(実施形態1)
以下、本実施形態の自動火災報知システム1について説明する。
本実施形態に係る自動火災報知システム1は、図1に示すように、少なくとも1台の子機10と、1台の親機20とを備えている。
親機20は、一対の電線51,52間に電圧を印加する印加部21を有している。
子機10は、一対の電線51,52に電気的に接続されており、通信部14と記憶部17と制御部19とを備えている。
記憶部17は、自機に固有の識別情報を記憶するように構成されている。通信部14は、一対の電線51,52に印加される電圧の変化により他の子機10との同期をとるために親機20から送信された同期信号を受信するよう構成されている。制御部19は、通信部14で同期信号が受信されると、当該同期信号に受信によって定まる検出区間で復旧検出の動作を行うように構成されている。
すなわち、本実施形態の自動火災報知システム1の子機10のそれぞれは、同期信号を受信することで定まる復旧検出区間で復旧検出の動作を行っている。そのため、本実施形態の自動火災報知システム1においては、復旧検出を行うタイミングを明確にすることができる、という利点がある。
以下、本実施形態に係る自動火災報知システム1について詳しく説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態では、自動火災報知システム1が集合住宅(マンション)に用いられる場合を例示するが、自動火災報知システム1は、集合住宅に限らず、例えば商業施設、病院、ホテル、雑居ビル等、様々な建物に適用可能である。
本実施形態の自動火災報知システム1においては、図2に示すように1棟の集合住宅60に対して、1台の親機20と、複数台の子機B1,B2,B3,・・・とが設けられている。なお、複数台の子機B1,B2,B3,・・・の各々を特に区別しないときには単に「子機10」という。
さらに、この自動火災報知システム1では、一対の電線51,52が1〜4階の階(フロア)ごとに配線されている。要するに、2本1組(2線式)の電線51,52は、集合住宅60全体で4組設けられている。ここでは、各組の電線51,52に対して最大40〜80台の子機10が接続可能である。さらに、1台の親機20には、一対の電線51,52は最大で50〜200回線(50〜200組)接続可能である。したがって、例えば各組の電線51,52に最大40台の子機10が接続可能で、1台の親機20に最大で50回線の一対の電線51,52が接続可能である場合、子機10は、1台の親機20に対して最大で2000(=40×50)台まで接続可能である。なお、これらの数値は一例であって、これらの数値に限定する趣旨ではない。
また、一対の電線51,52の終端(親機20と反対側の端部)においては、一対の電線51,52間が終端抵抗40を介して電気的に接続されている。そのため、親機20は、一対の電線51,52間に流れる電流を監視することで、一対の電線51,52の断線を検知することが可能である。ただし、終端抵抗40は必須の構成ではなく、省略されていてもよい。
自動火災報知システム1は、基本的には、熱感知器や煙感知器や炎感知器等からなる子機10にて火災の発生を検知し、子機10から受信機である親機20へ火災発生の通知(火災報)が為されるように構成されている。ただし、子機10は、火災の発生を検知する感知器に限らず、発信機などを含んでいてもよい。発信機は、押しボタンスイッチを有し、人が火災を発見した場合に押しボタンスイッチを手動で操作することにより、親機20へ火災発生の通知(火災報)を行う装置である。
また、自動火災報知システム1は、防排煙設備や非常用放送設備等の他装置30を連動させるための通知(連動報)を子機10から親機20が受けた際、他装置30を連動させる連動機能を有している。そのため、自動火災報知システム1は、火災の発生時に、防排煙設備の防火扉を制御したり、非常用放送設備にて音響または音声により火災の発生を報知したりすることが可能である。
他装置30は、例えば有線接続により親機20との間で通信可能に構成されており、親機20からの指示を受けて自動火災報知システム1と連動するように構成されている。ここでいう他装置30は、防火扉や排煙設備などの防排煙設備、非常用放送設備、外部移報装置、およびスプリンクラーなどの消火設備等、様々な装置を含んでおり、特定の装置(設備)には限定されない。なお、外部移報装置は、自動火災報知システム1が設置された施設の外部の関係者、消防機関、警備会社等へ通報する装置である。
ところで、一般的な自動火災報知システムには、P型(Proprietary-type)のシステムが存在する。P型の自動火災報知システムは、子機が一対の電線間を電気的に短絡することで親機に火災発生を通知する。
本実施形態の自動火災報知システム1はP型を基本とする。より具体的には、本実施形態では、P型の自動火災報知システムが設置されていた集合住宅において、既存の配線(電線51,52)をそのまま使用し、受信機(親機20)および子機(子機10)を入れ替えた場合を想定する。なお、本実施形態の自動火災報知システム1は、新規に導入される自動火災報知システムとしても採用可能である。
次に、親機20の構成について説明する。本実施形態では、親機20は、子機10から火災発生の通知(火災報)、並びに他装置30を連動させるための通知(連動報)を受けるP型受信機である。親機20は、例えば建物(集合住宅60)の管理室に設置される。
親機20は、図1に示すように、印加部21の他、抵抗22と、受信部23と、送信部24と、各種の表示を行う表示部25と、ユーザからの操作入力を受け付ける操作部26と、各部を制御する処理部27とを有している。
抵抗22は、印加部21と一対の電線51,52の少なくとも一方との間に接続されている。図1の例では、抵抗22は、一対の電線51,52のうち一方(高電位側)の電線51と印加部21との間に挿入されている。ただし、この例に限らず、抵抗22は、他方(低電位側)の電線52と印加部21との間に挿入されていてもよいし、一対の電線51,52の両方と印加部21との間にそれぞれ挿入されていてもよい。
受信部23は、子機10からの電流信号を抵抗22での電圧降下により一対の電線51,52上の電圧変化に変換してなる電圧信号を受信する。
送信部24は、子機10に、定期的に同期信号を送信する。
この親機20は、子機10から火災発生の通知(火災報)を受けると、表示部25にて火災の発生場所等の表示を行う。
処理部27は、マイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。なお、プログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよい。具体的には、処理部27は、伝送信号および同期信号を送信するように送信部24を制御する。処理部27は、操作部26が復旧の処理を行う指示を受け付けた後に同期信号を送信するように送信部24を制御した場合、同期信号が送信されてから所定時間経過後に開始される復旧検出区間で伝送信号として復旧信号を送信するように送信部24を制御する。例えば、復旧検出区間の時間長は、500msである。
また、親機20は、他装置30を連動させるための連動部28を有している。これにより、親機20は、子機10から連動報を受けると、連動部28から他装置30へ指示を出し、他装置30を連動させることができる。
親機20は、上述したように印加部21から一対の電線51,52間に電圧を印加することにより、一対の電線51,52に接続されている子機10を含め、自動火災報知システム1全体の動作用の電源として機能する。ここでは一例として、印加部21が一対の電線51,52間に印加する電圧は直流24Vとするが、この値に限定する趣旨ではない。
さらに、親機20は、停電に際しても自動火災報知システム1の動作用の電源を確保できるように、蓄電池を用いた予備電源29を備えている。親機20は、商用電源、自家発電設備等を主電源とする。印加部21は、電力の供給元を、主電源の停電時に主電源から予備電源29に自動的に切り替え、主電源の復旧時には予備電源29から主電源に自動的に切り替える。予備電源29は、省令で定められる基準を満たすように容量等の仕様が決められている。
また、抵抗22は、上述したように子機10から送信される電流信号を電圧信号に変換する第1の機能と、一対の電線51,52間が短絡したときに一対の電線51,52に流れる電流を制限する第2の機能との2つの機能を有している。要するに、抵抗22は、電流−電圧変換素子として第1の機能と、電流制限素子としての第2の機能とを兼ね備えている。ここでは一例として、抵抗22の抵抗値は400Ωあるいは600Ωとするが、この値に限定する趣旨ではない。
受信部23および送信部24は、抵抗22と一対の電線51,52との間に電気的に接続されている。ただし、受信部23に関しては、抵抗22と一対の電線51,52との間に接続される構成に限らず、例えば印加部21と抵抗22との間に電気的に接続されていてもよい。
ここで、受信部23は、子機10からの電流信号を、一対の電線51,52上の電圧信号(電圧変化)として受信する。つまり、子機10が一対の電線51,52から引き込む電流(引込電流)の電流値は、抵抗22での電圧降下の大きさに相当するので、受信部23は、子機10からの火災報や連動報を電圧信号として受信することができる。言い換えれば、受信部23は、子機10での引込電流の電流値に応じた電圧信号を、火災報や連動報として受信することになる。
送信部24は、一対の電線51,52から流れ込む電流を変化させることで一対の電線51,52上に生じる電流信号を、子機10に送信する。具体的には、送信部24は、一対の電線51,52から流れ込む電流の電流値を調節することで、当該電流値に応じた電流信号を同期信号または復旧信号として子機10に送信する。送信部24が一対の電線51,52上に送出する(生じさせる)電流信号は、抵抗22での電圧降下によって電圧信号に変換され、子機10は親機20からの同期信号または復旧信号として電圧信号を受信する。言い換えれば、送信部24が一対の電線51,52から流れ込む電流を変化させたときに一対の電線51,52上に生じる電圧変化(電圧信号)は、電圧信号として子機10にて受信されることになる。伝送信号としての復旧信号は、0Vに近い電圧信号(第1電圧値の信号)であり、例えば、第1電圧値は1Vの信号である。また、同期信号は、第1電圧値より大きい第2電圧値の信号である。
次に、子機10の構成について説明する。子機10は、ダイオードブリッジ(DB)11と、電源回路12と、センサ13と、通信部14と、記憶部17と、判断部18と、制御部19とを備えている。
ダイオードブリッジ11は、入力端側に一対の電線51,52が電気的に接続され、出力端側に電源回路12、通信部14が電気的に接続されている。電源回路12は、一対の電線51,52上の電力から、子機10の動作用の電力を生成する。センサ13は、火災の発生を検知する。
通信部14は、送信回路15と受信回路16とを備えている。
送信回路15は、一対の電線51,52から引き込む電流(引込電流)の電流値を、電流信号として親機20に送信するように構成されている。送信回路15が一対の電線51,52上に送出する(生じさせる)電流信号は、抵抗22での電圧降下によって電圧信号に変換され、親機20は子機10からの信号として電圧信号を受信する。言い換えれば、送信回路15が一対の電線51,52から引き込む引込電流の電流値を調節することで、当該電流値に応じた電圧信号が親機20にて受信されることになる。
受信回路16は、親機20からの同期信号および伝送信号(復旧信号)を、一対の電線51,52上の電圧信号(電圧変化)として受信する。つまり、親機20が一対の電線51,52上に送出する(生じさせる)電流信号は、抵抗22での電圧降下によって電圧信号に変換されるので、受信回路16は、親機20からの電圧信号を受信する。言い換えれば、受信回路16は、親機20が一対の電線51,52から流れ込む電流を変化させたときに一対の電線51,52上に生じる電圧変化(電圧信号)を、電圧信号として受信することになる。
記憶部17は、子機10に予め割り当てられている識別情報(アドレス)を少なくとも記憶する。つまり、複数台の子機B1,B2,B3,・・・には、それぞれに固有の識別情報が割り当てられている。各識別情報は、複数台の子機B1,B2,B3,・・・の各々の設置場所(例えば部屋番号)と対応付けられて親機20に登録される。
また、記憶部17には、判断部18が動作状態(火災報状態、連動報状態)を判断するための判断条件が記憶されている。判断条件は、例えばセンサ13の出力について設定された閾値などである。なお、子機10に予め割り当てられる識別情報と判断条件とは、同じ記憶部17に記憶されていてもよいし、記憶部17を複数設けて、それぞれ別々の記憶部17に記憶されていてもよい。
判断部18は、火災報状態および連動報状態の2状態を含む動作状態を判断する。具体的には、判断部18は、センサ13の出力(センサ値)を読込み、記憶部17内の判断条件に照らすことによって、動作状態を判断する。本実施形態では、判断条件の一例として、読み込んだセンサ値が第1の閾値を超える場合に、判断部18は、火災報状態と判断する。読み込んだセンサ値が第2の閾値(>第1の閾値)を超える場合に、判断部18は、連動報状態と判断する。ただし、判断部18は、火災報状態との判断を経てから連動報状態と判断するように、例えば火災報状態との判断が確定した時点からセンサ値と第2の閾値との比較を開始する。なお、これらの判断条件は一例に過ぎず、適宜変更可能である。
本実施形態では、判断部18は、火災報状態と連動報状態とのいずれでもない非発報状態(平常状態)を含む3状態(火災報状態、連動報状態、非発報状態)のうち、現在の動作状態がいずれに当たるのかを判断する。なお、判断部18で判断される動作状態は、3状態に限らず、火災報状態および連動報状態の2状態のみであってもよいし、また、4状態以上であってもよい。
制御部19は、送信回路15および受信回路16を制御して、センサ13の出力に応じて引込電流の電流値を調節することで送信回路15から電流信号を送信したり、親機20からの同期信号および復旧信号を受信回路16で受信したりする。ここでは、制御部19はマイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。なお、プログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよい。
制御部19は、図1に示すように、処理部19aと判定部19bとを含んでいる。処理部19aは、受信回路16が同期信号を受信すると、自機の識別情報に応じて割り当てられた動作時間帯で、電源回路12で生成された動作用の電力により、復旧検出の動作を開始する。具体的には、処理部19aは、自機の識別情報に応じて割り当てられた動作時間帯で、受信回路16を親機20からの伝送信号の受信待ちの状態にする。つまり、処理部19aは、受信回路16が親機20からの伝送信号を受信するように受信回路16を制御する。
判定部19bは、処理部19aの検出動作の結果に基づいて再起動することによる復旧を行うか否かの判定を行う。具体的には、判定部19bは、動作時間帯で受信回路16が受信する電圧信号(伝送信号)が復旧信号であるか否かを判断する。受信回路16が復旧信号を受信したと判断する場合、判定部19bは、復旧を行うと判定する。受信回路16が復旧信号を受信していないと判断する場合、判定部19bは、復旧は行わないと判定する。制御部19は、判定部19bが復旧を行うと判定する場合には、復旧処理として自機の再起動を行う。
なお、本実施形態では、判断部18と制御部19とは別体として構成されている。ただし、この例に限らず、判断部18と制御部19とは一体として構成されていてもよい。
以下、本実施形態に係る自動火災報知システム1の動作について、図3を参照して説明する。図3は、子機10の動作を示す流れ図である。
子機10の制御部19は、受信回路16が親機20から送信された同期信号を受信したか否かを判定する(ステップS5)。具体的には、制御部19は、受信回路16が受信した電圧信号の電圧値が第2電圧値である場合には受信回路16が同期信号を受信したと判定する。
同期信号を受信していないと判定する場合(ステップS5における「No」)、制御部19は、同期信号の受信待ちとなる。同期信号を受信したと判定する場合(ステップS5における「Yes」)、処理部19aは、自機の識別情報に応じた動作時間帯が到来したか否かを判定する(ステップS10)。
動作時間帯が到来したと判定する場合(ステップS10における「Yes」)、処理部19aは、電源回路12で生成された動作用の電力により、復旧検出の動作を開始、つまり通信部14を復旧信号の受信待ちの状態にする(ステップS15)。動作時間帯が到来していないと判定する場合(ステップS10における「No」)、処理部19aは、動作時間帯が到来するのを待つ。
判定部19bは、復旧を行うか否かを判定する(ステップS20)。具体的には、判定部19bは、受信回路16が復旧信号を受信した場合、復旧を行うと判定する。つまり、判定部19bは、受信回路16が受信した電圧信号の電圧値が第1電圧値である場合には受信回路16が復旧信号を受信したと判定する。
判定部19bが復旧を行うと判定した場合(ステップS20における「Yes」)、制御部19は、復旧処理として自機を再起動とする(ステップS25)。判定部19bが復旧を行わないと判定した場合(ステップS20における「No」)、処理部19aは動作時間帯が終了したか否かを判定する(ステップS30)。処理部19aが動作時間帯は終了していないと判定する場合には(ステップS30における「No」)、判定部19bは、ステップS20で復旧検出の動作の結果に基づいて復旧の要否を判定する。処理部19aが動作時間帯は終了したと判定する場合には(ステップS30における「Yes」)、制御部19は、ステップS5で同期信号の受信の有無を判定する。
次に、本実施形態における動作時間帯の割り当てについて、図4Aおよび図4Bを用いて説明する。
本実施形態では、同期信号が送信されてからすべての子機10が復旧検出の動作を行うまでの全区間(検出動作区間)Taは、図4Aに示すように、同期信号の送信区間Ta1と、復旧検出区間Ta2とから構成されている。復旧検出区間Ta2は、同一時間長を有する動作時間帯T1,T2,・・・,T64から構成されている。つまり、復旧検出区間Ta2の時間長は、動作時間帯T1,T2,・・・,T64の合計時間長である。ここでは、子機10は、子機B1,B2、・・・,B64の合計64台であるとし、各子機10には、自機の識別情報に応じて、動作時間帯T1,T2,・・・,T64のうち一の動作時間帯が1対1に割り当てられる。
図4Bは、復旧検出の動作の推移を説明する図である。上述したように、64台の子機10に対して、一の動作時間帯が1対1に割り当てられている。64台の子機10すべてが送信区間Ta1で親機20からの同期信号を受信すると、動作時間帯T1で子機B1が復旧検出の動作を行い、動作時間帯T2で子機B2が復旧検出の動作を行う。その後、各動作時間帯で、当該動作時間帯が割り当てられた子機10が復旧検出の動作を順次行い、最後の動作時間帯T64で子機B64が復旧検出の動作を行う。各子機10は、自機の識別情報に応じた動作時間帯で復旧検出の動作を行い、他の動作時間帯は待機状態となる。例えば、子機B1は、自機が復旧検出の動作を行う動作時間帯T1以外の動作時間帯T2からT64では待機状態となる。子機B2では、自機が復旧検出の動作を行う動作時間帯T2以外の動作時間帯T1,T3からT64で待機状態となる。
次に、一対の電線51,52上に生じる電圧値の変化について、図5を用いて説明する。図5は、横軸を時間、縦軸を電圧値として、一対の電線51,52上に生じる電圧値の変化を表している。図5に示す時刻t3〜t6までの区間が、図4で説明した検出動作区間Taに相当する。
図5において、電圧値が第3電圧値Vcである状態は非発報状態である。時刻t1で一の子機10から発報があると、電圧値は第3電圧値Vcから第4電圧値Vdへと変化し、状態は非発報状態から発報状態へと遷移する。図5では、発報状態において、親機20の操作部26が復旧の処理を行う指示を受け付けている(時刻t2)。その後、送信部24は、送信区間Ta1のうち時刻t3〜t4で電圧値が第2電圧値Vbである同期信号を送信し、時刻t5〜t6からなる復旧検出区間Ta2で電圧値が第1電圧値Vaである復旧信号を送信する。子機10の判定部19bは、復旧検出区間のうち自機に割り当てられた動作時間帯で通信部14が受信した伝送信号が復旧信号であるか否かを判定する。具体的には、判定部19bは、通信部14が受信した伝送信号の電圧値が第1電圧値Vaである場合に、通信部14が受信した伝送信号が復旧信号であると判定する。そして、子機10は、通信部14が受信した伝送信号が復旧信号であると判定した場合に、再起動を行う。
なお、図5では、火災報の発報の後に操作部26が復旧の処理を行う指示を受け付けているが、当該指示の受け付けは、連動報の発報の後であってもよい。
ここで、検出動作区間Taの時間長は1秒程度と仮定される。そうすると、子機10の総台数が64台である場合には、各子機10に割り当てられる動作時間帯は、15ミリ秒程度と仮定される。
ただし、これらの具体的な数値は実施形態を限定する趣旨ではなく、適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、電流を引き込むことで生じる電圧値は所定の許容範囲内でばらつきが許容されている。子機10においては、各許容範囲内にあれば、受信した電圧信号が同期信号であるか、復旧信号であるかを区別可能である。
なお、上述した子機10の処理部19aは、復旧検出区間のうち自機に割り当てられた動作時間帯で復旧検出の動作を行ったが、これに限定されない。子機10の処理部19aは、復旧検出の動作を復旧検出区間であればいつでも行ってもよい。
また、子機10は、復旧信号を受信した場合、復旧処理として再起動を行ったが、これに限定されない。復旧信号を受信した場合、子機10は、発報を行っているときには復旧処理として発報のみを停止してもよい。
なお、復旧検出の動作は、発報を行っている子機10のみが行ってもよい。この場合、子機10は、自機が火災報を発報しているか否かを判定し、発報していると判定する場合に、復旧検出区間のうち自機に割り当てられた動作時間帯で復旧検出の動作を開始する。
また、各子機10は、復旧検出区間において、復旧検出の動作を1回のみ行ったが、これに限定されない。各子機10は、復旧検出区間において、復旧検出の動作を複数回行ってもよい。つまり、各子機10に、復旧検出区間で複数の動作時間帯が割り当てられてもよい。この場合、判定部19bは、複数の動作時間帯のうち所定数の動作時間帯で復旧信号が受信された場合に、つまり複数回の復旧検出の動作のうち所定回数以上の復旧検出の動作で復旧信号が受信された場合に、復旧を行うと判定する。
以上説明したように、本発明の一態様である自動火災報知システム1の子機10は、電圧が印加される一対の電線51,52に電気的に接続されている。子機10は、通信部14と処理部19aとを備える。通信部14は、一対の電線51,52に印加される電圧の変化により表される信号であって他の子機10との同期をとるために親機20から送信された同期信号を受信する。処理部19aは、通信部14が同期信号を受信することで定まる復旧検出区間で、親機20から供給される電力を用いて、火災報状態からの復旧の検出動作として親機20から送信された復旧を指示する復旧信号の受信待ちとなるよう通信部14を制御する。
この構成によると、子機10は、復旧検出区間で復旧の検出動作を行えばよいため、常に復旧検出の動作を行う必要がない。そのため、子機10での消費電力の増加を抑えることができる。
ここで、子機10は、自機に固有の識別情報を記憶している記憶部17を、さらに備える。処理部19aは、復旧検出区間の一部であって前記記憶部に記憶された前記識別情報に応じて割り当てられた動作時間帯で、親機20から供給される電力を用いて検出動作を行うことが好ましい。
この構成によると、子機10のそれぞれで消費される電力、つまりは子機10のそれぞれで消費される電流は分散される。したがって、子機10を用いる自動火災報知システム1は、同一動作時間帯での、消費電流の増加を抑えることができる。
ここで、子機10は、処理部19aの検出動作の結果に基づき火災報状態からの復旧を行うか否かを判定する判定部19bを、さらに備えることが好ましい。
この構成によると、子機10の判定部19bが復旧の要否を判定するので、不要な復旧を抑止することができる。
ここで、処理部19aは、復旧検出区間において、検出動作を複数回行う。判定部19bは、通信部14が復旧信号を所定回数以上受信した場合に、火災報状態からの復旧を行うと判定することが好ましい。
この構成によると、子機10は、復旧信号を所定回数以上受信した場合に復旧を行うと判断するので、ノイズが発生している場合であっても復旧の要否を判定することができる。
また、本発明の一態様である自動火災報知システム1の親機20は、上述した子機10に同期信号を送信する送信部24を備える。送信部24は、同期信号を送信した以降で開始される復旧検出区間で火災報状態からの復旧を指示する復旧信号を送信する。
この構成によると、親機20は、子機10に同期信号を送信することで、復旧検出区間の開始のタイミングを子機10に知らせることができる。そのため、子機10では、常に復旧検出の動作を行う必要がない。そのため、子機10での消費電力の増加を抑えることができる。
また、本発明の一態様である自動火災報知システム1は、上述した子機10と、一対の電線間に電圧を印加する親機20と備える。
この構成によると、子機10での消費電力の増加を抑えることができる。
(実施形態2)
本実施形態における自動火災報知システム1について、実施形態1とは異なる点を中心に説明する。本実施形態の自動火災報知システム1の基本構成は、実施形態1と同じであり、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
本実施形態の自動火災報知システム1の子機10が復旧検出区間とは異なる区間で親機20と通信を行う点が、実施形態1とは異なる点である。
まず、本実施形態の親機20の送信部24について説明する。
親機20の送信部24は、さらに、同期信号とは別のタイミングで、複数の子機10のそれぞれからの応答を要求する要求信号を定期的に複数の子機10へ送信する。例えば、送信部24は、1つの送信回路を備え、当該送信回路が同期信号および要求信号を送信する。または、送信部24は、2つの送信回路(第1の送信回路、第2の送信回路)を備え、第1の送信回路が同期信号を、第2の送信回路が要求信号を、それぞれ送信する。送信部24は、一対の電線51,52から流れ込む電流を変化させることで同期信号および要求信号を送信する。ここで、要求信号とは、例えば生存を確認する信号である。また、要求信号の電圧値は、例えば復旧信号の第1電圧値より大きく、同期信号の第2電圧値より小さい値である。
次に、本実施形態の子機10について説明する。
子機10の受信回路16は、同期信号の他、要求信号を同期信号の受信とは異なるタイミングで定期的に受信する。具体的には、受信回路16は、親機20からの要求信号を、一対の電線51,52上の電圧信号(電圧変化)として受信する。
子機10の送信回路15は、要求信号が受信回路16で受信されると、一対の電線51,52から電流を引き込むことで生じる電流信号を、伝送信号(応答信号)として親機20へ送信する。ここで、応答信号とは、自機の識別情報を表す伝送データである。
子機10の制御部19は、要求信号が受信回路16で受信されると、自機の識別情報に応じて割り当てられた応答時間帯で応答信号を送信するよう送信回路15を制御する。つまり、複数の子機10のそれぞれが要求信号を受信すると、親機20と複数の子機10との間で同期をとり、複数の子機10のそれぞれは、自機に割り当てられた応答時間帯で応答信号を送信する。
以下、本実施形態に係る自動火災報知システム1の動作について、図6を参照して説明する。図6は、子機10の動作を示す流れ図である。
本実施形態では、親機20は、要求信号を定期的に送信している。
子機10の制御部19は、受信回路16が親機20から送信された要求信号を受信したか否かを判断する(ステップS100)。
受信したと判断する場合(ステップS100における「Yes」)、制御部19は、自機の識別情報に応じた応答時間帯が到来したか否かを判断する(ステップS105)。
応答時間帯が到来したと判断する場合(ステップS105における「Yes」)、制御部19は、引込電流の電流値を引き上げることで、送信回路15から応答信号を送信する(ステップS110)。
制御部19は、その後、復旧検出処理を行う(ステップS115)。ここで、復旧検出処理は、図3に示す処理と同一であるため、ここでの詳細な説明は省略する。なお、復旧検出処理において、ステップS30で自機に割り当てられた動作時間帯が終了したと判断する場合(ステップS30における「Yes」)、子機10の制御部19は、ステップS100で要求信号を受信したか否かを判断する。
次に、本実施形態における応答時間帯および動作時間帯の割り当てについて、図7Aおよび図7Bを用いて説明する。
本実施形態では、要求信号および同期信号が送信されてからすべての子機10が動作を行うまでの全区間は、図7Aに示すように、通信区間Tbと、検出動作区間Taとから構成されている。通信区間Tbは、要求信号の送信区間Tb1と、応答区間Tb2とから構成されている。応答区間Tb2は、同一時間長を有する応答時間帯TT1,TT2,・・・,TT64から構成されている。つまり、応答区間Tb2の時間長は、動作時間帯TT1,TT2,・・・,TT64の合計時間長である。ここでは、実施形態1と同様に、子機10は64台であるとし、各子機10には、自機の識別情報に応じて、応答時間帯TT1,TT2,・・・,TT64のうち一の動作時間帯が1対1に割り当てられる。なお、検出動作区間Taの構成については、実施形態1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
図7Bは、応答の動作および復旧検出の動作の推移を説明する図である。なお、復旧検出の動作の推移は図4Bで示した推移と同一であるので、ここでの説明は省略する。
ここでは、応答動作の推移について説明する。
送信区間Tb1で親機20からの要求信号を受信すると、応答時間帯TT1で子機B1が応答の動作を行い、応答時間帯TT2で子機B2が応答の動作を行う。その後、各応答時間帯で、当該応答時間帯が割り当てられた子機10が応答の動作を順次行い、最後の応答時間帯TT64で子機B64が応答の動作を行う。つまり、各子機10は、自機の識別情報で定まる待ち時間が経過した時点で応答の動作を行っていることが分かる。
次に、一対の電線51,52上に生じる電圧値の変化について、図8を用いて説明する。
図8は、横軸を時間、縦軸を電圧値として、一対の電線51,52上に生じる電圧値の変化を表している。図8に示す時刻t13〜t15までの区間が、図7で説明した通信区間Tbに相当し、時刻t15〜t18までの区間が、図7で説明した検出動作区間Taに相当する。
図8において、電圧値が第3電圧値Vcである状態は非発報状態である。時刻t11で一の子機10から発報があると、電圧値は第3電圧値Vcから第4電圧値Vdへと変化し、状態は非発報状態から発報状態へと遷移する。図8では、時刻t12で、親機20の操作部26が復旧の処理を行う指示を受け付けている。その後、送信部24は、時刻t13〜t14からなる送信区間Tb1で電圧値が第5電圧値Veである要求信号を送信する。複数の子機10では、時刻t14〜t15からなる応答区間Tb2のうち自機に割り当てられた応答時間帯で応答信号を送信する。なお、図8では、応答信号の電圧変化については記載していない。送信部24は、送信区間Ta1のうち時刻t15〜t16で電圧値が第2電圧値Vbである同期信号を送信し、時刻t17〜t18からなる復旧検出区間Ta2で電圧値が第1電圧値Vaである復旧信号を送信する。
なお、図8では、火災報の発報の後に操作部26が復旧の処理を行う指示を受け付けているが、当該指示の受け付けは、連動報の発報の後であってもよい。また、図8では、当該指示を受け付けるタイミングが要求信号の送信前となっているが、当該タイミングは要求信号の送信後であって同期信号の送信前であってもよい。
なお、本実施形態では一例として、検出動作区間Taと通信区間Tbとの合計時間長は、1秒程度と仮定される。そうすると、子機10の総台数が64台である場合には、各子機10に割り当てられる動作時間帯および応答時間帯のそれぞれは、7ミリ秒程度と仮定される。
ただし、これらの具体的な数値は実施形態を限定する趣旨ではなく、適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、電流を引き込むことで生じる電圧値は所定の許容範囲内でばらつきが許容されている。子機10においては、各許容範囲内にあれば、受信した電圧信号が要求信号であるか、同期信号であるか、または復旧信号であるかを区別可能である。
なお、本実施形態では、親機20は伝送信号として要求信号を子機10へ送信し、伝送信号として応答信号を子機10から受信している。つまり、子機10および親機20は、双方向に伝送信号の通信が可能となっている。しかしながら、本発明は、これに限定されない。一方向のみに伝送信号の通信が可能であるとしてもよい。
例えば、親機20から子機10の一方向で伝送信号の通信が可能であってもよい。このとき、子機10は、例えばデータの書き込み命令である伝送信号を受信すると、応答区間のうち自機に割り当てられた応答時間帯でデータの書き込み処理を行う。これにより、書き込み処理で消費される電流の消費タイミングは分散される。
また、本実施形態における自動火災報知システム1は、通信を利用することで親機20と子機10との間で様々な情報をやり取りできるので、上述したような子機10単位での識別情報に限らず、種々の機能を付加することができる。
以上説明したように、本実施形態の子機10の通信部14は、復旧検出区間とは異なる通信区間において、親機20から供給される電力を用いて親機との通信を行うことが好ましい。
この構成によると、子機10は、復旧区間とは異なる通信区間において親機20と通信を行っている。そのため、子機10は、復旧検出の動作と区別して通信を行うことができる。
ここで、通信部14は、通信区間の開始後、自機に割り当てられた通信時間帯で通信を行うことが好ましい。
この構成によると、子機10は、自機に割り当てられた通信時間帯で通信を開始するので、子機10を用いる自動火災報知システム1は、通信に用いられる消費電流を分散させることができる。
(実施形態3)
本実施形態における自動火災報知システム1について、実施形態1および実施形態2とは異なる点を中心に説明する。本実施形態の自動火災報知システム1の基本構成は、実施形態2と同じであり、実施形態2と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を適宜省略する。
本実施形態の自動火災報知システム1では、同期信号と要求信号とを連続して送信する点が、実施形態2とは異なっている。
まず、本実施形態の親機20の送信部24について説明する。
送信部24は、実施形態1と同様に、同期信号と要求信号とを連続して定期的に複数の子機10へ送信する。
次に、本実施形態の子機10について説明する。
子機10の受信回路16は、親機20からの同期信号と要求信号とを連続して定期的に受信する。
子機10の制御部19は、同期信号および要求信号が受信回路16で受信されると、応答区間のうち自機の識別情報に応じて割り当てられた応答時間帯で伝送信号を、送信回路15から送信する。制御部19は、同期信号および要求信号が受信回路16で受信されると、復旧検出区間のうち自機の識別情報に応じて割り当てられた動作時間帯で復旧検出動作を行う。
以下、本実施形態に係る自動火災報知システム1の動作について、図9を参照して説明する。図9は、子機10の動作を示す流れ図である。
子機10の制御部19は、受信回路16が親機20から送信された同期信号を受信したか否かを判定する(ステップS200)。
受信回路16が同期信号を受信したと判定する場合(ステップS200における「Yes」)、制御部19は、受信回路16が親機20から送信された要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS205)。
受信回路16が要求信号を受信したと判定する場合(ステップS205における「Yes」)、制御部19は、自機の識別情報に応じた応答時間帯が到来したか否かを判断する(ステップS210)。
応答時間帯が到来したと判断する場合(ステップS210における「Yes」)、制御部19は、送信回路15から応答信号を送信する(ステップS215)。
制御部19は、その後、自機の識別情報に応じた動作時間帯が到来したか否かを判断する(ステップS220)。
動作時間帯が到来したと判断する場合(ステップS220における「Yes」)、制御部19は、復旧検出処理を行う(ステップS225)。ここで、復旧検出処理は、図3に示す処理のうちステップS15以降の処理と同一であるため、ここでの詳細な説明は省略する。なお、復旧検出処理において、子機10の制御部19は、ステップS30で自機に割り当てられた動作時間帯が終了したと判断する場合(ステップS30における「Yes」)、子機10の制御部19は、ステップS100で要求信号を受信したか否かを判断する。
次に、本実施形態における応答時間帯および動作時間帯の割り当てについて、図10Aおよび図10Bを用いて説明する。
本実施形態では、同期信号および要求信号が連続して送信されてからすべての子機10が動作を行うまでの全区間は、図10Aに示すように、同期信号の送信区間Ta1と要求信号の送信区間Tb1と応答区間Tb2と復旧検出区間Ta2とから構成されている。応答区間Tbの構成は実施形態2と同様であり、発報検出区間Ta2の構成は実施形態1と同様であるので、ここでの説明は省略する。
図10Bは、応答の動作および復旧検出の動作の推移を説明する図である。
全ての子機10が送信区間Ta1で親機20からの同期信号を、送信区間Tb1で親機20からの要求信号を連続して受信すると、応答時間帯TT1で子機B1が応答の動作を行い、応答時間帯TT2で子機B2が応答の動作を行う。その後、各応答時間帯で、当該応答時間帯が割り当てられた子機10が応答の動作を順次行い、最後の応答時間帯TT64で子機B64が応答の動作を行う。
応答区間Tb2の終了後、続いて復旧検出区間Ta2が開始され、動作時間帯T1で子機B1が復旧検出の動作を行い、動作時間帯T2で子機B2が復旧検出の動作を行う。その後、各動作時間帯で、当該動作時間帯が割り当てられた子機10が復旧検出の動作を順次行い、最後の動作時間帯T64で子機B64が復旧検出の動作を行う。これによると、各子機10は、同期信号および要求信号を連続して受信すると、異なる時刻で応答区間Tb2および復旧検出区間Ta2のそれぞれを開始していることが分かる。
なお、本実施形態における一対の電線51,52上に生じる電圧値の変化については、図8の電圧値の変化において、要求信号および同期信号の発生のタイミングが異なるだけであるので、ここでの説明は省略する。
また、本実施形態では一例として、同期信号の送信区間Ta1と応答区間Tb2と復旧検出区間Ta2との合計時間長は、1秒程度と仮定される。そうすると、子機10の総台数が64台である場合には、各子機10に割り当てられる動作時間帯および応答時間帯のそれぞれは、7ミリ秒程度と仮定される。
ただし、これらの具体的な数値は実施形態を限定する趣旨ではなく、適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、電流を引き込むことで生じる電圧値は所定の許容範囲内でばらつきが許容されている。子機10においては、各許容範囲内にあれば、受信した電圧信号が要求信号であるか、同期信号であるか、または復旧信号であるかを区別可能である。
なお、本実施形態の自動火災報知システム1では、子機10は、応答動作および復旧検出の動作を、応答動作、復旧検出の動作の順序で行うとしたが、これに限定されない。子機10は、復旧検出の動作、応答動作の順序で処理を行ってもよい。
また、本実施形態の自動火災報知システム1では、同期信号と要求信号とが連続して送信されるとしたが、これに限定されない。同期信号が要求信号を兼ねていてもよい。この場合の子機10の動作は、図9に示す流れ図でステップS205を省略することで実現できる。次に、同期信号が要求信号を兼ねている場合の応答の動作および復旧検出の動作の推移は、図10Aおよび図10Bで送信区間Tb1が省略されるだけであるので、ここでの説明は省略する。
以上説明したように、本実施形態の子機10の処理部19aは、通信部14が同期信号を受信すると、検出動作(復旧の検出動作)と通信(親機20との通信)とを行うよう制御することが好ましい。
この構成によると、子機10は、同期信号の受信をトリガーにして、通信区間での通信および復旧検出区間での復旧検出の動作を行っている。そのため、通信区間での通信、および復旧検出区間での動作のそれぞれのトリガーを共通化することができる。
(変形例)
以上、実施形態1から実施形態3に基づいて本発明について説明したが、本発明は上述した実施形態に限られない。例えば、以下のような変形例が考えられる。
(1)上記各実施形態では、復旧検出区間を子機10の台数分だけ時分割したが、これに限定されない。
復旧検出区間は少なくとも2つ以上の区間(動作時間帯)に時分割されればよい。時分割された各区間には、1台以上の子機10が割り当てられる。これによると、1つの区間で子機10すべてが割り当てられることはないので、復旧検出の動作で消費される電力量は分散される。
(2)上記実施形態および変形例を組み合わせてもよい。