JP5358997B2 - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子型燃料電池に関し、さらに詳しくは、車載用動力源、定置型小型発電器、コジェネレーションシステム等として好適な固体高分子型燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体(MEA)を基本単位とする。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボンペーパー、カーボンクロス等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、白金等の電極触媒を担持したカーボンと固体高分子電解質との複合体からなる。
このようなMEAを構成する電解質膜あるいは触媒層内電解質には、耐酸化性に優れた全フッ素系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含まない電解質。例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成(株)製)、フレミオン(登録商標、旭硝子(株)製)等。)を用いるのが一般的である。
また、全フッ素系電解質は、耐酸化性に優れるが、一般に極めて高価である。そのため、固体高分子型燃料電池の低コスト化を図るために、炭化水素系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含み、C−F結合を含まない電解質)、又は、部分フッ素系電解質(高分子鎖内にC−H結合とC−F結合の双方を含む電解質)の使用も検討されている。
しかしながら、固体高分子型燃料電池を車載用動力源等として実用化するためには、解決すべき課題が残されている。例えば、MEAを構成する電解質膜は、触媒層で副生成する過酸化水素又はその分解生成物であるラジカルに対して不安定であり、耐久性を向上させる必要がある。触媒層内電解質や電解質膜が全フッ素系電解質である場合には、耐久性の低下は比較的少ない。これに対し、炭化水素系電解質の場合は、過酸化水素及びラジカルに対する安定性が全フッ素系電解質に比べて著しく劣るため、燃料電池を長期間安定的に作動させることは困難である。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、炭化水素系固体高分子電解質膜に、二酸化マンガンなどの酸化物触媒、鉄フタロシアニンなどの大環状金属錯体触媒、又は、Cu−Ni合金粒子などの遷移金属合金触媒を添加した固体高分子電解質膜が開示されている。
同文献には、炭化水素系電解質に酸化物触媒等を添加すると、過酸化水素が不均化反応により水に分解し、過酸化水素による電解質の劣化を抑制できる点が記載されている。
また、特許文献2には、炭化水素系電解質にRuO2などの遷移金属酸化物を添加した固体高分子電解質が開示されている。
同文献には、炭化水素系電解質に遷移金属酸化物を添加すると、過酸化水素のラジカル化による電解質の劣化を抑制できる点が記載されている。
また、特許文献3には、スルホン化ポリフェニレンサルファイド膜のスルホン酸基のプロトンの一部をMg、Ca、Al、Laなどの多価金属で置換したプロトン伝導性高分子膜が開示されている。
同文献には、スルホン酸基のプロトンの一部を、ある種の多価金属で置換すると、過酸化物ラジカルに対する耐性(耐酸化性)が向上する点が記載されている。
また、特許文献4には、電解質ではないが、モンモリロナイトの陽イオンをイミダゾリウムイオンでイオン交換し、これとポリエステルとを混合したポリエステル繊維が開示されている。
同文献には、ポリエステルに有機オニウムイオンでイオン交換された層状珪酸塩を添加すると、強度、弾性率が向上する点が記載されている。
また、特許文献5には、スルホン化ポリエーテルエーテルケトンと、ブチルピリジニウムとトリフルオロメタンスルホニルイミド(TFSI)からなるイオン液体(溶融塩)とを混合したプロトン伝導膜が開示されている。
同文献には、イオン液体はほとんど蒸発しないため、100℃以上の高温でも安定したプロトン伝導度を維持できる点が記載されている。
さらに、特許文献6には、スルホン化ポリアリーレンに、フェノール性水酸基含有化合物、アミン系化合物、有機リン化合物又は有機イオウ化合物からなる酸化防止剤を添加した高分子電解質組成物が開示されている。
同文献には、スルホン化ポリアリーレンに酸化防止剤を添加することによって、ラジカル耐性が向上し、強靱なフィルム強度も維持される点が記載されている。
特開2000−106203号公報 特開2001−118591号公報 特開2004−018573号公報 特開2006−022421号公報 特開2004−311212号公報 特開2003−201403号公報
全フッ素系電解質に対して、ある種の大環状金属錯体や遷移金属酸化物を添加し、あるいは、全フッ素系電解質のプロトンの一部を、ある種の金属イオンで置換すると、過酸化水素及びラジカルに対する耐性を向上させることができる。しかしながら、これらの技術をそのまま炭化水素系電解質に転用しても、十分な耐食性が得られない場合が多い。
また、従来、高分子電解質の過酸化水素耐性試験には、フェントン試験を用いるのが一般的であった。フェントン試験(Fe2+イオン添加過酸化水素水浸漬試験)は、高湿度状態(飽和湿度)下での劣化程度を調べる方法である。
一方、燃料電池運転中には、MEAは十分な湿潤状態ではなく、ドライな状態に置かれる場合も多く、高分子電解質の耐久性を評価するにはフェントン試験のみでは不十分である。そのため、最近では、低湿度下(ドライ環境)で高温の過酸化水素蒸気を被試験体に当てる、いわゆるドライフェントン試験がMEAの劣化を模擬できる促進試験として採用されつつある。しかしながら、上述した耐久性改善法で処理した電解質膜をドライフェントン試験で評価すると、フェントン試験とは全く別の結果を示すものがある。
さらに、特許文献5には、高分子電解質にイオン液体を添加すると、プロトン伝導性が向上する点が記載されている。しかしながら、イオン液体は燃料電池作動温度では流動性があるため、電解質膜から外部に流出し、長期間の作動が困難である。また、イオン液体のアニオンは、加水分解しやすいものが多い。さらに、イオン液体のアニオンがTFSIのようなフッ素を含むものである場合、高温で使用すると、微量のフッ化物イオンを燃料電池外に排出しやすいという問題がある。
本発明が解決しようとする課題は、電解質の種類によらず、燃料電池の作動環境下(特に、ドライ環境下)においても高い耐酸化性を示す固体高分子型燃料電池を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする課題は、有害物質(特に、フッ化物イオン)の排出量を増加させることなく、燃料電池の作動環境下(特に、ドライ環境下)においても高い耐酸化性を示す固体高分子型燃料電池を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る固体高分子型燃料電池の1番目は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記固体高分子型燃料電池は、
電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体を備え、
前記電解質膜及び前記電極に含まれる触媒層内電解質の少なくとも一方は、酸基のプロトンの一部がホスホニウムイオンでイオン交換されている。
(2)前記酸基のプロトンの一部が前記ホスホニウムイオンでイオン交換されている前記電解質膜及び前記電極に含まれる触媒層内電解質の少なくとも一方は、前記酸基の一部がLi+、Na+、Mg2+、Ca2+、Al3+、Ga3+、Cr3+、Zn2+、La3+、Ce3+、Pr3+、Eu3+、Bi3+、Pt2+、及び、Pt4+から選ばれるいずれか1以上のイオンでさらにイオン交換されている。
また、本発明に係る固体高分子型燃料電池の2番目は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記固体高分子型燃料電池は、
電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体を備え、
前記電解質膜及び前記電極に含まれる触媒層内電解質の少なくとも一方は、フッ素を含まないホスホニウム化合物を含む。
(2)前記ホスホニウム化合物を含む前記電解質膜及び前記電極に含まれる触媒層内電解質の少なくとも一方は、酸基の一部がLi+、Na+、Mg2+、Ca2+、Al3+、Ga3+、Cr3+、Zn2+、La3+、Ce3+、Pr3+、Eu3+、Bi3+、Pt2+、及び、Pt4+から選ばれるいずれか1以上のイオンでさらにイオン交換されている。
電解質膜及び/又は触媒層内電解質に含まれる酸基のプロトンの一部をホスホニウムイオンで置換すると、燃料電池のドライ環境下における耐酸化性が向上する。これは、ホスホニウムイオンが過酸化水素を非ラジカル的に分解し、無害化するためと考えられる。また、イオン交換法は、フッ化物イオンの排出量を増大させないだけでなく、ホスホニウムイオンを均一に導入できる。また、ホスホニウムイオンは、酸基と強固に結合するので、生成水や加湿水によって系外に持ち出されるおそれも少ない。
同様に、電解質膜及び/又は触媒層内電解質にフッ素を含まないホスホニウム化合物を添加すると、燃料電池のドライ環境下における耐酸化性が向上する。また、フッ素を含まないホスホニウム化合物を用いているので、フッ化物イオンの排出量が増大するおそれもない。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 固体高分子型燃料電池(1)]
本発明の第1の実施の形態に係る固体高分子型燃料電池は、
電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体を備え、
電解質膜及び電極に含まれる触媒層内電解質の少なくとも一方は、酸基のプロトンの一部がホスホニウムイオンでイオン交換されている
ことを特徴とする。
[1.1 膜電極接合体]
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体(MEA)を備えている。また、固体高分子型燃料電池は、通常、このようなMEAの両面を、ガス流路を備えたセパレータで挟持し、これを複数個積層したものからなる。
本発明において、固体高分子電解質膜の材質は、特に限定されるものではなく、種々の材料を用いることができる。
すなわち、固体高分子電解質膜の材質は、高分子鎖内にC−H結合を含み、かつC−F結合を含まない炭化水素系電解質、及び高分子鎖内にC−F結合を含むフッ素系電解質のいずれであっても良い。また、フッ素系電解質は、高分子鎖内にC−H結合とC−F結合の双方を含む部分フッ素系電解質であっても良く、あるいは、高分子鎖内にC−F結合を含み、かつC−H結合を含まない全フッ素系電解質であっても良い。
なお、フッ素系電解質は、フルオロカーボン構造(−CF2−、−CFCl−)の他、クロロカーボン構造(−CCl2−)や、その他の構造(例えば、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R)−等。但し、「R」は、アルキル基)を備えていてもよい。また、固体高分子電解質膜を構成する高分子の分子構造は、特に限定されるものではなく、直鎖状又は分岐状のいずれであっても良く、あるいは環状構造を備えていても良い。
また、固体高分子電解質に備えられる酸基の種類についても、特に限定されるものではない。酸基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホンイミド基等がある。固体高分子電解質には、これらの酸基の内、いずれか1種類のみが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。さらに、これらの酸基は、直鎖状固体高分子化合物に直接結合していても良く、あるいは、分枝状固体高分子化合物の主鎖又は側鎖のいずれかに結合していても良い。
炭化水素系電解質としては、具体的には、
(1)高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の酸基が導入されたポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、ポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテル等、及びこれらの誘導体(脂肪族炭化水素系電解質)、
(2)高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の酸基が導入されたポリスチレン、芳香環を有するポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート等、及びこれらの誘導体(部分芳香族炭化水素系電解質)、
(3)高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の酸基が導入されたポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレン、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド等、及びこれらの誘導体(全芳香族炭化水素系電解質)、
などがある。
また、部分フッ素系電解質としては、具体的には、高分子鎖のいずれかにスルホン酸基等の酸基が導入されたポリスチレン−グラフト−エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリスチレン−グラフト−ポリテトラフルオロエチレン等、及びこれらの誘導体などがある。
また、全フッ素系電解質としては、具体的には、デュポン社製ナフィオン(登録商標)、旭化成(株)製アシプレックス(登録商標)、旭硝子(株)製フレミオン(登録商標)等、及びこれらの誘導体などがある。
さらに、本発明において、MEAを構成する固体高分子電解質膜は、固体高分子電解質のみからなるものであっても良く、あるいは、多孔質材料、長繊維材料、短繊維材料等からなる補強材を含む複合体であっても良い。
一般に、フッ素系電解質、特に全フッ素系電解質は、高分子鎖内にC−F結合を有しているため、耐酸化性に優れている。フッ素系電解質に対して後述するホスホニウムイオン又はホスホニウム化合物を添加した場合であっても、過酸化水素に対する安定性は向上するが、その効果は、炭化水素系電解質において顕著である。
MEAを構成する電極は、通常、触媒層と拡散層の二層構造を取るが、触媒層のみによって構成される場合もある。電極が触媒層と拡散層の二層構造を取る場合、電極は、触媒層を介して電解質膜に接合される。
触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、電極触媒又は電極触媒を担持した担体と、その周囲を被覆する触媒層内電解質とを備えている。一般に、電極触媒には、MEAの使用目的、使用条件等に応じて最適なものが用いられる。固体高分子型燃料電池の場合、電極触媒には、白金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム等若しくはこれらの合金、又は、Pt等の貴金属とコバルト、鉄、ニッケル等の遷移金属元素との合金が用いられる。触媒層に含まれる電極触媒の量は、MEAの用途、使用条件等に応じて最適な量が選択される。
触媒担体は、微粒の電極触媒を担持すると同時に、触媒層における電子の授受を行うためのものである。触媒担体には、一般に、カーボン、活性炭、フラーレン、カーボンナノフォーン、カーボンナノチューブ等が用いられる。触媒担体表面への電極触媒の担持量は、電極触媒及び触媒担体の材質、MEAの用途、使用条件等に応じて最適な担持量が選択される。
触媒層内電解質は、固体高分子電解質膜と電極との間でプロトンの授受を行うためのものである。触媒層内電解質には、通常、固体高分子電解質膜を構成する材料と同一の材料が用いられるが、異なる材料を用いても良い。触媒層内電解質の量は、MEAの用途、使用条件等に応じて最適な量が選択される。
拡散層は、触媒層との間で電子の授受を行うと同時に、反応ガスを触媒層に供給するためのものである。拡散層には、一般に、カーボンペーパ、カーボンクロス等が用いられる。また、撥水性を高めるために、カーボンペーパ等の表面に、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性高分子の粉末とカーボンの粉末との混合物(撥水層)をコーティングしたものを拡散層として用いても良い。
[1.2 ホスホニウムイオンによるイオン交換]
ホスホニウムイオンによるイオン交換は、電解質膜又は触媒層内電解質のいずれか一方に対して行っても良く、あるいは、双方に対して行っても良い。イオン交換は、後述するように、ホスホニウム化合物を水、アルコールなどの溶媒に溶解させ、この溶液中に電解質膜、触媒シート、MEAなどを浸漬することにより行う。
ここで、「ホスホニウムイオン」とは、P原子の回りに4つのアルキル基が結合した1価のイオンをいう。(1)式に、ホスホニウムイオンの一般式を示す。
[P(R1)(R2)(R3)(R4)]+ ・・・(1)
また、「ホスホニウム化合物」とは、P原子の回りに4つのアルキル基が結合した1価のホスホニウムイオンと、対になるアニオンB-とがイオン結合している化合物をいう。(2)式に、ホスホニウム化合物の一般式を示す。
[P(R1)(R2)(R3)(R4)]+- ・・・(2)
ホスホニウム化合物のカチオン部分(ホスホニウムイオン)としては、
(a) テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム、
(b) トリエチルベンジルホスホニウム、
(c) トリメチルデシルホスホニウム、トリメチルドデシルホスホニウム、トリメチルヘキサデシルホスホニウム、トリメチルオクタデシルホスホニウム、
(d) トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルドデシルホスホニウム、トリブチルオクタデシルホスホニウム、トリブチルヘキサデシルホスホニウム、トリブチルアリルホスホニウム、
(e) トリオクチルエチルホスホニウム、
(f) メチルトリフェニルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、ジフェニルジオクチルホスホニウム、トリフェニルオクタデシルホスホニウム、
などがある。
カチオン部分と対になるアニオンB-には、
(a) 水酸イオン、炭酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピロン酸イオン、シュウ酸イオン、マレイン酸イオン、アジピン酸イオン、サリチル酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、スルファミン酸イオン、トシル酸イオン、テトラフェニルほう酸イオン、ホウ酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、ジブチルリン酸イオン、ベンゾトリアゾラートイオン、デカン酸イオン、メチルカーボネートイオン、
(b) フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、
(c) BF4 -、PF6 -、(CF3SO2)2-、TFSI-などのフッ化物錯体アニオン、
などがある。
これらの内、好ましくない対アニオンは、ハロゲンイオンである。ハロゲンイオンの中でも、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオンは、電極内に残留することによって電池性能を低下させる場合がある。特に、塩化物イオンは、電極に残留すると、電極反応を被毒したり、触媒のPtをPtCl4 2-、PtCl6 2-などの錯イオンとして触媒層から溶出させ、電池性能を大きく低下させる原因となる。また、フッ化物イオン及びフッ化物錯体アニオンは、フッ素を含むため環境負荷が大きく、製造コストも高い。
従って、イオン交換に用いるホスホニウム化合物は、対アニオンB-にハロゲン元素を含まないものを用いるのが好ましい。ホスホニウム化合物は、特に、塩化物イオンを含まないものが好ましい。
ホスホニウム化合物は、分子量が大きくなると水に不溶となるものがあり、アルコール等の有機溶媒への溶解度も小さくなる。従って、ホスホニウム化合物は、可溶性の化合物を用いるのが好ましい。
イオン交換に用いるホスホニウム化合物としては、具体的には、
(a) テトラエチルホスホニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルホスホニウムヒドロキシド、
(b) エチルトリフェニルホスホニウムアセタート、テトラブチルホスホニウムアセタート、
(c) 硫酸テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム、硝酸テトラブチルホスホニウム、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム、メタンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、トシル酸トリイソブチルメチルホスホニウム、トシル酸テトラブチルホスホニウム、
(d) テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフェニルボラート、ジ−tert−ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボラート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス[オキサラト(2−)]ボラート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−P−トリルボラート、ベンジルフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、P−トリルトリフェニルホスホニウムテトラ−P−トリルボラート、
(e) トリエチルメチルホスホニウムジブチルフォスフェート、エチルトリフェニルホスホニウムホフォスフェート、トリブチルメチルホスホニウムジブチルフォスフェート、
(f) テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾラート
(g) デカン酸トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム、
(h) トリブチルメチルホスホニウムメチルカーボネート、
などがある。
ホスホニウムイオンによるイオン交換率は、ホスホニウムイオンの種類や要求される特性に応じて、最適な添加量を選択する。
一般に、ホスホニウムイオンによるイオン交換率が低すぎると、十分な耐久性向上効果が得られない。従って、イオン交換率は、0.1%以上が好ましい。
一方、イオン交換率が高すぎると、電解質の酸基割合が減少してプロトン伝導性が低下し、電池性能が低下する。従って、イオン交換率は、20%以下が好ましい。
[1.3 金属イオンによるイオン交換]
ホスホニウムイオンでイオン交換されている電解質膜又は触媒層内電解質は、さらに所定の金属イオンでイオン交換されていても良い。電解質膜を金属イオンのみでイオン交換すると、過酸化水素耐性はある程度向上できるが、その効果は十分ではない。また、金属イオンでイオン交換すると、膜が脆化する場合がある。これに対し、電解質膜を、ホスホニウムイオンと所定の金属イオンの双方でイオン交換すると、過酸化水素耐性の向上と機械的特性を両立させることができる。触媒層内電解質も同様であり、金属イオン及びホスホニウムイオンの双方でイオン交換すと、いずれか一方のみでイオン交換した場合よりも過酸化水素耐性が向上する。
酸基の一部をイオン交換する金属イオンとしては、具体的には、Li+、Na+、Mg2+、Ca2+、Al3+、Ga3+、Cr3+、Zn2+、La3+、Ce3+、Pr3+、Eu3+、Bi3+、Pt2+、Pt4+などがある。電解質膜及び/又は触媒層内電解質は、これらのいずれか1種の金属イオンでイオン交換されていても良く、あるいは、2種以上でイオン交換されていても良い。
イオン交換は、金属イオンを含む化合物を水、アルコールなどの溶媒に溶解させ、この溶液中に電解質膜、触媒シート、MEAなどを浸漬することにより行う。
イオン交換に用いる化合物としては、
(a) 水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸水素塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩などの無機塩、
(b) ギ酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩などの有機酸塩、
(c) アミン錯塩
などを用いることができる。
これらの内、塩化物は、電極の腐食や被毒が生ずるおそれがある。従って、金属イオン源には、ハロゲン(特に、塩素)を含まない化合物を用いるのが好ましい。
ホスホニウムイオンと金属イオンの双方でイオン交換する場合において、ホスホニウムイオン(P)のモル数と金属イオン(B)のモル数との比(P/B)が小さすぎると、金属イオンのみの効果となり、膜の脆化を防ぐ作用が見られなくなる。従って、P/B比は、0.1以上が好ましい。
一方、P/B比が大きくなりすぎると、金属イオンとの相乗効果は小さくなり、高コストとなる。従って、P/B比は、10以下が好ましい。
[1.4 イオン分解剤の添加]
上述したホスホニウムイオンによるイオン交換(及び、必要に応じて行われる金属イオンによるイオン交換)に加えて、さらに、希土類元素を含む酸化物、リン酸塩、フッ化物、シュウ酸塩、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、ホウ化物、ケイ化物等の難溶性化合物をさらに添加しても良い。これらの難溶性化合物は、炭化水素系電解質を酸化劣化させる力が比較的大きいが、過酸化水素をイオン分解する活性が比較的高い。そのため、ホスホニウムイオンでイオン交換することに加えて、これらの難溶性化合物を添加すると、これらの化合物を添加した場合に憂慮される機械的特性の低下を防ぎ、しかも過酸化水素に対する耐性を大幅に強化することができる。
[1.5 固体高分子型燃料電池(1)の製造方法]
酸基のプロトンの一部をホスホニウムイオンでイオン交換するためには、可溶性のホスホニウム化合物を溶媒に溶解させ、この溶液と電解質膜、触媒シート、又は、MEAとを、浸漬、スプレー塗布等の方法により接触させれば良い。溶媒には、ホスホニウム化合物を溶解可能な水、エタノール、イソプロパノールなどの極性溶媒、水とエタノール等との混合溶媒を用いるのが好ましい。
水に難溶性のホスホニウム化合物は、一旦、エタノールやイソプロパノールなどの非水溶媒に溶解させた後、この溶液を水に溶解させるのが好ましい。このような方法を用いると、均質な処理溶液を作製することができる。
さらに、ホスホニウムイオンを含む溶液と電解質膜とを接触させる場合、接触前に膜を膨潤させておくと、電解質膜内部まで容易にイオン交換することができる。膨潤は、膜を、水、アルコール等の非水溶媒、又は、水と非水溶媒との混合溶媒に所定時間浸漬することにより行う。
処理溶液は、溶液中のホスホニウムイオンの濃度が0.01〜1mM/L程度の希薄溶液が好ましい。溶液中のイオン量は、イオン交換しようとする酸基量に相当する量であればよい。0.01mol/L以上の高濃度の溶液でイオン交換すると、100%近くのプロトンがイオン交換されてしまい、電解質のプロトン伝導性が失われることがあるので、注意が必要である。
溶液のpHは、2以上が好ましい。pH2未満の酸性溶液においてイオン交換すると、プロトンの数が多すぎて電解質は酸体が安定となり、ホスホニウムイオンの導入が困難となる。
イオン交換に要する時間は、室温の場合、電解質の酸基がこれらのイオンに100%近く交換されるためには、8hr以上を必要とする。一方、40℃以上の温度で加熱すると、1〜4hr程度でイオン交換が進行する。従って、イオン交換は、加温して行うのが好ましい。
電解質膜又は触媒層内電解質を、ホスホニウムイオンと金属イオンの双方でイオン交換する場合、処理溶液中にさらにホスホニウムイオンと金属イオン源を溶解させ、同時にイオン交換しても良く、あるいは、ホスホニウムイオンによるイオン交換と金属イオンによるイオン交換の2段階に分けてイオン交換を行っても良い。いずれの方法による場合でも、溶液中のイオン濃度、pH、温度、処理時間等を最適化すると、効率よくイオン交換することができる。
また、希土類元素を含む難溶性化合物は、
(1) 希土類元素イオンをイオン交換させ、適当なアニオンと反応させることにより難溶性化合物として析出させる方法、
(2) 難溶性化合物の粉末を電解質膜又は触媒層に添加する方法
などを用いて添加することができる。
微量のホスホニウムイオン(及び、金属イオン)を電解質の酸基とイオン交換する場合は、処理液に含まれる対アニオンは微量である。そのため、電池性能を阻害するおそれは少なく、特に水洗を必要としない。但し、電解質のプロトンの1%以上をイオン交換する場合には、対アニオンによる電極被毒が無視できないことや、凝縮水のイオン伝導度が増加し、配管等が腐食するおそれが生じる。このような高濃度のイオン交換を行う場合には、処理液との接触後、十分に水洗(加温水洗)して、余剰のアニオンを除去することが好ましい。
なお、処理液中にFe2+、Fe3+、Ru3+、Pd2+などの金属イオンが混入していると、これらの金属イオンがイオン交換により電解質内に導入され、電解質の過酸化水素に対する耐性を大幅に悪化させる。従って、イオン交換に供する薬品中の不純物濃度及び処理溶液からの金属イオンの溶け出しには十分注意する必要がある。これらの金属イオンの濃度許容値は、0.1ppm以下である。可能であれば、0.01ppm(10ppb)以下とするのが好ましい。
また、イオン交換に用いるホスホニウム化合物(及び、金属イオン源)として、塩化物イオンなどの有害イオンを含む化合物を用いることができる。しかしながら、イオン交換後にMEA中に有害イオンが残留すると、触媒の被毒や触媒の腐食による溶出の原因となる。このような場合には、イオン交換後に脱有害イオン除去処理を行うのが好ましい。
脱有害イオン除去処理方法としては、具体的には、
(a) 温水洗浄する方法、
(b) アニオン交換樹脂と共に洗浄する方法、
(c) 特定のカチオン(例えば、塩化物イオンを除去する場合は、Ag+、Cs+、BiO+、YbO+など)を含む水溶液で洗浄し、有害イオンを難溶性化合物として固定する方法、
などがある。
[2. 固体高分子型燃料電池(2)]
本発明の第2の実施の形態に係る固体高分子型燃料電池は、
電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体を備え、
電解質膜及び電極に含まれる触媒層内電解質の少なくとも一方は、フッ素を含まないホスホニウム化合物を含むことを特徴とする。
[2.1 膜電極接合体]
膜電極接合体の詳細については、第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
[2.2 ホスホニウム化合物]
本実施の形態において、フッ化物イオンの燃料電池系外への排出量を低減するためには、ホスホニウム化合物は、カチオン部分及びアニオン部分のいずれもF原子を含まないものである必要がある。また、本実施の形態において、ホスホニウム化合物は、必ずしも溶媒に可溶なものである必要はない。
ホスホニウム化合物に関するその他の点については、イオン交換に用いるホスホニウム化合物と同様であるので、説明を省略する。
フッ素を含まないホスホニウム化合物は、触媒層内電解質及び電解質膜のいずれに添加しても良い。過酸化水素は電極で生成するため、触媒層内電解質に添加するか、あるいは、膜/触媒層の界面に濃化して触媒層又は電解質膜に存在させ、過酸化水素が膜内部へ拡散するのを防止するのが好ましい。すなわち、フッ素を含まないホスホニウム化合物は、膜表面又は触媒層の最深部(膜との接合部)に濃化して添加するのが好ましい。但し、過度の濃化は、膜/触媒層の接合性を低下させるため、注意が必要である。
ホスホニウム化合物の含有量は、ホスホニウム化合物の種類や要求される特性に応じて、最適な添加量を選択する。
一般に、ホスホニウム化合物の添加量が少なすぎると、十分な耐久性向上効果が得られない。従って、ホスホニウム化合物の含有量は、電解質の酸基割合に換算して0.1%以上が好ましい。「酸基割合に換算」とは、電解質に含まれる酸基の総モル数に対するホスホニウム化合物に含まれるホスホニウムイオンのモル数の割合をいう。
一方、ホスホニウム化合物の添加量が過剰になると、水に可溶性のホスホニウム化合物の場合には、対カチオンが電解質のプロトンと多量にイオン交換してしまい、電解質内の酸基割合が減少してプロトン伝導性が小さくなり、電池性能が低下する。従って、ホスホニウム化合物の含有量は、電解質の酸基割合に換算して20%以下が好ましい。
[2.3 金属イオンによるイオン交換]
ホスホニウム化合物が添加された電解質膜又は触媒層内電解質は、さらに所定の金属イオンでイオン交換されていても良い。金属イオンによるイオン交換の詳細については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[2.4 イオン分解剤の添加]
上述したホスホニウム化合物に加えて、さらに、希土類元素を含む酸化物、リン酸塩、フッ化物、シュウ酸塩、タングステン酸塩、モリブデン酸塩、ホウ化物、ケイ化物等の難溶性化合物をさらに添加しても良い。イオン分解剤の添加の詳細については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[2.5 固体高分子型燃料電池(2)の製造方法]
電解質膜にホスホニウム化合物を添加する方法としては、具体的には、
(a) フッ素を含まないホスホニウム化合物と固体高分子電解質とをアルコール等の溶媒に分散又は溶解させ、金属、ガラス製容器、PTFEフィルム、PETフィルム等の基板の上にキャストし、溶媒を加熱除去するキャスト法、
(b) フッ素を含まないホスホニウム化合物と固体高分子電解質とを加熱溶融して混合し、押し出し成形機でフィルム成形する溶融押出法、
などがある。
また、触媒層にホスホニウム化合物を添加する方法としては、具体的には、
(a) 触媒層内電解質を溶解させた溶液に、フッ素を含まないホスホニウム化合物及び触媒が担持された導電性担体を混合して触媒ペーストとし、これを電解質膜表面にスプレー塗布する方法(スプレー法)、
(b) PTFEフィルムやPETフィルム上に、ドクターブレード法等を用いて、フッ素を含まないホスホニウム化合物を含む触媒ペーストを塗布して転写シートを作製し、電解質膜と転写シートをホットプレスで接合する方法(転写シート法)、
などがある。
いずれの場合も、電解質膜、転写シート(触媒シート)、又は、MEAにした後、さらに、所定の金属イオンで酸基の一部をイオン交換することができる。
また、電解質膜又は転写シートを製造する際に、ホスホニウム化合物に加えて、過酸化水素分解作用がある希土類元素の難溶性化合物を添加することもできる。
金属イオンのイオン交換法及び難溶性化合物の添加法は、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
[3. 本発明に係る固体高分子型燃料電池の作用]
全フッ素系電解質に対して、大環状金属錯体、遷移金属酸化物、ある種の金属イオンなどを添加すると、過酸化水素及びラジカルに対する耐性をある程度改善することができる。しかしながら、炭化水素系電解質に対してこれらの方法を用いても、十分な耐久性を得ることができない場合がある。その詳しい理由は、不明であるが、その原因として、以下のことが考えられる。
すなわち、全フッ素系電解質は、基本骨格が比較的安定なため、過酸化水素を分解する大環状金属錯体等を導入しても、基本骨格が酸化・還元を受けることがなく、不安定な重合末端や分岐部分を安定化することができる。
他方、炭化水素系電解質においては、基本骨格が不安定なため、これらの化合物やイオンは、過酸化水素を非ラジカル的(イオン的)に分解すると同時に、高分子の基本骨格自身を酸化、還元あるいは加水分解し、低分子化させると考えられる。この低分子化作用により、炭化水素系電解質の機械的性質(伸び、破断強度)は著しく低下する。ここで注意すべきことは、炭化水素系高分子は、ドライ環境(低湿度)下で著しく劣化しやすくなる点である。
ところで、高分子電解質の耐過酸化水素耐性試験として一般に用いられている、いわゆるフェントン試験は、高湿度状態(飽和湿度)下の劣化程度を調べる方法である。ところが、MEAは、燃料電池の運転中に十分な湿潤状態ではなく、ドライな状態に置かれる場合も多い。そのため、高分子電解質の耐久性を評価するにはフェントン試験のみでは不十分であり、最近では低湿度下(ドライ環境)で高温の過酸化水素蒸気を被試験体に当てる、いわゆるドライフェントン試験がMEAの劣化を模擬できる促進試験として採用されつつある。従来から提案されている各種の耐久性改善法で処理した電解質膜をドライフェントン試験で評価すると、液相でのフェントン試験とは全く別の結果を示す場合があることもわかってきた。
例えば、炭化水素系電解質にRuO2やCo34を添加したり、Ba2+、Cu2+、Ru3+、Co2+等のイオンを導入した場合、液相のフェントン試験では耐性改善に効果があるが、気相のドライフェントン試験を行うと、耐久性が改善されないばかりか、逆に耐久性が低下した場合が数多く見受けられた。さらに不都合なことに、これらの化合物の添加やイオンの導入により、炭化水素系電解質の一般的な欠点である剛直さが一層高まり、機械的強度や可撓性は大きく低下し、燃料電池の運転中に早期のクロスリーク(孔開きや割れ)に至ることがあった。
これに対し、電解質膜及び/又は触媒層内電解質に含まれる酸基のプロトンの一部をホスホニウムイオンで置換すると、燃料電池のドライ環境下における耐酸化性が向上する。同様に、電解質膜及び/又は触媒層内電解質に、フッ素を含まないホスホニウム化合物を添加すると、燃料電池のドライ環境下における耐酸化性が向上する。さらに、ホスホニウムイオン又はフッ素を含まないホスホニウム化合物を炭化水素系電解質に多量に添加しても、基本骨格の安定性を大きく損なうことがない。その結果、電池の初期性能の低下が小さく、電解質膜のクロスリークの増大や穴開きを防止できる。
この理由の詳細は不明であるが、おそらく、
(1) ホスホニウム化合物のホスホニウムイオンは強塩基であり、強塩基の存在でH22がイオン的(非ラジカル的)に分解され、無害化されるため、及び、
(2) ホスホニウムイオン又はホスホニウム化合物の添加は、電解質の機械的性質(可撓性、伸び)を向上させる作用があるため、
と考えられる。
固体高分子電解質が全フッ素系であるか炭化水素系であるかにかかわらず、ホスホニウムイオン又はホスホニウム化合物を電解質に含ませることにより、過酸化水素に対する安定性は向上する。但し、その効果は、炭化水素系電解質において顕著である。その理由は、前述のように炭化水素系電解質においては、ホスホニウムイオン又はホスホニウム化合物未添加では過酸化水素に対する安定性が極めて乏しいためである。
特にフッ素を含まないホスホニウムイオン又はホスホニウム化合物は、万一H22やラジカルで分解されたとしても、環境負荷の大きいフッ化物イオンを系外に排出することがない。また、製造過程での取り扱いや廃棄された材料のリサイクルがフッ素を有する化合物に比べて容易であるという特徴を有する。従って、電解質がフッ素を含まない炭化水素系電解質の場合には、フッ素を含まないホスホニウム化合物は、機械的又は化学的耐性を向上させるための好適な添加剤となりうる。
また、ホスホニウム化合物は、分子量が大きくなると、水に不溶となるものがあり、アルコール等の有機溶媒への溶解度も小さくなる。そのため、分子量の大きなホスホニウム化合物と高分子電解質とを機械的に均一に混合させることが困難となる場合がある。
これに対し、イオン交換法は、ホスホニウム化合物を添加する方法に比べて、ホスホニウムイオンを均一に導入できる。さらに、ホスホニウムイオンは、酸基と強固に結合するので、生成水や加湿水によって系外に持ち出されるおそれも少ない。そのため、機械的に混合した場合に比べて、長期間の耐久性が確保できる。
さらに、同一イオン置換量の処理をハロゲン化物(特に、塩化物)と非ハロゲン化物(特に、非塩化物)で行った場合、前者は、後者に比べて電池性能が低下しやすく、かつ、電圧低下が大きい。これは、おそらく、残留したハロゲンイオン(特に、塩化物イオン)による触媒被毒及び触媒金属に対する腐食作用によるものと考えられる。
また、電解質膜又は触媒層内電解質にホスホニウムイオン又はホスホニウム化合物を添加することに加えて、所定の金属イオンで酸基のプロトンの一部をイオン交換すると、過酸化水素耐性の向上と機械的性質を両立させることができる。
さらに、これに加えて電解質膜又は触媒層内電解質に、希土類元素を含む酸化物等からなる難溶性化合物を添加すると、難溶性化合物を添加した場合に憂慮される機械的性質の低下を防ぎ、しかも過酸化水素に対する耐性を大幅に強化することができる。
(参考例1、実施例2、比較例1〜4)
[1. 試料の作製]
大きさ55mm×9mmの炭化水素系電解質を、トリブチルメチルホスホニウムメチルカーボネート0.1mMを含む水溶液に80℃×8hr浸漬し、酸基の10%をホスホニウムイオンで交換した(参考例1)
また、大きさ55mm×9mmの炭化水素系電解質を、トリブチルメチルホスホニウムメチルカーボネート0.01mMを含む水溶液に浸漬し、酸基の1%をトリブチルメチルホスホニウムイオンで交換した。次いで、硝酸ランタンを0.01mM含む水溶液に電解質を浸漬し、酸基の2%をLa3+イオンで交換した(実施例2)。
さらに、無処理の炭化水素系電解質(比較例1)も試験に供した。また、大きさ55mm×9mmの炭化水素系電解質を、Cu2+、Ba2+、又は、La3+を含む水溶液に浸漬し、酸基の10%をCu2+でイオン交換したもの(比較例2)、酸基の10%をBa2+でイオン交換したもの(比較例3)、及び、酸基の2%をLa3+でイオン交換したもの(比較例4)を作製した。
[2. 試験方法]
得られた試料について、過酸化水素蒸気の暴露試験(ドライフェントン試験)を110℃×1hの条件で行った。試験膜は2つに折り曲げ、PTFE製の網にPTFE製のストッパーで固定し、110℃に加熱したPTFE製の円筒内に置いた。20wt%の過酸化水素水を0.12mL/minの速さで110℃に加熱したPTFE製の蒸発器に滴下し、全量を気化させ、N2を0.85L/min加えて希釈した。この蒸気を、試験膜を入れたPTFE製円筒内に1h導入した。本条件で、110℃における相対湿度は、約11%と計算された。
暴露試験前後において、試験膜を80℃×2hrで真空乾燥させ、膜重量を測定した(N=2)。暴露試験前後の膜重量から重量減少率を算出した。また、暴露試験後に膜に割れや亀裂がある(×)か、無い(○)かを目視で評価した。
[3. 結果]
表1に、暴露試験の結果を示す。なお、重量減少率は、N=2の内、大きい方の値である。酸基の一部をCu2+やBa2+でイオン交換した場合、重量減少率は無処理の膜に比べて増大した。また、酸基の一部をLa3+でイオン交換した場合、重量減少率は無処理の膜に比べて減少したが、膜に割れが発生した。
これに対し、酸基の一部をトリブチルメチルホスホニウムイオン(TBMP+)でイオン交換すると、重量減少率が大幅に減少し、割れの発生も抑制できた。さらに、酸基の一部をTBMP+とLa3+の双方でイオン交換すると、La3+のみでイオン交換した場合に比べて、重量減少率が大幅に減少し、割れの発生も抑制できた。
Figure 0005358997
(実施例3〜5、参考例6〜7、比較例5)
[1. 試料の作製]
大きさ6.6×6.0cm、厚さ20μmの炭化水素系電解質膜を用意した。この電解質膜を、テトラエチルホスホニウムヒドロキシドと硝酸ランタンとを溶解した溶液100mLに室温で1日浸漬し、電解質膜の酸基の3%をテトラエチルホスホニウムイオン(TEP+)で、酸基の2%をLa3+でイオン交換した(実施例3)。イオン交換後、膜を水洗し、乾燥した。その後、触媒インクのスプレー塗布を両面に行い、触媒層を形成した。触媒のPt担持量は、空気極:0.5mg/cm2、燃料極:0.3mg/cm2とした。さらに、面圧:0.2MPa、120℃×10分のホットプレスを行った。
また、テトラエチルホスホニウムヒドロキシドに代えて、テトラエチルホスホニウムクロライド(実施例4)、又は、テトラエチルホスホニウムブロマイド(実施例5)を用いた以外は、実施例3と同様にして、MEAを作製した。
また、テトラエチルホスホニウムヒドロキシドのみを用いて、TEP+によるイオン交換率を0.05%(参考例6)、又は、25%(参考例7)とした以外は、実施例3と同様にして、MEAを作製した。
さらに、比較のため、無処理の膜を用いてMEA(比較例5)を作製した。
[2. 試験方法]
[2.1 初期性能]
初期性能試験は、以下の条件下で行い、0.8A/cm2における電圧を測定した。。
アノードガス: H2(100mL/min)
カソードガス: Air(100mL/min)
セル温度: 80℃
加湿器温度: 60℃(アノード側、カソード側ともに)
[2.2 耐久試験]
耐久試験は、以下の条件下で行った。耐久試験後、0.8A/cm2における電圧を測定し、電圧低下率を算出した。
アノードガス: H2(100mL/min)
カソードガス: Air(100mL/min)
セル温度: 80℃
加湿器温度: 60℃(アノード側、カソード側ともに)
試験時間: 開回路1分、0.1A/cm2を1分とするサイクル試験を150時間
[3. 結果]
表2に、初期特性と耐久試験の結果を示す。ハロゲンを含むホスホニウム化合物を用いてイオン交換した実施例4、5の初期電圧は、それぞれ、0.56V、0.58Vであった。これに対し、ハロゲンを含まないホスホニウム化合物でイオン交換した実施例3の初期電圧は、0.63Vであった。さらに、実施例4、5の電圧低下率は、それぞれ、18%、15%であるのに対し、実施例3の電圧低下率は、10%であった。実施例4、5の初期特性及び耐久性が実施例3に比べて低いのは、イオン交換後にMEA内にハロゲンイオンが残留し、残留したハロゲンイオンが触媒を被毒し、あるいは、触媒を腐食させているためと考えられる。
さらに、酸基の0.05%をTEP+のみでイオン交換した参考例6は、無処理(比較例5)に比べて、初期特性は同等であり、電圧低下率は若干向上するのみであった。一方、酸基の25%をTEP+のみでイオン交換した参考例7は、無処理(比較例5)に比べて、耐久性は大幅に向上したが、初期特性は低下した。表2より、ホスホニウムイオンによるイオン交換率は、0.1〜20%が好ましいことがわかる。
Figure 0005358997
(参考例8、比較例6)
[1. 試料の作製]
大きさ55mm×9mm、厚さ50μmのパーフルオロ電解質膜を、トリブチルメチルホスホニウムメチルカーボネート0.1mMを含む水溶液に80℃×8hr浸漬し、酸基の10%をホスホニウムイオンで交換した(参考例8)。
比較として、超純水に80℃×8hr浸漬したのみのパーフルオロ電解質膜(比較例6)も試験に供した。
[2. 試験方法]
[2.1 ドライフェントン試験]
参考例1と同一条件下で、過酸化水素蒸気の暴露試験(ドライフェントン試験)を行った。暴露試験後、80℃×2hrの真空乾燥を行い、暴露試験前後の膜重量変化を測定した(N=2)。
[2.2 F排出量]
ドライフェントン試験において、試料を通過した過酸化水素蒸気を、超純水を100mL入れたPE製容器(周りを氷冷却)にバブリングして回収した。回収水中に含まれるF-の量を、オリオン社製のイオン選択電極で計測した。試料膜面積と試験時間から、単位時間、単位面積当たりのF-排出速度を求めた。
また、回収水の導電率を簡易導電率計(堀場製作所製:Twin condB-173)で計測し、回収水のpHをpHメータ(堀場製作所製:F−7、緩衝溶液pH4.0とpH2.0で更正)で調べた。
[3. 結果]
表3に、試験結果を示す。表3中、データは、N=2の平均値である。表3より、酸基の一部をTBMP+でイオン交換することにより、パーフルオロ電解質の重量減少率及びF-排出速度が大幅に減少することがわかる。
Figure 0005358997
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る固体高分子型燃料電池は、車載用動力源、定置型小型発電器、コジェネレーションシステム等に適用することができる。
また、ホスホニウムイオン又はホスホニウム化合物を含む固体高分子電解質の用途は、固体高分子型燃料電池の電解質膜あるいは触媒層内電解質に限定されるものではなく、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる電解質膜、電極材料等としても用いることができる。

Claims (6)

  1. 以下の構成を備えた固体高分子型燃料電池。
    (1)前記固体高分子型燃料電池は、
    電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体を備え、
    前記電解質膜及び前記電極に含まれる触媒層内電解質の少なくとも一方は、酸基のプロトンの一部がホスホニウムイオンでイオン交換されている。
    (2)前記酸基のプロトンの一部が前記ホスホニウムイオンでイオン交換されている前記電解質膜及び前記電極に含まれる触媒層内電解質の少なくとも一方は、前記酸基の一部がLi + 、Na + 、Mg 2+ 、Ca 2+ 、Al 3+ 、Ga 3+ 、Cr 3+ 、Zn 2+ 、La 3+ 、Ce 3+ 、Pr 3+ 、Eu 3+ 、Bi 3+ 、Pt 2+ 、及び、Pt 4+ から選ばれるいずれか1以上のイオンでさらにイオン交換されている。
  2. 前記ホスホニウムイオンのイオン交換率は、0.1〜20%である請求項1に記載の固体高分子型燃料電池。
  3. 対アニオンがハロゲン元素を含まない化合物を用いて、前記酸基の一部を前記ホスホニウムイオンでイオン交換することにより得られる請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池。
  4. 前記対アニオンは、水酸イオン、炭酸イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、プロピロン酸イオン、シュウ酸イオン、マレイン酸イオン、アジピン酸イオン、サリチル酸イオン、酒石酸イオン、クエン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、スルファミン酸イオン、トシル酸イオン、テトラフェニルほう酸イオン、ホウ酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、リン酸水素イオン、ジブチルリン酸イオン、ベンゾトリアゾラートイオン、デカン酸イオン、又は、メチルカーボネートイオンである請求項3に記載の固体高分子型燃料電池。
  5. 以下の構成を備えた固体高分子型燃料電池。
    (1)前記固体高分子型燃料電池は、
    電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体を備え、
    前記電解質膜及び前記電極に含まれる触媒層内電解質の少なくとも一方は、フッ素を含まないホスホニウム化合物を含む。
    (2)前記ホスホニウム化合物を含む前記電解質膜及び前記電極に含まれる触媒層内電解質の少なくとも一方は、酸基の一部がLi + 、Na + 、Mg 2+ 、Ca 2+ 、Al 3+ 、Ga 3+ 、Cr 3+ 、Zn 2+ 、La 3+ 、Ce 3+ 、Pr 3+ 、Eu 3+ 、Bi 3+ 、Pt 2+ 、及び、Pt 4+ から選ばれるいずれか1以上のイオンでさらにイオン交換されている。
  6. 前記ホスホニウム化合物の含有量は、電解質の酸基割合に換算して0.1〜20%である請求項5に記載の固体高分子型燃料電池。
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