JP5391808B2 - 高耐久性電解質膜、電極及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、高耐久性電解質膜、電極及び固体高分子型燃料電池に関し、さらに詳しくは、車載用動力源、定置型小型発電器、コジェネレーションシステム等として好適な固体高分子型燃料電池、並びに、これに用いられる高耐久性電解質膜及び電極に関する。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体(MEA)を基本単位とする。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボンペーパー、カーボンクロス等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、白金等の電極触媒を担持したカーボンと固体高分子電解質との複合体からなる。
このようなMEAを構成する電解質膜あるいは触媒層内電解質には、耐酸化性に優れた全フッ素系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含まない電解質。例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成(株)製)、フレミオン(登録商標、旭硝子(株)製)等。)を用いるのが一般的である。
また、全フッ素系電解質は、耐酸化性に優れるが、一般に極めて高価である。そのため、固体高分子型燃料電池の低コスト化を図るために、炭化水素系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含み、C−F結合を含まない電解質)、又は、部分フッ素系電解質(高分子鎖内にC−H結合とC−F結合の双方を含む電解質)の使用も検討されている。
しかしながら、固体高分子型燃料電池を車載用動力源等として実用化するためには、解決すべき課題が残されている。例えば、MEAを構成する電解質膜は、触媒層で副生成する過酸化水素又はその分解生成物であるラジカルに対して不安定であり、耐久性を向上させる必要がある。触媒層内電解質や電解質膜が全フッ素系電解質である場合には、耐久性の低下は比較的少ない。これに対し、炭化水素系電解質の場合は、過酸化水素及びラジカルに対する安定性が全フッ素系電解質に比べて著しく劣るため、燃料電池を長期間安定的に作動させることは困難である。
さらに、燃料電池の空気極の触媒として用いられているPt等の貴金属元素は、燃料電池の運転中に触媒層から溶出し、膜内部で析出したり、あるいは、触媒層で再析出し、触媒層内の触媒粒子が粒成長することが知られている。貴金属元素の溶出や粒成長は、電池性能を低下させる原因となる。また、貴金属イオンの中にもフェントン活性を示すものがある事が知られており、このような貴金属イオンの溶出は、電解質を劣化させ、その劣化生成物が電極を被毒し、電池性能を低下させると言われている。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、炭化水素系固体高分子電解質膜に、二酸化マンガンなどの酸化物触媒、鉄フタロシアニンなどの大環状金属錯体触媒、又は、Cu−Ni合金粒子などの遷移金属合金触媒を添加した固体高分子電解質膜が開示されている。
同文献には、炭化水素系電解質に酸化物触媒等を添加すると、過酸化水素が不均化反応により水に分解し、過酸化水素による電解質の劣化を抑制できる点が記載されている。
また、特許文献2には、スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜のスルホン酸基のプロトンの一部をMg、Ca、Al、Laなどの多価金属で置換したプロトン伝導性高分子膜が開示されている。
同文献には、スルホン酸基のプロトンの一部を、ある種の多価金属で置換すると、過酸化物ラジカルに対する耐性(耐酸化性)が向上する点が記載されている。
また、特許文献3には、ラジカルに起因する電解質の劣化の抑制や貴金属元素の溶出の抑制を目的とするものではないが、貴金属及び/又は遷移金属からなる分子量800〜10000のヘテロポリ酸の部分塩である固体ヘテロポリ酸燃料電池用触媒が開示されている。
同文献には、ポリ酸中で白金はすべてポリ酸クラスター表面に存在しすべての白金が活性になるため、これらのポリ酸中での白金含有量は極めて少量であるにもかかわらず高活性を示す点が記載されている。
また、特許文献4には、スルホン酸基を有するイオン交換膜を硝酸セリウム水溶液に浸漬してスルホン酸基の一部をセリウムイオンにイオン交換し、次いでこの膜をリン酸水溶液に浸漬する固体高分子型燃料電池用電解質膜の製造方法が開示されている。
同文献には、このような方法により膜中にリン酸第一セリウムを析出させることができる点、及び、膜中に難溶性のセリウム化合物を析出させることによって、電解質膜の過酸化水素又は過酸化物ラジカル耐性が向上する点が記載されている。
また、特許文献5には、ラジカルに起因する電解質の劣化の抑制や貴金属元素の溶出の抑制を目的とするものはないが、ヘテロポリ酸−Pt−Cからなる直接型メタノール燃料電池用メタノール燃料極材料が開示されている。
さらに、特許文献6には、2,2−ビピリジンのような白金捕捉剤を含む固体高分子型燃料電池用電極触媒層が開示されている。
同文献には、触媒層に白金捕捉剤を添加すると、電極触媒層からの白金イオンの溶出が防止され、触媒活性の低下が抑制される点が記載されている。
特開2000−106203号公報 特開2004−018573号公報 国際公開WO04/045009号公報 特開2008−98179号公報 特開2002−134122号公報 特開2006−147345号公報
全フッ素系電解質に対して、ある種の大環状金属錯体や遷移金属酸化物を添加し、あるいは、全フッ素系電解質のプロトンの一部を、ある種の金属イオンで置換すると、過酸化水素及びラジカルに対する耐性を向上させることができる。しかしながら、これらの技術をそのまま炭化水素系電解質に転用しても、十分な耐食性が得られない場合が多い。
これは、炭化水素系電解質は、全フッ素系電解質に比べて基本骨格が不安定であるため、過酸化水素を分解する作用を持つ添加物が過酸化水素だけでなく炭化水素骨格も分解するためと考えられる。
さらに、従来知られている過酸化水素耐性を有する化合物やイオンは、水に易溶であるものが多い。そのため、長期間の使用によりこれらが系外に持ち出され、良好な耐久性を維持できない場合があった。一方、耐久性を維持するために化合物やイオンの添加量を過剰にすると、燃料電池の性能低下を引き起こす場合がある。特に炭化水素系電解質の場合、化合物やイオンを多量に導入すると、炭化水素系電解質の一般的な欠点である剛直さが一層高まる。その結果、機械的強度や可撓性は大きく低下し、燃料電池の運転初期にクロスリーク(孔開きや割れ)に至ることがあった。
また、従来、高分子電解質の過酸化水素耐性試験には、フェントン試験を用いるのが一般的であった。フェントン試験(Fe2+イオン添加過酸化水素水浸漬試験)は、高湿度状態(飽和湿度)下での劣化程度を調べる方法である。
一方、燃料電池運転中には、MEAは十分な湿潤状態ではなく、ドライな状態に置かれる場合も多く、高分子電解質の耐久性を評価するにはフェントン試験のみでは不十分である。そのため、最近では、低湿度下(ドライ環境)で高温の過酸化水素蒸気を被試験体に当てる、いわゆるドライフェントン試験がMEAの劣化を模擬できる促進試験として採用されつつある。しかしながら、上述した耐久性改善法で処理した電解質膜をドライフェントン試験で評価すると、フェントン試験とは全く別の結果を示すものがある。
また、遷移金属イオン(特に、Feイオン(Fe2+/Fe3+))があるしきい値を超えて電解質に存在すると、電解質の過酸化水素耐性を悪化させることが知られている。また、今まで知られていなかったことであるが、フェントン活性を有する不純物と、過酸化水素耐性を有する各種添加剤や添加イオンとの間に相互作用があり、遷移金属イオン(特に、Feイオン)があるしきい値を超えて存在すると、各種添加剤や添加イオンの効果が喪失したり、逆に過酸化水素耐性を悪化させる場合がある。
また、白金の溶出を抑制するために2,2−ビピリジンのような含窒素有機化合物を添加する方法は、2,2−ビピリジンの過酸化水素に対する安定性が不十分であり、かつ水溶性であるために、長期間に渡って白金の溶出を抑制するのは困難である。
さらに、過酸化水素耐性の向上、フェントン活性を有する不純物イオンの低減、及び、貴金属元素の溶出に起因する性能低下の抑制を図るためには、従来、別個の対策を講じる必要があり、これらを同時に解決する方法が提案された例は従来にはない。
本発明が解決しようとする課題は、過酸化水素耐性の向上、フェントン活性を有する不純物イオンの低減及び貴金属元素の溶出に起因する性能低下の抑制を同時に解決することが可能な高耐久性電解質膜、電極、及び、固体高分子型燃料電池を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、これらの効果を長期間に渡って持続させることが可能な高耐久性電解質膜、電極、及び、固体高分子型燃料電池を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る高耐久性電解質膜は、
固体高分子電解質膜と、
前記固体高分子電解質膜内に分散しているヘテロポリ酸塩とを備え、
前記ヘテロポリ酸塩は、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、グアニジウム塩、1,10フェナントロリン塩、核酸塩基塩、及び、ピラゾロン化合物塩から選ばれるいずれか1以上であることを要旨とする。
本発明に係る電極は、
電極触媒と、
前記電極触媒を被覆する固体高分子電解質と、
前記固体高分子電解質内に分散しているヘテロポリ酸塩とを備え、
前記ヘテロポリ酸塩は、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、グアニジウム塩、1,10フェナントロリン塩、核酸塩基塩、及び、ピラゾロン化合物塩から選ばれるいずれか1以上であることを要旨とする。
さらに、本発明に係る固体高分子型燃料電池は、本発明に係る高耐久性電解質膜又は本発明に係る電極を用いたことを要旨とする。
電解質膜又は電極にヘテロポリ酸のピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、グアニジウム塩、1,10フェナントロリン塩、核酸塩基塩、及び、ピラゾロン化合物塩から選ばれるいずれか1以上を添加すると、過酸化水素耐性の向上、フェントン活性を有する不純物イオンの低減及び貴金属元素の溶出に起因する性能低下の抑制を同時に図ることができる。
これは、
(1)ヘテロポリ酸塩自体が過酸化水素のイオン分解触媒となって過酸化水素を無害化するため、
(2)ヘテロポリ酸塩がフェントン活性を有する不純物遷移金属イオン(特に、可溶性鉄イオン)を捕捉し、フェントン活性を失活させるため、及び、
(3)ヘテロポリ酸塩が溶出した貴金属イオンを捕捉してキレート化し、貴金属イオンが電極沖合に溶出・拡散することを防ぐため、
と考えられる。
さらに、所定のカチオンとヘテロポリ酸との塩は難溶性であり、長期間に渡って電解質膜又は電極内に留まることができるため、これらの効果を長期間に渡って持続させることができる。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 高耐久性電解質膜]
本発明に係る高耐久性電解質膜は、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜内に分散しているヘテロポリ酸塩とを備えている。
[1.1. 固体高分子電解質膜]
本発明において、固体高分子電解質膜の材質は、特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができる。
すなわち、固体高分子電解質膜の材質は、高分子鎖内にC−H結合を含み、かつC−F結合を含まない炭化水素系電解質、及び高分子鎖内にC−F結合を含むフッ素系電解質のいずれであっても良い。また、フッ素系電解質は、高分子鎖内にC−H結合とC−F結合の双方を含む部分フッ素系電解質であっても良く、あるいは、高分子鎖内にC−F結合を含み、かつC−H結合を含まない全フッ素系電解質であっても良い。
なお、フッ素系電解質は、フルオロカーボン構造(−CF2−、−CFCl−)の他、クロロカーボン構造(−CCl2−)や、その他の構造(例えば、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R)−等。但し、「R」は、アルキル基)を備えていてもよい。また、固体高分子電解質膜を構成する高分子の分子構造は、特に限定されるものではなく、直鎖状又は分岐状のいずれであっても良く、あるいは環状構造を備えていても良い。
また、固体高分子電解質に備えられる酸基の種類についても、特に限定されるものではない。酸基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホンイミド基等がある。固体高分子電解質には、これらの酸基の内、いずれか1種類のみが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。さらに、これらの酸基は、直鎖状固体高分子化合物に直接結合していても良く、あるいは、分枝状固体高分子化合物の主鎖又は側鎖のいずれかに結合していても良い。
炭化水素系電解質としては、具体的には、
(1)高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の酸基が導入されたポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテル等、及びこれらの誘導体(脂肪族炭化水素系電解質)、
(2)高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の酸基が導入されたポリスチレン、芳香環を有するポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等、及びこれらの誘導体(部分芳香族炭化水素系電解質)、
(3)高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の酸基が導入されたポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレン、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等、及びこれらの誘導体(全芳香族炭化水素系電解質)、
などがある。
また、部分フッ素系電解質としては、具体的には、高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の酸基が導入されたポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリスチレン−グラフト−ポリテトラフルオロエチレン等、及びこれらの誘導体などがある。
また、全フッ素系電解質としては、具体的には、デュポン社製ナフィオン(登録商標)、旭化成(株)製アシプレックス(登録商標)、旭硝子(株)製フレミオン(登録商標)等、及びこれらの誘導体などがある。
さらに、本発明において、固体高分子電解質膜は、固体高分子電解質のみからなるものであっても良く、あるいは、多孔質材料、長繊維材料、短繊維材料等からなる補強材を含む複合体であっても良い。
一般に、フッ素系電解質、特に全フッ素系電解質は、高分子鎖内にC−F結合を有しているため、耐酸化性に優れているが、フッ素系電解質に対して本発明を適用すると、さらに耐酸化性が向上する。また、炭化水素系電解質は、フッ素系電解質に比べて耐酸化性が低い。そのため、炭化水素系電解質に対して本発明を適用すると、燃料電池の作動環境下(特に、ドライ環境下)においても高い耐酸化性を示し、しかも低コストな固体高分子型燃料電池が得られる。
[1.2. ヘテロポリ酸塩]
「ヘテロポリ酸塩」とは、ヘテロポリ酸に含まれるプロトンの全部又は一部がカチオンに置換されたものをいう。
本発明において、ヘテロポリ酸塩とは、特に、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、グアニジウム塩、1,10フェナントロリン塩、核酸塩基塩、及びピラゾロ化合物塩から選ばれるいずれか1以上をいう。これらのヘテロポリ酸塩は、いずれもMEAの耐久性を改善する作用がある。また、これらのヘテロポリ酸塩の内、水に対して高い難溶性を有するものは、電解質膜内に長期間留まることができる。
ヘテロポリ酸塩は、後述するように、ピリジニウムイオンなどのカチオンを含む溶液にヘテロポリ酸を含む溶液を加え、これらを反応させることにより得られる。
電解質膜には、これらのヘテロポリ酸塩の内、いずれか1種が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。また、ヘテロポリ酸塩は、2種以上のカチオンと1つのヘテロポリ酸アニオンが結合した複合塩でも良く、あるいは、単独のカチオンと結合したヘテロポリ酸塩を複数混合した混合物でも良い。
[1.2.1. ヘテロポリ酸]
ヘテロポリ酸とは、Mo、W、Vを中心元素Mとする酸素酸アニオンと、P、Si、Ge、Ti、Zr、Sn、Ce、Thなどを中心元素Xとする酸素酸アニオンとが結合した多元素のポリアニオンをいい、ポリオキソメタレートと総称される。これらは、一般に多量の水を水和していることが多く、ポリアニオンの分子量は、800以上になる場合がある。
例えば、酸素が40個結合したヘテロポリ酸イオンは、Xを中心元素、Mをポリ酸を構成する原子とすると、M=Mo、X=P5+、As5+、Si4+、Ge4+、Ti4+、Zr4+、Sn4+の時、アニオン構造として[Xn+1240]-10+nを取る。
X=Ce4+、Th4+、Sn4+では、アニオン構造として[Xn+1240]-12+nを取る。
X:M=1:11であり、X=P5+、As5+、Fe3+、Ce4+では、アニオン構造として[Xn+1139]-12+nを取る。
X:M=1:10であり、X=P5+、As5+、Pt4+では、アニオン構造として[Xn+10x]-2x+60+nを取る。
X:M=1:9であり、X=Mn4+、Co4+、Ni4+では、アニオン構造として[Xn+932]-10+nを取る。
X:M=2:18であり、X=P5+、As5+では、アニオン構造として[X2 n+1856]-16+2nを取る。
X:M=2:17であり、X=P5+、As5+では、アニオン構造として[X2 n+17x]-2x+10+2nを取る。
X:M=2:12であり、X=Co3+、Al3+、Cr3+、Fe3+、Rh3+では、アニオン構造として[X2 n+1242]-12+2nを取る。
X:M=1:6であり、X=Ni2+、Co2+、Mn2+、Cu2+、Se4+、P3+、As3+、P5+では、アニオン構造として[Xn+6x]-2x+36+nを取る。
これらの中でも、X:M=1:12では、熱的に安定ないわゆるケギン構造([Xn+1240]-8+n)が代表的なものである。例えば、水和水を除外して表すと、H4SiW1240(けいタングステン酸)、H3PW1240(りんタングステン酸)、H4SiMo1240(けいモリブデン酸)、H3PMo1240(りんモリブデン酸)が挙げられる。
また、これらのW、Moの一部がVで置換された複合ヘテロポリ酸(例えば、H3PMo12-xx40、H3PW12-xx40等)も知られている。
さらに、これらの酸は、プロトン、タングステン又はモリブデンの一部が1価カチオン、2価カチオン、又は遷移金属カチオンと置換し、塩を形成することが知られている。
また、ケギン構造とは別のポリアニオンであるドーソン構造([X21262]n-)のようなサンドイッチ構造イオンや、アンダーソン構造のイソポリアニオンMo724 6-をベースにしたヘテロポリアニオンCo(III)Mo6246 3-、及びNi(II)Mo6246 4-等も比較的安定な遷移金属元素を含んだヘテロポリアニオンとして知られている。
これらヘテロポリ酸の構造体のプロトンと置換して中心部に位置するイオンは、フリーのイオンとは異なった状態にあり、配位安定化されている。
例えば、ポルフィリン化合物は、酸素40個からなるヘテロポリ酸と類似の構造を持ち、4方向からN原子に配位された金属イオンを有する有機化合物である。ポルフィリン化合物は、過酸化水素の攻撃によりポルフィリン環が開裂し、分解しやすい。
一方、ヘテロポリ酸塩は、遙かに安定であり、過酸化水素を用いた有機合成触媒に繰り返し使用できることが知られている。その中でもプロトンを特定のイオンで置換すると、溶解度は小さくなり、pHが小さい強酸性下でも難溶性となる。例えば、りんモリブデン酸にあっては、セシウムイオン、4級アルキルアンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、白金イオン等である。
[1.2.2. ピリジニウム塩]
「ピリジニウム塩」とは、ヘテロポリ酸のプロトンの全部又は一部がピリジニウムイオンで置換されたものをいう。
ピリジニウムイオンを形成する化合物としては、具体的には、ピリジン、ジピリジン、テルピリジン、及び、これらの塩などがある。
[1.2.3. イミダゾリウム塩]
「イミダゾリウム塩」とは、ヘテロポリ酸のプロトンの全部又は一部がイミダゾリウムイオンで置換されたものをいう。
イミダゾリウムイオンを形成する化合物としては、具体的には、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、1,3−ジメチルイミダゾール、及び、これらの塩などがある。
[1.2.4. ホスホニウム塩]
「ホスホニウム塩」とは、ヘテロポリ酸のプロトンの全部又は一部がホスホニウムイオンで置換されたものをいう。
「ホスホニウムイオン」とは、P原子のまわりに4つのアルキル基が結合した1価のカチオンをいう。
ホスホニウムイオンを形成する化合物(ホスホニウム化合物)とは、ホスホニウムイオンと、これと対になるアニオンBとがイオン結合した化合物[P(R1)(R2)(R3)(R4)]+-をいう。R1〜R4は、アルキル基を表す。
ホスホニウム化合物のカチオン部分としては、具体的には、テトラエチルホスホニウム、トリエチルベンジルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、トリメチルデシルホスホニウム、トリメチルドデシルホスホニウム、トリメチルヘキサデシルホスホニウム、トリメチルオクタデシルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルドデシルホスホニウム、トリブチルオクタデシルホスホニウム、トリオクチルエチルホスホニウム、トリブチルヘキサデシルホスホニウム、メチルトリフェニルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、ジフェニルジオクチルホスホニウム、トリフェニルオクタデシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、トリブチルアリルホスホニウム、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムなどがある。
ホスホニウム化合物としては、具体的には、テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルホスホニウムヒドロキシド、エチルトリフェニルホスホニウムアセタート、テトラブチルホスホニウムアセタート、硫酸テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム、硝酸テトラブチルホスホニウム、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム、メタンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、トシル酸トリイソブチルメチルホスホニウム、トシル酸テトラブチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、ジ−tert−ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボラート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス[オキサラト(2−)]ボラート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−P−トリルボラート、ベンジルフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、P−トリルトリフェニルホスホニウムテトラ−P−トリルボラート、トリエチルメチルホスホニウムジブチルフォスフェート、エチルトリフェニルホスホニウムホスフェート、トリブチルメチルホスホニウムジブチルフォスフェート、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾラート、デカン酸トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウムメチルカーボネートなどがある。
[1.2.5. グアニジウム塩]
「グアニジウム塩」とは、ヘテロポリ酸のプロトンの全部又は一部がグアニジウムイオンに置換されたものをいう。
グアニジウムイオンを形成する化合物としては、具体的には、アミノグアニジン、グアニル尿素、ビグアニド、グアニジン、炭酸グアニジン、ホウ酸グアニジン、リン酸・モノグアニジン、リン酸・ジグアニジン、リン酸グアニル尿素、硫酸グアニジン、スルファミン酸グアニンジン、1,3ジフェニルグアニジンなどがある。
[1.2.6. 1,10フェナントロリン塩]
「1,10フェナントロリン塩」とは、ヘテロポリ酸のプロトンの全部又は一部が1,10フェナントロリンイオンに置換されたものをいう。
[1.2.7. 核酸塩基塩]
「核酸塩基塩」とは、ヘテロポリ酸のプロトンの全部又は一部が核酸塩基イオンに置換されたものをいう。
核酸塩基としては、具体的には、
(a)シトシン、5−メチルシトシン、5−ヒドロキシルメチルシトシン、チミン、ウラシル等のピリミジン塩基、
(b)プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオフィリン、テオブロミン、カフェイン、イソグアニン、尿酸等のプリン誘導体、
などがある。
[1.2.8. ピラゾロン化合物塩]
「ピラゾロン化合物塩」とは、ヘテロポリ酸のプロトンの全部又は一部がピラゾロン化合物のイオンに置換されたものをいう。
ピラゾロンイオンを生成する化合物としては、具体的には、ケイモリブデン酸と反応することが知られているアミノピリン、アンチピリン、3メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン、1フェニル−3−カルボキシ−5−ピラゾロン、1−(4−トリル)−3−メチル−5−ピラゾロンなどがある。
[1.3. 難溶性]
ヘテロポリ酸塩を電解質膜又は電極内に留め、長期間に渡って効果を持続させるためには、ヘテロポリ酸塩は、難溶性であるものが好ましい。
ここで、「難溶性」とは、ヘテロポリ酸を10g/Lの濃度で溶解した溶液5mLと、カチオンの濃度が4×10-3Nの溶液1mLとを混合し、室温で1日間放置したときに沈殿が生成することをいう。電解質内部のpHは、0〜1程度の強酸性であることが知られているので、ヘテロポリ酸塩は、強酸性下、80℃近傍(燃料電池作動温度)で完全に溶解しないこと、即ち不溶性が理想である。しかしながら、完全な不溶性でなくても、所定の条件下で沈殿を生成するヘテロポリ酸塩であれば、燃料電池作動下でも電池性能を阻害することなく、MEAの耐久性を十分改善することができる。
上述したヘテロポリ酸塩の中でも、特に高い難溶性を示すものとしては、例えば、対カチオンがホスホニウムイオン、グアニジウムイオンである、りんタングステン酸トリブチルメチルホスホニウム塩、ケイタングステン酸1,3−ジフェニルグアニジウム塩などがある。
[1.4. ヘテロポリ酸塩の含有量]
ヘテロポリ酸塩の含有量は、目的に応じて最適な量を選択する。一般に、ヘテロポリ酸の含有量が少ないと、過酸化水素分解活性が低下し、耐久性向上効果が小さくなる。実用上十分な耐久性を得るためには、ヘテロポリ酸塩の含有量は、固体高分子電解質膜重量に対して0.05重量%以上が好ましい。
一方、ヘテロポリ酸塩の含有量が過剰になると、部分的に溶解したヘテロポリ酸イオンによる電極被毒が大きくなり、電池性能が低下する。また、電解質膜が脆化し易く、機械的性質の低下が大きくなる。従って、ヘテロポリ酸塩の含有量は、固体高分子電解質膜重量に対して5重量%以下が好ましい。
[1.5. ハロゲンイオンの含有量]
ハロゲンイオン(特に、塩化物イオン)は、電極被毒や触媒金属の溶出を促進し、電池性能を低下させる原因となる。従って、膜中のハロゲンイオンの含有量は、少ない程よい。電池性能の低下を抑制するためには、ハロゲンイオンの含有量は、電解質重量当たり10ppm以下が好ましい。この点は、後述する電極も同様である。
[2. 電極]
本発明に係る電極は、電極触媒と、電極触媒を被覆する固体高分子電解質と、固体高分子電解質内に分散しているヘテロポリ酸塩とを備えている。
[2.1. 電極触媒]
一般に、電極触媒には、MEAの使用目的、使用条件等に応じて最適なものが用いられる。固体高分子型燃料電池の場合、電極触媒には、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム等若しくはこれらの合金、又は、Pt等の貴金属とコバルト、鉄、ニッケル等の遷移金属元素との合金が用いられる。電極に含まれる電極触媒の量は、MEAの用途、使用条件等に応じて最適な量が選択される。
電極触媒は、そのままの状態で使用しても良く、あるいは、触媒担体の表面に担持させた状態で使用しても良い。触媒担体は、微粒の電極触媒を担持すると同時に、電極における電子の授受を行うためのものである。触媒担体には、一般に、カーボン、活性炭、フラーレン、カーボンナノフォーン、カーボンナノチューブ等が用いられる。触媒担体表面への電極触媒の担持量は、電極触媒及び触媒担体の材質、MEAの用途、使用条件等に応じて最適な担持量が選択される。
[2.2. 触媒層内電解質]
電極触媒を被覆する固体高分子電解質(触媒層内電解質)は、固体高分子電解質膜と電極との間でプロトンの授受を行うためのものである。触媒層内電解質には、通常、固体高分子電解質膜を構成する材料と同一の材料が用いられるが、異なる材料を用いても良い。触媒層内電解質の量は、MEAの用途、使用条件等に応じて最適な量が選択される。
触媒層内電解質は、フッ素系電解質であっても良く、あるいは、炭化水素系電解質であっても良い。特に、触媒層内電解質が炭化水素系電解質である電極に対して本発明を適用すると、高い効果が得られる。触媒層内電解質に関するその他の点は、固体高分子電解質膜と同様であるので、説明を省略する。
[2.3. ヘテロポリ酸塩]
本発明に係る電極は、電極触媒及び触媒層内電解質に加えて、触媒層内電解質に分散しているヘテロポリ酸塩を含む。この点が、従来の電極とは異なる。
ヘテロポリ酸塩の詳細は、上述した通りであるので、説明を省略する。
ヘテロポリ酸塩の含有量は、目的に応じて最適な量を選択する。一般に、ヘテロポリ酸の含有量が少ないと、過酸化水素分解活性が低下し、耐久性向上効果が小さくなる。実用上十分な耐久性を得るためには、ヘテロポリ酸塩の含有量は、電極重量に対して0.05重量%以上が好ましい。
一方、ヘテロポリ酸塩の含有量が過剰になると、部分的に溶解したヘテロポリ酸イオンによる電極被毒が大きくなり、電池性能が低下する。従って、ヘテロポリ酸塩の含有量は、電極重量に対して5重量%以下が好ましい。
なお「電極重量」とは、電極触媒、電極触媒を被覆する固体高分子電解質、固体高分子電解質内に分散しているヘテロポリ酸塩を含む層(触媒層)の重量をいう。
[2.4. 拡散層]
MEAを構成する電極は、通常、触媒層と拡散層の二層構造を取るが、触媒層のみによって構成される場合もある。電極が触媒層と拡散層の二層構造を取る場合、電極は、触媒層を介して電解質膜に接合される。
触媒層は、電極反応の反応場となる部分である。拡散層は、触媒層との間で電子の授受を行うと同時に、反応ガスを触媒層に供給するためのものである。
拡散層には、一般に、カーボンペーパ、カーボンクロス等が用いられる。また、撥水性を高めるために、カーボンペーパ等の表面に、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性高分子の粉末とカーボンの粉末との混合物(撥水層)をコーティングしたものを拡散層として用いても良い。
[3. 固体高分子型燃料電池]
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜(電解質膜)の両面に電極が接合された膜電極接合体(MEA)を備えている。また、固体高分子型燃料電池は、通常、このようなMEAの両面を、ガス流路を備えたセパレータで挟持し、これを複数個積層したものからなる。
本発明に係る固体高分子型燃料電池は、電解質膜として上述したヘテロポリ酸塩を含む高耐久性電解質膜を用い、及び/又は、電極として上述したヘテロポリ酸塩を含む電極を用いたことを特徴とする。
ヘテロポリ酸塩は、触媒層内電解質及び電解質膜のいずれに添加しても良いが、過酸化水素は電極で生成するため、触媒層内電解質に添加するか、あるいは、膜/触媒層の界面に濃化して触媒層又は電解質膜に存在させ、過酸化水素が膜内部へ拡散することを防止するのが好ましい。即ち、これらの化合物は、膜表面又は触媒層の最深部(膜との接合部)に濃化して添加すると良い。但し、過度の濃化は、膜/触媒層の接合性を低下させるため、注意が必要である。
[4. ヘテロポリ酸塩の製造方法]
次に、ヘテロポリ酸塩の製造方法について説明する。ヘテロポリ酸は、水やTHF等の極性溶媒に極めて良く溶ける。その溶解度は、一般に室温で10g/L以上である。試薬中には、不溶性の不純物成分として、SiO2やWO3が分解生成し、混入している場合がある。従って、ヘテロポリ酸を溶解した後、溶液をろ過又はデカンテーションして用いることが好ましい。
溶媒として水を使用した場合について述べると、水にヘテロポリ酸を1〜10g/Lの濃度で加えて十分攪拌し、不純物成分をろ過により取り除く。このろ液に、ホスホニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン等を0.01〜0.1モル/Lの濃度で溶かした溶液を加え、沈殿を生成させる。沈殿生成した固体を加熱熟成し、ろ過し、水洗して乾燥すると、ヘテロポリ酸塩が得られる。
ヘテロポリ酸とこれらのイオンとの量比は、化学量論比近くで加えても良い。あるいは、ヘテロポリ酸を過剰にした、いわゆる部分酸性塩の形で沈殿させても良い。部分酸性塩は、外部から侵入した不純物イオンを沈殿生成させ、フェントン活性を失活させる力が大きい。例えば、ホスホニウムイオン(Pho+)1モルと、りんタングステン酸1モルで生成する酸性塩は、(1)式及び(2)式のように、Fe2+イオン1モルを不活性化できる。
Pho++H3PW1240 → PhoH2PW1240+H+ ・・・(1)
PhoH2PW1240+Fe2+ → PhoFePW1240+2H+ ・・・(2)
ヘテロポリ酸塩を製造するために用いる試薬のカチオンと対になるアニオンは、非ハロゲンイオンが好ましい。特に、塩化物、臭化物、ヨウ化物は、薦められない。これらのハロゲンイオンがヘテロポリ酸塩に吸着して残留すると、電極被毒や触媒金属の溶出を促進し、電池性能の低下が甚だしくなる。
例えば、好ましい化合物の対イオンとしては、具体的には、水酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピオン酸イオン、シュウ酸イオン、マレイン酸イオン、アジピン酸イオン、サリチル酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン、メタスルホン酸イオン、スルファミン酸イオン、トシル酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、ホウ酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、ジブチルリン酸イオン、ベンゾトリアゾラートイオン、デカン酸イオン、メチルカーボネートイオンなどが好ましい。
特に、ギ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩は、pHを極端にアルカリにして共雑イオンを沈殿させることがなく、触媒への被毒作用が小さいので、ヘテロポリ酸塩製造用の原料として好適である。水酸化物も、低濃度であればpHを極端に増大させないので、問題なく使用する事ができる。
例えば、Cs+の場合、過塩素酸セシウム、硝酸セシウム、硫酸セシウム、ギ酸セシウム、酢酸セシウム、蓚酸セシウム、クエン酸セシウム、水酸化セシウム、炭酸セシウムなどが好ましい。
2以上のカチオンを置換したヘテロポリ酸塩を形成する場合には、まず、ヘテロポリ酸溶液に、溶解度の比較的大きなヘテロポリ酸塩を作るカチオンを含む溶液を加える。次いで、このヘテロポリ酸溶液に、溶解度の比較的小さなヘテロポリ酸塩を作るカチオンを含む溶液を加えるのが好ましい。この方法は、先に沈殿生成したヘテロポリ酸塩が多元系ヘテロポリ酸塩の生成を妨害しないという利点がある。
あるいは、溶解度の比較的大きなヘテロポリ酸塩を作るカチオンと、溶解度の比較的小さなヘテロポリ酸塩を作るカチオンとを共存させた溶液と、ヘテロポリ酸を溶解した溶液とを混合し、反応させても良い。
溶解度が比較的大きいヘテロポリ酸塩を作るカチオンとしては、例えば、
(1)Li+、Na+、K+等のアルカリイオン、
(2)Ni+、Ag+等の遷移金属イオン、
(3)Ce3+、Ce4+等の希土類金属イオン
などがある。
また、溶解度が比較的小さいヘテロポリ酸塩を作るカチオンとしては、例えば、セシウムイオン、4級アルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ホスホニウムイオン、グアニジウムイオン、1,10フェナントロリン、核酸塩基、白金イオン、ピラゾロン系イオンなどがある。
これらのヘテロポリ酸塩を沈殿生成する際に用いるカチオンのカウンターアニオンは、水酸イオン又は炭酸イオンのように、残留しても被毒作用が小さいものを用いるのが好ましい。
例えば、H4SiMo1240を用いる場合には、ホスホニウムイオン(Pho+)とCe3+イオンとを含む溶液と、H4SiMo1240を含む溶液とを混合し、反応させることで、(3)式に従い、Ce3+イオンとPho+イオンを難溶性複合塩として固定する事が可能である。
Ce3++Pho++H4SiMo1240→CePhoSiMo1240↓+4H+ ・・(3)
[5. 高耐久性電解質膜及び電極の製造方法]
本発明に係る高耐久性電解質膜は、
(1)ヘテロポリ酸塩と固体高分子電解質とをアルコール等の溶媒に分散又は溶解させ、溶液を金属容器、ガラス容器、PTFEフィルム、PETフィルムなどの上にキャストし、溶媒を加熱除去するキャスト法、
(2)ヘテロポリ酸塩と固体高分子電解質とを加熱溶融して混合し、押し出し成型機でフィルム成型する溶融押し出し法、
などにより製造することができる。
また、本発明に係る電極は、
(1)溶媒に溶かした触媒層内電解質、ヘテロポリ酸塩、及び、電極触媒又は導電性担体に担持された電極触媒を混合して触媒ペーストとし、触媒ペーストを電解質膜(又は拡散層)にスプレー塗布するスプレー法、
(2)PTFEフィルムやPETフィルム上にドクターブレード法等で上記触媒ペーストを塗布して転写シートとし、膜と転写シートとをホットプレスで接合する転写シート法、
などにより製造することができる。
一般に、高分子電解質に残存する重合触媒及びこの分解物である遷移金属元素及び不純物のFeイオンが電解質から十分除去しきれていないと、過酸化水素や・OHラジカルに対する耐性が不十分なことが知られている。例えば、炭化水素系高分子電解質の重合触媒としては、Ru、Pd、Cu、Niの無機塩(塩化物等)やこれらの有機錯体が使用され、触媒層の担体材料である炭素微粒子にはFe、Ni等の遷移金属元素が不純物として100ppmを超える濃度で含まれていることがある。これらの金属イオンは、いずれもフェントン活性を有しており、電解質(特に、炭化水素系電解質)にこれらのイオンがしきい値(いずれも数10ppm)以上の濃度で存在すると、電解質のドライ状態でのラジカル耐性を大きく低下させる。
本発明においては、これらフェントン活性を有する遷移金属イオンを捕捉できるヘテロポリ酸が膜又は電極に添加されているので、フェントン活性が失活し、電解質のラジカル耐性を上げることができる。しかしながら、耐久性をさらに向上させるためには、ヘテロポリ酸塩の添加前に、電解質の酸洗い又は還元処理と酸洗いを施し、不純物遷移金属イオンを電解質からできるだけ除去しておくことが好ましい。
[6. 高耐久性高分子電解質膜、電極及び固体高分子型燃料電池の作用]
MEAの耐久性を向上するために、膜又は電極に種々の化合物やイオンを導入することが行われている。しかしながら、従来のこの種の添加物は、いずれも実用上十分な耐性を得るためには、相対的に多量の添加を必要とする場合が多い。この種の添加物の多量添加は、膜の機械的強度や可撓性の低下、あるいは、膜又は電極に含まれる電解質のプロトン伝導度の低下の原因となる。
さらに、ある種の添加物を炭化水素系電解質に添加すると、逆に耐久性が低下する場合がある。一方、炭化水素系電解質のラジカル耐性を向上させる添加物としては、例えば、過酸化水素を非ラジカル分解できるアルカリ金属化合物や過酸化水素を包摂して安定化する四級アンモニウム化合物などがある。しかしながら、アルカリ金属化合物は、水に易溶であるものが多く、長期間の使用ではMEA系外に持ち出され、良好な耐久性を維持できない。また、四級アルキルアンモニウム化合物は、高温において過酸化水素及びラジカルに対して不安定なものが多く、耐久改善効果が十分ではない。
また、耐久性を向上させるために化合物やイオンを添加する場合において、これらの添加物とフェントン活性を有する不純物との間に相互作用が存在する。すなわち、遷移金属イオン(特に、鉄イオン(Fe2+/Fe3+))があるしきい値を超えて電解質に存在すると、添加物の効果が喪失したり、逆に過酸化水素耐性を悪化させる場合がある。
さらに、燃料電池の空気極の触媒として使用されているPt、Pd、Ru、Agなどの貴金属元素は、運転中に触媒層から溶出し、膜内部で析出したり、触媒層で再析出して触媒粒子が粒成長し、電池性能が低下することが知られている。また、燃料極の触媒として使われるPt−Ru合金においても、PtやRuの溶出あるいは粒成長により電池性能が低下すると言われている。これら電極の貴金属元素の劣化は、運転電位の変動で促進されることが知られている。さらに、貴金属イオンの中にもフェントン活性を示すものあることが知られており、このような貴金属イオンの溶出は、電解質を劣化させ、その劣化生成物が電極を被毒し、電池性能が低下すると言われている。
しかしながら、過酸化水素耐性の向上、フェントン活性を有する不純物イオンの低減、及び、貴金属元素の溶出に起因する性能低下の抑制を図るためには、従来、別個の対策を講じる必要があり、これらを同時に解決する方法が提案された例は従来にはない。
これに対し、電解質膜又は電極にヘテロポリ酸のピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、グアニジウム塩、1,10フェナントロリン塩、核酸塩基塩、及び、ピラゾロン化合物塩から選ばれるいずれか1以上を添加すると、過酸化水素耐性の向上、フェントン活性を有する不純物イオンの低減及び貴金属元素の溶出に起因する性能低下の抑制を同時に図ることができる。
これは、
(1)ヘテロポリ酸塩自体が過酸化水素のイオン分解触媒となって過酸化水素を無害化するため、
(2)ヘテロポリ酸塩がフェントン活性を有する不純物遷移金属イオン(特に、可溶性鉄イオン)を捕捉し、フェントン活性を失活させるため、及び、
(3)ヘテロポリ酸塩が溶出した貴金属イオンを捕捉してキレート化し、貴金属イオンが電極沖合に溶出・拡散することを防ぐため、
と考えられる。
さらに、所定のカチオンとヘテロポリ酸との塩は難溶性であり、長期間に渡って電解質膜又は電極内に留まることができるため、これらの効果を長期間に渡って持続させることができる。
(実施例1〜6、比較例1〜6)
[1. 試験方法]
各ヘテロポリ酸を10g/Lの濃度で溶解した溶液5mLと、各陽イオンの濃度が4×10-3Nの溶液1mLとをガラス容器内で混合した。これを、室温で1日間放置して、沈殿生成の有無を観察した(実施例1〜6)。溶液のpHは、1〜2の強酸性であった。
比較として、陽イオンとしてセリウムイオン(III価、IV価)を用いた以外は、実施例1〜6と同様にして、沈殿生成の有無を観察した(比較例1〜6)。
[2. 結果]
表1に、その結果を示す。なお、表1中、直ちに沈殿が生成したものを「◎」、数時間後に沈殿が生成したものを「○」、沈殿が生じなかったものを「×」で表した。「−」は、未実施を表す。
いずれの陽イオンも、少なくとも1つのヘテロポリ酸と沈殿を生じた。一方、セリウムイオンでは、いずれも沈殿は生じなかった。
Figure 0005391808
(実施例7、比較例7〜10)
[1. 試料の作製]
パーフルオロスルホン酸のポリマー分散溶液(固形分22wt%の水−アルコール混合溶液)をガラス製シャーレに入れ、溶媒を40℃で除去した。その後、さらに80℃×2hrの真空乾燥を施した。膜をシャーレから剥離させ、厚さ約50μm、大きさ30mm×30mmのキャスト成型したフッ素系電解質膜1枚を用意した(比較例7)。
実施例1と同様にして、トリブチルメチルホスホニウム(TBMP)イオンとりんタングステン酸イオンとの沈殿反応を行った。この溶液から沈殿をろ過して水洗し、80℃×2hrの真空乾燥を施し、TBMPイオンとりんタングステン酸イオンとの難溶性ヘテロポリ酸塩を得た。比較例7と同様のポリマー分散溶液に難溶性ヘテロポリ酸塩を固形分濃度が0.5wt%となるように加えた。溶液を超音波ホモジナイザーで混合し、キャストして同上の大きさの膜を得た(実施例7)。
また、比較として、
(1)市販のパーフルオロスルホン酸ポリマー膜(比較例8)、
(2)硝酸セシウム溶液とリンタングステン酸溶液から沈殿したりんタングステン酸セシウム塩を0.5wt%添加したキャスト膜(比較例9)、及び、
(3)硝酸セシウム溶液を用いて酸基の1%をCs+イオンでイオン交換した膜(比較例10)、
を用意した。
[2. 試験方法]
これらの試料に対して過酸化水素蒸気の暴露試験(ドライフェントン試験)を120℃×5hrの条件で行った。
まず、試験前の膜について80℃×2hrの真空乾燥処理を行い、膜重量W1を求めた。
次に、1wt%の過酸化水素水を0.12mL/minの速さで120℃に加熱したPTFE製の蒸発器に滴下し、全量を気化させた。これにN2を0.3L/min加えて希釈した。本条件で、120℃における相対湿度は、約31%と計算された。試験膜は、PTFE製の網に固定し、120℃に加熱したPTFE製の内筒内に置いた。
暴露試験後、80℃×2hrの真空乾燥処理を行い、膜重量W2を求めた。さらに、膜重量W1、W2から、重量変化ΔW(=(W1−W2)/W1×100)を算出した。
試料を通過した過酸化水素蒸気を、PE製容器(周りを氷冷却)に入れた超純水100mLにバブリングして回収した。その回収水中に検出されたF-の量をオリオン社製のイオン選択性電極で計測し、試験膜面積と試験時間から単位時間、単位面積当たりのF-排出速度FRR(μg/cm2/hr)を求めた。
回収水(約130mL)の導電率を簡易導電率計((株)堀場製作所製;Twin cond B-173)で計測した。また、回収水のpHをpHメータ((株)堀場製作所製;F−7、緩衝溶液pH4.0とpH2.0で更正)で調べた。
[3. 結果]
表2に、その結果を示す。実施例7は、回収水の導電率が未添加のキャスト膜(比較例7)、市販のパーフルオロスルホン酸ポリマー膜(比較例8)や、Csのヘテロポリ酸塩を添加したキャスト膜(比較例9)、市販のパーフルオロスルホン酸ポリマー膜にセシウムイオンを導入した膜(比較例10)よりも小さく、膜劣化の程度(イオン成分の排出)が小さかった。また、実施例7では、pHが比較例7〜10より高く、F排出速度(FRR)も小さく、フッ化水素酸の生成が抑制されていた。
Figure 0005391808
(実施例8〜12、比較例11)
[1. 試料の作製]
60wt%Pt/C触媒0.5gに実施例1の方法で作製したりんタングステン酸トリブチルメチルホスホニウム塩を電極重量割合で0.01〜20wt%相当、蒸留水2.0g、エタノール2.5g、プロピレングリコール1.0g、22wt%ナフィオン(登録商標)溶液(デュポン社製)0.9gをこの順で加えた。この溶液を超音波ホモジナイザーで分散させ、触媒インクを作製した。これをポリテトラフルオロエチレンシート上に塗布、乾燥してカソード転写電極を得た。Pt使用量は、0.5〜0.6mg/cm2の範囲で一定とした。
アノードには、30wt%Pt/Cを用い、上記ヘテロポリ酸塩を用いることなく、上記と同様の作製方法で得た電極を用いた。Pt使用量は、0.2mg/cm2とした。
これらの電極を36mm角に切り出し、パーフルオロ系電解質膜NRE212CS(デュポン社製)に熱圧着(120℃、50kgf/cm2(4.9MPa))して、MEAを作製した。
[2. 試験方法]
以下の条件下で、耐久試験を行った。
アノードガス: H2(100ml/min)
カソードガス: Air(100ml/min)
セル温度: 80℃
加湿器温度: 60℃(アノード側、カソード側ともに)
試験時間: 開回路1分、0.1A/cm2を1分とするサイクル試験を150時間
耐久試験前後で0.8A/cm2における電圧値を測定し、その低下割合を算出した。
[3. 結果]
表3に、初期電圧及び耐久試験後の電圧低下率を示す。なお、実施例12は、初期電圧が著しく低下したために、耐久試験は行わなかった。
表3より、
(1)りんタングステン酸塩無添加の場合(比較例11)、初期電圧は高いが、電圧低下率が大きい、
(2)りんタングステン酸塩を添加した場合、添加量が多くなるほど電圧低下率は減少する、
(3)りんタングステン酸塩添加量が過剰になると、初期電圧が低下する、
(4)高い初期電圧と低い電圧低下率を両立させるためには、りんタングステン酸塩の添加量は、電極重量に対して0.05〜5wt%が好ましい、
ことがわかる。
Figure 0005391808
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る高耐久性電解質膜及び電極は、固体高分子型燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる電解質膜及び電極に用いることができる。
また、本発明に係る固体高分子型燃料電池は、車載用動力源、定置型小型発電器、コジェネレーションシステム等に適用することができる。

Claims (9)

  1. 固体高分子電解質膜と、
    前記固体高分子電解質膜内に分散しているヘテロポリ酸塩とを備え、
    前記ヘテロポリ酸塩は、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、グアニジウム塩、1,10フェナントロリン塩、核酸塩基塩、及び、ピラゾロン化合物塩から選ばれるいずれか1以上である高耐久性電解質膜。
  2. 前記ヘテロポリ酸塩は、難溶性である請求項1に記載の高耐久性電解質膜。
  3. 前記ヘテロポリ酸塩の含有量が、前記固体高分子電解質膜重量に対して0.05〜5重量%である請求項1又は2に記載の高耐久性電解質膜。
  4. ハロゲンイオンの含有量が、前記固体高分子電解質膜重量当たり10ppm以下である請求項1から3までのいずれかに記載の高耐久性電解質膜。
  5. 電極触媒と、
    前記電極触媒を被覆する固体高分子電解質と、
    前記固体高分子電解質内に分散しているヘテロポリ酸塩とを備え、
    前記ヘテロポリ酸塩は、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩、グアニジウム塩、1,10フェナントロリン塩、核酸塩基塩、及び、ピラゾロン化合物塩から選ばれるいずれか1以上である電極。
  6. 前記ヘテロポリ酸塩は、難溶性である請求項5に記載の電極。
  7. 前記ヘテロポリ酸塩の含有量が、電極重量に対して0.05〜5重量%である請求項5又は6に記載の電極。
  8. 請求項1から4までのいずれかに記載の高耐久性電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池。
  9. 請求項5から7までのいずれかに記載の電極を用いた固体高分子型燃料電池。
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