(実施形態1)
本実施形態の自動火災報知システムA1について図を参照して説明する。
自動火災報知システムA1は、図1に示すように、少なくとも1台の子機B1〜B16(本実施形態では16台)と、1台の親機20とを備え、子機B1〜B16と親機20とは各々、一対の電線51,52に電気的に接続されている。なお、以下の説明では、16台の子機B1〜B16の各々を区別しないで説明する場合には「子機10」として説明する。
子機10は例えば、熱感知器、煙感知器、炎感知器等装置からなり、火災発生を検知した場合に火災発生を報知する信号(火災報)を一対の電線51,52に送信する。なお、子機10は、火災の発生を検知する感知器に限らず、発信機等を含んでいてもよい。ここで言う発信機は押しボタンスイッチを有し、例えば火災を発見した人が押しボタンスイッチを押すことにより一対の電線51,52に火災報を送信する装置である。
親機20(例えば受信機)は、一対の電線51,52に送信された信号を受信し、その信号が火災報の場合に火災発生の報知を行う。親機20は、例えば自動火災報知システムA1が設置された建物の管理室等に配置される。
以下の説明では、集合住宅(例えばマンション)に用いられる自動火災報知システムA1について説明するが、自動火災報知システムA1は、集合住宅に限らず、例えば商業施設、病院、ホテル、雑居ビル等の適宜の建物で使用できる。
自動火災報知システムA1は、図1に示すように、1棟の集合住宅60に対して、少なくとも1台の子機10(本実施形態では16台)と、1台の親機20とを備えている。
本実施形態の自動火災報知システムA1では、集合住宅60の1〜4階の各階(フロア)に(2本で1組の)一対の電線51,52が配線されている。つまり本実施形態の自動火災報知システムA1は、一対の電線51,52を4組備えている。
本実施形態の自動火災報知システムA1には、各組の一対の電線51,52に対して最大で40〜80台の子機10が接続可能である。さらに、1台の親機20には、一対の電線51,52は最大で50〜200回線(50〜200組)接続可能である。例えば各組の一対の電線51,52に最大で40台の子機10が接続可能で、1台の親機20に最大で50回線の一対の電線51,52が接続可能である場合、子機10は、1台の親機20に対して最大で2000(=40×50)台まで接続可能である。なお、これらの数値は一例であって、これらの数値に限定する趣旨ではない。
一対の電線51,52には各々、親機20が接続されている端部と反対側の端部に終端抵抗40が接続されている。親機20は、一対の電線51,52間に流れる電流の電流値を計測することで、一対の電線51,52の断線を検知することが可能である。なお、終端抵抗40は必須の構成ではなく、省略されていてもよい。
親機20には、他装置30が電気的に接続されている。他装置30は例えば、防火扉や排煙設備等の防排煙設備、非常用放送設備、外部移報装置、およびスプリンクラー等の消火設備等装置である。外部移報装置とは例えば、自動火災報知システムA1が設置されている施設の外部の関係者、消防機関、警備会社等へ通報する装置である。他装置30の動作は、親機20によって制御されるように構成されている。親機20は、他装置30を連動させるための通知(連動報)を子機10から受けると、他装置30を動作させる。つまり親機20は、子機10からの連動報の送信に応じて他装置30を連動させる。そのため、自動火災報知システムA1は、火災の発生時に、防排煙設備の防火扉を制御したり、非常用放送設備にて音響または音声により火災の発生を報知したりすることが可能である。
ところで、自動火災報知システムとして、P型(Proprietary-type)の自動火災報知システムが知られている。P型の自動火災報知システムは、子機が一対の電線を電気的に短絡することで親機に火災発生を通知する。
本実施形態の自動火災報知システムA1では、従来のP型の自動火災報知システムで使用する配線(2本1組の電線からなる一対の電線)を使用してもよい。そのため、従来のP型の自動火災報知システムが使用されている集合住宅等に本実施形態の自動火災報知システムA1を導入する際に、一対の電線を新たに敷設することなく、従来の一対の電線を利用可能である。従来のP型の自動火災報知システムの親機50を親機20に交換し、従来のP型の自動火災報知システムの子機を子機10に交換することで自動火災報知システムA1を実現することも可能である。
次に、親機20および子機10の構成について図2を参照して説明する。なお、図2では、1台の子機10が一対の電線51,52を介して1台の親機20に接続されている状態を示し、他の複数の子機10および他の一対の電線51,52の図示を省略している。
親機20と子機10とは各々、一対の電線51,52に電気的に接続されて一対の電線51,52に信号を送信する。一対の電線51,52に送信される信号は例えば、一対の電線51,52間の電圧の変化や電流の変化に基づく信号である。なお、本実施形態では、親機20と子機10とは各々、一対の電線51,52に流れる電流の電流値を変化させて一対の電線51,52に信号を送信するが、一対の電線51,52間の電圧を変化させて一対の電線51,52に信号を送信してもよい。
親機20は、一対の電線51,52間に電圧を印加する印加部21と、一対の電線51,52の信号を送受信する通信部22と、通信部22と電気的に接続されて通信部22を制御する処理部27とを備えている。本実施形態の親機20はさらに、表示部25と、操作部26と、連動部28と、予備電源29とを備えている。
印加部21は、一対の電線51,52間に24Vの直流電圧を印加する。印加部21は、一対の電線51,52に接続されている子機10に動作用の電力を供給する。なお、印加部21が一対の電線51,52に印加する電圧は24Vの直流電圧に限定される趣旨ではない。
一対の電線51,52のうち高電位側の電線(本実施形態では電線51)と印加部21との間には抵抗24が接続されている。抵抗24は、一対の電線51,52に送信された電流信号を電圧信号に変換する機能と、一対の電線51,52間が短絡したときに一対の電線51,52を流れる電流を制限する機能との2つの機能を有している。つまり抵抗24は、電流−電圧変換素子としての機能と、電流制限素子としての機能とを兼ね備えている。ここでは一例として、抵抗24の抵抗値は400Ωあるいは600Ωとするが、この値に限定する趣旨ではない。
本実施形態の通信部22は、一対の電線51,52に信号を送信する送信部222と、一対の電線51,52から信号を受信する受信部221とを有している。
受信部221および送信部222は、抵抗24の低電位側に接続されている電線51と電線52との間に電気的に接続されている。ただし、受信部221は、抵抗24の高電位側(つまり印加部21の高電位側)と電線52との間に電気的に接続されていてもよい。
送信部222は、印加部21から抵抗24に流れる電流を引き込む機能と、その電流の引き込みを停止する機能とを有する。送信部222は、印加部21から抵抗24に流れる電流の電流値を所望のタイミングで増減させて一対の電線51,52間の電圧を変化させることにより信号を送信する。
受信部221は、一対の電線51,52間の電圧の変化に基づいて、一対の電線51,52に送信された信号を受信する。具体的に言うと、子機10が一対の電線51,52を流れる電流を引き込むと抵抗24を流れる電流の電流値が変化し、一対の電線51,52間の電圧が変化する。受信部221は、一対の電線51,52間の電圧の変化パターンを受信し、通信制御部23にその変化パターンを出力する。
通信部22は、送信部222と受信部221とを用いて、子機10との間で一対の電線51,52を介した信号の送受信を行う。送信部222と受信部221との動作は、通信制御部23によって制御される。
通信制御部23は、受信部221が受信した信号に含まれるデータを読み取る機能と、送信部222に一対の電線51,52間の電圧を変化させて所望のデータを含む信号を一対の電線51,52に送信させる機能を有する。
処理部27は、例えばマイクロコンピュータで構成され、マイクロコンピュータが有するメモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。本実施形態の処理部27は、メモリに記憶された通信制御用のプログラムを実行することにより、通信部22を制御する通信制御部23を実現している。なお、処理部27が実行するプログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネットのような電気通信回線を通して提供されてもよい。
連動部28は、他装置30(図1参照)の動作を制御する。連動部28の動作は、処理部27にて制御される。通信制御部23が一対の電線51,52から連動報を受信すると、処理部27は、連動報に応じて他装置30の動作を制御するように構成されている。
予備電源29は、例えば蓄電池等で構成されている。予備電源29は、停電時でも一定の時間、自動火災報知システムA1を動作させる容量の電力を有するように構成されている。親機20は、通常は商用電源や自家発電設備等から供給される電力で動作するが、停電時には予備電源29の電力で動作するように構成されている。
表示部25は、例えばLED(Light Emitting Diode)や液晶ディスプレイや有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等を備えている。表示部25の動作は処理部27によって制御される。処理部27は、一対の電線51,52から受信したデータの内容に応じて表示部25の表示内容を変えさせる。表示部25は例えば、火災の発生、火災の発生階(フロア)、火災や異常を検知した子機10の識別情報、子機10のキープアライブの試験結果等を表示できる。
操作部26は、例えば押しボタンスイッチや、タッチパネル方式のディスプレイを備えている。操作部26で操作された内容に応じて処理部27は、あらかじめ定められた制御動作を行う。操作部26は例えば、火災報知動作の停止、子機10の異常検知動作の停止、子機10のキープアライブ試験等を処理部27に行わせるように構成されている。
親機20は、警報音発生部を有していてもよい。警報音発生部は例えば、スピーカー等の音を発生させる装置を備えている。警報音発生部の動作は、例えば処理部27により制御され、一対の電線51,52から受信したデータの内容に応じて、警報音を鳴らしたり音声案内を再生したりする。
親機20は、子機情報記憶部を有していてもよい。子機情報記憶部は例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等からなる。親機20は例えば、複数台の子機B1〜B16の各々が有する固有の識別情報を、子機B1〜B16の各々の設置場所(例えば部屋番号)と対応付けて子機情報記憶部に記憶する。なお、固有の識別情報については後述する。
親機20は、複数の子機10のうちどの子機10が信号を送信したかを、子機情報記憶部に記憶されている識別情報に基づいて識別し、信号を送信した子機10の設置場所を表示部25に表示させることができる。
本実施形態の親機20では、1つの処理部27が、印加部21、通信部22(送信部222、受信部221)、表示部25、操作部26、連動部28の各々を制御しているが、この構成に限定されない。親機20は例えば、印加部21、通信部22(送信部222、受信部221)、表示部25、操作部26、連動部28の各々を個別に制御する制御部を有していて、その複数の制御部を処理部27が制御するように構成されていてもよい。また、親機20は、一対の電線51,52を短絡するスイッチを備えていてもよい。そのスイッチの開閉を処理部27が制御して従来のP型の自動火災報知システムの火災報を親機20が送信できるように構成されていてもよい。
また、一対の電線51,52に電気的に接続される親機は、上記した親機20の他にも、従来知られているP型の自動火災報知システムで用いられる親機50であってもよい。親機50は、特定の子機10と個別に通信する機能を有しておらず、一対の電線51,52が短絡されることにより子機10から火災の発生を通知される。
次に、子機10の構成について説明する。
子機10は、検知部13と、スイッチ14と、送信部15と、制御部18とを備える。本実施形態の子機10はさらに、受信部16と、記憶部17と、ダイオードブリッジ11と、電源回路12と、報知部とを備える。
記憶部17は、例えばEEPROMで構成されていて、固有の識別情報(例えばアドレス)を記憶する。固有の識別情報とは、複数ある子機10の各々を識別するための情報であり、重複しない情報である。なお、すべての子機10が各々、(重複しない)固有の識別情報を有していればよく、記憶部17はROM等の書き換えできない記録媒体で構成されていてもよい。
ダイオードブリッジ11は、一対の電線51,52が電気的に接続される一対の入力端子と、一対の出力端子とを備える。ダイオードブリッジ11の高電位側の出力端子には、電源回路12、送信部15、受信部16が各々、電気的に接続されている。
電源回路12は、一対の電線51,52から供給される電力でチャージされるコンデンサを有する。電源回路12は、検知部13、スイッチ14、送信部15、受信部16、制御部18、記憶部17の各機能を実現させるために必要な出力を供給する。電源回路12は、一対の電線51,52を流れる電流が増加し一対の電線51,52間の電圧が低下した際に、コンデンサに蓄えた電力を供給する。なお、電源回路12は、一対の電線51,52間の電圧が変動しても子機10が電力不足にならないように構成されていればよく、コンデンサを有していない適宜の構成であってもよい。
検知部13は、例えば煙の濃度の変化、温度の変化、一酸化炭素等のガス濃度の変化を検出するセンサを有し、そのセンサの検出値に基づいて火災や煙の発生を検知する。検知部13は、火災の発生を検知すると制御部18に検知信号を送信する。
なお、本実施形態の検知部13は火災の発生を検知するセンサを有しているが、検知部13は押しボタンスイッチを有していてもよい。例えば子機10を発信機として用いる場合、発信機の押しボタンスイッチが操作されることにより制御部18が火災の発生を通知する信号を送信してもよい。
受信部16は、一対の電線51,52間の電圧の変化に基づいて、一対の電線51,52に送信された信号を受信し、受信した信号に含まれるデータを制御部18に出力する。なお、受信部16は、電圧の変化に応じて信号を出力するような既知の回路構成で実現できるので、受信部16の回路構成の説明を省略する。
送信部15は、一対の電線51,52に流れる電流を引き込んで一対の電線51,52に信号を送信する機能と、その電流の引き込みを停止する機能とを有する。送信部15は、一対の電線51,52に流れる電流の電流値を所望のタイミングで増減させて一対の電線51,52に信号を送信する。
スイッチ14は、一対の電線51,52を短絡する。スイッチ14は、一対の電線51,52を短絡することにより、従来のP型の自動火災報知システムで火災報を意味する信号を一対の電線51,52に送信する。
報知部は、例えばブザーやLED等を有し、周囲に火災の発生を報知するように構成されている。報知部の動作は制御部18によって制御される。制御部18は、検知部13により火災の発生を検知すると、報知部に報知動作を行わせる。
制御部18(送信制御部、スイッチ制御部)は、例えばマイクロコンピュータで構成され、マイクロコンピュータが有するメモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。なお、プログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、インターネットのような電気通信回線を通して提供されてもよい。なお、本実施形態では、送信部15と受信部16とスイッチ14との制御を制御部18が行うが、送信部15を制御す送信制御部と、受信部16を制御する受信制御部と、スイッチ14の開閉を制御するスイッチ制御部が各々、子機10に設けられていてもよい。そして制御部18が、送信制御部と受信制御部とスイッチ制御部とを制御するように構成されていてもよい。
制御部18は、検知部13と、スイッチ14と、送信部15と、受信部16と、記憶部17と、報知部とに各々電気的に接続されている。制御部18は、受信部16が出力したデータを受け取る。
制御部18は、火災の発生を通知する信号(火災報)を送信部15から一対の電線51,52に送信させる第1の機能と、スイッチ14を閉じて一対の電線51,52を短絡させる第2の機能とを有する。制御部18は、検知部13から検知信号が入力されると第1の機能および第2の機能のうち少なくとも一方の機能により、一対の電線51,52に電気的に接続されている親機20(又は親機50)に火災の発生を通知する。
制御部18は、送信部15から一対の電線51,52に火災の発生を通知する信号(火災報)を送信させた時点から所定の応答待ち時間が経過するまでの待ち期間W1に要求信号D2を受信部16で受信するか否かを判断する。制御部18は、待ち期間W1に要求信号D2を受信部16で受信した場合、固有の識別情報を含む信号(要求応答信号D1)を送信部15から一対の電線51,52に送信させる。制御部18は、待ち期間W1に要求信号D2を受信しなかった場合、スイッチ14を閉じて一対の電線51,52を短絡させる。
なお、以下の説明では、親機20と複数の子機10とのいずれも一対の電線51,52に信号を送信しない時間のことをガード区間GIと呼ぶ。本実施形態では、ガード区間GIは、要求信号D2と要求応答信号D1との間(図5参照)と、要求信号D322と要求応答信号D31との間(図8参照)と、要求信号D42と要求応答信号D41との間(図9参照)に設定されている。一対の電線51,52に信号が送信されると一対の電線51,52間の電圧は、減少したり元に戻ったりすることを繰り返す。一対の電線51,52間の電圧が減少している間、子機10は電源回路12のコンデンサが蓄えた電力を用いて動作し続ける。ガード区間GIを設定することにより、減少した電力をそのコンデンサに充電することができる。ガード区間GIの長さは、そのコンデンサを充電する時間程度に定められる。
ここで、送信部15の回路構成について図3を参照して説明する。
送信部15は、第1引込部151と、第2引込部152とを備えている。第1引込部151と第2引込部152とは各々、一対の電線51,52を流れる電流を引き込む。送信部15は、第1引込部151のみで電流の引き込みを行う機能と、第1引込部151および第2引込部152の両方で電流の引き込みを行う機能とを有する。送信部15は、一対の電線51,52を流れる電流の引き込み量を変えることにより、一対の電線51,52を流れる電流を変化させて信号を送信する。
第1引込部151は、半導体素子153と、抵抗154と、LED155とを備えている。
LED155は、発光時に子機10の外部に光を放射するように配置される。
半導体素子153はnpn型のトランジスタからなる。半導体素子153のコレクタ端子は、ダイオードブリッジ11の高電位側の出力端子に電気的に接続されている。半導体素子153のエミッタ端子は、抵抗154の一端が電気的に接続されている。抵抗154の他端にはLED155のアノード端子が接続されている。LED155のカソード端子は、回路グランド(ダイオードブリッジ11の低電位側の出力端子)に電気的に接続されている。半導体素子153のベース端子は、制御部18に電気的に接続されている。第1引込部151は、制御部18からベース端子に入力される制御信号に応じて、一対の電線51,52から抵抗154およびLED155に流す電流の電流値を変化させる。すなわち第1引込部151は、制御部18からの制御信号に応じて、一対の電線51,52を流れる電流の引き込み量を変化させて信号を送信する。第1引込部151が一対の電線51,52から電流を引き込むと(つまり信号を送信すると)、LED155が発光し、子機10の外部に光を放射する。例えば子機10が、第1引込部151を動作させて火災報を一対の電線51,52に送信する場合、子機10を見ることにより、複数ある子機10のうちどの子機10が火災報を送信しているかを目視で判断することができる。
第2引込部152は、半導体素子156と、抵抗157とを備えている。半導体素子156はnpn型のトランジスタからなる。半導体素子156のコレクタ端子は、ダイオードブリッジ11の高電位側の出力端子に電気的に接続されている。半導体素子156のエミッタ端子は、抵抗157の一端が電気的に接続されている。抵抗154の他端は回路グランドに電気的に接続されている。半導体素子156のベース端子は、制御部18に電気的に接続されている。第2引込部152は、制御部18からベース端子に入力される制御信号に応じて、一対の電線51,52から抵抗157に流す電流の電流値を変化させる。すなわち第2引込部152は、制御部18からの制御信号に応じて、一対の電線51,52を流れる電流の引き込み量を変化させて信号を送信する。第1引込部151が一対の電線51,52から電流を引き込んでいる状態で、第2引込部152がさらに一対の電線51,52から電流を引き込むことにより、一対の電線51,52の電流値をさらに変化させることができる。つまり、第1引込部151および第2引込部152の動作を制御部18が制御することにより、第1引込部151が一対の電線51,52から電流を引き込んでいる状態であっても第2引込部152は一対の電線51,52に信号を送信できる。
スイッチ14は、半導体素子141で構成されている。半導体素子141はnpn型のトランジスタからなる。半導体素子141のコレクタ端子は、ダイオードブリッジ11の高電位側の出力端子に電気的に接続されている。半導体素子141のエミッタ端子は、回路グランドに電気的に接続されている。半導体素子141のベース端子は、制御部18に電気的に接続されている。スイッチ14は、制御部18からベース端子に入力される制御信号に応じて、一対の電線51,52を短絡する。スイッチ14は、一対の電線51,52を短絡し、従来のP型の自動火災報知システムで火災報を意味する信号(短絡信号)を一対の電線51,52に送信する。
なお、半導体素子153、半導体素子156、半導体素子141は、npn型のトランジスタに限定されず、一対の電線51,52から電流を引き込む量を制御部18によって制御される適宜の半導体素子でよい。半導体素子153および半導体素子156は、例えばpnp型のトランジスタや、電界効果トランジスタでもよい。また、スイッチ14は、トランジスタで構成されることに限定されず、制御部によって開閉制御される機械式のスイッチ素子であってもよい。
ここで、子機10が親機20に信号を送信する動作について図4を参照して説明し、一対の電線51,52に送信される信号(一対の電線51,52を流れる電流の変化)について図5を参照して説明する。
なお、以下の説明では、親機20の通信制御部23が送信部222から一対の電線51,52に信号を送信させる動作について「通信制御部23が信号を送信する」と表記する。また、受信部221が一対の電線51,52から信号を受信して信号に含まれるデータを通信制御部23に出力する動作について「通信制御部23が信号を受信する」と表記する。そして、子機10の制御部18が送信部15から一対の電線51,52に信号を送信させる動作について「制御部18が信号を送信する」と表記する。制御部18が一対の電線51,52を短絡することを「制御部18が短絡信号を送信する」と表記する。また、受信部16が一対の電線51,52から信号を受信して信号に含まれるデータを制御部18に出力する動作について「制御部18が信号を受信する」と表記する。
また、以下の説明では、「信号を受信する」とは、最初の信号の受信を開始してからその信号に含まれるデータを全て受信し終えることを言うが、この説明に限定される趣旨ではない。例えば、通信制御部23および制御部18が、信号の受信を開始してから、その信号の受信中であっても、その信号に含まれる所望のデータの受信を終えた時点で「信号を受信した」とみなしてもよい。
さらに、以下の説明では、制御部18が火災の発生を通知する信号のことを火災報と呼び、制御部18が火災の発生後に親機に他装置30の連動を指示する信号のことを連動報と呼ぶ。
本実施形態の自動火災報知システムA1では、一対の電線51,52を流れる電流の電流値を増やして火災報レベルの電流にすることで火災報を送信する。自動火災報知システムA1では、一対の電線51,52の電流値を、火災報レベルからさらに増やしたり火災報レベルに戻したりすることを繰り返して所望の信号を送信する。自動火災報知システムA1では、火災報レベルの電流よりもさらに電流値を増やした状態を維持することで連動報を送信する。なお、火災報、所望のデータ、連動報を各々、一対の電線51,52に送信する方法は上記の方法に限定されず、親機20が、火災報、所望のデータ、連動報の各々を区別できる任意の送信方法でよい。さらに、通信制御部23および制御部18が一対の電線51,52に信号を送信する順序は、火災報、所望のデータ、連動報の順に限定される趣旨ではない。
以下の説明では、まず親機20と子機10とが電気的に接続されている自動火災報知システムA1について説明し、次に親機50と子機10とが電気的に接続されている自動火災報知システムA1について説明する。
子機10の検知部13が火災の発生を検知していない状態、つまり火災が発生していない状態では、制御部18は待機状態であり(図4のステップS1)、一対の電線51,52には電流I0が流れている(図5の時間t0)。一対の電線51,52に接続されている子機10の各々は、電流I0および一対の電線51,52間の電圧から動作に必要な電力を得ている。
検知部13が火災の発生を検知すると、制御部18に検知信号を送信する(ステップS2)。制御部18は、検知信号を受信すると第1引込部151に一対の電線51,52から電流を引き込ませて、電流I0よりも電流値の大きい電流I1を一対の電線51,52に流す(時間t1、ステップS3)。本実施形態の制御部18は、第1引込部151を用いて一対の電線51,52から電流を引き込むことにより一対の電線51,52に火災報を送信する。火災報が送信されている状態における一対の電線51,52に流れる電流のことを火災報レベルの電流と呼ぶ。以下では火災報レベルの電流のことを電流I1と呼ぶ。
制御部18は、火災報を送信した後、制御部18がROMから読み込んだ命令を実行してタイマを起動させ、火災報を送信してからの経過時間(時間t1からの経過時間)を計測する(ステップS4)。
親機20の通信制御部23は、一対の電線51,52に流れる電流が電流I0から電流I1に変化したことを受信すると、火災報を受信したと判断する。親機20は、複数の子機10のうちどの子機10が火災報を送信したかを特定するために、火災報を送信した子機10の制御部18に固有の識別情報(アドレス)を要求する要求信号D2を通信制御部23から送信する(時間t2〜時間t3)。
制御部18は、火災報を送信させた時点から所定の応答待ち時間が経過するまでの待ち期間W1に要求信号D2を受信した場合(ステップS5のYes)、制御部18は、親機20の通信制御部23と個別に通信を行うことができると判断する。制御部18は、ガード区間GI(時間t3〜時間t4)経過後に、要求信号D2に対応する要求応答信号D1を送信する(時間t4〜時間t5、ステップS8)。ガード区間GIは、一対の電線51,52間の電圧を変動させない時間を所望の時間だけ確保するために設けられている。ガード区間GIを設けることにより、子機10が電力不足により不安定になることを抑制できる。要求応答信号D1には固有の識別情報が含まれている。なお、応答待ち時間は、本実施形態では1秒に設定されているが、この秒数に限定される趣旨ではない。また、火災報を送信させた時点から所定の応答待ち時間が経過したことを判断するための方法はタイマを用いた上記の方法に限定されず、適宜の方法で経過時間を計測すればよい。
要求応答信号D1を送信した制御部18は、ガード区間GI(時間t5〜時間t6)の経過後、一対の電線51,52に火災報レベルの電流が流れている状態で第2引込部152を用いてさらに一対の電線51,52から電流を引き込ませる。制御部18は、要求応答信号D1を一対の電線51,52に送信した後、第2引込部152での電流の引き込み量を電流I1からさらに電流値の大きい電流I3に増やす。そして制御部18は電流I3を維持することにより、連動報を一対の電線51,52に送信する(時間t6以降、ステップS9)。電流I3の電流値は、電流I2の電流値よりもさらに大きくなるように定められている。連動報が送信されている状態における一対の電線51,52に流れる電流のことを連動報レベルの電流と呼ぶ。以下では連動報レベルの電流のことを電流I3と呼ぶ。
通信制御部23は、制御部18からの火災報、所望のデータを含む信号、連動報を各々受信部221で受信する。要求応答信号D1に子機10の識別情報が含まれているので、親機20はその信号を送信した子機10を識別できる。また通信制御部23は、一対の電線51,52に流れる電流が電流I1から電流I3に変化したことを受信すると、連動報を受信したと判断し、処理部27は連動部28を制御して他装置30を動作させる。
次に、一対の電線51,52が短絡することにより火災の発生を通知される親機50と、複数の子機10とが一対の電線51,52に電気的に接続されている自動火災報知システムA1について、図4および図6を参照して説明する。親機50は例えば従来のP型の自動火災報知システムの親機である。なお、親機50は、親機20と比べて、一対の電線51,52で受信した信号の処理方法が異なるが、構成は親機20と同様であるため、親機50の構成の説明を省略し、動作を説明する。
従来のP型の自動火災報知システムでは、複数の子機10のうちいずれか1台が火災の発生を検知すると一対の電線51,52を短絡する。親機50は、一対の電線51,52が短絡したことを受信すると、火災報を受信したと判断して、火災の発生を報知する動作を行う。
火災が発生していない状態では、子機10の制御部18は待機状態であり(図4のステップS1)、一対の電線51,52には電流I0が流れている(図6の時間t10)。
制御部18は、火災の発生を検知すると、一対の電線51,52に流れる電流を引き込んで、電流I0から電流I1に増加させて火災報を送信する(時間t11、ステップS2、ステップS3)。
制御部18は、火災報を送信した後、タイマを起動させ(ステップS4)、火災報を送信してからの経過時間(時間t11からの経過時間)を計測する(ステップS5のNoおよびステップS6のNo)。制御部18は、火災報を送信させた時点から所定の応答待ち時間が経過するまでの待ち期間W1に親機50からの要求信号D2を受信しなかった場合(ステップS6のYes)、親機50の通信制御部23と個別に通信を行うことができないと判断する。そして制御部18は、一対の電線51,52を短絡する(時間t12、ステップS7)。一対の電線51,52が短絡したときに流れる電流は、電流I3よりも電流値が大きい電流I4となるように定められている。
親機50の通信制御部23は、一対の電線51,52が短絡したことを受信すると、制御部18が短絡信号を送信したと判断し、火災の発生を報知する動作を行う。つまり制御部18は、従来のP型の自動火災報知システムの親機のように、子機10と通信を行うことができない親機50にも短絡信号を送信して火災の発生を通知できる。
以上説明したように、本実施形態の自動火災報知システムA1の子機10は、送信部15と、スイッチ14と、制御部18と、検知部13とを備える。
送信部15は、電圧が印加される一対の電線51,52に電気的に接続され、一対の電線51,52に信号を送信する。スイッチ14は、一対の電線51,52間に電気的に接続される。制御部18は、送信部15およびスイッチ14を制御する。検知部13は、火災の発生を検知して前記制御部に検知信号を出力する。制御部18は、火災の発生を通知する信号(本実施形態では火災報)を送信部15から一対の電線51,52に送信させる第1の機能と、スイッチ14を閉じて一対の電線51,52を短絡させる第2の機能とを有する。制御部18は、検知部13から検知信号が入力されると第1の機能および第2の機能のうち少なくとも一方の機能により、一対の電線51,52に電気的に接続されている親機20(又は親機50)に火災の発生を通知する。
上記構成によれば、子機10は、火災報を送信する第1の機能と、一対の電線51,52を短絡する第2の機能とを有している。子機10は、第1の機能により火災報を送信することにより親機20に火災の発生を通知する。子機10は、第2の機能により一対の電線51,52を短絡して親機50に火災の発生を通知する。言い換えると、通信により火災の発生を通知される親機20および一対の電線の短絡により火災の発生を通知される親機50の何れにも火災の発生を通知する自動火災報知システムA1の子機10を実現することができる。
子機10は、受信部16と、記憶部17とをさらに備える。受信部16は、親機20が一対の電線51,52に送信した要求信号D2を受信して要求信号D2に含まれるデータを制御部18に出力する。記憶部17は、固有の識別情報(本実施形態ではアドレス)を記憶する。制御部18は、送信部15から一対の電線51,52に火災の発生を通知する信号(火災報)を送信させた時点から所定の応答待ち時間が経過するまでの待ち期間W1に要求信号D2を受信部16で受信した場合、次のように動作する。制御部18は、固有の識別情報を含む信号(本実施形態では要求応答信号D1)を送信部15から一対の電線51,52に送信させる。また制御部18は、待ち期間W1に要求信号D2を受信しなかった場合、スイッチ14を閉じて一対の電線51,52を短絡させる。
上記構成によれば、子機10は、待ち期間W1に要求信号D2を受信した場合は、親機20と個別に通信ができると判断し、固有の識別情報を含む信号を送信する。親機20は、受信した固有の識別情報に基づいて、複数の子機10のうちどの子機10が火災報を送信したかを区別することができる。つまり子機10は、親機20に火災の発生を通知することに加えて、火災報の送信元を識別する情報を通知することができる。
また子機10は、待ち期間W1に要求信号D2を受信しなかった場合は、通信では火災の発生を通知されない親機50が一対の電線51,52に接続されていると判断し、一対の電線51,52を短絡して火災の発生を親機50に通知する。つまり子機10は、通信により火災の発生を通知される親機20および一対の電線の短絡により火災の発生を通知される親機50の何れにも火災の発生を通知することができる。
制御部18は、一対の電線51,52に流れる電流を引き込んで一対の電線51,52に信号を送信する。
一対の電線51,52から一定の電流を引き込むことで一定のハイレベルの信号を送信し、一定の電流の引込を停止することで一定のローレベルの信号を送信できるので、信号の送信の制御が容易である。
本実施形態の自動火災報知システムA1は、上記した子機10と、一対の電線51,52間に電圧を印加する親機20(又は親機50)とを備える。
上記構成によれば、通信により火災の発生を通知される親機20および一対の電線の短絡により火災の発生を通知される親機50の何れにも火災の発生を通知する子機10を用いた自動火災報知システムA1を提供することができる。
(実施形態2)
実施形態1における自動火災報知システムA1の子機10の機能に加えて、さらに通信制御部23からの要求信号D321に含まれるデータに異常がある否かを判断する機能を有する子機10について、図7および図8を参照して説明する。なお、本実施形態の子機10において、実施形態1と同様の構成および機能については説明を省略する。
本実施形態の制御部18は、火災報を送信させた時点から所定の応答待ち時間が経過するまでの待ち期間W1に要求信号D321を受信した場合において、要求信号D321に含まれるデータに異常があると判断すると待ち期間W1を延長する。
子機10の検知部13が火災の発生を検知していない状態では、子機10の制御部18は待機状態であり(図7のステップS11)、一対の電線51,52には電流I0が流れている(図8の時間t30)。
検知部13が火災の発生を検知すると、制御部18に検知信号を送信する(ステップS12)。制御部18は、電流I0よりも電流値の大きい電流I1を一対の電線51,52に流し、火災報を送信する(時間t31、ステップS13)。
制御部18は、火災報を送信した後、制御部18がROMから読み込んだ命令を実行してタイマを起動させ、火災報を送信してからの経過時間(時間t31からの経過時間)を計測する(ステップS14)。火災報を送信させた時点から所定の応答待ち時間が経過するまでの待ち期間W1に通信制御部23からの要求信号D321を受信した場合(時間t32〜時間t33、ステップS15のYes)、制御部18は、要求信号D321に含まれるデータを検査する。制御部18は、要求信号D321に含まれるデータに異常があるか否かを判断する。制御部18は、例えばデータの巡回冗長検査(Cyclic Redundancy Check)等を行って、データが壊れているか否かを判断する。制御部18は、要求信号D321に含まれるデータが壊れている(データに異常がある)と判断すると(ステップS18のYes)、タイマの計測時間をリセットして再び時間の計測を開始させる(ステップS21)。制御部18は、要求信号D321を受信した時点から所定の再送待ち時間が経過するまでの待ち期間W2に、通信制御部23が送信する要求信号D322を受信できるか否かを判断する。制御部18は、要求信号D322を受信していない場合(ステップS22のNo)、待ち期間W2が経過したか否かを判断する。制御部18は、所定の再送待ち時間が経過しておらず待ち期間W2の期間中である場合(ステップS23のNo)、待ち期間W2が経過するまで要求信号D322を受信できるように待機する(ステップS22)。待ち期間W2は、本実施形態では1秒に設定されているが、この秒数に限定される趣旨ではない。なお、待ち期間W2が経過したことを判断するための方法は上記に限定されず、適宜の方法で経過時間を計測すればよい。
制御部18は、待ち期間W2に要求信号D322を受信しなかった場合(ステップS23のYes)、制御部18は一対の電線51,52を短絡して火災の発生を通知する(ステップS24)。
制御部18は、待ち期間W2に要求信号D322を受信すると(時間t34〜時間t35、ステップS22のYes)、ガード区間GIだけ待機する(時間t35〜時間t36)。制御部18は、ガード区間GIの経過後、要求信号D322に対応する要求応答信号D31を送信する(時間t36〜時間t37、ステップS25)。要求応答信号D31には子機10の識別信号(アドレス)が含まれている。
要求応答信号D31を送信した制御部18は、ガード区間GI(時間t37〜時間t38)の経過後、一対の電線51,52に流れる電流を電流I1から電流I3に増加させる。制御部18は、電流I3を維持することにより、連動報を一対の電線51,52に送信する(時間t38以降、ステップS26)。
本実施形態の制御部18は、受信した要求信号D321のデータに異常があるか否かを判断する。子機10は、受信したデータに異常がある場合には、待ち期間W1を延長する。子機10は、待ち期間W1の延長分に相当する待ち期間W2に通信制御部23から再送された要求信号D322を受信する点が、実施形態1の子機10と異なる。そのため、ノイズ等により要求信号D321のデータが壊れていた場合であっても、再送される要求信号D322のデータが正常であれば子機10と親機20とは個別に通信を行うことができる。そのため、子機10と親機20との通信の信頼性が高まる。
なお、制御部18が、待ち期間W1が経過するまでに要求信号D321を受信していない場合(ステップS16のYes)、制御部18は一対の電線51,52を短絡して火災の発生を通知する(ステップS17)。
また、制御部18は、受信した要求信号D321のデータが壊れていないと判断した場合(ステップS18のNo)、再送待ち時間を計測することなく要求応答信号D31を送信する(ステップS19)。制御部18は要求応答信号D31を送信した後に、さらにガード区間GIの経過後に連動報を送信する(ステップS20)。
以上説明したように、本実施形態の子機10の制御部18は、待ち期間W1に要求信号D321を受信した場合において、要求信号D321に含まれるデータに異常があると判断すると待ち期間W1を延長する。本実施形態では、所定の応答待ち時間に、さらに再送待ち時間を加えた時間の長さを「延長された待ち期間W1の長さ」としている。言い換えると、「待ち期間W1を延長する」とは、待ち期間W1を、待ち期間W1に待ち期間W2を加えた期間に延長することを言う。なお、再送待ち時間は、所定の応答待ち時間と同じ長さに設定されていてもよい。この場合、延長された待ち期間W1の長さは、所定の応答待ち時間を繰り返した時間の長さとなる。
上記構成によれば、制御部18は、ノイズ等により通信制御部23からの要求信号のデータに異常がある場合に待ち期間W1を延長するので、再送される要求信号D322のデータを受信することができる。再送された要求信号D322に異常がなければ、制御部18は通信制御部23と個別に通信を行うことができる。そのため子機10は、親機20との個別の通信の信頼性を高めることができる。
なお、本実施形態の制御部18は、通信制御部23からの要求信号を2回受信するように構成されているが、2回に限定される趣旨ではない。例えば、受信した要求信号のデータに異常があるか否かの判断を、2回以上行うように構成されていてもよい。例えば、図7のステップS18〜ステップS24を3回以上繰り返すように制御部18が構成されていてもよい。
また、本実施形態の特徴部分を、実施形態1で説明した子機10に適用することも可能である。例えば、実施形態1の制御部18において、要求信号D42のデータに異常があるか否かを判断し、データに異常がある場合に待ち期間W1を延長するように構成されていてもよい。
実施形態1および実施形態2において、制御部18は、連動報を所望の時間だけ送信した後に、短絡信号を送信するように構成されていてもよい。
実施形態1および実施形態2の制御部18は連動報を送信しているが、この構成に限定されず、連動報を送信しない構成でもよい。つまり、制御部18は一対の電線51,52に流れる電流を電流I3にしない構成でもよい。連動報の送信機能が省略された制御部18は、例えば、連動報の送信のステップを省略し次のステップの動作を行うように構成されていてもよい。他にも例えば制御部18は、連動報を送信できる場合の連動報の送信ステップにおいて、連動報を送信する代わりに火災報を送信してもよいし、連動報を送信できる場合における連動報送信の直前の電流レベルを維持してもよい。
(実施形態3)
実施形態1および実施形態2における自動火災報知システムA1の子機10の機能に加えて、親機との通信を終了するデータを含む信号を送信してから、一対の電線51,52を短絡する機能を有する子機10について、図9を参照して説明する。なお、本実施形態の子機10において、実施形態1および実施形態2と同様の構成および機能については説明を省略する。
本実施形態の制御部18は、火災の発生を通知する信号(火災報)を送信部15から一対の電線51,52に送信させた後に、スイッチ14を閉じて一対の電線51,52を短絡させる。
子機10の検知部13が火災の発生を検知していない状態では、制御部18は待機状態であり、一対の電線51,52には電流I0が流れている(図9の時間t40)。
検知部13が火災の発生を検知すると、制御部18に検知信号を送信する。制御部18は、検知信号を受信すると、電流I0よりも電流値の大きい電流I1を一対の電線51,52に流し、火災報を送信する(時間t41)。
制御部18は、火災報を送信した後、制御部18がROMから読み込んだ命令を実行してタイマを起動させ、火災報を送信してからの経過時間(時間t41からの経過時間)を計測する。
通信制御部23は、一対の電線51,52に流れる電流が電流I0から電流I1に変化したことを受信すると、火災報を受信したと判断する。親機20は、複数の子機10のうちどの子機10が火災報を送信したかを特定するために、火災報を送信した子機10の通信制御部23に固有の識別情報(アドレス)を要求する要求信号D42を通信制御部23から送信する(時間t42〜時間t43)。
制御部18は、タイマでの計測時間が応答待ち時間を超える前に通信制御部23からの要求信号D42を受信した場合、親機20と個別に通信を行うことができると判断する。制御部18は、ガード区間GI(時間t43〜時間t44)の経過後、要求信号D42に対応する要求応答信号D41を送信する(時間t44〜時間t45)。要求応答信号D41には、親機20との通信を終了するデータ(例えばエンドビットを表すデータ)が含まれている。
親機20は、要求応答信号D41に含まれているエンドビットを受信すると、子機10との個別の通信を終了したと判断する。
要求応答信号D41を送信した制御部18は、ガード区間GI(時間t45〜時間t46)の経過後、一対の電線51,52を短絡する。一対の電線51,52を短絡したときに流れる電流I4の電流値は、電流I3の電流値よりも大きくなる。
ここで、一対の電線51,52に接続されている親機が、従来のP型の自動火災報知システムで用いられる親機50である場合、親機50は、一対の電線51,52が短絡したことを受信して火災の発生を通知される。
なお、本実施形態の制御部18は、要求信号D42を受信し、要求応答信号D41を送信しているが、要求信号D42を待ち期間W1に受信できない場合であっても一対の電線51,52を短絡する。要求信号D42が受信できない場合とは、要求信号D42のデータに異常があって正しいデータが待ち期間W1に受信できない場合を含む。制御部18は、例えばエンドビットを送信してから一対の電線51,52を短絡するので、親機20は、子機10との個別の通信が終了したことを確認できる。また、子機10は、火災報を送信した後に短絡信号を送信するので、親機20および親機50の何れにも火災の発生を通知することができる。
以上説明したように、本実施形態の子機10の制御部18は、火災の発生を通知する信号(火災報)を送信部15から一対の電線51,52に送信させた後に、スイッチ14を閉じて一対の電線51,52を短絡させる。
上記構成によれば、制御部18は、子機10は、火災報を送信した後に一対の電線51,52を短絡するので、親機20および親機50の何れにも火災の発生を通知することができる。
なお、本実施形態の特徴部分を、実施形態1および実施形態2で説明した子機10に適用することも可能である。すなわち、実施形態1および実施形態2の子機において、親機20との通信を終了するデータを含む信号を送信してから一対の電線51,52を短絡するように構成されていてもよい。
また、本実施形態の子機10は、親機20との通信を終了するデータ(例えばエンドビット)を含む要求応答信号D41を送信した後に一対の電線51,52を短絡するが、親機20との通信を終了するデータの送信を省略してもよい。さらに子機10は、要求応答信号D41の送信を省略されてもよい。
ここで、実施形態1〜実施形態3の子機10において、連動報および短絡信号の送信を停止するタイミングは、例えば連動報および短絡信号の送信開始からの経過時間が所望の時間に達した時でもよいし、親機が子機10の動作をリセットした時でもよい。
実施形態1〜実施形態3の制御部18は、ガード区間GIを設定することにより、電源回路12のコンデンサを充電する時間を確保している。しかしながら、制御部18が信号を送受信する間、子機10の動作に必要な電力が確保されていれば、ガード区間GIを省略してもよい。
(実施形態4)
本実施形態の自動火災報知システムA1の子機10について、図10を参照して説明する。なお、本実施形態の子機10において、実施形態1と同様の構成および機能については説明を省略する。
本実施形態の制御部18は、火災報を送信する第1の機能により親機20に火災の発生を通知することと、一対の電線51,52を短絡する第2の機能により親機50に火災の発生を通知することとを交互に繰り返す。
子機10の検知部13が火災の発生を検知していない状態では、制御部18は待機状態であり、一対の電線51,52には電流I0が流れている(図10の時間t20)。
検知部13が火災の発生を検知すると、制御部18に検知信号を送信する。制御部18は、検知信号を受信すると、電流I0よりも電流値の大きい電流I1を一対の電線51,52に流し、火災報を送信する(時間t21)。
制御部18は、火災報を送信した後、制御部18がROMから読み込んだ命令を実行してタイマを起動させ、火災報を送信してからの経過時間(時間t21からの経過時間)を計測する。制御部18は、火災報を送信してからの経過時間が所定時間(例えば1秒)に達すると、一対の電線51,52を短絡する(時間t22)。一対の電線51,52を短絡したときに流れる電流I4の電流値は、電流I3の電流値よりも大きくなる。
制御部18は、短絡信号を送信した後、タイマの計測時間をリセットして再び時間の計測を開始させる。制御部18は、短絡信号を送信してからの経過時間が所定時間に達すると、スイッチ14を開いて一対の電線51,52の短絡を開放し、火災報を送信する(時間t23)。制御部18は、火災報を送信してからの経過時間が所定時間に達すると、短絡信号を送信する(時間t24)。制御部18は、以降、時間t22〜時間t24の動作を繰り返して、火災報の送信と短絡信号の送信とを繰り返す。
親機20または親機50が制御部18の発報動作を停止させる信号を一対の電線51,52に送信するまで、制御部18は火災報と短絡信号とを繰り返し送信し続ける。
子機10は、火災報の送信と短絡信号の送信とを繰り返すので、一対の電線51,52に電気的に接続されている親機が、親機20および親機50の何れであっても、子機10は親機20および親機50に火災の発生を通知できる。しかも、制御部18は、火災報と短絡信号とを繰り返し送信することにより、親機20および親機50は、複数回火災報および短絡信号を受信できるので、親機への火災発生の通知の信頼性が高まる。
なお、本実施形態では、親機が制御部18の発報動作を停止させる信号を一対の電線51,52に送信するまで、制御部18は火災報と短絡信号とを繰り返し送信し続けるが、この動作に限定されない。制御部18は、例えば所定の回数だけ火災報と短絡信号とを繰り返し送信した後に発報を停止するように構成されていてもよいし、親機によって動作をリセットされることにより発報を停止してもよい。また、制御部18は、例えば所望の時間が経過するまで火災報と短絡信号とを繰り返し送信した後に発報を停止するように構成されていてもよい。
また、なお、待所定時間が経過したことを判断するための方法は上記に限定されず、適宜の方法で経過時間を計測すればよい。
以上説明したように、本実施形態の子機10の制御部18は、火災の発生を通知する信号(火災報)を送信部15から一対の電線51,52に送信させる第1の機能と、スイッチ14を閉じて一対の電線51,52を短絡させる第2の機能とを有する。制御部18は、第1の機能により親機20に火災の発生を通知することと、第2の機能により親機50に火災の発生を通知することとを交互に繰り返す。
上記構成によれば、一対の電線51,52に接続されている親機が、火災の発生を通知する信号を受信できる親機20であっても、従来のP型の自動火災報知システムに用いられる親機50であっても、子機10は親機に火災の発生を通知することができる。しかも制御部18が火災報と短絡信号とを繰り返し送信することにより、親機20および親機50は、複数回火災報および短絡信号を受信できるので、親機への火災発生の通知の信頼性が高まる。