JP6899337B2 - 膜−電極−ガス拡散層接合体 - Google Patents

膜−電極−ガス拡散層接合体 Download PDF

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Description

本発明は、膜−電極−ガス拡散層接合体に関し、さらに詳しくは、固体高分子電解質を用いた電気化学装置(例えば、ソーダ電解装置、電析装置、水電解装置、燃料電池、人工光合成装置など)に使用することができ、かつ、耐久性と電気化学的性能とを両立させた膜−電極−ガス拡散層接合体に関する。
ソーダ電解装置、水電解装置、燃料電池などにおいて、電気化学反応を生じさせる部位に膜−電極−ガス拡散層接合体(Membrane-Electrode-Gas Diffusion Layer (GDL) Assembly; MEGA)が用いられている。MEGAは、構成部品から不純物イオンが溶出し、又は、外部から不純物イオンが侵入すると、電解質の酸基又は水酸基が不純物イオンでイオン交換され、これによって電解質がラジカルで攻撃され、劣化しやすくなると言われている。
例えば、燃料電池においては、電解質膜の抵抗増加、クロスリークの増加、孔開きによる短寿命化などが起こることが知られている。さらには、ラジカル攻撃により生成する劣化生成物により触媒被毒が起こり、電解性能や電池性能が低下するおそれがある。
そこで、MEGAを構成する部材には、不純物イオンが溶出しないように、高純度の材料が用いられている。また、MEGAの製造工程には、不純物イオンが混入しない工程が用いられている。特に、MEGAを構成する部材の1つである電解質については、格別の注意が払われている。
近年では、高出力化の要求の元に電解質膜の薄膜化や触媒層内電解質(アイオノマ)の使用量削減が進んでいる。それゆえ、電解質は、極少量の不純物イオンの混入でも汚染されやすい状況にあり、電解質にはさらなる耐ラジカル性の向上が望まれている。
上記ラジカル劣化を防止するために、MEGAに、過酸化水素をイオン的に分解して無害化する過酸化水素分解触媒が添加されている場合がある。さらには、ラジカル消去剤(クエンチャー)や不純物金属イオンの不活性剤が添加されることもある。また、外部(拡散層、補助タンクなど)からこれらを電解質に供給する施策も提案されている。
例えば、特許文献1、2には、電解質膜に対して、ラジカル消去剤として外部からセリウムイオン、銀イオン等のイオンを供給する方法が開示されている。
しかしながら、これらのイオンは、プロトン及び水の拡散を阻害する。また、これらのイオンは、電解質の導電性を担うプロトン(H+)とイオン交換し、導電性を低下させる背反が大きい。さらに、これらのイオンは、pHが高い部位では水酸化物や酸化物として沈殿し、ラジカル消去剤としての機能を喪失する。これに加え、プロトンパス及び水移動のパスを阻害し、電池性能を低下させるおそれもある。また、これらのイオンが還元され、金属として析出した場合、これらのイオンは、触媒層両極での電極反応を妨害する可能性もある。従って、電解質へのこれらのラジカル消去剤(イオン)の添加は必要最小限にし、かつ偏析しないこと(高分散状態を維持すること)が求められる。
特許文献3には、セリウムイオンと、大きなイオン半径を持つセシウムイオン及び/又はルビジウムイオンとで電解質をイオン交換する方法が開示されている。
同文献には、
(a)このような方法により、陽イオン交換基の運動性が拘束され、耐ラジカル活性をセリウムイオン単独添加の場合よりも向上させることができる点、及び、
(b)セシウム及びルビジウムの合計の割合が40モル%以下であれば、イオン交換されるイオン交換樹脂のプロトンの割合が減るため、固体高分子電解質膜のプロトン伝導性を充分に確保できる点、
が記載されている。
しかしながら、本願発明者らの検討によれば、セリウムイオンとアルカリ金属イオンの添加量(酸基置換量)が合計して5%未満の場合は、耐久性改善効果は僅かであるか、あるいは、ほとんど認められなかった。この結果は、陽イオン交換基の運動性の十分な拘束には、多量のセリウムイオン及びアルカリ金属イオンを必要とし、電池性能低下の背反が無視できないことを示している。
また、アルカリ金属イオンは、酸化還元電位が水素のそれよりも著しく卑であるため、単独では可逆酸化還元対として働かず、電解質の保護作用は小さい。また、アルカリ金属イオンは、原子量が小さい1価のカチオンであり、溶解度が大きい。そのため、電解質内で拡散しやすく、MEGA外に散逸しやすい。従って、セシウムイオンによりセリウムイオンのラジカルクエンチ作用を長期間増強させることは非常に困難である。
また、特許文献4には、・OHラジカルの酸化還元電位よりも低い電位で還元剤として働き、かつ、H22が還元剤として働く酸化還元電位よりも高い電位で酸化剤として働く酸化還元サイクルを有する有機化合物(例えば、N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI))をラジカル消去剤として用いる方法が開示されている。
しかしながら、本願発明者らの検討によれば、これらの有機化合物の単独添加による耐久性改善効果は僅かなものであった。これは、有機添加剤単独では酸化体から還元体への再生速度が不十分なためと考えられる。この結果は、何らかの助触媒の必要性を示唆するものであるが、特許文献4には、有機酸化還元対のラジカルクエンチ作用の増感については具体的に述べられていない。
さらに、特許文献5には、パーフルオロスルホン酸樹脂膜に、MnO2と、塩基性物質であるPBI(ポリベンズイミダゾール)とを添加した重合体電解質膜が開示されている。
同文献には、
(a)MnO2はH22を分解する作用があるが、MnO2は酸性条件下では安定せず、Mn(OH)2となって燃料電池から流出しやすい点、
(b)電解質膜にさらにPBIを添加すると、MnO2はPBIによって形成される塩基性領域内に保持される点、及び、
(c)これによってMnO2が安定化し、H22分解作用が高められる点
が記載されている。
特許文献5における膜劣化抑制作用は、主にMnイオンの価数変化に基づく過酸化水素のイオン分解作用とラジカルクエンチ作用とによると考えられる。しかし、本願発明者らによる検討によれば、電池性能の低下が問題とならない酸基置換1%以下(重量%で0.1%以下。但し、MnはMn4+ではなく、還元体のMn2+イオンで膜酸基を置換したとして計算。)の少量のMnO2添加では、膜劣化抑制作用はほとんど無いことが判明した。これは、Mnイオンの還元体であるMn2+イオンによるラジカル消去速度が非常に遅いためと考えられる。
また、特許文献5の手法では、微細な領域において、海島構造(海=パーフルオロスルホン酸樹脂、島=PBI+MnO2)を形成する必要がある。しかし、MnO2とPBIは固体微粒子であるため、これらを膜に均一に分散させることは困難である。そのため、添加剤濃度が不足した箇所において、局部的に膜痩せが起きるおそれがある。
さらに、MnO2を形成させるために、四価マンガンイオンを含むKMnO4を膜キャスト溶液に添加している。しかし、この方法では、対カチオンK+が電解質酸基とイオン交換し、コンタミとして残るため、電池性能の低下が甚だしい。さらに、K+を除去するためには膜を強酸で洗浄する必要があるが、この際MnO4 -イオンも除去される。その結果、電池性能は回復するものの、耐久性の改善効果は得られなくなる。
特開2009−117158号公報 特開2006−134725号公報 国際公開第WO2013/031479号 特開2006−172817号公報 国際公開第WO2008/025465号
本発明が解決しようとする課題は、高分子電解質の劣化速度を抑制することができ、かつ、電池性能などの電気化学的性能の低下を抑制することが可能な膜−電極−ガス拡散層接合体を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る膜−電極−ガス拡散層接合体は、以下の構成を備えていることを要旨とする。
(1)前記膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA)は、
電解質膜、電極、及びガス拡散層のいずれか1以上の部位に導入されたラジカル消去剤と、
前記電解質膜、前記電極、及び前記ガス拡散層のいずれか1以上の部位であって、前記ラジカル消去剤と同一又は異なる部位に導入された塩基性化合物と
を備えている。
(2)前記ラジカル消去剤は、ラジカルをイオンに還元すると同時に、自らは還元体から酸化体となる機能を備えた酸化還元対を含み、
前記酸化還元対の酸化還元電位は、蟻酸の酸化還元電位よりも貴である。
(3)前記塩基性化合物は、Cs+イオンの原子量(132.9)より大きい原子量又は分子量を持つ。
所定の条件を満たすラジカル消去剤と塩基性化合物とをMEGAに添加すると、MEGAの耐久性が向上する。これは、以下の理由によると考えられる。
(a)高分子量の塩基性化合物は、塩基環境を強化して過酸化水素を非ラジカル的に分解させる速度を大きくする(塩基性化合物自身の塩基触媒作用)。
(b)高分子量の塩基性化合物は、スルホン酸基の安定化作用が大きく、脱スルホン酸基を抑制する力が大きい(塩基性化合物自身の熱安定化作用)。
(c)高分子量の塩基性化合物は、ラジカル消去剤の還元体への還元(再生)速度を向上させる助触媒として働く。そのため、ラジカル消去剤が効果的にラジカルを消去できる(相乗作用)。
さらに、ラジカル消去剤及び塩基性物質を共存させると、ラジカル消去剤及び塩基性化合物の添加量が少量であっても高い耐久性が得られる。そのため、電池性能などの電気化学的性能を低下させることなく、耐久性を向上させることができる。
ラジカル消去剤Qox/Qreddの再生と酸化還元電位との関係を示す図である。 各種イオンのラジカル消去能の比較である。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 膜−電極−ガス拡散層接合体]
本発明に係る膜−電極−ガス拡散層接合体は、以下の構成を備えている。
(1)前記膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA)は、
電解質膜、電極、及びガス拡散層のいずれか1以上の部位に導入されたラジカル消去剤と、
前記電解質膜、前記電極、及び前記ガス拡散層のいずれか1以上の部位であって、前記ラジカル消去剤と同一又は異なる部位に導入された塩基性化合物と
を備えている。
(2)前記ラジカル消去剤は、ラジカルをイオンに還元すると同時に、自らは還元体から酸化体となる機能を備えた酸化還元対を含み、
前記酸化還元対の酸化還元電位は、蟻酸の酸化還元電位よりも貴である。
(3)前記塩基性化合物は、Cs+イオンの原子量(132.9)より大きい原子量又は分子量を持つ。
[1.1. 電解質膜]
本発明において、電解質膜の材料は、特に限定されない。電解質膜は、フッ素系電解質又は炭化水素系電解質のいずれであっても良い。また、電解質膜の酸基の種類についても、特に限定されない。酸基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホンイミド基等がある。電解質膜には、これらの酸基のいずれか1種類のみが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
さらに、電解質膜は、固体高分子電解質のみからなるものでも良く、あるいは、固体高分子電解質と補強層との複合体であっても良い。
[1.2. 電極]
電極(触媒層)は、電極反応の反応場となる部分であり、電解質膜の両面に接合される。電極は、電極触媒又は担体に担持された電極触媒と、その周囲を被覆する触媒層内電解質とを備えている。本発明において、電極触媒、触媒層内電解質及び担体の材料は、特に限定されない。電極触媒としては、例えば、白金、白金合金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等又はこれらの合金などがある。
[1.3. ガス拡散層]
ガス拡散層は、各電極の外側に接合される。ガス拡散層は、電極との間で電子の授受を行うと同時に、反応ガスを電極に供給するためのものである。ガス拡散層には、一般に、カーボンペーパ、カーボンクロス等が用いられる。また、撥水性を高めるために、カーボンペーパ等の表面に、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性高分子の粉末とカーボンの粉末との混合物(撥水層)をコーティングしたものをガス拡散層として用いても良い。
[1.4. ラジカル消去剤]
[1.4.1. 定義]
「ラジカル消去剤」とは、ラジカルをイオンに還元すると同時に、自らは還元体から酸化体となる機能を備えた酸化還元対を含む材料をいう。
「酸化還元対」とは、その酸化還元電位が、蟻酸のそれより貴であるものをいう。
ラジカル消去剤は、ヒドロキシラジカル・OHなどのラジカルを消去(クエンチ)する作用がある。ラジカルと反応することによって酸化体となったラジカル消去剤は、MEGA内に存在する還元剤(例えば、水素、電解質の分解生成物である蟻酸など)により還元体に戻る。MEGAに添加される塩基性化合物は、ラジカル消去剤の還元体への再生速度を向上させる助触媒として機能すると考えられる。
酸化還元対としては、具体的には、金属、金属イオン、金属酸化物、ラジカルと反応して可逆的に中間生成物を生成することが可能な有機化合物などがある。金属イオンは、単独のイオンであっても良く、あるいは、有機配位子又は無機配位子を伴う錯イオン又は有機金属錯体(中心に金属イオンを含むもの)であっても良い。
すなわち、ラジカル消去剤は、酸化還元対を含む限りにおいて、無機化合物又は有機化合物のいずれであっても良い。
有機金属錯体としては、例えば、N4キレートとして知られているフタロシアニン、ポルフリンを骨格に持つ有機金属イオン、鉄シアノ錯体:MxFe(CN)y、鉄ビピリジン錯体:Fe(Bi)y、鉄フェナントロリン錯体:Fe(phen)yなどがある。
また、N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)のように、それ自身が金属元素を持たない酸化還元対を含んでいても良い。但し、このような有機化合物であっても、高分子量の塩基性化合物を複合添加すると、ラジカルクエンチ作用が増強される。
ラジカル消去剤は、高分散状態が狙える水溶性のイオン化合物(例示すると、セリウムイオンや銀イオンを含む化合物)が望ましい。
また、ラジカル消去剤は、金属、酸化物、水酸化物、複合酸化物、難溶性塩、難溶性複塩、配位錯化合物、無機有機複合化合物のいずれでも良い。これらのラジカル消去剤は、MEGA作製時に固体として存在している場合であっても、高温の燃料電池作動中に一部又はすべてがイオンとして解離して酸化還元反応を行い、ラジカル消去剤として作用する可能性がある。
但し、酸化還元電位の条件を満たす酸化還元対であっても、過酸化水素をラジカル的に分解する作用(フェントン活性)が大きい金属イオンを含むものは、酸化還元対から除かれる。「フェントン活性が大きい金属イオン」とは、遊離のFeイオン(Fe2+、Fe3+)、遊離のCuイオン(Cu+、Cu2+)、及び遊離のVイオン(V2+、V3+、V4+、VO2+、V5+、VO2 +)をいう。これらのイオンは、ラジカルを消去する作用よりも、ラジカルの発生源となるため、電解質を劣化させる作用の方が大きい。具体的には、これらの金属イオンの濃度は、10ppm以下にするのが好ましい。
また、K+、Cs+のようなアルカリ金属イオンは、過酸化水素を非ラジカル的にイオン分解する触媒作用があることが知られている。但し、これらは、1価イオンで、かつ、低原子量であるため、電解質外へ移動しやすい。これらのアルカリ金属イオンの添加で、長期間に渡り強酸性下の電解質に留まり、これを保護することは困難と考えられる。さらに、アルカリ金属イオンは、酸化還元電位が水素又は蟻酸のそれより著しく卑であるため、ラジカルを消去できたとしても、MEGA内において還元される可能性は低い。そのため、アルカリ金属イオンは、酸化還元対から除かれる。
[1.4.2. ラジカル消去作用]
以下に、ラジカルが・OHラジカル(ヒドロキシラジカル)であり、ラジカル消去剤として働く酸化還元対がQred/Qoxである時の、ラジカル消去作用について説明する。なお、添え字「red」は還元体を、添え字「ox」は酸化体をそれぞれ表す。
図1に、ラジカル消去剤Qox/Qreddの再生と酸化還元電位との関係を示す。
酸化還元対Qred/Qoxは、以下の(1)式に示すように一電子移行で酸化・還元を受けるものとする。一方、・OHラジカルは、以下の(2)式に示すように、酸化還元電位の高い酸化力の大きな化学種であり、多くの物質((2)式よりも酸化還元電位が卑な化学種)から電子を奪い取り、酸化させる作用がある。
ox+e- → Qred …(1)
・OH+H++e- → H2O …(2) E0=2.38V vs NHE
ここで、以下の(3)式に示すように、還元体Qredとして存在しているラジカル消去剤が・OHラジカルと反応すれば、・OHラジカルは無害な(酸化作用のない)水(中性下では水酸化物イオン)に還元される。これがいわゆるラジカル消去(クエンチャー)作用として説明される。
red+・OH+H+ → Qox+H2O …(3)
(3)式で生じたQoxは、ラジカル消去剤の酸化体である。このQoxが還元剤Xredによって以下の(4)式のように還元されれば、Qoxは、ラジカル消去作用を持つ還元体Qredとして再生される。
ox+Xred → Qred+Xox …(4)
一般には、MEGA中のQoxに対する主な還元剤(Xred)は、電解質膜又は触媒層内電解質に拡散してくるH2である。そのため、上記ラジカル消去剤の一般的な再生反応は、以下の(5)式で表されると言われている。
2Qox+H2 → 2Qred+2H++2e- …(5) 再生反応A
さらに、触媒層や電解質膜内で析出した金属上においては、以下の(6)式に従って、過酸化水素H22が副生成する。Qoxは、この副生成した過酸化水素により、以下の(7)式のように還元され、再生することも可能である。すなわち、ラジカル消去剤の主な再生反応は、(5)式及び(7)式の2つである。
2+2H++2e- → H22 …(6) E0=0.64V vs NHE
2Qox+2H22 →2Qred+2H2O+O2+2e- …(7) 再生反応B
また、場合によっては、電解質自身の劣化生成物が還元剤となってラジカル消去剤が再生される場合がある。多くの場合、電解質の劣化生成物は、電解質の主鎖又は側鎖のC−H、あるいは、C−C結合の開裂に由来する有機酸、特に蟻酸である。その場合、ラジカル消去剤の再生反応は、次の(8)式で表される。
2Qox+2HCOOH → 2Qred+CO2+2H++2e- …(8)再生反応C
上記(8)式の反応は、換言すれば、以下の(9)式で示すように、蟻酸が酸化分解する際の還元反応に基づく。
HCOOH → CO2+2H++2e- …(9) E0=−0.199V vs NHE
ここで注目すべきは、(9)式の電位が、(6)式で示す過酸化水素の酸化還元電位、及び、以下の(10)式で示す水素の酸化還元電位よりも卑であることである。すなわち、蟻酸(E0=−0.199V vs NHE)は、ラジカル消去の再生剤(還元剤)としては過酸化水素(E0=0.64V vs NHE)、及び水素(E0=0.0V vs NHE)よりも強力である。
2 → 2H++2e- …(10) E0=0.0V vs NHE
次に、H22(過酸化水素)の非ラジカル分解(イオン分解)について説明する。
(6)式に示すように、H22は、0.64V vs NHEより高い電位においては還元剤として働く。この場合、(6)式は、左に進行して電子を放出し、過酸化水素は無害な酸素と水に分解される。
一方、1.76V vs NHEよりも低い電位においては、以下の(11)式が左に進行する。すなわち、過酸化水素は、酸化剤として働き、無害な水に分解(還元)される。換言すれば、0.64〜1.76V vs NHEの範囲は、いわゆる過酸化水素の「ダブル不安定領域」と言われている。
2H2O → H22+2H++2e- …(11) E0=1.76V vs NHE
上記理由から、(9)式の−0.199Vよりも高く、(2)式の2.38Vより低い酸化還元電位を持つ可逆酸化還元対Qox/Qredは、MEGAの環境下でラジカル消去作用を触媒的に作用する、いわゆるラジカルクエンチイオン(消去剤)である。
また、さらに、(6)式の0.64Vより高く、(11)式の1.76Vより低い酸化還元電位を持つ可逆酸化還元対Qox/Qredは、過酸化水素も還元再生剤として作用する可能性があり、より好ましいラジカル消去剤と考えられる。
ここで、少量のラジカルクエンチイオンを有効活用するためには、(5)、(7)、(8)式で示すラジカル消去剤の再生反応の活性化エネルギーを下げ、速やかにラジカル消去作用を再生させることが必要である。本発明においては、ラジカル消去剤と共に塩基性化合物が添加されるが、この塩基性化合物が再生反応の活性化エネルギーを下げる作用(すなわち、助触媒としての作用)があると考えられる。
[1.4.3. 金属、金属イオン、又は金属酸化物を含むラジカル消去剤の具体例]
ラジカル消去剤として機能する金属、金属イオン、又は金属酸化物(酸化還元電位:V vs NHE)としては、例えば、Ag+/Ag2+(1.98)、Co2+/Co3+(1.92)、Au+/Au(1.83)、Ce3+/Ce4+(1.72)、Ni2+/NiO2(1.59)、Ni2+/Ni23(1.75)、Cr3+/CrO4 2-(1.45)、Cr3+/Cr27 2-(1.33)、Pr23/PrO2(1.43)、SbO+/SbO3 -(0.68)、Bi3+/Bi25(1.76)、BiO+/Bi25(1.61)、Mn2+/MnO2(1.23)、Ir/Ir3+(1.156)、鉄ビピリジン錯体イオン(Fe(Bi)3+/Fe(Bi)2+)(1.11)、Sb25/Sb24(1.06)、Pd/Pd+(0.92)、Rh/Rh3+(0.76)、RuO2/Ru+(0.68)、Ag/Ag+(0.79)、TiO2+/Ti3+(0.19)、Sn4+/Sn2+(0.15)などがある。
なお、上述したように、遊離の鉄イオン:Fe2+/Fe3+(0.77)は、上述した酸化還元電位の条件を満たしているが、フェントン活性が大きい。そのため、遊離の鉄イオンを含む材料をラジカル消去剤として用いるのは好ましくない。例えば、フェナントロリン、ビピリジンのような配位子で安定化された鉄錯イオンとして用いるのが好ましい。この点は、遊離のCuイオン(Cu+、Cu2+)、及び遊離のVイオン(V2+、V3+、V4+、VO2+、V5+、VO2 +)も同様である。
さらに、これらのラジカルクエンチイオンを2種以上組み合わせて用いると、相乗効果が現れ、単独で用いるよりも電解質保護作用を発揮できる場合がある。例えば、Ce3+イオンとAg+イオンを組み合わせると、これらを単独で用いるよりも電解質保護作用が高くなる。従って、適宜、複数のラジカル消去剤を組み合わせて使用しても良い。
これらの中でも、ラジカル消去剤は、Ti、Cr、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Ir、Au、Bi、La、Ce、Pr、鉄シアノ錯体、鉄フェナントロリン錯体(フェロイン)、及び鉄ビピリジン錯体からなる群から選ばれるいずれか1以上の金属元素又は錯体のイオンを含むものが好ましい。これらは、いずれもMn2+よりも高いラジカル消去能(低いFER)を持つので、ラジカル消去剤として好適である。
[1.4.4. 金属元素を含まないラジカル消去剤の具体例]
ラジカル消去剤は、N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)のように、金属元素を含まない酸化還元対を含むものでも良い。
金属元素を含まないラジカル消去剤としては、具体的には、イミド化合物、キノン化合物、ビオロゲン誘導体、フェノキシル誘導体、チオフェン誘導体などがある。これらは、オリゴマー又は高分子の形になっていても良い。
イミド化合物としては、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N’−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタルイミド(NHPI)、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N’−ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N’−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシグルタル酸イミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N−ヒドロキシ−1,8−デカリンジカルボン酸イミド、N,N’−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸イミド、N,N’−ジヒドロキシ−1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸イミド、N,N’,N”−トリヒドロキシイソシアヌル酸などがある。
キノン化合物としては、例えば、ベンゾキノン(0.711)、1,2ナフトキノン(0.579)、1,4ナフトキノン(0.493)、アントラキノン(0.155)などがある。
酸化還元電位の条件を満たす限りにおいて、MEGAには、ラジカル消去剤として、これらのいずれか1種が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
[1.5. 塩基性化合物]
[1.5.1. 定義]
本発明において、「塩基性化合物」とは、
(a)水より塩基性が強く(pKa>7)、かつ、
(b)Cs+イオンの原子量(132.9)より大きい原子量又は分子量を持つ
化合物をいう。
水中でイオン解離する無機化合物としては、例えは、アルカリ金属イオン、又はアルカリ土類金属イオンを含む化合物などがある。
水中でイオン解離する有機化合物としては、例えば、アルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ホスホニウムイオン、グアニジウムイオン、又はピラゾロンイオンを含む化合物などがある。
これらを官能基とした高分子量の塩基性化合物は、電解質からの拡散(散逸)が低分子量の塩基性化合物に比べて遅いため、MEGAに添加する塩基性化合物として好ましい。塩基性化合物は、これらのいずれか1種又は2種以上の官能基を持つ1種類の化合物であっても良く、あるいは、2種以上の化合物の混合物であっても良い。
さらに、塩基性の程度は、一般に分子量が大きくなるほど、高まることが知られている。塩基性化合物の分子量がCs+イオンの原子量(132.9)より大きくなると、塩基性が強まり、ラジカル消去剤との相乗作用が現れやすくなる。
すなわち、塩基性化合物とラジカル消去剤との併用による電解質劣化抑制作用の増感は、塩基性化合物の分子量が大きくなるほど、大きくなる。そのため、塩基性化合物の分子量が大きくなるほど、塩基性化合物及びラジカル消去剤の総添加量(酸基交換割合)が5%以下の少量であっても、電解質劣化抑制作用が十分発現する。
この併用による相乗作用の原因は明確ではないが、
(a)塩基性成分の添加により、還元剤(蟻酸、水素、過酸化水素)の還元力が高まり、ラジカル消去剤の酸化体から還元体への再生速度が高まる、
(b)塩基性成分の添加により、ラジカル消去剤の溶解速度が低下し、電解質から外部へ拡散・散逸しにくくなる、
(c)ラジカル消去剤がイオンではなく、金属又は水酸化物の固体微粒子として存在しやすくなり、過酸化水素の接触分解反応(非ラジカル分解反応)が促進される
などの複合的な理由(相乗作用)によるものと思われる。
塩基性化合物は、pKa>9の強塩基性化合物が好ましい。その中でも、特に、分子量がCs+イオン(132.9)より大きい、窒素、酸素、又はリンを含む高分子量の有機化合物が好ましい。これは、塩基性化合物の分子量が大きくなるほど、MEGA内に固定されやすいためである。特に、塩基性化合物は、塩基性が強い四級アルキルアンモニウム化合物、及びホスホニウム化合物を有するものが好ましい。
[1.5.2. 塩基性化合物の溶解度]
塩基性化合物は、水に難溶性であることが好ましい。具体的には、塩基性化合物は、室温における水への溶解度が10g/L以下であるものが好ましい。溶解度は、さらに好ましくは、1g/L以下である。
[1.5.3. 塩基性化合物の対イオン]
塩基性化合物は、カチオンの対イオン(アニオン)として、触媒被毒作用が高いハロゲンイオンであってF以外のもの(Cl、Br、I)や、硫酸イオン、リン酸イオンを含まないものが好ましい。好ましい対アニオンは、OH-イオン、有機酸イオン(ギ酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、シュウ酸、アジピン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸など)、及び炭酸イオンである。
[1.5.4. 塩基性化合物の具体例]
[A. 含窒素化合物]
MEGAに添加される塩基性化合物として好適な含窒素化合物としては、例えば、アミン化合物、含窒素芳香族化合物、四級アンモニウム化合物、アミド化合物、グアニジン化合物、ピラゾロン化合物、核酸塩基化合物(プリン、ピリミジン構造を持つもの)などがある。含窒素化合物は、酸基のH+を奪ってイオン化するもの(例えば、R−NH2アミン→R−NH3 +)でも良く、あるいは、単独でカチオンとなってイオン化しているもの(例えば、四級アンモニウム化合物−R4+)でも良い。
[A.1. アミン化合物]
アミン化合物は、鎖式、環式のどちらの化合物でも良く、芳香族か非芳香族かも問わない。また、アミン化合物は、官能基のアミノ基又はアンモニウムが一分子内に複数結合してているもの(例えば、ポリアミン)でも良く、あるいは、酸素原子を含んでいるものでも良い。アミン化合物は、硫黄原子Sを含んだもの(チアゾール系、チアジン系、チアゼビン系)でも良いが、硫黄原子は触媒への吸着被毒の背反が大きい。そのため、硫黄原子を含むアミン化合物を用いる時は、極少量の添加にすることが好ましい。
Sを含まない含窒素化合物(化学式、分子量、pKa)としては、例えば、
ヘキサメチレンテトラミン(C12268、140.19)、
ジアザビシクロウンデセン(C9162、152.24、pKa=12.84)、
1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン(C1021N、155.28、pKa=11.25)、
Di−n−アミルアミン(C1023N、157.3、pKa=10.64)、
サイクレン(C8204、172.27、pKa=8.18)、
ジシクロヘキシルアミン(C1223N、181.32、pKa=10.4)、
ボーニルアミン(C1019N、189.72、pKa=10.17)、
2,7−アクリジンジアミン(C13113、209.25、pKa=9.65)、
ジフェニルエチレンジアミン(C12154、212.29)、
ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(C12293、215.38、pKa=10.63)、
ドデシルアミン(C3675N、521.99、pKa=10.63)、
N−エチル−1,2−ジフェニルエチルアミン(通称、Ephenidine)(C1619N、225.33)、
フタロシアニン(C32188、514.55)、
テトラフェニルポルフィリン(C44304、614.75)、
サイクラム(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン)(C10244、200.32)、
ジオキソサイクラム(C102442、232.32)、
サレン(C161622、268.31)、
ベラパミル(C273824、454.602、pKa=9.8)、
ヒドラスチン(C2121NO6、383.39、pKa=11.38)、
d−エフェドリン(C1015NO、165.1、pKa=10.14)、
トリプタミン(C10122、160.22、pKa=10.2)
などがある。
アミノ酸化合物としては、例えば、チロシン(C911NO3、181.19、pKa=9.11)などがある。
ジアゾ化合物としては、例えば、アザセリン(C5734、134.14、pKa=8.55)などがある。
[A.2. 含窒素芳香族化合物]
含窒素芳香族化合物としては、
(a)5員環のピロール環、イミダゾール環、若しくはピラゾール環、又は、
(b)6員環のピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、若しくはトリアジン環
のいずれかの骨格を有し、かつ、少なくとも1以上のN原子を持つ化合物が挙げられる。芳香環は縮合していても、していなくても良い。また、芳香環の個数についての制限は、特にない。含窒素芳香族化合物としては、例えば、ピリジン類、ピロール類、イミダゾール類、ピラゾール類、キノリン類などがある。
含窒素芳香族化合物としては、例えば、
ヒポキサンチン(C544O、136.11、pKa=8.7)、
8−キノリノール(C97NO3、145.16、pKa=9.81)、
3−アミノ−5−tert−ブチルピラゾール(C7133、139.20)、
2,4−ジアミノキノリン(C993、159.19、pKa=9.45)、
2−フェニルベンズイミダゾール(C13102、194.24、pKa=11.91)、
テルピリジン(C1511N、205.26)、
TPZT(2,4,6−トリ(2−ピリジル)−1,3,5−トリアジン)(C18126、312.34)、
ウリジン(C91226、244.20、pKa=9,25)、
チミジン(C101425、244.23、pKa=9.8)、
4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(C24162、332.41)、
2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(C26202、360.46)、
2,4,6−トリ(4−ピリジル)−1,3,5−トリアジン(C18126、312.34)、
バトフェナントロリン(4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン)(C24162、332.4)、
4−4−アミノキノリン(C982、144.2、pKa=9.17)、
2,8−キノリンジオール(C97NO2、161.2)、
ビス(1,1’−ビフェニル−4−イル)オキサゾール(C2719NO、373.45)、
が挙げられる。
その他、
リボフラビン(C172046、376.37、pKa=9.69)、
コルヒチン(C2225NO6、399.44、pKa=12.36)、
キニン(C202422、324.42、pKa=8.52)、
ベラパミル(C273824、454.6、pKa=9.8)、
ピペリン(C1719NO3、285.34、pKa=12.22)、
アザセリン(C5734、173.13、pKa=8.55)
などが挙げられる。
また、イミダゾール環を有するものには、
1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート(C815BF42、226.03)が挙げられる。
[A.3. 四級アンモニウム化合物]
四級アンモニウム化合物としては、例えば、
ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(C1017NO、167.25)、
テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(C821NO、147.26)、
ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(C1943NO、301.56)、
テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(C1637NO、259.48)、
テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(C1229NO、203.37)、
テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド(C2453NO、371.69)、
トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド(C719NO4、181.23)、
L−カルニチンL−酒石酸塩(C715NO3・1/2C466、236.24)、
テトラブチルアンモニウムアセタート(C1839NO2、301.52)、
ジデシルジメチルアンモニウムアジペート(C5010442、826)、
などが挙げられる。
[A.4. アミド化合物]
アミド化合物としては、例えば、
アセトアニリド(C1011NO2、135.16、pKa=8.52)、
ベンズアニリド(C1311NO、197.24、pKa=7.61)、
しゅう酸アニリド(C141222、240.26、pKa=11.48)、
フタルアニリド(C852N、147.1、pKa=8.3)
などが挙げられる。
[A.5. グアニジン化合物]
グアニジン化合物としては、例えば、1,3ジフェニルグアニジン(C13133、211.27、pKa=10.12)が挙げられる。
[A.6. ピラゾロン化合物]
ピラゾロン化合物としては、例えば、
3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン(C10102O、174.2)、
アミノピリン(C13173O、231.29)、
アンチピリン(C11122O、188.23、pKa=9.86)
などが挙げられる。
[A.6. 核酸塩基化合物]
核酸塩基化合物(プリン、ピリミジン構造を持つ)の内、ピリミジン塩基としては、
5−ヒドロキシルメチルシトシン(C5732、141.12、pKa=13)、
チミン二量体1−β−D−アラビノフラノシルウラシル(C91226、244.20)
などが挙げられる。
核酸塩基化合物(プリン、ピリミジン構造を持つ)の内、プリン誘導体としては、
アデニン(C555、135.13、pKa=9.83)、
グアニン(C555O、151.13、pKa=9.92)、
ヒポキサンチン(C544O、136.1、pKa=8.7)、
アロプリノール(C544O、136.1、pKa=10.2)、
キサンチン(C5442、152.1、pKa=7.53)、
テオフィリン(C7842、180.2、pKa=8.77)、
テオブロミン(C7842、180.2、pKa=7.89)、
カフェイン(C81042、140.2、pKa=10.4)、
1,3,7−トリメチルキサンチン・水和物(カフェイン水和物)(C81042、194.19)、
イソグアニン(C555O、151.1、pKa=10.78)
などが挙げられる。
[B. 含酸素化合物]
代表的な含酸素化合物は、フェノール化合物であり、例えば、
2−tert−ブチルフェノール(C1014O、150.22、pKa=10.62)、
5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフトール(C1012O、148.20、pKa=10.48)、
2−ヒドロキシビフェニール(C1210O、170.208、pKa=10.01)、
フェノールフタレイン(C20144、318.32、pKa=9.7)、
ビスフェノールA(C15162、228.291、pKa=9.6)、
α−トコフェロール(C29502、430.72、pKa=10.8)、
コウジ酸(C664、142.11、pKa=9.4)
が挙げられる。
[C. 含りん化合物]
含りん化合物としては、ホスホニウム化合物とフォスファゼン化合物とが挙げられる。
[C.1. ホスホニウム化合物]
「ホスホニウム化合物」とは、P原子のまわりに4つのアルキル基が結合した1価のホスホニウムイオンと、これと対になるアニオンBとがイオン結合した化合物[P(R1)(R2)(R3)(R4)]+-をいう。R1〜R4は、アルキル基を表す。
ホスホニウム化合物のカチオン部分としては、具体的には、テトラエチルホスホニウム、トリエチルベンジルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラオクチルホスホニウム、トリメチルデシルホスホニウム、トリメチルドデシルホスホニウム、トリメチルヘキサデシルホスホニウム、トリメチルオクタデシルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリブチルドデシルホスホニウム、トリブチルオクタデシルホスホニウム、トリオクチルエチルホスホニウム、トリブチルヘキサデシルホスホニウム、メチルトリフェニルホスホニウム、エチルトリフェニルホスホニウム、ジフェニルジオクチルホスホニウム、トリフェニルオクタデシルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム、トリブチルアリルホスホニウム、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムなどがある。
ホスホニウム化合物としては、具体的には、
テトラエチルホスホニウムヒドロキシド(C1637OP、276.44)、
テトラ−n−ブチルホスホニウムヒドロキシド(C1637OP、276.44)、
エチルトリフェニルホスホニウムアセタート(C22212P、348.38)、
テトラブチルホスホニウムアセタート(C18392P、318.47)、
硫酸テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウム(C824122S、406.28)、
硝酸テトラブチルホスホニウム、
ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム(C4810222、773.27)、
メタンスルホン酸テトラブチルホスホニウム(C17363NO3S、391.53)、
トシル酸トリイソブチルメチルホスホニウム(C2853NO2P)、
トシル酸テトラブチルホスホニウム、
テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボラート(C3648BP、522.56)、
テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート(C4840BP、658.63)、
トリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフェニルボラート(C3648BP、522.56)、
ジ−tert−ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボラート(C3342BP、480.48)、
トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムビス[オキサラト(2−)]ボラート(C1636P.C4BO8、446.281)、
テトラフェニルホスホニウムテトラ−P−トリルボラート(C5248BP、714.74)、
ベンジルフェニルホスホニウムテトラフェニルボラート、
P−トリルトリフェニルホスホニウムテトラ−P−トリルボラート(C5248BP、714.72)、
トリエチルメチルホスホニウムジブチルフォスフェート、
エチルトリフェニルホスホニウムホスフェート、
トリブチルメチルホスホニウムジブチルホスフェート、
メチルトリブチルホスホニウム ジメチルホフフェート([(n−C49)3P(CH3)]+・[(CH3O)2POO]-、342.21)、
テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾラート(C22403P、377.56)、
デカン酸トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム([(C613)3(C1429)P]+、651.11)、
トリブチルメチルホスホニウムメチルカーボネート、
トリブチルメチルホスホニウムジカーボネート(C1431O、278.34)、
などがある。
[C.2. ホスファゼン化合物]
「ホスファゼン化合物」とは、P原子とN原子を持つ有機化合物であり、強い塩基性を示すと共に、ラジカルを捕捉する作用を有することが知られている(参考文献1)。従って、ラジカル消去剤と併用する塩基性化合物として適している。
[参考文献1] www.ach.ehime-u.ac.jp/seminar/gist/80_1.pdf
ホスファゼン化合物としては、例えば、
エトキシ(ペンタフルオロ)シクロトリホスファゼン(C2553OP3、275.00)、
ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン(C3630363、693.57)、
ヘキサフルオロシクロトリホスファゼン(F633、248.93)、
ペンタフルオロ(フェノキシ)シクロトリホスファゼン(C6553OP3、323.04)、
などが挙げられる。
[D. 高分子化合物]
塩基性化合物は、高分子化合物であっても良い。
高分子化合物としては、例えば、
(a)ポリエチレンイミン((株)日本触媒製、商品名:エポミン(登録商標))、及びその誘導体、
(b)ポリメント(登録商標)、
(c)ケミタイト(登録商標)等のアジリジン類
などが挙げられる。
また、高分子化合物としては、例えば、
ポリ(−N,N−ジメチルアミノメチルスチレン)キトサン、ポリベンズイミダゾール、
ポリ(ピリジン)、ポリ(ピリミジン)、ポリイミダゾール、ポリベンゾチアゾール、
ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾ−ル、ポリキノリン、ポリキノキサリン、
ポリリアジアゾール、ポリ(テトラビザレン)、ポリオキサゾール、ポリビニルピリジン、
ポリビニルイミダゾール、ポリホスファゼン、及びこれらの誘導体
が挙げられる。
これらの高分子化合物は、対アニオンとしてハロゲンを含まないものが好ましい。ハロゲンを含まない高分子化合物としては、例えば、ポリ(メタクリル酸トリメチルアミノエチル・メチル硫酸塩)、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ジシアンジアミド−ジエチレントリアミン縮合物などが挙げられる。
これらの分子量は比較的大きいので、長時間、膜内に留まることができる。そのため、ごく少量の添加でラジカルクエンチ作用を増強できる。高分子化合物の添加量については、その高分子内にある官能基が電解質酸基と相互作用を示すとして計算すれば良い。官能基の数が多い高分子化合物(例えば、アジリジン類)においては、少量の添加でラジカル消去剤の能力を増強することが可能である。
[1.6. ラジカル消去剤及び塩基性化合物の総添加量]
[1.6.1. イオン交換可能なラジカル消去剤及び塩基性化合物の総添加量]
ラジカル消去剤及び塩基性化合物がいずれも、電解質の酸基とイオン交換可能な化合物からなる場合、これらの添加量は、酸基交換割合で表すことができる。
ここで、「酸基交換割合」とは、酸化還元対又は塩基性化合物がMEGAに含まれる電解質の酸基とイオン交換が可能であり、かつ、酸化還元対又は塩基性化合物のすべてが酸基とイオン交換したと仮定した場合において、MEGAに含まれる酸基の総モル数に対する、イオン交換した酸基のモル数の割合をいう。この場合、酸化還元対の価数は、還元状態にある最低価数のイオン(例えば、コバルトであればCo2+の2価)と定義する。
「ラジカル消去剤及び塩基性化合物の総添加量」とは、ラジカル消去剤の酸基交換割合(x1)と塩基性化合物の酸基交換割合(x2)との和(=x1+x2)をいう。
MEGAに添加されたラジカル消去剤及び塩基性化合物が電解質の酸基の作用、あるいは、ラジカル攻撃により溶出してイオン化し、電解質の酸基とイオン交換した場合において、酸基交換割合が多くなりすぎると、MEGAの性能低下が甚だしい。これは、プロトン伝導度の低下や、水移動性の低下による出力低下として現れる。複合酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ヘテロポリ酸のような難溶性化合物であっても、使用中に難溶性化合物から金属イオンが徐々に溶出し、やがてMEGAの性能低下が起こる場合がある。
電解質の酸基を5%を超えてイオン交換しても、MEGAの性能の低下は大きくないとの報告もある。しかし、本願発明者らの検討によれば、湿度40%以下の低湿度においては、電解質の酸基を5%を超えてイオン交換すると、MEGAの性能低下が大きいことが判明した。そのため、電解質の酸基を5%を超えてイオン交換しないように、ラジカル消去剤及び塩基性化合物の総添加量を制限することが好ましい。
なお、通常の電解質膜の酸基当量EWは1000程度である。これからすると、添加イオンの当量重量が100g/Eqであれば、5%の酸基置換は、0.5重量%の添加量に相当する。
総添加量は、好ましくは、1%以下(0.1wt%以下)、さらに好ましくは、0.5%以下(0.05wt%以下)である。
一方、総添加量が少なすぎると、耐久性の向上作用が見られない。従って、総添加量は、0.01%以上(0.001wt%以上)が好ましい。
[B. イオン交換しない酸化還元対及び塩基性化合物の総添加量]
W、Mo等のある種の金属イオンは、酸素と酸素酸アニオン(WO4 2-、MoO4 2-など)を作り、その中で中心金属イオンが酸化/還元し、クエンチャー作用を示す。このような金属イオンは、酸基とプロトン交換しない。酸基とプロトン交換することなくクエンチャー作用を示すその他のイオンとしては、例えば、
(a)鉄シアノ錯体(金属複合アニオン)、Fe(CN)6 3+、Fe(CN)6 4+
(b)Mo、W、Vを中心元素とする酸素酸アニオンと、P、Si、Ge、Ti、Zr、Sn、Ce、Thなどを中心元素とする酸素酸アニオンとが結合した多元素のポリアニオン(ポリオキソメタレート、ヘテロポリ酸)、
などがある。
このような場合、ラジカル消去剤の添加量は、MEGAに含まれる電解質の重量に対するラジカル消去剤の総重量の割合で表すのが好ましい。この点は、酸基とイオン交換しない塩基性化合物も同様である。
酸基とイオン交換しないラジカル消去剤及び塩基性化合物の総添加量が過剰になると、親水性の過剰付与、水移動性の妨害、及びプロトン伝導性の阻害を招きやすい。従って、総添加量は、0.1wt%以下が好ましい。総添加量は、さらに好ましくは、0.05wt%以下である。
一方、総添加量が少なすぎると、十分なクエンチャー作用が得られない。従って、総添加量は、0.001wt%以上が好ましい。総添加量は、さらに好ましくは、0.01wt%以上である。
[1.7. ラジカル消去剤及び塩基性化合物の添加比]
「添加比」とは、塩基性化合物の酸基交換割合(x2)に対するラジカル消去剤の酸基交換割合(x1)の比(=x1/x2)をいう。
塩基性化合物に対してラジカル消去剤の量が少なすぎると、複合添加による耐ラジカル性の相乗向上作用が見られない。従って、添加比は、1/100以上が好ましい。添加比は、好ましくは、1/10以上である。
同様に、塩基性化合物に対してラジカル消去剤の量が多くなりすぎると、複合添加による耐ラジカル性の相乗向上作用が見られない。従って、添加比は、100/1以下が好ましい。添加比は、好ましくは、10/1以下である。
特に、添加比が1/1近くの当量モル濃度が好ましい。「当量モル濃度」とは、イオンの価数でモル濃度を除した値であり、酸基交換割合に相当する。
[1.8. ラジカル消去剤及び塩基性化合物の添加場所]
ラジカル消去剤及び塩基性化合物は、電解質膜、電極、及びガス拡散層のいずれか1以上の部位に導入される。この場合、塩基性化合物は、ラジカル消去剤と同一の部位に導入されていても良く、あるいは、異なる部位に導入されていても良い。
電解質の劣化は、触媒層内電解質よりも電解質膜で顕著なことが知られている。そのため、電解質膜への添加が優先される。但し、電解質膜へのラジカル消去剤の高濃度の添加は、MEGAの性能低下の背反が顕著に現れる。そのため、電解質膜のみにラジカル消去剤及び塩基性化合物を添加する場合、上述したように、ラジカル消去剤及び塩基性化合物の総添加量は、電解質の酸基の5%以下、1%以下、あるいは、0.5%以下が好ましい。
一方、ガス拡散層又は触媒層にラジカル消去剤を添加した場合において、これらの一部が金属イオンとして溶出した時には、金属イオンは触媒層内電解質又は電解質膜へ移行し、そこでラジカル消去剤として働くことができる。また、ガス拡散層及び触媒層に留まっていた場合でも、これらは過酸化水素分解触媒として働くことが可能な場合がある。しかしながら、金属イオンとして溶出した場合において、溶出したラジカル消去剤が電解質膜の性能低下を引き起こさないようにするためには、ラジカル消去剤及び塩基性化合物の総添加量は、電解質(電解質膜+触媒層)の酸基の5%以下とするのが好ましい。
さらに、リザーブタンク、配管流路内壁、セパレータ等のMEGA以外からラジカル消去剤及び塩基性化合物を補給する場合には、MEGAに添加した添加剤と外部から補給される添加剤の総量が電解質の酸基の5%以下となるように、ラジカル消去剤及び塩基性化合物の添加量を調整するのが好ましい。
また、電極触媒には、Pt−Co合金、Pt−Ru合金などの白金合金が用いられている。そのため、触媒層からCo、Ruなどの金属元素の一部が電解質膜に溶出し、それらのイオンがラジカル消去剤として働くことがある。このような場合には、これらの金属イオンをラジカル消去剤の金属イオン成分として活用することができる。この場合も、触媒層からの金属イオンの溶出を考慮して、ラジカル消去剤及び塩基性物質の添加量は、電解質の酸基の1%以下、あるいは、0.5%以下とするのが好ましい。
[1.5. 用途]
本発明に係るMEGAは、各種の電気化学デバイスに用いることができる。このような電気化学デバイスとしては、例えば、燃料電池、ソーダ電解装置、水電解装置、電気めっき装置、海水透析装置、金属空気二次電池、金属の電解採取装置、人工光合成装置などがある。
[2. MEGAの製造方法]
[2.1. 電解質膜の製造方法]
電解質膜の製造方法としては、例えば、
(a)固体高分子電解質を加熱溶融し、押し出し成型する押出成型法、
(b)固体高分子電解質を適当な溶媒に溶解又は分散させ、溶液を鋳型に注ぎ、溶媒を加熱除去するキャスト法、
などがある。
電解質膜の場合、ラジカル消去剤及び塩基性化合物の添加方法としては、成膜時に添加する方法と、成膜後に添加する方法とがある。
[2.1.1. 成膜時に添加する方法]
押出成型法を用いて電解質膜を製造する場合において、成膜時にラジカル消去剤及び塩基性化合物を添加する時には、固体高分子電解質にラジカル消去剤及び塩基性化合物の微粉末を加えて混練し、分散させれば良い。
キャスト法を用いて電解質膜を製造する場合において、成膜時にラジカル消去剤及び塩基性化合物を添加する時には、固体高分子電解質を含む溶液にラジカル消去剤及び塩基性化合物の微粉末を分散又は溶解させればよい。
いずれの方法においても、ラジカル消去剤と塩基性化合物を別々に添加するのではなく、湿式又は乾式で十分に混合し、混合物を固体高分子電解質の融液又は溶液に添加するのが好ましい。
あるいは、ラジカル消去剤と塩基性化合物の双方の機能を備えた化合物を固体高分子電解質の融液又は溶液に添加しても良い。このような化合物としては、例えば、多核金属錯体、複合金属酸化物、複塩、コア−シェル構造体、金属有機構造体(MOF)、多孔性共有結合性有機構造体(COF)などがある。
但し、このような化合物を用いる場合であっても、イオンとして溶出した時に、電解質酸基を過剰にイオン交換しないように添加量を選択するのが好ましい。具体的には、MEGAへの添加量は、最大でも電解質酸基の5%までとするのが好ましい。
電解質膜に補強層が含まれている場合には、補強層にラジカル消去剤及び塩基性化合物を練り込んでも良い。あるいは、補強層の表面にスパッタ、蒸着などの方法を用いてラジカル消去剤及び塩基性化合物を固定しても良い。その場合、補強層をカップリング剤やグラフト処理で表面改質し、ラジカル消去剤及び塩基性化合物の付着性を向上させても良い。さらに、補強層の表面に生成した官能基の酸基とイオンとをイオン交換させることにより、ラジカル消去剤及び塩基性化合物を固定しても良い。
[2.1.2. 成膜後に添加する方法]
成膜後にラジカル消去剤を添加する方法としては、例えば、
(a)イオン交換法、
(b)固体微粒子(コロイド)を分散させた分散液に電解質膜を浸漬する方法
などがある。
イオン交換法を用いて電解質膜にラジカル消去剤及び塩基性化合物を添加する場合、まず、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩、水酸化物、酸化物等の水溶性の化合物を純水に溶解させ、イオン交換液を調製する。次いで、浸漬、スプレー塗布等の方法を用いて、イオン交換液を電解質膜に接触させる。この場合、塩化物、臭化物、及びヨウ化物は、残渣として残った場合に触媒被毒作用が大きいので、ラジカル消去剤及び塩基性化合物として好ましくない。
1つのイオン交換溶液を用いて複数の金属イオン又は塩基性化合物を同時に交換させる場合には、イオン交換液が安定である必要がある。例えば、複数の金属イオンの共存下で酸化還元反応が起き、溶液中で金属や水酸化物の析出が起こる場合、膜への固定量が不十分となる。また、高分子量の塩基性化合物と金属イオンとを同時に添加した水溶液では、金属水酸化物が沈殿して、膜やMEGAに添加できな場合がある。このような場合には、別々のイオン交換液を調製し、イオン交換を別々に行うのが好ましい。
コロイド分散液を用いて電解質膜にラジカル消去剤又は塩基性化合物を添加する場合、予め電解質膜を有機溶媒や水で膨潤させておくと、電解質膜への固定量を増加させることができる。
さらに、トルエン、ヘキサンのような非極性の有機溶媒にラジカル消去剤及び塩基性化合物を分散又は溶解させたコロイド溶液を用いて、ラジカル消去剤及び塩基性化合物を担持させるのが好ましい。このような方法を用いると、電解質膜の疎水性部分が強化され、かつ、ラジカル消去剤及び塩基性化合物が親水性部分(イオンチャンネル)に濃化することを防ぐことができる。その結果、MEGAの性能低下を抑制することができる。
[2.2. 電極(触媒層)の製造方法]
触媒層内電解質にラジカル消去剤及び塩基性化合物を添加する方法としては、
(a)触媒インクにラジカル消去剤及び塩基性化合物を添加する方法、
(b)MEGAを作製した後にイオン交換によりラジカル消去剤及び塩基性化合物を添加する方法、
などがある。
これらの場合、比表面積の大きな炭素担体に吸着したラジカル消去剤由来の不純物アニオンの除去は容易ではない。そのため、イオン交換に用いるラジカル消去剤及び塩基性化合物の対アニオンは、触媒被毒の小さな対アニオン、すなわち、
(a)炭酸イオン、炭酸水素イオン、若しくは水酸イオン、
(b)蟻酸アニオン、酢酸アニオン、グリコール酸アニオン、シュウ酸アニオン等の低分子量の有機酸アニオン、又は、
(c)(a)又は(b)の塩基と難溶性の塩を形成するケイモリブデン酸やリンモリブデン酸等のヘテロポリ酸アニオン(例えば、特開2010−257771号公報参照)
が好ましい。
[2.3. ガス拡散層の製造方法]
ガス拡散層にラジカル消去剤及び塩基性化合物を添加する方法としては、例えば、
(a)ラジカル消去剤及び塩基性化合物の微粉末をガス拡散層の表面に塗布する方法、
(b)ガス拡散層の表面をカップリング剤(シランカップリング剤)で処理することによって、ガス拡散層の表面にスルホン酸基を導入し、イオン交換によりラジカル消去剤及び塩基性化合物を添加する方法、
などがある。
但し、ガス拡散層へのラジカル消去剤及び/又は塩基性化合物の添加は、電解質膜や触媒層への添加と異なり、電解質への直接添加ではなく、ラジカル消去剤及び/又は塩基性化合物をガス拡散層から電解質へ溶出させてラジカル消去作用を間接的に発揮させることを目的としている。そのため、これらの添加剤の溶出速度が大きくなりすぎると、MEGAの性能低下が大きい。また、添加剤の電解質への長期補給が困難となる。
従って、長時間ラジカル消去作用が維持できる(徐放剤として作用する)ように、ラジカル消去剤に加えて塩基性化合物を添加し、ラジカル消去剤の徐放速度を調整することが好ましい。もちろん、高温でラジカル消去剤を焼成して結晶化度を上げ、粒成長を促し、ガス拡散層から電解質への溶出速度を下げることも好ましい。
[3. 作用]
ラジカル消去剤を用いて電解質の劣化を抑制するためには、ラジカル消去剤は、
(a)長期間安定的に酸化体と還元体とを行き来できること、及び、
(b)ラジカル消去剤の再生速度が大きいこと
が必要である。しかしながら、単一のラジカル消去剤でこれらを実現するのは難しい。
これに対し、ラジカル消去剤と、ラジカル消去剤の助触媒として働く高分子量の塩基性化合物とを併用し、かつ、限定された濃度範囲でこれらをMEGAに添加すると、高分子電解質のラジカル劣化を抑えると同時に、電池性能を両立させることができる。特に、ラジカル消去剤として、ラジカル消去作用がマンガンイオンより優れているイオンを含むものを用いると、ラジカル消去剤の再生速度を向上させることができる。
すなわち、所定の条件を満たすラジカル消去剤と塩基性化合物とをMEGAに添加すると、MEGAの耐久性が向上する。これは、以下の理由によると考えられる。
(a)高分子量の塩基性化合物は、塩基環境を強化して過酸化水素を非ラジカル的に分解させる速度を大きくする(塩基性化合物自身の塩基触媒作用)。
(b)高分子量の塩基性化合物は、スルホン酸基の安定化作用が大きく、脱スルホン酸基を抑制する力が大きい(塩基性化合物自身の熱安定化作用)。
(c)高分子量の塩基性化合物は、ラジカル消去剤の還元体への還元(再生)速度を向上させる助触媒として働く。そのため、ラジカル消去剤が効果的にラジカルを消去できる(相乗作用)。
さらに、ラジカル消去剤及び塩基性物質を共存させると、ラジカル消去剤及び塩基性化合物の添加量が少量であっても高い耐久性が得られる。そのため、電池性能などの電気化学的性能を低下させることなく、耐久性を向上させることができる。
(実施例1〜2、比較例1〜7)
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例1〜2]
電解質膜には、大きさ:2.5cm×2cm、厚さ:50μm、EW=1000のパーフルオロアルキルスルホン酸膜を用いた。この電解質膜に対し、酸基交換割合が所定の値となるようにイオン交換処理を行った。処理容器には、ガラスからのNa+の溶出とガラス壁へのイオン吸着が起きないようにするために、ポリエチレン(PE)製の蓋付き容器(容量:100mL)を用いた。処理溶液は、Ag(実施例1)又はCe(実施例2)の硝酸塩、ジデシルジメチルアンモニウム(アジペート)(DA50)、及び超純水から調製した。
容器に50mLの処理溶液を入れ、処理溶液に膜1枚を浸漬した。気泡付着による処理ムラを防止するために、浸漬時に容器を数回振とうした。この容器を80℃の恒温槽に入れ、8hr保持した。その後、電解質膜を超純水ですすぎ、さらに80℃×2hr×4回の温水すすぎを行い、不純物アニオン(硝酸イオン)を除去した。
次に、イオン交換処理後の電解質膜を入れた容器に、酸基の1%がFe2+でイオン交換(重量割合で280ppm)されるように硫酸第一鉄溶液を添加し、上記と同一条件でイオン交換及び温水すすぎ(80℃×8hr+80℃×2hr×4回)を行った。
[1.2. 比較例1〜7]
ラジカル消去剤及び塩基性化合物未添加の膜(比較例1)をそのまま試験に供した。また、実施例1〜2と同様にして、ラジカル消去剤又は塩基性化合物のいずれか一方を添加した試料(比較例2〜5)、塩基性化合物としてCs+イオンを添加した試料(比較例6)、及び、Ce3+とCs+の双方を添加した試料(比較例7)を作製した。
[2. 試験方法]
[2.1. FER]
処理後の膜をろ紙にとり、80℃×2hrの真空乾燥を行った。乾燥させた膜を滴下過酸化水素水全量気化型の試験装置に設置し、過酸化水素蒸気暴露試験を行った。暴露試験の条件は、温度:105℃、暴露時間:5hr、過酸化水素濃度:3wt%、滴下速度:0.12mL/min、希釈N2流量:0.3L/minとした。
容量500mLの回収容器に予め超純水を100mL入れておき、暴露した過酸化水素蒸気を回収容器に導き、水溶性劣化生成物(主にHF)を捕集した。回収水の溶存Fイオン量をイオンメータで求め、回収水重量、試験膜面積、及び試験時間から、単位時間、単位面積当たりのF排出量FER(μg/cm2/h)を求めた。
[2.2. 電池性能]
大きさ:70mm×70mmの電解質膜に対し、上記と同様の処理を行った。膜の両面に、13cm2□の面積の触媒層をホットプレスで接合した。さらに、その両側をカーボンペーパーからなる拡散層で挟み、単セルを得た。
単セルに水素/空気を通じ、湿度20%、セル温度95℃の条件下でIV性能を計測した。95℃において400hr開回路状態とした後、電流密度0.75A/cm2でのセル電圧を計測した。
[3. 結果]
表1に結果を示す。なお、表1中、E01はラジカル消去剤の酸化還元電位を、E02は塩基性化合物の酸化還元電位をそれぞれ表す。また、電池性能に関し、「○」は95℃において400hr開回路状態とした後、電流密度0.75A/cm2でのセル電圧が0.4V以上であることを表し、「×」は同セル電圧が0.4V未満であることを表す。表1より、以下のことがわかる。
Figure 0006899337
(1)実施例1、2(複合添加)は、比較例1(未添加)及び単独添加(比較例2、4)に比べ、FERが小さく、複合添加による相乗作用が現れた。
(2)比較例2は、FERは抑えられたが、電池性能が低く、総合判定は不合格であった。Ag+の添加量が1%を超えると、性能背反が大きいと考えられた。
(3)比較例7は、特許文献3に開示されたCe3+とCs+の組み合わせである。比較例7は、FERの抑制は見られず、電池性能の低下も大きかった。これは、
(a)Cs+の持つFER抑制作用が小さいため、及び、
(b)1%程度の少量添加でも既にCs+イオンがスルホン酸基のある側鎖の運動性を大きく阻害し、プロトン伝導性を阻害するため、及び、
(c)Cs+イオンが膜から触媒層に移動し、触媒被毒を引き起こしたため
と考えられた。
(参考例3、実施例4、参考例5、比較例8〜14)
[1. 試料の作製]
[1.1. 参考例3、実施例4、参考例5]
電解質膜には、膜厚が8μmであり、内部にPTFE製微多孔膜を含むパーフルオロ系電解質膜(補強膜)を用いた。この電解質膜を用いて、実施例1と同様にして、ラジカルクエンチイオン0.12%、及び/又は、塩基性イオン0.12%をイオン交換した。ラジカルクエンチイオンには、Co2+又はCe3+を用いた。また、塩基性イオンには、TBP+(TBP:テトラブチルホスホニウム(水酸化物))又はDA50+を用いた。
[1.2. 比較例8〜14]
ラジカルイオン及び塩基性イオン未添加の膜(比較例8)をそのまま試験に供した。また、実施例3〜5と同様にして、ラジカルイオン又は塩基性イオンのいずれか一方を0.24%添加した試料(比較例9〜11、13)、塩基性イオンとしてCs+イオンを添加した試料(比較例12)、及び、Co2+とCs+の双方をそれぞれ0.12%添加した試料(比較例14)を作製した。
[2. 試験方法]
[2.1. FER]
Fe2+のイオン交換量を200ppmとした以外は、実施例1と同様にして、FERを測定した。
[2.2. 電池性能]
実施例1と同様にして、95℃において400hr開回路状態とした後のセル電圧を測定した。
[3. 結果]
表2に、結果を示す。表2より、以下のことが分かる。
Figure 0006899337
(1)参考例3、実施例4、参考例5は、ラジカル消去剤及び塩基性化合物が未添加の比較例8、並びに、単独添加の比較例9〜13に比べて、FERの値が抑えられ、膜の耐久性が向上した。
(2)Co2+とCs+の組み合わせ(比較例14)では、FERの抑制は見られなかった。Co2+イオンのクエンチ能力を増強するには、Cs+よりも高分子量の塩基性イオンの添加が必要であることが分かった。
(3)イオン添加量が総計で0.24%であれば、いずれの例においても電池性能の低下は問題ないことが確かめられた。
(実施例6)
[1. 試験方法]
電解質膜には、パーフルオロスルホン酸膜(NR212)を用いた。この電解質膜に対し、酸基交換割合1%に相当する量の各種金属イオンと、酸基交換割合1%に相当するFe2+イオンで、イオン交換処理を行った。
得られた電解質膜を湿度32%の雰囲気下で3wt%の過酸化水素蒸気に5時間暴露した。その時のフッ化物イオンの排出速度FER(μg/cm2/hr)を求めた。
[2. 結果]
図2に、各種イオンのラジカル消去能の比較を示す。なお、図2中、「Fe2+」は、ラジカル消去剤としてのFe2+を1%、FER試験用のFe2+を1%、合計2%のFe2+でイオン交換した時の結果を示す。なお、合計1%のFe2+のみでイオン交換した時のFERは、54.8μg/cm2/hrである。
また、表3に、イオンの無限希釈濃度での当量伝導率と拡散定数(Handbook of chemistry & physics 84th edition 2003-2004より引用)を示す。図2及び表3より、以下のことが分かる。
Figure 0006899337
(1)遊離の鉄イオン(Fe2+、Fe3+)、遊離の銅イオン(Cu+、Cu2+)、及び遊離のバナジウムイオン(V+、V2+、V3+、VO2+、VO2 +、VO4 3-)は、いずれも、過酸化水素をラジカル的に分解する作用(フェントン作用)が大きい。
(2)K+、Cs+のようなアルカリ金属イオンは、過酸化水素を非ラジカル的にイオン分解する触媒作用がある。但し、これらは、1価イオンでかつ低原子量であるため、電解質外へ移動しやすい。
(3)Ag+は、Mn2+に比べて膜劣化抑制作用が著しく高い。但し、Ag+は、Ce3+、Co2+に比べて拡散しやすく(表3参照)、かつ、触媒層で金属銀粒子に還元され易い。そのため、Ag+の添加量は、好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。
(4)2%のFe2+の内、1%を遊離のFe2+からフェナントロリン錯体に置き換えると、FERが若干低減でき、その効果はMn2+より大であることが示された。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係るMEGAは、燃料電池、ソーダ電解装置、水電解装置、電気めっき装置、海水透析装置、金属空気二次電池、金属の電解採取装置、人工光合成装置などに用いることができる。

Claims (3)

  1. 以下の構成を備えた膜−電極−ガス拡散層接合体。
    (1)前記膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA)は、
    電解質膜、電極、及びガス拡散層のいずれか1以上の部位に導入されたラジカル消去剤と、
    前記電解質膜、前記電極、及び前記ガス拡散層のいずれか1以上の部位であって、前記ラジカル消去剤と同一又は異なる部位に導入された塩基性化合物と
    を備えている。
    (2)前記ラジカル消去剤は、ラジカルをイオンに還元すると同時に、自らは還元体から酸化体となる機能を備えた酸化還元対を含み、
    前記酸化還元対の酸化還元電位は、蟻酸の酸化還元電位よりも貴である。
    (3)前記塩基性化合物は、Cs+イオンの原子量(132.9)より大きい原子量又は分子量を持つ。
    (4)前記塩基性化合物は、アルキルアンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、グアニジウムイオン、及びピラゾロンイオンからなる群から選ばれるいずれか1以上を含む。
    (5)前記ラジカル消去剤及び前記塩基性化合物は、いずれも、電解質の酸基とイオン交換可能な化合物からなり、
    前記ラジカル消去剤及び前記塩基性化合物の酸基交換割合は、総計で0.01%以上5%以下である。
  2. 前記酸化還元対の酸化還元電位は、過酸化水素の還元生成電位よりも貴である請求項1に記載の膜−電極−ガス拡散層接合体。
  3. 前記ラジカル消去剤は、Ti、Cr、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Ir、Au、Bi、La、Ce、Pr、鉄シアノ錯体、鉄フェナントロリン錯体(フェロイン)、及び鉄ビピリジン錯体からなる群から選ばれるいずれか1以上の金属元素又は錯体のイオンを含む請求項1又は2に記載の膜−電極−ガス拡散層接合体。
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