JP2003003031A - カルボキシル基含有樹脂組成物およびこれを用いた電池用バインダ樹脂組成物、電極および電池 - Google Patents

カルボキシル基含有樹脂組成物およびこれを用いた電池用バインダ樹脂組成物、電極および電池

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JP2003003031A
JP2003003031A JP2001191302A JP2001191302A JP2003003031A JP 2003003031 A JP2003003031 A JP 2003003031A JP 2001191302 A JP2001191302 A JP 2001191302A JP 2001191302 A JP2001191302 A JP 2001191302A JP 2003003031 A JP2003003031 A JP 2003003031A
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carboxyl group
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electrode
battery
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Satoru Nakazawa
哲 中澤
Kiyotaka Mashita
清孝 真下
Kenji Suzuki
健司 鈴木
Hiroyuki Sonobe
宏幸 園部
Eisuke Haba
英介 羽場
Shin Nishimura
西村  伸
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Showa Denko Materials Co Ltd
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Hitachi Chemical Co Ltd
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐電解液性並びに可とう性に優れたカルボキ
シル基含有樹脂組成物を提供するとともに、耐電解液性
並びに可とう性に優れた電極と、この電極を用いたサイ
クル特性などに優れる電池を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 本発明のカルボキシル基含有樹脂組成物
は、(A)カルボキシル基を有する樹脂と(B)アミン
化合物とを含有することを特徴とするものであり、
(A)カルボキシル基を有する樹脂はポリカルボン酸及
び/又はポリカルボン酸の誘導体であることが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボキシル基含
有樹脂組成物およびこれを用いた電池用バインダ組成
物、電極および電池に関する。
【0002】
【従来の技術】電子技術の進歩により、電子機器の性能
が向上して小型化、ポータブル化が進み、その電源とし
てエネルギー密度の高い二次電池が望まれている。従来
の二次電池としては、鉛蓄電他、ニッケル−カドミウム
電池等が挙げられるが、高エネルギー密度の電池という
点では末だ不十分である。そこで、これらの電池に替わ
るものとして、近年、エネルギー密度を大幅に向上でき
る有機電解液系リチウム二次電池(以下、単に「リチウ
ム電池」と記す)が開発され、急速に普及している。
【0003】リチウム電池には、正極の活物質として主
にリチウムコバルト酸化物やリチウムコバルト複合酸化
物等のリチウム含有金属酸化物あるいはリチウム含有金
属複合酸化物が用いられ、負極の活物質としてはリチウ
ムイオンの層間への挿入(リチウム層間化合物の形成)
及び層間からのリチウムイオンの放出が可能な多層構造
を有する炭素材料が主に用いられている。正・負極の極
板は、これらの活物質とバインダ樹脂とをN−メチル−
2−ピロリドンあるいは水等の溶剤に分散させてスラリ
ーとしたものを集電体である金属箔上に両面塗布し、溶
剤を乾燥除去して活物質とバインダ樹脂などからなる合
剤層を形成後、これをロールプレス機で圧縮成形して作
製されている。この際のバインダ樹脂としては、両極と
もポリフッ化ビニリデン(以下、「PVDF」と略す)
が多用されている。
【0004】しかしながら、PVDFをバインダ樹脂と
して使用した場合、集電体と合剤層との界面の密着性及
び合剤層中の活物質間の密着性、特に前者の密着性が劣
るため、(1)各極の極板の裁断あるいは両極の極板を
セパレータを介して渦巻き状に捲く捲回といった電池製
造工程時に、合剤層の一部又は全部が集電体から剥離・
脱落する、(2)負極活物質の炭素材料が電池の充放電
によるリチウムイオンの挿入・放出にともない膨張・収
縮するため、充放電を繰り返すことによって合剤層の一
部又は全部が集電体から剥離・脱落する、といった問題
があり、このような密着性不足が電池の容量低下を招く
一因となっていた。
【0005】上記PVDFの密着性の問題を解決できる
含フッ素系バインダ樹脂として、例えば、特開平6−1
72452号公報には、フッ化ビニリデンを主成分と
し、これに少量の不飽和二塩基性モノエステルを共重合
して得られたフッ化ビニリデン系共重合体を用いること
が提案されているが、このようなフッ化ビニリデン系共
重合体をバインダ樹脂とする場合、集電体と合剤層との
界面の密着性は大幅に向上する反面、(1)結晶性の低
下により、捲回後に注液される電解液に対する耐性(以
下、「耐電解液性」と記す)が低下して膨潤しやすくな
り、集電体と合剤層との界面の接触及び合剤層中の活物
質間の接触がルーズになる。このことが極板全体の導電
ネットワークの崩壊につながって、電池の容量が低下す
る、(2)高電圧下では腐食性の強いフッ化水素の脱離
・生成をともなう分解が起こりやすくなり、内圧が上昇
して電池が機能しなくなる、といった弊害が指摘されて
おり、本質的な問題解決には至っていない。
【0006】一方、PVDF等の含フッ素系以外のバイ
ンダ樹脂として、例えば、特開平5−74461号公報
にはスチレン・ブタジエン・ゴム(以下、「SBR」と
略す)等のジエン系合成ゴムを用いることが提案されて
いるが、SBR等のジエン系合成ゴムは、それ自体では
耐電解液性が良好なものが多いものの、スラリー中での
活物質の安定性が著しく劣り、活物質が沈降しやすい。
このためセルロース等の増粘剤あるいは界面活性剤など
の添加が必要あり、これらが電解液に溶解してしまうた
め、電池の容量が低下するといった問題があった。
【0007】またPVDF、SBR以外のバインダ樹脂
で電解液に溶解しない耐電解液性に優れたバインダ樹脂
としてカルボキシル基含有樹脂がある。特開平11−3
54125号公報にはポリアクリル酸系樹脂が提案され
ている。これをバインダ樹脂として用いた場合、優れた
電池特性を示すと記載されている。しかしそれ自体が剛
直なためロールプレス機で圧縮成形して作製する過程
や、電池を捲回する過程において電極が剥離してしまう
等の問題がある。
【0008】このような剛直なカルボキシル基含有樹脂
に可とう性を付与する樹脂を加える試みがなされてい
る。例えば特開平11−135129ではポリアクリル
酸にポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリ
エチレンイミンなどが加えられているがポリアクリル酸
との相溶性が良くないため十分な可とう性が得られてい
ないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題点
を解決するものであって、耐電解液性並びに可とう性に
優れたカルボキシル基含有樹脂組成物を提供することを
目的とする。
【0010】また、本発明は上記のカルボキシル基含有
樹脂組成物を用いた、耐電解液性並びに可とう性に優れ
た電池用バインダ樹脂組成物を提供することにある。
【0011】さらに、本発明は、上記の電池用バインダ
樹脂組成物を用いて耐電解液性並びに可とう性に優れた
電極を提供し、またこの電極を用いたサイクル特性など
に優れる電池を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、(A)カ
ルボキシル基を含有する樹脂と(B)アミン化合物とを
配合することで耐電解液性並びに可とう性に優れたカル
ボキシル基含有樹脂組成物が得られることを見出し、本
発明を完成させた。すなわち、本発明のカルボキシル基
含有樹脂組成物は、(A)カルボキシル基を有する樹脂
と(B)アミン化合物とを含有することを特徴とするも
ので、(A)カルボキシル基を有する樹脂はポリカルボ
ン酸及び/又はポリカルボン酸の誘導体であることが好
ましい。
【0013】ポリカルボン酸の誘導体は、ポリカルボン
酸のカルボキシル基に、カルボキシル基と反応する官能
基を有する一官能化合物を付加反応させたもので、酸価
が200〜700KOHmg/gのポリマーであること
が好ましいものである。また、このポリカルボン酸及び
/又はその誘導体は、上記のカルボキシル基と反応する
官能基を1分子中に2個以上有する多官能性化合物によ
り架橋したものもカルボキシル基を含有する樹脂として
使用することができる。
【0014】また、本発明のカルボキシル基含有樹脂組
成物は、(A)カルボキシル基を有する樹脂成分中のカ
ルボキシル基1当量に対して、(B)アミン化合物成分
中のアミノ基が1当量未満となるような割合で含有され
ていることを特徴とするもので、(B)アミン化合物が
多官能アミン、すなわちポリアミンであることが好まし
く、さらにポリオキシアルキレン骨格を有する多官能ア
ミン(ポリアミン)であることが好ましい。なお、ポリ
アルキレン骨格としては、ポリオキシエチレン、ポリオ
キシプロピレン骨格が好ましい。
【0015】また、本発明は上記のカルボキシル基含有
樹脂組成物を含む電池用バインダ樹脂組成物を包含し、
さらに、この電池用バインダ樹脂組成物と活物質とを用
いて作製した電極、およびこの電極を用いて構成した電
池をも提供するものである。
【0016】本発明のカルボキシル基含有樹脂組成物
は、カルボキシル基を有する樹脂のカルボキシル基がア
ミン化合物のアミノ基と反応し、カルボン酸塩を作るこ
とにより、剛直な水素結合を緩和し、同時に相溶性が良
くなり、優れた可塑効果を表わすものである。従って、
このカルボキシル基含有樹脂組成物をバインダとして用
いて作製した電極も耐電解液性、可とう性を両立するこ
とができ、高温下で使用しても長期間、電極基体と合剤
及び合剤層相互間の密着強度が維持され、充放電のサイ
クルを繰り返しても優れた容量維持率を示すものが得ら
れる。
【0017】
【発明実施の形態】本発明のカルボキシ含有樹脂組成物
は(A)カルボキシル基を有する樹脂と(B)アミン化
合物とを配合したもので、(A)カルボキシル基を有す
る樹脂と(B)アミン化合物とを必須成分とするもので
ある。
【0018】本発明で使用する(A)カルボキシル基を
有する樹脂は、カルボキシル基を有し数平均分子量が5
000以上ものであれば、特に制限はなくいずれの樹脂
であっても使用できるが、ポリカルボン酸及び/又はそ
の誘導体であることが好ましい。
【0019】ポリカルボン酸は、例えば、ポリアクリル
酸(アクリル酸のホモポリマー)、ポリメタクリル酸
(メタクリル酸のホモポリマー)、アクリル酸とメタク
リル酸のコポリマー等のカルボキシル基含有アクリル樹
脂などが挙げられる。これらのうちでフィラー(活物
質、導電助剤など)の分散安定性等の点でポリアクリル
酸が好ましい。なお、上記のホモポリマーとは実質的な
ホモポリマーを意味し、単一成分のポリマーばかりでな
く、少量の他の共重合成分を含むポリマーであっても差
し支えない。
【0020】このポリカルボン酸の重量平均分子量は1
0,000〜5,000,000であることが好まし
く、30,000〜3,000,000であることがよ
り好ましく、50,000〜2,000,000である
ことが特に好ましく、100,000〜1,000,0
00であることが極めて好ましい。この重量平均分子量
が10,000未満であるとフィラーの分散性が低下す
る傾向があり5,000,000を超えると、樹脂溶液
の高粘度化が問題となり、スラリの塗工が困難になる傾
向がある。
【0021】上記の分子量は、ゲルパーミッションクロ
マトグラフィーで測定し、緩和剤として塩化ナトリウム
を0.1モル/リットルの濃度になるように調合した水
溶液を溶離液として用い、標準ポリエチレンオキサイ
ド、ポリエチレングリコールを用いて作成した検量線か
ら、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール
換算値として算出した値として求めるたものである。な
お、以下、分子量に関しては同様にして求めた値であ
る。
【0022】ポリカルボン酸誘導体は、ポリカルボン酸
のカルボキシル基に、カルボキシル基と反応可能な官能
基を有する化合物であるモノエポキシ、モノオキサゾリ
ンなどの一官能化合物を付加反応させたユニットを有
し、酸価が200〜700KOHmg/gであるポリマ
ーが好ましい。このポリカルボン酸誘導体の重量平均分
子量は、10,000〜5,000,000であること
が好ましく、30,000〜3,000,000である
ことがより好ましく、50,000〜2,000,00
0であることが特に好ましく、100,000〜1,0
00,000であることが極めて好ましい。この重量平
均分子量が10,000未満であるとフィラーの分散性
が低下する傾向があり5,000,000を超えると、
樹脂溶液の高粘度化が問題となり、スラリの塗工が困難
になる傾向がある。
【0023】なお、本発明では、上記のポリカルボン酸
およびポリカルボン酸誘導体をそれぞれ単独にあるいは
両者を混合して用いることができる。
【0024】本発明で使用する(B)アミン化合物とし
ては、1分子中にアミノ基を1個以上有する化合物であ
ればよく、また、アミノ基としては1級、2級、3級の
いずれであってもよい。このようなアミン化合物として
は、例えば、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチ
ルアミン、トリブチルアミン、イソブチルアミン、ジイ
ソブチルアミン、sec−ブチルアミン、ジsec−ブ
チルアミン、N、N−ジメチルブチルアミン、1,2−
ジメチルプロピルアミン、N−エチル−1,2−ジメチ
ルプロピルアミン、ヘキシルアミン、N−メチルヘキシ
ルアミン、ジ−n−オクチルアミン、トリ−n−オクチ
ルアミン、N−メチル−ジ−n−オクチルアミン、2−
エチルヘキシルアミン、ジ−(2−エチルヘキシル)ア
ミン、トリ−(2−エチルヘキシル)アミン、N、N−
ジブチル2−エチルヘキシルアミン、アリルアミン、ジ
アリルアミン、トリアリルアミン、N、N−ジメチルア
リルアミン、3−ペンチルアミン、N、N−イソプロピ
ルエチルアミン、2−(ヒドロキシメチルアミノ)エタ
ノール、3−アミノプロパノール、3−ジメチルアミノ
プロパノール、N−イソブチル−ジエタノールアミン、
2−アミノプロパノール、2−アミノ−1,3−プロパ
ンジオール オキサレート、3−メトキシ プロピルアミ
ン、3−エトキシ プロピルアミン、3−イソプロピル
プロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プ
ロピルアミン、3−デシクロキシ プロピルアミン、3
−ミリスチロキシ プロピルアミンなどの脂肪族モノア
ミン;エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、
1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミンをは
じめとするポリメチレンジアミン、トリエチレングリコ
ールジアミン、ビス−(3−アミノプロピル)エーテ
ル、ジメチルアミノエトキシプロピルアミン、1,2−
ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、α、ω、−ビ
ス−(3−アミノプロピル)ポリエチレングリコールエ
ーテル、ジエチレングリコールビスプロピルアミン、ポ
リオキシエチレン系ジアミンをはじめとするポリエーテ
ルジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミ
ン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、メンセンジア
ミン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メ
チルジシクロヘキシル)メタン、ビス(アミノメチル)
シクロヘキサン、N−メチルエチルピペラジン、3,9
−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テト
ラオキサスピロ(5,5)ウンデカンなどの脂肪族ジア
ミン;ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミ
ン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレン
テトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレ
ンヘキサミン、アミノエチルエタノールアミン、トリ
(エチルアミノ)ヘキサミン、ジメチルアミノプロピル
アミン、ジエチルアミノプロピルアミン、メチルイミノ
プロピルアミンなどの脂肪族トリアミン;ピペリジン誘
導体、シリコン含有アミン、などが挙げられる。これら
は、単独で又は二種類以上組み合わせて用いられる。
【0025】これらのうちで合剤の可とう性、接着性の
向上に寄与するという点ポリオキシアルキレン基を含有
する多官能アミン(ポリアミン)が好ましく、オキシエ
チレン基、またはオキシプロピレン基を含む多官能アミ
ン(ポリアミン)がより好ましい。該当する化合物とし
ては、ハンツマンコーポレーション社の商品名ジェファ
ーミン・シリーズが挙げられる。
【0026】本発明のカルボキシル基含有樹脂組成物
は、溶剤中で(A)カルボキシル基を有する樹脂と
(B)多官能アミン化合物とを反応させることにより得
ることができる。このカルボキシル基を有する樹脂とし
て使用するポリカルボン酸は、アクリル酸やメタクリル
酸などのカルボキシル基含有重合性モノマーを公知の重
合方法により重合することにより得られる。また、ポリ
カルボン酸誘導体は、このようにして得られたポリカル
ボン酸中のカルボキシル基に、カルボキシル基と反応す
る官能基を有する化合物を付加あるいは縮合させること
により合成できる。このようなカルボキシル基と反応す
る官能基としては、エポキシ基、オキサゾリル基、ヒド
ロキシル基、アミノ基などが挙げられ、これらの官能基
を1分子中に1個有するモノエポキシ化合物、モノオキ
サゾリン化合物、モノヒドロキシル化合物やモノアミノ
化合物などの一官能化合物を使用することができる。
【0027】また、ポリカルボン酸誘導体を合成するに
は、上記の官能基を1分子中に2個以上有する多官能化
合物を用いることもでき、この場合はポリカルボン酸ポ
リマー鎖同士が架橋したポリカルボン酸誘導体が得られ
る。このように、ポリカルボン酸を誘導体化することに
より、さらに耐電解液性に優れたものが得られる。
【0028】一官能化合物としては、フェニルグリシジ
ルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジル
エーテル、s−ブチルフェニルグリシジルエーテルなど
が挙げられ、一方、多官能化合物(架橋剤)としては、
ビスフェノールA型のエポキシ樹脂(商品名:エピコー
ト828、エピコート1009、エピコート1010、
いずれも油化シェルエポキシ社製)、ビスフェノールF
型エポキシ樹脂(商品名:エピコート807、油化シェ
ルエポキシ社製)、フェノールノボラック型エポキシ樹
脂(商品名:エピコート152、油化シェルエポキシ社
製、商品名:EPPN−201、日本化薬社製)、クレ
ゾールノボラック型エポキシ樹脂(商品名:EOCN−
1025、EOCN−1035、いずれも日本化薬社
製)、環式脂肪族エポキシ樹脂(商品名:CY−17
5、CY−177、CY−179、いずれもチバガイギ
ー社製)、グリシジルエステル系エポキシ樹脂(商品
名:ショーダイン508、昭和電工社製、商品名:エピ
クロン200、大日本インキ社製、商品名:エピコート
871、油化シェルエポキシ社製)などのエポキシ樹脂
が挙げられる。
【0029】反応で使用する上記化合物の量は、反応後
のポリマーの酸価が、200〜700KOHmg/g程
度となる量に調製することが好ましく、この範囲に酸価
を調製することにより耐電解液性および可とう性に優れ
たものが得られる。なお、多官能化合物を使用する場合
には、架橋度を上げすぎると樹脂の可とう性が低下する
傾向があるため、使用量としては、ポリマー中に存在す
るカルボキシル基1当量に対して、0.01〜0.5モ
ル%、好ましくは0.03〜0.3モル%程度とするこ
とが好ましい。
【0030】上記の反応は、必要に応じ触媒を加え、後
述するようなポリカルボン酸を溶解する溶媒中で行うこ
とが好ましく、反応温度としては、一般に25〜150
℃程度であり、0.5〜5程度時間反応を行う。使用す
る触媒としては、特に制限はなく、例えば、トリエチル
アミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルアニ
リン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジチルベン
ジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホ
リン、N,N−ジメチルピペラジン、ビリジン、ピコリ
ン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン
−7等の三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−
エチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾ
ール、2−メチル−4−メチルイミダゾール,1−シア
ノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル
−2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチ
ル一5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル
−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール,1−アジ
ン−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;ジブ
チルチンジラウレート、1,3−ジアセトキシテトラブ
チルジスタノキサン等の有機スズ類;臭化テトラエチル
アンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、塩化ベ
ンジルトリエチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチ
ルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、
ヨウ化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化ドデシルトリ
メチルアンモニウム、ベンジルジメチルテトラデシルア
ンモニウムアセテート、塩化テトラフェルホスホニウ
ム、塩化トリフェニルメチルホスホニウム、臭化テトラ
メチルホスホニウム等の四級オニウム塩類;3−メチル
−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド等の有
機リン化合物類;安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウ
ム等の有機酸アルカリ金属塩類;塩化亜鉛、塩化鉄、塩
化リチウム、臭化リチウム等の無機塩類;オクタカルボ
ニル二コバルト(コバルトカルボニル)等の金属カルボ
ニル化合物類;テトラブトキシチタン等の金属エーテル
化合物類などが挙げられる。これらの触媒は、単独で又
は二種類以上組み合わせて用いることができる。これら
の触媒の使用量は、反応系のカルボキシル基を有する樹
脂固形分に対して0.01〜10重量%程度である。
【0031】なお、このような一官能あるいは多官能化
合物とポリカルボン酸との反応は、カルボキシル基を有
する樹脂とアミン化合物とを反応させる際に、上記の化
合物を併用して、カルボキシル基を有する樹脂とアミン
化合物との反応と同時に行ってもよく、また、カルボキ
シル基を有する樹脂とアミン化合物とを反応させる前
に、予めポリカルボン酸と上記の一官能あるいは多官能
化合物とを反応させて誘導体化した後、アミン化合物を
反応させて本発明のカルボキシ含有樹脂組成物を調製す
ることもできる。
【0032】本発明のカルボキシル基含有樹脂組成物を
調製する際の(A)カルボキシル基を有する樹脂と
(B)アミン化合物との配合割合は、(A)成分中のカ
ルボキシル基1当量に対して、(B)成分のアミノ基が
1当量未満とすることが望ましく、0.01〜0.8当
量とすることがより好ましく、0.03〜0.6にする
ことが特に好ましく、0.05〜0.6にすることが極
めて好ましい。この当量数が1以上であると耐電解液性
が低下する傾向がみられ、当量数が0.01未満だと合
剤の可とう性の向上に寄与しない。
【0033】また本発明で、(A)カルボキシル基を有
する樹脂と(B)アミン化合物とを配合し、反応させる
にあたって用いられる溶媒としては、水または有機溶媒
が挙げられる。使用できる有機溶媒には、例えば、N−
メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;N,
N−ジメチルエチレンウレア、N,N−ジメチルプロピ
レンウレア、テトラメチルウレア等のウレア類;γ−ブ
チロラクトン、γ−カプロラクトン等のラクトン類、プ
ロピレンカーボネート等のカーボネート類;メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセ
ロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、
エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセ
テート等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テ
トラグライム等のグライム類;トルエン、キシレン、シ
クロヘキサン等の炭化水素類;スルホラン等のスルホン
類などがある。
【0034】これらのうちではカルボキシル基含有樹脂
組成物の溶解性に優れる点でアミド類、ウレア類の溶媒
が好ましく、ポリカルボン酸及び/又はその誘導体とア
ミン化合物との反応を阻害しやすい活性水素をもってい
ない等の点で、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−
ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルエチレンウレ
ア、N,N−ジメチルプロピレンウレア、テトラメチル
ウレアがより好ましく、この中では、N−メチル−2−
ピロリドンが特に好ましい。これらの溶媒は、単独で又
は二種類以上組み合わせて用いられる。
【0035】溶媒の使用量は、カルボキシル基を有する
樹脂固形分の総量100重量部に対して、50〜10,
000重量部とすることが好ましく、200〜5,00
0重量部とすることがより好ましく、300〜3,00
0重量部とすることが特に好ましい。この使用量が50
重量部未満では溶解性が乏しく、反応系の不均一化や高
粘度化を起こしやすい傾向があり、10,000重量部
を超えると反応が進みにくく、反応が完結しにくい傾向
がある。
【0036】なお、カルボキシル基を有する樹脂とアミ
ン化合物との反応においては、必要に応じて触媒を用い
ることができる。
【0037】本発明のカルボキシル基含有樹脂組成物を
用いたリチウム電池用バインダ樹脂組成物は、カルボキ
シル基含有樹脂組成物を有機溶媒に溶解及び/又は分散
させたものであることを特徴とし、これに、必要に応じ
て、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリブロックイソシ
アナート、ポリオキサゾリン、ポリカルボジイミド等の
硬化剤、エチレングリコール、グリセリン、ポリエーテ
ルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルオリ
ゴマ、フタル酸エステル、ダイマー酸変性物、ポリブタ
ジエン系化合物等の各種添加剤を単独で又は二種以上組
み合わせて配合したものである。これらの添加剤の使用
量は、カルボキシル基含有樹脂組成物固形分に対して
0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%
程度である。0.01重量%未満では、十分な活物質間
または集電体との接着性が得られない。また20重量%
を超えると活物質間または集電体との接着性が低下す
る。
【0038】上記カルボキシル基含有樹脂組成物を溶解
及び/又は分散させるための溶媒としては、特に制限は
なく、バインダ組成物を均一に溶解または分散できる溶
媒であればよく、複数の有機溶媒の混合物でも構わな
い。使用できる溶媒に特に制限はなく、バインダ樹脂組
成物すなわちカルボキシル基含有樹脂組成物の合成に用
いることのできる前述の溶媒がそのまま使用できるが、
N−メチル−2−ピロリドン及びN−メチル−2−ピロ
リドンとエステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸n−ブチ
ル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトール
アセテート等)あるいはグライム系溶媒(ジグライム、
トリグライム、テトラグライム等)の混合溶液が特に好
ましく、そのなかでもN−メチル−2−ピロリドンは活
物質を均一に分散できる点で好ましいものである。これ
らの溶媒は、バインダ樹脂組成物を均一に分散、溶解で
きればよく単独で又は二種類以上組み合わせて用いられ
る。
【0039】電極を作製するには、まず、上記のバイン
ダ樹脂組成物に活物質を添加し、リチウム電池用のスラ
リーを調製する。
【0040】正極として用いる電極用の正極活物質とし
ては、充放電により可逆的にリチウムイオンを挿入、放
出できる遷移金属酸化物であればよく、前記正極材料と
しては、例えば、一般式、Li1−x2+x(x
は−1<x<1であり、MはCo、Mn、Ni、Fe、
Cr等の金属、あるいはこれらの金属の複合体であ
る)、Li1−x1+x(xは−1<x<1であ
り、MはCo、Mn、Ni、Fe、Cr等の金属、ある
いはこれらの金属の複合体である)、Li1−x
2+x(xは−1<x<1であり、MはV、Nb、
Ta等の金属、あるいはこれらの金属の複合体であ
る)、Li2−x2+x(xは−1<x<1であ
り、MはV、Nb、Ta等の金属、あるいはこれらの金
属の複合体である)で表されるリチウム金属酸化物また
はリチウム金属複合酸化物、Li1−xTiS (xは
0<x<1)、Li1−xMoS(xは0<x<
1)、Li3−yNbSe(yは0<y<3)等の金
属カルコゲナイド、ジチオール誘導体、ジスルフィド誘
導体などの有機化合物などが挙げられる。これらは単独
でまたは2種類以上を組み合わせて使用される。
【0041】また、上記の例えばLi1−x1+x
などで示されるようなリチウム金属複合酸化物とは、
複数の金属種が存在するもので、例えばリチウムニッケ
ル複合酸化物の場合は、Al、V、Cr、Fe、Co、
Sr、Mo、W、Mn、B、Mgから選ばれる少なくと
も1種以上の金属でニッケルサイトまたはリチウムサイ
トが置換されたリチウムニッケル酸化物複合体であり、
同様に、リチウムマンガン複合酸化物においてはAl、
V、Cr、Fe、Co、Sr、Mo、W、Mn、B、M
gから選ばれる少なくとも1種以上の金属でマンガンサ
イトまたはリチウムサイトが置換されたリチウムマンガ
ン酸化物複合体を意味するものである。
【0042】一方、負極用の活物質としては、例えば、
非晶質炭素、黒鉛、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭
素材料が好ましいものとして挙げられ、炭素材料以外で
は、シリコン、すず、銀等の金属又はこれらの酸化物な
どが使用できる。これらの活物質は単独で又は二種以上
組み合わせて用いられる。
【0043】なお、正極用のスラリーにはバインダ樹脂
組成物と活物質の他に、カーボンブラックや黒鉛等の導
電助剤を単独で又は二種以上組み合わせて添加してもよ
い。
【0044】上記リチウム電池用のスラリーを用いたリ
チウム電池用電極の作製方法及び作製したリチウム電池
用電極を正極及び/又は負極に用いた本発明のリチウム
電池の製造方法については特に制約はないが、いずれも
公知の方法を利用できる。
【0045】本発明の電池に使用される電解液として
は、電池の機能を発揮させるものであれば特に制限はな
く、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボ
ネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート
等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン
類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、
ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロ
フラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル
類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3
−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等
のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、N−
メチル−2−ピロリドン等の含窒素類;ギ酸メチル、酢
酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオ
ン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグ
ライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム
類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等の
スルホラン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等の
オキサゾリジノン類;1,3−プロパンサルトン、1,
4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類な
どの有機溶剤に、LiCl、LiBF、LiI、Li
PF、LiCFSO、LiCFCO、LiA
sF、LiSbF、LiAlCl、LiCl、L
iBr、LiB(C、LiCHSO、L
iCSO、Li(CFSONなどの電
解質を溶解した溶液が挙げられる。これらのうちでは、
カーボネート類にLiPFを溶解した電解液が好まし
い。電解液の有機溶剤は、単独で又は二種類以上組み合
わせて用いられる。
【0046】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれに制限されるものではない。
【0047】(1)カルボキシル基含有樹脂組成物(1
〜7)の製造方法 カルボキシル基含有樹脂組成物1の製造法 攪拌機、温度計、冷却管、留出管及び窒素ガス導入管を
装着した0.5リットルのセパラブルフラスコ内に、窒
素雰囲気下、カルボキシル基を有する樹脂として、ポリ
アクリル酸(和光純薬工業(株)社製、重量平均分子量
約590、000)19.6g及び有機溶媒としてN−
メチル−2−ピロリドン320.0g(関東化学(株)
社製、脱水グレード)を仕込み、120℃に昇温後、同
温度で1時間保温して均一溶液を調製した。次いで、1
20℃保温下の上記溶液に共沸脱水溶媒としてトルエン
15.0gを添加後、180〜185℃に昇温した。同
温度範囲でトルエンを還流させながら約2時間かけて系
内に存在する吸着水分(約1g)及びオリゴマー成分
(約1.4g)を留去した。その後、トルエンを留去
し、ポリアクリル酸を精製した。この溶液の固形分の酸
価は616KOHmg/g(カルボキシル基濃度:0.
19モル/17.2g)であった。
【0048】この溶液を25℃に保ち、アミン化合物と
して一般式(1)に示すハンツマンコーポレーション社
製、商品名:ジェファーミンD2000(式中、X:平
均33、分子量:約2000)5.16gおよびN−メ
チル−2−ピロリドン60gを加えて1時間攪拌してカ
ルボキシル基含有樹脂組成物1を合成した。
【0049】
【化1】 カルボキシル基含有樹脂組成物2の製造法 ジェファーミンD2000を8.6gとする以外はカル
ボキシル基含有樹脂組成物1と同様な方法で調製し、カ
ルボキシル基含有樹脂組成物2を得た。
【0050】カルボキシル基含有樹脂組成物3の製造法 アミン化合物として一般式(2)に示すハンツマンコー
ポレーション社製、商品名:ジェファーミンED200
3(式中、b:平均40.5、aとcの合計平均:2.
5、分子量:約2000)5.16gを用いる以外はカ
ルボキシル基含有樹脂組成物1と同様な方法で調製し、
カルボキシル基含有樹脂組成物3を得た。
【0051】
【化2】 カルボキシル基含有樹脂組成物4 アミン化合物として一般式(3)に示すハンツマンコー
ポレーション社製、商品名:ジェファーミンT3000
(式中、x、y、zの合計平均:50、分子量:約30
00)5.16gを用いる以外はカルボキシル基含有樹
脂組成物1と同様な方法で調製し、カルボキシル基含有
樹脂組成物4を得た。
【0052】
【化3】 カルボキシル基含有樹脂組成物5 攪拌機、温度計、冷却管、留出管及び窒素ガス導入管を
装着した0.5リットルのセパラブルフラスコ内に、窒
素雰囲気下、カルボキシル基を有する樹脂として、ポリ
アクリル酸(和光純薬工業(株)社製、重量平均分子量
約590、000)19.6g及び有機溶媒としてN−
メチル−2−ピロリドン320.0g(関東化学(株)
社製、脱水グレード)を仕込み、120℃に昇温後、同
温度で1時間保持して均一溶液を調製した。次いで、1
20℃保温下の上記溶液に共沸脱水溶媒としてトルエン
15.0gを添加後、180〜185℃に昇温した。同
温度範囲で約2時間トルエンを還流し、系内に存在する
吸着水分(約1g)及び成分中のオリゴマー成分(約
1.4g)を留去した。その後、トルエンを留去し、ポ
リアクリル酸を精製した。この溶液の固形分の酸価は6
16KOHmg/g(カルボキシル基濃度:0.19モ
ル/17.2g)であった。続いて系を150℃まで降
温後、ポリアクリル酸のカルボキシル基に付加させる一
官能化合物としてフェニルグリシジルエーテル1.63
g(エポキシ濃度:0.10109モル/1.63g)
およびN−メチル−2−ピロリドン2.0gを添加し
た。同温度で1時間保持し、ポリアクリル酸とフェニル
グリシジルエーテルを反応させた後、25℃まで冷却
し、固形分の酸価が528KOHmg/gであるポリカ
ルボン酸誘導体を合成した。この溶液を25℃に保ち、
ジェファーミンD2000を5.95gおよびN−メチ
ル−2−ピロリドンを60g加えて1時間攪拌してカル
ボキシル基含有樹脂組成物5を合成した。
【0053】カルボキシル基含有樹脂組成物6 攪拌機、温度計、冷却管、留出管及び窒素ガス導入管を
装着した0.5リットルのセパラブルフラスコ内に、窒
素雰囲気下、カルボキシル基を有する樹脂として、ポリ
アクリル酸(和光純薬工業(株)社製、重量平均分子量
約590、000)19.6g及び有機溶媒としてN−
メチル−2−ピロリドン320.0g(関東化学(株)
社製、脱水グレード)を仕込み、120℃に昇温後、同
温度で1時間保温して均一溶液を調製した。次いで、1
20℃保温下の上記溶液に共沸脱水溶媒としてトルエン
15.0gを添加後、180〜185℃に昇温した。同
温度範囲でトルエンを還流させながら約2時間かけて系
内に存在する(A)成分中の吸着水分(約1g)及び
(A)成分中のオリゴマー成分(約1.4g)を留去し
た。その後、トルエンを留去し、ポリアクリル酸を精製
した。この溶液の固形分の酸価は616KOHmg/g
(カルボキシル基濃度:0.19モル/17.2g)で
あった。この溶液を25℃に保ち、アミン化合物として
一般式(1)に示すハンツマンコーポレーション社製、
商品名:ジェファーミンD2000(式中、X:平均3
3、分子量:約2000)5.16g、架橋剤として平
均分子量3750のビスフェノールA型エポキシ樹脂
(油化シェルエポキシ(株)社製、商品名:エピコート
1009)3.2g、およびN−メチル−2−ピロリド
ン100gを加えて1時間攪拌してカルボキシル基含有
樹脂組成物6を合成した。
【0054】カルボキシル基含有樹脂組成物7 攪拌機、温度計、冷却管、留出管及び窒素ガス導入管を
装着した0.5リットルのセパラブルフラスコ内に、窒
素雰囲気下、カルボキシル基を有する樹脂として、ポリ
アクリル酸(和光純薬工業(株)社製、重量平均分子量
約590、000)19.6g及び有機溶媒としてN−
メチル−2−ピロリドン320.0g(関東化学(株)
社製、脱水グレード)を仕込み、120℃に昇温後、同
温度で1時間保持して均一溶液を調製した。次いで、1
20℃保温下の上記溶液に共沸脱水溶媒としてトルエン
15.0gを添加後、180〜185℃に昇温した。同
温度範囲で約2時間トルエンを還流し、系内に存在する
吸着水分(約1g)及び成分中のオリゴマー成分(約
1.4g)を留去した。その後、トルエンを留去し、ポ
リアクリル酸を精製した。この溶液の固形分の酸価は6
16KOHmg/g(カルボキシル基濃度:0.19モ
ル/17.2g)であった。続いて系を150℃まで降
温後、ポリアクリル酸のカルボキシル基に付加させる一
官能化合物としてフェニルグリシジルエーテル1.63
g(エポキシ濃度:0.10109モル/1.63g)
およびN−メチル−2−ピロリドン2.0gを添加し
た。同温度で一時間保持し、ポリアクリル酸とフェニル
グリシジルエーテルとを反応させた後、25℃まで冷却
し、固形分の酸価が528KOHmg/gであるポリカ
ルボン酸誘導体を合成した。この溶液を25℃に保ち、
ジェファーミンD2000を5.95g、架橋剤として
平均分子量3750のビスフェノールA型エポキシ樹脂
(油化シェルエポキシ(株)社製、商品名:エピコート
1009)3.97g、およびN−メチル−2−ピロリ
ドンを100g加えて1時間攪拌してカルボキシル基含
有樹脂組成物7を合成した。
【0055】比較樹脂組成物1 ポリフッ化ビニリデンのN−メチル−2−ピロリドン溶
液(呉羽化学社製、商品名:KF−1100)を調製し
た。
【0056】比較樹脂組成物2 ポリアクリル酸(和光純薬工業(株)社製、重量平均分
子量約590、000)/ポリエチレンオキサイド(和
光純薬工業(株)社製、平均分子量20000以下同
様)=8:2(重量比)のN−メチル−2−ピロリドン
溶液を調製した。
【0057】得られたカルボキシル基含有樹脂組成物1
〜7と比較樹脂組成物1〜2を乾燥後の膜厚が約30μ
mとなるように、圧延銅箔またはアルミ箔上に、アプリ
ケータ法で流延した後、90℃で10分間予備乾燥し、
次いで150℃で1時間乾燥させて、塗膜を作製した。
次いで、あらかじめ両面テープで貼り付けたガラス板に
塗膜を貼り付け、ガラス板に貼り付けた圧延銅箔または
アルミ箔接着塗膜を得た。この塗膜の接着性(圧延銅箔
およびアルミ箔に対するピール強度)を測定した。その
結果を表1に示した。
【0058】
【表1】 表からカルボキシル基含有樹脂組成物1〜7は比較樹脂
組成物1〜2と比較して接着性に優れることが分かっ
た。
【0059】(2)正極電極の作製 実施例1 平均粒径10μmのリチウムマンガン酸化物と平均粒径
3μmの炭素粉末とバインダ樹脂としてカルボキシル基
含有樹脂組成物1を80:10:10の体積%の割合で
混合し、N−メチル−2−ピロリドンに投入混合して、
スラリー状の溶液を作製した。次いで、厚み20μmの
アルミニウム箔の両面にこの溶液を塗布、乾燥した。合
剤塗布量は片面290g/mである。その後、合剤か
さ密度が2.6g/cmになるようにロールプレス機
で圧延し、54mm幅に切断して短細状の正極合剤電極
シートを作製した。正極合剤電極シートの端部にアルミ
ニウム製の集電タブを超音波融着し、その後、電極内の
残留溶媒、吸着水の除去のため、150℃で16時間真
空乾燥して正極合剤電極を得た。本実験では可逆的にリ
チウムイオンを挿入、放出できる遷移金属酸化物として
Li1.12Mn .88という組成のリチウムマ
ンガン酸化物を用いた。圧延前後の電極の状態につい
て、剥離の有無およびクラックの発生を目視で調べた。
【0060】さらに、得られた電極について、LiPF
の濃度が1Mとなるように溶解した溶媒組成の異なる
2種類の電解液(電解液Aおよび電解液B)を用い、こ
れらの電解液に50℃、24時間浸漬後の電極の外観異
常の有無を電子顕微鏡(倍率1000倍)により観察
し、耐電解液性を評価した。用いた電解液はつぎのとお
りである。
【0061】電解液A:濃度が1MとなるようにLiP
を溶解させたエチレンカーボネート/ジメチルカー
ボネートの1/2(体積比)の混合液 電解液B:濃度が1MとなるようにLiPFを溶解さ
せたエチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/ジ
エチルカーボネートの1/1/1(体積比)の混合液 得られた結果を表2に示した。
【0062】実施例2〜7 バインダ樹脂としてカルボキシル基含有樹脂組成物2〜
7を用いる以外は実施例1と同様にして正極合剤電極を
得た。得られた電極について剥離の有無およびクラック
の発生、耐電解液性について同様に評価した。結果を表
2に示した。
【0063】実施例8 平均粒径10μmのリチウムコバルト酸化物(LiCo
)と平均粒径3μmの炭素粉末とバインダ樹脂とし
てカルボキシル基含有樹脂組成物1とを80:10:1
0の体積%の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリド
ンに投入混合して、スラリー状の溶液を作製した。厚み
20μmのアルミニウム箔の両面にこの溶液を塗布、乾
燥した。合剤塗布量は片面290g/mである。その
後合剤かさ密度が2.6g/cmになるようにロール
プレス機で圧延し、54mm幅に切断して短細状の正極
合剤電極シートを作製した。正極合剤電極シートの端部
にアルミニウム製の集電体タブを超音波融着し、その
後、電極内の残留溶媒、吸着水の除去のため、150℃
で16時間真空乾燥して正極合剤電極を得た。得られた
電極について剥離の有無およびクラックの発生、耐電解
液性について同様に評価した。結果を表2に示した。
【0064】実施例9 平均粒径10μmのリチウムニッケル酸化物(LiNi
)と平均粒径3μmの炭素粉末とバインダ樹脂とし
てカルボキシル基含有樹脂組成物1とを80:10:1
0の体積%の割合で混合し、N−メチル−2−ピロリド
ンに投入混合して、スラリー状の溶液を作製した。厚み
20μmのアルミニウム箔の両面にこの溶液を塗布乾燥
した。合剤塗布量は片面220g/mである。その後
合剤かさ密度が3.5g/cmになるようにロールプ
レス機で圧延し、54mm幅に切断して短細状の正極合
剤電極シートを作製した。正極合剤電極シートの端部に
アルミニウム製の集電体タブを超音波融着し、その後、
電極内の残留溶媒、吸着水の除去のため、150℃で1
6時間真空乾燥して正極合剤電極を得た。得られた電極
について剥離の有無およびクラックの発生、耐電解液性
について同様に評価した。結果を表2に示した 比較例1 平均粒径10μmのリチウムマンガン酸化物と平均粒径
3μmの炭素粉末とバインダ樹脂としてポリフッ化ビニ
リデンとを80:10:10の体積%の割合で混合し、
N−メチル−2−ピロリドンに投入混合して、スラリー
状の溶液を作製した。厚み20μmのアルミニウム箔の
両面にこの溶液を塗布乾燥した。合剤塗布量は片面29
0g/mである。その後合剤かさ密度が2.6g/c
になるようにロールプレス機で圧延し、54mm幅
に切断して短細状の正極合剤電極シートを作製した。正
極合剤電極シートの端部にアルミニウム製の集電体タブ
を超音波融着し、その後、電極内の残留溶媒、吸着水の
除去のため、150℃で16時間真空乾燥して正極合剤
電極を得た。得られた電極について剥離の有無およびク
ラックの発生、耐電解液性について同様に評価した。結
果を表2に示した。
【0065】比較例2 正極活物質として平均粒径10μmのリチウムコバルト
酸化物を用いる以外は比較例1と同様にして正極合剤電
極を得た。得られた電極について剥離の有無およびクラ
ックの発生、耐電解液性について同様に評価した。結果
を表2に示した。
【0066】比較例3 正極活物質として平均粒径10μmのリチウムニッケル
酸化物を用いる以外は比較例1と同様にして正極合剤電
極を得た。得られた電極について剥離の有無およびクラ
ックの発生、耐電解液性について同様に評価した。結果
を表2に示した。
【0067】比較例4 バインダ樹脂としてポリアクリル酸/ポリエチレンオキ
サイド=8:2(重量比)を用いる以外は比較例1と同
様にして正極合剤電極を得た。得られた電極について剥
離の有無およびクラックの発生、耐電解液性について同
様に評価した。結果を表2に示した。
【0068】比較例5 正極活物質として平均粒径10μのリチウムコバルト酸
化物を用いる以外は比較例4と同様にして正極合剤電極
を得た。得られた電極について剥離の有無およびクラッ
クの発生、耐電解液性について同様に評価した。結果を
表2に示した。
【0069】比較例6 正極活物質として平均粒径10μのリチウムニッケル酸
化物を用いる以外は比較例4と同様にして正極合剤電極
を得た。得られた電極について剥離の有無およびクラッ
クの発生、耐電解液性について同様に評価した。結果を
表2に示した。
【0070】(3)負極電極の作製 実施例10 平均粒径20μmの非晶質炭素とバインダ樹脂としてカ
ルボキシル基含有樹脂組成物1とを90:10体積%の
割合で混合し、N−メチル−2−ピロリドンに投入混合
して、スラリー状の溶液を作製した。厚み10μmの銅
箔の両面にこの溶液を塗布乾燥した。合剤塗布量は片面
65g/mである。合剤かさ密度が1.0g/cm
になるように、ロールプレス機で圧延し、56mm幅に
切断して短細状の負極合剤電極シートを作製した。負極
合剤電極シートの端部にニッケル製の集電体タブを超音
波融着し、その後、電極内の残留溶媒、吸着水の除去の
ため、150℃で16時間真空乾燥して負極合剤電極を
得た。得られた電極について剥離の有無およびクラック
の発生、耐電解液性について同様に評価した。結果を表
2に示した。
【0071】実施例11〜16 バインダ樹脂としてカルボキシル基含有樹脂組成物2〜
7を用いる以外は実施例10と同様にして負極合剤電極
を得た。得られた電極について剥離の有無およびクラッ
クの発生、耐電解液性について同様に評価した。結果を
表2に示した。
【0072】実施例17 平均粒径20μmの人造黒鉛とバインダ樹脂としてカル
ボキシル基含有樹脂組成物1とを90:10重量%の割
合で混合し、N−メチル−2−ピロリドンに投入混合し
て、スラリー状の溶液を作製した。厚み10μmの銅箔
にこの溶液を塗布乾燥した。合剤塗布量は正極と対向す
る単位面積あたりに活物質利用率が負極/正極が1以上
になるように塗布した。実施例1〜7など正極活物質に
リチウムマンガン酸化物を用いた場合、片面130g/
で、実施例8の正極活物質にリチウムコバルト酸化
物を用いた場合、片面150g/mであり、実施例9
の正極活物質にリチウムニッケル酸化物を用いた場合、
片面150g/mである。合剤かさ密度はいずれの場
合も1.5g/cmになるように、ロールプレス機で
圧延し、56mm幅に切断して短細状の負極合剤電極シ
ートを作製した。負極合剤シートの端部にニッケル製の
集電体タブを超音波融着し、その後、電極内の残留溶
媒、吸着水の除去のため、150℃で16時間真空乾燥
して負極合剤電極を得た。得られた電極について剥離の
有無およびクラックの発生、耐電解液性について同様に
評価した。結果を表2に示した。
【0073】比較例7 平均粒径20μmの非晶質炭素とバインダ樹脂としてポ
リフッ化ビニリデンとを90:10体積%の割合で混合
し、N−メチル−2−ピロリドンに投入混合して、スラ
リー状の溶液を作製した。厚み10μmの両面にこの溶
液を塗布乾燥した。合剤塗布量は正極と対向する単位面
積あたりに活物質利用率が負極/正極が1以上になるよ
うに塗布した。実施例1〜7など正極活物質にリチウム
マンガン酸化物を用いた場合、片面65g/mで、実
施例8の正極活物質にリチウムコバルト酸化物を用いた
場合、片面100g/mであり、実施例9の正極活物
質にリチウムニッケル酸化物を用いた場合、片面100
g/mである。合剤かさ密度はいずれの場合も1.0
g/cmになるように、ロールプレス機で圧延し、5
6mm幅に切断して短細状の負極合剤電極シートを作製
した。負極合剤電極シートの端部にニッケル製の集電体
タブを超音波溶着(融着)し、その後、電極内の残留溶
媒、吸着水の除去のため、120℃で16時間真空乾燥
して負極合剤電極を得た。得られた電極について剥離の
有無およびクラックの発生、耐電解液性について同様に
評価した。結果を表2に示した。
【0074】比較例8 カルボキシル基含有樹脂組成物1にかえてポリフッ化ビ
ニリデン樹脂を用いる以外は実施例17と同様にして負
極合剤電極を得た。得られた電極について剥離の有無お
よびクラックの発生、耐電解液性について同様に評価し
た。結果を表2に示した。
【0075】比較例9 バインダ組成物としてポリアクリル酸/ポリエチレンオ
キサイド=8:2(重量比)を用いる以外は比較例7と
同様にして負極合剤電極を得た。得られた電極について
剥離の有無およびクラックの発生、耐電解液性について
同様に評価した。結果を表2に示した。
【0076】比較例10 バインダ組成物としてポリアクリル酸/ポリエチレンオ
キサイド=8:2(重量比)を用いる以外は実施例17
と同様にして負極合剤電極を得た。得られた電極につい
て剥離の有無およびクラックの発生、耐電解液性につい
て同様に評価した。結果を表2に示した。
【0077】
【表2】 表2に示した通り、ポリアクリル酸/ポリエチレンオキ
サイド組成物をバインダ樹脂として用いた場合、可とう
性不足によりプレス時に剥離してしまい、耐電解液性評
価およびその後の電池作製は困難であった。またポリフ
ッ化ビニリデンをバインダ樹脂として用いた場合、電極
合剤を50℃で電解液に浸漬すると表面のバインダ樹脂
が膨潤し、電極合剤基剤からの剥離やバインダ樹脂が活
物質を被覆する状況が観察された。これらに対して実施
例1〜17ではバインダ樹脂組成物の電解液に対する耐
性が向上し、これらの現象は観察されなかった。
【0078】(4)電池の作製 上記実施例1〜9および比較例1〜3で作製した正極電
極と実施例10〜17および比較例7、8で作製した負
極電極を表3に示すように組み合わせ、厚さ25μm幅
58mmのポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを
介して捲回し、スパイラル状の捲回群を作製した。
【0079】
【表3】 この捲回群を電池缶に挿入し、予め負極集電体の銅箔に
溶接しておいたニッケルタブ端子を電池缶底に溶接し
た。
【0080】次にエチレンカーボネート/ジメチルカー
ボネート=1/2(体積比)に混合した溶液にLiPF
を1mol/Lの濃度で溶解した電解液を電池容器に
5mlに注入した。次に、予め正極集電体のアルミニウ
ム箔に溶接したアルミニウムタブ端子を蓋に溶接して、
蓋を絶縁性のガスケットを介して電池缶の上部に配置さ
せ、この部分をかしめて密閉し、直径18mm、高さ6
5mmの円筒形電池を作製した。得られた電池を次のよ
うにして評価した。
【0081】本発明品1〜15及び比較品1の電池は、
充電電流400mA、制限電圧4.2Vで定電圧充電し
た後、放電電流800mAで放電終止電圧2.7Vにい
たるまで放電させて初回容量を測定した。
【0082】本発明品16、18および比較品2の電池
は、充電電流750mA、制限電圧4.2Vで定電圧充
電した後、充電電流1500mAで放電終止電圧2.5
Vにいたるまで放電させて初回容量を測定した。
【0083】本発明品17、19および比較品3の電池
は充電電流900mA、制限電圧4.15Vで定電圧充
電した後、充電電流1800mAで放電終止電圧3.0
Vに至るまで放電させて初回容量を測定した。
【0084】これらの条件での充電・放電を1サイクル
として、周囲温度50℃で、充放電容量の70%以下に
至るまで繰り返して測定を行い、寿命サイクル数を求め
た。得られた結果を表4に示す。
【0085】
【表4】 表4に示すように、活物質としてリチウムマンガン酸化
物、バインダとしてポリフッ化ビニリデン樹脂を用いた
正極と、活物質として非晶質炭素、バインダとしてポリ
フッ化ビニリデン樹脂を用いた負極とを組み合わせた比
較品1の電池は50サイクルで寿命に至っているにもか
かわらず、正極、負極少なくとも一方の電極のバインダ
樹脂組成物に本発明によるカルボキシル基含有樹脂組成
物を用いた非水電解液二次電池は、200サイクル以上
と寿命が延びている(本発明品1〜19)。特に、負極
バインダに本発明によるバインダ樹脂組成物を用いた非
水電解液二次電池は総じてサイクル寿命特性が向上して
いることがわかる。(本発明品1、3、4、6、8、1
4および19など)。
【0086】寿命後の電池を解体すると、比較品1は負
極合剤が電極基体である銅箔から剥離し、この部分に金
属リチウムの析出が確認されたが、本発明のバインダ樹
脂組成物を用いた電極には剥離も金属リチウムの析出も
認められなかった。このことから、本発明のバインダ組
成物を用いた電池は、電極基体と合剤層界面及び合剤層
相互間の優れた密着性を維持しているため、容量低下が
小さいものと考える。
【0087】
【発明の効果】本発明によると、耐電解液性並びに可と
う性に優れたカルボキシル基含有樹脂組成物が得られ、
このカルボキシル基含有樹脂組成物を用いることによ
り、耐電解液性並びに可とう性に優れた電池用バインダ
組成物が提供される。
【0088】また、このような電池用バインダ組成物と
活物質とを用いて形成した電極も耐電解液性並びに可と
う性に優れたものであり、電極基体と合剤層界面及び合
剤層相互間の優れた密着性が維持される結果、得られる
電池は容量低下が小さく、寿命サイクル数に優れたもの
となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 4/62 H01M 4/62 Z 10/04 10/04 W 10/40 10/40 Z (72)発明者 真下 清孝 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 鈴木 健司 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 園部 宏幸 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 羽場 英介 茨城県日立市東町四丁目13番1号 日立化 成工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 西村 伸 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 4J002 BG011 CH022 EN026 EN036 EN046 GQ00 HA03 5H028 BB05 BB06 BB07 CC02 CC12 EE06 FF00 HH00 5H029 AJ00 AJ05 AJ14 AK03 AL06 AM03 AM04 AM05 AM07 BJ14 CJ02 CJ07 CJ08 CJ22 CJ28 DJ08 EJ12 HJ00 HJ02 5H050 AA00 AA07 AA19 BA15 CA09 CB07 DA11 EA23 FA05 GA02 GA09 GA10 GA22 GA27 HA00 HA02

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)カルボキシル基を有する樹脂と、
    (B)アミン化合物とを含有することを特徴とするカル
    ボキシル基含有樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)カルボキシル基を有する樹脂がポ
    リカルボン酸及び/又はその誘導体であることを特徴と
    する請求項1記載のカルボキシル基含有樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)カルボキシル基を有する樹脂と
    (B)アミン化合物とを、(A)成分中のカルボキシル
    基1当量に対して、(B)成分のアミノ基が1当量未満
    となるような割合で含有することを特徴とする請求項1
    又は2記載のカルボキシル基含有樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (A)ポリカルボン酸誘導体がポリカル
    ボン酸のカルボキシル基に一官能化合物を付加反応させ
    た、酸価200〜700KOHmg/gのポリマーであ
    ることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記
    載のカルボキシル基含有樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 (B)アミン化合物が多官能アミンであ
    る請求項1〜請求項4のいずれかに記載のカルボキシル
    基含有樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 多官能アミンがポリオキシアルキレン骨
    格を有するものであることを特徴する請求項5記載のカ
    ルボキシル基含有樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の
    カルボキシル基含有樹脂組成物を含む電池用バインダ樹
    脂組成物。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の電池用バインダ樹脂組成
    物を溶媒に分散または溶解させ、これに活物質を混合し
    たスラリーを集電体表面に塗布後、溶媒を除去して製造
    された電極。
  9. 【請求項9】 活物質が充放電により可逆的にリチウム
    イオンを挿入・放出できるものであることを特徴とする
    請求項8記載の電極。
  10. 【請求項10】 活物質が炭素材料であることを特徴と
    する請求項8又は9記載の電極。
  11. 【請求項11】 活物質が一般式LiMn(x
    は0.2≦x≦2.5の範囲であり、yは0.8≦y≦
    1.25の範囲である)で示されるリチウムマンガン酸
    化物であることを特徴とする請求項8又は9記載の電
    極。
  12. 【請求項12】 請求項8〜請求項11のいずれかに記
    載の電極を用いて製造された電池。
  13. 【請求項13】 電池がリチウムイオン二次電池である
    ことを特徴とする請求項12記載の電池。
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