JP4229939B2 - 試験方法 - Google Patents

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本発明は、受信機システムの試験方法に関する。
従来、例えば図13に示すような感知器(火災感知器)が知られている。この火災感知器52は、受信機51からの信号を伝送路を介して受信する受信部54と、受信機51に伝送路を介して信号を送信する送信部55と、受信部54,送信部55による受信機51との間での通信に関する処理を行なう通信処理部56と、受信機51との伝送インタフェースとして機能するインタフェース部57とを有している。
図13の例では、受信機51と感知器52との間で送受される信号は、通信パルスの形式となっており、この場合、感知器52の送信部55は、信号として通信パルスを受信機51に向けて送出する通信パルス送出部としての機能を有し、また、感知器52の受信部54は、信号として受信機51からの通信パルスを検出する通信パルス検出部としての機能を有している。
図14は図13のシステムにおいて受信機51側から見た感知器52の等価回路を示す図であり、受信機51側から見て感知器52側の等価回路(受信機51から感知器52に向けて送出される信号が伝搬する際に受ける負荷回路(等価インピーダンス))は、インタフェース部57内の逆流阻止ダイオードDと、浮遊容量Cdと、内部インピーダンスZ0とによって特定される。
ところで、火災感知器の分野においては、火災感知器の消費電流を低減することが要求されており、このため、従来では、図14の等価回路において、火災感知器52の内部インピーダンスZ0を大きいものに設定していた。
しかしながら、消費電流を低減するために感知器の内部インピーダンスZ0を大きくすると、図14に示すように、受信機51からの通信パルスPの波形は、この通信パルスが感知器52で受信される際、大きな内部インピーダンスZ0と浮遊容量(感知器容量)CdとのCR時定数により、P’のように劣化し(なまり)、通信パルスが高速なものであると、感知器52の受信部(通信パルス検出部)54において通信パルスをうまく受信できないという問題があった。すなわち、この場合、通信を可能とするためには通信速度を遅くする必要があるが、通信速度が遅くなると感知器一つ当たりの通信に要する時間が増加し、システム全体のパフォーマンスが低下してしまう。また、通信に要する時間が増加すると、受信機が誤動作することもある。
このように、従来では、火災感知器の消費電流を低減させるために感知器の内部インピーダンス(等価インピーダンス)を大きくすると、感知器の容量とのCR時定数回路により、通信パルスがなまってしまい、高速に通信ができないという問題があった。
このような問題は、受信機から延びる伝送路に感知器が接続されている受信機システムにおいて、前記感知器の試験を行なうのに、受信機と感知器との間に、感知器と通信を行なうことが可能であって電源手段が設けられている試験器を前記受信機と並列に接続し、前記試験器から通信パルスを送出して前記感知器との間で通信を行なわせて、感知器の試験を行なう場合にも生ずる。
本発明は、受信機から延びる伝送路に感知器が接続されている受信機システムにおいて、前記感知器の試験を行なうのに、受信機と感知器との間に、感知器と通信を行なうことが可能であって電源手段が設けられている試験器を前記受信機と並列に接続し、前記試験器から通信パルスを送出して前記感知器との間で通信を行なわせて、感知器の試験を行なう場合にも、試験器からの通信パルスの波形の劣化を防止し、通信速度を向上させることができ、試験を高速に行なうことの可能な試験方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、受信機から延びて終端コンデンサが設けられた伝送路に感知器が接続されている受信機システムの感知器の試験方法において、受信機と感知器との間に、感知器と通信を行なうことが可能であって出力インピーダンスが前記受信機の電源手段の出力インピーダンスよりも低い電源手段が設けられている試験器を前記受信機と並列に接続し、前記試験器から通信パルスを送出して前記感知器との間で通信を行なわせるようにしており、前記試験器は、前記感知器との間で試験のための通信を行なうときには、前記試験器の電源手段から電源を供給し、感知器から試験器へ伝送する通信パルスのパルス幅を、試験器から感知器に伝送される通信パルスのパルス幅よりも短かくすることを特徴としている。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の試験方法において、前記試験器と前記感知器との間で通信を行なわせて、感知器の試験を行なう際、伝送路に終端コンデンサが設けられている場合に、感知器から試験器へ伝送する通信パルスのパルス幅を、試験器から感知器に伝送される通信パルスのパルス幅よりも短かくすることを特徴としている。
請求項1記載の発明によれば、受信機から延びて終端コンデンサが設けられた伝送路に感知器が接続されている受信機システムの感知器の試験方法において、受信機と感知器との間に、感知器と通信を行なうことが可能であって出力インピーダンスが前記受信機の電源手段の出力インピーダンスよりも低い電源手段が設けられている試験器を前記受信機と並列に接続し、前記試験器から通信パルスを送出して前記感知器との間で通信を行なわせるようにしており、前記試験器は、前記感知器との間で試験のための通信を行なうときには、前記試験器の電源手段から電源を供給するので、試験器からの通信パルスの波形の劣化を防止し、通信速度を向上させることができ、試験を高速に行なうことが可能となる。また、前記感知器との間で試験のための通信を行なうときには、感知器から試験器へ伝送する通信パルスのパルス幅を、試験器から感知器に伝送される通信パルスのパルス幅よりも短かくするので、試験器から感知器へのパルス信号の伝送速度に対して、感知器から試験器へのパルス信号の伝送速度を速くすることができ、全体として高速な伝送が可能となる。
特に、請求項2記載の発明では、請求項1記載の試験方法において、前記試験器と前記感知器との間で通信を行なわせて、感知器の試験を行なう際、伝送路に終端コンデンサが設けられている場合に、感知器から試験器へ伝送する通信パルスのパルス幅を、試験器から感知器に伝送される通信パルスのパルス幅よりも短かくするので、試験器から感知器へのパルス信号の伝送速度に対して、感知器から受信機へのパルス信号の伝送速度を速くすることができ、全体として高速な伝送が可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る受信機システム,感知器の構成例を示す図である。図1を参照すると、この受信機システムは、受信機1からの伝送路に感知器2が接続されている。そして、感知器(例えば火災感知器)2は、受信機1からの信号を伝送路を介して受信する受信部4と、受信機1に信号を伝送路を介して送信する送信部5と、受信部4,送信部5による受信機1との間での通信に関する処理を行なう通信処理部6と、受信機1との伝送インタフェースとして機能するインタフェース部7とを有している。
図1の例では、受信機1と感知器2との間で送受される信号は、通信パルスの形式となっており、この場合、感知器2の送信部5は、信号として通信パルスを受信機1に向けて送出する通信パルス送出部としての機能を有し、また、感知器2の受信部4は、信号として受信機1からの通信パルスを検出する通信パルス検出部としての機能を有している。
さらに、図1の例では、感知器2には、受信機1との間で通信を行なわない待機時においては、感知器2の内部インピーダンスを高く維持し、受信機1との間で通信を行なうときには、感知器2の内部インピーダンスを低くするインピーダンス低下部(インピーダンス制御手段)10が設けられている。
図2は図1のシステムにおいて受信機1側から見た感知器2の等価回路を示す図であり、図1の構成では、受信機1側から見て感知器2側の等価回路(受信機1から感知器2に向けて送出される信号が伝搬する際に受ける負荷回路(等価インピーダンス))は、インタフェース部7内の逆流阻止ダイオードDと、浮遊容量Cdと、内部インピーダンスZ0と、切替スイッチSWと、インピーダンス(例えば抵抗)Z1とによって特定される。
ここで、インピーダンス(抵抗)Z1は、低インピーダンスに設定されている。そして、切替スイッチSWが開(オフ)のときには、感知器の内部インピーダンスは、大きなインピーダンス値(高インピーダンス)Z0であり、切替スイッチSWが閉(オン)となると、感知器の内部インピーダンスは、大きなインピーダンス(高インピーダンス)Z0と並列にインピーダンス(低インピーダンス)Z1が加わったものとなり、感知器の内部インピーダンスは、低インピーダンスとなる。このように、図2の例では、インピーダンス低下部10は、切替スイッチSWと、インピーダンス(例えば抵抗)Z1とによって構成される。
図1,図2の感知器2におけるインピーダンス制御は、より具体的には、例えば、次のようになされる。すなわち、実際の通信に先立ち、受信機1は、先ず、感知器2の内部インピーダンスが高くても感知器2で十分に受信できるパルス幅の長い通信開始信号P0(図2を参照)を送出する。感知器2の通信処理部6は、受信機1から通信開始信号P0を受信したときに通信モードとなり、受信機1との通信期間中、インピーダンス低下部10を作動させる(切替スイッチSWをオンにする)。このように、インピーダンス低下部10が作動することによって感知器2の内部インピーダンスが低下し、これにより、以後は、受信機1からの通信パルスの波形の劣化(なまり)は解消され、早い速度での通信が可能になる。
換言すれば、図2に示すように、受信機1は、感知器2に通信パルスPを送出する際、通信パルスの最初にパルス幅の長い通信開始信号P0を付加するだけで良く、この通信開始信号P0を送出した後、パルス幅の短かい高速のパルス信号P1を送出することができる。この場合、感知器2においては、受信機1から通信開始信号P0を受信するとき、この波形は感知器2の高インピーダンスによってP0’のように劣化する(なまる)が、この通信開始信号P0はパルス幅が長いものとなっているので、この波形が多少なまっても、この信号P0を通信処理部6で確実に検知できる。そして、この信号P0(P0’)が感知器2で検知されると、感知器2は、通信モードとなり、感知器2ではインピーダンス低下部10が作動し、感知器2の内部インピーダンスが低インピーダンスとなるので、上記信号P0以後に受信機1から送られるパルス信号(通信モードにおける通信パルス信号)P1は、これがパルス幅の短かい高速のものであっても、P1’に示すように、感知器2で波形を差程劣化させずに(なまらずに)受信される。
このように、受信機1に接続され、印加される電圧をパルス変化させることにより受信機1との通信を行なう感知器2において、感知器2にインピーダンス低下部10を設け、高インピーダンスで受信できる通信開始信号を受信したときに感知器2の内部インピーダンスを低下させ、通信期間中、低インピーダンスの状態を維持することにより、信号の処理速度の低下を有効に防止することができ、さらに、この通信期間以外は、感知器2の内部インピーダンスを高インピーダンスに維持するので、感知器2の消費電流の低減を実現することができる。
すなわち、本発明では、感知器2にインピーダンス低下部10を追加し、通信開始パルスを受信したときに感知器2の内部インピーダンスを低下させることにより、通信時に通信速度を低下させずに済み、システムのパフォーマンスを維持でき、また、感知器2のこの低インピーダンス状態は通信時にのみ維持され、通信がなされていないときには、高インピーダンス状態としているので、感知器2の消費電流を低減できる。
このような感知器2の内部インピーダンスの制御処理は、感知器2がアナログ式のものであっても(受信機1をも含めた受信機システムがR型システムであっても)、オンオフ式のものであっても(受信機1をも含めた受信機システムがP型システムであっても)、適用できる。すなわち、受信機1から送出される通信信号(通信パルス信号)を受信する機能を備えた任意の形式の感知器,受信機システムに適用できる。
特に、図1,図2の構成は、感知器の消費電流の低減を実現する場合にも、信号の処理速度の低下を有効に防止することができることから、感知器としてP型のインテリジェントセンサなどに適用するとき、その通信速度を向上させるのに有用なものとなる。
但し、本発明では、通信時に感知器2の内部インピーダンスを低下させることから、感知器2がオンオフ型感知器である場合(受信機1をも含めた受信機システムがP型システムである場合)には、通信時に感知器2が内部インピーダンスを低下させると、受信機1は、これを感知器が作動したものと誤検出するおそれがある。すなわち、この受信機システムがP型システムである場合、感知器2が火災等を検出すると(感知器作動を検出すると)、感知器2は伝送路(L,C線路)を低インピーダンス状態にすることで、火災等の発生(感知器作動)を受信機1に通知するようにしており、従って、上述のように、受信機1と感知器2との間での通信時に感知器2の内部インピーダンスを低下させると、受信機1は、これを感知器2が作動したものと誤検出してしまうことがある。
P型システムにおけるこのような問題を回避するため、すなわち、受信機1が通信時の低インピーダンス状態を感知器2が作動したものとして検出することのないように、特にP型システムにおいては、受信機1と感知器2との間の通信時間を受信機1における感知器作動検出時間よりも短くするのが良い。通信時間を受信機1における感知器作動検出時間よりも短かくする具体例について、次に説明する。
先ず、第1の具体例として、受信機1との通信を開始後、感知器作動検出時間よりも短かい一定時間を経過すると、感知器2の内部インピーダンスを低インピーダンス状態から高インピーダンス状態に戻す復帰手段を感知器2に設けることができる。より具体的に、この復帰手段は、例えば、一定時間を計時するタイマを感知器2内に設け、このタイマによって一定時間が計時されたときに図2の切替スイッチSWをオン(閉)からオフ(開)にすることによって実現できる。
あるいは、第2の具体例として、通信時間を感知器作動検出時間よりも短かくするのに、受信機1側において、感知器2との通信を開始後、感知器作動検出時間よりも短かい期間内に通信終了信号を感知器2に発信する機能をもたせ、この通信終了信号を感知器2に発信することで、感知器との通信を終了させることもできる。
あるいは、第3の具体例として、通信時間を感知器作動検出時間よりも短かくするのに、受信機1側において、受信機における感知器作動検出時間を感知器との通信時間よりも長く設定することもできる。
上記第1乃至第3の具体例のいずれにおいても、通信時には、感知器2の内部インピーダンスは、感知器作動検出時間よりも短かい期間(通信時間の間)だけ低インピーダンス状態となり、感知器作動検出時間内において、通信時間を経過後は高インピーダンス状態となるので、受信機1は、このインピーダンスの低下は、感知器が作動したことによるものではないことを検知できる。
図3(a),(b)はP型システムの感知器に本発明を適用したときに、感知器作動の場合,通信時の場合のL,C線路の状態をそれぞれ示す図である。図3を参照すると、第1乃至第3の具体例のいずれかによって、受信機1と感知器2との通信時間を受信機1の感知器作動検出部(例えば火災検出回路)(図示せず)における感知器作動検出時間よりも短かくすることで、図3(a)に示すように、感知器2の内部インピーダンスが低インピーダンスとなる状態が感知器作動検出時間以上継続したときには感知器2が作動していると判断できる。一方、図3(b)に示すように、通信時には、感知器2の低インピーダンス状態は感知器作動検出時間よりも短かい時間しか継続せず、受信機1が感知器2からの通信パルスを検出しても感知器作動検出時間内に通信は終了するので、受信機1は通信パルスを感知器作動と誤検出することを回避できる。すなわち、受信機1の誤動作を防ぐことができる。
このように、第1乃至第3の具体例のいずれによっても、受信機1が通信時の低インピーダンス状態を感知器2が作動したものとして検出することのないようにできるが、第1の具体例では、一定時間を計時するタイマを感知器2内に設けなければならないのに対し、第2,第3の具体例では、第1の具体例のように感知器2内にタイマを設ける必要がないので、第1の具体例に比べて、感知器2の構成をより簡単なものにすることができる。
次に、図4は本発明に係る受信機システム,感知器の他の構成例を示す図である。図4を参照すると、この受信機システムは、受信機1からの伝送路に感知器2が接続されている。そして、感知器(例えば火災感知器)2には、図1の感知器と同様に、受信機1からの信号を伝送路を介して受信する受信部4と、受信機1に信号を伝送路を介して送信する送信部5と、受信部4,送信部5による受信機1との間での通信に関する処理を行なう通信処理部6と、受信機1との伝送インタフェースとして機能するインタフェース部7とが設けられている。
また、図4の例においても、受信機1と感知器2との間で送受される信号は、通信パルスの形式となっており、この場合、感知器2の送信部5は、信号として通信パルスを受信機1に向けて送出する通信パルス送出部としての機能を有し、また、感知器2の受信部4は、信号として受信機1からの通信パルスを検出する通信パルス検出部としての機能を有している。
ところで、図4の例では、感知器内には、受信機1との間で通信を行なうときには、伝送路の電圧を通常時の電圧よりも低い所定の電圧に設定する電圧制御部(電圧制御手段)12が設けられている。
図5は図4のシステムにおいて受信機1側から見た感知器2の等価回路を示す図である。図4の構成では、図2の構成において、インピーダンス(例えば抵抗)Z1のかわりに、定電圧回路15が設けられたものとなっている。
ここで、定電圧回路15は、伝送路の電圧(この受信機システムがP型システムであって伝送路がL,C線路で構成されている場合、L,C線路間の電圧)を、通常時の電圧よりも低い所定の電圧に設定可能なものとなっている。図5の例では、定電圧回路15は、インピーダンス(抵抗)Z2とツェナーダイオードZDとが並列に接続されたものとして構成されており、ツェナーダイオードZDとしてツェナー電圧(逆方向の降伏電圧)が、伝送路の通常時の電圧よりも低いものを用いることで、伝送路の電圧(伝送路がL,C線路で構成されている場合、L,C線路間の電圧)を、通常時の電圧よりも低い所定の電圧に設定可能となる。すなわち、図5において、切替スイッチSWが開(オフ)のときには、定電圧回路15は駆動されず、伝送路の電圧は、通常時の電圧値となっている。この状態で、切替スイッチSWが閉(オン)となると、定電圧回路15が駆動され、伝送路の電圧は、通常時よりも低い電圧となる。このように、図5の例では、電圧制御部12は、切替スイッチSWと、定電圧回路15とによって構成される。
図4,図5の感知器2における電圧制御は、より具体的には、例えば、次のようになされる。すなわち、実際の通信に先立ち、受信機1は、先ず、感知器2の内部インピーダンスが高くても感知器2で十分に受信できるパルス幅の長い通信開始信号P0(図5を参照)を送出する。感知器2の通信処理部6は、受信機1から通信開始信号P0を受信したときに通信モードとなり、受信機1との通信期間中、電圧制御部12を作動させる(切替スイッチSWをオンにする)。このように、電圧制御部12が作動することによって伝送路の電圧は通常時の電圧よりも低下する。これにより、以後は、感知器2の内部インピーダンスが高い状態に保持されていても、受信機1からの通信パルスの波形を差程劣化させずに、早い速度での通信が可能になる。
換言すれば、図5に示すように、受信機1は、感知器2に通信パルスPを送出する際、最初にパルス幅の長い通信開始信号P0を送出し、しかる後、パルス幅の短かい高速のパルス信号P1を送出することができる。この場合、感知器2においては、受信機1から通信開始信号P0を受信するとき、この波形は感知器2の高インピーダンスによってP0’のように劣化する(なまる)が、この通信開始信号P0はパルス幅が長いものとなっているので、この波形が多少なまっても、この信号P0を通信処理部6で確実に検知できる。そして、この信号P0(P0’)が感知器2で検知されると、感知器2は、通信モードとなり、感知器2では電圧制御部12が作動し、伝送路の電圧が低くなるので、上記信号P0以後に受信機1から送られるパルス信号(通信モードにおける通信パルス信号)P1は、これがパルス幅の短かい高速のものであっても、P1''に示すように、電圧値が小さいことから、波形を差程劣化させずに(なまらずに)感知器2で受信される。すなわち、伝送路の電圧が高いときには通信信号検出電圧に達するまでの時間が長くなるので通信を早くすることができないが、通信時の電圧を通常時より下げることで検出電圧に達するまでの時間を短くし、通信速度を上げることができる。
このように、受信機1に接続され、印加される電圧をパルス変化させることにより受信機1との通信を行なう感知器2において、感知器2に電圧制御部12を設け、感知器2の内部インピーダンスを常に高い状態に維持させても、通信期間中、伝送路の電圧を低下させることにより、信号の処理速度の低下を有効に防止することができ、さらに、感知器2の内部インピーダンスが常時、高インピーダンスに維持されるので、感知器2の消費電流の低減を実現することができる。
このような感知器2の電圧制御処理は、主に、感知器2がオンオフ式のものである場合に(受信機1をも含めた受信機システムがP型システムであり、伝送路にL,C線路が用いられる場合に)、適用できる。すなわち、受信機1からL,C線路を介して送出される通信信号(通信パルス信号)を受信する機能を備えた感知器,受信機システムに適用できる。
また、図4,図5の構成も、図1,図2の構成と同様に、感知器の消費電流の低減を実現する場合にも、信号の処理速度の低下を有効に防止することができることから、感知器としてP型のインテリジェントセンサなどに適用するとき、その通信速度を向上させるのに有用なものとなる。
図6は受信機システムの参考例を示す図である。図6を参照すると、この受信機システムでは、受信機1からの伝送路3に感知器2−1〜2−nが接続されている。ここで、感知器2−1〜2−nはオンオフ型感知器であり、受信機1からの伝送路3は、L,C線路となっている。すなわち、この受信機システムは、P型システムであって、このL,C線路に感知器2−1〜2−nが接続されている。また、図6の例では、このL,C線路の終端には、終端器18として、抵抗RLとコンデンサCLとが接続されている。
また、図6の例では、受信機1には、出力インピーダンスR0の電源手段16が設けられており、電源手段16からの電源(電圧)がL,C線路に供給されるようになっている。この場合、感知器2−1〜2−nの少なくとも1つ,例えば2−1は、受信機1と通信を行なう機能を備えており、感知器2−1が図1,図2あるいは図4,図5のように、これ自体にインピーダンス低下部あるいは電圧制御部が備わっているときには、通信時に、受信機1の電源手段16の出力インピーダンスR0が大きい場合でも、感知器2−1の内部インピーダンスを低下させるか、あるいは、伝送路3の電圧を低下させることで、前述したように、受信機1と感知器2−1との間での通信の速度を高めることができる。
上述の各構成例(図1,図2の構成例,図4,図5の構成例)において、受信機システムとしては、受信機1が、監視制御システム(例えば防災システム)における受信機としての機能(感知器の作動状態を監視し、感知器から火災などの異常を検知したときに警報等を出力する機能)を備えているものであっても良いし、あるいは、受信機1が例えば、感知器2を例えば所定の伝送路を介して試験,点検する試験システムにおける外部の試験器(チェッカ)としての機能を有するものであっても良い。すなわち、この場合には、外部の試験器(チェッカ)としての受信機1から感知器2に向けて試験信号(通信パルス信号)を送出し、試験を行なうとき(試験器(チェッカ)との間で通信を行なうとき)、感知器2において、その内部インピーダンスを低下させたり、あるいは、伝送路の電圧を低下させることで、試験器(チェッカ)からの試験信号が高速のものであっても、これを確実に受信することができる。
このようなことから、本発明においては、「受信機システム」の語を、監視制御システムのみならず、試験システムなどをも含む語として捉えることができ、また、「受信機」の語を、監視制御システムにおける受信機のみならず、試験システムにおける外部の試験器(チェッカ)などをも含む語として捉えることができる。
また、上述の各構成例の受信機システムでは、感知器内において、内部インピーダンスを低下させたり、伝送路の電圧を制御する機能を設けたが、このような機能を感知器の外部,例えば受信機1にもたせることもできる。
図7は受信機システムの他の参考例を示す図である。図7を参照すると、この受信機システムでは、受信機1からの伝送路3に感知器2−1〜2−nが接続されている。ここで、感知器2−1〜2−nはオンオフ型感知器であり、受信機1からの伝送路3は、L,C線路となっている。すなわち、この受信機システムは、図6の受信機システムと同様のP型システムであって、このL,C線路に感知器2−1〜2−nが接続されている。また、図7の例では、このL,C線路の終端には、終端器18として、抵抗RLとコンデンサCLとが接続されている。
ところで、図7の例では、受信機1には、出力インピーダンスの高い電源手段16(出力インピーダンスR0)と出力インピーダンスの低い電源手段17(出力インピーダンスR1)とが設けられており、感知器との間で通信を行なわない待機時においては、受信機1は、出力インピーダンスの高い電源手段16から電源を供給し、感知器との間で通信を行なうときには、受信機1は、出力インピーダンスの低い電源手段17から電源を供給するようになっている。
図7の例の受信機システムでは、感知器との間で通信を行なうときには、受信機1は、出力インピーダンスの低い電源手段17から電源を供給するようになっているので、通信パルスの波形のなまりが少なくなり、通信パルス信号の通信速度を上げることができる。すなわち、従来のP型システムでは、監視時の消費電力を低減するため、伝送路の断線検出にコンデンサCLによる終端器を使用している。しかし、この伝送路で通信を行なうために受信機が通信パルス信号を送出すると、受信機1の出力インピーダンスとコンデンサCLの時定数回路が形成されるため、通信パルスの波形がなまり、伝送速度を上げることができない。このような問題を回避するため、図7の構成例では、受信機1は、通信時には、出力インピーダンスの低い電源手段17から電源を供給する。これにより、受信機1の出力インピーダンスとコンデンサCLの時定数が小さくなるので、通信パルスの波形のなまりが少なくなり、通信パルス信号の通信速度を上げることができる。
図8(a),(b)はそれぞれ図6,図7の受信機システムにおける通信時の通信パルス波形の一例を示す図である。図6の受信機システムでは、図8(a)に示すように、受信機1からの通信パルスの波形は、その立下がり時にはRL,CLの時定数でなまり、その立上がり時には(R0+RL),CLの時定数でなまる。ここで、R0は受信機1の電源手段16の出力インピーダンスであり、図6のシステムでは、R0は大きいので、(R0+RL),CLの時定数も大きくなり、これによって、通信パルスの立上がり波形が特に劣化する。これに対し、図7のシステムでは、通信時には、受信機1の電源手段は、出力インピーダンスの低い電源手段17に切替わるので、図8(b)に示すように、受信機1からの通信パルスの波形は、その立上がり時には(R1+RL),CLの時定数でなまる。ここで、R1はR0よりも十分に小さく、従って、(R1+RL),CLの時定数は、(R0+RL),CLの時定数よりも十分に小さくなり、これによって、通信パルスの立上がり波形の劣化を防止できる。ここで、RLはR0よりも十分に小さい。
このように、図7の例では、受信機1には、出力インピーダンスの高い電源手段16(出力インピーダンスR0)と出力インピーダンスの低い電源手段17(出力インピーダンスR1)とが設けられており、感知器との間で通信を行なわない待機時においては、受信機1は、出力インピーダンスの高い電源手段16から電源を供給し、感知器との間で通信を行なうときには、受信機1は、出力インピーダンスの低い電源手段17から電源を供給することにより、受信機1からの通信パルス波形を差程劣化させずに感知器に伝送することができる。
この場合、感知器2−1〜2−nのうち、受信機1と通信を行なう機能を備えた感知器が、図13,図14に示すような従来の構成のものとなっているときに、この感知器では、図13のような受信機システムに比べて、受信機1からの通信パルスの波形が差程劣化していないので、通信を行なう機能を備えた感知器では、これをより信頼性良く受信できる。すなわち、通信時に、感知器の内部インピーダンスが高インピーダンスとなっており、また伝送路の電圧が高いものとなっていても、感知器で受信される通信パルスの波形の劣化は、図13,図14の構成に比べて少なく、従って、通信速度を高めることができる。
また、図7の例において、感知器2−1〜2−nのうち、受信機1と通信を行なう機能を備えた感知器が、さらに、図1,図2、あるいは、図4,図5に示すような構成のものとなっているときに、この感知器では、図1,図2、あるいは、図4,図5に示すような受信機システムに比べて、受信機1からの通信パルスは波形が差程劣化していないので、これをより一層信頼性良く受信でき、さらに、より一層通信速度を高めることができる。
また、図7の例では、終端器にコンデンサCLを用いているが、コンデンサCLを用いない終端器が用いられる場合にも、本発明を適用できる。すなわち、図9のように終端器にコンデンサCLが用いられない受信機システムであっても、伝送路(L,C線路)3自体に容量(コンデンサ)成分が存在し、受信機1の出力インピーダンスとの間で時定数回路が形成されるため、通信パルスの波形がなまり、伝送速度を上げることができないことがある。従って、終端器にコンデンサCLが用いられない受信機システムであっても、図7の構成例とし、受信機1は、通信時には、出力インピーダンスの低い電源手段17から電源を供給することにより、受信機1の出力インピーダンスとコンデンサCLとの時定数が小さくなり、通信パルスの波形のなまりを少なくでき、通信パルス信号の通信速度を上げることができる。
また、受信機1から延びる伝送路に感知器2−1〜2−nが接続されている図6,図7あるいは図9のような受信機システムにおいて、受信機1と感知器2−1〜2−nとの間に、感知器と通信を行なうことの可能な試験器を受信機と並列に接続し、試験器と感知器との間で通信を行なわせて、感知器の試験を行なうこともできる。
図10は受信機1から延びる伝送路に感知器2−1〜2−nが接続されている図6,図7あるいは図9のような受信機システム(図10の例では、図6のシステム)において、受信機1と感知器2−1〜2−nとの間に、感知器と通信を行なうことの可能な試験器20を受信機1と並列に接続した試験システムの参考例を示す図である。図10の例では、試験器20には、通信パルスを発生させるためのスイッチ手段21が設けられており、この場合、受信機1の電源手段16を利用し、試験器20のスイッチ手段21をオンオフさせることで、通信パルスを発生させてこれを感知器に伝送させ、感知器との間で通信を行なって感知器を試験するようになっている。
このように、受信機1(例えば伝送機能(通信機能)をもたない受信機)に感知器が接続されているP型受信機システムにおいて、感知器の試験を行なう時に、受信機1と並列に試験器(チェッカ)20を接続して、試験器20から試験を行なうことで、P型受信機システムをそのままの状態にしながら、試験を行なうことが可能となり、試験中でも火災等を受信でき、火災監視に対する安全性,信頼性を高めることができる。
換言すれば、上述した各構成例の受信機システムでは、通信機能を備えていない従来の感知器に加えて、保守点検が難しい高所等には通信機能を備えた感知器を設置することができ、例えば、通信機能を備えた感知器を試験するようなときには、試験器20から試験用の通信パルスを送るだけで良く、この感知器のところで作業せずに済む。すなわち、従来のP型感知器と通信を行なう感知器を混在でき、必要なところのみに通信を行なう感知器を使用することができるので、コストパフォーマンスの優れたシステムを提供できる。
しかしながら、図10の例では、前述のように、受信機1の電源手段16の出力インピーダンスR0が大きいので、試験のための通信パルスの波形は、図8(a)に示したと同様に劣化してしまい、試験を高速にかつ信頼性良く行なうには限界がある。
このような問題を回避するため、試験器20として、図11に示すようなものを用いるのが良い。すなわち、図11の試験器20には、出力インピーダンスの低い電源手段23(出力インピーダンスR1≪R0)が用いられており、スイッチ手段21をオンオフさせることで、電源手段23の電圧に従った通信パルスを発生させて感知器に伝送するようになっている。
この場合には、試験のための通信パルスの波形は、図8(b)に示したと同様のものとなり、試験のための通信パルス波形を差程劣化させずに感知器2に伝送することができ、従って、試験を高速にかつ信頼性良く行なうことができる。
このように、受信機から延びる伝送路に感知器が接続されている受信機システムにおいて、受信機と感知器との間に、感知器と通信を行なうことの可能な試験器20を受信機と並列に接続し、試験器と前記感知器との間で通信を行なわせて、感知器の試験を行なうときに、上記試験器20に出力インピーダンスの低い電源手段23を内蔵させることによって、試験を高速にかつ信頼性良く行なうことができる。すなわち、出力インピーダンスの低い電源手段23を試験器20に内蔵することで、試験器を伝送路に直接接続して感知器との間で試験のための通信を行なうことができる。このとき、中継器などの特別な装置は必要ないので、従来のP型の受信機システムはそのままで、試験機能をもたせたい場所にだけ伝送機能をもつ感知器にすることができる。例えば、高い場所など試験が困難な感知器のみを伝送機能付きの感知器とすることにより、低コストでシステムをアップグレードすることができる。
なお、図11のように試験器20を接続して試験を行なう場合、受信機1は伝送機能(通信機能)を有していても良いし、伝送機能(通信機能)を有していなくても良い。
また、図11のシステム構成例において、感知器2−1〜2−nの全てが受信機1あるいは試験器20との通信機能を有している必要はなく、一部のものは、受信機1あるいは試験器20との通信機能を有していなくとも良い。すなわち、伝送機能(通信機能)をもつ感知器と伝送機能(通信機能)をもたない感知器を同一の伝送路に混在させることができる。
また、図11のシステムのように、伝送路に終端コンデンサCLが設けられている場合には(コンデンサCLを用いた終端器18が接続されるシステムでは)、受信機1あるいは試験器20の出力インピーダンス,伝送路の配線抵抗,終端器の終端抵抗RLと終端コンデンサCLとの時定数によって、前述したように、通信パルスの波形がなまる。特に、受信機1または試験器20から感知器2−1〜2−nに伝送される通信パルス(伝送パルス)は、波形の劣化(なまり)が大きく、この波形劣化は、配線抵抗が最も大きくなる末端の感知器2−nで最大となる。
従って、図11のように、試験器20の電源手段の出力インピーダンスを低くしても、試験器20から感知機2−1〜2−nに伝送される通信パルス(伝送パルス)の波形は図12(a)に示すようなものとなり、この通信パルスの波形の劣化(なまり)を著しく低減するには限界がある。このため、安定した通信を行なうためには、試験器20から感知機2−1〜2−nに伝送される通信パルス(伝送パルス)については、そのパルス幅T1を、例えば3ミリ秒以上にする必要がある。なお、図12(a)において、破線は試験器20から送出される時点での通信パルス信号波形であり、実線は感知器で受信される時点での通信パルス信号波形である。
これに対し、感知器2−1〜2−nから試験器20へ伝送する通信パルスに着目すると、試験器20は、伝送路上において、終端コンデンサCLとは反対側に位置するため、通信パルス信号の立下がり時に終端コンデンサCLから流れ出る電流は試験器20側には流れず、試験器20に到達する通信パルスは、図12(b)に示すように、終端コンデンサCLの影響を受けない。なお、図12(b)において、破線は感知器から送出される時点での通信パルス信号波形であり、実線は試験器20で受信される時点での通信パルス信号波形である。
このように、感知器2−1〜2−nから試験器20へ伝送する通信パルスは、図12(b)に示すように、終端コンデンサCLの影響を受けないので、感知器2−1〜2−nから試験器20へ伝送する通信パルスのパルス幅T2、試験器20から送出される通信パルスのパルス幅T1よりも短かくすることができる。例えば、感知器2−1〜2−nから試験器20へ伝送する通信パルスT2のパルス幅を、1.5ミリ秒程度の短かいものにすることができる。
これにより、試験器20から感知器へのパルス信号の伝送速度に対して、感知器から試験器20へのパルス信号の伝送速度を速くすることができ、全体として高速な伝送が可能となる。
本発明に係る受信機システム,感知器の構成例を示す図である。 図1のシステムにおいて受信機側から見た感知器の等価回路を示す図である。 P型システムの感知器に本発明を適用したときに、感知器作動の場合,通信時の場合のL,C線路の状態をそれぞれ示す図である。 本発明に係る受信機システム,感知器の他の構成例を示す図である。 図1のシステムにおいて受信機側から見た感知器の等価回路を示す図である。 受信機システムの参考例を示す図である。 受信機システムの参考例を示す図である。 図6,図7の受信機システムにおける通信時の通信パルス波形の一例を示す図である。 受信機システムの参考例を示す図である。 試験システムの参考例を示す図である。 本発明に係る試験システムの構成例を示す図である。 通信パルスの波形の劣化の程度を説明するための図である。 従来の感知器の構成例を示す図である。 図13のシステムにおいて受信機側から見た感知器の等価回路を示す図である。
符号の説明
1 受信機
2 感知器
3 伝送路
4 受信部
5 送信部
6 通信処理部
7 インタフェース部
10 インピーダンス低下部
12 電圧制御部
15 定電圧回路
16,17 電源手段
18 終端器
20 試験器
21 スイッチ手段
23 電源手段

Claims (1)

  1. 受信機から延びて終端コンデンサが設けられた伝送路に感知器が接続されている受信機システムの感知器の試験方法において、受信機と感知器との間に、感知器と通信を行なうことが可能であって出力インピーダンスが前記受信機の電源手段の出力インピーダンスよりも低い電源手段が設けられている試験器を前記受信機と並列に接続し、前記試験器から通信パルスを送出して前記感知器との間で通信を行なわせるようにしており、前記試験器は、前記感知器との間で試験のための通信を行なうときには、前記試験器の電源手段から電源を供給し、感知器から試験器へ伝送する通信パルスのパルス幅を、試験器から感知器に伝送される通信パルスのパルス幅よりも短かくすることを特徴とする試験方法。
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