JP2017518603A - 固体電解質 - Google Patents

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Abstract

少なくとも1種の導電性塩および少なくとも1種のランダムコポリマーを含有する固相電解質組成物であって、ここでランダムコポリマーは、コポリマーの全質量に対して、5から95質量%のモノマー(a)の重合済み単位、および95から5質量%のモノマー(b)の重合済み単位を含み、ここで(a)は、平均して分子当たり少なくとも1個の重合性C−C二重結合を含有する少なくとも1種の官能化ポリエーテルであり、(b)は、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)または少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)と少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b2)との混合物であり、ここで(b1)は、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、C1〜C4メタクリル酸アルキル、C1〜C22アクリル酸アルキル、アクリル酸、アクリル酸の塩、C1〜C4アルキルアクリル酸、C1〜C4アルキルアクリル酸の塩、アクリルアミド類、およびビニルアルコール誘導体からなる群から選択され、(b2)は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群から選択される。

Description

本発明は、官能化ポリエーテルに由来するモノマー単位およびエチレン性不飽和モノマーを含むランダムコポリマー、ならびにそのようなランダムコポリマーおよび導電性塩を含有する固相電解質組成物に関する。
電気エネルギーの貯蔵は、依然として関心が高まっている主題である。電気エネルギーを効率的に貯蔵することで、都合のよい時に電気エネルギーを発生させて、必要な時に使用することができるようになる。二次電気化学セルはその再充電性により、この目的のためによく適している。リチウム二次電池は、エネルギー貯蔵の面で特に関心をもたれており、それはリチウムの小さな原子量と大きなイオン化エネルギーに起因してそれらが高いエネルギー密度を実現し、携帯電話、ノートパソコン、小型カメラなどの多くの携帯型電子機器用の電源として広く使われるようになったからである。
電気化学セルは、負極、正極、2種の電極を分離する電子絶縁セパレーター、ならびに還元および酸化のサイト間でのイオンの必要な移動を容易にするために使用される電解質を含む。電解質の一クラスはポリマー電解質である。ポリマー電解質は、大まかに2種の主要なクラスに分けられ、ポリマーまたはポリマー混合物と導電性塩とを含む固体ポリマー電解質、ならびに溶媒と導電性塩とさらに可能な添加物とを含む従来型の液体電解質混合物中でゲル化されたポリマーまたはポリマー混合物を含むポリマーゲル電解質である。
固体ポリマー電解質の使用には多くの潜在的な利点があり、例えば柔軟性、剛性、加工性、軟度、硬度、多孔性、粘着性などの調整可能な物理的特性、低毒性、最少の火災危険性、低質量、高エネルギー密度、より低い製造コスト、改善された性能などである。とりわけ、多くの電解質系で使用されている可燃性有機溶媒が存在しないことは、従来型の電解質系の安全性についての懸念が増大している点で、有利である。固体ポリマー電解質はまた、セパレーターとしても機能し、それにより特別なセパレーターを存在させる必要をなくし得る。
Armand等は、1978年にポリ(エチレンオキシド)(PEO)がリチウム過塩素酸塩を溶解して、固体電解質として使用できる錯体を形成できることを見出した。この錯体は固体状態で比較的良好なイオン電導度を有する。しかしながら、非水性電解質溶液のイオン電導度と比べるとそのイオン電導度は不十分であり、錯体のカチオン輸率は極端に低い。
その後、広範囲の固体ポリマー電解質が研究され、例えば、グラフトポリマー類、ブロックコポリマー類および架橋したポリマー網目構造のような異なる構造のポリエチレンオキシド(コ)ポリマー、ポリシロキサン類ならびにポリホスファゼン類である(Dials,F.B.等、Journal of Power Sources 88(2000)、169〜191ページ)。
米国特許公開第2006/0041075A1号は、二重結合を含有するポリマー上に塩化合物をグラフト化することにより製造した単一イオン電導性ポリマーを開示している。そのポリマーは、好ましくは、炭化水素骨格と側鎖を含有する(ポリ)エーテルとを有するくし枝状ポリマーを含む。
EP1847556B1は、ブロックコポリマーを含むポリマー電解質を開示しており、ここで、1種のブロックは、アルコキシアクリル酸エステルモノマーと、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、酸無水物、およびアミノ基から選択された少なくとも1個の官能基によって置換されたエチレン性不飽和モノマーとのコポリマーであり、1種のブロックは、芳香族または複素芳香族の置換基を含有するエチレン性不飽和モノマーである。
米国特許公開第2006/0041075A1号 EP1847556B1
Dials,F.B.等、Journal of Power Sources 88(2000)、169〜191ページ
しかしながら、独特の分子構造を有し、および/または、溶媒なしに室温で良好なイオン電導度と良好な機械的特性をもたらすことができる新規のイオン輸送機構を有する、新規の固相ポリマー電解質の必要性が依然としてある。
したがって本発明は、少なくとも1種の導電性塩および少なくとも1種のランダムコポリマーを含有する固相電解質組成物を提供し、ここでそのランダムコポリマーは、ランダムコポリマーの全質量に対して、
5から95質量%のモノマー(a)の重合済み単位、および
95から5質量%のモノマー(b)の重合済み単位を含み、
ここで
(a)は、平均して分子当たり少なくとも1個の重合性C−C二重結合を含有する少なくとも1種の官能化ポリエーテルであり、
(b)は、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)または少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)と少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b2)との混合物であり、
ここで、(b1)は、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、C〜Cメタクリル酸アルキル、C〜C22アクリル酸アルキル、アクリル酸、アクリル酸の塩、C〜Cアルキルアクリル酸、C〜Cアルキルアクリル酸の塩、アクリルアミド類、およびビニルアルコール誘導体からなる群から選択され、
(b2)は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群から選択される。
本発明は、電気化学セル、上記で説明した固相電解質を含む電気化学セルで上記のランダムコポリマーを使用する方法、およびランダムコポリマーを製造する方法をさらに提供する。
本発明の固相電解質組成物は、良好なイオン電導度、機械的および熱的安定性、優れた加工性および電気化学的安定性を示す。
固相電解質組成物は、電解質組成物が例えば処理温度、または使用温度で、例えば室温で、固体状態で存在することを意味する。好ましくは、本発明の固相電解質組成物は、電解質組成物の全量に対して、溶媒を9質量%未満含有し、より好ましくは溶媒を8質量%未満含有し、さらにより好ましくは溶媒を5質量%未満含有し、さらにより好ましくは溶媒を2質量%未満含有し、最も好ましくは溶媒を1質量%未満含有する。用語「溶媒」は、低分子有機非プロトン性溶媒のような液体電解質組成物またはポリマーゲル電解質組成物で通常使用する溶媒を意味することを意図しており、例えばジメトキシエタンのようなエーテル、炭酸エチレンおよび炭酸ジメチルのような炭酸塩、γ-ブチロラクトンおよびプロピオン酸エステルのような有機エステル類である。
モノマー(a)は、平均して分子当たり少なくとも1個の重合性C−C二重結合を含有する官能化ポリエーテルであり、すなわちそのポリエーテルは、平均して分子当たり少なくとも1個の重合性C−C二重結合によって官能化されている。本明細書で使用する官能化ポリエーテルは、平均して分子当たり少なくとも1個の重合性C−C二重結合を含有するポリエーテルである。
官能化ポリエーテル(a)は、平均して分子当たり少なくとも1個の重合性C−C二重結合を有し、官能化ポリエーテル(a)は、平均して分子当たり1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれ以上の重合性C−C二重結合を有してもよく、好ましくは官能化ポリエーテル(a)は、平均して分子当たり正確に1個の重合性C−C二重結合を有する。平均して分子当たり1個の重合性C−C二重結合を有する官能化ポリエーテル(a)は、モノマー(b)との共重合反応で架橋を示さないか、または低程度の架橋を示すのみである。架橋を有しないかまたは低程度のみ有するランダムコポリマーは、本発明によれば好ましく、それは溶媒中でコポリマーの溶液からコポリマーの薄膜を製造することができるからである。平均して分子当たり1個を超える重合性C−C二重結合を有する官能化ポリエーテル(a)を使用することは、生成したランダムコポリマー内に架橋をもたらす。架橋したポリマーは、コポリマー溶液からの薄膜の製造に適しておらず、架橋の程度によっては、コポリマーの薄膜の製造用に適したコポリマー溶液を得ることができない恐れさえある。
官能化ポリエーテルは、エチレン性不飽和二重結合を含有する化合物と、アルキレンオキシドもしくはアルキレンオキシドを有するグリシジルエーテルもしくはグリシジルエーテルのエポキシ基と反応性のある1個または複数の官能基との反応によって製造でき、または、少なくとも1個のOH基を含有するポリエーテルと、エチレン性不飽和二重結合およびOH基と反応性のある1個または複数の官能基を含有する化合物との反応によって製造できる。好ましくは、官能化ポリエーテル(a)は、1個または複数のOH基を有する少なくとも1種のポリエーテル(a1)と、少なくとも1個のラジカル重合性C−C二重結合およびポリエーテル(a1)の少なくとも1個のOH基と反応性のある少なくとも1個の基を有する少なくとも1種の化合物(a2)との反応の反応生成物であり、任意で続けて誘導体化により残余のOH基を恒久的保護する。1個を超えるOH基を有するポリエーテル(a1)はまた、ポリエーテルポリオール類としても知られている。
本発明によれば、ポリエーテルは、主鎖中に少なくとも2個の連続するエーテル基を含有し、好ましくは少なくとも3個の連続するエーテル基を含有し、より好ましくは主鎖中に少なくとも5個の連続するエーテル基を含有するポリエーテルであることを意味する。
1個または複数のOH基を有するポリエーテル(a1)の形成方法は、従来技術でよく知られており説明されている。ポリエーテル(a1)は、ポリグリシジルエーテルまたはポリアルキレンオキシドでもよい。
ポリアルキレンオキシドは、アルキレンオキシドに反応性水素を含有する多官能または単官能の出発化合物を重付加させることにより製造する。付加反応用に使用する典型的な触媒は、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物またはアルコキシレート触媒、アミン触媒および複合金属シアン化物錯体触媒(DCM)である。
原理的に、すべての好適なアルキレンオキシドが、ポリエーテル(a1)として使用するためのポリアルキレンオキシドの製造用に使用できる。例えば、C〜C20アルキレンオキシド、例えば、酸化エチレン、酸化プロピレン、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、ペンテンオキシド、ヘキセンオキシド、シクロヘキセンオキシド、ドデセンエポキシド、オクタデセンエポキシド、およびこれらのエポキシドの混合物などが好適である。酸化エチレン、酸化プロピレン、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、およびイソブチレンオキシドは特に好適であり、酸化プロピレンおよび酸化エチレンが特に好まれる。ポリエーテル(a1)として使用するためのポリアルキレンオキシドの製造用に、テトラヒドロフラン類またはエピハロヒドリン類を使用することもまた可能である。
使用する出発化合物は、例えば、水、アルコール類、酸およびアミン類またはこれらの化合物の混合物である。活性水素を有するすべての化合物は、出発化合物として好適である。本発明によれば、OH官能性の化合物は出発化合物として好ましい。出発物質は、多価もしくは一価のアルコール類または第一級もしくは第二級のアミン類でもよい。多価アルコールの開始物質の例としては、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,1,1−トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリトリトール、スクロース、ソルビトール、エチレングリコール、1,2−および1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオールを含む。用語「多価アルコール」にはまた、ビスフェノールAとして一般に知られる、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのフェノール由来の化合物、またはトリエタノールアミン、トリ(2−プロパノールアミン)、およびトリ(3−プロパノールアミン)のようなアミン類由来の化合物も含まれる。本発明のポリエーテル(a1)として使用するためのポリアルキレンオキシドのための他の好適な開始物質には、水素化デンプン加水分解物を含み、マルチトールの誘導体である、RoquetteからLycasin(登録商標)の商標名で利用可能なものなどである。第一級アミンを含有する開始分子の例は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ビシナルトルエンジアミン、2,6−または2,4−置換トルエンジアミン、およびジフェニルメタンジアミンである。1個または複数のOH基を有するポリエーテル(a1)として使用するためのポリアルキレンオキシドは、例えばWO2011/012599A1により開示される方法などの、任意の既知の方法により製造できる。
アルキレンオキシドからポリエーテル(a1)として使用するためのポリアルキレンオキシドを製造するための好ましい触媒は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのアルコキシラート類、水酸化ナトリウムのアルコラート類、水酸化セシウム、アミン類、ルイス酸触媒、または複合金属シアン化物錯体触媒(DMC)であり、それらすべては当技術分野で既知である。
ポリエーテル(a1)として使用するための直鎖状ポリグリシジルエーテルは、グリシジルエーテルのアニオン開環重合により製造でき、ポリエーテル(a1)として使用するための分岐状ポリグリシジルエーテルは、グリシドールの重合により、またはグリシドールと、グリシジルエーテルとも言われる、グリシドールのエーテルとの共重合により製造できる。グリシドールはまた、2,3−エポキシ−1−プロパノールとも言われる。本発明による好適なグリシドールエーテルの例は、グリシジルメチルエーテルおよびグリシジルエチルエーテルのようなグリシジルアルキルエーテル、ならびにグリシジルアリルエーテルのようなグリシジルアルケニルエーテルである。重合反応は、通常、アルコキシド類、例えばカリウムメタノレートにより開始される。
ポリエーテル(a1)は、好ましくはポリグリシジルエーテルおよびポリアルキレンオキシドから選択される。好ましいポリエーテル(a1)は、少なくとも200g/molの数平均分子量(Mn)を有し、ポリエーテル(a1)のより好ましいMnは、1,000から30,000g/molの範囲内であり、さらにより好ましくは3,000から20,000g/molの範囲内である。ポリエーテル(a1)の分子量は、溶媒としてTHFを使用するGPC測定により決定できる。
本発明によれば、ポリエーテル(a1)として使用する好ましいポリアルキレンオキシドは、分子当たり1から10個のOH基を有し、より好ましくは分子当たり2から8個のOH基を有し、最も好ましくは分子当たり3から6個のOH基を有するポリアルキレンオキシドである。ポリアルキレンオキシドは、好ましくは少なくとも200g/molの数平均分子量(Mn)を有する。ポリアルキレンオキシドの好ましいMnは、1,000から30,000g/molの範囲内であり、より好ましくは3,000から20,000g/molの範囲内であり、最も好ましくは4,000から19,000g/molの範囲内である。ポリアルキレンオキシドの数平均分子量は、溶媒としてTHFを使用するGPC測定により決定できる。
本発明によりポリエーテル(a1)として使用する好ましいポリアルキレンオキシドは、C〜Cアルキレンオキシドのホモポリマーまたはコポリマーであり、すなわちポリアルキレンオキシドは、(OC〜Cアルキレン)から選択されるモノマー単位から構成されるホモポリマーまたはコポリマーである。モノマー単位(OC〜Cアルキレン)は、例えば(OCH)、(OCHCH)、(OCHCHCH)、(OCHCH(CH))、(OCHCHCHCH)、(OCH(CH)CH(CH))、(OCHCH(CH)CH)、(OCHCHCHCHCH)、(OCHCHCHCHCHCH)などを含む。より好ましいポリアルキレンオキシドは、C〜Cアルキレンオキシドのホモポリマーまたはコポリマーであり、最も好ましくは、それらはC〜Cアルキレンオキシドのホモポリマーまたはコポリマーである。好ましくは、ポリエーテル(a1)として使用するポリアルキレンオキシドは、前述のC〜CアルキレンオキシドまたはC〜Cアルキレンオキシドのコポリマーであり、より好ましくは、それらはC〜Cアルキレンオキシドのコポリマーであり、特に好ましくは、それらは酸化エチレンと1,2−プロピレンオキシドとのコポリマーである。そのコポリマーはランダムコポリマーまたはブロックコポリマーでもよく、好ましくはランダムコポリマーであり、特に室温で液体のランダムコポリマーである。
ポリエーテル(a1)として使用するための好ましい直鎖状ポリグリシジルエーテルは、4,000g/molから20,000g/molまでの数平均分子量を有し、平均で分子当たり1個のOH基を含む。好ましくは、直鎖状ポリグリシジルエーテルはグリシジルメチルエーテルで構成される。ポリエーテル(a1)として使用する好ましい分岐状ポリグリシジルエーテルは、1,000g/molから80,000g/molまでの数平均分子量を有し、5から70%の分岐度を有する。分岐度はFrey.Sunder等、Macromolecules、2000、33、7682の方法に従って決定した。好ましい分岐状ポリグリシジルエーテルはグリシドールとグリシジルエーテルとのコポリマーであり、特にグリシドールとグリシジルメチルエーテルとのコポリマーである。
ポリエーテル(a1)は、少なくとも1個のラジカル重合性C−C二重結合と、ポリエーテル(a1)の少なくとも1個のOH基と反応性のある少なくとも1個の基とを有する少なくとも1種の化合物(a2)と反応する。化合物(a2)は、エチレン性不飽和と、活性水素含有基と反応性のある基との両方を有する有機化合物である。好ましくは反応性基はカルボキシル、無水物、イソシアネート、およびエポキシから選択される。
そのようなエチレン性不飽和および反応性基を有する有機化合物(a2)の代表例としては、マレイン酸および無水物、フマル酸、クロトン酸および無水物、プロペニル無水コハク酸、アクリル酸、塩化アクリル、アクリル酸ヒドロキシエチルまたはメタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピルまたはメタクリル酸ヒドロキシプロピル、ハロゲン化マレイン酸および無水物、2−ブテン−1,4−ジオール、グリセロールアリルエーテル、トリメチルオールプロパンアリルエーテル、ペンタエリスリトールアリルエーテル、ペンタエリスリトールビニルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、および1−ブテン−3,4−ジオールなどの不飽和多価アルコール類、1−ビニルシクロヘキセン−3,4−エポキシド、ブタンジエンモノオキシド、ビニルグリシジルエーテル(1−ビニルオキシ−2,3−エポキシプロパン)、メタクリル酸グリシジルおよび3−アリルオキシプロピレンオキシド(アリルグリシジルエーテル)などの不飽和エポキシド類、イソシアネートエチルメタクリラート(IEM)および1,1−ジメチルメタ−イソプロペニルベンジルイソシアネート(TMI)などのイソシアネート類を含む。好ましい化合物(a2)は、イソシアネートエチルメタクリラート(IEM)、1,1−ジメチルメタ−イソプロペニルベンジルイソシアネート(TMI)、および無水マレイン酸である。
官能化ポリエーテル(a)の製造方法は、WO2005/003200A1に詳細に記載されている。官能化ポリエーテル(a)の形成のための典型的な反応では、所望のポリエーテル(a1)を、少なくとも1個のラジカル重合性C−C二重結合および少なくとも1個のOH基(a2)とルイス酸触媒の存在下で反応する少なくとも1個の基を有する化合物とを反応させる。好ましくは、ポリエーテル(a1)と化合物(a2)との反応はバルクで実施する。
好適なルイス酸触媒は一般的に、スズ系、ホウ素系、アルミニウム系、ガリウム系、希土類系、亜鉛系、またはチタン系化合物を含む。スズ系化合物の代表例には以下を含む:ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジブロミド、ジブチルスズジクロリド、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジメトキシド、ジブチルスズオキシド、ジメチルスズジアセテート、ジメチルスズジブロミド、ジフェニルスズジクロリド、ジフェニルスズオキシド、メチルスズトリクロリド、フェニルスズトリクロリド、酢酸スズ(IV)、臭化スズ(IV)、塩化スズ(IV)、ヨウ化スズ(IV)、酸化スズ(II)、酢酸スズ(II)、臭化スズ(II)、塩化スズ(II)、ヨウ化スズ(II)、2−エチルヘキサン酸スズ(II)(第一スズオクトアート)。ホウ素系化合物の代表例には、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、三フッ化ホウ素、およびトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを含む。アルミニウム系化合物の代表例には、塩化アルミニウムおよび臭化アルミニウムを含む。ガリウム系化合物の代表例には、塩化ガリウム、臭化ガリウム、およびガリウム(III)アセチルアセトネートを含む。希土類触媒の代表例としては、一般的にスカンジウム、イットリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ネオジム、またはルテチウムの塩である。例としては、イッテルビウムトリフレート、イッテルビウム(III)アセチルアセトネート、エルビウム(III)トリフルオロスルホネート(エルビウムトリフレート)、エルビウム(III)アセチルアセトネート、ホルミウムトリフレート、テルビウムトリフレート、ユーロピウムトリフレート、ユーロピウム(III)トリフルオロアセテート、サマリウムトリフレート、ネオジムトリフレート、ネオジム(III)アセチルアセトネート、プラセオジムトリフレート、ランタントリフレート、およびジスプロシウムトリフレートを含む。亜鉛系化合物の代表例には、塩化亜鉛および臭化亜鉛を含む。チタン化合物の代表例には、臭化チタン(IV)および塩化チタン(IV)を含む。
その反応に使用するポリエーテル(a1)と化合物(a2)とのモル比は、所望の重合性C−C二重結合の数が官能化ポリエーテル(a)中に導入されるように調整する。
ポリエーテル(a1)中に不飽和を組み込むためにポリカルボン酸または無水物を使用する場合、不飽和の官能化ポリエーテル(a)とアルキレンオキシド、好ましくは酸化エチレンまたは酸化プロピレンとを反応させることが好ましく、本発明の官能化ポリエーテル(a)として使用する前に未反応の酸性基を除去することが好ましい。使用するアルキレンオキシドの量は、不飽和ポリオールの酸の数を約5以下に低減するようにする。ポリエーテル(a1)と遊離OH基を含有する化合物(a2)との反応から官能化ポリエーテル(a)を得る場合、誘導体化により残余のOH基を恒久的に保護することが可能である。本発明内では、恒久的保護とは、OH基の誘導体化がポリマーの意図する使用中に、例えば全固体電池における使用中に、本質的に存在するようになることを意味する。この遊離OH基の恒久的保護は、官能化ポリエーテル(a)のOH価を低減し、結果として生成する固体ポリマーのOH価を低減する利点を有する。電気化学セル中で固体電解質としてそのポリマーが使用される場合、遊離OH基は悪影響を及ぼす恐れがある。これは、電気化学セルが金属または金属合金の負極材料を含む場合である。本発明の実施形態によれば、官能化ポリエーテル(a)は、1個または複数のOH基を有する少なくとも1種のポリエーテル(a1)と、少なくとも1個のラジカル重合性C−C二重結合およびポリエーテル(a1)の少なくとも1個のOH基と反応性のある少なくとも1個の基を有する少なくとも1種の化合物(a2)との反応の反応生成物であり、続いて誘導体化により残余のOH基を恒久的保護するものである。
恒久的保護のために残余のOH基をできる限り誘導体化することは当業者には既知であり、不飽和の官能化ポリエーテル(a)をヨウ化メチルまたはイソシアネートと反応させて行ってもよい。
好ましい官能化ポリエーテル(a)は、2012年からのDIN53240に従った測定で、30mgKOH/g未満のOH価を有する(DIN=「Deutsche Industrienorm」、すなわちドイツ工業規格である)。
本発明のさらなる目的は、本明細書で説明するように固相電解質組成物中で使用するためのランダムコポリマーであり、ここでモノマー(a)は、平均して分子当たり少なくとも1個の重合性C−C二重結合を含有し、30mgKOH/g未満のOH価を有する少なくとも1種の官能化ポリエーテル(a)であり、すなわちランダムコポリマーは、ランダムコポリマーの全質量に対して、
5から95質量%のモノマー(a)の重合済み単位、および
95から5質量%のモノマー(b)の重合済み単位を含み、ここで
(a)は、平均して分子当たり少なくとも1個の重合性C−C二重結合を含有する少なくとも1種の官能化ポリエーテルで、30mgKOH/g未満のOH価を有し、
(b)は、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)または少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)と少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b2)との混合物であり、
ここで(b1)は、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、C〜Cメタクリル酸アルキル、C〜C22アクリル酸アルキル、アクリル酸、アクリル酸の塩、C〜Cアルキルアクリル酸、C〜Cアルキルアクリル酸の塩、アクリルアミド類、およびビニルアルコール誘導体からなる群から選択され、好ましくは(b1)は、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、C〜Cメタクリル酸アルキル、C〜C22アクリル酸アルキル、アクリルアミド類、およびビニルアルコール誘導体からなる群から選択され、
(b2)は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群から選択される。
官能化ポリエーテル(a)はコポリマーの製造のために使用する。コポリマーは通常、少なくとも1種のポリエーテル(a)と、エチレン性不飽和モノマー(b1)または少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)と少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b2)との混合物から選択される少なくとも1種のモノマー(b)とを、ラジカル重合させることによって製造する。
モノマー(b1)は、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、C〜Cメタクリル酸アルキル、C〜C22アクリル酸アルキル、アクリル酸、アクリル酸の塩、C〜Cアルキルアクリル酸、C〜Cアルキルアクリル酸の塩、アクリルアミド類、およびビニルアルコール誘導体からなる群から選択され、好ましくはスチレンである。
モノマー(b2)はアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群から選択される。
〜Cメタクリル酸アクリル類には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−プロピルおよびメタクリル酸ブチルなどを含む。
〜C22アクリル酸アルキルには、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、2−エチルヘキシルアクリレートなどを含む。
〜Cアルキルアクリル酸には、メタクリル酸、エチルアクリル酸、プロピルアクリル酸、ブチルアクリル酸などを含む。
アクリルアミド類には、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミドなどを含む。
ビニルアルコール誘導体には、ビニルメチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテルなどのようなビニルエーテル;および酢酸ビニル、酪酸ブチル、ビニルアクリレート、およびメタクリル酸ビニルなどのようなビニルエステル類を含む。
モノマー(b)が、少なくとも1種のモノマー(b1)と少なくとも1種のモノマー(b2)との混合物から選択される場合には、好ましくは混合物は、モノマー(b)の全質量に対して、モノマー(b1)を少なくとも10質量%含む。モノマー(b1)は好ましくはスチレンを含み、最も好ましいモノマー(b1)はスチレンである。
本発明によれば、少なくとも1種のモノマー(b1)と少なくとも1種のモノマー(b2)との混合物からモノマー(b)を選択することが好ましく、より好ましいモノマー(b)は少なくとも1種のモノマー(b1)とアクリロニトリルとの混合物から選択され、特に好ましいモノマー(b)はスチレンとアクリロニトリルとの混合物である。
好ましくは、ランダムコポリマーをラジカル重合を介して製造する。使用できるラジカル重合開始剤は、過酸化物、過硫酸塩、過ホウ酸塩、過炭酸塩、アゾ化合物などの周知のラジカル重合開始剤を含む。これらには、水素ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ベンゾイルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、di−t−ブチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ブチリルペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジ−α−クミルペルオキシド、ジプロピルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシド、イソプロピル−t−ブチルペルオキシド、ブチル−t−ブチルペルオキシド、ジフロイルペルオキシド、ビス(トリフェニルメチル)ペルオキシド、ビス(p−メトキシベンゾイル)ペルオキシド、p−モノメトキシベンゾイルペルオキシド、ルベンペルオキシド、アスカリドール、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ジエチルペルオキシテレフタレート、プロピルヒドロペルオキシド、イソプロピルヒドロペルオキシド、n−ブチルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、シクロヘキシルヒドロペルオキシド、trans−デカリンヒドロペルオキシド、α−メチルベンジルヒドロペルオキシド、α−メチル−α−エチルベンジルヒドロペルオキシド、テトラリンヒドロペルオキシド、トリフェニルメチルヒドロペルオキシド、ジフェニルメチルヒドロペルオキシド、α、α’−アゾビス−(2−メチルヘプトニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、4,4’アゾビス−(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、1−t−ブチルアゾ−1−シアノシクロヘキサン、過コハク酸、ジイソプロピルペルオキシジカルボネート、4,4’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メトキシ−4−メチルペンタン、2,2’−アゾビス−2−メチルブタンニトリル、2−t−ブチルアゾ−2−シアノブタン、1−t−アミルアゾ−1−シアノシクロヘキサン、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2−t−ブチルアゾ−2−シアノ−4−メチルペンタン、2−t−ブチルアゾ−2−イソブチロニトリル、2−ブチルペルオキシイソプロピルカルボネート、1,1−t−アミルペルオキシシクロヘキサン、t−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートなどを含み、開始剤の混合物もまた使用できる。本発明の好ましい実施形態では、1,1−t−アミルペルオキシシクロヘキサンとt−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエートとの混合物を開始剤として使用する。
一般的に、ランダムコポリマー形成のための重合反応では、利用するモノマー類の全質量に対して、約0.01質量%から約10質量%のラジカル重合開始剤が使用されよう。
コポリマーの形成中に反応調整剤を存在させることは任意であるが、有用である。反応調整剤は好ましくはアルコール、メルカプタン、ハロアルカン、またはそれらの混合物である。反応調整剤の中で使用できるものは以下の様である:酢酸、ブロモ酢酸、クロロ酢酸、ジブロモ酢酸エチル、ヨード酢酸、トリブロモ酢酸、トリブロモ酢酸エチル、トリクロロ酢酸、トリクロロ酢酸エチル、アセトン、p−ブロモフェニルアセトニトリル、p−ニトロフェニルアセチレン、アリルアルコール、2,4,6−トリニトロアニリン、p−エチニルアニソール、2,4,6−トリニトロアニソール、アゾベンゼン、ベンズアルデヒド、p−シアノベンズアルデヒド、2−ブチルベンゼン、ブロモベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、ベンゾクリセン、トリニトロ安息香酸エチル、安息香、ベンゾニトリル、ベンゾピレン、トリブチルボラン、1,4−ブタンジオール、3,4−エポキシ−2−メチル−1−ブテン、t−ブチルエーテル、t−ブチルイソシアネート、1−フェニルブチン、p−クレゾール、p−ブロモクメン、ジベンゾナフタセン、p−ジオキサン、ペンタフェニルエタン、エタノール、1,1−ジフェニルエチレン、エチレングリコール、エチルエーテル、フルオレン、N,N−ジメチルホルムアミド、2−ヘプテン、2−ヘキセン、イソブチルアルデヒド、ブロモマロン酸ジエチル、ブロモトリクロロメタン、ジブロモエタン、ジヨードメタン、ナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール、オレイン酸メチル、2,4,4−トリフェニル−1−ペンテン、4−メチル−2−ペンテン、2,6−ジイソプロピルフェノール、フェニルエーテル、フェニルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジブチルホスフィン、三塩化リン、1,1,1−トリブロモプロパン、フタル酸ジアルキル、1,2−プロパンジオール、3−ホスフィノプロピオニトリル、1−プロパノール、ピロカテコール、ピロガロール、1,4−ベンゾキノン、ステアリン酸メチル、テトラエチルシラン、トリエチルシラン、ジブロモスチルベン、α−ブロモスチレン、α−メチルスチレン、テトラフェニルスクシノニトリル、2,4,6−トリニトロトルエン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、α−シアノ−p−トルニトリル、α,α’−ジブロモ−p−キシレン、2,6−キシレノール、ジエチル亜鉛、ジチオ二酢酸、エチルジチオ二酢酸、4,4’−ジチオ−ビスアントラニル酸、ベンゼンチオール、o−エトキシベンゼンチオール、2,2’−ジチオ二酢酸、4,4’−ジチオ−ビスアントラニル酸、ベンゼンチオール、o−エトキシベンゼンチオール、2,2’−ジチオビスベンゾチアゾール、ベンジルスルフィド、1−ドデカンチオール、エタンチオール、1−ヘキサンチオール、1−ナフタレンチオール、2−ナフタレンチオール、1−オクタンチオール、1−ヘプタンチオール、2−オクタンチオール、1−テトラデカンチオール、ベンジルチオール、イソプロパノール、2−ブタノール、四臭化炭素、ブロモトリクロロメタン、第三級−ドデシルメルカプタン、および上記化合物の任意の組合せである。好ましい反応調整剤は、2−プロパノール、2−ブタノール、およびそれらの混合物である。使用する反応調整剤の量は、モノマー類の全質量に対して、好ましくは0.5から25質量%の範囲である。
ラジカル重合はバルクで、または溶媒または溶媒混合物の存在下で実行できる。溶媒は、ジメチルホルムアミド、エチルベンゼン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ピリジン、エチレングリコール、トルエン、スチレン、およびベンゼンから選択できる。通常、溶媒中のモノマー(a)および(b)の濃度は、モノマー(a)、モノマー(b)および溶媒の全質量に対して、20から80質量%の範囲内であり、好ましくは25から55質量%の範囲内である。好ましい溶媒は、エチルベンゼン、1,4−ジオキサン、N−メチル−2−ピロリドン、およびスチレンである。
本発明の一実施形態によれば、重合は溶媒または溶媒混合物の存在下で行う。官能化ポリエーテル(a)とエチレン性不飽和モノマー類(b)とのラジカル重合に使用する溶媒または溶媒混合物は、ポリエーテルポリオール類とは異なることが好ましい。10℃未満の融点を有する溶媒または溶媒混合物を使用することは特に好ましく、好ましい溶媒はエチルベンゼン、1,4−ジオキサン、N−メチル−2−ピロリドン、およびスチレンである。蒸発中に真空および/または加熱を使用することにより、蒸発を促進できる。そのような溶媒を使用することで、重合反応で生成したランダムコポリマーを含有する反応混合物を、固相電解質の製造用に直接的に使用できる利点があり、例えばランダムコポリマーの混合物に導電性塩を添加すること、続いて負極または正極のような電気化学セル中で使用する担体または物品をこの溶液でコーティングすることによる。溶媒を除去した後で、固相電解質の薄膜を得ることができる。当業者が既知の通常の方法によって反応混合物からランダムコポリマーを析出させることもでき、例えば溶媒の蒸発により、またはランダムコポリマー溶液をコポリマーにとっては溶媒でない中に添加することにより、結果としてコポリマーを析出させる。
したがって本発明のさらなる目的は、本明細書で説明するようなランダムコポリマーの製造方法であって、
(i)1個または複数のOH基を有する少なくとも1種のポリエーテル(a1)と、少なくとも1個のラジカル重合性C−C二重結合およびポリエーテル(a1)の少なくとも1個のOH基と反応性のある少なくとも1個の基を有する少なくとも1種の化合物(a2)とを、バルクで反応させて、少なくとも1種の官能化ポリエーテル(a)を得る工程と、
(ii)任意で誘導体化により官能化ポリエーテル(a)の残余のOH基を恒久的保護する工程と、
(iii)工程(i)または(ii)からの官能化ポリエーテル(a)と、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)または少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)と少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b2)との混合物とを、ポリエーテルポリオール類とは異なる溶媒と、ラジカル開始剤とを含有する反応混合物中でラジカル共重合させて、コポリマーを得る工程と、
(iv)任意でコポリマーを析出させる工程と
を含む方法である。
そのコポリマーの製造に使用する官能化ポリエーテル(a)の量は、コポリマーの全質量に対して、一般的には5から95質量%であり、好ましくは10超から95質量%であり、より好ましくは20から80質量%である。
ランダムコポリマーは、コポリマーの全質量に対して、
5から95質量%のモノマー(a)の重合済み単位、および
95から5質量%のモノマー(b)の重合済み単位を含み、
ここで、モノマー(a)の重合済み単位とモノマー(b)の重合済み単位の量は合計で100質量%になることが好ましい。
好ましくは、ランダムコポリマーは、コポリマーの全質量に対して、
10から95質量%のモノマー(a)の重合済み単位、および
90から5質量%のモノマー(b)の重合済み単位を含み、
ここで、モノマー(a)の重合済み単位とモノマー(b)の重合済み単位の量は合計で100質量%になることが好ましい。
より好ましいランダムコポリマーは、コポリマーの全質量に対して、
20から80質量%のモノマー(a)の重合済み単位、および
80から20質量%のモノマー(b)の重合済み単位を含み、
ここで、モノマー(a)の重合済み単位とモノマー(b)の重合済み単位の量は合計で100質量%になることが好ましい。
最も好ましいランダムコポリマーは、コポリマーの全質量に対して、
30から70質量%のモノマー(a)の重合済み単位、および
70から30質量%のモノマー(b)の重合済み単位を含み、
ここで、モノマー(a)の重合済み単位とモノマー(b)の重合済み単位の量は合計で100質量%になることが好ましい。
官能化ポリエーテル(a)とエチレン性不飽和モノマー(b)とのラジカル重合により得られるコポリマーはランダムコポリマーであり、すなわち官能化ポリエーテル(a)とエチレン性不飽和モノマー(b)とから生成した異なるモノマー単位が、コポリマー鎖中にランダムに分布する。コポリマー中でモノマー単位がランダムに分布することは、ブロックとして配置した同一モノマーを含有するコポリマーと比べて結晶化が起こりにくい、またはコポリマーの結晶化が全くすら起こらないという利点を有する。ポリエーテル系の固体ポリマー電解質中では、イオン電導は主としてポリマーのアモルファス部分で行われることが知られており、例えば、K.Xu、Chem.Rev.104(2004)、4303から4417ページを参照されたい。そのため、ポリエーテル系ポリマー電解質の場合、結晶化度が低程度であることが望ましい。本発明のコポリマーは、主として官能化ポリエーテル(a)由来のモノマー単位により構成され、イオン電導が可能なアモルファス「軟質」相と、主としてエチレン性不飽和モノマー(b)由来のモノマー単位で構成され、コポリマーに機械的強度を付与する「硬質」相とを組み合わせている。
好ましくは、1個を超えるOH基を有するポリエーテル(a1)から製造される、平均して分子当たり1個の重合性C−C二重結合を有する官能化ポリエーテル(a)を、ランダムコポリマーの製造用に使用する。非官能化OH基は恒久的保護してもよい。官能化ポリエーテル(a)中に存在する任意で保護されたOHを保有する基は、ランダムコポリマー中に取り込まれて、ランダムコポリマーを硬質相および軟質相に相分離するのに役立つことができ、その結果コポリマーの電導度および/または機械的度を向上させる。
本発明のさらなる目的は、本明細書に記載するようなランダムコポリマーを、電気化学セル中で、好ましくは電気化学セル用の電解質中で、最も好ましくは電気化学セル用の固相電解質中で使用する方法であり、このランダムコポリマーはコポリマーの全質量に対して、
5から95質量%のモノマー(a)の重合済み単位、および
95から5質量%のモノマー(b)の重合済み単位を含み、
ここで
(a)は、平均して分子当たり少なくとも1個の重合性C−C二重結合を含有する少なくとも1種の官能化ポリエーテルであり、
(b)は、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)、または少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)と少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b2)との混合物であり、
ここで(b1)は、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、C〜Cメタクリル酸アルキル、C〜C22アクリル酸アルキル、アクリル酸、アクリル酸の塩、C〜Cアルキルアクリル酸、C〜Cアルキルアクリル酸の塩、アクリルアミド類、およびビニルアルコール誘導体からなる群から選択され、
(b2)は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群から選択される。
本発明の固相電解質組成物は少なくとも1種の導電性塩を含有する。固相電解質組成物は、電気化学セル中で起こっている電気化学反応に関係するイオンを移送する媒体として機能する。好ましくは、導電性塩は、Li、NaおよびKのようなアルカリ金属イオンを含有する導電性塩から選択され、より好ましくい少なくとも1種の導電性塩はリチウム塩などである。
リチウムの導電性塩は、以下が可能である。
・Li[F6−xP(C2y+1]、ここでxは0から6の範囲の整数であり、yは1から20の範囲の整数である;
Li[B(R]、Li[B(R(ORIIO)]およびLi[B(ORIIO)]、ここで各Rはそれぞれ独立にF、Cl、Br、I、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、OC〜Cアルキル、OC〜CアルケニルおよびOC〜Cアルキニルから選択され、ここでアルキル、アルケニルおよびアルキニルは1個または複数のORIIIで置換されていてもよく、ここでRIIIはC〜Cアルキル、C〜CアルケニルおよびC〜Cアルキニルから選択され、
(ORIIO)は、1,2−もしくは1,3−ジオール、1,2−もしくは1,3−ジカルボン酸または1,2−もしくは1,3−ヒドロキシカルボン酸由来の2価の基であり、ここで2価の基は中心にB原子があり両側に酸素原子を有する5−または6員環を形成する;
・LiClO;LiAsF;LiCFSO;LiSiF;LiSbF;LiAlCl、LiN(SOF)、テトラフルオロ(オキサラト)リン酸リチウム;シュウ酸リチウム;および
・一般式Li[Z(C2n+1SO]の塩、ここでmおよびnは以下のように規定する:
Zが酸素およびイオウから選択されるとき、m=1であり、
Zが窒素およびリンから選択されるとき、m=2であり、
Zが炭素およびシリコンから選択されるとき、m=3であり、
nは1から20の範囲の整数である。
2価の基(ORIIO)が由来するのに適した1,2−および1,3−ジオールは、脂肪族または芳香族でもよく、例えば1,2−ジヒドロキシベンゼン、プロパン−1,2−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、シクロヘキシル−trans−1,2−ジオールおよびナフタレン−2,3−ジオールから選択されてもよく、それらは任意で1個もしくは複数のFで置換されている、および/または、直鎖もしくは分岐のフッ素化されていない、部分的にフッ素化されたもしくは完全にフッ素化されたC〜Cアルキル基の少なくとも1個で置換されている。そのような1,2−または1,3−ジオールの例は、1,1,2,2−テトラ(トリフルオロメチル)−1,2−エタンジオールである。
「完全にフッ素化されたC〜Cアルキル基」とは、アルキル基のすべてのH原子がFで置換されていることを意味する。
2価の基(ORIIO)が由来するのに適した1,2−または1,3−ジカルボン酸は、脂肪族または芳香族でもよく、例えばシュウ酸、マロン酸(プロパン−1,3−ジカルボン酸)、フタル酸またはイソフタル酸でもよく、好ましくはシュウ酸である。1,2−または1,3−ジカルボン酸は、任意で、1個もしくは複数のFで置換されている、および/または、直鎖もしくは分岐のフッ素化されてない、部分的にフッ素化されたもしくは完全にフッ素化されたC〜Cアルキル基の少なくとも1個で置換されている。
2価の基(ORIIO)が由来するのに適した1,2−または1,3−ヒドロキシカルボン酸は、脂肪族または芳香族でもよく、例えばサリチル酸、テトラヒドロサリチル酸、リンゴ酸、および2−ヒドロキシ酢酸であり、それらは任意で1個もしくは複数のFで置換されている、および/または、直鎖状もしくは分岐状のフッ素化されていない、部分的にフッ素化されたもしくは完全にフッ素化されたC〜Cアルキル基の少なくとも1個で置換されている。そのような1,2−または1,3−ヒドロキシカルボン酸の例は、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−2−ヒドロキシ−酢酸である。
Li[B(R]、Li[B(R(ORIIO)]およびLi[B(ORIIO)]の例はLiBF、ジフルオロオキサラトホウ酸リチウムおよびジオキサラトホウ酸リチウムである。
最も好ましくは、塩はリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI;LiN(SOCF)である。少なくとも1種の導電性塩は、固相電解質組成物の全質量に対して、通常は少なくとも0.01質量%の濃度で存在し、好ましくは少なくとも1質量%であり、より好ましくは少なくとも5質量%である。通常、少なくとも1種の導電性塩に対する上限濃度は、固相電解質組成物の全質量に対して、25質量%である。
固相電解質組成物は、追加のポリマーおよび添加剤のような、さらなる成分を含有してもよい。追加のポリマーは、ポリスチレン(PS)、スチレンとアクリロニトリルとのコポリマー(PSAN)、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)およびポリ塩化ビニル(PVC)のような熱可塑性ポリマー類から選択でき、それらは固体電解質組成物の硬質相の形成に関係する。追加のポリマーはまた、ポリアルキレンオキシド、直鎖および分岐のポリグリシジルエーテルのようなイオン導電性ポリマー類、およびポリアクリル酸のLi塩のようなリチウム化高分子電解質類からも選択される。
本発明の一実施形態によれば、固相電解質組成物は少なくとも1種のポリアルキレンオキシドを追加で含む。C〜Cアルキレンオキシドのホモポリマーまたはコポリマーが好ましく、すなわちポリアルキレンオキシドは、(OC〜Cアルキレン)から選択されるモノマー単位から構成されるホモポリマーまたはコポリマーである。モノマー単位(OC〜Cアルキレン)には、例えば(OCH)、(OCHCH)、(OCHCHCH)、(OCHCH(CH))、(OCHCHCHCH)、(OCH(CH)CH(CH))、(OCHCH(CH)CH)、(OCHCHCHCHCH)、(OCHCHCHCHCHCH)などを含む。より好ましいポリアルキレンオキシドは、C〜Cアルキレンオキシドのホモポリマーまたはコポリマーであり、最も好ましくは、それらは、C〜Cアルキレンオキシドのホモポリマーまたはコポリマーである。前述のC〜CアルキレンオキシドまたはC〜Cアルキレンオキシドのコポリマーが好ましく、より好ましくはC〜Cアルキレンオキシドのコポリマーであり、特に好ましくは、それらは酸化エチレンと1,2−プロピレンオキシドとのコポリマーである。コポリマーはランダムコポリマーまたはブロックコポリマーであってよく、好ましくはランダムコポリマーである。
固相電解質組成物に含有されるポリアルキレンオキシドは、好ましくは数平均分子量で200から2,000,000g/molを有し、好ましくは2,000から1,000,000g/molを有し、テトラヒドロフラン中でGPCにより測定できる。
固相電解質が1種または複数の、ポリアルキレンオキシドのような追加のイオン導電性ポリマー類を含有する場合には、追加のイオン導電性ポリマー類全体の濃度は、固相電解質の全質量に対して、通常1から50質量%であり、好ましくは5から25質量%であり、より好ましくは10から15質量%である。
本発明の固相電解質組成物はまた、熱可塑性プラスチック類から選択される少なくとも1種の追加のポリマーおよびイオン導電性ポリマー類から選択される少なくとも1種の追加のポリマーを含有することができる。固相電解質が、熱可塑性プラスチック類から選択される少なくとも1種の追加のポリマーおよびイオン導電性ポリマー類から選択される少なくとも1種の追加のコポリマーを含有する場合には、熱可塑性プラスチックとイオン導電性ポリマーとの全濃度は、固相電解質の全質量に対して、通常1から50質量%であり、より好ましくは5から25質量%であり、最も好ましくは10から15質量%である。
本発明の固相電解質は、追加の添加剤を含有してもよく、例えば、オリゴマーのポリエチレンオキシド、ジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグリム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)および環状ポリエーテルのような湿潤剤、下塗り塗料、および可塑剤である。
本発明の固相電解質組成物は、固相電解質組成物の全質量に対して、通常少なくとも25質量%の少なくとも1種のランダムコポリマーを含有し、好ましくは少なくとも50質量%を含有し、より好ましくは少なくとも75質量%の少なくとも1種のランダムコポリマーを含有する。
固相電解質組成物中の導電性塩、上述した1種または複数のランダムコポリマーおよび任意での1種または複数の追加のポリマーの全濃度は、固相電解質組成物の全質量に対して、通常91質量%超であり、好ましくは少なくとも92質量%であり、さらにより好ましくは少なくとも95質量%であり、より好ましくは少なくとも98質量%であり、最も好ましくは少なくとも99質量%である。
固相電解質組成物は、導電性塩、任意で追加のイオン導電性および/または熱可塑性のポリマー、ならびに任意で湿潤剤、可塑剤および下塗り塗料のような追加の添加剤を、上述した少なくとも1種のコポリマーの溶液に添加することにより製造できる。少なくとも1種のコポリマーの溶液は、モノマー(a)および(b)のラジカル重合後に得られる反応混合物でもよく、または析出したコポリマーと溶媒または溶媒混合物とから製造された溶液でもよい。また、コポリマー、導電性塩ならびに、追加のポリマーおよび追加の添加剤のような可能な追加の成分を溶融で混合することも可能である。
本発明の別の目的は、
(A)上術した固相電解質組成物、
(B)少なくとも1種の正極活物質を含む少なくとも1個の正極、および
(C)少なくとも1種の負極活物質を含む少なくとも1個の負極、
を含む電気化学セルである。
好ましくは、少なくとも1種の負極活物質は、ナトリウムまたはリチウムまたはリチウムもしくはナトリウムの合金のようなアルカリ金属またはアルカリ金属の合金を含む。
好ましくは、電気化学セルはリチウム電池であり、すなわち、セルの充電/放電の間のある時点で、負極がリチウム金属またはリチウムイオンを含む電気化学セルである。負極は、リチウム金属またはリチウム金属合金または、リチウムイオンを取り込み放出する材料のようなリチウム含有化合物を含むことができる。そのような電気化学セルの例としては、金属リチウム電池およびリチウムイオン二次電池のような負極活物質としてリチウム金属またはリチウム合金を含む電気化学セルである。好ましくは、電気化学セルはリチウムイオン二次電池である。リチウムイオン二次電気化学セルは、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる正極活物質を含む正極と、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる負極活性物を含む負極とを含む。用語「リチウムイオン二次電気化学セル」および「(二次)リチウムイオン電池」は本発明内で互換的に使用する。
少なくとも1種の正極活物質は、好ましくはリチウム化した遷移金属リン酸塩およびリチウムイオンインターカレート遷移金属酸化物から選択される、リチウムイオンの吸蔵および放出が可能な材料を含む。
リチウム化遷移金属リン酸塩の例としては、リン酸鉄リチウムおよびLiCoPOであり、リチウムイオンインターカレート遷移金属酸化物の例としては、一般式(X)Li(1+z)[NiCoMn(1−z)2+eを有する層構造の遷移金属酸化物であり、ここでzは0から0.3であり;a、bおよびcは同一または異なっていてもよく、独立に0から0.8であり、ここでa+b+c=1であり;−0.1≦e≦0.1であり、ならびに一般式(XI)Li1+t2−t4−dのマンガン含有スピネルであり、ここでdは0から0.4であり、tは0から0.4であり、MはMnと、Co、Niからなる群から選択される少なくとも1種のさらなる金属であり、ならびにLi(1+g)[NiCoAl(1−g)2+kである。g、h、i、jおよびkの典型的な値は:g=0、h=0.8から0.85、i=0.15から0.20、j=0.02から0.03およびk=0である。
正極は、導電性カーボンのような電気的導電材料および結合剤のような通常の成分をさらに含んでもよい。導電性材料および結合剤として適した化合物は、当業者に既知である。例えば、正極は炭素の導電性多形を含むことができ、例えば、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェンまたは前述の物質の少なくとも2種の混合物から選択できる。加えて、正極は1種または複数の結合剤を含むことができ、例えばポリエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリイソプレンのような1種または複数の有機ポリマー、ならびにエチレン、プロピレン、スチレン、(メタ)アクリロニトリルおよび1,3−ブタジエンから選択される少なくとも2成分のコポリマー、特にスチレン−ブタジエンコポリマー、ならびに塩化ポリビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、フッ化ポリビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンとポリアクリロニトリルとのコポリマーのようなハロゲン化(コ)ポリマーである。
さらに、正極は金属線、金属格子、金属網、金属シート、金属箔または金属板でもよい集電体を含む。好適な金属箔はアルミニウム箔である。
負極活物質はリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる化合物から選択できる。特にリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる炭素質材料が負極活物質として使用できる。適した炭素質材料は、黒鉛材料などの結晶化炭素であり、より詳細には天然黒鉛、黒鉛化コークス、黒鉛化MCMB、および黒鉛化MPCFであり;コーク、1500℃未満で焼成されたメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、および中間相ピッチ系炭素繊維(MPCF)などのアモルファスカーボン;炭素複合材、燃焼有機ポリマーおよび炭素繊維などのハードカーボンおよび炭素系負極活物質(熱分解炭素、コーク、黒鉛)である。
さらなる負極活物質は、リチウム金属、またはリチウムと合金を形成できる元素を含有する材料である。リチウムと合金を形成できる元素を含有する材料の非限定的な例としては、金属、半金属、またはそれらの合金を含む。本明細書で使用する「合金」は、2種以上の金属の合金と同様、1種または複数の金属と1種または複数の半金属とを合わせた合金との両方を意味することを理解すべきである。合金が全体として金属的な特性を有するならば、その合金は非金属元素を含有していてもよい。合金の組織には、固溶体、共晶(共晶混合物)、金属間化合物またはそれらの2種以上が共存する。そのような金属または半金属の元素の例としては、これらに限定されないが、チタン(Ti)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、およびシリコン(Si)である。元素の長周期型周期律表の第4族または第14族の金属および半金属の元素が好ましく、とりわけチタン、シリコンおよびスズが好ましく、特にシリコンである。スズ合金の例としては、シリコン、マグネシウム(Mg)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロム(Cr)からなる群から選択される1種または複数の元素を、スズ以外の第2の構成元素として有するスズ合金を含む。シリコン合金の例としては、スズ、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモンおよびクロムからなる群から選択される1種または複数の元素を、シリコン以外の第2の構成元素として有するシリコン合金を含む。
さらに可能な負極活物質は、リチウムイオンをインターカレートできるシリコンである。シリコンは様々な形状で使用でき、例えばナノワイヤー、ナノチューブ、ナノ粒子、薄膜、ナノ多孔性シリコンまたはシリコンナノチューブの形状である。シリコンは集電体上に堆積できる。集電体は金属線、金属格子、金属網、金属シート、金属箔または金属板でもよい。好ましい集電体は金属箔、例えば銅箔である。シリコンの薄膜は、例えばスパッタリング技術など当業者に既知の任意の技術により金属箔上に堆積できる。Si薄膜電極製造の一可能性は、R.Elazari等、Electrochem.Comm.2012、14、21〜24に記載されている。本発明による負極活物質としてシリコン/炭素複合材の使用もまた可能である。
その他の可能な負極活物質は、Tiのリチウムイオンインターカレート酸化物である。
好ましくは、本発明の電気化学セル中に存在する負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる炭素質材料から選択され、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる特に好ましい炭素質材料は、結晶性炭素、ハードカーボンおよびアモルファスカーボンから選択され、特に好ましいものは黒鉛である。別の好ましい実施形態では、本発明の電気化学セル中に存在する負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できるシリコンから選択され、好ましくは、負極はシリコンまたはシリコン/炭素複合材の薄膜を含む。さらに好ましい実施形態では、本発明の電気化学セル中に存在する負極活物質は、Tiのリチウムイオンインターカレート酸化物から選択される。
負極および正極は、電極活物質、結合剤、所望の場合任意で導電性材料および増粘剤を溶媒中に分散させた電極用スラリー組成物を製造し、そのスラリー組成物を集電体上に塗布することにより作製できる。集電体は金属線、金属格子、金属網、金属シート、金属箔または金属板でもよい。好ましい集電体は金属箔、例えば銅箔またはアルミニウム箔である。
本発明の電気化学セルは、それ自体は通例であるさらなる構成物を含有してもよく、例えばセパレーター、筐体、ケーブル接続部などである。筐体は任意の形状でよく、例えば立方体状もしくは円筒形状、角柱形状であり、または使用する筐体はポーチのように加工された金属複合プラスチックフィルムである。好適なセパレーターは例えばガラス繊維セパレーターおよびポリオレフィンセパレーターのようなポリマー系セパレーターである。
いくつかの本発明の電気化学セルはお互いに結合させることができ、例えば直列接続または並列接続である。直列接続が好ましい。本発明は、上述した本発明の電気化学セルの機器、とりわけ移動機器で使用する方法をさらに提供する。移動機器の例としては、輸送機関、例えば自動車、自転車、航空機、またはボートや船などの水上輸送機関である。移動機器のその他の例としては携帯機器であり、例えばコンピューター、特にノートパソコン、電話であり、または電力ツールであり、例えば建設部門では特にドリル、バッテリー駆動のねじ回しまたはバッテリー駆動の鋲打ち機である。しかし、本発明の電気化学セルはまた、据え置き型のエネルギー貯蔵用にも使用できる。
本発明を続く実施例によって例示するが、それは本発明を制限するものではない。
I.官能化ポリエーテルの製造
官能化ポリエーテル1
出発物質としてのソルビトールに基づく分子当たり平均6個のOH基を有し、モノマーとして主として酸化プロピレンからなる数平均分子量約18,000g/molを有するポリオールおよび50ppmのジブチルスズジラウレート(T−12)触媒を、初めに反応器に室温ですることにより、官能化ポリエーテル1(FP1)を形成した。混合物を80℃に加熱し、TMI(1,1−ジメチルメタ−イソプロペニルベンジルイソシアネート)を0.5時間以上かけて混合物に滴下で添加した。最終的な官能化ポリエーテル(a1)中のポリオールのモル当たり、おおよそ0.36から0.4モルのTMIを添加した。添加の完了後にさらに1時間、混合物を反応させた。基本的にすべての不飽和は生成した官能化ポリエーテル1に保持された。
官能化ポリエーテル2
官能化ポリエーテル2(FP2)は、出発物質としてのグリセリンに基づく分子当たり3個のOH基を有し、モノマーとして主として酸化プロピレンからなる数平均分子量約5,000g/molを有するポリオールを使用したことを除いて、官能化ポリエーテル1で説明した手順に従って形成した。
官能化ポリエーテル3
官能化ポリエーテル3(FP3)は、出発物質としてのメタノールに基づく分子当たり1個のOH基を有し、モノマーとして主として酸化エチレンからなる数平均分子量約3,000g/molを有するポリオールを使用したことを除いて、官能化ポリエーテル1で説明した手順に従って形成した。最終的な官能化ポリエーテル中のポリオールのモル当たり、おおよそ0.995モルのTMIを添加した。
II.コポリマーの製造
所望の官能化ポリエーテルと、スチレン(Sと略記)およびアクリロニトリル(ANと略記)から選択されるエチレン性不飽和モノマー(b)との混合物75g、ジメチルホルムアミド75g、および2,2’−アゾジイソブチロニトリル(AIBN)0.3gをガラスフラスコに添加し、窒素雰囲気下で75℃まで加熱した。反応混合物を撹拌した。反応混合物が粘性を帯びるまで、この温度で重合反応を行った。得られた反応混合物の固体含有量を測定して重合率を決定した。モノマーに応じて、反応時間は15分から8時間の間であった。
冷却後、反応混合物を激しく撹拌しながらメタノール中にゆっくりと注いだ。コポリマーは、その組成に応じて、微細な白色粉末として、または残渣のようなゲルとして析出する。メタノールの上澄みを除去して、固体の残留物をメタノールで2回洗浄した。得られた固体を吸引し、80℃の真空中で乾燥した。
数平均分子量をテトラヒドロフランでのGPCにより、ポリスチレンベースのユニバーサル較正により決定した。
製造したコポリマーとそれらの組成を表1に要約する。
III.コポリマーの電導度
典型的な実験としては、乾燥したコポリマー粉末または比較のポリマーは、1,3−ジオキサン、メチルエチルケトン(MEK)または1,2−ジメトキシエタン(DME)のような溶媒に溶解させた。導電性塩のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの所望の量をこの溶液に添加し、粘度が、ドクターブレード法が可能になる(通常20〜50質量%の溶液を必要とする)ように濃度を調整した。任意で添加剤を溶液中に混合でき、例えば湿潤剤、可塑剤、下塗り塗料などである。ErichsonのK101塗布機を使用して、ドクターブレード法を手動または自動で行った。乾燥状態のイオン電導度測定用の塗布基板は、処理前に注意深く洗浄して乾燥させたガラス板である。溶媒を周囲温度でゆっくりと蒸発させた後で、生成した薄膜を50℃の真空オーブンで一晩完全に乾燥させた。電導度測定は水分の影響を避けるためにグローブボックス中で行った。イオン電導度を、Zahner−Elektrikの装置を4点測定モードで稼働させて使用し、様々な温度のインピーダンス分光法で測定した。金電極を採用した。結果を表1に示す。モノマーの比率は質量%で表す。
比較例1のポリスチレンは数平均分子量が158,000g/molを有していた。比較例2のポリアミドは、250℃、1000s−1の剪断速度で測定して、150から250の重合度および100から250Pa*sの溶融粘度を有するポリ(ε−カプロラクタム)である。
Figure 2017518603

Claims (16)

  1. 少なくとも1種の導電性塩および少なくとも1種のランダムコポリマーを含有する固相電解質組成物であって、前記ランダムコポリマーが、前記コポリマーの全質量に対して、
    5から95質量%のモノマー(a)の重合済み単位、および
    95から5質量%のモノマー(b)の重合済み単位を含み、
    ここで
    (a)は、平均して分子当たり少なくとも1個の重合性C−C二重結合を含有する少なくとも1種の官能化ポリエーテルであり、
    (b)は、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)、または少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)と少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b2)との混合物であり、
    ここで(b1)は、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、C〜Cメタクリル酸アルキル、C〜C22アクリル酸アルキル、アクリル酸、アクリル酸の塩、C〜Cアルキルアクリル酸、C〜Cアルキルアクリル酸の塩、アクリルアミド類、およびビニルアルコール誘導体からなる群から選択され、
    (b2)は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群から選択される、
    固相電解質組成物。
  2. 前記官能化ポリエーテル(a)が、1個または複数のOH基を有する少なくとも1種のポリエーテル(a1)と、少なくとも1個のラジカル重合性C−C二重結合および前記ポリエーテル(a1)の前記少なくとも1個のOH基と反応性のある少なくとも1個の基を有する少なくとも1種の化合物(a2)との反応、ならびに任意で続けて誘導体化による残余のOH基の恒久的保護の反応生成物である、請求項1に記載の固相電解質組成物。
  3. 前記ポリエーテル(a1)がポリグリシジルエーテルおよびポリアルキレンオキシドから選択される、請求項2に記載の固相電解質組成物。
  4. 前記ポリエーテル(a1)が分子当たり2から8個のOH基を有するポリアルキレンオキシドである、請求項2または3のいずれか一項に記載の固相電解質組成物。
  5. 前記ポリエーテル(a1)がC〜Cアルキレンオキシドのホモポリマーまたはコポリマーである、請求項2から4のいずれか一項に記載の固相電解質組成物。
  6. 前記ポリエーテル(a1)が1,000から30,000g/molの範囲の数平均分子量を有する、請求項2から5のいずれか一項に記載の固相電解質組成物。
  7. 前記少なくとも1種の化合物(a2)の前記反応性基がイソシアネート、エポキシ、カルボキシルおよび無水物から選択される、請求項2から6のいずれか一項に記載の固相電解質組成物。
  8. 前記官能化ポリエーテル(a)が30mgKOH/g未満のOH価を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の固相電解質組成物。
  9. 少なくとも1種のポリアルキレンオキシドを含有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の固相電解質組成物。
  10. 前記少なくとも1種の導電性塩がアルカリ金属イオンを含有する導電性塩から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の固相電解質組成物。
  11. (A)請求項1から10のいずれか一項に記載の前記固相電解質組成物と、
    (B)少なくとも1種の正極活物質を含む少なくとも1個の正極と、
    (C)少なくとも1種の負極活物質を含む少なくとも1個の負極と
    を含む電気化学セル。
  12. 前記少なくとも1種の負極活物質がアルカリ金属またはアルカリ金属合金を含む、請求項11に記載の電気化学セル。
  13. リチウム電池である、請求項11または12に記載の電気化学セル。
  14. ランダムコポリマーを電気化学セル用固相電解質組成物中で使用する方法であって、前記ランダムコポリマーが前記コポリマーの全質量に対して、
    5から95質量%のモノマー(a)の重合済み単位、および
    95から5質量%のモノマー(b)の重合済み単位を含み、
    ここで
    (a)は、平均して分子当たり少なくとも1個の重合性C−C二重結合を含有する少なくとも1種の官能化ポリエーテルであり、
    (b)は、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)、または少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)と少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b2)との混合物であり、
    ここで(b1)は、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、C〜Cメタクリル酸アルキル、C〜C22アクリル酸アルキル、アクリル酸、アクリル酸の塩、C〜Cアルキルアクリル酸、C〜Cアルキルアクリル酸の塩、アクリルアミド類、およびビニルアルコール誘導体からなる群から選択され、
    (b2)は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群から選択される、方法。
  15. 請求項1から10のいずれか一項に記載の前記固相電解質組成物中で使用するためのランダムコポリマーであって、前記コポリマーの全質量に対して、
    5から95質量%のモノマー(a)の重合済み単位、および
    95から5質量%のモノマー(b)の重合済み単位を含み、
    ここで
    (a)は、平均して分子当たり少なくとも1個の重合性C−C二重結合を含有する少なくとも1種の官能化ポリエーテルで、30mgKOH/g未満のOH価を有し、
    (b)は、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)、または少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)と少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b2)との混合物であり、
    ここで(b1)は、スチレン、α−メチルスチレン、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、C〜Cメタクリル酸アルキル、C〜C22アクリル酸アルキル、アクリル酸、アクリル酸の塩、C〜Cアルキルアクリル酸、C〜Cアルキルアクリル酸の塩、アクリルアミド類、およびビニルアルコール誘導体からなる群から選択され、
    (b2)は、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群から選択される、
    コポリマー。
  16. 請求項1から8および15のいずれか一項に規定する前記ランダムコポリマーの製造方法であって、
    (i)1個または複数のOH基を有する少なくとも1種のポリエーテル(a1)と、少なくとも1個のラジカル重合性C−C二重結合および前記ポリエーテル(a1)の前記少なくとも1個のOH基と反応性のある少なくとも1個の基を有する少なくとも1種の化合物(a2)とをバルクで反応させて、少なくとも1種の官能化ポリエーテル(a)を得る工程と、
    (ii)任意で誘導体化により前記官能化ポリエーテル(a)の残余のOH基を恒久的保護する工程と、
    (iii)工程(i)または(ii)からの官能化ポリエーテル(a)と、少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)、または少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b1)と少なくとも1種のエチレン性不飽和モノマー(b2)との混合物とを、ポリエーテルポリオールとは異なる溶媒とラジカル開始剤とを含有する反応混合物中でラジカル共重合させて、前記コポリマーを得る工程と、
    (iv)任意でコポリマーを析出させる工程と
    を含む、方法。
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