本発明の実施形態1〜3は、親機、及び自動火災報知システムに関する。より詳細には、本発明の実施形態1〜3は、子機から送信される火災報を受信すると火災発生を報知する親機、及びそれを用いた自動火災報知システムに関する。
以下、実施形態1〜3に係る親機、及び自動火災報知ステムについて詳しく説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記の実施形態1〜3に限定されることはなく、これらの実施形態1〜3以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態1)
本実施形態の親機1は、図1に示すように、子機2と共に一対の電線31,32に電気的に接続され、一対の電線31,32を流れる電流を変化させることで子機2との間で互いに通信可能である。親機1は、受信部14と、判定部171と、調節部172と、電流制限回路112とを備えている。受信部14は、子機2から送信される信号を受信する。判定部171は、受信部14で受信した信号に応じて、火災が発生しているか否かを判定する。調節部172は、一対の電線31,32を流れる電流を調節する。電流制限回路112は、一対の電線31,32を流れる電流を制限する。
調節部172は、図2に示すように、一対の電線31,32を流れる電流の電流値が、判定部171において上記判定に用いられる火災報レベルに達し、かつ閾値に達すると、電流制限回路112を制御して一対の電線31,32を流れる電流を制限させる。
また、本実施形態の自動火災報知システム100は、図1に示すように、親機1と、一対の電線31,32に電気的に接続される子機2とを備えている。子機2は、検知部23と、送信部24とを備えている。検知部23は、火災の発生を検知する。送信部24は、一対の電線31,32を流れる電流を火災報レベルに変化させることで、火災報を親機1に送信する。
以下では、図3に示すように、本実施形態の自動火災報知システム100が集合住宅A1(たとえば、マンション)に用いられる場合を例示する。もちろん、本実施形態の自動火災報知システム100は、集合住宅A1に限らず、たとえば商業施設、病院、ホテル、雑居ビル等、様々な建物に用いられてもよい。
本実施形態の自動火災報知システム100は、図3に示すように、1台の親機1と、複数台(ここでは、16台)の子機B1〜B16とを備える。子機B1〜B16は、それぞれ一対の電線31,32により親機1に電気的に接続されている。本実施形態の自動火災報知システム100では、一対の電線31,32を1つの回線として複数(ここでは、4つ)の回線が親機1に接続されている。また、各回線には、終端抵抗C1が接続されている。以下の説明では、子機B1〜B16の各々を区別しないで説明する場合には、「子機2」として説明する。
本実施形態の自動火災報知システム100の基本構成は、一般的な自動火災報知システムと同じである。自動火災報知システム100は、たとえば、子機2により火災の発生を検知し、この子機2から親機1へ火災発生の通知(火災報)がなされるように構成されている。
また、本実施形態の自動火災報知システム100は、他装置4を連動させるための通知(連動報)を子機2から親機1が受けた際、防排煙設備や非常用放送設備等の他装置4を連動させる連動機能を有している。そのため、本実施形態の自動火災報知システム100は、火災の発生時に、防排煙設備の防火扉を制御したり、非常用放送設備にて音響又は音声により火災の発生を報知したりすることが可能である。
本実施形態の自動火災報知システム100は、P型(Proprietary-type)の自動火災報知システムを基本とする。そして、本実施形態の自動火災報知システム100では、P型の自動火災報知システムが導入されていた集合住宅において、既存の配線をそのまま使用し、親機1及び複数台の子機2を入れ替えた場合を想定する。なお、本実施形態の自動火災報知システム100は、新規に導入される自動火災報知システムとして採用することも可能である。
以下、親機1及び子機2の構成について詳細に説明する。なお、以下では、複数台の子機2のうち1台の子機2のみについて説明し、残りの子機2については、この1台の子機2と同じ構成であるため、説明を省略する。また、以下では複数の回線のうちの1つの回線に焦点を当てて説明する。
<親機の構成>
親機1は、子機2から火災報、及び連動報を受けるP型受信機である。親機1は、一例として建物(集合住宅)の管理室に設置される。
親機1は、図1に示すように、印加部11の他、抵抗12と、送信部13と、受信部14と、各種の表示を行う表示部15と、ユーザからの操作入力を受け付ける操作部16と、各部を制御する制御部17とを備えている。また、親機1は、一対の電線31,32に電気的に接続されている。
印加部11は、制御部17に制御されることにより、所定の電圧を一対の電線31,32に対して印加する。ここでは一例として、印加部11が一対の電線31,32間に印加する電圧は直流24Vとするが、この値に限定する趣旨ではない。
抵抗12は、印加部11と一対の電線31,32の少なくとも一方との間に接続されている。図2の例では、抵抗12は、一対の電線31,32のうち一方(高電位側)の電線31と印加部11との間に挿入されている。ただし、この例に限らず、抵抗12は、他方(低電位側)の電線32と印加部11との間に挿入されていてもよいし、一対の電線31,32の両方と印加部11との間にそれぞれ挿入されていてもよい。
また、抵抗12は、抵抗12を流れる電流を電圧降下により抵抗12の両端間の電位差(電圧)に変換する第1の機能と、一対の電線31,32間が短絡したときに一対の電線31,32に流れる電流を制限する第2の機能との2つの機能を有している。要するに、抵抗12は、電流−電圧変換素子としての第1の機能と、電流制限素子としての第2の機能とを兼ね備えている。ここでは一例として、抵抗12の抵抗値は470Ωとするが、この値に限定する趣旨ではない。また、以下では、「一対の電線31,32を流れる電流」を「回線電流」という。
送信部13は、抵抗12と一対の電線31,32との間に電気的に接続されている。送信部13は、調節部172(後述する)に制御されて回線電流を変化させることで、信号を子機2に送信する。つまり、送信部13は、印加部11から抵抗12に流れる電流の引き込みにより、回線電流を変化させることで、電流信号を子機2に送信する。
受信部14は、抵抗12と一対の電線31,32との間に電気的に接続されている。受信部14は、一対の電線31,32から電流を引き込むことで子機2から送信される信号を、一対の電線31,32間の電圧変化として受信する。つまり、子機2が一対の電線31,32から引き込む電流(引込電流)の電流値は、抵抗12での電圧降下の大きさに相当する。したがって、受信部14は、子機2の引込電流の電流値で表される火災報又は連動報といった信号を、電圧信号として受信する。
表示部15は、たとえばLED(Light Emitting Diode)や液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネセンスディスプレイ等を備えている。表示部15は、制御部17に制御されることで、子機2から受信した信号に含まれるデータに応じた内容を表示する。表示部15は、たとえば火災の発生や、火災の発生した階(フロア)を表示する。また、表示部15は、火災を検知した子機2の固有の識別情報(たとえば、アドレス)を取得できる場合は、当該子機2の設置場所を表示することも可能である。
制御部17は、送信部13及び受信部14を制御して、送信部13から信号を送信させたり、子機2からの信号を受信部14で受信させたりする。制御部17は、マイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。なお、プログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいが、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。
制御部17は、判定部171と、調節部172とを備えている。判定部171は、受信部14で受信した信号に応じて、火災が発生しているか否かを判定する。本実施形態では、判定部171は、子機2からの火災報を受信する(つまり、回線電流の電流値が、上記判定に用いられる火災報レベルに達する)と、火災が発生していると判定し、表示部15を制御することで表示部15に火災が発生した旨を表示させる。また、判定部171は、子機2からの連動報を受信する(つまり、回線電流の電流値が、火災報レベルよりも大きい連動報レベルに達する)と、他装置4を連動させる必要があると判定し、他装置4を制御することで他装置4を連動させる。以下の説明では、親機1が子機2からの火災報又は連動報を受信している状態を「発報状態」という。
調節部172は、回線電流を調節する。具体的には、調節部172は、電流制限回路112を制御することにより、回線電流を低下させて制限する。なお、本実施形態では、判定部171及び調節部172は、制御部17を構成するマイコンにより実現されているが、他の構成であってもよい。たとえば、判定部171と調節部172とは、それぞれ異なる装置(たとえば、マイコン)で構成されていてもよい。
本実施形態の親機1では、印加部11は、復旧回路111と、電流制限回路112とを有している。
復旧回路111は、制御部17に制御されて回線電流を変化させることにより、子機2の動作状態を初期状態に復旧させる。ここで、初期状態は、子機2が火災報及び連動報のいずれも送信していない状態(非発報状態)である。本実施形態の子機2は、火災報又は連動報を送信すると、親機1によって初期状態に復旧させられるか、又は子機2の制御部26(後述する)が火災報又は連動報の送信を停止させるまで、火災報又は連動報を送信し続ける。そこで、復旧回路111は、制御部17に制御されることにより回線電流を変化させ、一対の電線31,32間の電圧を制御部26の動作下限電圧未満にし、その後、一対の電線31,32間の電圧を制御部26の動作下限電圧以上にする。これにより、制御部26がリセットされる(つまり、子機2の動作状態が初期状態に復旧する)。リセットされた制御部26は、火災報及び連動報の送信を停止する。
電流制限回路112は、定電流回路で構成されている。定電流回路は、たとえばカレントミラー回路などの既知の回路を用いて構成することが可能である。電流制限回路112は、調節部172に制御されて一対の電線31,32から引き込む電流の電流値を調節することにより、回線電流を一定電流に低下させて制限する。本実施形態の親機1では、電流制限回路112は、印加部11の一部である。もちろん、電流制限回路112は、印加部11とは別体に設けられていてもよい。
親機1は、商用電源や自家発電設備等を主電源とする。そして、親機1は、上述したように印加部11から一対の電線31,32間に電圧を印加することにより、一対の電線31,32に接続されている子機2を含む自動火災報知システム100全体の動作用の電源として機能する。
また、親機1は、停電に際しても自動火災報知システム100の動作用の電源を確保できるように、蓄電池を用いた予備電源18をさらに備えている。印加部11は、電力の供給元を、主電源の停電時に主電源から予備電源18に自動的に切り替え、主電源の復旧時には予備電源18から主電源に自動的に切り替える。なお、本実施形態の親機1は、予備電源18を内蔵しているが、この構成に限らない。予備電源18は、親機1に外付けされていてもよい。
<子機の構成>
子機2は、図1に示すように、ダイオードブリッジ21と、電源部22と、検知部23と、送信部24と、受信部25と、制御部26と、記憶部27とを備えている。
ダイオードブリッジ21は、入力端に一対の電線31,32が電気的に接続され、出力端に電源部22、送信部24、及び受信部25が電気的に接続されている。
電源部22は、一対の電線31,32から電力を供給されることで子機2の動作用の電力を生成する。
検知部23は、たとえば煙の濃度の変化、温度の変化、一酸化炭素等のガス濃度の変化を検知することで、火災や煙の発生を検知する。
送信部24は、一対の電線31,32に電気的に接続されている。送信部24は、回線電流を変化させることで、信号を親機1に送信する。つまり、送信部24は、一対の電線31,32から電流を引き込んで変化させることで、電流信号を親機1に送信する。
受信部25は、一対の電線31,32に電気的に接続されている。受信部25は、一対の電線31,32から電流を引き込むことで親機1から送信される信号を、一対の電線31,32間の電圧変化として受信する。つまり、親機1が一対の電線31,32から引き込む電流(引込電流)の電流値は、抵抗12での電圧降下の大きさに相当する。したがって、受信部25は、親機1の引込電流の電流値で表される信号を、電圧信号として受信する。
制御部26は、送信部24及び受信部25を制御して、送信部24から信号を送信させたり、親機1からの信号を受信部25で受信させたりする。制御部26は、マイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより所望の機能を実現する。なお、プログラムは、予めメモリに書き込まれていてもよいが、メモリカードのような記録媒体に記憶されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。
制御部26は、検知部23の検知結果に応じて引込電流の電流値を調節し、回線電流を変化させることにより、送信部24から電流信号を送信させる。回線電流の変化について、図4に示す例を用いて具体的に説明する。本実施形態の子機2は、図4に示すように、引込電流の電流値を切り替えることにより、回線電流の電流値を「I0」から「I1」,「I2」,「I3」,「I4」の4段階で段階的に引き上げ可能に構成されている。ここで、電流値「I0」とは、非発報状態における、回線電流の電流値である。
時刻t0〜t3の期間において、子機2は非発報状態である。また、時刻t1〜t2の期間では、制御部26は、送信部24を制御して回線電流の電流値を「I0」と「I1」とを交互に切り替えることにより、伝送データ(たとえばアドレス)を表す伝送信号を電流信号として送信している。伝送データは、たとえば自動試験のための情報などが含まれていてもよい。なお、自動試験の項目としては、たとえば生存確認(キープアライブ)、子機2の自己診断等が含まれている。
時刻t3〜時刻t4の期間において、子機2は、火災報を親機1に送信している火災報状態である。つまり、制御部26は、検知部23の出力が第1基準値を超えると、火災と判定する。そして、制御部26は、送信部24を制御して引込電流の電流値を調節することにより、回線電流の電流値を火災報レベルに変化させる。これにより、制御部26は、火災報を親機1に送信する。ここでは、電流値「I2」が火災報レベルに相当する。
時刻t4〜時刻t5の期間では、制御部26は、回線電流の電流値を「I2」と「I3」とを交互に切り替えることにより、アドレスを含む伝送信号を電流信号として送信している。これにより、親機1は、火災報の発報元の子機2を特定することが可能となる。
時刻t6以降の期間において、子機2は、連動報を親機1に送信している連動報状態である。つまり、制御部26は、検知部23の出力が第2基準値(>第1基準値)を超えると、他装置4を連動させると判定する。そして、制御部26は、送信部24を制御して引込電流の電流値を調節することにより、回線電流の電流値を連動報レベル(>火災報レベル)に変化させる。これにより、制御部26は、連動報を親機1に送信する。ここでは、電流値「I4」が連動報レベルに相当する。
記憶部27は、子機2に予め割り当てられている識別情報(たとえば、アドレス)を少なくとも記憶する。つまり、本実施形態の自動火災報知システム100の有する複数台の子機2には、それぞれ固有の識別情報が割り当てられている。識別情報は、複数台の子機2の各々の設置場所(たとえば部屋番号)と対応付けられて親機1に登録される。
ここで、本実施形態の親機1は、停電により主電源からの電力供給が途絶えた場合、予備電源18を用いて動作する。そして、本実施形態の自動火災報知システム100のようなP型の自動火災報知システムでは、上述のように、発報状態において非発報状態よりも回線電流が増大する。つまり、このようなP型の自動火災報知システムでは、発報状態において、親機1での消費電力が非発報状態よりも増大する可能性がある。このため、予備電源18として用いる蓄電池は、停電時においても親機1が火災報又は連動報を受信できるように容量を大きくする必要があり、大型になる可能性がある。
そこで、本実施形態の親機1では、回線電流が火災報レベルに達し、かつ閾値Th1(図2参照)に達すると、調節部172が電流制限回路112を制御することで、回線電流(一対の電線31,32を流れる電流)を制限させている。
以下、本実施形態の親機1における回線電流の制限動作の一例について図2を用いて説明する。以下の説明では、閾値Th1は、回線電流の電流値「I2」よりも大きく、「I4」よりも小さい電流値である。図2に示す例では、子機2は、時刻t10において、回線電流の電流値を「I0」から「I2」まで増大させることにより、親機1に火災報を送信している。つまり、時刻t10では、回線電流の電流値は、火災報レベルに達しているが、閾値Th1には達していない。したがって、時刻t10では、調節部172は、電流制限回路112を制御しない。
その後、子機2は、時刻t11において、回線電流の電流値を「I2」から「I4」まで増大させることにより、親機1に連動報を送信している。つまり、時刻t11では、回線電流の電流値は、連動報レベルに達していることから、火災報レベルに達し、かつ閾値Th1に達している。したがって、時刻t11において、調節部172は、電流制限回路112を制御することにより、回線電流を制限させる。これにより、時刻t11から一定時間が経過した時刻t12において、回線電流の電流値は、「I4」から「I5」(I5<I4)に低下する。
上述のように、本実施形態の親機1及び自動火災報知システム100では、調節部172は、回線電流の電流値が火災報レベルに達し、かつ閾値Th1に達すると、電流制限回路112を制御して回線電流(一対の電線31,32を流れる電流)を制限させている。このため、本実施形態の親機1及び自動火災報知システム100は、子機2が火災報又は連動報を送信している状態での回線電流を低減させることができる。つまり、本実施形態の親機1及び自動火災報知システム100は、子機2が火災報又は連動報を送信している状態における消費電力を低減させることができる。したがって、本実施形態の親機1及び自動火災報知システム100では、電流制限回路112を備えない場合と比較して、予備電源18として用いる蓄電池の容量が小さくて済むので、蓄電池の小型化を図ることができる。
本実施形態の親機1では、調節部172は、子機2からの連動報を受信すると電流制限回路112に回線電流を制限させているが、他の構成であってもよい。たとえば、調節部172は、子機2からの火災報を受信すると電流制限回路112に回線電流を制限させる構成であってもよい。つまり、閾値Th1は、火災報レベルと連動報レベルとの間に設定されていてもよい。さらに言えば、閾値Th1は、火災報レベルに設定されていてもよいし、連動報レベルに設定されていてもよい。
つまり、本実施形態の親機1及び自動火災報知システム100では、閾値Th1は、火災報レベルよりも大きい連動報レベルであってもよい。ここで、子機2が連動報を送信している状態における回線電流は、子機2が火災報を送信している状態と比較して大きい。つまり、子機2が連動報を送信している状態における消費電力は、子機2が火災報を送信している状態における消費電力よりも大きくなる。本実施形態の親機1及び自動火災報知システム100は、子機2が連動報を送信している状態において回線電流を制限させるので、より効果的に消費電力を低減させることができる。なお、閾値Th1を連動報レベルに設定するか否かは任意である。
また、本実施形態の親機1は、既に述べたように、回線電流(一対の電線31,32を流れる電流)を変化させることにより、子機2の動作状態を初期状態に復旧させる復旧回路111をさらに備えている。そして、電流制限回路112は、復旧回路111の一部であってもよい。つまり、復旧回路111の回線電流を制限する機能により、電流制限回路112を実現してもよい。この構成では、電流制限回路112を別途設ける必要がないので、親機1の小型化や低コスト化を図り易い。なお、本実施形態の親機1では、復旧回路111は印加部11の一部であるが、印加部11とは別体に設けられていてもよい。
本実施形態では、親機1は、子機2からの火災報又は連動報を受信すると、回線電流の増減を問わず、発報状態を維持する。したがって、親機1は、子機2からの火災報又は連動報を受信した後に電流制限回路112により回線電流を制限されても、火災の発生を報知するという点で支障はない。
また、本実施形態では、回線電流の上限は、回線電流を制限していない通常時においては、たとえば40mAである。また、回線電流を制限している制限時においては、たとえば19mAである。
また、本実施形態の親機1では、調節部172は、回線電流の制限の開始後、少なくとも所定の期間において電流制限回路112に回線電流を制限させる構成であればよい。つまり、調節部172は、回線電流の制限の開始後、永続的に電流制限回路112に回線電流を制限させる必要はない。また、調節部172は、電流制限回路112に間欠的に回線電流を制限させる構成であってもよい。
また、本実施形態では、制限された回線電流の電流値は、親機1が備える確認灯(パイロットランプ)が点灯可能なレベルであればよい。確認灯は、たとえば発光素子としてLEDを有しており、たとえば発報状態で点灯する。
また、本実施形態の親機1では、制御部17は、子機2からの連動報を受信した後に、連動報が正しいか否かを確認する確認処理を行っている。図2に示す例では、制御部17は、連動報を受信した時刻t11から確認処理を行っている。そして、調節部172は、確認処理により連動報が正しいと判定した後の時刻t12から、電流制限回路112に回線電流を制限させている。この構成では、誤って連動報を検出することを防止し易い。なお、確認処理の結果、連動報が誤りである場合、調節部172は、電流制限回路112に回線電流を制限させない。もちろん、制御部17は、子機2からの連動報を受信しても、確認処理を行わない構成であってもよい。この場合、調節部172は、子機2からの連動報を受信すると、直ぐに電流制限回路112に回線電流を制限させる。
また、本実施形態の親機1では、調節部172は、回線で最も警戒すべきレベル(ここでは、連動報レベル)に回線電流の電流値が達した後に、電流制限回路112に回線電流を制限させている。つまり、本実施形態では、いずれかの子機2から連動報が送信されれば、他の子機2からの連動報の送信は不要である。このため、本実施形態では、調節部172は、いずれかの子機2からの連動報を受信すると、電流制限回路112に回線電流を制限させる。
また、本実施形態では、子機2は、火災報及び連動報の両方を親機1に送信することが可能な構成であるが、他の構成であってもよい。たとえば、子機2は、連動報のみを親機1に送信可能な構成であってもよい。つまり、本実施形態の親機1は、火災報及び連動報の両方を送信可能な子機2と共に用いるだけでなく、連動報のみを送信可能な子機2と共に用いることも可能である。
ところで、本実施形態の自動火災報知システム100は、子機2の他に、たとえば、発信機を含む構成であってもよい。発信機とは、たとえば、押しボタンスイッチを有し、人が火災を発見した際に押しボタンスイッチを手動で操作することによって、親機1に対して火災発生の通知を行う装置である。このような発信機が動作した場合、回線電流の電流値は、連動報レベルよりも増大するのが一般的である。このような発信機が動作した場合でも、回線電流の電流値が火災報レベルに達し、かつ閾値Th1に達するので、調節部172は、電流制限回路112に回線電流を制限させることが可能である。
また、本実施形態において、予備電源18として用いる蓄電池は、たとえば親機1に接続されている全ての回線に対して、制限した回線電流を所定時間(たとえば、30分間)継続して流し続けることが可能な容量であるのが好ましい。
(実施形態2)
以下、実施形態2の自動火災報知システム200について図5を用いて説明する。なお、本実施形態の自動火災報知システム200において、実施形態1の自動火災報知システム100と共通する構成要素については適宜説明を省略する。
本実施形態の自動火災報知システム200では、図5に示すように、実施形態1の複数台の子機2の代わりに、複数台(ここでは、2台)の子機5が一対の電線31,32に電気的に接続されている。なお、図5では、1つの回線のみ図示し、他の回線の図示を省略している。子機5は、実施形態1の子機2と基本的に同じ構成である。ただし、子機5は、実施形態1の子機2とは異なり、火災報のみ送信可能であり、連動報を送信する機能を有していない。なお、子機5の火災報レベルと、実施形態1の子機2の火災報レベルとは、同値であってもよいし、互いに異なる値であってもよい。
本実施形態の自動火災報知システム200では、親機1の調節部172は、回線電流の電流値が子機5の火災報レベルに達すると、電流制限回路112に回線電流を制限させる。つまり、本実施形態では、閾値Th1は、子機5の火災報レベルである。もちろん、調節部172は、回線電流の電流値が子機5の火災報レベルに達し、かつ閾値Th1(>子機5の火災報レベル)に達してから、電流制限回路112に回線電流を制限させてもよい。
上述のように、本実施形態の親機1は、火災報のみを送信可能な子機5と共に用いることができる。つまり、本実施形態の親機1及び自動火災報知システム200は、連動報を送信可能な子機2を用いない場合でも、回線電流を制限させることで、消費電力を低減することができる。したがって、本実施形態の親機及び自動火災報知システム200では、実施形態1と同様に、予備電源18として用いる蓄電池の容量が小さくて済むので、蓄電池の小型化を図ることができる。
ここで、親機1の調節部172は、回線電流の電流値が最も警戒すべきレベル(ここでは、火災報レベル)に達した後に、電流制限回路112に回線電流を制限させている。つまり、本実施形態では、いずれかの子機5から火災報が送信されれば、他の子機5からの火災報の送信は不要である。このため、本実施形態では、調節部172は、いずれかの子機5からの火災報を受信すると、電流制限回路112に回線電流を制限させる。
(実施形態3)
以下、実施形態3の自動火災報知システム300について図6を用いて説明する。なお、本実施形態の自動火災報知システム300において、実施形態1,2の自動火災報知システム100,200と共通する構成要素については適宜説明を省略する。
本実施形態の自動火災報知システム300では、図6に示すように、一対の電線31,32を1回線として、複数(ここでは、2つ)の回線が親機1に接続されている。複数の回線のうちの第1回線(一対の電線31A,32A)には、複数台の子機2,5が混在して接続されている。図6に示す例では、2台の子機2と、1台の子機5とが第1回線に接続されている。また、複数の回線のうちの第2回線(一対の電線31B,32B)には、複数台(ここでは、3台)の子機5が接続されている。なお、図6では、第1回線及び第2回線のみ図示し、他の回線の図示を省略している。もちろん、第1回線及び第2回線のみが親機1に接続されていてもよい。
本実施形態では、閾値Th1は、第1回線と第2回線とで異なっている。具体的には、第1回線に対する閾値Th1は、連動報レベルに設定されている。また、第2回線に対する閾値Th1は、火災報レベルに設定されている。したがって、親機1の調節部172は、第1回線においては、回線電流の電流値が連動報レベルに達すると、電流制限回路112に回線電流を制限させる。また、調節部172は、第2回線においては、回線電流の電流値が火災報レベルに達すると、電流制限回路112に回線電流を制限させる。
上述のように、本実施形態の親機1は、回線ごとに閾値Th1を異ならせている。つまり、親機1は、回線電流を制限する条件を回線ごとに異ならせている。したがって、本実施形態では、回線に応じた回線電流の制限を行うことができるので、全ての回線で閾値Th1を同じにする場合と比較して、柔軟に対応することができる。
本実施形態では、第1回線及び第2回線が親機1に接続されているが、他の構成であってもよい。つまり、本実施形態では、第1回線及び第2回線のみならず、たとえば発信機や子機2、子機5が混在する回線が親機1に接続されていてもよい。この場合でも、親機1は、回線ごとに閾値Th1を異ならせることで、柔軟に対応することが可能である。