JP2019061749A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐久性をもつ、Si含有負極活物質を採用するリチウムイオン二次電池を提供することを解決すべき課題とする。【解決手段】充放電時の面圧の振れ幅を一定の範囲内に制御することにより、Si含有負極活物質を具備するリチウムイオン二次電池の耐久性を向上できることを、本発明者は発見した。かかる発見に基づき、本発明者らは以下の発明を完成した。本発明のリチウムイオン二次電池は、正極及びSi含有負極活物質を含有する負極を備える電極体と、前記電極体及び電解液を収容するケースと、前記電極体に対し所定方向に加えられる面圧を制御する面圧制御部とを備え、前記面圧制御部は、充放電に伴い変動する前記面圧の最大値と最小値との差である振れ幅を3.8MPa以下に制御するリチウムイオン二次電池である。【選択図】図2

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、主に、正極と、負極と、それらを収容するケースとを備えている。負極の活物質としては黒鉛が汎用されているが、更なる高容量化を実現することを目的としてリチウムイオン吸蔵能力が高いSiを含有するSi含有負極活物質を採用することが知られている。
Si含有負極活物質を採用した負極は、充放電に伴う体積変動が大きくなることから、充電時には過圧縮による活物質の損傷が誘発され耐久性が低下してサイクル試験後の抵抗が上昇するおそれが懸念される。また、放電時には電極間距離が大きくなって抵抗が上昇するおそれが懸念される。
従来技術としては、正極板、負極板及びセパレータの積層方向に9.81×10−3MPa以上の圧力となる拘束圧を加えることにより、正極に高容量な活物質を用いても、サイクル後の正極抵抗が小さい電池を得ることができることが開示されている(特許文献1)。
そして、その他、電池に対して面圧を加える技術が公開されている(特許文献2〜4)。
国際公開第2015/045400号(0072段落、0011段落) 特開2016−085895号公報 特開2017−027727号公報 特開2016−184470号公報 国際公開第2014/080608号
ところでSi含有負極活物質を採用し且つ高い性能を発揮させようとする場合に、充放電に伴う体積変動が大きくなり、特許文献1〜4に開示の技術では充分な性能を発揮することができないことを本発明者らは明らかにした。その検討の過程において、Si含有負極活物質を採用したリチウムイオン二次電池について高い性能を発揮することができる知見を得ることができた。
本発明はかかる事情に鑑みて為されたものであり、Si含有負極活物質を採用し且つ高い耐久性をもつリチウムイオン二次電池を提供することを解決すべき課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、充放電時の面圧の変動の最大値(以下、適宜「Pmax」と称することがある)と最小値(以下、適宜「Pmin」と称することがある)との差である振れ幅を一定の範囲内に制御することにより、Si含有負極活物質を具備するリチウムイオン二次電池の耐久性を向上できることを、本発明者は発見した。かかる発見に基づき、本発明者らは以下の発明を完成した。
すなわち、上記課題を解決する本発明のリチウムイオン二次電池は、
正極及びSi含有負極活物質を含有する負極を備える電極体と、
セパレータと、
前記電極体、前記セパレータ、及び電解液を収容するケースと、
前記電極体に対し所定方向に加えられる面圧を制御する面圧制御部と、
を備え、
前記面圧制御部は、
充放電に伴い変動する前記面圧の最大値と最小値との差である振れ幅を、3.8MPa以下に制御するリチウムイオン二次電池である。
本発明のリチウムイオン二次電池は、高い耐久性を示す。
実施形態のリチウムイオン二次電池の概略図である。 面圧制御部に好適な弾性部材の変位−応力曲線を示すグラフである。 実施例における面圧の振れ幅を変化させたときの抵抗上昇比の変化を示すグラフである。 実施例における面圧の最大値を変化させたときの抵抗上昇比の変化を示すグラフである。 実施例における電池のSOC15%のときの面圧を変化させたときの抵抗値の変化を示すグラフである。 実施例における電解液の塩濃度を変化させたときの抵抗上昇比の変化を示すグラフである。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「a〜b」は、下限a及び上限bをその範囲に含む。下限a及び上限bをその範囲に含めない場合には「a超」、「b未満」と記載する。そして、これらの上限値及び下限値、並びに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに、これらの数値範囲内から任意に選択した数値を、新たな上限や下限の数値(その数値を含むものとも、含まないものともすることが出来る)とすることができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、電極体とセパレータと電解液とケースと面圧制御部とその他必要な部材とを有する。その他必要な部材とは電極端子などのリチウムイオン二次電池が有することができるその他の部材である。
電極体は正極と負極とをもつ。負極の活物質にはSi含有負極活物質を含む。電極体の型としては、複数枚の正負極を交互に積層した積層型、正負極を巻回した巻回型などが採用できるが、特に積層型が好ましい。ケースは電極を内部に収納する部材である。ケースは樹脂製、金属製の中空体や、金属箔を複数枚の樹脂フィルムで挟持したラミネートフィルムを溶着した袋体などが採用できる。
面圧制御部は、電極体に対して所定方向に加えられる面圧を所定の範囲内に制御する手段である。具体的には面圧制御部は、SOC0%から100%まで充放電を行ったときに観測される面圧の最大値と最小値との差である振れ幅を所定の範囲内に制御する。通常は、SOC0%のときに面圧が最小値になり、SOCが100%のときに面圧が最大値になる。
面圧を制御する所定方向とは、電極体を構成する正負極の間を密着させる方向である。密着させる方向の面圧を制御することにより、電極体の性能を好適に発揮させることができる。電極体が複数の正極及び複数の負極がセパレータを介して交互に積層された積層型である場合には正負極の積層方向を所定方向とすることができ、巻回型である場合には巻回軸に直交する方向を所定方向にできる。巻回型の中でも断面が長円状の電極体については、断面長円状において巻回軸に直交する長軸及び短軸のうち、断面長円状の電極体の短軸方向を所定方向にすることができる。
面圧制御部は、電極体の全体について面圧を制御できる構造にすることが望ましい。そのため面圧制御部は、電極体の全体に対して面圧を加えるために、電極体に対して面圧を加える方向における投影面積よりも大きな板状体を介して電極体に面圧を加えることが好ましい。
面圧制御部は、電極体の表面に面圧を直接加える構成としたり、ケースの外側から電極体に面圧を加える構成としたりできる。剛性が高いケースを採用することによって、ケースの外側から力を加えても電極体の全体を均一に加圧することができる。
面圧を制御する所定範囲としては、その振れ幅を3.8MPa以下にする。この振れ幅は2.0MPa以下が好ましく、0.5MPa以下が更に好ましい。そして特に所定範囲の最大値が4.0MPa以下、最小値が0.1MPa以上であることが好ましい。この最大値としては3.0MPa以下がより好ましく、0.5MPa以下にすることが更に好ましい。最小値としては0.2MPa以上にすることがより好ましい。
電極体は電池の充放電に伴い体積が変動する。面圧制御部は、充放電に伴い電極体に加える面圧を所定範囲に制御する。面圧を所定範囲に制御する機構としては特に限定しない。例えば、適正な面圧になるように機械的乃至は電気的に制御する機構を採用することができる。例えば、弾性体からなる弾性部材を電極体とケースとの間に介装し、ケースにより拘束する構成(ケースが拘束部を兼ねる構成)や、又はケースの外側に弾性部材を配置し、その外側から拘束する機構(拘束部)を採用する構成を採用できる。
面圧制御部として弾性部材と拘束部を採用する場合には、弾性部材は、電極体やケースの大きさと同程度の大きさにすることができる。弾性部材の厚みは特に限定しないが、その上限として15mm、6mm、3mmを採用することができる。
電極体を複数有する形態を採用する場合には、面圧制御部が備える弾性部材は、積層した電極体の端部に1つ配設したり(図1(a))、積層した電極体の間に設けたり(図1(b))できる。具体的には、電極体、ケースなどからなる電池モジュール10が3つある場合に、図1(a)のように電池モジュール10を3つ並設した後、その端部(図1では右側)に弾性部材20を配設することもできるし、図1(b)のように電池モジュール10の間に2つの弾性部材21を介装することもできる。また、電池モジュール10の両端部に弾性部材21を配置することもできる。なお、図1では電池モジュール10の積層方向の両端(図1では左右)から電池モジュール10と弾性部材20、21を拘束部4により拘束している。
図1(a)では、拘束部4は、3つの電池モジュール10と弾性部材20とを並設した後、その並設方向両側から拘束して加圧する部材である。具体的に、拘束部4は、第一拘束板41と、第二拘束板42と、締結部43とを備えている。第一拘束板41は、板状部材であって、電池モジュール10の並設方向の一方側(図1では左方)に配置されている。第1拘束板41は、電池モジュール10に当接している。第二拘束板42は、板状部材であって、電池モジュール10の並設方向の他方側(図1では右方)に配置されている。第二拘束板42は、弾性部材20に当接している。
締結部43は、第一拘束板41と第二拘束板42とを締結するとともに、第一拘束板41と第二拘束板42との間の距離を調整可能な締結部材である。本実施形態の締結部43は、ボルト43aとナット43bで構成され、第一拘束板41と第二拘束板42とをねじ止め固定している。拘束部4によれば、ボルト43aの締め具合により、上記距離が調整でき、間に拘束した部材(電池モジュール10と弾性部材20)に対する加圧力が調整できる。
図1(b)でも、図1(a)で説明したものと同じ拘束部4を用いて、電池モジュール10と弾性部材21とを並設した状態で拘束する。拘束するに当たって、加圧力が調整できる。
つまり、面圧制御部は電極体1つに対して1つずつ設けることは必須では無く、2つ以上の電極体に対して1つの面圧制御部にて対応させることも可能である。同様にケースについても電極体の1つ1つにケースを1つずつ備えることは必須ではなく、1つのケースに複数の電極体を収納しても良い。
面圧制御部は、電極体が複数ある場合には複数配置した方が面圧を精密に制御可能であるが、電池反応に関与しない部材の量が増加するため、必要な応力の特性が実現できる限りにおいて面圧制御部を少なく、小さく、軽くすることが好ましい。
弾性部材を採用する場合には、前述した充放電に伴う電極体の体積変動の最大値と最小値とを考慮して弾性部材の形状・材質が選択される。弾性部材には、電極体の体積が最大値を示すときに最も大きな変位(Dmax)が加えられ、電極体の体積が最小値を示すときに最も小さな変位(Dmin)が加えられる。電極体の体積が最小値を示すときに電極体に加える面圧を0にする場合にはDminも0にする。つまり、Dminの大きさは、電極体の体積が最小値を示すときの面圧(ほとんどの場合はPminと一致すると考えられる)の大きさに応じて決定される。
変位が最も大きいとき(Dmax)に面圧が最大値(Pmax)になることが多く、反対に変位が最も小さいとき(Dmin)に面圧が最小値(Pmin)になることが多い。
つまり、(Dmax−Dmin)の値は、電極体の構成、すなわち、電極体の充放電に伴う体積変動から決定される値である。そして、Dminの値は、電極体にPminを加えるために、弾性部材に生じるべき最小限の変位の大きさとして決定され、拘束部による拘束の程度を調節することにより調節する。その結果、弾性部材は、Dmin以上の変位が常に生じるようになっている。Dmaxの値は、電極体の構成から決定される(Dmax−Dmin)の値をDminに加えることで決定できる。
ここでPminは0超の値を示すことが好ましい。0超にすることで電極間が離れる方向の力を打ち消したり、減じたりすることができる。Pminは、特に0.1MPa以上にすることが好ましい。Pminを0超にするにはDminを0超にする。
弾性部材の大きさ・形状・材質は、電極体に加えられるべき面圧の最大値と最小値との具体的な好ましい値を設定した後に以下のように決定する。設定した好ましい面圧の最大値はPmax1、最小値はPmin1とする。Pmax1については、面圧として加えられる値の上限で有り、実際の電池においては、PmaxがPmax1以下の範囲となれば良い。また、採用される電極体の構成から充放電時に生じる体積膨張から(Dmax−Dmin)の値は予め算出される。
方法Aは、弾性部材が取りうる大きさからどのような性質(弾性率など)をもつ弾性部材を採用することができるか決定する方法であり、方法Bは弾性部材が取りうる性質からどのような形状をもつ弾性部材を採用することができるか決定する方法である。
なお、本実施形態において、実際に設定した電池における面圧の最大値が、Pmax1を下回ることがあってもよい。面圧の最大値が小さいほど耐久性が向上するからである。反対に、実際に設定した電池における面圧の最小値は、設定したPmin1以上であることもできる。面圧の最小値は、一定の値以上であることにより、正負極間の加圧を充分に行うことができる。
・方法A:弾性部材の大きさに制限がある場合
候補となる種類の弾性部材のそれぞれについて制限の範囲内で大きさを設定し、それぞれの場合の弾性部材にPmin1を加圧したときの変位(DPmin1)を算出し、そのDPmin1をDminとする。結果、面圧の最小値Pminが、設定されたPmin1に一致する。
算出されたDPmin1に(Dmax−Dmin)の値を加えることで、その候補となる弾性部材に生じる変位の最大値Dmaxの値が算出される。候補となった弾性部材に変位Dmaxを生じさせたときの応力P1が、Pmax1以下であれば、その候補となった弾性部材を採用することができる。応力P1がPmax1を超える場合には、弾性部材として、変位Dmax〜Dminの範囲における弾性率が更に小さい材料を選択する。
・方法B:弾性部材の弾性率に制限がある場合
種々の厚みの弾性部材について、応力Pmin1を加えたときの変位D1を求め、そのD1の値をDminとする。Dminに(Dmax−Dmin)の値を加算することでDmaxの値が算出できる。検討している弾性部材に対してDmaxの変位を生じさせたときの応力P2を求め、P2がPmax1以下であれば、その厚みを採用することができる。
特に方法Aと方法Bとを繰り返し適用することで弾性部材について適正な材質で適正な形状・大きさに近づけることが容易になる。なお、弾性部材として好適な材質としては変位がDmaxからDminに至る範囲における弾性率の値が小さな材料を採用することが好ましい。
特に変位が0からDminに至るまでに面圧の最小値に相当する応力を発生させることができる弾性率をもち、その後、変位がDmaxに至るまでは応力の変化が少なくなるように弾性率が0に近くなるような非線形の弾性率をもつ材料からなる弾性部材を採用することが好ましい。
例えば、図2に示すような変位−応力曲線を示すようなエラストマーからなる弾性部材を採用することが好ましい。その上で変位としてDminとDmaxとを図2に示すように応力の変化が小さい領域に合わせることにより、一定の大きさの面圧を電極体に加えた状態を電極体の体積変動に関わらず継続することが容易になる。
弾性率が好ましい非線形特性をもつ材料としては発泡エラストマーを例示できる。特に発泡により形成された気泡の大きさが不均一な材料であることが好ましい。また、エラストマーとしてはウレタンエラストマーを採用することが好ましい。
負極は、集電体と、集電体の表面に結着させた負極活物質層を有する。
負極活物質層は負極活物質、並びに必要に応じて結着剤及び/又は導電助剤を含む。
負極活物質としては、Si含有負極活物質のみでも良いし、黒鉛などの公知の負極活物質とSi含有負極活物質とを併用しても良い。Si含有負極活物質の含有量は負極活物質層の質量を基準として70%以上にすることが好ましい。
Si含有負極活物質としては、Siを含有し、負極活物質として機能するものであればよい。具体的なSi含有負極活物質としては、ケイ素単体、SiOx(0.3≦x≦1.6)、Siと他の金属との合金、特許文献5に記載のシリコン材料を例示できる。Si含有負極活物質は炭素で被覆されていてもよい。炭素で被覆されたSi含有負極活物質は導電性に優れる。
特許文献5には、CaSiを酸と反応させてCaを除去した層状ポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成し、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させたシリコン材料を製造したこと、及び、当該シリコン材料を負極活物質として具備するリチウムイオン二次電池が記載されている。
Si含有負極活物質の粒度分布としては、一般的なレーザー回折式粒度分布測定装置で測定した場合に、D50が0.6〜30μmの範囲内が好ましく、1〜20μmの範囲内がより好ましく、2〜10μmの範囲内がさらに好ましく、3〜8μmの範囲内が特に好ましい。
特許文献5に記載のシリコン材料(以下、単に「シリコン材料」ということがある。)について詳細に説明する。シリコン材料は、例えば、CaSiと酸とを反応させてポリシランを主成分とする層状シリコン化合物を合成する工程、さらに、当該層状シリコン化合物を300℃以上で加熱して水素を離脱させる工程を経て製造されるものである。
特許文献5に記載のシリコン材料の製造方法を、酸として塩化水素を用いた場合の理想的な反応式で示すと以下のとおりとなる。
3CaSi+6HCl → Si+3CaCl
Si → 6Si+3H
ただし、ポリシランであるSiを合成する上段の反応では、副生物や不純物除去の観点から、通常、反応溶媒として水が用いられる。そして、Siは水と反応し得るため、上段の反応を含む層状シリコン化合物を合成する工程において、層状シリコン化合物がSiのみを含むものとして製造されることはほとんどなく、層状シリコン化合物はSi(OH)(Xは酸のアニオン由来の元素若しくは基、s+t+u=6、0<s<6、0<t<6、0<u<6)で表されるものとして製造される。なお、上記の化学式においては、残存し得るCaなどの不可避不純物については、考慮していない。そして、当該層状シリコン化合物を加熱して得られるシリコン材料も、酸素や酸のアニオン由来の元素を含む。
シリコン材料は、複数枚の板状シリコン体が厚さ方向に積層されてなる構造を有する。リチウムイオン等の電荷担体が効率的に吸蔵及び放出を行うためには、板状シリコン体は厚さが10nm〜100nmの範囲内のものが好ましく、20nm〜50nmの範囲内のものがより好ましい。板状シリコン体の長手方向の長さは、0.1μm〜50μmの範囲内のものが好ましい。また、板状シリコン体は、(長手方向の長さ)/(厚さ)が2〜1000の範囲内であるのが好ましい。板状シリコン体の積層構造は走査型電子顕微鏡などによる観察で確認できる。また、この積層構造は、原料のCaSiにおけるSi層の名残りであると考えられる。
シリコン材料には、アモルファスシリコン及び/又はシリコン結晶子が含まれるのが好ましい。特に、上記板状シリコン体において、アモルファスシリコンをマトリックスとし、シリコン結晶子が当該マトリックス中に点在している状態が好ましい。シリコン結晶子のサイズは、0.5nm〜300nmの範囲内が好ましく、1nm〜100nmの範囲内がより好ましく、1nm〜50nmの範囲内がさらに好ましく、1nm〜10nmの範囲内が特に好ましい。なお、シリコン結晶子のサイズは、シリコン材料に対してX線回折測定を行い、得られたX線回折チャートのSi(111)面の回折ピークの半値幅を用いたシェラーの式から算出される。
シリコン材料に含まれる板状シリコン体、アモルファスシリコン及びシリコン結晶子の存在量や大きさは、主に加熱温度や加熱時間に左右される。加熱温度は、350℃〜950℃の範囲内が好ましく、400℃〜900℃の範囲内がより好ましい。
結着剤は活物質や導電助剤などを集電体の表面に繋ぎ止める役割を果たすものである。
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のイミド系樹脂、アルコキシシリル基含有樹脂、スチレンブタジエンゴムなどの公知のものを採用すればよい。
また、結着剤として、親水基を有するポリマーを採用してもよい。親水基を有するポリマーを結着剤として具備する本実施形態のリチウムイオン二次電池は、より好適に容量を維持できる。親水基を有するポリマーの親水基としては、カルボキシル基、スルホ基、シラノール基、アミノ基、水酸基、リン酸基などリン酸系の基などが例示される。中でも、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース、ポリメタクリル酸などの分子中にカルボキシル基を含むポリマー、又は、ポリ(p−スチレンスルホン酸)などのスルホ基を含むポリマーが好ましい。
ポリアクリル酸、あるいはアクリル酸とビニルスルホン酸との共重合体など、カルボキシル基及び/又はスルホ基を多く含むポリマーは水溶性となる。親水基を有するポリマーは、水溶性ポリマーであることが好ましく、化学構造でいうと、一分子中に複数のカルボキシル基及び/又はスルホ基を含むポリマーが好ましい。
分子中にカルボキシル基を含むポリマーは、例えば、酸モノマーを重合する方法や、ポリマーにカルボキシル基を付与する方法などで製造することができる。酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、ビニル安息香酸、クロトン酸、ペンテン酸、アンジェリカ酸、チグリン酸など分子中に一つのカルボキシル基をもつ酸モノマー、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、2−ペンテン二酸、メチレンコハク酸、アリルマロン酸、イソプロピリデンコハク酸、2,4−ヘキサジエン二酸、アセチレンジカルボン酸など分子内に二つ以上のカルボキシル基をもつ酸モノマーなどが例示される。
上記の酸モノマーから選ばれる二種以上の酸モノマーを重合してなる共重合ポリマーを結着剤として用いてもよい。
また、例えば特開2013―065493号公報に記載されたような、アクリル酸とイタコン酸との共重合体のカルボキシル基どうしが縮合して形成された酸無水物基を分子中に含んでいるポリマーを結着剤として用いることも好ましい。一分子中にカルボキシル基を二つ以上有する酸性度の高いモノマー由来の構造が結着剤にあることにより、充電時に電解液分解反応が起こる前にリチウムイオンなどを結着剤がトラップし易くなると考えられている。さらに、当該ポリマーは、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸に比べてモノマーあたりのカルボキシル基が多いため、酸性度が高まるものの、所定量のカルボキシル基が酸無水物基に変化しているため、酸性度が高まりすぎることもない。そのため、当該ポリマーを結着剤として用いた負極をもつ二次電池は、初期効率が向上し、入出力特性が向上する。
また、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーを、ジアミンなどのポリアミンで架橋した架橋ポリマーを結着剤として用いてもよい。
架橋ポリマーに用いられるジアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の含飽和炭素環ジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ベンジジン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
また、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸などのカルボキシル基含有ポリマーと、ポリアミドイミドとの混合物又は反応物を結着剤として用いてもよい。
ポリアミドイミドとは、分子内にアミド結合とイミド結合をそれぞれ2つ以上有する化合物を意味する。ポリアミドイミドは、アミド結合及びイミド結合におけるカルボニル部分となる酸成分と、アミド結合及びイミド結合における窒素部分となるジアミン成分又はジイソシアネート成分を反応させることで製造される。ポリアミドイミドを得るには、当該方法で製造しても良いし、また、市販のポリアミドイミドを購入しても良い。
ポリアミドイミドの製造に用いられる酸成分としては、トリメリット酸、ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、シュウ酸、アジピン酸、マロン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、ジカルボキシポリブタジエン、ジカルボキシポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ジカルボキシポリ(スチレン−ブタジエン)、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ビス(カルボキシフェニル)スルホン、ビス(カルボキシフェニル)エーテル、ナフタレンジカルボン酸、及び、これらの無水物、酸ハロゲン化物、誘導体を挙げることができる。酸成分としては、上記の化合物を単独で又は複数で採用すればよいが、ただし、イミド結合を形成させる点から、カルボキシル基が結合している炭素の隣接炭素にカルボキシル基が存在する酸成分又はその同等物が、必須となる。酸成分としては、反応性、耐熱性などの点から、トリメリット酸無水物が好ましい。また、ポリアミドイミドの引っ張り強度、引っ張り弾性率、電解液耐性の点から、トリメリット酸無水物に加えて、酸成分の一部として、ピロメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物を採用するのが好ましい。
ポリアミドイミドの製造に用いられるジアミン成分としては、上述した架橋ポリマーに用いられるジアミンを採用すればよい。耐熱性、溶解性の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4−トリレンジアミン、o−トリジン、ナフタレンジアミン、イソホロンジアミンが好ましい。ポリアミドイミドの引っ張り強度、引っ張り弾性率の点からはo−トリジン、ナフタレンジアミンが好ましい。
ポリアミドイミドの製造に用いられるジイソシアネート成分としては、上記ジアミン成分のアミンをイソシアネートで置き換えたものを挙げることができる。
負極活物質層中の結着剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:結着剤=1:0.005〜1:0.3であるのが好ましい。結着剤が少なすぎると電極の成形性が低下し、また、結着剤が多すぎると電極のエネルギー密度が低くなるためである。
導電助剤は、電極の導電性を高めるために添加される。そのため、導電助剤は、電極の導電性が不足する場合に任意に加えればよく、電極の導電性が十分に優れている場合には加えなくても良い。導電助剤としては化学的に不活性な電子高伝導体であれば良く、炭素質微粒子であるカーボンブラック、黒鉛、気相法炭素繊維(Vapor Grown Carbon Fiber)、および各種金属粒子などが例示される。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが例示される。これらの導電助剤を単独又は二種以上組み合わせて活物質層に添加することができる。負極活物質層中の導電助剤の配合割合は、質量比で、負極活物質:導電助剤=1:0.01〜1:0.5であるのが好ましい。導電助剤が少なすぎると効率のよい導電パスを形成できず、また、導電助剤が多すぎると負極活物質層の成形性が悪くなるとともに電極のエネルギー密度が低くなるためである。
集電体は、リチウムイオン二次電池の放電又は充電の間、電極に電流を流し続けるための化学的に不活性な電子伝導体をいう。集電体としては、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
次に、本実施形態に好適な電解液について説明する。本実施形態の電解液は2.0mol/L以上の塩濃度であることが好ましく、2.2mol/L以上の塩濃度であることが更に好ましい。また、3.5mol/L以下、3.0mol/L以下、2.5mol/L以下にすることが特に好ましい。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。塩濃度が2.0mol/L以上にあることで面圧制御部による面圧の制御の効果が高くなる。
本実施形態の電解液には、電解質として(FSONLiが含まれていても良い。また、リチウムイオン二次電池の電解液に使用可能である他の電解質が含まれていてもよい。本実施形態の電解液には、本実施形態の電解液に含まれる全電解質に対し、(FSONLiが50質量%以上で含まれるのが好ましく、70質量%以上で含まれるのがより好ましく、90質量%以上で含まれるのがさらに好ましい。本実施形態の電解液に含まれる電解質すべてが(FSONLiであってもよい。
他の電解質として、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSiF、(CFSONLi、(CSONLi、FSO(CFSO)NLi、(SOCFCFSO)NLi、(SOCFCFCFSO)NLi、FSO(CHSO)NLi、FSO(CSO)NLi、又はFSO(CSO)NLi、(OCOCOBLi、(OCOCO)BFLiを例示できる。
本実施形態の電解液は、有機溶媒として一般式(A)で表される鎖状カーボネート(以下、単に「鎖状カーボネート」ということがある。)を含む。
OCOOR 一般式(A)
(R、Rは、それぞれ独立に、鎖状アルキルであるCClBr、又は、環状アルキルを化学構造に含むCClBrのいずれかから選択される。nは1以上の整数、mは3以上の整数、a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはそれぞれ独立に0以上の整数であり、2n+1=a+b+c+d+e、2m−1=f+g+h+i+jを満たす。)
一般式(A)で表される鎖状カーボネートにおいて、nは1〜6の整数が好ましく、1〜4の整数がより好ましく、1〜2の整数が特に好ましい。mは3〜8の整数が好ましく、4〜7の整数がより好ましく、5〜6の整数が特に好ましい。
鎖状カーボネートのうち、下記一般式(A−1)で表されるものが特に好ましい。
OCOOR 一般式(A−1)
(R、Rは、それぞれ独立に、鎖状アルキルであるC、又は、環状アルキルを化学構造に含むCのいずれかから選択される。nは1以上の整数、mは3以上の整数、a、b、f、gはそれぞれ独立に0以上の整数であり、2n+1=a+b、2m−1=f+gを満たす。)
一般式(A−1)で表される鎖状カーボネートにおいて、nは1〜6の整数が好ましく、1〜4の整数がより好ましく、1〜2の整数が特に好ましい。mは3〜8の整数が好ましく、4〜7の整数がより好ましく、5〜6の整数が特に好ましい。
鎖状カーボネートのうち、ジメチルカーボネート(以下、「DMC」ということがある。)、ジエチルカーボネート(以下、「DEC」ということがある。)、エチルメチルカーボネート(以下、「EMC」ということがある。)、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート、ビス(フルオロメチル)カーボネート、ビス(ジフルオロメチル)カーボネート、ビス(トリフルオロメチル)カーボネート、フルオロメチルジフルオロメチルカーボネート、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート、ペンタフルオロエチルメチルカーボネート、エチルトリフルオロメチルカーボネート、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)カーボネートが特に好ましい。
鎖状カーボネートは、1種類を電解液に用いても良いし、複数種類を併用しても良い。例えば、極性及び比誘電率が比較的低く、かつ、単位体積あたりのモル数が比較的少ないDECを単独で用いると、電極からのアルミニウムなどの金属溶出が抑制されることを期待できる。また、鎖状カーボネートの複数を併用することで、電解液の低温流動性や低温でのリチウムイオン輸送性などを好適に確保することができる。鎖状カーボネートの併用例として、DMC、DEC及びEMCから選択される2種又は3種の併用を挙げることができる。DMCと、DEC又はEMCとの併用において、これらのモル比は、DMC:DEC又はEMC=80:20〜95:5の範囲内が好ましい。
本実施形態の電解液には、本実施形態の電解液に含まれる全有機溶媒に対し、上記鎖状カーボネートが、60体積%、60質量%以上若しくは60モル%以上で含まれるのが好ましく、70体積%、70質量%以上若しくは70モル%以上で含まれるのがより好ましく、80体積%、80質量%以上若しくは80モル%以上で含まれるのがさらに好ましく、90体積%、90質量%以上若しくは90モル%以上で含まれるのが特に好ましい。
本実施形態の電解液における(FSONLiの濃度を例示すると、1.0〜3.5mol/L、1.5〜3.5mol/L、2.0〜3.0mol/Lの範囲を挙げることができる。
本実施形態の電解液はフッ素含有環状カーボネートを含んでもよい。フッ素含有環状カーボネートとは、フッ素を分子内に有する環状カーボネートを意味する。電解液全体に対するフッ素含有環状カーボネートの量としては、0超〜40質量%又は体積%の範囲内が好ましく、0.1〜30質量%又は体積%の範囲内がより好ましく、1〜20質量%又は体積%の範囲内がさらに好ましく、3〜10質量%又は体積%の範囲内が特に好ましい。
フッ素含有環状カーボネートの具体例としては、下記一般式(B)で表される化合物を挙げることができる。
(R、Rはそれぞれ独立に、水素、アルキル基、ハロゲン置換アルキル基又はハロゲンである。ただし、各R及び各Rのうち、少なくとも一つはFを含む。)
一般式(B)で表されるフッ素含有環状カーボネートを具体的な化合物名で示すと、フルオロエチレンカーボネート、4−(トリフルオロメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−(フルオロメチル)−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジフルオロ−4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オンを挙げることができ、中でもフルオロエチレンカーボネートが好ましい。
Si含有負極活物質と、フッ素含有環状カーボネートの関係について説明する。
まず、フッ素含有環状カーボネートを含まず、(FSONLi及び鎖状カーボネートを含む電解液と、Si含有負極活物質とを具備するリチウムイオン二次電池においては、充放電に伴い、一部の(FSONLiが分解して、Si含有負極活物質の表面に被膜を形成する。当該被膜には、(FSONLiに由来するSO構造物が含まれると推定される。従って、Si含有負極活物質とSO構造物とは、直接的に接触している状態となる。ここで、SO構造物は酸化能を有するため、経時的にSiの酸化が進行することとなり、その結果、Si含有負極活物質が劣化する。
フッ素含有環状カーボネートは、耐酸化能に優れるが、還元条件下でたやすく分解する。従って、フッ素含有環状カーボネートは、本実施形態のリチウムイオン二次電池の充放電条件下において、負極と電解液との界面で優先的に分解する。その結果、Si含有負極活物質の表面に、フッ素含有環状カーボネートの分解物に由来する被膜が形成される。その後、(FSONLiが分解してSO構造物が生成したとしても、フッ素含有環状カーボネートの分解物に由来する被膜の存在に因り、Si含有負極活物質とSO構造物との直接的な接触を妨げることができるため、Si含有負極活物質の劣化を抑制できる。
また、フッ素含有環状カーボネートは、比較的極性が高い有機溶媒であるため、リチウムイオンとの親和性やリチウムイオンの伝導性に優れると考えられる。そうすると、フッ素含有環状カーボネートを含む本実施形態の電解液は、電解液と正極活物質及び/又は負極活物質との間で生じるリチウムイオンの授受を、円滑に実施できると推定される。
本実施形態の電解液には、リチウムイオン二次電池の電解液に使用可能である他の有機溶媒(以下、単に「他の有機溶媒」ということがある。)が含まれていてもよい。
なお、他の有機溶媒を含むないようにすると、粘度が上昇が抑制できたり、イオン伝導度の低下を抑制できたりは、反応抵抗の増大を抑制できたりする場合がある。
他の有機溶媒を具体的に例示すると、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル、マロノニトリル等のニトリル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジオキサン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン、2−メチルテトラヒドロピラン、2−メチルテトラヒドロフラン、クラウンエーテル等のエーテル類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のフッ素非含有環状カーボネート類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、イソプロピルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、クロロメチルイソシアネート等のイソシアネート類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸ビニル、メチルアクリレート、メチルメタクリレート等のエステル類、グリシジルメチルエーテル、エポキシブタン、2−エチルオキシラン等のエポキシ類、オキサゾール、2−エチルオキサゾール、オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン等のオキサゾール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、無水酢酸、無水プロピオン酸等の酸無水物、ジメチルスルホン、スルホラン等のスルホン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン等のニトロ類、フラン、フルフラール等のフラン類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン等の環状エステル類、チオフェン、ピリジン等の芳香族複素環類、テトラヒドロ−4−ピロン、1−メチルピロリジン、N−メチルモルフォリン等の複素環類、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸エステル類を挙げることができる。
また、本実施形態の電解液には、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で、公知の添加剤を加えてもよい。公知の添加剤の一例として、ビニレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート及びエリスリタンカーボネートに代表されるカーボネート化合物;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水グルタコン酸、無水イタコン酸、無水ジグリコール酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、フェニルコハク酸無水物に代表されるカルボン酸無水物;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンに代表されるラクトン;1,4−ジオキサンに代表される環状エーテル;エチレンサルファイト、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、ブサルファン、スルホラン、スルホレン、ジメチルスルホン、テトラメチルチウラムモノスルフィドに代表される含硫黄化合物;1−メチル−2−ピロリジノン、1−メチル−2−ピペリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−メチルスクシンイミドに代表される含窒素化合物;モノフルオロリン酸塩、ジフルオロリン酸塩に代表されるリン酸塩;ヘプタン、オクタン、シクロヘプタンに代表される飽和炭化水素化合物;ビフェニル、アルキルビフェニル、ターフェニル、ターフェニルの部分水素化体、シクロヘキシルベンゼン、t−ブチルベンゼン、t−アミルベンゼン、ジフェニルエーテル、ジベンゾフランに代表される不飽和炭化水素化合物が挙げられる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池に用いられる正極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出し得る正極活物質を有する。正極は、集電体と、集電体の表面に結着させた正極活物質層を有する。正極活物質層は正極活物質、並びに必要に応じて結着剤及び/又は導電助剤を含む。正極の集電体は、使用する活物質に適した電圧に耐え得る金属であれば特に制限はなく、例えば、銀、銅、金、アルミニウム、タングステン、コバルト、亜鉛、ニッケル、鉄、白金、錫、インジウム、チタン、ルテニウム、タンタル、クロム、モリブデンから選ばれる少なくとも一種、並びにステンレス鋼などの金属材料を例示することができる。
正極の電位をリチウム基準で4V以上とする場合には、集電体としてアルミニウムを採用するのが好ましい。
具体的には、正極用集電体として、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものを用いるのが好ましい。ここでアルミニウムは、純アルミニウムを指し、純度99.0%以上のアルミニウムを純アルミニウムと称する。純アルミニウムに種々の元素を添加して合金としたものをアルミニウム合金と称する。アルミニウム合金としては、Al−Cu系、Al−Mn系、Al−Fe系、Al−Si系、Al−Mg系、Al−Mg−Si系、Al−Zn−Mg系が挙げられる。
また、アルミニウム又はアルミニウム合金として、具体的には、例えばJIS A1085、A1N30等のA1000系合金(純アルミニウム系)、JIS A3003、A3004等のA3000系合金(Al−Mn系)、JIS A8079、A8021等のA8000系合金(Al−Fe系)が挙げられる。
集電体は公知の保護層で被覆されていても良い。集電体の表面を公知の方法で処理したものを集電体として用いても良い。
集電体は箔、シート、フィルム、線状、棒状、メッシュなどの形態をとることができる。そのため、集電体として、例えば、銅箔、ニッケル箔、アルミニウム箔、ステンレス箔などの金属箔を好適に用いることができる。集電体が箔、シート、フィルム形態の場合は、その厚みが1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。
正極の結着剤及び導電助剤は負極で説明したものを同様の配合割合で採用すればよい。
正極活物質としては、層状岩塩構造の一般式:LiNiCoMn(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn,Ca、Mg、S、Si、Na、K、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3) や、LiNiCoAl(0.2≦a≦2、b+c+d+e=1、0≦e<1、DはLi、Fe、Cr、Cu、Zn,Ca、Mg、S、Si、Na、K、Zr、Ti、P、Ga、Ge、V、Mo、Nb、W、Laから選ばれる少なくとも1の元素、1.7≦f≦3) で表されるリチウム複合金属酸化物、LiMnOを挙げることができる。また、正極活物質として、LiMn等のスピネル構造の金属酸化物、スピネル構造の金属酸化物と層状化合物の混合物で構成される固溶体、LiMPO、LiMVO又はLiMSiO(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種から選択される)などで表されるポリアニオン系化合物を挙げることができる。さらに、正極活物質として、LiFePOFなどのLiMPOF(Mは遷移金属)で表されるタボライト系化合物、LiFeBOなどのLiMBO(Mは遷移金属)で表されるボレート系化合物を挙げることができる。正極活物質として用いられるいずれの金属酸化物も上記の組成式を基本組成とすればよく、基本組成に含まれる金属元素を他の金属元素で置換したものも使用可能である。また、正極活物質として、リチウムを含まないものを用いても良い。例えば、硫黄単体、硫黄と炭素を複合化した化合物、TiSなどの金属硫化物、V、MnOなどの酸化物、ポリアニリン及びアントラキノン並びにこれら芳香族を化学構造に含む化合物、共役二酢酸系有機物などの共役系材料、その他公知の材料を用いることもできる。さらに、ニトロキシド、ニトロニルニトロキシド、ガルビノキシル、フェノキシルなどの安定なラジカルを有する化合物を正極活物質として採用してもよい。リチウムを含まない正極活物質材料を用いる場合には、正極及び/又は負極に、公知の方法により、予めリチウムを添加しておく必要がある。リチウムは、イオンの状態で添加しても良いし、金属等の非イオンの状態で添加しても良い。例えば、リチウム箔を正極及び/又は負極に貼り付けるなどして一体化しても良い。
集電体の表面に活物質層を形成させるには、ロールコート法、ダイコート法、ディップコート法、ドクターブレード法、スプレーコート法、カーテンコート法などの従来から公知の方法を用いて、集電体の表面に活物質を塗布すればよい。具体的には、活物質、溶剤、並びに必要に応じて結着剤及び導電助剤を混合してスラリーにしてから、当該スラリーを集電体の表面に塗布後、乾燥する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、メタノール、メチルイソブチルケトン、水を例示できる。電極密度を高めるべく、乾燥後のものを圧縮しても良い。
本実施形態のリチウムイオン二次電池に用いられるセパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータとしては、公知のものを採用すればよく、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアラミド(Aromatic polyamide)、ポリエステル、ポリアクリロニトリル等の合成樹脂、セルロース、アミロース等の多糖類、フィブロイン、ケラチン、リグニン、スベリン等の天然高分子、セラミックスなどの電気絶縁性材料を1種若しくは複数用いた多孔体、不織布、織布などを挙げることができる。また、セパレータは多層構造としてもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の具体的な製造方法について述べる。
正極及び負極にセパレータを挟装させ電極体とする。電極体は、正極、セパレータ及び負極を重ねた積層型、又は、正極、セパレータ及び負極を捲いた巻回型のいずれの型にしても良い。正極の集電体及び負極の集電体から外部に通ずる正極端子及び負極端子までの間を、集電用リード等を用いて接続した後に、電極体に本実施形態の電解液を加えてリチウムイオン二次電池とするとよい。面圧制御部は、電極体を直接加圧する位置に配設するか、電極体をケース内に収納した状態でケースを介して電極体を加圧する位置に配設する。面圧制御部として弾性部材を含む場合には,必要な最小面圧Pminが加えられるように弾性部材を予変形させる。予変形の程度は電極体のSOCに応じて求められる電極体の体積変動を考慮して決定する。例えばSOC0%の場合には、予変形の大きさはDminとし、SOCが100%の場合には、予変形の大きさはDmaxとする。また、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、電極に含まれる活物質の種類に適した電圧範囲で充放電を実行されればよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の形状は特に限定されるものでなく、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型等、種々の形状を採用することができる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、車両に搭載してもよい。車両は、その動力源の全部あるいは一部にリチウムイオン二次電池による電気エネルギーを使用している車両であればよく、例えば、電気車両、ハイブリッド車両などであるとよい。車両にリチウムイオン二次電池を搭載する場合には、リチウムイオン二次電池を複数直列に接続して組電池とするとよい。リチウムイオン二次電池を搭載する機器としては、車両以外にも、パーソナルコンピュータ、携帯通信機器など、電池で駆動される各種の家電製品、オフィス機器、産業機器などが挙げられる。さらに、本実施形態のリチウムイオン二次電池は、風力発電、太陽光発電、水力発電その他電力系統の蓄電装置及び電力平滑化装置、船舶等の動力及び/又は補機類の電力供給源、航空機、宇宙船等の動力及び/又は補機類の電力供給源、電気を動力源に用いない車両の補助用電源、移動式の家庭用ロボットの電源、システムバックアップ用電源、無停電電源装置の電源、電動車両用充電ステーションなどにおいて充電に必要な電力を一時蓄える蓄電装置に用いてもよい。
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態は、上記実施形態に限定されるものではない。本実施形態の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良等を施した種々の形態にて実施することができる。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
(試験電池1)
以下のとおり、リチウムイオン二次電池を製造して試験電池1とした。
FEC/EMC/DMC=10/27/63(体積比)にて調製した溶媒中に、(FSONLiとLiPFとを溶解して電解液とした。(FSONLiとLiPFの濃度はそれぞれ1mol/Lである。
Li1.1Ni82/100Co14/100Al4/100を本実施例の正極活物質とした。この正極活物質を96質量部、導電助剤としてアセチレンブラック2質量部、及び結着剤としてポリフッ化ビニリデン2質量部を混合して混合物とした。この混合物を適量のN−メチル−2−ピロリドンに分散させて、スラリーを製造した。正極用集電体としてアルミニウム箔を準備した。このアルミニウム箔の表面に、ドクターブレードを用いて上記スラリーが膜状になるように塗布した。スラリーが塗布されたアルミニウム箔を乾燥することで、N−メチル−2−ピロリドンを除去した。その後、当該アルミニウム箔をプレスし接合物を得た。得られた接合物を真空乾燥機で加熱乾燥して、正極活物質層が形成されたアルミニウム箔からなる正極を製造した。この正極活物質層は、目付27mg/cm、密度3.58g/cmであった。
負極活物質として炭素被覆したシリコン材料77.5質量部、導電助剤としてアセチレンブラック13.5質量部、及び、結着剤としてポリアクリル酸をジアミンで架橋した架橋ポリマー9質量部を混合して混合物とした。この混合物を適量のN−メチル−2−ピロリドンに分散させて、スラリーを製造した。負極用集電体として銅箔を準備した。この銅箔の表面に、ドクターブレードを用いて、上記スラリーを膜状に塗布した。スラリーが塗布された銅箔を乾燥してN−メチル−2−ピロリドンを除去し、その後、銅箔をプレスし、接合物を得た。得られた接合物を真空乾燥機で加熱乾燥して、負極活物質層が形成された銅箔からなる負極を製造した。この負極活物質層は、目付3.6mg/cm、密度1.25g/cmであった。
セパレータとして、片面にセラミックス層を有するポリエチレン製多孔質膜を準備した。正極と負極とでセパレータを挟持し、極板群である電極体とした。この電極体を中空の角形のケース内に収納し、電解液を注入した。その後、蓋をして密封した。密封した状態で、ケースの外側から、所定の厚みを持つ発泡エラストマー製の弾性部材を介して、電極体の電極の積層方向両面から加圧するように拘束部にて拘束した。
拘束部は、ケースの大きさよりも大きな2枚の板状部材(拘束板)とその2枚の拘束板の間隔を所定値に規制する間隔規制部材とから構成される。弾性部材は、2枚の拘束板の一方とケースとの間に挟持した。弾性部材の材質及び大きさ、並びに2枚の拘束板の間隔を調節することにより電極体に加えられる面圧の振れ幅を制御することができる。
(評価例1:面圧の振れ幅の検討)
試験電池1について、挟持する弾性部材として表1に記載の型番及び厚みのものを採用した上で、初期面圧(この面圧が最小値Pminである)が表1に記載の大きさになるように拘束板の間隔を調節して試験例1〜5の電池を製造した。表1に記載の弾性部材の型番は、株式会社イノアックコーポレーション製のセルダンパー(発泡エラストマー)のものである(下記の表2も同じ)。株式会社イノアックコーポレーション製のセルダンパーは、弾性率の変位による変化が非線形で有り、その種類、厚み、初期面圧を制御することにより、充放電に伴い電極体に加えられる面圧の変動を任意に制御できる。
それぞれの試験例の電池について、SOC90%まで1Cの電流にてCCCV充電を行い、SOC15%まで1Cの電流でCC放電を行うサイクルを60回行った前後に抵抗を測定し、その抵抗上昇比:(サイクル後の抵抗)/(サイクル前の抵抗)を算出した。
抵抗は、測定対象の電池についてSOCを15%に調製した後、25℃の環境下で、125Aの電流を10秒間放電して測定した。具体的には、放電前後の電圧変化と電流値とから算出した。
試験例5の電池の抵抗上昇比を1としたときの相対値を図3に示す。所定値と弾性部材との関係及び振れ幅の大きさを表1に記載する。
また、充放電のサイクル中において電極体に加えられる最大面圧(Pmax)と最小面圧(Pmin)を測定し、振れ幅(Pmax−Pmin)の値を算出した。結果を表1に示す。試験例1〜5の電池は面圧の変動以外は同条件であり、性能に差異が生じる場合には、面圧の大きさや振れ幅の影響が現れたものであると考えられる。
図3及び表1より明らかなように、振れ幅が4.7MPa(試験例2)では、電極体の面圧を制御する弾性部材が存在しても、充放電後の抵抗値の上昇低減に効果が無いことがわかった。それに対して振れ幅が3.8MPa以下の電池(試験例3〜5)では、弾性部材を採用することにより抵抗値の上昇を低減する効果があることが分かった。従って、充放電サイクル中の面圧の振れ幅を3.8MPa以下に制御することで60サイクル後の抵抗上昇比を低く保つことが可能になることが分かった。
(評価例2:面圧の最大値の検討)
試験電池1について、挟持する弾性部材として表2に記載の型番及び厚みのものを採用した上で、初期面圧(この面圧が最小値Pminである)が表2に記載の大きさになるように拘束板の間隔を調節して試験例6〜10の電池とした。それぞれの試験例の電池について、評価例1と同様の方法にて60サイクルの充放電を行い、評価例1と同様の方法にてサイクル前後の抵抗上昇比を測定した。充放電のサイクル中において電極体に加えられる最大面圧(Pmax)を測定した。試験例6の電池の抵抗上昇比を1としたときの相対値を図4に示す。初期面圧、弾性部材の厚み及び型番、Pmaxの値を以下の表2に記載する。
図4及び表2より明らかなように、初期面圧及び弾性部材を制御してもPmaxが4.0MPaを超える値となった試験例9及び10の電池は、60サイクル後の抵抗上昇比を低減する効果が無いことが分かった。それに対して、初期面圧及び弾性部材を制御してPmaxが4.0MPa以下になった試験例6〜8の電池は、60サイクル後の抵抗上昇比を低く保つ効果があることが分かった。
(評価例3:面圧を加えることの効果の検討)
試験電池1について、SOC15%のときの面圧が所定値(0MPa、0.05MPa、0.10MPa、0.25MPa、0.35MPa、1.0MPa)になるように弾性部材の材質、大きさ、有無、初期面圧(この面圧が最小値Pminである)を決定した。これらを表3に示す。その電池について、評価例1と同様の方法で1サイクル充放電を行った後、評価例1と同様の方法で抵抗値を測定した。試験例16の電池の抵抗値を1.0としたときの相対値を図5に示す。
図5及び表3より明らかなように、SOC15%のときの面圧が0.1MPa未満である試験例11及び12の電池では、抵抗値を低く保つことが出来ないことが明らかになった。それに対して、SOC15%のときの面圧が0.1MPa以上に制御された試験例13〜16では、抵抗値を低く保つことが可能になった。これはSOC15%のときの面圧を0.1MPa以上に制御することにより、充放電に伴う電極間の離間を効果的に抑制できることで、抵抗値を低く保つことが可能になったものと推測できる。
(評価例4:電解液の塩濃度と面圧の制御の効果との関係の検討)
試験電池1と同様の製造方法にて電解液の塩濃度を変化させた電池を製造した。塩濃度は、1.8mol/L(試験電池2)、2.2mol/L(試験電池3)の2つを新たに作成し、2.0mol/Lである試験電池1と合わせて3種類を用いた。塩濃度は、(FSO2)2NLiが1mol/L、残部がLiPFとして上記濃度に調節した。
これらの試験電池1〜3について、最大面圧が0.4MPaになるように弾性部材の材質、厚み、初期面圧を決定した。具体的には、イノアックコーポレーション製のセルダンパー(型番:BF−700)、厚み6mm、初期面圧0.5MPaとした。その後、評価例1と同様に60サイクルの充放電を行った前後の抵抗上昇比を測定した。結果を図6に示す。
図6より明らかなように、塩濃度が2.0mol/L以上である試験電池1及び3は、塩濃度が1.8mol/Lである試験電池2と比べて面圧を0.4MPa以下に制御したときの抵抗上昇抑制効果が認められた。また、塩濃度が2.2mol/Lにした試験電池3の方が塩濃度が2.0mol/Lの試験電池1よりも抵抗値の低減効果が高いことが分かった。
10:電池モジュール、 20、21:弾性部材、 4:拘束部、 41:第一拘束板、 42:第二拘束板、 43:締結部、 43a:ボルト、 43b:ナット。

Claims (6)

  1. 正極及びSi含有負極活物質を含有する負極を備える電極体と、
    セパレータと、
    前記電極体、前記セパレータ、及び電解液を収容するケースと、
    前記電極体に対し所定方向に加えられる面圧を制御する面圧制御部と、
    を備え、
    前記面圧制御部は、
    充放電に伴い変動する前記面圧の最大値と最小値との差である振れ幅を3.8MPa以下に制御するリチウムイオン二次電池。
  2. 前記面圧の最大値が4.0MPa以下、前記面圧の最小値が0.1MPa以上である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記電解液中の塩濃度が2.0mol/L以上である請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記負極は、負極活物質層中のSi含有負極活物質の含有量が70質量%以上である請求項1〜3のうちの何れか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記電極体は、複数の前記正極及び複数の前記負極が前記セパレータを介して交互に積層された積層体であり、
    前記所定方向は、前記積層体の積層方向である、
    請求項1〜4のうちの何れか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記面圧制御部は、
    前記ケースの表面に配設される板状体であって、発泡エラストマーから形成される弾性部材と、
    前記弾性部材及び前記ケースを拘束する拘束部と、
    をもつ請求項1〜5のうちの何れか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
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