JP4798538B2 - 膜電極接合体 - Google Patents

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Description

本発明は、膜電極接合体に関し、さらに詳しくは、固体高分子型燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる膜電極接合体に関する。
固体高分子型燃料電池は、固体高分子電解質膜の両面に電極が接合された膜電極接合体(MEA)を基本単位とする。また、固体高分子型燃料電池において、電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造をとる。拡散層は、触媒層に反応ガス及び電子を供給するためのものであり、カーボンペーパー、カーボンクロス等が用いられる。また、触媒層は、電極反応の反応場となる部分であり、一般に、白金等の電極触媒を担持したカーボンと固体高分子電解質(触媒層内電解質)との複合体からなる。
このようなMEAを構成する電解質膜あるいは触媒層内電解質には、耐酸化性に優れた全フッ素系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含まない電解質。例えば、ナフィオン(登録商標、デュポン社製)、アシプレックス(登録商標、旭化成(株)製)、フレミオン(登録商標、旭硝子(株)製)等。)を用いるのが一般的である。
また、全フッ素系電解質は、耐酸化性に優れるが、一般に極めて高価である。そのため、固体高分子型燃料電池の低コスト化を図るために、炭化水素系電解質(高分子鎖内にC−H結合を含む電解質。高分子鎖内にC−H結合とC−F結合の双方を含む電解質(部分フッ素系電解質)も含む)の使用も検討されている。しかしながら、炭化水素系電解質は、安価ではあるが、過酸化物ラジカルにより劣化しやすいという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、従来から種々の提案がなされている。例えば、特許文献1には、スチレンビニルベンゼンスルホン酸系のカチオン交換膜を塩化スズ(SnCl)水溶液に浸漬し、塩化スズを加水分解させることにより、膜中にスズ酸化物(SnO)を分散させた電解質膜が開示されている。同文献には、膜中にスズ酸化物を分散させることによって、耐酸化性が向上する点が記載されている。
特開2001−118591号公報
ある種の金属又はその化合物は、過酸化物を分解させる作用を有している。そのため、これらの微粒子を電解質に添加すると、過酸化物ラジカルの発生が抑制され、耐酸化性を向上させることができる。しかしながら、従来知られている金属又はその化合物では、十分な耐久性が得られない場合がある。
また、ある種の金属又はその化合物を電解質に添加する場合、金属又はその化合物は、電解質に均一に分散されている方が好ましい。しかしながら、固体の微粒子を電解質に添加する方法では、微粒子の均一分散に限界がある。一方、過酸化物を分解させる作用を有する金属化合物又はその前駆体を適当な溶媒に溶解させ、この溶液を用いて電解質内部に微粒子を導入する方法は、電解質内部に微粒子を均一に分散させることができるという利点がある。しかしながら、使用する金属化合物又はその前駆体の種類によっては、これらに含まれる陰イオンが電解質及び/又は触媒の特性を低下させる場合がある。
さらに、ある種の金属又はその化合物が電解質の劣化を抑制する作用を有するか否かは、通常、電解質膜又は触媒層内電解質にある種の金属又はその化合物を分散させた膜電極接合体を作製し、これを過酸化物ラジカルが発生しやすい条件下に曝し、出力電圧の低下の程度を測定することにより評価されている。しかしながら、このような評価方法は、時間と労力を浪費し、極めて効率が悪い。
本発明が解決しようとする課題は、過酸化物による電解質の劣化を抑制し、膜電極接合体の耐久性を向上させることにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、過酸化物による電解質の劣化を抑制する作用を有する金属イオン又は金属化合物が電解質膜及び/又は電極に均一に分散された膜電極接合体を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、過酸化物による電解質の劣化を抑制する作用を有する金属イオン又は金属化合物を電解質膜及び/又は電極に導入する場合において、出発原料に含まれる陰イオンに起因する特性の低下を抑制することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る膜電極接合体は、
固体高分子電解質膜と、
該固体高分子電解質膜の両面に接合された電極とを備え、
前記電極の触媒層に、Snの酸化物又は水酸化物を含み、
前記Snの酸化物又は水酸化物は、Snを含むアルコキシドを前記触媒層に導入し、加水分解及び重縮合させることにより得られるものであり、
前記Snの酸化物又は水酸化物の含有量は、前記触媒層に含まれる触媒層内電解質の陽イオン交換基のモル数に対して、0.025倍モル以上0.125倍モル以下である
ことを要旨とする。
各種金属の中でも、Sn及びその化合物は、過酸化物による電解質の劣化を抑制する効果が大きい。そのため、Snイオン又はその化合物を電解質膜及び/又は触媒層内電解質に導入すれば、膜電極接合体の耐酸化性を飛躍的に向上させることができる。また、Snの化合物を電解質に導入する際、アルコキシドを用いると、電解質内部にSn化合物を均一に分散させることができる。しかも、アルコキシル基は、電解質膜及び電極にとって無害であるので、MEAの特性を低下させるおそれが少ない。
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
本発明に係る膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の両面に接合された電極とを備えている。
本発明において、固体高分子電解質膜には、種々の材料を用いることができる。すなわち、固体高分子電解質膜は、炭化フッ素系電解質又は炭化水素系電解質のいずれであっても良い。
ここで、「炭化フッ素系電解質」とは、ポリマ骨格中にC−F結合を含み、かつ、C−H結合を含まないもの(いわゆる、全フッ素系電解質)をいう。本発明において、「フッ素系電解質」というときは、ポリマ骨格中に、C−F結合以外に、C−Cl結合(例えば、−CFCl−、−CCl−など)や、その他の構造(例えば、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R)−等。但し、「R」は、アルキル基。)を有するものも含まれる。
また、「炭化水素系電解質」とは、ポリマ骨格中にC−H結合を含むものをいう。炭化水素系電解質は、部分的にC−F結合を含んでいるもの(以下、これを「部分炭化フッ素系電解質」という)でも良い。部分炭化フッ素系電解質に含まれるC−F結合/C−H結合の比は、0以上20以下が好ましく、さらに好ましくは、0以上1以下、さらに好ましくは、0以上1以下、最も好ましくは、0である。環境面への負荷、低コストの観点から、フッ素を使用しないことが望まれており、C−F結合の割合が少ない方が好ましい。
固体高分子電解質膜に含まれる陽イオン交換基の種類も、特に限定されるものではない。陽イオン交換基としては、具体的には、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、亜ホスホン酸基、フェノール基などがある。上述したポリマには、これらの陽イオン交換基のいずれか1種を備えたものでも良く、あるいは、2種以上を備えたものでも良い。
本発明において使用可能な電解質としては、具体的には、
(1) パーフルオロカーボンスルホン酸系ポリマ、パーフルオロカーボンホスホン酸系ポリマ、トリフルオロスチレンスルホン酸系ポリマなどの全フッ素系電解質、
(2) エチレンテトラフルオロエチレン−g−スチレンスルホン酸系ポリマなどのC−F結合を含む炭化水素系電解質(部分炭化フッ素系電解質)、
(3) ポリスルホンスルホン酸、ポリアリールエーテルケトンスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルスルホン酸、ポリベンズイミダゾールアルキルホスホン酸などのC−F結合を含まない炭化水素系電解質、
などがある。
これらの中でも、炭化水素系電解質(特に、C−F結合を含まない炭化水素系電解質)は、フッ素系電解質に比べて安価であるので、MEAを構成する固体高分子電解質膜の材料として特に好適である。
電極は、一般に、拡散層と触媒層の二層構造を取るが、触媒層のみによって構成される場合もある。
拡散層は、触媒層への反応ガスの供給及び電子の授受を行うための層である。その材質は、多孔質かつ電子伝導性を有するものであれば良く、特に限定されるものではない。一般的には、多孔質のカーボン布、カーボン紙等が用いられる。
触媒層は、電極反応の反応場となる層であり、触媒と、陽イオン交換基を有する触媒層内電解質とを備えている。触媒は、単独で触媒層に含まれていても良く、あるいは、触媒担体に担持された状態で触媒層に含まれていても良い。また、触媒あるいは触媒担体の材質は、特に限定されるものではなく、用途に応じて種々の材質を用いることができる。通常は、触媒として、Pt又はPt系の合金を用い、カーボンブラック等の触媒担体の表面に担持した状態で使用される。
触媒層内電解質は、触媒層にイオン伝導性を付与すると共に、触媒層内に三相界面を形成するために加えられるものである。触媒層内電解質の材質は、特に限定されるものではなく、用途に応じて種々の材質を用いることができる。通常は、固体高分子電解質膜と同一成分を有する電解質が用いられるが、異なる成分の電解質を用いても良い。
本発明に係るMEAは、固体高分子電解質膜及び/又は電極(すなわち、触媒層及び/又は拡散層)のいずれか1以上に、Ru、W、Sn、Mo、Nb、Ta、Pt、Zr、Hf及びTiから選ばれる1以上の金属元素のイオン、及び/又は、その金属化合物を含むことを特徴とする。
これらの金属又はその化合物は、他の金属と比べて電解質(特に、炭化水素系電解質)の劣化を抑制する作用が大きいので、これをMEAのいずれかに固定すれば、MEAの耐久性を飛躍的に向上させることができる。また、Sn又はその化合物は、電解質の劣化を抑制する作用が高いことに加えて、安価であるので、劣化抑制剤として特に好適である。
金属化合物の形態は、特に限定されるものではなく、酸化物、水酸化物、炭化物、窒化物、フッ化物、ホウ化物、、リン酸化合物、炭酸化合物のいずれであっても良い。
また、金属化合物は、金属元素を含むアルコキシドを固体高分子電解質膜又は電極(触媒層及び/又は拡散層)に導入し、加水分解及び重縮合させることにより得られるものが好ましい。アルコキシル基は、電解質膜及び電極にとって無害であるので、MEAの特性を劣化させるおそれが少ない。
固体高分子電解質、触媒層及び/又は拡散層には、これらの金属イオン又は金属化合物のいずれか1種が含まれていても良く、あるいは、2種以上が含まれていても良い。
金属イオン又は金属化合物の導入場所は、特に限定されるものではなく、目的に応じて、種々の場所に導入することができる。例えば、電解質膜に金属イオン又は金属化合物を導入する場合、膜表面又は膜内部にのみこれらを導入しても良く、あるいは、膜表面及び膜内部の双方にこれらを導入しても良い。また、例えば、触媒層に金属イオン又は金属化合物を導入する場合、触媒層内電解質の表面及び/又は内部にこれらを導入しても良く、あるいは、触媒又は触媒担体表面にこれらを導入しても良い。また、例えば、拡散層に金属イオン又は金属化合物を導入する場合、拡散層の触媒層側表面又は内部にのみこれらを導入しても良く、あるいは、表面及び内部の双方にこれらを導入しても良い。
金属イオン又は金属化合物の導入量は、金属の種類及び導入場所に応じて、最適な導入量を選択する。一般に、金属イオン又は金属化合物の導入量が少なすぎる場合には、実用上十分な耐久性が得られない。一方、必要以上の金属イオン又は金属化合物の導入は、効果に差が無く、実益がない。また、電解質膜又は触媒層内電解質に金属イオンを導入する場合、導入量が多くなりすぎると、電解質の電気伝導度を低下させる場合がある。
例えば、電解質膜の全体に金属イオン又は金属化合物を導入する場合、その導入量は、電解質膜100重量部に対して、0.01重量部以上100重量部以下が好ましい。その導入量は、さらに好ましくは、0.01重量部以上50重量部以下、さらに好ましくは、0.1重量部以上50重量部以下である。
また、例えば、触媒層の全体に金属イオン又は金属化合物を導入する場合、その導入量は、触媒層内電解質100重量部に対して、0.1重量部以上100重量部以下が好ましい。その導入量は、さらに好ましくは、0.1重量部以上50重量部以下、さらに好ましくは、0.1重量部以上30重量部以下である。
また、例えば、拡散層の触媒層側表面に金属イオン又は金属化合物を導入する場合、その導入量は、0.1mg/cm以上500mg/cm以下が好ましい。その導入量は、さらに好ましくは、0.1mg/cm以上100mg/cm以下、さらに好ましくは、0.1mg/cm以上50mg/cm以下である。
さらに、MEAの複数箇所にこれらを導入する場合、これらの導入量は、それぞれ同一であっても良く、あるいは、導入場所に応じて変えても良い。例えば、膜表面及び膜内部に金属イオン又は金属化合物を導入する場合、膜表面と膜内部への導入量は同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。一般に、劣化が生じやすい箇所への金属イオン又は金属化合物の導入量が多くなるほど、MEAの耐久性を向上させることができる。
次に、本発明に係るMEAの製造方法について説明する。
金属イオン又は金属化合物が導入された固体高分子電解質膜の製造方法としては、
(1) 電解質の融液又は適当な溶媒に溶解させた電解質溶液に、金属化合物又はその前駆体を溶解又は分散させ、融液又は溶液から膜化する方法、
(2) 金属化合物又はその前駆体を溶解又は分散させた溶液に電解質膜を浸漬し、溶液を電解質膜に含浸させる方法、
(3) 金属化合物又はその前駆体を溶解又は分散させた溶液を多孔質材料(例えば、ろ紙)に含浸させ、多孔質材料と電解質膜とを密着させる方法、
(4) これらの方法の組み合わせ、
などがある。
金属化合物又はその前駆体は、電解質の融液又は溶液に可溶性であっても良く、あるいは、不溶性であっても良い。特に、融液又は溶液に可溶な金属化合物又はその前駆体を用いると、電解質膜に金属イオン又は金属化合物を均一に分散させることが容易化する。
また、出発原料として前駆体を用いる場合、前駆体には、目的とする金属イオン又は金蔵化合物の種類に応じて最適なものを用いる。例えば、目的とする金属化合物が酸化物又は水酸化物である場合、その前駆体としては、
(1) ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩などの塩類、
(2) アルコキシド、
(3) 酢酸などの有機酸塩、
(4) アルキル化合物、
などを用いることができる。これらの中でも、特に、アルコキシド類及び有機酸塩は、陰イオンによる弊害が少ないので、前駆体として特に好適である。
スズ化合物又はその前駆体としては、以下のようなものがある。
(1) スズの複合酸化物: 例えば、バナジウムスタネート(BaSnO)、カルシウムスタネート(CaSnO)、カリウムスタネート(KSnO)、ナトリウムスタネート(NaSnO)、ジンクスタネート(ZnSnO)など。
(2) スズ酸化物又は水酸化物の前駆体となる無機化合物: 例えば、硫酸スズ、硝酸スズ、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、臭化スズなど。
(3) スズ酸化物又は水酸化物の前駆体となるアルコキシ化合物:
(a) Sn(OR)(Rは、炭素数1〜25の飽和若しくは不飽和炭化水素)で表されるアルコキシ化合物: 例えば、テトラメトキシスズ、テトラエトキシスズ、テトラn−プロポキシスズ、テトラi−プロポキシスズ、テトラn−ブトキシスズ、テトラi−ブトキシスズ、テトラt−ブトキシスズなど。
(b) SnR(OR)(R、Rは、それぞれ、炭素数1〜25の飽和若しくは不飽和炭化水素)で表されるアルコキシ化合物: 例えば、メチルトリメトキシスズ、エチルトリメトキシスズ、プロピルトリメトキシスズ、ブチルトリメトキシスズ、ブチルトリメトキシスズなど、
(c) Sn(R)(OR)(R、Rは、それぞれ、炭素数1〜25の飽和若しくは不飽和炭化水素)で表されるアルコキシ化合物: 例えば、ジメチルジメトキシスズ、ジエチルジメトキシスズ、ジn−ブチルジエトキシスズ、ジn−ブチルジプロポキシスズなど。
(d) Sn(R)OR(R、Rは、それぞれ、炭素数1〜25の飽和若しくは不飽和炭化水素)で表されるアルコキシ化合物: 例えば、トリメチルメトキシスズ、トリエチルメトキシスズ、トリプロピルメトキシスズ、トリブチルメトキシスズなど。
(e) ナトリウムスズエトキサイド(NaSn(OC))。
(4) スズ酸化物又は水酸化物の前駆体となる有機酸スズ化合物: 例えば、ビス(2−エチルヘキサネート)スズ、ジアセトキシスズ(酢酸スズ)、ジn−ブチルビス(2−エチルヘキサネート)スズ、ジn−ブチルジアセトキシスズ、ジn−ブチルジラウリルスズ、テトラアセトキシスズ、シュウ酸スズ(II)、シュウ酸スズ(IV)など。
(5) スズ酸化物又は水酸化物の前駆体となるアセチルアセトナート系化合物: 例えば、ジ(2,4−ペンタンジオネート)スズジクロライド、ジn−ブチルビス(2,4−ペンタンジオネート)スズ、ジ(2,4−ペンタンジオネート)スズなど。
(6) スズ酸化物又は水酸化物の前駆体となるSn−N結合を有する化合物: 例えば、ジメチルアミノトリメチルスズ、ジメチルアミノトリエチルスズ、ジメチルアミノトリプロピルスズ、ジメチルアミノトリn−ブチルスズ、テトラキス(ジメチルアミノ)スズ、テトラキス(ジエチルアミノ)スズなど。
(7) スズ酸化物又は水酸化物の前駆体となるフッ化物: 例えば、n−ブチルトリフルオロスズ、ジn−ブチルジフルオロスズなど。
(8) スズ酸化物又は水酸化物の前駆体となる塩化物: 例えば、メチルトリクロロスズ、エチルトリクロロスズ、プロピルトリクロロスズ、ブチルトリクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、ジエチルジクロロスズ、ジプロピルジクロロスズ、ジブチルジクロロスズ、トリメチルクロロスズ、トリエチルクロロスズ、トリプロピルクロロスズ、トリブチルクロロスズ、n−ブチルクロロジハイドロスズ、n−ブチルジメチルクロロスズ、n−ブチルトリクロロスズ、ジn−ブチルブトキシクロロスズなど。
(9) スズ酸化物又は水酸化物の前駆体となる臭化物: 例えば、n−ブチルトリブロモスズ、ジn−ブチルジブロモスズなど。
(10) Sn−O−Sn結合を有する化合物: 例えば、ビス(トリn−ブチルスズ)オキサイド、ビス(トリエチルスズ)オキサイド、ビス(トリフェニルスズ)オキサイド、ビス[トリス(2−メチル−2−フェニルプロピル)スズ]オキサイド、1,3−ジアセトキシ−1,1,3,3−テトラブチルスズオキサイドなど。
(11) Sn−S−Sn結合を有する化合物: 例えば、ビス(トリn−ブチルスズ)スルフィド、ビス(トリエチルスズ)スルフィド、ビス(トリフェニルスズ)スルフィドなど。
(12) Sn−Sn結合を有する化合物: 例えば、ヘキサメチルジスズ、ヘキサエチルジスズ、ヘキサプロピルジスズ、ヘキサn−ブチルジスズ、ヘキサフェニルジスズなど。
(13) アルキル化合物: 例えば、テトラエチルスズ、テトラプロピルスズ、テトラブチルスズ、テトラフェニルスズなど。
(14) Sn−H結合を有する化合物: 例えば、トリエチルスズハイドライド、トリプロピルスズハイドライド、トリブチルスズハイドライド、トリフェニルスズハイドライドなど。
(15) ポリマー: ポリ(ジエチルスズオサイド)、ポリ(ジプロピルスズオサイド)、ポリ(ジn−ブチルスズオサイド)、ポリ(ジフェニルスズオサイド)、ポリ(n−ブチルスズハイドロオキシドオサイド)、ポリ(ジエチルスズスルフィド)、ポリ(ジプロピルスズスルフィド)、ポリ(ジn−ブチルスズスルフィド)など。
上述した各種のスズ化合物又は前駆体の中でも、アルキル基などの炭化水素を有するもの(スズ−炭素結合を有するもの)が好ましい。水が存在する燃料電池作動下においても、スズ−炭素結合は比較的安定であるが、過酸化物又は発生したラジカルと接触した場合には反応し、いわゆる犠牲的な働きを有するので、相対的に高い耐久性が得られる。
また、出発原料として前駆体を用いて膜中に金属化合物を導入する場合、前駆体を電解質膜に導入した後、前駆体を目的とする金属化合物に変換する処理を行う。前駆体の変換方法は、特に限定されるものではなく、前駆体の種類に応じて最適な方法を選択する。
例えば、前駆体としてアルコキシド又は有機酸化合物を用い、酸化物又は水酸化物を電解質膜内に分散させる場合、アルコキシド等を膜内に導入した後、これを加水分解及び重縮合させる。アルコキシド等を加水分解・重縮合させる方法としては、
(1) 膜にアルコキシド等を導入した後、さらに水を導入し、膜を加熱する方法、
(2) 膜にアルコキシド等及び水を含む溶液を導入し、膜を加熱する方法、
(3) 膜にアルコキシド等を導入した後、さらに加水分解させるための触媒(酸又はアルカリ)と接触させる方法、
(4) これらの組み合わせ、
などがある。
また、金属イオン又は金属化合物が導入された触媒層の製造方法としては、
(1) 電極触媒又はこれを担持させた触媒担体と、触媒層内電解質とを含む溶液(以下、これを「触媒インク」という)に、金属化合物又はその前駆体を溶解又は分散させ、触媒インクを電解質膜表面に塗布する方法、
(2) 金属化合物又はその前駆体を含む触媒インクを適当な基材(例えば、ポリテトラフルオロエチレンシート)表面に塗布し、電解質膜の表面に転写する方法、
(3) 金属化合物又はその前駆体を含まない触媒インクを電解質膜表面に塗布した後、触媒層に、金属化合物又はその前駆体を溶解又は分散させた溶液を含浸させる方法、
(4) 金属化合物又はその前駆体を含まない触媒インクを適当な基材表面に塗布し、これを電解質膜表面に転写した後、触媒層に、金属化合物又はその前駆体を溶解又は分散させた溶液を含浸させる方法、
(5) これらの組み合わせ、
などがある。
この場合、金属化合物又はその前駆体は、触媒インクに用いられる溶媒に可溶性であっても良く、あるいは、不溶性であっても良い。特に、溶媒に可溶な金属化合物又はその前駆体を用いると、触媒層に金属イオン又は金属化合物を均一に分散させることが容易化する。
また、出発原料として前駆体を用いて触媒層内に金属化合物を導入する場合、前駆体を触媒層に導入した後、目的とする金属化合物に変換する処理を行う。処理方法については、電解質膜の場合と同様であるので、説明を省略する。
また、金属イオン又は金属化合物が導入された拡散層の製造方法としては、
(1) 金属化合物又はその前駆体を溶解又は分散させた溶液に、拡散層を浸漬し、拡散層に溶液を含浸させる方法、
(2) 金属化合物又はその前駆体を溶解又は分散させた溶液を、拡散層の表面又は拡散層の表面に形成される撥水層の表面に塗布する方法、
(3) これらの組み合わせ、
などがある。特に、金属イオン又は金属化合物を撥水層に導入するのが効果的である。
この場合、金属化合物又はその前駆体は、溶媒に可溶性であっても良く、あるいは、不溶性であっても良い。特に、溶媒に可溶な金属化合物又はその前駆体を用いると、拡散層に金属イオン又は金属化合物をより均一に分散させることが容易化する。
また、出発原料として前駆体を用いて拡散層内に金属化合物を導入する場合、前駆体を拡散層に導入した後、目的とする金属化合物に変換する処理を行う。処理方法については、電解質膜の場合と同様であるので、説明を省略する。
以上のような方法を用いて、電解質膜、触媒層及び拡散層のいずれか一以上に金属イオン又はその化合物を導入した後、電解質膜の両面に触媒層を接合し、さらに触媒層の表面に拡散層を接合(又は、単に触媒層の両面を拡散層で挟持)すれば、本発明に係る膜電極接合体が得られる。
次に、本発明に係る膜電極接合体の作用について説明する。MEAの電極においては、電池反応の副反応により過酸化物が生成する。過酸化物は、価数がわかる金属イオン(特に、Fe2+イオン)の存在下において容易にラジカルに分解する。過酸化物ラジカルは、酸化力が極めて強く、耐酸化性の高い全フッ素系電解質であっても劣化させる。
これに対し、電解質膜及び又は電極に、Ru、W、Sn、Mo、Nb、Ta、Pt、Zr、Hf、又は、Tiのイオン又は化合物を導入すると、電解質の劣化を抑制することができる。これらのイオン又は化合物が電解質の劣化を抑制する機構の詳細は不明であるが、おそらく、これらの金属イオン又は金属化合物は、
(1) 過酸化物をイオン的に分解し、その分解速度が、過酸化物をラジカル的に分解する遷移金属イオン(特に、Fe2+イオン)の分解速度より大きいため、
(2) 過酸化物ラジカルそのものを無害化する作用を有するため、あるいは、
(3) 過酸化物をラジカル化する作用を有する遷移金属イオン(特に、Fe2+イオン)を無害化する作用を有するため、
と考えられる。特に、Sn化合物は、Fe2+イオン等を無害化する作用が高いと考えられる。
過酸化物をラジカル分解させる遷移金属イオン(特に、Fe2+イオン)は、電極中のカーボンの不純物として最初から系中に存在するか、あるいは、金属配管から溶出し、加湿ガスを介してMEAに運ばれると考えられる。そのため、金属イオン又は金属化合物を電解質膜又は電極のいずれかに導入したMEAを燃料電池に適用すれば、運転時の電解質の劣化が抑制され、燃料電池を高寿命化することができる。特に、Sn化合物は、Fe2+イオン等を無害化する作用があるので、これを電極に導入すれば、MEAの耐久性を飛躍的に向上させることができる。
また、金属化合物を電解質膜又は電極に導入する場合において、出発原料としてその前駆体を用いると、金属化合物の粉末を添加する場合に比べて、金属化合物を電解質膜又は電極に均一に導入することができる。例えば、Sn(OPr)のようなアルコキシド(SnO前駆体)を触媒インクに添加し、酸と接触させて酸化物又は水酸化物として析出させると、SnOをより微細に分散させることができる。そのため、電極カーボン中の不純物として含まれ、あるいは、金属配管に由来するFe2+イオン等を、効果的に捕捉、無害化することができる。また、このような化合物を電極に固定すると、Fe2+イオン等を、さらに効果的に捕捉、無害化することができる。
一方、使用する前駆体の種類によっては、陰イオンが電解質膜又は電極触媒の性能を劣化させる場合がある。例えば、前駆体として、SnClのようなハロゲン化物を用いた場合、ハロゲン化合物が電極触媒を被毒し、触媒活性を低下させる場合がある。これに対し、前駆体としてある種の化合物(特に、アルコキシド)を用いると、陰イオンに起因する性能劣化を抑制することができる。そのため、このようなMEAを燃料電池に適用すれば、燃料電池の出力を低下させることなく、高寿命化することができる。
次に、本発明に係る固体高分子電解質劣化抑制剤のスクリーニング方法について説明する。本発明に係るスクリーニング方法は、反応工程と、定量工程とを備えている。
反応工程は、過酸化水素及びFe2+イオンを含む溶液に、金属化合物又はその前駆体及びモデル化合物を溶解又は分散させ、ある一定の温度である一定時間保持する工程である。
溶液中に含まれる過酸化水素及びFe2+イオンの量は、相対的に短い試験時間内に有為差が出るように、使用する金属化合物又はその前駆体、及び、モデル化合物の種類に応じて最適な量を選択する。通常、Fe2+イオンの量は、1〜500ppm、過酸化水素の量は、Fe2+イオンの100〜100,000倍モル相当が好ましい。
溶媒は、少なくとも過酸化水素及びFe2+イオンを溶解させることが可能なものであればよい。溶媒には、通常、水を用いるが、水以外の溶媒を用いても良い。
金属化合物又はその前駆体は、劣化抑制剤の候補となる化合物であり、その形態は問わない。すなわち、金属化合物又はその前駆体は、溶媒に可溶なものでも良く、あるいは、溶媒に対して不溶なものでも良い。
溶液への金属化合物又はその前駆体の添加量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。例えば、金属化合物の前駆体として、水溶性の塩類を用いる場合、金属化合物の前駆体の添加量は、金属イオンに換算して、Fe2+イオンの0.1〜1000倍モル相当が好ましい。
「モデル化合物」とは、固体高分子電解質の分子構造の一部分であって、過酸化物ラジカルによる劣化の著しい部分と同一又は類似の分子構造を有する低分子量(分子量10000以下)の化合物をいう。モデル化合物は、上述した溶媒に可溶なものが好ましい。
モデル化合物の種類は、スクリーニング試験により選別された劣化抑制剤を適用すべき固体高分子電解質の種類に応じて最適なものを選択する。
例えば、炭化水素系電解質には、分子鎖のいずれかにベンゼン環を有し、ベンゼン環に陽イオン交換基が導入されているものが多い。この場合、過酸化物ラジカルは、主として陽イオン交換基が導入されたベンゼン環を攻撃し、この部分から劣化が進行すると考えられている。従って、このような固体高分子電解質に適用する劣化抑制剤の選別を行う場合には、モデル化合物として、分子構造のいずれかに、陽イオン交換基が導入されたベンゼン環を備えたものを用いるのが好ましい。このようなモデル化合物としては、具体的には、ベンゼンスルホン酸(CSOH)、トルエンスルホン酸、ビフェニル−4−4’−ジスルホン酸などの芳香族スルホン酸、などがある。他の固体高分子電解質に適用する劣化抑制剤の選別を行う場合も同様である。
溶液へのモデル化合物の添加量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、相対的に穏やかな条件下における劣化の程度を評価する場合には、モデル化合物の添加量は、相対的に少量でもよい。一方、相対的に厳しい条件下における劣化の程度を評価する場合には、モデル化合物の添加量は、相対的に多い方が好ましい。通常は、溶液中の濃度が0.1〜20wt%程度となるように、モデル化合物を加える。
このようにして調製された溶液は、ある一定の温度である一定時間保持される。保持温度及び保持条件は、試験の目的に応じて任意に選択することができる。一般に、保持温度が高くなるほど、及び/又は、保持時間が長くなるほど、モデル化合物の劣化が進行する。スクリーニング試験を相対的に短時間で終了させるためには、保持温度は、20〜120℃が好ましく、保持時間は、10分〜72時間が好ましい。
定量工程は、反応工程終了後の溶液中に含まれるモデル化合物の残存量を定量する工程である。モデル化合物の残存量を定量する方法は、特に限定されるものではなく、周知の方法を用いることができる。定量方法としては、具体的には、核磁気共鳴法、赤外分光分析、ラマン分析、紫外線分光分析、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどがある。
ある化合物が劣化抑制剤として機能するか否かは、従来、その劣化抑制剤を含むMEAを実際に作製し、耐久試験を行うことにより評価されていた。しかしながら、MEAの製造には、多くの時間と労力を要し、耐久試験には、さらに長時間の試験が必要となる。
これに対し、モデル化合物を用いたスクリーニング方法は、MEAを作製する必要が無く、かつ、長時間の耐久試験も不要である。そのため、劣化抑制剤の候補材料が、目的とする固体高分子電解質の劣化を抑制する作用を有するか否か、及び、その劣化抑制作用の程度を、極めて簡便に評価することができる。
(参考例1)
モデル化合物としてベンゼンスルホン酸を用い、各種金属化合物のスクリーニング試験を行った。試験溶液には、1wt%のH水溶液15mlに20ppmのFe2+イオンを添加した溶液を用いた。この試験溶液に、金属イオンに換算して、Fe2+イオンの25倍モルに相当する各種金属化合物、及び、1mmolのベンゼンスルホン酸を添加した。このようにして調製した試験溶液を80℃で24時間保持した。保持終了後、核磁気共鳴法を用いて、内部標準にエタノールを用い、試験溶液中のベンゼンスルホン酸残存率を測定した。
図1に、その結果を示す。図1より、RuCl及びZrO(NO)は、他の化合物に比べてベンゼンスルホン酸残存率が高いことがわかる。
(参考例2)
試験溶液中のFe2+イオンの濃度を10ppmとした以外は、参考例1と同一条件下で、各種金属化合物のスクリーニング試験を行った。
図2に、その結果を示す。図2より、
(1) RuCl、Ti(SO)、ZrO(NO)、NbCl、MoCl、SnCl、HfCl、TaCl、WCl、及びPtClは、他の化合物に比べてベンゼンスルホン酸残存率が著しく高いこと、並びに、
(2) RuCl、SnCl、WClについては、ベンゼンスルホン酸残存率が約100%であること、
がわかる。
(実施例3〜4、参考例5)
ナフィオン(登録商標)溶液に、ナフィオン(登録商標)中のスルホン酸基のモル数に対して、0.125倍モル(実施例3)又は0.025倍モル(実施例4)のSn(OPr)、又は、0.125倍モルのSnCl (参考例5)を添加し、攪拌した。この溶液を、45重量%の白金を担持したカーボン(Pt/C)を分散させた水・エタノール混合溶液に加えて混合・攪拌し、触媒インクを作製した。水、エタノール、Pt/C、ナフィオン(登録商標)の混合比は、重量比で2.5:2:0.5:1.0とした。この触媒インクをポリテトラフルオロエチレンシート上に乗せ、ドクターブレードを用いて厚みを均一にした後、溶媒を乾燥除去し、触媒シートを作製した。130℃で6分間のホットプレスにより、触媒シートをスルホン化したポリエーテルエーテルスルホン膜(当量重量:630meq./g、分子量80000)に熱転写し、MEAを得た。電極面積は、1cmとした。
(比較例1)
Sn(OPr)を添加していないナフィオン(登録商標)溶液を用いた以外は、実施例3と同一条件下でMEAを作製した。
実施例3〜4、参考例5及び比較例1で作製したMEAをカーボンクロスガス拡散層(E−tek製)ではさみ、これを評価セルにセットし、以下の条件下で開回路試験を行った。
セル温度: 80℃
ガス : 水素/空気
流量 : 60/60sccm
バブラー温度 アノード/カソード: 60/80℃
時間 : 70時間
耐久試験後のMEAをセルより取り出し、電極をはがした後、電解質膜をジメチルアセトアミドに溶解し、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)により分子量を測定した。標準ポリスチレン検量線を用い、GPCチャートのピークトップより、ポリスチレン換算分子量を求めた。
また、サイクリックボルタムメトリー測定により水素の脱着量を測定し、有効触媒量(ラフネスファクタ)を求めた。なお、有効触媒量とは、電気化学的に活性な白金触媒の量をいう。
表1に、その結果を示す。
Figure 0004798538
表1より、スズ化合物を添加した実施例3〜4、参考例5では、比較例1に比べて分子量維持率が高く、分子量の低下が抑制されており、膜の耐久性が向上していることがわかる。
また、触媒インクにSn(OPr)を添加した実施例3では、無添加の比較例1と同等の有効触媒量を維持しているのに対し、SnClを触媒インクに添加した参考例5では、40%近い有効触媒量の減少が見られた。これは、塩素イオンにより触媒が被毒されたためと考えられる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能である。
本発明に係る膜電極接合体は、固体高分子型燃料電池、水電解装置、ハロゲン化水素酸電解装置、食塩電解装置、酸素及び/又は水素濃縮器、湿度センサ、ガスセンサ等の各種電気化学デバイスに用いられる膜電極接合体として使用することができる。
また、本発明に係る固体高分子電解質劣化抑制剤のスクリーニング方法は、固体高分子電解質の劣化を抑制する作用を有する化合物(劣化抑制剤)を効率よく選別するためのスクリーニング方法として使用することができる。
ベンゼンスルホン酸をモデル化合物に用いた各種金属化合物のスクリーニング試験(Fe2+:20ppm)の結果である。 ベンゼンスルホン酸をモデル化合物に用いた各種金属化合物のスクリーニング試験(Fe2+:10ppm)の結果である。

Claims (2)

  1. 固体高分子電解質膜と、
    該固体高分子電解質膜の両面に接合された電極とを備え、
    前記電極の触媒層に、Snの酸化物又は水酸化物を含み、
    前記Snの酸化物又は水酸化物は、Snを含むアルコキシドを前記触媒層に導入し、加水分解及び重縮合させることにより得られるものであり、
    前記Snの酸化物又は水酸化物の含有量は、前記触媒層に含まれる触媒層内電解質の陽イオン交換基のモル数に対して、0.025倍モル以上0.125倍モル以下である
    膜電極接合体。
  2. 前記固体高分子電解質膜又は前記電極に含まれる前記触媒層内電解質は、炭化水素系電解質である請求項1に記載の膜電極接合体。
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