(実施形態)
(1)概要
本実施形態に係る防災受信機1(図1及び図2参照)は、監視状態と監視中断状態とのいずれかに状態を切り替え可能である。防災受信機1は、監視状態であるか監視中断状態であるかを表示する表示部12を有している。監視状態は、防災に関連する事象をそれぞれ検知する複数の端末(感知器2A,2B,2C)の検知状態を監視する状態である。監視中断状態は、複数の端末(感知器2A,2B,2C)の少なくとも一部について検知状態を監視できない状態である。表示部12は、所定状態で複数の端末(感知器2A,2B,2C)に復旧信号を送信することに連動して、監視中断状態であることを表示する。所定状態とは、監視状態において複数の端末(感知器2A,2B,2C)の少なくとも1つから受信した検知信号に基づいて発報動作を行っている状態である。表示部12は、あるトリガ条件が成立したタイミングから復旧時間の経過後に監視状態であることを表示する。
ここにおいて、防災に関連する事象とは、例えば、火災の発生、可燃性ガス(都市ガス等)のガス漏れ、一酸化炭素等の有害なガスの発生等のうち少なくとも1つの事象を含む。発報動作とは、端末(感知器2A,2B,2C)の検知信号を受けて防災に関連する情報を報知する動作であり、例えば防災に関連する情報を音声等で出力したり、警報音を出力したり、遠隔の通報先(例えば、消防機関、セキュリティ会社等)に通報したりする動作である。復旧信号は、防災に関連する事象を検知した端末(感知器2A,2B,2C)の検知状態をリセットして、検知前の状態に復旧させるための信号である。端末(感知器2A,2B,2C)は、復旧信号を受信すると復旧処理を行っており、復旧処理を行う間は防災に関連する事象を検知する検知動作を停止する。監視中断状態は、防災に関連する事象をそれぞれ検知する複数の端末(感知器2A,2B,2C)の少なくとも一部について、検知状態を監視できない可能性がある状態である。監視中断状態は、例えば、複数の端末(感知器2A,2B,2C)の少なくとも一部が防災に関連する事象を検知する検知動作を停止しているために、検知動作を停止している端末(感知器2A,2B,2C)の検知状態を監視できなくなっている状態である。復旧時間は、複数の端末(感知器2A,2B,2C)が復旧処理を行ために必要な時間である。
本実施形態の防災受信機1の表示部12は、復旧信号を送信することに連動して監視中断状態であることを表示し、トリガ条件が成立したタイミングから復旧時間の経過後に監視状態であることを表示する。したがって、トリガ条件が成立したタイミングから表示部12が監視状態を表示するまでの時間のばらつきを低減できる。これにより、復旧信号の送信後に表示部12が監視状態であることを再度表示するまでの時間のばらつきが低減されるので、表示部12の表示に接したユーザが違和感を覚える可能性を低減できる。
(2)詳細
以下、実施形態に係る防災受信機1、及び防災受信機1を含む防災システム100について図面を参照して詳しく説明する。
(2.1)構成
本実施形態の防災受信機1を備えた防災システム100は、例えば、防災に関連する事象として、火災の発生を検知するシステムである。防災システム100は、例えば、オフィスビル、商業施設、宿泊施設、学校・教育施設、医療・福祉施設、工場、集合住宅等の建物に設置され、建物における火災の発生を検知する。なお、本実施形態の防災システム100は、戸建住宅等に設置されてもよい。
本実施形態の防災システム100は、防災受信機1と、複数の感知器2A,2B,2Cと、を備えている。本実施形態の防災システム100は、中継器3A,3Bを更に備えている。本実施形態の防災システム100は、音響装置4と、を更に備えている。尚、以下の説明において中継器3A,3Bを総称して中継器3と記載する場合もある。
防災受信機1と感知器2Aと中継器3(3A,3B)とは、一例として、R型(Record-type)の通信方式で通信を行う機器である。防災受信機1、感知器2A、及び中継器3(3A,3B)には固有のアドレスが割り当てられている。防災受信機1と感知器2Aとは、各一対の電線L1,L10を介して接続されており、電線L1,L10を介して通信を行う。防災受信機1と中継器3(3A,3B)とは、一対の電線L1を介して接続されており、電線L1を介して通信を行う。防災受信機1、感知器2A、及び中継器3(3A,3B)は、例えば、一対の電線L1,L10に流れる電流を引き込むことにより一対の電線L1,L10間の電圧を変化させて、所定の電圧値の直流電圧に伝送信号を重畳させて送信する。伝送信号はベースバンド伝送方式の信号であり、伝送信号には宛先のアドレスが含まれる。
複数の感知器2Bは、一例として、自動試験機能付P型(Proprietary-type)の感知器であり、一対の電線L21を介して中継器3Aに接続されている。複数の感知器2Bには固有のアドレスが割り当てられている。中継器3A及び感知器2Bは、例えば、一対の電線L21に流れる電流を引き込むことにより一対の電線L21間の電圧を変化させて、所定の電圧値の直流電圧に伝送信号を重畳させて送信する。伝送信号はベースバンド伝送方式の信号であり、伝送信号には宛先のアドレスが含まれる。尚、中継器3Aと感知器2Bとの間の通信方式は適宜変更が可能である。
複数の感知器2Cは、一例として、P型の感知器であり、一対の電線L22を介して中継器3Bに接続されている。中継器3B及び感知器2Cは、例えば、一対の電線L22に流れる電流を引き込むことにより一対の電線L22間の電圧を変化させて、信号を出力する。尚、中継器3Bと感知器2Cとの間の通信方式は適宜変更が可能である。本実施形態では、感知器2CはP型の感知器であり、アドレスが設定されていないので、中継器3Bと感知器2Cとの間では個別に通信を行うことができない。したがって、中継器3Bは、複数の感知器2Cのいずれかから火災の検知信号などの信号を受信した場合に送信元の感知器2Cを特定することはできない。また、中継器3Bは、複数の感知器2Cに対して復旧信号などの信号を一括して送信する。
本実施形態の防災システム100では、R型の感知器2Aが接続される電線L10と、自動試験機能付P型の感知器2Bが接続される電線L21と、P型の感知器2Cが接続される電線L22と、をそれぞれ1つの回線としている。各回線の終端には終端抵抗が接続されている。尚、自動試験機能付P型の感知器2Bが接続される回線(電線L21)には、P型の感知器2Cが接続されていてもよい。
本実施形態の防災システム100では、複数の感知器2Aの何れかが火災を検知すると、感知器2Aから電線L10,L1を介して防災受信機1へ自機のアドレスと検知信号(火災報)とを含む伝送信号が送信される。防災受信機1は、この伝送信号を受信することによって、火災の検知信号と、送信元の感知器2Aのアドレスとを取得し、火災の発生を報知する発報動作を行う。
また、複数の感知器2Bの何れかが火災を検知すると、感知器2Bから電線L21を介して中継器3Aへ自機のアドレスと検知信号(火災報)とを含む伝送信号が送信される。中継器3Aは、この伝送信号を受信すると、電線L1を介して防災受信機1へ、自機(中継器3A)のアドレスと、送信元の感知器2Bのアドレスと、検知信号(火災報)とを含む伝送信号を送信する。防災受信機1は、中継器3Aからの伝送信号を受信することによって、火災の検知信号と、送信元の中継器3Aのアドレスと、検知元の感知器2Bのアドレスとを取得し、火災の発生を報知する発報動作を行う。
また、複数の感知器2Cの何れかが火災を検知すると、感知器2Cから電線L22を介して中継器3Bへ検知信号(火災報)が出力される。中継器3Bは、感知器2Cからの検知信号を受け付けると、電線L1を介して防災受信機1へ、自機(中継器3A)のアドレスと、検知信号(火災報)とを含む伝送信号を送信する。防災受信機1は、中継器3Bからの伝送信号を受信することによって、火災の検知信号と、送信元の中継器3Bのアドレスを取得し、火災の発生を報知する発報動作を行う。
以下、防災システム100の各構成をより詳細に説明する。
(2.1.1)防災受信機
防災受信機1は、感知器2A及び中継器3A,3Bから火災の検知信号を受け付けるR型の受信機である。
防災受信機1は、図2に示すように、第1記憶部11と、表示部12と、操作部13と、第1通信部14と、第1制御部15と、を有する。
第1記憶部11は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の電気的に書き換え可能な不揮発性のメモリを含む。第1記憶部11は、電線L1,L10を介して接続される複数の感知器2A及び中継器3A,3Bのアドレス、及び中継器3Aに電線L21を介して接続される複数の感知器2Bのアドレス等を記憶する。尚、第1記憶部11は、複数の感知器2A、2Bのアドレスと、感知器2A、2Bの設置場所の情報とを対応付けて記憶する。また、第1記憶部11は、P型の感知器2Cが接続される中継器3Bのアドレスと、中継器3Bに接続された感知器2Cの設置場所との情報を対応付けて記憶する。
また、第1記憶部11は、電線L1,L10を介して接続される複数の感知器2Aの個別復旧時間に関する情報を記憶する。第1記憶部11は、電線L1を介して接続される中継器3A,3Bの個別復旧時間に関する情報を記憶する。ここで、中継器3Aの個別復旧時間は、中継器3Aの配下の感知器2Bの個別復旧時間を足し合わせた時間であり、中継器3Aの配下の感知器2Bを復旧させるのにかかる時間が中継器3Aの個別復旧時間として第1記憶部11に記憶されている。同様に、中継器3Bの個別復旧時間は、中継器3Bの配下の感知器2Cの個別復旧時間を足し合わせた時間であり、中継器3Bの配下の感知器2Cを復旧させるのにかかる時間が中継器3Bの個別復旧時間として第1記憶部11に記憶されている。中継器3Aの個別復旧時間は、中継器3Aに接続されている複数の感知器2Bの個別復旧時間に基づいて決定されるので、第1記憶部11には、中継器3Aに接続されている複数の感知器2Bの個別復旧時間に関する情報が記憶されていてもよい。中継器3Bの個別復旧時間は、中継器3Bに接続されている複数の感知器2Cの個別復旧時間に基づいて決定されるので、第1記憶部11には、中継器3Bに接続されている複数の感知器2Cの個別復旧時間に関する情報が記憶されていてもよい。感知器2A,2B,2Cがそれぞれ復旧処理を行うのに要する個別復旧時間は数百ミリ秒~数秒である。P型の受信機2Cが接続された中継器3Bは、配下の感知器2Cに一斉に復旧信号を送信するため、中継器3Bの個別復旧時間も数百ミリ秒~数秒程度である。一方、自動試験機能付P型の感知器2Bが接続された中継器3Aは、配下の感知器2Bのそれぞれを宛先として復旧信号を個別に送信するため、復旧信号の送信に時間がかかるので、中継器3Aの個別復旧時間は数十秒から数分程度となる。
第1記憶部11には、表1に示すように、防災受信機1に直接的又は間接的に接続された機器の個別復旧時間が記憶されている。尚、中継器3A,3Bの個別復旧時間は、中継器3A,3Bにそれぞれ接続された配下の感知器2B,2Cの全てが復旧処理を行うのに要する時間である。第1記憶部11には、各機器のアドレスと個別復旧時間とが対応付けて記憶されている。本実施形態の防災システム100は、R型の感知器2Aを複数備えている。複数の感知器2Aにはそれぞれ固有のアドレスが割り当てられており、第1記憶部11には、複数の感知器2Aのそれぞれの個別復旧時間が、複数の感知器2Aのアドレス(例えば「001」、「002」等)と対応付けて記憶されている。表1に示す感知器2A及び中継器3A,3Bの個別復旧時間は一例であり、個別復旧時間はこれに限定されない。
表示部12は、例えば、防災受信機1の動作状態を表示する。表示部12は、防災受信機1の状態が監視状態であるか監視中断状態であるかを表示する表示用のLED(Light Emitting Diode)121(図1参照)を有している。尚、表示部12は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示デバイスを含んでいてもよく、この表示デバイスで防災受信機1の状態が監視状態であるか監視中断状態であるかを表示してもよい。
操作部13は、複数のスイッチを有する。操作部13は、火災発生後又は火災試験後に複数の感知器2A,2B,2Cを復旧させるために操作される復旧操作部131(図1参照)を含む。操作部13は、復旧操作部131が操作されることによって、防災受信機1から感知器2A及び中継器3A,3Bに復旧信号を送信させるための復旧操作を受け付ける。
第1通信部14には電線L1が接続されている。第1通信部14は、電線L1,L10を介して、R型の感知器2Aと通信を行う。第1通信部14は、電線L1を介して、中継器3A,3Bと通信を行う。
第1制御部15は、例えば、プロセッサおよびメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、第1制御部15は、プロセッサおよびメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが所定のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが第1制御部15として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
第1制御部15は、第1通信部14を介して火災の検知信号を受け取ると、発報動作を行う。第1制御部15は、例えば防災受信機1に接続された音響装置4を鳴動させることによって、火災の発生を報知する発報動作を行う。尚、第1制御部15は、発報動作として、電気通信回線を介して建物の外部の通報先(例えば、消防機関、セキュリティ会社等)に通報する動作を行ってもよい。
第1制御部15は、第1通信部14を介して、防災受信機1に直接的又は間接的に接続されている機器のアライブチェック(生存確認)のために定期的(例えば1日ごと)に通信を行っている。第1制御部15は、アライブチェックのための定期的な通信によって、第1記憶部11に記憶された各機器(感知器2A,2B及び中継器3等)のアドレスの情報及び個別復旧時間に関する情報を更新する。したがって、防災受信機1に接続される感知器2A~2C及び中継器3に増減があれば、防災受信機1に接続される感知器2A~2C及び中継器3に応じて復旧時間が更新される。
防災受信機1は、商用電源や自家発電設備等を主電源とする。防災受信機1は、一対の電線L1,L10間に所定の電圧値の電圧を印加することによって、一対の電線L1,L10に接続されている感知器2A及び中継器3A,3B、中継器3A,3Bに接続された感知器2B,2Cの動作用の電力を供給する。つまり、防災受信機1は、防災システム100全体の動作用の電源として機能する。尚、防災受信機1が停電時にも防災システム100全体に動作用の電力を供給可能なように、蓄電池等の予備電源が用意されていればよい。
(2.1.2)中継器
中継器3A,3Bは、複数の感知器2A~2Cのうち配下にある1以上の感知器と、防災受信機1との間の通信を中継する。中継器3A,3Bは、防災受信機1から復旧信号を受信すると、複数の感知器2A~2Cのうち配下にある1以上の感知器に対して復旧信号を送信する。
中継器3A,3Bは同様の構成を有しているので、中継器3Aを例に説明を行い、中継器3Bについては説明を省略する。
中継器3Aは、第2通信部32と、第3通信部33と、第2制御部34と、変換部35と、第2記憶部31と、を有している。
第2記憶部31は、例えば、EEPROM等の電気的に書き換え可能な不揮発性のメモリを有する。第2記憶部31は、中継器3Aに割り当てられた固有のアドレス、中継器3Aに接続されている複数の感知器2Bのアドレス等を記憶する。
第2通信部32は、電線L21を介して感知器2Bに接続されている。第2通信部32は、例えば、一対の電線L21に流れる電流を引き込むことによって一対の電線L21間の電圧を変化させて、所定の電圧値の直流電圧に伝送信号を重畳させて送信する。第2通信部32は、電線L21に接続された受信機2Bに対して、復旧信号等の信号を送信する。また、第2通信部32は、感知器2Bが一対の電線L21から電流を引き込むことによって出力する信号(例えば、火災の検知信号等)を、一対の電線L21の電圧変化として取得する。尚、第2通信部32の通信方式は一例であり、適宜変更が可能である。
第3通信部33には電線L1が接続されている。第3通信部33は電線L1を介して防災受信機1との間で通信を行う。第3通信部33の通信方式は、防災受信機1の第1通信部14と同様であるので、その説明は省略する。尚、第3通信部33の通信方式は一例であり、適宜変更が可能である。
変換部35は、第2通信部32と第3通信部33との間のプロトコル変換を行う。
第2制御部34は、例えば、プロセッサおよびメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、第2制御部34は、プロセッサおよびメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが所定のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが第2制御部34として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
第2制御部34は、第2通信部32と、第3通信部33と、変換部35と、第2記憶部31と、の各々の動作を制御する。第2制御部34は、防災受信機1と、感知器2Bとの間の通信を中継する処理を行う。
第2制御部34は、感知器2Bから第2通信部32を介して受信した信号(例えば火災の検知信号等)のプロトコルを変換部35によって変換させる。第2制御部34は、第2通信部32を介して防災受信機1へ、変換部35によってプロトコルが変換された伝送信号を送信する。
また、第2制御部34は、防災受信機1から第3通信部33を介して受信した伝送信号(例えば復旧信号を含む伝送信号等)のプロトコルを変換部35によって変換させる。第2制御部34は、第2通信部32を介して、防災受信機1からの伝送信号に含まれるアドレスで指定された宛先の感知器2Bに対して、変換部35によってプロトコルが変換された伝送信号を送信する。
尚、P型の感知器2Cが接続される中継器3Bは、自動試験機能付P型の感知器3Bが接続される中継器3Aと、感知器3Cと通信する第2通信部32の構成が異なっている。中継器3Bに接続されるP型の受信機2Cにはアドレスが設定されていない。中継器3Bの第2通信部32は、一対の電線L22に流れる電流を引き込むことによって一対の電線L22間の電圧を変化させ、電圧値に応じた信号を電線L22に接続された複数の受信機2Cに一括して送信する。中継器3Bの第2通信部32は、一対の電線L22間の電圧の電圧値を例えば0V近くまで低下させ、所定時間(例えば数十ミリ秒から数秒程度の時間)の経過後に元の電圧値に戻すことで、復旧信号を複数の受信機2Cに一括して送信する。また、中継器3Bの第2通信部32は、感知器2Bが一対の電線L21から電流を引き込むことによって出力する信号(例えば、火災の検知信号等)を、一対の電線L21の電圧変化として受信する。
(2.1.3)感知器
複数の感知器2A,2B,2Cは、同様の構成を有しており、本実施形態では自動試験機能付P型の感知器2Bについて図2を参照して説明する。
感知器2Bは、第4通信部21と、第3制御部22と、第3記憶部23と、検知部24と、を有している。
第4通信部21には電線L21が接続されている。第4通信部21は、例えば、一対の電線L21に流れる電流を引き込むことによって一対の電線L21間の電圧を変化させて、所定の電圧値の直流電圧に伝送信号を重畳させて中継器3Aに送信する。第4通信部21は、中継器3Aが一対の電線L21から電流を引き込むことによって出力する信号(例えば、復旧信号等)を、一対の電線L21の電圧変化として取得する。尚、第4通信部21の通信方式は一例であり、適宜変更が可能である。
第3記憶部23は、例えばEEPROM等の電気的に書き換え可能な不揮発性のメモリを有する。第3記憶部23は、感知器2Bに割り当てられた固有のアドレス等を記憶している。
検知部24は、例えば火災に伴って発生する煙を検出する光学式の煙センサを含み、煙センサが煙を検知することによって火災の発生を検知する。検知部25は、サーミスタ等の温度センサを備えていてもよく、火災に伴って発生する熱を検知することによって火災の発生を検知してもよい。また、検知部24は、光学式の煙センサ及び温度センサを備えていてもよく、火災に伴う熱及び煙の少なくとも一方、又は熱と煙の両方を検知することで、火災の発生を検知してもよい。
第3制御部22は、例えば、プロセッサおよびメモリを有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、第3制御部22は、プロセッサおよびメモリを有するコンピュータシステムで実現されている。そして、プロセッサが所定のプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが第3制御部22として機能する。プログラムは、メモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。
第3制御部22は、検知部24が火災の発生を検知すると、第4通信部21を介して中継器3Aに自機のアドレスと火災の検知信号とを含む伝送信号を送信させる。また、第3制御部22は、火災の検知信号を出力している状態で、中継器3Aから第4通信部21を介して自機宛ての復旧信号を受信すると、火災の検知信号を出力している状態をリセットし、検知信号を出力する前の状態に戻る。
尚、R型の感知器2A、P型の感知器2Cは、自動試験機能付P型の感知器2Bと第4通信部21の通信方式が異なっている。
感知器2Aの第4通信部21は、電線L10を介して防災受信機1と接続されており、電線L10を介して防災受信機1と直接通信を行う。感知器2Aの第4通信部21の通信方式は、防災受信機1の第1通信部14と同様である。
感知器2Cの第4通信部21は、電線L22を介して中継器3Bと接続されており、電線L22を介して中継器3Bと接通信を行う。感知器2Cの第4通信部21の通信方式は、中継器3Bの第2通信部14と同様である。
(2.2)動作
本実施形態の防災システム100の動作を図3を参照して説明する。以下では、本実施形態の防災システム100の特徴部分である、火災発生後又は火災試験後の復旧動作について主に説明する。
火災が発生する前の状態、又は火災試験を行う前の状態では、防災受信機1は感知器2A,2B,2Cの検知状態を監視可能な監視状態である。防災受信機1の第1制御部15は、監視状態では、表示部12の表示用LED121を例えば点灯させて、監視状態を表示する。
実際の火災の発生時又は火災試験時に感知器2Aが火災を検知すると(S1)、感知器2Aは防災受信機1に自機のアドレスと検知信号とを含む伝送信号を送信する(S2)。
防災受信機1は、感知器2Aから当該感知器2Aのアドレスと検知信号とを含む伝送信号を受信すると、火災を報知する発報動作を行う(S3)。
また、中継器3Aの配下にある感知器2Bが火災を検知すると、当該感知器2Bは、自機のアドレスと検知信号とを含む伝送信号を中継器3Aに送信する。中継器3Aは、配下の感知器2Bからアドレスと検知信号とを含む伝送信号を受信すると(S4)、自機(中継器3A)のアドレスと検知元の感知器2Bのアドレスと検知信号とを含む伝送信号を防災受信機1に送信する(S5)。
また、中継器3Bの配下にある感知器2Cが火災を検知すると、当該感知器2Cは、一対の電線L22間の電圧を変化させることによって検知信号を中継器3Bに送信する。中継器3Bは、配下の感知器2Cからの検知信号を受信すると、自機(中継器3B)のアドレスと検知信号とを含む伝送信号を防災受信機1に送信する。
尚、感知器2A,2B,2Cが火災の検知信号を出力する順番は一例であり、実際の火災又は火災試験の状況によって変化する。
ここで、火災がなかった場合、火災が消火された場合、又は火災試験が終了した場合、ユーザは操作部13を操作して防災受信機1の発報状態を停止させる。また、ユーザは、火災の検知信号を出力した感知器2A,2B,2Cを検知前の状態(定常状態)に戻すために復旧操作部131を操作する(S6)。
防災受信機1の第1制御部15は、操作部13を介して復旧操作を受け付けると、第1通信部14を介して複数の感知器2A,2B,2Cのそれぞれを宛先として復旧信号を順次送信(ユニキャスト)する。図3の動作例では、先ず、防災受信機1の第1制御部15は、第1通信部14を介して感知器2Aに復旧信号を送信する(S7)。
防災受信機1の第1制御部15は、復旧信号の送信に連動して表示部12の表示用LED121を消灯して(S8)、監視中断状態であることを表示する。ここで、第1制御部15は、復旧信号を送信する処理と、表示用LED121を消灯させる処理とをシーケンシャルに行っている。そのため、復旧信号を送信する処理と、表示用LED121を消灯させる処理とは厳密には同時に行われないが、数百マイクロ秒から数ミリ秒の時間差で行われる。第1制御部15は、第1記憶部11に記憶されている各機器の個別復旧時間に基づいて、全ての感知器2A,2B,2Cが復旧処理を行うのにかかる復旧時間を求める。つまり、復旧時間は複数の感知器2A,2B,2Cのうち復旧信号の送信先の感知器に基づいて決定される。ここにおいて、本実施形態では、第1記憶部11に、中継器3Aの個別復旧時間として、中継器3Aの配下の感知器2Bが復旧するのに要する時間が記憶され、中継器3Bの個別復旧時間として、中継器3Bの配下の感知器2Cが復旧するのに要する時間が記憶されている。したがって、第1制御部15は、複数の中継器3Aの個別復旧時間と、中継器3A,3Bの個別復旧時間とに基づいて、復旧時間を決定している。本実施形態では、防災受信機1に直接的又は間接的に接続された感知器2A,2B,2Cの全てに復旧信号を送信するので、第1制御部15は、全ての感知器2A,2B,2Cの個別復旧時間の総和を演算することで、復旧時間を求める。換言すれば、第1制御部15は、全ての感知器2A及び中継器3A,3Bの個別復旧時間の総和を演算することで、復旧時間を求めている。第1記憶部11には、防災受信機1に接続されている感知器2A,2B及び中継器3のアドレスと個別復旧時間とが対応付けて記憶されており、この情報は定期的に更新されている。第1制御部15は、第1記憶部11に記憶されている感知器2A,2B及び中継器3の個別復旧時間に基づいて、復旧時間を予め演算していてもよく、復旧時間をその都度演算する処理が不要になる。
防災受信機1の第1制御部15は、表示部12により監視中断状態の表示を開始させると、所定のトリガ条件が成立したタイミングから復旧時間のカウントを開始する。ここで、所定のトリガ条件とは、例えば復旧信号の送信を開始するという条件であり、第1制御部15はステップS7において復旧信号の送信を開始すると復旧時間のカウントを開始する。
ステップS7において防災受信機1が感知器2Aに復旧信号を送信すると、この復旧信号は感知器2Aによって受信される。感知器2Aが火災の検知信号を出力している場合、当該感知器2Aは復旧処理を行い(S9)、火災の検知信号の出力を停止し、検知信号の出力前の状態に戻る。
防災受信機1の第1制御部15は、第1通信部14を介して配下の機器(複数の感知器2A及び中継器3A,3B)に復旧信号を個別に送信する。第1制御部15は、第1通信部14を介して配下の機器に復旧信号を順次送信すればよく、復旧信号を送信した配下の機器に復旧処理を行わせることができる。尚、復旧信号を受信した機器が、復旧処理が完了したことを示す復旧完了信号を送信する場合、防災受信機1の第1制御部15は、第1通信部14が復旧完了信号を受信してから、次の機器に復旧信号を送信してもよい。本実施形態では感知器2A,2B,2Cが復旧完了信号を送信しないので、防災受信機1の第1制御部15は、第1通信部14を介してある機器への復旧信号の送信が終了すると、次の機器への復旧信号の送信を開始する。
防災受信機1の第1制御部15が、例えば中継器3Aに対して復旧信号を送信すると(S10)、中継器3Aが配下の感知器2Bの復旧処理を行う(S11)。中継器3Aは、配下の感知器2Bに対して復旧信号を個別に送信する。感知器2Bは、復旧信号を受信すると、火災の検知信号の出力を停止し、検知信号の出力前の状態に戻る。
また、災受信機1の第1制御部15が、例えば中継器3Bに対して復旧信号を送信すると、中継器3Bが配下の感知器2Cの復旧処理を行う。中継器3Bは、配下の感知器2Cに対して復旧信号を一括して送信する。中継器3Bに接続された感知器2Cが中継器3Bから復旧信号を受信した場合、当該感知器2Cが、火災の検知信号を出力していれば、火災の検知信号の出力を停止し、検知信号の出力前の状態に戻る。
ここで、復旧時間は、全ての感知器2A,2B,2Cの個別復旧時間に基づいて決定されているので、トリガ条件が成立したタイミングから復旧時間が経過した時点では、全ての感知器2A,2B,2Cで復旧処理が完了している。よって、第1制御部15は、復旧時間のカウントを終了すると、表示部12の表示用LED121を点灯させて(S12)、監視状態が再開したことを表示する。
このように、本実施形態では、防災受信機1の第1制御部15が、第1記憶部11に記憶されている各機器の個別復旧時間に基づいて、複数の感知器2A,2B,2Cが復旧処理を行うのにかかる復旧時間を求める。そして、第1制御部15は、トリガ条件が成立してから復旧時間が経過した後に、表示部12により監視状態であることを表示させている。したがって、表示部12が監視中断状態の表示を開始してから、表示部12が監視状態の表示を再び行うまでの時間のばらつきが抑制されるので、表示部12の表示を見るユーザが違和感を覚える可能性を低減できる、という利点がある。
また、本実施形態では、複数の感知器2A,2B,2Cは、復旧信号を受信して復旧処理を行った後に、火災(事象)の検知状態のリセットが完了したことを報知する復旧完了信号を送信していない。したがって、防災受信機1は、複数の感知器2A,2B,2Cから火災(事象)の検知状態のリセットが完了したことを報知する復旧完了信号を受信しない。よって、複数の感知器2A,2B,2Cから復旧完了信号が送信される場合に比べて、通信のトラフィックを低減できる。
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、防災受信機1と同様の機能は、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、コンピュータシステムに、第1の処理と、第2の処理と、を実行させるためのプログラムである。表示部12は、防災受信機1の状態が監視状態であるか監視中断状態であるかを表示する。監視状態は、防災に関連する事象をそれぞれ検知する複数の端末(感知器2A,2B,2C)の検知状態を監視する状態である。監視中断状態は、複数の端末(感知器2A,2B,2C)の少なくとも一部について検知状態を監視できない状態である。第1の処理は、表示部12により、所定状態で複数の端末(感知器2A,2B,2C)に復旧信号を送信することに連動して、監視中断状態であることを表示させる処理である。所定状態とは、監視状態において複数の端末(感知器2A,2B,2C)の少なくとも1つから受信した検知信号に基づいて発報動作を行っている状態である。第2の処理は、表示部12により、あるトリガ条件が成立したタイミングから復旧時間の経過後に監視状態であることを表示させる処理である。
以下、上記の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における防災受信機1の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における防災受信機1の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムで読み取り可能な非一時的な記録媒体は、メモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等である。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものでもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ使い方が可能である。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
また、上記の実施形態では、防災受信機1は1つの筐体に収まる1つの装置にて実現されているが、防災受信機1の機能が複数のシステムに分散して設けられてもよい。また、防災受信機1の少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
上記の実施形態では、監視状態において表示部12の表示用LED121が点灯し、監視中断状態において表示部12の表示用LED121が消灯しているが、表示の態様はこれに限定されない。例えば、監視状態において表示部12の表示用LED121が消灯し、監視中断状態において表示部12の表示用LED121が点灯又は点滅してもよし、監視状態と監視中断状態とで表示色を変えてもよい。つまり、表示部12は、監視状態と監視中断状態とを視覚的に区別可能な状態で表示を行えばよい。
上記の実施形態では、防災受信機1の第1制御部15が復旧時間のカウントを開始するトリガ条件が復旧信号の送信を開始するという条件であったが、別の条件でもよい。防災受信機1の第1制御部15は、表示部12により監視中断状態を表示するというトリガ条件が成立すると、復旧時間のカウントを開始してもよい。また、防災受信機1の第1制御部15は、複数の感知器2A,2B,2Cへの復旧信号の送信が完了するというトリガ条件が成立すると、復旧時間のカウントを開始してもよい。この場合の復旧時間は、最後に復旧信号が送信された機器(感知器2A又は中継器3A,3B)が復旧処理を行うのに要する個別復旧時間となる。
上記の実施形態では、防災受信機1に、中継器3Aを介して自動試験機能付P型の感知器2Bが接続され、中継器3Bを介してP型の感知器2Cが接続されているが、防災システム100の構成はこれに限定されない。図4に示すように、防災受信機1Aに、電線L11を介して複数のR型の受信機2Aが接続され、電線L12を介して複数のR型の受信機2Aが接続されていてもよい。
上記の実施形態では、防災受信機1の第1制御部15が、複数の感知器2A,2B,2Cの個別復旧時間の総和を復旧時間として求めているが、複数の感知器2A,2B,2Cのそれぞれに優先度が付けられていてもよい。また、上記の実施形態のように防災システム100が中継器3を更に備える場合、複数の感知器2A,2B,2C及び中継器3(3A,3B)のそれぞれに優先度が付けられていてもよい。そして、防災受信機1の第1制御部15は、複数の感知器2A,2B,2C及び中継器3の個別復旧時間とその優先度とに基づいて復旧時間を決定してもよい。例えば、上記の実施形態では、自動試験機能付P型の感知器2Bが接続される中継器3Aの個別復旧時間が、感知器2A,2C及び中継器3Bの個別復旧時間に比べて長いので、中継器3Aの優先度が、感知器2A,2C及び中継器3Bの優先度よりも高く設定されている。この場合、第1制御部15は、感知器2A,2C及び中継器3Bに比べて優先度が高い中継器3Aの個別復旧時間に基づいて、復旧時間を決定する。第1制御部15は、表示部12により、上記の条件が成立したタイミングから復旧時間(中継器3Aの個別復旧時間)の経過後に監視状態を表示させており、監視中断状態を表示してから監視状態を表示するまでの時間のばらつきを低減できる。また、他の感知器2A,2C及び中継器3Bの個別復旧時間に比べて十分に長い中継器3Aの個別復旧時間に基づいて復旧時間を決定しているので、第1制御部15は復旧時間を簡易的に決定できる。
尚、複数の感知器2A,2B,2Cの中でも優先度を決定してもよく、例えば複数の感知器2A,2B,2Cの中で個別復旧時間が長い感知器ほど優先度を高くするように各感知器に優先度を付けてもよい。
また、上記の実施形態では、防災受信機1の第1制御部15が、複数の感知器2A,2B,2Cの全てに復旧信号を送信しているが、火災の検知信号を出力した感知器2A,2B,2Cのみに復旧信号を送信してもよい。防災受信機1の第1制御部15は、火災の検知信号と共に受信したアドレスに基づいて、複数の感知器2A,2B,2Cのうち火災の検知信号を出力している感知器を判別できる。したがって、防災受信機1の第1制御部15は、複数の感知器2A,2B,2Cのうち火災の検知信号を出力している感知器のみに復旧信号を送信してもよく、通信のトラフィックを低減できる。この場合、防災受信機1の第1制御部15は、複数の感知器2A,2B,2Cのうち火災の検知信号を出力した感知器、つまり復旧信号の送信先の感知器の個別復旧時間に基づいて復旧信号を決定すればよい。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の防災受信機(1)は、監視状態と監視中断状態とのいずれかに状態を切り替え可能である。防災受信機(1)は、防災受信機(1)の状態が監視状態であるか監視中断状態であるかを表示する表示部(12)を有する。監視状態は、防災に関連する事象をそれぞれ検知する複数の端末(2A,2B,2C)の検知状態を監視する状態である。監視中断状態は、複数の端末(2A,2B,2C)の少なくとも一部について検知状態を監視できない状態である。表示部(12)は、所定状態で複数の端末(2A,2B,2C)に復旧信号を送信することに連動して、監視中断状態であることを表示する。所定状態とは、監視状態において複数の端末(2A,2B,2C)の少なくとも1つから受信した検知信号に基づいて発報動作を行っている状態である。表示部(12)は、あるトリガ条件が成立したタイミングから復旧時間の経過後に監視状態であることを表示する。
この態様によれば、防災受信機(1)の表示部(12)は、復旧信号を送信することに連動して監視中断状態であることを表示し、トリガ条件が成立したタイミングから復旧時間の経過後に監視状態であることを表示する。したがって、トリガ条件が成立したタイミングから表示部(12)が監視状態を表示するまでの時間のばらつきを低減できる。これにより、復旧信号の送信後に表示部(12)が監視状態であることを再度表示するまでの時間のばらつきが低減されるので、表示部(12)の表示に接したユーザが違和感を覚える可能性を低減できる。
第2の態様の防災受信機(1)では、第1の態様において、トリガ条件は、第1条件、第2条件、及び第3条件のうちのいずれかである。第1条件は、復旧信号の送信を開始するという条件である。第2条件は、監視中断状態を表示するという条件である。第3条件は、復旧信号の送信が完了するという条件である。
この態様によれば、復旧信号の送信後に表示部(12)が監視状態であることを再度表示するまでの時間のばらつきが低減される。
第3の態様の防災受信機(1)では、第1又は第2の態様において、復旧時間は、複数の端末(2A,2B,2C)のうち復旧信号の送信先の端末(2A,2B,2C)に基づいて決定される。
この態様によれば、復旧信号の送信先の端末(2A,2B,2C)に基づいて復旧時間が決定されるので、端末(2A,2B,2C)の種類、数等に基づいて復旧時間を最適に設定できる。
第4の態様の防災受信機(1)では、第1~第3のいずれかの態様において、複数の端末(2A,2B,2C)のそれぞれに優先度が付けられている。復旧時間は、複数の端末(2A,2B,2C)のうち復旧信号の送信先の端末(2A,2B,2C)と、送信先の端末(2A,2B,2C)に付けられた優先度とに基づいて決定される。
この態様によれば、複数の端末(2A,2B,2C)に付けられた優先度を考慮して復旧時間を決定できる。
第5の態様の防災受信機(1)では、第1~第4のいずれかの態様において、複数の端末(2A,2B,2C)から事象の検知状態のリセットが完了したことを報知する復旧完了信号を受信しない。
この態様によれば、複数の端末(2A,2B,2C)から復旧完了信号が送信される場合に比べて、通信のトラフィックを低減できる。
第6の態様の防災受信機(1)は、第1~第5のいずれかの態様において、複数の端末(2A,2B,2C)のそれぞれを宛先として復旧信号を送信する。
この態様によれば、検知信号を出力した端末(2A,2B,2C)だけに復旧信号を送信するので通信のトラフィックを低減できる。
第7の態様の防災システム(100)は、複数の端末(2A,2B,2C)と、第1~第6のいずれかの態様の防災受信機(1)と、を含む。
この態様によれば、トリガ条件が成立したタイミングから表示部(12)が監視状態を表示するまでの時間のばらつきを低減できる。これにより、復旧信号の送信後に表示部(12)が監視状態であることを再度表示するまでの時間のばらつきが低減される。
第8の態様の防災システム(100)は、第7の態様において、中継器(3)を更に含む。中継器(3)は、複数の端末(2A,2B,2C)のうち配下にある1以上の端末(2B,2C)と、防災受信機(1)との間の通信を中継する。中継器(3)は、防災受信機(1)から復旧信号を受信すると、配下にある1以上の端末(2B,2C)に対して復旧信号を送信する。
この態様によれば、防災受信機(1)と直接通信する機能を有していない端末(2B,2C)に対して、中継器(3)を介して復旧信号を送信することができる。
第9の態様のプログラムは、コンピュータシステムに、第1の処理と、第2の処理とを実行させるためのプログラムである。表示部(12)は、防災受信機(1)の状態が監視状態であるか監視中断状態であるかを表示する。監視状態とは、防災に関連する事象をそれぞれ検知する複数の端末(2A,2B,2C)の検知状態を監視する状態である。監視中断状態とは、複数の端末(2A,2B,2C)の少なくとも一部について検知状態を監視できない状態である。第1の処理は、所定状態で複数の端末(2A,2B,2C)に復旧信号を送信することに連動して、監視中断状態であることを表示部(12)に表示させる処理である。所定状態とは、監視状態において複数の端末(2A,2B,2C)の少なくとも1つから受信した検知信号に基づいて発報動作を行っている状態である。第2の処理は、あるトリガ条件が成立したタイミングから復旧時間の経過後に監視状態であることを表示部(12)に表示させる処理である。
この態様によれば、トリガ条件が成立したタイミングから表示部(12)が監視状態を表示するまでの時間のばらつきを低減できる。これにより、復旧信号の送信後に表示部(12)が監視状態であることを再度表示するまでの時間のばらつきが低減される。
上記態様に限らず、上記の実施形態に係る防災受信機(1)の種々の構成(変形例を含む)は、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化可能である。
第2~第6の態様に係る構成については、防災受信機(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。第8の態様に係る構成については防災システム(100)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。