(実施形態1)
本実施形態では、火災の発生を報知する自動火災報知システムA1について図を参照して説明する。
まず、自動火災報知システムA1について説明する。
自動火災報知システムA1は、図1に示すように、複数の子機B1〜B16(本実施形態では16台)と、1台の受信機14(親機)とを備え、子機B1〜B16と受信機14とは各々、一対の電線51,52に電気的に接続されている。なお、複数の子機B1〜B16が接続される一対の電線51,52の各々は、1本の電線で構成されてもよいし、電気的に接続された複数本の電線で構成されてもよい。例えば子機B2は、送り配線により子機B1を介して印加部11と電気的に接続されていてもよい。
以下の説明では、16台の子機B1〜B16の各々を区別しないで説明する場合には「子機1」として説明する。
子機1は例えば、熱感知器、煙感知器、炎感知器などの装置からなり、火災発生を検知した場合に火災発生を報知する信号(火災報)を一対の電線51,52に送信する。なお、子機1は、火災の発生を検知する感知器に限らず、発信機でもよい。ここで言う発信機は押しボタンスイッチを有し、例えば火災を発見した人が押しボタンスイッチを押すことにより一対の電線51,52に火災報を送信する装置である。
受信機14(例えば受信機)は、一対の電線51,52に送信された信号を受信し、その信号が火災報の場合に火災発生の報知を行う。受信機14は、例えば自動火災報知システムA1が設置された建物の管理室などに配置される。
以下の説明では、集合住宅(例えばマンション)に用いられる自動火災報知システムA1について説明するが、自動火災報知システムA1は、集合住宅に限らず、例えば商業施設、病院、ホテル、雑居ビルなどの適宜の建物で使用できる。
自動火災報知システムA1は、図1に示すように、1棟の集合住宅60に対して、複数の子機1(本実施形態では16台)と、1台の受信機14とを備えている。
本実施形態の自動火災報知システムA1では、集合住宅60の1〜4階の各階(フロア)に(2本で1組の)一対の電線51,52が配線されている。つまり本実施形態の自動火災報知システムA1は、一対の電線51,52を4組備えている。
本実施形態の自動火災報知システムA1には、各組の一対の電線51,52に対して最大で40〜80台の子機1が接続可能である。さらに、1台の受信機14には、一対の電線51,52は最大で50〜200回線(50〜200組)接続可能である。例えば各組の一対の電線51,52に最大で40台の子機1が接続可能で、1台の受信機14に最大で50回線の一対の電線51,52が接続可能である場合、子機1は、1台の受信機14に対して最大で2000(=40×50)台まで接続可能である。なお、これらの数値は一例であって、これらの数値に限定する趣旨ではない。
一対の電線51,52には各々、受信機14が接続されている端部と反対側の端部に終端抵抗80が接続されている。受信機14は、一対の電線51,52間に流れる電流の電流値を計測することで、一対の電線51,52の断線を検知することが可能である。なお、終端抵抗80は必須の構成ではなく、省略されていてもよい。
受信機14には、他装置70が電気的に接続されている。受信機14は、他装置70に連動信号を送信する。受信機14は、他装置70(外部の機器)を連動させるための通知(連動報)を子機1から受信すると、他装置70に連動信号を送信する。他装置70は例えば、防火扉や排煙設備などの防排煙設備、非常用放送設備、外部移報装置、およびスプリンクラーなどの消火設備である。外部移報装置とは例えば、自動火災報知システムA1が設置された施設の外部の関係者、消防機関、警備会社などへ通報する装置である。他装置70は、受信機14からの連動信号に応じて動作するように構成されている。そのため、他装置70は、連動信号の受信時に非常用放送設備にて音響または音声により火災の発生を報知し、防排煙設備や防火扉を動作させることができる。なお、他装置70の動作は一例に過ぎず、適宜変更可能である。
ところで、自動火災報知システムとして、P型(Proprietary-type)の自動火災報知システムが知られている。P型の自動火災報知システムは、子機が一対の電線を電気的に短絡することで親機に火災発生を通知する。
本実施形態の自動火災報知システムA1では、従来のP型の自動火災報知システムで使用する配線(2本1組の電線からなる一対の電線)と同様の配線が使用される。そのため、従来のP型の自動火災報知システムが使用されている集合住宅などに本実施形態の自動火災報知システムA1を導入する際に、一対の電線を新たに敷設することなく、従来の一対の電線を利用可能である。従来のP型の自動火災報知システムの親機を受信機14に交換し、従来のP型の自動火災報知システムの子機を子機1に交換することで自動火災報知システムA1を実現することも可能である。
受信機14は、時分割方式の通信用信号を一対の電線51,52に周期的に送信する。
通信用信号は、1フレームごとに時間軸方向において複数の区間に分かれた形式の電圧波形からなる。通信用信号は、同期帯と、送信帯と、返信帯の3つの区間(期間)からなる時分割信号である。返信帯には、時間軸方向において複数に分割されたタイムスロット(区間)が設定される。16台の子機B1〜B16には、それぞれ別個のタイムスロットが割り当てられる。
受信機14は、一対の電線51,52の電圧を周期的に変化させることで、同期帯において同期パルスを周期的に送信する。受信機14は、周期的に同期パルスを送信し、連続する2回の同期パルスの間に、送信帯と、複数のタイムスロットとを設定する。受信機14は、送信帯において、子機1に対して要求データを送信する。
子機1は、同期パルスを受信すると、複数のタイムスロットのうち固有の識別情報に基づいて定まるタイムスロットで、要求データに応じた応答信号を送信する。
次に、受信機14および子機1の構成について図2を参照して説明する。なお、図2では、1台の子機1が一対の電線51,52を介して1台の受信機14に接続されている状態を示し、他の複数の子機1および他の一対の電線51,52の図示を省略している。
受信機14と子機1とは各々、所望のデータを含む信号を伝送信号として一対の電線51,52に送信する機能を有する。伝送信号は、受信機14の印加部11から子機1に供給される電圧に重畳して送信される。なお、受信機14と子機1とが伝送信号を送受信する機能は必須の構成ではなく、省略することも可能である。
受信機14と子機1とは各々、一対の電線51,52に電気的に接続されて一対の電線51,52に信号を送信する。一対の電線51,52に送信される信号は例えば、一対の電線51,52間の電圧の変化や電流の変化に基づく信号である。本実施形態では、受信機14と子機1とは各々、一対の電線51,52に流れる電流の電流値を変化させて一対の電線51,52に信号を送信するが、一対の電線51,52間の電圧を変化させて一対の電線51,52に信号を送信してもよい。
受信機14は、印加部11と、電圧検出部12と、識別部13とを備える。本実施形態の受信機14はさらに、一対の電線51,52に信号を送信する(受信機側)送信部147と、(受信機側)制御部141と、表示部143と、操作部144と、連動部142と、予備電源146とを備えている。
印加部11は、一対の電線51,52間に24Vの直流電圧を印加する。印加部11は、一対の電線51,52に接続されている子機1に動作用の電力を供給する。なお、印加部11が一対の電線51,52に印加する電圧は24Vの直流電圧に限定される趣旨ではない。
一対の電線51,52のうち高電位側の電線(本実施形態では電線51)と印加部11との間には抵抗145が接続されている。抵抗145は、一対の電線51,52に送信された電流信号を電圧信号に変換する第1の機能と、一対の電線51,52間が短絡したときに一対の電線51,52を流れる電流を制限する第2の機能との2つの機能を有している。つまり抵抗145は、電流−電圧変換素子として第1の機能と、電流制限素子としての第2の機能とを兼ね備えている。ここでは一例として、抵抗145の抵抗値は400Ωあるいは600Ωとするが、この値に限定する趣旨ではない。
電圧検出部12は、一対の電線51,52間の電圧値V5を検出する。電圧検出部12は、電圧値V5を、識別部13に入力可能な範囲の電圧レベルに変換して、識別部13に出力する。電圧検出部12の動作は、制御部141によって制御される。
識別部13は、電圧検出部12の検出結果に基づいて、子機1から一対の電線51,52に送信された信号が火災報か、連動報か、非発報状態(平常状態)かを識別する。具体的に言うと、火災報が送信されている場合の電圧値V5は、非発報状態の電圧値V5よりも低くなる。また、連動報が送信されている場合の電圧値V5は、火災報が送信されている場合の電圧値V5よりも低くなる。識別部13は、電圧値V5に基づいて、子機1から信号が送信されているか否かを識別し、信号が送信されている場合は、送信された信号が火災報か連動報かを識別する。本実施形態の受信機14は、電圧値V5が一定時間以上連動報レベルである場合に、連動報を識別する。本実施形態の識別部13はさらに、電圧検出部12の検出結果に含まれる所定の周波数の交流成分に基づいて、伝送信号を識別する回路を有している。なお、一対の電線51,52に送信される信号の詳細な説明は後述する。
送信部147および電圧検出部12は、抵抗145の低電位側に接続されている電線51と電線52との間に電気的に接続されている。
送信部147は、一対の電線51,52間の電圧値V5を変化させて、一対の電線51,52に信号を送信する。具体的に言うと、送信部147は、印加部11から抵抗145に流れる電流を引き込む機能と、その電流の引き込みを停止する機能とを有する。子機1が一対の電線51,52を流れる電流を引き込むと抵抗145を流れる電流の電流値が変化し、一対の電線51,52間の電圧が変化する。送信部147の動作は、送信制御部148によって制御される。
送信制御部148は、送信部147に一対の電線51,52間の電圧を変化させて所望のデータを含む信号を送信させる。受信機14の識別部13は、電圧検出部12の検出結果に基づいて、一対の電線51,52に送信された伝送信号に含まれるデータを受信する。
制御部141は、送信部147と電気的に接続されて送信部147を制御する。制御部141は、例えばマイクロコンピュータで構成され、マイクロコンピュータが有するメモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。本実施形態の制御部141は、メモリに記憶された通信制御用のプログラムを実行することにより、識別部13を実現している。なお、制御部141が実行するプログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネットのような電気通信回線を通して提供されてもよい。
制御部141は、電圧検出部12の出力から所定の周波数の交流成分を分離することで伝送信号を取得する。
連動部142は、他装置70(図1参照)を連動させる信号を出力する。連動部142の動作は、制御部141にて制御される。例えば識別部13が連動報を識別すると、制御部141は、連動報に応じて連動部142から他装置70に連動信号を出力させる。
予備電源146は、例えば蓄電池などで構成されている。予備電源146は、停電時でも一定の時間、自動火災報知システムA1を動作させる容量の電力を有するように構成されている。受信機14は、通常は商用電源や自家発電設備などから供給される電力で動作するが、停電時には予備電源146の電力で動作するように構成されている。
表示部143は、例えばLED(Light Emitting Diode)や液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどを備えている。表示部143の動作は制御部141によって制御される。制御部141は、一対の電線51,52から受信した信号の内容に応じて表示部143の表示内容を変えさせる。表示部143は例えば、火災の発生、火災の発生階(フロア)などを表示する。
操作部144は、例えば押しボタンスイッチや、タッチパネル方式のディスプレイを備えている。操作部144で操作された内容に応じて、制御部141は、あらかじめ定められた制御動作を行う。操作部144は例えば、火災報知動作の停止、子機の異常検知動作の停止などを制御部141に行わせるように構成されている。
上記の他にも、受信機14は、警報音発生部を有していてもよい。警報音発生部は例えば、スピーカーなどの音を発生させる装置を備えている。警報音発生部の動作は、例えば制御部141により制御され、一対の電線51,52から受信したデータの内容に応じて、警報音を鳴らしたり音声案内を再生したりする。
次に、子機1の構成について図2を参照して説明する。
子機1は、送信部101と、制御部4とを備える。本実施形態の子機1はさらに、記憶部103と、受信部107と、記憶部103と、判断部と、報知部104と、ダイオードブリッジ106と、検知部120と、電源回路105とを備える。
伝送送信回路23は、例えば印加部11から供給される電圧に伝送信号を重畳して送信する。伝送信号は、例えばベースバンド伝送方式の信号である。
記憶部103は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)で構成されている。記憶部103は、電圧値V5に対する閾値(後述する基準電圧値V1)を記憶する。また、記憶部103は、制御部4の要求に応じて閾値の情報を出力する。なお、記憶部103はROM(Read-Only Memory)などの書き換えできない記録媒体で構成されていてもよい。
記憶部103は、固有の識別情報(例えばアドレス)を記憶する。固有の識別情報とは、複数ある子機1の各々を識別するための情報であり、重複しない情報である。なお、固有の識別情報は、記録媒体に記憶させることに限定されず、例えばディップスイッチなどを用いて設定されてもよい。
また、記憶部103には、制御部4が動作状態(火災を報知する火災報状態、火災の報知に加えて他装置70を連動させる連動報状態)を判断するための判断条件が記憶されている。判断条件は、たとえば検知部120の出力について設定された閾値や、サンプリング回数などである。
ダイオードブリッジ106は、一対の電線51,52が電気的に接続される一対の入力端子と、一対の出力端子とを備える。ダイオードブリッジ106の出力端子には、電源回路105、送信部101が各々、電気的に接続されている。
電源回路105は、一対の電線51,52から供給される電力で充電されるコンデンサを有する。電源回路105は、送信部101、制御部4、記憶部103、検知部120の各機能を実現させるために必要な出力を供給する。電源回路105は、一対の電線51,52を流れる電流が増加し一対の電線51,52間の電圧が低下した際に、コンデンサに蓄えた電力を、子機1の各回路に供給する。なお、電源回路105は、一対の電線51,52間の電圧が変動しても子機1が電力不足にならないように構成されていればよく、コンデンサを有していない適宜の構成であってもよい。
検知部120は、例えば煙の濃度の変化、温度の変化、一酸化炭素などのガス濃度の変化を検出するセンサで構成される。検知部120の動作は、制御部4によって制御される。
報知部104は、例えばブザーやLEDなどを有し、周囲に火災の発生を報知するように構成されている。報知部104の動作は制御部4によって制御される。
受信部107は、受信機14の送信部147から送信された伝送信号を受信して受信結果を制御部4に出力する。
送信部101は、一対の電線51,52に電気的に接続される。送信部101は、送信回路24と、伝送送信回路23とを有する。送信回路24と、伝送送信回路23とは各々、一対の電線51,52からの電流の引き込み量を変えることにより、一対の電線51,52を流れる電流を変化させて信号を送信する。
送信回路24は、一対の電線51,52間の電圧値V5を低下させて火災報を送信する。送信回路24は、火災報を送信するときよりも一対の電線51,52間の電圧値V5を低下させて連動報を送信する。
送信回路24は、一対の電線51,52に流れる電流を引き込んで一対の電線51,52間の電圧値V5を変化させることにより、火災報(火災の発生を報知する信号)および連動報(他装置70を連動させる信号)を区別して送信する。送信回路24は、一対の電線51,52に流れる電流を引き込む機能と、電流の引き込みを停止する機能とを有する。
送信回路24は、一対の電線51,52間の電圧値V5を非発報状態の電圧値V5よりも低い電圧値にして火災報を送信する。以下、電圧値V5が火災報レベルの電圧値になることを、「火災報が送信される」と表記する。送信回路24は、電圧値V5を、火災報が送信されているときの電圧値V5よりも低い電圧値にして連動報を送信する。以下、電圧値V5が連動報レベルの電圧値になることを、「連動報が送信される」と表記する。つまり送信回路24は、一対の電線51,52の電圧値V5を3段階に変化させることにより、非発報状態と、火災報状態と、連動報状態とを区別して信号を送信する。
制御部4は、送信部101(送信回路24、伝送送信回路23)を制御する。制御部4は、例えばマイクロコンピュータで構成され、マイクロコンピュータが有するメモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。なお、プログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネットのような電気通信回線を通して提供されてもよい。
制御部4は、送信部101と、受信部107と、検知部120と、記憶部103と、報知部104とに各々電気的に接続されている。制御部4は、送信部101と、受信部107と、検知部120と、報知部104との動作を個別に制御する。制御部4は、固有の識別情報に基づいて定まる同一のタイムスロットで、火災報および連動報を区別して送信を開始させる。
制御部4は、検知部120の検出値を定期的に読込み、記憶部103内の判断条件に照らすことによって、火災の発生状態を判断する。例えば、制御部4は、火災報状態と、連動報状態と、火災報状態でもなく連動報状態でもない非発報状態(平常状態)との3状態から、現在の状態を判断する。本実施形態では、判断条件の一例として、検出値が第1の閾値を超える状態が所定の第1のサンプリング回数(たとえば3回)連続した場合に、制御部4が火災報状態と判断する。制御部4は、火災報状態と判断すると、送信回路24から火災報を送信させる。
制御部4は、火災報状態と判断した時点から連動報状態であるか否かを判断する。検知部120の検出値が第2の閾値(>第1の閾値)を超える状態が所定の第2のサンプリング回数(たとえば3回)連続した場合に、制御部4が連動報状態と判断する。制御部4は、連動報状態と判断すると、送信回路24から連動報を送信させる。
なお、上記した制御部4の判断動作(検知部120の検出値に対して定めた判断条件)は一例に過ぎず、適宜変更可能である。また、制御部4で判断される状態は、3状態(火災報状態、連動報状態、平常状態)に限らず、火災報状態および連動報状態の2状態のみであってもよいし、また、4状態以上であってもよい。
制御部4は、固有の識別情報に基づいて定まるタイムスロットで、送信部101から火災報を送信させるか、連動報を送信させるか、火災報も連動報も送信させないかを択一的に選択する。
制御部4は、ベースバンドに伝送信号を重畳させて伝送送信回路23から伝送信号を送信させる。
制御部4は、第1通信モード、および第1通信モードよりも通信速度の速い第2通信モードを含む複数の通信モードから、信号を送受信する通信モードを、切替信号に応じて択一的に選択し、選択した通信モードで送信部101および受信部107を動作させる。制御部4は、受信機14に火災報や連動報や伝送信号を区別して送信する際に第1通信モードを選択する。制御部4は、受信した切替信号が第2通信モードを指定する場合、第2通信モードを選択する。また制御部4は、第1通信モードおよび第2通信モードの他にも、あらかじめ定められた複数の通信方式に対応して送信部101および受信部107を動作させることができる。例えば、ベースバンドの周波数が異なる通信方式や、フレーム内のデータ構成の異なる通信方式の通信モードなどが考えられる。制御部4は、切替信号により指定される通信モードで送信部101および受信部107を動作させる。
制御部4は、第2通信モードを選択すると、受信部107の受信結果に含まれるデータのエラー検出を行う。エラー検出は、例えば、パリティビットやチェックサムの値の検査や、巡回冗長検査などである。
制御部4は、一対の電線51,52(または後述する一対の電線53,54)から電力が供給されなくなると、第1通信モードを選択する。制御部4は、起動時の通信モードが第1通信モードに定められている。他にも例えば、制御部4は、一対の電線51,52(一対の電線53,54)から電力の供給が停止したことを検知して第1通信モードを選択してもよい。
本実施形態の自動火災報知システムA1は、子機1にパラメータを設定する設定器15(親機、設定器)を備える。パラメータは、例えば、アドレス情報や、非発報状態か火災報状態か連動報状態かを判断するための判断条件や、検知部120の検出結果に対するサンプリング回数や、検知部120の閾値情報などである。
図3は、1台の子機1と1台の設定器15とを(短距離用の)一対の電線53,54で電気的に接続した状態を示している。一対の電線53,54は、例えば長さが数メートル程度のケーブルの芯線で構成され、一対の電線51,52と比べて長さが短い。なお、一対の電線53,54はケーブルの芯線に限定されず、一対の電線51,52と比べて長さが短い適宜の一対の電線であればよい。
設定器15は、印加部150と、設定受信部152と、処理部151と、設定送信部157と、表示部153と、操作部154とを備えている。
印加部150は、一対の電線53,54間に24Vの直流電圧を印加する。印加部150は、一対の電線53,54に接続されている子機1に動作用の電力を供給する。なお、印加部150が一対の電線53,54に印加する電圧は24Vの直流電圧に限定される趣旨ではない。
一対の電線53,54のうち高電位側の電線(本実施形態では電線53)と印加部150との間には抵抗155が接続されている。抵抗155は、一対の電線53,54に送信された電流信号を電圧信号に変換する第1の機能と、一対の電線53,54間が短絡したときに一対の電線53,54を流れる電流を制限する第2の機能との2つの機能を有している。つまり抵抗155は、電流−電圧変換素子として第1の機能と、電流制限素子としての第2の機能とを兼ね備えている。ここでは一例として、抵抗155の抵抗値は400Ωあるいは600Ωとするが、この値に限定する趣旨ではない。
設定受信部152は、一対の電線53,54間の電圧値V6を検出する。設定受信部152は、電圧値V6を、処理部151に入力可能な範囲の電圧レベルに変換して、処理部151に出力する。設定受信部152の動作は、処理部151によって制御される。
設定送信部157および設定受信部152は、抵抗155の低電位側に接続されている電線53と電線54との間に電気的に接続されている。
設定送信部157は、一対の電線53,54間の電圧値V6を変化させて、一対の電線53,54に信号を送信する。具体的に言うと、設定送信部157は、印加部150から抵抗155に流れる電流を引き込む機能と、その電流の引き込みを停止する機能とを有する。子機1が一対の電線53,54を流れる電流を引き込むと抵抗155を流れる電流の電流値が変化し、一対の電線53,54間の電圧が変化する。設定送信部157の動作は、処理部151によって制御される。
処理部151は、設定送信部157に一対の電線53,54間の電圧を変化させて信号を送信する。
処理部151は、設定受信部152の検出結果に基づいて、一対の電線53,54に送信された信号に含まれるデータを受信する。
処理部151は、設定送信部157と電気的に接続されて設定送信部157を制御する。処理部151は、例えばマイクロコンピュータで構成され、マイクロコンピュータが有するメモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。本実施形態の処理部151は、メモリに記憶された通信制御用のプログラムを実行することにより、処理部151を実現している。なお、処理部151が実行するプログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネットのような電気通信回線を通して提供されてもよい。
表示部153は、例えばLEDや液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどを備えている。表示部153の動作は処理部151によって制御される。処理部151は、一対の電線53,54から受信した信号の内容に応じて表示部153の表示内容を変えさせる。表示部153は例えば、子機1に設定するパラメータ設定情報(例えばアドレス情報や検知器120の閾値情報など)を表示する。
操作部154は、例えば押しボタンスイッチや、タッチパネル方式のディスプレイを備えている。操作部154で操作された内容に応じて、処理部151は、あらかじめ定められた制御動作を行う。操作部154は例えば、設定器15の動作モードの切り替え(例えばパラメータ設定モードへの切り替え)や、パラメータの設定値の変更や、伝送信号の送信の開始および停止などの操作ができるように構成されている。処理部151は、操作部154での操作に応じた動作を行う。
上記の他にも、設定器15は、操作音発生部を有していてもよい。操作音発生部は例えば、スピーカーなどの音を発生させる装置を備えている。操作音発生部は、例えば処理部151により制御され、データの送受信完了時や操作部154の操作自に操作音を鳴らす。
設定器15の器具本体は、例えば持ち運び可能な大きさである。設定器15は、子機1にパラメータ設定をするために用いられる。設定器15は、持ち運び可能であるため、例えば集合住宅60に子機1を設置する直前に、集合住宅60内で子機1にアドレス設定することが可能である。なお、設定器15は、持ち運び可能であることに限定される趣旨ではない。
表示部153および操作部154が、設定器15の大きさに合わせたサイズになっている。操作部154は、複数の押ボタン式のスイッチを有している。表示部153は、液晶ディスプレイを有している。なお、設定器15の表示部153および操作部154の構成は、一例であり、タッチパネル式のディスプレイやダイヤル式またはスライド式のスイッチなどのように、適宜変更可能である。
設定器15と子機1とは、一対の電線53,54間の電圧値V6を変化させて伝送信号の送受信を行う。設定器15と子機1とは、一対の電線53,54を介して通信を行う場合、受信機14と子機1との通信よりも高速な通信モードで通信を行うことができる。以下、受信機14と子機1との通信モードを第1通信モードと表記し、設定器15と子機1との通信モードを第2通信モードと表記する。
第1通信モードの通信方式は、時分割多元接続方式である。受信機14および複数の子機1がそれぞれ、あらかじめ定められたタイムスロットで信号を送信する。第1通信モードの通信速度は、一対の電線51,52の長さが長距離(例えば数百メートル以上)であっても信号を受信できる程度の速度に定められている。伝送信号のハイレベルの区間の長さとローレベルの区間の長さが十分長く定められているので、伝送信号の波形がわずかに劣化しても、受信機14は子機1からの信号を受信できる。
第2通信モードの通信方式は、例えば調歩同期方式のシリアル通信方式である。第2通信モードの通信速度は、第1通信モードの通信速度よりも速い速度に定められている。第2通信モードは、一対の電線51,52よりも長さが短い(短距離用の)一対の電線53,54を介して設定器15と子機1とが通信を行う際に選択される。一対の電線53,54は、例えば数メートル程度であり、電線の長さによる信号の劣化が一対の電線51,52と比べて小さいので、高速通信が可能である。
なお、第1通信モードおよび第2通信モードの通信方式はそれぞれ、一例であって、適宜の通信方式に変更可能である。
ここで、第2通信モードの詳細について、図4を参照して説明する。なお、第2通信モードの特徴を説明するために、第1通信モードおよび第2通信モードの電圧波形を比較して説明する。
図4の上段に示す電圧値V5の波形は、第1通信モードで受信機14から子機1に送信される伝送信号の電圧波形である。伝送信号は、所望のデータを含む区間D1と、区間D1の後に続くガード区間G1とで1個のフレームが構成される。受信機14と子機1とは、送受信するデータ量に応じたフレーム数を送受信する。なお、図4では、2個のフレーム(つまり区間D1,D2およびガード区間G1,G2)を図示し、3個目以降のフレームの図示を省略する。
区間D1,D2には、スタートビット、所望のデータが含まれるデータビット、パリティビット、エンドビットからなる。本実施形態の受信機14および子機1は、一対の電線51,52間の電圧を低下させてローレベルの伝送信号を送信し、一対の電線51,52間の電圧を元に戻してハイレベルの伝送信号を送信する。
区間D1に続いて、ガード区間G1が送信される。区間D2に続いて、ガード区間G2が送信される。ガード区間G1,G2は、受信機14および子機1の各々が伝送信号を送信しない区間である。ガード区間G1,G2では、ローレベルの伝送信号が送信されないので、一対の電線51,52間の電圧はハイレベルの電圧に維持される。子機1は、一対の電線51,52から供給される電力で動作する。伝送信号が連続して送信されると、一対の電線51,52間の電圧が変動し続ける時間が長くなり、子機1に供給される電力が不足しやすくなる。子機1は、不足分の電力を、電源回路105内のコンデンサの電力で補って動作し続ける。伝送信号のフレーム内にガード区間を設けることにより、一対の電線51,52間の電圧が変動しない区間で電源回路105内のコンデンサを充電できるので、子機1は安定して動作することができる。
図4の中段に示す電圧値V6の波形は、第2通信モードで一対の電線53,54間を介して設定器15から子機1に送信される伝送信号の電圧波形である。第2通信モードのフレームは、所望のデータを含む区間D21と、ガード区間G1からなる。なお、図4では、2個のフレーム(つまり区間D21,D22およびガード区間G1,G2)を図示し、3個目以降のフレームの図示を省略する。
第2通信モードは、区間D21,D22における1ビットあたりの時間長が、第1通信モードと比べて短く定められている。言い換えると、ベースバンドの周波数が第1通信モードよりも高いので、第1通信モードよりも通信速度を速めることができる。
また、図4の下段に示すように、第2通信モードの変形例として、第1通信モードのガード区間G1,G2よりも時間が短いガード区間G31,G32を定めてもよい。第2通信モードでは、第1通信モードと比べて短時間で伝送信号を送信できるので、子機1の電源回路105内のコンデンサの充電に必要な時間は、第1通信モードと比べて短くてもよい。そこで、ガード区間G1,G2よりも時間が短いガード区間G31,G32を定めることにより、1フレームの送信に必要な時間をさらに短くできる。言い換えると、第2通信モードよりも通信速度をさらに速めることができる。
ここで、設定器15が子機1にパラメータ設定を行う際の、子機1の制御部4の動作および設定器15の処理部151の動作について、図5を参照して説明する。なお、子機1について、伝送送信回路23が信号を送信することを「制御部4が信号を送信する」と表記し、受信部107が信号を受信することを「制御部4が信号を受信する」と表記する。また、設定器15について、設定送信部157が信号を送信することを「処理部151が信号を送信する」と表記し、設定受信部152が信号を受信することを「処理部151が信号を受信する」と表記する。
一対の電線53,54の一端には、設定器15が電気的に接続される。一対の電線53,54の他端には、子機1が電気的に接続される(S100)。子機1の制御部4は、一対の電線53,54から供給される電力で動作を開始すると、第1通信モードで送信部101および受信部107を動作させる(S101)。
設定器15の処理部151は、第1通信モードの通信方式で設定送信部157および設定受信部152を動作させるように設定される(S102)。例えば処理部151は、操作部144の操作により第1通信モードが選択されてもよいし、処理部151の起動時に第1通信モードが選択されていてもよい。
処理部151は、操作部154でパラメータ設定を開始する操作が行われると、パラメータ設定を開始する(S103)。処理部151は、パラメータ設定の開始時に、第2通信モードを指定する切替信号を第1通信モードで子機1に送信する(S104)。このとき送信される切替信号の波形は、例えば図4の上段の電圧波形である。
制御部4は、第1通信モードの通信方式で切替信号を受信する(S105)。制御部4は、受信部107の受信結果から、切替信号に含まれるデータを取得する。制御部4は、切替信号により第2通信モードが指定されていると判断すると、第2通信モードに応じた応答信号を送信する(S106)。第2通信モードに応じた応答信号には、例えば切り替え予定の通信モードが第2通信モードであることを通知するデータが含まれている。
制御部4は、第2通信モードで伝送送信回路23および受信部107を動作させる。言い換えると、制御部4は、応答信号を送信した後、通信モードを第1通信モードから第2通信モードに切り替える。
処理部151が応答信号を受信すると(S107)、第2通信モードの通信方式で設定送信部157および設定受信部152を動作させる(S109)。
処理部151は、パラメータ設定に使用する設定情報を含めた伝送信号を第2通信モードの通信方式で送信する(S110)。このとき送信される伝送信号の波形は、例えば図4の中段の電圧波形である。この伝送信号には、例えばアドレス情報や、検知部120の閾値情報などの設定情報が含まれる。第2通信モードは、第1通信モードと比べて通信速度が速いので、第1通信モードの通信よりも短時間で設定情報を送信できる。
制御部4は、第2通信モードで伝送信号を受信する(S111)。制御部4は、受信した伝送信号に含まれるデータのエラー検出を行う。受信したデータにエラーがあった場合、エラー処理を行う(S112)。エラー処理とは例えば、ハミング符号や、巡回符号や、畳み込み符号などを用いてエラー訂正を行ってもよい。他にも例えば、エラー処理として伝送信号の再送を要求する信号を送信してもよい。
制御部4は、受信したデータにエラーがなければ、設定情報に応じた処理を行う。例えば、アドレス情報を記憶部103に記憶し、検知部120の閾値情報を検知部120に出力する。
子機1に設定情報が登録された後、子機1は一対の電線53,54から取り外される(S113)。制御部4は、一対の電線53,54から電力が供給されなくなったと判断すると、第1通信モードを選択する(S114)。ここで言う第1通信モードの選択とは、制御部4に電力が供給されなくなった際に、制御部4が、初期値として第1通信モードを選択した状態になることを含む。例えば制御部4は、電力が供給されなくなって初期化されると、第1通信モードを選択した状態になるように構成されていてもよい。制御部4のこの動作により、子機1が一対の電線53,54から取り外されると、第1通信モードになるので、子機1は、火災報を受信機14に送信できる第1通信モードが選択された状態で一対の電線51,52に取り付けられる。すなわち、第2通信モードのまま子機1が一対の電線51,52に取り付けられることが抑制される。
ここで、制御部4が一対の電線53,54から電力が供給されなくなった場合の他にも、第2通信モードを選択して所定時間が経過すると、第1通信モードを選択するように構成されてもよい。
電源回路105は、大容量のコンデンサを有していて、そのコンデンサは、一対の電線51,52の電圧値V5が変動している間、子機1の内部回路に必要な電力を供給する。コンデンサの容量が大きいので、一対の電線53,54から子機1が取り外されて設定器15から一対の電線53,54を介して電力が供給されなくなっても、コンデンサの電力が残っている間、制御部4は動作を継続する。そのため、制御部4が第2通信モードを選択した状態で、子機1が一対の電線51,52に取り付けられる可能性がある。もし受信機14と子機1とが異なる通信モードを選択した状態になると、受信機14と子機1とが通信できない可能性がある。
そこで、制御部4は、第2通信モードを選択して所定時間が経過すると、第1通信モードを選択する。所定時間は、コンデンサの電力によって制御部4が動作し続ける時間よりも短く定められる。仮に、子機1が一対の電線53,54から取り外された後に、コンデンサの電力で20秒間、制御部4が動作を継続できるとする。この場合、所定時間を10秒に定める。制御部4は子機1が一対の電線53,54から取り外された時点からタイマを動作させ、タイマの計測時間が所定時間の10秒に達すると、第1通信モードを選択する。なお、所定時間は10秒に限定される趣旨ではない。所定時間は、コンデンサの電力で子機1が動作可能な時間よりも短い一定時間に設定されていればよい。
制御部4のこの動作により、子機1が一対の電線53,54から取り外された後に、コンデンサの電力で制御部4が動作していても、所定時間の経過後に制御部4は第1通信モードを選択する。そのため制御部4が第2通信モードを選択した状態で子機1が一対の電線51,52に取り付けられることが抑制される。
なお、所定時間の計測開始のタイミングは、例えば、第2通信モードの開始時点や、第2通信モードで最初の伝送信号の受信を開始した時点や、第2通信モードを開始してから所望の間伝送信号の送受信が行われなくなった時点など、適宜の時点に定めてもよい。また所定時間の計測開始のタイミングは、一対の電線53,54から電力の供給が停止したことを制御部4が適宜の手段で検出した時点でもよい。
以上説明したように、本実施形態の自動火災報知システムA1の子機1は、送信部101と、受信部107と、制御部4とを備える。送信部101は、電圧が印加される一対の電線51,52(一対の電線53,54)に電気的に接続され、一対の電線51,52(一対の電線53,54)に信号を送信する。受信部107は、一対の電線51,52(一対の電線53,54)に送信される信号を受信する。制御部4は、送信部101および受信部107を制御する。制御部4は、第1通信モード、および第1通信モードよりも通信速度の速い第2通信モードを含む複数の通信モードから、信号を送受信する通信モードを、切替信号に応じて択一的に選択する。制御部4は、選択した通信モードで送信部101および受信部107を動作させる。制御部4は、受信部107が受信した切替信号により第2通信モードが指定されると、第2通信モードを選択する。
上記構成によれば、制御部4は、第1通信モードを選択した状態で、第2通信モードを指定する切替信号を受信部107が受信すると、第1通信モードよりも高速に信号を送受信する第2通信モードを選択する。制御部4は、第2通信モードで受信部107および送信部101を制御するので、子機1は、第1通信モードと比べて通信速度の速い第2通信モードで信号を送受信することができる。言い換えると、短時間での信号の送受信が可能な自動火災報知システムA1の子機1を実現することができる。
本実施形態の自動火災報知システムA1の子機1において、制御部4は、第2通信モードを指定する切替信号を受信部107が受信すると、応答信号を送信部101から送信させた後に第2通信モードを選択することも好ましい。
上記構成によれば、制御部4は、応答信号を送信した後に第2通信モードを選択するので、第2通信モードを指定する切替信号を送信した機器(本実施形態では設定器15)は、子機1が第2通信モードに切り替わると判断できるようになる。
また本実施形態では、設定器15は、応答信号を受信して子機1が第2通信モードに切り替わることを確認した後に、第2通信モードの通信方式で子機1に伝送信号を送信するので、設定器15と子機1とが異なる通信モードで通信を開始する事態を回避できる。
本実施形態の自動火災報知システムA1の子機1において、制御部4は、パラメータ設定開始時に送信される切替信号を受信部107が受信すると、第2通信モードを選択することも好ましい。
上記構成によれば、制御部4は、パラメータ設定開始時に第2通信モードを選択するので、パラメータ設定時に必要な設定情報を、第1通信速度よりも速い通信速度で受信できる。つまり制御部4は、短時間で設定情報を受信できる。
本実施形態の自動火災報知システムA1の子機1において、制御部4は、第2通信モードを選択すると、受信した信号に含まれるデータのエラー検出を行う。
上記構成によれば、制御部4は、第1通信モードよりも通信速度の速い第2通信モードで信号を受信した際に、受信結果に含まれるデータのエラー検出を行うので、受信データの信頼性を高めることができる。
なお、制御部4は、エラー検出の他にも例えばエラー訂正を行うように構成されることで、さらに受信データの信頼性を高めることも可能である。
本実施形態の自動火災報知システムA1の子機1において、制御部4は、一対の電線51,52(一対の電線53,54)から電力が供給されなくなると、第1通信モードを選択することも好ましい。
上記構成によれば、一対の電線51,52(一対の電線53,54)から子機1が取り外されると、制御部4は第1通信モードを選択する。子機1を一対の電線51,52に取り付けるだけで、子機1は火災の発生を通知できる第1通信モードで動作を開始する。そのため、子機1の取り付け時に、制御部4に第1通信モードを選択させる設定作業が不要になる。
また、制御部4のこの動作により、制御部4が第2通信モードを選択した状態で(つまり第1通信モード以外の状態で)子機1が一対の電線51,52に取り付けられることが抑制される。
本実施形態の自動火災報知システムA1の子機1において、制御部4は、第2通信モードを選択して所定時間が経過すると、第1通信モードを選択することも好ましい。
上記構成によれば、第2通信モードを選択して所定時間が経過すると、制御部4は第1通信モードを選択する。子機1が一対の電線53,54から取り外された際に第2通信モードが維持されている場合でも、所定時間の経過後に制御部4は第1通信モードを選択する。ゆえに、制御部4が第2通信モードを選択した状態で(つまり第1通信モード以外の状態で)子機1が一対の電線51,52に取り付けられることが抑制される。
本実施形態の自動火災報知システムA1は、上記した子機1と、一対の電線51,52に電圧を印加する受信機14(親機)を備える。
上記構成によれば、短時間での信号の送受信が可能な自動火災報知システムA1の子機1、およびそれを用いた自動火災報知システムA1を提供することができる。
本実施形態の自動火災報知システムA1は、上記した子機1と、設定器15とを備える。設定器15は、一対の電線53,54に電圧を印加し、通信モードを指定する切替信号を一対の電線53,54に送信する。設定器15は、第2通信モードを指定する切替信号を送信し、子機1が送信した応答信号を受信すると、第2通信モードの通信方式で動作する。
上記構成によれば、設定器15と子機1とが、第2通信モードで動作することを互いに通知しあった後に第2通信モードで通信を開始するので、第1通信モードから第2通信モードへの切り替えの信頼性が高まる。
なお、本実施形態の子機1における送信部101は、送信回路24と伝送送信回路23とを有しているが、1個の回路で送信回路24および伝送送信回路23の機能を実現してもよい。送信部101は、例えば1個の回路で、火災報、連動報、伝送信号を区別して送信できる回路を有していてもよい。
本実施形態の設定器15は、子機1からの応答信号を受信した後に第2通信モードの通信方式に切り替わるが、応答信号を受信しなくても第2通信モードに切り替わるように構成されていてもよい。具体的に言うと、設定器15は、第1通信モードの通信方式で第2通信モードを指定する切替信号を送信した後に、応答信号の受信の有無に関わらず第2通信モードに切り替わってもよい。例えば設定器15は、ノイズなどにより応答信号を受信できない場合や、応答信号を送信しない構成の子機1と接続されていても、通信モードを第2通信モードに切り替えてよい。
(実施形態2)
本実施形態の子機1は、切替信号により指定される通信モードに応じた応答信号を、送信部101から送信させる。制御部4は、同一の切替信号を連続して2回以上の所定回数受信すると、切替信号により指定される通信モードを選択する。
本実施形態の受信機16(親機)は、実施形態1の受信機14の機能の他に、さらに通信モードを指定する切替信号を一対の電線51,52に送信する機能を有する。そして受信機16は、同一の応答信号を連続して2回以上の所定回数受信すると、切替信号で指定した通信モードの通信方式で動作する。なお、子機1および受信機16について、実施形態1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
受信機16および子機1の動作について、図6を参照して説明する。以下では、1台の子機1と1台の受信機16とが1対1で信号を送受信する動作について説明する。
受信機側制御部141は、例えば送信帯で特定の子機1の識別情報を含んだ伝送信号を、受信機側送信部147から一対の電線51,52に送信させる。一対の電線51,52に接続される複数の子機1の受信部107は各々、伝送信号に含まれる識別情報を受信する。受信した識別情報を有する子機1の制御部4は、割り当てられたタイムスロットで送信部101から受信機16に対して応答信号を送信させる。なお、以下では、受信機16について、受信機側送信部147が信号を送信することを「受信機側制御部141が信号を送信する」と表記し、電圧検出部12が信号を受信することを「受信機側制御部141が信号を受信する」と表記する。
一対の電線51,52の一端には、受信機16が電気的に接続される。一対の電線51,52の他端には、子機1が電気的に接続される(S200)。子機1の制御部4は、一対の電線51,52から供給される電力で動作を開始すると、第1通信モードで送信部101および受信部107を動作させる(S201)。
受信機16の処理部151は、第1通信モードの通信方式で設定送信部157および設定受信部152を動作させるように設定される(S202)。例えば処理部151は、操作部144の操作により第1通信モードが選択されてもよいし、処理部151の起動時に第1通信モードが選択されていてもよい。
受信機側制御部141は、操作部144で通信モードを、第1通信モードおよび第2通信モードとは異なる第3通信モードに切り替える操作が行われると、第3通信モードを指定する切替信号を設定対象の子機1に送信する(S203)。なお、本実施形態では、第1通信モードおよび第2通信モードとは異なる通信モードとして第3モードを選択した例を説明するが、子機1および受信機16が選択可能な適宜のモードを選択してよい。
制御部4は、第3通信モードを指定する切替信号を受信する(S204)。制御部4は、受信部107の受信結果から、切替信号に含まれるデータを取得する。制御部4は、データを取得すると、切替信号を1回受信したと判断する(S205)。そして制御部4は、第3通信モードに応じた応答信号を送信する(S206)。
受信機側制御部141が応答信号を受信し、応答信号に含まれるデータを取得する(S207)。受信機側制御部141は、応答信号に含まれるデータを取得すると、応答信号を1回受信したと判断する(S208)。
受信機側制御部141は、応答信号を受信すると、第3通信モードを指定する切替信号を再び送信する(S209)。
制御部4は、第3通信モードを指定する切替信号を受信し(S210)、受信結果から、切替信号に含まれるデータを取得する。制御部4は、データを取得すると、切替信号を2回受信したと判断し(S211)、第3通信モードに応じた応答信号を送信する(S212)。
受信機側制御部141が応答信号を受信し、応答信号に含まれるデータを取得する(S213)。受信機側制御部141は、応答信号に含まれるデータを取得すると、応答信号を続けて2回受信したと判断する(S213)。
以降、子機1が切替信号を所定回数受信し、かつ、受信機16が応答信号を所定回数受信するまで、S209〜S213が繰り返される。所定回数とは、あらかじめ定められた2回以上の回数である。所定回数は、例えば子機1および受信機16のマイクロコンピュータのメモリに記憶されているか、またはディップスイッチなどによって設定されている。
制御部4は、切替信号の受信回数が所定回数に達したと判断すると(S215)、切替信号により指定された第3通信モードを選択する(S216)。
受信機側制御部141は、応答信号の受信回数が所定回数に達したと判断すると(S217)、切替信号で指定した第3通信モードの通信方式で動作する(S218)。受信機側制御部141は、第3通信モードの通信方式で伝送信号を送信し(S219)、制御部は伝送信号を受信する(S220)。以降、子機1と受信機16とは第3通信モードの通信方式で信号を送受信できる。
受信機16が通信モードの切り替え機能を有することにより、例えば特定の子機1の設定情報を変更したい場合に、特定の子機1を取り外して設定器15と接続しなくてもよくなる。しかもその場合、第1通信モードよりも通信速度の速い通信モードを選択することで、設定情報の送信時間を短くできる。
一対の電線51,52の長さが、一対の電線53,54に比べて長いので、通信モードの切り替え時の切替信号と応答信号との受信回数を2回以上の特定回数にすることにより、通信モードの切り科の信頼性を高めることができる。
以上説明したように、本実施形態の自動火災報知システムA1の子機1において、制御部4は、切替信号により指定される通信モードに応じた応答信号を、送信部101から送信させることも好ましい。
上記構成によれば、制御部4は、応答信号を送信した後に、切替信号により指定される通信モードを選択するので、切替信号を送信した機器(本実施形態では設定器15)は、指定された通信モードに子機1が切り替わることを判断できる。制御部4のこの動作により、子機1が切替信号により指定される通信モードになったか否かを、切替信号を送信した機器が判断できるようになる。
また本実施形態では、設定器15が応答信号を受信し、子機1が第2通信モードに切り替わることを確認した後に第2通信モードの通信方式で子機1に伝送信号を送信するので、設定器15と子機1とが異なる通信モードとなることが抑制される。
本実施形態の自動火災報知システムA1の子機1において、制御部4は、同一の切替信号を連続して2回以上の所定回数受信すると、切替信号により指定される通信モードを選択することも好ましい。
上記構成によれば、制御部4は、同一の切替信号を連続して2回以上の所定回数受信した場合に通信モードを選択する(切り替える)ので、切替信号に加わったノイズなどによる誤った通信モード切替が行われにくくなる。
本実施形態の自動火災報知システムA1は、一対の電線51,52に電気的に接続される子機1および受信機16(親機)を備える。受信機16(親機)は、一対の電線53,54に電圧を印加し、通信モードを指定する切替信号を一対の電線51,52に送信する。子機1は、送信部101と、受信部107と、制御部4とを有する。送信部101は、一対の電線51,52に信号を送信する。受信部107は、一対の電線51,52に送信される信号を受信する。制御部4は、送信部101および受信部107を制御する。制御部4は、第1通信モード、および第1通信モードよりも通信速度の速い第2通信モードを含む複数の通信モードから、信号を送受信する通信モードを択一的に選択させる切替信号を受信すると、応答信号を送信部101から送信させる。この応答信号は、切替信号により指定される通信モードに応じた応答信号である。制御部4は、同一の切替信号を連続して2回以上の所定回数受信すると、切替信号により指定される通信モードを選択する。受信機16(親機)は、同一の応答信号を連続して2回以上の所定回数受信すると、切替信号で指定した通信モードの通信方式で動作する。
上記構成によれば、受信機16が通信モードの切り替え機能を有することにより、第1通信モードとは異なる通信モードで受信機16と子機1とが通信を行うことができる。第1通信モードよりも通信速の速い通信モードを選択することで、短時間での信号の送受信が可能になる。また、第1通信モードとは異なる通信方式で子機1と受信機16とが信号を送受信できるようになる。
さらに、特定の子機1を設置場所から取り外すことなく、受信機16を操作して特定の子機1の設定情報を変更することができる。その場合、第2通信モードを選択する他にも、第1通信モードよりも通信速度の速い通信モードを選択することで、受信機16は、短時間で設定情報を送信することができる。
一対の電線51,52の長さは、一対の電線53,54に比べて長いので、通信モードの切り替え時の切替信号と応答信号との受信回数を2回以上の所定回数に定めることにより、通信モードの切り替えの信頼性を高めることができる。
なお、通信モードの切り替えの信頼性をさらに高めるために、例えば3ウェイ・ハンドシェイクを用いて通信モードの切り替えを行ってもよい。例えば、受信機側制御部141は、応答信号を受信するごとに、ACK信号を送信するように構成されていてもよい。
また、本実施形態では受信機16を親機として説明したが、実施形態1の設定器15が親機であってもよい。その場合、設定器15は、本実施形態の受信機16と同様に、第1通信モードおよび第2通信モード以外の通信モードに切り替え可能に構成されていればよい。
本実施形態の子機1の制御部4の動作、および、設定器15の処理部151の動作は、実施形態1にも適用可能である。例えば、第2通信モードを指定する切替信号の受信回数と、第2通信モードに応じた応答信号の受信回数とが各々、連続して2回以上の所定回数に達した場合に、子機1と設定器15とが第2通信モードの通信方式で通信を行ってもよい。他にも例えば、第1通信モードとも第2通信モードとも異なる第3通信モードを指定する切替信号を処理部151が1回送信し、制御部4が、第3通信モードに対応する応答信号を1回送信することで、子機1と設定器15とが第3通信モードで通信を行ってもよい。
また、本実施形態の受信機16は実施形態1にも適用可能である。つまり、実施形態1の受信機14は、第1通信モード以外の通信モードに切り替え可能に構成されていてもよいし、子機1にパラメータ設定を行う設定機能付き受信機であってもよい。
なお、本実施形態の制御部4は、一対の電線51,52から電流を引き込んで信号を送信しているが、一対の電線51,52間の電圧を変化させる回路を用いて信号を送信する方式に、制御部4の動作を適用することができる。例えば、出力電圧を制御する回路を一対の電線51,52間に電気的に接続し、その回路を用いて一対の電線51,52間の電圧値V5を所望の電圧値に変化させる子機に、制御部4の動作を適用することができる。