JP6868546B2 - 固体高分子形燃料電池、電解質膜、及び触媒層 - Google Patents
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Description
例えば、燃料電池においては、電解質膜の抵抗増加、クロスリークの増加、孔開きによる短寿命化などが起こることが知られている。さらには、ラジカル攻撃により生成する劣化生成物により触媒被毒が起こり、電解性能や電池性能が低下するおそれがある。
例えば、特許文献1には、パーフルオロ系電解質に備えられる陽イオン交換基のプロトンの一部を、V、Mn、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Fe、Ru、Ni、Pd、Pt、Ag、Ce、Nd、Pr、Sm、Co、Gd、Tb、Dy、Ho、及び、Erから選ばれる少なくとも1つの金属イオンで置換した固体高分子電解質及びこれを用いた固体高分子型燃料電池が開示されている。
同文献には、パーフルオロ系電解質に含まれる陽イオン交換基のプロトンの一部を、ある特定の金属イオンで置換すると、高い電気伝導度と高い耐久性とを同時に達成することができる点が記載されている。
同文献には、カソード側触媒層に過酸化水素分解能を有するAg+を添加すると、燃料電池の耐久性が向上する点が記載されている。
同文献には、このような凝集体を、ディーゼル排ガスに含まれる粒子状物質(PM)の酸化触媒や、還元反応(例えば、ニトロ基→アミノ基など)の触媒として利用できる点が記載されている。
一方、これを回避するために金属イオンの添加量を減らすと、過酸化水素の分解能が低下する。その結果、MEAの耐久性が低下する。
固体高分子電解質を含む電解質膜と、
前記電解質膜の一方の面に接合されたアノード側触媒層と、
前記電解質膜の他方の面に接合されたカソード側触媒層と、
前記電解質膜、前記アノード側触媒層、及び前記カソード側触媒層からなる群から選ばれるいずれか1以上に添加されたAg@CeO2粒子と
を備え、
前記Ag@CeO2粒子は、Agコアの表面がCeO2シェルで被覆されたコアシェル構造を備えていることを要旨とする。
固体高分子電解質と、
前記固体高分子電解質内に添加されたAg@CeO2粒子と
を備え、
前記Ag@CeO2粒子は、Agコアの表面がCeO2シェルで被覆されたコアシェル構造を備えていることを要旨とする。
電極触媒と、
前記電極触媒の表面を被覆する触媒層内電解質と、
前記電極触媒間、又は前記触媒層内電解質内に添加されたAg@CeO2粒子と
を備え、
前記Ag@CeO2粒子は、Agコアの表面がCeO2シェルで被覆されたコアシェル構造を備えていることを要旨とする。
[1. 固体高分子形燃料電池]
本発明に係る固体高分子形燃料電池は、
固体高分子電解質を含む電解質膜と、
前記電解質膜の一方の面に接合されたアノード側触媒層と、
前記電解質膜の他方の面に接合されたカソード側触媒層と、
前記電解質膜、前記アノード側触媒層、及び前記カソード側触媒層からなる群から選ばれるいずれか1以上に添加されたAg@CeO2粒子と
を備えている。
電解質膜は、固体高分子電解質を含む。本発明において、固体高分子電解質の材料は、特に限定されない。固体高分子電解質は、フッ素系電解質又は炭化水素系電解質のいずれであっても良い。また、固体高分子電解質の酸基の種類についても、特に限定されない。酸基としては、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、スルホンイミド基等がある。固体高分子電解質には、これらの酸基のいずれか1種類のみが含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
さらに、電解質膜は、固体高分子電解質のみからなるものでも良く、あるいは、固体高分子電解質と補強層との複合体であっても良い。
触媒層は、電極反応の反応場となる部分である。電解質膜の一方の面にはアノード側触媒層が接合され、他方の面にはカソード側触媒層が接合される。触媒層は、電極触媒又は担体に担持された電極触媒と、その周囲を被覆する触媒層内電解質とを備えている。本発明において、電極触媒、触媒層内電解質及び担体の材料は、特に限定されない。電極触媒としては、例えば、白金、白金合金、パラジウム、ルテニウム、ロジウム等又はこれらの合金などがある。また、触媒層内電解質の材料は、電解質膜と同一の材料であっても良く、あるいは、異なる材料であっても良い。
各触媒層の外側には、通常、ガス拡散層が接合されるが、ガス拡散層を省略することもできる。ガス拡散層は、電極との間で電子の授受を行うと同時に、反応ガスを電極に供給するためのものである。ガス拡散層には、一般に、カーボンペーパ、カーボンクロス等が用いられる。また、撥水性を高めるために、カーボンペーパ等の表面に、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水性高分子の粉末とカーボンの粉末との混合物(撥水層)をコーティングしたものをガス拡散層として用いても良い。
[1.4.1. 組成]
「Ag@CeO2粒子」とは、Agコアの表面がCeO2シェルで被覆されたコアシェル構造を備えている粒子をいう。このようなAg@CeO2粒子は、後述する方法により製造することができる。
Ag@CeO2粒子は、燃料電池環境内において、ラジカル消去剤、あるいは、過酸化水素分解剤として機能する。これは、CeO2シェルでラジカル、あるいは過酸化水素が分解する際に、Ce3+からCe4+に酸化されるが、AgコアがCe4+をCe3+へと速やかに還元するためであると考えられる。
「Agコア」とは、Agを含む粒子をいう。Agコアは、実質的にAgのみからなるものでも良く、あるいは、他の金属を含む合金でも良い。他の金属としては、例えば、Pd、Rh、Cuなどがある。また、Agの一部が酸化物を形成していても良い。
高いラジカル耐性を得るためには、Agコア中のAg含有量は、0.3質量%以上が好ましい。Ag含有量は、好ましくは、75質量%以上、さらに好ましくは、90質量%以上である。
「CeO2シェル」とは、CeO2を含む微粒子(以下、これを単に「CeO2微粒子」ともいう)がAgコアの周囲に集合することにより形成される構造物をいう。CeO2微粒子は、実質的にCeO2のみからなるものでも良く、あるいは、添加成分を含んでいても良い。添加成分としては、例えば、La、Nd等のCe以外の希土類元素、Zr、Y、Al、Siなどがある。これらは、CeO2微粒子の粗大化を抑制する作用がある。
一方、添加成分が過剰になると、ラジカル消去剤又は過酸化水素分解剤としての効果がかえって低下する。従って、添加成分の含有量は、30mol%以下が好ましい。添加成分の含有量は、好ましくは、20mol%以下である。
ここで、「添加成分の含有量」とは、Ce及び添加成分の総モル数に対する、添加成分のモル数の割合をいう。
Ag@CeO2粒子に含まれるAgコアとCeO2シェルの比率は、ラジカル消去剤又は過酸化水素分解剤としての効果に影響を与える。Agコアの比率が少なすぎると、Ceの還元速度が遅くなる。従って、Agコア/CeO2シェルの比率(モル比)は、10/90が好ましい。比率は、好ましくは、35/65以上、さらに好ましくは、40/60以上である。
一方、Agコアの比率が大きすぎると、ラジカル、あるいは過酸化水素の分解速度が遅くなる。従って、Agコア/CeO2シェルの比率(モル比)は、80/20以下が好ましい。比率は、好ましくは、60/40以下である。
ここで、「Agコア/CeO2シェルの比率」とは、CeO2シェルに含まれる金属元素の総モル数に対する、Agコアに含まれる金属元素の総モル数の比をいう。
固体高分子形燃料電池は、電解質膜の両面に、それぞれ、アノード側触媒層及びカソード側触媒層が接合された膜電極接合体(MEA)(触媒層の外側に、さらにガス拡散層が接合された膜−電極−ガス拡散層接合体(MEGA)を含む)を備えている。Ag@CeO2粒子は、MEAに含まれる電解質膜、アノード側触媒層、及びカソード側触媒層からなる群から選ばれるいずれか1以上に添加される。
ラジカルによる固体高分子電解質の劣化は、電解質膜及び触媒層のいずれにおいても起こり得る。そのため、Ag@CeO2粒子を電解質膜又は触媒層のいずれか一方に添加した場合であっても、ラジカルによる固体高分子電解質の劣化が抑制される。また、Ag@CeO2粒子を電解質膜及び触媒層の双方に添加した場合には、ラジカルによる固体高分子電解質の劣化がさらに抑制される。
「Ag@CeO2粒子の酸基置換率」とは、Ag@CeO2粒子に含まれる金属元素のすべてがイオン(例えば、Ag+、Ce3+、La3+、Nd3+、Y3+、Al3+、Si4+、Zr4+、Cu2+など)として溶出し、MEAに含まれる電解質の酸基のプロトンが金属イオンに置換されたと仮定した時の、電解質に含まれる酸基の総モル数に対する、イオン交換した酸基のモル数の割合をいう。
一方、必要以上にAg@CeO2粒子を添加しても、効果に差が無く、実益がない。従って、Ag@CeO2粒子の酸基置換率は、2.0%以下が好ましい。酸基置換率は、好ましくは、0.1%以下、さらに好ましくは、0.05%以下である。
Agコア及びCeO2微粒子の大きさは、主として合成時の焼成温度に依存する。後述する方法を用いる場合において、製造条件を最適化すると、Agコアの大きさは、10nm〜400nmの範囲となる。また、CeO2シェルを構成するCeO2微粒子の大きさは、1nm〜100nmの範囲となる。
さらに、Agコアの周囲は、1層又は複数層のCeO2微粒子で覆われている。また、このようなコアシェル粒子が複数個凝集している場合もある。そのため、後述する方法を用いる場合において、製造条件を最適化すると、Ag@CeO2粒子の平均粒子サイズは、0.05μm〜0.5μmの範囲となる。
ここで、「平均粒子サイズ」とは、レーザー回折散乱法により測定されるメディアン径(d50)をいう。
本発明に係る電解質膜は、
固体高分子電解質と、
前記固体高分子電解質内に添加されたAg@CeO2粒子と
を備えている。
本発明において、固体高分子電解質の材料は、特に限定されない。電解質膜を構成する固体高分子電解質の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
Ag@CeO2粒子は、Agコアの表面がCeO2シェルで被覆されたコアシェル構造を備えている。
電解質膜にAg@CeO2粒子を添加する場合においても、Ag@CeO2粒子の酸基置換率は、0.001%以上2.0%以下が好ましい。
また、Ag@CeO2粒子の平均粒子サイズは、0.5μm以下が好ましい。
Ag@CeO2粒子の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
本発明に係る触媒層は、
電極触媒と、
前記電極触媒の表面を被覆する触媒層内電解質と、
前記電極触媒間、又は前記触媒層内電解質内に添加されたAg@CeO2粒子と
を備えている。
本発明において、電極触媒及び触媒層内電解質の材料は、特に限定されない。電極触媒及び触媒層内電解質の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
Ag@CeO2粒子は、Agコアの表面がCeO2シェルで被覆されたコアシェル構造を備えている。
触媒層にAg@CeO2粒子を添加する場合においても、Ag@CeO2粒子の酸基置換率は、0.001%以上2.0%以下が好ましい。
また、Ag@CeO2粒子の平均粒子サイズは、0.5μm以下が好ましい。
Ag@CeO2粒子の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
Ag@CeO2微粒子は、
(a)Ag塩を含む溶液、Ce塩を含む溶液、及びpH調整剤を含む溶液を混合し、Ag粒子の表面がCe化合物微粒子により被覆されている前駆体粒子を生成させ、
(b)前駆体粒子を焼成する
ことにより製造することができる。
まず、Ag塩を含む溶液、Ce塩を含む溶液、及びpH調整剤を含む溶液を混合し、Agコアの表面がCe化合物微粒子により被覆されている前駆体粒子を生成させる(前駆体作製工程)。溶液中には、さらに錯化剤、逆ミセル化剤などを添加しても良い。
Ag塩及びCe塩としては、例えば、硝酸塩、酢酸塩、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、無機錯塩などがある。これらは、いずれも水溶性の塩である。Ag塩及びCe塩は、特に、硝酸塩(硝酸銀、硝酸セリウム)が好ましい。Ag及びCe以外の金属元素を含むAg@CeO2粒子を作製する場合には、その金属元素を含む塩を用いる。
Ag塩及びCe塩を溶解させる溶媒は、特に限定されない。溶媒としては、例えば、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール)、又は、これらの混合系溶媒などがある。溶媒は、特に水が好ましい。
前駆体粒子は、まず、溶液中にCe化合物微粒子が生成し、次いで、Ce化合物微粒子の還元作用によってAg粒子が析出することによって生成する。このような酸化還元反応の反応速度は、溶液中のpHに依存する。そのため、適宜pH調整剤を添加して酸化還元反応を制御することが好ましい。pH調整剤としては、例えば、NaOH、KOH、NH3、HNO3、H2SO4などがある。
粗大なAg粒子の生成を抑制するためには、アルカリ性溶液中で前駆体粒子を生成させるのが好ましい。この場合、pH調整剤の種類によっては、目的とする前駆体粒子以外の沈殿が生成することがある。そのため、pH調整剤にはアンモニアを用いるのが好ましい。アンモニアは、Agの錯化剤としても機能するので、pH調整剤として好適である。
溶液中には、必要に応じて錯化剤を添加しても良い。溶液のpHによっては、溶液中に目的とする前駆体粒子以外の沈殿物が生成することがある。このような場合、溶液中に錯化剤を添加すると、沈殿の生成を抑制することができる。錯化剤の種類は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適なものを選択することができる。錯化剤としては、例えば、アンモニア、有機酸(グリコール酸、クエン酸、酒石酸等)のアルカリ塩、チオグリコール酸、ヒドラジン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、グリシン、ピリジン、シアン化物などがある。
必要に応じて、非極性溶液に界面活性剤分子を添加した逆ミセル化剤に、AgやCeの水溶液を添加しても良い。このような場合、生成粒子の大きさをナノサイズで制御することができる。
逆ミセル化剤となる界面活性剤としては、
(a)ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、
(b)ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ブチルドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロリドなどのカチオン性界面活性剤、
(c)ペンタオキシエチレングリコールドデシルエーテル、ヘキサオキシエチレングリコールドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、
などがある。
非極性溶媒としては、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、クロロベンゼンなどがある。
溶液の混合方法としては、
(a)Ag塩及びCe塩を含む溶液に、pH調整剤溶液を添加する方法(沈殿法)、
(b)pH調整剤溶液に、Ag塩及びCe塩を含む溶液を添加する方法(逆沈殿法)、
(c)Ag塩、あるいはCe塩の溶液を、界面活性剤と非極性溶媒とを含む逆ミセル化剤の分散液にそれぞれ混合する方法(逆ミセル法)
などがある。本発明において、いずれの方法を用いても良い。
また、溶液中の温度、溶液中の固形分濃度、混合時間などの混合条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な条件を選択することができる。所定の条件下で各溶液を混合すると、溶液中において酸化還元反応が進行し、Ag粒子の表面がCe化合物微粒子により被覆されている前駆体粒子が得られる。
次に、必要に応じて前駆体粒子を洗浄した後、前駆体粒子を焼成する。これにより、Agコアの表面がCeO2微粒子で被覆されたAg@CeO2粒子が得られる。
焼成条件は、特に限定されるものではなく、目的に応じて最適な条件を選択するのが好ましい。焼成は、通常、酸化雰囲気中において、300℃〜600℃で1〜5時間保持することにより行われる。
本発明に係る電解質膜、触媒層、及び固体高分子形燃料電池は、種々の方法により製造することができる。例えば、Ag@CeO2粒子を含む電解質膜は、
(a)固体高分子電解質を溶媒に溶解又は分散させた溶液にAg@CeO2粒子を添加し、
(b)この溶液を基材表面に塗布し、さらに、
(c)塗膜から溶媒を揮発させる
ことにより製造することができる。
(a)電極触媒、及び触媒層内電解質を溶媒に溶解又は分散させた触媒インクにAg@CeO2粒子を添加し、
(b)この触媒インクを基材表面に塗布し、さらに、
(c)塗膜から溶媒を揮発させる
ことにより製造することができる。
(a)Ag@CeO2粒子を含む電解質膜及び/又は触媒層を作製し、
(b)電解質膜の両面に触媒層を接合する
ことにより製造することができる。
Ag@CeO2粒子は、AgコアがCeO2シェルで被覆されたコアシェル構造を備えているために、燃料電池環境下では、イオンではなく、主として無機粒子として振る舞う。すなわち、Ag@CeO2粒子から溶出した金属イオンと電解質の酸基とが塩を形成する可能性は低い。また、Ag@CeO2粒子は、極めて少量でも過酸化水素の分解効果(あるいは、ラジカル消去剤としての効果)があり、さらにイオン化しなくてもこのような分解効果を発揮する。そのため、これを電解質膜及び/又は触媒層に添加すると、高プロトン伝導度と高耐久性とを高い次元で両立させることができる。
[1. 試料の作製]
[1.1. 実施例1〜2]
固形分濃度:21.5wt%、EW=1000のパーフルオロアルキルスルホン酸樹脂分散液を、濃度:10wt%となるように1プロパノールと超純水で希釈した。この樹脂分散液に適量のラジカル消去剤を添加した。ラジカル消去剤には、平均粒子サイズが0.1μm以下であるAg@CeO2粒子を用いた。ラジカル消去剤の酸基置換量は、0.01%(実施例1)、又は0.005%(実施例2)とした。図1に、実験に用いたAg@CeO2粒子のSEM像でを示す。
ラジカル消去剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして電解質膜を作製した。得られた電解質膜を酢酸銀水溶液に浸漬し、Ag+でイオン交換を行った。酸基置換割合は、0.1%(比較例1)、又は1.0%(比較例2)とした。
[1.3. 比較例3]
ラジカル消去剤としてAg2O粒子(和光純薬工業(株)製、平均粒径:1μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして電解質膜を作製した。酸基置換割合は、1.0%とした。
ラジカル消去剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして電解質膜を作製した。得られた電解質膜を硝酸セリウム水溶液に浸漬し、Ce3+でイオン交換を行った。酸基置換割合は、0.1%(比較例4)、1.0%(比較例5)、又は2.0%(比較例6)とした。
[1.5. 比較例7]
ラジカル消去剤としてCeO2微粒子(信越化学工業(株)製、平均粒径:0.1μm)を用いた以外は、実施例1と同様にして電解質膜を作製した。酸基置換割合は、1.0%とした。
[1.6. 基準例]
ラジカル消去剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして電解質膜を作製した。
[2.1. Fe2+によるイオン交換]
電解質膜を入れた容器に、酸基の1%がFe2+でイオン交換(重量割合で280ppm)されるように硫酸第一鉄溶液を添加し、イオン交換(80℃×8hr)、及び温水すすぎ(80℃×2hr×4回)を行った。
処理後の膜をろ紙にとり、80℃×2hrの真空乾燥を行った。乾燥させた膜を滴下過酸化水素水全量気化型の試験装置に設置し、過酸化水素蒸気暴露試験を行った。暴露試験の条件は、温度:105℃、暴露時間:5hr、過酸化水素濃度:3wt%、滴下速度:0.12mL/min、希釈N2流量:0.3L/minとした。
容量500mLの回収容器に予め超純水を100mL入れておき、暴露した過酸化水素蒸気を回収容器に導き、水溶性劣化生成物(主にHF)を捕集した。回収水の溶存Fイオン量をイオンメータで求め、回収水重量、試験膜面積、及び試験時間から、単位時間、単位面積当たりのF排出量FER(μg/cm2/h)を求めた。
表1に、F排出量(FER)を示す。また、図2に、酸基置換率とF排出量(FER)との関係を示す。表1及び図2より、以下のことが分かる。
(2)ラジカル消去剤としてAg+を1%添加した場合、FERが大幅に低下した。しかし、酸基置換率が0.1%になると、FERが増大した。
(3)Ag2Oは、Ag+よりもF排出量を低減する効果に乏しい。
(4)ラジカル消去剤としてCe3+を添加した場合、酸基置換率が大きくなるほど、F排出量は低下するが、その効果は、Ag+よりも小さい。
(5)CeO2を添加すると、むしろFERが増大した。
Claims (6)
- 以下の構成を備えた固体高分子形燃料電池。
(1)前記固体高分子形燃料電池は、
固体高分子電解質を含む電解質膜と、
前記電解質膜の一方の面に接合されたアノード側触媒層と、
前記電解質膜の他方の面に接合されたカソード側触媒層と、
前記電解質膜、前記アノード側触媒層、及び前記カソード側触媒層からなる群から選ばれるいずれか1以上に添加されたAg@CeO2粒子と
を備え、
前記Ag@CeO2粒子は、Agコアの表面がCeO2シェルで被覆されたコアシェル構造を備えている。
(2)前記Ag@CeO 2 粒子は、Agコア/CeO 2 シェルの比率(モル比)が10/90以上80/20以下である。
(3)前記Ag@CeO 2 粒子の酸基置換率は、0.001%以上2.0%以下である。 - 前記Ag@CeO2粒子の平均粒子サイズは、0.5μm以下である請求項1に記載の固体高分子形燃料電池。
- 以下の構成を備えた電解質膜。
(1)前記電解質膜は、
固体高分子電解質と、
前記固体高分子電解質内に添加されたAg@CeO2粒子と
を備え、
前記Ag@CeO2粒子は、Agコアの表面がCeO2シェルで被覆されたコアシェル構造を備えている。
(2)前記Ag@CeO 2 粒子は、Agコア/CeO 2 シェルの比率(モル比)が10/90以上80/20以下である。
(3)前記Ag@CeO 2 粒子の酸基置換率は、0.001%以上2.0%以下である。 - 前記Ag@CeO2粒子の平均粒子サイズは、0.5μm以下である請求項3に記載の電解質膜。
- 以下の構成を備えた触媒層。
(1)前記触媒層は、
電極触媒と、
前記電極触媒の表面を被覆する触媒層内電解質と、
前記電極触媒間、又は前記触媒層内電解質内に添加されたAg@CeO2粒子と
を備え、
前記Ag@CeO2粒子は、Agコアの表面がCeO2シェルで被覆されたコアシェル構造を備えている。
(2)前記Ag@CeO 2 粒子は、Agコア/CeO 2 シェルの比率(モル比)が10/90以上80/20以下である。
(3)前記Ag@CeO 2 粒子の酸基置換率は、0.001%以上2.0%以下である。 - 前記Ag@CeO2粒子の平均粒子サイズは、0.5μm以下である請求項5に記載の触媒層。
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