JP2013155318A - 電解質組成物およびそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents

電解質組成物およびそれを用いた非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池としての基本性能を備えた高容量で低温条件下でのサイクル充放電特性の優れた二次電池を提供する。
【解決手段】エチレンオキシド構造を有するポリマー、側鎖にエチレンオキシド単位を有する環状炭酸エステル化合物、および電解質塩化合物を適宜選択し、エチレンオキシド構造を有するポリマー内に側鎖にエチレンオキシド単位を有する環状炭酸エステル化合物と電解質塩化合物を混在させることを特徴とする電解質組成物およびそれを用いた二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレンオキシド構造を有するポリマーと側鎖にエチレンオキシド単位を有する環状炭酸エステル化合物と電解質塩化合物とを含有することを特徴とする電解質組成物およびそれを用いたリチウム二次電池に関する。
近年環境保護への意識の高まりや関連法の整備により、CO2削減など環境負荷低減の要求が高まっている。その対応策の一つとして、太陽光発電、風力発電、蓄電熱装置などの再生可能エネルギーの開発・実用化が急速に進みつつある。しかし、その一方では、太陽光、風力などの自然エネルギーを利用した分散型電源は、出力が不安定で制御が困難なため、今後、自然エネルギーを活用した多くの分散型電源が既存大規模電力網と連系した場合、系統の安定性や信頼性といった電力品質に対し悪影響を及ぼす可能性があることが懸念されている。これらの課題を解決する手段の一つとして、スマートグリッドやマイクログリッドが注目されている。スマートグリッドやマイクログリッドにおいて、自然エネルギーを利用した発電装置の不安定な出力を安定化させるために蓄電装置は欠かせないものであり、なかでもリチウム電池が注目されている。しかしながら、電気自動車などに使用されてきたリチウム電池よりも大型のものとなり、これまで以上の安全性と室温下での安定した品質が求められる。
従来、電池、キャパシター、センサーなどの電気化学デバイスを構成する電解質は、イオン伝導性の点から電解液または電解液を含有させてゲル状にしたポリマー電解質が用いられているが、電解液の液漏れによる機器の損傷の恐れがあること、また電解液が正極や負極と反応して、電気化学的特性が低下する等の問題点が指摘されている。これに対し無機結晶性物質、無機ガラス、有機高分子系物質などの固体電解質が提案されている。有機高分子系物質は一般に加工性、成形性に優れ、得られる固体電解質が柔軟性、曲げ加工性を有し、応用されるデバイスの設計の自由度が高くなることなどの点からその進展が期待されている。しかしながら、イオン伝導性の面では他の材質より劣っているのが現状である。
エチレンオキシドの単独重合体とアルカリ金属イオン系におけるイオン伝導性の発見より、高分子固体電解質の研究は活発に行われるようになった。その結果、ポリマーマトリックスとしては、その運動性の高さ及び金属カチオンの溶解性の点でポリエチレンオキシドなどのポリエーテルが最も有望と考えられている。イオンの移動はポリマーの結晶部ではなくアモルファス部分で起こることが予測されている。それ以来、ポリエチレンオキシドの結晶性を低下させるために、種々のエポキシドとの共重合が行われてきている。米国特許USP4,818,644号公報にはエチレンオキシドとメチルグリシジルエーテルとの共重合体からなる固体電解質が示されている。しかしながら、いずれもイオン伝導度は必ずしも満足のいくものではなかった。一方、特開平7−165751号公報には環状カーボネート化合物を溶媒とした電解質溶液が示されている。熱安定性に優れるという点では電解液の分解に伴う電池の劣化という観点では安全性の向上に寄与することが期待できるが、液体であるため漏洩に対する安全性に問題がある。
米国特許USP4,818,644号 特開平7−165751号
本発明の目的は、イオン伝導性および電気化学特性に優れた電解質組成物およびそれを用いた電池を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、エチレンオキシド構造を有するポリマー、側鎖にエチレンオキシド単位を有する環状炭酸エステル化合物、および電解質塩化合物を適宜選択し、エチレンオキシド構造を有するポリマー内に環状炭酸エステル化合物と電解質塩化合物を混在させることで得られる電解質組成物を二次電池に採用することで、低温下におけるサイクル充放電特性が優れた二次電池が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。
本発明は
(A)エチレンオキシド構造を有するポリマーと
(B)側鎖にエチレンオキシド単位を有する環状炭酸エステル化合物と
(C)電解質塩化合物
を含有することを特徴とする電解質組成物を提供する。
加えて、本発明は、前記電解質組成物を用いた電池をも提供する。
本発明によれば、(A)エチレンオキシド構造を有するポリマーと(B)側鎖にエチレンオキシド単位を有する環状炭酸エステル化合物と(C)電解質塩化合物とを含有することを特徴とする電解質組成物はポリマーの結晶化が抑制されガラス転移温度が低下し、低温でも無定形相が多く形成されるためにイオン伝導度が良くなり、低温下でのサイクル充放電特性に優れたリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本発明の電解質組成物は、
(A)エチレンオキシド構造を有するポリマーと
(B)側鎖にエチレンオキシド単位を有する環状炭酸エステル化合物と
(C)電解質塩化合物
を含有することを特徴とする。
本発明において用いることができるエチレンオキシド構造を有するポリマー(A)の構成単位の例は、式(1)(2)(3)等が挙げられ、ポリマー中に反応性基を有する成分が存在していても良く、
下記式(1)
Figure 2013155318
[式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、または−CHO(CR)である。R、R、Rは水素原子または−CHO(CHCHO)であり、n及びRはR、R、Rの間で異なっていても良い。Rは炭素数1〜12のアルキル基、または置換基を有していても良いアリール基であり、nは0〜12の整数である。] で示される単量体から誘導される繰り返し単位5〜95モル%、及び
下記式(2)
Figure 2013155318
で示される単量体から誘導される繰り返し単位95〜5モル%、及び
下記式(3)
Figure 2013155318
[式中、Rはエチレン性不飽和基を含む置換基である。] で示される単量体から誘導される繰り返し単位0〜10モル%で示される重量平均分子量が5万〜250万の範囲内でを重合させ得ることができる。
式(1)の化合物は市販品からの入手、またはエピハロヒドリンとアルコールからの一般的なエーテル合成法等により容易に合成が可能である。市販品から入手可能な化合物としては、例えば、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ターシャリーブチルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル、1,2−エポキシドデカン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシヘプタン、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシへキサン、グリシジルフェニルエーテル、1,2−エポキシペンタン、グリシジルイソプロピルエーテルなどが使用できる。これら市販品のなかでは、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテルが好ましく、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテルが特に好ましい。
合成によって得られる式(1)で表される単量体では、Rは−CHO(CR)が好ましく、R、R、Rの少なくとも一つが−CHO(CHCHO)であることが好ましい。Rは炭素数1〜12のアルキル基であり、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜4がより好ましい。または置換基を有していても良いアリール基であり、nは0〜12であり、2〜6が好ましく、2〜4がより好ましい。
式(2)の化合物は基礎化学品であり、市販品を容易に入手可能である。
式(3)の化合物において、Rはエチレン性不飽和基を含む置換基である。エチレン性不飽和基含有のモノマー成分としては、アリルグリシジルエーテル、4-ビニルシクロヘキシルグリシジルエーテル、α-テルピニルグリシジルエーテル、シクロヘキセニルメチルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルフェニルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−1−ペンテン、4,5−エポキシ−2−ペンテン、1,2−エポキシ−5,9−シクロドデカンジエン、3,4−エポキシ−1−ビニルシクロヘキセン、1,2−エポキシ−5−シクロオクテン、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、ソルビン酸グリシジル、ケイ皮酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、グリシジル−4−ヘキセノエートが用いられる。好ましくは、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルである。
本発明において用いることができる共重合体は、(a):式(1)の単量体から誘導された繰り返し単位
Figure 2013155318
[式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、または−CHO(CR)である。R、R、Rは水素原子または−CHO(CHCHO)であり、n及びRはR、R、Rの間で異なっていても良い。Rは炭素数1〜12のアルキル基、または置換基を有していても良いアリール基であり、nは0〜12の整数である。]及び
(b):式(2)の単量体から誘導された繰り返し単位
Figure 2013155318
及び必要なら(c):式(3)の単量体から誘導された繰り返し単位
Figure 2013155318
[式中、Rはエチレン性不飽和基を含む置換基である。] を有する。
ここで繰り返し単位(a)及び(c)は、それぞれ2種以上の単量体から誘導されるものであってもよい。
エチレンオキシド構造を有するポリマー(A)の合成は次のようにして行える。開環重合触媒として有機アルミニウムを主体とする触媒系、有機亜鉛を主体とする触媒系、有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系などの配位アニオン開始剤、または対イオンにKを含むカリウムアルコキシド、ジフェニルメチルカリウム、水酸化カリウムなどのアニオン開始剤を用いて、各モノマーを溶媒の存在下又は不存在下、反応温度10〜120℃、撹拌下で反応させることによってエチレンオキシド構造を有するポリマーが得られる。重合度、あるいは得られる共重合体の性質などの点から、配位アニオン開始剤が好ましく、なかでも有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系が取り扱い易く特に好ましい。
本発明において用いることができるエチレンオキシド構造を有するポリマーにおいては、繰り返し単位(a)、繰り返し単位(b)及び繰り返し単位(c)のモル比が、(a)5〜95モル%、(b)95〜5モル%、及び(c)0〜10モル%が適当であり、好ましくは(a)10〜95モル%、(b)90〜5モル%、及び(c)0〜7モル%、更に好ましくは(a)15〜95モル%、(b)85〜5モル%、及び(c)0〜5モル%である。繰り返し単位(c)が10モル%を越えると硬度が高くなり、イオン伝導性が下がる。繰り返し単位(b)が95モル%を越えるとガラス転移温度の上昇とオキシエチレン鎖の結晶化を招き、結果的に固体電解質のイオン伝導性を著しく悪化させることとなる。一般にポリエチレンオキシドの結晶性を低下させることによりイオン伝導性が向上することは知られているが、本発明のエチレンオキシド構造を有するポリマーはこの点において格段に優れている。
本発明のポリマーの分子量は良好な加工性、機械的強度、柔軟性を得るために、重量平均分子量5万〜250万の範囲内、好ましくは10万〜250万の範囲内のものが適する。重量平均分子量が5万未満のポリマーでは、架橋させて用いた場合には架橋密度が上がりすぎてフイルム特性が悪くなる。また、重量平均分子量が250万より大きいポリマーでは、ポリマーを溶解させた溶液の粘度が高く、作業性が悪くなる。
本発明において用いることができる側鎖にエチレンオキシド単位を有する環状炭酸エステル化合物(B)の例は下記式(4)で表される。
Figure 2013155318
[式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜12のアルキル基もしくはアルケニル基、もしくは下記式(5)
Figure 2013155318
(但し、Rは炭素数1〜12のアルキル鎖を示す)を示し、mは0もしくは1を示し、nは1〜2の整数を示す。]
本発明に使用する側鎖にエチレンオキシド単位を有する環状炭酸エステル化合物(B)の使用量は、エチレンオキシド構造を有するポリマー(A)100重量部に対して、1〜1000重量部であってよく、好ましくは5〜500重量部であり、さらに好ましくは10〜200重量部である。
環状炭酸エステル化合物(B)はエピハロヒドリンとアルコールからの一般的なエーテル合成法により得られる。例えばグリシジルエーテルを加水分解によって開環させてジオールとした後に炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、ホスゲンなどで環状炭酸エステル化する方法、エピハロヒドリンとアルコールからの一般的なエーテル合成法により得られるグリシジルエーテルを二酸化炭素により環状炭酸エステル化する方法等によって容易に合成することができる。
環状炭酸エステル化合物(B)を製造する際に使用するエピハロヒドリンとしては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンなどが使用できる。
環状炭酸エステル化合物(B)を製造する際に使用するアルコールとしては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールなどが挙げられ、好ましくはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールであり、特に好ましくはエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、エチレングリコールである。
本発明に使用するエチレンオキシド構造を有するポリマーは、活性エネルギー線照射もしくは加熱により架橋させて使用することができる。光によって架橋させる場合、光反応開始剤を使用することができる。
光による架橋に用いる活性エネルギー線は、紫外線、電子線等を用いることができ、紫外線を用いることが好ましい。
光反応開始剤として、アルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン類、トリアジン類、ビスイミダゾール類、オキシムエステル類などが挙げられる。好ましくは、アルキルフェノン系、ベンゾフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系の光反応開始剤が用いられる。光反応開始剤として前述の化合物を2種類以上併用することは自由である。
アルキルフェノン系光反応開始剤の具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−[4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル]−2−メチル−プロパン−1−オンなどが挙げられる。2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オンが好ましい。
ベンゾフェノン系光反応開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイルベンゾエートなどが挙げられる。ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。
アシルフォスフィンオキサイド系光反応重合開始剤の具体例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドが好ましい。
架橋反応に用いられる光反応開始剤の量はエチレンオキシド構造を有するポリマー100重量部に対して0.01〜6.0重量部の範囲内が好ましく、更に好ましくは0.1〜4.0重量部である。
本発明においては、架橋助剤を光反応開始剤と併用してもよい。架橋助剤は、通常、多官能性化合物(例えば、CH=CH-、CH=CH-CH-、CF=CF- を少なくとも2個含む化合物)である。架橋助剤の具体例は、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタールアミド、トリアリルホスフェート、ヘキサフルオロトリアリルイソシアヌレート、N−メチルテトラフルオロジアリルイソシアヌレートなどである。
架橋反応は、紫外線による場合では、キセノンランプ、水銀ランプ、高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプを用いることができ、例えば、電解質を波長365nm、光量1〜50mW/cmで0.1〜30分間照射することによって行うことができる。
本発明において用いることができる電解質塩化合物(C)は、エチレンオキシド構造を有するポリマー又は該共重合体の架橋体、及び必要なら非プロトン性有機溶媒からなる混合物に相溶することが好ましい。ここで相溶とは電解質塩化合物が結晶化などして析出してこない状態を意味する。
本発明においては、以下に挙げる電解質塩化合物が好ましく用いられる。即ち、金属陽イオン、アンモニウムイオン、アミジニウムイオン、及びグアニジウムイオンから選ばれた陽イオンと、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、テトラフルオロホウ素酸イオン、硝酸イオン、AsF 、PF 、ステアリルスルホン酸イオン、オクチルスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ドデシルナフタレンスルホン酸イオン、7,7,8,8−テトラシアノ−p−キノジメタンイオン、XSO 、[(XSO)(XSO)N]、[(XSO)(XSO)(XSO)C]、及び[(XSO)(XSO)YC]から選ばれた陰イオンとからなる化合物が挙げられる。但し、X、X、X、およびYは電子吸引基である。好ましくはX、X、及びXは各々独立して炭素数が1〜6のパーフルオロアルキル基又は炭素数が6〜18のパーフルオロアリール基であり、Yはニトロ基、ニトロソ基、カルボニル基、カルボキシル基又はシアノ基である。X、X及びXは各々同一であっても、異なっていてもよい。
金属陽イオンとしては遷移金属の陽イオンを用いる事ができる。好ましくはMn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn及びAg金属から選ばれた金属の陽イオンが用いられる。又、Li、Na、K、Rb、Cs、Mg、Ca及びBa金属から選ばれた金属の陽イオンを用いても好ましい結果が得られる。電解質塩化合物として前述の化合物を2種類以上併用することは自由である。Liイオン電池においては電解質塩化合物としては、Li塩化合物が好ましく用いられる。
本発明において、電解質塩化合物の使用量は、電解質塩化合物のモル数/エチレンオキシド構造を有するポリマーおよび環状炭酸エステル化合物のエーテル酸素原子の総モル数の値が0.0001〜5が好ましく、更に好ましくは0.001〜0.5の範囲がよい。
本発明では非プロトン性有機溶媒を例えば粘度調整剤として添加してよい。
非プロトン性有機溶媒としては、非プロトン性のニトリル類あるいはエーテル類及びエステル類が好ましい。具体的には、アセトニトリル、プロピオニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ビニルカーボネート、メチルモノグライム、メチルジグライム、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、エチルモノグライム、エチルジグライム、エチルトリグライム、エチルメチルモノグライム、ブチルジグライム、3-メチル−2−オキサゾリドン、テトラヒドロフラン、 2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4,4-メチル−1,3-ジオキソラン、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等が挙げられ、中でも、アセトニトリル、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ブチレンカーボネート、ビニルカーボネート、エチレンカーボネート、メチルトリグライム、メチルテトラグライム、エチルトリグライム、エチルメチルモノグライムが好ましい。これらの2種以上の混合物を用いても良い。
電解質塩化合物および環状炭酸エステル化合物をエチレンオキシド構造を有するポリマーに混合する方法に特に制限はないが、電解質塩化合物および環状炭酸エステル化合物を含む溶液にエチレンオキシド構造を有するポリマーを長時間浸漬して含浸させる方法、電解質塩化合物および環状炭酸エステル化合物をエチレンオキシド構造を有するポリマーへ機械的に混合させる方法、エチレンオキシド構造を有するポリマーおよび電解質塩化合物を環状炭酸エステル化合物に溶かして混合させる方法あるいはエチレンオキシド構造を有するポリマーを一度他の溶媒に溶かした後、環状炭酸エステル化合物を混合させる方法などがある。他の溶媒を使用して製造する場合の他の溶媒としては各種の極性溶媒、例えばテトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が単独、或いは混合して用いられる。他の溶媒は、エチレンオキシド構造を有するポリマーを架橋する前、架橋する間または架橋した後に除去できる。
負極材料は、例えば電極材料基板としての金属電極基板と、金属電極基板上に負極活物質、および電解質層と良好なイオンの授受を行い、かつ、導電助剤と負極活物質を金属基板に固定するためのバインダーより構成されている。この場合の金属電極基板には、例えば銅が用いられるが、これに限るものではなく、ニッケル、ステンレス、金、白金、チタン等であってもよい。
本発明で使用される負極活物質は、リチウムイオンなどのアルカリ金属イオンを吸蔵・放出可能な構造(多孔質構造)を有する炭素材料(天然黒鉛、人造黒鉛、非晶質炭素等)か、リチウムイオンなどのアルカリ金属イオンを吸蔵・放出可能なリチウム、アルミニウム系化合物、スズ系化合物、シリコン系化合物、チタン系化合物等の金属からなる粉末である。粒子径は10nm以上100μm以下が好ましく、更に好ましくは20nm以上20μm以下である。また、金属と炭素材料との混合活物質として用いてもよい。なお負極活物質にはその気孔率が、70%程度のものを用いるのが望ましい。
正極材料は、例えば電極材料基板としての金属電極基板と、金属電極基板上に正極活物質、および電解質層と良好なイオンの授受を行い、かつ、導電助剤と正極活物質を金属基板に固定するためのバインダーより構成されている。金属電極基板には、例えばアルミニウムが用いられるが、これに限るものではなく、ニッケル、ステンレス、金、白金、チタン等であってもよい。
本発明で使用される正極活物質は、AMO2、AM24、A2MO3、AMEO4のいずれかの組成からなるアルカリ金属含有複合酸化物粉末である。ここで式中のAは、アルカリ金属であり、好ましくはLiを用いる。Mは主として遷移金属からなり、Co、Mn、Ni、Cr、Fe、Tiの少なくとも一種を含んでいる。Mは遷移金属からなるが、遷移金属以外にもAl、Ga、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Si、P、Bなどが添加されていてもよい。EはP、Siの少なくとも1種を含んでいる。より具体的には、AMO(Aはアルカリ金属、Mは少なくとも一種の遷移金属からなり、その一部に非遷移金属を含んでもよい)、AM(Aはアルカリ金属、Mは少なくとも一種の遷移金属からなり、その一部に非遷移金属を含んでもよい)、AMO(Aはアルカリ金属、Mは少なくとも一種の遷移金属からなり、その一部に非遷移金属を含んでもよい)、AMEO(Aはアルカリ金属、EはP、Si、またはその混合物、Mは少なくとも一種の遷移金属からなり、その一部に非遷移金属を含んでもよい)である。なお正極活物質の粒子径には50μm以下が好ましく、更に好ましくは20μm以下のものを用いる。これらの活物質は、3V(vs. Li/Li+)以上の起電力を有するものである。
正極活物質の好ましい具体例としては、LixCoO2, LixNiO2,LixMnO2, LixCrO2, LixFeO2, LixCoaMn1-aO2, LixCoaNi1-aO2, LixCoaCr1-aO2, LixCoaFe1-aO2, LixCoaTi1-aO2, LixMnaNi1-aO2, LixMnaCr1-aO2, LixMnaFe1-aO2, LixMnaTi1-aO2, LixNiaCr1-aO2, LixNiaFe1-aO2, LixNiaTi1-aO2, LixCraFe1-aO2, LixCraTi1-aO2, LixFeaTi1-aO2, LixCobMncNi1-b-cO2, LixCrbMncNi1-b-cO2, LixFebMncNi1-b-cO2, LixTibMncNi1-b-cO2, LixMn2O4, LixMndCo2-dO4, LixMndNi2-dO4, LixMndCr2-dO4, LixMndFe2-dO4, LixMndTi2-dO4, LiyMnO3, LiyMneCo1-eO3, LiyMneNi1-eO3, LiyMneFe1-eO3, LiyMneTi1-eO3, LixCoPO4, LixMnPO4, LixNiPO4, LixFePO4, LixCofMn1-fPO4, LixCofNi1-fPO4, LixCofFe1-fPO4, LixMnfNi1-fPO4, LixMnfFe1-fPO4, LixNifFe1-fPO4, LiyCoSiO4, LiyMnSiO4, LiyNiSiO4, LiyFeSiO4, LiyCogMn1-gSiO4, LiyCogNi1-gSiO4, LiyCogFe1-gSiO4, LiyMngNi1-gSiO4, LiyMngFe1-gSiO4, LiyNigFe1-gSiO4, LiyCoPhSi1-hO4, LiyMnPhSi1-hO4, LiyNiPhSi1-hO4, LiyFePhSi1-hO4, LiyCogMn1-gPhSi1-hO4, LiyCogNi1-gPhSi1-hO4, LiyCogFe1-gPhSi1-hO4, LiyMngNi1-gPhSi1-hO4, LiyMngFe1-gPhSi1-hO4, LiyNigFe1-gPhSi1-hO4などのリチウム含有複合酸化物をあげることができる。(ここで、x=0.01〜1.2,y=0.01〜2.2,a=0.01〜0.99,b=0.01〜0.98,c=0.01〜0.98但し、b+c=0.02〜0.99,
d=1.49〜1.99,e=0.01〜0.99,f=0.01〜0.99,g=0.01〜0.99,h=0.01〜0.99である。)
また、前記好ましい正極活物質のうち、より好ましい正極活物質としては、具体的には、LixCoO2, LixNiO2, LixMnO2, LixCrO2, LixCoaNi1-aO2, LixMnaNi1-aO2, LixCobMncNi1-b-cO2, LixMn2O4, LiyMnO3, LiyMneFe1-eO3, LiyMneTi1-eO3, LixCoPO4, LixMnPO4, LixNiPO4, LixFePO4, LixMnfFe1-fPO4をあげることができる。(ここで、x=0.01〜1.2,y=0.01〜2.2,a=0.01〜0.99,b=0.01〜0.98,c=0.01〜0.98但し、b+c=0.02〜0.99,d=1.49〜1.99,e=0.01〜0.99,f=0.01〜0.99である。なお、上記のx,yの値は充放電によって増減する。)
導電助剤は、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等、又は金属粉末を用いることができるが、これに限定されない。
バインダーは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム、ポリエーテル、又はスチレンブタジエンゴムを用いることができるが、これらに限定されない。
負極活物質粉末や正極活物質粉末等の金属電極基板への形成は、ドクターブレード法やシルクスクリーン法などにより行われる。
例えばドクターブレード法では、負極活物質粉末や正極活物質粉末、導電助剤、バインダー等をn−メチルピロリドン等の有機溶剤に分散してスラリー状にし、金属電極基板に塗布した後、所定のスリット幅を有するブレードにより適切な厚さに均一化する。電極は活物質塗布後、余分な有機溶剤を除去するため、例えば80℃真空状態で乾燥する。乾燥後の電極はプレス装置によってプレス成型することで電極材が製造される。
本発明の電解質組成物は電極材料の主表面に例えばドクターブレード法、ディップ法、転写法、印刷法などを用いて塗布する。電解質組成物は、その粘度に応じてアセトニトリル等の溶剤と混合し、適切な粘度に調整したのち塗布し、必要に応じて静置し、電極に電解質組成物を含浸させ、これを加熱乾繰させてもよい。塗布時の電解質組成物の粘度は10〜50000mPa・sが好ましく、更に好ましくは100〜20000mPa・sである。また、溶剤乾燥後の塗布層(電解質)の厚みは400μm以下が好ましく、更に好ましくは200μm以下である。
本発明の電解質組成物を用いた非水電解質二次電池の作製方法としては、電解質組成物を塗布、必要な架橋を施した負極電極および正極電極を重ね合わせることで非水電解質二次電池が組み上げてよい。また、負極と正極の間に電解質組成物を架橋させた電解質シートを挿入し積層して重ね合わせてもよい。電解質組成物は室温で十分に高いイオン伝導度を持ちながら、かつ、機械的強度が十分あるため、負極と正極の間に高価なセパレーターを導入する必要がなく、工程が簡単であり製造コストの削減が可能である。
なお、負極材料または正極材料のみの特性を評価する際には、対極にリチウムシートを用いることで、電極材料の可逆性を評価できる。また、正極材料と負極材料の組み合わせ評価の場合には、リチウムシートを用いず、正極材料と負極材料との組み合わせが用いられる。
本発明の非水電解質二次電池の製造方法としては、
(A)式(1):
Figure 2013155318
[式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、または−CHO(CR)である。R、R、Rは水素原子または−CHO(CHCHO)であり、n及びRはR、R、Rの間で異なっていても良い。Rは炭素数1〜12のアルキル基、または置換基を有していても良いアリール基であり、nは0〜12の整数である。]で示される単量体から誘導される繰り返し単位5〜95モル%、及び
式(2):
Figure 2013155318
で示される単量体から誘導される繰り返し単位95〜5モル%、及び
式(3)
Figure 2013155318
[式中、Rはエチレン性不飽和基である。]で示される単量体から誘導される繰り返し単位0〜10モル%で示される単量体を、重合させて得られる重量平均分子量が5万〜250万のエチレンオキシド構造を有するポリマーを得る工程と、
(B)エピハロヒドリンとアルコールからの一般的なエーテル合成法により得られるグリシジルエーテルを加水分解によって開環させてジオールとした後に炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、ホスゲンなどで環状炭酸エステル化する方法、エピハロヒドリンとアルコールからの一般的なエーテル合成法により得られるグリシジルエーテルを二酸化炭素により環状炭酸エステル化する方法等によって環状炭酸エステル化合物を得る工程と、
(C)前記エチレンオキシド構造を有するポリマー、環状炭酸エステル化合物、光反応開始剤および電解質塩化合物が含まれる電解質用組成物を、負極材料および正極材料の少なくとも一方の主表面を被覆する工程と、
(D)前記主表面に被覆された電解質用組成物を架橋して正極と負極を貼り合せる工程、ないしは、電解質用組成物を架橋して得られる架橋体を正極と負極の間に挿入する工程を含む非水電解質二次電池の製造方法が代表的に例示される。
重合工程(A)においては、上記式(1)、式(2)及び式(3)で示される単量体を重合させてエチレンオキシド構造を有するポリマーを得る。開環重合触媒として有機アルミニウムを主体とする触媒系、有機亜鉛を主体とする触媒系、有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系などの配位アニオン開始剤、または対イオンにKを含むカリウムアルコキシド、ジフェニルメチルカリウム、水酸化カリウムなどのアニオン開始剤を用いて、各モノマーを溶媒の存在下又は不存在下、反応温度10〜120℃、撹拌下で反応させることによってエチレンオキシド構造を有するポリマーが得られる。重合度、あるいは得られる共重合体の性質などの点から、配位アニオン開始剤が好ましく、なかでも有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系が取り扱い易く特に好ましい。
合成工程(B)においては、エピハロヒドリンとアルコールからの一般的なエーテル合成法により得られるグリシジルエーテルを例えば特許第3078948号に記載の方法などによって環状炭酸エステル化合物を合成する方法が例示される。
被覆工程(C)においては、エチレンオキシド構造を有するポリマー、環状炭酸エステル化合物、光反応開始剤および電解質塩化合物が含まれる電解質用組成物を得て、得られた電解質用組成物を負極および正極の一方または両方における少なくとも1つの主表面を覆う。覆う手段は問わないが「塗布」が好ましい。
負極材料または正極材料の一方における1つの主表面に電解質用組成物を塗布し、負極材料または正極材料の他方における1つの主表面に電解質用組成物における少なくとも1つの成分を塗布してもよい。例えば、負極材料に電解質用組成物を塗布し、正極材料に共重合体のみ、電解質塩化合物のみ、または共重合体と電解質塩化合物との組合せを塗布してもよく、特に好ましくは共重合体と電解質塩化合物との組合せである。
また、電解質用組成物における少なくとも1つの成分は予め電極を作製する際のスラリーとして混合し、各電極を作製してもよい。
架橋工程(D)において、主表面上に塗布された電解質用組成物を架橋して、電解質の層を電極材料の上に形成させる。あるいは、予め電解質用組成物を製造し、電解質用組成物を例えば剥離シートに塗布し、剥離シート上で架橋させ、剥離シートから剥離し、電極材料の上に積層させる。架橋は、非プロトン性有機溶媒の存在下または不存在下に、活性エネルギー線を照射することによって行える。活性エネルギー線の具体例は、紫外線、可視光線、赤外線、X線、ガンマー線、レーザー光線等の電磁波、アルファー線、ベータ線、電子線等の粒子線である。
架橋工程(D)により電解質組成物を形成した後に、負極材料/電解質/正極材料の構成の非水電解質二次電池を得る。
本発明を実施するための具体的な形態を以下に実施例を挙げて説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例1] エチレンオキシド構造を有するポリマー重合用触媒の製造
撹拌機、温度計及び蒸留装置を備えた3つ口フラスコにトリブチル錫クロライド10g及びトリブチルホスフェート35gを入れ、窒素気流下に撹拌しながら250℃で20分間加熱して留出物を留去させ残留物として固体状の縮合物質を得た。以下の重合例で重合触媒として用いた。
エチレンオキシド構造を有するポリマーのモノマー換算組成はH NMRスペクトルにより求めた。エチレンオキシド構造を有するポリマーの分子量測定にはゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行い、標準ポリスチレン換算により重量平均分子量を算出した。GPC測定は(株)島津製作所製RID−6A、昭和電工(株)製ショウデックスKD-807、KD-806、KD-806MおよびKD-803カラム、および溶媒にDMFを用いて60℃で行った。
[重合例1]
内容量3000mLのガラス製4つ口フラスコの内部を窒素置換し、これに重合触媒として触媒の合成例で示した縮合物質1gと水分10ppm以下に調整したグリシジルエーテル化合物(d):
Figure 2013155318
158g、アリルグリシジルエーテル 22g、及び溶媒としてn−ヘキサン1000gを仕込み、化合物(d)の重合率をガスクロマトグラフィーで追跡しながら、エチレンオキシド125gを逐次添加した。このときの重合温度は20℃とし、10時間反応を行った。重合反応はメタノールを1mL加え反応を停止した。デカンテーションによりポリマーを取り出した後、常圧下40℃で24時間、更に減圧下45℃で10時間乾燥してポリマー280gを得た。得られたエチレンオキシド構造を有するポリマーの重量平均分子量およびモノマー換算組成分析結果を表1に示す。
[重合例2]
重合例1の仕込みにおいてグリシジルエーテル化合物(d)65g、アリルグリシジルエーテル30g、エチレンオキシド205gで仕込んで重合した以外は同様の操作を行った。得られたエチレンオキシド構造を有するポリマーの重量平均分子量およびモノマー換算組成分析結果を表1に示す。
Figure 2013155318
[合成例2] エチレングリコールグリシジルメチルエーテルの製造
内容量1000mLのガラス製4つ口フラスコにエピクロロヒドリン833g、水酸化ナトリウム181gを仕込み、攪拌しながら氷浴にて10℃以下に冷却し、次いでエチレングリコールモノメチルエーテル228gを反応液の温度が40℃を超えないように滴下した。滴下終了後、40℃を越えないように5時間攪拌した後、固形分をろ過により除去した。ろ液から過剰のエピクロロヒドリンを除去し、減圧蒸留することによってエチレングリコールグリシジルメチルエーテル350gを得た。
[合成例3] 4−(2,5−ジオキサヘキシル)−1,3−ジオキソラン−2−オンの製造
合成例2で得たエチレングリコールグリシジルメチルエーテル93gを、N,N’−ジメチルホルムアミド200mlに溶解し、300mlの4つ口フラスコに入れた。触媒としてヨウ化ナトリウム2.1g、トリフェニルフォスフィン3.7gを加え、液温を100〜110℃の温度に保ちながら二酸化炭素をバブリングし激しく撹拌、反応させた。12時間反応させた後、N,N’−ジメチルホルムアミドを除去し、減圧蒸留することによって、4−(2,5−ジオキサヘキシル)−1,3−ジオキソラン−2−オン103gを得た。この沸点は115℃/0.15mmHgであり、収率は84%であった。
[実施例1] 電解質フィルムの作製(1)
重合例1で得たポリエーテル共重合体4.0g、合成例3で得た環状炭酸エステル化合物1g、光反応開始剤ベンゾフェノン0.06g、架橋助剤N,N'−m−フェニレンビスマレイミド0.4g、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム1.95gをアセトニトリル23mLに溶解したものを、PETフィルム上に500μmギャップのバーコーターを用いて塗布し、95℃に加熱して乾燥させたのち、ラミネートフィルムでカバーした状態で、(株)GSユアサ製の高圧水銀灯(30mW/cm)を30秒間照射することにより架橋フィルムを得た。得られた電解質フィルムの30℃におけるイオン伝導度を測定した結果3.8x10−4S/cmであった。
[実施例2] 電解質フィルムの作製(2)
重合例2で得たポリエーテル共重合体2.5g、合成例3で得た環状炭酸エステル化合物2.5g、光反応開始剤ベンゾフェノン0.038g、架橋助剤N,N'−m−フェニレンビスマレイミド0.088g、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム3.90gをアセトニトリル20mLに溶解したものを、PETフィルム上に500μmギャップのバーコーターを用いて塗布し、95℃に加熱して乾燥させたのち、ラミネートフィルムでカバーした状態で、(株)GSユアサ製の高圧水銀灯(30mW/cm)を30秒間照射することにより架橋フィルムを得た。得られた電解質フィルムの30℃におけるイオン伝導度を測定した結果7.0x10−4S/cmであった。
[比較例1] 電解質フィルムの作製(3)
重合例1で得たポリエーテル共重合体5.0g、光反応開始剤ベンゾフェノン0.075g、架橋助剤N,N'−m−フェニレンビスマレイミド0.175g、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム1.95gをアセトニトリル30mLに溶解したものを、PETフィルム上に500μmギャップのバーコーターを用いて塗布し、そのまま95℃に加熱して乾燥させたのち、ラミネートフィルムでカバーした状態で、(株)GSユアサ製の高圧水銀灯(30mW/cm)を30秒間照射することにより架橋フィルムを得た。得られた電解質フィルムの30℃におけるイオン伝導度を測定した結果8.1x10−5S/cmであった。
[実施例3] 負極シート/電解質フィルム/正極シートで構成された電池の作製(1)
<負極シートの作製>
負極活物質には、平均粒径12μmのグラファイト粉末(多孔質構造材料)を用いた。この負極活物質10.0gに対して、重合例1で得たポリエーテル共重合体0.6g、合成例3で得た環状炭酸エステル化合物0.6g及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム 0.23gを溶剤としてアセトニトリル10gに溶解させた溶液6g、導電助剤として2000℃以上で合成した炭素繊維(VGCF)を0.25g、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを0.91g添加し、n−メチルピロリドンを溶媒としてステンレスボールミルを用いて、1時間攪拌したのち、銅集電体上に50μmギャップのバーコーターを用いて塗布し、80℃真空状態で12時間以上乾繰後、ロールプレスしてポリエーテル共重合体を含む負極シートとした。
<正極シートの作製>
正極活物質には、平均粒子径20μm以下のLiCo1/3Mn1/3Ni1/3O2を用いた。この正極活物質に10.0gに対して、重合例1で得たポリエーテル共重合体0.7g、合成例3で得た環状炭酸エステル化合物0.7g及びホウフッ化リチウム0.15gを溶剤としてアセトニトリル10gに溶解させた溶液6g、導電助剤としてアセチレンの熱分解によって製造された球状炭素微粒子を0.6g、バインダーとしてポリフッ化ビニリデンを0.84g添加し、n−メチルピロリドンを溶媒としてステンレスボールミルを用いて1時間攪拌したのち、アルミニウム集電体上に100μmギャップのバーコーターを用いて塗布し、80℃真空状態で12時間以上乾繰後、ロールプレスしてポリエーテル共重合体を含む正極シートとした。
<電池の作製>
アルゴンガスで置換されたグローブボックス内で負極シートと正極シートの間に実施例1で得た電解質フィルムを挿入し貼り合わせて、試験用2032型コイン電池を組み立てた。電気化学特性は北斗電工(株)製の充放電装置を用い、4時間で所定の充電、及び放電が行える試験条件(C/4)にて4.2 V上限、2.5Vを下限とし、一定電流通電により正極・負極の評価をした。試験温度は30℃環境とした。試験結果を表2に示す。
[実施例4] 負極シート/電解質フィルム/正極シートで構成された電池の作製(2)
<負極シートの作製>
重合例2で得たポリエーテル共重合体を用いて実施例3の負極シートの作製と同様に行い、ポリエーテル共重合体を含む負極シートとした。
<正極シートの作製>
重合例2で得たポリエーテル共重合体を用いて実施例3の正極シートの作製と同様に行い、ポリエーテル共重合体を含む正極シートとした。
<電池の作製>
上記負極シートと上記正極シートの間に実施例2で得た電解質フィルムを挿入し貼り合わせて、実施例3と同様の方法でコイン電池を作製し、電池化学特性を評価した。試験結果を表2に示す。
[比較例2] 負極シート/電解質フィルム/正極シートで構成された電池の作製(3)
電極シートの作製において環状炭酸エステル化合物を用いず、かつ、比較例1で得られた電解質フィルムを用いた以外は実施例3と同様の方法でコイン電池を作製し、電池化学特性を評価した。試験結果を表2に示す。
Figure 2013155318
本発明の非水電解質二次電池は高容量で、かつ、サイクル充放電特性に優れているため、定置型、ロードレベリング用電池として使用できる。

Claims (5)

  1. (A)エチレンオキシド構造を有するポリマーと
    (B)側鎖にエチレンオキシド単位を有する環状炭酸エステル化合物と
    (C)電解質塩化合物と
    を含有することを特徴とする電解質組成物。
  2. エチレンオキシド構造を有するポリマー(A)が
    式(1)
    Figure 2013155318
    [式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基、または−CHO(CR)である。R、R、Rは水素原子または−CHO(CHCHO)であり、n及びRはR、R、Rの間で異なっていても良い。Rは炭素数1〜12のアルキル基、または置換基を有していても良いアリール基であり、nは0〜12の整数である。]で示される単量体から誘導される繰り返し単位5〜95モル%、及び
    式(2)
    Figure 2013155318
    で示される単量体から誘導される繰り返し単位95〜5モル%、及び
    式(3)
    Figure 2013155318
    [式中、Rはエチレン性不飽和基である。]で示される単量体から誘導される繰り返し単位0〜10モル%を有する重量平均分子量が5万〜250万の範囲内であるエチレンオキシド構造を有するポリマーである請求項1記載の電解質組成物。
  3. 側鎖にエチレンオキシド単位を有する環状炭酸エステル化合物(B)が、
    式(4)
    Figure 2013155318
    [式中、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示し、Rは炭素数1〜12のアルキル基もしくはアルケニル基、もしくは式(5)
    Figure 2013155318
    (但し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す)を示し、mは0もしくは1を示し、nは1〜2の整数を示す。]
    で表される化合物である請求項1又は2に記載の電解質組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の電解質組成物、正極および負極からなる電池。
  5. 負極がリチウム金属もしくはカーボンである請求項4に記載の電池。
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