(実施形態1)
以下では、実施形態1の通信装置10について、図1および図2を参照しながら説明する。
通信装置10は、図1に示すように、第1送信部11と、第1制御部12とを備えている。
第1送信部11は、一対の電線51A,51B間に印加された電圧Vtの電圧値を第1電圧値V1(図3A参照)と第2電圧値V2(図3A参照)とに交互に切り替えることで、複数ビットの通信データを有する通信信号S1を送信するように構成されている。第2電圧値V2は、第1電圧値V1よりも小さく設定されている。第1電圧値V1は、例えば、24Vであるが、この値に限定されない。第2電圧値V2は、例えば、21Vであるが、この値に限定されない。なお、以下では、説明の便宜上、一対の電線51A,51B間に印加された電圧Vtを「待機電圧Vt」と称し、通信信号S1を「第1通信信号S1」と称し、通信信号S1の通信データを「第1通信データ」と称することもある。
第1制御部12は、第1送信部11を制御するように構成されている。第1制御部12は、第1通信信号S1における上記複数ビットのうち最小のビット幅を有するビット(図3Aの例では、1ビット)に対して、待機電圧Vtの電圧値が閾値Vs1以下となる時間T1が、所定時間以上であるように第1送信部11を制御する。閾値Vs1は、例えば、第1電圧値V1よりも小さく、かつ、第2電圧値V2よりも大きく設定されている。閾値Vs1は、例えば、22Vの値に設定されている。なお、以下では、説明の便宜上、閾値Vs1を、「第1閾値Vs1」と称する。また、最小のビット幅を有するビットは、1ビットに限らず、2ビット以上であってもよい。
以下では、通信装置10を備えた通信システム100について、図1および図2に基づいて説明する。
通信システム100は、例えば、自動火災報知システムである。通信システム100は、例えば、集合住宅(マンション)に適用される。
通信システム100は、例えば、1台の親機1と、複数台(図2では、16台)の子機2とを備えている。
親機1は、第1送信部11と、第1制御部12とを備えている。すなわち、親機1は、通信装置10の機能を備えている。なお、親機1および複数台の子機2それぞれの詳細については、後述する。
本実施形態では、例えば、図2に示すように、1棟の集合住宅90に対して、1台の親機1と、16台の子機2(子機101〜116)とが設置されている。また、本実施形態では、例えば、集合住宅90の1階〜4階のフロア毎に設置された一対の電線51A,51Bを用いて、親機1と16台の子機2とが電気的に接続されている。要するに、集合住宅90では、2本1組(2線式)の電線51A,51Bが、4組設けられている。
また、本実施形態では、フロア毎に設置された一対の電線51A,51Bの終端に、終端抵抗3が電気的に接続されている。なお、終端抵抗3は、必須の構成ではなく、省略されていてもよい。また、以下では、説明の便宜上、16台の子機101〜116の各々を特に区別しない場合、単に、「子機2」と称する。
通信システム100の基本構成は、一般的な自動火災報知システムと同じである。
通信システム100は、例えば、子機2により火災の発生を検知し、この子機2から親機1へ火災発生の通知(火災報)がなされるように構成されている。なお、子機2は、火災の発生を検知する構成に限らず、例えば、発信機等を含む構成であってもよい。発信機とは、例えば、押しボタンスイッチを有し、人が火災を発見した際に押しボタンスイッチを手動で操作することによって、親機1に対して火災発生の通知を行う装置を意味する。
ところで、自動火災報知システムとしては、一般に、P型(Proprietary-type)の自動火災報知システムと、R型(Record-type)の自動火災報知システムとが存在する。P型の自動火災報知システムは、子機が一対の電線間を短絡することで、子機から親機へ火災発生の通知を行うように構成されている。R型の自動火災報知システムは、子機が通信により親機へ火災発生の通知を行うように構成されている。
通信システム100は、P型の自動火災報知システムを基本とする。本実施形態では、P型の自動火災報知システムが導入されていた集合住宅90において、既存の配線(フロア毎に設置された一対の電線51A,51B)をそのまま使用し、親機1および複数台の子機2を入れ替えた場合を想定する。なお、通信システム100は、新規に導入される自動火災報知システムとして採用することも可能である。
以下では、親機1および複数台の子機2それぞれの詳細について、図1および図3A〜図3Cに基づいて説明する。なお、以下では、複数台の子機2のうち1台の子機2のみについて説明し、残りの子機2については、この1台の子機2と同じ構成であるため、説明を省略する。
親機1は、子機2から火災発生の通知(火災報)を受けるように構成されている。また、親機1は、第1通信信号S1を子機2へ送信するように構成されている。この親機1は、例えば、主電源として商用電源を用いて、親機1を動作させるように構成されている。親機1は、例えば、集合住宅90の管理室等に設置される。なお、親機1は、主電源として商用電源を用いているが、これに限らず、例えば、自家発電設備等を用いてもよい。
親機1は、第1送信部11と、第1制御部12とを備えている。また、親機1は、例えば、印加部13と、抵抗14と、第1受信部15と、操作部16と、表示部17と、予備電源18と、一対の接続端子19A,19Bとを、さらに備えている。親機1では、一対の接続端子19A,19Bに、一対の電線51A,51Bが電気的に接続される。
第1送信部11は、待機電圧Vtの電圧値を第1電圧値V1と第2電圧値V2とに交互に切り替えることで、第1通信信号S1を子機2へ送信するように構成されている。具体的に説明すると、第1送信部11は、後述の印加部13における一対の出力端13A,13Bから電流を引き込むことで待機電圧Vtが時間経過に伴って変化した電圧信号(図3A参照)を、第1通信信号S1として子機2へ送信するように構成されている。第1送信部11は、一対の接続端子19A,19Bと電気的に接続されている。
第1制御部12は、第1送信部11を制御するように構成されている。また、第1制御部12は、印加部13および表示部17を各別に制御するように構成されている。第1制御部12は、第1送信部11、印加部13および表示部17と電気的に接続されている。
第1制御部12は、例えば、マイクロコンピュータ(以下、「第1マイクロコンピュータ」)である。第1マイクロコンピュータは、メモリ(以下、「第1メモリ」)を備えている。第1メモリには、プログラム(以下、「第1プログラム」)が予め記憶されている。第1プログラムには、例えば、親機1を動作させる動作モード等が記述されている。なお、第1制御部12は、第1マイクロコンピュータに限らず、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等であってもよい。また、第1プログラムは、第1メモリに予め記憶されているが、これに限らず、例えば、記憶媒体(例えば、メモリカード等)または電気通信回線等を用いて第1メモリに記憶させてもよい。
印加部13は、待機電圧Vtを一対の接続端子19A,19B間に印加するように構成されている。待機電圧Vtは、直流電圧である。
印加部13は、一対の出力端13A,13Bを備えている。印加部13では、出力端(以下、「第1出力端」)13Aが高電位側の出力端であり、出力端(以下、「第2出力端」)13Bが低電位側の出力端である。
第1出力端13Aは、抵抗14を介して、接続端子19Aと電気的に接続されている。また、第1出力端13Aは、抵抗14を介して、第1送信部11と電気的に接続されている。さらに、第1出力端13Aは、抵抗14を介して、第1受信部15と電気的に接続されている。
第2出力端13Bは、接続端子19Bと電気的に接続されている。また、第2出力端13Bは、第1送信部11と電気的に接続されている。さらに、第2出力端13Bは、第1受信部15と電気的に接続されている。
抵抗14は、この抵抗14に流れる電流を、上記電流に対応する電圧に変換する機能(第1機能)と、一対の電線51A,51B間が短絡されたときに一対の電線51A,51Bに流れる電流を制限する機能(第2機能)とを備えている。要するに、抵抗14は、電流−電圧変換素子としての第1機能と、電流制限素子としての第2機能とを兼ね備えている。抵抗14の抵抗値は、例えば、400Ωであるが、この値に限らず、600Ω等であってもよい。なお、抵抗14は、第1出力端13Aと接続端子19Aとの間に設けられているが、第2出力端13Bと接続端子19Bとの間に設けられていてもよい。また、抵抗14は、印加部13と一対の接続端子19A,19Bの少なくとも一方の接続端子(図1では、接続端子19A)との間に設けられていればよい。
第1受信部15は、子機2から火災発生の通知(火災報)を受けるように構成されている。第1受信部15は、第1制御部12と電気的に接続されている。第1制御部12は、第1受信部15で受けた火災報が入力されるように構成されている。なお、第1受信部15の詳細については、後述する。
操作部16は、例えば、人からの操作入力を受け付けるように構成されている。操作部16は、第1制御部12と電気的に接続されている。第1制御部12は、操作部16により操作入力された指示が入力されるように構成されている。
表示部17は、例えば、火災発生等の情報を表示するように構成されている。表示部17は、例えば、液晶ディスプレイ等である。第1制御部12は、例えば、第1受信部15から火災報が入力されたとき、表示部17が火災発生等の情報を表示するように、表示部17を制御する。なお、表示部17は、火災発生の情報だけに限らず、例えば、火災発生場所等の情報も表示するように構成されていてもよい。また、表示部17は、例えば、操作部16により操作入力された指示等の情報を表示するように構成されていてもよい。この場合、第1制御部12は、操作部16から上記指示が入力されたとき、表示部17が上記指示等の情報を表示するように、表示部17を制御する。
予備電源18は、例えば、蓄電池である。
親機1は、非常用電源として予備電源18を用いて、親機1を動作させるように構成されている。これにより、親機1では、例えば、商用電源の停電時に、親機1を動作させることが可能になる。
子機2は、親機1に対して火災発生の通知を行うように構成されている。また、子機2は、親機1からの第1通信信号S1を受信するように構成されている。子機2は、例えば、集合住宅90の住戸等に設置される。
子機2は、例えば、ダイオードブリッジ21と、電源部22と、センサ23と、第2送信部24と、第2受信部25と、第2制御部26と、一対の接続端子27A,27Bとを備えている。子機2では、一対の接続端子27A,27Bに、一対の電線51A,51Bが電気的に接続される。
ダイオードブリッジ21は、一対の接続端(以下、「第1接続端」)21A,21Bと、一対の接続端(以下、「第2接続端」)21C,21Dとを備えている。
一対の第1接続端21A,21Bのうち高電位側の第1接続端21Aは、接続端子27Aと電気的に接続されている。一対の第1接続端21A,21Bのうち低電位側の第1接続端21Bは、接続端子27Bと電気的に接続されている。
一対の第2接続端21C,21Dのうち高電位側の第2接続端21Cは、電源部22と電気的に接続されている。また、高電位側の第2接続端21Cは、第2送信部24と電気的に接続されている。さらに、高電位側の第2接続端21Cは、第2受信部25と電気的に接続されている。一対の第2接続端21C,21Dのうち低電位側の第2接続端21Dは、子機2のグランドと電気的に接続されている。
電源部22は、ダイオードブリッジ21における一対の第2接続端21C,21D間の電圧(以下、「両端電圧」)Vrから、子機2を動作させる電圧(動作電圧)を生成するように構成されている。電源部22は、子機2のグランドと電気的に接続されている。
センサ23は、例えば、火災の発生を検知するように構成されている。センサ23は、第2制御部26と電気的に接続されている。第2制御部26は、センサ23により火災の発生が検知されると、センサ23の検知結果が入力されるように構成されている。なお、センサ23は、火災の発生を検知するように構成されているが、この構成に限らず、例えば、煙の発生を検知するように構成されていてもよい。また、センサ23は、例えば、火災および煙の発生を検知するように構成されていてもよい。
第2送信部24は、親機1に対して火災発生の通知を行うように構成されている。なお、第2送信部24の詳細については、後述する。
第2受信部25は、親機1からの第1通信信号S1を受信するように構成されている。第2受信部25は、第2制御部26と電気的に接続されている。第2制御部26は、第2受信部25により受信された第1通信信号S1が入力されるように構成されている。なお、第2受信部25の詳細については、後述する。
第2制御部26は、第2送信部24を制御するように構成されている。第2制御部26は、第2送信部24と電気的に接続されている。
第2制御部26は、例えば、マイクロコンピュータ(以下、「第2マイクロコンピュータ」)である。第2マイクロコンピュータは、メモリ(以下、「第2メモリ」)を備えている。第2メモリには、プログラム(以下、「第2プログラム」)が予め記憶されている。第2プログラムには、例えば、子機2を動作させる動作モード等が記述されている。
第2制御部26は、センサ23の検知結果が入力されたとき、第2送信部24が親機1に対して火災発生の通知(火災報)を行うように、第2送信部24を制御する。
また、第2制御部26は、第2受信部25から第1通信信号S1が入力されると、第1通信信号S1の第1通信データに従って、動作するように構成されている。これにより、通信システム100では、例えば、通常時(非発報時)に、第1通信信号S1を用いて親機1から子機2へ通信を行うことによって、親機1と子機2との間の通信状況や子機2の動作等の自動試験を実施することが可能になる。また、通信システム100では、非発報時に、第1通信信号S1を用いて親機1から子機2へ通信を行うことによって、上述の自動試験を実施するだけに限らず、親機1から子機2へ様々な情報を送信することが可能になる。言い換えれば、通信システム100では、非発報時に、第1通信信号S1を用いて親機1から子機2へ通信を行うことによって、様々な機能を付加することが可能になる。
なお、第2制御部26は、第2マイクロコンピュータに限らず、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ等であってもよい。また、第2プログラムは、第2メモリに予め記憶されているが、これに限らず、例えば、記憶媒体(例えば、メモリカード等)または電気通信回線等を用いて第2メモリに記憶させてもよい。
第2送信部24は、火災報回路41を備えている。火災報回路41は、火災報を発生するように構成されている。
火災報回路41は、第2制御部26と電気的に接続されている。第2制御部26は、センサ23の検知結果が入力されたとき、火災報回路41が火災報を発生するように、火災報回路41を制御する。
火災報回路41は、一対の電線51A,51B間に印加された電圧(待機電圧)Vtの電圧値を、例えば、第1電圧値V1から第3電圧値V3(図3A参照)へ降圧するように構成されている。第3電圧値V3は、第2電圧値V2よりも小さく設定されている。
具体的に説明すると、火災報回路41は、ダイオードブリッジ21における一対の第2接続端21C,21Dから電流を引き込むことで、待機電圧Vtに対応する両端電圧Vrを降圧するように構成されている。火災報回路41は、ダイオードブリッジ21における高電位側の第2接続端21Cと電気的に接続されている。また、火災報回路41は、子機2のグランドと電気的に接続されている。
火災報回路41は、両端電圧Vrを降圧することで、例えば、待機電圧Vtの電圧値を第1電圧値V1から第3電圧値V3に変化させることが可能になる。これにより、第2送信部24では、親機1に対して火災発生の通知を行うことが可能となる。言い換えれば、子機2では、親機1に対して火災発生の通知を行うことが可能となる。
第1受信部15は、一対の接続端子19A,19B間に印加された電圧(待機電圧Vt)の電圧値を検出することで、子機2から火災発生の通知を受けるように構成されている。具体的に説明すると、第1受信部15は、例えば、待機電圧Vtの電圧値が第1電圧値V1から第3電圧値V3に変化したとき、子機2から火災発生の通知(火災報)を受けるように構成されている。これにより、第1制御部12では、第1受信部15から火災報が入力されたとき、表示部17に火災発生等の情報を表示させることが可能になる。
第2受信部25は、待機電圧Vtに対応する両端電圧Vrの電圧値を検出することで、親機1からの第1通信信号S1を受信するように構成されている。具体的に説明すると、第2受信部25は、第1送信部11により変化させた待機電圧Vtに対応する両端電圧Vrが時間経過に伴って変化した電圧信号(図3B参照)を、第1通信信号S1として受信するように構成されている。なお、以下では、説明の便宜上、両端電圧Vrが時間経過に伴って変化した電圧信号を、「受信信号」と称する。
ところで、第1制御部12は、第1通信信号S1における上記複数ビットのうち最小のビット幅を有するビットに対して、待機電圧Vtの電圧値が第1閾値Vs1(図3A参照)以下となる時間T1が、所定時間以上であるように第1送信部11を制御する。図3Aの例では、最小のビット幅を有するビットが、1ビットである。
所定時間は、通信システム100内で最大の波形なまりが存在する受信信号(図3B参照)における複数ビットのうち全ての1ビット(図3C参照)に対して、両端電圧Vrの電圧値が閾値Vs2以下である時間T2が、規定時間以上となるように設定されている。上記規定時間は、第2受信部25により第1通信信号S1の第1通信データを正確に受信できる、最短の時間である。本実施形態では、上記規定時間が、例えば、300msの時間に設定されている。閾値Vs2は、例えば、21Vの値に設定されている。なお、以下では、説明の便宜上、閾値Vs2を、「第2閾値Vs2」と称する。
具体的に説明すると、所定時間は、例えば、親機1から最も遠い子機2(図2では、子機104,116)で受信された受信信号における複数ビットのうち全ての1ビットに対して、時間T2が上記規定時間以上となるように、設定されている。本実施形態では、所定時間が、例えば、300msの時間に設定されている。
通信システム100では、一対の電線51A,51Bの抵抗成分および容量成分に起因して第1通信信号S1の波形(立ち上がり波形および立ち下がり波形)がなまっても、第2受信部25が、第1通信信号S1の第1通信データを正確に受信することが可能になる。よって、親機1では、一対の電線51A,51Bを介して子機2に、第1通信信号S1を正確に送信することが可能となり、通信エラーが発生するのを抑制することが可能になる。すなわち、通信装置10では、通信エラーが発生するのを抑制することが可能になる。
子機2は、例えば、親機1に対して火災発生の通知(火災報)を行うときに、複数ビットの通信データ(以下、「第2通信データ」)を有する通信信号(以下、「第2通信信号」)S2を親機1へ送信するように構成されていてもよい。
第2送信部24は、送信回路42を、さらに備えている。送信回路42は、ダイオードブリッジ21における高電位側の第2接続端21Cと電気的に接続されている。また、送信回路42は、子機2のグランドと電気的に接続されている。
送信回路42は、第1送信部11と同様の機能を備えている。送信回路42は、一対の電線51A,51B間に印加された電圧(待機電圧)Vtの電圧値を第3電圧値V3と第4電圧値とに交互に切り替えることで、子機2から親機1へ第2通信信号S2を送信するように構成されている。第4電圧値は、第3電圧値V3よりも小さく設定されている。
具体的に説明すると、送信回路42は、ダイオードブリッジ21における一対の第2接続端21C,21Dから電流を引き込むことで、待機電圧Vtに対応する両端電圧Vrを時間経過に伴って変化させるように構成されている。これにより、送信回路42では、待機電圧Vtの電圧値を、例えば、第3電圧値V3と第4電圧値とに交互に切り替えることが可能となる。よって、送信回路42では、送信回路42では、子機2から親機1へ第2通信信号S2を送信することが可能になる。
第2制御部26は、送信回路42を制御するように構成されている。第2制御部26は、送信回路42と電気的に接続されている。
第2制御部26は、センサ23の検知結果が入力されたとき、子機2が第2通信信号S2を親機1へ送信するように、送信回路42を制御する。
子機2は、例えば、記憶部28を、さらに備えている。記憶部28は、第2制御部26と電気的に接続されている。記憶部28には、例えば、子機2に予め割り当てられた識別子(アドレス)が記憶されている。
本実施形態では、複数台の子機2の各々に、固有の識別子が予め割り当てられている。複数の識別子は、複数台の子機2の設置場所(例えば、住戸番号)に、1対1で対応付けられている。また、本実施形態では、第1制御部12の第1メモリに、複数台の子機2それぞれに予め割り当てられた識別子が記憶されている。
第2制御部26は、センサ23の検知結果が入力されたとき、記憶部28に記憶された識別子を読み込み、子機2が、この識別子に対応する第2通信データを有する第2通信信号S2を親機1へ送信するように、送信回路42を制御する。要するに、第2通信信号S2は、火災の発生場所等の情報を含む信号である。
第1受信部15は、子機2からの第2通信信号S2を受信するように構成されている。第1制御部12は、第1受信部15により受信された第2通信信号S2が入力されるように構成されている。これにより、第1制御部12では、第1受信部15から第2通信信号S2が入力されたとき、表示部17に火災の発生場所等の情報を表示させることが可能になる。すなわち、通信システム100では、火災発生時(発報時)に、第2通信信号S2を用いて子機2から親機1へ通信を行うことによって、親機1が、一対の電線51A,51Bの組単位ではなく、子機2単位で発報元を特定することが可能になる。
子機2は、親機1に対して火災発生の通知を行うとき(発報時)に、第2通信信号S2を親機1へ送信するように構成されているが、この構成に限らない。子機2は、親機1に対して火災発生の通知を行うとき以外(非発報時)に、第2通信信号S2を親機1へ送信するように構成されていてもよい。この場合、送信回路42は、一対の電線51A,51B間に印加された電圧(待機電圧)Vtの電圧値を第1電圧値V1と第2電圧値V2とに交互に切り替えることで、子機2から親機1へ第2通信信号S2を送信するように構成される。これにより、通信システム100では、非発報時に、第2通信信号S2を用いて子機2から親機1へ通信を行うことによって、子機2から親機1へ様々な情報を送信することが可能になる。言い換えれば、通信システム100では、非発報時に、第2通信信号S2を用いて子機2から親機1へ通信を行うことによって、様々な機能を付加することが可能になる。つまり、通信システム100は、P型の自動火災報知システムでありながらも、一対の電線51A,51B間に印加された電圧(待機電圧)Vtの電圧値を調節可能な子機2を用いることで、R型の自動火災報知システムと同様の機能が、付加される。
ところで、子機2は、親機1と同様に、通信装置10の機能を備えていてもよい。この場合、第2制御部26は、第2通信信号S2における複数ビットのうち最小のビット幅を有するビットに対して、待機電圧Vtの電圧値が第1閾値Vs1以下となる時間が所定時間以上であるように、第2送信部24の送信回路42を制御する。これにより、通信システム100では、一対の電線51A,51Bの抵抗成分および容量成分に起因して第2通信信号S2の波形がなまっても、第1受信部15が、第2通信信号S2の第2通信データを正確に受信することが可能になる。よって、子機2では、一対の電線51A,51Bを介して親機1に、第2通信信号S2を正確に送信することが可能となり、通信エラーが発生するのを抑制することが可能になる。
なお、親機1では、操作部16と表示部17とが別体に設けられているが、操作部16と表示部17とが一体に設けられていてもよい。
また、子機2は、記憶部28を備えているが、記憶部28を備えていなくてもよい。この場合、子機2は、第2制御部26の第2メモリに、子機2に予め割り当てられた識別子が記憶される。
また、通信システム100は、集合住宅に適用されているが、これに限らず、例えば、商用施設、病院、ホテル、雑居ビル等の様々な建物に適用されてもよい。また、通信システム100は、自動火災報知システムであるが、これに限らず、例えば、照明制御システム等であってもよい。
以上説明した実施形態1の通信装置10は、待機電圧Vtの電圧値を第1電圧値V1と第2電圧値V2とに交互に切り替えることで、通信信号S1を送信する送信部(第1送信部)11と、送信部11を制御する制御部(第1制御部)12とを備えている。待機電圧Vtは、一対の電線51A,51B間に印加された電圧である。第2電圧値V2は、第1電圧値V1よりも小さい。通信信号S1は、複数ビットの通信データ(第1通信データ)を有する。制御部12は、通信信号S1における上記複数ビットのうち最小のビット幅を有するビットに対して、待機電圧Vtの電圧値が閾値Vs1以下となる時間T1が所定時間以上であるように、送信部11を制御する。これにより、通信装置10では、例えば、一対の電線51A,51Bを介して子機2に、通信信号S1を正確に送信することが可能になる。よって、通信装置10では、通信エラーが発生するのを抑制することが可能になる。
以上説明した実施形態1の通信システム100は、通信装置10の機能を具備する親機1と、親機1からの通信信号S1を受信する子機2とを備えている。これにより、通信システム100では、通信エラーが発生するのを抑制可能な通信装置を用いた通信システムを提供することができる。
(実施形態2)
以下では、実施形態2の通信装置について、図4に基づいて説明する。実施形態2の通信装置の基本構成は、実施形態1の通信装置10と同じである。ゆえに、実施形態2の通信装置では、通信装置10と同様の構成要素に同一の符号を付して説明および図示を適宜省略する。また、実施形態2の通信装置では、第1送信部11が、図4に示すように、第1通信信号S1とは異なる通信信号(以下、「第3通信信号」)S3を送信する点等が、通信装置10と相違する。なお、実施形態2の通信装置は、実施形態1の通信システム100における親機1に適用される。
第1制御部12は、第3通信信号S3が、複数ビット(第1複数ビット)の通信データ(以下、「第3通信データ」)と、複数ビット(第2複数ビット)の同期符号(プリアンブル)とを有するように、第1送信部11を制御する。また、第1制御部12は、同期符号のビットレートが第3通信データのビットレートよりも低くなるように、第1送信部11を制御する。
これにより、実施形態2の通信装置の機能を具備する親機1では、一対の電線51A,51Bの抵抗成分および容量成分に対して、同期符号の波形なまりを、第3通信データの波形なまりよりも抑制することが可能になる。言い換えれば、実施形態2の通信装置の機能を具備する親機1では、同期符号の信頼性を、第3通信データの信頼性よりも高くすることが可能になる。その結果、実施形態2の通信装置を用いた通信システム100の子機2では、第3通信データが受信できない場合であっても、同期符号を受信することが可能になる。よって、実施形態2の通信装置を用いた通信システム100の子機2では、この同期符号を、例えば、複数台の子機2が時分割で火災発生の通知(火災報)を親機1に対して行う場合の同期に使用することが可能となる。また、実施形態2の通信装置を用いた通信システム100の子機2では、第3通信データを受信できるとき、同期符号を、必ず、受信することができる。
第1制御部12は、図4に示すように、通信データ(第3通信データ)に含まれたビット列が同期符号に含まれないように、第1送信部11を制御することが好ましい。一例を挙げて説明すると、第1制御部12は、第3通信データにマンチェスター符号が用いられるように、第1送信部11を制御することが好ましい。これにより、実施形態2の通信装置を用いた通信システム100の子機2では、第3通信信号S3の第3通信データで、同期を誤検出するのを抑制することが可能になる。言い換えれば、実施形態2の通信装置の機能を具備する親機1では、同期符号の信頼性を、より高めることが可能になる。
第1制御部12は、図4に示すように、同期符号に複数のビットレートが設けられるように、第1送信部11を制御することが好ましい。本実施形態では、同期符号のビットレートが、例えば、1.2kbpsと400bpsとの2つのビットレートに設定されている。これにより、実施形態2の通信装置を用いた通信システム100の子機2では、例えば、一対の電線51A,51Bに単一周波数のノイズ(例えば、3ビット周期のノイズ等)が混入した場合であっても、同期符号を誤検出するのを抑制することが可能になる。言い換えれば、実施形態2の通信装置の機能を具備する親機1では、同期符号の信頼性を、より一層高めることが可能になる。なお、本実施形態では、同期符号のビットレートが1.2kbpsと400bpsとに設定されているが、これらのビットレートの値は一例であって、特に限定されない。また、本実施形態では、同期符号が2つのビットレートに設定されているが、3つ以上のビットレートに設定されていてもよい。
以上説明した実施形態2の通信装置では、制御部(第1制御部)12は、通信信号S3が、複数ビットである第1複数ビットの通信データ(第3通信データ)と、第1複数ビットとは異なる第2複数ビットの同期符号とを有するように、送信部11を制御する。また、制御部12は、同期符号のビットレートが通信データのビットレートよりも低くなるように、第1送信部11を制御する。これにより、実施形態2の通信装置では、例えば、一対の電線51A,51Bの抵抗成分および容量成分に対して、同期符号の波形なまりを、通信データの波形なまりよりも抑制することが可能になる。言い換えれば、実施形態2の通信装置では、同期符号の信頼性を、通信データの信頼性よりも高くすることが可能になる。
実施形態2の通信装置において、制御部(第1制御部)12は、通信データ(第3通信データ)に含まれたビット列が同期符号に含まれないように、送信部(第1送信部)11を制御することが好ましい。これにより、実施形態2の通信装置では、同期符号の信頼性を、より高めることが可能になる。
実施形態2の通信装置において、制御部(第1制御部)12は、同期符号に複数のビットレートが設けられるように、送信部(第1送信部)11を制御することが好ましい。これにより、実施形態2の通信装置では、同期符号の信頼性を、より一層高めることが可能になる。