JP6650939B2 - ポリエーテル共重合体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明のポリエーテル共重合体は、上記一般式(1)で表される構造単位と上記一般式(2)で表される構造単位とを有する、エーテル結合を側鎖に有するポリエーテル共重合体である。ポリエーテル共重合体に、エーテル結合を有する側鎖官能基を導入することで、ポリマーの運動性が向上し、イオン伝導性、特にLiイオンの伝導性を向上させることができる。
上記ポリエーテル共重合体中のハロゲン元素の含有量として好ましくは、0.2質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下であり、更に好ましくは0.05質量%以下である。
ここで、「同一又は異なって」とは、上記ポリエーテル共重合体が一般式(1)で表される構造単位を複数有する場合に、それぞれのR1が、同一であっても異なっていてもよいことを意味する。
ポリエーテル共重合体における一般式(1)で表される構造単位の割合として、より好ましくは60〜99モル%、更に好ましくは70〜99モル%であり、特に好ましくは80〜99モル%である。
これらの中でも、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等の直鎖アルキレン基、プロピレン、プロピリデン、ブチレン、ブチリデン等の分岐鎖アルキレン基が高いイオン伝導度を示すという点で好ましい。より好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、プロピレン、プロピリデン、ブチレンであり、更に好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンである。
上記一般式(2)において、R2は1種であっても2種以上であってもよい。R2が2種以上である場合、−(R2−O)−で表されるオキシアルキレン基の付加形態は、ブロック状、ランダム状等のいずれの形態であってもよい。
nは、より好ましくは1〜8であり、更に好ましくは1〜6であり、更により好ましくは1〜4である。
R3の炭素数が大き過ぎると、得られる共重合体のガラス転移温度が低くなるものの、疎水性が向上するため好ましくない。これらの中でも、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜8の脂肪族アルキル基及びフェニル、メチルフェニル等の炭素数6〜18のアリール基が好ましい。より好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル等の炭素数1〜4の脂肪族アルキル基、及び、フェニルであり、更に好ましくはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルであり、特に好ましくはエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチルである。
R3がこのような有機基であると、R3の適度な疎水性とポリエーテルの親水性により、低温領域でのイオン伝導性が優れたものとなる。
このような単量体であれば、単量体を精製するにあたり蒸留精製が可能となり、原料由来のハロゲン含有化合物の除去が容易となるため、単量体中のハロゲン元素の量をより充分に低減させることができる。
上記ポリエーテル共重合体が側鎖に架橋性官能基を有する構造単位を有する場合には、電解質膜を形成することが可能となる。
上記ポリエーテル共重合体に、側鎖に架橋性官能基を有する構造単位を導入するための原料単量体としては、エポキシブテン(3,4−エポキシ−1−ブテン)、3,4−エポキシ−1−ペンテン、2−フェニル−3,4−エポキシ−1−ペンテン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロへキセン、1,2−エポキシ−5−シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジル、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、4−ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、α−テルペニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、4−ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−アリルベンジルグリシジルエーテル、エチレングリコールアリルグリシジルエーテル、エチレングリコールビニルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールアリルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールビニルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールアリルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールビニルグリシジルエーテル、オリゴエチレングリコールアリルグリシジルエーテル、オリゴエチレングリコールビニルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、エポキシブテン(3,4−エポキシ−1−ブテン)、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルが好ましく、アリルグリシジルエーテルがより好ましい。
ポリエーテル共重合体における上記その他の構造単位の割合として、より好ましくは0〜7モル%、更に好ましくは0〜5モル%である。
上記溶媒の含有量は、以下の測定条件下で、ガスクロマトグラフィー測定により求めることができる。
測定機器:GC−17A(島津製作所社製)
カラム:CBP−1(島津製作所社製)
測定方法:アセトンに測定対象物の固形分が1質量%となるように溶解し、フィルターにて濾過したものを測定する。
上記飽和炭化水素溶媒としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、3−メチルヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、2−エチルヘキサン、n−デカン、2,2,4−トリメチルペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロへキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらの中でも、脂肪族炭化水素系溶媒が好ましく、さらに好ましくはn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンである。
上記エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルブチルエーテル等のジアルキルエーテル系溶媒;ジメトキシエタン等のエチレングリコールジアルキルエーテル類の溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒等が挙げられる。これらの中でも、テトラヒドロフラン、ジオキサンが好ましい。
上記芳香族炭化水素系溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等が挙げられ、好ましくはトルエン、キシレンである。
上記ポリエーテル共重合体の融点は、以下の測定条件下で、DSC(示差走査熱量計)により求めることができる。
測定機器:DSC6220(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)
測定方法:減圧乾燥機で80℃、2h乾燥を行い、反応混合物中の揮発分を除いたサンプルを、分析装置内で100℃まで急熱(急加熱)することにより一旦ポリマーを融解後、−150℃まで急冷することにより結晶化したポリマーを5℃/minで100℃まで昇温する際の結晶の融解挙動から融点を求める。さらに、100℃から5℃/minで−20℃まで冷却する際に現れる結晶化に伴う発熱ピークから結晶化温度を求める。
上記アルカリ金属の含有量は、後述する実施例と同様の方法により測定することができる。
Sn、P、Alの合計含有量として、より好ましくは0.007質量%以下であり、更に好ましくは0.005質量%以下である。なお、上記のSnなどの元素は、重合体の触媒に用いられる場合があり、完全に除去することが困難な場合がある。Sn、P、Alの合計含有量が0.00001質量%以上であれば、その除去のための過度の精製作業を省略することができ、生成物の収率及び生産効率をより向上させることができる。生成物の収率及び生産効率の観点から、より好ましくは0.0001質量%以上である。
上記Sn、P、Alの含有量は、後述する実施例と同様の方法により測定することができる。
上記ポリエーテル共重合体における酸素原子数の割合は、モル%で表すこともでき、上記ポリエーテル共重合体は、共重合体を構成する元素の総原子100モル%に対する酸素原子の割合が10.0〜14.5モル%であることが好ましい。酸素原子数の割合の下限は、11.0モル%がより好ましく、12.0モル%が更に好ましく、12.5モル%が特に好ましい。上限は、14.1モル%がより好ましく、14.0モル%が更に好ましく、13.9モル%が特に好ましい。
ポリエーテル共重合体における酸素原子数の割合は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
上記一般式(4)で表されるグリシジル化合物としては、特に制限されないが、具体例及び好ましい例としては、一般式(2)で表される構造単位を導入するための原料単量体と同様のものが挙げられる。
その他の単量体としては、特に制限されないが、例えば上述の側鎖に架橋性官能基を有する構造単位を導入するための原料単量体等が挙げられる。
上記その他の単量体の含有割合は、特に制限されないが、全単量体成分100モル%に対して0〜10モル%であることが好ましく、より好ましくは0〜7モル%であり、更に好ましくは0〜5モル%である。
上記水酸基含有化合物は、下記一般記式(5);
水酸基含有化合物としてより好ましくは、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコール化合物、フェノール、フェノキシエタノール、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールであり、更に好ましくはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、フェノールである。
ポリエーテル共重合体の製造に用いるグリシジル化合物中のハロゲン元素の含有量は、特に制限されないが、グリシジル化合物100質量%に対して0.0001〜0.5質量%であることが好ましい。より好ましくは0.0001〜0.1質量%である。
蒸留精製の方法は、特に制限されないが、精留塔を用いて行うことが好ましい。
このような温度範囲で蒸留を行うと、グリシジル化合物の熱分解を抑制できる。
上述した製造方法の中でも、あらかじめ仕込んだ溶媒中に単量体混合物を連続的に供給しながら溶液重合を行う方法が、生産性、安全性の観点から、好ましい形態である。
上記反応開始剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;カリウムアルコラート、ナトリウムアルコラート等のアルコラート;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;金属カリウム、金属ナトリウム等のアルカリ金属;水酸化アルミニウム・マグネシウム焼成物、金属イオン添加酸化マグネシウム、焼成ハイドロタルサイト等のAl−Mg系複合酸化物触媒又はそれらを表面改質した触媒;バリウム酸化物、バリウム水酸化物、層状化合物、ストロンチウム酸化物、ストロンチウム水酸化物、カルシウム化合物、セシウム化合物、複合金属シアン化錯体、ルイス酸やフリーデルクラフツ触媒等の酸触媒;等が挙げられる。好ましくはアルカリ金属水酸化物、アルコラート、Al−Mg系複合酸化物触媒、バリウム水酸化物、ストロンチウム水酸化物、カルシウム化合物、セシウム化合物、複合金属シアン化錯体等のアニオン重合の開始剤(求核種)である。ポリエーテル共重合体の製造において使用する単量体成分に含まれるハロゲン元素は、アニオン重合の開始剤と反応しやすいが、本発明の製造方法では、反応工程において使用する単量体成分中のハロゲン元素の含有量が上述の範囲であることから、ハロゲン元素によって上記反応開始剤や生長末端が失活し、重合反応の進行を阻害することを充分に抑制することができ、上述の好ましい重量平均分子量を有するポリエーテル共重合体が得やすくなる。したがって、反応開始剤としてアニオン重合の開始剤を使用する場合に、特に、本発明の技術的意義が発揮される。
上記反応開始剤としてより好ましくは、アルコラートである。アルコラートとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。アルコラートの中でも好ましくは、カリウムt−ブトキシドである。上記反応開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、上記反応開始剤としてカリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコラートを使用することにより、有機溶媒中で均一系の重合が可能となるため、反応時間や反応温度による分子量制御が容易となる。そのため、共重合体の分子量が大きくなりすぎることを防止することができ、さらに共重合体中のSn、P、Alの含有量を充分に抑制することができる。
上述したとおり、重合反応においてハロゲン元素により反応開始剤が失活し、重合反応の進行を阻害するおそれがあるが、上記反応開始剤の物質量が、単量体成分に含まれるハロゲン元素の物質量よりも多い場合には、上記重合反応の進行の阻害をより充分に抑制することができる。
また、上記重合反応時の反応系中の雰囲気は、不活性ガス雰囲気であることが好ましい。上記不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスが好ましい。
なお、上記ポリエーテル共重合体の製造方法は、上述した重合反応を行う工程に引き続いて熟成工程を行ってもよいし、更には共重合体の重合時の溶媒を留去する脱揮工程、ポリエーテル共重合体を精製回収する工程を行ってもよい。
上記脱揮工程は、重合体の重合反応に用いた溶媒を留去する限り特に制限されないが、減圧下で行うことが好ましく、圧力が13〜100000Paであることが好ましい。より好ましくは133〜70000Paであり、更に好ましくは1333〜40000Paである。
共重合体の分子内にある架橋性官能基を反応させて架橋体を形成する方法としては、このように共重合体が有する架橋性官能基を連鎖的に付加反応させる方法の他、共重合体が有する架橋性官能基と反応し得る官能基を2つ以上有する化合物(架橋剤)を加えて架橋構造を形成する方法を用いることも可能である。
上記光ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生し、熱ラジカル重合開始剤は加熱により重合開始ラジカルを発生し、光アニオン重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により重合開始アニオン種を発生する重合反応を開始するのに必要な成分である。
また、重合体と有機酸リチウム塩とを混練押出により薄膜に成形した後に、重合体の反応性を活かして架橋反応させることで架橋構造を形成しても良い。
なお、ここでいうアニオン重合開始剤とは、重合開始アニオン種を発生する重合反応を開始する成分であって、光アニオン重合開始剤に該当しないものを意味する。
本発明のポリエーテル共重合体はまた、本発明のポリエーテル共重合体と電極活物質とを含む活物質含有組成物として好適に用いることができる。
上記活物質含有組成物は、本発明のポリエーテル共重合体を含む限りその他の重合体を含んでもよい。
上記活物質含有組成物は、上記ポリエーテル共重合体を活物質含有組成物の総量100質量%に対して、1〜50質量%含むことが好ましい。より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%である。
具体的には、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、LiMn2O4系でNiに一部置換したLiNi0.5Mn1.5O4、LiNi1−x−yCoxMnyO2やLiNi1−x−yCoxAlyO2(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される三元系酸化物等の遷移金属酸化物、LixAyDzPO4(式中、AはCr、Mn、Fe、Co、Ni及びCuからなる群より選択される1種又は2種以上であり、Dは、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y及び希土類元素の群から選ばれる1種又は2種以上である。x、y及びzは、0<x<2、0<y<1.5、0≦z≦1.5を満たす数である。)等のオリビン構造を有する化合物、遷移金属を複数取り入れた固溶材料(電気化学的に不活性な層状のLi2MnO3と、電気化学的に活性な層状のLiM’’O[M’’=Co、Ni等の遷移金属]との固溶体)等が正極活物質として例示できる。これらの正極活物質は、1種を単独で使用してもよく、又は、複数を組み合わせて使用してもよい。
上記オリビン構造を有する化合物中のA成分として好ましくはFe、Mn、Niであり、特に好ましくはFeである。上記D成分として好ましくは、Mg、Ca、Ti、Alである。これらオリビン構造を有する化合物の具体例としては、リン酸鉄リチウムやリン酸マンガンリチウム等であり、正極活物質がこれら化合物を含むことが好ましい。更に好ましくはカーボン被覆したリン酸鉄リチウムである。リン酸鉄リチウムは、安全性や過充電に対する安定性が高く、また、鉄、リン等の豊富な資源を用いるものであることから安価であり、製造コストの面でも好ましい。
正極活物質がオリビン構造を有する化合物を含む割合としては、正極活物質全体100質量%に対して、オリビン構造を有する化合物が70質量%以上であることが好ましい。より好ましくは90質量%以上であり、最も好ましくは正極活物質がオリビン構造を有する化合物のみから成ることである。
このように上記二次電池は、正極活物質としてオリビン型リン酸鉄のリチウム塩を用いて構成されることが好ましい。
本発明のポリエーテル共重合体はまた、本発明のポリエーテル共重合体と電解質塩とを含む電解質塩組成物として好適に用いることができる。
上記電解質塩組成物は、上記ポリエーテル共重合体を電解質塩組成物の総量100質量%に対して、1〜50質量%含むことが好ましい。より好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。
上記電解質塩組成物は、イオン性化合物を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。また、上記電解質塩組成物が上記イオン性化合物以外の、その他の電解質塩を含んでいてもよい。
上記アニオンは、R4SO2N−SO2R5(R4及びR5は、同一又は異なって、F、CF3、又は、C2F5を表す。)、PF6 −、及び、[B(CN)4−p(R6)p]−(式中、R6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、原子数1〜30の有機置換基を表し、pは0〜3の整数を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、R4´SO2N−SO2R5´(R4´及びR5´は、同一又は異なって、F又はCF3を表す。)及び[B(CN)4−p(R6)p]−(式中、R6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、原子数1〜30の有機置換基を表し、pは0〜3の整数を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
イオン性化合物としてこのようなものを用いると、上記電解質塩組成物が電池中の電解質やバインダー等として更に好適に用いることができるものとなる。上記イオン性化合物の好適な具体例としては、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)、リチウムジフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、リチウムテトラシアノボレート(LiTCB)を挙げることができる。
ここでいう不純物には、本発明におけるエーテル結合を側鎖に有する共重合体の製造時に用いられる重合禁止剤、連鎖移動剤、溶媒や未反応の反応原料、反応原料が分解してできる副生成物等が含まれる。
電解質塩組成物の粘度は、例えば、市販のB型粘度計、E型粘度計により測定することができる。
なお、上記支持体としては、例えば、一般的に用いられる織布、不織布、多孔質膜及びガラス成形体からなる群より選択される少なくとも1種からなるものや、更に親水性を向上させるための親水化処理をおこなったもの等が挙げられる。
本発明のポリエーテル共重合体は、イオン伝導性に優れ、二次電池の充放電特性を優れたものとすることができる。このような本発明のポリエーテル共重合体は、正極用バインダー、負極用バインダー、無機固体電解質用バインダー等のバインダーや、導電助剤としても好適に用いることができる。また、本発明のポリエーテル共重合体と電解質塩とを含む電解質塩組成物も上記バインダーや導電助剤として好適に用いることができる。なお、バインダーとして用いる場合は電気化学特性を損なうことなく、成形性向上を図ることができる。
上記電解質塩組成物は、電解質を構成することができる。
上記電解質は、上記電解質塩組成物を用いて構成される限り特に制限されず、その他の成分を含んでいてもよい。
上記電解質は、上記その他の成分を、電解質の総量100質量%に対して、0.1〜50質量%含むことが好ましい。より好ましくは0.5〜40質量%、更に好ましくは1〜30質量%である。
上記活物質含有組成物は、電極を構成することができる。
上記電極は、上記活物質含有組成物を用いて構成される限り特に制限されないが、活物質含有組成物、導電助剤、必要に応じてその他のバインダー等を含むスラリーを基板上に塗布、乾燥させて得ることができる。導電助剤、その他のバインダー、電極を製造するためのスラリーに用いる溶媒、分散剤に関しては、特開2011―142073号公報に記載のものが好適に使用できる。
上記電極及び/又は上記電解質は、電池を構成することができる。
電池は、主に、正極、電解質、負極より構成され、上記電池は、上記電極、電解質のうち少なくとも1つを用いて構成されていればよく、好ましくは、上記電極、電解質の両方を用いて構成されることである。
上記電池の形態としては、一次充電池;放電が可能な二次電池(蓄電池);メカニカルチャージ(負極の機械的な交換)を利用した電池;正極や負極とは別の第3極(例えば、充放電中に発生する酸素や水素を除去する極)を利用した電池等、いずれの形態であってもよい。例えば、二次電池(蓄電池)であることが好ましい。
(重量平均分子量)
以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めた。
測定機器:HLC−8320(東ソー社製)
分子量カラム:TSKgel G5000PW、TSKgel G4000PW、TSKgel G3000PW、TSKgel G2500PW(いずれも東ソー社製)
溶離液:アセトニトリル/0.08M酢酸ナトリウム水溶液(体積比:50/50)の混合液
検量線用標準物質:ポリエチレングリコール
測定方法:溶離液に測定対象物の固形分が0.1質量%となるように溶解し、フィルターにて濾過したものを測定。
1.溶液の調整
ポリエーテル共重合体10部、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)2.5部を、溶媒としてアセトニトリル(キシダ化学株式会社製、LBGグレード)23部に溶解させ、電解質塩組成物の混合溶液(1)を得た。
2.イオン伝導度測定用セルの作製
厚み0.3mmのPETフィルムをφ12mmのポンチで打ち抜き、セル面積(S)の枠を作製した。得られた枠を厚さ0.015mmのアルミ箔に載せ、上記にて得られた混合溶液(1)を枠内に塗布した。60℃で24時間の真空乾燥を行い、溶媒を除去した後、架橋体とする場合はここで架橋させた。次いで上面にアルミ箔を載せ、平板プレス機を用いて50℃2分2MPaの条件下でプレスを行い平坦化させることで、イオン伝導度測定用のセルを作製した。得られたセルの厚みからアルミ箔の厚みを除算することで、セル膜厚(D)を算出した。
3.イオン伝導度の測定
インピーダンスアナライザ(1260型、ソーラトロン株式会社製)を用いて、10mV、1MHz〜1kHzの条件にてセルの測定を行った。得られたプロファイルから実数軸との交点をセル抵抗(R)とし、以下の計算によりイオン伝導度を算出した。
イオン伝導度= セル膜厚(D)/(セル抵抗(R)* セル面積(S))
以下の測定条件下で、ICP発光分析測定により求めた。
測定機器:CIROS−120(株式会社リガク製)
測定方法:ポリエーテル共重合体を超純水(18.2Ω・cm超)で50〜1000倍に希釈して測定溶液とし、試料に含まれるSn、P、Al、アルカリ金属及びハロゲン元素量を測定した。なお、定量限界(下限値)は1ppmである。
以下の測定機器を用いて、炭素、水素、酸素原子の組成(重量%)を求めた後、各原子の原子量をもとに共重合体中の酸素原子数の割合を求めた。
測定機器:元素分析装置マイクロコーダーJM10(ジェイ・サイエンス・ラボ社製)
ジエチレングリコールメチルグリシジルエーテルの製造
攪拌機、滴下ロート、温度計、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた1リットルのフラスコ内に、ジエチレングリコールモノメチルエーテル500部と水酸化カリウム333部とを仕込んだ。窒素雰囲気下、攪拌しながら40℃に昇温した後、エピクロルヒドリン770部を内温40℃以下に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、5時間熟成を行い、生成した塩化カリウムをろ過により取り除いた。
次いで、反応ろ液を攪拌機、温度計、減圧制御装置及び精留塔を備えた1L蒸留装置に仕込み、120℃のオイルバスにつけ昇温を開始した。内圧を100kPaから10kPaまで徐々に減圧することにより、原料であるエピクロルヒドリンを回収した。さらに、オイルバスを150℃に昇温後、0.3kPaまで徐々に減圧することにより、所望のジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル(以下、DEGMGともいう)425gを分離した。
このようにして得られたジエチレングリコールメチルグリシジルエーテルのGC純度は99.9%以上、ICP発光分析による塩素含有量は0.0047質量%で、原料として使用したジエチレングリコールモノメチルエーテルに対する収率は約49%であった。
マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)および添加口を備えた1Lの反応器を窒素により3回置換操作(0.5MPa)を行った後、この反応器にモレキュラーシーブにより脱水処理を施したトルエン(含有水分量:20ppm以下)283部と、反応開始剤(触媒)としてのt−ブトキシカリウム(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)1.0部とを順次投入し、反応器内の圧力が0.3MPaになるまで窒素で加圧した。
マックスブレンド翼を130rpmで回転させて撹拌しながら、オイルバスで反応器の内温を90℃まで昇温した後、エチレンオキシド191部及び、モレキュラーシーブにより脱水処理を施した製造例1記載のジエチレングリコールメチルグリシジルエーテル(含有水分量:200ppm以下)40部を重合熱による内温上昇および内圧上昇を監視・制御しながら、100℃±5℃で供給を行い、反応を行った。供給終了後、さらに100℃±5℃で2時間保持して熟成させ、重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、減圧乾燥機にて未反応原料及びトルエンを取り除き、共重合体を得た。
共重合体の製造に用いたグリシジル化合物の種類、グリシジル化合物中の塩素の含有量、各単量体の使用量(部)、反応開始剤の使用量(部)及び各単量体の割合(モル%)を表1に示し、転化率(%)(グリシジル化合物の消費率)、共重合体の重量平均分子量、共重合体中のCl、Sn、P、Al、Kの含有量、酸素原子数の割合(O密度)、及び、70℃におけるイオン伝導度を測定した結果を表2に示した。なお、表2中の共重合体中のCl、Sn、P、Alの含有量項目における「n.d.」はICP測定の結果、定量限界以下であったことを示す。
単量体及び反応開始剤を表1のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で、共重合体を調製し、実施例1と同様に共重合体の特性について測定し、結果を表2に示した。なお、比較例3では、重合せず、共重合体を得ることができなかった。また、比較例1及び2の共重合体は、重量平均分子量が小さいため、測定セルを作成できずイオン伝導度の測定を行うことができなかった。
単量体及び反応開始剤触媒を表3のように変更した以外は、実施例1と同様の方法で、共重合体を調製し、実施例1と同様に共重合体の特性について測定し、結果を表4に示した。なお、イオン伝導度については、70℃に加えて、40℃、50℃、60℃においても測定を行った。
Claims (13)
- エーテル結合を側鎖に有するポリエーテル共重合体であって、
該ポリエーテル共重合体は、下記一般式(1);
該ポリエーテル共重合体は、ポリエーテル共重合体を形成する全構造単位の総量100モル%に対して、該一般式(2)で表される構造単位を50モル%以下の割合で有し、重量平均分子量が15000〜200000であり、ポリエーテル共重合体に含まれるSn、P、Alの合計含有量が、ポリエーテル共重合体の総量100質量%に対して0.01質量%以下であり、
且つ、
ハロゲン元素の含有量が、ポリエーテル共重合体の総量100質量%に対して0.3質量%以下であることを特徴とするポリエーテル共重合体。 - 前記ハロゲン元素は、塩素であることを特徴とする請求項1に記載のポリエーテル共重合体。
- 前記ポリエーテル共重合体は、アルカリ金属の含有量が、ポリエーテル共重合体の総量100質量%に対して0.001〜0.1質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエーテル共重合体。
- 前記ポリエーテル共重合体は、ガラス転移温度が−50℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエーテル共重合体。
- 前記ポリエーテル共重合体は、融点が20℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエーテル共重合体。
- 前記ポリエーテル共重合体は、共重合体を構成する元素の総原子数を100%としたときの酸素原子数の割合が10.0〜14.5%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエーテル共重合体。
- エーテル結合を側鎖に有するポリエーテル共重合体であって、
該ポリエーテル共重合体は、下記一般式(1);
該ポリエーテル共重合体は、ポリエーテル共重合体を形成する全構造単位の総量100モル%に対して、該一般式(2)で表される構造単位を50モル%以下の割合で有し、重量平均分子量が15000〜100000であり、且つ、
ハロゲン元素の含有量が、ポリエーテル共重合体の総量100質量%に対して0.3質量%以下であることを特徴とするポリエーテル共重合体。 - 前記ハロゲン元素は、塩素であることを特徴とする請求項7に記載のポリエーテル共重合体。
- 前記ポリエーテル共重合体は、アルカリ金属の含有量が、ポリエーテル共重合体の総量100質量%に対して0.001〜0.1質量%であることを特徴とする請求項7又は8に記載のポリエーテル共重合体。
- 前記ポリエーテル共重合体は、ガラス転移温度が−50℃以下であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載のポリエーテル共重合体。
- 前記ポリエーテル共重合体は、融点が20℃以上であることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載のポリエーテル共重合体。
- 前記ポリエーテル共重合体は、共重合体を構成する元素の総原子数を100%としたときの酸素原子数の割合が10.0〜14.5%であることを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載のポリエーテル共重合体。
- エーテル結合を側鎖に有するポリエーテル共重合体を製造する方法であって、
該製造方法は、下記一般式(3);
該単量体成分は、ハロゲン元素の含有量が、単量体の総量100質量%に対して0.3質量%以下であり、
ポリエーテル共重合体に含まれるSn、P、Alの合計含有量が、ポリエーテル共重合体の総量100質量%に対して0.01質量%以下であることを特徴とするポリエーテル共重合体の製造方法。
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