最終収率が高くなっているが、カラムクロマトグラフィー法では、溶媒使用量が再結晶法の約17倍と、ANQの収量に対する溶媒使用量が極めて多くなっている。これに対して、再結晶法で精製した実施例では、収量に対する使用溶媒量が圧倒的に少なく、更に作業時間も大幅に短縮することができた。以上の結果から、生産性を考慮すると、再結晶法を適用した本発明の製造方法の方が優れていることが確認された。
次に、従来例1として前述した非特許文献1に記載された方法でANQを製造し、前述した実施例の方法と比較した。その結果を下記表1に示す。なお、下記表1に示す従来例2は、従来例1を基に、実施例と同量のANQを得るためにスケールアップした場合の予想値である。即ち、ANQの収量が0.20gであった従来法で、実施例と同量の4.51gを得るためには、基本的には22.5倍のスケールアップをすればよいということになる。
上記表1に示すように、本発明の実施例の製造方法では、従来の製造方法に比べて、ANQの収率を大幅に向上することができた。また、再結晶法というより簡便な精製方法を適用しているため、従来例2と実施例とを比較した場合、精製時の溶媒使用量を1/30以下にすることができると共に、製造に要する時間も1/4以下に抑えることができた。
次に、本発明の第2実施例について説明する。本実施例においては、前述した第2の実施形態の方法で、2−アミノ−3−メチル−1,4−ナフトキノン(AMNQ;2-amino-3-Methyl-1,4-naphthoquione)を製造した。具体的には、先ず、300mLの二口フラスコに、2−メチル−1,4−ナフトキノン3.44g(20mmol)を投入した後、70mLの酢酸を加えて2−メチル−1,4−ナフトキノンを溶解させた。ここに、アジ化ナトリウム10.44g(mmol,8当量)を35mLの水溶液として加え、撹拌しながら窒素バブリングして脱酸素した。
次に、系を窒素雰囲気下に保ち、オイルバスを用いて徐々に反応溶液を加熱して100℃まで昇温し、この温度に保って16時間反応させた。これにより、反応溶液は淡黄色から濃赤色に変化した。そして、TLCで原料のナフトキノンの消失をモニターすることにより、反応の終了を確認した後、反応溶液を室温に戻した。この反応溶液を、2M炭酸水素ナトリウム水溶液500mLに滴下して、生じた沈殿をろ過により回収し、水で洗浄した。これにより得られた固形物を水とエタノールの混合溶媒(水:エタノール=2:1)に分散させた後、加熱しながら還流し、更に、溶液が熱いうちにろ過して不溶成分を除去した。その後、溶液を室温まで戻し、4℃で一晩静置した。そして、生じた再結晶をろ過して回収し、冷溶媒で洗浄後、減圧乾燥して赤色の針状結晶(AMNQ)を得た。
以上の工程により得られたAMNQの収量は2.72g(14.5mmol)であり、収率は72%であった。また、従来の方法では合成時間に50時間を要していたが、本実施例の製造方法では15時間で合成を完了することができた。更に、従来の方法では、カラムクロマトグラフィーで精製しても収率が50%程度であるのに対し、本実施例の製造方法では、再結晶法で精製しても72%と高い収率が実現できた。以上の結果から、AMNQの製造においても、本発明は従来の製造方法よりも簡便で、生産性に優れていることが確認された。
撹拌後の溶液の状態を示す図面代用写真である。 精製後のANQのH−NMRスペクトルである。 図2に示すスペクトルの拡大図である。 精製後のANQのGC−MSチャートである。 精製後のANQのマススペクトルである。 酵素電池の反応スキームを示す図である。

Claims (3)

  1. 一般式(A)

    (式中、Xは水素又はアルキル基を示す)
    で表されるアミノナフトキノン類を製造する方法であって、
    一般式(B)
    (式中、Xは水素又はアルキル基を示す)
    で表される化合物を、酢酸中で、アジ化ナトリウムと反応させる工程と、
    前記反応により得られた反応生成物を再結晶法により精製する工程と
    を有するアミノナフトキノン類の製造方法。
  2. 前記アミノナフトキノン類が2−アミノ−1,4−ナフトキノンであり、
    前記精製工程において、前記反応生成物を再結晶溶媒である酢酸エチルに溶解させた後、その溶液を45〜55℃に保持することで酢酸エチルを徐々に除去し、2−アミノ−1,4−ナフトキノンを再結晶化させること
    を特徴とする請求項1に記載のアミノナフトキノン類の製造方法。
  3. 前記アミノナフトキノン類が2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンであり、
    前記精製工程において、水:エタノールが2:1〜5:3の混合溶液を再結晶溶媒として使用し、前記混合溶液を沸点と同等の温度で環流することにより前記混合溶液中に前記反応生成物を溶解し、前記反応生成物が過飽和の状態となった後、その溶液を5℃以下に冷却して2−アミノ−3−アルキル−1,4−ナフトキノンを再結晶化させること
    を特徴とする請求項1に記載のアミノナフトキノン類の製造方法。
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