JP2016505193A - 貴金属粒子と酸性アイオノマー成分とを含むコロイド分散体ならびにそれらの製造および使用の方法 - Google Patents

貴金属粒子と酸性アイオノマー成分とを含むコロイド分散体ならびにそれらの製造および使用の方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2016505193A
JP2016505193A JP2015529023A JP2015529023A JP2016505193A JP 2016505193 A JP2016505193 A JP 2016505193A JP 2015529023 A JP2015529023 A JP 2015529023A JP 2015529023 A JP2015529023 A JP 2015529023A JP 2016505193 A JP2016505193 A JP 2016505193A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
noble metal
ionomer
group
acidic
dispersion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2015529023A
Other languages
English (en)
Inventor
マティアス・ビンダー
ゲアハルト・ハインツ
アレッサンドロ・ギエルミ
ホルガー・ディアラス
フォルカー・バエニッシュ
Original Assignee
ソルビコア・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ソルビコア・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー filed Critical ソルビコア・ゲーエムベーハー・ウント・コ・カーゲー
Publication of JP2016505193A publication Critical patent/JP2016505193A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/90Selection of catalytic material
    • H01M4/92Metals of platinum group
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B01PHYSICAL OR CHEMICAL PROCESSES OR APPARATUS IN GENERAL
    • B01JCHEMICAL OR PHYSICAL PROCESSES, e.g. CATALYSIS OR COLLOID CHEMISTRY; THEIR RELEVANT APPARATUS
    • B01J13/00Colloid chemistry, e.g. the production of colloidal materials or their solutions, not otherwise provided for; Making microcapsules or microballoons
    • B01J13/0004Preparation of sols
    • B01J13/0043Preparation of sols containing elemental metal
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C25ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
    • C25BELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF COMPOUNDS OR NON-METALS; APPARATUS THEREFOR
    • C25B11/00Electrodes; Manufacture thereof not otherwise provided for
    • C25B11/04Electrodes; Manufacture thereof not otherwise provided for characterised by the material
    • C25B11/051Electrodes formed of electrocatalysts on a substrate or carrier
    • C25B11/073Electrodes formed of electrocatalysts on a substrate or carrier characterised by the electrocatalyst material
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/8663Selection of inactive substances as ingredients for catalytic active masses, e.g. binders, fillers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/90Selection of catalytic material
    • H01M4/92Metals of platinum group
    • H01M4/921Alloys or mixtures with metallic elements
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/90Selection of catalytic material
    • H01M4/92Metals of platinum group
    • H01M4/925Metals of platinum group supported on carriers, e.g. powder carriers
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/90Selection of catalytic material
    • H01M4/92Metals of platinum group
    • H01M4/925Metals of platinum group supported on carriers, e.g. powder carriers
    • H01M4/926Metals of platinum group supported on carriers, e.g. powder carriers on carbon or graphite
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/86Inert electrodes with catalytic activity, e.g. for fuel cells
    • H01M4/88Processes of manufacture
    • H01M4/8825Methods for deposition of the catalytic active composition
    • H01M4/8828Coating with slurry or ink
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Dispersion Chemistry (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Inert Electrodes (AREA)
  • Electrodes For Compound Or Non-Metal Manufacture (AREA)
  • Electrolytic Production Of Non-Metals, Compounds, Apparatuses Therefor (AREA)

Abstract

本発明は、ナノサイズ貴金属粒子(例えば、白金または白金合金粒子)と、酸性基を有する少なくとも1つのアイオノマー成分とを含むコロイド分散体に関する。その製造のための方法は、液体酸性アイオノマー成分を用いた、好適な貴金属前駆体化合物の中和および溶解プロセスと、その後の還元工程に基づいている。好適な貴金属前駆体は、貴金属原子、水素原子、酸素原子および任意選択的に炭素原子からなる。前駆体の例は、H2Pt(OH)6、Pd(OH)2またはIr(OH)4であり、好ましい還元剤は、脂肪族アルコールまたは水素である。本発明は、このようなコロイド分散体の製造のための前駆生成物、すなわち、貴金属前駆体および少なくとも1つの酸性アイオノマー化合物を含有する組成物にさらに関する。コロイド貴金属分散体は、塩または界面活性剤などの汚染物質を実質的に含まず、導電性または非導電性支持材料をさらに含有し得る。コロイド貴金属分散体は、触媒インク、アイオノマー層、触媒層、電極または複合触媒材料の調製に使用され得、燃料電池技術(例えば、PEMFC、DMFCまたは水電解槽)に広い用途がある。

Description

本発明は、ナノサイズ貴金属ベースの粒子と、酸性基を有する少なくとも1つのアイオノマー成分とを含むコロイド分散体に関する。このような貴金属ベースのコロイド分散体を製造するための方法が開示される。これに関連して、本発明は、それらの製造のための前駆生成物(pre−product)、すなわち、好適な貴金属前駆体化合物と、少なくとも1つの酸性アイオノマー化合物とを含む組成物にさらに関する。最後に、本発明は、このようなコロイド分散体を含む触媒インクならびにアイオノマー層、触媒層、電極および複合触媒材料の製造のためにそれらを使用する方法に関する。
アルコールまたは水素などの好適な還元剤を用いることによって、好適な貴金属前駆体化合物と、少なくとも1つの酸性アイオノマー化合物とを含む前駆生成物組成物は、貴金属粒子のコロイド分散体へと転化され、このコロイド分散体は、酸性アイオノマー化合物によって安定化され、有機ポリマー、イオン性汚染物質または界面活性剤などの他の成分を実質的に含まない。
本発明のコロイド貴金属分散体は、後の精製工程の必要なく、アイオノマー層、触媒層および電極層の作製に特に適している。
界面活性剤または有機ポリマーによって安定化されるナノサイズのコロイド白金分散体が、先行技術において公知である。このようなコロイド分散体は、化学合成および電気化学的用途用の触媒材料の製造に主に用いられ;白金粒子は、この場合、典型的に、粉末状の支持材料または多孔質の担体上に堆積された後、洗浄および乾燥工程が続く。このようなコロイド分散体から、白金粒子はまた、薄い触媒層を生成するために表面に直接堆積され得る。電気化学的デバイス用のガス拡散電極(以後、GDEと略記される)は、例えば多孔質セラミックまたは炭素ウェブの表面および/または内部に白金粒子を堆積することによって生成され得る。
さらに、アイオノマー膜の表面はまた、コロイド白金分散体からそれらの表面への白金粒子の堆積と、その後の乾燥および洗浄によって触媒され得る。
コロイド白金分散体は、ナノテクノロジー、医薬、環境科学(有機化合物の光酸化)および独特の特性を有する新規な材料の合成を含む様々な分野への利用の可能性を有し、化学合成および電極触媒作用の分野以外にも使用するための実質的な研究の対象である。このような目的のため、分散体中の白金ナノ粒子はまた、様々な有機配位子で機能化されて、高度な機能性を有する有機/無機ハイブリッド材料が生成され得る。
コロイド白金分散体は、燃料電池用の触媒および触媒層の作製に特に有用である。
燃料電池(FC)は、例えば、自動車の動力伝達装置、住宅暖房用の固定式装置、搭載された(embarqued)補助動力装置(APU)、携帯用電子機器、遠隔または携帯用バックアップ装置などの様々な異なる用途に使用されるかまたは商業的に予測される発電電気化学的デバイスである。
PEM燃料電池(PEM−FC)は、より特定的に、例えば、プロトン伝導性ペルフルオロ−スルホン酸膜または炭化水素酸膜などの固体ポリマー電解質膜(以後、便宜上、「膜」と呼ばれる)を含む燃料電池である。PEM燃料電池は、それぞれ膜の各反対側に位置するカソード層およびアノード層も含む。アノードおよびカソード層は、以後、「電極層」または「電極触媒(electro−catalyst)層」とも呼ばれる。
PEM−FCの例は、水素PEM−FC、改質水素PEM−FCおよび直接メタノール型PEM−FC(以後、「DMFC」と略記される)である。アノード層において、適切な電極触媒、一般に、白金電極触媒または白金合金電極触媒が、燃料(例えば、水素またはメタノール)の酸化を引き起こして、特に、水素陽イオン(プロトン)および負電荷を帯びた電子(水素燃料の場合、水素酸化反応、HOR)を生成する。膜は、正電荷を帯びた水素イオンのみを通過させて、カソード層に到達させる一方、負電荷を帯びた電子は、アノードをカソードと接続する外部回路に沿って移動し、それによって電流を生成する。カソード側で、酸素が、アノード側から来る4つの電子およびプロトンを用いて水へと還元される(酸素還元反応、ORR)。カソード層において、好適な電極触媒、一般に、白金電極触媒が、電子および正電荷を帯びた水素イオンを、酸素と組み合わせて水を形成させ、水はセルから流出する。一般に、水素または改質水素PEM−FC中で起こる反応は、以下のようにまとめられ得る:
アノード:2H→4H++4e− (HOR)
カソード:O+4e−+4H+→2HO (ORR)
PEM−FCに一般に使用される電極触媒は、適切な導電性および大きい電気化学的に活性な表面領域を確保するために、通常、カーボンブラック上に担持された白金または白金合金の微粉化された粒子を含む。通常、電極層は、プロトン伝導性電解質(以後、「アイオノマー」と呼ばれる)も含む。
改質水素および直接メタノール型PEM−FCの場合、アノード層に使用される電極触媒は、通常、白金合金電極触媒であり、白金合金は、一般に、改質水素PEM−FCの場合、改質装置によって生成される水素富化ガスまたは直接メタノール型PEM−FC(DMFC)の場合、メタノールのいずれかを効率的に酸化するように特に設計された白金−ルテニウム合金である。
PEM−FCは、通常、比較的厚い多孔質ガス拡散層(以後、「GDL」と略記される)を含む。このような多孔質層は、電極層とフローフィールドプレート(flow field plate)との間に位置する。GDLの主な目的は、電極層への反応性ガスのより良好なアクセスおよび燃料電池からの水(液体または蒸気の形態のいずれか)の効率的な除去を確保し、燃料電池の導電性を高めて、電極層とフローフィールドプレートとの間のより良好な電気的接触を確保し、最後だが重要なこととして、電極層の構造的完全性を保つのに必要な機械的強度を与えることである。
GDLは、通常、その導電性、機械的強度、疎水性、多孔性および物質移動特性を適切に調整するために、可変量の過フッ素化または部分フッ素化ポリマーおよび/または炭素粒子ペーストで任意に処理されるカーボン紙または炭素織布もしくは不織布を含む。
GDLは、単層または二層構造のいずれかを示し得る。GDLが二層構造を示す場合、それは、典型的に、通常、フローフィールドプレートに向けられる比較的厚いマクロ多孔質層(GDL基板とも呼ばれる)、および通常、電極層に向けられる比較的薄い微孔質層(「GDL−MPL」)からなる。GDL−MPLの主な目的は、電極層とマクロ多孔質GDL基板との間の接触抵抗を減少させ、電極層(一般に、カソード)からマクロ多孔質基板への液体水の効果的な吸上を提供することである。
膜電極接合体(以後、「MEA」と略記される)は、PEM−FCの主要な構成要素であり、その最終用途特性に大きな影響を与える。MEAという用語は、一般に、膜とアノードおよびカソード層との組合せおよび任意に、さらに、2つの隣接するGDLを含む多層構造を示すのに使用される。
PEM−FCは、一般に、通常、それぞれが対応するフローフィールドプレート間に設置された多数のMEAを含むスタックからなる。いくつかのMEAが、所望の用途のために高い電圧を生成するために、スタック中に対応するフローフィールドプレートとともに積層される。MEAは、直列に電気接続されるため、全PEM−FCスタック電流は、同時に全てのMEAを通って流れる。
PEM−FCは、様々な異なる条件(温度;タイプ、組成、流入反応性ガスの流量および湿度、圧力、電流、電圧、一定または極めて動的など)下で動作され得る。このような条件は、初期のMEA性能(例えば、比電流密度で供給される電圧)および/またはMEA寿命に強い影響を与える。
本発明はまた、PEM電解槽用の向上した膜電極接合体(MEA)を提供するのに好適である。
PEM電解槽は、一般に、PEM燃料電池と類似の構造を有するが、異なる方法で動作する。PEM燃料電池の動作中、酸素の還元が、燃料電池のカソードで起こり、水素の酸化が、燃料電池のアノードで起こる。最終的な効果(end effect)は、水および電力が生成されることである。他方、水の分解が起こるように、電流の流れおよび電極が、PEM電解槽中で逆にされる。
酸素の遊離が、アノードで起こり(「酸素発生反応」または略して「OER」)、ポリマー電解質膜を通過するプロトン(H)の還元が、カソードで起こる(「水素発生反応」または略して「HER」)。結果は、水が、電流を用いて水素および酸素へと分解されることである。反応は、下式によってまとめられ得る:
アノード:2HO→O+4H+4e− (OER)
カソード:4H+4e−→2H(HER)
PEM水電解槽用のMEA(以後、「電解MEA」とも呼ばれる)は、一般に、2つの電極と、電極の両側にそれぞれ取り付けられる2つの多孔質集電体(またはガス拡散層)との間のサンドイッチ構造の形式で配置されるポリマー電解質膜(例えば、DuPont製のNafion(登録商標))を含有する。しかしながら、電解MEAが満たす必要のある異なる要件および電解槽および従来のPEM燃料電池の異なる動作条件のため、電解MEAの要件プロファイルの重大な差がある。例えば、Ir系またはRu系電極触媒は、典型的に、PEM−電解MEAのアノードに使用される。
PEM燃料電池およびPEM水電解槽用の触媒層は、一般的に、溶媒中に分散される電極触媒およびアイオノマーを含むインクを用いて生成される。電極触媒は、典型的に、可溶性貴金属塩(例えば、白金塩、任意に、Pt合金触媒の場合、Co塩、Ni塩、Cu塩、Mn塩またはCr塩などの卑金属塩と混合される)および高BET表面を有するカーボンブラックまたは他の導電性材料などの担体から出発して生成される。
貴金属塩(任意に、卑金属塩とともに)は、担体の存在下で好適な還元剤を用いて還元される。これにより、ナノサイズ金属粒子(通常、1〜10nmの範囲)が担体上に堆積される。洗浄および乾燥後に得られる電極触媒粉末は、アイオノマー分散体と混合されて、好適な触媒インクまたはペーストが得られる。このインクは、コーティング、印刷または噴霧などの塗膜形成プロセスによって触媒層を形成するのに使用される。
従来技術
ナノサイズ貴金属粒子を得るためのプロセスは、長年知られている。(特許文献1)には、亜硫酸白金(platinum sulphite acid)が安定剤を用いずにコロイドゾル経路上で複雑なプロセスによって分解される方法が記載されている。このコロイドゾルは、カーボンブラック上に吸着され、次に、ヒドラジンを用いて白金粒子へと還元される。2nmのサイズの小さい白金粒子を得ることが可能であるが、プロセス経路によって引き起こされる硫黄の汚染が伴う。
(特許文献2)には、水溶性貴金属塩が陽イオン交換ポリマーによって安定化されるナノサイズ貴金属粒子を形成するのに使用されるプロセスが記載されている。約2nmのサイズの貴金属粒子が、ヘキサクロロ白金(IV)酸、ヒドロキシジスルフィト白金酸(hydroxydisulfitoplatinic acid)、硝酸白金、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸水和物および同様の化合物などの水溶性貴金属前駆体の還元の後に得られる。一般に、ハロゲン陰イオン、硫黄およびナトリウムが、コロイド組成物中の不純物として残り;したがって、徹底した精製が、燃料電池用途にそれを使用する前に必要とされる。
(特許文献3)には、ナノサイズ貴金属コロイドを得るための、一時的安定剤の存在下における、ビス(エタノールアンモニウム)ヘキサヒドロキシプラチネート(hexahydroxoplatinate)などの水溶性貴金属塩の還元が教示されている。アイオノマーおよび最終的にカーボンブラックの添加の後、コロイド組成物は、膜またはGDL上の触媒層へと成形される。除去される必要のある、多糖安定剤の存在により、触媒層は、適切な燃料電池性能を得るために、硫酸で後処理されるかまたは高温で熱処理される必要がある。
(特許文献4)には、カーボンブラック上に担持されたナノサイズ白金粒子を得るための方法が記載されている。開示されるプロセスでは、金属前駆体として水溶性ヘキサクロロ白金(IV)酸水和物、アンモニア、安定剤としてポリマーベタイン界面活性剤および還元剤としてヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム塩が使用される。良好な燃料電池性能および耐久性を得るために、触媒および/または触媒層の徹底した精製が、界面活性剤およびハロゲンを除去するのに必要とされる。特に、加水分解工程が、ポリマーベタイン界面活性剤を分解し、除去するのに必要とされる。
(特許文献5)には、金属前駆体化合物の水溶液の還元によるアイオノマー樹脂溶液中の貴金属粒子の分散体の調製が開示されている。
(特許文献6)には、イオン交換樹脂の存在下での貴金属塩の還元による触媒粒子組成物の調製が記載されている。
(非特許文献1)には、白金ナノ粒子が陽イオン交換されたペルフルオロスルホネートアイオノマーの存在下で合成される方法が記載されている。この方法では、水酸化ナトリウムと組み合わされて金属前駆体としてヘキサクロロ白金酸が使用され、それにより高濃度の塩素が生じる(周知の触媒毒)。さらに、水酸化物から生じるナトリウムが、アイオノマーのプロトン輸送機能を阻害する。有効な触媒/アイオノマー混合物を得るために、徹底した洗浄および、アイオノマーを再プロトン化するための酸交換工程が必要とされる。
(非特許文献2)には、“Synthesis of Ion Conducting Polymer Protected Nanometer Size Platinum Colloids”という名称のプロセスが記載されている。ナノサイズ白金粒子は、負電荷を帯びたポリマーポリ(N−スルホナトプロピルp−ベンズアミド)の存在下でのヘキサクロロ白金酸の還元によって得られる。この手法の欠点は、上記(非特許文献1)のものと同じである。
(特許文献7)には、炭素担体においてその場で形成された二酸化白金(PtO)を還元することによって白金触媒を生成するための方法が開示されている。ヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素(HPt(OH))が、硝酸などの濃酸に溶解される。白金酸を還元する前に、溶液が濃縮アンモニアで中和される。全てのこれらの工程は、得られる触媒の徹底した洗浄の必要性を生じる。一時的であるか否かにかかわらず、安定化ポリマーは使用されない。
(特許文献8)には、貴金属前駆体化合物と、水素イオン伝導性ポリマー電解質とを含む液体組成物が開示されている。組成物は、任意に、アルコールのような還元剤も含み得る。貴金属前駆体は、水溶性または不水溶性のいずれかであり得る。水溶性貴金属前駆体は、電極触媒材料または触媒層としての用途に不利であるイオン種、例えば、塩化物イオンまたはアンミン錯体を含有する。不水溶性の貴金属前駆体は、それらを溶解させるために、鉱酸、例えば硝酸の添加を必要とする。前記鉱酸の対応する陰イオンは、同様に、電極触媒材料または触媒層へのコロイドの使用に不利である。したがって、(特許文献8)は、汚染イオンまたは配位子を含まない組成物を提供しない。
上の説明に示されるように、先行技術では、コロイドが電極触媒材料または触媒層の作製に使用された後、除去される必要がある界面活性剤、塩およびイオン種を含有するナノサイズ貴金属コロイド組成物を合成するための方法が教示されている。この除去には、面倒な徹底した洗浄および精製工程が必要とされる。貴金属粒子が、燃料電池またはPEM−電解触媒層中などのように、アイオノマーと混合される必要がある場合、触媒インクを得るためにアイオノマーが電極触媒に加えられる前に洗浄および精製工程が行われる必要があり、または触媒インクが触媒層へと成形された後にそれらの工程が行われる必要がある。いずれの場合も、触媒層製造プロセス中の複雑で費用のかかる工程が必要である。
よく分散されたナノサイズ貴金属粒子を得るために、水溶性貴金属塩が、通常、使用される。これらの塩により、界面活性剤、ポリマー安定剤(アイオノマーを含む)またはカーボンブラックなどの粉末状の基板の存在下で行われ得る化学的還元工程後、狭い粒度分布範囲のナノ粒子を得ることが可能になる。塩化物などの、水溶性貴金属塩から得られるイオン種が依然として存在する。これらは、除去される必要があり、徹底した精製工程を必要とする。
簡潔に述べると、アイオノマーと混合される、ナノサイズ貴金属粒子、好ましくは、白金粒子を含み、安定剤、界面活性剤、塩、酸、およびイオン種などの他の成分を実質的に含まないコロイド分散体は、利用されていなかった。このようなコロイド分散体は、複雑な清浄化工程の必要なく、燃料電池およびPEM−電解(電極)触媒層の作製に直接使用され得る。
米国特許第3,992,512号明細書 米国特許第6,462,095号明細書 米国特許第8,071,259B2号明細書 米国特許第6,391,818B1号明細書 特開昭61−295388号公報 米国特許第5,294,232号明細書 国際公開第2005/097314A1号パンフレット 特開2001−118579号公報
L.Jiang et al.(Chemical Industry & Chemical Engineering Quarterly 14(2)(2008),137−143) A.Dalmia et al.(J Colloid Interface Sci.1998 Sep 15;205,535−537)
電極触媒、触媒層および他の成分の製造の全体的なコストを削減するために、ナノサイズ貴金属粒子および酸性形態のアイオノマーおよび溶媒のみを含むコロイド分散体の必要性が認識されてきた。このような液体組成物は、安定剤、界面活性剤、残留塩、低分子量酸、イオン種、および一般に適切な触媒機能性に有害な化学種を含んでいてはならない。
本発明の一般的な目的は、ナノサイズ貴金属粒子および酸性基を含むアイオノマー成分(両方とも流体中に分散される)を含む液体組成物(以後、コロイド分散体とも呼ばれる)を提供することである。酸性基を含むアイオノマーは、ナノサイズ貴金属粒子のための安定剤またはキャッピング剤として働き得る。コロイド分散体は、適切な触媒機能性を得るために組成物から本来なら除去される必要がある有機ポリマー、界面活性剤、塩、酸、およびイオン種などの他の成分を実質的に含まない。本出願の文脈において、上記の液体組成物およびコロイド分散体は、(貴金属粒子およびアイオノマーに加えて、支持材料を伴うかまたは伴わずに)「触媒インク」とも呼ばれるであろう。
本発明のさらなる目的は、少なくとも1つの酸性アイオノマー化合物を含有する液体媒体中に分散された好適な貴金属前駆体化合物を含む前駆生成物組成物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、上記のコロイド貴金属分散体の製造のための方法を提供することである。
本発明のさらなる目的は、貴金属粒子およびアイオノマー成分に加えて、支持材料、好ましくは、カーボンブラックまたは導電性酸化物などの導電性支持材料を含む触媒インクを提供することである。
本発明のさらに他の目的は、例えば、アイオノマー層、触媒層、電極層および複合触媒材料の製造のための、上記のコロイド分散体の使用の様々な方法を提供することである。このような材料および使用は、PEM燃料電池、直接メタノール型燃料電池(DMFC)またはPEM水電解槽に適用され得る。
これらの様々な目的は、本出願および含まれる特許請求の範囲に記載される、コロイド貴金属分散体、その前駆生成物(前駆体生成物)、製造方法およびプロセス、使用および利用の方法の提供によって解決される。
式(1)〜(3)に例示される、提供される機構の概略図を示す。 TEM画像の全体像を示す。 約4nmのサイズのPt粒子の高解像度のTEM画像(200kVの加速度ポテンシャル)を示す。
本発明は、貴金属前駆体化合物と、少なくとも1つの酸性アイオノマー化合物とを含む液体組成物(「前駆生成物」)を指し、前記貴金属前駆体化合物は、貴金属原子、水素原子、酸素原子および任意に炭素原子からなる。好ましくは、貴金属前駆体化合物は、(22℃で測定した際に)0.0001(10−4)〜0.1モル/lの範囲の低い水溶性を有する。前駆体化合物の貴金属は、本明細書において後に定義される。好ましくは、貴金属前駆体化合物は、貴金属水酸化物、貴金属ヒドロキソ錯体、貴金属の水和酸化物あるいはそれらの混合物または組合せである。
さらに、本発明は、酸性アイオノマー化合物によって安定化されるナノサイズ貴金属粒子を含むコロイド分散体を指し、前記コロイド分散体は、上記の「前駆生成物」の還元プロセスによって得られる。前記コロイド分散体は、5〜40℃の範囲の温度で、好ましくは、20〜25℃の範囲の温度での、1〜120時間の期間にわたる還元プロセスによって得られる。
好ましくは、液体組成物(「前駆生成物」)およびコロイド分散体は水性である。「水性」とは、配合物(すなわち、液体組成物またはコロイド分散体)の溶媒系の50%を超える割合が、水(すなわち、純水または脱イオン(D.I.)水)からなることを意味する。しかしながら、本発明は、水に加えてより多い量の有機溶媒を含有してもよくまたは完全に水を含まなくてもよい非水性液体組成物および非水性コロイド分散体も指す。
さらなる実施形態において、コロイド分散体は、導電性および/または非導電性支持材料をさらに含む。
さらにまた、本発明は、貴金属粒子および酸性アイオノマーを含むコロイド貴金属分散体を調製するための方法であって、
(a)貴金属原子、水素原子、酸素原子および任意に炭素原子からなる少なくとも1つの貴金属前駆体化合物を、酸性アイオノマーと混合する工程と、
(b)還元剤を用いて貴金属前駆体化合物を還元して、前記酸性アイオノマーによって安定化される貴金属粒子を形成する工程と
を含む方法に関する。
さらなる実施形態において、卑金属化合物が、工程(a)において加えられ、前記卑金属化合物は、卑金属水酸化物、卑金属酸化物、卑金属炭酸塩ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される。
さらに他の実施形態において、混合工程(a)および還元工程(b)は、別々に行われる。しかしながら、任意の変形例において、混合工程(a)および還元工程(b)は、1〜120時間の期間内で、好ましくは、1〜48時間の期間内で同時に行われる。
一般に、本明細書において後に概説されるように、本発明のコロイド分散体は、導電性および/または非導電性支持材料を含有し得る。支持材料は、調製プロセスのいつでも加えられ得、好ましくは、支持材料は、混合工程(a)中または混合工程(a)と還元工程(b)との間に加えられる。
特定の貴金属前駆体化合物(貴金属、水素、酸素および任意に炭素原子からなり、低い水溶性を有する)が、還元剤によって還元されて、酸性アイオノマー成分の存在下でナノサイズ貴金属粒子が得られることが意外にも分かった。これによって、ナノサイズ貴金属粒子は、酸性アイオノマーによって安定化される。この反応により、液体組成物中に分散されたナノサイズ貴金属粒子および酸性アイオノマー成分を含む液体媒体が得られ、このような組成物は、適切な機能性(適切な機能性とは、PEM燃料電池またはPEM水電解槽の動作の際に起こる電極触媒、化学的および物理的プロセスへの有害な阻害が起こらないことを意味する)を得るために組成物から除去される必要がある有機ポリマー、界面活性剤、塩、酸、およびイオン種などの他の成分を実質的に含まない。
特に、アイオノマー分散体と密接に混合した後、実質的に不水溶性であるが、酸に可溶であるべきである貴金属前駆体が、アイオノマーによって安定化されるナノメートルサイズの貴金属粒子を得るために好適な還元剤によって還元され得ることが意外にも分かった。これにより、流体中に分散されたナノサイズ貴金属粒子および酸性アイオノマー化合物を含むコロイド分散体が得られる。
一般に、本発明のコロイド分散体中のナノサイズ貴金属粒子は、(REM/TEMによって検出される際に)0.5nm〜100nmの範囲、好ましくは、1nm〜50nmの範囲、特に好ましくは、2nm〜20nmの範囲の平均粒度を示す。このようなナノサイズ貴金属粒子が、本発明の方法によって狭い粒度分布で得られることが分かった。用語「平均粒度」とは、分布の数平均粒度を意味する(実験項を参照)。用語「ナノメートルサイズの」、「ナノサイズの」および「ナノ」とは、本出願の文脈において、約0.5〜約500ナノメートルの範囲の寸法を意味する。
本発明の原理
上で既に概説されているように、好適な貴金属前駆体化合物(貴金属、水素、酸素および任意に炭素原子からなり、低い水溶性を有する)は、酸性基を有するアイオノマー化合物の存在下で、対応する金属粒子へと還元され得る。理論によって制約されるものではないが、本発明の基本的な機構は、以下の模式的な式によって視覚化され得る:
式(1):中和および溶解
M(OH)+R(SOH)⇔R(SO x++xHO (1)
式(2):還元
(SO x++RA,R→R(SOH)+M+RA,O (2)
式(3):核生成および成長
→M_ナノ粒子(安定化された) (3)
ここで、xは、1〜6の整数である。
上式中、M(OH)が、貴金属、水素、酸素および任意に炭素からなる貴金属化合物を表し、Rが、アイオノマーのポリマー鎖を表し、(SOH)が、反応に関与するR鎖に結合されるアイオノマーの酸基を表し、R(SO x+が、中和後にアイオノマー中に溶解される貴金属イオンを表し、RA,Rが、その還元状態で還元剤であり、Mが、その還元(金属)状態で貴金属であり、RA,Oが、その酸化状態で還元剤であり、M_ナノ粒子が、アイオノマーによって安定化されるナノサイズ貴金属粒子である。
(SOH)が、1つ以上のアイオノマー鎖を表してもよく、すなわち、1つ以上のアイオノマー鎖に属する(SOH)が、反応に関与してもよく、2つ以上のアイオノマー鎖が、M_ナノ粒子を安定化させるのに関与してもよい。
式(1)は、酸アイオノマーR(SOH)が、実質的に不水溶性の貴金属前駆体化合物を溶解させるのに機能し、金属イオンMx+によって溶解プロセスの際に中和されることを示す(最終的に、部分的に過ぎず;反応に関与しないSOH基が、式に示されていない)。次に、アイオノマーは、式(2)に示されるように、R還元剤による金属の還元の際に再度プロトン化され、それによって、式(1)に示されるように、さらなるM(OH)の溶解のためにアイオノマー酸基が放出される。
分かりやすくするために、本発明の原理は、水酸化物化合物M(OH)について式(1)〜(3)に例示されているが、同じ機構が、一般式HM(OH)(ここで、xが、上に定義され、zが、1〜4の整数である)のヒドロキソ錯体、または一般式M×nHO(ここで、a、bが、互いに独立して、1〜4の整数であり、nが、0.1〜10の数である)の水和酸化物に当てはまる。
しかしながら、同じ機構が、塩基性貴金属炭酸塩(例えばAgCO)などの、貴金属、水素、酸素および炭素原子からなる貴金属前駆体に当てはまり得る。
また、分かりやすくするために、本発明の原理は、スルホン酸SOH基を含むアイオノマーについて式(1)〜(3)に例示されているが、同じ機構が、本出願において以下に詳述されるように、異なる酸性基を含むアイオノマーに当てはまる。
提供される機構は、図1の概略図に示される。単に分かりやすくするために、HPt(OH)は、この図面中で貴金属化合物として使用される。この前駆体化合物は、下式(4)で表されるPt(OH)種中の酸性水溶液中に存在し得る。
Pt(OH)→Pt(OH)+2HO (4)
既述されるように、貴金属前駆体は、低い水溶性を有するべきである。したがって、貴金属前駆体は、酸性アイオノマー分散体中に十分に分散される。M(OH)と酸性アイオノマーR(SOH)との間の中和反応の過程で、前駆体化合物は、ゆっくりと溶解し、還元剤の作用によって徐々に還元されて、金属製の貴金属粒子(M)が得られ、これが、酸性アイオノマー化合物によって安定化される。
本発明に関与する複雑な反応を十分に理解するのに、詳細な科学的調査が必要であり得る。以下の項において、様々な成分が、より詳細に記載される。
貴金属前駆体化合物
一般に、(i)貴金属M、水素、酸素および任意に炭素原子からなり、(ii)低い水溶性を有する任意の貴金属化合物が、本発明の前駆体化合物として使用され得る。
好適な貴金属Mは、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される。好ましくは、貴金属Mは、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される。特に好ましい実施形態において、貴金属Mは、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される。
好ましい実施形態において、貴金属前駆体化合物は、貴金属M、水素および酸素原子からなり、少なくとも1つのヒドロキシル基(OH−基)を含み得る。このような前駆体化合物は、式M(OH)(式中、xが、1〜6の整数である)によって特徴付けられ得る。好適な前駆体化合物の例は、タイプM(OH)、M(OH)、M(OH)、M(OH)、M(OH)、およびM(OH)の貴金属水酸化物およびそれらの混合物である。典型的に、このような前駆体化合物は塩基性であり、または少なくともある程度の塩基性を示す。
別の好ましい実施形態において、貴金属前駆体化合物は、一般式HM(OH)(式中、互いに独立して、xが、上記のように定義され、zが、1〜6の整数である)のヒドロキソ錯体であり得る。例は、タイプHM(OH)、HM(OH)、HM(OH)、HM(OH)のヒドロキソ錯体およびそれらの混合物である。
さらに別の好ましい実施形態において、貴金属前駆体化合物は、一般式M×nHO(式中、a、bが、互いに独立して、1〜4の整数であり、nが、0.1〜10の数である)の水和酸化物(「酸化物水和物」)であり得る。
さらなる実施形態において、貴金属前駆体化合物は、貴金属M、水素、炭素および酸素原子からなり、塩基性貴金属炭酸塩であり得る。例はAgCOである。
一般に、貴金属前駆体化合物は、脱イオン(D.I.)水への低い可溶性を有するべきであり;好ましくは、前駆体化合物は、脱イオン水に実質的に不溶であるべきである。用語「脱イオン水」とは、5〜7の範囲のpHを有する精製された脱塩水を意味する。用語「実質的に不水溶性」とは、貴金属前駆体化合物の水溶性が、室温で(すなわち、20〜25℃の範囲の温度で)、0.0001(10−4)〜0.1(10−1)モル/lの範囲、好ましくは、0.0001〜0.05モル/lの範囲であるべきであることを意味する。
さらに、貴金属前駆体化合物は、硫酸、硝酸、過塩素酸、トリフルオロ酢酸およびトリフリン酸(トリフルオロメタンスルホン酸)などの強酸に可溶であり得る。
特に、貴金属前駆体化合物は、ハロゲン化物イオン(F、Cl、BrおよびI陰イオン)を含むべきではない。ハロゲン化物イオンがないことにより、触媒層の貴金属表面の汚染が防止される。さらに、このような汚染を避けるための複雑な清浄化工程が不要である。実際に、ハロゲン化物、例えば塩化物が、貴金属触媒の汚染物質となることが周知である。さらに、ハロゲン化物イオンの存在により、燃料電池システムの金属部品への腐食の問題が増大され得る。典型的に、ハロゲン化物イオン(F、Cl、Br、I陰イオン)の濃度、特に、コロイド貴金属分散体中の塩素陰イオン(Cl)の濃度は、500ppm未満、好ましくは、100ppm未満であるべきである(ウィックボルド法によって総ハロゲン化物含量として検出される)。
好適な貴金属前駆体化合物のいくつかの例は以下のとおりである:
銀(Ag)の場合: Ag(OH)、AgO×nHO(酸化銀水和物)
金(Au)の場合: Au(OH)
白金(Pt)の場合: HPt(OH)、PtO×nHO(酸化白金(IV)水和物)
パラジウム(Pd)の場合: Pd(OH)、PdO×nHO(酸化パラジウム(II)水和物)
イリジウム(Ir)の場合: Ir(OH)、Ir(OH)、HIr(OH)、Ir×nHO(酸化イリジウム(III)水和物)、IrO×nHO(酸化イリジウム(IV)水和物)
ルテニウム(Ru)の場合: Ru(OH)、Ru×nHO(酸化ルテニウム(III)水和物)
ロジウム(Rh)の場合: Rh(OH)、Rh×nHO(酸化ロジウム(III)水和物)
一般に、上に挙げられる前駆体化合物は、様々な販売業者から市販されている。ほとんどの場合、それらは、例えば、酸性塩化物化合物を用いた単純な中和反応、続いて、沈殿、沈殿物の洗浄および任意に乾燥によって調製され得る。適用可能な手順および手段は、貴金属化学の当業者に周知である。
好ましい貴金属前駆体は、式H[Pt(OH)]で表されるヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素である。この前駆体化合物は、黄色の粉末として提供される。さらに好ましい前駆体化合物は、水酸化イリジウム(IV)(Ir(OH))および水酸化パラジウム(II)(Pd(OH))である。
本発明のさらなる実施形態において、液体組成物は、貴金属前駆体を含み、好適な卑金属水酸化物、卑金属酸化物または卑金属炭酸塩化合物をさらに含み得る。還元の後、このような組成物は、貴金属と卑金属との合金または混合物である粒子を含むコロイド分散体を生じる。好適な卑金属前駆体化合物の例は、水酸化物Co(OH)、Ni(OH)、Cu(OH)、Mn(OH)またはCr(OH)ならびにそれらの混合物および組合せである。卑金属の酸化物化合物の非限定的な例は、CoO、NiO、CuO、CuO、MnO、MnOおよびCrならびにそれらの混合物および組合せである。卑金属炭酸塩の例は、CoCO、NiCO、CuCO、MnCOおよびCr(COならびにそれらの混合物および組合せである。
本発明の別の実施形態において、少量のCeイオンが、アイオノマー中の5%以下の酸性基を中和する量でアイオノマーに加えられる。好ましくは、Ceイオンは、Ce3+として加えられる。汚染陰イオンを避けるためにCeとしてCeイオンを加えることが有利である。わずか5%以下の酸性基を中和するCeイオンの量は、膜電極接合体(MEA)の性能にとって有害でなく、その代わりに「遊離基捕捉剤」として有益であり、MEAの耐久性を非常に向上させる。これに関連して、「MEAの性能」は、その電力出力を意味する。わずか5%以下のアイオノマーがCeイオンによって中和されるため、少なくとも95%の酸基が依然として利用可能である。したがって、示される量のCeイオンの添加は、本発明の基礎となる後述される中和−還元機構を妨げないであろう。
同様に、Ceイオンは、支持材料とともにまたは支持材料なしで、前駆生成物組成物、コロイド分散体、または触媒インクに加えられ得る。
さらに別の実施形態において、液体組成物は、a)好適な卑金属水酸化物、卑金属酸化物または卑金属炭酸塩化合物およびb)Ceイオンを含む。
アイオノマー分散体
本発明の文脈において、アイオノマーという用語は、かなりの割合のモノマー構成単位が1つ以上のイオン性官能基を含有するポリマーとして定義される。このようなイオン性官能基は、スルホン酸基(−SOH)、ホスホン酸基(−PO)、カルボン酸基(−COOH)ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される酸性基であり得る。イオン性官能基はまた、フッ素含有炭素鎖に隣接するときに強酸性を有するイミド基(R−NH−R)であってもよい。これらは、例えば、ビス−スルホニルイミド基(R−SO−NH−SO−R’)、ビス−カルボニルイミド基(R−CO−NH−CO−R’)またはスルホニル−カルボニルイミド基(R−SO−NH−CO−R’)であり得、ここで、RおよびR’が、フッ素含有炭素鎖である。
アイオノマーは、(過)フッ素化または炭化水素ベースの主鎖を有し得る。「フッ素化」とは、高分子鎖中の炭素原子に結合されたかなりの量の水素原子がフッ素原子で置換されていることを意味する。過フッ素化スルホン酸アイオノマーが好ましい。「過フッ素化」アイオノマーとは、高分子鎖中の炭素原子に結合された全ての水素原子が、フッ素原子で、または最終的に、より少ない量で、塩素、ヨウ素および臭素のようなヘテロ原子で置換されているアイオノマーを意味する。酸素原子および窒素、硫黄およびリンのような他のヘテロ原子も、(過)フッ素化アイオノマーに組み込まれ得る。過フッ素化スルホン酸アイオノマーは、Nafion(登録商標)(E.I.du Pont de Nemours(US)製)、Aquivion(登録商標)(Solvay Specialty Polymers S.p.A.(IT)製)、Aciplex(商標)(日本の旭化成ケミカルズ株式会社製)およびFlemion(登録商標)(日本の旭硝子株式会社製)の商標で市販されている。
アイオノマー材料は、溶液または分散体として利用可能であり、典型的に、純粋な脱イオン水(D.I.water)または有機溶媒を含む水性組成物中で提供される。最終的にごく少量(1重量%未満)の他の有機化合物を含有する、純水中で提供される酸性アイオノマー分散体の例は、Nafion(登録商標)D1020およびD1021ならびにAquivion(登録商標)D83−24BおよびD79−20BSである。
酸性アイオノマー分散体はまた、アルコールを含有する組成物中で提供されることが多い。例は、約44〜48重量%の1−プロパノールを含有するNafion(登録商標)D520、D521、D2020、D2021または40重量%の1−プロパノールおよび当量の2−プロパノールを含有する溶媒マトリックス中に分散されたAquivion(登録商標)D83−06Aである。これらの場合、アイオノマー分散体中に既に存在するアルコールは、還元剤として働くことができ、追加の還元剤は不要であり得る。
アイオノマーはまた、極性有機溶媒中の水を含まない液体組成物として提供され得る。例えば、米国特許第7,893,118号明細書および国際公開第2012/069360A2号パンフレットを参照されたい。炭化水素型アイオノマーはまた、最終的に少量(<5重量%)の水を含有する純粋なアルコール組成物中で提供されることが多い。
分散体のアイオノマー含量は、典型的に、分散体の総重量を基準にして、5重量%〜30重量%の範囲、好ましくは、10重量%〜25重量%の範囲、より好ましくは、15重量%〜20重量%の範囲である。
還元剤
一般に、還元剤は、アイオノマーとの貴金属前駆体の密閉混合/分散の前または後に導入され得る。
本発明の一実施形態において、貴金属前駆体化合物は、まず、液体酸性アイオノマー化合物と密接に混合される。ここで、安定した前駆体組成物が調製され、式(1)で表される中和が起こる。この前駆体組成物は、好適な容器中で貯蔵されてもよく、必要に応じて式(2)で表される還元に供され得る。
本発明の別の実施形態において、貴金属前駆体化合物および還元剤は両方とも、液体酸性アイオノマー化合物と密接に混合される。この場合、ナノサイズ貴金属ベースの粒子を含む液体組成物(すなわち、コロイド分散体)は、単一のプロセスで調製される。
いずれの場合も、還元の後、最終的な液体組成物中に残渣を全く残さない基本的に「清浄な」還元剤が用いられるべきである。好適な還元剤は、例えば、水素、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、ギ酸またはシュウ酸である。
さらに、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソ−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−プロパン−1−オール、アリルアルコールおよびジアセトンアルコールの群からの一価アルコールなどの液体還元剤が用いられ得る。好ましい還元剤は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソ−プロパノールおよび1−ブタノールならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される第一級アルコールである。さらなる好適な液体還元剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールまたはジプロピレングリコールなどの二価アルコールである。
上に既述されるように、アルコールがアイオノマー分散体中に既に存在する場合、前記アルコールは、還元剤として働くことができ、追加の還元剤は不要であり得る。
あるいは、貴金属前駆体化合物が、水性アイオノマー分散体中に分散される場合、それは、追加の溶媒または還元剤なしで水素によって還元され得る。純粋な水素ならびに希釈された水素が用いられ得る。フォーミングガス80/20(80体積%の窒素中の20体積%の水素)またはフォーミングガス95/5(95体積%の窒素中の5体積%の水素)などの希釈された水素ガス混合物が好ましい。
本発明の別の実施形態において、水素による還元が、PEM燃料電池またはPEM水電解槽内で行われ得る。この実施形態において、貴金属前駆体および少なくとも1つの酸性アイオノマー化合物、すなわち、前駆生成物の分散体が、PEM燃料電池またはPEM水電解槽の構成要素のコーティングに使用される。還元剤は、燃料電池に供給されるかまたは水電解槽によってその場で生成される水素である。
典型的に、還元プロセスは、5〜40℃の範囲の温度で、好ましくは、室温で(すなわち、20〜25℃の範囲で)行われている。5〜20℃の範囲のより低い温度が、強力な還元剤を用いる場合に適用され得る。用いられる還元剤および反応温度に応じて、還元時間は、1時間〜5日間(120時間)の範囲、好ましくは、10時間〜2日間(48時間)の範囲である。還元プロセスの後、得られるコロイド分散体は、純水または極性有機溶媒またはそれらの混合物中に分散されたナノサイズ貴金属粒子および酸形態のアイオノマーを含む。
貴金属前駆体/アイオノマー分散体(前駆生成物)の調製
既に概説されているように、本発明は、コロイド貴金属/アイオノマー分散体の前駆生成物、すなわち、好適な貴金属前駆体化合物と、少なくとも1つの酸性アイオノマー化合物とを含む組成物にさらに関する。この実施形態において、還元剤は、アイオノマーとの貴金属前駆体の密接混合/分散の後に導入され得る。これによって、貴金属前駆体化合物および酸性アイオノマーを含む液体組成物が調製される。ここで、安定した前駆生成物が得られ、式(1)で表される中和反応および溶解が起こった。
一般に、アイオノマー分散体との貴金属前駆体の密接混合は、様々な分散装置の使用によって行われ得る。例は、高速撹拌機、ロールミル、縦型または横型ビーズミル、高速ミキサー、マグネチックミキサー、メカニカルミキサー、超音波ミキサー、高せん断ミキサー、マイクロフルイダイザー、ロータステータ型ミキサー(rotor−stator mixer)および溶解機である。
前駆生成物において、貴金属前駆体化合物の濃度は、典型的に、組成物の総重量を基準にして、0.1重量%〜50重量%の範囲、好ましくは、0.1重量%〜20重量%の範囲、より好ましくは0.5重量%〜15重量%の範囲である。
前駆生成物は、好適な容器中に貯蔵され得、必要に応じて式(2)で表される後の還元反応に供され得る。
貴金属前駆体およびアイオノマーのそれぞれの濃度、金属前駆体の密接混合/分散にかかる時間、分散装置および分散に使用される強度に応じて、前駆生成物は、濁っているかまたは透明であり得る。当業者は、上記のパラメータの組合せにより、濁っているかまたは透明な前駆生成物が得られることを容易に見出すことができる。このような日常的な実験は、本発明の保護範囲を越えない。本発明に係る透明な前駆生成物および濁った前駆生成物が両方とも、上述されるように貯蔵され得、両方とも安定していることに留意されたい。前駆生成物が、a)アイオノマーの量によって、またはb)混合にかかる時間中、またはc)分散の強度によって溶解可能な量より多い貴金属前駆体を含む場合、またはこれらのパラメータの組合せが、使用される全貴金属前駆体を溶解させるのに十分でない場合、前駆生成物は濁っている。貯蔵時間に応じて、溶解限度を超える非溶解貴金属前駆体部分は、槽または容器の底部に沈殿し、上清は透明である。沈殿物は、還元剤が加えられると徐々に容易に溶解する。
a)アイオノマーの量、b)混合にかかる時間およびc)分散の強度またはこれらのパラメータの組合せが、加えられた全貴金属前駆体を溶解させるのに十分である場合、得られる前駆生成物は透明であり、貯蔵中、透明のままである。これに関連して、「透明な」は、前駆生成物が透明であり、沈殿物を実質的に含まないことを意味する。本発明に係る透明な前駆生成物は安定しており、貯蔵中、この状態のままである。
本発明の好ましい実施形態において、前駆生成物は透明である。
コロイド貴金属/アイオノマー分散体の調製
本発明のさらなる目的は、コロイド貴金属/アイオノマー分散体の調製のための方法を提供することである。この方法は、不水溶性の貴金属前駆体をアイオノマー分散体中に分散する工程と、還元剤を用いて、貴金属をナノサイズの粒子へと還元する工程とを含む。好適なアイオノマー材料は、通常、液体配合物として既に提供され、上記のプロセスにおいて、貴金属前駆体は、典型的に、アイオノマー組成物に加えられ、それと密接混合される。
しかしながら、また、「不水溶性の貴金属前駆体をアイオノマー分散体中に分散する」とは、酸性形態の粉末としてのアイオノマーおよび貴金属前駆体が、液体媒体、典型的に水中で一緒に混合されてもよく、このように得られる混合物が、適用される際に典型的に高温で溶解工程に供されて、アイオノマー分散体が得られ(例えば、米国特許第7,893,118号明細書を参照)、さらに高せん断混合に供されて、アイオノマー分散体内に密接に分散された貴金属前駆体が得られることを意味する。
前の項で既に概説されているように、アイオノマー分散体と貴金属前駆体の密接混合は、様々な分散装置(上に示されるリストを参照)の使用によって行われ得る。
液体還元剤が使用される場合、その濃度は、液体組成物の組成を基準にして、10重量%〜70重量%の範囲、好ましくは、20重量%〜50重量%の範囲である。この実施形態によれば、アルコールが還元剤として用いられるとき、過剰のアルコールが、還元後にコロイド分散体中に残り、配合溶媒として働き、典型的に、表面張力を低下させ、それによって、液体組成物が連続した触媒層へと作製され得る。
典型的に、還元プロセスは、5〜40℃の範囲の温度で、好ましくは、室温で(すなわち、20〜25℃の範囲で)行われている。さらなる詳細は上に示される。還元プロセスの後、得られるコロイド分散体は、純水または極性有機溶媒またはそれらの混合物中に分散されたナノサイズ貴金属粒子および酸形態のアイオノマーを含む。
還元プロセスの後、得られるコロイド貴金属粒子の濃度は、典型的に、液体組成物の総重量を基準にして、典型的に、0.1重量%〜25重量%の範囲、好ましくは、0.2重量%〜10重量%の範囲である。
コロイド分散体の貴金属/アイオノマー重量比は、典型的に、1:5〜1:50の範囲、好ましくは、1:10〜1:40の範囲、特に好ましくは、1:15〜1:35の範囲である。
貴金属前駆体、アイオノマー、分散流体および還元剤以外の、有機ポリマー、界面活性剤、塩、酸またはイオン種などの追加の化合物が、液体組成物に加えられないため、還元剤が適切に選択される場合、得られる液体組成物は、汚染種を完全に含まないことが、上に示される説明によって明らかである。したがって、性能および耐久性の両方の観点から、この液体組成物は、最適な機能性を有する触媒層の作製のために理想的である。燃料電池に特に言及している場合、膜電極接合体(MEA)の挙動のいわゆる「調整(conditioning)」または「ならし(break−in)」、すなわち、電池の開始から電池内のMEAの最大の性能までの期間も、以下の項に記載されるように、触媒層の作製のために本発明によって得られる極めて純粋なインクの使用によって確実に短縮されるであろう。
アイオノマー層を含有する貴金属(支持材料なしで)
ナノサイズ貴金属粒子、特に、白金粒子およびアイオノマーを含む触媒層は、当該技術分野において公知の任意の技術によって好適な基板上に液体組成物をキャスティングまたは印刷した後、液体媒体を乾燥/蒸発させることによって、本発明のコロイド分散体から作製され得る。乾燥の後、上記のコロイド貴金属分散体の適用によって得られる触媒層は、アイオノマー成分と混合されるかまたはアイオノマー成分中に埋め込まれる貴金属(例えば白金)粒子を含む。湿潤した沈殿物の乾燥が、印刷技術の当業者に公知の従来の手段によって行われる。このように得られる層は、層を導電性にするために十分な貴金属が層に加えられる場合、電極触媒層、すなわち、燃料電池またはPEM−電解槽のアノードまたはカソードとして働き得る。
あるいは、十分に少ない量の貴金属が用いられる場合、非導電性であるが、イオン伝導性の触媒層が得られる。この場合もまた、貴金属粒子は、アイオノマーマトリックス内にナノメートル規模で十分に分散される。このような層は、特に、例えば、白金が貴金属として用いられる場合、水素を、反対側から来る酸素(すなわち、水素が水へと触媒燃焼するのを促進する気相活性層として)と反応させることによって、燃料電池中またはPEM水電解槽中の一方の側から他方の側への(燃料電池中のアノード側からカソード側へのおよびPEM−電解槽中のカソード側からアノード側への)水素クロスオーバーを防止するのに優れた挙動を示す。
PEM燃料電池において、このような気相活性層の存在により、開回路電圧(OCV)がより高くなり、過酸化物基生成の減少により劣化がより少なくなる。
PEM水電解槽において、生成される酸素中のより少ないレベルの水素が得られ、特に、高い圧力下で動作するとき、安全上の観点から大きな利点を有する。
触媒層(触媒燃焼層)は、好ましくは、酸素電極の近傍、例えば膜と酸素電極との間に位置決めされるが、水素電極の近傍、または両側に位置決めされてもよく、また、実質的に膜全体にわたって延在し得る。極端な場合、触媒層は、膜全体にわたって延在し得る。
同様の触媒燃焼層が、アノード側からカソード側へのメタノールクロスオーバーを防止または抑制するのにDMFC中で用いられ得る。メタノールクロスオーバーは、この種の燃料電池の重大な問題であることが周知である。膜を通過するメタノールは、触媒層のアイオノマー中に埋め込まれた貴金属(好ましくは、白金または白金合金)ナノ粒子におけるカソード側からの酸素と反応し、それによって、メタノールが、電池のカソードに達し、それを脱分極させるのを防止する。したがって、より高い電池電位、すなわち、より高い電池効率が、DMFCのために達成され得る。
いずれの場合も、溶媒の乾燥および除去の後、このような触媒燃焼層中の貴金属/アイオノマーの重量比は、典型的に、1:5〜1:50の範囲、好ましくは、1:10〜1:40の範囲、より好ましくは、1:15〜1:35の範囲である。
触媒インク(支持材料あり)
一般に、本発明のコロイド貴金属分散体は、液体触媒組成物または触媒インクを生成するために好適な支持材料と混合され得る。好適な非導電性支持材料としては、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、炭酸カルシウム、硫酸バリウムならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される無機の高表面積酸化物または塩が挙げられる。さらに、不均一触媒(活性炭または炭など)に使用される典型的な炭素系支持材料が用いられ得る。コロイド貴金属粒子、支持材料およびアイオノマー成分を含有するこのような触媒インクは、セラミックまたは金属基板(ハニカム、モノリス、発泡体など)のコーティングに使用され得る。
ここで、本発明のコロイド貴金属分散体は、電極触媒作用の分野の範囲外で、例えば、化学触媒作用および気相活性触媒の分野で、触媒組成物の調製のための実現可能な中間体を構成する。このために、触媒粒子は、好適な高表面積支持材料の存在下で堆積または沈殿されて、担持された化学触媒が得られる。アイオノマーと混合され、最終的に薄層へと成形される、非導電性担体上に貴金属ナノ粒子を含むこのような触媒材料は、様々な触媒用途(例えば、上記で既に説明された触媒燃焼層)に使用され得る。
本発明のさらなる実施形態において、コロイド貴金属分散体は、導電性支持材料と混合されて、電極触媒インクが生成され得る。好適な導電性支持材料は、カーボンブラック粉末、黒鉛化カーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホーン(CNH)、グラフェン、炭素プレートレット、炭素繊維、導電性セラミック粉末、セラミックナノチューブ、導電性ポリマー材料ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択され得る。一般に、導電性支持材料の添加により、PEM燃料電池およびPEM水電解槽用の機能性電極触媒層および電極の製造に好適な電極触媒インクが調製され得る。このような電極(すなわち、アノードおよび/またはカソード電極)は、例えば、好適な基板材料上でこれらのインクをキャスティングまたは印刷し、その後、液体媒体(溶媒)を乾燥/蒸発させることによって調製され得る。
まず、水溶性金属前駆体から電極触媒粉末を合成し、それを分離し、乾燥させ、次に、それをアイオノマー分散体と混合する工程を典型的に含む、電極触媒インクを調製する従来の経路と比較して、本発明の方法は、非常に簡単で、コスト効果が高く、環境上無害の調製経路を可能にする。
ここで、本発明のさらなる実施形態は、貴金属粒子およびアイオノマーに加えて、電極触媒担体、好ましくは、導電性担体を含む電極触媒インクの生成について上述されるコロイド分散体の使用である。特に好ましい実施形態において、この担体は、導電性炭素材料または導電性セラミック材料である。
一般に、触媒インクの調製のために、本発明のコロイド分散体は、上に既に詳述されたように、貴金属ナノ粒子の還元/沈殿の後、導電性または非導電性支持材料と混合される。あるいは、支持材料は、還元剤によって誘発される貴金属ナノ粒子の還元/沈殿のプロセスの前またはその間に、液体組成物に加えられ得る。例として、支持材料は、アイオノマー分散体との貴金属前駆体の密接混合の前または後、および組成物中への還元剤の導入の前または直後に導入され得る。
したがって、さらなる実施形態において、本発明は、貴金属前駆体をアイオノマー分散体中に分散する工程と、支持材料、好ましくは、炭素系材料または導電性セラミック材料などの導電性支持材料の存在下で、還元剤を用いて貴金属前駆体をナノサイズ粒子へと還元して、電極触媒インクを得る工程とを含む方法に関する。
あるいは、粉末形態の酸性アイオノマーおよび貴金属前駆体は、液体媒体、典型的に水中で一緒に混合されてもよく、このように得られる混合物が、適用される際に典型的に高温で溶解工程に供されて、アイオノマー分散体が得られ(例えば、米国特許第7,893,118号明細書を参照)、さらに高せん断混合に供されて、アイオノマー分散体内に密接に分散された貴金属前駆体が得られる。
上記の処理方法の結果として、貴金属粒子、少なくとも1つの酸性アイオノマー材料および少なくとも1つの導電性支持材料を含む電極触媒インクが調製される。
インク中の担持された電極触媒の公称の貴金属充填量は、典型的に、貴金属(例えばPt)の5〜80重量%の範囲である。これは、式mPM/mPM+msupportによって決定され得る。
これらの電極触媒インクは、追加の有機ポリマー、界面活性剤、塩、酸および他のイオン種を基本的に含まない。したがって、このような電極触媒インクは、PEM燃料電池、DMFCおよびPEM水電解槽に使用される膜電極接合体(MEA)のための、高性能および高耐久性を有する電極層の製造に特に適している(実施例10〜12を参照)。
本発明のさらなる実施形態において、電極触媒インクに用いられる支持材料は、予め形成された電極触媒であり得る。「予め形成された電極触媒」という用語は、従来技術の電極触媒、例えば、カーボンブラック(Pt/C、Pt−合金/C)または他の導電性支持材料上に担持された白金または白金合金粒子を意味する。このような生成物は、典型的に、PEM−燃料電池またはPEM−電解電極層の調製に典型的に使用される。
このように、本発明によって、電極触媒上に既に存在するものと異なるタイプの貴金属粒子が、電極触媒インク中で生成され得、それによって、2つの異なる金属の貴金属粒子、酸性アイオノマー、および電極触媒担体を含むインクが得られる。例として、Ir/C電極触媒が、Pt金属ナノ粒子を含む本発明のコロイド分散体に加えられて、IrおよびPtナノ粒子、カーボンブラック担体および酸性アイオノマー材料を含む電極触媒インクが得られる。
あるいは、Ptナノ粒子は、Ir/C電極触媒上に酸形態のアイオノマーの存在下で沈殿されて、類似の組成を有する電極触媒インクが得られる。このようなインクは、様々な基板に適用されて、電極層が生成され得る。
さらなる実施形態において、このような電極触媒インクは、乾燥され、粉砕されて、担持された複合貴金属/アイオノマー粉末材料が得られる。このような手順にしたがって作製される電極触媒は、広範な触媒機能性を示し、様々な用途に使用され得る。
典型的に、支持材料を含有するこのような触媒インク組成物中の貴金属/アイオノマーの重量比は、1:1〜1:30の範囲、好ましくは、1:2〜1:15の範囲、特に好ましくは、1:3〜1:10の範囲である。
触媒層および電極触媒層の調製
本発明に係る触媒層または電極触媒層(電極)の調製のために、対応するコロイド貴金属分散体および/または電極触媒インクは、アイオノマー膜に直接適用され得る。しかしながら、それらのインクは、予め形成された電極、ガス拡散層(GDL)または他の基板材料(例えば、ポリマーフィルムまたはDECAL剥離フィルム)にも適用され得る。このために、ドクターブレードコーティング、リールツーリール式ナイフコーティング(reel−to−reel knife coating)、スロットダイコーティング、噴霧、ロール塗布、ブラシ塗布、スクリーン印刷、孔版印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷およびグラビア印刷などの、当業者に公知の様々なコーティングプロセスを使用することが可能である。
好適な基板へのコロイド貴金属分散体または電極触媒インクの適用の後、組成物の乾燥は、例えば、赤外線乾燥および熱風対流式乾燥などの公知の乾燥方法を用いて行われる。乾燥のための温度は、一般に、20〜150℃の範囲である。乾燥の後、層中のアイオノマーを強化するために、130〜220℃の温度範囲でのアニール工程が適用され得る。層が充分に薄い場合、乾燥は、省略されてもよく、アニール工程と組み合わせられ得ることに留意されたい。
DECAL技術を用いる場合、乾燥された触媒または電極触媒層が、熱および圧力を用いた積層プロセスによってアイオノマー膜に移動される。このようなプロセスは、当業者に周知である。
概して、本発明は、ナノサイズ貴金属粒子(例えば、白金または白金合金粒子)と、酸性基を有する少なくとも1つのアイオノマー成分とを含むコロイド分散体に関する。その製造のための方法は、液体酸性アイオノマー成分を用いた、好適な貴金属前駆体化合物の中和および溶解プロセスと、その後の還元工程に基づいている。
好適な貴金属前駆体は、貴金属原子、水素原子、酸素原子および任意に炭素原子からなる。前駆体の好適な例は、HPt(OH)、Pd(OH)またはIr(OH)であり、好ましい還元剤は、脂肪族アルコールまたは水素である。本発明は、このようなコロイド分散体の製造のための前駆生成物、すなわち、貴金属前駆体および少なくとも1つの酸性アイオノマー化合物を含有する組成物にさらに関する。
コロイド貴金属分散体は、好ましくは、水性であり、塩または界面活性剤などの汚染物質を実質的に含まず、導電性または非導電性支持材料をさらに含有し得る。
上述されるように、コロイド分散体は、アイオノマー中の5%以下の利用可能な酸性基を中和する量の、少量のCeイオンをさらに含み得る。
本発明に係る製造方法に関して、Ceイオンは、
−貴金属前駆体および任意に卑金属化合物の添加の前に、アイオノマー溶液または分散体に加えられ、
−貴金属前駆体および任意に卑金属化合物の添加と一緒に、アイオノマー溶液または分散体に加えられ、
−前駆生成物に加えられ、
−貴金属前駆体の還元の後に、コロイド分散体に加えられ、
−支持材料を含むかまたは含まない触媒インクに加えられ得る。
コロイド貴金属分散体は、触媒インク、アイオノマー層、触媒層、電極または複合触媒材料の調製に使用され得、燃料電池技術(例えば、PEMFC、DMFCまたは水電解槽)に広い用途がある。
別の実施形態において、本発明に係る前駆生成物は、アイオノマー層、触媒層、電極または複合触媒材料の調製に使用され、ここで、貴金属前駆体の還元が、燃料電池に供給されるかまたは水電解槽によってその場で生成される水素によって起こる。
本発明の生成物および方法は、様々な貴金属および貴金属系合金に適用され得る。得られる貴金属ベースのコロイド分散体は、汚染イオン種を全く含有しない。
本明細書において概説されるように、本発明において得られるコロイド貴金属分散体は、触媒インク、電極触媒インク、貴金属がドープされたアイオノマー層、気相活性触媒層、電極触媒層、電極および触媒/アイオノマー複合粉末などの多様な用途に使用され得る。
以下の実施例は、本発明および得られる用途をより詳細に説明する。この説明は、決して本発明の趣旨および範囲を限定するように使用されてはならない。
実験項
粒度の測定
粒度が、(エネルギー分散型X線分析(EDX.)を備えた)JEOL 2010F Transmission Electron Microscopeを用いてTEMによって測定される。用語「粒度」とは、TEMによって検出される粒子画像の最長直線コード(longest straight chord)の長さ(「最長寸法」)を意味する。粒子画像は、粒子がTEM撮像の際に静止している平面への粒子の投射である。例えば、粒子が球形である場合、粒度は、粒子画像の円の直径であり;粒子が楕円形である場合、粒度は、粒子画像の楕円の主軸の長さによって示される。
用語「平均粒度」とは、少なくとも30個のランダムに取られた粒子を計数し、数平均(個々の粒度の合計を、計数された粒子の数で除算した値)を計算することによって得られる分布の数平均粒度を意味する。
電気化学的試験
電気化学的試験が、0.8mmのチャネル幅を有する黒鉛二重チャネル蛇行フローフィールド(graphitic double channel serpentine flow field)を備えた50cmのPEM燃料電池(社内製)で行われる。電池は向流で動作する、すなわち、燃料入口が、MEAの反対側の酸化剤出口に対応する一方、酸化剤入口は、燃料出口に対応する。触媒被覆膜(CCM)は、ガラス繊維強化PTFEガスケットで封止される。SGLガス拡散層(GDL)が、アノード側およびカソード側のそれぞれにおいて実験で使用される。電池は、2つのKタイプ熱電対を、一方をアルミニウムエンドプレートにおよび他方を黒鉛バイポーラプレートに備えている。エンドプレートは、抵抗加熱パッドを備えている。電池は、換気機によって空気冷却される。作動ガスが、冷却/加熱バブラー(bubbler)を用いて加湿される。水素/空気I/V−分極(電流/電圧分極)測定が、1.5バールの作動圧力で、85℃の電池温度および1.5/2のアノード/カソード化学量論比で;68℃で加湿されたアノードおよびカソードを用いて行われる。
MEAの開回路電圧(OCV)値が、ゼロ電流(「開回路」)での電圧値としてI/V−分極測定から取られる。
実施例1
Pt前駆体化合物および酸性アイオノマー(前駆生成物)を含む組成物の調製
水性アイオノマー分散体Aquivion(登録商標)D83−24B(Solvay Specialty Polymers S.p.A.,Italy;24重量%のアイオノマー;当量EW=830g/当量)を、脱イオン水で希釈したところ、以下の組成を有するアイオノマー分散体が得られる:
20重量%:固体アイオノマー
80重量%:脱イオン水
100gのこのアイオノマー分散体を、300mlの槽中に充填する。その後、375gの粉砕媒体(milling media)(小さいZr酸化物ビーズ)を分散体に加える。次に、1.06gのヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素HPt(OH)(65重量%のPt、Umicore AG & Co KG,Hanau/Germany)を槽に加え、Pt前駆体化合物の粒度がミクロンサイズ範囲に達するまで2時間粉砕する。0.68重量%のPt、19.8重量%のアイオノマーおよび1:29のPt:アイオノマー比を含む黄色の流体組成物が得られる。
実施例2
コロイドPt/アイオノマー分散体の調製
水性アイオノマー分散体Aquivion(登録商標)D83−24B(Solvay Specialty Polymers S.p.A.,Italy;24重量%のアイオノマー;当量EW=830g/当量)を、蒸発によって濃縮したところ、水中28.1重量%のアイオノマー分散体が得られる。この分散体に、1−プロパノールを加えたところ、以下の質量組成を有するアイオノマー分散体が得られる:
Figure 2016505193
100gのこのアイオノマー分散体を、300mlの槽中に充填する。その後、375gの粉砕媒体(小さいZr酸化物ビーズ)を分散体に加える。次に、1.06gのヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素HPt(OH)(65重量%のPt、Umicore AG & Co KG,Hanau/Germany)を槽に加え、ビーズミル中で2時間粉砕する。前駆体化合物を、マイクロメートルサイズ範囲の粒子を有する液体アイオノマー中に非常によく分散する。
得られた分散体を24時間撹拌し、還元したところ、アイオノマーおよび金属白金粒子を含むコロイド分散体が得られる。これによって、溶媒1−プロパノールは還元剤として作用している。Pt粒子の平均粒度は、(TEMによって検出される際に)2nmの範囲である。分散体は、0.68重量%のPt、17.8重量%のアイオノマーを含有し;得られたPt:アイオノマー比は1:26である。
TEM画像および粒度範囲は、実験項に記載される手順にしたがって得られる。全体像が図2に示され、ここで、Ptナノ粒子は、暗色の粒子として検出される。約4nmのサイズのPt粒子の高解像度のTEM画像(200kVの加速度ポテンシャル)が図3に示されている。TEM装置で行われるEDX測定により、ナノ粒子が白金を含有することが確認される。
実施例3
コロイドPt/アイオノマー分散体の調製
水性アイオノマー分散体Aquivion(登録商標)D83−24B(Solvay Specialty Polymers S.p.A.,Italy;24重量%のアイオノマー;当量EW=830g/当量)を、蒸発によって濃縮したところ、水中28.1重量%のアイオノマー分散体が得られる。この分散体に、エタノールを加えたところ、以下の質量組成を有するアイオノマー分散体が得られる:
Figure 2016505193
100gのこのアイオノマー分散体を、300mlの槽中に充填する。その後、375gの粉砕媒体(小さいZr酸化物ビーズ)を分散体に加える。
次に、1.06gのヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素HPt(OH)(65重量%のPt、Umicore AG & Co KG,Hanau/Germany)を槽に加え、ビーズミル中で2時間粉砕する。前駆体化合物を、マイクロメートルサイズ範囲の粒子を有する液体アイオノマー中に非常によく分散する。
得られた分散体を24時間撹拌し、還元したところ、アイオノマーおよび金属白金粒子を含むコロイド分散体が得られる。これによって、溶媒エタノールは還元剤として作用している。Pt粒子の平均粒度は、(TEMによって検出される際に)1.5nmの範囲である。分散体は、0.68重量%のPt、17.8重量%のアイオノマーを含有し、1:26のPt:アイオノマー比が得られる。
実施例4
コロイドIr/アイオノマー分散体の調製
水性アイオノマー分散体Aquivion(登録商標)D83−24B(Solvay Specialty Polymers S.p.A.,IT;24重量%のアイオノマー;当量EW=830g/当量)を、蒸発によって濃縮したところ、水中28.1重量%のアイオノマー分散体が得られる。この分散体に、1−プロパノールを加えたところ、以下の質量組成を有するアイオノマー分散体が得られる:
Figure 2016505193
100gのこのアイオノマー分散体を、300mlの槽中に充填する。その後、375gの粉砕媒体(小さいZr酸化物ビーズ、直径約1mm)を分散体に加える。
次に、1.08gの水酸化イリジウム(IV)(Ir(OH);75重量%のIr、Umicore AG & Co KG,Hanau/Germany)を槽に加え、ビーズミル中で2時間粉砕する。前駆体化合物を、マイクロメートルサイズ範囲の粒子を有する液体アイオノマー中に非常によく分散する。
得られた分散体を24時間撹拌したところ、アイオノマーおよび金属イリジウム粒子を含む最終的なコロイド分散体が得られる。Ir粒子の平均粒度は、(TEMによって検出される)2.5nmの範囲である。コロイド分散体は、0.80重量%のIr、17.8重量%のアイオノマーを含有し、1:22のIr:アイオノマー比が得られる。
実施例5
コロイドPd/アイオノマー分散体の調製
水性アイオノマー分散体Aquivion(登録商標)D83−24B(Solvay Specialty Polymers S.p.A.,IT;24重量%のアイオノマー;当量EW=830g/当量)を、蒸発によって濃縮したところ、水中28.1重量%のアイオノマー分散体が得られる。この分散体に、1−プロパノールを加えたところ、以下の質量組成を有するアイオノマー分散体が得られる:
Figure 2016505193
100gのこのアイオノマー分散体を、300mlの槽中に充填する。その後、375グラムの粉砕媒体(小さいZr酸化物ビーズ)を分散体に加える。
次に、1.08gの水酸化パラジウム(II)(Pd(OH);75.5重量%のPd、Umicore AG & Co KG,Hanau)を槽に加え、ビーズミル中で2時間粉砕する。前駆体化合物を、マイクロメートルサイズ範囲の粒子を有する液体アイオノマー中に非常によく分散する。
得られた分散体を24時間撹拌したところ、アイオノマーおよび金属パラジウム粒子を含む最終的なコロイド分散体が得られる。Pd粒子の平均粒度は、(TEMによって検出される)2.5nmの範囲である。分散体は、0.81重量%のPd、17.8重量%のアイオノマーを含有し、1:22のPd:アイオノマー比が得られる。
実施例6
コロイドPt/アイオノマー分散体の調製(水素還元)
実施例1において調製された液体組成物を、水素還元によるPt/アイオノマー分散体の調製に使用する。実施例1において調製された100mlの水性組成物を、撹拌器ならびにガス入口および出口の設備を備えたガラス槽に入れる。希釈された水素(フォーミングガス95/5)を、22℃の温度で約2時間にわたって槽に通してゆっくりとバブリングする。金属Pt粒子が得られ;Pt粒子の平均粒度は、(TEMによって検出される際に)4.5nmの範囲である。分散体は、0.68重量%のPt、19.8重量%のアイオノマーを含有し、1:29のPt:アイオノマー比が得られる。
実施例7
コロイドPt/アイオノマー分散体(Nafion(登録商標)アイオノマー)の調製
市販のアイオノマー分散体(Nafion(登録商標)D2020、DuPont,USA)をこの実施例に取り入れる。それは、約44重量%の1−プロパノールおよび少量(<3%)のエタノールおよび他の有機物を含有する20重量%のアイオノマー分散体である。
100gのこのアイオノマー分散体を、300mlの槽中に充填する。その後、375gの粉砕媒体(小さいZr酸化物ビーズ)を分散体に加える。
次に、1.06gのヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素HPt(OH)(65重量%のPt、Umicore AG & Co KG,Hanau/Germany)を槽に加え、ビーズミル中で2時間粉砕する。前駆体化合物を、マイクロメートルサイズ範囲の粒子を有する液体アイオノマー中に非常によく分散する。
得られた分散体を24時間撹拌し、還元したところ、アイオノマーおよび金属白金粒子を含むコロイド分散体が得られる。これによって、溶媒1−プロパノールおよびエタノールは還元剤として作用している。Pt粒子の平均粒度は、(TEMによって検出される際に)2nmの範囲である。分散体は、0.68重量%のPt、19.8重量%のアイオノマーを含有し、1:29のPt:アイオノマー比が得られる。
実施例8
カーボンブラック担体を備えたコロイドPt/アイオノマー分散体(電極触媒インク)の調製
水性アイオノマー分散体Aquivion(登録商標)D83−24B(Solvay Specialty Polymers S.p.A.,IT;24重量%のアイオノマー;当量EW=830g/当量)を、脱イオン水および1−プロパノールで希釈したところ、以下の質量組成を有するアイオノマー分散体が得られる:
Figure 2016505193
91gのこのアイオノマー分散体を、300mlの槽中に充填する。その後、375グラムの粉砕媒体(小さいZr酸化物ビーズ)を分散体に加える。次に、2.25gのヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素HPt(OH)(65重量%のPt、Umicore AG & Co KG,Hanau/Germany)を槽に加え、ビーズミル中で10分間粉砕する。粉砕工程の後、9グラムのカーボンブラック(XPB293,Orion Engineered Carbons GmbH,Hanau Germany)を槽中に撹拌しながら加える。
カーボンブラックの添加の後、分散体を2時間粉砕する。ミルを排出した後、インクを12時間にわたってさらに撹拌したところ、カーボンブラックおよびアイオノマー上に担持されたPt粒子を含有する電極触媒インクが得られる。インク中のPt/C触媒の公称の白金充填量は、(mplatinum/mplatinum+mcarbonによって測定される際に)14重量%である。
コロイド分散体(電極触媒インク)は、1.4重量%のPt、8.8重量%のアイオノマーを含有し、1:6のPt:アイオノマー比が得られる。
実施例9
カーボンブラック担体を備えたコロイドPt/アイオノマー分散体(電極触媒インク)の調製
水性アイオノマー分散体Aquivion(登録商標)D83−24B(Solvay Specialty Polymers S.p.A.,IT;24重量%のアイオノマー;当量EW=830g/当量)を、脱イオン水および1−プロパノールで希釈したところ、以下の質量組成を有するアイオノマー分散体が得られる:
Figure 2016505193
152gのこのアイオノマー分散体を、300mlの槽中に充填する。その後、563gの粉砕媒体(小さいZr酸化物ビーズ)を分散体に加える。次に、9gのカーボンブラック(XPB293、Orion Engineered Carbons GmbH)を槽に加え、ビーズミル中で10分間粉砕する。粉砕工程の後、2.25gのヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素HPt(OH)(65重量%のPt、Umicore AG & Co KG,Hanau/Germany)を槽中に撹拌しながら加える。HPt(OH)の添加の後、分散体を2時間分粉砕する。ミルを排出した後、インクを12時間にわたってさらに撹拌したところ、カーボンブラックおよびアイオノマー上に担持されたPt粒子を含有する電極触媒インクが得られる。インク中のPt/C触媒の公称の白金充填量は、(式mplatinum/mplatinum+mcarbonによって測定される際に)14重量%である。
電極触媒インクは、0.9重量%のPt、5.5重量%のアイオノマーを含有し、1:6のPt:アイオノマー比が得られる。
実施例10
電極層を製造するための電極触媒インクの使用
a)アノード触媒インクの調製:実施例8の電極触媒インクを、アノード触媒インクとして用いて、0.07mgのPt/cmの白金充填量を有するアノード電極層EL1を調製する。
b)カソード触媒インクの調製:炭素が担持された白金触媒(40重量%のPt/C、Umicore AG & Co KG,Hanau)およびアイオノマー成分(Aquivion(登録商標)D83−24B、水中24重量%のアイオノマー、Solvay Specialty Polymers S.p.A.,Italy)を含む標準的な触媒インクを、カソードインクとして用いて、0.4mgのPt/cmの白金充填量を有するカソード電極層EL2を調製する。
c)CCMの調製:電極層EL1、EL2およびアイオノマー膜(層構造EL1/膜/EL2)を含む3層のMEA(CCM)を、以下の手順にしたがって調製する:
第1の工程において、得られた電極層EL1(アノード)およびEL2(カソード)のための電極触媒インクを、アノードインクa)およびカソードインクb)をナイフコーティングし、その後、湿潤した触媒層を乾燥させることによって、DECAL剥離フィルム上に適用する。
第2の工程において、電極前駆体をアイオノマー膜の各側に(電極が膜に面する状態で)位置決めし、熱および圧力を加えることによって、電極層前駆体EL1−DECALおよびEL2−DECALを、DECAL剥離フィルムからアイオノマー膜(Nafion(登録商標)NR211、Du Pont,USA)へと移動する。CCMが得られる。
d)MEAの調製:CCMを、膜から第1の電極層EL1の反対側に結合された第1のガス拡散層GDL1、および前記膜から第2の電極層EL2の反対側に結合された第2のガス拡散層GDL2と組み合わせる。ガス拡散層GDL1およびGDL2を、PEM−FC中で直接CCMと組み合わせる。
e)電気化学的試験(実験項を参照):MEAは、85℃での水素/空気の作動中、1.2A/cm(0.75W/cm)で628mVの従来技術の性能を示す。
実施例11
電極層を製造するための電極触媒インクの使用
実施例9の電極触媒インクを用いて、0.07mgのPt/cmの白金充填量を有するアノード電極層EL1を調製することを除いて、実施例10と同様にCCMおよびMEAの調製を繰り返す。
電気化学的試験(実験項を参照):MEAは、85℃での水素/空気の作動中、1.2A/cm(0.78W/cm)で651mVの従来技術の性能を示す。
実施例12
触媒燃焼層を製造するためのコロイドPt分散体の使用
a)アノード触媒インクの調製:20重量%のPt/C触媒(Umicore AG & Co KG,Hanau,Germany)およびアイオノマー成分(Aquivion(登録商標)D83−24B、水中24重量%のアイオノマー、Solvay Specialty Polymers S.p.A.,Italy)を含む標準的な触媒インクを、アノードインクとして用いて、0.1mgのPt/cmの白金充填量を有するアノード電極層EL1を調製する。
b)カソード触媒インクの調製:炭素が担持された白金触媒(40重量%のPt/C、Umicore AG & Co KG,Hanau)およびアイオノマー成分(Aquivion(登録商標)D83−24B、水中24重量%のアイオノマー、Solvay Specialty Polymers S.p.A.,Italy)を含む標準的な触媒インクを、カソードインクとして用いて、0.4mgのPt/cmの白金充填量を有するカソード電極層EL2を調製する。
c)触媒燃焼層(CCL)の調製:コロイドPt/アイオノマー分散体(実施例2において調製された)を、ナイフコーティングし、その後、湿潤した層を100℃で10分間乾燥させることによって、アイオノマー膜(Nafion(登録商標)NR211、Du Pont;USA)上に適用する。得られたPtがドープされたアイオノマー層(触媒燃焼層CCL)は、3μmの厚さおよび0.025mgのPt/cmの充填量を有する。
d)CCMの調製:電極層EL1、EL2、触媒燃焼層(CCL)およびアイオノマー膜(層構造EL1−アノード/膜/CCL/カソード−EL2)を含む4層のMEA(CCM)を、以下の手順にしたがって調製する:
第1の工程において、得られた電極層EL1およびEL2のための電極触媒インクを、対応するアノードおよびカソードインクをナイフコーティングし、このように得られた湿潤した層を乾燥させることによって、DECAL剥離フィルム上に適用する。
第2の工程において、電極層前駆体EL1−DECALおよびEL2−DECALを、電極前駆体を膜の各側に(電極が膜に面する状態で)位置決めし、熱および圧力を加えることによって、DECAL剥離フィルムから、(カソード側に)CCLが適用されたアイオノマー膜(Nafion(登録商標)NR211、Du Pont,USA)へと移動する。
d)MEAの調製:このように得られたCCMを、実施例10d)に記載されるガス拡散層と組み合わせる。
e)電気化学的試験(実験項を参照):MEAは、85℃での水素/空気の作動中、同じ構成を有するが、触媒燃焼層(CCL)を有さないCCMの0.980Vと比較して、1.021Vの増加された開回路電圧(OCV)を示す。
実施例13
Pt前駆体化合物および酸性アイオノマー(前駆生成物)を含む組成物の調製
1グラムのヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素HPt(OH)(65重量%のPt、Umicore AG & Co KG,Hanau/Germany)を、32.3グラムの水性アイオノマー分散体Aquivion(登録商標)D83−24B(Solvay Specialty Polymers S.p.A.,Italy;24重量%のアイオノマー;当量EW=830g/当量)に加える。
得られた黄色の濁った組成物を、超音波ホモジナイザー(Bandelin Sonopuls HD 3100)で、50Wの電力で30分間分散させる。
次に、組成物を、マグネチックスターラーによって、プレート上で撹拌させる。
3時間後、組成物は、赤みを帯びて、完全に透明に見え、これは、ヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素(不水溶性)が酸性アイオノマーによって溶解されたことを示す。
8週間後、組成物は依然として同じ様相を有し、すなわち、前駆生成物は完全に安定している。
実施例14
有機溶媒中のコロイドPt/アイオノマー分散体の調製
100グラムの水性アイオノマー分散体Aquivion(登録商標)D79−25BS(Solvay Specialty Polymers S.p.A.,Italy;25重量%のアイオノマー;当量EW=790g/当量)に、225グラムのグリセロールを加える。次に、水を、60℃で1.5時間蒸留して取り除く。得られた分散体は、9.7重量%のアイオノマーおよび3重量%未満の水を含有する。
0.15グラムのヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素HPt(OH)(65重量%のPt、Umicore AG & Co KG,Hanau/Germany)を、29.85グラムのグリセロールベースのアイオノマー分散体に加える。
得られた組成物を、超音波ホモジナイザーBandelin Sonopuls HD 3100)で、50Wの電力で20分間分散させる。
次に、6グラムの1−プロパノールをこの組成物に加える。
次に、組成物を、約300rpmの速度で40時間、マグネチックスターラーによってプレート上で撹拌させる。
この後、TEM分析により、約8nmの平均粒度を有するナノ粒子の存在を確認する。
実施例15
コロイドPt/アイオノマー分散体の調製
15グラムの水性アイオノマー分散体Aquivion(登録商標)D79−25BS(Solvay Specialty Polymers S.p.A.,Italy;25重量%のアイオノマー;当量EW=790g/当量)に、15グラムの脱イオン水を加える。
次に、0.16グラムのヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素HPt(OH)(65重量%のPt、Umicore AG & Co KG,Hanau/Germany)をこのアイオノマー分散体に加える。
得られた組成物を、超音波ホモジナイザー(Bandelin Sonopuls HD 3100)で、50Wの電力で30分間分散させる。
既に分散工程の後、組成物は、赤みを帯びて、完全に透明に見え、これは、ヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素(不水溶性)が酸性アイオノマーによって溶解されたことを示す。
次に、6グラムの1−プロパノールをこの組成物に加える。
次に、組成物を、約300rpmの速度で40時間、マグネチックスターラーによってプレート上で撹拌させ、還元したところ、アイオノマーおよび金属白金粒子を含むコロイド分散体が得られる。Pt粒子の平均粒度は、(TEMによって検出される際に)2nmの範囲である。
実施例16
触媒燃焼層を製造するための前駆生成物の使用
工程c)において、触媒燃焼層(CCL)を、実施例13の組成物(前駆生成物)から、すなわち、非還元状態のPt塩から出発して調製することを除いて、実施例12を繰り返す。
得られたPtがドープされたアイオノマー層(触媒燃焼層CCL)は、約1μmの厚さおよび0.017mgのPt/cmの充填量を有する。
電気化学的試験(実験項を参照)において、MEAは、85℃での水素/空気の作動中、同じ構成を有するが、触媒燃焼層(CCL)を有さないCCMの開回路電圧(OCV)と比較して0.035V高い開回路電圧(OCV)を示す。
比較例1
不水溶性Pt化合物を予め溶解させるためのHNOを用いたアイオノマーを含有する組成物の調製(特開2001−118579号公報にしたがう)
0.33グラムのヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素HPt(OH)(65重量%のPt、Umicore AG & Co KG,Hanau/Germany)を、30グラムの、脱イオン水中45重量%のHNO溶液に溶解させる。溶液は、赤みを帯びて、完全に透明に見える。
酸中のこのHPt(OH)溶液に、30グラムの水性アイオノマー分散体Aquivion(登録商標)D79−25BS(Solvay Specialty Polymers S.p.A.,Italy;25重量%のアイオノマー;当量EW=790g/当量)を加える。組成物は、赤みを帯びて、透明なままである。
14グラムの1−プロパノールをこの組成物に加える。
次に、組成物を、約300rpmの速度で、マグネチックスターラーによってプレート上で撹拌させる。
約16時間(一晩)後、組成物が非常に濁って見える。したがって、組成物は安定していない。撹拌を停止すると、大量の沈殿物がフラスコの底部に形成される。TEM分析によって、ナノ粒子が試料中どこにも見られない。
この実験は、貴金属塩が、アイオノマーおよび還元剤と混合される前に酸に予め溶解される(すなわち、アイオノマーが、組成物中の鉱酸と混合される)特開2001−118579号公報の教示が、不安定な前駆体溶液および大きいサイズの粒子をもたらすことを示す。
逆に、本発明にしたがって、アイオノマーが提供され、純水のみで希釈され、最終的に、極性溶媒と混合される場合、還元の後、サイズが均一なナノメートル粒子を有するコロイド分散体を得ることが可能である(例えば、実施例15を参照)。
比較例2
中和されたアイオノマー中のPt前駆体化合物の分散および還元
30グラムの水性アイオノマー分散体Aquivion(登録商標)D79−25BS(Solvay Specialty Polymers S.p.A.,Italy;25重量%のアイオノマー;当量EW=790g/当量)に、3.8グラムの20重量%のNaOH水溶液を加え、アイオノマースルホン酸基を完全に中和する(−SOH→−SONa)。
次に、0.9グラムのヘキサヒドロキシ白金(IV)酸二水素HPt(OH)(65重量%のPt、Umicore AG & Co KG,Hanau/Germany)を、29.1グラムのこの中和されたアイオノマーに加える。
得られた黄色の濁った組成物を、超音波ホモジナイザー(Bandelin Sonopuls HD 3100)で、50Wの電力で30分間分散させる。
6グラムの1−プロパノールをこの組成物に加える。
次に、組成物を、約300rpmの速度で、マグネチックスターラーによってプレート上で撹拌させる。
約40時間後、組成物は、撹拌を停止するとフラスコの底部にすぐに沈殿する大きい黄色の粒子、すなわち、コロイドPt分散体が形成されないことを示す。
この実施例は、アイオノマーの中和された形態(すなわち、非酸性)が使用される場合、コロイドPt分散体が形成されないことを示す。
特開2001−118579号公報には、アイオノマーが、好ましくは、Pt塩を加え、それを還元する前に、アルカリ金属によって中和されることが教示されている。この実施例によって示されるように、これは、不水溶性白金塩が使用される場合、アイオノマー中のコロイドPt分散体を生じない。したがって、特開2001−118579号公報の教示は、不水溶性白金塩を溶解させるためにHNO3などの強い無機酸を加え、それによって、組成物を汚染することを示す。

Claims (44)

  1. 貴金属前駆体化合物と、少なくとも1つの酸性アイオノマー化合物とを含む液体組成物であって、
    前記貴金属前駆体化合物が、貴金属原子、水素原子、酸素原子および任意選択的に炭素原子からなり、
    前記液体媒体が、純粋な脱イオン水、有機溶媒を含む水性組成物、または極性有機溶媒中の水を含まない液体組成物からなる液体組成物。
  2. 前記貴金属前駆体化合物が、(22℃で測定される際に)0.0001〜0.1モル/lの範囲の低い水溶性を有する、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記前駆体化合物の前記貴金属が、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、金(Au)、銀(Ag)ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択され、好ましくは、白金(Pt);パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記貴金属前駆体化合物が、貴金属水酸化物、貴金属ヒドロキソ錯体、貴金属の水和酸化物あるいはそれらの混合物または組合せである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記貴金属前駆体化合物が、Ag(OH)、AgO×nHO、Au(OH)、HPt(OH)、PtO×nHO、Pd(OH)、PdO×nHO、Ir(OH)、Ir(OH)、HIr(OH)、Ir×nHO、IrO×nHO、Ru(OH)、Ru×nHO、Rh(OH)、Rh×nHO(ここで、nが、0.1〜10の数である)ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 卑金属水酸化物、卑金属酸化物および卑金属炭酸塩ならびにそれらの混合物および組合せの群から選択される卑金属化合物をさらに含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記卑金属化合物が、Co(OH)、Ni(OH)、Cu(OH)、Mn(OH)、Cr(OH)、CoO、NiO、CuO、CuO、MnO、MnO、Cr、CoCO、NiCO、CuCO、MnCO、Cr(COならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
  8. 前記アイオノマー中の5%以下の前記酸性基を中和する量のCeイオンをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
  9. 前記少なくとも1つの酸性アイオノマーが、酸性過フッ素化アイオノマー化合物である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
  10. 前記少なくとも1つの酸性アイオノマー化合物が、スルホン酸基(−SOH)、カルボン酸基(−COOH)、ホスホン酸基(−PO)、ビス−スルホニルイミド基(Rf−SO−NH−SO−R’f)、ビス−カルボニルイミド基(Rf−CO−NH−CO−R’f)およびスルホニル−カルボニルイミド基(Rf−SO−NH−CO−R’f)(ここで、RfおよびR’fが、フッ素含有炭素鎖である);ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される酸性基を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 透明である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
  12. 還元剤をさらに含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 前記還元剤が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソ−プロパノール、1−ブタノールならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される脂肪族アルコールである、請求項12に記載の組成物。
  14. 酸性アイオノマー化合物によって安定化されるナノサイズ貴金属粒子を含むコロイド分散体であって、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物の還元プロセスによって得られるコロイド分散体。
  15. 5〜40℃の範囲の温度、好ましくは、20〜25℃の範囲の温度での、1〜120時間の期間にわたる還元プロセスによって得られる、請求項14に記載のコロイド分散体。
  16. 前記ナノサイズ貴金属粒子が、(TEMによって検出される際に)0.5nm〜100nmの範囲、好ましくは、1nm〜50nmの範囲、特に好ましくは、2nm〜20nmの範囲の平均粒度を有する、請求項14または15に記載のコロイド分散体。
  17. 導電性および/または非導電性支持材料をさらに含む、請求項14〜16のいずれか一項に記載のコロイド分散体。
  18. 前記導電性支持材料が、カーボンブラック粉末、黒鉛化カーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホーン(CNH)、グラフェン、炭素プレートレット、炭素繊維、導電性セラミック粉末、セラミックナノチューブ、導電性ポリマー材料ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される、請求項17に記載のコロイド分散体。
  19. 前記非導電性支持材料が、アルミナ、シリカ、チタニア、セリア、ジルコニア、炭酸カルシウム、硫酸バリウムならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される、請求項17に記載のコロイド分散体。
  20. 貴金属粒子と酸性アイオノマーとを含むコロイド貴金属分散体を調製するための方法であって、
    a)貴金属原子、水素原子、酸素原子および任意選択的に炭素原子からなる少なくとも1つの貴金属前駆体化合物を、酸性アイオノマーと混合する工程と、
    b)還元剤を用いて前記貴金属前駆体化合物を還元して、前記酸性アイオノマーによって安定化される貴金属粒子を形成する工程と
    を含む方法。
  21. 前記貴金属前駆体化合物が、(22℃で測定される際に)0.0001〜0.1モル/lの範囲の水溶性を有する、請求項20に記載の方法。
  22. 前記貴金属が、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、金(Au)、銀(Ag)ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択され、好ましくは、白金(Pt);パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される、請求項20または21に記載の方法。
  23. 前記貴金属前駆体化合物が、貴金属水酸化物、貴金属ヒドロキシ錯体、貴金属の水和酸化物あるいはそれらの混合物または組合せである、請求項20〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記貴金属前駆体化合物が、Ag(OH)、AgO×nHO、Au(OH)、HPt(OH)、PtO×nHO、Pd(OH)、PdO×nHO、Ir(OH)、Ir(OH)、HIr(OH)、Ir×nHO、IrO×nHO、Ru(OH)、Ru×nHO、Rh(OH)、Rh×nHOならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される、請求項20〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 卑金属化合物が、工程(a)において加えられ、前記卑金属化合物が、卑金属水酸化物、卑金属酸化物、卑金属炭酸塩ならびにそれらの混合物および組合せの群から選択される、請求項20〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記卑金属化合物が、Co(OH)、Ni(OH)、Cu(OH)、Mn(OH)、Cr(OH)、CoO、NiO、CuO、CuO、MnO、MnO、Cr、CoCO、NiCO、CuCO、MnCO、Cr(COならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される、請求項25に記載の方法。
  27. Ceイオンが、前記アイオノマーの5%以下の前記酸性基を中和する量で、工程a)において加えられる、請求項20〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記酸性アイオノマーが、酸性過フッ素化アイオノマー化合物である、請求項20〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記酸性アイオノマーが、スルホン酸基(−SOH)、カルボン酸基(−COOH)、ホスホン酸基(−PO)、ビス−スルホニルイミド基(Rf−SO−NH−SO−R’f)、ビス−カルボニルイミド基(Rf−CO−NH−CO−R’f)およびスルホニル−カルボニルイミド基(Rf−SO−NH−CO−R’f)(RfおよびR’fが、フッ素含有炭素鎖である);ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される酸性基を含む、請求項20〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記還元剤が、水素、脂肪族アルコール、ヒドラジン、ホルムアルデヒド、ギ酸、シュウ酸ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される、請求項20〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記還元剤が、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソ−プロパノール、1−ブタノールならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される、請求項20〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記貴金属前駆体化合物が、ヘキサヒドロキソ白金(IV)酸二水素[HPt(OH)]、水酸化イリジウム(IV)[Ir(OH)]または水酸化パラジウム(II)[Pd(OH)]である、請求項20〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記混合工程(a)および前記還元工程(b)が、別々に行われる、請求項20〜32のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記混合工程(a)および前記還元工程(b)が、1〜120時間の期間内で、好ましくは、1〜48時間の期間内で同時に行われる、請求項20〜32のいずれか一項に記載の方法。
  35. 導電性および/または非導電性支持材料を加える工程をさらに含む、請求項20〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記導電性支持材料が、カーボンブラック粉末、黒鉛化カーボンブラック、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノホーン(CNH)、グラフェン、炭素プレートレット、炭素繊維、導電性セラミック粉末、セラミックナノチューブ、導電性ポリマー材料ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
  37. 前記導電性支持材料が、担持された白金または白金合金触媒である、請求項35に記載の方法。
  38. 請求項18〜34のいずれか一項に記載の方法によって得られる、ナノサイズ貴金属粒子と、少なくとも1つの酸性アイオノマーとを含む、支持材料を含まない触媒インク。
  39. 請求項35〜37のいずれか一項に記載の方法によって得られる、ナノサイズ貴金属粒子と、少なくとも1つの酸性アイオノマーと、導電性または非導電性支持材料とを含む触媒インク。
  40. 気相活性触媒アイオノマー層および触媒燃焼層の製造のための、請求項38に記載の触媒インクの使用。
  41. PEM燃料電池(PEMFC)、直接メタノール型燃料電池(DMFC)またはPEM水電解槽のための、触媒層、電極層、ガス拡散電極(GDE)、触媒被覆膜(CCM)および膜電極接合体(MEA)の製造のための、請求項39に記載の触媒インクの使用。
  42. 貴金属ナノ粒子と、支持材料と、酸性アイオノマーとを含む複合触媒粉末の製造のための、請求項39に記載の触媒インクの使用。
  43. 酸性アイオノマー化合物によって安定化されるナノサイズ貴金属粒子を含むコロイド分散体であって、界面活性剤、無機塩、ハロゲン化物イオン、鉱酸または他の陰イオン種もしくは陽イオン種などの追加の成分を実質的に含まないコロイド分散体。
  44. 前記貴金属前駆体の前記還元が、前記燃料電池に供給されるかまたは前記水電解槽によってその場で生成される水素によって起こる、アイオノマー層、触媒層、電極または複合触媒材料の調製のための、請求項1〜11のいずれか一項に記載の液体組成物の使用。
JP2015529023A 2012-08-29 2013-08-29 貴金属粒子と酸性アイオノマー成分とを含むコロイド分散体ならびにそれらの製造および使用の方法 Pending JP2016505193A (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP12182269.6A EP2704239A1 (en) 2012-08-29 2012-08-29 Colloidal dispersions comprising precious metal particles and acidic ionomer components and methods of their manufacture and use
EP12182269.6 2012-08-29
US201261720419P 2012-10-31 2012-10-31
US61/720,419 2012-10-31
PCT/EP2013/067880 WO2014033204A1 (en) 2012-08-29 2013-08-29 Colloidal dispersions comprising precious metal particles and acidic ionomer components and methods of their manufacture and use

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2016505193A true JP2016505193A (ja) 2016-02-18

Family

ID=46799091

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015529023A Pending JP2016505193A (ja) 2012-08-29 2013-08-29 貴金属粒子と酸性アイオノマー成分とを含むコロイド分散体ならびにそれらの製造および使用の方法

Country Status (7)

Country Link
US (1) US20150236354A1 (ja)
EP (2) EP2704239A1 (ja)
JP (1) JP2016505193A (ja)
KR (1) KR20150048843A (ja)
CN (1) CN105051957A (ja)
CA (1) CA2882000A1 (ja)
WO (1) WO2014033204A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11329294B2 (en) 2018-03-22 2022-05-10 Kabushiki Kaisha Toshiba Laminated electrolyte membrane, membrane electrode assembly, water electrolysis cell, stack, water electrolyzer, and hydrogen utilizing system

Families Citing this family (25)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2978065A1 (en) * 2014-09-09 2016-03-17 Iasis Molecular Sciences Inc. Antimicrobial and biologically active polymer composites and related methods, materials and devices
KR102480159B1 (ko) * 2014-10-07 2022-12-22 바스프 코포레이션 제어된 크기 및 형태학을 갖는 콜로이드성 귀금속 나노입자의 합성
KR102501944B1 (ko) 2014-11-19 2023-02-22 솔베이 스페셜티 폴리머스 이태리 에스.피.에이. 비균질 촉매를 사용하는 원-포트 공정
US20170211516A1 (en) * 2016-01-27 2017-07-27 Serge V. Monros On-demand oxy-hydrogen fuel system
CN107824185B (zh) * 2016-09-15 2021-03-26 丰田自动车株式会社 排气净化催化剂及其制造方法
CN106486681B (zh) * 2016-11-22 2019-05-10 福州大学 一种以二维材料负载的抗二氧化硫中毒的燃料电池催化剂
CN106732658B (zh) * 2016-12-09 2019-03-12 济南大学 一种科琴黑/多孔硫化氧化亚铜/纳米金复合光降解材料的制备方法
US20200102660A1 (en) * 2017-04-03 2020-04-02 3M Innovative Properties Company Water electrolyzers
US11414770B2 (en) 2017-04-03 2022-08-16 3M Innovative Properties Company Water electrolyzers
CN107437628B (zh) * 2017-07-20 2019-09-24 河南豫氢动力有限公司 一种燃料电池膜电极组件的制备方法
KR102552145B1 (ko) * 2017-12-29 2023-07-05 현대자동차주식회사 연료전지용 막전극접합체의 제조방법
US10547059B2 (en) 2018-02-21 2020-01-28 Duracell U.S. Operations, Inc. Sulfate and sulfonate based surfactants for alkaline battery anode
US11560632B2 (en) 2018-09-27 2023-01-24 3M Innovative Properties Company Membrane, membrane electrode assembly, and water electrolyzer including the same
US20220033982A1 (en) * 2018-12-19 2022-02-03 3M Innovative Properties Company Water electrolyzers
CN113228356A (zh) * 2018-12-21 2021-08-06 3M创新有限公司 减少催化剂中毒的含氟聚合物离聚物及由其制得的制品
KR20200104708A (ko) 2019-02-27 2020-09-04 현대자동차주식회사 기계적 강성 및 수소 이온 전도성이 향상된 연료전지용 막-전극 접합체 및 그 제조방법
GB201903950D0 (en) * 2019-03-22 2019-05-08 Johnson Matthey Fuel Cells Ltd Catalyst
CN112657511A (zh) * 2019-10-15 2021-04-16 中国石油化工股份有限公司 一种c4馏分选择性加氢除炔催化剂、制备方法及应用
US11959183B2 (en) 2019-11-15 2024-04-16 Lawrence Livermore National Security, Llc Dilute alloy catalysts for electrochemical CO2 reduction
CN111663148B (zh) * 2020-06-11 2021-06-25 中南大学 一种防止电催化还原二氧化硫过程中单质硫对电极表面黏附的方法
CN114243054B (zh) * 2021-12-13 2023-11-07 中国科学院大连化学物理研究所 一种燃料电池催化剂浆料的储存方法
CN114481189B (zh) * 2022-01-24 2023-07-18 中国科学院合肥物质科学研究院 一种ccm膜电极及其制备方法以及其在电催化硝酸根还原制备氨中的应用
DE102022106484A1 (de) 2022-03-21 2023-09-21 Greenerity Gmbh Brennstoffzellenelektrode, katalysatorbeschichtete Membran, Brennstoffzelle und Verfahren zur Herstellung der Brennstoffzellenelektrode und der katalysatorbeschichteten Membran
CN114517303B (zh) * 2022-03-31 2023-05-23 云南大学 一种蜂窝状电解水催化剂及其制备方法和应用
GB202214254D0 (en) 2022-09-29 2022-11-16 Johnson Matthey Plc Process and membrane

Citations (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001118579A (ja) * 1999-10-15 2001-04-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd 高分子電解質型燃料電池用電極触媒層の製造方法
JP2001521270A (ja) * 1997-10-17 2001-11-06 アクシーバ・ゲーエムベーハー ポリマー安定化金属コロイド溶液、当該コロイド溶液の製造法および燃料電池用触媒としての当該コロイド溶液の使用
JP2002246033A (ja) * 2001-02-14 2002-08-30 Toshiba Corp 電極、電極用組成物、それを用いた燃料電池、および電極の製造方法
JP2003123777A (ja) * 2001-10-19 2003-04-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd 高分子電解質型燃料電池
JP2004342505A (ja) * 2003-05-16 2004-12-02 Cataler Corp 膜電極接合体
JP2005216772A (ja) * 2004-01-30 2005-08-11 Nissan Motor Co Ltd 電極触媒、該触媒を用いた触媒担持電極およびmea
WO2005124912A1 (ja) * 2004-06-22 2005-12-29 Asahi Glass Company, Limited 液状組成物、その製造方法及び固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法
JP2006032287A (ja) * 2004-07-21 2006-02-02 Toshiba Corp プロトン伝導性固体電解質、燃料電池用電極、膜電極複合体及び燃料電池
JP2007035289A (ja) * 2005-07-22 2007-02-08 Nippon Shokubai Co Ltd 燃料電池用電極触媒、電極組成物および燃料電池
JP2008198447A (ja) * 2007-02-12 2008-08-28 Toyota Central R&D Labs Inc 固体高分子型燃料電池
JP2010511997A (ja) * 2007-12-04 2010-04-15 ハンファ ケミカル コーポレーション 高分子電解質燃料電池用電気化学触媒の製造方法
JP2010161034A (ja) * 2009-01-09 2010-07-22 Toyota Motor Corp 金属触媒担持カーボン粉末の製造方法
JP2010162443A (ja) * 2009-01-13 2010-07-29 Furuya Kinzoku:Kk 白金ブラック粉末及び白金ブラックのコロイド並びにそれらの製造方法
JP2010251297A (ja) * 2009-03-27 2010-11-04 National Institute For Materials Science カソード材料
US20110287337A1 (en) * 2009-01-30 2011-11-24 Yeon Tae Yu Method for pulse plating carbon black sheet with metallic nano particle thin film layer, and carbon black sheet and fuel cell polymer electrolyte membrane/electrode assembly prepared using sheet

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3992512A (en) 1971-06-16 1976-11-16 Prototech Company Finely particulated colloidal platinum compound and sol for producing the same, and method of preparation
JPS61295388A (ja) 1985-06-21 1986-12-26 Japan Storage Battery Co Ltd イオン交換樹脂膜−電極接合体の製造法
JPH05258755A (ja) 1991-12-31 1993-10-08 Stonehard Assoc Inc 高分子固体電解質型燃料電池の製造方法
WO1998016581A1 (en) 1996-10-15 1998-04-23 E.I. Du Pont De Nemours And Company Compositions containing particles of highly fluorinated ion exchange polymer
DE19754304A1 (de) 1997-12-08 1999-06-10 Hoechst Ag Polybetain-stabilisierte Platin-Nanopartikel, Verfahren zu ihrer Herstellung und Verwendung für Elektrokatalysatoren in Brennstoffzellen
US6753108B1 (en) * 1998-02-24 2004-06-22 Superior Micropowders, Llc Energy devices and methods for the fabrication of energy devices
DE10037071A1 (de) 2000-07-29 2002-02-21 Omg Ag & Co Kg Edelmetall-Nanopartikel, Verfahren zu ihrer Herstellung und Verwendung
CN1194434C (zh) * 2002-12-17 2005-03-23 武汉理工大学 质子交换膜电解质燃料电池碳载铂铁合金电催化剂及其制备方法
US7871955B2 (en) 2004-04-09 2011-01-18 Basf Fuel Cell Gmbh Platinum catalysts from in situ formed platinum dioxide
EP2643387B1 (en) 2010-11-26 2019-03-06 Solvay Specialty Polymers Italy S.p.A. Liquid compositions of fluorinated ion exchange polymers

Patent Citations (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001521270A (ja) * 1997-10-17 2001-11-06 アクシーバ・ゲーエムベーハー ポリマー安定化金属コロイド溶液、当該コロイド溶液の製造法および燃料電池用触媒としての当該コロイド溶液の使用
JP2001118579A (ja) * 1999-10-15 2001-04-27 Matsushita Electric Ind Co Ltd 高分子電解質型燃料電池用電極触媒層の製造方法
JP2002246033A (ja) * 2001-02-14 2002-08-30 Toshiba Corp 電極、電極用組成物、それを用いた燃料電池、および電極の製造方法
JP2003123777A (ja) * 2001-10-19 2003-04-25 Matsushita Electric Ind Co Ltd 高分子電解質型燃料電池
JP2004342505A (ja) * 2003-05-16 2004-12-02 Cataler Corp 膜電極接合体
JP2005216772A (ja) * 2004-01-30 2005-08-11 Nissan Motor Co Ltd 電極触媒、該触媒を用いた触媒担持電極およびmea
WO2005124912A1 (ja) * 2004-06-22 2005-12-29 Asahi Glass Company, Limited 液状組成物、その製造方法及び固体高分子形燃料電池用膜電極接合体の製造方法
JP2006032287A (ja) * 2004-07-21 2006-02-02 Toshiba Corp プロトン伝導性固体電解質、燃料電池用電極、膜電極複合体及び燃料電池
JP2007035289A (ja) * 2005-07-22 2007-02-08 Nippon Shokubai Co Ltd 燃料電池用電極触媒、電極組成物および燃料電池
JP2008198447A (ja) * 2007-02-12 2008-08-28 Toyota Central R&D Labs Inc 固体高分子型燃料電池
JP2010511997A (ja) * 2007-12-04 2010-04-15 ハンファ ケミカル コーポレーション 高分子電解質燃料電池用電気化学触媒の製造方法
JP2010161034A (ja) * 2009-01-09 2010-07-22 Toyota Motor Corp 金属触媒担持カーボン粉末の製造方法
JP2010162443A (ja) * 2009-01-13 2010-07-29 Furuya Kinzoku:Kk 白金ブラック粉末及び白金ブラックのコロイド並びにそれらの製造方法
US20110287337A1 (en) * 2009-01-30 2011-11-24 Yeon Tae Yu Method for pulse plating carbon black sheet with metallic nano particle thin film layer, and carbon black sheet and fuel cell polymer electrolyte membrane/electrode assembly prepared using sheet
JP2010251297A (ja) * 2009-03-27 2010-11-04 National Institute For Materials Science カソード材料

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11329294B2 (en) 2018-03-22 2022-05-10 Kabushiki Kaisha Toshiba Laminated electrolyte membrane, membrane electrode assembly, water electrolysis cell, stack, water electrolyzer, and hydrogen utilizing system

Also Published As

Publication number Publication date
EP2891200A1 (en) 2015-07-08
CA2882000A1 (en) 2014-03-06
CN105051957A (zh) 2015-11-11
US20150236354A1 (en) 2015-08-20
EP2704239A1 (en) 2014-03-05
WO2014033204A1 (en) 2014-03-06
KR20150048843A (ko) 2015-05-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016505193A (ja) 貴金属粒子と酸性アイオノマー成分とを含むコロイド分散体ならびにそれらの製造および使用の方法
Chen et al. Key components and design strategy for a proton exchange membrane water electrolyzer
KR100601984B1 (ko) 담지 촉매 및 그 제조방법
US8202669B2 (en) Electro-catalyst compositions for fuel cells
JP5298405B2 (ja) 燃料電池用膜電極接合体の製造方法
KR101679809B1 (ko) 질소(N)가 도핑된 탄소에 담지된 백금(Pt)촉매의 제조방법 및 이의 이용하여 제조된 질소(N)가 도핑된 탄소에 담지된 백금(Pt)촉매
JP6795142B2 (ja) 触媒およびその製造方法
Lee et al. Control of Ir oxidation states to overcome the trade-off between activity and stability for the oxygen evolution reaction
KR20180128938A (ko) 전극 촉매 그리고 당해 전극 촉매를 사용하는 막 전극 접합체 및 연료 전지
TWI728612B (zh) 觸媒、製造觸媒的方法、包含觸媒的電極、包括電極的膜電極組合物以及包括膜電極組合物的燃料電池
KR102178482B1 (ko) 연료전지용 촉매의 제조 방법 및 이에 의하여 제조된 연료전지용 촉매
KR100754380B1 (ko) 연료전지용 촉매 및 이를 이용한 연료전지
Liu et al. Pt0. 61Ni/C for high-efficiency cathode of fuel cells with superhigh platinum utilization
Chong et al. Synergistic Co─ Ir/Ru Composite Electrocatalysts Impart Efficient and Durable Oxygen Evolution Catalysis in Acid
Ahn et al. Sequential galvanic replacement mediated Pd-doped hollow Ru–Te nanorods for enhanced hydrogen evolution reaction mass activity in alkaline media
JP2006269133A (ja) Meaおよびその製造方法
US20230105398A1 (en) Electrode catalyst layer for electrochemical cells, membrane electrode assembly for electrochemical cells, and electrochemical cell
JP4789179B2 (ja) 電極触媒、および、その製造方法
WO2013125238A1 (ja) 電気化学還元装置および、芳香族炭化水素化合物または含窒素複素環式芳香族化合物の水素化体の製造方法
JP2009129881A (ja) 陰イオン交換膜型燃料電池用水性液体燃料および陰イオン交換膜型燃料電池
KR20190030387A (ko) 촉매 및 이의 제조방법
JP6868546B2 (ja) 固体高分子形燃料電池、電解質膜、及び触媒層
Rajalakshmi et al. Research Advancements in Low‐temperature Fuel Cells
JP6191326B2 (ja) 燃料電池用電極触媒粒子、これを用いる燃料電池用電極触媒、電解質−電極接合体、および燃料電池、ならびに触媒粒子および触媒の製造方法
KR102132516B1 (ko) 담체-나노입자 복합체, 이를 포함하는 촉매 및 이의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20160622

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160815

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20170208

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20170217

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170526

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170620

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180130