JP2016056342A - ポリエーテル共重合体 - Google Patents

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Masashi Hashimoto
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Abstract

【課題】イオン伝導性が高く、電池性能を向上させることができるポリエーテル共重合体の提供。
【解決手段】エーテル結合を側鎖に有するポリエーテル共重合体であって、該ポリエーテル共重合体は、式(2)で表される構造単位を50モル%以下の割合で有し、該ポリエーテル共重合体に含まれるSn、P、Alの合計含有量が0.01質量%以下であるポリエーテル共重合体。
Figure 2016056342

(Rは各々独立にC1〜4の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基;Rは各々独立にC1〜18の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基;nは、1〜12の整数)
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエーテル共重合体に関する。より詳しくは、リチウムイオン電池等の電池用材料として好適に用いることができるポリエーテル共重合体に関する。
近年、環境問題への関心の高まりを背景に、石油や石炭等の化石燃料からのエネルギー資源の転換が進んでおり、これらに代わるエネルギー源として電池が注目されている。中でも、繰り返し充放電を行うことができる二次電池は、携帯電話やノートパソコン等の電子機器だけでなく、自動車や航空機等、様々な分野においても使用されており、各種電池や電池に用いられる材料について、研究、開発が行われている。特に、容量が大きく、軽量のリチウムイオン電池については、今後の利用の拡大が最も期待され、最も研究、開発が活発に行われている。
このような電池に用いられる材料として、近年では、液体の電解質に比べて電極界面での異常反応が起こりにくく安全性の高い固体電解質が種々検討されている。従来の固体電解質として、特定のポリエーテル共重合体と電解質塩とを含む電解質材料が開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
特開2004−182778号公報 特開平2-24975号公報 特許第3215436号公報
上述のように、電池の固体電解質等に用いられるポリエーテル共重合体について種々の研究がなされているが、従来の技術では、イオン伝導性を高いレベルで満足するものは得られておらず、高いイオン伝導性を発揮でき、電池性能を向上させることができるポリエーテル共重合体を開発する工夫の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、イオン伝導性が高く、電池性能を向上させることができるポリエーテル共重合体を提供することを目的とする。
本発明者は、ポリエーテル共重合体について種々検討したところ、オキシアルキレン基を主鎖骨格とし、更に側鎖にオキシアルキレン基を有する構造のポリエーテル共重合体であって、共重合体に含まれるSn、P、Alの含有量を特定の量以下であるものが、電解質として良好なイオン伝導性を発揮し、電池性能を向上させることができることを見出した。更に本発明者は、このポリエーテル共重合体が電極組成物を製造する際のバインダーとしても好適に用いることができることも見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、エーテル結合を側鎖に有するポリエーテル共重合体であって、上記ポリエーテル共重合体は、下記一般式(1);
Figure 2016056342
(式中、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2の炭化水素基を表す。)で表される構造単位及び下記一般式(2);
Figure 2016056342
(式中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基を表す。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基を表す。nは、1〜12の整数を表す。)で表される構造単位を有し、上記ポリエーテル共重合体に含まれるSn、P、Alの合計含有量が0.01質量%以下であるポリエーテル共重合体である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
(ポリエーテル共重合体)
本発明のポリエーテル共重合体は、上記一般式(1)で表される構造単位と上記一般式(2)で表される構造単位とを有する、エーテル結合を側鎖に有するポリエーテル共重合体である。ポリエーテル共重合体に、エーテル結合を有する側鎖官能基を導入することで、ポリマーの運動性が向上し、イオン伝導性、特にLiイオンの伝導性を向上させることができる。
上記一般式(1)におけるRは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2の炭化水素基である。炭素数1〜2の炭化水素基としては、メチル基、エチル基等が挙げられ、Rとして好ましくは水素原子、エチル基である。
ここで、「同一又は異なって」とは、上記ポリエーテル共重合体が一般式(1)で表される構造単位を複数有する場合に、それぞれのRが、同一であっても異なっていてもよいことを意味する。
上記ポリエーテル共重合体に、一般式(1)で表される構造単位を導入するための原料単量体としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、エチレンオキシド、ブチレンオキシドが好ましい。
上記ポリエーテル共重合体は、ポリエーテル共重合体を形成する全構造単位の総量100モル%に対して、上記一般式(1)で表される構造単位を50〜99モル%の割合で有することが好ましい。
ポリエーテル共重合体における一般式(1)で表される構造単位の割合として、より好ましくは60〜99モル%、更に好ましくは70〜99モル%である。
上記一般式(2)におけるRは、同一又は異なって、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基である。炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基としては、メチレン(−CH−)、エチレン(−CHCH−)、トリメチレン(−CHCHCH−)、テトラメチレン(−CHCHCHCH−)等の、直鎖のアルキレン基;エチリデン[−CH(CH)−]、プロピレン[−CH(CH)CH−]、プロピリデン[−CH(CHCH)−]、イソプロピリデン[−C(CH−]、ブチレン[−CH(CHCH)CH−]、イソブチレン[−C(CHCH−]、ブチリデン[−CH(CHCHCH)−]、イソブチリデン[−CH(CH(CH)−]等の分岐鎖のアルキレン基等が挙げられる。
これらの中でも、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン等の直鎖アルキレン基、プロピレン、プロピリデン、ブチレン、ブチリデン等の分岐鎖アルキレン基が高いイオン伝導度を示すという点で好ましい。より好ましくは、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、プロピレン、プロピリデン、ブチレンであり、更に好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンである。
上記一般式(2)において、Rは1種であっても2種以上であってもよい。Rが2種以上である場合、−(R−O)−で表されるオキシアルキレン基の付加形態は、ブロック状、ランダム状等のいずれの形態であってもよい。
上記一般式(2)におけるROで表される基の平均付加モル数を表すnは、1〜12であり、ROで表されるオキシアルキレン基の種類によっても異なるが、1〜10の範囲であることが好ましい。本発明の共重合体は、側鎖にオキシアルキレン基を有することにより、イオン伝導性が優れたものとなる。nがこのような範囲にあると、重合体の低温領域でのイオン伝導性が良好に発揮されるが、nが12より大きくなると、重合体の物性へのオキシアルキレン構造の寄与が大きくなり、低温では凍結してしまう等により性能が低下する。
nは、より好ましくは1〜8であり、更に好ましくは1〜6であり、更により好ましくは1〜4である。
上記一般式(2)におけるRは、同一又は異なって、炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基である。炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の、炭素数1〜18の脂肪族等が挙げられる。
の炭素数が大き過ぎると、得られる共重合体のガラス転移温度が低くなるものの、疎水性が向上するため好ましくない。これらの中でも、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の炭素数1〜8の脂肪族アルキル基が好ましい。より好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチルである。
上記ポリエーテル共重合体に、一般式(2)で表される構造単位を導入するための原料単量体としては、メトキシエチルグリシジルエーエル、プロポキシエチルグリシジルエーテル、ブトキシエチルグシリジルエーテル、メトキシエトキシエチルグリシジルエーテル、プロポキシエトキシエチルグリシジルエーテル、ブトキシエトキシエチルグシリジルエーテル、トリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールプロピルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールブチルグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールメチルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、メトキシエチルグリシジルエーエル、メトキシエトキシエチルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールメチルグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールメチルグリシジルエーテルがより好ましく、メトキシエチルグリシジルエーエル、メトキシエトキシエチルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールメチルグリシジルエーテルが更に好ましい。
上記ポリエーテル共重合体は、ポリエーテル共重合体を形成する全構造単位の総量100モル%に対して、上記一般式(2)で表される構造単位を50モル%以下の割合で有することが好ましい。上記一般式(2)で表される構造単位を50モル%以下の割合で上記ポリエーテル共重合体の製造を行うと、連鎖移動反応をより充分に抑制することができ、分子量をより充分に増加させることができる。ポリエーテル共重合体における一般式(2)で表される構造単位の割合として、より好ましくは1〜40モル%、更に好ましくは1〜30モル%である。
上記ポリエーテル共重合体は、上記一般式(1)、一般式(2)で表される構造単位以外のその他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位としては、特に制限されないが、例えば、側鎖に架橋性官能基を有する構造単位が挙げられる。
上記ポリエーテル共重合体が側鎖に架橋性官能基を有する構造単位を有する場合には、電解質膜を形成することが可能となる。
上記ポリエーテル共重合体に、側鎖に架橋性官能基を有する構造単位を導入するための原料単量体としては、エポキシブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカジエン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロへキセン、1,2−エポキシ−5−シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジル、グリシジル−4−ヘキサノエート、又は、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、4−ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、α−テルペニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、4−ビニルベンジルグリシジルエーテル、4−アリルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールアリルグリシジルエーテル、エチレングリコールビニルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールアリルグリシジルエーテル、ジエチレングリコールビニルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールアリルグリシジルエーテル、トリエチレングリコールビニルグリシジルエーテル、オリゴエチレングリコールアリルグリシジルエーテル、オリゴエチレングリコールビニルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらの中でも、エポキシブテン、アリルグリシジルエーテルが好ましく、アリルグリシジルエーテルがより好ましい。
上記ポリエーテル共重合体は、ポリエーテル共重合体を形成する全構造単位の総量100モル%に対して、上記その他の構造単位の割合が0〜10モル%であることが好ましい。
ポリエーテル共重合体における上記その他の構造単位の割合として、より好ましくは0〜7モル%、更に好ましくは0〜5モル%である。
上記ポリエーテル共重合体は、重量平均分子量が1000〜200,000であることが好ましい。従来、電池に使用されるポリエーテル共重合体としては、重量平均分子量が20万〜200万のものが使用され、低分子量のものは、イオン伝導度の低下等を招くと考えられていた。しかしながら、Sn、P、Alの合計含有量が所定の範囲のポリエーテル共重合体であれば、重量平均分子量が1000〜200,000の範囲で良好なイオン伝導性を発揮することができ、また、共重合体が取り扱いに優れるものとなり、共重合体のフィルム化が容易となる。更に、重量平均分子量が200,000以下の範囲であれば、共重合体の粘度が高くなることや、溶媒の使用量をより充分に抑制することができる。
ポリエーテル共重合体の重量平均分子量は、好ましくは3,000〜170,000であり、より好ましくは5,000〜140,000 であり、更に好ましくは10,000〜120,000である。
上記重量平均分子量は、後述する実施例と同様の方法により測定することができる。
上記ポリエーテル共重合体は、ポリエーテル共重合体の総量100質量%に対して、飽和炭化水素溶媒の含有量が5質量%以下であることが好ましい。飽和炭化水素溶媒は、ポリエーテル共重合体の重合時に使用される溶媒であり、共重合体に残存する飽和炭化水素溶媒の含有量が5質量%以下であれば、共重合体に含まれる揮発分を充分に少なくできるため、ポリエーテル共重合体が、安全性に優れることとなる。飽和炭化水素溶媒の含有量として、好ましくは4質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
上記飽和炭化水素溶媒の含有量は、後述する実施例と同様の方法により測定することができる。
上記飽和炭化水素溶媒としては、特に限定されるものではないが、n−ペンタン、n−ヘキサン、3−メチルヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、2−エチルヘキサン、n−デカン、2,2,4−トリメチルペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロへキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒等が挙げられる。
これらの中でも、脂肪族炭化水素系溶媒が好ましく、さらに好ましくはn−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンである。
上記ポリエーテル共重合体は、ポリエーテル共重合体の総量100質量%に対して、トルエン、スチレン等の芳香族炭化水素系溶媒の含有量が5質量%以下であることが好ましい。芳香族炭化水素系溶媒は、ポリエーテル共重合体の重合時に使用される溶媒であり、共重合体に残存する芳香族炭化水素系溶媒の含有量が5質量%以下であれば、共重合体に含まれる揮発分を充分に少なくできるため、ポリエーテル共重合体が、安全性に優れることとなる。芳香族炭化水素系溶媒の含有量として、より好ましくは3質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
上記芳香族炭化水素系溶媒の中でもトルエンの含有量が上記範囲であることが好ましい。
上記芳香族炭化水素系溶媒の含有量は、飽和炭化水素溶媒の含有量と同様の方法により測定することができる。
上記ポリエーテル共重合体は、融点が40℃以上であることが好ましい。融点が40℃以上であると、ポリエーテル共重合体が室温で固体となるため、ポリエーテル共重合体をシート化、ペレット化する際の取り扱い性が向上する。融点はより好ましくは42℃以上であり、更に好ましくは45℃以上である。また、融点は好ましくは60℃以下であり、より好ましくは55℃以下であり、更に好ましくは50℃以下である。
上記ポリエーテル共重合体の融点は、以下の測定条件下で、DSC(示差走査熱量計)により求めることができる。
測定機器:SSC5200Hシステム(セイコー電子工業社製)
測定方法:減圧乾燥機で80℃、2h乾燥を行い、反応混合物中の揮発分を除いたサンプルを、分析装置内で100℃まで急熱(急加熱)することにより一旦ポリマーを融解後、−150℃まで急冷することにより結晶化したポリマーを5℃/minで100℃まで昇温する際の結晶の融解挙動から融点を求める。さらに、100℃から5℃/minで−20℃まで冷却する際に現れる結晶化に伴う発熱ピークから結晶化温度を求める。
上記ポリエーテル共重合体は、重合体に含まれるSn、P、Alの合計含有量が0.01質量%以下である。上記Sn、P、Alは、主に共重合体の重合反応に用いられる触媒に由来する成分であり、Sn、P、Alは、Liイオン伝導性や電池性能を低下させる要因となるが、Sn、P、Alの合計含有量が0.01質量%以下であれば、ポリエーテル共重合体のLiイオン伝導性やポリエーテル共重合体を電池として用いた場合の電池性能を向上させることができる。
Sn、P、Alの合計含有量として、より好ましくは0.007質量%以下であり、更に好ましくは0.005質量%以下である。なお、上記のSnなどの元素は、重合体の触媒に用いられる場合があり、完全に除去することが困難な場合がある。Sn、P、Alの合計含有量が0.00001質量%以上であれば、その除去のための過度の精製作業を省略することができ、生成物の収率及び生産効率をより向上させることができる。生成物の収率及び生産効率の観点から、より好ましくは0.0001質量%以上である。
上記Sn、P、Alの含有量は、後述する実施例と同様の方法により測定することができる。
(ポリエーテル共重合体の製造方法)
本発明のポリエーテル共重合体の製造は、特に制限されず、通常用いられる方法により行うことができる。上記製造方法としては、例えば、得られるポリエーテル共重合体に上述の一般式(1)で表される構造単位を導入するために用いられる原料単量体、上述した一般式(2)で表される構造単位を導入するために用いられる原料単量体、及び、必要に応じて上述したその他の構造単位を導入するために用いられる原料単量体を含む単量体混合物を、溶媒中で攪拌重合する方法等が挙げられる。重合方法としては、特に制限されず、溶液重合法、沈殿重合法、懸濁重合等が挙げられる。これらの中でも、ポリエーテル共重合体の生産性の観点から溶液重合法により行うことが好ましい。
なお、上記単量体混合物には、得られるポリエーテル共重合体が本発明の有する効果を発揮することができる範囲内で、エチレンオキシド及び上記原料単量体の他にその他の成分が含まれていてもよい。単量体混合物が上記その他の成分を含む場合には、単量体混合物100質量%におけるその他の成分の含有量は、50質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、40質量%以下であり、更に好ましくは、30質量%以下である。
また、上記単量体混合物の反応系への添加方法としては、特に制限されないが、溶媒を仕込んだ反応系に単量体混合物を一括して供給してもよいし、連続的に又は断続的に供給する方法としてもよい。更に単量体混合物を連続的に又は断続的に供給する場合には、単量体混合物をあらかじめ調整しておいて供給してもよいし、単量体混合物に含まれる原料単量体等を各々独立して供給し、反応系中に添加された後に混合物となる形態であってもよい。
上述した製造方法の中でも、あらかじめ仕込んだ溶媒中に単量体混合物を連続的に供給しながら溶液重合を行う方法が、生産性、安全性の観点から、好ましい形態である。
上記ポリエーテル共重合体の製造方法において、溶媒の存在下に重合反応を行う場合に用いられる溶媒としては、通常重合反応に用いられる溶媒を用いることができるが、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、3−メチルヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、2−エチルヘキサン、n−デカン、2,2,4−トリメチルペンタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロへキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロオクタン等の脂環式炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、メチルブチルエーテル等のエーテル系溶媒;ジメトキシエタン等のエチレングリコールジアルキルエーテル類の溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒;等の有機溶媒が挙げられる。これらの中でも、トルエン、キシレンが好ましい。トルエン、キシレンを溶媒として用いた場合には、共重合体が溶媒に溶けた状態で均一に重合反応を行うことができ、共重合体の分子量の制御をより充分にすることができる。
上記溶媒の使用量としては、特に制限されず、反応に用いる単量体混合物の種類や、反応形態等に応じて適宜設定することができるが、例えば、単量体混合物の仕込み量100質量部に対して、溶媒を0〜300質量部使用することが好ましい。より好ましくは、10〜250質量部であり、更に好ましくは、50〜200質量部である。
上記ポリエーテル共重合体の製造は、重合反応の際に通常用いられる反応開始剤、酸化防止剤、可溶化剤等を用いて行うことができる。
上記反応開始剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;カリウムアルコラート、ナトリウムアルコラート等のアルコラート;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;金属カリウム、金属ナトリウム等のアルカリ金属;水酸化アルミニウム・マグネシウム焼成物、金属イオン添加酸化マグネシウム、焼成ハイドロタルサイト等のAl−Mg系複合酸化物触媒又はそれらを表面改質した触媒;バリウム酸化物、バリウム水酸化物、層状化合物、ストロンチウム酸化物、ストロンチウム水酸化物、カルシウム化合物、セシウム化合物、複合金属シアン化錯体、ルイス酸やフリーデルクラフツ触媒等の酸触媒;等が挙げられる。好ましくは、アルコラートである。アルコラートとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等が挙げられる。アルコラートの中でも好ましくは、カリウムt−ブトキシドである。上記反応開始剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。カリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコラートを使用することにより、有機溶媒中で均一系の重合が可能となるため、反応時間や反応温度による分子量制御が容易となる。そのため、共重合体の分子量が大きくなりすぎることを防止することができ、さらに共重合体中のSn、P、Alの含有量を充分に抑制することができる。
反応開始剤の使用量は、合成されるポリエーテル共重合体の分子量に影響するため、上記反応開始剤の使用量としては、合成するポリエーテル共重合体の分子量に応じて適宜設定することができるが、例えば、単量体混合物の仕込み量100質量%に対して、反応開始剤を0.01〜1.0質量%使用することが好ましい。このような使用量とすることによって、上述した好ましい分子量を持ったポリエーテル共重合体を製造することができる。反応開始剤の使用量としてより好ましくは、単量体混合物の仕込み量100質量%に対して、0.01〜0.5質量%であり、更に好ましくは、0.02〜0.1質量%である。
反応開始剤の添加方法としては、特に制限されず、単量体混合物を反応系中に供給する前に、溶媒と共に仕込んでいてもよいし、単量体混合物の供給を開始した後に一括して投入する、又は、連続的にあるいは断続的に供給することとしてもよい。
上記ポリエーテル共重合体を製造する重合反応時の反応温度としては、50〜150℃であることが好ましい。より好ましくは、60〜120℃であり、更に好ましくは、70〜110℃である。また、反応時間は、1〜24時間であることが好ましい。より好ましくは、2〜20時間であり、更に好ましくは、3〜15時間である。
また、上記重合反応時の反応系中の雰囲気は、不活性ガス雰囲気であることが好ましい。上記不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスが好ましい。
なお、上記ポリエーテル共重合体の製造方法は、上述した重合反応を行う工程に引き続いて熟成工程を行ってもよいし、更には共重合体の重合時の溶媒を留去する脱揮工程、ポリエーテル共重合体を精製回収する工程を行ってもよい。
上記ポリエーテル共重合体の製造方法において、脱揮工程を行うことが好ましい。これにより、ポリエーテル共重合体に含まれる溶媒をより充分に除くことできる。
上記脱揮工程は、重合体の重合反応に用いた溶媒を留去する限り特に制限されないが、減圧下で行うことが好ましく、圧力が13〜100,000Paであることが好ましい。より好ましくは133〜70,000Paであり、更に好ましくは1333〜40,000Paである。
上記脱揮工程の温度は、重合反応に用いた溶媒の沸点よりも高い限り、特に制限されないが、圧力が1333〜40,000Paの場合、好ましくは40℃〜300℃であり、より好ましくは60℃〜250℃であり、更に好ましくは90℃〜200℃である。
共重合体(プレポリマー)が有する架橋性官能基を反応させて架橋した共重合体(架橋体)とする場合は、共重合体(プレポリマー)、重合開始剤、イオン性化合物、及び、溶媒(必要であれば)を含む混合物溶液を調製した後に、溶媒を用いた場合には乾燥させて溶媒を除去し、その後、UV光照射や加熱することで、架橋性官能基を連鎖的に付加反応させる方法等を用いることができる。
共重合体の分子内にある架橋性官能基を反応させて架橋体を形成する方法としては、このように共重合体が有する架橋性官能基を連鎖的に付加反応させる方法の他、共重合体が有する架橋性官能基と反応し得る官能基を2つ以上有する化合物(架橋剤)を加えて架橋構造を形成する方法を用いることも可能である。
上記UV光照射や加熱することで、架橋性官能基を連鎖的に付加反応させる方法に用いる重合開始剤としては光ラジカル重合開始剤や、熱ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生し、熱ラジカル重合開始剤は加熱により重合開始ラジカルを発生し、光アニオン重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により重合開始アニオン種を発生する重合反応を開始するのに必要な成分である。
また、重合体と有機酸リチウム塩とを混練押出により薄膜に成形した後に、重合体の反応性を活かして架橋反応させることで架橋構造を形成しても良い。
なお、ここでいうアニオン重合開始剤とは、重合開始アニオン種を発生する重合反応を開始する成分であって、光アニオン重合開始剤に該当しないものを意味する。
(活物質含有組成物)
本発明の共重合体はまた、本発明のポリエーテル共重合体と電極活物質とを含む活物質含有組成物として好適に用いることができる。
上記活物質含有組成物は、本発明のポリエーテル共重合体を含む限りその他の重合体を含んでもよい。
上記活物質含有組成物は、上記ポリエーテル共重合体を活物質含有組成物の総量100質量%に対して、1〜50質量%含むことが好ましい。より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%である。
上記電極が正極の場合、正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能であれば良く、リチウム二次電池で使用される従来公知の正極活物質が用いられる。
具体的には、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、LiMn系でNiに一部置換したLiNi0.5Mn1.5、LiNi1−x−yCoMnやLiNi1−x−yCoAl(0≦x≦1、0≦y≦1)で表される三元系酸化物等の遷移金属酸化物、LixAyDzPO(式中、AはCr、Mn、Fe、Co、Ni及びCuからなる群より選択される1種又は2種以上であり、Dは、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn、B、Al、Ga、In、Si、Ge、Sc、Y及び希土類元素の群から選ばれる1種又は2種以上である。x、y及びzは、0<x<2、0<y<1.5、1≦z≦1.5を満たす数である。)等のオリビン構造を有する化合物、遷移金属を複数取り入れた固溶材料(電気化学的に不活性な層状のLiMnOと、電気化学的に活性な層状のLiM’’O[M’’=Co、Ni等の遷移金属]との固溶体)等が正極活物質として例示できる。これらの正極活物質は、1種を単独で使用してもよく、又は、複数を組み合わせて使用してもよい。
上記オリビン構造を有する化合物中のA成分として好ましくはFe、Mn、Niであり、特に好ましくはFeである。上記D成分として好ましくは、Mg、Ca、Ti、Alである。これらオリビン構造を有する化合物の具体例としては、リン酸鉄リチウムやリン酸マンガンリチウム等であり、正極活物質がこれら化合物を含むことが好ましい。更に好ましくはカーボン被覆したリン酸鉄リチウムである。リン酸鉄リチウムは、安全性や過充電に対する安定性が高く、また、鉄、リン等の豊富な資源を用いるものであることから安価であり、製造コストの面でも好ましい。
正極活物質がオリビン構造を有する化合物を含む割合としては、正極活物質全体100質量%に対して、オリビン構造を有する化合物が70質量%以上であることが好ましい。より好ましくは90質量%以上であり、最も好ましくは正極活物質がオリビン構造を有する化合物のみから成ることである。
このように上記二次電池は、正極活物質としてオリビン型リン酸鉄のリチウム塩を用いて構成されることが好ましい。
上記電極が負極の場合、負極活物質としては、負極活物質として一般に用いられるものを用いることができ、リチウムイオン電池の場合には、重合体、有機物、ピッチ等を焼成して得られたカーボンや天然黒鉛、Li金属、或いは、Al、Si、Ge、Sn、Pb、In、Zn及びTiから選ばれる少なくとも1種、或いは各元素を含む合金、或いは各元素を含む酸化物、チタン酸リチウム等のリチウムを可逆的に吸蔵、放出可能な材料等を用いることができる。
上記活物質含有組成物は、上記電極活物質を活物質含有組成物の総量100質量%に対して、1〜50質量%含むことが好ましい。より好ましくは5〜40質量%、更に好ましくは10〜30質量%である。
(電解質塩組成物)
本発明の共重合体はまた、本発明のポリエーテル共重合体と電解質塩とを含む電解質塩組成物として好適に用いることができる。
上記電解質塩組成物は、上記ポリエーテル共重合体を電解質塩組成物の総量100質量%に対して、1〜50質量%含むことが好ましい。より好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは5〜30質量%である。
上記電解質塩は、ハロゲンイオン、ClO 、SCN、NO 、RSOSO(式中、R及びRは、同一又は異なって、F、CF、又は、Cを表す。)、PF 、BF 、AsF 、CFSO 、及び、[B(CN)4−p(R(式中、Rは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、原子数1〜30の有機置換基を表し、pは0〜3の整数を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種のアニオンと、アルカリ金属カチオンとからなるイオン性化合物とを含むことが好ましい。
上記電解質塩組成物は、イオン性化合物を1種含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。また、上記電解質塩組成物が上記イオン性化合物以外の、その他の電解質塩を含んでいてもよい。
上記アニオンは、RSOSO(R及びRは、同一又は異なって、F、CF、又は、Cを表す。)、PF 、及び、[B(CN)4−p(R(式中、Rは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、原子数1〜30の有機置換基を表し、pは0〜3の整数を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、R´SOSO´(R´及びR´は、同一又は異なって、F又はCFを表す。)及び[B(CN)4−p(R(式中、Rは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、又は、原子数1〜30の有機置換基を表し、pは0〜3の整数を表す。)からなる群より選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
上記アルカリ金属カチオンは、リチウムカチオンであることが好ましい。
イオン性化合物としてこのようなものを用いると、上記電解質塩組成物が電池中の電解質やバインダー等として更に好適に用いることができるものとなる。上記イオン性化合物の好適な具体例としては、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)、リチウムジフルオロスルホニルイミド(LiFSI)、リチウムテトラシアノボレート(LiTCB)を挙げることができる。
上記電解質塩組成物は、本発明の共重合体100質量%に対して、電解質塩を1〜80質量%含有することが好ましい。電解質塩の含有割合がこのような範囲内であると、更に良好なイオン伝導性を発揮することができる。より好ましくは、60質量%以下含有することであり、更に好ましくは、50質量%以下含有することであり、特に好ましくは、40質量%以下含有することである。
上記電解質塩組成物により膜を形成する場合、膜厚が5〜300μmとなるように形成することが好ましい。より好ましくは10〜200μmであり、更に好ましくは20〜100μmである。
上記電解質塩組成物は、電解質成分(電解質材料が支持体を含む場合は電解質材料から支持体を除いた成分)中に上記共重合体及び上記イオン性化合物以外のその他の成分(不純物)を含んでいてもよいが、その含有量は電解質塩組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましい。不純物の含有量が5質量%より多いと、イオン伝導性が低下したり、電気化学的反応により性能が経時的に劣化したりする場合がある。より好ましくは、1質量%以下である。
ここでいう不純物には、本発明におけるエーテル結合を側鎖に有する共重合体の製造時に用いられる重合禁止剤、連鎖移動剤、溶媒や未反応の反応原料、反応原料が分解してできる副生成物等が含まれる。
上記電解質塩組成物は、可塑性や塗膜性、難燃性向上のため特許第5529717号公報18頁記載の有機溶媒を含んでいてもよい。
上記電解質塩組成物は、25℃における粘度が100〜100,000cps(0.1〜100Pa・s)であることが好ましい。粘度がこのような範囲にあると、バインダー能力や、塗膜作製の作業性が向上する。より好ましくは、300〜50,000cps(0.3〜50Pa・s)である。
電解質塩組成物の粘度は、例えば、市販のB型粘度計、E型粘度計により測定することができる。
上記電解質塩組成物はまた、上記共重合体を支持するための支持体を含んで構成されるものであってもよいが、支持体を含まないで構成されるものが好ましい。本発明の共重合体により得られる電池用材料は機械的強度が充分なものであり、支持体が無くても自立膜を形成することができ、リチウムイオン電池をはじめとする二次電池に搭載することが可能となる。
なお、上記支持体としては、例えば、一般的に用いられる織布、不織布、多孔質膜及びガラス成形体からなる群より選択される少なくとも1種からなるものや、更に親水性を向上させるための親水化処理をおこなったもの等が挙げられる。
(バインダー、導電助剤)
本発明のポリエーテル共重合体は、イオン伝導性に優れ、二次電池の充放電特性を優れたものとすることができる。このような本発明のポリエーテル共重合体は、正極用バインダー、負極用バインダー、無機固体電解質用バインダー等のバインダーや、導電助剤としても好適に用いることができる。また、本発明のポリエーテル共重合体と電解質塩とを含む電解質塩組成物も上記バインダーや導電助剤として好適に用いることができる。なお、バインダーとして用いる場合は電気化学特性を損なうことなく、成形性向上を図ることができる。このような、ポリエーテル共重合体や電解質塩組成物が電極用バインダーであることも好ましい。
(電解質)
上記電解質塩組成物は、電解質を構成することができる。
上記電解質は、上記電解質塩組成物を用いて構成される限り特に制限されず、その他の成分を含んでいてもよい。
上記電解質は、上記その他の成分を、電解質の総量100質量%に対して、0.1〜50質量%含むことが好ましい。より好ましくは0.5〜40質量%、更に好ましくは1〜30質量%である。
(電極)
上記活物質含有組成物は、電極を構成することができる。
上記電極は、上記活物質含有組成物を用いて構成される限り特に制限されないが、活物質含有組成物、導電助剤、必要に応じてその他のバインダー等を含むスラリーを基板上に塗布、乾燥させて得ることができる。導電助剤、その他のバインダー、電極を製造するためのスラリーに用いる溶媒、分散剤に関しては、特開2011―142073号公報に記載のものが好適に使用できる。
(電池)
上記電極及び/又は上記電解質は、電池を構成することができる。
電池は、主に、正極、電解質、負極より構成され、上記電池は、上記電極、電解質のうち少なくとも1つを用いて構成されていればよく、好ましくは、上記電極、電解質の両方を用いて構成されることである。
上記電池の形態としては、一次充電池;放電が可能な二次電池(蓄電池);メカニカルチャージ(負極の機械的な交換)を利用した電池;正極や負極とは別の第3極(例えば、充放電中に発生する酸素や水素を除去する極)を利用した電池等、いずれの形態であってもよい。例えば、二次電池(蓄電池)であることが好ましい。
本発明のポリエーテル共重合体は、上述の構成よりなり、高いイオン伝導性を有し、電池性能を向上させることができるものであり、電池の電解質等に好適に用いることができる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
実施例における各種測定の際は次の条件で行った。
(重量平均分子量)
以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めた。
測定機器:HLC−8320(東ソー社製)
分子量カラム:TSKgel G5000PW、TSKgel G4000PW、TSKgel G3000PW、TSKgel G2500PW(いずれも東ソー社製)
溶離液:アセトニトリル/0.08M酢酸ナトリウム水溶液(体積比:50/50)の混合液
検量線用標準物質:ポリエチレングリコール
測定方法:溶離液に測定対象物の固形分が0.1質量%となるように溶解し、フィルターにて濾過したものを測定。
(イオン伝導度)
1.溶液の調製
電解質塩組成物1.05gを計量し、溶媒としてアセトニトリル(キシダ化学株式会社製、LBGグレード)1.95gに溶解させて、混合溶液(1)を得た。
2.イオン伝導度測定用セルの作製
厚み0.3mmのPETフィルムをφ12mmのポンチで打ち抜き、セル面積(S)の枠を作製した。得られた枠を厚さ0.015mmのアルミ箔に載せ、上記にて得られた混合溶液(1)を枠内に塗布した。60℃で24時間の真空乾燥を行い、溶媒を除去した後、上面にアルミ箔を載せ、平板プレス機を用いて50℃2分2MPaの条件下でプレスを行い平坦化させることで、イオン伝導度測定用のセルを作製した。得られたセルの厚みからアルミ箔の厚みを除算することで、セル膜厚(D)を算出した。
3.イオン伝導度の測定
インピーダンスアナライザ(1260型、ソーラトロン株式会社製)を用いて、10mV、1MHz〜1kHzの条件にてセルの測定を行った。得られたプロファイルから実数軸との交点をセル抵抗(R)とし、以下の計算によりイオン伝導度を算出した。
イオン伝導度= セル膜厚(D)/(セル抵抗(R)* セル面積(S))
(Sn、P、Alの含有量)
以下の測定条件下で、ICP発光分析測定により求めた。
測定機器:ICPE−9000(島津製作所社製)
測定方法:ポリエーテル共重合体を超純水(18.2Ω・cm超)で100倍または200倍に希釈して測定溶液とし、試料に含まれるSn、P、Al量を測定した。なお、定量限界(下限値)は10ppmである。
(飽和炭化水素溶媒、芳香族炭化水素系溶媒の含有量)
以下の測定条件下で、ガスクロマトグラフィー測定により求めた。
測定機器:GC−17A(島津製作所社製)
カラム:CBP−1(島津製作所社製)
測定方法:アセトンに測定対象物の固形分が1質量%となるように溶解し、フィルターにて濾過したものを測定した。なお、定量限界(下限値)は0.1質量%である。
[製造例1]
メトキシエトキシエチルグリシジルエーテルの製造
攪拌機、滴下ロート、温度計、冷却管及び窒素ガス導入口を備えた1リットルのフラスコ内に、ジエチレングリコールモノメチルエーテル500部と水酸化カリウム333部とを仕込んだ。窒素雰囲気下、攪拌しながら40℃に昇温した後、エピクロルヒドリン770部を内温40℃以下に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、5時間熟成を行い、生成した塩化カリウムをろ過により取り除いた。
ついで、反応ろ液を減圧下で蒸留して未反応のエピクロルヒドリン及び、ジエチレングリコールモノメチルエーテルを除去した後、所望のメトキシエトキシエチルグリシジルエーテルを分離した。このようにして得られたメトキシエトキシエチルグリシジルエーテルの純度は99%以上であり、原料として使用したジエチレングリコールモノメチルエーテルに対する収率は約57%であった。
[実施例1]
マックスブレンド翼(住友重機械工業(株)製)および添加口を備えた1Lの反応器を窒素により3回置換操作(0.5MPa)を行った後、この反応器にモレキュラーシーブにより脱水処理を施したトルエン(含有水分量:20ppm以下)300部と、反応開始剤としてのt−ブトキシカリウム(1.0Mテトラヒドロフラン溶液)1.7部とを順次投入し、反応器内の圧力が0.3MPaになるまで窒素で加圧した。
マックスブレンド翼を130rpmで回転させて撹拌しながら、オイルバスで反応器の内温を90℃まで昇温した後、エチレンオキシド100部及び、モレキュラーシーブにより脱水処理を施したメトキシエトキシエチルグリシジルエーテル(含有水分量:100ppm以下)100部を重合熱による内温上昇および内圧上昇を監視・制御しながら、100℃±5℃で供給を行い、反応を行った。供給終了後、さらに100℃±5℃で2時間保持して熟成させ、重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液をロータリーエバポレーターにて濃縮した後、減圧乾燥機にてトルエンを取り除き、共重合体を得た。
得られた共重合体の重量平均分子量は15,000であり、ICP発光分析によりSn、P、Alの金属成分を分析したところ、いずれも定量限界以下であった。
また、ガスクロマトグラフィーにより芳香族炭化水素系溶媒及び、飽和炭化水素溶媒の含有量を測定したところ、トルエン、n−ヘキサンともに定量限界以下であった。
[実施例2]
実施例1で得られた共重合体10部にリチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)2.5部を溶解させ、電解質塩組成物を得た。この電解質塩組成物のイオン伝導度を測定した結果を表1に示した。
[比較例1]
実施例1により得られた共重合体を用いる替わりに、ポリエチレングリコール10000(Wako社製)を用いたこと以外は、実施例2と同様の方法で、電解質塩組成物を得た。この電解質塩組成物のイオン伝導度を測定した結果を表1に示した。40℃以下では、ポリエチレングリコールが凍結したため、安定したイオン伝導度が得られなかった。なお、表1中、イオン伝導度の欄における「−」の記号は、安定したイオン伝導度を得ることができなかったことを表している。
Figure 2016056342

Claims (5)

  1. エーテル結合を側鎖に有するポリエーテル共重合体であって、
    該ポリエーテル共重合体は、下記一般式(1);
    Figure 2016056342
    (式中、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜2の炭化水素基を表す。)で表される構造単位及び下記一般式(2);
    Figure 2016056342
    (式中、Rは、同一又は異なって、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基を表す。Rは、同一又は異なって、炭素数1〜18の直鎖又は分岐鎖を有する炭化水素基を表す。nは、1〜12の整数を表す。)で表される構造単位を有し、
    該ポリエーテル共重合体に含まれるSn、P、Alの合計含有量が0.01質量%以下であることを特徴とするポリエーテル共重合体。
  2. 前記ポリエーテル共重合体は、ポリエーテル共重合体を形成する全構造単位の総量100モル%に対して、前記一般式(2)で表される構造単位を50モル%以下の割合で有することを特徴とする請求項1に記載のポリエーテル共重合体。
  3. 前記ポリエーテル共重合体は、重量平均分子量が1000〜200,000であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエーテル共重合体。
  4. 前記ポリエーテル共重合体は、ポリエーテル共重合体の総量100質量%に対して、飽和炭化水素溶媒の含有量が5質量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエーテル共重合体。
  5. 前記ポリエーテル共重合体は、融点が40℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリエーテル共重合体。
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