(1)実施形態1
以下では、実施形態1の通信処理システム100及び通信システム200について、図1〜図3を参照しながら説明する。
(1−1)概要
本実施形態の通信システム200は、例えば、自動火災報知システムである。通信システム(自動火災報知システム)200は、例えば集合住宅(マンション)に用いられる。もちろん、通信システム200は、集合住宅に限らず、例えば商業施設、病院、ホテル、雑居ビル等、様々な建物に用いられてもよい。
本実施形態の通信システム200は、1台の親機1と、複数台(図2では、16台)の子機(通信装置)20とを備えている。複数台の子機20には、異なるアドレス(識別情報)が付与されている。本実施形態では、例えば、1棟の集合住宅90に対して、1台の親機1と、16台の子機20とが設置されている。親機1は、例えば、集合住宅90の管理室に設置される。16台の子機20は、例えば、集合住宅90の1〜4階の各フロアに4台ずつ設置される。本実施形態では、集合住宅90の1階〜4階のフロア毎に設置された電線対30(一対の電線31、32を含む)を用いて、親機1と16台の子機20とが電気的に接続されている。要するに、集合住宅90では、2本1組(2線式)の電線31、32を備える電線対30が、計4対(以下、「第1電線対301」、「第2電線対302」、「第3電線対303」、「第4電線対304」と呼ぶ)設けられている。そして、第1〜第4電線対301〜304の各々に、子機20が4台ずつ電気的に接続されている。また、フロア毎に設置された電線対30(一対の電線31、32)の終端(親機1とは反対側の端部)には、終端抵抗3が電気的に接続されている。なお、終端抵抗3は、必須の構成ではなく、省略されていてもよい。
図1に示すように、親機1は、複数(図1では4つ)の通信ユニット10(以下、「第1通信ユニット101」、「第2通信ユニット102」、「第3通信ユニット103」、及び「第4通信ユニット104」と呼ぶ)と、制御ユニット40とを備えている。第1〜第4通信ユニット101〜104には、それぞれ、第1〜第4電線対301〜304が電気的に接続されている(図2参照)。すなわち、第1通信ユニット101には、第1電線対301を介して4台の子機20(以下、「第1子機(第1通信装置)201」と呼ぶ)が電気的に接続されている。第2通信ユニット102には、第2電線対302を介して4台の子機20(以下、「第2子機(第2通信装置)202」と呼ぶ)が電気的に接続されている。第3通信ユニット103には、第3電線対303を介して4台の子機20(以下、「第3子機(第3通信装置)203」と呼ぶ)が電気的に接続されている。第4通信ユニット104には、第4電線対304を介して4台の子機20(以下、「第4子機(第4通信装置)204」と呼ぶ)が電気的に接続されている。なお、図1では、第3子機203、第4子機204の図示を省略している。また、図1では、制御ユニット40と第3通信ユニット103とを接続する接続線、制御ユニット40と第4通信ユニット104とを接続する接続線の図示を省略している。
第1通信ユニット101と複数台(4台)の第1子機(第1通信装置)201とで、通信処理システム100(第1通信処理システム110)が構成される。第2通信ユニット102と複数台(4台)の第2子機(第2通信装置)202とで、通信処理システム100(第2通信処理システム120)が構成される。第3通信ユニット103と複数台(4台)の第3子機(第3通信装置)203とで、通信処理システム100(第3通信処理システム130)が構成される。第4通信ユニット104と複数台(4台)の第4子機(第4通信装置)204とで、通信処理システム100(第4通信処理システム140)が構成される。
すなわち、本実施形態の通信システム200は、複数の通信処理システム100(第1〜第4通信処理システム110〜140)を備えている。複数の通信処理システム100の各々は、通信ユニット10と、複数台(図2では4台)の子機(通信装置)20とを備えている。
本実施形態の通信システム200の基本構成は、一般的な自動火災報知システムと同じである。通信システム200は、例えば、子機20により火災の発生を検知し、この子機20から親機1(この子機20と電気的に接続されている通信ユニット10)へ火災発生の通知(火災報)がなされるように構成されている。なお、子機20は、火災の発生を検知する構成に限らず、例えば、発信機等を含む構成であってもよい。発信機とは、例えば、押しボタンスイッチを有し、人が火災を発見した際に押しボタンスイッチを手動で操作することによって、親機1に対して火災発生の通知を行う装置を意味する。
また、本実施形態の通信システム200は、他装置を連動させるための通知(連動報)を子機20から親機1が受けた際、防排煙設備や非常用放送設備等の他装置を連動させる連動機能を有している。そのため、本実施形態の通信システム200は、火災の発生時に、防排煙設備の防火扉を制御したり、非常用放送設備にて音響または音声により火災の発生を報知したりすることが可能である。
本実施形態の通信システム200は、P型(Proprietary-type)の自動火災報知システムを基本とする。そして、本実施形態の通信システム200では、P型の自動火災報知システムが導入されていた集合住宅において、既存の配線(電線対30)をそのまま使用し、親機1及び複数台の子機20を入れ替えた場合を想定する。なお、本実施形態の通信システム200は、新規に導入される自動火災報知システムとして採用することも可能である。
以下、親機1及び複数台の子機20の構成について詳細に説明する。なお、以下では、複数台の子機20のうち1台の子機20のみについて説明し、残りの子機20については、この1台の子機20と同じ構成であるため、説明を省略する。
(1−2)親機の構成
親機1は、子機20から火災報、及び連動報を受けるP型受信機である。
親機1は、図2に示すように、複数の通信ユニット10(第1〜第4通信ユニット101〜104)と、制御ユニット40と、を備えている。図1に示すように、各通信ユニット10は、印加部11と、抵抗12と、送信部13と、受信部14と、処理部15と、を備えている。制御ユニット40は、制御部41と、表示部42と、操作部43と、を備えている。
印加部11は、所定の電圧を一対の電線31、32に対して印加する。ここでは一例として、印加部11が一対の電線31、32間に印加する電圧は直流24Vとするが、この値に限定する趣旨ではない。
抵抗12は、印加部11と一対の電線31、32の少なくとも一方との間に接続されている。図1の例では、抵抗12は、一対の電線31、32のうち一方(高電位側)の電線31と印加部11との間に挿入されている。ただし、この例に限らず、抵抗12は、他方(低電位側)の電線32と印加部11との間に挿入されていてもよいし、一対の電線31、32の両方と印加部11との間にそれぞれ挿入されていてもよい。
また、抵抗12は、抵抗12を流れる電流を電圧降下により抵抗12の両端間の電位差(電圧)に変換する第1機能と、一対の電線31、32間が短絡したときに一対の電線31、32に流れる電流を制限する第2機能との2つの機能を有している。要するに、抵抗12は、電流−電圧変換素子としての第1機能と、電流制限素子としての第2機能とを兼ね備えている。ここでは一例として、抵抗12の抵抗値は470Ωとするが、この値に限定する趣旨ではない。
送信部13は、抵抗12と一対の電線31、32との間に電気的に接続されている。送信部13は、一対の電線31、32を流れる電流を変化させることで、信号S1を子機20に送信する。具体的には、送信部13が印加部11から抵抗12に流れる電流を引き込むと、一対の電線31、32間の電圧(待機電圧)V1が変化する。つまり、送信部13は、印加部11から抵抗12に流れる電流の引き込みにより、待機電圧V1を変化させることで、信号S1を子機20に送信する。
送信部13から送信される信号S1としては、通信ユニット10と子機20とを同期させる(子機20同士を同期させる)ための同期信号と、子機20に所定の動作を指示するための動作指示信号と、がある。動作指示信号は、例えば、子機20に所定の動作を行わせ、その動作の結果を(通信ユニット10へ)返信させるための信号である。
動作指示信号は、例えば、予め定められた複数の動作内容のうちの一つの動作内容と、動作対象となる一以上の子機20のアドレスと、を含む信号である。したがって、異なる複数の動作内容を複数台の子機20に対してそれぞれ送信する場合、送信部13は、異なる動作内容(と動作対象となる子機20のアドレス)を含む複数の動作指示信号を、それぞれ動作対象の子機20へ送信する。予め定められた動作内容(動作指示信号で指示される動作内容)としては、例えば、生存確認(キープアライブのための信号)、子機20の自動試験の実施、子機20の異常の有無の確認等がある。
同期信号は、例えば、子機20のアドレスを含まず子機20同士を同期させる同期指示のみを含む信号である。したがって、信号のコマンドの長さは、同期信号の方が動作指示信号よりも短い。送信部13は、同期信号を、一対の電線31、32(電線対30)に接続されている子機20へ一斉に送信する。
受信部14は、抵抗12と一対の電線31、32との間に電気的に接続されている。受信部14は、待機電圧V1に基づいて、子機20から送信される信号S2を受信する。具体的には、子機20が後述するように一対の電線31、32を流れる電流を引き込むと、抵抗12を流れる電流の電流値が変化し、待機電圧V1が変化する。受信部14は、この待機電圧V1の電圧値を検知することにより、子機20から送信される信号S2を受信する。その他、受信部14は、待機電圧V1の電圧値を検知することにより、子機20から通知される火災報や連動報を受信する。
処理部15は、例えば送信部13を制御して待機電圧V1の電圧値を第1レベルと第2レベル(<第1レベル)とで交互に切り替えることにより、信号S1を子機20に送信する。例えば処理部15は、制御ユニット40の制御部41から、子機20の動作(例えば自動試験の実施)を要求する動作指示要求を含む動作要求信号を受信すると、送信部13を制御して、一対の電線31、32へ動作指示信号を送信する。また処理部15は、制御部41から同期信号の送信を指示する同期指示信号を受信すると、送信部13を制御して、一対の電線31、32へ同期信号を送信する。
また、処理部15は、受信部14で受信した子機20からの信号S2を、制御部41へ送信する。
制御部41は、マイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。なお、プログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいが、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。
制御部41は、複数の通信ユニット10に含まれる複数の処理部15と通信する。例えば制御部41は、複数の通信ユニット10の処理部15に、処理部15毎に異なる動作指示要求を含む動作要求信号を送信(マルチキャスト)する。また制御部41は、同期指示信号を複数の通信ユニット10の処理部15へ一斉に送信する。
表示部42は、例えばLED(Light Emitting Diode)や液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネセンスディスプレイ等を備えている。表示部42は、制御部41に制御されることで、子機20から(処理部15を介して)受信した信号S2に含まれるデータに応じた内容を表示する。表示部42は、例えば、子機20の異常を知らせる情報を表示する。また表示部42は、火災の発生及び火災の発生した階(フロア)を表示する。また、表示部42は、火災を検知した子機20の固有の識別情報(アドレス)を取得できる場合は、当該子機20の設置場所を表示することも可能である。
操作部43は、ユーザからの操作入力を受け付ける。操作部43は、例えば、子機20に所定の動作(自動試験等)を行わせるための操作入力を受け付ける構成であってもよい。
親機1は、各通信ユニット10の印加部11から対応する一対の電線31、32間に電圧を印加することにより、複数台の子機20を含む通信システム200全体の動作用の電源として機能する。
また、親機1は、停電に際しても通信システム200の動作用の電源を確保できるように、蓄電池を用いた予備電源50をさらに備えている。親機1は、商用電源、自家発電設備等を主電源とする。印加部11は、電力の供給元を、主電源の停電時に主電源から予備電源50に自動的に切り替え、主電源の復旧時には予備電源50から主電源に自動的に切り替える。
(1−3)子機の構成
子機20は、図1に示すように、ダイオードブリッジ21と、電源部22と、検知部23と、報知部24と、受信部25と、送信部26と、制御部27と、記憶部28とを備えている。
ダイオードブリッジ21は、入力端に一対の電線31、32が電気的に接続され、出力端に電源部22、報知部24、受信部25、及び送信部26が電気的に接続されている。
電源部22は、一対の電線31、32から電力を供給されることで子機20の動作用の電力(動作電力)を生成する。
検知部23は、例えば煙の濃度の変化、温度の変化、一酸化炭素等のガス濃度の変化を検知することで、火災や煙の発生を検知する。本実施形態の子機20では、検知部23は、煙の発生や煙の濃度の変化を検知する煙検知部231と、温度の変化を検知する熱検知部232とを備えている。検知部23は、煙検知部231及び熱検知部232の検知結果に基づいて火災の発生を検知すると、制御部27に検知信号を送信する。検知部23は、制御部27により制御される。
報知部24は、例えばブザーやLEDなどを備え、周囲に火災の発生を報知するように構成されている。報知部24は、制御部27により制御される。
受信部25は、待機電圧V1(一対の電線31、32間の電圧)の変化に基づいて、親機1から送信される信号S1を受信する。具体的には、通信ユニット10が一対の電線31、32を流れる電流を引き込むと、抵抗12を流れる電流の電流値が変化し、待機電圧V1が変化する。受信部25は、この待機電圧V1に対応するダイオードブリッジ21の出力電圧の電圧値を検知することにより、通信ユニット10から送信される信号S1を受信する。
送信部26は、一対の電線31、32を流れる電流を変化させることで、信号S2を通信ユニット10に送信する。具体的には、送信部26が一対の電線31、32に流れる電流を引き込むと、待機電圧V1が変化する。つまり、送信部26は、一対の電線31、32に流れる電流の引き込みにより、一対の電線31、32間の電圧(待機電圧)V1を変化させることで、信号S2を通信ユニット10に送信する。
信号S2としては、動作指示信号で指示される動作内容に応じて生成される応答信号がある。
制御部27は、マイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。なお、プログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいが、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。また、制御部27の主構成をマイコンに限定する趣旨ではなく、制御部27は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)を主構成としてもよい。
制御部27は、受信部25及び送信部26を制御する。具体的には、制御部27は、受信部25を制御することで、通信ユニット10から送信される同期信号等の信号S1を受信部25で受信させる。また、制御部27は、検知部23の出力を定期的に読み込み、検知部23の出力が第1基準値を超えると、火災と判断する。そして、制御部27は、送信部26を制御して一対の電線31、32を流れる電流の引き込み量を調節することにより、待機電圧V1を火災報レベル(<印加部11により印可される電圧のレベル)に変化させる。これにより、制御部27は、火災報を親機1に通知する。このとき、制御部27は、報知部24を制御して火災の発生を周囲に知らせる。
また、制御部27は、検知部23の出力が第2基準値(>第1基準値)を超えると、他装置を連動させると判断する。そして、制御部27は、送信部26を制御して一対の電線31、32を流れる電流の引き込み量を調節することにより、待機電圧V1を連動報レベル(<火災報レベル)に変化させる。これにより、制御部27は、連動報を親機1に通知する。
また、制御部27は、送信部26を制御して、待機電圧V1の電圧値を第1レベルと第2レベルとで交互に切り替えることにより、親機1に信号S2を送信する。信号S2には、例えば子機20単位で発報元を特定するための情報(識別情報)や、自動試験の結果の情報等が含まれる。
記憶部28は、子機20に予め割り当てられているアドレス(識別情報)を少なくとも記憶する。識別情報は、複数台の子機20の各々の設置場所(例えば部屋番号)と対応付けて親機1に登録される。
(1−4)動作例
本実施形態の通信システム200では、制御ユニット40の制御部41は、複数の通信ユニット10の処理部15に、処理部15毎に異なる動作指示要求を含む動作要求信号を送信(マルチキャスト)する。各処理部15は、動作要求信号を受信すると、動作要求信号に含まれる動作指示要求に従って、一対の電線31、32を介して電気的に接続されている複数台の子機20へ、動作指示信号を送信する。
また、制御ユニット40の制御部41は、動作要求信号とは別に、同期指示信号を複数の通信ユニット10の処理部15へ一斉に送信する。各処理部15は、同期指示信号を受信すると、同期指示信号を受信してから所定時間T1の経過後に、一対の電線31、32を介して電気的に接続されている複数台の子機20へ、同期信号を送信する。
この通信システム200の一連の動作について、図3を参照して以下に説明する。
なお、以下では、制御ユニット40、第1通信処理システム110(第1通信ユニット101、第1子機201)、及び第2通信処理システム120(第2通信ユニット102、第2子機202)、の動作についてのみ説明する。ただし、第3通信処理システム130、第4通信処理システム140についても、基本的な動作は同様である。
制御ユニット40の制御部41は、例えば所定の時刻になると、子機20の動作内容と動作対象の子機20のアドレスとを含む動作要求信号を、第1通信ユニット101の処理部15及び第2通信ユニット102の処理部15へ送信する(S101)。ここでは、動作要求信号は、複数の第1子機201のうちの1つの第1子機201(「第1子機2011」とする)に動作内容A1を実行させる指令を含む。また、動作要求信号は、複数の第1子機201のうちの別の1つの第1子機201(「第1子機2012」とする)に動作内容A2を実行させる指令を含む。動作要求信号は、更に、複数の第2子機202のうちの1つの第2子機202(「第2子機2021」とする)に動作内容A3を実行させる指令を含む。また、動作要求信号は、複数の第2子機202のうちの別の1つの第2子機202(「第2子機2022」とする)に動作内容A2を実行させる指令を含む。ここで、動作内容A1〜A3は互いに異なる動作である。例えば、動作内容A1は生存確認であり、動作内容A2は自動試験の実施であり、動作内容A3は異常の有無の確認である。
第1通信ユニット101は、動作要求信号を受信すると、動作内容A1を行わせるための動作指示信号を第1子機2011へ送信し(S102)、動作内容A2を行わせるための動作指示信号を第1子機2012へ送信する(S103)。第1子機2011は、動作指示信号を受信すると、動作内容A1に応じた動作を実行し、その結果を含む応答信号を第1通信ユニット101へ送信する(S104)。第1子機2012は、動作指示信号を受信すると、動作内容A2に応じた動作を実行し、その結果を含む応答信号を第1通信ユニット101へ送信する(S105)。
同様に、第2通信ユニット102は、動作要求信号を受信すると、動作内容A3を行わせるための動作指示信号を第2子機2021へ送信し(S106)、動作内容A2を行わせるための動作指示信号を第2子機2022へ送信する(S107)。第2子機2021は、動作指示信号を受信すると、動作内容A3に応じた動作を実行し、その結果を含む応答信号を第2通信ユニット102へ送信する(S108)。第2子機2022は、動作指示信号を受信すると、動作内容A2に応じた動作を実行し、その結果を含む応答信号を第2通信ユニット102へ送信する(S109)。
また、制御ユニット40は、動作要求信号とは別に、同期指示信号を第1通信ユニット101及び第2通信ユニット102へ一斉に送信する(S110)。第1通信ユニット101は、同期指示信号を受信してから所定時間T1の経過後、複数台の第1子機201へ同期信号を一斉に送信する(S111)。また、第2通信ユニット102は、同期指示信号を受信してから所定時間T1(第1通信ユニット101が同期指示信号を受信してから同期信号を送信するまでの時間と同じ時間)の経過後、複数台の第2子機202へ同期信号を一斉に送信する(S112)。これにより、同期信号を受信した複数台の第1子機201及び第2子機202は、親機1と同期される。
なお、制御ユニット40は、同期指示信号を定期的に(例えば1秒間隔で)送信しており(S120参照)、第1通信ユニット101及び第2通信ユニット102も、同期指示信号に応じて定期的に同期信号を送信する(S121、S122参照)。動作要求信号、動作指示信号、応答信号の送受信は、例えば、同期指示信号が送信されていない期間に行われる。例えば、第1通信ユニット及び第2通信ユニットは、ある同期信号を送信してから予め決められた時間(<同期信号の送信周期)の経過後に、動作指示信号を送信する構成であってもよい。
上述のように本実施形態の通信システム200では、各通信ユニット10は、子機20を通信ユニット10(親機1)と同期させるための同期信号を、動作指示信号とは別に送信している。同期信号は、同期専用の信号であるため、動作指示信号よりも短いコマンドで実現可能である。したがって、子機20が信号を処理するのにかかる時間も、同期信号の方が動作信号よりも短くなる。このため、本実施形態の通信システム200では、例えば子機20が動作指示信号によって通信ユニット10と同期するシステムと比べて、子機20が同期処理を容易に行うことが可能となる。また、通信ユニット10と子機20との間の同期の精度を向上させることが可能となる。通信ユニット10と子機20との間の同期の精度が向上すれば、例えば、通信ユニット10から信号S1が送信されるタイミングでのみ子機20の受信部25を動作させる等の設定が可能となり、通信システム200での消費電力の低減を図ることが可能となる。
また、本実施形態の通信システム200では、同期信号とは別に動作指示信号を送信しているので、動作指示信号を複数台の子機20に一斉に送信する必要がない。このため、動作指示信号によって子機20毎に動作内容を指示することが可能となる。
また本実施形態の通信システム200では、制御ユニット40は、動作要求信号とは別に、同期指示信号を複数の通信ユニット10へ一斉に送信している。そして、各通信ユニット10は、同期指示信号に応じて同期信号を送信している。このため、制御ユニット40と子機20との間(また、例えば第1子機201と第2子機202との間)の同期の精度を向上させることが可能となる。
(2)実施形態2
以下、実施形態2の通信処理システム100及び通信システム200について、図4を用いて説明する。なお、本実施形態の通信処理システム100及び通信システム200において、実施形態1と共通する構成要素については適宜説明を省略する。本実施形態の通信処理システム100及び通信システム200では、動作のフローが実施形態1と異なっている。
本実施形態の通信システム200では、制御ユニット40の制御部41は、複数の通信ユニット10の処理部15に、処理部15毎に異なる動作指示要求を含む動作要求信号を送信(マルチキャスト)する。各処理部15は、動作要求信号を受信すると、指示された動作指示要求に従って、一対の電線31、32を介して電気的に接続されている複数台の子機20へ、動作指示信号を送信する。また、各通信ユニット10の処理部15は、動作要求信号を受信してから所定時間T2の経過後に、一対の電線31、32を介して電気的に接続されている複数台の子機20へ、同期信号を送信する。
より詳細には、制御ユニット40の制御部41は、例えば所定の時刻になると、子機20の動作内容と動作対象の子機20のアドレスとを含む動作要求信号を、第1通信ユニット101の処理部15及び第2通信ユニット102の処理部15へ送信する(S201)。ここでは、実施形態1と同様に、動作要求信号は、複数の第1子機201のうちの1つの第1子機201(第1子機2011)に動作内容A1を実行させる指令を含む。また、動作要求信号は、複数の第1子機201のうちの別の1つの第1子機201(第1子機2012)に動作内容A2を実行させる指令を含む。動作要求信号は、更に、複数の第2子機202のうちの1つの第2子機202(第2子機2021)に動作内容A3を実行させる指令を含む。また、動作要求信号は、複数の第2子機202のうちの別の1つの第2子機202(第2子機2022」)に動作内容A2を実行させる指令を含む。
第1通信ユニット101は、動作要求信号を受信すると、動作内容A1を行わせるための動作指示信号を第1子機2011へ送信し(S202)、動作内容A2を行わせるための動作指示信号を第1子機2012へ送信する(S203)。第1子機2011は、動作指示信号を受信すると、動作内容A1に応じた動作を実行し、その結果を含む応答信号を第1通信ユニット101へ送信する(S204)。第1子機2012は、動作指示信号を受信すると、動作内容A2に応じた動作を実行し、その結果を含む応答信号を第1通信ユニット10へ送信する(S205)。
同様に、第2通信ユニット102は、動作要求信号を受信すると、動作内容A3を行わせるための動作指示信号を第2子機2021へ送信し(S206)、動作内容A2を行わせるための動作指示信号を第2子機2022へ送信する(S207)。第2子機2021は、動作指示信号を受信すると、動作内容A3に応じた動作を実行し、その結果を含む応答信号を第2通信ユニット102へ送信する(S208)。第2子機2022は、動作指示信号を受信すると、動作内容A2に応じた動作を実行し、その結果を含む応答信号を第2通信ユニット102へ送信する(S209)。
また、第1通信ユニット101は、動作要求信号を受信してから所定時間T2の経過後、複数台の第1子機201へ同期信号を一斉に送信する(S211)。第2通信ユニット102は、動作要求信号を受信してから所定時間T2(第1通信ユニット101が動作要求信号を受信してから同期信号を送信するまでの時間と同じ時間)の経過後、複数台の第2子機202へ同期信号を一斉に送信する(S212)。これにより、同期信号を受信した複数台の第1子機201及び第2子機202は、親機1と同期される。なお、制御ユニット40は、動作要求信号を定期的に送信してもよいし、しなくてもよい。
本実施形態の通信システム200でも、各通信ユニット10は、子機20を通信ユニット10(親機1)と同期させるための同期信号を、動作指示信号とは別に送信している。したがって、子機20が容易に同期処理を行うことが可能となり、通信ユニット10と子機20との間の同期の精度を向上させることが可能となる。
上記の構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、上記の実施形態1、実施形態2に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(3)変形例
実施形態1、2において、通信ユニット10が子機20へ送信する動作指示信号は、動作対象となる一以上の子機20の各々のアドレスと、子機20の動作内容とを対応付けた信号であってもよい。そして、異なる複数の動作内容を指示する場合、動作指示信号は、動作対象となる一以上の子機20のアドレスと動作内容との組を、複数含んでもよい。この場合、通信ユニット10は、一以上の子機20のアドレスと対応する動作内容と(の組)を(複数)含む動作指示信号を、一対の電線31、32に接続されている複数台の子機20へ、マルチキャストする。
また、実施形態1において、制御ユニット40の制御部41は、複数の通信ユニット10の処理部15に、個別に動作要求信号を送信(ユニキャスト)してもよい。
上記の実施形態1,2及び変形例では、通信ユニット10及び子機20は、受信部14、25で検知される一対の電線31、32間の待機電圧V1の変化に基づいて通信しているが、これに限られない。一変形例において、通信ユニット10及び子機20は、電線31、32を流れる電流の変化に基づいて通信してもよい。例えば、通信ユニット10は、抵抗12の両端電圧の変化に基づいて、子機20からの信号S2を受信してもよい。
制御ユニット40に電気的に接続される通信ユニット10の数は、4つに限られず、2又は3でもよいし、5以上であってもよい。制御ユニット40に電気的に接続される通信ユニット10の数が5以上の場合でも、これらの通信ユニット10と制御ユニット40とは、基本的には、図3,図4を用いて説明した動作例と同様に動作する。
(4)態様
以上述べた実施形態1,2及び変形例から明らかなように、第1の態様の通信処理システム(100)は、通信ユニット(10)と、複数の通信装置(子機20)と、を備える。通信ユニット(10)は、一対の電線(31、32)に電気的に接続される。複数の通信装置は、一対の電線(31、32)に電気的に接続され、一対の電線(31、32)間の電圧(V1)の変化又は一対の電線(31、32)を流れる電流の変化に基づいて通信ユニット(10)と通信するよう構成される。複数の通信装置には、それぞれ固有のアドレスが割り当てられている。通信ユニット(10)は、複数の通信装置のうちの少なくとも一つの動作を要求する動作指示要求を受け付けると、動作対象の通信装置のアドレス及び動作内容を含む動作指示信号を、複数の通信装置へ送信するよう構成される。複数の通信装置の各々は、通信ユニット(10)から自身のアドレスを含む動作指示信号を受信すると、動作内容に応じた応答信号を通信ユニットへ送信するよう構成される。通信ユニット(10)は、動作指示信号とは別に、複数の通信装置を通信ユニット(10)と同期させるための同期信号を複数の通信装置へ一斉に送信するよう構成される。
この構成によれば、通信ユニット(10)が、動作指示信号とは別に同期信号を送信している。同期信号は短いコマンドで実現可能なので、通信装置(子機20)が処理にかかる時間も動作指示信号に比べて短くなる。したがって、通信装置(子機20)が容易に同期処理を行うことが可能となり、通信ユニット(10)と通信装置(子機20)との同期の精度を向上させることが可能となる。また、通信装置(子機20)同士の同期の精度を向上させることが可能となる。
第2の態様の通信システム(200)は、第1の態様の通信処理システム(100)を複数備え、複数の通信処理システム(100)に含まれる複数の通信ユニット(10)に電気的に接続される制御ユニット(40)を、更に備える。複数の通信処理システム(100)は、第1通信処理システム(110)と第2通信処理システム(120)と、を少なくとも含む。第1通信処理システム(110)は、通信ユニット(10)としての第1通信ユニット(101)、及び複数の通信装置(複数の子機20)としての複数の第1通信装置(複数の第1子機201)を備える。第2通信処理システム(120)は、通信ユニット(10)としての第2通信ユニット(102)、及び複数の通信装置(複数の子機20)としての複数の第2通信装置(複数の第2子機202)を備える。制御ユニット(40)は、動作指示要求を含む動作要求信号を、第1通信ユニット(101)及び第2通信ユニット(102)へ送信するよう構成される。第1通信ユニット(101)は、動作要求信号を受信すると、動作指示信号を複数の第1通信装置へ送信し、複数の第1通信装置から応答信号を受信し、受信した応答信号を制御ユニット(40)へ送信するよう構成される。第2通信ユニット(102)は、動作要求信号を受信すると、動作指示信号を複数の第2通信装置へ送信し、複数の第2通信装置から応答信号を受信し、受信した応答信号を制御ユニット(40)へ送信するよう構成される。
この構成によれば、制御ユニット(40)が、複数の通信ユニット(10)にそれぞれ接続されている複数の通信装置(子機20)の状態を管理することが可能となる。また、1つの通信ユニット(10)に接続可能な通信装置(子機20)の台数に限度がある場合でも、通信ユニット(10)の数を追加することで、制御ユニット(40)に接続可能な通信装置(子機20)の台数を増やすことができる。
第3の態様の通信システム(200)は、第2の態様において、制御ユニット(40)は、動作要求信号とは別に、同期指示信号を複数の通信ユニット(10)へ一斉に送信するよう構成される。複数の通信ユニット(10)は、同期指示信号を受信してから同一時間(T1)の経過後に、同期信号を送信するよう構成される。
この構成によれば、制御ユニット(40)が動作要求信号とは別に同期信号を送信し、複数の通信ユニット(10)が同期指示信号を受信したタイミングを基に同期信号を送信する。したがって、通信装置(子機20)が容易に同期処理を行うことが可能となり、複数の通信装置(子機20)同士の同期の精度を向上させることが可能となる。
第4の態様の通信システム(200)は、第2の態様において、制御ユニット(40)は、動作要求信号を複数の通信ユニット(10)へ一斉に送信するよう構成される。複数の通信ユニット(10)は、動作要求信号を受信してから同一時間(T2)の経過後に、同期信号を送信するよう構成される。
この構成によれば、制御ユニット(40)が動作要求信号を複数の通信ユニット(10)へ一斉に送信し、複数の通信ユニット(10)が同期指示信号を受信したタイミングを基に同期信号を送信する。したがって、複数の通信装置(子機20)同士の同期の精度を向上させることが可能となる。